説明

水性ベースの現像可能な官能化したノルボルネンポリマーをベースとしたネガ型フィルム

【課題】極めて透明であり、低い誘電率(熱酸化ケイ素膜の誘電率より低いか、または、それと同等の誘電率)を有し、さらに、高い耐熱性(それに続く加工に十分耐える程度の耐熱性)を有する、30μmまたはそれより大きい厚さを有するフィルム形成に使用可能な樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ノルボルネン系ポリマー、光酸発生剤および溶媒を含む、ネガ型の自己結像可能なフィルムを形成するためのポリマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、ノルボルネン系ポリマー組成物に関し、より具体的には、このような組成物で形成されたネガ型の自己結像可能なフィルム、マイクロエレクトロニクス、オプトエレクトロニクスおよびマイクロメカニカルデバイスにおいて有用な上記フィルムの構造を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクスデバイス、ならびにマイクロエレクトロニクスデバイスのパッケージング、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)において、加えてオプトエレクトロニクスデバイスにおいて、保護層、誘電層、不動態層および再配線層としてポリマーが広く用いられている。このような用途にとって、具体的にはノルボルネン系ポリマーが有用であることが見出されている。例えば、このようなポリマーから形成されたフィルムは、薄膜トランジスタ型液晶ディスプレイ(TFT LCD)、および、有機エレクトロルミネセンス(OEL)デバイスにおいて、素子または配線を絶縁するために、および/または、デバイス表面を平坦化するために利用できることがわかっており、さらに場合によっては、LCDデバイスにおける液晶分子の配向を制御するためにディスプレイ用電極の表面上に映像を形成するのに役立つか、または、OELおよびLCDデバイスにおける電極間のスペーサーとして役立つ。さらに、このようなポリマーから形成されたフィルムはまた、半導体デバイスをプリント配線板またはその他のマウント基板にマウントすることにおいても有用であり、この場合、このようなフィルムは、半導体デバイスとこのようなボードまたは基板の回路構成要素とを絶縁するのに役立ち、加えて、このようなデバイスを上記ボードまたは基板に取り付けるのにも役立つ。
【0003】
上述の典型的な用途において効果を生じさせるために、形成されたフィルムまたは構造は、それに続く加工に耐えることが可能でなければならず、同時に、それらが組み込まれたデバイスの有効寿命の範囲内でそれらの望ましい特性を維持し続けなければならない。このような物質がディスプレイおよび/または光半導体デバイスのような光学的な用途で用いられる場合、このような物質はさらに、適切な光の波長で極めて透明なフィルムを形成しなければならない。
【0004】
これまでに様々な物質が上述の用途のうちいくつかにとって有用であることが見出されているが、ディスプレイ、半導体デバイスおよびプリント配線板のより高度な集積化および/または小型化から、このようなこれまでに知られている物質の連続使用は問題が多く、および/または、限定的であることが明るみに出ている。例えば、従来知られているポリイミド樹脂は、一般的に十分な高温性能を有するが、これらは、増加した配線密度および高い信号速度を有する高度に集積化および/または小型化されたデバイスにおいて十分に有効な低い誘電率を有さない。加えて、ポリイミド樹脂は、一般的に、多くの光学的な用途にとって十分な透明度を有さない。このような既知のポリイミド系物質の1種は、ポジ型感光性樹脂であり、例えば日本国特許第3,262,108号で開示されたポリイミド前駆体およびジアゾキノン型の化合物などが挙げられる。
【0005】
また、その他の従来知られている物質、例えば特開平5−165214号で開示されたアクリル樹脂ベースの放射線感受性組成物、または、特開2003−162054号で開示された脂環式オレフィン樹脂も、十分な透明性を示す一方で、それに続く加工に耐えるだけの十分な耐熱性をこのような樹脂は有さないという点で問題が多いか、または、限定的である。
【0006】
近年、米国特許第7,022,790号で、自己結像可能な組成物として提供することができるネガ型のノルボルネン系ポリマーが説明されており、これは、樹脂組成物群(アバトレル(Avatrel(R))(プロメラス(Promerus)LLC))の基剤である。このような生成物群は、主として厚い自己結像可能なフィルム(30μm以上)を形成する能力のために商業的な成功を得ているが、上述のデバイスを加工する際に用いられるより汎用の水性ベースの現像工程(0.26NのTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)を使用)とは異なる溶媒ベースの現像工程の場合、このような成功はその必要条件によって制限される。
【0007】
つい最近になって、米国特許第7,524,594号(’594特許)で、水性ベースの現像可能なポジ型のアバトレル(R)樹脂組成物(’594樹脂)が開示され、それによれば、上述の用途の多くで使用するのに適していることが示されている。しかしながら、このような’594樹脂の使用は、比較的薄いポリマーフィルム(例えば20ミクロン(μm)またはそれ未満の厚さを有するフィルム)の形成しか必要としない用途、および、像形成後に得られたアスペクト比が約5〜1を超えない用途に限定されることが証明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】日本国特許第3,262,108号
【特許文献2】特開平5−165214号
【特許文献3】特開2003−162054号
【特許文献4】米国特許第7,022,790号
【特許文献5】米国特許第7,524,594号
【発明の概要】
【0009】
それゆえに、極めて透明であり、低い誘電率(熱酸化ケイ素膜の誘電率より低いか、または、それと同等の誘電率)を有し、さらに、高い耐熱性(それに続く加工に十分耐える程度の耐熱性)を有する、30μmまたはそれより大きい厚さを有するフィルム形成に使用可能な樹脂組成物があれば有利であると予想される。さらに、このような樹脂組成物が自己結像可能でれば有利であると予想され、すなわち、そのような組成物から形成されたフィルムの一部が像通りの露光に直接応答して、パターン化フィルムを形成することができる。さらにその上、このような自己結像可能な樹脂組成物にとって、上述のパターンを現像するために水性アルカリ溶液のような水性ベースの現像剤を用いることが有利であると予想される。
【0010】
以下、本発明に係る実施態様を以下の添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明に係るポリマー組成物の実施態様の自己結像性を実証する光学的なマイクロ写真である。
【図2】図2は、本発明に係るその他のポリマー組成物の実施態様の自己結像性を実証する光学的なマイクロ写真である。
【図3】図3は、本発明に係るその他のポリマー組成物の実施態様の自己結像性を実証する光学的なマイクロ写真である。
【図4】図4は、約7:1のアスペクト比(高さ:幅)を有するポリマー構造を実証するための、光パターン化した本発明に係るポリマー組成物の実施態様から形成されたフィルムのSEM画像である。
【図5】図5は、約5:1のアスペクト比を有する芯が中空の円柱を形成するための、光パターン化した本発明に係るポリマー組成物の実施態様から形成されたフィルムのSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る実施態様は、ノルボルネン系ポリマー、このようなポリマーを包含する自己結像可能な組成物、ならびに、このようなポリマーおよび組成物を用いて形成することができるフィルム、層および構造を対象とする。有利なことに、このような自己結像可能な組成物は、それらから形成されたフィルムの像通りの露光、続いて例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を包含する現像剤溶液のような水性ベースの現像剤溶液を用いた上記像の現像後に、像を提供することができる。さらに、このような実施態様は、30マイクロメートルまたはそれよりも大きいフィルム、および、6:1を超えるアスペクト比を実証する像を機械的に提供することができる。
【0013】
留意すべきこととして、本発明に係るポリマー組成物に包含されるポリマーは、上述した’594特許に概略的に開示されている。さらに留意すべきこととして、’594特許のポリマー組成物は、高いアスペクト比(5:1を超える)で厚い(30μm以上)ポリマーフィルムを提供することに関して限界があることにより行われた研究努力から、以下に示される有利で予想外の結果が得られた。従って、本発明のポリマー組成物は、’594特許のポリマー組成物とは異なる。
【0014】
特に他の指定がない限り、本明細書において用いられる成分の量、反応条件などに関して述べられている全ての数、値および/または表現は、全ての場合において用語「約」で修飾されていても、そのような表記がないものと理解することとし、このような数値は、特にこのような値を得る際に起こる測定に関する様々な不安定要素を反映した近似値である。さらに、数値範囲が本明細書において開示されている場合、このような範囲は連続しており、このような範囲の最小限値と最大値との間の全ての値を含む。さらにその上、範囲が整数で示されている場合、このような範囲の最小値と最大値との間の全ての整数が含まれる。加えて、特性または特徴を説明するために複数の範囲が示されている場合、これらの範囲は、上記特性または特徴をさらに説明するために組み合わせることもできる。
【0015】
当全ながら、本明細書において、用語「誘電」および「絶縁」は、同じ意味で用いられることとする。従って、絶縁層という表記は、誘電層を含む。
本明細書で用いられる用語「ポリマー」は、1種またはそれより多くの異なる種類の反復単位(分子の最も小さい構成単位)の主鎖を含む分子を意味することとし、一般的によく知られている用語「オリゴマー」、「コポリマー」、「ホモポリマー」などを含む。さらに、このようなポリマーという用語は、ポリマーそれ自身に加えて、開始剤に続く残基、触媒およびこのようなポリマーの合成に伴うその他の要素を含むものとし、ここでこのような残基は、共有結合でポリマーに組み込まれているものではないと理解される。さらに、このような残基およびその他の要素は、一般的には重合後の精製工程中に除去されるが、通常、容器から容器に移動する際に、または、溶媒または分散媒間で移動する際にポリマー中にわずかながら残留するために、それらがポリマーと混合された状態であるか、または、ポリマーと一体化している場合が多い。
【0016】
本明細書で用いられる用語「ポリマー組成物」は、1種またはそれより多くの合成されたポリマー、加えて、このような組成物の特定の特性を提供するか、または、それらを改変するためにポリマーの合成後に添加された物質を含む。添加可能な典型的な物質としては、これらに限定されないが、溶媒、酸化防止剤、光酸発生剤、光線感作物質、架橋形成成分、反応性の希釈剤、酸スカベンジャー、接着促進剤、および、可塑剤が挙げられる。
【0017】
本明細書で用いられる「ヒドロカルビル」は、炭素および水素のみを含む基のラジカルを意味し、非限定的な例としては、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、および、アルケニルが挙げられる。用語「ハロヒドロカルビル」は、少なくとも1個の水素がハロゲンで置換されたヒドロカルビル基を意味する。ペルハロカルビルという用語は、全ての水素がハロゲンで置換されたヒドロカルビル基を意味する。
【0018】
本明細書で用いられる「アルキル」は、例えばC〜C25の炭素鎖長を有する、直鎖状または分岐状の、非環式または環式の飽和炭化水素基を意味する。適切なアルキル基の非限定的な例としては、これらに限定されないが、−(CHCH、−(CHCH、−(CHCH、−(CH10CH、−(CH23CH、シクロペンチル、および、シクロヘキシルが挙げられる。
【0019】
本明細書で用いられる用語「アリール」は、芳香族基を意味し、これらに限定されないが、例えばフェニル、ビフェニル、ベンジル、キシリル、ナフタレニル、アントラセニルなどの基が挙げられる。
【0020】
用語「アルカリル」または「アラルキル」は、本明細書において同義的に用いられ、少なくとも1個のアリール基(例えばフェニル)で置換されており、C〜C25のアルキル炭素鎖長を有する、直鎖状または分岐状の非環式アルキル基を意味する。さらに、上記の非環式アルキル基は、ハロアルキルまたはパーハロアルキル基であってもよいこととする。
【0021】
本明細書で用いられる用語「アルケニル」は、1個またはそれより多くの二重結合を有し、C〜C25のアルケニル炭素鎖長を有する、直鎖状または分岐状の、非環式または環式の炭化水素基を意味する。非限定的な例としては、なかでも、ビニル基、プロピレン、ブテンなどが挙げられる。
【0022】
本明細書で用いられる用語「ヘテロヒドロカルビル」は、炭素鎖の少なくとも1個の炭素がN、O、S、SiまたはPで置換された、これまでに述べられたヒドロカルビル、ハロヒドロカルビルおよびペルハロヒドロカルビルのいずれかを意味する。非限定的な例としては、例えばピロリル、フラニルなどの複素環式芳香族基、加えて、例えばエーテル、チオエーテルおよびシリルエーテルのような非芳香族基が挙げられる。用語「アルキロール(alkylol)」は、具体的には、1個またはそれより多くの水酸基を含むヘテロアルキル基を意味する。
【0023】
加えて、上述したヒドロカルビル、ハロヒドロカルビルおよびペルハロヒドロカルビル成分のいずれか、または、それらの「ヘテロ」類似体は、必要に応じてさらに置換されていてもよいこととする。適切な置換基の非限定的な例としては、なかでも、水酸基、ベンジル基、カルボン酸およびカルボン酸エステル基、アミド、ならびに、イミドが挙げられる。
【0024】
本明細書で用いられる用語「ポリシクロオレフィン」、「ポリ(環状)オレフィン」および「ノルボルネン系」は、付加重合可能な単量体、それにより得られたポリマー中に生じる反復単位、または、このようなポリマーを包含する組成物を意味するものとして同義的に用いられ、ここでこのような単量体、反復単位およびポリマーは、少なくとも1個のノルボルネン系成分を包含する。本発明に係る実施態様に包含される最も簡単なノルボルネン系重合性単量体は、以下に示すようなノルボルネンそれ自身、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンである:
【0025】
【化1】

【0026】
しかしながら、本明細書で用いられるようなノルボルネン系単量体、反復単位またはポリマーという用語は、このようなノルボルネンそれ自身のみを包含する成分に限定されず、あらゆる置換されたノルボルネン、または、置換された、および、非置換の、より高次の環状のそれらの誘導体も含み、例えば以下でより詳細に説明するものが挙げられる。
【0027】
以下に示す構造式Iは、このようなノルボルネン単量体の代表例であり、構造式Iaは、それに対応する反復単位の代表例である:
【0028】
【化2】

【0029】
式中、式IおよびIaそれぞれに関して、Xは、−CH−、−CH−CH、OおよびSから選択され;mは、0〜5の整数であり、R、R、RおよびRは出現ごとに独立して、水素、ヒドロカルビル、または、その他の置換基を示す。
【0030】
本発明に係るフィルム組成物中に存在するノルボルネン系ポリマーは、2,3連鎖(enchainment)による重合工程(また、ビニル付加重合としても知られている)によって誘導され、構造式Iaによれば、以下で説明されているように、少なくとも2種の別個のタイプの反復単位を有しており、ここで式中、各反復単位に関して、Xは、−CH−、−CH−CH−、または、−O−から選択され;mは、0〜5の整数である;および、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、または、ヒドロカルビル基から選択される。
【0031】
本発明に係る典型的な実施態様に関して、構造式Iaによれば、少なくとも2種の別個のタイプの反復単位のうち第一の反復単位は、カルボン酸を含むヒドロカルビルペンダント基を包含する。すなわち、R〜Rのうちの1種が、式−RCOOHで示される(式中Rは、C〜Cアルキル成分である)。例えば、カルボン酸を含むペンダント基−CHCHCOOHである。以下で考察される通り、カルボン酸を含むペンダント基は、一般的に、適切に選択された添加剤または反復単位との、像の形成を引き起こす反応に参加させるのに有用である。留意すべきこととして、このような縮合反応は、本発明のポリマーの実施態様の自己結像性をもたらすと予想される架橋形成を包含していてもよく、さらに、このような縮合反応は、このようなポリマーと適切な感光性の添加剤とを包含するフィルムに、適切な形態の化学線で像通りに露光されると開始される。
【0032】
このような典型的な実施態様に関して、構造式Iaによれば、少なくとも2種の別個のタイプの反復単位の第二の反復単位は、pKが約11未満の解離可能な水素原子を有するペンダントヒドロカルビル基を包含する。例えば、R〜Rのうち1つは、式B、CまたはDのいずれか1つで示される構造を有するペンダント基である:
【0033】
【化3】

【0034】
式中Rは、上述の通りである。
このような実施態様において、第二の反復単位が式Bで示されるペンダント基を包含する場合、Rは−CHCHOCH−であり、このような反復単位は、ノルボルネニルエトキシ2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロパン−2−オール(または、ノルボルネンエトキシメチルヘキサフルオロプロパノール、NBEMHFP)と名付けることができる。その他の実施態様において、このような第二の反復単位のRは−CH−であり、このような反復単位は、ノルボルネニル−2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロパン−2−オール(HFANB)と名付けることができる。
【0035】
本発明の代わりの実施態様において、このような第二の反復単位が式Cに相当するペンダント基を包含する場合、Rは、一般的に、1個またはそれより多くの炭素を含むアルキルであり、水酸基は、アミドの位置に対してオルトまたはパラ位にある。その他の代わりの実施態様において、このような第二の反復単位が式Dに相当するペンダント基を包含する場合、Rは、一般的に、1個またはそれより多くの炭素を含むアルキルである。一般的に、このような第二の反復単位は、上述のポリマーフィルムの、前記像通りの露光中に上述の化学線で露光されない領域に望ましい程度の溶解性を提供するのに有用であり、さらに、場合によっては、化学線で露光されたフィルムのその他の領域において上述の像の形成を引き起こす反応に参加させるのに有用な可能性もある。
【0036】
本発明に係る第一および第二の反復単位のみを包含する実施態様において、一般的に、このような反復単位は、実質的にランダムな方式でポリマー主鎖中に分散される。さらに、いくつかの実施態様に関して、第一の反復単位は、5〜40パーセントのポリマーの反復単位を包含する。その他の実施態様において、このような第一の反復単位は、20〜60パーセントのポリマーの反復単位を包含し、さらにその他の好ましい実施態様において、30〜90パーセントの上記反復単位を包含する。当然ながら、上述の実施態様が第一および第二の反復単位に限定される場合、第二の反復単位は、存在する反復単位のパーセンテージが100パーセントになるような量で存在すると理解されることとする。さらに当然ながら、本発明の特定の実施態様において存在する第一および第二の反復単位の特定の量、および、それぞれのタイプの反復単位ごとに選択されたペンダント基の特定の性質は、最終的な像が形成されたフィルムの特定の特性、および/または、特定の用途で要求される像形成性能が達成されるように選択されるものと理解されることとする。従って、例えば、未露光領域において高度の溶解性が要求される場合、第一のタイプの反復単位のパーセンテージを高めた本発明に係る実施態様を製造してもよいし、またあるいは、そのように第一の反復単位のパーセンテージを高めないで、このような高度の溶解性を提供すると予想される第二の反復単位のペンダント基を選択してもよい。例えば、ポリマーフィルムの未露光領域により高い溶解性が提供されるように、他方のより低いpKaを有する第二の反復単位を選択して、第一および第二の反復単位の相対的なパーセンテージを変化させないようにしてもよい。
【0037】
いくつかの本発明に係る実施態様は、上述の第一および第二のタイプの反復単位に加えて、追加の反復単位を包含するものであり、この場合、このような追加の反復単位は、一般的に、ポリマー組成物の実施態様、像形成可能なフィルムの実施態様、および、このようなフィルムの像通りの露光によって形成された最終的な構造を包含する本発明に係る実施態様に、有利な特徴および/または特性を提供することを目的とする。このような追加のタイプの反復単位としては、これらに限定されないが、C〜C10の直鎖状または環状アルキルエポキシノルボルネン、C〜C12アルキルノルボルネン、ジ、トリおよびテトラオキサC〜C12アルキルノルボルネン、C〜C10グリシジルエーテルノルボルネン、C〜C12オキセタン、または、シリルオキセタンノルボルネン、および、酸化防止剤を含むノルボルネンから誘導された反復単位が挙げられる。以下に、理解しやすくするために、上記のノルボルネンの典型的な構造式を示す(ただしこれらに限定されない):
【0038】
【化4】

【0039】
式中Eは、エポキシヘキシルノルボルネン(EHNB)であり、Fは、エポキシシクロヘキサンノルボルネン(ECyNB)であり、Gは、ヘキシルノルボルネン(HexNB)であり、Hは、トリオキサノナンノルボルネン(NBTON)であり、Iは、テトラオキサドデカンノルボルネン(NBTODD)であり、Jは、メチルグリシジルエーテルノルボルネン(MGENB)であり、Kは、[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ジメチルノルボルネニルエチルシラン(NBEtDMSiOxetane)であり、Lは、5−ノルボルネン−2−イル(メチレン)−4,4’−ビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、(AOAONB)である。
【0040】
単量体からのノルボルネン系ポリマーの合成
説明したノルボルネン系単量体のポリマーは、一般的に、触媒として役立つニッケルまたはパラジウム錯体の存在下で、2,3連鎖による(ビニル付加)重合反応によって形成される。適切なニッケルおよびパラジウム触媒、および、それらが用いられる重合反応の例は、米国特許第6,790,579号B1、および、米国特許第6,903,171号B2(これらは、この参照により開示に包含させる)に開示されている。加えて、米国特許第7,524,594号(’594特許)の第9段第26行〜第13段第38行にも、本発明のポリマーの実施態様の十分な理解に特に関連する重合触媒、条件、単量体の比率およびポリマーの単離方法の説明が示されており、従って、’594特許のこの部分も参照により本発明に包含させる。
【0041】
上記ビニル付加重合を触媒するのにニッケル錯体が用いられる場合、ニッケル錯体としては、以下の式で示される構造を有するものが挙げられる:
Ni(C
式中nは、1または2であり、Eは、2個の電子をNiに供与することができる遊離の電子対を含むヘテロ原子(典型的にはNまたはO)を有するヒドロカルビルリガンド、または、pi電子系がNiに電子密度を供与することができる芳香族リガンドである。典型的なEリガンドとしては、トルエン、THF、酢酸エチル、および、ジオキサンが挙げられる。
【0042】
上述の単量体の重合に適したパラジウム錯体としては、以下の式で示されるものが挙げられる:
(アリル)Pd(P(R)(L’)
式中Rは、イソプロピル、および、シクロヘキシルから選択され、L’は、トリフルオロ酢酸塩、および、トリフルオロメタンスルホン酸塩(トリフラート)から選択される。代表的なPd化合物としては、(アリル)パラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)トリフラート、(アリル)パラジウム(トリイソプロピルホスフィン)トリフラート、(アリル)−パラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)トリフルオロ酢酸塩、および、(アリル)パラジウム(トリイソプロピルホスフィン)トリフルオロ酢酸塩が挙げられる。上述のパラジウム錯体を、第15族の電子供与体、および/または、不安定な中性電子供与体化合物と混合して、重合の前に触媒的に有用なパラジウム錯体を形成させてもよい。
【0043】
ノルボルネン系ポリマーの分子量は、反応条件に適合させることによって容易に制御することができる。単量体に対する触媒の比率を変化させることは、得られたポリマーの分子量を制御するのに役立つ可能性がある。また、重合反応中に存在する連鎖移動剤(CTA)のレベルを調節することも分子量に影響を与える。ノルボルネン系ポリマーの合成において有用なCTAは、米国特許第6,136,499号(これは、この参照により開示に包含させる)に記載されている。典型的なCTAとしては、例えば米国公開特許出願第2004/0229157号、および、米国公開特許出願第2007/0066775号(これらは、この参照により開示に包含させる)で開示された、1−ヘキセンのようなアルファ−オレフィン、および、水素のような非オレフィン系化合物、トリエチルシラン、アルキルアルコキシシランのようなアルキルシランが挙げられる。さらに、本発明に係るいくつかのポリマーの実施態様に関して、CTAおよび活性化剤(一般的にはCTAAと称される)の両方として作用し得る単一の成分を使用することは、望ましいポリマーの分子量および光学密度と、このようにして得られたポリマーの収率との両方を制御するのに有効であることを証明することができる。このようなCTAA、それらの使用方法、および、重合反応条件、および、結果は、米国公開特許出願第2008/0242810号(これは、この参照により開示に包含させる)に開示されている。
【0044】
一般的に、および、本発明のポリマーの実施態様を形成するのに上記の方法のどれが用いられるかに関係なく、このような実施態様のうちいくつかは、20,000〜350,000ダルトン(Da)の平均分子量(Mw)を有する。その他の実施態様において、本ノルボルネン系ポリマーのMwは、30,000〜275,000Daである。さらにその他の実施態様において、本ノルボルネン系ポリマーのMwは、35,000〜50,000Daである。加えて、数平均分子量(Mn)に対する平均分子量の比率(または、本発明の重合方法に従って製造されたノルボルネン系ポリマーの多分散性(PD)としても知られている)は、約2であるが、1〜4の範囲で様々であってよい。
【0045】
留意すべきこととして、第一のタイプのノルボルネン単量体と1種またはそれより多くのその他の単量体との重合に関して、一般的に、このような第一のタイプの単量体は、可能性のある最も高い重合収率が得られるように、カルボン酸の酸性水素を保護基またはブロック基で置換して提供される。典型的なブロックまたは保護基としては、第三ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、トリアルキルシリル基、例えばトリメチルシリル基、メチルメトキシ基、または、カルボン酸とエステルを形成することができるアルキル基、例えば−Cが挙げられる。重合が完了したら、一般的には得られたポリマーの単離および精製中に、このようなカルボン酸基は加水分解で再利用される。
【0046】
本発明に係る自己結像可能な膜形成組成物の実施態様は、ノルボルネン系ポリマー、光酸発生剤、任意の光線感作物質、および、1種またはそれより多くの任意の架橋形成成分を包含する。化学線、続いて加熱に晒された上記組成物で形成されたフィルムの領域内にノルボルネン系ポリマーの架橋されたネットワークの形成を可能にするために、本フィルム組成物中に含まれるノルボルネン系ポリマーの第一の反復単位は、例えば光酸発生剤によって形成されるような強酸の存在下で、包含されているあらゆる架橋形成成分と反応性を有するように選択されるか、および/または、それ自身との、または、ポリマーのその他の反復単位との縮合型の反応を受けることができるように選択される。
【0047】
従って、意外なことに、本明細書において説明されるポリマーの実施態様は、キャスト溶媒に溶解させた光酸発生剤(PAG)および光線感作物質のような感光性成分しか含まないポリマー組成物に配合されると、直接感光が可能になることが見出された。すなわち、このようなポリマー組成物を基板上にキャスティングしてフィルムを形成し、その後適切な波長の化学線で像通りに露光すると、ポリマーは、縮合反応と考えられる反応を開始させることができ、それにより、フィルムの放射線で露光された部分中のみに構造が形成される。さらに、フィルムの未露光部分を例えば水性ベースの現像剤によって除去し、残存した部分を適切な温度に適切な期間加熱した後、このような残存した部分を、化学線への像通りの露光で用いられる像のネガとして設計できることが発見された。図1を参照すると、このようにして露光され現像されたフィルムの光学的なマイクロ写真が示される。像が形成されたフィルムを形成するのに用いられるポリマー組成物は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)中の25重量パーセント(wt%)溶液として、100pphr(parts per hundred,百分率)の75/25のHFANB/NBCHCHCOHポリマー(Mw=150,400ダルトン(Da);PDI=2.05)、加えて、PAGとして2pphrのロードルシル(Rhodorsil)PI2074((p−イソプロピルフェニル)(p−メチルフェニル)−ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩)、および、光線感作物質として1pphrのCPTX(1−クロロ−4−プロポキシ−9−H−チオキサンテン−9−オン)を含んでおり、これを5インチのSiOをコーティングしたシリコンウェーハ上に約10ミクロンの厚さにキャスティングし、776mJ/cmのエネルギーで露光した。この調合物の像形成性は明白である。
【0048】
理論に制限されることは望まないが、このようなフィルムの露光部分において、露光されたPAGはこのような露光によって強酸を形成することがわかっており、それにより第一のタイプの反復単位(例えばNBCHCHCOH)と、同一または異なるタイプのいずれかのその他の反復単位との反応が誘導されると考えられる。さらに、このような露光されて残存した部分を加熱することは、このような露光部分において縮合反応を促進して完了させ、架橋された高分子マトリックスと考えられるものを形成するのに役立つと考えられる。
【0049】
添加剤
図1を参照しながら考察すると、本発明の実施態様に係る像形成可能なポリマー組成物は、少なくとも上述の第一および第二のタイプの反復単位を包含するポリマー、光酸発生剤(PAG)、および、溶媒を包含し、ここでこのような溶媒は、上述のポリマーとPAGとの溶液を形成し、上面に実質的に一様の厚さを有する層を形成することができるあらゆる適切な方式でこのようなポリマー組成物を基板上にキャスティングできるようにするために用いられる。加えて、ポリマー組成物の実施態様中に任意の添加剤が含まれる場合、このような添加剤は溶媒溶液にも含まれると予想される。このような適切なキャスティング方式としては、これらに限定されないが、スピンコーティング、スプレーコーティング、ローラーコーティング、および、ドクターブレードの使用が挙げられる。
【0050】
溶媒
有用なキャスティング溶媒としては、これらに限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン、ガンマ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、および、それらの混合物が挙げられる。有利なキャスティング溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ガンマ−ブチロラクトン、および、シクロヘキサノンのいずれか単独か、または、それらの組み合わせであることが発見された。加えて、このようなキャスト溶媒は、上面に組成物をキャスティングした後に表面上にフィルムが形成されるように適切な揮発性を有する。
【0051】
光酸発生剤および光線感作物質
上述したように、本発明に係るポリマー組成物の実施態様は光酸発生剤(PAG)を含み、さらに、任意に光線感作物質を含んでいてもよい。典型的なPAGとしては、これらに限定されないが、(p−イソプロピルフェニル)(p−メチルフェニル)−ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩(ロードルシルPI2074、ローディア社(Rhodia,Inc.))、および、TAG382(東洋インキ(Toyo Ink))が挙げられる:
【0052】
【化5】

【0053】
一般的に、PAGは広範な波長にわたる化学線を吸収するが、現代の光照射ツールでは、限定的な範囲の波長しか提供しないか、または、単一の波長しか提供されない。そのため、PAGに加えて、ポリマー組成物中に光線感作物質を含ませてもよく、その場合、このような物質は、像通りの露光に用いられる波長で吸収が起こるように選択される。あらゆる適切な光線感作物質を使用できるが、248ナノメートルを含む波長での露光に有用な光線感作物質としては、CPTXが挙げられ、その構造、名称およびCAS番号は、以下に示す通りである:
【0054】
【化6】

【0055】
本発明のポリマー組成物の実施態様中に含まれるPAGおよび光線感作物質の量は、本ポリマーが組成物中で100pphrとした場合、一般的には0.05pphr〜10pphrの範囲内である。加えて、PAGと光線感作物質との比率は、一般的に、2:1である。留意すべきこととして、用いられるPAGおよび光線感作物質の具体的な量は、当然ながら、選択された具体的な物質、加えて、なかでも望ましい光の速度およびフィルム厚さなどのその他の要因に応じて様々であると予想される。
【0056】
架橋剤
本発明に係る有用ないくつかのポリマー組成物の実施態様は、用いられるポリマーに含まれる第一のタイプの反復単位と架橋可能な1種またはそれより多くの任意の成分を包含するが、このような追加の成分は、例えば架橋された高分子マトリックスを形成することによるポリマーの像形成に必要ではないという発見は、これまで知られていなかったと考えられる(図1を参照)。従って、本発明のポリマー組成物の実施態様中に架橋形成成分を包含させることは、像通りの露光、および、露光後の熱的な工程の後に現像可能な像を提供するための必要条件ではない。
【0057】
しかしながら、本発明のいくつかのポリマー組成物の実施態様は、一般的に、添加剤のヒドロカルビル主鎖に共有結合で結合したエポキシド、オキセタン、末端のビニルエーテル基を1個またはそれより多く包含する架橋添加剤を用いてもよい。第一の反復単位のペンダントカルボン酸基と架橋可能な(架橋性の)典型的な物質としては、以下が挙げられる:
【0058】
【化7】

【0059】
【化8】

【0060】
【化9】

【0061】
その他の有用な架橋形成成分としては、メチル化された尿素系架橋剤、例えば、テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(パウダーリンク(Powderlink)1174、または、ニカラック(Nikalac)MX270)、4,5−ジメトキシ−1,3ビス(メトキシメチル)イミダゾリジン−2−オン(ニカラックMX280)、テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、テトラキス(エトキシメチル)グリコールウリル、テトラキス(イソプロポキシメチル)グリコールウリル、テトラキス(アミルオキシメチル)グリコールウリル、テトラキス(ヘキソキシメチル)グリコールウリルが挙げられる。加えて、メチル化されたメラミン系架橋剤、例えば1,3,5−トリアジン−2,4,6トリアミン、N2,N2,N4,N4,N6,N6−ヘキサキス(メトキシメチル)[ニカラックMW390]、および、サイメル(Cymel)301という商標名のメチル化されたメラミンホルムアルデヒドポリマーが有用である。さらに、追加のオキセタン系架橋剤、例えば、3−メタクリルオキシメチル−3−エチルオキセタン(宇部興産株式会社(UBE Industries)製のOXMA)、3−エチル−3フェノキシメチルオキセタン、ビス(1−エチル(3−オキセタニル)メチル)エーテル、3−エチル−3ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル3−(2エチルエトキシ)メチルオキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン(東亞合成株式会社(Toa Gosei Co Ltd)製のOxt−121)、(4,4’−ビス[3−エチル−3オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル)(宇部興産株式会社製のOXBP)、および、ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]イソフタレート)(宇部興産株式会社製のOXIPA)が有用である。
【0062】
本発明に係るいくつかのポリマー組成物の実施態様は、上記の典型的な架橋添加剤のいずれか1種を包含すると予想されるが、留意すべきこととして、その他の実施態様は、このような成分を2種またはそれより多く包含する。一般的に用いられる1種またはそれより多くの架橋添加剤の量に関して、それらの総量は、用いられるポリマーの量が100pphrとした場合、一般的には0〜80pphrである。その他の実施態様において、それらの総量は、1〜50pphrであってもよく、さらにその他の好ましい実施態様において、5〜25pphrであってもよい。当業者であれば当然ながら、架橋添加剤を本発明のポリマー組成物の実施態様に包含させることは、像形成可能なフィルムを提供することに関して任意であることが実証されているため、実際に用いられる上記添加剤の実際の量は実質的に設計上の選択であって、それぞれのポリマー組成物の目的とする具体的な用途に応じて様々でよいこととする。従って、一般的には、望ましい光の速度、フィルム厚さ、および、最終的な用途、ならびに、このようなポリマー組成物から形成された構造の物理/電気特性(例えば、絶縁耐力、弾性率、および、特定の基板への付着)のような要因が、架橋添加剤を含ませるかどうか、このような添加剤が用いられる場合はその量、および、当然ながら、多くの可能性のある添加剤のなかからどれを選択すれば、いずれか特定の用途に適しているかを決定するために考察されると予想される。上述の要因が既にわかっている場合、架橋添加剤を使用するかどうか、添加剤が用いられる場合はどの添加剤を使用するか、および、このような添加剤の総量の決定は、余分な実験を必要としないと考えられる。
【0063】
加えて、架橋添加剤を用いるかどうかに関わらず、本発明のポリマー組成物の実施態様を用いて形成されたフィルムに像を形成する工程は、組成物を基板上にキャスティングした後、且つ、このようなキャスティング組成物を像通りに露光する前に、加熱工程を用いることが一般的である。このような加熱工程は、一般的に「ソフトベーク」と称されており、いくつかの実施態様に関して、50℃〜125℃の温度で行われ、その他の実施態様に関して、75℃〜110℃温度で行われ、さらにその他の実施態様に関して、80℃〜100℃温度で行われる。像通りの露光の後、且つ、水性ベースの現像剤と接触させる前に、第二の加熱が行われ、これは一般的に「露光後ベーク」(PEB)と称される。いくつかの実施態様に関して、PEBは、90℃〜110℃の範囲温度で行われ、いくつかの実施態様に関して、100℃〜120℃の範囲温度で行われ、さらにその他の実施態様に関して、115℃〜145℃の温度で行われる。PEBでの加熱が完了した後、本組成物と0.26NのTMAHのような水性ベースの現像剤溶液とを接触させることによって、本組成物の未露光領域の除去が達成される。現像剤溶液と十分に接触させた後、この段階でパターン化した組成物またはフィルムをリンスして、残留した全ての現像剤を除去し、続いて第三の加熱で処理して、残存する部分中の全ての縮合または架橋反応を促進して完了させる。このような実施態様において、この第三の加熱工程は、120℃〜300℃の温度が用いられ、その他の実施態様において、140℃〜250℃の温度が用いられ、さらにその他の好ましい実施態様において、150℃〜200℃の温度を選択することができる。これらの温度それぞれに関して、加熱は、このような縮合または架橋反応を完全させるのに適切な時間維持される。
【0064】
さらに、本発明のポリマー組成物は、一般的に、1〜60μmの範囲内の厚さで基板に塗布される。60μmより厚いフィルムが必要な場合、そのようなフィルムが単一のキャスティング工程で形成できることもあるが、このようなフィルムは、複数回のコーティングで有利に製造されることが発見された。本明細書において開示された自己結像可能なフィルムは、厚いフィルムの像形成に特に適しており、ここで厚いフィルムとは、約30μmより厚い厚さを有するフィルムである。いくつかの実施態様において、厚いフィルムの厚さは、1〜200μmである。その他の実施態様において、厚いフィルムの厚さは、30〜100μmである。さらにその他の実施態様において、厚いフィルムの厚さは、20〜60μmである。本明細書において開示された自己結像可能なフィルムは、厚いフィルムの像形成に特に適しているが、本明細書において開示されたフィルム組成物はまた、より薄いフィルムを形成するのにも適しており、このような薄いフィルムとしては、厚さ30μm未満のフィルム、および、0.5〜30μmの厚さを有するフィルムが挙げられる。
【0065】
その他の添加剤
本発明に係るポリマー組成物の実施態様は、1種またはそれより多くのその他の添加剤を含んでいてもよく、このような添加剤としては、例えば、接着促進剤、酸化防止剤、反応性の希釈剤、および、可塑剤が挙げられる。典型的な接着促進剤としては、トリメトキシシリル、および、トリエトキシシリル化合物のようなトリアルコキシシリル誘導体が挙げられる:
【0066】
【化10】

【0067】
加えて、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランも挙げられ、これは、クロンプトン社(Crompton Corp)製のシルクエスト(Silquest(R))A−187という商標名で販売されている。その他の有用な接着促進剤としては、これらに限定されないが、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403、または、シルクエストA−187)、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド(Si−75、Si−266)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(シルクエスト1891)、および、オルガノアルコキシシランNXTZ−100、NXTZ−45(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(Momentive Performance Materials)製)が挙げられる。留意すべきこととして、特定の接着促進剤の選択は、一般的に、ポリマー組成物が塗布される基板表面に応じて様々である。
【0068】
本発明のポリマー組成物の実施態様に任意に添加することができるその他の典型的な添加剤としては、なかでも、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、および、オクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメートを含む物質群(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)製の、イルガノックス(Irganox)TM1010および1076)、および、その他の硫黄を含むフェノール化合物(酸化防止剤);1−アダマンタノール(反応性の希釈剤);ポリ(プロピレングリコール)、および、ポリエーテルポリオール(可塑剤);および、3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、および、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(それぞれSi75および3−GTS)(接着促進剤)が挙げられる。いくつかのポリマー組成物の実施態様において、上述の1種またはそれより多くの任意の添加剤は、組成物中でポリマーが100pphrとした場合、組成物中に合計で1pphr〜50pphr含まれる。その他のこのような実施態様において、このような任意の添加剤は、5pphr〜35pphrで含まれる。ここでも留意すべきこととして、あらゆる特定のポリマー組成物の実施態様に関して、添加剤が用いられる場合、その用いられる任意の添加剤の実際の量は、これらに限定されないが、選択された具体的な添加剤、および、本ポリマー組成物が用いられる具体的な用途などの多くの要因に応じて様々であると予想される。
【0069】
上記で簡単に述べたように、本発明のポリマー組成物の実施態様を基板表面上にキャスティングして、フィルムを形成することができる。このようなフィルムは、ネガ型の自己結像可能なフィルムであり、このようなフィルムは、マイクロエレクトロニクスデバイスおよびマイクロエレクトロニクスデバイスのパッケージング、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)、および、オプトエレクトロニクスデバイスおよびディスプレイ、例えば、液晶(LCD)および有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ中に保護層、誘電層、不動態層、犠牲層および再配線層を提供するのに有用である。
【0070】
ここで図2および3を参照すると、本発明に係るポリマー組成物の顕微鏡写真が示されており、これは、本発明に係るポリマー組成物を、SiOがコーティングされた5インチのシリコンウェーハ上に約30ミクロンの厚さでキャスティングし、続いて各図で指定されたエネルギーで像通りに露光し、観察されるように、50ミクロンの四角形の通路(via)が開口した状態を解像したものである。図2でみられるポリマー組成物には、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)中の25重量パーセント(wt%)溶液としての、100pphrの75/25のHFANB/NBCHCHCOH、ポリマー(Mw=150,400ダルトン(Da);PDI=2.05)、加えて、PAGとして1pphrのロードルシルPI2074((p−イソプロピルフェニル)(p−メチルフェニル)−ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩)、光線感作物質として0.5pphrのCPTX(1−クロロ−4−プロポキシ−9−H−チオキサンテン−9−オン)、架橋添加剤としてそれぞれ15および3pphrのTMPTGおよびPPGDG、ならびに、3pphrの接着促進剤3−GTSが含まれる。図3に示される組成物も同じ構成要素含むが、架橋添加剤としてのTMPTGおよびPPGDGはそれぞれ20および4pphrの濃度で含まれる。
【0071】
続いて図4および5を参照すると、本発明に係るポリマー組成物の実施態様(PGMEA中の約25wt%溶液として混合された、100pphrの75/25のHFANB/NBCHCHCOHポリマー、1pphrのロードルシル、0.5pphrのCPTX、3pphrの3−GTS、25pphrのTMPTGE、および、5pphrのPPGDGE)を750RPMで回転させ、500mJ/cmの照射線量で光パターン化した。図4の走査型電子顕微鏡写真(SEM)画像で示される得られた70μmの造形物からは、滑らかな直線状の側壁プロファイルを有する、7:1のアスペクト比(高さ:幅)を示す一連のラインおよびスペースが観察される。図6は、5:1のアスペクト比を有する芯部が中空になった円筒構造のSEM画像(ここで芯部の内径は幅の寸法に相当する)を示す。中空構造のアスペクト比は中空でないラインのアスペクト比よりも低いが、このような中空構造は中空でないラインと比較して追加の現像時間を必要とすることや、このような5:1より大きい望ましいアスペクト比を有する中空構造は、離層を起こす問題があるため、この差は、現像工程に依存するものと考えられる。この問題は、中空構造の中心への現像剤の輸送がその外部への輸送よりも遅いためと考えるのが妥当であり、代替の現像剤を用いた工程によって結果を改善することができる。さらに留意すべきこととして、図4の構造は垂直ではなくわずかに傾いているが、図5の中空の柱において、先細りが最小であることを示す。当業者であれば当然ながら、側壁の傾きは、厚く高いアスペクト比の構造で起こる可能性があり、これは、フィルムの上部におけるUV吸光度が、フィルムの下部よりも大きい可能性があるためと思われる。しかしながら、特定の用途にとってこのような最小の側壁の傾きでも望ましくない場合、このような側壁の傾きは、ポリマーの上部で吸収される波長より短い波長を除去するフィルターを用いることによって、さらに、照射線量およびベーキング条件を最適化してフィルム全面にわたり一様の架橋密度を得ることによって緩和できると考えられる。
【0072】
図1〜5で観察されるように、本発明に係るポリマー組成物は、ポリマーおよびPAGに架橋剤およびその他の添加剤を添加しても添加しなくても、像形成が可能である。さらに、このような上述の像、いずれも上記および下記に示す実施例に記載の典型的な添加剤および代わりのポリマー組成物の考察からわかるように、このようなポリマー組成物は、上述した広範な用途の必要条件に見合うように適合させることができる。
【0073】
自己結像可能なフィルムは、特にフィルムが30μmより大きい厚さを有する場合、特に有利な像形成特性を有する。フィルム厚さおよびポリマーの分子量が増加するにつれて、典型的には、十分なポリマーの架橋を達成するためにはより高い露光エネルギーが必要である。本明細書において開示された本発明の自己結像可能なフィルムは、既知のネガ型フィルムよりも低い露光エネルギーで像形成が可能である。
【0074】
一般的に言えば、フィルム厚さに関係なく(少なくとも2ミクロン〜70ミクロンの範囲内で)、ほぼ同じ量のエネルギーを用いた像通りの露光によって実質的に同等の像品質が得られることが発見され、このような物質は、「同等の露光エネルギー物質」(iso−exposure energy material;IEEM)と称することができる。加えて、このようなエネルギー量は、1J/cm未満である。
【0075】
本明細書において開示された自己結像可能なフィルム組成物は、高いアスペクト比を有する構造にパターン化することができる驚くべき能力を有する。「アスペクト比」は、自己結像可能なフィルムから形成された3次元の造形物の幅に対する高さの比率を意味する。高いアスペクト比は、図4および5で観察されるように、より緻密な細部の形成、および、像形成可能なフィルムのより大きい解像度を可能にする。理論に制限されることは望まないが、本発明のポリマー組成物の実施態様の能力は、このような組成物がIEEMであるかどうかに関連していると考えられる。
【0076】
また本明細書において開示されたフィルムは、直線状の側壁を形成する能力も有する。像形成中の散乱が、望ましくない傾いた側壁が形成される要因と考えられる。高いコントラスト比は、散乱した放射線によって促進される架橋を抑制することによって、側壁の傾きを減少させることに寄与すると考えられる。一実施態様において、3次元の造形物の側壁との基板と角度は、約88度またはそれより高い。その他の実施態様において、3次元の造形物の側壁と基板との角度は、約89度またはそれより高い。
【0077】
本明細書において説明されるフィルムは、加えて、有利なガラス転移温度(T)、および、硬化特性を有する。Tは、架橋されたフィルムの弾性特性において転位が起こる温度の測定値である。一実施態様において、架橋されたフィルムのTは、約275〜約325℃である。その他の実施態様において、架橋されたフィルムのTは、約290〜約320℃である。開示されたフィルムの硬化は、本発明の実施態様において、約140〜約220℃の温度範囲にわたり達成できる。本発明のその他の実施態様において、硬化は、約160〜185℃の温度範囲にわたり達成できる。開示されたフィルムは、T未満の温度で硬化する能力を有する。Tより低い温度でフィルムの弾性状態が硬い間に硬化が行われるため、よりシャープな像形成を達成することができる。
【0078】
このようなフィルムの弾性率および引張強度などの機械特性は、フィルム組成物中に含まれる架橋剤を選択することによって改変することができる。弾性率および引張強度は、本組成物中に含まれるノルボルネンベースのポリマーと架橋剤との間に形成された架橋ネットワークの剛性に依存する。TMPTGEのような多官能価のエポキシ系架橋剤(ジ、トリおよびそれより高い官能価を有する)は、より硬い架橋ネットワークの形成を促進し、それにより弾性率の増加が起こるが、破断点伸びも減少する。より高度にフレキシブルな主鎖を有するか、または、エポキシド官能性がより低いかのいずれかの理由でより高いフレキシビリティーを有する第二の架橋剤を添加して、有利な弾性率、引張強度および破断点伸びを達成することもできる。
【実施例】
【0079】
以下に記載するいくつかの実施例で、本発明のポリマー組成物の実施態様を形成するのに有用な単量体の重合を説明する。留意すべきこととして、これらの実施例は本発明の実施態様で用いられるポリマーを製造するのに用いることができるが、それらは単に説明の目的のために記載されたものであり、本発明を限定するものではない。本明細書で示されたその他の実施例は、本発明のポリマーおよびポリマー組成物の実施態様の特徴に関する。このような特徴は、本発明のポリマー設計の実施態様を可能にすることを目的としており、加えて、このようなポリマーおよびポリマー組成物の実施態様が有用であることを実証することも目的とする。
【0080】
以下に記載した全ての重合の実施例に共通であるが、用いられる試薬は、実質的に水分および酸素を含まない(典型的には、酸素が10ppm未満、および、HOが5ppm未満)。すなわち、試薬と溶媒の両方を反応容器に入れ、続いて実質的に全ての溶存酸素を除去するのに十分と考えられる期間、窒素をスパージングするか、または、試薬および溶媒をそれらの使用前に個々にスパージングし、反応容器に入れるまで窒素ブランケット下で保存する。それゆえに、詳細な実験の説明において、酸素を含まない試薬および溶媒を提供する上記方法のいずれかについて記述することはないが、そのうちのどちらか一方の方法が行われているものとする。さらに、実施例毎に詳細に述べることはないが、反応容器の内容物を混ぜたり、または、別の方法で撹拌したりする適切な方法が行われた。
【0081】
重合の実施例で用いられるように、および、本明細書全体にわたり、触媒および共触媒が存在する場合、単量体のそれらに対する比率はモル比で示される。さらに、実施例中では多くの頭字語または略語が用いられる。これらの実施例の理解を助けるために、加えて、以降のそれらの表現を簡単にするために、以下にこのような頭字語または略語の一覧をそれらの完全な意味と共に示す:
3−GTS:(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン[CAS:2530−83−8]
酸NB:ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸;
AcOH:酢酸;
CPTX:1−クロロ−4−プロポキシ−9−H−チオキサンテン−9−オン[CAS:142770−41−1];
THF:テトラヒドロフランCAS:[109−99−9];
DME:1,2−ジメトキシエタンCAS:[110−71−4];
DI:脱イオン;
DANFABA:N−ジメチルアニリニウムテトラキス−(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩;
GC:ガスクロマトグラフィー;
GPC:ゲル透過クロマトグラフィー;
HFANB:ノルボルネニル−2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロパン−2−オール;
LiFABA:テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウムのジエチルエーテル化合物;
MeOH:メタノール;
MEK:メチルエチルケトン;
NBCHCHCOH:ノルボルネニルプロパン酸;
NBEMHFP:ノルボルネンエトキシメチルヘキサフルオロプロパノール;
NBCHCHCOEt:ノルボルネニルプロパン酸エチルエステル;
NBCHCHCOTMS:ノルボルネニルプロパン酸トリメチルシリルエステル;
NBTODD:テトラオキサドデカンノルボルネン;
NBTON:トリオキサノナンノルボルネン;
NiArF:(ビス(ペンタフルオロフェニル)ニッケルトルエン)錯体;
OXT−121:1,4−ビス[(2−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン;
OXT−610:3−エチル−(トリエトキシシリルプロポキシ)メチルオキセタン[CAS:3897−65−2]
PAAT:AcOH/H2O2/H2Oを55%/28%/17%(v/v)で用いたペルオキシ酢酸処理;
PAG:光酸発生剤;
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル;
PGMEA:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート;
ポリオールR2490:アルコキシレートネオペンチルグリコールCAS:[52479−58−0];
PPGDG、または、PPGDGE:ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル;
Pd1206:(アセトニトリル)ビス(トリイソプロピルホスフィン)パラジウム(酢酸塩)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩;
Pd1394:(アセトニトリル)ビス(t−ブチルジシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(酢酸塩)テトラキス(ペルフルオロフェニル)ホウ酸塩;
ロードルシルPI2074:(p−イソプロピルフェニル)(p−メチルフェニル)−ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩;
シルクエストA187:ガンマ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(OSiスペシャリティーズ(OSi Specialties)の製品);
RT:室温;
TMAH:水酸化テトラメチルアンモニウム;
TMPTGまたはTMPTGE:トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルCAS:[3454−29−3]
Mw:平均分子量;
Mn:数平均分子量;
PDまたはPDI:多分散性(Mw/Mn);および、
pphr:百分率(樹脂/ポリマー);
UVR6105:3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキサン;
UVR6128:ビス((3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル)アジピン酸塩;
wt%:重量パーセント。
【0082】
典型的なニッケル重合工程
ヘキサフルオロイソプロパノール、エチルエステル、ならびに、HFANB、EPENBおよびNBTONから誘導されたトリオキサノナン反復単位を含むポリマーを以下のように製造した:適切な大きさの反応容器を乾燥させ、窒素でパージし、空気および水の混入を最小化した。続いてこの容器に以下のものを入れた:トルエン(992g)、DME(116g)、HFANB(148g,0.540mol)、EPENB(20.7g,0.107mol)、および、NBTON(61.9g,0.274mol)。溶液中に45℃に加熱しながら乾燥窒素流を30分間通過させることによって、反応媒体から酸素を追い出した。反応容器に量り入れるために、別の容器中で追加のEPENB(14.2g,0.073mol)およびNBTON(46.7g,0.159mol)を合わせ、窒素でパージした。パージが完了した後、3種全ての単量体を含む反応容器中に、60.5mlのトルエンに溶解させた5.82g(0.012mol)のビス(トルエン)ビス(ペルフルオロフェニル)ニッケル(NiARF)を注入した。同時に、重合の持続時間(3時間)中、未反応の単量体を一定レベルに維持することを目的とした速度で、単量体の計量された供給分を添加した。まず反応混合物に水を添加して反応の終結を確実にし、続いて単量体をポリマーから分離し(相分離を促進するために極性溶媒を用いて液体−液体抽出した)、AcOH/HCOH/H/HOを用いて加水分解/酸性化し、残存する全てのニッケルを酸化させ、続いて酸化ニッケルを水相に抽出し、ポリマーを有機相に抽出することによってポリマー生成物を単離した。
【0083】
典型的なパラジウム重合工程
ヘキサフルオロイソプロパノールと、HFANBおよびNBCHCHCOTMSから誘導されたトリメチルシリルで保護されたカルボン酸単位とを含むポリマーを以下のように製造した:適切な大きさの反応容器を乾燥させ、窒素でパージし、空気および水の混入を最小化した。続いてこの容器に以下のものを入れた:トルエン(260g)、HFANB(82.4g,0.300mol)、および、NBCH2CH2CO2TMS(17.85g,0.075mol)。溶液中に乾燥窒素流を30分間通過させることによって、反応媒体から酸素を追い出した。無酸素の環境中で、1.04g(0.746mmol)のPd−1394、および、1.80g(2.25mmol)のDANFABAを単量体溶液に溶解させ、続いて容器を90℃に加熱し、その温度を16時間維持することによって重合を開始させた。保護された酸基を有するポリマーを単離した後、その保護を強酸を用いた加水分解によって除去し、HFANB/NBCHCHCOHを得た。
【0084】
上記で示した2つの典型的な重合の実施例は、本ポリマーの実際の代表的な合成例である。留意すべきこととして、以下の表1に示される重合の実施例P1〜P6に関して、指定された特定のポリマーを製造するのに用いられる実際の工程は、多少異なる可能性がある。しかしながら、このような反応は一般的に繰り返し行われ、よく知られている反応であるため、具体的な詳細および重合結果は表の形態でのみ示す。
【0085】
【表1】

【0086】
以下に記載した全ての調合物の実施例に共通であるが、ポリマー、用いられた具体的な添加剤およびキャスト溶媒を茶色のボトルに入れ、全ての構成要素が溶解するまで撹拌した。これら全ての調合物を基板上にキャスティングし、それ以外は硬化が終わるまで黄色の光の下で操作した。調合物に関して比粘度が要求される場合、添加される溶媒の重量を、添加されるポリマーの重量の予定の2倍より多く、または、それより少なく調節した。
【0087】
上面に熱成長させたSiO層を有する4インチのシリコンウェーハ上に、プログラム可能なスピンコーターを用いて各ポリマー組成物をキャスティングした。いずれの実施例に関しても、固定した4インチのウェーハ上にポリマー組成物を分配し、続いて第一の回転速度500rpm〜800rpmまで加速し、続いてその速度を5秒間維持し、その後ウェーハを再度、第二の回転速度600rpm〜2000rpmまで加速した(ここで各回転速度に到達させるための加速度は、1000rpm/秒であった);当業者であれば当然ながら、特定の最終的なフィルム厚さを得るために用いられる特定のプログラムは、用いられる器具、シリコンウェーハ表面のコーティング(存在する場合)、および、ウェーハのサイズに応じて様々であると予想される。従って、実施例1〜5に関して、第一の速度(500rpmで5秒)、および、第二の速度(600rpmで120秒)のキャスティングプログラムによって、30〜50ミクロンのフィルム厚さが生成し、さらに、実施例6〜8に関して、キャスティングプログラムは、前記第一および第二の回転速度および時間が、それぞれ800rpmで10秒、および、1750rpmで30秒であったが、当業者であれば、これらのプログラムは、一連の器具および本明細書において説明されるウェーハ基板に応じて特定のものであり、さらに、その他の器具およびウェーハが用いられる場合、望ましいコーティング厚さを達成するために慣例的な実験が必要となる可能性があることを理解していることとする。加えて、留意すべきこととして、本発明のポリマー組成物は、一般的にキャスティングの前にろ過され、さらに、このようなフィルター材料およびその多孔率の選択は、一般的に、組成物の目的とする用途に見合うように調節される。例えば、実施例6〜8を、ウェーハ上にキャスティングする前に、細孔径0.2μmを有する正味の正電荷を有するナイロンメンブレン(ポジダイン(Posidyne(R))(ポール社(Pall Corp.))を通過させた。また、接着促進剤は任意であるが、ポリマー組成物に接着促進剤が含まれない場合、キャスティング前に、SiOがコーティングされたウェーハを以下のプラズマ前処理で処理した:300Wで50/50Ar/Oプラズマ、および、300ミリトルの圧力で30秒間。その他のコーティングを有する基板の場合、その他の前処理が用いられる場合がある。
【0088】
ポリマー組成物をウェーハにキャスティングした直後、各ウェーハをホットプレート上で1〜2分間ソフトベークしてキャスト溶媒を除去し、フィルムを形成した。ホットプレートの温度は、実施例1〜5の場合は約100℃であり、実施例6〜9の場合は約120℃であった。ソフトベーク後、各ウェーハに化学線を像通りに露光した。典型的には、1J/cmの入射エネルギー密度を用いた12段階の密度マスクを用いて、以下に示す位置ごとのエネルギー密度を得た(ミリジュール/平方センチメートル(mJ/cm)で示す):位置番号1=976;番号2=966;番号3=944;番号4=914;番号5=842;番号6=710;番号7=608;番号8=502;番号9=404;番号10=306;番号11=194;および、番号12=72。像通りの露光に続いて、MICROPOSIT MF CD−26現像剤(0.26NのTMAH溶液)で2〜5分間現像し、乾燥させ、続いてホットプレート上で約2分間加熱し(露光後ベーク)、冷却し、像形成の品質を評価した。優れた像形成を示したいくつかのウェーハを、全般的に150℃を超える温度での最終的な熱硬化で処理した。
【0089】
留意すべきこととして、上述のコーティングおよび像形成工程は単に説明のために示したものであり、本発明を限定するものではない。当業者であれば、その他のコーティング方法、例えばスプレーコーティングまたはローラーコーティングが適切なこともあり、その他のベークおよび硬化温度および時間も同様であることを理解していることとする。
【0090】
以下の表2において、各ウェーハを、指定された特定のPAGおよび架橋剤種が共に配合された指定されたHFANB/NBCHCHCOHポリマーの組成物でコーティングした。全ての調合物は、4.0gのPGME中に2.0gのポリマーを含むが、実施例7および8ではキャリアー溶媒としてPGMEAが用いられた。
【0091】
【表2】

【0092】
以下の表3にまとめた実施例10−1〜10−5に関して、75/25のHFANB/NBCHCHCOHポリマー(Mw=150kDa、および、PDI=2.05)をベースとした組成物を製造し、基板に塗布して、上述した12段階の密度マスクを用いて像形成性を試験した。実施例10−1〜10−3に関して、エポキシドをベースとしない架橋剤のパウダーリンク1174を組成物中に入れた。実施例10−4および10−5に関して、架橋を形成する添加剤は入れなかった。実施例10−5に関して、エポキシを含む3−GTS接着促進剤を除くことによって、架橋剤またはエポキシ基を含む接着促進剤なしでも像形成可能なことを確認する予備的な観察を行った。
【0093】
【表3】

【0094】
表3のデータから、実施例10−4および10−5は、いずれも50μmの通路について像形成可能であることがわかる。実施例10−4に関して、3−GTS接着促進剤は、その構造が、PAGによって生成した酸の存在下でポリマーの酸ペンダント基と反応することができるエポキシ基を有するために、このような結果を引き起こす可能性があると考えられる。しかしながら、実施例10−5において、調合物からの接着促進剤が残存しているが、それでもなお像形成が観察された。上記で考察された図1は、実施例10−5として製造されたウェーハの顕微鏡写真である。上述したように、像通りの露光および水性ベースの現像剤での処理の後にポリマーが不溶性の部分を形成する明らかな方法がないため、この結果と実施例10−4の結果は予想外であった。しかしながら、あらゆる特定の理論に制限されることは望まないが、酸無水物の架橋されたマトリックスで縮合反応が起こる可能性があるか、または、可能性は低いが第一および第二の反復単位の両方のペンダント基が関与する縮合が起こり、このような観察された結果が生じたことが考えられる。以下に記載した実施例において、0.26NのTMAHをベースとした現像剤のような業界標準の水性ベースの現像剤を用いて現像することができるネガ型の像形成可能なフィルムを提供するのに有用なポリマー組成物の実施態様の、その他の調合物に対する調査をまとめたデータを提供する。
【0095】
以下の表4にまとめた実施例11−1〜11−3で、ベースのポリマーに第三の反復単位が含まれるポリマー組成物の像形成を比較した。ここでも、露光中に12段階の密度マスクを用いた。実施例11−1において、第三の反復単位はエポキシを含むペンダント基を有するため、架橋を形成する添加剤を調合物から除いた。実施例11−2および11−3では、このような第三の反復単位は最終的な構造に有用な特性を提供することができるため、像形成性にダメージを与えることなくこのような反復単位を含ませることが可能なことを実証するために、第三の反復単位を存在させた。
【0096】
【表4】

【0097】
観察されるように、それぞれの調合物は、像形成可能であることが証明された。実施例11−1に必要な照射線量が、実施例11−2および11−3と比較して高いように見えるが、これらの調合物は最適化されておらず、その他の調合物は異なる結果を示す可能性がある。
【0098】
実施例11−1〜11−8それぞれにおいて、これらの組成物は、75/25のHFANB/NBCHCHCOHポリマー(Mw=150kDa、および、PDI=2.05)をベースとするものであった。実施例11−1〜11−3に関して、ポジ型像形成を提供するために、指定された組成物中に、DNQベースのPAC添加剤としてTS−200、SCL−6およびNT−200をDMS−E09と共に包含させた。実施例11−4〜11−8に関して、ネガ型像形成を提供するために、ロードルシルPAG、および、CPTX光線感作物質を包含させた。加えて、様々な量のTMPTGEおよびPPGDGE(架橋を形成する添加剤)をこれらの実施例中に包含させ、実施例10−4および10−5の結果を考慮してこのような添加剤の濃度を減少させた作用を試験した。
【0099】
【表5】

【0100】
【化11】

【0101】
式中Dは、以下の通りである:
【0102】
【化12】

【0103】
実施例12−1〜12−3から観察されるように、ポジ型調合物は、’594特許に記載されたものと実質的に同一であり、このような調合物は、40ミクロンを超える厚いフィルムとして塗布されると像を提供する。一方で、12−7および12−8のポリマー組成物は、それぞれほぼ許容できる優れた像を示し、従って、このような本発明に係る実施態様とみなされる組成物の利点が実証された。
【0104】
実施例13−1〜13−5では、同じベースのポリマー80/20のHFANB/NB(CHCOOHを含むが、重量平均分子量が異なる数種のポリマー組成物の像形成性を比較した。試験されたそれぞれの組成物において、ポリマーおよび添加剤の相対的な組成は(pphr基準で)同じであった。全てを表6で指定されたフィルム厚さにコーティングし、12段階の密度マスクを用いて露光し、続いて実施例13−2、13−3および13−6を、最終的なパターン化フィルムの信頼度に関して、JEDECのレベル3の時間/温度/相対湿度での浸漬(30℃、60%RHで192時間)を行い、続いて260℃のリフロー試験を3サイクル行うことによって評価した。試験された3種全てのサンプルが合格した。
【0105】
【表6】

【0106】
示した通り、50μmのパターン化能を達成するのに必要なエネルギーは、実施例13−1から13−3にかけてMwと共に増加し、続いて、Mwが継続的に増加し、測定されたフィルム厚さも増加しているにもかかわらず、横ばいになったように見えた。
【0107】
実施例14−1および14−2を用いて、脂環式エポキシ系架橋剤添加剤(14−1)、または、ケイ素含有エポキシ系架橋剤添加剤(14−2)のいずれかを用いたポリマー組成物の像形成性を決定した。各実施例に関して、厚さ約40μmのフィルムをシリコン基板上にキャスティングし、12段階の密度マスクを用いて露光した。各組成物に関して、様々な構成要素の相対量がpphrベースで同じになるように維持したが、実施例14−1に関しては、2種の架橋添加剤を供給して合計30pphrにし、実施例14−2に関しては、30pphrの1種の架橋添加剤を用いた。
【0108】
【表7】

【0109】
両方のポリマー組成物は、幅広な像形成のウィンドウを示し、加えて、100μmのラインおよび50μmの通路の両方の解像を示した。
以上、有用なネガ型の水性の現像可能なポリマー組成物が、本明細書において開示されたものとする。さらに、このような本発明に係る組成物の実施態様は、少なくとも上述の第一および第二のタイプの反復単位を包含するポリマーと、適切なキャスト溶媒、および、上記で示された典型的な物質の構造および一覧を通じて開示された1またはそれより多くの様々な添加剤のいずれかとを組み合わせることによって、または、上記ポリマーとPAGのみ(適切な露光波長が用いられる場合)とを組み合わせることによって製造できることが理解されるものと予想される。
【0110】
さらに当然ながら、本明細書で示された物質群(架橋剤、PAG、接着促進剤など)の一覧は、単に本発明に係るポリマー組成物に有用な物質の例であり、さらに、同じ機能を提供するその他の物質、従来知られているもの、または、未だ知られていないものも本発明の範囲内であることとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネガ型の自己結像可能なフィルムを形成するためのポリマー組成物であって、 該組成物は:
式Iaで示される第一の反復単位および第二の反復単位を含むポリマー:
【化1】

[式中、第一の反復単位に関して、R、R、RおよびRのいずれか1つは、−RCOOHであり、その他のものは水素であり、式中、第二の反復単位に関して、R、R、RおよびRのいずれか1つは、式B、CまたはDのいずれか1つで示されるペンダントヒドロカルビル基であり:
【化2】

式中Rは、C〜Cアルキル成分であり、その他のR、R、RおよびRは水素である];
光酸発生剤;および、
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ガンマ−ブチロラクトン、および、シクロヘキサノンのうち1種またはそれより多くから選択されるキャスト溶媒、
を含む、上記組成物。
【請求項2】
第二の反復単位に関して、前記ペンダントヒドロカルビル基が式Bで示される、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
第二の反復単位のRが、−CHCHOCH−である、請求項2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
光線感作物質をさらに含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記光酸発生剤が、ロードルシル(Rhodorsil)PI2074、または、TAG382であり、前記光線感作物質が、1−クロロ−4−プロポキシ−9−H−チオキサンテン−9−オンである、請求項4に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
第一の反復単位に関して、Rが−CHCH−であり、第二の反復単位が式Bで示され(式中、第二の反復単位に関して、Rは−CH−である)、前記光酸発生剤がロードルシルPI2074であり、1−クロロ−4−プロポキシ−9−H−チオキサンテン−9−オンからなる光線感作物質をさらに含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、または、3−エチル−(トリエトキシシリルプロポキシ)メチルオキセタンから選択される接着促進剤をさらに含む、請求項1または6に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキサン、1,4−ビス[(2−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、または、テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリルから選択される1個またはそれより多くの架橋形成成分をさらに含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
光線感作物質、および、接着促進剤をさらに含み、ここで該光線感作物質は、1−クロロ−4−プロポキシ−9−H−チオキサンテン−9−オンであり、該接着促進剤は、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランである、請求項8に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
ネガ型の自己結像可能なフィルムを形成するためのポリマー組成物であって、該組成物は:
式Iで示されるノルボルネン系単量体から誘導された、第一の反復単位および第二の反復単位を含むポリマー:
【化3】

[式中、第一の反復単位に関して、R、R、RおよびRのいずれか1つは、−RCOOHであり、その他のものは水素であり、式中、第二の反復単位に関して、R、R、RおよびRのいずれか1つは、式Bで示されるペンダントヒドロカルビル基であり:
【化4】

式中Rは、C〜Cアルキル成分、または、−CHCHOCH−であり、その他のR、R、RおよびRは水素である];
光酸発生剤;
光線感作物質;
接着促進剤;
ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキサン、テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、または、1,4−ビス[(2−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼンから選択される1個またはそれより多くの架橋形成成分;および、
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ガンマ−ブチロラクトン、および、シクロヘキサノンのうち1種またはそれより多くから選択されるキャスト溶媒、
を含む、上記組成物。
【請求項11】
前記光酸発生剤が、ロードルシルPI2074、または、TAG382から選択され、前記光線感作物質が、1−クロロ−4−プロポキシ−9−H−チオキサンテン−9−オンからなるからなる、請求項10に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
第一の反復単位に関して、Rが−CHCH−であり、第二の反復単位に関して、Rが−CH−であり、前記光酸発生剤がロードルシルPI2074であり、前記接着促進剤が、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、または、3−エチル−(トリエトキシシリルプロポキシ)メチルオキセタンから選択される、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
式Ia:
【化5】

[式中、R、R、RおよびRの1種は、エポキシヘキシルノルボルネン、エポキシシクロヘキサンノルボルネン、ヘキシルノルボルネン、トリオキサノナンノルボルネン、テトラオキサドデカンノルボルネン、メチルグリシジルエーテルノルボルネン、[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ジメチルノルボルネニルエチルシラン、および、5−ノルボルネン−2−イル(メチレン)−4,4’−ビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)から選択される]
で示される第三の反復単位をさらに含む、請求項1または10に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
基板上に配置された構造を形成する方法であって:
請求項1または10に記載のポリマー組成物を基板上にキャスティングして、その上にポリマーフィルムを形成すること;
該ポリマーフィルムに化学線を像通りに露光して、ポリマーフィルムの露光部分および未露光部分を形成すること;
露光された該ポリマーフィルムに第一の温度で第一の加熱を行い、露光部分中で縮合または架橋反応を開始させること;
該ポリマーフィルムを水性ベースの現像剤溶液と接触させることによって未露光部分を除去すること;および、
露光部分に第二の温度で第二の加熱を行い、この第二の加熱により、パターン化した部分を基板に固定して、その上に構造を形成すること、
を含む、上記方法。
【請求項15】
前記キャスティングにより、1〜60μmの厚さを有するポリマーフィルムが形成される、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−107170(P2011−107170A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−219708(P2009−219708)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年3月19日 http://www.springerlink.com.www.library.gatech.edu:2048/content/383vq1642567184t/fulltext.pdf http://www.springerlink.com/content/383vq1642567184t/?p=31563fc173b5449db591631e6d4ad8a7&pi=11 http://www.springerlink.com/content/tk75210j71n1/?sortorder=asc&p_o=10 http://www.tms.org/pubs/journals/JEM/jem.html を通じて発表
【出願人】(303043461)プロメラス, エルエルシー (18)
【Fターム(参考)】