説明

水性重合体分散組成物および表面処理剤

基材に対して撥水撥油性、防汚性および風合いを付与できる表面処理剤が、
(I)含フッ素単量体を含む単量体から誘導された繰り返し単位を有する含フッ素重合体であって、官能性オルガノポリシロキサンから誘導されたシリコーン残基を有する含フッ素重合体、ならびに
(II)ビニル単量体を含んでなる非フッ素重合体
を含んでなる水性撥水撥油剤分散組成物から得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物中の含フッ素モノマーの使用量を低減してもなお、優れた撥水撥油性およびその耐久性を付与しうる水性撥水撥油剤分散組成物の提供を目的とする。
【背景技術】
【0002】
様々なフルオロカーボンポリマーが、疎油性/撥油性を布などに付与するために広く使用されている。
洗濯やドライクリーニング等に対する撥水撥油性の耐久性向上を目的として、フルオロアルキル含有重合性単量体とともに接着性基を有する単量体を共重合させる試みがなされている。
特公昭38-22487および特公昭41-8579において、フルオロアルキルを含有しない重合体とフルオロアルキルを含有する重合体とをブレンドし、経済的に優れた撥水撥油組成物を創出する試みがなされている。
また、特公昭49-42878およびUSP3849521において、防汚性能や耐久性等を低下させること無く添加しうる重合体または共重合体として特定構造をもった重合性単量体を用いることが提唱されている。
特開平06-228241において、フルオロアルキル基含有重合体の含有量の異なる2種の重合体とフルオロアルキル基を含有しない重合体を混合することで撥水撥油性等の表面特性およびその維持性が改良された表面を有する樹脂組成物が得られることが開示されている。
【0003】
さらに、特開昭61-264081において、炭化水素系重合性化合物の少なくとも1種のホモ重合体または共重合体であってガラス転移点が50℃以上の重合体を混合することで耐スリップ性が改良されることが開示され、USP4043964において、フルオロアルキル含有重合体とフルオロアルキル含有しない重合体を混合し、いずれもガラス転移点あるいは融点が45℃以上であることを特徴とするカーペット用の撥液剤が開示されている。
【0004】
一方、例えば、特開昭58-42682、特開昭60-190408、特開昭63-075082、特開平9-143877およびUSP4070152において、繊維などの基材に、撥水撥油性および柔軟性を同時に付与するためにフルオロアルキル含有樹脂エマルジョンと各種シリコーンエマルジョンとのブレンドが数多く提案されている。
【0005】
また、特開平2-214791、特開平3-76713、特開平11-269231、WO2004/041880、特開平3-231986、WO2004/108855、特開平8-109580および特開平10-158402において、反応性基を有するシリコーンにフルオロアルキル基を含有する重合性単量体を重合させることにより、シリコーンにフルオロアルキル基含有単量体を結合させた樹脂エマルジョンについても柔軟性付与と撥油性を両立させるための手法として数多く提案されている。
【0006】
さらに、特開平2-247211、特表平6-507652および特開平2000-186279において、同様の目的でフルオロアルキル基含有モノマーとオルガノシロキサンとの共重合体とシリコーンエマルジョンとを混合した組成物についても提案がなされており、いずれの場合もシリコーン基の親油性のため、撥水撥油性が低下するなど問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、フッ素モノマーの使用量を低減してもなお、高い撥水撥油性を発揮し、かつ撥水撥油性の耐久性にも優れる、含フッ素重合体を含む撥水撥油剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の目的が、(I)含フッ素単量体を含んでなる単量体から誘導され、官能性オルガノポリシロキサンの存在下で重合されている含フッ素重合体、および(II)非フッ素重合体を含んでなる組成物によって達成され得ることを見いだした。
【0009】
本発明は、
(I)含フッ素単量体を含む単量体から誘導された繰り返し単位を有する含フッ素重合体であって、官能性オルガノポリシロキサンが有する(または、官能性オルガノポリシロキサンから誘導された)シリコーン残基を有する含フッ素重合体、ならびに
(II)非フッ素重合体
を含んでなる水性撥水撥油剤分散組成物を提供する。
【0010】
本発明は、
(I)含フッ素重合体であって、
(A)(a)式:
CH=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf
[式中、Xは、水素原子、一価の有機基またはハロゲン原子であり、
Yは、−O−または−NH−であり、
Zは、直接結合または二価の有機基であり、
Rfは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基である。]
で示される含フッ素単量体を含んでなる単量体、および
(B)メルカプト官能性オルガノポリシロキサン、ビニル官能性オルガノポリシロキサン、(メタ)アクリルアミド官能性オルガノポリシロキサンおよび(メタ)アクリレート官能性オルガノポリシロキサンからなる群から選択された少なくとも1種の官能性オルガノポリシロキサン
を含んでなる含フッ素重合体、ならびに
(II)非フッ素重合体
を含んでなる水性撥水撥油剤分散組成物を提供する。
【0011】
本発明の水性撥水撥油剤分散組成物は、撥油性を様々な表面に提供するために有用である。繊維製品が処理されたとき、本発明のフルオロシリコーンはまた、従来のフルオロカーボン系撥油剤処理よりも柔らかい手触りまたは風合いを提供することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基材を処理した場合に、撥水撥油剤組成物は、優れた撥水撥油性およびその耐久性を付与することができる。基材が繊維製品である場合に、処理された繊維製品は良好な風合いを有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の撥水撥油剤組成物は、(I)含フッ素含ケイ素重合体および(II)非フッ素重合体を含んでなる。本発明の撥水撥油剤組成物は、水および/または有機溶媒のような液の中のエマルションであってよい。一般に、重合体(I)および重合体(II)は、同じ粒子中に存在しない。
【0014】
本発明において、含フッ素重合体を形成する単量体(A)は、
(a)含フッ素単量体、
(b)必要により存在する、架橋性単量体とは異なる非フッ素単量体、および
(c)必要により存在する、架橋性単量体
を含んでなる。
【0015】
含フッ素重合体は、1種類の単量体から形成される単独重合体、または、2種類以上の単量体から形成される共重合体であってよい。
単独重合体は、含フッ素単量体(a)から誘導された繰り返し単位を有する。共重合体は、2種類以上の含フッ素単量体(a)から誘導された繰り返し単位を有してよく、または、含フッ素単量体(a)から誘導された繰り返し単位に加えて、非フッ素単量体(b)と、必要により、架橋性単量体(c)とから誘導された繰り返し単位を有してよい。
【0016】
含フッ素重合体は、単量体(A)を官能性オルガノポリシロキサン(B)の存在下で重合することによって製造することができる。
【0017】
本発明の表面処理剤を構成する含フッ素重合体は、
(a)含フッ素単量体、および
必要により、(b)架橋性単量体とは異なる非フッ素単量体、および
必要により、(c)架橋性単量体
を含んでなる。
【0018】
(I)含フッ素重合体(第1重合体)
(A)単量体
(a)含フッ素単量体
本発明の成分(a)は、式:
CH=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf
[式中、Xは、水素原子、一価の有機基またはハロゲン原子であり、
Yは、−O−または−NH−であり、
Zは、直接結合または二価の有機基であり、
Rfは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基である。]
で示される含フッ素単量体である。
Zは、例えば、炭素数1〜20の直鎖アルキレン基または分枝状アルキレン基、例えば、式−(CH−(式中、xは1〜10である。)で示される基、あるいは、式−SON(R)R−または式−CON(R)R−で示される基(式中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜10の直鎖状アルキレン基または分枝状アルキレン基である。)、あるいは、式−CHCH(OR)CH−(式中、Rは、水素原子、または、炭素数1〜10のアシル基(例えば、ホルミルまたはアセチルなど)を表す。)で示される基、式−Ar−CH−(式中、Arは、置換基を必要により有するアリーレン基である。)で示される基、あるいは、−(CH)−SO−(CH)−基、または−(CH)−S−(CH)−基(但し、mは1〜10、nは0〜10である。)であってよい。Xは、例えば、H、Me(メチル基)、Cl、Br、I、F、CN、CFであってよい。
【0019】
含フッ素単量体(a)は、式:
CH=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、あるいは置換または非置換のフェニル基であり、
Yは、−O−または−NH−であり、
Zは、直接結合、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜18の芳香族基または環状脂肪族基、−CH2CH2N(R1)SO2−基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)、−CH2CH(OZ1)CH2−基(但し、Z1は水素原子またはアセチル基である。)、−(CH)−SO−(CH)−基、または−(CH)−S−(CH)−基(但し、mは1〜10、nは0〜10である。)であり、
Rfは炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。]
で示されるアクリレートエステルであることが好ましい。
【0020】
含フッ素単量体のα位はハロゲン原子などで置換されていてもよい。したがって、式(I)において、Xは、炭素数2〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、あるいは置換または非置換のフェニル基であってよい。
【0021】
式(I)において、Rf基が、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。Rf基の炭素数は、1〜20、例えば8〜10、特に8または10である。Rf基の炭素数は1〜6であってもよい。Rf基の例としては、-CF3, -CF2CF3, -CF2CF2CF3, -CF(CF3)2, -CF2CF2CF2CF3, -CF2CF(CF3)2, -C(CF3)3, -(CF2)4CF3, -(CF2)2CF(CF3)2, -CF2C(CF3)3, -CF(CF3)CF2CF2CF3, -(CF2)5CF3, -(CF2)3CF(CF3)2, および C8F17が挙げられる。
【0022】
Zは、好ましくは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜18の芳香族基または環状脂肪族基、−CH2CH2N(R1)SO2−基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)、−CH2CH(OY1)CH2−基(但し、Y1は水素原子またはアセチル基である。)、−(CH)−SO−(CH)−基、または−(CH)−S−(CH)−基(但し、mは1〜10、nは0〜10である。)である。脂肪族基はアルキレン基(特に炭素数1〜4、例えば、1または2)であることが好ましい。芳香族基および環状脂肪族基は、置換されていてもあるいは置換されていなくてもどちらでもよい。S基またはSO基は、Rfに直接に結合していてよい。
【0023】
含フッ素単量体(a)の例は、次のとおりであるが、これらに限定されない。
CH2=C(-H)-C(=O)-O-(CH2)2-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-O-C6H4-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)2-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-O-(CH2)2N(-CH3)SO2-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-O-(CH2)2N(-C2H5)SO2-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-O-CH2CH(-OH)CH2-Rf
【0024】
CH2=C(-H)-C(=O)-O-CH2CH(-OCOCH3)CH2-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-O-(CH2)2-S-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-O-(CH2)2-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-H)-C(=O)-NH-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CH3)-C(=O)-O-(CH2)2-S-Rf
CH2=C(-CH3)-C(=O)-O-(CH2)2-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CH3)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-Rf
CH2=C(-CH3)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CH3)-C(=O)-NH-(CH2)2-Rf
【0025】
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)2-S-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)2-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-NH-(CH2)2-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)2-S-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)2-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-NH-(CH2)2-Rf
【0026】
CH2=C(-CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-S-Rf
CH2=C(-CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-Rf
CH2=C(-CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF3)-C(=O)-NH-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2H)-C(=O)-O-(CH2)2-S-Rf
CH2=C(-CF2H)-C(=O)-O-(CH2)2-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2H)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-Rf
CH2=C(-CF2H)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2H)-C(=O)-NH-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CN)-C(=O)-O-(CH2)2-S-Rf
CH2=C(-CN)-C(=O)-O-(CH2)2-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CN)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-Rf
CH2=C(-CN)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CN)-C(=O)-NH-(CH2)2-Rf
【0027】
CH2=C(-CF2CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-S-Rf
CH2=C(-CF2CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-Rf
CH2=C(-CF2CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2CF3)-C(=O)-NH-(CH2)2-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)3-S-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)3-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-F)-C(=O)-NH-(CH2)3-Rf
【0028】
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)3-S-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)3-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF3)-C(=O)-O-(CH2)3-S-Rf
CH2=C(-CF3)-C(=O)-O-(CH2)3-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF3)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-Rf
CH2=C(-CF3)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2H)-C(=O)-O-(CH2)3-S-Rf
CH2=C(-CF2H)-C(=O)-O-(CH2)3-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2H)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-Rf
CH2=C(-CF2H)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-(CH2)2-Rf
【0029】
CH2=C(-CN)-C(=O)-O-(CH2)3-S-Rf
CH2=C(-CN)-C(=O)-O-(CH2)3-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CN)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-Rf
CH2=C(-CN)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2CF3)-C(=O)-O-(CH2)3-S-Rf
CH2=C(-CF2CF3)-C(=O)-O-(CH2)3-S-(CH2)2-Rf
CH2=C(-CF2CF3)-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-Rf
CH2=C(-CF2CF3)-C(=O)-O-(CH2)2-SO2-(CH2)2-Rf
【0030】
[式中、Rfは、直鎖または分岐の炭素数1〜20のフルオロアルキル基である。]
【0031】
(b)非フッ素単量体
本発明の含フッ素重合体は、非フッ素単量体(b)から誘導された繰り返し単位を有してよい。非フッ素単量体(b)は、架橋性単量体(c)とは異なる。単量体(b)は、好ましくは、炭素−炭素二重結合を有する非フッ素単量体である。単量体(b)は、好ましくは、フッ素を含まないビニル単量体である。非フッ素単量体(b)は一般には、1つの炭素−炭素二重結合を有する化合物である。非フッ素単量体(b)の好ましい例には、例えば、エチレン、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニル(例えば、塩化ビニルなど)、ハロゲン化ビニリデン(例えば、塩化ビニリデンなど)、アクリロニトリル、スチレン、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、およびビニルアルキルエーテルが含まれる。非フッ素単量体(b)はこれらの例に限定されない。非フッ素単量体(b)はハロゲン化ビニルおよび/またはハロゲン化ビニリデンを含有してよい。
【0032】
非フッ素単量体(b)は、アルキル基を有する(メタ)アクリレートエステルであってよい。アルキル基の炭素原子の数は1〜30であってよく、例えば、6〜30(例えば、10〜30)であってよい。例えば、非フッ素単量体(b)は、一般式:
CH=CACOOA
[式中、Aは、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であり、
は、C2n+1(n=1〜30)によって表されるアルキル基である。]
で示されるアクリレートであってよい。
【0033】
(c)架橋性単量体
本発明の含フッ素重合体は、架橋性単量体(c)から誘導された繰り返し単位を有していてよい。架橋性単量体(c)は、少なくとも2つの反応性基および/または炭素−炭素二重結合を有し、フッ素を含有しないビニル単量体であってよい。架橋性単量体(c)は、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を有する化合物、あるいは少なくとも1つの炭素−炭素二重結合および少なくとも1つの反応性基を有する化合物であってよい。反応性基の例は、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックイソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基などである。
【0034】
架橋性単量体(c)としては、例えば、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどが例示されるが、これらに限定されるものでない。
【0035】
単量体(b)および/または単量体(c)を共重合させることにより、撥水撥油性や防汚性およびこれらの性能の耐クリーニング性、耐洗濯性、溶剤への溶解性、硬さ、感触などの種々の性質を必要に応じて改善することができる。
【0036】
含フッ素重合体において、含フッ素単量体(a)100重量部に対して、非フッ素単量体(b)の量が0.1〜100重量部、例えば0.1〜50重量部であり、架橋性単量体(c)の量が50重量部以下、例えば20重量部以下、特に0.1〜15重量部であってよい。
【0037】
単量体(A)をオルガノポリシロキサン(B)の存在下で重合することができる。単量体(A)に含まれるオレフィン性不飽和コモノマーの例には、炭素数1〜30のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステル(例えば、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルまたはメタクリル酸ブチルなど)が含まれる。アクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキルは、単量体(A)およびオルガノポリシロキサン(B)の反応から生じる得られた製造重合体のガラス転移温度(Tg)を調節するために使用することができる;例えば、炭素数4〜20(特に、8〜20)の長鎖アルキル基を有するアクリル酸エステル(例えば、アクリル酸ステアリルまたはメタクリル酸ステアリアル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、あるいは、アクリル酸ドデシルまたはメタクリル酸ドデシルなど)を、より低いTgを有するより軟らかい重合体を形成させるために使用することができる。アクリル酸アルキル系単量体またはメタクリル酸アルキル系単量体との共重合体は様々な特性を改善することができ、例えば、撥水撥油性および汚れ脱離性、そのような撥水撥油性および汚れ脱離性のクリーニング耐久性、洗濯耐久性および耐摩耗性、溶媒に対する溶解性、硬さおよび感触(手触り)などを改善することができる。
【0038】
使用してよい他のアクリレート系コモノマーまたはメタクリレート系コモノマーには、ポリエチレングリコールアクリレートまたはポリエチレングリコールメタクリレート、プロピレングリコールアクリレートまたはプロピレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレートまたはメトキシポリエチレングリコールメタクリレート、および、メトキシプロピレングリコールアクリレートまたはメトキシプロピレングリコールメタクリレートが含まれる。使用してよい他のオレフィン性不飽和コモノマーには、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチレン、ビニルアルキルエーテル、イソプレン、または、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニルまたはプロピオン酸ビニルなど)が含まれる。
【0039】
繊維製品および他の基材における増大した持続性(耐久性)などの特性を与えるために、アミン基との反応性を有しないが、他の官能基との反応性を有し得る官能基を含有するオレフィン性不飽和コモノマーを使用してよい。そのような官能基の例には、ヒドロキシル、アミノおよびアミドがあり、そのような官能基を含有するオレフィン性不飽和コモノマーの例には、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルまたはメタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルまたはメタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、および、アクリル酸ジエチルアミノエチルまたはメタクリル酸ジエチルアミノエチルがある。
【0040】
(B)官能性オルガノポリシロキサン
官能性オルガノポリシロキサンは、メルカプト官能性オルガノポリシロキサン、ビニル官能性オルガノポリシロキサン、(メタ)アクリルアミド官能性オルガノポリシロキサン、(メタ)アクリレート官能性オルガノポリシロキサンまたはその混合物である。官能性オルガノポリシロキサン(B)は、連鎖移動剤として機能する。重合反応によって、官能性オルガノポリシロキサン(B)は、官能性有機基を介して、含フッ素重合体に結合する。
本発明の成分(B)は、メルカプト官能性オルガノポリシロキサン(すなわち、分子に存在するメルカプト官能性有機基を有するオルガノポリシロキサン)でもよい。ここで使用しているように、「メルカプト官能性有機基」は、例えば、硫黄原子を含んでいるいずれかの有機基、例えば−(CH−SH(nは、0〜10の数、特に1〜5の数である)を意味する。メルカプト基含有シリコーン(B)(すなわち、メルカプト官能性オルガノポリシロキサン)は、少なくとも1つ(例えば1〜500、特に1〜50、特別に2〜40)のメルカプト基および2つ以上のシロキサン結合を有するシリコーン部分を有するシロキサン化合物である。
【0041】
本発明の成分(B)は、ビニル官能性オルガノポリシロキサン(すなわち、分子に存在するビニル官能性有機基を有するオルガノポリシロキサン)でもよい。ここで使用しているように、「ビニル官能性有機基」は、−CH=CH基を含んでいるいずれかの有機基、例えば−(CH−CH=CH(nは、0〜10の数、特に1〜5の数)を意味する。ビニル基含有シリコーン(B)(すなわち、ビニル官能性オルガノポリシロキサン(B))は、少なくとも1つ(例えば1〜500、特に1〜50、特別に2〜40)のビニル基および2つ以上のシロキサン結合を有するシリコーン部分を有するシロキサン化合物である。
【0042】
本発明の成分(B)は、(メタ)アクリルアミド官能性オルガノポリシロキサン(すなわち分子に存在する(メタ)アクリルアミド官能性有機基を有するオルガノポリシロキサン)でもよい。「(メタ)アクリルアミド」という用語はアクリルアミドまたはメタクリルアミドを意味する。ここで使用しているように、「(メタ)アクリルアミド官能性有機基」は、−NHC(=O)−CQ=CH基を含んでいる基、例えば−(CH−NHC(=O)−CQ=CH(ここで、Qは水素原子またはメチル基であり、nは0〜10の数、特に1〜5の数である)。(メタ)アクリルアミド基含有シリコーン(B)(すなわち(メタ)アクリルアミド官能性オルガノポリシロキサン(B))は、少なくとも1つの(例えば1〜500、特に1〜50、特別に2〜40)(メタ)アクリルアミド基および2つ以上のシロキサン結合を有するシリコーン部分を有するシロキサン化合物である。
【0043】
本発明の成分(B)は、(メタ)アクリレート官能性オルガノポリシロキサン(すなわち分子に存在する(メタ)アクリレート官能性有機基を有するオルガノポリシロキサン)でもよい。「(メタ)アクリレート」という用語はアクリレートまたはメタクリレートを意味する。ここで使用しているように、「(メタ)アクリレート官能性有機基」は、-Q-O-C(=O)CX=CH2 (ここで、Qは二価の有機基、例えばC1-20炭化水素基、例示すればC1-10アルキレン基、Xは メチル(Me)または水素(H)である。)を含んでいる基である。(メタ)アクリレート基含有シリコーン(B)(すなわち(メタ)アクリレート官能性オルガノポリシロキサン(B))は、少なくとも1つの(例えば1〜500、特に1〜50、特別に2〜40)(メタ)アクリレート基および2つ以上のシロキサン結合を有するシリコーン部分を有するシロキサン化合物である。
【0044】
様々なオルガノポリシロキサンがこの分野では広く知られており、それらは一般式RSiO(4−n)/2によって示されることが多く、この場合、オルガノポリシロキサンは、任意の数の「M」(一官能性)シロキシ単位(RSiO0.5)、「D」(二官能性)シロキシ単位(RSiO)、「T」(三官能性)シロキシ単位(RSiO1.5)、または、「Q」シロキシ単位(SiO)を含んでよい(式において、Rは独立して、一価の有機基である)。これらのシロキシ単位は、環状構造、線状構造または分枝状構造を形成させるために、様々な様式で組み合わせることができる。得られるポリマー構造体の化学的性質および物理的性質は変化し得る。例えば、オルガノポリシロキサンは、揮発性または低粘度の液体、高粘度の液体/ガム、エラストマーまたはゴム、および、樹脂であり得る。Rは独立して、一価の有機基であり、あるいは、Rは、炭素数1〜30の炭化水素基であり、あるいは、Rは、炭素数1〜30のアルキル基であり、あるいは、Rはメチルである。
【0045】
本発明において成分(B)として有用なオルガノポリシロキサンは、式RSiO(4−n)/2におけるR基の少なくとも1つがメルカプト基、ビニル基、(メタ)アクリルアミド基または(メタ)アクリレート基であることによって、あるいは、R基の少なくとも1つがメルカプト基、ビニル基、(メタ)アクリルアミド基または(メタ)アクリレート基であり、R基の1つが有機官能性基であることによって、あるいは、R基の1つが、メルカプト基、ビニル基、(メタ)アクリルアミド基または(メタ)アクリレート基もまた含有する有機官能性基であることによって特徴づけられる。有機官能性基およびメルカプト基、ビニル基、(メタ)アクリルアミド基または(メタ)アクリレート基は、R置換基を有する任意のシロキシ単位に存在させることができる。すなわち、有機官能性基およびメルカプト基、ビニル基、(メタ)アクリルアミド基または(メタ)アクリレート基は、任意のM単位、D単位またはT単位に存在させることができる。典型的には、有機官能性基およびメルカプト基、ビニル基、(メタ)アクリルアミド基または(メタ)アクリレート基はDシロキシ単位におけるR置換基として存在する。
【0046】
本明細書中で使用される「有機官能性基」は、任意の数の炭素原子を含有する有機基を意味し、しかし、この基は、炭素および水素とは異なる少なくとも1つの原子を含有する。そのような有機官能性基の代表的な例には、少数の例を挙げると、アミン系、アミド系、スルホンアミド系、第四級基、エーテル系、エポキシ系、フェノール系、エステル系、カルボキシル系、ケトン系、ハロゲン置換アルキル系およびアリール系の基が含まれる。あるいは、有機官能性基はアミノ官能性の有機基である。
【0047】
有機官能性基がアミノ官能性の有機基であるとき、アミノ官能性の有機基は本明細書中ではRとして式において示され、式:−RNHR、式:−RNRまたは式:−RNHRNHR(式中、それぞれのRは独立して、炭素数2以上の二価の炭化水素基であり、Rは水素または炭素数1〜10であってよいアルキル基である。)を有する基によって例示される。それぞれのRは典型的には、炭素数2〜20のアルキレン基である。Rは、例えば、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CHCHCHCHCH−、−CHCHCHCHCHCH−、−CHCHCH(CHCH)CHCHCH−、−CHCHCHCHCHCHCHCH−、および、−CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH−などの基によって例示される。アルキル基Rは、Rについて上記で例示される通りである。Rがアルキル基であるとき、Rは典型的にはメチルである。
【0048】
好適なアミノ官能性炭化水素基のいくつかの例には、
−CHCHNH、−CHCHCHNH
−CHCHCHNH、−CHCHCHCHNH
−CHCHCHCHCHNH
−CHCHCHCHCHCHNH
−CHCHNHCH、−CHCHCHNHCH
−CH(CH)CHCHNHCH、−CHCHCHCHNHCH
−CHCHNHCHCHNH
−CHCHCHNHCHCHCHNH
−CHCHCHCHNHCHCHCHCHNH
−CHCHNHCHCHNHCH
−CHCHCHNHCHCHCHNHCH
−CHCHCHCHNHCHCHCHCHNHCH、および
−CHCHNHCHCHNHCHCHCHCHがある。典型的には、アミノ官能性基は−CHCHCHNHである。
【0049】
メルカプト官能性有機基は、本明細書における式においてRSで示され、式:-R1SR2(式中、それぞれのR1およびR2は上記のとおりである。)で示される基によって例示される。メルカプト官能性基の例は次式のとおりである;
-CH2CH2CH2SH、 -CH2CHCH3SH、 -CH2CH2CH2CH2SH、
-CH2CH2CH2CH2CH2SH、 -CH2CH2CH2CH2CH2CH2SH、
-CH2CH2SCH3である。典型的には、メルカプト官能性基は-CH2CH2CH2SHである。
【0050】
ビニル官能性有機基は、本明細書における式においてRVで示される。ビニル官能性有機基の例は次式のとおりである;
-CH=CH2、 -CH2CH2CH2-CH=CH2、 -CH2CHCH3-CH=CH2、 -CH2CH2CH2CH2-CH=CH2、 -CH2CH2CH2CH2CH2-CH=CH2、 -CH2CH2CH2CH2CH2CH2-CH=CH2。典型的には、ビニル官能性基は-CH=CH2である。
【0051】
(メタ)アクリルアミド官能性有機基は、本明細書における式においてRAMで示され、式: -R1-NH-C(=O)-CQ=CH2 (式中、R1は、少なくとも2つの炭素原子を有する2価の炭化水素基、Qは水素原子またはメチル基である。)で示される基によって例示される。(メタ)アクリルアミド官能性基の例は次式のとおりである;
-CH2CH2CH2-NH-C(=O)-CH=CH2、 -CH2CH2CH2-NH-C(=O)-C(CH3)=CH2、 -CH2CHCH3-NH-C(=O)-CH=CH2、 -CH2CHCH3-NH-C(=O)-C(CH3)=CH2、 -CH2CH2CH2CH2-NH-C(=O)-C(CH3)=CH2、 -CH2CH2CH2CH2-NH-C(=O)-C(CH3)=CH2。典型的には、(メタ)アクリルアミド官能性基は-CH2CH2CH2-NH-C(=O)-C(CH3)=CH2である。
【0052】
(メタ)アクリレート官能性有機基は、本明細書における式においてRMAで示され、式: -R1-O-C(=O)-CQ=CH2 (式中、R1は、少なくとも2つの炭素原子を有する2価の炭化水素基、Qは水素原子またはメチル基である。)で示される基によって例示される。(メタ)アクリレート官能性基の例は次式のとおりである;
-CH2CH2CH2-O-C(=O)-CH=CH2、 -CH2CH2CH2-O-C(=O)-C(CH3)=CH2
-CH2CHCH3-O-C(=O)-CH=CH2、 -CH2CHCH3-O-C(=O)-C(CH3)=CH2
-CH2CH2CH2CH2-O-C(=O)-C(CH3)=CH2, -CH2CH2CH2CH2-O-C(=O)-C(CH3)=CH2。典型的には、(メタ)アクリレート官能性基は、-CH2CH2CH2-O-C(=O)-C(CH3)=CH2である。
【0053】
好ましい実施形態において、官能性オルガノポリシロキサン(B’として示される)は、下記の平均式を有するシロキシ単位を有する:
(RSiO)(RRSiO)(RRFOSiO)
[式中、aは、0〜4000、あるいは、1〜1000、あるいは、2〜400であり、
bは、0〜1000、あるいは、1〜100、あるいは、2〜50であり、
cは、1〜1000、あるいは、2〜100、あるいは、3〜50であり;
それぞれのRは独立して、一価の有機基であり、
あるいは、それぞれのRは、炭素数1〜30の炭化水素であり、
あるいは、それぞれのRは、炭素数1〜12の一価アルキル基であり、
あるいは、それぞれのRはメチル基であり;
それぞれのRは、上記で定義されるような一価のアミノ官能性の有機基であり、
それぞれのRFOは、上記で定義されるような一価のメルカプト官能性の有機基(RS)、一価のビニル官能性の有機基(RV)、一価の(メタ)アクリルアミド官能性の有機基(RAM)または一価の(メタ)アクリレート官能性の有機基(RMA)である。]
【0054】
RN基は、RF (ここで、RF は、上記のような一価の有機官能性有機基、例えば水酸基、アミン基、アミド基、スルホンアミド基、第4級基、エーテル基、エポキシ基、フェノール基、エステル基、カルボキシル基、ケトン基、ハロゲン置換アルキル基およびアリール基である。)であってよい。例えば、官能性オルガノポリシロキサンは、下記の平均式を有するシロキシ単位を有する:
(RSiO)(RRFSiO)(RRFOSiO)
[式中、基および下付添字(すなわち、a、bおよびc)は、上記の定義のとおりである。]
FOは、一価のメルカプト官能性の有機基(RS)、一価のビニル官能性の有機基(RV)、一価の(メタ)アクリルアミド官能性の有機基(RAM)または一価の(メタ)アクリレート官能性の有機基(RMA)である。
【0055】
オルガノポリシロキサン(B’)は、末端が水素原子であってもよく(これは、ターポリマーの末端シロキシ単位におけるシラノール基となる。)、または、炭素数1〜30のアルキル基であってもよい(これは、ターポリマーの末端シロキシ単位におけるアルコキシ基となる。)。アルキル基が使用されるとき、アルキル基は、炭素数1〜30の直鎖状アルキルまたは分枝状アルキルであってよく、あるいは、アルキル基は、炭素数4〜20(あるいは、8〜20)の長鎖アルキル基(例えば、ステアリルなど)であってよい。あるいは、オルガノポリシロキサンはトリメチルシリル基を末端に有してよい。
【0056】
この好ましい態様のオルガノポリシロキサン(B’)は、例えば、次の平均式で示される:



[式中、aは、0〜4000、あるいは、1〜1000、あるいは、2〜400であり、
bは、0〜1000、あるいは、1〜100、あるいは、2〜50であり、
cは、1〜1000、あるいは、2〜100、あるいは、3〜50であり;
それぞれのR’は、独立して、H、炭素数1〜40のアルキル基またはMe3Siである。]。
【0057】
この好ましい実施形態のアミノ-メルカプト官能性オルガノポリシロキサンターポリマー(B’)は、アミノ官能性基および/またはメルカプト官能性基を含有するオルガノポリシロキサンターポリマーを製造するためにこの分野で知られている任意の技術によって製造することができる。典型的には、オルガノポリシロキサン(B’)は、下記の一般的な反応スキームによって例示されるように、アミノ官能性アルコキシシランと、メルカプト官能性シラン単量体と、アルコキシ末端またはシラノール末端を有するオルガノポリシロキサンとの縮重合反応によって製造される。
【0058】


【0059】
オルガノポリシロキサンの縮合はこの分野では広く知られており、典型的には、強塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物など)またはスズ化合物の添加によって触媒される。あるいは、官能化されたシクロシロキサンの共重合を使用することができる。
【0060】
ビニル基含有シリコーン(B)は、例えば、式:


【0061】
[式中、R1は、メチル基、メトキシ基、フェニル基またはヒドロキシル基、
R2は、メチル基、メトキシ基、フェニル基またはヒドロキシル基、
R3は、メチル基、メトキシ基、フェニル基またはヒドロキシル基、
R'は、水素原子、炭素数1〜40のアルキル基またはMe3SiまたはH、
Bは、1または2つのエーテル結合が介在してよい炭素数1〜10の二価の飽和炭化水素基、
Cは、ヒドロキシル系、アミン系、アミド系、スルホンアミド系、第四級基、エーテル系、エポキシ系、フェノール系、エステル系、カルボキシル系、ケトン系、ハロゲン置換アルキル系またはアリール系の基、
a、 bおよびcは、繰り返し単位の数を示す整数であり、aは1〜4000、例えば2〜2000、bは0〜1000、好ましくは1〜800、cは0〜1000、好ましくは1〜800である。]
で示される。
【0062】
ビニル基含有シリコーン(B)の例は次のとおりである。



[式中、R1基などの基および下付の符号は上記と同意義である。]
【0063】
官能性基Cはアミノ基であることが特に好ましい(すなわち、ビニル基含有シリコーン(B)は、ビニル-アミノシリコーンである。)。アミノ基は、化粧料を構成する他の物質との親和性および人体の肌との親和性を顕著に改良する効果を有する。
【0064】
この好ましい実施形態のオルガノポリシロキサン(B’)は、例えば、平均式:


[式中、aは、0〜4000、あるいは、1〜1000、あるいは、2〜400であり、
bは、0〜1000、あるいは、1〜100、あるいは、2〜50であり、
cは、1〜1000、あるいは、2〜100、あるいは、3〜50であり;
それぞれのR’は、H、炭素数1〜40のアルキル基またはMeSiである。]
で示されるものであってよい。
【0065】
この好ましい実施形態のビニル-アミノ官能性オルガノポリシロキサンターポリマー(B’)は、アミノ官能性基および/またはビニル官能性基を含有するオルガノポリシロキサンターポリマーを製造するためにこの分野で知られている任意の技術によって製造することができる。典型的には、オルガノポリシロキサンターポリマー(B’)は、下記の一般的な反応スキームによって例示されるように、例えば、ヘキサメチルジシロキサンのような末端ブロック剤の存在下で、アミノ官能性アルコキシシランと、2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサンと、オクタメチルシクロテトラシロキサンとの平衡重合反応によって製造される。
【0066】

【0067】
平衡製造オルガノポリシロキサンはこの分野では広く知られており、典型的には、強酸または塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物など)またはスルホン酸の添加によって触媒される。あるいは、官能化されたアルコキシシランおよびシラノール末端ポリジメチルシロキサンの共重合を使用することができる。
【0068】
典型的には、(メタ)アクリルアミド官能性オルガノポリシロキサンは、アミノ官能性オルガノポリシロキサンと(メタ)アクリル酸無水物との反応によって製造できる。反応において、アミノ基(-NH2)が(メタ)アクリルアミド基(-NH-C(=O)-CQ=CH2 (式中、Qは水素原子またはメチル基である。))に転化される。例えば、(メタ)アクリルアミド官能性オルガノポリシロキサンは、≡Si-(CH2)n-NH-C(=O)-CQ=CH2 基 (式中、Qは水素原子またはメチル基であり、nは0〜10、特に1〜5である。)を有していてよい。
【0069】
典型的には、(メタ)アクリレート官能性オルガノポリシロキサンは、カルビノール官能性オルガノポリシロキサンと(メタ)アクリル酸無水物との反応によって製造できる。反応において、カルビノール基(-OH)が(メタ)アクリレート基(-O-C(=O)-CQ=CH2 (式中、Qは水素原子またはメチル基である。))に転化される。例えば、(メタ)アクリレート官能性オルガノポリシロキサンは、≡Si-(CH2)n-O-C(=O)-CQ=CH2 基 (式中、Qは水素原子またはメチル基であり、nは0〜10、特に1〜5である。)を有していてよい。
【0070】
含フッ素重合体は2,000〜5,000,000の重量平均分子量を有していてよく、特に、3,000〜5,000,000の重量平均分子量、とりわけ、10,000〜1,000,000の重量平均分子量を有していてよい。含フッ素重合体の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定できる。
【0071】
含フッ素重合体において、繰り返し単位は、化学式で示すとおりに位置しなくてもよく、含フッ素重合体はランダム重合体またはブロック共重合体であってよい。
【0072】
含フッ素重合体は、塊状重合、溶液重合および乳化重合によって製造できる。
【0073】
塊状重合では、単量体と官能性オルガノポリシロキサンの混合物を窒素置換して、重合開始剤を添加し、混合物を30〜80℃の範囲で数時間(2〜15時間)にわたって撹拌して重合する方法が採用される。重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどが挙げられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜20重量部、例えば0.01〜10重量部の範囲で用いられる。
【0074】
溶液重合の場合、単量体と官能性オルガノポリシロキサンの混合物を、溶解可能でかつ不活性である適切な有機溶剤に溶解し、上記と同様に重合する。有機溶剤の例としては、炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、シリコーン系溶媒および含フッ素溶媒が挙げられる。有機溶剤としては、単量体に不活性でこれらを溶解するものであり、例えば、アセトン、クロロホルム、HCHC225、イソプロピルアルコール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、テトラクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンなどが挙げられる。有機溶剤は単量体の合計100重量部に対して、50〜2000重量部、例えば、50〜1000重量部の範囲で用いられる。
【0075】
溶液重合では、重合開始剤の存在下で、単量体を有機溶剤に溶解させ、窒素置換後、30〜120℃の範囲で1〜10時間、加熱撹拌する方法が採用される。
【0076】
乳化重合の場合、適当な乳化剤を使用して単量体と官能性オルガノポリシロキサンの混合物を水に乳化した後、上記と同様に重合する。単量体(a)〜(c)と官能性オルガノポリシロキサンのいくつかの組合せにおいて、水中における単量体と官能性オルガノポリシロキサンの弱い相溶性は、劣った共重合性につながる。そのような場合、適当な補助溶媒、例えばグリコールとアルコールおよび/または低分子量の単量体を混合物の相溶性を高めるために加える方法を採用できる。乳化重合で使用される乳化剤における疎水性基は、炭化水素型、ケイ素含有型およびフッ素含有型のいずれでもよい。親水性基のイオン性に関しては、ノニオン性基、アニオン性基、カチオン性基および両性基のいずれかを使用する。乳化重合用の重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルパーベンゾエート、1−ヒドロキシシクロヘキシルヒドロ過酸化物、3−カルボキシプロピオニル過酸化物、過酸化アセチル、アゾビスイソブチルアミジン−二塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性のものやアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどの油溶性のものが用いられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲で用いられる。
【0077】
乳化重合では、重合開始剤および乳化剤の存在下で、単量体を水中に乳化させ、窒素置換後、例えば30〜120℃、特に50〜80℃の範囲で1〜10時間、撹拌して共重合させる方法が採用される。
【0078】
単量体が完全に相溶しない場合は、これら単量体に充分に相溶させるような相溶化剤、例えば、水溶性有機溶剤や低分子量の単量体を添加することが好ましい。相溶化剤の添加により、乳化性および共重合性を向上させることが可能である。
【0079】
水溶性有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エタノールなどが挙げられ、水100重量部に対して、1〜50重量部、例えば10〜40重量部の範囲で用いてよい。また、低分子量の単量体としては、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートなどが挙げられ、単量体の総量100重量部に対して、1〜50重量部、例えば10〜40重量部の範囲で用いてよい。
【0080】
乳化剤としてはアニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤あるいはノニオン性乳化剤などの各種乳化剤を用いることができ、単量体100重量部に対して、0.5〜20重量部の範囲で用いられる。乳化重合で使用する乳化剤は、炭化水素、シリコーンまたは含フッ素化合物であってよい疎水性基、そして、ノニオン性、アニオン性、カチオン性または両性であってよい親水基を有することができる。アニオン性乳化剤とノニオン性乳化剤の組合せが、エマルジョンの安定性および皮膚への安全性の両方を得るために好ましい。アニオン性乳化剤の量は、アニオン性乳化剤およびノニオン性乳化剤の合計に基づいて、5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%であってよい。好ましくは、アニオン性乳化剤はポリオキシエチレンアルキル(好ましくはC〜C30アルキル)エーテル硫酸塩であり、ノニオン性乳化剤は脂肪酸ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油および/またはポリオキシエチレン脂肪酸ソルビットエステルである。
【0081】
高い重合体含量を有しかつ非常に微細で安定な粒子を有する共重合体水分散液を得るためには、高圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザーのような強力な破砕エネルギーを付与できる乳化装置を用いて、単量体と官能性オルガノポリシロキサンの混合物を水に分散して混合物の微粒子を調製し、次いで重合することが望ましい。
【0082】
含フッ素重合体(I)は、水性媒体などの媒体中で微粒子として存在するのが好ましい。含フッ素重合体(I)の微粒子の平均粒子径は、0.0001〜1μm、例えば0.01〜0.5μmであることが好ましい。平均粒子径がこの範囲であると、安定な分散液を得るために乳化剤の量は少なくてよく、撥水撥油性能が高く、重合体微粒子が安定に存在する。該平均粒子径は、動的光散乱スペクトルおよび電子顕微鏡により測定することができる。通常の乳化重合の方法で、乳化剤の存在下に重合を実施した場合、平均粒子径0.0001〜1μmが得られる。
【0083】
単量体(A)およびオルガノポリシロキサン(B)のフルオロシリコーン反応生成物は、そのような単量体の重合を行うためにこの分野で知られている任意の反応方法によって製造することができる。好ましくは、フルオロシリコーンを、
I)(A)式:
CH=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf
[式中、Xは、水素原子、一価の有機基またはハロゲン原子であり、
Yは、−O−または−NH−であり、
Zは、直接結合または二価の有機基であり、
Rfは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基である。]
で示される含フッ素単量体を含んでなる単量体を、
(B)官能性オルガノポリシロキサン
の存在下、重合反応によって、好ましくは、ラジカル重合反応によって反応することを含んでなる本発明の方法によって製造することができる。
【0084】
この方法における成分(A)および成分(B)は、上記のとおりである。
この方法はまた、極性有機溶媒の存在下で行うことができる。極性有機溶媒は、ブタノール、t−ブタノール、イソプロパノール、ブトキシエタノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、酢酸ブチルまたは酢酸エチルから選択される1つまたは複数のアルコール系溶媒、ケトン系溶媒またはエステル系溶媒、ならびに/または、芳香族炭化水素(例えば、キシレン、トルエンまたはトリメチルベンゼンなど)、これらの1つまたは複数の混合物であってよい。
【0085】
ラジカル重合反応のための開始剤は、ラジカル反応を開始させるための、この分野で知られている任意の化合物(例えば、有機過酸化物またはアゾ化合物など)であってよい。代表的な限定されない例として、アゾ化合物、例えば、アゾビスイソブチロニトリルまたはアゾビスイソバレロニトリル(AIVN)など、過酸化物、例えば、ベンゾイルペルオキシドなどがある。重合温度は典型的には50℃〜120℃の範囲である。
【0086】
あるいは、重合反応生成物は、すべての成分が、水、界面活性剤および重合開始剤の存在下で重合される乳化重合の技術を使用して得ることができる。
フルオロシリコーン反応生成物は、それぞれの成分(A)および成分(B)の量によって制御されるように、単量体(A)とオルガノポリシロキサン(B)の様々な比率を含有してよい。フルオロシリコーンは、5重量%〜99.9重量%(好ましくは、10重量%〜95重量%)の単量体(A)と、0.1重量%〜95重量%(好ましくは、5重量%〜90重量%)のオルガノポリシロキサン(B)とを含有してよい(ここで、(A)および(B)の合計(重量%)は100%に等しい)。大きい割合のオルガノポリシロキサンを有するフルオロシリコーン生成物は、繊維状基材に対するより大きい持続性、または、処理された材料の手触りの柔らかさを提供することができる。大きい割合の含フッ素単量体を有する製造重合体は最大限の疎水性および疎油性を提供することができる。
【0087】
フルオロシリコーン反応生成物は一般には溶液として得られる。フルオロシリコーン反応生成物を、溶媒を蒸発させることによって単離することができる。撥油剤として適用するために、フルオロシリコーン反応生成物は一般には液体形態であることが必要であり、反応によって得られた溶液は、多くの場合、繊維製品への適用に好適な溶液に希釈することができる。あるいは、フルオロシリコーン反応生成物は、繊維製品への適用のために、異なる溶媒に、例えば、高沸点の極性有機溶媒に溶解することができる。あるいは、フルオロシリコーン反応生成物は、水および乳化剤(例えば、カチオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤など)と混合することによって乳化させることができる。フルオロシリコーン反応生成物は乳化前に単離することができ、または、重合生成物の溶液は、必要により溶媒の除去により乳化させることができる。生成重合体が乳化重合によって得られるならば、生成重合体を単離することなく、乳化物が一般には使用され、必要に応じて希釈される。
【0088】
(II) 非フッ素重合体 (第2重合体)
非フッ素重合体(II)は、ビニル単量体を含有する。ビニル単量体はフッ素原子を含有しない単量体であり、ケイ素原子を含まないことが好ましい。
【0089】
ビニル単量体は以下のとおりであってよい:
(1) CH2=CR1CO2R2
(2) CH2=CHO2CR2
(3) CH2=CHR3
(4) CH2=CHD
(5) CH2=CD2
(6) CH2=CHCH2O2CR2
(7) CH2=CHCOR2
(8) CH2=CR1CO2CH2CH2NR42
(9) CH2=CR1CONHCH2OH
【0090】
[式中、
R1は、水素原子、メチル基またはハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子),
R2は、炭素数1〜18のアルキル基、
R3は、炭素数1〜30の炭化水素基(例えば、脂肪族基、芳香族基および芳香脂肪族基)、例えば、フェニル基、アルキル基および置換フェニル基、
R4は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、
Dは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。]
【0091】
非フッ素重合体(II)は、少なくとも式(1)および/または(2)の単量体と少なくとも1種の式(3)および/または(4)の単量体の組合せを有することが好ましい。非フッ素重合体 (II) は、単量体(1)および/または(2)を、重合体(II)に対して、少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、例えば50重量%〜90重量%の量で含むことが好ましい。非フッ素重合体(I)は、単量体(3)および/または(4)を、重合体 (II)に対して、少なくとも 10重量%、より好ましくは少なくとも20重量%の量で含むことが好ましい。単量体(3)および/または(4)は非フッ素重合体(I)中に含まれなくてもよい。単量体(1)〜(4)以外の残りの成分は単量体(5)〜(9)であってよい。
【0092】
重合体 (II) は、重合体 (I)について説明した架橋性単量体(c)を含んでもよい。重合体 (II)において、 単量体 (c) の量は、重合体 (II)に対して、50重量%以下、例えば、0.1〜30重量%であってよい。
【0093】
非フッ素重合体 (II) は、2,000〜5,000,000、特に3,000〜5,000,000、特別に10,000〜1,000,000の重量平均分子量を有していてよい。重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、GPC (ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)によって求めることができる。
【0094】
本発明の含フッ素重合体は、溶液重合および乳化重合によって製造することが好ましい。乳化重合が特に好ましい。乳化重合によって、重合体 (II) の粒子が液状媒体に分散している分散物が得られる。
【0095】
乳化重合は、水性媒体中で、好ましくは重合開始剤の存在下で、行う。重合開始剤は、過酸化化合物およびアゾ化合物であってよい。重合性開始剤としては、例えば、水溶性開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t-ブチルパーベンゾエート、1−ヒドロキシシクロヘキシルヒドロ過酸化物、3−カルボキシプロピオニル過酸化物、過酸化アセチル、アゾビスイソブチルアミジン2塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ナトリウム、過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモニウム) ならびに油溶性開始剤(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、 ジ-tert-ブチル過酸化物、ラウリル過酸化物、キュメン過酸化物、t-ブチルパーオキシピバレートおよびジイソプロピルパーオキシカーボネート)が挙げられる。
【0096】
得られる重合体(II)の分子量を調節するため、連鎖移動剤を添加してもよい。
【0097】
乳化剤が、重合体(II)の乳化物に存在することが好ましい。 種々の乳化剤、例えば、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤および両性乳化剤を、単量体100重量部に対して、0.5〜30重量部の範囲の量で使用してよい。例えば、乳化物の安定性のために、アニオン性乳化剤とカチオン性乳化剤の組合せ、およびノニオン性乳化剤と両性乳化剤の組合せが好ましい。乳化剤の量は、重合体(II)100重量部に対して、1〜20重量部であることが好ましい。
【0098】
重合体(II)の平均粒径は 0.03〜0.5マイクロメートルであることが好ましい。そのような粒径において、乳化剤および/または自己乳化単量体の必要量は少なく、粒子の沈降が生じない。
【0099】
本発明の撥水撥油剤組成物において、重合体(I)および重合体(II)は、同じ粒子中に存在せず、異なった粒子中に存在する。好ましくは、重合体(I)と重合体(II)を別個に重合して、重合体(I)の粒子と重合体(II)の粒子のそれぞれを得、次いで、重合体(I)の粒子(すなわち、重合体(I)の分散物) を重合体(II)の粒子(すなわち、重合体(II)の分散物)と混合する。本発明の撥水撥油剤組成物は、重合体(I)の分散物と重合体(II)の分散物、および必要により、水性剤などを含んでなる。
【0100】
本発明の撥水撥油剤組成物において、重合体(I)と重合体(II)の重量比は40:60〜90:10、 特に50:50〜80:20であることが好ましい。そのような重量比によって、優れた撥水撥油性、および撥水撥油性の優れた耐久性が得られる。本発明の撥水撥油剤組成物の固形含量は、好ましくは0.1〜70重量%、特に1〜50重量%であることが好ましい。含フッ素単量体の量は、重合体(I)および(II)の合計に対して、10〜80重量% 、好ましくは20〜70重量%であってよい。
【0101】
表面処理剤
撥水撥油剤組成物は、繊維製品を液体で処理するために知られている方法のいずれかによって繊維状基材(例えば、繊維製品など)に適用することができる。繊維製品に適用される液体における重合体(I)および(II)の濃度は、例えば、0.5重量%〜20重量%、あるいは、1重量%〜5重量%であってよい。繊維製品が布であるときには、布を液体に浸してよく、あるいは、布に液体を付着または噴霧してよい。処理された繊維製品は、撥油性を発現させるために、乾燥され、好ましくは、例えば、100℃〜200℃で加熱される。
【0102】
あるいは、フルオロシリコーン反応生成物はクリーニング法によって繊維製品に適用してよく、例えば、洗濯適用またはドライクリーニング法などにおいて繊維製品に適用してよい。
【0103】
処理される繊維製品は、典型的には、布であり、これには、織物、編物および不織布、衣料品形態の布およびカーペットが含まれるが、繊維または糸または中間繊維製品(例えば、スライバーまたは粗糸など)であってもよい。繊維製品材料は、天然繊維(例えば、綿または羊毛など)、化学繊維(例えば、ビスコースレーヨンまたはレオセルなど)、または、合成繊維(例えば、ポリエステル、ポリアミドまたはアクリル繊維など)であってよく、あるいは、繊維の混合物(例えば、天然繊維および合成繊維の混合物など)であってよい。本発明の製造重合体は、セルロース系繊維(例えば、綿またはレーヨンなど)を疎油性および撥油性にすることにおいて特に効果的である。また、本発明の方法は一般に、繊維製品を疎水性および撥水性にする。本発明の重合体による繊維処理は撥油性を布に付与し、一方では、同時に、処理されていない布と比較して、風合いにおける改善を付与し、また、知られているフルオロポリマー系繊維処理剤により処理された布と比較して、風合いにおける改善もまた付与する。
【0104】
あるいは、繊維状基材は皮革であってよい。製造重合体を、皮革を疎水性および疎油性にするために、皮革加工の様々な段階で、例えば、皮革の湿潤加工の期間中に、または、皮革の仕上げの期間中に、水溶液または水性乳化物から皮革に適用してよい。
あるいは、繊維状基材は紙であってもよい。製造重合体を、予め形成した紙に適用してよく、または、製紙の様々な段階で、例えば、紙の乾燥期間中に適用してもよい。
【0105】
本発明の表面処理剤は、溶液、エマルションまたはエアゾールの形態であることが好ましい。表面処理剤は、含フッ素重合体および媒体(例えば、液状媒体、特に、水性媒体、例えば、水あるいは水と有機溶媒の混合物)を含んでなる。水性媒体における有機溶媒は一般に水溶性有機溶媒である。有機溶媒の量は、媒体に対して、40重量%以下、例えば0.1〜20重量%であってよい。表面処理剤において、含フッ素重合体の濃度は、例えば、0.1〜50重量%であってよい。
【0106】
本発明の表面処理剤は、従来既知の方法により被処理物に適用することができる。表面処理剤の適用は、浸漬、スプレー、塗布によって行える。通常、該表面処理剤を有機溶剤または水に分散して希釈して、浸漬塗布、スプレー塗布、泡塗布などのような既知の方法により、被処理物の表面に付着させ、乾燥する方法が採られる。また、必要ならば、適当な架橋剤と共に適用し、キュアリングを行ってもよい。さらに、本発明の表面処理剤に、防虫剤、柔軟剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、塗料定着剤、防シワ剤などを添加して併用することも可能である。基材と接触させる処理液における含フッ素化合物の濃度は0.01〜10重量%(特に、浸漬塗布の場合)、例えば0.05〜10重量%(特に、スプレー塗布の場合)であってよい。
【0107】
本発明の表面処理剤(例えば、撥水撥油剤)で処理される被処理物としては、繊維製品が好ましい。繊維製品としては種々の例を挙げることができる。例えば、綿、麻、羊毛、絹などの動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維などの無機繊維、あるいはこれらの混合繊維が挙げられる。
【0108】
繊維製品は、繊維、糸、布等の形態のいずれであってもよい。
【0109】
「処理」とは、処理剤を、浸漬、噴霧、塗布などにより被処理物に適用することを意味する。処理により、処理剤の有効成分である含フッ素重合体が被処理物の内部に浸透するおよび/または被処理物の表面に付着する。
【実施例】
【0110】
下記の製造例および実施例は本発明を詳しくさらに例示するが、発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。別途示されない限り、これらの例におけるすべての部および百分率は重量に基づいており、すべての測定値は約23℃で得られた。
【0111】
シャワー撥水性試験(JIS−L−1092)
シャワー撥水性試験をJIS−L−1092に従って行った。シャワー撥水性試験は(下記に記載されている表1に示されるように)撥水性No.によって表された。
体積が少なくとも250mlであるガラス漏斗、および、250mlの水を20秒間〜30秒間にわたって噴霧することができるスプレーノズルを使用する。試験片フレームは、直径が15cmの金属フレームである。サイズが約20cmx20cmである3枚の試験片シートを準備し、シートを試験片ホルダーフレームに固定し、シートにしわがないようにする。噴霧の中心をシートの中心に置く。室温の水(250mL)をガラス漏斗に入れ、試験片シートに(25秒〜30秒の時間にわたって)噴霧する。保持フレームを台から取り外し、保持フレームの一方の端をつかんで、前方表面を下側にし、反対側の端を堅い物質で軽くたたく。保持フレームを180°さらに回転させ、同じ手順を繰り返して、過剰な水滴を落とす。湿った試験片を、撥水性が不良から優れた順で、0、50、70、80、90および100の評点をつけるために、湿潤比較標準物と比較する。結果を3回の測定の平均から得る。数字の後の表示「+」は、その数字よりも性質が高いことを示し、表示「−」は、その数字よりも性質が低いことを示す。
【0112】
【表1】

【0113】
撥油性試験(AATCC試験法118-1992に準じる。)
処理済み試験布を温度21℃、湿度65%の恒温恒湿機に4時間以上保管する。試験液(表3に示す)も温度21℃で保存したものを使用する。試験は温度21℃、湿度65%の恒温恒湿室で行う。試験液を試験布上に50μLの液滴を5滴で静かに滴下し、30秒間放置後、4滴または5滴の液滴が試験布上に残っていれば、その試験液をパスしたものとする。撥油性は、パスした試験液の最高点数とし、撥油性不良なものから良好なレベルまでFail、1、2、3、4、5、6、7および8の9段階で評価する。数字の後の表示「+」は、その数字よりも性質が高いことを示し、表示「−」は、その数字よりも性質が低いことを示す。
【0114】
【表2】

【0115】
撥水撥油性の洗濯耐久性
JIS L-0217-103法による洗濯を5回繰り返して行い、その後の撥水撥油性を評価する(HL5)。HL0は、未洗濯で評価を行ったことを意味する。
【0116】
平均粒子径
分散物の平均粒子径は、レーザー式光散乱法(大塚電子社製、光ファイバ粒子分析計FPAR-1000)を用いて測定する。
【0117】
略号の意味は以下のとおりである。
モノマー
n−BA: n−ブチルアクリレート
N−MAM: N−メチロールアクリルアミド
T−M: 3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート
n-BMA: n−ブチルメタクリレート
t−BMA: t−ブチルメタクリレート
StA: ステアリルアクリレート
VCl: 塩化ビニル
13FMA: 3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルメタクリレート
17FA: 2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニルアクリレート
【0118】
連鎖移動剤
Si−SH: 以下に説明するアミノメルカプトシロキサン
L−SH: ラウリルメルカプタン
【0119】
乳化剤
C2ABT: ジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウムクロライド
PP−40R: ソルビタンモノパルミテート
K220: ポリエチレングリコールラウリルエーテル
BO50: ポリオキシエチレンオレイルエーテル
EAD−8: ポリオキシエチレン(3)トリデシルエーテル
【0120】
その他
TPG: トリプロピレングリコール
NC−32W: 2,2’-アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩
【0121】
アミノメルカプト官能性シロキサンの合成:
シロキサンA(Si−SH)
冷却器、上部攪拌機および熱電対を取り付けた三つ口丸底フラスコに、第1シラノール末端ポリジメチルシロキサン(323g、Mn約900)、第2シラノール末端ポリジメチルシロキサン(380g、Mn約300)、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(230g)、アミノプロピルメチルジエトキシシラン(27g)、トリメチルエトキシシラン(42g)、水酸化バリウム(0.62g)およびオルトリン酸ナトリウム(0.25g)を仕込んだ。反応混合物を75℃に加熱し、この温度で3時間保った。次いで、揮発物を、75℃で4時間、減圧(200mbar)下で除き、アミノメルカプトシロキサンを得た。
【0122】
アミノメルカプトシロキサン(シロキサンA、Si−SH)の物理的性質および構造的性質を下記の表に記載する:
【0123】

【0124】
合成例1
500mLの容器に、n-BA(84.31g)、N−MAM(1.69g)、T−M(0.84g)、L−SH(0.62g)、C2ABT(1.01g)、PP−40R(1.35g)、K220(5.85g)、BO50(1.45g)、水(138.13g)、TPG(24.88g)を入れ、ホモミキサーで前分散した後、超音波乳化機を用いて、5分間冷却しながら処理し、モノマー混合物の乳化液を得た。
この乳化液を冷却管、窒素導入管、温度計を備えた500mLのセパラブルフラスコに入れ、窒素置換した後に、開始剤のNC−32W(1.02g)を水(5g)に溶解させて加えた後、60℃に昇温後、3時間重合させて固形分36.9%、平均粒子径0.182μmの非フッ素重合体粒子の分散液を得た(256.4g)。
【0125】
合成例2〜25
合成例1と同様の方法で表3〜8に示すモノマー混合物を乳化させ、モノマーとしてVClを用いる場合は500mLステンレス製オートクレーブを用い、その他の場合は冷却管、窒素導入管、温度計を備えた500mLのセパラブルフラスコに入れて重合させ、各種非フッ素重合体粒子あるいは各種フッ素重合体を得た。
【0126】
【表3】

【0127】
【表4】

【0128】
【表5】

【0129】
【表6】

【0130】
【表7】

【0131】
【表8】

【0132】
実施例1〜26、比較例1〜3
合成例1〜25で得られた重合体粒子分散液を固形分濃度が30重量%になるように水で希釈した分散液を、表9〜15で示す混合比でブレンドした分散液混合物を得た。
【0133】
【表9】

【0134】
【表10】

【0135】
【表11】

【0136】
【表12】

【0137】
【表13】

【0138】
【表14】

【0139】
【表15】

【0140】
試験例1〜20
上記の実施例1〜20で得られた重合体粒子分散液について、撥水撥油性を評価した。評価結果は表16に示した。
【0141】
【表16】

【0142】
比較試験例1〜6
上記の合成例16,17,19〜22で得られた重合体粒子分散液について、撥水撥油性を評価した。評価結果は表17に示した。
【0143】
【表17】

【0144】
比較試験例7〜9
上記の比較例1〜3で得られた重合体粒子分散液について、撥水撥油性を評価した。評価結果は表18に示した。
【0145】
【表18】

【0146】
試験例21〜26
上記の実施例21〜26で得られた重合体粒子分散液について、撥水撥油性を評価した。評価結果は表19に示した。
【0147】
【表19】

【0148】
比較試験例10〜13
上記の合成例18,23〜25で得られた重合体粒子分散液について、撥水撥油性を評価した。評価結果は表20に示した。
【0149】
【表20】

【0150】
試験例27〜46
上記の実施例1〜20で得られた重合体粒子分散液について、低濃度での撥水撥油性を評価した。評価結果は下記表21に示した。
【0151】
【表21】

【0152】
比較試験例14〜19
上記の合成例16,17,19〜22で得られた重合体粒子分散液について、低濃度での撥水撥油性を評価した。評価結果は表22に示した。
【0153】
【表22】

【0154】
比較試験例20〜22
上記の比較例1〜3で得られた重合体粒子分散液について、低濃度での撥水撥油性を評価した。評価結果は表23に示した。
【0155】
【表23】

【0156】
試験例47〜52
上記の実施例21〜26で得られた重合体粒子分散液について、低濃度での撥水撥油性を評価した。評価結果は表24に示した。
【0157】
【表24】

【0158】
比較試験例23〜26
上記の合成例18,23〜25で得られた重合体粒子分散液について、低濃度での撥水撥油性を評価した。評価結果は表25に示した。
【0159】
【表25】

【0160】
試験例53,54および比較試験例27〜30
表26〜29に示した重合体粒子分散液を撥水撥油性の試験方法により処理した各種生地について、撥水撥油性の洗濯耐久性を評価した。
評価結果は表26〜29に示した。
【0161】
【表26】

【0162】
【表27】

【0163】
【表28】

【0164】
【表29】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)含フッ素単量体を含む単量体から誘導された繰り返し単位を有する含フッ素重合体であって、官能性オルガノポリシロキサンから誘導されたシリコーン残基を有する含フッ素重合体、ならびに
(II)ビニル単量体を含んでなる非フッ素重合体
を含んでなる水性撥水撥油剤分散組成物。
【請求項2】
含フッ素重合体(I)が、
(A)(a)式:
CH=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf
[式中、Xは、水素原子、一価の有機基またはハロゲン原子であり、
Yは、−O−または−NH−であり、
Zは、直接結合または二価の有機基であり、
Rfは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基である。]
で示される含フッ素単量体を含んでなる単量体、および
(B)メルカプト官能性オルガノポリシロキサン、ビニル官能性オルガノポリシロキサン、(メタ)アクリルアミド官能性オルガノポリシロキサンおよび(メタ)アクリレート官能性オルガノポリシロキサンからなる群から選択された少なくとも1種の官能性オルガノポリシロキサン
を含んでなる請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
含フッ素単量体(a)が、式:
CH=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、あるいは置換または非置換のフェニル基であり、
Yは、−O−または−NH−であり、
Zは、直接結合、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜18の芳香族基または環状脂肪族基、−CH2CH2N(R1)SO2−基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)または−CH2CH(OZ1)CH2−基(但し、Z1は水素原子またはアセチル基である。)、−(CH)−SO−(CH)−基、または−(CH)−S−(CH)−基(但し、mは1〜10、nは0〜10である。)であり、
Rfは炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。]
で示されるアクリレートエステルである請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
官能性オルガノポリシロキサン(B)が、平均式:
(RSiO)(RRSiO)(RRFOSiO)
[式中、aは、0〜4000であり、
bは、0〜1000であり、
cは、1〜1000であり;
それぞれのRは独立して、一価の有機基であり、
それぞれのRは、一価のアミノ官能性の有機基であり、
それぞれのRFOは、一価のメルカプト官能性の有機基(RS)、一価のビニル官能性の有機基(RV)、一価の(メタ)アクリルアミド官能性の有機基(RAM)または一価の(メタ)アクリレート官能性の有機基(RMA)である。]
で示されるシロキシ単位を有するアミノ官能性オルガノポリシロキサンである請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
アミノ-メルカプト官能性オルガノポリシロキサンが、平均式:



[式中、aは、0〜4000であり、
bは、0〜1000であり、
cは、1〜1000であり、
それぞれのR’は、H、炭素数1〜40のアルキル基またはMe3Siである。]。
で示される請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
ビニル-アミノ官能性オルガノポリシロキサンが、平均式:


[式中、aは、0〜4000であり、
bは、0〜1000であり、
cは、1〜1000であり、
それぞれのR’は、独立して、H、炭素数1〜40のアルキル基またはMe3Siである。]。
で示される請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
単量体(A)が、含フッ素単量体(a)に加えて、さらに、
(b)フッ素原子を含まない単量体、および
(c)必要により存在する、架橋性単量体
を含んでなる請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
非フッ素単量体(b)が、一般式:
CH=CACOOA
[式中、Aは、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子であり、
は、C2n+1(n=1〜30)によって表されるアルキル基である。]
で示されるアクリレートである請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
架橋性単量体(c)が、反応性基および炭素−炭素二重結合からなる群から選択された少なくとも2つを有する非フッ素単量体である請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
架橋性単量体(c)において、反応性基が、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックイソシアネート基、アミノ基およびカルボキシル基からなる群から選択された反応性基を有する請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
Xが塩素である請求項2に記載の組成物。
【請求項12】
非フッ素重合体(II)が、フッ素原子を含有しないビニル単量体を含んでなる請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
非フッ素重合体(II)が、ケイ素原子を含有しない請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
非フッ素重合体(II)におけるビニル単量体が、
(1) CH2=CR1CO2R2,
(2) CH2=CHO2CR2,
(3) CH2=CHR3,
(4) CH2=CHD,
(5) CH2=CD2,
(6) CH2=CHCH2O2CR2,
(7) CH2=CHCOR2,
(8) CH2=CR1CO2CH2CH2NR42,
(9) CH2=CR1CONHCH2OH
[式中、
R1は、水素原子、メチル基またはハロゲン原子、
R2は、炭素数1〜18のアルキル基、
R3は、炭素数1〜30の炭化水素基、
R4は、水素原子、または炭素数1〜18のアルキル基、
Dは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。]
からなる群から選択された少なくとも1種である請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
ビニル単量体が、式(1)および式(2)からなる群から選択された少なくとも1種の単量体ならびに式(3)および式(4)からなる群から選択された少なくとも1種の単量体を含んでなる請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の組成物を含んでなる表面処理剤。
【請求項17】
請求項16に記載の表面処理剤で基材を処理する方法。
【請求項18】
請求項16に記載の表面処理剤で処理された基材。
【請求項19】
繊維製品である請求項18に記載の基材。

【公表番号】特表2012−503029(P2012−503029A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511921(P2011−511921)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【国際出願番号】PCT/JP2009/066325
【国際公開番号】WO2010/030046
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】