説明

水栓装置

【課題】本発明は、水道管吐水口部に取り付けることができ、吐水、止水等を調節できる水栓装置に関するものである。
【解決手段】受水口と吐水口を開口し、吐水口を開閉できる曲面を有する開閉栓を内部に遊挿したカプセル体と、このカプセル体の吐水口の近傍に手を位置させると操作桿が開閉栓を動かして吐水口を開放方向に作動させる作動機構体とからなることを特徴とする水栓装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道管吐水口部に取り付けできて吐水、止水等を調節できる水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水道管は、水栓ハンドルから水道管内部に挿入された栓棒を上下すると水道管が開閉して吐水、止水する。栓棒はネジ構造で水道管内部と噛み合い、水栓ハンドルを手で回転すると栓棒が回転して上下する構造である。
【0003】
なお、足踏み式で水栓を開閉するタイプがある。また、電気で使用者を感知する自動水栓タイプは水道管吐水口部や水栓ハンドル部に取り付けたり、水道管水栓全体を交換したりするもので、大変便利であるが広く一般に普及するに至っていないのは、高価且つ構造が複雑等によるものと思われる。
【特許文献1】特許公開2003−138615
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
その為に、次のような問題点があった。
従来の水栓での水作業では、一旦吐水したらそのまま最後まで吐水しっ放しで行われがちで、その吐水量も必要量より多めに出しすぎの傾向が強く、これらの多くは無駄な吐水である。
【0005】
水の無駄使いの原因を構造面から見れば、
(イ)もともと水栓ハンドルは水栓開閉機能と吐水量調整機能を併せ持ち、こまめに水栓ハンドルを操作しなければならない仕組みになっている。
(ロ)水栓ハンドルが設けられた位置は使用者が水作業をする吐水口先にはなく、少しだけだが離れている。
(ハ)水栓ハンドルは、いちいち回転しなければならない。
(ニ)現在の水栓構造は外部から目視できるのは水栓ハンドルくらいで、殆どの部材は水道管内に納められていて、使用部材や構造は使用者には理解しがたいブラックボックス化されている。また、最大流水量が調整できないので、多めの吐水状態になってもつい放置してしまう。
【0006】
次に、使用面から見れば、
(イ)水栓ハンドルと吐水口がさして離れていなくても、使用者にとり水作業中にいちいち操作するのが面倒で、つい吐水しっ放しで作業してしまう。
(ロ)水栓ハンドルをいちいち回転するのが煩わしく、高齢者や子供などには回転が重労働な場合も多い。さらに使用者によっては強く回転しすぎて部品や装置の破損や過度の消耗を引き起して漏水の原因を作ってしまう。
(ハ)最大流水量調整の仕組みが分かっていても、部品調達や工具操作や元栓操作などが非常に面倒くさいので、余りやりたがらない。
【0007】
以上から導き出される課題は、以下のようになる。
(イ)「こまめに栓を閉めよう」と言われるような従来の使用習慣をやめて「必要な時に栓を開ける」習慣に転換できること。
(ロ)子供や高齢者等の動作が緩慢な人や、乱暴に出しっ放しで利用している人も、無駄な流し放しを無意識のうちになくせること。
(ハ)子供や高齢者等が力を入れなくても楽に水栓操作ができ、力の入れすぎによる部品や装置破損をなくせること。
(ニ)いちいち水栓ハンドル場所に手を動かしたり、ハンドルを回転したりする面倒な作業を無くし、単純な動作で水作業ができること。
(ホ)構造や部品が単純で、組み立ても取り付けも簡単で誰にも仕組みが理解でき、修理も元栓操作や特殊な器具を要せずに手間や暇もかけずに容易にできること。
(ヘ)最大流水量を調整するために、元栓を操作することなく、簡単にできること。
(ト)上記の各課題の解決とともに安価で性能が良く、誰もが使い易い簡単な構造の水栓を実現すること。
本発明は、これらの問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題点を解決する為に、水道管吐水口部に取り付けることができ、受水口と吐水口を開口し、吐水口を開閉できる曲面を有する開閉栓を内部に遊挿したカプセル体と、このカプセル体の吐水口の近傍に手を位置させると操作桿が開閉栓を動かして吐水口を開放方向に作動させる作動機構体とからなる。以上を特徴とする水栓装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は
(イ)常時、開閉栓が吐水口にはまり込み、自動的に止水状態になる仕組みであり、この止水状態は外部からの力が働いて開閉栓が動くまで続く。
(ロ)操作桿の振り子運動という小さな動作をするだけで開閉栓を吐水口から動かして吐水などができる。
(ハ)吐水口近傍という、ごく狭い範囲で操作桿を操作するだけで開閉栓を吐水口から動かして吐水などができる。
(ニ)水作業が中止や中断や完了した時に瞬時に自動的に止水状態に戻る。
(ホ)操作桿は誰にでも等しく、ほんの少しの力で操作できる。
(ヘ)元栓を操作することなく簡単に最大流水量を調整できる。
(ト)仕組みが単純で、外部から全てが目視できる。
【0010】
本発明は、以上のように構成されており、以下のような効果が得られる。
(イ)使用者が水作業をやめ、手を吐水口近傍から引けば自動的に止水する構造にしたので、如何なる使用者にも水の流しっ放し状況が生じることは皆無となり、無駄な吐水が大幅に減少する。
(ロ)いちいち水栓ハンドルの場所まで手を動かして、且つ水栓ハンドルを回転する煩わしい作業を全く不要とし、水栓操作は手で水作業を行いながら吐水口付近で操作桿を振り子運動するだけなので、高齢者や子供をはじめ病人や手の障害者や緩慢な動作の使用者等による水の浪費を大幅に改善する。
(ハ)最大流水量の調整を簡単に出来るようにしたので、過度の吐水による無駄遣いが防げる。
(ニ)水栓構造が簡単で誰でも仕組みが理解でき、部品も単純なので、修理も簡単に出来る。
(ホ)開閉栓自身で止水するので、水栓ハンドルを強く回転して止水する既存方式に比して使用部材の消耗が少ない。
(ヘ)水道管があれば、どこでも簡単に取り付けでき、直ちに使える。
(ト)頻繁に水を出したり止めたり、多人数が継続して使用する場合等には特に大きな節水効果と使用時間の大幅短縮効果が得られる。
(チ)水作業の最後に、いちいち水栓ハンドルに触れる必要がないので清潔である。
(リ)部品の材質はごく普通のものを使用し、特殊で高価な部品が無く、安く生産でき、安価で供給できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
(イ)受水、吐水、止水等を行う容器として水道管吐水口1に取り付けできるカプセル体2を設ける。
(ロ)カプセル体2に水道管吐水口1から受水する受水口3と、吐水や止水等ができる吐水口4を設ける。
(ハ)カプセル体2の外壁の受水口3の周囲に、カプセル体2を水道管吐水口1に水漏れせずに確実に接続することを目的としてカプセル着脱具5を設ける。また、カプセル体2の外壁の吐水口4の周囲に吐水の四散防止等を目的として吐水口4と同じ内径の短い円筒形をした吐水管6を設ける。
【0013】
(イ)カプセル体2内に開閉栓7を遊挿する。開閉栓7は円球の形状をして吐水口4の径よりやや大きめの径を有し常時吐水口4に嵌り込み止水する。
(ロ)カプセル体2の内壁は水が流れ易い構造とし、急傾斜面A8をカプセル体2内の中ほどの高さから吐水口4に向かって下って設け、急傾斜面A8は水を流れ易くしながら開閉栓7を吐水口4に嵌め込む。
(ハ)開閉栓7はカプセル体2内に水が無い状態でも、その自重や形状や急傾斜面A8により、また受水した時には水流と水圧が加わり、カプセル体2の外部から操作しなくてもほぼ瞬時に自動的に吐水口4に嵌まり込み止水する。開閉栓7は吐水口4から動かすことが出来れば、吐水口4との間に隙間が生じて吐水するので、カプセル体2の外部から開閉栓7の操作が容易にできるように吐水口4をできるだけカプセル体2の外周部に配置する。
【0014】
作動機構体A9は、開閉栓7を操作して吐水や止水等をする作動部品や装置を組み合わせて収納した容器で、カプセル体2に連接し、その中身は容易に目視でき、その仕組みは誰にも簡単に理解できる。
【0015】
(イ)作動機構体A9の中のカプセル体2側の側壁上部に先端部の一方が固定され、そこから横に突き出た棒状の操作桿支持棒A10のもう一方の先端部において屈曲可動材A11で接合され、そこからまっすぐ垂直に下方に伸びて作動機構体A9の底壁を突き出て、吐水口4の近傍に先端部が至る操作桿A12を設ける。屈曲可動材は部品同士を接合し、接合された部品がその接合点を支点にして振り子運動ができる蝶番のような接合部材を言う。
(ロ)操作桿A12はその先端部が位置する吐水口4の近傍というごく限定された場所で、操作桿A12に手を触れて屈曲可動材A11を支点にして押したり引いたりの振り子運動をするだけで、カプセル体2の中に遊挿した開閉栓7に接触し、上下運動させて吐水や止水などの水栓機能を行う。操作桿A12は誰にでも等しく、ほんの少しの力で操作できる。操作桿A12の先端部には手で容易に折り曲げなどの変形ができる操作自在管A13を設け、使用者が複数の場合や水作業内容が変化した場合でも簡単に手に触れる位置や角度などを調整できる。また操作自在管A13の先端部には円球等を設けて手に対する安全で快適な接触を確保する。操作桿A12から手を離すと操作桿バネ14により常に垂直状態に戻る、即ち開閉栓7を操作しない状態に戻り開閉栓7が自動的に止水口に戻って嵌りこみ、止水状態になる。
(ハ)作動機構体A9内において、操作桿A12に、上から順に流水量桿15と中継桿16と流放桿17の3本の桿をカプセル体2の方向に向けて設ける。即ち、3本の桿は操作桿A12から出た枝のように上から順に並ぶ。
【0016】
(イ)流水量桿15は棒状で、先端部の一方を操作桿A12に屈曲可動材B18で接合し、もう一方の先端部は作動機構体A9のカプセル体2側の側壁にあけた流水量桿穴19に挿入され、その中で自由にピストン運動する。
(ロ)流水量桿15は操作桿A12の振り子運動により同じ方向に動く。
(ハ)流水量桿15は操作桿A12を最大限に押せる位置、即ち最大流水量ポイントを固定する。
(ニ)流水量桿ネジ20は流水量桿15に刻んだネジ山に設けたボルト状の回転物で、作動機構体A9の使用者側の外壁に設けた流水量桿窓A21から姿を出しており、外部から直接接触して回転することができる。
【0017】
(イ)中継桿16は横方向からは1本の棒に見えるが、上方向から見て操作桿A12の方から順に、長方形の枠体をした金属枠22と枝管23が結合して構成された物の総称である。金属枠22の長方形の短辺の一方は操作桿A12に設けられた貫通孔24に挿入され、そこを支点にして上下に振れ動くことができ、もう一方の短辺は長方形の他の3辺より太い金属でできた丸管25からなる。枝管23は丸管25の中央部から外側にT字形に突き出た棒状をし、作動機構体A9のカプセル体2側の側壁にあけた枝管穴A26に挿入され、その中で自由にピストン運動する。
(ロ)中継桿16は操作桿A12の振り子運動により同じ方向に動く。
(ハ)中継桿16は操作桿A12が開閉栓7を操作するための中継装置である。
【0018】
(イ)流放桿17は棒状をし、先端部の一方を操作桿A12に屈曲可動材C27で接合し、もう一方の先端部は作動機構体A9のカプセル体2側の側壁にあけた流放桿穴28に挿入され、その中で自由にピストン運動する。
(ロ)流放桿17は操作桿A12の振り子運動により同じ方向に動く。
(ハ)流放桿17は意図的に流し放し状態にしたい流水量に流放桿17を固定する、即ち操作桿A12の振り子運動を一時停止状態にする。
(ニ)流放桿つまみA29は流放桿17から水平に短く突き出て、中ほどで90度に上にも下にも折り曲げでき、先端に円球等を設けた棒状をし作動機構体A9の使用者側の外壁に設けた流放桿窓A30の外に飛び出ていて外部から直接接触して折り曲げることができる。その窓の外壁の上下の縁に流放桿固定釘A31を各々1列づつ、上下の釘の位置を交互にずらして設ける。
(ホ)流水量桿ネジ20と流放桿つまみA29は使用者が操作自在管A13の先端部に接触して水作業中であっても、容易に操作できる位置に設ける。
【0019】
(イ)昇降桿32は、横方向から見ると上部が水平な直線をなし、上方向から見て操作桿A12の方から順に長方形をした昇降金属33と長い昇降金属棒34が結合して構成されたものの総称で、操作桿A12と直接接合せずに独立して設けられた唯一の桿である。
(ロ)昇降金属33は横方向から見るとカプセル体2側に頂点を持って横倒しになった細長い三角形をし、細長い二辺のうち一辺は昇降桿32の上部の水平な直線の一部を構成し、細長い他の一辺は下方に垂れ下がった傾斜面をなし、全体として少し厚味のある三角形をしている。
(ハ)昇降金属棒34の先端部の一方はどこにも固定されず作動機構体A9のカプセル体2側の側壁にあけられた縦長の長方形をした昇降桿穴35を通り、続いて吐水管6にあけられた縦長の長方形をした吐水管穴36を通って開閉栓7の直下まで伸び、そこで真上に曲がり、その先端には開閉栓7の表面を傷つけず均等に接触する為の小さな受皿37を設け、これが上下運動することで開閉栓7に直接接触して昇降させ、もう一方の先端部は昇降金属33の一方の先端部である三角形の頂点部中央に固定して接続する。昇降金属棒34は昇降桿穴35と吐水管穴36の中で自由に上下運動する。昇降金属33のもう一方の先端部は、昇降桿枝管38により操作桿A12をはさんで反対側にあたる作動機構体A9の側壁に屈曲可動材D39で接合する。
(ニ)昇降桿32は中継桿16のすぐ上に、殆ど接するようにして平行に配置され、昇降金属33は金属枠22の中にすっぽりと納まる。
(ホ)昇降桿32は中継桿16の動きを引き継いで開閉栓7を直接昇降する、即ち開閉栓7に接触して吐水口4との間の隙間を開閉する。
【0020】
吐水管穴36には吐水口4からの吐水が吐水管穴36から外部に多量にこぼれ出ないように止水板40を設ける。止水板40は吐水管穴36より横幅を少し大きく、縦は吐水管穴36の縦の長さの倍より少し長くして、吐水管6の面に合わせて加工し、吐水管穴36を内側と外側から挟みこみ、上下に動けるように余裕を持たせてその中央部で刀のつばのように貫通した昇降金属棒34に固定して設置する。これにより昇降金属棒34が最大限上下運動しても、常時吐水管穴36を覆うことができる。
【0021】
以上の使用各部材は人に無害で防錆、耐水、非水溶性等の性質と必要な強度を持ち、汚れがつきにくく掃除が簡単な材質で、人に安全な形状のものを用いる。
本発明は以上のような構成で、これを使用する時は、
【0022】
(イ)水道管を閉じて止水して、カプセル着脱具5で水漏れせずに受水口3を水道管吐水口1に接続してカプセル体2を確実に取り付けた後に、水道管を開いて吐水してカプセル体2に受水する。
(ロ)カプセル体2内に遊挿した開閉栓7は、水が入っていない状態でも吐水口4に自動的に嵌まり込んでいるが、受水後は水流や水圧により一層強く密着し止水する。この状態は開閉栓7に外部から力が働いて開閉栓7と吐水口4との間に隙間が生じるまで続く。
【0023】
カプセル体2を水道管吐水口1に取り付けてから使用者が水作業を完了するまでの作業の流れを図1で説明する。
(イ)吐水口4の近傍に配置した操作自在管A13の位置や形や角度などを事前に使用者の好みの状態に調整する。
(ロ)水道管吐水口1からカプセル体2に受水する。カプセル体2に水が入っているこの状態が、この後のカプセル体2の通常の状態であり、開閉栓7は水流や水圧により一層強く吐水口4に自動的に嵌り込み、止水する。
(ハ)通常、使用者が水道管を用いて水作業をするときには、先ず左右いずれかの手を水栓に運んでハンドルを回して吐水させた後に吐水口4の近傍に手を運ぶが、本発明ではいきなり右手を吐水口4の近傍に運ぶ。即ち、そこに水栓ハンドル機能を持つ操作自在管A13を設けたからである。
(ニ)使用者の右手の甲等が操作自在管A13に無意識のうちに必然的に触れる。このときの右手の位置は通常、吐水口4の直下か、少し右側になる。
(ホ)使用者は手の甲等で操作自在管A13を右方向に押し始める。すると操作桿A12も右方向に押されて中継桿16を右に引き始め、金属枠22も右に移動し始める。
(ヘ)金属枠22の丸管25が昇降金属33の下方に垂れ下がった傾斜面に接触し始め、傾斜面を徐々に上に押し上げる。ここまでの動きは操作自在管A13と操作桿A12の振り子運動が水平運動を経て上下運動に変換することをあらわしている。
(ト)傾斜面の押し上げが昇降桿32を持ち上げ、その先端部の受皿37も徐々に持ち上がり、吐水口4に嵌っていてその一部が外部から目視できる開閉栓7に直接接触して徐々に押し上げ吐水が始まる。以上、上記の(ニ)からここまでの幾つかの作業工程を述べたが、これらは殆ど同時に行われる。
(チ)開閉栓7が動くと瞬時に吐水し始めるので操作自在管A13を操作して求める吐水量を探す。操作自在管A13を押すのをやめて、手を元の方に引けば操作桿A12が自動的に元に戻り吐水量が少なくなり、もっと引くとやがて止水する。昇降金属33の下方に垂れ下がった三角形の傾斜面が長いほど開閉栓7の昇降の動きはゆっくりとなる、即ち吐水量の増減する時間がゆっくりとなるが、その分、操作自在管A13を押す距離が長くなるので、この傾斜面の長さは使用者の好みで選択する。
(リ)水作業の途中で洗剤や歯ブラシや野菜やなべ等を扱うために一時水作業を中止する場合、あるいは水作業が完了した場合には使用者は吐水口4近傍から手を引く、即ち操作自在管A13から手を離す。すると操作桿A12は操作桿バネ14により瞬時に自動的に未使用時の元の垂直状態に戻り、瞬時に自動的に止水する、即ち開閉栓7が瞬時に自動的に吐水口4に戻って嵌り込み止水栓の役割を再開し始める。従って本発明では不必要な水の出し放し状態は一切生じない仕組みである。これを具体的な例で述べると、洗顔作業において、本発明ではいきなり左右の手を吐水口の直下に運んで両手のひらで水を汲む格好をして構え、右手で操作桿A12を押して吐水させ、水が溜まったら両手をそのまま顔に持ってきて洗顔できる。従来の水栓では先ず手を水栓ハンドルに運び、且つハンドルを回転して吐水させてから、初めて左右の手を吐水口の直下に運び、水を溜めて洗顔することになり、この作業を何回か繰り返すが、この間、両手で水を汲んで溜めている状態なので止水できようもなく、吐水しっ放しである。しかし、本発明では水を溜めた後に洗顔のために右手が操作自在管A13から離れた時点で確実に自動的に止水できる。洗顔作業中だけでも大きな節水効果が得られるという例である。
(ヌ)本発明は従来の水栓ハンドルのように吐水場所と水栓ハンドル設置場所が別々ではなく、操作自在管A13を押す場所が、即ち吐水される場所なため作業動作に無駄がなく、その都度水栓ハンドルの場所まで手を運んたり、水栓ハンドルを回転するなどの動作を不要にし、上記(リ)のように不必要な流し放しの原因を排除した。また、操作桿A12の構造をきわめて単純にし、更に操作自在管A13を誰にも等しく少しの力で操作できる状態にすることで、栓の締めすぎによる部品の余分な磨耗や破損などが生じない仕組みとした。
【0024】
カプセル体2の最大流水量を設定するには、
(イ)操作自在管A13を目一杯押したまま水道管の水栓ハンドルを徐々に開け始め、吐水口4からの吐水量の増加状況を見ながら求める大まかな最大流水量を選び、水道管の水栓ハンドルをそのポイントのままにする。
(ロ)次に流水量桿ネジ20で微調整して最終的な最大流水量ポイントを固定する。具体的には、操作桿A12を未使用時の垂直にした状態にして流水量桿ネジ20を流水量桿窓A21の操作桿A12側の窓枠に密着して固定する。この状態では操作自在管A13をいくら押しても流水量桿ネジ20が邪魔して操作桿A12が動かず、即ち吐水できない。ここで流水量桿ネジ20を回転して操作桿A12から遠ざけてゆくと遠ざけた長さ分だけ操作自在管A13を押すことができるようになる、即ち、吐水が出来るようになる。この吐水量は流水量桿ネジ20が操作桿A12から離れればその分だけ多量に吐水する構造であり、この長さが最大流水量である。最大流水量を少なくするにはこの距離を短くする。
(ニ)本発明は、水道管に取り付けができるので水道元栓を操作したり、水栓の中を開けて操作したりする必要がまず無く、したがって特殊な器具も知識も要せず、手間や隙もかけずに最大流水量の調整を簡単にできる仕組みとした。最大流水量を使用者がこまめに調整できるだけでも極めて大きな節水効果を実現できる。
【0025】
意図的に流し放し状態にするには、操作自在管A13を押しながら、流し放し状態にしたい流水量ポイントを探し、そこで流放桿つまみA29を上か下に折り曲げて流放桿固定釘A31に引っ掛けて流放桿17の動きを固定する、即ち操作桿A12の動きを固定する。流し放し状態を解除するときは流放桿つまみA29をもとの水平の位置に戻して流放桿固定釘A31から外すと流放桿17の固定状態が解除され、同時に操作桿A12が元の垂直状態に戻り、自動的に止水する。
【0026】
カプセル体2の内部には開閉栓7以外は一切配置せず、カプセル体2に連接して設けた作動機構体A9内に必要な作動部品や装置を機能的に組み合わせ、操作桿A12も構造をきわめて簡単にし、部品が単純で誰でも仕組みが目視でき、内容が判別不明のブラックボックスをなくして理解し易くし、組み立てや取り付けを容易にし、修理も手間や隙もかけずに簡単にできるようにした。
【0027】
当発明の部品や装置一式を梱包したり持ち運ぶ時や、吐水口4付近で大きなものを扱う際に作動機構体A9から突き出た操作自在管A13が邪魔になる場合は、操作自在管A13を手で曲げて突き出し部分を少なくすることができ、折りたためば手のひらに入るサイズになる。
以上が、本発明を実施するための最良の第一の形態である。
次に、本発明を実施するための最良の第一の形態の応用、改良、変化の案や例を以下に述べる。
【0028】
1、カプセル体2の内部構造に関する案や例であり、図8の通りである。
(イ)カプセル体2内の吐水口4の上に、吐水口4と同じ径で、開閉栓7との間で効果的な止水が実現可能な材質からなるリング41を重ね合わせて設ける。
(ロ)カプセル体2内の高さの半分以上の高さを持つ仕切り板42を4枚、リング41の開口部縁より少し外側の位置から、リング41の中心より外側に向かって放射状に90度の等間隔で直立させてカプセル体2の内壁に固定して設け、仕切り板42のリング41側の面にはリング41の中心部に向かって下る急傾斜面B43を設ける。
(ハ)カプセル体2内に開閉栓7の円球を遊挿する。開閉栓7は仕切り板42の急傾斜面B43に囲まれた中を上下に自由に動く。
(ニ)リング41は吐水口4の一部分を構成し、開閉栓7が嵌り込んだときに完全に止水する機能を持つ。
(ホ)仕切り板42は、カプセル体2内の水流を円滑にし、開閉栓7の上下方向以外の動きを制御しながら、上下方向の動きを滑らかにしてリング41に確実に嵌め込む機能を持つ。
これにより、本発明の実施するための最良の第一の形態と同様の作用効果が得られる。
【0029】
2、開閉栓7の形状と設置方法に関する案や例であり図9の通りである。
(イ)吐水口を開閉する曲面を有する開閉栓7として、本発明の実施するための最良の第一の形態の円球の他には円錐形44も有効である。又、円球と円錐形と円筒形や円球の一部分を用いる準円球を組み合わせた合体形である円錐形と円球45、円錐形と準円球46、円筒形と円球47、円筒形と準円球48、円筒形と円錐形49等も有効である。
(ロ)円球を含む合体形の場合、円球の径は吐水口4の径よりやや大き目が条件である。また準円球や円錐形44の場合は、その形状にもよるが、常に吐水口に嵌め込まれている大きさであることが条件である。
(ハ)これらの形状物は図9の通り、吐水口4上に置いてもぶら下げても嵌め込みができるので、円球の場合に比べてカプセル体2や吐水口4の形態が多様になり、その操作方法も多様となる。
これにより、本発明の実施するための最良の第一の形態と同様の作用効果が得られる。
【0030】
3、開閉栓7の操作方法に関する案や例であり、図10から図14の通りである。
(イ)図10は、中継桿16を設けず、昇降金属33の三角形の向きが昇降桿32と逆の案である。即ち、昇降桿32の形に似た桿A50を設け、先端部の一方を操作桿A12に屈曲可動材E51で接合し、もう一方の先端部は昇降金属棒34と同じ経路で受皿37につながる。この桿A50に昇降金属33に似た三角形を昇降桿32の場合とは向きを逆に、即ち、操作桿A12側に頂点を持って横倒しになった状態に固定し、垂れ下がった傾斜面の操作桿A12側の下に、丸管25に相当する管A52を作動機構体A9の壁に固定して設ける。操作桿A12が押されると桿A50も引かれ昇降金属33が管A52に下方の傾斜面を押されて上昇する。桿A50は操作桿A12に直接接合しているために操作桿A12を押すと受皿37は上昇すると共に操作桿A12側に引かれる、即ち横方向にも移動するので、受皿37の位置は開閉栓7の真下ではなく吐水口4の外側から見える開閉栓7の表面の操作桿A12から遠い部分に置く。
【0031】
(ロ)図11は、有歯板と楕円形金属を用いて桿を押し上げる案である。即ち、細長い板状の金属板の薄く細長い側面を上にして、そこに歯車の歯にかみ合う歯をきざんだ有歯板A53を設け、先端部の一方を操作桿A12に屈曲可動材F54で接合し、もう一方の先端部は作動機構体A9のカプセル体2側の内壁にあけた有歯板A穴55に挿入されその中で自由にピストン運動する。楕円形金属56を設けて横にして、一方の先端部を歯車A57の軸に固定し、歯車A57の歯を有歯板A53の歯に噛み合わせる。歯車A57とその軸は固定されているが、歯車A57の軸が回転できるように軸と芯を分離し、芯を作動機構体A9の壁に固定する。楕円形金属56の真上に昇降桿32から昇降金属33を取り除いただけで、その他は昇降桿32と同じ形態をした桿B58を有歯板A53と平行に置く。操作桿A12が押されて有歯板A53が引かれ、歯車A57が回転すると横になっていた楕円形金属56も回転して楕円形金属56の固定されていないもう一方の先端部が徐々に立ち上がり、桿B58に接触して押し上げる。
【0032】
(ハ)図12は、輪とベルトを用いて桿を引き上げる案である。即ち、桿B58に接しない程度の上方の位置に輪A59を設け、輪A59とその軸A60は固定されているが、その軸A60が回転できるように、軸A60と芯を分離し、芯を作動機構体A9の壁に固定し、軸A60と桿B58をベルトA61で結ぶ。輪A59はベルトB62で操作桿A12に結ぶ。操作桿A12が押されるとベルトB62が引かれて輪A59が回転し、軸A60も回転してベルトA61が巻かれて桿B58を上に引き上げる。
【0033】
(ニ)図13は、管とベルトを用いて桿を引き上げる案である。即ち、上記(ハ)の輪A59に代えて管B63を作動機構体A9の壁に固定して設け、操作桿A12から管B63の外側を回して桿B58迄をベルトC64で結ぶ。管B63が回転できるように、その芯を管と分離して作動機構体A9の壁に固定する。操作桿A12が押されるとベルトC64が引かれて管B63を回転させて桿B58を上に引き上げる。ベルトA61、ベルトB62、ベルトC64の材質はワイヤ、ロープ、ベルトなど耐久性を有するものとする。
【0034】
(ホ)図14は、カプセル体2内で直接、開閉栓7を引き上げる案である。本発明では、構造を出来るだけ簡素化して作動部品や装置を使用者が目視できて容易に理解し修理も自分でできることで、節水意識を高めてもらう目的もあり、カプセル体2内には開閉栓7以外一切入れず、開閉栓7への操作手段はカプセル体2に連接して設けた操作桿A12をはじめとする作動機構体A9で行うようにしている。これを開閉栓7への操作をカプセル体2内で直接行う場合は、カプセル体2と開閉栓7の機能があるので開閉栓7を吐水口4上から一時的に取り除く操作ができればよく、作動機構体A9の機能のうち操作桿A12と流水量桿15と流放桿17はそのまま必要だが、中継桿16と昇降桿32は不要となる。即ち、カプセル体2の外壁に漏水しないカプセル外壁穴65を設け、ここからワイヤ等A66をカプセル体2内に入れ開閉栓7に直接固定し、もう一方の先端部を作動機構体A9に軸を固定した輪B67経由で操作桿A12に結ぶ。操作桿A12が押されて振り子運動をするとワイヤ等A66が引かれ、輪B67が回転し、カプセル外壁穴65を経由して開閉栓7が吐水口4上から取り除かれて吐水し、操作桿A12を押す手を戻すと操作桿A12も戻り開閉栓7が吐水口4に嵌り止水する。カプセル外壁穴65はカプセル体2の壁のどこに設けてもよい。この他に操作桿A12を操作して、カプセル外壁穴65を経由して棒状のものをカプセル体2内に挿入して直接開閉栓7を吐水口4上から押したり引いたり払ったりして取り除いたり、カプセル体2の内か外で磁石を用いて取り除くなども有効である。
以上の各案により、本発明の実施するための最良の第一の形態と同様の作用効果が得られる。
【0035】
4、操作自在管A13の形状と着脱に関する案や例であり、図は図24の操作桿ソケット図である。
操作自在管A13の先端部が触れる使用者の体は手の指、甲、手首、腕など水作業内容と使用者の好みによりその範囲は広く、実際の使用に際しては多くの使用形態が考えられる。それらに対応するために作動機構体A9の底部を突き出た位置で着脱自在の操作桿ソケット68を操作桿A12の先端部に設けて、下記の様な多様な操作自在管A13を簡単に交換できるようにする。これにより、多様な使用形態に自在に対応でき、使用者の指や腕等のいろんな部分で操作できるようにする。
(イ)各種の長さ、太さや硬さを選択できるようにする。
(ロ)1本だけでなく先端部を複数の股管にしたり、先端部だけではなく操作自在管A13の途中にも各種の枝管等を設ける。
(ハ)上記(ロ)の使用者の体が触れる部分は管状だけでなく、円球や平面状や皿状や風船状など、使い易さと安全にも配慮した形状のものを設ける。
(ニ)材質は金属、プラスチック、ゴム、柔軟材等を用いる。
これにより本発明の実施するための最良の第一の形態と同様の作用効果が得られる。
【0036】
5、作動機構体A9を高い位置に移動する案や例であり、図15の通りである。
本発明では、操作自在管A13の作動機構体A9からの突き出しが大きくなり、吐水口4近傍で大きな水作業対象物を使用する場合に支障のおそれもあるために、操作自在管A13を先端部に使用して対応しているが、本案は作動機構体A9全体をより高い位置に移動するものである。
(イ)中継桿16と昇降桿32をそっくりそのまま作動機構体A9の上部に移動する。中継桿16の一方の先端部は貫通孔24に挿入されるのは同じであるが、もう一方の先端部の枝管23は作動機構体A9のカプセル体2側の側壁にあけた枝管穴B69に挿入され、その中で枝管23が自由にピストン運動する。昇降桿32の昇降金属棒34の一方の先端部は作動機構体A9内のカプセル体2側の側壁の手前で直角に折れて真っ直ぐに下方に降り、吐水管6の高さで開閉栓7の方向に再び直角に折れて受皿37に至り、もう一方の先端部は昇降棒32と同じ形態である。
(ロ)流水量桿15と流放桿17は、上記(イ)に伴い、各々そのままそっくり上部に移動する。
これにより、本発明の実施するための最良の第一の形態と同様の作用効果が得られる。
【0037】
6、操作桿A12の配置場所に関する案や例であり、図16から図25までの通りである。
使用者が水作業を行う場合、例えば水飲みや手洗いや顔洗いや歯磨きなどの比較的単純な作業の場合には、利き腕が操作桿A12に接触する方が作業し易いようである。しかし、より複雑な食器洗いや食材を洗う作業の場合などでは、洗いものを利き腕ではない方で持ち、利き腕は洗い物を洗うなどの複雑な役目を担う場合が多く、そうなると操作桿A12は利き腕側ではない腕で接触し操作する方が作業し易い利用者も多いはずである。したがって、あらゆる使用者の水作業内容や利き腕等に対応できて、使いやすい操作自在管A13の配置場所を提供する。その変化に関しては下記の各案や例の通りである。
(イ)図16は、カプセル体2の殆どを回転する案である。即ち、カプセル体2を水道管吐水口1に固定されたカプセル体上部A70と、作動機構体A9が連接されたカプセル体下部A71の上下2つに分離する。この2つはカプセル着脱具5自体かその直下部において分離し、その分離帯A72にて漏水することなく組み合わされ、カプセル体下部A71が自由に回転できる。操作自在管A13の位置を変更する時はカプセル体下部A71を作動機構体A9と一体で希望する位置に回転する。
【0038】
(ロ)図17は、カプセル体2の下半分を回転する案である。即ち、カプセル体2の中ほどの高さ付近で水道管吐水口1に固定されたカプセル体上部B73と、作動機構体A9が連接されたカプセル体下部B74の上下2つに分離する。この2つは分離帯B75にて漏水することなく組み合わされ、カプセル体下部B74が自由に回転できる。操作自在管A13の位置を変更する時は、カプセル体下部B74を作動機構体A9と一体で希望する位置に回転する。
【0039】
(ハ)図18は、作動機構体A9だけを回転する案である。即ち、カプセル体2から作動機構体A9を分離し、カプセル体2の中ほどの高さにカプセル体2の周囲を自由に回転できる回転リング76を設け作動機構体A9に固定する。また、吐水管6も回転できるようにして作動機構体A9に固定する。操作自在管A13の位置を変更する時は作動機構体A9と吐水管6を同時に希望する位置に回転する。なお、上記の(ロ)と当案の場合、カプセル体2は円系統で左右対称形だと回転しやすく、且つ回転前後のカプセル体2の姿が不変である。
【0040】
(ニ)図19と図20は、操作桿A12に相当するものをもう1本増設するが、作動機構体A9は増設しないので、増設した操作桿の操作内容はワイヤによって既存の操作桿A12に伝達、作動する案である。即ち、
(A)カプセル体2の作動機構体A9と反対側の外壁の上部に先端部の一方が固定され、水平に外側に突き出た短い挿入管A77を設け、もう一方の先端部は管の穴が開いたままにする。
(B)先端部の一方を挿入管A77の穴に挿入した水平な棒状の操作桿支持棒B78の、もう一方の先端部は屈曲可動材G79で接合され、そこからまっすぐ垂直に下方に伸びて、吐水口4の近傍まで先端部が至る操作桿B80を設け、先端部には操作自在管B81を設ける。
(C)操作桿B80のカプセル体2側の吐水管6の付け根付近と同じ高さに丸金具A82を設け、そこから水平に、使用者から見てカプセル体2の外壁に添って裏側に回り、そのまま作動機構体A9の裏側外壁のカプセル体2から最も遠い場所に開けたワイヤ穴83に至る迄、両先端部にフック84を設けたワイヤ等B85を管内に通したワイヤ金属管86を設ける。ワイヤ金属管86はカプセル体2の裏側に設けたワイヤ金属管固定台87に取り外し可能で固定され、これを頂点にして丸金具A82とワイヤ穴83の間を各々直線で結ぶ。
(D)ワイヤ穴83から作動機構体A9内に入り、水平に進んだ中間地点に横に倒した輪C88を設け、その軸を壁に固定する。操作桿A12の輪C88側で輪C88と同じ高さの位置に丸金具B89を設ける。丸金具A82から丸金具B89の間の部品や装置は全て水平に設けられ、2つのフックを含めたワイヤ等B85の長さは丸金具A82と丸金具B89間の距離とする。
(E)操作自在管B81を使用する時に主として接触する手は常識的には操作自在管A13を使用する場合と逆であるが、これはあくまでも使用者の選択による。先ずワイヤ金属管86をワイヤ金属管固定台87に固定し、丸金具A82と丸金具B89にフック84を取り付けてから、操作自在管B81を押すとワイヤ金属管86の中のワイヤ等B85が引っ張られ、輪C88を回して丸金具B89を引っ張り、操作桿A12を引く。未使用時にはフック84だけを外して他の部品はそのままにしてもよいし、フック84を外し、ワイヤ金属管固定台87からワイヤ金属管86を外し、挿入管A77から操作桿支持棒B78を外すこともできる。
【0041】
(ホ)図21は、操作桿A12に相当するものをもう1本増設する2つ目の案である。上記(ニ)と同じく作動機構体A9は増設しないので、本案は増設した操作桿の操作内容を棒によって既存の操作桿A12に伝達、作動する案である。即ち、
(A)上記(ニ)の(A)(B)に同じ。
(B)屈曲可動材A11から垂直に上方向に短い挿入管B90を設け、これに先端部の一方を挿入し垂直に上方向に作動機構体A9の天井部分を突き出て水道管の上端部まで一直線に延長した操作桿A延長棒91を設け、その先端部にはカプセル体2の反対側に向けて上から下りる急傾斜面の真ん中に縦に凹型溝92を設けた操作桿A金属片93を設ける。操作桿A延長棒91は使用の都度挿入管B90に挿入し、未使用時は取り外すことができる。作動機構体A9の天井部分には操作桿A延長棒91からカプセル体2側に向けて長方形穴94を設け、操作桿A延長棒91はその中を自由に振り子運動する。
(C)操作桿B80を屈曲可動材G79から垂直に上部方向に水道管の上端部まで一直線に延長した操作桿B延長棒95を設け、そこから曲がり、操作桿A延長棒91方向に伸びた操作桿AB連絡棒96を設け、操作桿A延長棒91先端の操作桿A金属片93の真上部分に輪D97を設け、輪D97を凹型溝92に嵌め込む。
(D)操作自在管B81を使用する時に主として接触する手は常識的には操作自在管A13を使用する場合と逆であるが、これはあくまでも使用者の選択による。操作自在管B81を押すと屈曲可動材G79を支点として操作桿B延長棒95の先端部がカプセル体2方向に倒され、操作桿AB連絡棒96を操作桿A延長棒91方向に移動させ、輪D97を下に押し、操作桿A金属片93を凹型溝92に沿って押し下げ、操作桿A12を押した形になり吐水する。
【0042】
(ヘ)図22は、操作自在管A13に円形の操作管を設ける。即ち、操作自在管A13の先端部を通ってカプセル体2を中心にした円を描く円形操作管98を設け、操作自在管A13に固定する。これにより、左右の手で円形操作管98のいろんな個所を押したり引いたりできるので、それだけ操作桿A12を操作できる範囲が拡大し、図19から図21に記載の操作桿B80を設けなくても左右の手をより自由に使うことが出来る。また、円形操作管98を操作自在管A13に固定したまま、図16から図18のように作動機構体A9をいろんな角度に回転すると、左右の手で押したり引いたりできる動作の向きがいろいろと変化できる。
【0043】
(ト)図23は、操作自在管A13に半円形の操作管を設ける。即ち、操作自在管A13と操作自在管B81を基点または終点としてカプセル体2の下に半円を描き、操作自在管A13に固定した半円形操作管99に置き換えても同様の効果があるが、この場合半円の円弧部や開口部をどの位置にするかは使用者の好みで選択する。またこの状態で操作桿A12をいろんな角度に回転させると、左右の手で押したり引いたりできる動作の向きがいろいろと変化できるのは円形操作管98と同じである。上記(ヘ)と本案は円形や半円形を波状等の高低差を持たせたり、楕円形等に多様に変形できる。
【0044】
(チ)図24は、作動機構体A9のもう一つの外壁にも同じ窓を設ける。即ち、上記(イ)(ロ)(ハ)(ヘ)(ト)により作動機構体A9が180度近く回転すると、流水量桿窓A21と流放桿窓A30が裏返しになるので作動機構体A9の裏側の外壁にも、流水量桿窓B100と流放桿窓B101を各1個設ける。
(A)流水量桿窓B100は流水量桿窓A21と大きさを同じくして設け、流水量桿ネジ20の姿を窓の外にあらわす。
(B)流放桿窓B101は流放桿窓A30と大きさを同じくして設け、流放桿17の流放桿つまみA29の反対側に全く同じく流放桿つまみB102を追加して設け、流放桿窓B101の窓の外壁の上下の縁に流放桿固定釘A31と全く同じく流放桿固定釘B103を設ける。
(C)流水量桿窓B100と流放桿窓B101の使用方法は、流水量桿窓A21と流放桿窓A30に同じである。流水量桿窓A21と流水量桿窓B100、流放桿窓A30と流放桿窓B101は左右の向きがAとB逆の左右対称形となる。図24の流水量桿窓B100と流放桿窓B101は図7の流水量桿窓A21と流放桿窓A30をそっくり裏返した形になる。
【0045】
(リ)図25は、作動機構体A9を増設する。即ち、もう1つの作動機構体B104をカプセル体2を真ん中にして、そっくり作動機構体A9の反対側に設ける。作動機構体B104の仕組みや使用方法は作動機構体A9に同じである。これにより左右どちらの手でも水作業が可能となる。
これにより、本発明の実施するための最良の第一の形態と同様の作用効果が得られる。
【0046】
7、流放桿17の構造に関する案や例であり、図26と図27の通りである。
流放桿17を細長い板状の金属板の薄く細長い側面を上にして歯車の歯に噛み合う歯を設けた有歯板B105に変更するが、両先端部は流放桿17に同じである。歯車B106を有歯板B105の歯に噛み合わせ、歯車B106の軸B107を作動機構体A9の表裏外壁の内側に設けた挿入管C108と挿入管D109の穴に挿入する。軸B107内部は中空でネジ構造になっていて、表裏外壁の外までつながり、作動機構体A9の表裏外壁上でダイヤルA110とダイヤルB111が各々ネジで取り付けられている。即ち、ダイヤルA110とダイヤルB111は1本の軸B107の両端に取り付けられている。操作桿A12が振り子運動すると有歯板B105も引かれて横に移動して歯車B106を回転させる。希望の流し放しの吐水量地点でA、Bいずれかのダイヤルを回すとネジで軸B107が締め付けられて作動機構体A9の外壁を押さえつけ、その地点で有歯板B105が固定され、操作桿A12も固定される、即ち流し放し状態になる。流し放し状態を解除するには締め付けたダイヤルを緩めると固定状態が解かれ、操作桿A12が元の垂直状態に戻り、自動的に止水する。この案では流放桿つまみA29と流放桿固定釘A31は不要である。
これにより、本発明の実施するための最良の第一の形態と同様の作用効果が得られる。
【0047】
8、本発明は、水道管吐水口1に取り付けできることを前提としたが、本水栓化にも対応できる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、水栓装置を製造する産業等で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の図3におけるA−A線の全体の断面図。
【図2】本発明の全体の斜視図。
【図3】本発明の全体の側面図。
【図4】本発明の全体の正面図。
【図5】本発明の図3におけるA−A線の吐水管穴の止水板断面図。
【図6】本発明の作動機構体の斜め透視図。
【図7】本発明の図3におけるA−A線の作動機構体の断面説明図。
【図8】本発明の応用、改良、変化の案と例図・カプセル体の内部構造のA−A線断面図。
【図9】同上・開閉栓の形状と設置方法の説明図。
【図10】同上・開閉栓の操作方法 1、昇降金属の向きが逆のA−A線断面図。
【図11】同上・開閉栓の操作方法 2、有歯板と楕円形金属を用いたA−A線断面図。
【図12】同上・開閉栓の操作方法 3、輪とベルトを用いたA−A線断面図。
【図13】同上・開閉栓の操作方法 4、管とベルトを用いたA−A線断面図。
【図14】同上・開閉栓の操作方 5、カプセル体内部で操作するA−A線断面図。
【図15】同上・作動機構体を高い位置に移動するA−A線断面図。
【図16】同上・操作桿の位置 1、カプセル体の殆どを回転するA−A線断面図。
【図17】同上・操作桿の位置 2、カプセル体の下半分を回転するA−A線断面図。
【図18】同上・操作桿の位置 3、作動機構体を回転するA−A線断面図。
【図19】同上・操作桿の位置 4、操作桿増設、ワイヤで伝達するA−A線断面図。
【図20】同上・操作桿の位置 5、図19におけるB−B線平面図。
【図21】同上・操作桿の位置 6、操作桿増設、棒で伝達するA−A線断面図。
【図22】同上・操作桿の位置 7、円形操作管の斜視図。
【図23】同上・操作桿の位置 8、半円形操作管の斜視図。
【図24】同上・操作桿の位置 9、作動機構体の裏壁にも窓を設けたA−A線の作動機構体の断面説明図。
【図25】同上・操作桿の位置10、作動機構体を反対側に増設した全体の正面図。
【図26】同上・流放桿の構造 1、有歯板を用いたA−A線断面図。
【図27】同上・流放桿の構造 2、図26におけるC−C線断面図。
【符号の説明】
【0050】
1、水道管吐水口 2、カプセル体
3、受水口 4、吐水口
5、カプセル着脱具 6、吐水管
7、開閉栓 8、急傾斜面A
9、作動機構体A 10、操作桿支持棒A
11、屈曲可動材A 12、操作桿A
13、操作自在管A 14、操作桿バネ
15、流水量桿 16、中継桿
17、流放桿 18、屈曲可動材B
19、流水量桿穴 20、流水量桿ネジ
21、流水量桿窓A 22、金属枠
23、枝管 24、貫通孔
25、丸管 26、枝管穴A
27、屈曲可動材C 28、流放桿穴
29、流放桿つまみA 30、流放桿窓A
31、流放桿固定釘A 32、昇降桿
33、昇降金属 34、昇降金属棒
35、昇降桿穴 36、吐水管穴
37、受皿 38、昇降桿枝管
39、屈曲可動材D 40、止水板
41、リング 42、仕切り板
43、急傾斜面B 44、円錐形
45、円錐形と円球 46、円錐形と準円球
47、円筒形と円球 48、円筒形と準円球
49、円筒形と円錐形 50、桿A
51、屈曲可動材E 52、管A
53、有歯板A 54、屈曲可動材F
55、有歯板A穴 56、楕円形金属
57、歯車A 58、桿B
59、輪A 60、軸A
61、ベルトA 62、ベルトB
63、管B 64、ベルトC
65、カプセル外壁穴 66、ワイヤ等A
67、輪B 68、操作桿ソケット
69、枝管穴B 70、カプセル体上部A
71、カプセル体下部A 72、分離帯A
73、カプセル体上部B 74、カプセル体下部B
75、分離帯B 76、回転リング
77、挿入管A 78、操作桿支持棒B
79、屈曲可動材G 80、操作桿B
81、操作自在管B 82、丸金具A
83、ワイヤ穴 84、フック
85、ワイヤ等B 86、ワイヤ金属管
87、ワイヤ金属管固定台 88、輪C
89、丸金具B 90、挿入管B
91、操作桿A延長棒 92、凹型溝
93、操作桿A金属片 94、長方形穴
95、操作桿B延長棒 96、操作桿AB連絡棒
97、輪D 98、円形操作管
99、半円形操作管 100、流水量桿窓B
101、流放桿窓B 102、流放桿つまみB
103、流放桿固定釘B 104、作動機構体B
105、有歯板B 106、歯車B
107、軸B 108、挿入管C
109、挿入管D 110、ダイヤルA
111、ダイヤルB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道管吐水口部に取り付けることができ、受水口と吐水口を開口し、吐水口を開閉できる曲面を有する開閉栓を内部に遊挿したカプセル体と、このカプセル体の吐水口の近傍に手を位置させると操作桿が開閉栓を動かして吐水口を開放方向に作動させる作動機構体とからなることを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
吐水口を開放状態に維持できる作動装置と、最大流水量を調整できる作動装置を前記作動機構体に設けたことを特徴とする請求項1記載の水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2009−46951(P2009−46951A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237238(P2007−237238)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【出願人】(507306975)
【Fターム(参考)】