説明

水素ステーション

【課題】本発明は、燃料電池搭載車両への連続充填時の充填速度低下及び充填終了圧力低下を緩和することが可能な水素ステーションを提供することを課題とする。
【解決手段】圧縮機13と、圧縮機13により圧縮された水素ガスを貯蔵する第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3と、圧縮機13と第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3とを接続し、かつ圧縮された水素ガスを第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3に供給する第1の水素ガス供給配管16と、第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3から供給された水素ガスを冷媒により冷却する熱交換器41と、第1の水素ガス供給配管16から分岐され、拡張用蓄圧器ユニット65−1,65−2,65−3を構成する第2の蓄圧器68−1,68−2と接続される第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−1,46−2,46−3と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素ステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の自動車として、水素ガスを燃料として用いる燃料電池搭載車両(「水素自動車」、或いは「水素エンジン自動車」ともいう)の開発が進められている。燃料電池搭載車両は、炭酸ガス、NOx、SOx等の排出がなく、水を排出するだけの環境にやさしい自動車とされている。
【0003】
上記燃料電池搭載車両は、燃料補給時には通常のガソリン自動車と同様に、その燃料である水素ガスを充填する水素ステーションまで走行し、該水素ステーションから水素ガスを補給する。
【0004】
水素ステーションとして、水素ガスを圧縮する圧縮機と、圧縮機により圧縮された水素ガスを貯蔵する蓄圧器と、蓄圧器から供給された水素ガスを冷媒により冷却する熱交換器と、熱交換器と接続され、冷却された高圧の水素ガスを燃料電池搭載車両の車載タンクに充填するディスペンサーとを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−202619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような水素ステーションにおいては、蓄圧器の内圧と燃料電池搭載車両の燃料タンクの内圧との圧力差(差圧)により水素を充填する方法を採用している。差圧充填では、蓄圧した水素を効率よく充填するために、通常、蓄圧器は複数の容器からなり、2つ以上の容器または容器群(以下、「蓄圧バンク」という)に区分し、各蓄圧バンクごとに充填を実施する。差圧充填の場合、差圧が大きいほど充填速度を早くすることが可能である。逆に差圧が小さいと、充填速度が遅くなるばかりではなく、燃料タンクの充填終了圧力も低くなる(所定圧力まで昇圧できない)可能性がある。
【0007】
主な差圧充填の動作は以下の通りである。
(1)燃料電池車の燃料タンクと水素ステーションのディスペンサーとを充填ノズルにより接続する。
(2)燃料電池搭載車両に搭載された「燃料タンクの内圧」を測定又は推定する。
(3)蓄圧器の各バンクの内圧を確認する。
(4)「蓄圧器の内圧>燃料タンクの内圧+α」の条件下であれば充填可能と認識する。ここでαは0より大きい任意の値
(5)充填動作開始(信号)により、ある1つの蓄圧バンク(第1蓄圧バンク)と燃料タンクの間を閉止している弁(以下、各蓄圧バンク充填自動弁という)が開く。
(6)第1蓄圧バンクから燃料タンクに水素が流れ込み、「蓄圧器の内圧」は水素が流出した分だけ低下し、「燃料タンクの内圧」は水素が流入した分だけ上昇する。
(7)充填時の燃料タンクの上昇速度はディスペンサー内の流量調整弁で適正に制御されている。また、充填流量は常時流量計で計測されている。
(8)「蓄圧器の内圧=燃料タンクの内圧+α」になれば、第1蓄圧バンクからの充填は終了し、第1蓄圧バンク充填自動弁が閉められる。
(9)第2蓄圧バンクからの充填に移行する。(上記(3)〜(8)の繰り返し)
(10)燃料タンクが所定圧力になれば充填は終了する。
【0008】
以上のように、差圧充填においては、1台充填を実施すると蓄圧器の内圧は低下することになる。ピーク時の利用台数が少ない場合(車が連続して充填に来ない場合)は、2台目の充填までに時間があるので、その間に圧縮機で蓄圧器に水素を充填し、蓄圧器を元の満充填状態に復帰することができる。よって、2台目への充填に際しても、1台目の充填と同様に、所定圧力まで高速で充填を完了できる。
【0009】
しかし、燃料電池搭載車両の普及が進み、ピーク時のステーション利用台数が多くなる(車が連続して充填に来る)と、2台目の充填までの時間を充分に確保できない事態が想定される。この場合、蓄圧器の満充填状態への復帰が不十分な状態となり、2台目の充填速度が遅くなる可能性がある。また、2台目の燃料タンクが所定圧力に達しない可能性もある。更に連続して3台目の充填になれば、充填速度低下及び充填終了圧力低下の可能性が高くなる。
【0010】
そこで本発明は、燃料電池搭載車両の大幅な普及が見込まれる将来においても、燃料電池搭載車両への連続充填時の充填速度低下及び充填終了圧力低下を緩和することが可能な水素ステーションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明によれば、水素ガスを圧縮する圧縮機と、前記圧縮機により圧縮された前記水素ガスを貯蔵する第1の蓄圧器と、前記圧縮機と前記第1の蓄圧器とを接続し、かつ前記圧縮された水素ガスを前記第1の蓄圧器に供給する第1の水素ガス供給配管と、前記第1の蓄圧器から供給された前記水素ガスを冷媒により冷却する熱交換器と、前記第1の水素ガス供給配管から分岐され、拡張用蓄圧器ユニットを構成する第2の蓄圧器と接続される第1の拡張ユニット接続用分岐ラインと、を有することを特徴とする水素ステーションが提供される。
【0012】
また、請求項2に係る発明によれば、前記第1の拡張ユニット接続用分岐ラインの端に、第1の接続部を有し、前記第1の接続部は、前記拡張用蓄圧器ユニットに設けられ、かつ前記第2の蓄圧器と接続された第2の接続部に対して着脱可能な構成とされていることを特徴とする請求項1記載の水素ステーションが提供される。
【0013】
また、請求項3に係る発明によれば、第1の支持台を有し、前記第1の支持台上に、前記圧縮機、前記第1の蓄圧器、前記第1の水素ガス供給配管、前記第1の拡張ユニット接続用分岐ライン、及び前記熱交換器を配置したことを特徴とする請求項1または2記載の水素ステーションが提供される。
【0014】
また、請求項4に係る発明によれば、前記拡張用蓄圧器ユニットは、前記第2の蓄圧器と、前記第2の接続部と前記第2の蓄圧器とを接続する第2の水素ガス供給配管と、前記第2の水素ガス供給配管から分岐され、他の前記拡張用蓄圧器ユニットに設けられた前記第2の蓄圧器と接続される第2の拡張ユニット接続用分岐ラインと、を有し、前記第1の支持台上に、前記第2の蓄圧器、前記第2の水素ガス供給配管、及び前記第2の拡張ユニット接続用分岐ラインを配置したことを特徴とする請求項3記載の水素ステーションが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の水素ステーションによれば、第2の蓄圧器を増設するための第1の拡張ユニット接続分岐配管が予め設けられていることから、ここに第2の蓄圧器を増設することで、燃料電池搭載車両1台あたり充填時の蓄圧器の内圧低下を低減し、連続充填時の充填速度低下及び充填終了圧力低下を緩和することができる。
【0016】
したがって本発明によれば、燃料電池搭載車両のピーク時のステーション利用台数が低い初期段階では、蓄圧器を構成する容器数を少数に抑えて水素ステーションの規模を小さく抑えられる一方、将来、燃料電池搭載車両の普及が進みピーク時のステーション利用台数が増加した場合にも十分対応可能な水素ステーションを提供できる。
【0017】
また、第1の拡張ユニット接続分岐配管が予め設けられていることから、ここに拡張用蓄圧器ユニットを接続するだけで容易に蓄圧器を増設できる。したがって、蓄圧器ユニットの増設に要する工事が不要または最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る水素ステーションの概略構成を示す平面図である。
【図2】図1に示す水素ステーションに3つの第1の拡張蓄圧器ユニットを接続した状態を模式的に示す平面図である。
【図3】図2に示す第1の拡張蓄圧器ユニットにそれぞれ第2の拡張蓄圧器ユニットを接続した状態を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示する各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の水素ステーションの寸法関係とは異なる場合がある。
【0020】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る水素ステーションの概略構成を示す平面図である。
図1を参照するに、本実施の形態の水素ステーション10は、第1の支持台12と、圧縮機13と、第1の水素ガス供給配管16と、バルブ17,18,22〜25,27〜29,32〜34,48−1,48−2,48−3、水素ガス導出配管21と、第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3と、第1の蓄圧器支持体37と、熱交換器41と、ディスペンサー45と、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−1,46−2,46−3と、第1の接続部47−1,47−2,47−3と、を有する。
【0021】
第1の支持台12は、矩形の板状部材である支持板(図示せず)と、該支持板の下面側に設けられ、設置場所から支持板を浮かせた状態で支持する複数の脚部(図示せず)と、を有する。第1の支持台12の上面12a(支持板の上面)は、平坦な面とされている。
【0022】
圧縮機13は、第1の支持台12の上面12aに配置されている。圧縮機13は、第1の水素ガス供給配管16に設けられており、第1の水素ガス供給配管16を介して、第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3のそれぞれと接続されている。また、圧縮機13は、第1の水素ガス供給配管16を介して、水素ガス供給源(図示せず)と接続されている。圧縮機13は、水素ガス供給源(図示せず)から供給された水素ガスを圧縮し、圧縮した水素ガスを第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3に供給する。
【0023】
第1の水素ガス供給配管16は、供給配管本体51と、供給配管本体51から分岐した第1分岐ライン52、第2分岐ライン53、及び第3分岐ライン54と、を有する。供給配管本体51は、一方の端が図示していない水素ガス供給源(図示せず)と接続される。
【0024】
第1の水素ガス供給配管16は、第1分岐ライン52、第2分岐ライン53、第3分岐ライン54のうち、いずれか1つのラインを介して圧縮機13と各第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3とを接続することで、第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3のそれぞれに対して圧縮された水素ガスを供給する。
【0025】
バルブ17は、圧縮機13と水素ガス供給源(図示せず)との間に位置する供給配管本体51に設けられている。バルブ17は、水素ガス供給源(図示せず)から供給される水素ガスを圧縮機13に供給するか否かの選択を行なう。
【0026】
バルブ18は、圧縮機13の下流側に位置する供給配管本体51に設けられている。第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3内に充填された水素ガスを熱交換器41に供給する際、バルブ18が閉じることで、圧縮機13側に水素ガスが流れることを防止する。
【0027】
水素ガス導出配管21は、第1分岐ライン52の中途部から分岐した第4分岐ライン55と、第2分岐ライン53の中途部から分岐した第5分岐ライン57と、第3分岐ライン54の中途部から分岐した第6分岐ライン58と、第4分岐ライン55、第5分岐ライン57又は第6分岐ライン58を介して第1の蓄圧器36−1〜36−3から導出された水素ガスをディスペンサー45に導く導出配管本体59と、を有する。
【0028】
なお、水素ガス導出配管21の後述するバルブ32,33,34の下流側には、供給配管本体51から分岐した配管56が接続されている。
【0029】
バルブ22は、配管56に設けられている。バルブ22は、第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3に水素ガスを導入(供給)する際、及び第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3から水素ガスを導出する際に閉じる。
【0030】
バルブ23は、第1の蓄圧器36−1の近傍に位置する第1分岐ライン52に設けられている。バルブ23は、第1の蓄圧器36−1から水素ガスを導出する際、及び第1の蓄圧器36−1内に水素ガスを導入(供給)する際に開く。
【0031】
バルブ24は、第1の蓄圧器36−2の近傍に位置する第2分岐ライン53に設けられている。バルブ24は、第1の蓄圧器36−2から水素ガスを導出する際、及び第1の蓄圧器36−2内に水素ガスを導入(供給)する際に開く。
【0032】
バルブ25は、第1の蓄圧器36−3の近傍に位置する第3分岐ライン54に設けられている。バルブ25は、第1の蓄圧器36−3から水素ガスを導出する際、及び第1の蓄圧器36−3内に水素ガスを導入(供給)する際に開く。
【0033】
バルブ27は、第1分岐ライン52の第4分岐ライン55接続位置より上流側に設けられている。バルブ27は、第1の蓄圧器36−1から水素ガスを導出するときに閉じ、第1の蓄圧器36−1内に水素ガスを導入するときに開く。
【0034】
バルブ28は、第2分岐ライン53の第5分岐ライン57接続位置より上流側に設けられている。バルブ28は、第1の蓄圧器36−2から水素ガスを導出するときに閉じ、第1の蓄圧器36−2内に水素ガスを導入するときに開く。
【0035】
バルブ29は、第3分岐ライン54の第6分岐ライン58接続位置より上流側に設けられている。バルブ29は、第1の蓄圧器36−3から水素ガスを導出するときに閉じ、第1の蓄圧器36−3内に水素ガスを導入するときに開く。
【0036】
バルブ32は、第4分岐ライン55に設けられている。バルブ32は、第1の蓄圧器36−1から水素ガスを導出するときに開き、第1の蓄圧器36−1内に水素ガスを導入するときに閉じる。
【0037】
バルブ33は、第5分岐ライン57に設けられている。バルブ33は、第1の蓄圧器36−2から水素ガスを導出するときに開き、第1の蓄圧器36−2内に水素ガスを導入するときに閉じる。
【0038】
バルブ34は、第6分岐ライン58に設けられている。バルブ34は、第1の蓄圧器36−3から水素ガスを導出するときに開き、第1の蓄圧器36−3内に水素ガスを導入するときに閉じる。
【0039】
第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3は、図示してはいないが、第1の支持台12上にそれぞれ2つずつ積み重ねられて配置されており、第1の支持台12上に固定された第1の蓄圧器支持体37に支持されている。
このように、第1の支持台12上に、第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3を積み重ねて配置することにより、第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3の占有面積を小さくすることが可能となるので、第1の支持台12の外形サイズを小型化することができる。
【0040】
第1の蓄圧器36−1は、バルブ23,32が開き、かつバルブ18,22,27が閉じた状態において、第1の蓄圧器36−1内に充填された高圧の水素ガスをディスペンサー45に供給する。
【0041】
第1の蓄圧器36−2は、バルブ24,33が開いた状態で、かつバルブ18,22,28が閉じた状態において、第1の蓄圧器36−2内に充填された高圧の水素ガスをディスペンサー45に供給する。
【0042】
第1の蓄圧器36−3は、バルブ25,34が開いた状態で、かつバルブ18,22,29が閉じた状態において、第1の蓄圧器36−2内に充填された高圧の水素ガスをディスペンサー45に供給する。
【0043】
なお、本実施の形態では、一例として、6本の第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3を設けた場合を例に挙げて説明したが、第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3の数は、使用する頻度等に応じて適宜選択することができ、6本に限定されない。
【0044】
熱交換器41は、第1の支持台12上に固定されている。熱交換器41は、図示していないが、ブライン等の冷媒(例えば、ギ酸カリウムを主成分とする混合物)が流通する流路内に水素ガスが移動する水素ガス用配管が配置された構成とされている。
熱交換器41は、ディスペンサー45に供給された水素ガスを冷却し、該冷却したガスをディスペンサー45に供給する。
【0045】
ディスペンサー45は、第1の支持台12上に固定されている。ディスペンサー45は、ディスペンス用ホース61を有する。ディスペンス用ホース61は、燃料電池搭載車両11の車載タンク48に冷却された水素ガスを充填する際、車載タンク48と接続されるホースである。
ディスペンサー54は、第1の蓄熱器36−1,36−2,36−3と車載タンク48との間の圧力差により、熱交換器41により冷却された水素ガスを車載タンク48内に充填する。
【0046】
図2は、図1に示す水素ステーションに3つの第1の拡張蓄圧器ユニットを接続した状態を模式的に示す平面図である。図2において、図1に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
図1を参照するに、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−1は、バルブ23の配設位置よりも下流側に位置する第1分岐ライン52から分岐されている。
図2を参照するに、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−1は、第1の拡張用蓄圧器ユニット65−1(拡張用蓄圧器ユニット)を構成する第2の蓄圧器68−1,68−2と接続されている。
【0047】
第1の接続部47−1は、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−1の端に設けられている。これにより、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−1は、第1の接続部47−1を介して、第2の蓄圧器68−1,68−2と接続される。第1の接続部47−1としては、例えば、メス型のカプラ(ソケット)を用いることができる。
【0048】
バルブ48−1は、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−1に設けられている。バルブ48−1は、第2の蓄圧器68−1,68−2内の水素ガスを第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−1に供給する際に開く。
【0049】
このように、第1の蓄圧器36−1の近傍に位置する第1分岐ライン52から分岐された第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−1と、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−1の端に設けられ、第2の蓄圧器68−1,68−2を備えた第1の拡張用蓄圧器ユニット65−1と接続される第1の接続部47−1と、を有することにより、第2の蓄圧器68−1,68−2を備えた第1の拡張用蓄圧器ユニット65−1を増設することが可能となる。
これにより、燃料電池搭載車両11の1台あたり充填時の蓄圧器の内圧低下を低減し、連続充填時の充填速度低下及び充填終了時の圧力低下を緩和することが可能となる。
【0050】
したがって、燃料電池搭載車両11のピーク時の水素ステーション10の利用台数が低い初期段階では、第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3の本数を少なくして水素ステーション10の規模を小さくすることができる。
【0051】
また、将来、燃料電池搭載車両11の普及が進みピーク時の水素ステーション10の利用台数が増加した際には、第1の拡張用蓄圧器ユニット65−1を増設することで、十分対応することができる。
【0052】
ここで、第1の拡張用蓄圧器ユニット65−1の構成について説明する。
図2を参照するに、第1の拡張用蓄圧器ユニット65−1は、第2の支持台66と、第2の蓄圧器68−1,68−2と、第2の蓄圧器支持体69と、第2の水素ガス供給配管71と、バルブ73,74と、第2の接続部76と、第2の拡張ユニット接続用分岐ライン78と、第3の接続部81と、を有する。
【0053】
第2の支持台66は、先に説明した第1の支持台12と比較して、外形サイズの小さい支持台である。第2の支持台66は、平坦な上面66aを有する。
第2の蓄圧器68−1,68−2は、それぞれ2つ設けられており、第2の支持台66の上面66aに積み重ねて配置されている。
【0054】
このように、複数(この場合、4つ)の第2の蓄圧器68−1,68−2を設け、第2の支持台66の上面66aに積み重ねて配置することにより、支持台66の上面66aの面積を小さくすることが可能となるため、第2の支持台66の外形サイズを小さくすることができる。また、第2の支持台66の外形サイズが小さくなることで、第1の拡張用蓄圧器ユニット65−1の設置場所の自由度を向上させることができる。
【0055】
なお、一例として、第2の蓄圧器68−1,68−2の数がそれぞれ2つの場合について説明したが、第2の蓄圧器68−1,68−2の数は、これに限定されない。また、第2の蓄圧器68−1,68−2の数が少ない場合には、第2の蓄圧器68−1,68−2を積み重ねて配置しなくてもよい。
【0056】
第2の蓄圧器支持体69は、第2の支持台66上に固定されており、積み重ねられた第2の蓄圧器68−1,68−2を支持している。
第2の水素ガス供給配管71は、供給管本体83と、第1分岐ライン84と、第2分岐ライン85と、を有する。供給管本体83の一方の端は、供給管本体83から分岐した第1分岐ライン84及び第2分岐ライン85と接続されている。
第1分岐ライン84は、第2の蓄圧器68−1と接続されている。第2分岐ライン85は、第2の蓄圧器68−2と接続されている。
【0057】
バルブ73は、第1分岐ライン84に設けられている。バルブ73は、水素ステーション10に第2の蓄圧器68−1内の水素ガスを供給する際に開かれる。
バルブ74は、第2分岐ライン85に設けられている。バルブ74は、水素ステーション10に第2の蓄圧器68−2内の水素ガスを供給する際に開かれる。
【0058】
第2の接続部76は、供給管本体83の端(第2の水素ガス供給配管71の端)に設けられている。第2の接続部76は、第1の接続部47−1と係合する部材であり、第1の接続部47−1に対して着脱可能な構成とされている。第2の接続部76としては、例えば、オス型のカプラ(プラグ)を用いることができる。
【0059】
このように、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−1の端に配置された第1の接続部47−1と、第2の蓄圧器68−1,68−2と接続された第2の水素ガス供給配管71の端に配置され、第1の接続部47−1に対して着脱可能な構成とされた第2の接続部76と、を設けることにより、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−1と第2の水素ガス供給配管71とを容易に接続することができる。
したがって、第1の拡張用蓄圧器ユニット65−1の増設に要する工事が不要または最小限に抑えることができる。
【0060】
図3は、図2に示す第1の拡張蓄圧器ユニットにそれぞれ第2の拡張蓄圧器ユニットを接続した状態を模式的に示す平面図である。図3において、図2に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0061】
図3を参照するに、第2の拡張ユニット接続用分岐ライン78は、第2分岐ライン85(第2の水素ガス供給配管71の構成要素)から分岐している。
このように、第2分岐ライン85から分岐された第2の拡張ユニット接続用分岐ライン78を設けることにより、第2の拡張ユニット接続用分岐ライン78と第1の拡張用蓄圧器ユニット65−1と同様な構成とされた第2の拡張用蓄圧器ユニット88(他の拡張用蓄圧器ユニット)に設けられた第2の蓄圧器68−1,68−2とを接続することが可能となるため、燃料電池搭載車両11の普及が進みピーク時のステーション利用台数がさらに増加した場合でも十分対応することができる。
【0062】
第3の接続部81は、第2の拡張ユニット接続用分岐ライン78の端に設けられている。第3の接続部81は、第2の拡張用蓄圧器ユニット88に設けられた第2の接続部76と係合すると共に、第2の接続部76に対して着脱可能な構成とされている。第3の接続部81としては、例えば、例えば、メス型のカプラ(ソケット)を用いることができる。
【0063】
このように、第2の拡張ユニット接続用分岐ライン78の端に、第2の拡張用蓄圧器ユニット88に設けられた第2の接続部76と係合する第3の接続部81を設けることにより、拡張用蓄圧器ユニット65−1と第2の拡張用蓄圧器ユニット88とを容易に接続することができる。
【0064】
図1を参照するに、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−2は、バルブ24の配設位置よりも下流側に位置する第2分岐ライン53から分岐されている。
【0065】
図2を参照するに、第1の接続部47−2は、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−2の端に設けられている。第1の接続部47−2には、第1の拡張用蓄圧器ユニット65−1と同様な構成とされた第1の拡張用蓄圧器ユニット65−2の第2の接続部76が接続されている。
これにより、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−2は、第1の拡張用蓄圧器ユニット65−2を構成する第2の蓄圧器68−1,68−2と接続されている。第1の接続部47−2としては、例えば、メス型のカプラ(ソケット)を用いることができる。
【0066】
バルブ48−2は、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−2に設けられている。バルブ48−2は、第2の蓄圧器68−1,68−2内の水素ガスを第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−2に供給する際に開く。
【0067】
このように、第1の蓄圧器36−2の近傍に位置する第2分岐ライン53から分岐された第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−2と、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−2の端に設けられ、第2の蓄圧器68−1,68−2を備えた第1の拡張用蓄圧器ユニット65−2と接続される第1の接続部47−2と、を有することにより、先に説明した第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−1及び第1の接続部47−1を設けた場合と同様な効果を得ることができる。
【0068】
図3を参照するに、第1の拡張用蓄圧器ユニット65−2の第3の接続部81には、第2の拡張用蓄圧器ユニット88が接続されている。
【0069】
図1を参照するに、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−3は、バルブ25の配設位置よりも下流側に位置する第3分岐ライン54から分岐されている。
【0070】
図2を参照するに、第1の接続部47−3は、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−3の端に設けられている。第1の接続部47−3には、第1の拡張用蓄圧器ユニット65−1と同様な構成とされた第1の拡張用蓄圧器ユニット65−3の第2の接続部76が接続されている。
これにより、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−3は、第1の拡張用蓄圧器ユニット65−3を構成する第2の蓄圧器68−1,68−2と接続されている。第1の接続部47−3としては、例えば、メス型のカプラ(ソケット)を用いることができる。
【0071】
バルブ48−3は、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−3に設けられている。バルブ48−3は、第2の蓄圧器68−1,68−2内の水素ガスを第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−3に供給する際に開く。
【0072】
このように、第1の蓄圧器36−3の近傍に位置する第3分岐ライン54から分岐された第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−3と、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−3の端に設けられ、第2の蓄圧器68−1,68−2を備えた第1の拡張用蓄圧器ユニット65−3と接続される第1の接続部47−3と、を有することにより、先に説明した第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−1及び第1の接続部47−1を設けた場合と同様な効果を得ることができる。
【0073】
図3を参照するに、第1の拡張用蓄圧器ユニット65−3の第3の接続部81には、第2の拡張用蓄圧器ユニット88が接続されている。
【0074】
本実施の形態の水素ステーションによれば、第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3の近傍に位置する分岐ライン(第1分岐ライン52、第2の分岐ライン53、第3の分岐ライン54のうちのいずれか)から分岐された第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−1,46−2,46−3と、第1の拡張ユニット接続用分岐ライン46−1,46−2,46−3の端に設けられ、第2の蓄圧器68−1,68−2を備えた第1の拡張用蓄圧器ユニット65−1,65−2,65−3のうちのいずれかと接続される第1の接続部47−1,47−2,47−3と、を有することにより、第2の蓄圧器68−1,68−2を備えた第1の拡張用蓄圧器ユニット65−1,65−2,65−3を増設することが可能となる。
【0075】
これにより、充填時における燃料電池搭載車両11の1台あたりの蓄圧器の内圧低下を低減することが可能になると共に、連続充填時の充填速度低下及び充填終了時の圧力低下を緩和することが可能となる。
【0076】
したがって、燃料電池搭載車両11のピーク時の水素ステーション10の利用台数が低い初期段階では、第1の蓄圧器36−1,36−2,36−3の本数を少なくして水素ステーション10の規模を小さくすることができる。
【0077】
また、将来、燃料電池搭載車両11の普及が進みピーク時の水素ステーション10の利用台数が増加した際には、第1の拡張用蓄圧器ユニット65−1,65−2,65−3を増設することで、十分対応することができる。
【0078】
また、第2分岐ライン85から分岐された第2の拡張ユニット接続用分岐ライン78を設けることにより、第2の拡張ユニット接続用分岐ライン78と第2の拡張用蓄圧器ユニット88に設けられた第2の蓄圧器68−1,68−2とを接続することが可能となるため、燃料電池搭載車両11の普及が進みピーク時の水素ステーション10の利用台数がさらに増加した際でも対応することができる。
【0079】
なお、図3に示す3つの第2の拡張用蓄圧器ユニット88に設けられた第3の接続部81に、第2の拡張用蓄圧器ユニット88と同様な構成とされた拡張用蓄圧器ユニット(図示せず)を接続してもよい。
【0080】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、燃料電池搭載車両の大幅な普及が見込まれる将来においても、燃料電池搭載車両への連続充填時の充填速度低下及び充填終了圧力低下を緩和することが可能な水素ステーションに適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
10…水素ステーション、11…燃料電池搭載車両、12…第1の支持台、12a,66a…上面、13…圧縮機、16…第1の水素ガス供給配管、17,18,22〜25,27〜29,32〜34,48−1,48−2,48−3,73,74…バルブ、21…水素ガス導出配管、36−1,36−2,36−3…第1の蓄圧器、37…第1の蓄圧器支持体、41…熱交換器、45…ディスペンサー、46−1,46−2,46−3…第1の拡張ユニット接続用分岐ライン、47−1,47−2,47−3…第1の接続部、49…車載タンク、51,83…供給配管本体、52,84…第1分岐ライン、53,85…第2分岐ライン、54…第3分岐ライン、55…第4分岐ライン、56…配管、57…第5分岐ライン、58…第6分岐ライン、59…導出配管本体、61…ディスペンス用ホース、65−1,65−2,65−3…第1の拡張用蓄圧器ユニット、66…第2の支持台、68−1,68−2…第2の蓄圧器、69…第2の蓄圧器支持体、71…第2の水素ガス供給配管、76…第2の接続部、78…第2の拡張ユニット接続用分岐ライン、81…第3の接続部、88…第2の拡張用蓄圧器ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガスを圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機により圧縮された前記水素ガスを貯蔵する第1の蓄圧器と、
前記圧縮機と前記第1の蓄圧器とを接続し、かつ前記圧縮された水素ガスを前記第1の蓄圧器に供給する第1の水素ガス供給配管と、
前記第1の蓄圧器から供給された前記水素ガスを冷媒により冷却する熱交換器と、
前記第1の水素ガス供給配管から分岐され、拡張用蓄圧器ユニットを構成する第2の蓄圧器と接続される第1の拡張ユニット接続用分岐ラインと、
を有することを特徴とする水素ステーション。
【請求項2】
前記第1の拡張ユニット接続用分岐ラインの端に、第1の接続部を有し、
前記第1の接続部は、前記拡張用蓄圧器ユニットに設けられ、かつ前記第2の蓄圧器と接続された第2の接続部に対して着脱可能な構成とされていることを特徴とする請求項1記載の水素ステーション。
【請求項3】
第1の支持台を有し、
前記第1の支持台上に、前記圧縮機、前記第1の蓄圧器、前記第1の水素ガス供給配管、前記第1の拡張ユニット接続用分岐ライン、及び前記熱交換器を配置したことを特徴とする請求項1または2記載の水素ステーション。
【請求項4】
前記拡張用蓄圧器ユニットは、
前記第2の蓄圧器と、
前記第2の接続部と前記第2の蓄圧器とを接続する第2の水素ガス供給配管と、
前記第2の水素ガス供給配管から分岐され、他の前記拡張用蓄圧器ユニットに設けられた前記第2の蓄圧器と接続される第2の拡張ユニット接続用分岐ラインと、を有し、
前記第1の支持台上に、前記第2の蓄圧器、前記第2の水素ガス供給配管、及び前記第2の拡張ユニット接続用分岐ラインを配置したことを特徴とする請求項3記載の水素ステーション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−57384(P2013−57384A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196856(P2011−196856)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)
【Fターム(参考)】