説明

水銀還元用触媒、水銀変換ユニットおよびこれを用いた排気ガス中の全水銀測定装置

【課題】 種々の金属酸化物や腐蝕性の強酸性ガスなどが共存する場合であっても、高い還元機能を維持できる水銀還元用触媒および水銀変換ユニットを提供すること。また、該水銀還元用触媒および水銀変換ユニットを用い、共存成分の影響を受けない、高精度で、かつ長期安定性の高い、連続測定が可能な排気ガス中の全水銀測定装置を提供すること。
【解決手段】 ゼオライト系モレキュラシーブを主剤とすることを特徴とする水銀還元用触媒。前記ゼオライト系モレキュラシーブが、モレキュラシーブ3A、モレキュラシーブ4A、モレキュラシーブ5A、およびモレキュラシーブ13Xのいずれかあるいはこれらいずれかの組合せであることを特徴とする。強酸性ガスに対する被毒抑制剤として高温安定塩類を含浸または混合することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水銀還元用触媒、水銀変換ユニットおよびこれを用いた排気ガス中の全水銀測定装置に関し、例えば、石炭燃焼排気ガス中の全水銀を測定する場合における、水銀還元用触媒、水銀変換ユニットおよびこれを用いた排気ガス中の全水銀測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃焼排気ガス中の全金属水銀の測定装置においては、JIS K 0222に規定される、連続測定法や金アマルガム捕集−濃縮操作を用いる稀釈測定法を用いた固定発生源用全水銀測定装置が使用されてきた。ここで、金アマルガムを用いる稀釈測定法とは、試料ガスを高温にて水銀化合物を金属水銀に還元後、稀釈して水銀を金アマルガムとして捕捉し、一定時間後高温にてアマルガム水銀を再気化させて紫外線吸光法で金属水銀を測定する方法である(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、昨今の用途の拡大に伴い、例えばごみ焼却炉などからの排気ガス中の水銀の測定においては、従前の方法では、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)や二酸化硫黄(SO)あるいは塩化水素(HCL)などの存在によって影響を受けることから、十分な精度を有する測定値を得ることが困難であった。現在、こうした測定方法の改善あるいは新たな測定方法の要請に対して、以下に示す種々の提案がなされている。
【0004】
具体的には、図7に示すように、汚泥や廃棄物の処理などの排気ガス中に含有されているガス状全水銀の連続分析法として、必要に応じ水銀含有ガスの加熱(約230℃)を行った後、水銀含有ガスをガス状のまま加熱(約200℃)した金属(金属錫、金属亜鉛等)からなる固体の還元触媒21で処理し、水銀含有ガス中の化合物水銀(塩化物、酸化物等)を金属水銀に還元し、フレームレス原子吸光分析装置22によって測定する方法が提案された(例えば特許文献1参照)。
【0005】
また、図8(A)および(B)に示すように、塩化第二水銀を含有するガス中の水銀を分析する装置31として、錫の粒子32の表面に塩化第一錫の被膜33を形成してなる還元剤34を還元反応器35内に充填し、還元装置36により、前記ガスを還元反応器35を通過させて、そのとき還元剤34により塩化第二水銀中のHg2+をHgに還元し、還元されたHgを分析器(フレームレス原子吸光分析装置)37で分析する。これにより、ガス中の塩化水素ガスの濃度が低い場合でも、正しく水銀分析を行うことができる(例えば特許文献2参照)。
【0006】
【非特許文献1】JIS K 0222−1997
【特許文献1】特公平1−54655号公報
【特許文献2】特開2001−33434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の測定方法あるいは測定装置を用いて、石炭燃焼排気ガス中の全水銀の測定を行った場合には、共存する排気ガス中の酸化セレンや酸化砒素(いずれも気体)などの金属酸化物による触媒の被毒や、共存するガス成分SO、NOおよび水分などによる触媒活性への影響など、正確な測定が困難であった。
【0008】
つまり、金属酸化物については、本発明者の検証によって、水銀化合物(2価水銀)の還元処理過程において、水銀化合物と同時に還元反応が起きて、水銀とアマルガムを作り易く、水銀が捕捉され、次第に測定値の低下をきたし、場合によっては水銀測定ができなくなることがあるとの知見を得た。特に、石炭燃焼排気ガスには、鉛(Pb)やセレン(Se)などの水銀とアマルガムを形成し易い金属の酸化物が比較的多く含まれていることから、その影響が無視できず、従前の方法では、その回避は困難であった。
【0009】
また、JIS K 0222に規定される金アマルガム捕集−濃縮操作を用いる稀釈測定法については、稀釈誤差が大きい、バッチ測定しかできない、高温還元触媒の性能劣化などの問題があった。さらに、これは高温触媒を使用するが、SOが高温度で酸化されSOミストを生成するため酸スクラバーを設置する必要があるという課題もあった。また、高温触媒に使用する接ガス材質、例えばステンレス鋼(SUS)などにより元素水銀が再び酸化され易く、触媒ユニットの構成部材の選定が必要である。
【0010】
このように、石炭燃焼排気ガスを対象とした全水銀測定装置に対する上記のような要請はあるものの、金アマルガム捕集−濃縮操作を用いる稀釈法以外の抽出サンプリング方式による水銀の連続測定装置は、実質的に未開発の状況であった。
【0011】
また、原子吸光分析法においては、紫外領域の光吸収を利用することから、石炭燃焼排気ガスに共存する数1000ppmレベルの高濃度のSOやNOの存在によって受ける干渉影響を無視することができない。
【0012】
そこで、この発明の目的は、こうした要請に対応し、石炭燃焼排気ガスなどのように、種々の金属酸化物や腐蝕性の強酸性ガスなどが共存する場合であっても、高い還元機能を維持できる水銀還元用触媒および水銀変換ユニットを提供することにある。また、該水銀還元用触媒および水銀変換ユニットを用い、共存成分の影響を受けない、高精度で、かつ長期安定性の高い、連続測定が可能な排気ガス中の全水銀測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す水銀還元用触媒、水銀変換ユニットおよびこれを用いた排気ガス中の全水銀測定装置によって、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0014】
本発明は、水銀還元用触媒であって、ゼオライト系モレキュラシーブを触媒成分の主剤とすることを特徴とする。
【0015】
上記のように、従前の全水銀測定装置では、石炭燃焼排気ガスなどのように種々の金属酸化物や腐蝕性の強酸性ガスなどが共存する場合には、触媒性能を維持し、共存成分の影響を受けない連続測定を行うことは困難であった。つまり、水銀還元用触媒としては、(A)水銀化合物(2価)に対する還元作用の選択性に加え、(B)金属酸化物との非反応性、特に鉛(Pb)やセレン(Se)などとアマルガムを形成しにくい特性、および(C)強酸性ガスなどに対する耐蝕性、が求められる。本発明者は、こうした化学的な影響を受けずに水銀の還元機能を有する種々の触媒を検討した結果、ゼオライト系触媒、特にゼオライト系モレキュラシーブを触媒成分の主剤とする触媒(以下「MS」という。)が水銀の還元機能に非常に有効であることを見出した。
【0016】
つまり、(A)選択性については、MSが有する吸着機能と、その名「モレキュラシーブ(分子篩)」の通り、分子篩機能によって得られる触媒表面での吸着選択性によって、水銀化合物(2価)に対して選択的に還元作用が働くと推考される。具体的な分子篩機能については、後述する。従来、MSは、石油精製工業で乾燥工程または脱硫工程において使用されてきたが、還元反応特に水銀還元用としての選択性に対するについての検討は殆どされていなかった。本発明は、こうした知見を利用することによって、高い選択性を有する水銀還元用触媒を確保することが可能となった。また、(B)金属酸化物との非反応性については、実証においても殆どその影響を受けることはなかった。後述するように、MSが有する吸着機能と分子篩機能に関連すると推考される。さらに(C)耐蝕性については、ゼオライトを基材とするMSにおいては本来的に有する特性であり、実証においても問題なかった。本発明は、以上のようなMSに係る種々の特性を活用することによって、高い還元機能を維持できる水銀還元用触媒を提供することを可能にしたものである。
【0017】
本発明は、上記水銀還元用触媒であって、前記ゼオライト系モレキュラシーブが、モレキュラシーブ3A、モレキュラシーブ4A、モレキュラシーブ5A、およびモレキュラシーブ13Xのいずれかあるいはこれらいずれかの組合せであることを特徴とする。
【0018】
上記のような分子篩機能は、MSの細孔に対象物である水銀化合物が選択的に吸着されることが重要である。つまり水銀化合物の分子径とMSの細孔径との関係が重要となる。例えば、石炭燃焼排気ガスなど各種排気ガス中には塩化第二水銀(HgCL)が多く含まれ、比較的大きな分子径を有する水銀化合物の代表とされる。このとき、HgCLは、直線形で、分子径Hg−CLは2.23〜2.27Å(×2)であり、MSの細孔径3〜10Åよりも小さいことからMSの細孔に容易に填り、細孔内に吸着されて篩い機能が働きやすい。つまり、水銀還元用触媒については、MSのうちにあっても、さらにその分子径に相当するMS3A,4A、5A、13Xが分子篩機能を強く有することから好ましい。こうした分子篩機能および吸着機能を生かすことによって、MSの細孔内に吸着されたHgCLは、加熱条件下においてHg−CL間を切断し元素水銀に変換することができ、排気ガス測定用などにおいてその触媒機能を発揮することができる。詳細なメカニズムについては、後述する。
【0019】
本発明は、上記水銀還元用触媒であって、強酸性ガスに対する被毒抑制剤として高温安定塩類を触媒成分に含浸または混合することを特徴とする。
【0020】
石炭燃焼排気ガスなどの排気ガス測定用などに用いられる水銀還元用触媒としては、上記(C)耐蝕性以外に、排気ガス中に含まれる強酸性ガスによる触媒活性の長期的な被毒作用を考慮することが重要である。特にSOについては、実証において高温酸化によるSOの生成とともに、触媒活性に対しても大きな影響を与えることが分かった。これに対して、種々の検討の結果、リン酸塩などをMSに含浸または混合処理することによって、こうした被毒を長期にわたり抑制することができることを実証したもので、MSにこうした処理を行うことによって、高い還元機能を維持できる水銀還元用触媒を提供することを可能にしたものである。
【0021】
ここで、「高温安定塩類」とは、300℃以上の比較的高温度域において、安定性の高い塩類をいい、具体的には、リン酸塩や亜硫酸塩あるいは亜硫酸塩を形成する塩基性物質などを挙げることができる。詳細は後述する。
【0022】
本発明は、上記水銀還元用触媒であって、前記モレキュラシーブまたはこれに高温安定塩類を含浸または混合した試剤をハニカム形状に成形することを特徴とする。
【0023】
石炭燃焼排気ガスなどの排気ガスを測定対象となる場合、試料中には多量のダストやミストなどを含むことが多く、水銀還元触媒として長期間使用する場合においては、触媒の有効表面積を如何に確保するかが重要となる。通常MSは粒状体として市販されることが多いが、粒状体の細粒化を行う方法については、長期の粒子間の衝突によるダストの発生を伴うおそれがあることから、MSまたはこれに高温安定塩類を含浸または混合した試剤をハニカム形状に成形することによって、触媒表面積の確保とともに触媒の磨耗を防止し、長期間の高い還元機能を維持できる水銀還元用触媒を提供することが可能となる。
【0024】
本発明は、上記いずれかの水銀還元用触媒をガラス、石英、セラミックスなどの無機質材料または金属として酸化処理したステンレス鋼、チタンを接ガス材料とする所定の容器に充填した水銀変換ユニットであって、該水銀還元用触媒の動作温度を300〜500℃とすることを特徴とする。
【0025】
一般に還元反応は高温ほど反応性高く、触媒作用も温度によって大きな影響を受けることから、所定の温度を維持することが好ましい。検証の結果、MSを水銀還元用触媒として所定の還元効率を確保し維持させるには、動作温度を300℃以上とすることが好ましいことが判った。一方、更なる高温条件下においてはSOの生成など副次的な問題の発生を伴うことから、実稼動時においては約500℃を上限値とすることが好ましいことが判った。また、触媒を充填する容器の接ガス材料については、ステンレス鋼(SUS)などは還元水銀が再び酸化され易く、ガラス、石英、セラミックスなどの無機質材料または金属として酸化処理したSUS、チタン(Ti)が好ましいことが判った。本発明は、水銀還元用触媒の動作温度を所定の範囲に維持し、接ガス材料を選定した水銀変換ユニットを提供できるようにすることによって、下記のような、共存成分の影響を受けない、高精度で、かつ長期安定性の高い、連続測定が可能な排気ガス中の全水銀測定装置に供することが可能となる。
【0026】
本発明は、上記いずれかの水銀還元用触媒または水銀変換ユニットを用いた排気ガス中の全水銀測定装置であって、試料採取流路の一部に該水銀還元用触媒または水銀変換ユニットを有し、その処理後の試料を紫外線吸光式分析計に導入することを特徴とする。
【0027】
上記のように、本発明に係る上記水銀還元用触媒または水銀変換ユニットは、種々の金属酸化物や腐蝕性の強酸性ガスなどが共存する場合であっても、高い還元機能を維持できるなど非常に優れた機能を有している。従って、試料採取流路の一部に水銀還元用触媒または水銀変換ユニットを設け、試料中の水銀化合物を元素水銀に還元・変換して紫外線吸光式分析計で測定する排気ガス中の全水銀測定装置に、こうした機能を適用すれば、非常に優れた全水銀測定装置を構成することが可能となる。特に、元素水銀に選択性を有する紫外線吸光式分析計を使用することによって、共存成分の影響を受けない、高精度で、かつ長期安定性の高い、連続測定が可能な排気ガス中の水銀分析装置を提供することが可能となる。
【0028】
本発明は、上記排気ガス中の全水銀測定装置であって、前記試料採取流路の水銀還元用触媒または水銀変換ユニットの前段階に、ミスト捕集剤または中和剤を使用することを特徴とする。
【0029】
上記のように、本発明に係る水銀還元用触媒または水銀変換ユニットについては、長期間の還元機能を維持するように使用温度を制限する(500℃以下)などの措置を適用している。しかしながら、試料自身に既にSOミストやオイルミストなど試料採取流路を腐蝕する物質あるいは触媒を被毒する物質が含まれる場合には、こうした処理だけでは十分といえないことがある。本発明はこうした場合に、試料採取流路の水銀還元用触媒または水銀変換ユニットの前段階に、ミスト捕集剤または中和剤を使用することによって、水銀還元用触媒または水銀変換ユニットの機能を長期間維持し、高精度で、かつ長期安定性の高い、連続測定を可能とするものである。
【発明の効果】
【0030】
以上のように、本発明によれば、従来困難であった石炭燃焼排気ガスなどのように種々の金属酸化物や腐蝕性の強酸性ガスなどが共存する場合であっても、高い還元機能を維持できる水銀還元用触媒および水銀変換ユニットを提供することが可能となった。また、共存成分の影響を受けない、高精度で、かつ長期安定性の高い、連続測定が可能な排気ガス中の全水銀測定装置を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0032】
<本発明に係る水銀還元触媒の基本的な構成>
本発明に係る水銀還元触媒は、ゼオライト系モレキュラシーブ(MS)を触媒成分の主剤とすることを基本的な構成とする。つまり、MSが有する吸着機能と分子篩機能という特異な機能を活かすことによって、水銀化合物(2価)に対して選択的に還元触媒作用が働き、元素水銀に変換されるものである。また、本発明は広くMSを主剤とする水銀還元用触媒をいい、共触媒として機能する物質や後述する触媒の被毒抑制剤などを付加し、水銀還元用触媒としての機能を高めた触媒をも含むものとする。
【0033】
ここで、MSの吸着機能は、合成ゼオライト(合成結晶アルミノケイ酸塩)の結晶内空洞に存在する強い電場が吸着物質との吸着力に影響するといわれている。具体的には、塩素などの極性物質や不飽和炭化水素などとは強い吸着力を有し、他の物質に優先して吸着し、容易に離脱しない。
【0034】
また、MSの分子篩機能は、結晶内に作製された空洞に繋がる均一な細孔の径によって支配され、この細孔を通過しうる分子径を有する物質のみが選択的に空洞で吸着することになる。なお、MSは、細孔径を基にいくつかの型名で区分され、その特性の相違を示している。本発明では、これらについて検討した結果、下表1に示すような、MS3A,4A、5A、13Xが分子篩機能を強く有することから好ましいとの知見を得た。なお、本発明は、広くMSを主剤とする水銀還元用触媒をいい、これらの区分を組合せた触媒をも含むものとする。
【0035】
以下、こうしたMSの有する機能を基に、水銀還元用触媒として要求される、(A)還元作用の選択性および(B)金属酸化物との非反応性について実証した内容を説明する。
【0036】
(A)MSの還元触媒機能
MSの水銀還元触媒機能については、水銀化合物(2価)に対する還元触媒作用の選択性が要求される。ここでは、石炭燃焼排気ガス中の主成分であるHgCLが触媒作用によって還元される場合を説明する。HgCLは、直線形で、分子径Hg−CLは2.23〜2.27Å(×2)であり、MSの細孔径3〜10Åよりも小さいことからMSの細孔に容易に填り、細孔内に吸着されて篩い機能が働きやすい。表1に、各MSとゼオライトの細孔径と主な吸着特性を示す。
【0037】
【表1】

【0038】
(A−1)還元反応の機構
このとき、MSの介在によって、次の還元反応が生じると推定される。つまり、
反応式:HgCL → <吸着・分解・離脱> → Hg + CL(吸着)
遊離CLは、MSに吸着されるほか他のアルカリ物質と反応して塩化物となる。反応の進行は、まずHgCLのCL原子をMS分子がより強く吸着し、Hg−CL結合が切断されるものと推定される。
【0039】
(A−2)MSの種類と還元効率
次に、実際に各MS3A、4A、5A、13Xを用いて、HgCLが触媒作用によって還元される場合について検証した。実証結果は、図1(触媒温度を400℃にて)に例示するように、細孔径の大きいほど還元効率が高くなり、MS13Xが最も高い還元効率を示した。つまり、400℃における還元効率の面からすれば、80%以上の効率を有するMS4A、5A、13Xが好ましく、より好ましくは、90%以上の効率を有するMS5、13Xが好ましいという結果が得られた。併せて、他の耐熱性吸着剤物質、ジルコニア、酸化アルミナについても同様に検証したが、殆ど還元できていなかった。
【0040】
(A−3)触媒温度と還元効率
上記のように、MSが水銀還元触媒として機能するためには、Hg−CL結合が切断する必要がある。つまり、この結合を切断する解離エネルギーの供給、特に結合エネルギー以上のエネルギーが必要とされる。Hg2+は、理論的には約600℃から熱分解して一部元素水銀を生成するといわれている。化学量論的に反応が進むといわれているが、実験的には反応速度が遅く、全水銀測定装置の前処理用として熱分解による水銀変換部として用いるには、850〜900℃の高温度条件での使用が必要となる。そこで、温度を指標としてMSの水銀還元触媒として機能する場合のHgCLの還元効率を追跡した。MS5Aを用い、SV=1000−1hr付近において実証した結果は、図2に例示するように、300℃以上において80%以上の効率を有することが判った。しかしながら、500℃を超える高温条件下においては、排気ガス中のSOの生成など副次的な問題の発生を伴うことから、実稼動時においては約500℃を上限値とすることが好ましい。つまり、MSを用いた水銀変換ユニットは、温度300〜500℃程度において水銀化合物、例えばHgCLの還元反応手段として好適であることが判った。また、触媒の動作温度を中温度域(300〜500℃)とすることによって、触媒の寿命を大きく伸ばすことができる。
【0041】
(B)金属酸化物との非反応性
上記のように、排気ガス中の全水銀測定装置においては水銀化合物の元素水銀への還元は不可欠である一方、石炭燃焼排気ガスなどの排気ガス中には、PbやSeなどの金属酸化物が比較的多く含まれていることから、水銀化合物の還元処理過程において、同時に金属酸化物との還元反応が起きて水銀とアマルガムを作り、水銀が捕捉されて正しい水銀測定ができなくなる。つまり、水銀還元触媒に対しては、こうした金属酸化物との非反応性、特にPbやSeなどとアマルガムを形成しにくい特性が必要となる。MSを主剤とする本発明に係る水銀還元用触媒であっては、従前の触媒に比較し非常に優れた金属酸化物との非反応性を有することを実証することができた。ここでは、特に問題となるSeOについて、検証を行った。
【0042】
(B−1)試験方法
(a)水銀還元用触媒にSeOを被毒させ、その前後のHgCLの還元効率の差異について検証した。水銀還元用触媒としてMS13Xを使用した。予めHgCLの発生濃度を確定した標準ガスを作製し触媒に導入してHg還元効率を確認した。次に、所定量(250μg/m)のSeOを混合した試料ガスを所定時間触媒に導入し、触媒の被毒を行った。SeOは触媒に吸着されるため、ガス状のSeOを通気して触媒後段の流路の導電率計を設けて通過するSeOを確認し、その導電率指示が上昇したところ、つまりSeOを吸着させた状態を完全被毒と判断した。その後、再度HgCLの標準ガスを通気し、触媒温度を400℃にてHg還元効率を確認した。両者の還元効率の差異について検証を行った。
【0043】
(b)SeOが存在しない状態とSeOが共存する状態について、HgCLの還元効率の差異について検証した。触媒温度を400℃にて水銀還元用触媒としてMS13Xを使用した。予めHgCLの発生濃度を確定した標準ガスを作製し触媒に導入してHg還元効率を確認する。次に、HgCLとSeOを所定量混合し各発生濃度を確定した試料ガスを作製し(HgCL:50μg/mを基準とし、SeO濃度を変化させる)、両者が共存する状態で触媒に試料ガスを導入し、Hg還元効率に対するSeO濃度の影響について試験を行った。
【0044】
(B−2)試験結果
(a)表2に示すように、SeO被毒前後のHgCLの還元効率は変化はなく、SeOの影響はなかった。
なお、図示はしないが、SeOについて、250μg/mまでの濃度を吸着飽和させた後でもHgCLの還元効率の影響はなかった。これは、SeOに限らず、SO、HOなどの共存において、この温度領域においても吸着力が持っているが、HgCLの吸着反応には影響を及ぼさない。つまり、SO、HOおよびHg−CLの吸着サイトがそれぞれ異なっているためか、あるいはSeOが吸着飽和状態になっても他のガスと分子半径が異なるためHgCLを高い還元効率が得られるものと推測される。
【0045】
【表2】

【0046】
(b)Hg還元効率に対するSeO濃度の影響を図3に示す。HgCLのみの還元効率と比べ、SeO共存状態でも効率に極端な低下は見られなかった。SeOを吸着しても、HgCLの還元機能に影響を及ぼさないことが判った。
なお、図示はしないが、HgCLと同濃度のSeOを添加したときHgの還元効率は、MSの種類により0〜5%程度低下する。これは、SeO分子の吸着作用が強いため一部HgCLの分解反応を阻害するものと考えられる。
【0047】
<触媒の被毒対策>
石炭燃焼排気ガス中には含まれるSOなどの強酸性ガスは、触媒活性の長期的な被毒作用を与えることがある。これに対しては、リン酸塩や亜硫酸塩(亜硫酸を形成する塩基性物質を含む)などの「高温安定塩類」をMSに含浸または混合処理することによって、こうした被毒を長期にわたり抑制することができることが判った。これによって、水銀還元用触媒について高い還元機能を維持することが可能となった。また、「高温安定塩類」に制限したのは、上記のように、水銀還元用触媒の使用温度は、300〜500℃が好適であり、かかる温度において化学的・物理的に安定な化合物であることが必要であるためである。
【0048】
(1)被毒抑制剤
SOなどの強酸性ガスに対する被毒抑制剤としては、高温安定塩類として、リン酸塩や亜硫酸塩あるいは亜硫酸を形成する塩基性物質を1種類または2種類以上混同して用いることが好ましい。亜硫酸を形成する塩基性物質については、共存SOガスとの反応で、亜硫酸塩を生成または形成することでSOガスによる吸着や反応性を防ぐためと考えられる。塩類物質の含浸量は、MSの質量に対して、重量比で5〜30%程度とし、MSの水銀化合物の還元反応効率を低下させない割合とする。また、MSの吸着力を抑制する物質でリン酸塩類のほか炭酸塩や水酸化物も有効である。さらに、こうした高温安定塩類2種類以上混同して用いることによって、SO以外のNOやCLなど排気ガス中に共存する強酸性ガスに対する被毒抑制効果を期待することができる。
【0049】
(2)処理方法
SO被毒抑制剤の処理方法は、粒状あるいは粉状MSにリン酸塩類、亜硫酸塩類(亜硫酸を形成する化合物を含む)などを混合する方法や、リン酸塩類や亜硫酸塩類の水溶液に粒状あるいは粉状MSを含浸する方法がある。
例えば、粒状MSを処理する場合においては、前処理として市販の粒状MS(1.5φ×3mm〜3φ×4mm)を600〜800℃にて6時間以上加熱処理を行ったものを使用する。具体的なSO被毒抑制剤の処理は、高温安定塩物質を一定量純水に溶かした後、MSを加えて、55℃において乾燥を行い、さらに真空乾燥機にて150℃で12時間乾燥する。
【0050】
<水銀変換ユニットおよび触媒の成形>
上記の処理によって作製された水銀還元用触媒3は、図4(A)に例示するような容器2に充填された水銀変換ユニット1を用いて、例えば、後述する排気ガス中の全水銀測定装置の試料処理流路に設置される。容器2は、堅牢で、耐蝕性・耐熱性がある素材で構成され、接ガス材料は、ステンレス鋼(SUS)などは還元水銀が再び酸化され易いことから、無機質材料としてガラス、石英、セラミックスなどが好ましく、また金属として酸化処理したSUS、Tiを接ガス材料とすることが好ましい。また、排気ガス中のダスト等が多い場合には、除塵用のフィルタ(図示せず)を設けることも可能である。水銀変換ユニット1には、所望の水銀還元効率を確保できるように、水銀還元用触媒3を最適な温度に制御する加熱手段4が設けられている。石炭燃焼排気ガス中の全水銀測定装置に用いる場合には、水銀還元用触媒3としてMSが充填され、動作温度を300〜500℃に維持される。
【0051】
このとき、触媒の成形は、市販の粒状MSをそのまま使用する場合には、特に必要とされないが、高温安定塩類を用いる場合には、粉状MSに1種類または2種類以上の高温安定塩類を含浸または混合した後、粒子状またはハニカム形状に成形することが好ましい。予め含浸または混合することによって、均一な被毒抑制効果を得ることができる。ここで、図4(B)に例示するようなハニカム型触媒を成形する場合には、高温安定塩類を1種類または2種類以上混合した後に成形することによって、大きな表面積に均一に。ハニカム型触媒を使用した場合には、1次フィルタのブローバックが可能となる。
【0052】
<排気ガス中の全水銀測定装置の構成>
図5は、上記水銀還元用触媒あるいは水銀変換ユニット1を用いた排気ガス中の全水銀測定装置の1つの構成を例示する。本構成においては、2価の水銀(Hg2+)と元素水銀(Hg)などのように同一元素を含む相互に変換可能な複数の成分の全水銀(Hg2++Hg)を測定対象とする場合に適している。つまり、試料ガス中のHg2+を上記水銀還元用触媒あるいは水銀変換ユニット1を用いて最初に測定対象となる水銀化合物の全量をHgに変換した後、このガスからHgを選択的に除去したガスとの比較によって、他の共存成分の影響やバックグランドを排除することが可能となる。以下、具体的な実施態様として、測定手段として紫外線吸光式分析計10を用いた排気ガス中の全水銀測定装置に本発明を適用した場合を、その一例として説明する。
【0053】
本構成は、Hg2+およびHgを測定対象とし、
(1)試料処理手段として、Hg2+を選択的にHgに変換する水銀変換ユニット1、試料ガス流路aを分岐した一方の流路cにHgを選択的に除去する精製器11を備え、
(2)校正手段として、Hg2+およびHgを含まないゼロガスを供給するゼロガス供給手段12a、所定濃度のHgを供給するスパンガス供給手段12bを備え、
(3)測定手段として、Hgの濃度を選択的に検出する紫外線吸光式分析計10を備え、
演算処理手段(図示せず)において、Hgの検出機能、校正機能、および試料処理手段の処理機能のチェックを行うとともに、各機能に基づく処理を行う。
【0054】
試料は、試料入口(試料採取手段に相当)13から紫外線吸光式分析計10の下流側に設けられた吸引ポンプ14によって吸引採取される。採取された試料は、ダストフィルタ15によって清浄にした後、バルブV1を介して流路aに設けられた水銀変換ユニット1を経由して二分され、一方(流路c)は精製器11によって試料中のHgが除去されて流路抵抗16aを経由して紫外線吸光式分析計10に導入され、他方(流路b)は何も処理されずに流路抵抗16b,16aを経由して紫外線吸光式分析計10に導入される。吸引ポンプ14を配設した流路には、これと並列的に圧力調整器14aを設けることによって、常に上流側から吸引可能な状態を形成することによって吸引ポンプ14の負荷を軽減し、吸引圧力を安定に調整することができる。このとき、接ガス材としては、安価なガラス、石英、セラミックスなどのほか金属としてTi、酸化処理SUSを使用することができる。
【0055】
通常の測定時は、流路bと流路cが周期的に切り換えられ、両者の差異からHg2+が紫外線吸光式分析計10によって検出される。両流路の切換は、紫外線吸光式分析計10の上流に設けられた電磁弁(バルブ)Vfによって行われる。ゼロ校正時は、ゼロガスが校正ガス入口12a(ゼロガス供給手段12aに相当)から導入され、流路dを経由して紫外線吸光式分析計10に導入される。スパン校正時は、校正ガス入口12aからゼロガスが導入された発生器12b(スパンガス供給手段12bに相当)から発生した所定濃度のスパンガスが、流路dを経由して紫外線吸光式分析計10に導入される。バルブVfの切り換えは、通常0.5秒〜30秒程度の周期で行われる。測定時、校正時およびチェック時の詳細は、後述する。
【0056】
紫外線吸光式分析計10は、図示しないが、紫外線光源部、試料セル部、紫外線検出器および光学フィルタからなる光学系を形成し、試料セル部に導入された試料中のHgによる紫外領域の光の吸収量を紫外線検出器によって検出することによって、試料中のHgの濃度を測定することができる。
【0057】
精製器11としては、例えば活性炭などの吸着剤を用いることによって、試料中のHgを選択的に吸着・除去することができる。また、例えばPt−シリカ系やPd−アルミナ系あるいはVなどの触媒を用いて、試料中のHgを紫外線吸光式分析計10が検出できないHg2+に酸化することによって、Hgを選択的に除去することができる。このとき、精製器11として酸化触媒を用いた場合には、動作温度を水銀変換ユニット1と同じ中温度域(例えば300〜400℃)とすることが可能であり、両者を同一ユニット内に収納でき、温度制御機構の統一、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0058】
校正あるいはチェック用の所定濃度のHgガスは、高圧ガスとして準備することができず、発生器12bを用いることが必要である。例えば、ゼロガスを所定温度に維持されたHgの表層を通過させる方法、あるいはパーミエーションチューブをHg液槽に浸し浸透するHgをゼロガスに混合させることによって、所定濃度のHgガスを得ることができる。また、これをゼロガスにより希釈することによって低濃度のHgガスを得ることができる。
【0059】
図6は、本発明に係る水銀還元用触媒あるいは水銀変換ユニット1を用いた排気ガス中の全水銀測定装置の他の構成を例示する。上記排気ガス中の全水銀測定装置の試料採取流路の水銀変換ユニット1の前段階に、ミスト捕集剤または中和剤を充填したスクラバユニット17を配設したことを特徴とする。
【0060】
試料中にSOミストやオイルミストなど試料採取流路を腐蝕する物質あるいは触媒を被毒する物質が多く含まれる場合において、スクラバユニット17を用いてこれらを除去することによって、水銀変換ユニット1の水銀還元機能を長期間維持し、高精度で、かつ長期安定性の高い、連続測定を可能とするものである。
【0061】
ミスト捕集剤としては、多孔質性のシリカ/アルミナ系の吸着剤などを用いることによって、排ガス中のSOミストやオイルミストなどを除去することができる。また、強酸性ガスに対する中和剤としては、前記被毒抑制剤である亜硫酸塩を形成する塩基性物質を用いることによって、排ガス中のHCLやCLなどを除去することができる。
【0062】
以上のような排気ガス中の全水銀測定装置によって、従前実用化が困難であった石炭排気ガス中の全金属水銀の正確かつ高感度での計測を実現することが可能となった。特に、水銀還元用触媒の動作温度を中温度域(300〜500℃)とすることができることにより、排気ガス中の金属酸化物の還元反応が起きず、アマルガムが発生しないため、排気ガス中の水銀の連続測定が妨害されることがない。また、従前の標準測定法とされてきた金アマルガム捕集−濃縮操作を用いる稀釈法に比べて、稀釈エア源や定流量装置が不要となり、サンプリング系がシンプルであり、メンテナンスが容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上においては、本発明を、主として石炭燃焼排気ガス等の排気ガス中の水銀還元用触媒、水銀変換ユニットおよび全水銀測定装置に適用する場合について述べたが、プロセスガス等において組成が類似する試料や各種プロセス研究用などについても、適用することが可能である。また、SOや金属酸化物などが共存する試料を測定する場合には、特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】モレキュラシーブの種類と還元効率試験の結果を示す説明図。
【図2】モレキュラシーブの還元効率についての温度特性を示す説明図。
【図3】Hg還元効率に対する共存する酸化セシウム(SeO)の影響を示す説明図。
【図4】水銀変換ユニットおよび触媒の成形を概略的に例示する説明図。
【図5】排気ガス中の全水銀測定装置の1つの構成を例示する説明図。
【図6】排気ガス中の全水銀測定装置の他の構成を例示する説明図。
【図7】従来技術に係る排気ガス中のガス状全水銀の連続分析法の1つの構成を例示する説明図。
【図8】従来技術に係る排気ガス中のガス状全水銀の連続分析法の他の構成を例示する説明図。
【符号の説明】
【0065】
1 水銀変換ユニット
2 容器
3 水銀還元用触媒
4 加熱手段
10 紫外線吸光式分析計
11 精製器
17 スクラバユニット
a〜d 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライト系モレキュラシーブを触媒成分の主剤とすることを特徴とする水銀還元用触媒。
【請求項2】
前記ゼオライト系モレキュラシーブが、モレキュラシーブ3A、モレキュラシーブ4A、モレキュラシーブ5A、およびモレキュラシーブ13Xのいずれかあるいはこれらいずれかの組合せであることを特徴とする請求項1記載の水銀還元用触媒。
【請求項3】
強酸性ガスに対する被毒抑制剤として高温安定塩類を触媒成分に含浸または混合することを特徴とする請求項1または2記載の水銀還元用触媒。
【請求項4】
前記モレキュラシーブまたはこれに高温安定塩類を含浸または混合した試剤をハニカム形状に成形することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水銀還元用触媒。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の水銀還元用触媒をガラス、石英、セラミックスなどの無機質材料または金属として酸化処理したステンレス鋼、チタンを接ガス材料とする所定の容器に充填した水銀変換ユニットであって、該水銀還元用触媒の動作温度を300〜500℃とすることを特徴とする水銀変換ユニット。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の水銀還元用触媒または請求項5記載の水銀変換ユニットを用いた全水銀測定装置であって、試料採取流路の一部に該水銀還元用触媒または水銀変換ユニットを有し、その処理後の試料を紫外線吸光式分析計に導入することを特徴とする排気ガス中の全水銀測定装置。
【請求項7】
前記試料採取流路の水銀還元用触媒または水銀変換ユニットの前段階に、ミスト捕集剤または中和剤を使用することを特徴とする請求項6記載の排気ガス中の全水銀測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−268427(P2007−268427A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97670(P2006−97670)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(599102310)日本インスツルメンツ株式会社 (20)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】