説明

水陸両用車の経路探索装置

【課題】水陸両用車が上陸する際の安全な経路を自動的に探索する経路探索装置を提供する。
【解決手段】水陸両用車から陸上までの距離を一辺の長さとする矩形の大エリアと、これを分割した矩形の小エリアとを設定する経路探索エリア設定部37と、小エリアごとに水上経路評価のための情報と水際経路評価のための情報と陸上経路評価のための情報とを取得する情報取得部31と、小エリアごとに水上経路評価のための情報に基づき危険度スコアを決定して第1判定値Tを求める水上経路評価部33と、小エリアごとに水際経路評価のための情報に基づき危険度スコアを決定して第2判定値Tを求める水際経路評価部32と、小エリアごとに陸上経路評価のための情報に基づき危険度スコアを決定して第3判定値Tを求める陸上経路評価部34と、小エリアごとに第1〜第3判定値Tに基づいて危険度評価値を決定する評価切替部35及び経路探索部36とを有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水陸両用車の移動経路を探索する経路探索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図21(a)には水陸両用車1が水上3から水際5を経て陸上6へ移動(上陸)する様子を示している。図21(a)に示すように、水陸両用車1は、水陸両用車1に装備されているウォータジェット2によって水上3を航行し、水陸両用車21に装備されている装軌4とウォータジェット2の両方によって水際5の海底7を走行し、装軌4によって陸上6を走行する。
【0003】
そして、従来、この水陸両用車1が上陸する際には、水陸両用車1の乗員が地図情報と目視によって水陸両用車1の移動経路を決めていた。図21(b)には水陸両用車1の乗員の視界を示している。図21(b)において、11は水上3や水際5における水面、12は陸上6における砂浜部分、13は陸上6における砂浜12よりも先の部分(道路など)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−325320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば図21(a)に示すように水上3や水際5において海底7に突起8,9などがあったとしても、霧の発生や水面11における光の反射などによって乗員の視界が悪い場合や、突起8,9が水陸両用車1の車体の影になっている場合などには、乗員が突起8,9を発見することができないことがある。
【0006】
この場合には突起8,9を避けて水陸両用車1を移動させることができないため、突起8,9が高さによっては水陸両用車1が、突起8,9を乗り越えることができず、図21(a)に一点鎖線で示すように突起8,9に乗り上げて座礁してしまうおそれがあった。
【0007】
従って本発明は上記の事情に鑑み、水陸両用車が水上から水際を経て陸上へ移動する際の安全な移動経路を自動的に探索することができる水陸両用車の経路探索装置を提供することを課題とする。
なお、上記の特許文献1には一般車両の目的地までの大まかな移動経路をデータベースから入手する手段が開示されているが、これは本願発明のような数m単位での細かな経路探索を行うものでなはい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する第1発明の水陸両用車の経路探索装置は、水陸両用車が水上から水際を経て陸上へと移動する際に前記水陸両用車の移動経路を探索する経路探索装置であって、
距離計測手段によって計測した前記水陸両用車から前記陸上までの距離を一辺の長さとする矩形の大エリアと、この大エリアを分割した複数の矩形の小エリアとを、経路探索エリアとして設定する経路探索エリア設定手段と、
前記小エリアごとに、水上経路評価のための情報と、水際経路評価のための情報と、陸上経路評価のための情報とを取得する情報取得手段と、
前記小エリアごとに、前記水上経路評価のための情報に基づいて危険度スコアを決定し、この危険度スコアに基づいて第1の判定値を求める水上経路評価手段と、
前記小エリアごとに、前記水際経路評価のための情報に基づいて危険度スコアを決定し、この危険度スコアに基づいて第2の判定値を求める水際経路評価手段と、
前記小エリアごとに、前記陸上経路評価のための情報に基づいて危険度スコアを決定し、この危険度スコアに基づいて第3の判定値を求める陸上経路評価手段と、
前記小エリアごとに、前記水上経路評価手段で求めた第1の判定値と、前記水際経路評価手段で求めた第2の判定値と、前記陸上経路評価手段で求めた第3の判定値とに基づいて危険度評価値を決定する経路探索手段と、
を有することを特徴とする。
【0009】
また、第2発明の水陸両用車の経路探索装置は、第1発明の水陸両用車の経路探索装置において、
前記経路探索手段では、前記小エリアごとに決定した前記危険度評価値の総和が最小となる経路を最適経路として決定することを特徴とする。
【0010】
また、第3発明の水陸両用車の経路探索装置は、第1又は第2発明の水陸両用車の経路探索装置において、
前記情報取得手段で取得する前記水際経路評価のための情報は、水底情報取得手段によって取得する水底情報と、障害物情報取得手段によって取得する水面上の障害物情報と、水深情報取手段によって取得する水深情報であり、
前記水際経路評価手段では、前記水底情報に基づいて決定する危険度スコアと、前記障害物情報に基づいて決定する危険度スコアと、前記水深情報に基づいて決定する危険度スコアとに基づいて前記判定値を求めること、
を特徴とする。
【0011】
また、第4発明の水陸両用車の経路探索装置は、第1〜第3発明の何れか1つの水陸両用車の経路探索装置において、
前記情報取得手段で取得する前記水上経路評価のための情報は、水深情報取手段によって取得する水深情報と、水底情報取得手段によって取得する水底情報であり、
前記水上経路評価手段では、前記水深情報に基づいて決定する危険度スコアと、前記水底情報に基づいて決定する危険度スコアとに基づいて前記判定値を求めること、
を特徴とする。
【0012】
また、第5発明の水陸両用車の経路探索装置は、第1〜第4発明の何れか1つの水陸両用車の経路探索装置において、
前記情報取得手段で取得する前記陸上経路評価のための情報は、障害物情報取得手段によって取得する陸上の障害物情報と、路面幅情報取得手段によって取得する路面幅情報であり、
前記陸上経路評価手段では、前記障害物情報に基づいて決定する危険度スコアと、前記路面幅情報に基づいて決定する危険度スコアとに基づいて前記判定値を求めること、
を特徴とする。
【0013】
また、第6発明の水陸両用車の経路探索装置は、第1又は第2発明の水陸両用車の経路探索装置において、
前記情報取得手段では、前記水陸両用車に搭載されている車載センサの計測範囲内の小エリアに関しては、前記車載センサの計測情報を選択することにより、前記車載センサの計測情報に基づいて前記水際経路評価のための情報を取得し、前記車載センサの計測範囲外の小エリアに関しては、前記車載センサの計測範囲外へ投下した飛翔物に搭載されている飛翔物搭載センサの計測情報を選択することにより、前記飛翔物搭載センサの計測情報に基づいて前記水際経路評価のための情報を取得することを特徴とする。
【0014】
また、第7発明の水陸両用車の経路探索装置は、第1〜第6発明の何れか1つの水陸両用車の経路探索装置において、
前記水上経路評価手段、前記水際経路評価手段又は前記陸上経路評価手段では、補正情報の有無を確認し、前記補正情報が有る場合には補正用の危険度スコアに基づいて前記判定値を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1発明の水陸両用車の経路探索装置によれば、第1発明の水陸両用車の経路探索装置は、水陸両用車が水上から水際を経て陸上へと移動する際に前記水陸両用車の移動経路を探索する経路探索装置であって、距離計測手段によって計測した前記水陸両用車から前記陸上までの距離を一辺の長さとする矩形の大エリアと、この大エリアを分割した複数の矩形の小エリアとを、経路探索エリアとして設定する経路探索エリア設定手段と、前記小エリアごとに、水上経路評価のための情報と、水際経路評価のための情報と、陸上経路評価のための情報とを取得する情報取得手段と、前記小エリアごとに、前記水上経路評価のための情報に基づいて危険度スコアを決定し、この危険度スコアに基づいて第1の判定値を求める水上経路評価手段と、前記小エリアごとに、前記水際経路評価のための情報に基づいて危険度スコアを決定し、この危険度スコアに基づいて第2の判定値を求める水際経路評価手段と、前記小エリアごとに、前記陸上経路評価のための情報に基づいて危険度スコアを決定し、この危険度スコアに基づいて第3の判定値を求める陸上経路評価手段と、前記小エリアごとに、前記水上経路評価手段で求めた第1の判定値と、前記水際経路評価手段で求めた第2の判定値と、前記陸上経路評価手段で求めた第3の判定値とに基づいて危険度評価値を決定する経路探索手段とを有することを特徴としているため、水陸両用車の乗員は、水陸両用車を水上から水際を経て陸上へ移動させる際、経路探索装置で決定された各小エリアの危険度評価値を確認することにより、危険度が小さくて安全な移動経路を選択して水陸両用車を移動させることができる。また、経路探索装置によって自動的に経路探索を行うため、乗員の負担が軽減する。
【0016】
第2発明の水陸両用車の経路探索装置によれば、第1発明の水陸両用車の経路探索装置において、前記経路探索手段では、前記小エリアごとに決定した前記危険度評価値の総和が最小となる経路を最適経路として決定することを特徴としているため、水陸両用車の乗員は、経路探索装置で決定された最適経路を確認することにより、最も危険度の小さくて安全な移動経路を選択して水陸両用車を移動させることができる。
【0017】
第3発明の水陸両用車の経路探索装置によれば、第1又は第2発明の水陸両用車の経路探索装置において、前記情報取得手段で取得する前記水際経路評価のための情報は、水底情報取得手段によって取得する水底情報と、障害物情報取得手段によって取得する水面上の障害物情報と、水深情報取手段によって取得する水深情報であり、前記水際経路評価手段では、前記水底情報に基づいて決定する危険度スコアと、前記障害物情報に基づいて決定する危険度スコアと、前記水深情報に基づいて決定する危険度スコアとに基づいて前記判定値を求めることを特徴としており、複数の情報に基づいて危険度評価値が決定されるため、水際経路探索における危険度評価の精度を向上させることができる。
【0018】
第4発明の水陸両用車の経路探索装置によれば、第1〜第3発明の何れか1つの水陸両用車の経路探索装置において、前記情報取得手段で取得する前記水上経路評価のための情報は、水深情報取手段によって取得する水深情報と、水底情報取得手段によって取得する水底情報であり、前記水上経路評価手段では、前記水深情報に基づいて決定する危険度スコアと、前記水底情報に基づいて決定する危険度スコアとに基づいて前記判定値を求めることを特徴としており、複数の情報に基づいて危険度評価値が決定されるため、水陸経路探索における危険度評価の精度を向上させることができる。
【0019】
第5発明の水陸両用車の経路探索装置によれば、第1〜第4発明の何れか1つの水陸両用車の経路探索装置において、前記情報取得手段で取得する前記陸上経路評価のための情報は、障害物情報取得手段によって取得する陸上の障害物情報と、路面幅情報取得手段によって取得する路面幅情報であり、前記陸上経路評価手段では、前記障害物情報に基づいて決定する危険度スコアと、前記路面幅情報に基づいて決定する危険度スコアとに基づいて前記判定値を求めることを特徴としており、複数の情報に基づいて危険度評価値が決定されるため、陸上経路探索における危険度評価の精度を向上させることができる。
【0020】
第6発明の水陸両用車の経路探索装置によれば、第1又は第2発明の水陸両用車の経路探索装置において、前記情報取得手段では、前記水陸両用車に搭載されている車載センサの計測範囲内の小エリアに関しては、前記車載センサの計測情報を選択することにより、前記車載センサの計測情報に基づいて前記水際経路評価のための情報を取得し、前記車載センサの計測範囲外の小エリアに関しては、前記車載センサの計測範囲外へ投下した飛翔物に搭載されている飛翔物搭載センサの計測情報を選択することにより、前記飛翔物搭載センサの計測情報に基づいて前記水際経路評価のための情報を取得することを特徴としており、車載センサの計測範囲外にも経路探索エリアを設定することができるため、経路探索装置の適用範囲を拡大することができる。
【0021】
第7発明の水陸両用車の経路探索装置によれば、第1〜第6発明の何れか1つの水陸両用車の経路探索装置において、前記水上経路評価手段、前記水際経路評価手段又は前記陸上経路評価手段では、補正情報の有無を確認し、前記補正情報が有る場合には補正用の危険度スコアに基づいて前記判定値を補正することを特徴としているため、危険度評価の精度を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態例1に係る経路探索装置を備えた水陸両用車が、水上から水際を経て陸上へ移動する様子を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態例1に係る水陸両用車の経路探索装置の構成を示すブロック図である。
【図3】経路探索エリア設定部における経路探索エリア設定処理の説明図である。
【図4】ソナーを用いて海底情報を取得する場合の海底情報取得部の構成などを具体的に示すブロック図である。
【図5】GPS受信機及び海図データベースを用いて海底情報を取得する場合の海底情報取得部の構成などを具体的に示すブロック図である。
【図6】前記ソナーによる超音波反射強度及び超音波反射時間の計測点を示す図である。
【図7】(a)及び(b)は反射データ補間部における反射データ(超音波反射強度及び超音波反射時間)の補間処理の説明図である。
【図8】(a)及び(b)は最浅点算出部における最浅点算出処理の説明図である。
【図9】(a)及び(b)は平均反射強度算出部における平均反射強度算出処理の説明図である。
【図10】(a)及び(b)は水深データ補間部における水深の補間処理の説明図である。
【図11】水際経路評価部における各評価部の評価項目及び危険度スコアを示す図である。
【図12】水際経路評価部の海底形状評価部における海底形状評価処理の説明図である。
【図13】水上経路評価部及び陸上経路評価部における各評価部の評価項目及び危険度スコアを示す図である。
【図14】水上経路評価部の海底形状評価部における海底形状評価処理の説明図である。
【図15】経路探索部における危険度評価値の決定処理のフローチャートである。
【図16】(a)は経路探索部における危険度評価値の決定結果を示す図、(b)は経路探索部における最適経路の決定結果を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態例2に係る水陸両用車の経路探索装置の要部構成を示すブロック図である。
【図18】情報選択部における情報選択処理のフローチャートである。
【図19】(a)は本発明の実施の形態例2に係る水陸両用車の経路探索装置に関する車載センサと飛翔物搭載センサの計測範囲を示す図、(b)は車載センサ情報選択範囲の小エリアと飛翔物搭載センサ情報選択範囲の小エリアを示す図である。
【図20】本発明の実施の形態例3に係る水陸両用車の経路探索装置の水際経路評価部における各評価部の評価項目及び危険度スコアを示す図である。
【図21】(a)は水陸両用車が水上から水際を経て陸上へ移動する様子を示す図、(b)は水陸両用車の乗員の視界を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
<実施の形態例1>
図1〜図16に基づき、本発明の実施の形態例1に係る水陸両用車の車両制御装置について説明する。
【0025】
図1には水陸両用車21が水上(海上)22から水際26を経て陸上23へ移動(上陸)する様子を示している。図1に示すように、水陸両用車21は、水陸両用車21に装備されているウォータジェット24によって水上22を航行し、水陸両用車21に装備されている装軌25とウォータジェット24の両方によって水際26の海底(水底)28を走行し、装軌25によって陸上23を走行する。なお、水陸両用車21は、装軌25の代わりに装輪によって、水際26や陸上23を走行するものであってもよい。
【0026】
そして、この水陸両用車21には、本実施の形態例1に係る経路探索装置27が装備されている。水陸両用車21の乗員は、水陸両用車21を上陸させる際、経路探索装置27によって探索された最適経路を選んで水陸両用車21を移動させることができる。なお、経路探索装置27はパーソナルコンピュータなどから成るものである。
【0027】
概要を説明すると、図2に示すように、経路探索装置27は、水上経路評価、水際経路評価及び陸上経路評価のための各種の情報を取得する情報取得部31と、水際26に関する経路評価を行う水際経路評価部32と、水上22に関する経路評価を行う水上経路評価部33と、陸上23に関する経路評価を行う陸上経路評価部34と、各評価部32,33,34の評価(判定値)の切り替え(選択)を行う評価切替部35と、危険度評価値及び最適経路を決定する経路探索部36と、経路探索エリアを設定する経路探索エリア設定部37とを有している。
【0028】
また、情報取得部31は、水上22及び水際26における海底(水底)の情報を取得する海底(水底)情報取得部41と、水際26及び陸上23における障害物の情報を取得する障害物情報取得部42と、水上22及び水際26における水深の情報を取得する水深の情報を取得する水深情報取得部43と、陸上23における路面幅の情報を取得する路面幅情報取得部44とを有している。
【0029】
水際経路評価部32は、水際26における海底(水底)の形状を評価する海底(水底)形状評価部51と、水際26における海底(水底)の硬さ(底質)を評価する海底(水底)硬さ評価部52と、水際26における障害物を評価する障害物評価部53と、水際26における海底(水底)の傾斜を評価する底部傾斜評価部54と、水際経路評価に関する判定値を算出する判定値算出部56とを有している。
【0030】
水上経路評価部33は、水上22における水深を評価する水深評価部61と、水上22における海底(水底)の形状を評価する海底(水底)形状評価部62と、水上経路評価に関する判定値を算出する判定値算出部63とを有している。
【0031】
陸上経路評価部34は、陸上23における障害物を評価する障害物評価部71と、陸上23における路面幅を評価する路面幅評価部72と、陸上経路評価に関する判定値を算出する判定値算出部73とを有している。
【0032】
詳述すると、経路探索エリア設定部37では、水陸両用車21に装備されているGPS受信機81と、経路探索装置27が保有(記憶)している地図データベース82とを用いることにより、図3に示すような大エリア83と小エリア84を、経路探索エリアとして設定する。
【0033】
即ち、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)の受信機である受信機81は、GPS衛星からの信号を受信することにより、当該GPS受信機81を装備している水陸両用車21の車両測位情報を得る。経路探索エリア設定部37では、GPS受信機81の車両測位情報と、地図データベース84とを照合することにより、水陸両用車21の車両位置を求め、且つ、この水陸両用車21の車両位置から陸上23(目的地)までの距離L1を求める。そして、経路探索エリア設定部37では、この車両位置から陸上23(目的地)までの距離L1を一辺の長さとする正方形の大エリア83を設定し、且つ、この大エリア83を分割して複数の正方形の小エリア84を設定する。小エリア84の一辺の長さL2は、当該小エリア84を水陸両用車21が通過可能な長さであり、例えば水陸両用車21の車両幅の概ね1.5倍程度(例えば5m程度)とする。
【0034】
なお、水陸両用車21(車両位置)から陸上23(目的地)までの距離L1を計測する際、水陸両用車21から見てどの方向の距離を計測するかは、予め設定しておけばよく、或いは、経路探索エリアを設定する際に乗員が設定するようにしてもよい。また、陸上23のどの位置を目的地とするか(即ち距離L1を計測する陸上23の位置をどこにするか)も、予め設定しておけばよく、或いは、経路探索エリアを設定する際に乗員が設定するようにしてもよい。
【0035】
次に、情報取得部31における海底情報取得部41と、障害物情報取得部42と、水深情報取得部43と、路面幅情報取得部44について詳述する。
【0036】
海底情報取得部41では、水陸両用車21に装備されているサイドスキャンソナー85を用いることによって海底情報を取得する、又は、前述のGPS受信機81と経路探索装置27が保有(記憶)している海図データベース86とを用いることによって海底情報を取得する。図4にはサイドスキャンソナー85を用いて海底情報を取得する場合の海底情報取得部41の構成などを示しており、図5にはGPS受信機81及び海図データベース86を用いて海底情報を取得する場合の海底情報取得部41の構成などを示している。
【0037】
図4に示す海底情報取得部41は、サイドスキャンソナー85と、反射データ補間部87と、最浅水深算出部88と、平均強度算出部89とを有している。
【0038】
図4に示すように、サイドスキャンソナー85は水陸両用車21に取り付けられ、水陸両用車21が水上22を航行しいるときや水際26を走行しているときに水中90に沈んでいる。そして、サイドスキャンソナー85は、設定された大エリア83に対して扇形に超音波96を出力(発信)し、この超音波96の反射波を入力(受信)することより、数m程度以下の分解能で例えば図6に白丸で示すような各点aの超音波反射強度p及び超音波反射時間tを計測する。そして、これら各点aの超音波反射強度p及び超音波反射時間tを、図4に示すようにサイドスキャンソナー85から反射データ補間部87へ出力する。
【0039】
反射データ補間部87では、サイドスキャンソナー85から入力する各点aの超音波反射強度p及び超音波反射時間tを、各小エリア84の一辺の長さL2の1/2間隔のデータとなるように補間することにより、図7(a)に黒丸で示すような各小エリア84の周囲の各点b1〜b8における超音波反射強度p1〜p8及び超音波反射時間t1〜t8と、各小エリア84の中央の点b9における超音波反射強度p9及び超音波反射時間t9とを得る。
【0040】
具体的には、各点aの超音波反射強度pの中から、各点b1〜b9の近傍の4つの点aにおける超音波反射強度pをそれぞれ抽出して、これら4つの点aの超音波反射強度pを補間することにより、各点b1〜b9における超音波反射強度p1〜p9を求める。同様に、各点aの超音波反射時間tの中から、各点b1〜b9の近傍の4つの点aにおける超音波反射時間tをそれぞれ抽出して、これら4つの点aにおける超音波反射時間tを補間することにより、各点b1〜b9における超音波反射時間t1〜p9を求める。
【0041】
例えば図7(b)に示すように、小エリア84の隅の点b7における超音波反射強度p7に関しては、各点aにおける超音波反射強度pの中から、点b7の近傍の4つの点a1〜a4における超音波反射強度p11〜p14を抽出し、これらの超音波反射強度p11〜p14を用いて下記の(1)式により算出する。
p7=k1×p11+k2×p12+k13×p13+k4×p14 (1)
【0042】
同様に、点b7における超音波反射時間t7に関しては、各点aにおける超音波反射時間tの中から、点b7の近傍の4つの点a1〜a4における超音波反射時間t11〜t14を抽出し、これらの超音波反射時間t11〜t14を用いて下記の(2)式により算出する。
p7=k11×t11+k12×t12+k13×t13+k14×t14 (2)
【0043】
なお、(1)式におけるk1〜k4は、各点a1〜a4から点b7までの距離に応じた係数であり、予め設定した距離と係数の関係に基づいて設定する。(2)式におけるk11〜k14も、各点a1〜a4から点b7までの距離に応じた係数であり、予め設定した距離と係数の関係に基づいて設定する。
【0044】
他の点b1〜b6,b8,b9の超音波反射強度p1〜p6,p8,p9及び超音波反射時間t1〜t6,t8,t9についても、点b7の超音波反射強度p7及び超音波反射時間t7の場合と同様の算出式によって算出する。
【0045】
図4に示すように、小エリア84ごとに求めた周囲の点b1〜b8における超音波反射時間t1〜t8及び中央の点b9における超音波反射時間t9は、反射データ補間部87から最浅水深算出部88へ出力される。また、小エリア84ごとに求めた周囲の点b1〜b8における超音波反射強度p1〜p8及び中央の点b9における超音波反射強度p9は、反射データ補間部87から平均強度算出部89へ出力される。
【0046】
最浅水深算出部88では、各小エリア84に関して、反射データ補間部87から入力する図8(a)に示すような各点b1〜b9における超音波反射時間t1〜t9の中から、最も短時間の超音波反射時間min(t1:t9)を抽出し、この最短超音波反射時間min(t1:t9)と、サイドスキャンソナー85から出力した超音波96の速度とを、下記の(3)式のように乗算することにより、図8(b)に示すような各小エリア84における最浅点の水深N1を算出する。そして、この最浅水深N1を、図2及び図4に示すように最浅水深算出部88から、水際経路評価部32の海底形状評価部51と、水上経路評価部33の海底形状評価部62へ出力する。
N1=V×min(t1:t9)/2 (3)
【0047】
平均強度算出部89では、各小エリア84に関して、反射データ補間部87から入力する図9(a)に示すような各点b1〜b9における超音波反射強度p1〜p9の平均を、下記の(4)式のように計算することにより、図9(b)に示すような各小エリア84における平均超音波反射強度P1を求める。そして、この各小エリア84における平均超音波反射強度P1を、各小エリア84における底質(海底硬さ)に関するデータとして、図4に示すように平均強度算出部89から海底硬さ評価部52へ出力する。
P1=average(p1:p9) (4)
【0048】
一方、図5に示す海底情報取得部41は、GPS受信機81と、海図データベース86と、最浅水深抽出部91と、底質抽出部92とを有している。
【0049】
海図データベース86は、数m単位でのメッシュで水深の情報と底質(岩盤質、砂質、泥質)の情報を有するものである。GPS受信機81では、前述のとおり、GPS衛星からの信号を受信することによって水陸両用車21の車両測位情報を得る。
【0050】
最浅水深抽出部91では、GPS受信機81の車両測位情報と、海図データベース86とを照合することにより、各小エリア84における周囲(例えば小エリア84の四隅)の水深と、各小エリア84の中央の水深の中から、最浅の水深N1を抽出する。そして、この最浅水深N1を、図2及び図5に示すように最浅水深抽出部91から、水際経路評価部32の海底形状評価部51と、水上経路評価部33の海底形状評価部62へ出力する。
【0051】
底質抽出部92では、GPS受信機81の車両測位情報と、海図データベース86とを照合することにより、各小エリア84における中央の底質(岩盤質、砂質又は泥質)を抽出する。そして、この各小エリア84における中央の底質を表す底質情報(即ち岩盤質か、砂質又は泥質かを表す情報)P1を、各小エリア84における底質(海底の硬さ)に関する情報として、図5に示すように底質抽出部92から海底硬さ評価部52へ出力する。
【0052】
図4,図5に示すように、障害物情報取得部42は、カメラ93と、障害物検出部95とを有している。カメラ93は水陸両用車21の上部に旋回装置94を介して設置され、この旋回装置94によって旋回することができるようになっている。障害物情報取得部42では、カメラ93を旋回装置94で旋回させて大エリア83に向けることにより、当該カメラ83によって大エリア83の範囲における水上22や水際26の水面及び陸上23を撮影させる。この撮影された大エリア83の範囲における水上22や水際26の水面及び陸上23の画像は、カメラ83から障害物検出部95へ出力される。
【0053】
障害物検出部95では、カメラ93から入力する大エリア83の範囲における水上22や水際26の水面及び陸上23の画像を画像処理することにより、各小エリア84における水面上や路面上(陸上)に障害物が存在しているか否かを検出し、且つ、何れかの小エリア82において水面上や路面上(陸上)に障害物が存在していることを検出した場合には当該障害物の幅(幅が一定でない場合には最大幅)も検出する。そして、各小エリア84に関して、水面上や路面上(陸上)に障害物が存在しているか否かを表すエリア情報Sと、障害物の幅Yの情報とを、図2,図4及び図5に示すように障害物検出部95から、水際経路評価部32の障害物評価部53と、陸上経路評価部34の障害物評価部71へ出力する。
【0054】
図4,図5に示すように、水深情報取得部43は、水陸両用車21の下部に設置されている水深計97と、水深データ補間部98とを有している。水深計97は例えばソナーなどであり、大エリア83に対して数m間隔で各点の水深N10を計測し、これら各点の水深N10を水深データ補間部98へ出力する。
【0055】
水深データ補間部98では、反射データ補間部87における補間方法と同様の補間方法によって、水深計97から入力する各点の水深N10(計測値)を補間することにより、図10(a)に示すような各小エリア84における四隅の点b1〜b4における水深N21〜N24と、各小エリア84の中央の点b5における水深N25とを得る。具体的には、水深計97から入力する各点の水深N10の中から、各点b1〜b5の近傍の4つの点における水深N10をそれぞれ抽出して、これら4つの点における水深を補間することにより、各点b1〜b5における水深N21〜N25を求める。
【0056】
例えば図10(b)に示すように、小エリア84の隅の点b4における水深N24に関しては、水深計97から入力する各点における水深N10の中から、点b4の近傍の4つの点a1〜a4における水深N11〜N14を抽出し、これらの水深N11〜N14を用いて下記の(5)式により算出する。(5)式におけるk21〜k24は、各点a1〜a4から点b4までの距離に応じた係数であり、予め設定した距離と係数の関係に基づいて設定する。
N24=k21×N11+k22×N12+k23×N13+k24×N14 (5)
【0057】
他の点b1〜b3,b5の水深N21〜N23,N25についても、点b4の水深N24の場合と同様の算出式によって算出する。
【0058】
そして、図2,図4及び図5に示すように、小エリア84ごとに求めた四隅の点b1〜b4における水深N21〜N24を、水深データ補間部98から水際経路評価部32の底部傾斜評価部54へ出力する。また、小エリア84ごとに求めた中央の点b5における水深N25は、水深データ補間部98から水上経路評価部33の水深評価部61へ出力される。
【0059】
図2に示すように、路面幅情報取得部44は、前述のGPS受信機81と、前述の地図データベース82と、ジャイロ101とを有している。路面幅情報取得部44では、GPS受信機81によって得られる水陸両用車21の車両測位情報と、地図データベース82とを照合して水陸両用車21の車両位置を求め、ジャイロ101によって水陸両用車21の車両進行方向(車両前後方向の向き)を把握し、これらの車両位置と車両進行方向と地図データベース82とから、陸上23の各小エリア84に関して路面幅W1の情報を取得する。そして、この小エリア84ごとの路面幅W1を、路面幅情報取得部44から陸上経路評価部34へ出力する。
【0060】
なお、GPS受信機81と地図データベース82によって車両位置を求め、且つ、ジャイロ101によって車両進行方向を把握するのは、水陸両用車21は急に大きな方向転換をすることは難しいと考えられることから、車両位置に近い小エリア84ほど車両進行方向に近い方向の路面幅W1を取得するためである。但し、水陸両用車21が陸上23の小エリア84から離れているときに路面幅W1の情報を取得する場合や、水陸両用車21の方向転換性能などによっては、GPS受信機81と地図データベース82によって車両位置を求めたり、ジャイロ101によって車両進行方向を把握したりする必要はない。
【0061】
次に、水際経路評価部32における海底形状評価部51と、海底硬さ評価部52と、障害物評価部53と、底部傾斜評価部54と、判定値算出部56について詳述する。
【0062】
図11及び図12に示すように、海底形状評価部51では、水際26の各小エリア84に関して、水陸両用車21の車両水没深さN2から、水際走行中に水陸両用車21が乗り越えられると想定した限界の高さ(水際26における海底28からの高さ)Hを差し引いた値(N2−H)と、海底情報取得部41から入力する最浅水深N1とを比較する。なお、水陸両用車21が水際走行をしている際には、図12に示すように車両水没深さN2は、水際26における水深と同じになるため、水深計97によって計測する水陸両用車21の車両位置の水深を用いる。
【0063】
海底形状評価部51では、上記比較の結果、水際26における小エリア84の何れかに関して最浅水深N1がN2−Hよりも大きい(N1>N2−H)と判定した場合には、当該小エリア84における海底28には水陸両用車21が乗り越えられないような高さの突起は無いと判断して、当該小エリア84に関する危険度スコアをA1とする一方、水際26における小エリア84の何れかに関して最浅水深N1がN2−H以下である(N1≦N2−H)と判定した場合には、当該小エリア84における海底28には水陸両用車21が乗り越えられないような高さの突起が有ると判断して、当該小エリア84に関する危険度スコアをA2とする。
【0064】
危険度スコアA1よりも危険度スコアA2の方が危険度が大きい。なお、実際には危険度スコアA1,A2として具体的な数値が設定されており、危険度スコアA1よりも危険度スコアA2の方が数値が大きい。これらの危険度スコアA1,A2は、図2に示すように海底形状評価部51から判定値算出部56へ出力される。
【0065】
図11に示すように、海底硬さ評価部52では、水際26の各小エリア84に関して、海底情報取得部41の平均強度算出部89から入力する平均超音波反射強度P1と、反射強度閾値Pとを比較し、その結果、水際26における小エリア84の何れかに関して平均超音波反射強度P1が反射強度閾値P以上である(P1≧P)と判定した場合には、当該小エリア84における海底28は岩盤質のように硬いと判断することができるため、当該小エリア84に関する危険度スコアをB1とする一方、水際26における小エリア84の何れかに関して平均超音波反射強度P1が反射強度閾値Pよりも小さい(P1<P)と判定した場合には、当該小エリア84における海底28は砂質又は泥質のように軟らかいと判断できるため、当該小エリア84に関する危険度スコアをB2とする。
【0066】
或いは、海底硬さ評価部52では、水際26の各小エリア84に関して、海底情報取得部41の底質抽出部92から入力する底質情報P1に基づき、水際26における小エリア84の何れかに関して海底28が岩盤質であると判断した場合には、当該小エリア84に関する危険度スコアをB1とする一方、前記底質情報P1に基づき、水際26における小エリア84の何れかに関して海底28が砂質又は泥質であると判断した場合には、当該小エリア84に関する危険度スコアをB2とする。
【0067】
危険度スコアB1よりも危険度スコアB2の方が危険度が大きい。なお、実際には危険度スコアB1,B2として具体的な数値が設定されており、危険度スコアB1よりも危険度スコアB2の方が数値が大きい。これらの危険度スコアB1,B2は、図2に示すように海底形状評価部51から判定値算出部56へ出力される。
【0068】
図11に示すように、障害物評価部53では、水際26の各小エリア84に関して、障害物情報取得部42の障害物検出部95から入力するエリア情報Sに基づき、水際26における小エリア84の何れかに関して障害物が存在していないと判断した場合には、当該小エリア84に関する危険度スコアをC1とする。一方、障害物評価部53では、水際26の各小エリア84に関して、障害物情報取得部42の障害物検出部95から入力するエリア情報Sに基づき、水際26における小エリア84の何れかに関して障害物が存在していると判断した場合には、更に当該小エリア84に関して障害物情報取得部42の障害物検出部95から入力する障害物の幅Yと、障害物幅閾値Y1とを比較し、その結果、当該小エリア84における障害物の幅Yが障害物幅閾値Y1未満(Y<Y1)であると判定した場合には、当該小エリア84に関する危険度スコアをC2とし、当該小エリア84における障害物の幅Yが障害物幅閾値Y1以上(Y≧Y1)であると判定した場合には、当該小エリア84に関する危険度スコアをC3とする。
【0069】
危険度スコアC1よりも危険度スコアC2の方が危険度が大きく、危険度スコアC2よりも危険度スコアC3の方が危険度が大きい。なお、実際には危険度スコアC1,C2,C3として具体的な数値が設定されており、危険度スコアC1よりも危険度スコアC2の方が数値が大きく、危険度スコアC2よりも危険度スコアC3の方が数値が大きい。これらの危険度スコアC1,C2,C3は、図2に示すように障害物評価部53から判定値算出部56へ出力される。
【0070】
底部傾斜評価部54では、水際26の各小エリア84に関して、海底情報取得部43の水深データ補間部98から入力する各小エリア84の四隅の点b1〜b4における水深N21〜N24に基づき(図10(a)参照)、各小エリア84における最も浅い箇所と最も深い箇所との間の傾斜角である最大傾斜角θを求める。即ち、水深N21〜N24から、最も浅い水深(例えばN21)と、最も深い水深(例えばN23)とを抽出して、これらの水深差(例えばN23−N21)を求める。次に、最も浅い水深の点(例えば点b1)と、最も深い水深の点(例えば点b3)との間の水平距離を求める。そして、これらの水深差と水平距離と基づいて最大傾斜角θを求める。
【0071】
続いて、底部傾斜評価部54では、水際26の各小エリア84に関して、最大傾斜角θと、傾斜角閾値θ1,θ2(θ2はθ1よりも大きい)とを比較し、その結果、水際26における小エリア84の何れかに関して最大傾斜角θが傾斜角閾値θ1未満である(θ<θ1)と判定した場合には、当該小エリア84に関する危険度スコアをD1とし、水際26における小エリア84の何れかに関して最大傾斜角θが傾斜角閾値θ1以上で且つ傾斜角閾値θ2以下である(θ1≦θ≦θ2)と判定した場合には、当該小エリア84に関する危険度スコアをD2とし、水際26における小エリア84の何れかに関して最大傾斜角θが傾斜角閾値θ2を超えている(θ>θ2)と判定した場合には、当該小エリア84に関する危険度スコアをD3とする。
【0072】
危険度スコアD1よりも危険度スコアD2の方が危険度が大きく、危険度スコアD2よりも危険度スコアD3の方が危険度が大きい。なお、実際には危険度スコアD1,D2,D3として具体的な数値が設定されており、危険度スコアD1よりも危険度スコアD2の方が数値が大きく、危険度スコアD2よりも危険度スコアD3の方が数値が大きい。これらの危険度スコアD1,D2,D3は、図2に示すように海底形状評価部51から判定値算出部56へ出力される。
【0073】
判定値算出部56では、水際26の各小エリア84に関して、海底形状評価部51から入力する危険度スコアA1又はA2に係数K1を乗算した値と、海底硬さ評価部52から入力する危険度スコアB1又はB2に係数K2を乗算した値と、障害物評価部53から入力する危険度スコアC1,C2又はC3に係数K3を乗算した値と、底部傾斜評価部54から入力する危険度スコアD1,D2又はD3に係数K4を乗算した値との総和を算出して、この総和を判定値Tとする。
【0074】
例えば、判定値算出部56では、水際26における小エリア84の何れかに関して、各評価部51,52,53,54から危険度スコアA1,B2,C3,D2を入力した場合、当該小エリア84に関する判定値Tを、危険度スコアA1,B2,C3,D2と、予め設定されている係数K1〜K4とに基づいて下記の(6)式により算出する。なお、係数K1〜K4は各評価部51,52,53,54の評価の重要度を考慮して適宜設定すればよい。算出された判定値Tは、図2に示すように判定値算出部56から評価切替部35へ出力される。
T=K1×A1+K2×B2+K3×C3+K4×D2 (6)
【0075】
次に、水上経路評価部33における水深評価部61と、海底形状評価部62と、判定値算出部63について詳述する。
【0076】
図13に示すように、水深評価部61では、水上22の各小エリア84に関して、水深情報取得部43の水深データ補間部98から入力する小エリア84の中央における水深N25と、水深閾値NSとを比較し、その結果、水上22における小エリア84の何れかに関して水深N25が水深閾値NS以上である(N25≧NS)と判定した場合には、当該小エリア84に関する危険度スコアをE1とする一方、水上22における小エリア84の何れかに関して水深N25が水深閾値NS未満である(N25<NS)と判定した場合には、当該小エリア84に関する危険度スコアをE2とする。
【0077】
危険度スコアE1よりも危険度スコアE2の方が危険度が大きい。なお、実際には危険度スコアE1,B2として具体的な数値が設定されており、危険度スコアE1よりも危険度スコアE2の方が数値が大きい。これらの危険度スコアE1,E2は、図2に示すように水深評価部61から判定値算出部63へ出力される。
【0078】
図13及び図14に示すように、海底形状評価部62では、水上22の各小エリア84に関して、海底情報取得部41から入力する最浅水深N1と、水陸両用車21の車両水没深さN2とを比較する。なお、水陸両用車21が水上航行をしている際には、図14に示すように水陸両用車21は浮力によって浮いているため、車両水没深さN2は予め設定した一定値とする。
【0079】
海底形状評価部62では、上記比較の結果、水上22における小エリア84の何れかに関して最浅水深N1が車両水没深さN2よりも大きい(N1>N2)と判定した場合には、当該小エリア84には水陸両用車21に接触する突起が無いと判断できるため、当該小エリア84に関する危険度スコアをF1とする一方、水上22における小エリア84の何れかに関して最浅水深N1が車両水没深さN2以下である(N1≦N2)と判定した場合には、当該小エリア84には水陸両用車21に接触する突起が有ると判断できるため、当該小エリア84に関する危険度スコアをF2とする。
【0080】
危険度スコアF1よりも危険度スコアF2の方が危険度が大きい。なお、実際には危険度スコアF1,F2として具体的な数値が設定されており、危険度スコアF1よりも危険度スコアF2の方が数値が大きい。これらの危険度スコアF1,F2は、図2に示すように海底形状評価部62から判定値算出部63へ出力される。
【0081】
判定値算出部63では、水上22の各小エリア84に関して、水深評価部61から入力する危険度スコアE1又はE2に係数K11を乗算した値と、海底形状評価部62から入力する危険度スコアF1又はF2に係数K12を乗算した値との総和を算出して、この総和を判定値Tとする。
【0082】
例えば、判定値算出部63では、水上22における小エリア84の何れかに関して、各評価部61,62から危険度スコアE1,F2を入力した場合、当該小エリア84に関する判定値Tを、危険度スコアE1,F2と、予め設定されている係数K11,K12に基づいて下記の(7)式により算出する。なお、係数K11,K12は各評価部61,62の評価の重要度を考慮して適宜設定すればよい。算出された判定値Tは、図2に示すように判定値算出部63から評価切替部35へ出力される。
T=K11×E1+K12×F2 (7)
【0083】
次に、陸上経路評価部34における障害物評価部71と、路面幅評価部72と、判定値算出部73について詳述する。
【0084】
図13に示すように、障害物評価部71では前述の障害物評価部53と同様に障害物の評価を行う。即ち、障害物評価部71では、陸上23の各小エリア84に関して、障害物情報取得部42の障害物検出部95から入力するエリア情報Sに基づき、陸上23における小エリア84の何れかに関して障害物が存在していないと判断した場合には、当該小エリア84に関する危険度スコアをC1とする。一方、障害物評価部71では、陸上23の各小エリア84に関して、障害物情報取得部42の障害物検出部95から入力するエリア情報Sに基づき、陸上23における小エリア84の何れかに関して障害物が存在していると判断した場合には、更に当該小エリア84に関して障害物情報取得部42の障害物検出部95から入力する障害物の幅Yと、障害物幅閾値Y1とを比較し、その結果、当該小エリア84における障害物の幅Yが障害物幅閾値Y1未満(Y<Y1)であると判定した場合には、当該小エリア84に関する危険度スコアをC2とし、当該小エリア84における障害物の幅Yが障害物幅閾値Y1未満(Y<Y1)であると判定した場合には、当該小エリア84に関する危険度スコアをC3とする。なお、障害物評価部71の障害物幅閾値Y1は、前述の障害物評価部53の障害物幅閾値Y1と同じ数値でも、異なる数値でもよい。
【0085】
なお、障害物評価部71における危険度スコアC1,C2,C3と前述の障害物評価部53における危険度スコアC1,C2,C3は、同じ数値でもよく、異なる数値でもよい。但し、前述のとおり、危険度スコアC1よりも危険度スコアC2の方が危険度が大きく、危険度スコアC2よりも危険度スコアC3の方が危険度が大きい。即ち、危険度スコアC1よりも危険度スコアC2の方が数値が大きく、危険度スコアC2よりも危険度スコアC3の方が数値が大きい。これらの危険度スコアC1,C2,C3は、図2に示すように海底形状評価部71から判定値算出部73へ出力される。
【0086】
図13に示すように、路面幅評価部72では、陸上23の各小エリア84に関して、路面幅情報取得部44から入力する路面幅W1と、路面幅閾値Wとを比較し、その結果、陸上23における小エリア84の何れかに関して路面幅Wが路面幅閾値W以上である(W1≧W)と判定した場合には、当該小エリア84に関する危険度スコアをG1とする一方、陸上23における小エリア84の何れかに関して路面幅W1が路面幅閾値W未満である(W1<W)と判定した場合には、当該小エリア84に関する危険度スコアをG2とする。
【0087】
危険度スコアG1よりも危険度スコアG2の方が危険度が大きい。なお、実際には危険度スコアG1,G2として具体的な数値が設定されており、危険度スコアG1よりも危険度スコアG2の方が数値が大きい。これらの危険度スコアG1,G2は、図2に示すように路面幅評価部72から判定値算出部73へ出力される。
【0088】
判定値算出部73では、陸上23の各小エリア84に関して、障害物評価部71から入力する危険度スコアC1,C2又はC3に係数K21を乗算した値と、路面幅評価部72から入力する危険度スコアG1又はG2に係数K22を乗算した値との総和を算出して、この総和を判定値Tとする。
【0089】
例えば、判定値算出部73では、陸上23における小エリア84の何れかに関して、各評価部71,72から危険度スコアC3,G1を入力した場合、これらの危険度スコアC3,G1と、予め設定されている係数K21,K22に基づいて下記の(8)式により、当該小エリア84に関する判定値Tを算出する。なお、係数K21,K22は各評価部71,72の評価の重要度を考慮して適宜設定すればよい。算出された判定値Tは、図2に示すように判定値算出部73から評価切替部35へ出力する。
T=K21×C3+K22×G2 (8)
【0090】
次に、評価切替部35及び経路探索部36について詳述する。
【0091】
図2に示す評価切替部35では、水陸両用車21の車両位置における水深の情報に基づいて、水陸両用車21が、水上22に位置しているか(図1の右側に実線で示すような状態)、水際26に達したか(図1に一点鎖線で示すような状態)、陸上23に達したか(図1に二点鎖線で示すような状態)を判定する。具体的には、例えば前記水深がN2(m)以上(水陸両用車21が海底28に接触しない深さ)であるときには水陸両用車21が水上22に位置していると判定し、前記水深がN2(m)未満(水陸両用車21が海底28に接触する深さ)となったときには水陸両用車21が水際26に達したと判定し、前記水深が0(m)になったときに水陸両用車21が陸上23に達したと判定する。なお、このときの水陸両用車21の車両位置における水深情報は、前述の水深計97によって得てもよく、或いは、前述のGPS受信機81の車両測位情報と地図データベース82との照合によって得てもよい。
【0092】
そして、評価切替部35では、水深情報に基づいて水陸両用車21が水上22に位置していると判定したときには、水上経路評価部33(判定値算出部63)から出力される水上22の各小エリア84に関する第1の判定値Tを選択して経路探索部36へ出力し、水深情報に基づいて水陸両用車21が水際26に達したと判定したときには、水際経路評価部32(判定値算出部56)から出力される水際26の各小エリア84に関する第2の判定値Tを選択して経路探索部36へ出力し、水深情報に基づいて水陸両用車21が陸上23に達したと判定したときには、陸上経路評価部34(判定値算出部73)から出力される陸上23の各小エリア84に関する第3の判定値Tを選択して経路探索部36へ出力する。
【0093】
経路探索部36では、図15のフローチャートに示すような危険度評価を行う。図15において、T1,T2,T3,・・・,Tmaxは、n段階の車両速度V1,V2,V3,・・・,Vmaxのそれぞれ対応したn段階の危険度評価閾値であり、水陸両用車21が各小エリア84を走行することが可能か否かを判断するための閾値である。
【0094】
即ち、水陸両用車21の車両速度をV1〜Vmax(km/h)の範囲でV1,V2,V3,・・・,Vmaxのn段階に分ける(V1<V2<V3<・・・<Vmax)。Vmaxは水陸両用車21にとって可能な最高速度である。そして、T1は速度V1で水陸両用車21が水際26や陸上23を走行又は水上22を航行した場合の危険度評価閾値、T2は速度V2で水陸両用車21が水際26や陸上23を走行又は水上22を航行した場合の危険度評価閾値、T3は速度V3で水陸両用車21が水際26や陸上23を走行又は水上22を航行した場合の危険度評価閾値、以下同様であり、最後にTmaxは最高速度Vmaxで水陸両用車21が水際26や陸上23を走行又は水上22を航行した場合の危険度評価閾値である。危険度評価閾値T1,T2,T3,・・・,Tmaxの大小関係は、T1<T2<T3<・・・<Tmaxである。
【0095】
そして、まず、評価切替部35で水陸両用車21が水上22に位置していると判定され、水上経路評価部33から出力される水上22の各小エリア84に関する判定値Tが選択されて経路探索部36へ出力されると、経路探索部36では、この水上22の各小エリア84に関する判定値Tに対して、図15のフローチャートに示すような危険度評価を行って危険度評価値1,2,3,・・・,N,Xの何れかを決定する。
また、評価切替部35で水陸両用車21が水際26に達したと判定され、水際経路評価部32から出力される水際26の各小エリア84に関する判定値Tが選択されて経路探索部36へ出力されると、経路探索部36では、この水際26の各小エリア84に関する判定値Tに対して、図15のフローチャートに示すような危険度評価を行って危険度評価値1,2,3,・・・,N,Xの何れかを決定する。
また、評価切替部35で水陸両用車21が陸上23に達したと判定され、陸上経路評価部34から出力される陸上23の各小エリア84に関する判定値Tが選択されて経路探索部36へ出力されると、経路探索部36では、この陸上23の各小エリア84に関する判定値Tに対して、図15のフローチャートに示すような危険度評価を行って危険度評価値1,2,3,・・・,N,Xを決定する。
【0096】
例えば、水際経路評価部32から出力される水際26の各小エリア84に関する判定値Tについて詳述すると、まず、ステップS1では、判定値Tと危険度評価閾値T1を比較して、判定値Tが危険度評価閾値T1未満(T<T1)であるか否か判定する。その結果、判定値Tが危険度評価閾値T1未満(T<T1)であると判定した場合(YES)には、ステップS1−1で危険度評価値を“1”に決定する。一方、判定値Tが危険度評価閾値T1以上(T≧T1)であると判定した場合(NO)には、ステップS2へ進む。
ステップS2では、判定値Tと危険度評価閾値T2を比較して、判定値Tが危険度評価閾値T2未満(T<T2)であるか否か判定する。その結果、判定値Tが危険度評価閾値T2未満(T<T2)であると判定した場合(YES)には、ステップS2−1で危険度評価値を“2”に決定する。一方、判定値Tが危険度評価閾値T2以上(T≧T2)であると判定した場合(NO)には、ステップS3へ進む。
ステップS3では、判定値Tと危険度評価閾値T3を比較して、判定値Tが危険度評価閾値T3未満(T<T3)であるか否か判定する。その結果、判定値Tが危険度評価閾値T3未満(T<T3)であると判定した場合(YES)には、ステップS3−1で危険度評価値を“3”に決定する。一方、判定値Tが危険度評価閾値T2以上(T≧T3)であると判定した場合(NO)には、ステップS4(図示省略)へ進む。
以下、同様の処理を実施し、最後にステップSNでは、判定値Tと危険度評価閾値Tmaxを比較して、判定値Tが危険度評価閾値Tmax未満(T<Tmax)であるか否か判定する。その結果、判定値Tが危険度評価閾値Tmax未満(T<Tmax)であると判定した場合(YES)には、ステップSN−1で危険度評価値を“N”に決定する。一方、判定値Tが危険度評価閾値Tmax以上(T≧Tmax)であると判定した場合(NO)には、ステップSN−2で危険度評価値を“X”に決定する。
【0097】
かくして、水際26の各小エリア84に対し、1,2,3,・・・,N,Xの何れかの危険度評価値が決定される。図16(a)には危険度評価閾値が決定された水際26の小エリア84の一部を例示している。
【0098】
危険度評価閾値1,2,3,・・・,Nの何れかが決定された小エリア84に関しては、その数値が大きい小エリア84ほど当該小エリア84を水陸両用車21が通行した場合の危険度(座礁などをする可能性)が高いと評価したことを意味している。危険度評価値がXに決定された小エリア84に関しては、水陸両用車21が最高速度まで増速したとしても、当該小エリア84を通行することは不可能であると評価したことを意味している。
【0099】
また、経路探索部36では、各小エリア84の危険度評価値を決定した後、水際26における一端側(水上22側)の小エリア84から他端側(陸上23側)の小エリア84に至る経路の中で、危険度評価値の総和が最小になる経路を求め、この経路を最適経路として決定し、乗員に通知する。例えば図16(a)に示すよう各小エリア84と各小エリア84の危険度評価値とを表す画像と、図16(b)に示すように危険度評価値の総和が最小となる最適経路を表す矢印Zを表す画像とをモニタに表示することによって乗員に通知する。或いは、危険度評価値の総和が最小となる最適経路上の小エリア84の表示色をその他の小エリア84の表示色と異なる色にすることなどによって、乗員に通知してもよい。
【0100】
水上22の各小エリア84や、陸上23の各小エリア84に対しても、水際26の各小エリア84の場合と同様にして、危険度評価値を決定し、且つ、水上22における一端側の小エリア84から他端側(水際26側)の小エリア84に至る経路の中で危険度評価値の総和が最小になる最適経路や、陸上23における一端側(水際26側)の小エリア84から他端側の小エリア84に至る経路の中で危険度評価値の総和が最小になる最適経路を求めて乗員に通知する。
【0101】
なお、上記では水陸両用車21の移動に伴い、順次、水上経路評価部33における水上経路評価と、水際経路評価部32における水際経路評価と、陸上経路評価部34における陸上経路評価とを行って、それぞれの最適経路を求めているが、これに限定するものではなく、同時期に水上経路、水際経路及び陸上経路における最適経路を求めるようにしてもよい。即ち、経路探索エリア設定部37において図3に示すような経路探索エリア(大エリア83、小エリア84)を設定したとき、各評価部32,33,34における経路評価を行って、大エリア83全体に対する(即ち水上22から陸上23までの)最適経路を求めるようにしてもよい。
【0102】
以上のように、本実施の形態例1の水陸両用車21の経路探索装置27によれば、距離計測手段(GPS受信機81、地図データベース82)によって計測した水陸両用車21から陸上23(目的地)までの距離L1を一辺の長さとする矩形の大エリア83と、この大エリア83を分割した複数の矩形の小エリア84とを、経路探索エリアとして設定する経路探索エリア設定手段(経路探索エリア設定部37)と、小エリア84ごとに、水上経路評価のための情報(水深N25、最浅水深N1)と、水際経路評価のための情報(最浅水深N1、平均超音波反射強度又は底質情報P1、エリア情報S、障害物幅Y、水深N21〜N25)と、陸上経路評価のための情報(エリア情報S、障害物幅Y、路面幅W1)とを取得する情報取得手段(情報取得部31)と、小エリア84ごとに、前記水上経路評価のための情報に基づいて危険度スコア(E1,E2,F1,F2)を決定し、この危険度スコア(E1,E2,F1,F2)に基づいて第1の判定値Tを求める水上経路評価手段(水上経路評価部33)と、小エリア84ごとに、前記水際経路評価のための情報に基づいて危険度スコア(A1,A2,B1,B2,C1,C2,C3,D1,D2,D3)を決定し、この危険度スコア(A1,A2,B1,B2,C1,C2,C3,D1,D2,D3)に基づいて第2の判定値Tを求める水際経路評価手段(水際経路評価部32)と、小エリア84ごとに、前記陸上経路評価のための情報に基づいて危険度スコア(C1,C2,C3,G1,G2)を決定し、この危険度スコア(C1,C2,C3,G1,G2)に基づいて第3の判定値Tを求める陸上経路評価手段(陸上経路評価部34)と、小エリア84ごとに、水上経路評価手段(水上経路評価部33)で求めた第1の判定値Tと、水際経路評価手段(水際経路評価部32)で求めた第2の判定値Tと、陸上経路評価手段(陸上経路評価部34)で求めた第3の判定値Tとに基づいて危険度評価値(1,2,3,・・・,N,X)を決定する経路探索手段(評価切替部35、経路探索部36)とを有することを特徴としているため、水陸両用車21の乗員は、水陸両用車21を水上22から水際26を経て陸上23へ移動させる際、経路探索装置27で決定された各小エリア84の危険度評価値1,2,3,・・・,N,X)を確認することにより、危険度が小さくて安全な移動経路を選択して水陸両用車21を移動させることができる。また、経路探索装置27によって自動的に経路探索を行うため、乗員の負担が軽減する。
【0103】
また、本実施の形態例1の水陸両用車21の経路探索装置27によれば、経路探索手段(経路探索部36)では、小エリア84ごとに決定した危険度評価値(1,2,3,・・・,N)の総和が最小となる経路を最適経路として決定することを特徴としているため、水陸両用車21の乗員は、経路探索装置27で決定された最適経路を確認することにより、最も危険度の小さくて安全な移動経路を選択して水陸両用車21を移動させることができる。
【0104】
また、本実施の形態例1の水陸両用車21の経路探索装置27によれば、情報取得手段(情報取得部31)で取得する前記水際経路評価のための情報は、水底情報取得手段(海底情報取得部41)によって取得する水底情報(最浅水深N1、平均超音波反射強度又は底質情報P1)と、障害物情報取得手段(障害物情報取得部42)によって取得する水面上の障害物情報(エリア情報S、障害物幅Y)と、水深情報取手段(水深情報取得部43)によって取得する水深情報(水深N21〜N24)であり、水際経路評価手段(水際経路評価部32)では、水底情報(最浅水深N1、平均超音波反射強度又は底質情報P1)に基づいて決定する危険度スコア(A1,A2,B1,B2)と、障害物情報(エリア情報S、障害物幅Y)に基づいて決定する危険度スコア(C1,C2,C3)と、水深情報(水深N21〜N24)に基づいて決定する危険度スコア(D1,D2,D3)とに基づいて判定値Tを求めることを特徴としており、複数の情報に基づいて危険度評価値(1,2,3,・・・,N,X)が決定されるため、水際経路探索における危険度評価の精度を向上させることができる。
【0105】
また、本実施の形態例1の水陸両用車21の経路探索装置27によれば、情報取得手段(情報取得部31)で取得する前記水上経路評価のための情報は、水深情報取手段(水深情報取得部43)によって取得する水深情報(水深N25)と、水底情報取得手段(海底情報取得部41)によって取得する水底情報(最浅水深N1)であり、水上経路評価手段(水際経路評価部33)では、水深情報(水深N25)に基づいて決定する危険度スコア(E1,E2)と、水底情報(最浅水深N1)に基づいて決定する危険度スコア(F1,F2)とに基づいて判定値Tを求めることを特徴としており、複数の情報に基づいて危険度評価値(1,2,3,・・・,N,X)が決定されるため、水陸経路探索における危険度評価の精度を向上させることができる。
【0106】
また、本発明の実施の形態例1に係る水陸両用車21の経路探索装置27によれば、情報取得手段(情報取得部31)で取得する前記陸上経路評価のための情報は、障害物情報取得手段(障害物情報取得部42)によって取得する陸上の障害物情報(エリア情報S、障害物幅Y)と、路面幅情報取得手段(路面幅情報取得部44)によって取得する路面幅情報(路面幅W1)であり、陸上経路評価手段(陸上経路評価部34)では、障害物情報(エリア情報S、障害物幅Y)に基づいて決定する危険度スコア(C1,C2,C3)と、路面幅情報(路面幅W1)に基づいて決定する危険度スコア(G1,G2)とに基づいて判定値Tを求めることを特徴としており、複数の情報に基づいて危険度評価値が決定されるため、陸上経路探索における危険度評価の精度を向上させることができる。
【0107】
<実施の形態例2>
図17〜図19に基づき、本発明の実施の形態例2に係る水陸両用車の車両制御装置について説明する。本実施の形態例2の経路探索装置は、経路探索に飛翔物搭載センサの計測情報も利用することを特徴としており、その他については上記実施の形態例1と同様である(図1〜図16参照)。
【0108】
図17に示すように、筺体や筒体などである飛翔物111には、通信部112と、飛翔物搭載センサとしてのサイドスキャンソナー113及び水深計114(ソナーなど)と、GPS受信機115とを備えている。一方、水陸両用車21には、通信部121と、情報選択部122とを備えている。
【0109】
情報選択部121では図18のフローチャートに示すような情報選択処理を行う。即ち、情報選択部121では、ステップS11で経路探索を開始した後、まず、ステップS12において、大エリア83のサイズ(即ち目的地までの距離L1)を確認する。次に、ステップS13において、大エリア83のサイズ(距離L)が車載センサ(サイドスキャンソナー85,水深計97)の計測範囲を超えている(大エリアサイズ(距離L)>車載センサ計測範囲)か否かを判定する。その結果、大エリア83のサイズ(距離L)が車載センサの計測範囲を超えていない(大エリアサイズ(距離L)≦車載センサ計測範囲)と判定した場合(NO)には、ステップS14に進む。ステップS14では、車載センサ(サイドスキャンソナー85,水深計97)の計測情報に基づいて海底情報取得部41及び水深情報取得部43において取得する小エリア84ごとの最浅水深N1、平均反射強度P1及び四隅の点b1〜b4の水深N21〜N24を選択して、水際経路評価部32へ出力する。
【0110】
一方、ステップS13において、大エリア83のサイズ(距離L)が車載センサの計測範囲を超えている(大エリアサイズ(距離L)>車載センサ計測範囲)と判定した場合(YES)には、次のステップS15で飛翔物11を、図19(a)に示すように車載センサ計測範囲外へ投下する(車載センサ計測範囲外の水中に沈める)。このため、図19(b)に斜線で示すような車載センサ計測範囲内の小エリア84(即ち水上22の全小エリア84と、水上22側に位置する水際26の一部の小エリア84)に関しては、車載センサ(サイドスキャンソナー85,水深計97)の計測情報を用いることができ、図19(b)にドットで示すような車載センサ計測範囲外の小エリア83(即ち陸上23側に位置する水際26の一部の小エリア84)に関しては、飛翔物搭載センサ(サイドスキャンソナー113,水深計114)の計測情報を用いることができる。
【0111】
なお、飛翔物111は、水陸両用車21から飛ばして車載センサ計測範囲外へ投下してもよく、水陸両用車21以外のもの(例えば水陸両用車21の近くに停泊している船舶など)から飛ばして車載センサ計測範囲外へ投下してもよい。また、飛翔物111の投下手段としては、飛翔物111を車載センサ計測範囲外まで飛ばすことが可能なものであればよく、火薬力やばね力によって飛翔物111を飛ばす投下装置など、適宜の投下手段を用いることができる。
【0112】
次のステップS16では、図17に示すように各飛翔物111の通信部112と経路探索装置27の通信部121との無線通信により、各飛翔物111のサイドスキャンソナー113で計測した各点の超音波反射強度p及び超音波反射時間tと、各飛翔物111の水深計114で計測した各点の水深N10とを入力する。また、各GPS受信機115は、GPS衛星からの信号を受信することにより、当該GPS受信機115を装備している飛翔物111の測位情報gを得る。情報選択部122では、この測位情報gも前記無線通信によって入力する。
【0113】
そして、情報選択部122では、GPS受信機115の測位情報gと地図データベース82を照合して各飛翔物111における飛翔物搭載センサ(サイドスキャンソナー113、水深計114)の計測範囲を確認した後、海底情報取得部41の反射データ補間部87、最浅水深算出部88及び平均強度算出部89と同様の反射データ補間部123、最浅水深算出部124及び平均強度算出部125において、各飛翔物111のサイドスキャンソナー113で計測した各点の超音波反射強度p及び超音波反射時間tを、反射データ補間部87、最浅水深算出部88及び平均強度算出部89と同様に処理することにより、各飛翔物111の飛翔物搭載センサ(サイドスキャンソナー113,水深計114)の計測範囲における各小エリア84に関して、最浅水深N1及び平均反射強度P1を求める。
また、情報選択部122では、水深情報取得部43の水深データ補間部98と同様の水深データ補間部126において、飛翔物111の水深計114で計測した各点の水深N10を、水深データ補間部98と同様に処理することにより、各飛翔物111の飛翔物搭載センサ(サイドスキャンソナー113,水深計114)の計測範囲における各小エリア84に関して、四隅の点b1〜b4の水深N21〜N24を求める。
【0114】
最後にステップS17では、各小エリア84に対して、小エリア84の中心座標が車載センサ(サイドスキャンソナー85,水深計97)の計測範囲内であれば当該小エリア84は車載センサの計測範囲内における小エリアであると判定し、小エリア84の中心座標が車載センサの計測範囲外であれば当該小エリア84は飛翔物搭載センサ(サイドスキャンソナー113,水深計114)の計測範囲内の小エリアであると判定する。
そして、車載センサの計測範囲内における各小エリア84に関しては、車載センサであるサイドスキャンソナー85及び水深計97の計測情報p,t,N10に基づいて得られた各小エリアの最浅水深N1、平均反射強度P1及び四隅の点b1〜b4の水深N21〜N24を水際経路評価部32へ出力する。その結果、水際経路評価部32では、これらの最浅水深N1、平均反射強度P1及び水深N21〜N24を用いて前述のような評価を行う。
一方、飛翔物搭載センサの計測範囲内における各小エリア84に関しては、飛翔物搭載センサであるサイドスキャンソナー113及び水深計114の計測情報p,t,N10に基づいて得られた各小エリア84の最浅水深N1、平均反射強度P1及び四隅の点b1〜b4の水深N21〜N24を、水際経路評価部32へ出力する。その結果、水際経路評価部32では、これらの最浅水深N1、平均反射強度P1及び水深N21〜N24を用いて前述のような評価を行う。
【0115】
その他については、上記実施の形態例1と同様であるため、ここでの図示及び詳細な説明は省略する。
【0116】
本実施の形態例2の水陸両用車21の経路探索装置27においても、上記実施の形態例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0117】
しかも、本実施の形態例2の水陸両用車21の経路探索装置27によれば、情報取得手段(情報取得部31の海底情報取得部41及び水深情報取得部43、通信部121、情報選択部122、飛翔物111の通信部112、サイドスキャンソナー113、水深計114、GPS受信機115)では、水陸両用車21に搭載されている車載センサ(サイドスキャンソナー85,水深計97)の計測範囲内の小エリア84に関しては、車載センサ(サイドスキャンソナー85,水深計97)の計測情報(超音波反射強度p、超音波反射時間t、水深N10)を選択することにより、車載センサ(サイドスキャンソナー85,水深計97)の計測情報(超音波反射強度p、超音波反射時間t、水深N10)に基づいて前記水際経路評価のための情報(最浅水深N1、平均超音波反射強度P1、エリア情報S、障害物幅Y、水深N21〜N25)を取得し、車載センサ(サイドスキャンソナー85,水深計97)の計測範囲外の小エリア84に関しては、車載センサ(サイドスキャンソナー85,水深計97)の計測範囲外へ投下した飛翔物111に搭載されている飛翔物搭載センサ(サイドスキャンソナー113,水深計114)の計測情報(超音波反射強度p、超音波反射時間t、水深N10)を選択することにより、飛翔物搭載センサ(サイドスキャンソナー113,水深計114)の計測情報(超音波反射強度p、超音波反射時間t、水深N10)に基づいて前記水際経路評価のための情報(最浅水深N1、平均超音波反射強度P1、エリア情報S、障害物幅Y、水深N21〜N25)を取得することを特徴としており、車載センサ(サイドスキャンソナー85,水深計97)の計測範囲外にも経路探索エリアを設定することができるため、経路探索装置27の適用範囲を拡大することができる。
【0118】
<実施の形態例3>
図20に基づき、本発明の実施の形態例3に係る水陸両用車の車両制御装置について説明する。本実施の形態例3の経路探索装置は、判定値を補正することが可能であることを特徴としており、その他については上記実施の形態例1又は実施の形態例2と同様である(図1〜図19参照)。
【0119】
図20に示すように、本実施の形態3では、経路探索装置27の水際経路評価部32において、補正情報評価部も備えている。この補正情報評価部では、水際26の各小エリア84に関して、地形や水などに関する既知情報や通信情報である補正情報(例えば、ぬかるみが有る、植生域である、波浪警報が出ている、漁場に該当するなどの情報)の有無を確認し、補正情報がない場合には危険度スコアを0とする一方、補正情報がある場合には危険度スコアをHとする。なお、実際には危険度スコアHとして具体的な数値が設定される。この危険度スコアHは、補正情報評価部から判定値算出部56へ出力される。
【0120】
判定値算出部56では、補正情報評価部から危険度スコアHを入力した場合、この危険度スコアHに基づいて判定値Tを補正する。例えば、判定値算出部56では、水際26における小エリア84の何れかに関して、各評価部51,52,53,54から危険度スコアA1,B2,C3,D2を入力し、且つ、補正情報評価部から危険度スコアHを入力した場合、下記の(9)式により、当該小エリア84に関する判定値Tを算出する。
T=K1×A1+K2×B2+K3×C3+K4×D2+H (6)
【0121】
なお、水際経路評価部32に限らず、水上経路評価部33や陸上経路評価部34においても補正情報評価部を設け、この補正情報評価部で何らかの補正情報を確認したときには危険度スコアHを判定値算出部63,73へ出力し、この危険度スコアHによって水際経路評価部32の場合と同様に判定値Tを補正するようにしてもよい。
【0122】
その他については、上記実施の形態例1又は実施の形態例2と同様であるため、ここでの図示及び詳細な説明は省略する。
【0123】
本実施の形態例3の水陸両用車21の経路探索装置27においても、上記実施の形態例1,2と同様の作用効果を得ることができる。
【0124】
しかも、本実施の形態例3の水陸両用車21の経路探索装置27によれば、水上経路評価手段(水上経路評価部33)、水際経路評価手段(水際経路評価部32)又は陸上経路評価手段(陸上経路評価部34)では、補正情報の有無を確認し、前記補正情報が有る場合には補正用の危険度スコアHに基づいて判定値Tを補正することを特徴としているため、危険度評価の精度を更に向上させることができる。
【0125】
なお、上記では、水陸両用車21が海から上陸する場合の経路探索について説明したが、必ずしもこれに限定するものではなく、本発明は例えば水陸両用車21が湖から上陸する場合の経路探索にも適用することができる。
また、上記では、大エリア83を正方形としたが、必ずしもこれに限定するものではなく、長方形にしてもよい。即ち、大エリア83は、水陸両用車21から陸上23(目的地)までの距離L1を一辺の長さとする矩形であればよい。小エリア84についても、必ずしも正方形に限定するものではなく、矩形であればよい。
また、上記では、各経路評価部32,33,34において、それぞれ複数の危険度スコアを決定し、これら複数の危険度スコアに係数を掛けたものを加算することによって判定値Tを求めているが、これに限定するものではなく、各経路評価部32,33,34において決定する危険度スコアが1つである場合には、当該危険度スコアをそのまま判定値Tとすればよい(判定値T=危険度スコア)。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は水陸両用車の経路探索装置に関するものであり、水陸両用車が海や湖などから上陸する際に安全な移動経路を自動的に探索する場合に適用して有用なものである。
【符号の説明】
【0127】
21 水陸両用車
22 水上
23 陸上
24 ウォータジェット
25 装軌
26 水際
27 経路探索装置
28 海底
31 情報取得部
32 水際経路評価部
33 水上経路評価部
34 陸上経路評価部
35 評価切替部
36 経路探索部
37 経路探索エリア設定部
41 海底情報取得部
42 障害物情報取得部
43 水深情報取得部
44 路面幅情報取得部
51 海底形状評価部
52 海底硬さ評価部
53 障害物評価部
54 底部傾斜評価部
56 判定値算出部
61 水深評価部
62 海底形状評価部
63 判定値算出部
71 障害物評価部
72 路面幅評価部
73 判定値算出部
81 GPS受信機
82 地図データベース
83 大エリア(経路探索エリア)
84 小エリア(経路探索エリア)
85 サイドスキャンソナー
86 海図データベース
87 反射データ補間部
88 最浅水深算出部
89 平均強度算出部
90 水中
91 最浅水深抽出部
92 底質抽出部
93 カメラ
94 旋回装置
95 障害物検出部
96 超音波
97 水深計
98 水深データ補間部
101 ジャイロ
111 飛翔物
112 通信部
113 サイドスキャンソナー
114 水深計
115 GPS受信機
121 通信部
122 情報選択部
123 反射データ補間部
124 最浅水深算出部
125 平均強度算出部
126 水深データ補間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水陸両用車が水上から水際を経て陸上へと移動する際に前記水陸両用車の移動経路を探索する経路探索装置であって、
距離計測手段によって計測した前記水陸両用車から前記陸上までの距離を一辺の長さとする矩形の大エリアと、この大エリアを分割した複数の矩形の小エリアとを、経路探索エリアとして設定する経路探索エリア設定手段と、
前記小エリアごとに、水上経路評価のための情報と、水際経路評価のための情報と、陸上経路評価のための情報とを取得する情報取得手段と、
前記小エリアごとに、前記水上経路評価のための情報に基づいて危険度スコアを決定し、この危険度スコアに基づいて第1の判定値を求める水上経路評価手段と、
前記小エリアごとに、前記水際経路評価のための情報に基づいて危険度スコアを決定し、この危険度スコアに基づいて第2の判定値を求める水際経路評価手段と、
前記小エリアごとに、前記陸上経路評価のための情報に基づいて危険度スコアを決定し、この危険度スコアに基づいて第3の判定値を求める陸上経路評価手段と、
前記小エリアごとに、前記水上経路評価手段で求めた第1の判定値と、前記水際経路評価手段で求めた第2の判定値と、前記陸上経路評価手段で求めた第3の判定値とに基づいて危険度評価値を決定する経路探索手段と、
を有することを特徴とする水陸両用車の経路探索装置。
【請求項2】
請求項1に記載する水陸両用車の経路探索装置において、
前記経路探索手段では、前記小エリアごとに決定した前記危険度評価値の総和が最小となる経路を最適経路として決定することを特徴とする水陸両用車の経路探索装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載する水陸両用車の経路探索装置において、
前記情報取得手段で取得する前記水際経路評価のための情報は、水底情報取得手段によって取得する水底情報と、障害物情報取得手段によって取得する水面上の障害物情報と、水深情報取手段によって取得する水深情報であり、
前記水際経路評価手段では、前記水底情報に基づいて決定する危険度スコアと、前記障害物情報に基づいて決定する危険度スコアと、前記水深情報に基づいて決定する危険度スコアとに基づいて前記判定値を求めること、
を特徴とする水陸両用車の経路探索装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載する水陸両用車の経路探索装置において、
前記情報取得手段で取得する前記水上経路評価のための情報は、水深情報取手段によって取得する水深情報と、水底情報取得手段によって取得する水底情報であり、
前記水上経路評価手段では、前記水深情報に基づいて決定する危険度スコアと、前記水底情報に基づいて決定する危険度スコアとに基づいて前記判定値を求めること、
を特徴とする水陸両用車の経路探索装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載する水陸両用車の経路探索装置において、
前記情報取得手段で取得する前記陸上経路評価のための情報は、障害物情報取得手段によって取得する陸上の障害物情報と、路面幅情報取得手段によって取得する路面幅情報であり、
前記陸上経路評価手段では、前記障害物情報に基づいて決定する危険度スコアと、前記路面幅情報に基づいて決定する危険度スコアとに基づいて前記判定値を求めること、
を特徴とする水陸両用車の経路探索装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載する水陸両用車の経路探索装置において、
前記情報取得手段では、前記水陸両用車に搭載されている車載センサの計測範囲内の小エリアに関しては、前記車載センサの計測情報を選択することにより、前記車載センサの計測情報に基づいて前記水際経路評価のための情報を取得し、前記車載センサの計測範囲外の小エリアに関しては、前記車載センサの計測範囲外へ投下した飛翔物に搭載されている飛翔物搭載センサの計測情報を選択することにより、前記飛翔物搭載センサの計測情報に基づいて前記水際経路評価のための情報を取得することを特徴とする水陸両用車の経路探索装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載する水陸両用車の経路探索装置において、
前記水上経路評価手段、前記水際経路評価手段又は前記陸上経路評価手段では、補正情報の有無を確認し、前記補正情報が有る場合には補正用の危険度スコアに基づいて前記判定値を補正することを特徴とする水陸両用車の経路探索装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−173030(P2012−173030A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32975(P2011−32975)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】