説明

汚泥燃料化装置

【課題】コーキングの発生を食い止め、コーキングを進行させることなく安定運転、安定停止できる等の効果が得られる汚泥燃料化装置を提供することを課題とする。
【解決手段】汚泥を熱分解炭化処理して熱分解ガス及び炭化物を生成させる熱分解炭化炉2と、前記熱分解炭化炉で発生する熱分解ガスを燃焼させる燃焼炉3と、熱分解炭化炉と燃焼炉を接続する,燃焼炉からの熱分解ガスが通過する熱分解ガス接続ダクト4とを具備する汚泥燃料化装置1であって、前記熱分解ガス接続ダクト4内に、熱分解ガス接続ダクト4の内面に接触するように回転する内部掻き取り羽根10を配置したことを特徴とする汚泥燃料化装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理場などから発生する汚泥の燃料化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多量に排出されるプラスチックを始めとする廃棄物に対し所定の処理を施して資源として利用する各種の手法の提案がなされている。特に、CO排出量を低減する観点から、化石燃料の代替エネルギーとして、カーボンニュートラルであるバイオマスが注目されている。その一例として、バイオマス(木材、汚泥、家畜糞尿、生ゴミ等)や廃プラスチック等の有機物処理材料を熱分解処理して、熱分解ガスと熱分解残渣とを生成し、熱分解ガスは凝縮することにより熱分解油として回収し、残渣は所定の処理をすることにより炭化物として利用するシステムが考えられている。この中でも、有機物処理材料として廃プラスチックを用いると、高効率で熱分解油を回収できるので、このような廃プラスチックを熱分解油化処理する装置に関しては多くの提案がなされ、実用化している(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【0003】
一方、下水処理場などから大量に発生する汚泥はバイオマスの一つである。前記汚泥は、大半が埋め立て処理あるいは焼却処理されており、エネルギーの有効利用がされていないのが実情である。そこで、CO排出量を抑制するため、即ち化石燃料の使用を抑制するために、安定した収集量が見込める下水汚泥を、炭化処理により固体燃料化して、石炭火力発電用の燃料にするシステムが考えられている。
【0004】
汚泥を焼却処理する場合は、汚泥の発熱量を全て焼却熱に使えるので助燃料の使用量は少ない。しかし、汚泥を炭化処理する場合は、炭化物に熱量を残すために炭化処理する為の助燃料の使用量が多くなる。この為、助燃料として化石燃料の使用を抑制することを目的に木質系バイオマスを使用することが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
但し、その問題点も鑑み、汚泥を燃料化するための炭化処理において、化石燃料の使用量を大幅に削減するだけでなく、少量の助燃料で処理主体である汚泥を安定的に炭化燃料化することのでき、汚泥及び助燃料を炭化炉に連続的に投入する際に、空気を混入させず安定的に投入、炭化処理でき、しかも、シンプルで消費電力を抑え、ランニングコストを大幅に低減できる汚泥の燃料化方法及び装置を提供する特許提案を既に行っている。
【0006】
何れの場合においても、熱分解炭化炉からは熱分解ガス中に熱分解した低分子のガス成分だけでなく高分子のガス成分も排出され燃焼炉に送られる。特に熱分解炭化炉での熱分解温度が低めである場合、木質系の助燃量の比率が多い場合、熱分解炭化炉内で均一に加熱されておらず未分解成分がガス中に多く含まれている場合等に高分子のガス成分も排出され燃焼炉に送られる。
【0007】
この際、熱分解炭化炉から燃焼炉に至る熱分解ガスが通過する熱分解ガス接続ダクトにおいて、接続ダクト内で温度が下がり、接続ダクト壁面に熱分解ガスが付着し、これが蓄積し、接続ダクト内表面にコーキングが生成されてしまう。これが酷くなると接続ダクトが閉塞し、熱分解炭化炉で発生した熱分解ガスが燃焼炉に流れなくなり、汚泥燃料化装置を運転できない状態に至るという問題がある。
【特許文献1】特許3340412号公報
【特許文献2】特許3397764号公報
【特許文献3】特許3435399号公報
【特許文献4】特許3861093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこうした事情を考慮してなされたもので、コーキングを引起しやすい運転条件で熱分解ガス接続ダクト内のコーキングを進行させるような条件においても、運転を継続しながら、コーキングの発生を食い止め、コーキングを進行させることなく安定運転、安定停止できる汚泥燃料化装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、これにより、汚泥を燃料化するための炭化処理において、化石燃料の使用量を大幅に削減するだけでなく、少量の助燃料で処理主体である汚泥を安定的に炭化燃料化することのできる汚泥燃料化装置を提供することを目的とする。
更に、本発明は、ランニングコストを大幅に低減できるばかりでなく、処理設備の設置面積を小さくできる汚泥燃料化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る汚泥燃料化装置は、汚泥を熱分解炭化処理して熱分解ガス及び炭化物を生成させる熱分解炭化炉と、前記熱分解炭化炉で発生する熱分解ガスを燃焼させる燃焼炉と、熱分解炭化炉と燃焼炉を接続する,燃焼炉からの熱分解ガスが通過する熱分解ガス接続ダクトとを具備する汚泥燃料化装置であって、前記熱分解ガス接続ダクト内に、熱分解ガス接続ダクトの内面に接触するように回転する内部掻き取り羽根を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コーキングを引起しやすい運転条件で熱分解ガス出口ダクト内のコーキングを進行させるような条件においても、運転を継続しながら、コーキングの発生を食い止め、コーキングを進行させることなく安定運転、安定停止が可能となる。また、汚泥を燃料化するための炭化処理において、化石燃料の使用量を大幅に削減するだけでなく、少量の助燃料で処理主体である汚泥を安定的に炭化燃料化することができる。更に、ランニングコストを大幅に低減できるばかりでなく、処理設備の設置面積を小さくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の汚泥燃料化装置について更に詳しく説明する。
(1) 本発明の汚泥燃料化装置は、上記したように、熱分解炭化炉と、燃焼炉と、熱分解ガス接続ダクトとを具備し、熱分解ガス接続ダクト内に、熱分解ガス接続ダクトの内面に接触するように回転する内部掻き取り羽根を配置したことを特徴とする。こうした構成によれば、運転中、接続ダクトの内面は勿論、内部掻き取り羽根内表面にもコーキングが生成するのを防止することができ、接続ダクト内は常に熱分解ガスが流れ易い状態を確保できる。
【0013】
(2) 上記(1)の発明において、熱分解炭化炉の運転中においても内部掻き取り羽根の回転方向を自動的に正転、逆転切替えられるようにすることが好ましい。こうした構成によれば、内部掻き取り羽根が一定の接続ダクト内面の箇所に接触し、偏りが生じることなく、接続ダクト内面を均一に掻き落とすことができ、コーキングの生成、成長の偏りを防止することができる。
【0014】
(3) 上記(1)または(2)の発明において、熱分解炭化炉の運転中においても内部掻き取り羽根を自動的に上下に駆動させる駆動機構を設置することが好ましい。こうした構成によれば、運転中、駆動機構により内部掻き取り羽根が振動する。そのため、接続ダクトの内面にコーキングが生成するのを防止することができ、接続ダクト内は常に熱分解ガスが流れ易い状態を確保できる。
【0015】
(4) 上記(1)乃至(3)のいずれかにおいて、内部掻き取り羽根の表面には、コーキングを除去し易くした硬質ブラシを設置することが好ましい。こうした構成によれば、内部掻き取り羽根の振動により硬質ブラシが熱分解ガス接続ダクトの内面を左右上下に接触するので、熱分解ガス接続ダクトの内面は勿論、表面に取付け加工した内部掻き取り羽根自体もコーキングが生成するのを防止することができ、熱分解ガス接続ダクト内は常に熱分解ガスが流れ易い状態を確保できる。
【0016】
(5) 上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、熱分解ガス接続ダクト内表面、及び、内部掻き取り羽根表面に向けて不活性ガスが噴射できるように複数の不活性ガス噴射口を内部掻き取り羽根の中心軸に設置し、定期的に不活性ガスを噴射するようにすることが好ましい。こうした構成によれば、運転中、不活性ガスを噴射すれば、接続ダクトの内面に付着しそうな残渣の粉、油分等を吹き飛ばすことができるとともに、接続ダクト内表面を常時きれいな状態にできる。
【0017】
(6) 上記(1)乃至(5)のいずれかにおいて、熱分解ガス接続ダクト内面に向けて噴射する不活性ガスは、発生ガス出口ダクト外表面に設置した熱風ジャケットで加熱し、予熱できるようにすることが好ましい。こうした構成によれば、噴射する不活性ガスの温度を、接続ダクト内を流れ熱分解ガスとほぼ同一温度にすることができ、噴射する不活性ガスにより熱分解ガスが冷却されることなく、接続ダクト内面でコーキングが生成することなく、熱分解ガスを安定的に流すことができる。
【0018】
(7) 上記(1)乃至(6)のいずれかにおいて、熱分解ガス接続ダクトにおいて、このダクト内の温度の設定保持範囲を400℃〜500℃の間にするとともに、圧力の設定保持範囲を−100mmAq〜0mmAqの間にすることが好ましい。こうした構成によれば、接続ダクト内の温度、圧力を上記の範囲に設定することにより、接続ダクト内の内面にコーキングが生成するのを防止できる。
【0019】
(8) 上記(1)乃至(7)のいずれかにおいて、熱分解ガス接続ダクトにおいて、この接続ダクト内の温度を400℃〜500℃の間の設定保持範囲にする為に、接続配管の加熱範囲を複数に分割し、その加熱範囲毎に複数の温度測定器を設置し、一部の温度測定器が規定温度を外れた場合にはその加熱範囲の加熱手段の負荷を調整し、接続ダクトの全区間が設定保持範囲内に保持できるように制御することが好ましい。こうした構成によれば、接続ダクトの加熱範囲を複数に分割し、その加熱範囲毎に温度測定器を設置するので、一部の温度測定器が規定温度を外れた場合にはその加熱範囲の加熱手段の負荷を調整し、接続ダクトの各区間がそれぞれ設定保持範囲内に保持できるので、接続ダクト内の温度をより均一に制御することができる。
【0020】
(9) 上記(1)乃至(8)のいずれかにおいて、熱分解ガス接続ダクトにおいて、この接続ダクト内の圧力を−100mmAq〜0mmAqの間の設定保持範囲にする為に、接続ダクト内の圧力を計測できる複数の圧力測定器を設置し、一部の圧力測定器が規定圧力を外れた場合には、下流に設置し排ガスを吸引する排ガス吸引ブロアの負荷を調整し、接続ダクトの全区間が設定保持範囲内に保持できるように制御することが好ましい。こうした構成によれば、通常、接続ダクト内部の内面にコーキングが生成し生長すると、接続ダクト内部の圧力も上昇してくるが、圧力測定器により接続ダクト内部の圧力を測定することで、接続ダクト内部の内面にコーキングが生成しているかどうかが判定できる。
【0021】
(10) 上記(1)乃至(9)のいずれかにおいて、熱分解ガス接続ダクトにおいて、この接続ダクト内の途中に不活性ガス注入ポートを設置し、運転中、この接続ダクト内の温度を400℃〜500℃の間の設定保持範囲に保持しつつ、圧力を−100mmAq〜0mmAqの間の設定保持範囲に保持できる範囲で不活性ガス注入ポートから不活性ガスを注入できるようにすることが好ましい。こうした構成によれば、不活性ガス注入ポートから不活性ガスを接続ダクト内に分割して噴射し、接続ダクトの内面を洗浄することができる。
【0022】
(11) 上記(1)乃至(10)のいずれかにおいて、投入する不活性ガスは接続ダクト内の設定保持温度範囲の400℃〜500℃の間に予熱することが好ましい。こうした構成によれば、噴射する不活性ガスの温度を、熱分解ガス出口ダクト内を流れる熱分解ガスとほぼ同一温度にすることができる。従って、噴射する予熱された不活性ガスにより熱分解ガスが冷却されることなく、熱分解ガス出口ダクト内面でコーキングが生成することなく、熱分解ガスを安定的に流すことができる。
【0023】
(12) 上記(11)の接続ダクト内の温度を設定保持範囲に保持しつつ、不活性ガスを設定保持範囲で熱分解ガス接続ダクトに注入できるように、燃焼炉、或いは熱分解炭化炉の表面、或いはその他の放熱部に不活性ガス配管を沿わせて、不活性ガスを加熱できるようにすることが好ましい。ところで、燃焼炉、あるいは熱分解炭化炉の高温機器には機器からの放熱を防止する為に、これら機器の表面に保温を施工するが、その保温施工された部分(保温の厚さ部分)をその他の放熱部(保温層)と呼ぶ。こうした構成によれば、噴射する不活性ガスの温度を、接続ダクト内を流れ熱分解ガスとほぼ同一温度にすることができる。従って、噴射する予熱された不活性ガスにより熱分解ガスが冷却されることなく、接続ダクト内面でコーキングが生成することなく、熱分解ガスを安定的に流すことができる。
【0024】
次に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、本実施形態は下記に述べることに限定されない。
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る汚泥燃料化装置について、図1及び図2を参照して説明する。ここで、図1は同汚泥燃料化装置の概略的断面図であり、図2は同汚泥燃料化装置の横概略断面図である。図1及び図2は、請求項1の実施形態に対応する。
【0025】
汚泥燃料化装置1は、熱分解炭化炉2と、燃焼炉3と、熱分解ガス接続ダクト(以下、接続ダクトと呼ぶ)4を備えている。熱分解炭化炉2は、汚泥を熱分解炭化処理して熱分解ガス及び炭化物を生成させる機能を備えている。燃焼炉3は、熱分解炭化炉2で発生する熱分解ガスを燃焼させる機能を備えている。接続ダクト4は、熱分解炭化炉2と燃焼炉3を接続する配管で、熱分解炭化炉2からの熱分解ガスを燃焼炉3へ通過させる機能を備えている。
【0026】
前記燃焼炉3は、燃焼炉本体5と、この燃焼炉本体5の上部に配置された燃焼室6と、主バーナ7と、補助バーナ8を備えている。接続ダクト4内には、内部掻き取り羽根駆動機9の回転軸9aに連結された螺旋状の内部掻き取り羽根10が設けられている。この内部掻き取り羽根10は、ダクト内表面にコーキングが生成するのを防止する目的で、熱分解ガス接続ダクト4の内面に接触するように回転する。内部掻き取り羽根10の径は、接続ダクト4の内径より僅かに小さい構造となっている。前記駆動機9は熱分解炭化炉2側に設置されて、接続ダクト内面を掻き取った付着物を燃焼炉側に落下させるようにしている。また、内部掻き取り羽根10は、振動を伴った上下運動をしても、接続ダクト4の内面にかじったり食込んだりすることがなく、且つ、接続ダクト4の内面にフィットする形で設置される。
【0027】
内部掻き取り羽根10の内側には、複数のコーキング防止用掻き落としガイド棒(以下、ガイド棒と呼ぶ)11が配置されている。熱分解ガス接続ダクト4の一端側(図1中の左端側)にはフランジ12が設けられ、このフランジ12に掻き落としガイド棒11の一端が溶接により固定されている。前記掻き落としガイド棒11により、内部掻き取り羽根10の内側にコーキングが成長するのを防止するようになっている。
【0028】
また、掻き落としガイド棒11は、振動を伴った上下運動をしても、接続ダクト4の内面に挟まったり食込んだりすることがなく、且つ、掻き落としガイド棒11の振動により接続ダクト4の内面を左右上下に接触する形で設置される。前記掻き落としガイド棒11の先端部は、掻き落とした付着物がスムースに剥離し燃焼炉側に落下するように先を内側に曲げて細くしている。前記掻き落としガイド棒11は、接続ダクト4内を熱分解ガスがスムースに流れるように、これら複数の掻き落としガイド棒11間隔には適度な隙間を設け、掻き落としガイド棒11が熱分解ガスの流れの抵抗にならないようにしている。また、図1に示すように、熱分解ガスが熱分解炭化炉2を出て、接続ダクト4内をスムースに流れるように、内部掻き取り羽根10の内面にコーキングは生成、成長しないように掻き落としガイド棒11を内部掻き取り羽根10の内面に水平に設置し、内部掻き取り羽根10の内面を開口する構造としている。なお、図1中の符番13は熱分解ガス出口ノズル、符番14は燃焼火炎を示す。また、図2中の符番15は熱分解炭化炉2に材料を投入するための材料投入機、符番16は熱分解炭化炉を駆動する熱分解炭化炉駆動機を示す。
【0029】
第1の実施形態に係る汚泥燃料化装置によれば、運転中、接続ダクト4の内面は勿論、内部掻き取り羽根10内表面にもコーキングが生成するのを防止することができ、接続ダクト4内は常に熱分解ガスが流れ易い状態を確保できる。
【0030】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係る汚泥燃料化装置の概略的な断面図を示す。図3は請求項2の実施形態に対応する。但し、図1,2と同部材は同符番を付して説明を省略する。
【0031】
図3は、熱分解炭化炉2の運転中においても、内部掻き取り羽根10の駆動機9の回転を切り替えることにより、内部掻き取り羽根10の回転方向を自動的に正回転(矢印a)、逆回転(矢印b)切替えられるようにしたものである。
このように、内部掻き取り羽根10を正回転、逆回転可能にしたのは、次の理由による。即ち、接続ダクト4内の内部掻き取り羽根10を同じ回転方向のみで回転させることで、接続ダクト4内のコーキングの生成、成長を取敢えず食い止めることができる。しかし、同じ回転方向のみで回転させると、内部掻き取り羽根10、掻き落としガイド棒11が一定の接続ダクト4内面の箇所に接触し、偏りが生じ、長時間運転するとコーキングの筋が生じてしまう。
【0032】
第2の実施形態に係る汚泥燃料化装置によれば、内部掻き取り羽根10の回転方向を自動的に正回転、逆回転切替えることにより、内部掻き取り羽根10が一定の接続ダクト内面の箇所に接触し、偏りが生じることなく、接続ダクト内面を均一に掻き落とすことができ、コーキングの生成、成長の偏りを防止することができる。
【0033】
また、図3のような複数の掻き落としガイド棒11を接続ダクト4の内部に設置することにより、運転中、内部掻き取り羽根10が接続ダクト4内を正回転、逆回転することにより、このガイド棒4が振動するため、接続ダクト内面は勿論、ガイド棒4自体のコーキングが生成するのを防止することができ、接続ダクト内は常に熱分解ガスが流れ易い状態を確保できる。
【0034】
(第3の実施形態)
図4は本発明の第3の実施形態に係る汚泥燃料化装置の説明図であり、図4(A)は同装置の概略的な断面図、図4(B)は図4(A)のA−A矢視図である。図4は請求項3の実施形態に対応する。なお、図4(B)において、内部掻き取り羽根10は接続抱くと4の内面の一部に接した状態にある。但し、図1〜3と同部材は同符番を付して説明を省略する。
本実施形態は、熱分解炭化炉2の運転中においても、内部掻き取り羽根10を自動的に上下に駆動させる駆動機構21を設置するようにしたことを特徴とする。
【0035】
図4は、接続ダクト内に設置する内部掻き取り羽根10、及び複数の掻き落とし用ガイド棒11が、熱分解炭化炉2の内筒の回転に連動して振動し、接続ダクト内面の掻き落としをし易くしたものである。
【0036】
接続ダクト4は、熱分解炭化炉2の内筒出口側上部に水平方向に設置されている。熱分解炭化炉2の内筒出口部に小さな突起を付け、内部掻き取り羽根10及び複数の掻き落とし用ガイド棒11の片側に僅かに接触し振動を与えるようにしている。
【0037】
これにより、内部掻き取り羽根10、及び複数の掻き落とし用ガイド棒11は、熱分解炭化炉2の内筒出口部の小さな突起部に接触する度に振動する。勿論、内部掻き取り羽根10及び複数の掻き落とし用ガイド棒11は、振動しても外れたり曲がったりしないような強度を有する構造と、各掻き落とし用ガイド棒11は適度な間隔を確保できる設計としている。
【0038】
第3の実施形態に係る汚泥燃料化装置によれば、内部掻き取り羽根10を自動的に上下に駆動させる駆動機構21を設置することにより、接続ダクト4内に設置する内部掻き取り羽根10、及び複数の掻き落とし用ガイド棒11を熱分解炭化炉2の内筒の回転に連動して振動し、接続ダクト内面の掻き落とし易くしている。従って、運転中、接続ダクト4の内部掻き取り羽根10が正回転、逆回転することにより、内部掻き取り羽根10及び複数の掻き落とし用ガイド棒11が振動して、複数の掻き落とし用ガイド棒11自体も左右上下運動する。そのため、接続ダクト4の内面は勿論、掻き落とし用ガイド棒11自体もコーキングが生成するのを防止することができ、接続ダクト4内は常に熱分解ガスが流れ易い状態を確保できる。
【0039】
(第4の実施形態)
図5は本発明の第4の実施形態に係る汚泥燃料化装置の説明図であり、図5(A)は同装置の概略的な断面図、図5(B)は図5(A)のA−A矢視図である。図5は請求項4の実施形態に対応する。但し、図1〜4と同部材は同符番を付して説明を省略する。また、図1〜図4と同部材は同符番を付して説明を省略する。図4は請求項4の実施形態に対応する。
【0040】
第4の実施形態は、第3の実施形態に対し、図5に示すように、内部掻き取り羽根10、掻き落とし用ガイド棒11の夫々の表面に硬質ブラシ22を取り付けたことを特徴とし、その他の部分の構成は図4と同様である。
【0041】
内部掻き取り羽根10、及び複数の掻き落とし用ガイド棒11表面に取付け加工した硬質ブラシ22は、内部掻き取り羽根10、及び複数の掻き落とし用ガイド棒11が振動を伴った左右上下運動をしても、接続ダクト4と回転する内部掻き取り羽根10との間や、内部掻き取り羽根10と複数の掻き落とし用ガイド棒11との間に挟まったり食込んだりすることがなく、且つ、内部掻き取り羽根10及び掻き落とし用ガイド棒11の振動により硬質ブラシ22が接続ダクト4の内面を左右上下に接触する形で設置される。この内部掻き取り羽根10及び掻き落とし用ガイド棒11の設置方法については、上述したとおりである。
また、内部掻き取り羽根10及び掻き落とし用ガイド棒11表面に取付け加工した硬質ブラシ22が熱分解ガスの流れの抵抗にならないようにしている。
【0042】
第4の実施形態に係る汚泥燃料化装置は、上述したように、表面に硬質ブラシ22を取付け加工した内部掻き取り羽根10及び掻き落とし用ガイド棒11を接続ダクト4内部に設置した構成となっている。従って、運転中、内部掻き取り羽根10が正回転、逆回転することにより、内部掻き取り羽根10及び掻き落とし用ガイド棒11が振動して接続ダクト内面に衝突し、内部掻き取り羽根10及び掻き落とし用ガイド11自体も左右上下運動する。そのため、接続ダクト4の内面は勿論、表面に取付け加工した内部掻き取り羽根10及び掻き落とし用ガイド棒11自体もコーキングが生成するのを防止することができ、接続ダクト内は常に熱分解ガスが流れ易い状態を確保できる。
【0043】
(第5の実施形態)
図6は本発明の第5の実施形態に係る汚泥燃料化装置の説明図であり、請求項5の実施形態に対応する。但し、図1及び図2と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図6は、熱分解ガス出口ダクト内表面、及び、内部掻き取り羽根表面に向けて不活性ガスが噴射できるように複数の不活性ガス噴射ノズルを内部掻き取り羽根の中心軸付近に設置し、定期的に不活性ガスを噴射するようにしたものである。
【0044】
図中の符番23は、接続ダクト4の上流側(図中の左側)に配置された複数の不活性ガス噴射ノズルを示す。これらの不活性ガス噴射ノズル23は、不活性ガス噴射ヘッダ24に連結している。不活性ガス噴射ノズル23は、接続ダクト内表面に不活性ガスが接触するように配置されており、定期的に不活性ガスを噴射し、接続ダクト4の内面に付着しそうな残渣の粉や油分を吹き飛ばすようにしたものである。不活性ガス噴射ノズル23の数、各々の噴射角度は、吹き飛ばすのに最適な角度に設定している。
【0045】
第5の実施形態に係る汚泥燃料化装置は、上述したように、接続ダクト4の上流側の内部掻き取り羽根の中心軸付近に複数の不活性ガス噴射ノズル23を配置し、接続ダクト4の内表面、及び、内部掻き取り羽根表面に不活性ガスが接触するように不活性ガスを噴射する構成になっている。従って、運転中、不活性ガスを噴射することにより、接続ダクト4の内面、及び、内部掻き取り羽根表面に付着しそうな残渣の粉、油分等を吹き飛ばすことができる。また、これを不活性ガス噴射ノズル23からの不活性ガスを定期的に噴射することにより、接続ダクト内表面、及び、内部掻き取り羽根表面を常時きれいな状態にできるようにしたものである。
【0046】
なお、上記第5の実施形態において、不活性ガス噴射ノズルの噴射角度を微調整できるような角度可動式等の不活性ガス噴射口を取り付けると、調整が行い易くなる。
また、噴射される不活性ガスが、接続ダクト内を熱分解炭化炉から燃焼炉に向かって流れる熱分解ガスの流れの抵抗にならないように、不活性ガス噴射ノズルの位置、間隔を適当に設定することが好ましい。
【0047】
(第6の実施形態)
図7は本発明の第6の実施形態に係る汚泥燃料化装置の説明図であり、請求項5の実施形態に対応する。但し、図1、図2及び図6と同部材は同符番を付して説明を省略する。図7は、接続ダクト内面に向けて噴射する不活性ガスを、加熱炉外表面に設置した熱風ジャケットで加熱し、予熱できるようにしたものである。
【0048】
図中の符番25は、燃焼炉2の外表面に設置した熱風ジャケット(図示せず)に沿うように施工された不活性ガス加熱配管を示す。この加熱配管25には不活性ガスを供給し、加熱炉2の外表面の熱風ジャケットで加熱配管25を流れる不活性ガスを加熱する。この加熱した不活性ガスは、不活性ガス噴射ノズル23から接続ダクト4の内面に向けて噴射する。
【0049】
第6の実施形態に係る汚泥燃料化装置は、上述したように、加熱炉2の外表面に設置した熱風ジャケットに沿って不活性ガス加熱配管25を施工し、この加熱配管25内に不活性ガスを供給することにより、熱風ジャケットによる熱によって不活性ガスを加熱し、これを接続ダクト4の内面に向けて噴射できる構成になっている。このように、不活性ガスを噴射するまでに不活性ガスを予熱できるようにしたことにより、噴射する不活性ガスの温度を、接続ダクト4内を流れ熱分解ガスとほぼ同一温度にすることができ、噴射する不活性ガスにより熱分解ガスが冷却されることなく、接続ダクト4内面でコーキングが生成することなく、熱分解ガスを安定的に流すことができる。
【0050】
なお、噴射される不活性ガスが十分加熱されるように、不活性ガス加熱配管25を加熱炉2の熱風ジャケットの外側に沿わせて施工し、熱風ジャケット内に入れる等、加熱する不活性ガス加熱配管の施工方法を最適に設計することが好ましい。
【0051】
(第7の実施形態)
図8は本発明の第7の実施形態に係る汚泥燃料化装置の説明図であり、請求項7の実施形態に対応する。但し、図1及び図2と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番26は、接続ダクト4の外周部に設けられた接続ダクト加熱ジャケット(以下、加熱ジャケットと呼ぶ)である。加熱ジャケット26により、接続ダクト4内の温度の設定保持範囲を400℃〜500℃の間に加熱保持できるようになっている。また、接続ダクト4内の圧力の設定保持範囲を、−100mmAq〜0mmAqの間に設定している。
【0052】
第7の実施形態に係る汚泥燃料化装置によれば、接続ダクト4の外周部に加熱ジャケット26を設け、接続ダクト4内の温度を400℃〜500℃に保持し、かつ接続ダクト4内の圧力を−100mmAq〜0mmAqの間に設定した構成になっている。従って、接続ダクト4内の内面にコーキングが生成するのを防止できる。
【0053】
一般に、熱分解炭化炉2を出た熱分解ガスの温度は400℃〜500℃であり、接続ダクト4を流れる熱分解ガスの温度も400℃〜500℃である。これより低い温度になると、接続ダクト内面にコーキングが生成し生長する。
また、熱分解ガスが発生する熱分解炭化炉内の圧力は−100mmAq〜0mmAqの間に設定されており、これに合わせて、通常は接続ダクト4を流れる熱分解ガスの圧力も−100mmAq〜0mmAqの間に保持されている。接続ダクトの内面にコーキングが生成し生長すると、この圧力も上昇してくる。従って、接続ダクト4内部の圧力を測定することで、接続ダクト4内部の内面にコーキングが生成しているか否かが判定できる。
【0054】
(第8の実施形態)
図9は本発明の第8の実施形態に係る汚泥燃料化装置の説明図であり、請求項8の実施形態に対応する。但し、図1及び図2と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番27a,27b,27cは、接続ダクト4の外周部に設けられた3分割された接続ダクト加熱ジャケット(以下、加熱ジャケットと呼ぶ)である。各加熱ジャケット27a,27b,27cには、夫々温度測定器28a,28b,28cが設けられ、接続ダクト4内の夫々の温度(T,T,T)の設定保持範囲を400℃〜500℃の間に加熱保持できるようになっている。即ち、一部の温度測定器が規定温度を外れた場合には、その加熱範囲の加熱手段の負荷を調整し、接続ダクト4の全区間が設定保持範囲内に保持できるように制御している。
【0055】
第8の実施形態に係る汚泥燃料化装置によれば、接続ダクト4の外周部に3分割された加熱ジャケット27a,27b,27cを設けるとともに、各加熱ジャケット27a〜27cに温度測定器28a〜28cを夫々設け、接続ダクト4内の温度を400℃〜500℃に保持するように構成されている。従って、接続ダクト4内の内面にコーキングが生成するのを防止できる。
【0056】
既述したように、熱分解炭化炉2を出た熱分解ガスの温度は400℃〜500℃であり、接続ダクトを流れる熱分解ガスの温度も400℃〜500℃であり、これより低い温度箇所が多少でも存在すると、その箇所からコーキングが生成し、接続ダクト内面にコーキングが進展する。この為、接続ダクト内面は400℃〜500℃の範囲で均一に温度調節することが重要となる。
【0057】
図9の例では、この接続ダクト4内の温度を400℃〜500℃の間の設定保持範囲を保持する為に、接続ダクト4の加熱範囲を3つに分割し、その加熱範囲毎に温度測定器28a〜28cを設置し、一部の温度測定器28a〜28cが規定温度を外れた場合にはその加熱範囲の加熱手段の負荷を調整し、接続ダクト4の3区間がそれぞれ設定保持範囲内に保持できるようにこの接続ダクト内の温度をできるだけ均一に制御するようにしたものである。
【0058】
(第9の実施形態)
図10は本発明の第9の実施形態に係る汚泥燃料化装置の説明図であり、請求項9の実施形態に対応する。但し、図1,2及び図9と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番29a,29b,29cは、3つに分割された加熱ジャケット27a,27b,27cの内側の接続ダクト4内の圧力(P,P,P)を夫々測定する圧力測定器を示す。即ち、本実施形態では、接続ダクト内の圧力を−100mmAq〜0mmAqの間の設定保持範囲にする為に、接続ダクト内の圧力を計測できる複数の圧力測定器29a〜29cを設置し、一部の圧力測定器が規定圧力を外れた場合には、燃焼炉2の下流に設置した,排ガスを吸引する排ガス吸引ブロアの負荷を調整し、接続ダクト4の全区間が設定保持範囲内に保持できるように制御している。前記吸引ブロアの吸引負荷により、燃焼炉3内の炉内圧力だけでなく、その上流の接続ダクト4内、熱分解炭化炉2内の圧力も制御することができるようになっている。
【0059】
第9の実施形態に係る汚泥燃料化装置によれば、加熱ジャケット27a,27b,27cの内側の接続ダクト4に、該接続ダクト4内の圧力を測定する圧力測定器29a,29b,29cを設けた構成にすることにより、接続ダクト内部の内面にコーキングが生成しているかどうかが判定できる。
【0060】
即ち、圧力測定器29a〜29cを設けることにより、熱分解炭化炉内の圧力は−100mmAq〜0mmAqの間に設定され、これに合わせて、通常は熱分解ガス出口ダクトを流れる熱分解ガスの圧力も−100mmAq〜0mmAqの間に保持される。接続ダクト4内部の内面にコーキングが生成し生長すると、この圧力も上昇してくる。しかし、上記圧力測定器29a〜29cにより接続ダクト内部の圧力を測定することで、接続ダクト内部の内面にコーキングが生成しているかどうかが判定できる。
【0061】
(第10の実施形態)
図11は本発明の第10の実施形態に係る汚泥燃料化装置の説明図であり、請求項10の実施形態に対応する。但し、図1,2,9及び図10と同部材は同符番を付して説明を省略する。
図中の符番31は、3つに分割された加熱ジャケット27a,27b,27cに対応する接続ダクト4内に夫々不活性ガスを注入する不活性ガス注入ポートを示す。即ち、本実施例では、加熱ジャケット27a〜27cに対応する接続ダクト4に不活性ガス注入ポートを設けることにより、運転中、この接続ダクト4内の温度を400℃〜500℃の間の設定保持範囲に保持しつつ、圧力を−100mmAq〜0mmAqの間の設定保持範囲に保持できる範囲で不活性ガス注入ポート31から分割して不活性ガスを注入できるようにしたものである。
【0062】
第10の実施形態に係る汚泥燃料化装置によれば、加熱ジャケット27a〜27cに対応する接続ダクト4に、加熱ジャケット27a,27b,27cに対応する接続ダクト4内に夫々不活性ガスを注入する不活性ガス注入ポート31を設けた構成になっている。従って、不活性ガス注入ポート31から不活性ガスを接続ダクト4内に分割して噴射し、接続ダクト4の内面を洗浄することができる。
【0063】
なお、噴射される不活性ガスが接続ダクト内面を十分に洗浄できるように、不活性ガス配管の施工方法、噴射スプレーの形状等を最適に設計することが好ましい。
【0064】
(第11の実施形態)
図12は本発明の第11の実施形態に係る汚泥燃料化装置の説明図であり、請求項11の実施形態に対応する。但し、図1,2,9,10及び図11と同部材は同符番を付して説明を省略する。
本実施形態は、第10の実施形態と比べ、加熱した不活性ガスを不活性ガス注入ポート31から接続ダクト4内の複数個所に噴射する点が異なり、他の点は第10の実施形態と同様である。ここで、不活性ガスは、接続ダクト4内の設定保持温度範囲の400℃〜500℃の間に予熱する。
【0065】
第11の実施形態に係る汚泥燃料化装置によれば、接続ダクト4内の設定保持温度範囲の400℃〜500℃の間に予熱した不活性ガスを、不活性ガス注入ポート31から接続ダクト4内に噴射する構成である。従って、噴射する不活性ガスの温度を、接続ダクト4内を流れ熱分解ガスとほぼ同一温度にすることができ、噴射する不活性ガスにより熱分解ガスが冷却されることなく、接続ダクト4内面でコーキングが生成することなく、熱分解ガスを安定的に流すことができる。
【0066】
(第12の実施形態)
図13は本発明の第12の実施形態に係る汚泥燃料化装置の説明図であり、請求項12の実施形態に対応する。但し、図1,2,9,10及び図11と同部材は同符番を付して説明を省略する。
【0067】
図中の符番32は、燃焼炉2の外表面に設置した熱風ジャケット(図示せず)に沿うように施工された不活性ガス加熱配管を示す。この加熱配管32には不活性ガスを供給し、加熱炉2の外表面の熱風ジャケットで加熱配管32を流れる不活性ガスを十分加熱する。この加熱した不活性ガスは、不活性ガス注入ポート31から接続ダクト4の内面に向けて噴射する。なお、噴射される不活性ガスが十分加熱されるように、不活性ガス加熱配管32を熱風ジャケットの外側に沿わせて施工し、熱分解ガス出口ノズル外表面の熱風ジャケット内に入れる等、加熱する不活性ガス加熱配管の施工方法を最適に設計することが好ましい。
【0068】
第12の実施形態に係る汚泥燃料化装置によれば、上述したように、加熱炉2の外表面に設置した熱風ジャケットに沿って不活性ガス加熱配管32を施工し、この加熱配管32内に不活性ガスを供給することにより、熱風ジャケットによる熱によって不活性ガスを加熱し、これを複数の不活性ガス注入ポート31から接続ダクト4の内面に向けて噴射できる構成になっている。このように、不活性ガスを噴射するまでに不活性ガスを予熱できるようにしたことにより、噴射する不活性ガスの温度を、接続ダクト4内を流れ熱分解ガスとほぼ同一温度にすることができ、噴射する不活性ガスにより熱分解ガスが冷却されることなく、接続ダクト4内面でコーキングが生成することなく、熱分解ガスを安定的に流すことができる。
【0069】
なお、第12の実施形態では、不活性ガス加熱配管を燃焼炉の外表面に設置した熱風ジャケット(図示せず)に沿うように施工した場合について述べたが、これに限定されず、燃焼炉の表面あるいは保温層等の放熱部に不活性ガス加熱配管を沿わせるように施工してもよい。
【0070】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る汚泥燃料化装置の概略断面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る汚泥燃料化装置の概略断面図。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る汚泥燃料化装置の概略断面図。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る汚泥燃料化装置の概略断面図。
【図6】本発明の第5の実施形態に係る汚泥燃料化装置の概略断面図。
【図7】本発明の第6の実施形態に係る汚泥燃料化装置の概略断面図。
【図8】本発明の第7の実施形態に係る汚泥燃料化装置の概略断面図。
【図9】本発明の第8の実施形態に係る汚泥燃料化装置の概略断面図。
【図10】本発明の第9の実施形態に係る汚泥燃料化装置の概略断面図。
【図11】本発明の第10の実施形態に係る汚泥燃料化装置の概略断面図。
【図12】本発明の第11の実施形態に係る汚泥燃料化装置の概略断面図。
【図13】本発明の第12の実施形態に係る汚泥燃料化装置の概略断面図。
【符号の説明】
【0072】
1…汚泥燃料化装置、2…熱分解炭化炉、3…燃焼炉、4…熱分解ガス接続ダクト、5…燃焼炉本体、6…燃焼室、7…主バーナ、8…補助バーナ、9…内部掻き取り羽根駆動機、10…内部掻き取り羽根、11…コーキング防止用掻き落としガイド棒、12…フランジ、13…熱分解ガス出口ノズル、14…燃焼火炎、15…熱分解炭化炉材料投入機、16…熱分解炭化炉駆動機、21…内部掻き取り羽根上下動駆動機構、22…硬質ブラシ、23…不活性ガス噴射ノズル、24…不活性ガス噴射ヘッダ、25,32…不活性ガス加熱配管、26,27a〜27c…接続ダクト加熱ジャケット、28…温度測定器、29a〜29c…圧力測定器、31…不活性ガス注入ポート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥を熱分解炭化処理して熱分解ガス及び炭化物を生成させる熱分解炭化炉と、前記熱分解炭化炉で発生する熱分解ガスを燃焼させる燃焼炉と、熱分解炭化炉と燃焼炉を接続する,燃焼炉からの熱分解ガスが通過する熱分解ガス接続ダクトとを具備する汚泥燃料化装置であって、
前記熱分解ガス接続ダクト内に、熱分解ガス接続ダクトの内面に接触するように回転する内部掻き取り羽根を配置したことを特徴とする汚泥燃料化装置。
【請求項2】
熱分解炭化炉の運転中においても内部掻き取り羽根の回転方向を自動的に正転、逆転切替えられるようにすることを特徴とする請求項1記載の汚泥燃料化装置。
【請求項3】
熱分解炭化炉の運転中においても内部掻き取り羽根を自動的に上下に駆動させる駆動機構を設置することを特徴とする請求項1若しくは2に記載の汚泥燃料化装置。
【請求項4】
内部掻き取り羽根の表面には、コーキングを除去し易くした硬質ブラシを設置することを特徴とする請求項1及至3のいずれかに記載の汚泥燃料化装置。
【請求項5】
熱分解ガス接続ダクト内表面、及び、内部掻き取り羽根表面に向けて不活性ガスが噴射できるように複数の不活性ガス噴射口を内部掻き取り羽根の中心軸に設置し、定期的に不活性ガスを噴射するようにすることを特徴とする請求項1及至4のいずれかに記載の汚泥燃料化装置。
【請求項6】
熱分解ガス接続ダクト内面に向けて噴射する不活性ガスは、発生ガス出口ダクト外表面に設置した熱風ジャケットで加熱し、予熱できるようにすることを特徴とする請求項1及至5のいずれかに記載の汚泥燃料化装置。
【請求項7】
熱分解ガス接続ダクトにおいて、このダクト内の温度の設定保持範囲を400℃〜500℃の間にするとともに、圧力の設定保持範囲を−100mmAq〜0mmAqの間にすることを特徴とする請求項1及至6のいずれかに記載の汚泥燃料化装置。
【請求項8】
熱分解ガス接続ダクトにおいて、この接続ダクト内の温度を400℃〜500℃の間の設定保持範囲にする為に、接続配管の加熱範囲を複数に分割し、その加熱範囲毎に複数の温度測定器を設置し、一部の温度測定器が規定温度を外れた場合にはその加熱範囲の加熱手段の負荷を調整し、接続ダクトの全区間が設定保持範囲内に保持できるように制御することを特徴とする請求項1及至7のいずれかに記載の汚泥燃料化装置。
【請求項9】
熱分解ガス接続ダクトにおいて、この接続ダクト内の圧力を−100mmAq〜0mmAqの間の設定保持範囲にする為に、接続ダクト内の圧力を計測できる複数の圧力測定器を設置し、一部の圧力測定器が規定圧力を外れた場合には、下流に設置し排ガスを吸引する排ガス吸引ブロアの負荷を調整し、接続ダクトの全区間が設定保持範囲内に保持できるように制御することを特徴とする請求項1及至8のいずれかに記載の汚泥燃料化装置。
【請求項10】
熱分解ガス接続ダクトにおいて、この接続ダクト内の途中に不活性ガス注入ポートを設置し、運転中、この接続ダクト内の温度を400℃〜500℃の間の設定保持範囲に保持しつつ、圧力を−100mmAq〜0mmAqの間の設定保持範囲に保持できる範囲で不活性ガス注入ポートから不活性ガスを注入できるようにすることを特徴とする請求項1及至9のいずれかに記載の汚泥燃料化装置。
【請求項11】
投入する不活性ガスは接続ダクト内の設定保持温度範囲の400℃〜500℃の間に予熱することを特徴とする請求項1及至10のいずれかに記載の汚泥燃料化装置。
【請求項12】
請求項11の接続ダクト内の温度を設定保持範囲に保持しつつ、不活性ガスを設定保持範囲で熱分解ガス接続ダクトに注入できるように、燃焼炉、或いは熱分解炭化炉の表面、或いはその他の放熱部に不活性ガス配管を沿わせて、不活性ガスを加熱できるようにすることを特徴とする汚泥燃料化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−133527(P2009−133527A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309097(P2007−309097)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】