説明

油中水型乳化日焼け止め化粧料

【課題】優れた紫外線遮蔽効果を十分に発揮し、かつ皮膚へのなじみがよく、べたつかないといった使用性に優れるとともに、乳化安定性、耐水性にも優れる油中水型乳化型日焼け止め化粧料を提供する。
【解決手段】(a)メトキシケイ皮酸エステルを0.2〜14質量%、(b)オクトクリレンを0.02〜14質量%、(c)ジメチルポリシロキサンを0.2〜14質量%と、(d)次式:R1COOR2(式中、R1は炭素原子数5〜11のアルキル基を示し、R2は炭素原子数3〜11のアルキル基を示す)で表されるモノエステル油を0.02〜14質量%、および(e)シリコーン鎖分岐型アルキル・ポリオキシエチレン変性シリコーンを0.02〜6質量%含有する、油中水型乳化日焼け止め化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油中水型乳化日焼け止め化粧料に関する。さらに詳しくは、紫外線防御能、耐水性、使用性に優れ、かつ乳化安定性に優れる油中水型乳化日焼け止め化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、日焼け止め化粧料には、皮膚への紫外線照射を遮断して高いSPF(Sun Protection Factor)値を得るために、紫外線吸収剤を配合したり(例えば、特許文献1参照)、紫外線散乱剤(酸化亜鉛、二酸化チタン等)を配合している。
【0003】
紫外線吸収剤は、光エネルギーを吸収することによって紫外線を遮蔽するものであるが、一般に紫外線吸収剤は高極性油で、皮膚刺激性を有する等、皮膚への安全性において好ましくない面を有しており、このため、皮膚への刺激がなく、使用性の良好なシリコーン油などとの併用が行われている。しかしながら、高極性油である紫外線吸収剤と非極性油であるシリコーン油を併用すると、油相の均一性に劣り、乳化安定性に問題が生じたり、皮膚に対して塗りむらを生じるといった問題が生じる。特に、紫外線吸収剤としてメトキシケイ皮酸エステルとオクトクリレンとを併用した場合、優れた紫外線遮蔽効果を奏する一方、油中水型乳化系では乳化安定性が非常に低く、製品化において問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開平09−151108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、優れた紫外線遮蔽効果を十分に発揮し、かつ皮膚へのなじみがよく、べたつかないといった使用性に優れるとともに、乳化安定性、耐水性にも優れる油中水型乳化型日焼け止め化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、紫外線吸収剤としてメトキシケイ皮酸エステルとオクトクリレンとを併用し、シリコーン油を配合した系に、特定のエステル油と、特定のシリコーン乳化剤を配合することによって、優れた紫外線遮蔽効果、使用性、耐水性、および乳化安定性を有する油中水型乳化型日焼け止め化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、(a)メトキシケイ皮酸エステルを0.2〜14質量%、(b)オクトクリレンを0.02〜14質量%、(c)ジメチルポリシロキサンを0.2〜14質量%と、(d)次式:R1COOR2(式中、R1は炭素原子数5〜11のアルキル基を示し、R2は炭素原子数3〜11のアルキル基を示す)で表されるモノエステル油を0.02〜14質量%、および(e)シリコーン鎖分岐型アルキル・ポリオキシエチレン変性シリコーンを0.02〜6質量%含有する、油中水型乳化日焼け止め化粧料を提供する。
【0008】
また本発明は、(a)成分がメトキシケイ皮酸エチルヘキシルである、上記油中水型乳化日焼け止め化粧料を提供する。
【0009】
また本発明は、(d)成分がイソカルボン酸とイソアルコールとのエステルであり、R1とR2の炭素原子数が各々7〜10である、上記油中水型乳化日焼け止め化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、紫外線吸収剤が有する優れた紫外線防御効果を十分に発揮し、かつ皮膚へのなじみがよく、べたつかないという使用性にも優れ、しかも耐水性、乳化安定性に優れる油中水型乳化日焼け止め化粧料が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の油中水型乳化日焼け止め化粧料について詳述する。
【0012】
本発明に用いられる(a)成分としてのメトキシケイ皮酸エステルは、紫外線防御剤であり、一般に化粧料・医薬品に用いられ得るものであれば特に限定されるものでなく、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(例えば「パルソールMCX」;DSMニュートリションジャパン(株))、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミル(例えば「ネオ・ヘリオパンE1000」;ハーマン・アンド・レイマー社)、などが例示される。本発明では特にメトキシケイ皮酸エチルヘキシル(=オクチルメトキシシンナメート)が好ましく用いられる。(a)成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0013】
(a)成分の配合量は、本発明化粧料に対し0.2〜14質量%であり、好ましくは3〜10質量%、より好ましくは5〜8質量%である。配合量が0.2質量%未満では、十分な紫外線防御能が得られず、一方、14質量%超では、油相の高極性化による乳化安定性の悪化、および残留油分増加による使用性の悪化、耐水性の悪化を引き起こす。
【0014】
(b)成分としてのオクトクリレン(別名:2−シアノ−3,3−ジフェニル−2−プロペン酸−2−エチルヘキシルエステル)は、紫外線防御剤であり、例えば「ユビヌルN539」(BASF社)、「パルソール340」(DSMニュートリションジャパン(株))として市販されており、これらを好適に用いることができる。
【0015】
(b)成分の配合量は、本発明化粧料に対し0.02〜14質量%であり、好ましくは0.2〜7質量%、より好ましくは1〜5質量%である。配合量が0.02質量%未満では、十分な紫外線防御能が得られず、一方、14質量%超では、油相の高極性化による乳化安定性の悪化、並びに、残留油分増加による使用性の悪化および耐水性の悪化を引き起こす。
【0016】
なお、(a)成分と(b)成分は紫外線防御効果において相乗作用があるため、(b)成分は(a)成分に対して少なくとも10質量%以上配合することが望ましい。
【0017】
(c)成分としてのジメチルポリシロキサンは、粘度が5000mm2/s以下の鎖状シリコーン油で、例えば「SH200シリーズ」(東レ・ダウ・コーニングシリコーン(株)製)、「KF96シリーズ」(信越化学工業(株)製)等として市販されており、これらを好適に用いることができる。粘度が高いものほど耐水性は向上するが使用性と安定性は悪化する。必要とされる耐水性、使用性、安定性に応じて1種または2種以上を組み合せて配合すればよい。本発明では特に粘度3〜10mm2/sのジメチルポリシロキサンが好ましく用いられる。
【0018】
(c)成分の配合量は、本発明化粧料に対し0.2〜14質量%であり、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは3〜7質量%である。配合量が0.2質量%未満では、十分な耐水性が得られず、また肌なじみ等の点において十分でなく、一方、14質量%超では、油相の相溶性を損なうことによる乳化安定性悪化を引き起こす。
【0019】
(d)成分としての分岐モノエステル油は、次式:R1COOR2(式中、R1は炭素原子数5〜11のアルキル基を示し、R2は炭素原子数3〜11のアルキル基を示す)で表される。具体的にはイソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、エチルヘキサン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸イソノニル、イソノナン酸セトステアリル、イソノナン酸オクチル、オクタン酸オクチル、オクタン酸エチルへキシル等が挙げられるが、これら例示に限定されるものでない。本発明では特にイソノナン酸イソノニルが好ましく用いられる。(d)成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0020】
(d)成分の配合量は、本発明化粧料に対し0.02〜14質量%であり、好ましくは0.2〜10質量%、より好ましくは1〜7質量%である。配合量が0.02質量%未満では、十分な乳化安定性が得られず、一方、14質量%超では、残留油分増加による使用性の悪化、耐水性の悪化を引き起こす。
【0021】
(e)成分のシリコーン鎖分岐型アルキル・ポリオキシエチレン(以下「POE」とも記す)変性シリコーンは、日焼け止め化粧料に多く用いられるシリコーン油と極性油の双方での乳化性が優れている点において好ましい。(e)成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0022】
上記シリコーン鎖分岐型アルキル・POE変性変性シリコーンとしては、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(「KF−6038」;信越化学工業(株)製)等が市販品として挙げられる。
【0023】
(e)成分の配合量は、本発明化粧料に対し0.02〜6質量%であり、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.3〜2質量%である。配合量が0.02質量%未満では、十分な乳化安定性が得られず、一方、6質量%超では、べたつきなどの使用性悪化、および再乳化性が高くなることによる耐水性悪化を引き起こす。
【0024】
本発明の化粧料には、上記成分の他に、本発明の目的・効果を損なわない限りにおいて、通常化粧品に用いられる他の成分を必要に応じて適宜配合することができる。このような成分としては、水溶性高分子、油溶性高分子、高分子粉末、乳化剤(上記(e)成分以外)、ロウ類、アルコール類、炭化水素油、シリコーン油(上記(c)成分以外)、脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、薬剤、紫外線吸収剤(上記(a)成分、(b)成分以外)、紫外線散乱剤、有機変性粘土鉱物等が挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。
【0025】
水溶性高分子としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下、「AMPS」と略記する)のホモポリマー、あるいはコポリマーが挙げられる。コポリマーは、ビニルピロリドン、アクリル酸アミド、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸ヒドロキシエチル等のコモノマーとからなるコポリマーである。すなわち、AMPSホモポリマー、ビニルピロリドン/AMPS共重合体、ジメチルアクリルアミド/AMPS共重合体、アクリル酸アミド/AMPS共重合体、アクリル酸ナトリウム/AMPS共重合体等が例示される。
【0026】
さらには、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム/アクリル酸アルキル/メタクリル酸ナトリウム/メタクリル酸アルキル共重合体、カラギーナン、ペクチン、マンナン、カードラン、コンドロイチン硫酸、デンプン、グリコーゲン、アラビアガム、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天等が例示される。
【0027】
油溶性高分子としては、トリメチルシロキシケイ酸、アルキル変性シリコーン、ポリアミド変性シリコーンが例示される。
【0028】
高分子粉末としてはジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、ポリメチルシルセスキオキサン等が例示される。
【0029】
乳化剤(上記(e)成分以外)としてはPOE・メチルポリシロキサン共重合体、シリコーン鎖分岐型POE・メチルポリシロキサン共重合体、直鎖型アルキル・POE変性メチルポリシロキサン共重合体、架橋型POE・メチルポリシロキサン共重合体、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、等が例示される。
【0030】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、ジョジョバロウ等が例示される。
【0031】
アルコール類としては、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール等の高級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどの多価アルコール等が例示される。
【0032】
炭化水素油としては、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックス等が例示される。
【0033】
シリコーン油(上記(c)成分以外)としては、オクタメチルシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が例示される。
【0034】
脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、アラキドン酸等が例示される。
【0035】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、アラキルアルコール、バチルアルコール、キミルアルコール、カルナービルアルコール、セリルアルコール、コリヤニルアルコール、ミリシルアルコール、ラクセリルアルコール、エライジルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテル、オクチルアルコール、トリアコンチルアルコール、セラキルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルデカノール等が例示される。
【0036】
脂肪酸エステルとしては、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸コレステリル、ミツロウ脂肪酸2−オクチルドデシル等が例示される。
【0037】
薬剤としては、L−アスコルビン酸およびその誘導体の塩、グリチルリチン酸ジカリルム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等のグリチルリチン酸およびその誘導体、グリチルレチン酸ステアリルなどのグリチルレチン酸およびその誘導体、アラントイン、トラネキサム酸およびその誘導体の塩、アルコキシサリチル酸およびその誘導体の塩、グルタチオンおよびその誘導体の塩、アラントイン、アズレンなどが例示される。
【0038】
紫外線吸収剤(上記(a)成分、(b)成分以外)としては、例えば、パラ−アミノ安息香酸(以下、「PABA」と略記)、エチルPABA、エチル−ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル−ジメチルPABA、グリセリルPABA等のPABA誘導体;ホモサラート(homosalate)、エチルヘキシルサリチラート、ジプロピレングリコールサリチラート、TEAサリチラート等のサリチル酸誘導体;ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3またはオキシベンゾン、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−5、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−8、ベンゾフェノン−9、ベンゾフェノン−12等のベンゾフェノン誘導体;3−ベンジリデンショウノウ、4−メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ等のベンジリデンショウノウ誘導体;アニソトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス(ジイソブチル−4’−アミノベンザルマロナート)−s−トリアジン等のトリアジン誘導体;フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム等のフェニルベンゾイミダゾール誘導体;ドロメトリゾール(Drometrizole)トリシロキサン、メチレンビス(ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)等のフェニルベンゾトリアゾール誘導体;アントラニル酸メンチル等のアントラニル誘導体;エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオナート等のイミダゾリン誘導体;ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン等のベンザルマロナート誘導体;1,1−ジカルボキシ(2,2’−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン等の4,4−ジアリールブタジエン誘導体などが例示される。
【0039】
紫外線散乱剤として、酸化亜鉛、二酸化チタン等が挙げられる。紫外線散乱剤は表面処理(疎水化処理)したものが好ましく用いられる。
【0040】
有機変性粘土鉱物としては、第4級アンモニウム塩型カチオン変性粘土鉱物などが例示される。
【0041】
本発明の油中水型乳化日焼け止め化粧料は、乳液状製品やクリーム状の製品がある。これらの製品は、前記した必須成分および化粧料に通常配合される成分を混合して常法により製造することができる。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、配合量はすべて質量%で示す。
【0043】
実施例に先立ち、本発明で用いた試験法および評価法を説明する。
【0044】
[実施例1および比較例1〜5、比較例6〜13、および実施例2〜3]
下記表1、表2、および表3に示す処方で、日焼け止め化粧料組成物を調製した。
【0045】
具体的には、表1に示す処方では、(1)〜(8)成分[=Aパーツ]に(9)成分[=Bパーツ]を添加して均一分散し、さらにここに(10)〜(12)成分[=Cパーツ]を添加して均一分散した後、(13)〜(17)成分[=Dパーツ]を徐添して乳化して調製した。
【0046】
表2に示す処方では、(1)〜(13)成分[=Aパーツ]に(14)成分[=Bパーツ]を添加して均一分散し、さらにここに(15)〜(17)成分[=Cパーツ]を添加して均一分散した後、(18)〜(22)成分[=Dパーツ]を徐添して乳化して調製した。
【0047】
表3に示す処方では、(1)〜(11)成分[=Aパーツ]に(12)〜(13)成分[=Bパーツ]を添加して均一分散し、さらにここに(14)〜(16)成分[=Cパーツ]を添加して均一分散した後、(17)〜(23)成分[=Dパーツ]を徐添して乳化して調製した。
【0048】
得られた実施例1および比較例1〜5、比較例6〜13、および実施例2〜3の日焼け止め化粧料(試料)について、それぞれ耐水性、乳化安定性、使用性(油っぽくない、さっぱりしている)について下記評価基準により評価した。結果を表1、表2、および表3に示す。
【0049】
[耐水性]
(試験方法)
各試料を2mg/cm2塗布したPMMA板の315nmの波長での吸光度を30分間流水中に浸した前後で測定し、次式aの値を求めた。
【0050】
a=流水後の吸光度/流水前の吸光度
(評価基準)
○:aの値が0.95以上
△:aの値が0.8以上0.95未満
×:aの値が0.8以下
【0051】
[乳化安定性]
(試験方法)
ガラス管に各試料をそれぞれ半量充填し、これを45rpmで4時間回転させてその状態を目視により観察した。
(評価基準)
○:試験前と変化ない
△:外観上は変化がないが、顕微鏡で観察すると試験前と比較して乳化粒子が巨大化している
×:外観における変化(乳化不良)が観察される
【0052】
[使用性(油っぽさ、べたつき)]
各試料を女性パネル(10名)に実際に使用してもらい、下記評価基準により評価した。
(評価基準)
○:10名中、8名以上が使用性良好(油っぽくなく、さっぱりしている)と回答した
△:10名中、5〜8名が使用性良好(油っぽくなく、さっぱりしている)と回答した
×:10名中、5名未満が使用性良好(油っぽくなく、さっぱりしている)と回答した
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
なお表1〜3中、以下に示す化合物は下記製品を用いた。
【0057】
ジメチルポリシロキサン(*1):「KF96A−6cs」(信越化学工業(株)製)、
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(*2):「パルソールMCX」(DSMニュートリションジャパン(株)製)、
オクトクリレン(*3):「パルソール340」(DSMニュートリションジャパン(株)製)、
シリコーン鎖分岐型アルキル・POE変性シリコーン(I)(*4):「KF6038」(信越化学工業(株)製)、
有機変性粘土鉱物(*5):「ベントン38VCG」(エレメンティススペシャリティーズ)、
POE変性シリコーン(*6):「KF6013」(信越化学工業(株)製)、
アルキル・POE変性シリコーン(*7):「アビルEM90」(ゴールドシュミット社製)、
シリコーン鎖分岐型POE変性シリコーン(*8):「KF6028」(信越化学工業(株)製)、
ジメチルポリシロキサン(*9):「KF96A−5000cs」(信越化学工業(株)製)、
架橋型ポリエーテル変性シリコーン(*10):「KSG210」(信越化学工業(株)製)、
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(*11):「Eusolex232」(メルク社製)。
【0058】
表1〜2、および表3の結果から明らかなように、(a)〜(e)成分を含有する本発明の油中水型乳化日焼け止め化粧料は、紫外線防御能(日焼け止め効果)、耐水性、乳化安定性、および使用性(油っぽくない、べたつかない)のすべての項目において優れた効果を奏する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)メトキシケイ皮酸エステルを0.2〜14質量%、(b)オクトクリレンを0.02〜14質量%、(c)ジメチルポリシロキサンを0.2〜14質量%と、(d)次式:R1COOR2(式中、R1は炭素原子数5〜11のアルキル基を示し、R2は炭素原子数3〜11のアルキル基を示す)で表されるモノエステル油を0.02〜14質量%、および(e)シリコーン鎖分岐型アルキル・ポリオキシエチレン変性シリコーンを0.02〜6質量%含有する、油中水型乳化日焼け止め化粧料。
【請求項2】
(a)成分がメトキシケイ皮酸エチルヘキシルである、請求項1記載の油中水型乳化日焼け止め化粧料。
【請求項3】
(d)成分がイソカルボン酸とイソアルコールとのエステルであり、R1とR2の炭素原子数が各々7〜10である、請求項1または2記載の油中水型乳化日焼け止め化粧料。

【公開番号】特開2007−204459(P2007−204459A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28874(P2006−28874)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】