説明

油中水型乳化日焼け止め化粧料

【課題】優れた紫外線遮断効果を十分に発揮し、かつ変色(赤変)防止・抑制効果に優れる油中水型乳化日焼け止め化粧料を提供する。
【解決手段】 (a)オクトクリレンを好ましくは0.2〜15質量%、(b)疎水化処理(例えば、シランカップリング剤、脂肪酸デキストリン等による処理)を施した酸化亜鉛を好ましくは0.2〜30質量%、(c)カチオン界面活性剤(例えば、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等)、および(d)シリカを含有する、油中水型乳化日焼け止め化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油中水型乳化日焼け止め化粧料に関する。さらに詳しくは、紫外線防御能に優れ、変色(赤変)防止・抑制効果に優れる油中水型乳化日焼け止め化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、日焼け止め化粧料には、皮膚への紫外線照射を遮断して高いSPF(Sun Protection Factor)値を得るために、紫外線吸収剤を配合したり、紫外線散乱剤(酸化亜鉛、等)を配合している。(例えば、特許文献1〜2参照)。
【0003】
また一般に化粧料において、カチオン界面活性剤を配合することで製剤安定性の向上、洗浄性の向上、粉末分散性の向上を図ることが知られている。
【0004】
オクトクリレンは汎用の紫外線吸収剤であるが、油中水型日焼け止め化粧料において、疎水化処理を施した紫外線散乱剤(特に酸化亜鉛)とカチオン界面活性剤とを併用することにより、製剤の外観色が著しく赤変するという問題が生じる。
【0005】
【特許文献1】特開平10−120543号公報(段落番号[0032]、[0041]、[0045]等)
【特許文献2】特表2002−521417号公報(特許請求の範囲の欄、等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の問題点を解消し、優れた紫外線遮断効果を十分に発揮し、かつ変色(赤変)防止・抑制効果に優れる油中水型乳化日焼け止め化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、オクトクリレンと疎水化処理を施した紫外線散乱剤(特に酸化亜鉛)とカチオン界面活性剤を配合した系に、シリカを配合することによって、優れた紫外線遮断効果と赤変防止・抑制効果を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、(a)オクトクリレン、(b)疎水化処理を施した酸化亜鉛、(c)カチオン界面活性剤、および(d)シリカを含有する、油中水型乳化日焼け止め化粧料を提供する。
【0009】
また本発明は、(c)成分を、(b)成分に表面被覆した態様で含有する、上記油中水型乳化日焼け止め化粧料を提供する。
【0010】
また本発明は、(a)成分を0.2〜15質量%含有する、上記油中水型乳化日焼け止め化粧料を提供する。
【0011】
また本発明は、(b)成分を0.2〜30質量%含有する、上記油中水型乳化日焼け止め化粧料を提供する。
【0012】
また本発明は、さらに(e)シリコーン系界面活性剤を0.01〜20質量%含有する、上記油中水型乳化日焼け止め化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、優れた紫外線遮断効果を十分に発揮し、かつ変色(赤変)防止・抑制効果に優れる油中水型乳化日焼け止め化粧料が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の油中水型乳化日焼け止め化粧料について詳述する。
【0015】
本発明に用いられる(a)成分としてのオクトクリレン(別名:2−シアノ−3,3−ジフェニル−2−プロペン酸−2−エチルヘキシルエステル)は、紫外線防御剤であり、公知の物質である。オクトクリレンは通常、シアノ酢酸と2−エチルヘキサノールを溶媒(例えばシクロヘキサン等)中でエステル化反応させて2−エチルヘキシルシアノアセテートを得た後、これをベンゾフェノンとの縮合反応により製造することができる。製造の実際においては、この縮合工程において、2−エチルヘキシルシアノアセテートがすべて縮合反応に使用されずに一部残存した状態でオクトクリレンが製造されることもある。本発明では、オクトクリレン中に含まれる2−エチルヘキシルシアノアセテートの濃度は低いほど望ましく、好ましくは400ppm以下、より好ましくは200ppm以下、特に好ましくは100ppm以下であり、最も好ましいのは2−エチルヘキシルシアノアセテートの濃度が0の場合である。オクトクリレン中に含まれる2−エチルヘキシルシアノアセテートの濃度が高いと、それだけ本願発明効果である変色(赤変)防止・抑制効果を発揮し難くなる傾向がみられる。
【0016】
(a)成分は、例えば「ユビヌルN539」(BASF社)、「パルソール340」(DSMニュートリションジャパン(株))等として市販されており、これらを好適に用いることができる。
【0017】
(a)成分の配合量は、本発明化粧料に対し0.2〜15質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜7質量%である。配合量が0.2質量%未満では、十分な紫外線防御能が得られず、一方、15質量%超では、変色(赤変)傾向が強くなり、べたつきや油っぽさなどの使用性悪化が懸念される。
【0018】
(b)成分としての疎水化処理を施した酸化亜鉛は、紫外線散乱剤であり、疎水化処理を施すことにより効率よく油相(外相)中に分散される。
【0019】
紫外線散乱効果の点から、酸化亜鉛は微粒子状に調製されたものが好ましい。微粒子酸化亜鉛としては平均一次粒子径が50nm以下程度のものを挙げることができる。ただしこれに限定されるものでない。
【0020】
疎水化処理の方法は、特に制限されるものでなく、公知の方法にて処理することができる。例えば疎水化処理剤としては、特に限定されるものではないが、金属石鹸(例えば、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム等)、脂肪酸デキストリン、トリメチルシロキサン、フッ素変性トリメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、フッ素変性メチルフェニルシロキサン、ジメチルポリシロキサン(=ジメチコン)、メチルポリシロキサン(=メチコン)、ジフェニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の低粘度〜高粘度油状ポリシロキサン、ガム状ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、フッ素変性メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルトリクロルシラン、エチルトリクロルシラン、エチルトリアルコキシシラン、プロピルトリクロルシラン、プロピルトリアルコキシシラン、ヘキシルトリクロルシラン、ヘキシルトリアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジアルコキシシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルアルコキシシラン、長鎖アルキルトリクロルシラン、長鎖アルキルトリエトキシシラン等の有機変性シランあるいはそれらのフッ素置換体、アミノ変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン、フッ化アルキルリン酸等が挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。なお疎水化処理において、疎水化処理剤は、酸化亜鉛(原体)に対し3〜90質量%の割合で被覆するよう用いるのが好ましい。
【0021】
疎水化処理を施した酸化亜鉛としては、ステアリン酸アルミニウム等で処理された金属石鹸処理酸化亜鉛、シクロデキストリン−脂肪酸エステル等で処理された脂肪酸−デキストリン処理酸化亜鉛、アミノ酸処理酸化亜鉛、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体、メチコン、ジメチコン等で処理された油状ポリシロキサン処理酸化亜鉛、パーフルオロアルキルリン酸等で処理されたフッ素処理酸化亜鉛、オクチルトリエトキシシラン等で処理されたシランカップリング剤処理酸化亜鉛等が挙げられる。
【0022】
(b)成分の配合量は、本発明化粧料に対し0.2〜30質量%であり、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは10.1〜25質量%である。配合量が0.2質量%未満では、十分な紫外線防御効果が得られず、一方、30質量%超では、変色(赤変)ときしみに代表される使用性の悪化が懸念される。
【0023】
(c)成分としてのカチオン界面活性剤は、一般に化粧料に用いられ得るものであれば特に限定されるものでなく、例えば塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、C12モノヒドロキシアルキルエーテルカチオン、ジヒドロキシアルキルエーテルカチオン、ジヒドロキシアルキルエーテルカチオン、ヤシ油ジアミドプロピルカチオン、ヤシ油ジカルボキシエチルカチオン、C16ジカルボキシエチルカチオン、C18ジカルボキシエチルカチオン、POP(15)ジエチルメチルカチオン、POP(25)ジエチルメチルカチオン、POP(40)ジエチルメチルカチオン、C12ジアミドプロピルメチルアミン、C14ジアミドプロピルメチルアミン、C16ジアミドプロピルメチルアミン、C18ジアミドプロピルメチルアミン、イソC18ジアミドプロピルメチルアミン、ジC18プロピルジメチルカチオン、ヒドロキシプロピル−ビス−ラウリルカチオン、ヒドロキシプロピル−ビス−ステアリルカチオン、ヒドロキシプロピル−ビス−ラウリルアミドカチオン、ヒドロキシプロピル−ビス−ステアリルアミドカチオン、C18モノヒドロキシアルキルエーテルカチオン、ビス−C18ヒドロキシアルキルエーテルカチオン、C22トリメチルアンモニウムブロマイド、C22プロピルジメチルアミン、クオタニウム−91、C22トリメチルアンモニウムメトサルフェート、ジココイルアミドエチルエチルヒドロキシカチオン、ジC18アミドエチルエチルヒドロキシカチオン、ジC16アミドエチルエチルヒドロキシカチオン、ジC18ジメチルアンモニウム塩、C18ジメチルベンジルアンモニウム塩、パーフルオロトリメチルアンモニウム塩、ジアシルアミドエチルエチルヒドロキシカチオンが挙げられるが、これら例示に限定されるものでない。
【0024】
特に好ましい(c)成分は、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジヘキサデシルジメチルアンモニウム塩、ジテトラデシルジメチルアンモニウム塩、ジドデシルジメチルアンモニウム塩、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム等が好ましく用いられる。(c)成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0025】
(d)成分のシリカは二酸化ケイ素(無水ケイ酸)であるが、ジメチルシリル化無水ケイ酸、トリメチルシリル化無水ケイ酸など、処理を施したシリカも用いることができる。シリカの形状は任意で、球状多孔質、板状無孔質、微粒子、棒状多孔質、球状無孔質等、特に制限されることなく用いることができるが、球状多孔質、微粒子、棒状多孔質のものなどが好ましく用いられる。(d)成分は、例えば「サンスフェア L−51」(旭硝子(株)製)、「ケミセレン」(住友化学(株)製)、「アエロジル200」(日本アエロジル(株)製)、「球状シリカP1500」(触媒化成工業(株)製)、「メソポーラスシリカ」等として市販されており、これらを好適に用いることができる。
【0026】
本発明において、(b)成分、(c)成分、(d)成分の配合の態様は、特に限定されるものでなく、例えば、
(i)(b)成分、(c)成分、(d)成分をそれぞれ混合して配合する態様、
(ii)(b)成分を(c)成分にて処理した疎水化処理・カチオン処理酸化亜鉛と、(d)成分を配合する態様、
(iii)(b)成分を(c)成分にて処理した疎水化処理・カチオン処理酸化亜鉛に、(d)成分を被覆処理した疎水化処理・カチオン処理・シリカ被覆酸化亜鉛を配合する態様、
(iv)(b)成分を(d)成分にて処理した疎水化処理・シリカ被覆酸化亜鉛と、(c)成分を配合する態様、
(v)未処理の酸化亜鉛を(d)成分にてシリカ被覆し、このシリカ被覆した酸化亜鉛を、疎水化剤にて疎水化処理、(c)成分にてカチオン処理して配合する態様、
等が挙げられる。なお配合の態様は上記例示に限定されるものでない。(d)成分の配合は、(b)成分以外の粉体表面をシリカ被覆したシリカ被覆粉体として配合してもよい。
【0027】
(c)成分、(d)成分の配合量は以下のとおりである。
【0028】
(c)成分を粉体に処理して配合する態様でなく個別に添加する態様で配合する場合、(c)成分配合量は化粧料中に0.0001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.001〜1質量%である。(c)成分を(b)成分表面に被覆処理して用いる場合、(c)成分配合量は酸化亜鉛(原体)に対し0.5〜10質量%の割合で用いるのが好ましい。(c)成分の配合量が少なすぎると製剤安定性の低下、洗浄性の低下、粉末分散性の低下の傾向がみられ、一方、多すぎると、(d)成分を配合しても変色を抑制できないおそれがある。
【0029】
(d)成分を粉体に処理して配合する態様でなく個別に添加する態様で配合する場合、(d)成分配合量は化粧料中に0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%である。(d)成分を(b)成分表面、あるいは(c)成分が被覆処理された(b)成分に被覆処理して用いる場合、(d)成分配合量は酸化亜鉛(原体)に対し0.1〜20質量%の割合で用いるのが好ましい。(d)成分の配合量が少なすぎると分散安定性の低下の傾向がみられ、一方、多すぎると、紫外線防御能の低下の傾向がみられる。また、(d)成分、(c)成分を個別に配合する場合、(c)成分に対し(d)成分は質量比で0.01:6以上配合することが好ましい。この場合(d)成分の配合量が少なすぎると赤変等が問題となるおそれがある。
【0030】
なお、酸化亜鉛(原体)に疎水化処理、カチオン処理の両処理を行う場合、製造方法としては、以下の方法が例示される。ただしこれに限定されるものでない。すなわち、溶媒中に、粉体(原体)に対して各種疎水化処理剤を3〜90質量%、カチオン性界面活性剤を0.5〜10質量%加え溶解する。その後、粉体(原体)を加え1時間室温で攪拌する。攪拌終了後、溶媒除去、乾燥、粉砕を行い、目的とする改質粉体を得る。なお溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等、各種疎水化処理剤やカチオン性界面活性剤が溶解するものを用いることができるが、特にイソプロピルアルコールが好ましい。
【0031】
また、市販の疎水化処理粉体をカチオン性界面活性剤にて処理することによっても製造できる。
【0032】
疎水化処理剤とカチオン界面活性剤の被覆量は、質量比で1:1〜9:1が好ましい。カチオン界面活性剤の比率が上述の範囲よりも多いと耐水性が悪くなることがあり、少ないと分散性、洗浄性が悪くなることがある。
【0033】
本発明ではさらに、乳化剤として(e)シリコーン系界面活性剤を配合するのが好ましい。シリコーン系界面活性剤としては、油中水型乳化タイプの系に用いられ得るものであれば特に限定されるものでなく、例えば、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体、シリコーン鎖分岐型メチルポリシロキサン共重合体、アルキル鎖分岐型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体、アルキル鎖・シリコーン鎖分岐型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体、架橋型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン、アルキル基含有架橋型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン、分岐型ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリグリセリン変性シリコーン、アルキル基含有架橋型ポリグリセリン変性シリコーン、アルキル基分岐型ポリグリセリン変性シリコーン等が挙げられる。ただしこれらに限定されるものでない。
【0034】
上記ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体としては、PEG/PPG−20/22ブチルエーテルジメチコン(「KF−6012」;信越化学工業(株)製)、PEG/PPG−20/20ジメチコン(「BY22−008M」;東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、ラウリルPEG/PPG−18メチコン(「5200 Formulation Aid」;東レ・ダウコーニング(株)製)、PEG/PPG−19/19ジメチコン(「5330 Fluid」;東レ・ダウコーニング(株)製)、PEG/PPG−15/15ジメチコン(「5330 Fluid」;東レ・ダウコーニング(株)製)等が挙げられる。
【0035】
ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体としては、PEG−11メチルエーテルジメチコン(「KF−6011」;信越化学工業(株)製)、PEG−9ジメチコン(「KF−6013」;信越化学工業(株)製)、PEG−3(「KF−6015」;信越化学工業(株)製)、PEG−9メチルエーテルジメチコン(「KF−6016」;信越化学工業(株)製)、PEG−10ジメチコン(「KF−6017」;信越化学工業(株)製)、PEG−11メチルエーテルジメチコン(「KF−6018」;信越化学工業(株)製)、PEG−9ジメチコン(「KF−6019」;信越化学工業(株)製)、PEG−12ジメチコン(「SH3771M」、「SH3772M」、「SH3773M」、「SH3775M」等。東レ・ダウコーニング(株)製)等が挙げられる。
【0036】
シリコーン鎖分岐型メチルポリシロキサン共重合体としては、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(「KF−6028」;信越化学工業(株)製)が挙げられる。
【0037】
アルキル鎖分岐型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体としては、PEG/PPG−10/3オレイルエーテルジメチコン(「KF−6026」;信越化学工業(株)社製)等が挙げられる。
【0038】
アルキル鎖・シリコーン鎖分岐型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体としては、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(「KF−6038」;信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0039】
架橋型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサンとしては、ジメチコン(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマー(「KSG−210」;信越化学工業(株)製)、シクロメチコン・PEG−12ジメチコンジメチコンクロスポリマー(「9011シリコーンエラストマーブレンド」;東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)が挙げられる。
【0040】
アルキル基含有架橋型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサンとしては、ミネラルオイル・PEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマー(「KSG−310」;信越化学工業(株)製)、イソドデカン・PEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマー(「KSG−320」;信越化学工業(株)製)、トリオクタノイン・PEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマー(「KSG−330」;信越化学工業(株)製)、スクワラン・PEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマー・PEG−10ラウリルジメチコンクロスポリマー(「KSG−340」;信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0041】
分岐型ポリグリセリン変性シリコーンとしては、ポリグリセリル−3 ジシロキサンジメチコン(「KF−6100」;信越化学工業(株)製)、ポリグリセリル−3 ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(「KF−6104」;信越化学工業(株)製)等を挙げられる。
【0042】
架橋型ポリグリセリン変性シリコーンとしては、ジメチコン・(ジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマー(「KSG−710」;信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0043】
アルキル基含有架橋型ポリグリセリン変性シリコーンとしては、ミネラルオイル・(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン3)クロスポリマー(「KSG−810」;信越化学工業(株)製)、イソドデカン・(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン3)クロスポリマー(「KSG−820;信越化学工業(株)製」)、トリオクタノイン・(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン3)クロスポリマー(「KSG−830」;信越化学工業(株)製)、スクワラン・(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン3)クロスポリマー(「KSG−840」;信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0044】
アルキル基分岐型ポリグリセリン変性シリコーンとしては、ラウリルポリグリセリル−3 ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(「KF−6105」;信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0045】
中でも、ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、シリコーン鎖分岐型メチルポリシロキサン共重合体アルキル鎖、シリコーン鎖分岐型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体などが好適に用いられる。
【0046】
(e)成分の配合量は、本発明日焼け止め化粧料中に下限値を0.01質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上である。また上限値は20質量%以下とするのが好ましく、より好ましくは10質量%以下である。配合量が0.01質量%未満では化粧料の安定性が悪くなる傾向がみられ、一方、配合量が20質量%を大きく超える場合はべとつき感が生じて使用感が悪くなる傾向がある。
【0047】
本発明の油中水型乳化日焼け止め化粧料は、油相(外相)を40〜80質量%、水相(内相)を20〜60質量%とするのが好ましい。
【0048】
本発明の化粧料には、上記成分の他に、本発明の目的・効果を損なわない限りにおいて、通常化粧品に用いられる他の成分を必要に応じて適宜配合することができる。このような成分としては、水溶性高分子、油溶性高分子、高分子粉末、乳化剤(上記(e)成分以外)、ロウ類、アルコール類、液体油脂、エステル油、炭化水素油、シリコーン油、脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、薬剤、紫外線吸収剤(上記(a)成分以外)、紫外線散乱剤(上記(b)成分以外)、有機変性粘土鉱物等が挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。
【0049】
水溶性高分子としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下、「AMPS」と略記する)のホモポリマー、あるいはコポリマーが挙げられる。コポリマーは、ビニルピロリドン、アクリル酸アミド、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸ヒドロキシエチル等のコモノマーとからなるコポリマーである。すなわち、AMPSホモポリマー、ビニルピロリドン/AMPS共重合体、ジメチルアクリルアミド/AMPS共重合体、アクリル酸アミド/AMPS共重合体、アクリル酸ナトリウム/AMPS共重合体等が例示される。
【0050】
さらには、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム/アクリル酸アルキル/メタクリル酸ナトリウム/メタクリル酸アルキル共重合体、カラギーナン、ペクチン、マンナン、カードラン、コンドロイチン硫酸、デンプン、グリコーゲン、アラビアガム、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天等が例示される。
【0051】
油溶性高分子としては、トリメチルシロキシケイ酸、アルキル変性シリコーン、ポリアミド変性シリコーン等が例示される。
【0052】
高分子粉末としてはジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル等が例示される。
【0053】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、ジョジョバロウ等が例示される。
【0054】
乳化剤(上記(e)成分以外)としてはグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が例示される。
【0055】
アルコール類としては、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール等の高級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどの多価アルコール等が例示される。
【0056】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が例示される。
【0057】
エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が例示される。
【0058】
炭化水素油としては、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックス等が例示される。
【0059】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、オクタメチルシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が例示される。
【0060】
脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、アラキドン酸等が例示される。
【0061】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、アラキルアルコール、バチルアルコール、キミルアルコール、カルナービルアルコール、セリルアルコール、コリヤニルアルコール、ミリシルアルコール、ラクセリルアルコール、エライジルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテル、オクチルアルコール、トリアコンチルアルコール、セラキルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルデカノール等が例示される。
【0062】
脂肪酸エステルとしては、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸コレステリル、ミツロウ脂肪酸2−オクチルドデシル等が例示される。
【0063】
薬剤としては、L−アスコルビン酸およびその誘導体の塩、グリチルリチン酸ジカリルム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等のグリチルリチン酸およびその誘導体、グリチルレチン酸ステアリルなどのグリチルレチン酸およびその誘導体、アラントイン、トラネキサム酸およびその誘導体の塩、アルコキシサリチル酸およびその誘導体の塩、グルタチオンおよびその誘導体の塩、アラントイン、アズレンなどが例示される。
【0064】
紫外線吸収剤(上記(a)成分以外)としては、例えば、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミルなどの桂皮酸誘導体;パラ−アミノ安息香酸(以下、「PABA」と略記)、エチルPABA、エチル−ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル−ジメチルPABA、グリセリルPABA等のPABA誘導体;ホモサラート(homosalate)、エチルヘキシルサリチラート、ジプロピレングリコールサリチラート、TEAサリチラート等のサリチル酸誘導体;ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3またはオキシベンゾン、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−5、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−8、ベンゾフェノン−9、ベンゾフェノン−12等のベンゾフェノン誘導体;3−ベンジリデンショウノウ、4−メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ等のベンジリデンショウノウ誘導体;アニソトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス(ジイソブチル−4’−アミノベンザルマロナート)−s−トリアジン等のトリアジン誘導体;フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム等のフェニルベンゾイミダゾール誘導体;ドロメトリゾール(Drometrizole)トリシロキサン、メチレンビス(ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)等のフェニルベンゾトリアゾール誘導体;アントラニル酸メンチル等のアントラニル誘導体;エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオナート等のイミダゾリン誘導体;ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン等のベンザルマロナート誘導体;1,1−ジカルボキシ(2,2’−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン等の4,4−ジアリールブタジエン誘導体などが例示される。
【0065】
紫外線散乱剤(上記(b)成分以外)としては、疎水化処理した、二酸化チタン、カオリン、炭酸カルシウム等の無機顔料などが例示される。
【0066】
有機変性粘土鉱物としては、第4級アンモニウム塩型カチオン変性粘土鉱物などが例示される。
【0067】
本発明の油中水型乳化日焼け止め化粧料は、乳液状製品やクリーム状の製品がある。これらの製品は、前記した必須成分および化粧料に通常配合される成分を混合して常法により製造することができる。
【実施例】
【0068】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、配合量はすべて質量%で示す。
【0069】
実施例に先立ち、本発明で用いた試験法および評価法を説明する。
【0070】
[赤変防止・抑制効果]
各試料を70℃で3日間放置した後、目視で外観を評価した。
(評価)
○: 変色(赤変)が全くみられなかった
○△: ごくわずかに変色(赤変)がみられた
△: やや変色(赤変)がみられた
△×: かなり変色(赤変)がみられた
×: 変色(赤変)がみられた
××: 著しい変色(赤変)がみられた
【0071】
(実施例1)
単純油相系における(a)〜(d)成分の各成分の配合・不配合と、系の赤変発生、赤変防止・抑制効果について、下記組成の試料A〜Kを用いて、上記評価基準に従い赤変防止・抑制効果について評価した。結果を表1に示す。
【0072】
なお表1において「オクトクリレン」(*1)は、オクトクリレン中の2−エチルヘキシルシアノアセテート量が約1000ppmのものを、「オクトクリレン」(*2)は、オクトクリレン中の2−エチルヘキシルシアノアセテート量が約100ppmのものを、それぞれ用いた。表2以下の実施例においても同様である。
【0073】
また表1中、「(6)疎水化処理(シラン処理)・カチオン処理酸化亜鉛[(b)成分+(c)成分]」中に占める(b)成分、(c)成分の割合(質量比)は、(b)成分が約98質量%、(c)成分が約2質量%である。
【0074】
「(7)疎水化処理(シラン処理)・シリカ被覆酸化亜鉛[(b)成分+(d)成分]」中に占める(b)成分、(d)成分の割合(質量比)は、(b)成分が約80質量%、(d)成分が約20質量%である。
【0075】
「(8)疎水化処理(シラン処理)・シリカ被覆二酸化チタン[(d)成分]」中に占める(d)成分の割合(質量比)は、約10質量%である。すなわち、試料I中に含まれる(d)成分配合量は1.5質量%である。
【0076】
【表1】

【0077】
表1に示す結果から明らかなように、(a)成分を含むが(b)〜(c)成分を含まない試料A(コントロール)では(d)成分を配合しなくとも赤変しなかった。(a)成分、(b)成分を含むが、(c)成分を含まない試料Bにおいても、(d)成分を含まなくとも赤変しなかった。(a)〜(c)成分を含むが、(d)成分を含まない試料C〜Eでは赤変したが、(a)〜(c)成分に(d)成分を添加した試料F〜Hや、(d)成分を粉体に被覆処理して添加した試料I、試料Jでは、いずれも赤変しなかった。試料Kに示すように(a)成分を配合しない場合、(b)〜(c)成分が配合されていても赤変しない。また(a)成分としてオクトクリレン中の2−エチルヘキシルシアノアセテート量が100ppmのものを用いた場合、1000ppmのものを用いた場合に比べ、赤変防止・抑制効果がより向上する(試料Eと試料Lとの対比)。
【0078】
(実施例2)
(c)成分と(d)成分を、粉体に被覆処理を施して配合する態様ではなく、単独成分として配合する場合の、配合量と赤変防止・予防効果について、上記評価基準に従い評価した。結果を表2〜3に示す。
【0079】
なお表2中、「(5)疎水化処理(シラン処理)・カチオン処理酸化亜鉛[(b)成分+(c)成分]」中に占める(b)成分、(c)成分の割合(質量比)は、(b)成分が約98質量%、(d)成分が約2質量%である。
【0080】
【表2】

【0081】
【表3】

【0082】
表2〜3の結果に示すように、(c)成分0.01質量%に対して(d)成分6質量%以上の配合割合とすることにより変色改善がみられる。
【0083】
(実施例3)
シリカの代わりに他粉末成分を配合した系(試料Z)での変色について、上記評価基準に従い評価した。結果を表4〜5に示す。
【0084】
なお表4中、「(5)疎水化処理(シラン処理)・カチオン処理酸化亜鉛[(b)成分+(c)成分]」中に占める(b)成分、(c)成分の割合(質量比)は、(b)成分が約98質量%、(d)成分が約2質量%である。
【0085】
【表4】

【0086】
【表5】

【0087】
表4〜5の結果から明らかなように、シリカ以外の粉末成分では赤変防止・抑制効果が得られなかった。
【0088】
(実施例4)
表6〜7に示す組成の油中水型乳化日焼け止め化粧料を常法により調製した。これら試料につき上記評価基準に従い変色防止・抑制効果を評価した。結果を表6〜7に示す。
【0089】
なお表6〜7中、「(13)疎水化処理(シラン処理)・カチオン処理酸化亜鉛」(*3)は比表面積約50m2/gのものを、「(14)疎水化処理(シラン処理)・カチオン処理酸化亜鉛」(*4)は比表面積約50〜70m2/gのものを、「(15)疎水化処理(シラン処理)・カチオン処理酸化亜鉛」(*5)は比表面積約70m2/gのものを、それぞれ用いた。なおこれら(13)、(14)、(15)成分中に占める(b)成分、(c)成分の割合(質量比)は、それぞれ(b)成分が約98質量%、(c)成分が約2質量%である。
【0090】
「(17)疎水化処理(シラン処理)・シリカ被覆酸化亜鉛[(b)成分+(d)成分]」中に占める(b)成分、(d)成分の割合(質量比)は、(b)成分が約80質量%、(d)成分が約20質量%である。
【0091】
「(18)疎水化処理(シラン処理)・二酸化チタン[(d)成分]」中に占める(d)成分の割合(質量比)は、約10質量%である。すなわち、表7の試料7中に含まれる(d)成分配合量は1.5質量%、試料11中に含まれる(d)成分配合量は0.5質量%である。
【0092】
【表6】

【0093】
【表7】

【0094】
表6〜7の結果から明らかなように、(a)成分を含む油中水型乳化日焼け止め化粧料において、(b)成分と(c)成分の両者を含む系では、(d)成分を配合しないと赤変するが(試料1、3、5、8)、(d)成分を配合した場合、赤変を抑止することができた(試料2、4、9、10、11)。また(b)成分、(c)成分の少なくとも一方を欠く場合、(d)成分の配合の有無に関らず赤変しなかった(試料6、7)。
【0095】
以下にさらに処方例を示す。
【0096】
(実施例5 油中水型乳化日焼け止め乳液)
(配 合 成 分) (質量%)
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 15
(2)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1
(3)オレフィンオリゴマー 10
(4)ジメチルポリシロキサン 10
(5)オクチルメトキシシンナメート 10
(6)オクトクリレン 5
(7)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2
(8)フェノキシエタノール 0.5
(9)香料 0.5
(10)有機変性粘土鉱物 0.1
(11)疎水化処理(シラン処理)・カチオン処理酸化亜鉛 15
(12)シリカ粉末 5
(13)架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体 5
(KSP100)
(14)イオン交換水 残 余
(15)グリセリン 3
(16)エデト酸塩 適 量
(製造方法)
(1)〜(9)を室温で混合溶解し、あらかじめ油相を調製しておく。次に、(10)〜(13)を加え、ディスパーで分散混合する。(14)〜(16)を混合溶解してから油相へディスパーで攪拌しながら徐々に添加し、十分均一に混合溶解して目的の日焼け止め乳液を得た。
【0097】
(実施例6 油中水型乳化日焼け止め乳液)
(配 合 成 分) (質量%)
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 20
(2)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1
(3)オレフィンオリゴマー 10
(4)ジメチルポリシロキサン 10
(5)オクチルメトキシシンナメート 10
(6)オクトクリレン 5
(7)パラベン 0.5
(8)香料 0.5
(9)有機変性粘土鉱物 0.1
(10)疎水化処理(シラン処理)・カチオン処理酸化亜鉛 15
(11)疎水化処理(シラン処理)・シリカ被覆二酸化チタン 5
(12)架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体 5
(KSP105)
(13)イオン交換水 残 余
(14)グリセリン 3
(15)エデト酸塩 適 量
(製造方法)
(1)〜(8)を室温で混合溶解し、あらかじめ油相を調製しておく。次に、(9)〜(12)を加え、ディスパーで分散混合する。(13)〜(15)を混合溶解してから油相へディスパーで攪拌しながら徐々に添加し、十分均一に混合溶解して目的の日焼け止め乳液を得た。
【0098】
(実施例7 油中水型乳化日焼け止めクリーム)
(配 合 成 分) (質量%)
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 20
(2)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 3
(3)セチルイソオクタノエート 10
(4)ジメチルポリシロキサン 5
(5)オクトクリレン 10
(6)2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−
ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−
1,3、5−トリアジン 0.5
(7)塩化ジステアリルジアンモニウム 0.001
(8)フェノキシエタノール 0.5
(9)香料 0.5
(10)有機変性粘土鉱物 2.5
(11)疎水化処理(シラン処理)酸化亜鉛 10
(12)シリカ粉末 6
(13)架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体 5
(KSP101)
(14)イオン交換水 残 余
(15)1,3−ブチレングリコール 2
(16)エデト酸塩 適 量
(製造方法)
(1)〜(9)を70℃で混合溶解し、あらかじめ油相を調製しておく。次に、(10)〜(13)を加え、ディスパーで分散混合する。(14)〜(16)を混合溶解してから油相へディスパーで攪拌しながら徐々に添加し、十分均一に混合溶解して目的の日焼け止めクリームを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)オクトクリレン、(b)疎水化処理を施した酸化亜鉛、(c)カチオン界面活性剤、および(d)シリカを含有する、油中水型乳化日焼け止め化粧料。
【請求項2】
(c)成分を、(b)成分に表面被覆した態様で含有する、請求項1記載の油中水型乳化日焼け止め化粧料。
【請求項3】
(a)成分を0.2〜15質量%含有する、請求項1または2記載の油中水型乳化日焼け止め化粧料。
【請求項4】
(b)成分を0.2〜30質量%含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の油中水型乳化日焼け止め化粧料。
【請求項5】
さらに(e)シリコーン系界面活性剤を0.01〜20質量%含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の油中水型乳化日焼け止め化粧料。

【公開番号】特開2007−246521(P2007−246521A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35804(P2007−35804)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】