説明

油中水型乳化皮膚化粧料

【課題】乳化安定性が良好であり、かつみずみずしい使用感触を有するものであると共に、高いしわ改善効果を有する油中水型乳化皮膚化粧料を提供する。
【解決手段】(A)イソステアリン酸グリセリンと、(B)水性成分と、(C)炭素数20以下のイソパラフィンを含む油性成分と、(D)α−アミノ酸誘導体及びその塩、β−アミノ酸誘導体及びその塩の中から選ばれる1種または2種以上とを含み、(1)成分(B)の水性成分の質量を成分(B)の水性成分と成分(C)の油性成分の質量の和で除することで得られる内水相比が68%以上であり、(2)成分(A)中に含まれるモノイソステアリン酸グリセリンの量が(A)の総量に対して85質量%以上であり、(3)成分(D)の化粧料全体に占める割合が0.001〜5.0質量%であるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油中水型乳化皮膚化粧料に関し、さらに詳しくは、α−アミノ酸誘導体及び/又はβ−アミノ酸誘導体を配合した、安定性および使用性に優れ、しわの発生を抑制し、しわを改善させる効果を有する油中水型乳化皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚化粧料におけるしわを改善する手段としては、大きく2つに分けられる。1つは、ビタミンAやその誘導体(特許文献1)などのような薬剤を用いる方法がある。しかしながら、この方法では、ビタミンA類の安定化のために多量の極性油を配合しなければならず、その使用感はべたついたものとなってしまうという欠点がある。他方、グリセリン等の保湿剤やポリウレタン、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニル系樹脂等の皮膜剤などを用いた製剤による方法があるが、この方法では、しわ改善効果が十分ではないという欠点がある(特許文献2、3、4、5)。
さらには、上記2つの方法を組み合わせて商品化などがなされているが、これらの方法では、その使用性においてはべたついたり、しわ改善効果においては十分に満足できるものではなかった。
【0003】
一方、乳化組成物は、水中油型(O/W)及び油中水型(W/O)に大別され、さらには油中水中油型(O/W/O)、水中油中水型(W/O/W)等のマルチタイプも存在する。これらは従来、化粧品分野ではスキンケア用のクリーム、乳液、ヘアケア用クリーム等に活用され、医薬品分野では経皮用クリーム等として活用されている。
その中でも油相を外相、水相を内相とした油中水型の乳化組成物は、油溶性の有効成分、エモリエント油、油溶性の薬剤、紫外線吸収剤等を効率的に皮膚上に展開できることから、皮膚化粧料として適した剤型であり、この点において、水中油型よりも優れていると言える。
【0004】
しかしながら一般に、油中水型乳化皮膚化粧料は、水中油型乳化皮膚化粧料に比べ、安定性を確保することが難しいと考えられている(例えば、非特許文献1)。
これは、水中油型乳化皮膚化粧料であれば、非イオン界面活性剤として汎用されるポリオキシエチレンアルキル型界面活性剤のポリオキシエチレン鎖のエントロピー反発や、イオン性界面活性剤の静電反発を乳化物の安定化に汎用できるのに対し、油中水型乳化皮膚化粧料の場合は、調製に適しているとされる親油性の界面活性剤は、親水性(疎油性)が低い傾向にあり、そのため、界面に吸着すべき界面活性剤が油相中に単分散溶解して消費される割合が大きくなり、効率的な油水界面の安定化が図りにくいなどの要因が関係している。そのため、油中水型乳化皮膚化粧料においては、外相を構成する油をゲル化させ、水滴を不動化するために高分子化合物を配合したり、界面活性剤を大量に配合することによって安定化を図ることが多く、乳化剤の量および種類、内水相比、水性成分の種類及びその量、油分の種類及びその量、他の安定化剤の種類及びその量などの使用に制限があった。
【0005】
また一般に、油中水型乳化皮膚化粧料は、水中油型乳化皮膚化粧料に比べ、外相が油性成分であることから、みずみずしさに欠けるといった欠点を有する。このような欠点を解決するために、一般的には内相の水性成分の割合を高める手法や、外相の油性成分中の揮発油分含有量を高める手法などがとられる。しかし、内相比を高めることは、乳化安定性の悪化を招き、揮発油分含有量を高めることはエモリエント効果を有する残留油分が減少するため、エモリエント効果が低下し、さらには、油溶性薬剤の安定性も低下し、高いしわ改善効果を発揮できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−245366号公報
【特許文献2】特開2000−143477号公報
【特許文献3】特開2004−149463号公報
【特許文献4】特表平11−504949号公報
【特許文献5】特開平5−933号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】阿部正彦編、界面と界面活性剤−基礎から応用まで−、日本油化学会(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のことから、油中水型乳化皮膚化粧料において、みずみずしい使用感と高いしわ改善効果を有し、且つ安定性を良好に保つことは困難であった。
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、高いしわ改善効果を有する油中水型乳化皮膚化粧料でありながら、高内水相比によるみずみずしい使用感を有し、かつ乳化安定性が良好である油中水型乳化皮膚化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前述の課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、特定の成分を含む油中水型乳化皮膚化粧料が、乳化安定性が良好であり、かつみずみずしい使用感を有するものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、下記成分(A)、(B)、(C)、(D)を含み、さらに下記(1)〜(3)の条件を満たすことを特徴とする油中水型乳化皮膚化粧料である。
成分:
(A)イソステアリン酸グリセリン
(B)水性成分
(C)炭素数20以下のイソパラフィンを含む油性成分
(D)α−アミノ酸誘導体及びその塩、β−アミノ酸誘導体及びその塩の中から選ばれる1種または2種以上
条件:
(1)成分(B)の水性成分の質量を成分(B)の水性成分と成分(C)の油性成分の質量の和で除することで得られる内水相比が68%以上である。
(2)成分(A)中に含まれるモノイソステアリン酸グリセリンの量が(A)の総量に対して85質量%以上である。
(3)成分(D)の化粧料全体に占める割合が0.001〜5.0質量%である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の油中水型乳化皮膚化粧料は、乳化安定性が良好であり、かつみずみずしい使用感触を有するものであると共に、高いしわ改善効果を有するものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
((A)イソステアリン酸グリセリン)
本発明で用いられる成分(A)のイソステアリン酸グリセリンは、モノイソステアリン酸グリセリンの純度が高いものであり、種々の公知の合成法により提供され得るものである。通常の合成法によれば、モノイソステアリン酸グリセリン、ジイソステアリン酸グリセリン、トリイソステアリン酸グリセリンの混合物として生成される。本発明にかかる油中水型乳化皮膚化粧料を構成する成分(A)は、含まれるモノイソステアリン酸グリセリンの純度が高いことが好ましい。モノイソステアリン酸グリセリンの精製法として、通常分子蒸留法が用いられるが、これに限定されるものではない。
【0013】
成分(A)に含まれるグリセリン脂肪酸ジエステルおよびグリセリン脂肪酸トリエステルは、成分(A)全量に対して15質量%未満である。
モノイソステアリン酸グリセリンが界面活性剤(乳化剤)としての機能を有するのに対し、ジイソステアリン酸グリセリン及びトリイソステアリン酸グリセリンは油分としての挙動を呈する。従って、モノイソステアリン酸グリセリンの純度が低い場合には、乳化物は成分(C)の油性成分に加え、ジイソステアリン酸グリセリン及びトリイソステアリン酸グリセリンが油性成分として配合されたような挙動をとる。すなわち、合成されたモノイソステアリン酸グリセリンの純度が低く、成分(C)の油性成分として配合される油分の一種として、また成分(A)の不純物として含まれるグリセリン脂肪酸ジエステルおよび/またはグリセリン脂肪酸トリエステルが、成分(A)の全量に対して15質量%を超えてしまうと、乳化物の安定性が損なわれる。なお、モノイソステアリン酸グリセリンの純度は、ガスクロマトグラフィー(GC)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの一般的な方法で測定することができる。
本願では、成分(A)イソステアリン酸グリセリン中に含まれるモノイソステアリン酸グリセリンの量が(A)の総量に対して85質量%以上である。
【0014】
なお、成分(A)イソステアリン酸グリセリンの好適な配合量としては、油中水型乳化皮膚化粧料全量に対して0.1〜3.0質量%、好ましくは1.0〜3.0質量%である。0.1質量%未満では乳化物の安定性が著しく損なわれる場合があり、3.0質量%を超えると使用性に劣る場合がある。
【0015】
((B)水性成分)
本発明に用いられる成分(B)の水性成分は化粧品、医薬品などに通常使用可能なものを、乳化物の安定性を損なわない範囲で配合することができる。
(B)水性成分としては、水の他に、無機塩、有機塩、保湿剤、水溶性高分子が含まれる。
【0016】
このうち保湿剤としては、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、キシリトール、マルチトール、マルトース、D-マンニット等が挙げられる。
【0017】
水溶性高分子としては、アラビアゴム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、デンプン、アルゲコロイド(褐藻エキス)等の植物系高分子、デキストラン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸系高分子、グルタミン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー(CARBOPOLなど)等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト等の無機系水溶性高分子等が挙げられる。
【0018】
(B)水性成分の好適な配合量としては、油中水型乳化皮膚化粧料全量に対して68〜85質量%、好ましくは73〜83質量%である。68質量%未満では本発明の内水相比が68%以上を達せられず、さっぱり感に劣るようになる。85質量%を超えると安定性の面で問題を生じるようになるからである。
【0019】
((C)炭素数20以下のイソパラフィンを含む油性成分)
本発明においては、油性成分は炭素数20以下のイソパラフィンを必須成分として含むものである。炭素数が20以下のイソパラフィンとしては、イソドデカン、イソヘキサデカン等が挙げられる。炭素数が20以下のイソパラフィンの配合量は、油性成分中の炭化水素油全量に対して30質量%以上が好ましい。30質量%未満であると、ふっくらさや、やわらかさに欠ける皮膚化粧料となってしまう。ここで、(C)油性成分中の炭化水素油の配合量は、15〜85質量%であることが好ましい。
【0020】
その他の油性成分としては、化粧品、医薬品に通常使用可能なものを、乳化物の安定性を損なわない範囲で使用することができる。
液状油分としては、好ましくはシリコーン油であり、さらに好ましくは環状シリコーン油である。シリコーン油としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどに代表される鎖状シリコーン油、およびオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどに代表される環状シリコーン油がある。
【0021】
なお、乳化物の安定性を損なわない範囲で極性の油分を少量配合することもできる。好ましい配合量としては、5質量%以下である。極性油分としては、エチルヘキサン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソデシル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソパルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソデシル、コハク酸2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチルなどに代表されるエステル油がある。
【0022】
また、非極性油としては、スクワラン、パラフィン、イソパラフィン等の炭化水素油があるが、その中でも上述した炭素数が20以下であるイソパラフィンを含むことが必要である。
【0023】
また、成分(C)の油性成分はさらに固形油分を含むことが好適である。固形油分としては、カカオ脂、ヤシ油、馬油、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化ヒマシ油などの固体油脂、パラフィンワックス(直鎖炭化水素)、マイクロクリスタリンワックス(分岐飽和炭化水素)、セレシンワックス、モクロウ、モンタンワックス、フィッシャートロプスワックスなどの炭化水素類、ミツロウ、ラノリン、カルナバワックス、キャンデリラロウ、米ぬかロウ(ライスワックス)、ゲイロウ、ホホバ油、ヌカロウ、モンタンロウ、カポックロウ、ベイベリーロウ、セラックロウ、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリル酸ヘキシル、還元ラノリン、硬質ラノリン、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテルなどのロウ類、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベへニン酸などの高級脂肪酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコールなどの高級アルコールなどが挙げられる。なお、固形油分の配合量は化粧料全量に対して0.5〜3質量%が好ましく、より好ましくは1〜1.5質量%である。固形油分の配合量が0.5質量%未満では安定性に劣る場合があり、3質量%より多くなると化粧料ののびが重くなる。
【0024】
(C)油性成分の好適な配合量としては、油中水型乳化皮膚化粧料全量に対して13.0〜32.0質量%、好ましくは18.0〜27.0質量%である。13.0質量%未満では安定性が悪く、さらに、ふっくらさ、やわらかさが不足する。30.0質量%を超えると内水相比が68%以上とならず、ベタツキがあり使用感に劣るようになる。
【0025】
((D)α−アミノ酸誘導体及び/又はその塩、β−アミノ酸誘導体及び/又はその塩)
本発明に用いられる(D)α−アミノ酸誘導体及び/又はその塩、β−アミノ酸誘導体及び/又はその塩について説明する。
まず、本発明に用いられるα−アミノ酸誘導体について述べる。
本発明に用いられるα−アミノ酸誘導体は、下記一般式(1)で表されるα−アミノ酸誘導体及びその塩からなる群から選ばれる化合物の1種又は2種以上である。
【0026】
【化1】

【0027】
(一般式(1)中、Rは水素原子、CH基又はCHOH基を表し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルケニル基、炭素数2〜6のアシル基、カルバモイル基、アミジノ基、ピリジルカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、ベンゼンスルホニル基、フェニル基又はベンジル基のいずれかを表し、但しR及びRが同時に水素原子であることはなく、あるいはR及びRはそれらが結合しているN原子と共に炭素数の総和4〜6の環構造を形成してもよく、その場合当該環構造は任意的にヘテロ原子として酸素原子を含んでもよく、
は水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基又はアルケニル基、フェニル基、ベンジル基を表し、
ここでR、R及びRのシクロヘキシル部もしくはフェニル部、又はR及びRが形成するN原子を含んだ環構造は、任意的に炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基又は水酸基を有していてもよく、
また、R及びRが水素原子である場合、R及びRの一方がベンジルオキシカルボニル基で他方が水素原子であること及びR及びRの一方がアミジノ基で他方がメチル基であることはない。)
【0028】
本発明に用いられるα−アミノ酸誘導体の例としては、サルコシン、エチルグリシン、トリメチルグリシン、ブチルグリシンなどが挙げられるが、それらに限定されることなく、しわ改善効果を発揮する誘導体すべてが本発明において有用である。好ましくは、本発明に係るα−アミノ酸誘導体は、サルコシン及びエチルグリシンである。
【0029】
上記一般式(1)で表されるα−アミノ酸誘導体又はその塩は市販のものであるが、あるいは公知の方法もしくはそれに準ずる方法により合成したものであってよい。
【0030】
一般式(1)で表されるα−アミノ酸誘導体の塩としては、特に限定されないが、例えば、無機塩としては、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、アミノ酸塩等が挙げられる。
【0031】
次に、本発明に用いられるβ−アミノ酸誘導体について述べる。
本発明で用いられるβ−アミノ酸誘導体は、β−アラニル−L−ヒスチジン(L−カルノシン)、3−(1’−ピペリジン)−プロピオン酸、β−アラニンアミド、N−モノメチル−β−アラニン、N−シクロヘキシル−β−アラニン、N−シクロヘキシルメチル−β−アラニン、N−シクロヘキシル−N−メチル−β−アラニン、N−シクロヘキシルカルボニル−β−アラニン、N−(2’−ピリジル)−β−アラニン、N−ニコチノイル−β−アラニン、N−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニン、N−ベンジル−β−アラニン、N−ベンゼンスルホニル−β−アラニン、N−ベンゾイル−β−アラニン、N−p−アニソイル−β−アラニン(N−4’−メトキシベンゾイル−β−アラニン)、N−m−アニソイル−β−アラニン(N−3’−メトキシベンゾイル−β−アラニン)、N−o−アニソイル−β−アラニン(N−2’−メトキシベンゾイル−β−アラニン)、N−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾイル−β−アラニン及びN−フェニルアセチル−β−アラニン、あるいはこれらの塩などが挙げられる。中でも、β−アラニル−L−ヒスチジンあるいはその塩、3−(1‘−ピペリジン)−プロピオン酸あるいはその塩が、薬剤安定性、およびしわ改善の効果の点から最も好ましい。塩としては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩、等)、アンモニウム塩、有機アミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、等)などが挙げられる。
【0032】
本発明に用いられる(D)α−アミノ酸誘導体及びその塩、β−アミノ酸誘導体及びその塩の中から選ばれる1種または2種以上の配合量は、油中水型乳化皮膚化粧料全量に対して、0.001〜5.0質量%である。0.001質量%未満では、しわ防止・改善効果が十分出ない場合があり、5.0質量%を超えて配合しても本発明の効果がさらに増強されるものではなく、安定性に影響が出ることも考えられる。
また(D)成分のうち特に好ましいのは、サルコシン、カルノシン及び3−(1’−ピペリジン)−プロピオン酸である。これらの成分を配合することで、しわ改善が効果的になされ、また安定性も良いものが得られる。
【0033】
((E)テトラメチルトリヒドロキシヘキサデカン)
本発明の油中水型乳化皮膚化粧料には、さらに(E)テトラメチルトリヒドロキシヘキサデカンを配合することが好ましい。本発明に用いられる成分(E)テトラメチルトリヒドロキシヘキサデカンは分岐鎖を4個有しており、市販品として例えばフィタントリオール(DSM Nutritional Products社製)が挙げられる。
【0034】
(E)テトラメチルトリヒドロキシヘキサデカンを配合する場合、その配合量は油中水型乳化皮膚化粧料中、0.3〜5.0質量%が好ましく、0.3〜0.5質量%がより好ましい。テトラメチルトリヒドロキシヘキサデカンを配合することにより、低温での結晶化防止がなされ、低温安定性が向上する。
【0035】
(その他)
本発明の油中水型乳化皮膚化粧料には、上記必須成分の他に、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、各種薬剤を配合することができる。
【0036】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤、アントラミル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−tert−ブチル−4'−メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。
【0037】
金属イオン封鎖剤としては、エデト酸ナトリウム塩、メタリン酸ナトリウム、リン酸等が挙げられる。
酸化防止剤としては、アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
【0038】
薬剤としては、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸2-グルコシド、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール2−Lアスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム塩、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類、アラントイン、アズレン等の坑炎症剤、アルブチン等の美白剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の収斂剤、イオウ、塩化リゾチーム、塩酸ピリドキシン、γ−オリザノール等が挙げられる。
上記薬剤は遊離の状態で使用されるほか、造塩可能なものは酸または塩基の塩の形で、またカルボン酸基を有するものはそのエステルの形で使用することができる。
【0039】
本発明にかかる油中水型乳化皮膚化粧料の内水相比は68%以上であり、好ましくは70%以上である。68%未満であるとさっぱりとした使用感が得られない場合がある。さらに本発明においては、80%以上の高内水相比である油中水型乳化皮膚化粧料の調製も可能であり、さっぱりとした使用感をもたせることが可能である。なお、内水相比は、成分(B)の水性成分の質量を成分(B)の水性成分と成分(C)の油性成分の質量の和で除することで計算される。
【0040】
本発明の油中水型乳化皮膚化粧料は、成分(B)と成分(A)とを混合することで得られる相平衡状態がバイコンティニュアスキュービック液晶と水相、またはバイコンティニュアスキュービック液晶と他の相および水相が共存する多相状態であることが好ましい。
【0041】
キュービック液晶は4種の構造が存在することが知られている。閉鎖集合体であるミセルあるいは逆ミセルが、それぞれ油あるいは水の連続層中で立方晶型に充填したディスコンティニュアスキュービック液晶や脂質二重層が三次元的に連なった曲面を形成し立方晶型に配列した両連続構造であるバイコンティニュアスキュービック液晶がある。バイコンティニュアスキュービック液晶にも、水と油の存在位置を逆転させた逆型が存在する。本発明における乳化皮膚化粧料は、成分(B)の水性成分と成分(A)のイソステアリン酸グリセリンを混合することで得られる相平衡状態が、バイコンティニュアスキュービック液晶と水相、またはバイコンティニュアスキュービック液晶と他の相、および水相が共存する多相状態となるような成分(A)及び成分(B)の組み合わせから構成されることが好ましい。
【0042】
バイコンティニュアスキュービック液晶は界面活性剤が無限会合した2分子膜が立方晶型に配列したものである。外観は透明で光学的には等方性であり、高粘度のゲル状を呈する。バイコンティニュアスキュービック液晶の判別方法には、外観による判定、相平衡図の作成、電気伝導度測定、NMRによる自己拡散係数の測定、小角X線散乱、フリーズフラクチャー法を用いて調製したレプリカの電子顕微鏡観察等により決定される。
【0043】
本発明における液晶構造の判別方法としては、以下の様な手法が考えられる。まず、(A)成分のイソステアリン酸グリセリン、(B)成分の水性成分を良く混合した後、遠心分離処理により共存する複数の相を分離する。通常の遠心分離装置を用いた場合には、数時間から数日の処理時間を要する場合がある。共存する相がなく1相の状態であれば全体が均一に透明な状態となる。逆型を含むバイコンティニュアスキュービック液晶は、外観は透明で光学的には等方性であり、高粘度のゲル状を呈する。光学的に等方性であることは、偏光板2枚を90度の位相差で組み合わせた間にサンプルを保持し、光の透過がないことから判別できる。外観が透明で光学的に等方性であり、高粘度のゲル状の相については、さらに小角X線散乱によって構造を同定することができる。逆型を含むバイコンティニュアスキュービック液晶の散乱パターンは、Pn3m と呼ばれる構造の場合には√2、√3、√4、√6、√8、√9、またはIa3dと呼ばれる構造の場合には√6、√8、√14、√16、√20のピーク比となる。
【0044】
小角X線散乱に代わる簡便な方法として、H.Kunieda et al., J.Oleo Sci. vol.52, 429-432(2003)に記載されているように、水溶性および油溶性の色素を用いて、その拡散時間から構造を推定する方法もある。
【0045】
本発明にかかる油中水型乳化皮膚化粧料は、従来外皮に適用されている化粧料、医薬品、および医薬部外品に広く応用することが可能である。例えば、しわ防止・改善効果を有する美容液、乳液、クリーム、パック、皮膚科用軟膏等に好ましく応用される。
【実施例】
【0046】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量については特に断りのない限り質量%を示す。
実施例に先立ち、本発明で用いた評価方法及び評価基準を説明する。
【0047】
1.油中水型乳化皮膚化粧料の評価方法及び評価基準
(1)後残りのさっぱりさ
専門パネル10名が顔面に油中水型乳化皮膚化粧料を塗布し、塗布時の使用感を評価した。
◎:パネル10名中9名以上が後残りがさっぱりすると回答。
○:パネル10名中7名以上9名未満が後残りがさっぱりすると回答。
△:パネル10名中5名以上7名未満が後残りがさっぱりすると回答。
×:パネル10名中5名未満が後残りがさっぱりすると回答。
【0048】
(2)ふっくらさ
専門パネル10名が顔面に油中水型乳化皮膚化粧料を塗布し、塗布時の使用感を評価した。
○:パネル10名中8名以上がふっくらすると回答。
△:パネル10名中5名以上8名未満がふっくらすると回答。
×:パネル10名中5未満がふっくらすると回答。
【0049】
(3)やわらかさ
専門パネル10名が顔面に油中水型乳化皮膚化粧料を塗布し、塗布時の使用感を評価した。
○:パネル10名中8名以上がやわらかいと回答。
△:パネル10名中5名以上8名未満がやわらかいと回答。
×:パネル10名中5未満がやわらかいと回答。
【0050】
(4)保湿効果
専門パネル10名が顔面に油中水型乳化皮膚化粧料を塗布し、塗布時の使用感を評価した。
◎:パネル10名中9名以上が保湿効果があると回答。
○:パネル10名中7名以上9名未満が保湿効果があると回答。
△:パネル10名中5名以上7名未満が保湿効果があると回答。
×:パネル10名中5未満が保湿効果があると回答。
【0051】
(5)連用4週間後のしわ改善効果
専門パネル10名が顔面に油中水型乳化皮膚化粧料を塗布し、連用4週間後のしわ改善効果を評価した。
◎:パネル10名中9名以上がしわ改善効果があると回答。
○:パネル10名中7名以上9名未満がしわ改善効果があると回答。
△:パネル10名中5名以上7名未満がしわ改善効果があると回答。
×:パネル10名中5未満がしわ改善効果があると回答。
【0052】
(6)安定性
油中水型乳化皮膚化粧料を0℃および40℃で1ヶ月保存し、硬度および外観を調製直後と比較し、安定性を目視により評価した。
◎:水および/または油の分離が全く認められない。
○:水および/または油の分離が極僅かに認められる。
×:水および/または油の分離が明らかに認められる。
【0053】
実施例1〜16、比較例1〜11
下記表1〜表5に示す油中水型乳化皮膚化粧料を下記の方法で調製し、前記の評価基準に基づいて、後残りのさっぱりさ、ふっくらさ、やわらかさ、保湿効果、しわ改善効果、安定性を評価した。その結果を併せて表1〜表5に示す。
【0054】
(調製法)
成分(A)に含まれるモノイソステアリン酸グリセリンおよびその合成副生成物、成分(A´)、成分(C)の油性成分およびその他の油溶性成分を混合し、約40℃に加熱して溶解する。成分(D)および成分(B)の水性成分、その他の水溶性成分を混合、溶解する。油溶性成分のパーツを比較的強く攪拌しながら(場合によっては加熱しながら)水溶性成分のパーツを徐添し、乳化物を調製する。なお、加熱している場合は、調製した乳化物を撹拌しながら冷却する。
【0055】
また、モノイソステアリン酸グリセリンの純度は、ガスクロマトグラフィー(GC)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの一般的な方法で測定することができる。
前記調製法で得られる油中水型乳化皮膚化粧料の内水相比は、水および水溶性成分の質量を、水および水溶性成分と油および油溶性成分の合計質量で除することで計算した。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
*1:ABIL EM90(Deggusa社製)
*2:KSG−210(信越化学工業社製)
*3:KF−6017P(信越化学工業社製)
*4:Benton38V(Elements Specialities社製)
*5:Surfhope SE cosme C−1715L(三菱化学フード社製)
*6:パラミックス91(日興リカ株式会社製)
【0059】
実施例1〜6の結果より、本発明によれば、油中水型乳化皮膚化粧料として一般に困難であった70質量%以上での内水相比において、安定性を保持させることが可能で、保湿効果、しわ改善効果に優れ、ふっくらさとやわらかさの効果についても優れていることがわかった。
【0060】
【表3】

【0061】
前記表3に示すように、純度が85%、75%、45%のモノイソステアリン酸グリセリンの配合量を1.0質量%とした他は、同一の組成でモノイソステアリン酸グリセリンの純度が油中水型(W/O型)乳化皮膚化粧料の相状態と乳化安定性にもたらす影響について検討した。
その結果、モノイソステアリン酸グリセリンの純度が85%である場合(実施例7,8)、乳化安定性に優れた組成物であるが、その純度が75%になると(比較例7)、低温における乳化安定性が若干低下した。さらに純度が45%とまで下がると(比較例8)、乳化安定性もさらに低下する傾向にあった。
【0062】
【表4】

【0063】
*7:PE−MCワックス(日興リカ株式会社製)
前記表4に示すように、実施例9〜13において、(A)成分に含まれるモノイソステアリン酸グリセリンの配合量を適宜変化させて、それぞれの評価を検討した。
この結果、モノイソステアリン酸グリセリン(純度:85質量%)を1.0〜3.0質量%の範囲において配合した場合、優れた使用感及び乳化安定性が得られることがわかった。
【0064】
【表5】

【0065】
前記表5のように、炭素数20以下のイソパラフィンを含まない比較例9、11では後残りのさっぱりさ、ふっくらさ、やわらかさの点で劣るものとなっている。また、炭素数20以下のイソパラフィンを含むが、炭化水素油全量に対して、30質量%未満である実施例14,15では、ふっくらさ、やわらかさ、安定性が若干が劣る。一方、本発明の要件をすべて満たし、かつ、炭素数20以下のイソパラフィンが、炭化水素油全量に対して、30質量%を超えている実施例16は、後残りのさっぱりさ、ふっくらさ、やわらかさ、保湿効果、しわ改善効果、安定性の点で優れている。
【0066】
以下に、本発明の油中水型乳化皮膚化粧料の処方例を挙げる。本発明はこの処方例によって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
【0067】
処方例1 アンチエイジングクリーム
(配合成分) (質量%)
(1)イオン交換水 残部
(2)塩化ナトリウム 1.0
(3)グリセリン 5.0
(4)モノイソステアリン酸グリセリン(純度:85質量%) 0.7
(5)スクワラン 2.0
(6)イソヘキサデカン 5.0
(7)イソノナン酸イソトリデシル 2.5
(8)ワセリン 2.0
(9)(ポリエチレン25%/マイクロクリスタリンワックス75%)混合物 1.0
(10)テトラメチルトリヒドロキシヘキサデカン 0.3
(11)香料 適量
(12)N−シクロヘキシルカルボニル−β−アラニン 2.5
(13)ワレモコウエキス 0.1
(14)アルテア根エキス 0.1
炭化水素油全量に対する炭素数20以下のイソパラフィンの割合:71.4%
内水相比:86.5%
【0068】
(製法)
油分(4)〜(11)を70℃にて混合し、油相の均一分散を行う。(1)〜(3)、(12)を加えた70℃に加温した水相を前記油相に徐添し、ディスパーで均一分散後、乳化粒子を整え、油中水型乳化皮膚化粧料からなるアンチエイジングクリームを製造した。得られたアンチエイジングクリームを上記と同様に後残りのさっぱりさ、ふっくらさ、やわらかさ、保湿効果、しわ改善効果、安定性を評価した。得られたアンチエイジングクリームは、後残りのさっぱりさ、ふっくらさ、やわらかさ、保湿効果、しわ改善効果、安定性の点で優れていた。
【0069】
処方例2 抗老化と美白の効果がある総合クリーム
(配合成分) (質量%)
(1)イオン交換水 残部
(2)グルタミン酸ナトリウム 1.0
(3)グリセリン 7.0
(4)モノイソステアリン酸グリセリン(純度:85質量%) 1.5
(5)スクワラン 5.0
(6)イソドデカン 7.0
(7)エチルヘキサン酸エチルヘキシル 3.0
(8)ワセリン 2.0
(9)マイクロクリスタリンワックス 0.8
(10)テトラメチルトリヒドロキシヘキサデカン 0.2
(11)香料 適量
(12)サルコシン 2.5
(13)トラネキサム酸 2.0
(13)緑茶抽出エキス 0.1
(14)ワイルドタイムエキス 0.1
炭化水素油全量に対する炭素数20以下のイソパラフィンの割合:58.3%
内水相比:80.5%
【0070】
(製法)
油分(4)〜(11)を70℃にて混合し、油相の均一分散を行う。(1)〜(3)、(12)〜(14)を加えた70℃に加温した水相を前記油相に徐添し、ディスパーで均一分散後、乳化粒子を整え、油中水型乳化皮膚化粧料からなる総合クリームを製造した。得られた総合クリームを上記と同様に後残りのさっぱりさ、ふっくらさ、やわらかさ、保湿効果、しわ改善効果、安定性を評価した。得られた総合クリームは、後残りのさっぱりさ、ふっくらさ、やわらかさ、保湿効果、しわ改善効果、安定性の点で優れていた。
【0071】
処方例3 抗老化と美白の効果がある総合クリーム
(配合成分) (質量%)
(1)イオン交換水 残部
(2)グルタミン酸ナトリウム 1.0
(3)グリセリン 7.0
(4)モノイソステアリン酸グリセリン(純度:85質量%) 1.5
(5)スクワラン 5.0
(6)イソドデカン 7.0
(7)エチルヘキサン酸エチルヘキシル 3.0
(8)ワセリン 2.0
(9)マイクロクリスタリンワックス 0.8
(10)テトラメチルトリヒドロキシヘキサデカン 0.2
(11)香料 適量
(12)N−ニコチノイル−β−アラニン 0.5
(13)N−(1’−ピペリジン)−プロピオン酸 1.0
(14)4−メトキシサリチル酸カリウム 1.0
(15)カミツレエキス 0.1
(16)ばらエキス 0.1
炭化水素油全量に対する炭素数20以下のイソパラフィンの割合:58.3%
内水相比:80.5%
【0072】
(製法)
油分(4)〜(11)を70℃にて混合し、油相の均一分散を行う。(1)〜(3)、(12)〜(16)を加えた70℃に加温した水相を前記油相に徐添し、ディスパーで均一分散後、乳化粒子を整え、油中水型乳化皮膚化粧料からなる総合クリームを製造した。得られた総合クリームを上記と同様に後残りのさっぱりさ、ふっくらさ、やわらかさ、保湿効果、しわ改善効果、安定性を評価した。得られた総合クリームは、後残りのさっぱりさ、ふっくらさ、やわらかさ、保湿効果、しわ改善効果、安定性の点で優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、(B)、(C)、(D)を含み、さらに下記(1)〜(3)の条件を満たすことを特徴とする油中水型乳化皮膚化粧料。
成分:
(A)イソステアリン酸グリセリン
(B)水性成分
(C)炭素数20以下のイソパラフィンを含む油性成分
(D)α−アミノ酸誘導体及びその塩、β−アミノ酸誘導体及びその塩の中から選ばれる1種または2種以上
条件:
(1)成分(B)の水性成分の質量を成分(B)の水性成分と成分(C)の油性成分の質量の和で除することで得られる内水相比が68%以上である。
(2)成分(A)中に含まれるモノイソステアリン酸グリセリンの量が(A)の総量に対して85質量%以上である。
(3)成分(D)の化粧料全体に占める割合が0.001〜5.0質量%である。
【請求項2】
さらに(E)テトラメチルトリヒドロキシヘキサデカンを含むことを特徴とする請求項1に記載の油中水型乳化皮膚化粧料。
【請求項3】
成分(C)に含まれる炭素数20以下のイソパラフィンの質量が、成分(C)中に含まれる炭化水素油全量に対して30質量%以上であることを特徴とする請求項1記載の油中水型乳化皮膚化粧料。
【請求項4】
成分(A)の質量が皮膚化粧料全量に対して0.1〜3.0質量%であることを特徴とする請求項1記載の油中水型乳化皮膚化粧料。
【請求項5】
成分(C)中には固形油分が含まれることを特徴とする請求項1に記載の油中水型乳化皮膚化粧料。
【請求項6】
成分(D)としてβ−アミノ酸誘導体を含み、該β−アミノ酸誘導体が、β−アラニル−L−ヒスチジン、3−(1’−ピペリジン)−プロピオン酸、β−アラニンアミド、N−モノメチル−β−アラニン、N−シクロヘキシル−β−アラニン、N−シクロヘキシルメチル−β−アラニン、N−シクロヘキシル−N−メチル−β−アラニン、N−シクロヘキシルカルボニル−β−アラニン、N−(2’−ピリジル)−β−アラニン、N−ニコチノイル−β−アラニン、N−ベンジルオキシカルボニル−β−アラニン、N−ベンジル−β−アラニン、N−ベンゼンスルホニル−β−アラニン、N−ベンゾイル−β−アラニン、N−p−アニソイル−β−アラニン(N−4’−メトキシベンゾイル−β−アラニン)、N−m−アニソイル−β−アラニン(N−3’−メトキシベンゾイル−β−アラニン)、N−o−アニソイル−β−アラニン(N−2’−メトキシベンゾイル−β−アラニン)、N−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾイル−β−アラニン及びN−フェニルアセチル−β−アラニンから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の油中水型乳化皮膚化粧料。

【公開番号】特開2011−98891(P2011−98891A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252720(P2009−252720)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】