説明

油中水型皮膚美白化粧料

【課題】べたつきがなく、しっとりとした使用感触を有し、かつ、ガラス製容器や金属製容器に収容しても経時の乳化安定性が良好である、油中水型皮膚美白化粧料を提供する。
【解決手段】アルコキシサリチル酸またはその塩と、有機変性粘土鉱物と、液状脂肪酸とを含有することを特徴とする。液状脂肪酸は、直鎖または分岐鎖のアルキル鎖を有する炭素原子数12〜22の高級脂肪酸から選択され、特に、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機変性粘土鉱物を含む乳化基剤中に、美白剤として知られる4−メトキシサリチル酸カリウムを配合した系において、べたつきがなく、しっとりとした使用感触を有し、しかも、容器の材質を選ぶことなく経時の乳化安定性に優れた、油中水型皮膚美白化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚のしみ・そばかすなどの色素沈着は、ホルモンの異常や紫外線、皮膚局所の炎症が原因となってメラニンが過剰に形成され、これが皮膚内に沈着するものと考えられている。皮膚の色素沈着の原因となるこのメラニンは、表皮基底層にあるメラノサイトにおいて生成される。メラニンは、チロシンが酵素チロシナーゼの作用によりドーパキノンに変化し、その後さらに酸化、重合して、黒色のメラニンへと変化することによって生成される。
【0003】
従来から、このような皮膚の色素沈着を緩和し、透明感のある白い肌を実現すること、いわゆる皮膚を美白することが求められている。皮膚に対してメラニンの異常沈着を改善・防止する優れた美白効果を有する活性成分として、アルコキシサリチル酸またはその塩が知られている。しかしながら、一般に、アルコキシサリチル酸またはその塩を油中水型乳化組成物に配合する場合、経時安定性が悪く、場合によって油相と水相との相分離を生じる等の問題があった。
【0004】
経時安定性を改善するために、親油性乳化剤を増量する方法や、ワックスを外相(油相)に配合する等の方法も用いられるが、これらの方法では、化粧料の伸びやべたつきの点で使用感が損なわれることがあった。そこで、このような安定性および使用感の問題を改善するべく、アルコキシサリチル酸またはその塩を含有する油中水型乳化皮膚外用剤に、緩衝剤としての塩類と、重量平均分子量1,000〜200,000のポリエチレングリコールとを所定量で配合することが提案されている(特許文献1)。
【0005】
一方、アルコキシサリチル酸またはその塩を含む油中水型乳化組成物に限らず、粘度調整剤や乳化安定剤として、また、しっとりとした使用感触を付与することを目的として、油中水型乳化組成物にベントンなどの有機変性粘土鉱物を配合することが一般的に行われている。実際に、先の特許文献1においても、アルコキシサリチル酸またはその塩と有機変性粘土鉱物とを含有する製造例が開示されている(実施例8〜10)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4073389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、油中水型乳化組成物において、アルコキシサリチル酸またはその塩と有機変性粘土鉱物との両者を配合すると、ガラスや金属等の親水性材質からなる容器に充填した場合に、容器との界面で組成物の乳化安定性が悪くなり、その箇所で水の滲出が起こり、容器壁面と内容物との間に間隙(壁からの剥がれ)を生じ、容器壁面から内容物が滑るなどの問題を生じる場合があった。その結果、組成物を収容するための容器が樹脂等の疎水性材質からなるものに限定されてしまい、製品形態の選択肢が狭められることから、ユーザー側にとっても、製造する側にとっても、十分に満足できるものではなかった。
【0008】
そこで、本発明は、べたつきがなく、しっとりとした使用感触を有し、かつ、ガラス製容器や金属製容器に収容しても経時の乳化安定性が良好である、油中水型皮膚美白化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、アルコキシサリチル酸またはその塩および有機変性粘土鉱物を含有する油中水型乳化組成物に、液状脂肪酸を配合することにより、ガラス、金属、樹脂、陶器などのいずれの材質の容器に収容しても経時の乳化安定性が良好であり、しかも、べたつきがなく、しっとりとした使用感触を有する油中水型皮膚美白化粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、以下を要旨とする。
(1)アルコキシサリチル酸またはその塩と、有機変性粘土鉱物と、液状脂肪酸とを含有する、油中水型皮膚美白化粧料。
(2)前記アルコキシサリチル酸が、下記一般式(I):
【化1】

(式(I)中、Rは炭素原子数1〜6の低級アルキル基を示す)
で表される、(1)の油中水型皮膚美白化粧料。
(3)前記アルコキシサリチル酸またはその塩が、4−メトキシサリチル酸カリウムである、(2)の油中水型皮膚美白化粧料。
(4)前記有機変性粘土鉱物が、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライトである、(1)〜(3)の油中水型皮膚美白化粧料。
(5)前記液状脂肪酸が、直鎖状または分岐鎖状の、飽和または不飽和の炭化水素基を有する炭素原子数12〜22の高級脂肪酸から選択される、(1)〜(4)の油中水型皮膚美白化粧料。
(6)前記アルコキシサリチル酸またはその塩が、油中水型皮膚美白化粧料全量に対して、0.001〜20.0質量%である、(1)〜(5)の油中水型皮膚美白化粧料。
(7)前記有機変性粘土鉱物が、油中水型皮膚美白化粧料全量に対して、0.1〜5.0質量%である、(1)〜(6)の油中水型皮膚美白化粧料。
(8)前記液状脂肪酸が、油中水型皮膚美白化粧料全量に対して、0.01〜5.0質量%である、(1)〜(7)の油中水型皮膚美白化粧料。
(9)(1)〜(8)の油中水型皮膚美白化粧料を容器に収容してなる美白化粧品。
【発明の効果】
【0011】
本発明の油中水型皮膚美白化粧料は、アルコキシサリチル酸またはその塩および有機変性粘土鉱物を含有する油中水型乳化組成物に液状脂肪酸を配合することにより、液状脂肪酸を配合しない場合と比べて格段に優れた乳化安定性を有し、容器の材質を選ぶことなく、容器壁面で壁からの剥がれや滑りの発生を抑制することができる。さらに、有機変性粘土鉱物を含み、その一方で、親油性乳化剤やワックスを高配合する必要がないことから、べたつきがなく、しっとりとした使用感触を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の油中水型皮膚美白化粧料は、アルコキシサリチル酸またはその塩と、有機変性粘土鉱物と、液状脂肪酸とを含有することを特徴とする。以下、本発明について詳述する。
【0013】
アルコキシサリチル酸またはその塩は、化粧品、医薬品、医薬部外品等の分野において用いられ得るものであれば特に限定されるものでないが、本発明では下記一般式(I)で示されるアルコキシサリチル酸、すなわちサリチル酸の3位、4位または5位のいずれかの水素原子がアルコキシ基(−OR)で置換されたサリチル酸系化合物、またはその塩が用いられる。
【0014】
【化2】

【0015】
上記一般式(I)において、アルコキシ基(−OR)を構成するアルキル基(R)は、炭素原子数1〜6の低級アルキル基である。直鎖、分岐鎖のいずれも含む。具体的には、メチル基(対応するアルコキシ基−OR:メトキシ基)、エチル基(同:エトキシ基)、プロピル基(同:プロポキシ基)、イソプロピル基(同:イソプロポキシ基)、ブチル基(同:ブトキシ基)、イソブチル基(同:イソブトキシ基)等を挙げることができるが、これらに限定されるものでない。
【0016】
上記一般式(I)で表されるアルコキシサリチル酸としては、具体的には、3−メトキシサリチル酸(2-hydroxy-3-methoxybenzoic acid)、3−エトキシサリチル酸(2-hydroxy-3-ethoxybenzoic acid)、4−メトキシサリチル酸(2-hydroxy-4-methoxybenzoic acid)、4−エトキシサリチル酸(2-hydroxy-4-ethoxybenzoic acid)、4−プロポキシサリチル酸(2-hydroxy-4-propoxybenzoic acid)、4−イソプロポキシサリチル酸(2-hydroxy-4-isopropoxybenzoic acid)、4−ブトキシサリチル酸(2-hydroxy-4-buthoxybenzoic acid)、5−メトキシサリチル酸(2-hydroxy-5-methoxybenzoic acid)、5−エトキシサリチル酸(2-hydroxy-5-ethoxybenzoic acid)、5−プロポキシサリチル酸(2-hydroxy-5-propoxybenzoic acid)等が挙げられる。
【0017】
アルコキシサルチル酸は既知の物質であり、例えば、5−メトキシサリチル酸は「Beil 10227」に、4−メトキシサリチル酸は「Beil 10379」に、それぞれ記載されている方法で容易に合成することができる。またアルドリッチ(Aldrich)社(ドイツ)等からは試薬として市販されており、これを用いることも可能である。
【0018】
アルコキシサリチル酸は、その塩も含み、かかる塩の種類は、製薬学上許容され得る塩であれば特に限定されるものではなく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩や、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩のほか、アンモニウム塩やアミノ酸塩等の塩が挙げられる。
とりわけ、美白効果および入手容易性等の観点から、4−メトキシサリチル酸カリウムを好適に使用することができる。
【0019】
アルコキシサリチル酸またはその塩は1種または2種以上を配合することができる。アルコキシサリチル酸またはその塩の配合量は、特に限定されるものでないが、一般的には、油中水型皮膚美白化粧料全量に対して0.001〜20.0質量%であり、好ましくは0.01〜10.0質量%、さらに好ましくは0.5〜3.0質量%である。0.001質量%未満では美白効果を十分に発揮させることが困難であり、一方、20.0質量%を超えて配合しても、配合量の増加に見合った美白効果の向上は認められ難く、かえってべたついた使用感となる傾向がみられ好ましくない。
【0020】
有機変性粘土鉱物としては、ベントナイトのような天然または合成のスメクタイトの粘土鉱物に第四級アンモニウム塩化合物をイオン交換反応により付加させたものが好適である。有機変性粘土鉱物は、製薬学上許容され得るものであれば特に限定されず、例えば、ジメチルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウム等が挙げられる。市販品としては、エレメンティス社より「ベントン38VCG」の名称で販売されているジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、エレメンティス社より「ベントン27VCG」の名称で販売されているベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライトなどが好ましく例示される。
【0021】
有機変性粘土鉱物は1種または2種以上を配合することができる。有機変性粘土鉱物の配合量は、特に限定されるものでないが、一般的には、油中水型皮膚美白化粧料全量に対して0.1〜5.0質量%である。0.1質量%未満では乳化安定性が低下する傾向があり、一方、5.0質量%を超えて配合するとべたつきを生じ、使用感が劣る傾向がみられ好ましくない。
【0022】
液状脂肪酸は、直鎖状または分岐鎖状の、飽和または不飽和の炭化水素基を有する炭素原子数12〜22の高級脂肪酸であって、常温(25℃)で液状のものを用いることができる。液状脂肪酸として、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の直鎖脂肪酸や、イソパルミチン酸、イソステアリン酸等の分岐鎖脂肪酸が挙げられる。これらの液状脂肪酸は、油中水型皮膚美白化粧料を製造する際に容易に混合することができ、また、他の配合成分との相溶性においても優れている。
【0023】
液状脂肪酸は1種または2種以上を配合することができる。液状脂肪酸の配合量は、油中水型皮膚美白化粧料全量に対して0.01〜5.0質量%である。0.01質量%未満では十分な安定化ができず、ガラス製または金属製の容器に収容した場合に、滑りや壁からの剥がれを生じるおそれがある。一方、5.0質量%を超えて配合しても、配合量の増加に見合った安定性の向上は認められ難い。
【0024】
本発明の油中水型皮膚美白化粧料は、水相(内相)と油相(外相)とから構成される油中水型乳化組成物の形態を有する。油中水型の乳化組成物の形態とする必要から、低HLBの乳化剤、好ましくはHLBが7以下の乳化剤が用いられる。HLB7以下の乳化剤としては、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノイソスレアレート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類;グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート、グリセロールイソステアレート、ジグリセロールジイソステアレート、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル等のグリセロール脂肪酸エステル類;POE(5)、POE(7.5)、POE(10)硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ジポリヒドロキシステアリン酸エステル類:ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル−2(コグニス社製 :PGPH)、PEG30 ジポリヒドロキシステアレート(ユニケマ社製 :アラセルP135)等の高分子量親油性活性剤;セチルジメチコンコポリオール〔例えば、「ABIL EM90」(ゴールドシュミット社製)〕、ポリエーテル変性シリコーン〔例えば、「SC 9450」(信越化学工業社製)〕、架橋型ポリエーテル変性シリコーン〔例えば、「KSG」シリーズ(信越化学工業社製)〕などのポリエーテル系のシリコーン;ポリグリセリン変性シリコーン、アルキル共変性ポリグリセリン変性シリコーンなどのポリグリセリン系のシリコーン;等が挙げられる。本発明ではHLB7以下の乳化剤は1種または2種以上を用いることができる。特に、ポリエーテル系、ポリグリセリン系のシリコーン乳化剤の使用が好ましい。
【0025】
HLB7以下の乳化剤は、油中水型皮膚美白化粧料全量に対して0.01〜10.0質量%、より好ましくは0.1〜5.0質量%配合するのが好ましい。乳化剤の配合量が0.01質量%未満では経日で乳化粒子の合一が生じるため不安定化となりやすく、一方、10.0質量%を超えて配合した場合、重いべたつきのある使用感触となりやすい。
【0026】
本発明の油中水型皮膚美白化粧料には、上記配合成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品、医薬品等に一般に用いられる成分、例えば、保湿剤、緩衝剤、分散剤、キレート剤、防腐剤、香料、界面活性剤(上記HLB7以下の乳化剤を除く)、紫外線吸収剤、薬剤などを必要に応じて適宜配合することができるが、これら例示の成分に限定されるものではない。
【0027】
本発明の油中水型皮膚美白化粧料は、常法により調製することができ、乳化の方法は特に限定されるものではない。例えば、個別に調製した水相(内相)と油相(外相)を、それぞれ80℃程度に加温し、加温した水相を油相に徐々に添加して、乳化機で乳化し、その後、室温まで放冷する等の方法が挙げられる。
【0028】
本発明の油中水型皮膚美白化粧料を収容するための容器は、化粧品分野で一般的に用いられる種々の材質のものを用いることができる。例えば、アルミニウム、ステンレス等からなる金属製容器、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド、ポリカーボネート等からなる樹脂製容器、ガラス製容器、陶器製容器などを用いることができる。本発明の油中水型皮膚美白化粧料は、これらの容器に収容してなる美白化粧品として提供することができる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を、実施例をもってさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、配合量は特記しない限り油中水型皮膚美白化粧料全量に対する質量%で示す。
【0030】
実施例に先立ち、各実施例で採用した評価方法について説明する。
【0031】
[使用性評価(べたつきのなさ)]
10名のパネルに各実施例、比較例の油中水型皮膚美白化粧料(試料)を使用してもらい、肌のべたつきのなさについて、下記の評価基準に基づいて評価した。
(評価)
○: 肌のべたつきのなさを感じたパネルが8名以上
△: 肌のべたつきのなさを感じたパネルが4〜7名
×: 肌のべたつきのなさを感じたパネルが3名以下
【0032】
[安定性評価]
実施例、比較例で得た各試料を、ポリエチレンテレフタラートを主成分とする樹脂製容器と、ガラス製容器のそれぞれに充填し、40℃で1ヶ月間放置した後、容器と内容物との間に壁からの剥がれや滑りが発生していないか、肉眼で調べ、下記の評価基準に基づいて評価した。
(評価)
○: 容器と内容物との間に壁からの剥がれや滑りが見られない
×: 容器と内容物との間に壁からの剥がれや滑りが見られる
【0033】
(実施例1〜3および比較例1〜3)
下記表1に示す組成を有する油中水型乳化組成物を調製し、これを試料として、上記評価基準に従って、使用性、安定性の評価を行った。結果を併せて表1に示す。
(製法)
油溶性成分((6)〜(8)および(23)〜(25))を油分((9)〜(16))に溶解後、80℃に加温して油相を調製した。一方、水溶性成分((2)〜(5)および(17)〜(22))を精製水(1)に溶解後、80℃に加温して水相を調製した。次いで、得られた油相に水相を徐添加しながら攪拌混合した後、室温まで冷却してクリームを得た。
【0034】
【表1】

【0035】
表1に示す結果から明らかなように、有機変性粘土鉱物を含有する油中水型乳化組成物に(比較例1)に、美白剤である4−メトキシサリチル酸カリウムを配合すると、樹脂製容器であれば安定性に問題はなかったものの、ガラス製容器に収容した場合には、容器内壁と内容物との間に壁からの剥がれや滑りが見られた(比較例2および3)。一方、油相にイソステアリン酸またはオレイン酸といった液状脂肪酸を配合した場合には、4−メトキシサリチル酸カリウムを添加しても、樹脂製容器はもちろん、ガラス製容器に収容しても壁からの剥がれや滑りは見られず、安定性の顕著な向上が確認された。また、液状脂肪酸の配合により、べたつきが発生することもなく、使用性においても優れていることが確認された。
【0036】
(実施例4: 美白クリーム)
配合成分 質量%
(1)精製水 残余
(2)エタノール 3
(3)グリセリン 3
(4)ジプロピレングリコール 5
(5)PEG-150 2
(6)PEG-10ジメチコン 3
(7)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 1.5
(8)ジメチコン 20
(9)オレフィンオリゴマー 5
(10)イソステアリン酸 0.5
(11)4-メトキシサリチル酸カリウム 1
(12)トラネキサム酸 1
(13)クエン酸 0.02
(14)クエン酸ナトリウム 0.08
(15)エデト酸二ナトリウム 0.1
(16)フェノキシエタノール 0.5
(17)香料 適量
【0037】
製造方法:
油溶性成分((6)〜(7)および(17))を油分((8)〜(10))に溶解後、80℃に加温した(油相)。他方、水溶性成分((2)〜(5)および(11)〜(16))を精製水(1)に溶解し、80℃に加温した(水相)。得られた油相に水相を徐添加しながら攪拌混合した後、室温まで冷却し、クリームを得た。
このクリームについて上記と同様の方法により評価を行ったところ、ガラス製容器に収容しても壁からの剥がれや滑りが見られず、また、べたつきが発生することもなく、使用性においても優れていることが確認された。
【0038】
(実施例5: 美白クリーム)
配合成分 質量%
(1)精製水 残余
(2)グリセリン 10
(3)ブチレングリコール 5
(4)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 2.5
(5)セチルジメチコンコポリオール 2
(6)PEG-10ジメチコン 1
(7)デカメチルシクロテトラシロキサン 20
(8)スクワラン 5
(9)2−エチルヘキサン酸セチル 1
(10)オレイン酸 1
(11)4−メトキシサリチル酸カリウム 1
(12)グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
(13)ヘキサメタリン酸ソーダ 0.03
(14)フェノキシエタノール 0.5
(15)香料 適量
【0039】
製造方法:
油溶性成分((4)〜(6)および(15))を油分((7)〜(10))に分散し(油相)、その一方で、水溶性成分((2)〜(3)および(11)〜(14))を精製水(1)に溶解した(水相)。得られた油相に水相を徐添加しながら攪拌混合した後、クリームを得た。
このクリームについて上記と同様の方法により評価を行ったところ、ガラス製容器に収容しても壁からの剥がれや滑りが見られず、また、べたつきが発生することもなく、使用性においても優れていることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコキシサリチル酸またはその塩と、有機変性粘土鉱物と、液状脂肪酸とを含有する、油中水型皮膚美白化粧料。
【請求項2】
前記アルコキシサリチル酸が、下記一般式(I):
【化1】

(式(I)中、Rは炭素原子数1〜6の低級アルキル基を示す)
で表される、請求項1記載の油中水型皮膚美白化粧料。
【請求項3】
前記アルコキシサリチル酸またはその塩が、4−メトキシサリチル酸カリウムである、請求項2記載の油中水型皮膚美白化粧料。
【請求項4】
前記有機変性粘土鉱物が、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライトである、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の油中水型皮膚美白化粧料。
【請求項5】
前記液状脂肪酸が、直鎖状または分岐鎖状の、飽和または不飽和の炭化水素基を有する炭素原子数12〜22の高級脂肪酸から選択される、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の油中水型皮膚美白化粧料。
【請求項6】
前記アルコキシサリチル酸またはその塩が、油中水型皮膚美白化粧料全量に対して、0.001〜20.0質量%である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の油中水型皮膚美白化粧料。
【請求項7】
前記有機変性粘土鉱物が、油中水型皮膚美白化粧料全量に対して、0.1〜5.0質量%である、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の油中水型皮膚美白化粧料。
【請求項8】
前記液状脂肪酸が、油中水型皮膚美白化粧料全量に対して、0.01〜5.0質量%である、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の油中水型皮膚美白化粧料。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の油中水型皮膚美白化粧料を容器に収容してなる美白化粧品。

【公開番号】特開2013−40114(P2013−40114A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176507(P2011−176507)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】