説明

油圧シリンダ制御装置及び油圧シリンダ制御方法

【課題】油漏れのリスクを解消し、エネルギー効率を向上させることができ、容易に油圧シリンダの駆動を制御することが可能な油圧シリンダ制御装置及び油圧シリンダ制御方法を提供する。
【解決手段】油圧ポンプ13とコントロールバルブ14とパイロットバルブ16とを備える油圧シリンダ制御装置Bによって油圧シリンダ9の駆動を制御し、パイロットバルブ16とコントロールバルブ14を繋ぐパイロット油路34、35に設けた減圧弁36、37により、油圧シリンダ9に作用する負荷の大きさに応じてパイロット圧を減圧させる。これとともに、コントロールバルブ14のカバー38、39を、油圧シリンダ9に作用する負荷の大きさに応じたスプールのストロークを規定するように規制部の位置が異なるカバー38’、39’に交換して、油圧シリンダ9に供給される作動油の流量を制御するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベルのブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダなどの建設機械の油圧シリンダの駆動を制御するための油圧シリンダ制御装置及び油圧シリンダ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば建設機械の油圧ショベル1は、図6に示すように、下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に設けられた上部旋回体3と、上部旋回体3上に上下方向に起倒自在に取り付けられたフロント作業機4とを備えて構成されている。また、フロント作業機4は、後端が上部旋回体3に回動自在に支持されたブーム5と、ブーム5の先端に後端が回動自在に支持されたアーム6と、アーム6の先端に回動自在に取り付けられたバケット7とを備えて多関節状に形成されている。さらに、ブーム5とアーム6とバケット7をそれぞれ回動させるためのブームシリンダ8とアームシリンダ9とバケットシリンダ10(油圧シリンダ)を備え、油圧シリンダ制御装置で作動油を給排することによりこれら油圧シリンダ8、9、10が伸縮駆動し、ブーム5とアーム6とバケット7がそれぞれ回動するように構成されている。なお、油圧ショベル1では、各油圧シリンダ8、9、10を伸ばすように駆動した場合に、ブーム5が起き上がり、ブーム5とアーム6、アーム6とバケット7がそれぞれ大きく屈曲するように回動してフロント作業機4が縮小する。また、各油圧シリンダ8、9、10を縮めるように駆動した場合に、ブーム5が倒れ、ブーム5とアーム6、アーム6とバケット7がそれぞれ直線状に伸ばされるように回動してフロント作業機4が伸長する。
【0003】
また、このように各油圧シリンダ8、9、10の駆動を制御する油圧シリンダ制御装置Aには、例えば図7に示すように、作動油を貯留するタンク11と、原動機12により駆動しタンク11内の作動油を油圧シリンダ9(8、10)に圧送して供給する可変容量型の油圧ポンプ(メインポンプ)13と、油圧シリンダ9(8、10)と油圧ポンプ13の間に設けられ、油圧ポンプ13から油圧シリンダ9(8、10)に供給する作動油の方向及び流量をスプールの移動によって切り換え制御するコントロールバルブ14と、オペレーターによる操作レバー15の手動操作量に応じてパイロット圧を出力し、このパイロット圧を導入してコントロールバルブ14のスプールを移動させるパイロットバルブ(リモコン弁)16とを備えて構成されている。
【0004】
また、この油圧シリンダ制御装置Aにおいては、オープンセンタ型のコントロールバルブ14を備え、コントロールバルブ14が中立位置の状態で、油圧ポンプ13から吐出された作動油を、センタバイパス14aを通じて戻し油路17からタンク11に返送するように構成されている。さらに、この戻し油路17には、ネガコン絞り18が設けられ、このネガコン絞り18の上流側に一端を接続し、他端を油圧ポンプ13に接続したネガティブコントロール油路(ネガコン油路)19が分岐して設けられている。そして、例えば油圧ポンプ13が大出力で駆動し大流量で作動油を油圧シリンダ9(8、10)に供給している状態から操作レバー15の操作によってコントロールバルブ14のスプールが中立位置に切り換わった際には、作動油が戻し油路17を流通するとともにネガコン絞り18によってネガコン油路19の作動油にネガコン圧が発生し、このネガコン圧によって作動油の流量(吐出量)を少なくするように油圧ポンプ13の駆動が制御される。これにより、油圧シリンダ9(8、10)を駆動させない状態では、ネガコン圧によって油圧ポンプ13の出力が抑えられ、省エネルギー化が図られている。
【0005】
ここで、油圧ショベル1が、標準フロント作業機4と、ブーム5やアーム6を長尺で形成した長尺フロント作業機4’とを付け替えて使用する特殊仕様機である場合や、油圧ショベル1のバケット7を例えばブレーカやクラッシャなど大重量のアタッチメントに付け替えて使用する場合などにおいては、フロント作業機4(4’)の付け替えによってフロント作業機4’の重量が増大し、油圧シリンダ9(8、10)に作用する負荷が増大する。そして、大重量のフロント作業機4’に付け替えた場合には、オペレーターが油圧シリンダ9(10)を伸ばすように(フロント作業機4’を縮めるように)操作レバー15を最大で操作した際に、コントロールバルブ14のスプールが中立位置から油圧シリンダ9(8、10)に全開で作動油を供給するように切り換わり、これと同時にネガコン油路19のネガコン圧が急激に低下あるいはゼロになって、小流量で作動油を吐出していた油圧ポンプ13が全開の出力に切り換わり大流量の作動油を急激に吐出する。これにより、フロント作業機4’がその重量による影響で急激に作動して、オペレーターが予期せぬ非常に危険な作動状態になる。
【0006】
このため、油圧シリンダ制御装置Aには、図7に示すように、油圧シリンダ9(8、10)とコントロールバルブ14の間の一対の給排油路(ヘッド側給排油路20とロッド側給排油路21)にそれぞれ絞り22、23を設けて構成したものがある。そして、大重量のフロント作業機4’に付け替えた場合には、これら絞り22、23を調整してヘッド側給排油路20及びロッド側給排油路21の開口面積を小さくするようにしている。これにより、操作レバー15を最大で操作し、ネガコン圧が急激に低下して油圧ポンプ13が全開の出力で駆動した場合においても、絞り22、23により油圧シリンダ9(8、10)の背圧を上昇させてフロント作業機4’の作動を制限でき、フロント作業機4’が重量による影響で急激に作動することを防止できる(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−99106号公報
【特許文献2】特開平4−44502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図7に示す従来の油圧シリンダ制御装置Aにおいては、大重量のフロント作業機4’に付け替えた場合に、ヘッド側給排油路20及びロッド側給排油路21にそれぞれ設けた絞り22、23で、油圧ポンプ13が全開の出力で吐出した作動油の流量を絞って圧力に変換するため、油圧ポンプ13と絞り22、23の間の油圧が高圧になり、絞り22、23や他の部分などに油漏れが生じるリスクが著しく高まるという問題があった。
【0008】
一方、図7に示すように、油圧ポンプ13とコントロールバルブ14を繋ぐ供給油路24にリリーフバルブ25を設け、このリリーフバルブ25の作動によって作動油を戻し油路26からタンク11に戻すようにして、油圧ポンプ13と絞り22、23の間の油圧が著しく高圧になることを防止しているが、油圧ポンプ13が全開の出力で吐出した作動油の流量を絞り22、23で圧力に変換することで、このリリーフバルブ25から無駄にエネルギーを放出することになり、エネルギー損失が非常に大きいという問題もあった。
【0009】
さらに、このような絞り22、23を設けることで、油圧シリンダ制御装置Aのコスト高を招き、また、ヘッド側給排油路20及びロッド側給排油路21に絞り22、23を設けることでレイアウトに大きな制限が生じる。
【0010】
また、標準フロント作業機4と長尺フロント作業機4’を付け替える場合や、油圧ショベル1のバケット7を大重量のアタッチメントに付け替えて使用する場合など、フロント作業機4(4’)の交換を行う度にフロント作業機4(4’)の重量に応じて絞り22、23の調整を行う必要があり、多大な手間と労力を要する。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑み、油漏れのリスクを解消し、エネルギー効率を向上させることができ、容易に油圧シリンダの駆動を制御することが可能な油圧シリンダ制御装置及び油圧シリンダ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0013】
請求項1記載の油圧シリンダ制御装置は、建設機械の油圧シリンダの駆動を制御するための油圧シリンダ制御装置であって、油圧シリンダに作動油を供給する油圧ポンプと、油圧シリンダと油圧ポンプの間に設けられ、油圧ポンプから油圧シリンダに供給する作動油の方向及び流量をスプールの移動によって制御するコントロールバルブと、コントロールバルブのスプールを移動させるためのパイロット圧を操作レバーの操作量に応じて出力するパイロットバルブとを備え、コントロールバルブが、スプールを摺動自在に保持するバルブボディと、バルブボディに着脱可能に設けられ、スプールの端部が規制部に当接することによってスプールのストロークを規定するカバーとを備えて構成されており、パイロットバルブとコントロールバルブを繋ぐパイロット油路に、油圧シリンダに作用する負荷の大きさに応じてパイロット圧を減圧させる減圧弁が設けられ、コントロールバルブに、スプールの異なるストロークを規定するように規制部の位置が異なる複数のカバーから、油圧シリンダに作用する負荷の大きさに応じたスプールのストロークを規定するカバーが選択的に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の油圧シリンダ制御方法は、建設機械の油圧シリンダの駆動を制御する油圧シリンダ制御方法であって、油圧シリンダに作動油を供給する油圧ポンプと、油圧シリンダと油圧ポンプの間に設けられ、油圧ポンプから油圧シリンダに供給する作動油の方向及び流量をスプールの移動によって制御するコントロールバルブと、コントロールバルブのスプールを移動させるためのパイロット圧を操作レバーの操作量に応じて出力するパイロットバルブとを備える油圧シリンダ制御装置によって油圧シリンダの駆動を制御し、油圧シリンダに作用する負荷の大きさが変更される場合には、パイロットバルブとコントロールバルブを繋ぐパイロット油路に設けた減圧弁により、油圧シリンダに作用する負荷の大きさに応じてパイロット圧を減圧させるとともに、スプールを摺動自在に保持するバルブボディに着脱可能に設けられ、スプールの端部が規制部に当接することによってスプールのストロークを規定するコントロールバルブのカバーを、油圧シリンダに作用する負荷の大きさに応じたスプールのストロークを規定するように規制部の位置が異なるカバーに交換して、油圧シリンダに供給される作動油の流量を制御するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の油圧シリンダ制御装置及び請求項2記載の油圧シリンダ制御方法においては、パイロットバルブとコントロールバルブを繋ぐパイロット油路に設けた減圧弁によって油圧シリンダに作用する負荷の大きさに応じてパイロット圧を減圧させることが可能になり、パイロットバルブの操作量(オペレーターによる操作レバーの操作量)に対しスプールの移動量が小さくなるように制御することが可能になる。
【0016】
そして、このように減圧弁でスプールの移動量を小さく制御できることによって、例えば建設機械の油圧ショベルのフロント作業機を大重量のフロント作業機に付け替えた場合(油圧シリンダに作用する負荷が増大する場合)に、オペレーターが操作レバーを最大で操作したとしても、スプールが中立位置から油圧シリンダに全開で作動油を供給するように切り換わることがなく、ネガコン圧が急激に下がることを防止でき、操作レバーの操作量に応じて油圧ポンプを必要な出力で必要な流量の作動油を吐出するように制御することが可能になる。
【0017】
これにより、従来の油圧シリンダ制御装置のように絞りによって作動油の流量を圧力に変換することなく、スプールの移動量を制御して油圧シリンダに供給される作動油の流量を少なくすることが可能になる。そして、例えば建設機械の油圧ショベルのフロント作業機を大重量のフロント作業機に付け替えた場合に、オペレーターが操作レバーを最大で操作したとしても、油圧シリンダを緩やかに駆動させることが可能になり、フロント作業機がその重量による影響で急激に作動して非常に危険な作動状態になることを防止できる。
【0018】
また、規制部の位置が異なる複数のカバーから油圧シリンダに作用する負荷の大きさに応じたスプールのストロークを規定するカバーが選択的に設けられているため、減圧弁によるパイロット圧の減圧効果に加え、このカバーによっても油圧シリンダに供給される作動油の流量を制御することが可能になる。すなわち、例えば建設機械の油圧ショベルのフロント作業機を大重量のフロント作業機に付け替えた場合に、オペレーターが操作レバーを最大で操作したとしても、選択的に設けたカバー(交換したカバー)によってスプールのストロークを小さく規定することができる。このため、油圧シリンダに供給される作動油の最大流量をフロント作業機の重量に応じて少なくすることが可能になる。そして、このようにコントロールバルブのカバーに作動油の流量調整機能が付与されることによって、例えば減圧弁が好適に作動しなかったり、破損するなど不測の事態が生じ、油圧シリンダに作用する負荷の大きさに応じてパイロット圧を好適に減圧させることができなくなった場合においても、確実にフロント作業機がその重量による影響で急激に作動して非常に危険な作動状態になることを防止できる。
【0019】
よって、請求項1記載の油圧シリンダ制御装置及び請求項2記載の油圧シリンダ制御方法によれば、減圧弁を設けるとともにコントロールバルブのカバーを油圧シリンダに作用する負荷の大きさに応じて選択的に設けてスプールのストロークを制御することにより、油圧シリンダに供給される作動油の流量を制御することが可能になるため、従来のように絞りによって作動油の流量を圧力に変換する場合と比較し、油漏れのリスクを解消して、油圧シリンダの駆動を制御することが可能になる。
【0020】
また、このとき、ネガコン圧が急激に下がることを防止し、小流量で作動油を吐出していた油圧ポンプが全開の出力に切り換わることがないようにして作動油の流量を制御できるため、絞りによって作動油の流量を圧力に変換する従来の油圧シリンダ制御装置と比較しエネルギー効率を向上させることが可能になる。さらに、油圧シリンダに作用する負荷が変更される場合に減圧弁の調整とカバーの交換を行うという簡便な操作で容易に作動油の流量設定の変更を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図1から図4を参照し、本発明の一実施形態に係る油圧シリンダ制御装置及び油圧シリンダ制御方法について説明する。ここで、本実施形態は、建設機械の油圧ショベルに設けられるブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダ(油圧シリンダ)の駆動を制御する油圧シリンダ制御装置及び油圧シリンダ制御方法に関するものである。また、本実施形態では、油圧ショベルが、標準フロント作業機と、ブームやアームを長尺で形成した長尺フロント作業機とを付け替えて使用する特殊仕様機であるものとし、さらに、ブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダのうち一つの油圧シリンダ(例えばアームシリンダ)の駆動を制御するものとして説明を行う。なお、本実施形態では、図6及び図7に示した油圧ショベル1及び従来の油圧シリンダ制御装置Aと共通する構成に対し同一符号を付して説明を行う。
【0022】
本実施形態の油圧シリンダ制御装置Bは、図1に示すように、作動油を貯留するタンク11と、原動機12により駆動して作動油を油圧シリンダ9(8、10)に供給する油圧ポンプ(メインポンプ)13と、油圧シリンダ9(8、10)と油圧ポンプ13の間に設けられたオープンセンタ型のパイロット式コントロールバルブ14と、オペレーターによる操作レバー15の手動操作量に応じてパイロット圧を出力し、コントロールバルブ14のスプールを移動させるパイロットバルブ(リモコン弁)16とを備えて構成されている。
【0023】
また、この油圧シリンダ制御装置Bでは、油圧ポンプ13が、タンク油路30を介してタンク11に接続され、供給油路24を介してコントロールバルブ14の供給ポート14bに接続されている。供給油路24には、油圧ポンプ13から吐出した作動油をコントロールバルブ14に向かう方向にのみ流通させる逆止弁31が設けられ、この逆止弁31よりも作動油流通方向上流側(油圧ポンプ13側)に、センタバイパス油路32が分岐して設けられている。このセンタバイパス油路32は、コントロールバルブ14が中立位置の状態(図1に示す状態)でセンタバイパス14aと連通するようにコントロールバルブ14に接続されている。さらに、供給油路24には、センタバイパス油路32よりも作動油流通方向上流側にリリーフバルブ25を介して第1戻し油路26の一端が接続され、この第1戻し油路26は他端をタンク11に繋げて設けられている。
【0024】
さらに、コントロールバルブ14が中立位置の状態で油圧ポンプ13から供給油路24を通じてセンタバイパス14aに流通した作動油をタンク11に返送する第2戻し油路17が、コントロールバルブ14とタンク11の間に設けられている。また、この第2戻し油路17に設けられたネガコン絞り18の作動油流通方向上流側と油圧ポンプ13とを繋いでネガコン油路19が設けられている。
【0025】
さらに、コントロールバルブ14と油圧シリンダ9(8、10)とが、ヘッド側給排油路20とロッド側給排油路21の一対の給排油路によって接続されている。ヘッド側給排油路20は、油圧シリンダ9(8、10)のヘッド側の室9a(8a、10a)とコントロールバルブ14の第1給排ポート14cとを接続して設けられている。また、ロッド側給排油路21は、油圧シリンダ9(8、10)のロッド側の室9b(8b、10b)とコントロールバルブ14の第2給排ポート14dとを接続して設けられている。そして、本実施形態の油圧シリンダ制御装置Bにおいては、従来の油圧シリンダ制御装置Aと異なり、これらヘッド側給排油路20とロッド側給排油路21に絞りが設けられていない。また、油圧シリンダ9(8、10)の各室9a(8a、10a)、9b(8b、10b)からヘッド側給排油路20やロッド側給排油路21を通じてコントロールバルブ14に排出された作動油をタンク11に戻すための第3戻し油路33が、コントロールバルブ14の排出ポート14eに一端を接続し、他端をタンク11に繋げて設けられている。
【0026】
パイロットバルブ16は、油圧源のパイロットポンプ27の駆動によってタンク11から作動油が供給され、コントロールバルブ14の両端部側にそれぞれ接続した一対のパイロット油路34、35を通じてコントロールバルブ14と繋げられている。また、これら一対のパイロット油路34、35にそれぞれ、パイロット圧を減圧するための減圧弁36、37が設けられている。
【0027】
一方、本実施形態のコントロールバルブ14は、周知の油圧パイロット式コントロールバルブと同様に構成されたものであり、例えば図2に示すように、バルブボディ14fと、バルブボディ14fに形成されたスプール穴14gに軸線O1方向に摺動自在に保持されたスプール14hと、バルブボディ14fから外側に突出するスプール14hの両端部14m、14nをそれぞれ囲繞するようにして、バルブボディ14fの両側端側にそれぞれ着脱可能に設けられた一対のカバー38、39とを備えて構成されている。
【0028】
また、一対のカバー38、39はそれぞれ、スプール14hが中立位置に配された状態でスプール14hの端部14m、14nとの軸線O1方向の間に空間(背室40、41)を形成し、スプール14hが軸線O1方向に移動して端部14m、14nが当接するとともにこのスプール14hの移動を規制する規制部(規制面)38a、39aを備えて形成されている。すなわち、これら一対のカバー38、39は、一方のカバー38の規制部38aにスプール14hの一端部14mが当接することでこのスプール14hの軸線O1方向の一方向T1の移動を規制し、他方のカバー39の規制部39aにスプール14hの他端部14nが当接することでこのスプール14hの軸線O1方向の他方向T2の移動を規制する。よって、スプール14hは、これら一対のカバー38、39の規制部38a、39aによってストロークS(S=M+N)が規定されている。
【0029】
また、一方のカバー38に一方のパイロット油路35が、他方のカバー39に他方のパイロット油路34が接続されている。そして、オペレーターによる操作レバー15の操作に応じて、パイロットバルブ16から一方のカバー38あるいは他方のカバー39の背室40、41に作動油が流入し、スプール14hの端部(受圧面)14m、14nにパイロット圧が作用することで、スプール14hが軸線O1方向の一方向T1あるいは他方向T2に移動するように構成されている。さらに、スプール14hにはバネ42が設けられ、操作レバー15が中立位置に配されて一対のカバー38、39の両背室40、41のパイロット圧が略ゼロになるとともに、このバネ42の付勢力によってスプール14hが中立位置に配されるように構成されている。
【0030】
そして、本実施形態の油圧シリンダ制御装置Bにおいては、油圧ショベル1に標準フロント作業機4を搭載した際に使用する標準用カバー(図2に示すカバー38、39)と、標準フロント作業機4よりも大重量の長尺フロント作業機4’を搭載した際に使用する長尺用カバー(図3に示すカバー38’、39’)とがそれぞれ個別に準備されており、標準フロント作業機4と長尺フロント作業機4’のどちらが搭載されるかによって標準用カバー38、39と長尺用カバー38’、39’が選択的に設けられている。
【0031】
また、図2及び図3に示すように、標準用カバー38、39と長尺用カバー38’、39’は、バルブボディ14fに取り付けた状態で規制部(38aと38a’、39aと39a’)の位置が異なるように形成されており、長尺用カバー38’、39’は、規制部38a’、39a’が標準用カバー38、39の規制部38a、39aよりもスプール14hの軸線O1方向内側に配されるように形成されている。すなわち、長尺用カバー38’、39’は、これを取り付けた際のスプール14hのストロークS’(S’=M’+N’)が、長尺フロント作業機4’の重量に応じて(油圧シリンダ9(8、10)に作用する負荷の大きさに応じて)標準用カバー38、39を取り付けた際のスプール14hのストロークSよりも小さくなるように形成されている。
【0032】
ついで、上記の構成からなる油圧シリンダ制御装置Bによって油圧シリンダ9(8、10)の駆動を制御する方法について説明するとともに、本実施形態の油圧シリンダ制御装置B及び油圧シリンダ制御方法の作用及び効果について説明する。
【0033】
はじめに、油圧ショベル1に標準フロント作業機4を搭載している場合には、減圧弁36、37を調整してパイロット圧に減圧効果が生じないようにしておく。また、コントロールバルブ14にスプール14hのストロークSを有する標準用カバー38、39を取り付けておく。この場合には、スプール14hが中立位置にある状態で、オペレーターが例えば油圧シリンダ9(10)を伸ばす方向(標準フロント作業機4を縮小させる方向)に操作レバー15を操作すると、減圧弁36、37によってパイロット圧が減圧されていないため、図4に示すように、操作レバー15の操作量が大きくなるに従い漸次大きなパイロット圧がスプール14hの一端部(受圧面)14mに作用する(図4の実線P1)。また、これに伴いスプール14hが軸線O1方向の他方向T2に速く移動することになり、操作レバー15の操作量が大きくなるに従い漸次大きな移動量でスプール14hが移動することになる(図4の破線P2)。
【0034】
そして、コントロールバルブ14に標準用カバー38、39を設けてスプール14hが大きなストロークSで移動するように設定されているため、オペレーターが操作レバー15を急激に最大で操作した際には、スプール14hが中立位置から供給油路24とヘッド側給排油路20、ロッド側給排油路21と第3戻し油路33をそれぞれ全開で連通させるように急速に切り換わる。すなわちスプール14hの絞り状開口部(切欠き部)が供給ポート14bと第1給排ポート14c、排出ポート14eと第2給排ポート14dをそれぞれ全開で連通させるように急速に切り換わる。これと同時にネガコン油路19のネガコン圧が急激に低下あるいはゼロになり、スプール14hが中立位置の状態においてネガコン圧により作動油を小流量で吐出していた油圧ポンプ13が全開の出力に切り換わって大流量の作動油を吐出し、この大流量の作動油が全開の絞り状開口部を通じて油圧シリンダ9(10)のヘッド側の室9a(10a)に供給される。
【0035】
このとき、油圧ショベル1に標準フロント作業機4を搭載している場合には、標準フロント作業機4の重量が小さく、且つこの標準フロント作業機4の重量に応じたコントロールバルブ(標準用カバー38、39)14が設けられているため、絞り状開口部が全開し大流量の作動油が油圧シリンダ9(10)のヘッド側の室9a(10a)に供給されても、標準フロント作業機4が急激に作動してオペレーターが予期せぬ非常に危険な作動状態になることはなく、好適な状態を維持して作業を行うことが可能である。
【0036】
一方、標準フロント作業機4と長尺フロント作業機4’を交換して、油圧ショベル1に大重量の長尺フロント作業機4’を付け替えた場合(油圧シリンダ9(8、10)に作用する負荷の大きさが変更される場合)には、コントロールバルブ14のスプール14hのストロークSが標準用カバー38、39で規定されていると、オペレーターが操作レバー15を急激に最大で操作した際に、スプール14hの絞り状開口部が全開し大流量の作動油が油圧シリンダ9(10)のヘッド側の室9a(10a)に供給され、長尺フロント作業機4’がその重量による影響で急激に作動してしまう。
【0037】
これに対し、本実施形態では、長尺フロント作業機4’に付け替える際に、この長尺フロント作業機4’の重量に応じてパイロット圧を減圧させるように減圧弁36、37を調整する。また、これとともにコントロールバルブ14のカバーを標準用カバー38、39から長尺用カバー38’、39’に交換する。
【0038】
このようにした場合には、減圧弁36、37によってパイロット圧が操作レバー15の操作量に応じて減圧されるため、図4に示すように、操作レバー15の操作量を大きくしてもパイロット圧の上昇が抑えられ、標準フロント作業機4を搭載した場合と比較してスプール14hの一端部(受圧面)14mに作用するパイロット圧が小さくなる(図4の実線Q1)。また、これに伴いスプール14hが軸線O1方向の他方向T2に緩やかに移動することになり、操作レバー15の操作量を大きくしても小さな移動量でスプール14hが移動することになる(図4の破線Q2)。
【0039】
そして、減圧弁36、37によってパイロット圧を減圧させ、スプール14hの移動量(ストローク)を制御した場合には、スプール14hが中立位置にある状態で、オペレーターが例えば油圧シリンダ9(10)を伸長させる方向(長尺フロント作業機4’を縮小させる方向)に操作レバー15を急激に最大で操作したとしても、スプール14hに減圧弁37(36)によって減圧されたパイロット圧が作用するため、スプール14hが中立位置から供給油路24とヘッド側給排油路20、ロッド側給排油路21と第3戻し油路33をそれぞれ全開で連通させるように急速に切り換わることがない。そして、スプール14hの絞り状開口部(切欠き部)が、緩やかに開口面積を増加させながら供給ポート14bと第1給排ポート14c、排出ポート14eと第2給排ポート14dをそれぞれ連通させるように切り換わってゆく。このため、ネガコン油路19のネガコン圧が急激に下がることはなく、油圧ポンプ13の出力が徐々に上がってゆく。
【0040】
これにより、操作レバー15の操作量に応じて油圧ポンプ13が必要な出力で必要な流量の作動油を吐出するように制御され、この油圧ポンプ13から吐出される作動油の流量を少なく制御した状態で油圧シリンダ9(10)のヘッド側の室9a(10a)に作動油が供給される。よって、オペレーターが操作レバー15を急激に最大で操作したとしても、油圧シリンダ9(10)が緩やかに駆動し、最大出力も制限されるように制御されて、大重量の長尺フロント作業機4’がその重量による影響で急激に作動することがない。
【0041】
また、長尺用カバー38’、39’が標準用カバー38、39と交換して取り付けられているため、オペレーターが例えば油圧シリンダ9(10)を伸長させる方向に操作レバー15を急激に最大で操作したとしても、長尺用カバー39’(38’)の規制部39a’(38a’)にスプール14hの端部14n(14m)が当接してスプール14hの軸線O1方向の他方向T2の移動が規制され、スプール14hの絞り状開口部(切欠き部)が全開することがない状態で供給ポート14bと第1給排ポート14c、排出ポート14eと第2給排ポート14dをそれぞれ連通させることになる。これにより、この長尺用カバー39’(38’)によってスプール14hの最大移動量(最大ストロークS’)が小さく規定され(図4の破線R1)、オペレーターが操作レバー15を急激に最大で操作したとしても、やはりネガコン油路19のネガコン圧が急激に下がることはなく、油圧ポンプ13から吐出される作動油の最大流量が長尺フロント作業機4’の重量に応じて少なく制御された状態で油圧シリンダ9(10)のヘッド側の室9a(10a)に作動油が供給されることになる。
【0042】
そして、このようにコントロールバルブ14のカバー(長尺用カバー38’、39’)に作動油の流量調整機能が付与されることで、作動油に混入した例えば油圧ポンプ13の切粉や減圧弁36、37の鋳造時の砂残りなどのゴミが溜まり減圧弁36、37が好適に作動しなかったり、破損が生じるなど不測の事態が生じて、長尺フロント作業機4’の重量に応じてパイロット圧を好適に減圧させることができなくなった場合においても、長尺フロント作業機4’がその重量による影響で急激に作動して非常に危険な作動状態になることが確実に防止される。
【0043】
なお、減圧弁36、37を設けず、コントロールバルブ14のカバーを長尺用カバー38’、39’に交換することのみで油圧シリンダ9(8、10)に供給される作動油の流量を制御することも考えられる。しかしながら、この場合には、図4に示した操作レバー15の操作量に対して大きなパイロット圧が発生し(図4の実線P1)、大きな移動量でスプール14hが移動する(図4の破線P2)状態で作動油の流量を制御することになるため、オペレーターが操作レバー15を操作した際に少量の操作量でスプール14hの移動が長尺用カバー38’、39’で規制されてしまい、長尺フロント作業機4’の微動操作性が悪くなってしまう。
【0044】
また、本実施形態の油圧シリンダ制御装置Bにおいては、一対のパイロット油路34、35にそれぞれ減圧弁36、37を設け、且つコントロールバルブ14の両側端に取り付けた両長尺用カバー38’、39’に規制部38a’、39a’による流量調整機能が付与されている。このため、オペレーターが油圧シリンダ9(10)を縮める方向(長尺フロント作業機4’を伸長させる方向)に操作レバー15を操作した場合においても、油圧ポンプ13から吐出される作動油の流量を少なく制御して油圧シリンダ9(8、10)を緩やかに駆動させることが可能である。
【0045】
したがって、本実施形態の油圧シリンダ制御装置B及び油圧シリンダ制御方法においては、パイロットバルブ16とコントロールバルブ14を繋ぐパイロット油路34、35に設けた減圧弁36、37によって油圧シリンダ9(8、10)に作用する負荷の大きさに応じてパイロット圧を減圧させることが可能になり、パイロットバルブ16の操作量(オペレーターによる操作レバー15の操作量)に対しスプール14hの移動量(ストロークS’)が小さくなるように制御することが可能になる。
【0046】
そして、このように減圧弁36、37でスプール14hの移動量を小さく制御できることによって、オペレーターが操作レバー15を最大で操作したとしても、スプール14hが中立位置から油圧シリンダ9(8、10)に全開で作動油を供給するように切り換わることがなく、ネガコン圧が急激に下がることを防止できる。このため、小流量で作動油を吐出していた油圧ポンプ13が全開の出力に切り換わって大流量の作動油を吐出することをなくし、操作レバー15の操作量に応じて油圧ポンプ13が必要な出力で必要な流量の作動油を吐出するように制御することが可能になる。
【0047】
これにより、従来の油圧シリンダ制御装置Aのように絞り22、23によって作動油の流量を圧力に変換することなく、油圧シリンダ9(8、10)に供給される作動油の流量を少なくすることが可能になり、油圧ショベル1のフロント作業機を標準フロント作業機4から大重量の長尺フロント作業機4’に付け替えた場合に、オペレーターが操作レバー15を最大で操作したとしても、油圧シリンダ13を緩やかに駆動させることが可能になり、長尺フロント作業機4’がその重量による影響で急激に作動して非常に危険な作動状態になることを防止できる。
【0048】
また、規制部38a、38a’、39a、39a’の位置が異なる複数のカバー(標準用カバー38、39、長尺用カバー38’、39’)から、油圧シリンダ13に作用する負荷の大きさに応じたスプール14hのストロークS、S’を規定するカバー38、38’、39、39’が選択的に設けられることで、減圧弁36、37によるパイロット圧の減圧効果に加え、このカバー38、38’、39、39’によっても油圧シリンダ13に供給される作動油の流量を制御することが可能になる。そして、このようにコントロールバルブ14のカバー38、38’、39、39’に作動油の流量調整機能を付与することによって、減圧弁36、37が好適に作動しなかったり、破損するなど不測の事態が生じ、油圧シリンダ9(8、10)に作用する負荷の大きさに応じてパイロット圧を好適に減圧させることができなくなった場合においても、確実に長尺フロント作業機4’がその重量による影響で急激に作動して非常に危険な作動状態になることを防止できる。
【0049】
よって、本実施形態の油圧シリンダ制御装置B及び油圧シリンダ制御方法によれば、減圧弁36、37を設けるとともにコントロールバルブ14のカバー38、38’、39、39’を油圧シリンダ9(8、10)に作用する負荷の大きさに応じて選択的に設けてスプール14hの移動量(ストロークS、S’)を制御することにより、油圧シリンダ9(8、10)に供給される作動油の流量を制御することが可能になるため、従来のように絞り22、23によって作動油の流量を圧力に変換する場合と比較し、油漏れのリスクを解消して、油圧シリンダ9(8、10)の駆動を制御することが可能になる。
【0050】
また、このとき、ネガコン圧が急激に下がることを防止し、小流量で作動油を吐出していた油圧ポンプ13が全開の出力に切り換わることがないようにして作動油の流量を制御できるため、絞り22、23によって作動油の流量を圧力に変換する従来の油圧シリンダ制御装置Aと比較しエネルギー効率を向上させることが可能になる。さらに、油圧シリンダ9(8、10)に作用する負荷が変更される場合に減圧弁36、37の調整とカバー38、38’、39、39’の交換を行うという簡便な操作で容易に作動油の流量設定の変更を行うことが可能になる。
【0051】
なお、本発明は、上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、建設機械が油圧ショベル1であるものとし、この油圧ショベル1が標準フロント作業機4と長尺フロント作業機4’を付け替えて使用する特殊作業機であるものとして説明を行ったが、本発明の油圧シリンダ制御装置及び油圧シリンダ制御方法は、油圧ショベル1に限らず他の建設機械が具備する油圧シリンダの駆動を制御するために適用されてもよい。
【0052】
また、例えばバケット7をブレーカやクラッシャなど大重量のアタッチメントに付け替えて使用する油圧ショベル1や、アタッチメントの先端部にフックを装着し、ショベル仕様とクレーン仕様で使用される油圧ショベル1など、フロント作業機4(4’)の仕様形態に応じて油圧シリンダ9(8、10)に作用する負荷の大きさが変わる油圧ショベル1に適用されてもよく、この場合においても、本実施形態と同様、油圧シリンダ9(8、10)に作用する負荷の大きさに応じて減圧弁36、37によりパイロット圧を減圧させるとともに、コントロールバルブ14に、規制部38a、38a’、39a、39a’の位置が異なる複数のカバー38、38’、39、39’から選択的にカバー38、38’、39、39’を設けることで、油圧シリンダ9(8、10)に作用する負荷の大きさに応じてスプール14hのストロークS、S’を規定し作動油の流量を制御して、好適に油圧シリンダ9(8、10)の駆動を制御することが可能である。
【0053】
また、本実施形態では、一対のパイロット油路34、35にそれぞれ減圧弁36、37を設け、且つコントロールバルブ14の両側端にそれぞれ取り付けた両長尺用カバー38’、39’に規制部38a’、39a’による流量調整機能が付与されているものとしたが、オペレーターが油圧シリンダ9(10)を伸ばす方向に操作レバー15を操作した際に、大重量のフロント作業機4’がその重量によって急激に作動することのみを防止したい場合には、他方のパイロット油路35のみに減圧弁37を設け、スプール14hの他端部14n側のカバー39のみを交換してスプール14hのストロークを規定するようにしてもよい。よって、必ずしも一対のパイロット油路34、35にそれぞれ減圧弁36、37を設けなくてもよく、また、必ずしもコントロールバルブ14の両側端側の一対のカバー38、39(38’、39’)を全て交換しなくてもよい。
【0054】
さらに、油圧ショベル1に標準フロント作業機4を搭載している場合には、減圧弁36、37でパイロット圧が減圧されないようにしておき、長尺フロント作業機4’に付け替える際に減圧弁36、37を調整し、油圧シリンダ9(8、10)に作用する負荷の大きさに応じてパイロット圧を減圧させるものとしたが、例えば図5に示すように、パイロット油路34、35に切換弁43を介してバイパス油路44、45を設け、標準フロント作業機4を搭載している場合には、このバイパス油路44、45を通じてコントロールバルブ14に減圧されていないパイロット圧を作用させ、長尺フロント作業機4’に付け替える際には、切換弁43を操作して作動油の流路を切り換え、長尺フロント作業機4’の重量に応じて減圧弁36、37により減圧したパイロット圧をコントロールバルブ14に作用させるようにしてもよい。この場合には、フロント作業機4、4’の付け替え時に(油圧シリンダ9(8、10)に作用する負荷の大きさが変更される場合に)、コントロールバルブ14のカバー38、38’、39、39’を交換するとともに、切換弁43を切り換えるというより簡便な操作で、油圧シリンダ9(8、10)に供給される作動油の流量を制御することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係る油圧シリンダ制御装置を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る油圧シリンダ制御装置のコントロールバルブを示した図であり、標準用カバーを設けた状態を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る油圧シリンダ制御装置のコントロールバルブを示した図であり、長尺用カバーを設けた状態を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る油圧シリンダ制御装置によって油圧シリンダの駆動を制御する際の操作レバーの操作量とパイロット圧、スプールの移動量との関係を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る油圧シリンダ制御装置の変形例を示す図である。
【図6】油圧ショベルの一例を示す図である。
【図7】従来の油圧シリンダ制御装置を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 フロント作業機(標準フロント作業機)
4’ フロント作業機(長尺フロント作業機)
5 ブーム
6 アーム
7 バケット
8 ブームシリンダ(油圧シリンダ)
9 アームシリンダ(油圧シリンダ)
10 バケットシリンダ(油圧シリンダ)
11 タンク
12 原動機
13 油圧ポンプ
14 コントロールバルブ
14a センタバイパス
14b 供給ポート
14c 第1給排ポート
14d 第2給排ポート
14e 排出ポート
14f バルブボディ
14g スプール穴
14h スプール
14m スプールの端部(一端部)
14n スプールの端部(他端部)
15 操作レバー
16 パイロットバルブ
17 戻し油路(第2戻し油路)
18 ネガコン絞り
19 ネガコン油路
20 ヘッド側給排油路
21 ロッド側給排油路
22 絞り
23 絞り
24 供給油路
25 リリーフバルブ
26 戻し油路(第1戻し油路)
27 パイロットポンプ
30 タンク油路
31 逆止弁
32 センタバイパス油路
33 戻し油路(第3戻し油路)
34 パイロット油路
35 パイロット油路
36 減圧弁
37 減圧弁
38 カバー(標準用カバー)
38a 標準カバーの規制部
38’ カバー(長尺用カバー)
38a’ 長尺カバーの規制部
39 カバー(標準用カバー)
39a 標準カバーの規制部
39’ カバー(長尺用カバー)
39a’ 長尺カバーの規制部
40 背室
41 背室
42 バネ
43 切換弁
44 バイパス油路
45 バイパス油路
A 従来の油圧シリンダ制御装置
B 油圧シリンダ制御装置
O1 スプールの軸線
S スプールのストローク
S’ スプールのストローク
T1 スプールの移動方向(一方向)
T2 スプールの移動方向(他方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の油圧シリンダの駆動を制御するための油圧シリンダ制御装置であって、
油圧シリンダに作動油を供給する油圧ポンプと、油圧シリンダと油圧ポンプの間に設けられ、油圧ポンプから油圧シリンダに供給する作動油の方向及び流量をスプールの移動によって制御するコントロールバルブと、コントロールバルブのスプールを移動させるためのパイロット圧を操作レバーの操作量に応じて出力するパイロットバルブとを備え、
コントロールバルブが、スプールを摺動自在に保持するバルブボディと、バルブボディに着脱可能に設けられ、スプールの端部が規制部に当接することによってスプールのストロークを規定するカバーとを備えて構成されており、
パイロットバルブとコントロールバルブを繋ぐパイロット油路に、油圧シリンダに作用する負荷の大きさに応じてパイロット圧を減圧させる減圧弁が設けられ、
コントロールバルブに、スプールの異なるストロークを規定するように規制部の位置が異なる複数のカバーから、油圧シリンダに作用する負荷の大きさに応じたスプールのストロークを規定するカバーが選択的に設けられていることを特徴とする油圧シリンダ制御装置。
【請求項2】
建設機械の油圧シリンダの駆動を制御する油圧シリンダ制御方法であって、
油圧シリンダに作動油を供給する油圧ポンプと、油圧シリンダと油圧ポンプの間に設けられ、油圧ポンプから油圧シリンダに供給する作動油の方向及び流量をスプールの移動によって制御するコントロールバルブと、コントロールバルブのスプールを移動させるためのパイロット圧を操作レバーの操作量に応じて出力するパイロットバルブとを備える油圧シリンダ制御装置によって油圧シリンダの駆動を制御し、
油圧シリンダに作用する負荷の大きさが変更される場合には、パイロットバルブとコントロールバルブを繋ぐパイロット油路に設けた減圧弁により、油圧シリンダに作用する負荷の大きさに応じてパイロット圧を減圧させるとともに、
スプールを摺動自在に保持するバルブボディに着脱可能に設けられ、スプールの端部が規制部に当接することによってスプールのストロークを規定するコントロールバルブのカバーを、油圧シリンダに作用する負荷の大きさに応じたスプールのストロークを規定するように規制部の位置が異なるカバーに交換して、油圧シリンダに供給される作動油の流量を制御するようにしたことを特徴とする油圧シリンダ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−133442(P2009−133442A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311357(P2007−311357)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000190297)キャタピラージャパン株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】