説明

油圧制御装置及びこれを備えた作業機械

【課題】複数の油圧アクチュエータの持つエネルギーを効率的に回収することができる油圧制御装置及びこれを備えた作業機械を提供すること。
【解決手段】コントローラ37は、油圧アクチュエータ10、11のうち戻り油を優先して再生する優先アクチュエータを選択するとともに、優先アクチュエータの戻り油よりも高い圧力の戻り油を導出している補充アクチュエータが存在するか否かを判定し、補充アクチュエータが存在すると場合に、優先アクチュエータからの戻り油の可変絞り22、24、26の二次側の圧力と補充アクチュエータからの戻り油の可変絞り22、24、26の二次側の圧力とが同等となるように、優先アクチュエータ及び補充アクチュエータにそれぞれ接続された可変絞り22、24、26の開度を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧アクチュエータからの戻り油を再生するための油圧制御装置及びこれを備えた作業機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、支持体と、この支持体に対して旋回可能に支持された旋回体と、この旋回体に対して起伏可能に取り付けられたブームと、前記旋回体を旋回動作させる旋回モータと、前記ブームを起伏動作させるブームシリンダと、旋回モータ及びブームシリンダに対して作動油を供給する油圧ポンプと、旋回モータ及びブームシリンダに対する作動油の給排を制御する流量制御弁と、旋回モータ及びブームシリンダからのメータアウト油路に設けられた絞り弁とを備えた作業機械が知られている。
【0003】
この種の作業機械では、油圧ポンプからの作動油の流量調整及び流量制御弁の操作により旋回モータ及びブームシリンダの作動が制御される。例えば、ブームシリンダを倒伏させる場合、倒伏前のブームの高さ位置に応じた位置エネルギーは、ブームの動作を加速する方向に作用する。この位置エネルギーは、前記絞り弁を流通する際に生じる熱エネルギーとして廃棄される。同様に、旋回体の旋回動作を減速させる場合、旋回体の慣性エネルギーは、旋回体の減速を妨げる方向に作用する。この慣性エネルギーも、前記絞り弁を流通する際に生じる熱エネルギーとして廃棄される。
【0004】
前記ブームシリンダ等の複数の油圧アクチュエータを有するエネルギーを回収するものとして、例えば、特許文献1に示される複数の圧油エネルギー選択回収装置が知られている。特許文献1に記載の圧油エネルギー選択回収装置は、複数の油圧アクチュエータと、各油圧アクチュエータにそれぞれ接続された複数の回収回路と、これら回収回路にそれぞれ設けられた複数の切換弁と、各切換弁を介して前記複数のアクチュエータに接続された可変油圧モータと、前記複数の切換弁を切換操作可能なコントローラとを備えている。前記コントローラには、前記複数の油圧アクチュエータのうち、どの油圧アクチュエータの戻り油を優先して回収するか、その優先順位が記憶されている。そして、特許文献1に記載の複数の圧油エネルギー選択回収装置では、複数の油圧アクチュエータが操作された場合に優先順位の高い油圧アクチュエータが選択され、選択された油圧アクチュエータの戻り油により可変油圧モータを回転させる。つまり、選択されたアクチュエータの戻り油が持つエネルギーが回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−36870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の複数の圧油エネルギー選択回収装置では、複数の油圧アクチュエータのうち、選択された1つの油圧アクチュエータの戻り油が持つエネルギーのみが回収される。したがって、選択された1つの油圧アクチュエータ以外の油圧アクチュエータの戻り油が持つエネルギーを有効に回収することができない。
【0007】
本発明の目的は、複数の油圧アクチュエータの持つエネルギーを効率的に回収することができる油圧制御装置及びこれを備えた作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、油圧制御装置であって、エンジンの出力軸が回転することにより駆動する油圧ポンプと、前記油圧ポンプから作動油が供給されることにより作動するとともに、導出される戻り油が再生の対象となる複数の油圧アクチュエータと、前記エンジンの出力軸が回転することにより回転駆動するとともに、作動油の供給に応じて前記エンジンの出力軸を回転させる再生モータと、前記複数の油圧アクチュエータと前記再生モータとを接続するための複数の再生油路と、前記複数の再生油路内の圧力をそれぞれ検出可能な複数の圧力検出部と、前記複数の再生油路にそれぞれ設けられた複数の再生側可変絞りと、前記再生側可変絞りの開度を制御可能な制御部とを備え、前記制御部は、前記複数の油圧アクチュエータのうち戻り油を優先して再生する優先アクチュエータを選択するとともに、前記複数の圧力検出部による検出結果に基づいて、前記複数の油圧アクチュエータのうち前記優先アクチュエータの戻り油よりも高い圧力の戻り油を導出している少なくとも1つの補充アクチュエータが存在するか否かを判定し、前記少なくとも1つの補充アクチュエータが存在しないと判定した場合に、前記優先アクチュエータからの戻り油のみが前記再生モータに供給されるように前記複数の再生側可変絞りの開度を制御する一方、前記少なくとも1つの補充アクチュエータが存在する場合に、前記優先アクチュエータからの戻り油の前記再生側可変絞りの二次側の圧力と前記少なくとも1つの補充アクチュエータからの戻り油の前記再生側絞りの二次側の圧力とが同等となるように、前記優先アクチュエータ及び前記少なくとも1つの補充アクチュエータにそれぞれ接続された再生側可変絞りの開度を制御する、油圧制御装置を提供する。
【0009】
本発明では、優先アクチュエータよりも高圧の戻り油を導出している補充アクチュエータが存在する場合に、優先アクチュエータ及び補充アクチュエータの二次側の圧力が同等となるように再生側可変絞りの開度が制御される。これにより、優先アクチュエータからの戻り油だけでなく、これよりも高圧の補充アクチュエータからの戻り油を、再生側可変絞りにより減圧された状態で再生モータに供給することができる。したがって、優先アクチュエータからの戻り油のみを再生する場合と比較して、複数の油圧アクチュエータの持つエネルギーを効率的に再生(回収)することができる。
【0010】
前記油圧制御装置において、前記制御部は、前記複数の油圧アクチュエータの戻り油による期待動力をそれぞれ算出するとともに、前記複数の油圧アクチュエータのうち前記期待動力の最も高いものを前記優先アクチュエータとして選択することが好ましい。
【0011】
この態様では、複数の油圧アクチュエータのうち期待動力(つまり、戻り油の圧力×流量)の大きなものが前記優先アクチュエータとして選択される。これにより、最大の動力を持つ油圧アクチュエータの戻り油を優先して再生することができる。したがって、油圧アクチュエータの持つエネルギーを効率的に再生することができる。
【0012】
前記油圧制御装置において、前記制御部は、前記複数の油圧アクチュエータのうちの1つを仮定優先アクチュエータであると仮定した場合における前記仮定優先アクチュエータの戻り油の圧力よりも高い圧力の戻り油を導出している仮定補充アクチュエータが存在するか否かを判定し、前記仮定補充アクチュエータが存在しないと判定された場合には前記仮定優先アクチュエータの戻り油によりえられる再生可能動力を算出する一方、前記仮定補充アクチュエータが存在すると判定された場合には前記仮定優先アクチュエータの戻り油及び仮定補充アクチュエータの戻り油により得られる再生可能動力を算出し、前記複数の油圧アクチュエータの全てが前記仮定優先アクチュエータと仮定される全ての場合について算出された前記再生可能動力のうち、前記再生可能動力が最も大きくなる場合における前記仮定優先アクチュエータを前記優先アクチュエータとして選択することが好ましい。
【0013】
この態様では、期待動力の最も高い油圧アクチュエータを優先アクチュエータとして選択するとともに、優先アクチュエータよりも高圧の戻り油を導出する補充アクチュエータの戻り油を利用する場合(以下、高動力選択の場合と称す)と比較して以下の利点がある。
【0014】
高動力選択の場合、優先アクチュエータよりも低圧の戻り油を導出している油圧アクチュエータの持つエネルギーは廃棄される。また、補充アクチュエータからの戻り油の圧力を優先アクチュエータからの戻り油の圧力まで降下させるための圧損に相当するエネルギーは、廃棄される。ここで、廃棄されるエネルギーが補充アクチュエータから補充されるエネルギーよりも大きい場合、他の油圧アクチュエータを優先アクチュエータとして選択した方が再生効率が高くなる可能性がある。そこで、前記態様では、全ての油圧アクチュエータを仮定優先アクチュエータと仮定した場合における全ての再生可能動力を予め特定し、これらの再生可能動力の中から最も大きな再生可能動力を得ることができる優先アクチュエータを選択する。これにより、複数の油圧アクチュエータの全てを優先アクチュエータとして選択する全ての組み合わせの中から最も再生効率の高い優先アクチュエータを選択することができる。
【0015】
前記油圧制御装置において、前記制御部は、前記再生モータに供給可能な最大の流量である再生可能流量と前記優先アクチュエータからの戻り油の最大の流量である優先流量とを特定するとともに、前記再生可能流量が前記優先流量よりも大きいか否かを判定し、前記再生可能流量が前記優先流量よりも大きいと判定された場合に、前記優先アクチュエータに接続された再生側可変絞りの開度を全開にするとともに、前記再生可能流量から前記優先流量を減じた補充流量の戻り油が前記少なくとも1つの補充アクチュエータから前記再生モータに供給されるように、前記少なくとも1つの補充アクチュエータに接続された再生側可変絞りの開度を制御することが好ましい。
【0016】
この態様では、再生可能流量が優先流量よりも大きい場合に、優先アクチュエータからの戻り油の全てを再生モータに供給するとともに、再生可能流量に不足する補充流量分の戻り油を補充アクチュエータから供給する。これにより、優先アクチュエータからの戻り油の一部と、補充アクチュエータからの戻り油の一部とを合計して再生可能流量とする場合と比較して、各再生側可変絞りの開度の制御を簡素化することができる。
【0017】
前記油圧制御装置において、前記複数の油圧アクチュエータとタンクとを接続するための複数の回収油路と、前記複数の回収油路にそれぞれ設けられた複数の回収側可変絞りとをさらに備え、前記制御部は、前記少なくとも1つの補充アクチュエータから導出される戻り油のうち、前記補充流量の補充に供される戻り油以外の戻り油が前記タンクに回収されるように、前記少なくとも1つの補充アクチュエータに接続された回収側可変絞りの開度を制御することが好ましい。
【0018】
この態様では、補充アクチュエータから導出される余剰の戻り油が複数の回収側可変絞りのうち補充アクチュエータに接続されたものを介してタンクに回収される。そのため、優先アクチュエータ及び補充アクチュエータからの戻り油により再生可能流量の全てを賄いながら、余剰の戻り油をタンクに回収することができる。
【0019】
また、本発明は、作業機械であって、支持体と、前記支持体に対して旋回可能に取り付けられた旋回体と、前記旋回体に対して起伏可能に取り付けられたブームと、前記支持体に対して前記旋回体を旋回駆動させるための旋回モータと、前記旋回体に対して前記ブームを起伏動作させるためのブームシリンダと、前記油圧制御装置とを備え、導出される戻り油が再生の対象となる複数の油圧アクチュエータには、前記旋回モータと、前記ブームシリンダとが含まれている、作業機械を提供する。
【0020】
本発明によれば、ブーム下げの動作時におけるブームが持つ位置エネルギー、及び、旋回体の減速時における旋回体の慣性エネルギーを効率的に再生することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数の油圧アクチュエータの持つエネルギーを効率的に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る油圧ショベルの全体構成を示す右側面図である。
【図2】図1に示す油圧ショベルに設けられた油圧制御装置を示す回路図である。
【図3】図2に示すコントローラにより実行される処理を示すフローチャートである。
【図4】図3に示す処理による作用を説明するための表である。
【図5】本発明の別の実施形態に係るコントローラにより実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る油圧ショベル1の全体構成を示す右側面図である。
【0025】
油圧ショベル1は、左右一対のクローラ2aを有する自走式の下部走行体(支持体)2と、この下部走行体2に対して旋回可能に設けられたアッパフレーム3aを有する上部旋回体3と、この上部旋回体3上に起伏可能に設けられた作業アタッチメント4と、図2に示す油圧制御装置5と、エンジン6とを備えている。
【0026】
作業アタッチメント4は、上部旋回体3のアッパフレーム3aに対して起伏可能に取り付けられた基端部を有するブーム7と、このブーム7の先端部に対して回動可能に取り付けられた基端部を有するアーム8と、このアーム8の先端部に対して回動可能に取り付けられた基端部を有するバケット9とを備えている。
【0027】
図1及び図2を参照して、油圧制御装置5は、前記下部走行体2に対してアッパフレーム3aを旋回させる旋回モータ10と、アッパフレーム3aに対してブーム7を起伏させるブームシリンダ11と、ブーム7に対してアーム8を回動させるアームシリンダ12と、アーム8に対してバケット9を回動させるバケットシリンダ13とを含む複数の油圧アクチュエータ(以下、複数のアクチュエータ10〜13と称することがある)を備えている。本実施形態では、これら油圧アクチュエータ10〜13のうち旋回モータ10及びブームシリンダ11からの戻り油が再生の対象となるものとして、説明する。
【0028】
また、油圧制御装置5は、前記複数の油圧アクチュエータ10〜13に作動油を供給する油圧ポンプ14、15と、旋回モータ10及び/又はブームシリンダ11からの戻り油を再生するための再生モータ16と、油圧ポンプ14、15と旋回モータ10又はブームシリンダ11との間にそれぞれ設けられたコントロールバルブ17、18と、圧力センサ(圧力検出部)19〜21と、可変絞り22〜27と、チェック弁28〜33と、背圧保持弁34と、オイルクーラ35と、クーラ保護弁36と、コントローラ(制御部)37とを備えている。
【0029】
油圧ポンプ14、15は、それぞれエンジン6の出力軸6aが回転することにより駆動する。また、油圧ポンプ14、15は、それぞれの容量を調整するためのレギュレータ14a、15aを有する可変容量型のポンプである。これら油圧ポンプ14、15から吐出された作動油は、コントロールバルブ17、18に導かれる。
【0030】
コントロールバルブ17は、旋回モータ10に対する作動油の給排を制御可能である。具体的に、コントロールバルブ17は、油圧ポンプ14、15と旋回モータ10とを遮断する中立位置P1と、油圧ポンプ14、15と右側油路R1とを接続するとともに左側油路R2を遮断する切換位置P2と、油圧ポンプ14、15と左側油路R2とを接続するとともに右側油路R1を遮断する切換位置P3と、の間で切換可能である。なお、コントロールバルブ17は、図外の操作レバーの操作により生じるパイロット圧を受けて操作される。
【0031】
コントロールバルブ18は、ブームシリンダ11に対する作動油の給排を制御可能である。具体的に、コントロールバルブ18は、油圧ポンプ14、15とブームシリンダ11とを遮断する中立位置P1と、油圧ポンプ14、15とヘッド側油路R9とを接続するとともにロッド側油路R10とタンクTとを接続する切換位置P2と、油圧ポンプ14、15とロッド側油路R10とを接続するとともにヘッド側油路R9を遮断する切換位置P3と、の間で切換可能である。なお、コントロールバルブ18は、図外の操作レバーの操作により生じるパイロット圧を受けて操作される。
【0032】
再生モータ16は、エンジン6の出力軸6aが回転することにより回転駆動するとともに、作動油の供給に応じてエンジン6の出力軸6aを回転させる。具体的に、再生モータ16には、戻り油が供給される再生合流油路R14と、タンクTに作動油を回収するためのタンク油路R15とが接続されている。また、再生モータ16は、その容量を調整するためのレギュレータ16aを有する可変容量型のモータである。
【0033】
圧力センサ19は、旋回モータ10に接続された左側油路R2内の作動油の圧力を検出可能である。具体的に、圧力センサ19は、左側油路R2から分岐した左側分岐油路R4に設けられている。圧力センサ20は、旋回モータ10に接続された右側油路R1内の作動油の圧力を検出可能である。具体的に、圧力センサ20は、右側油路R1から分岐した右側分岐油路R3に設けられている。圧力センサ21は、ブームシリンダ11に接続されたヘッド側油路R9内の圧力を検出可能である。具体的に、圧力センサ21は、ヘッド側油路R9から分岐したヘッド側分岐油路R11に設けられている。
【0034】
可変絞り(再生側可変絞り)22、24は、旋回モータ10からの再生合流油路R14までの戻り油の流量を調整可能である。具体的に、可変絞り22は、前記左側分岐油路R4に接続された左側再生油路R7に設けられている。また、可変絞り22は、その開度を調整可能なレギュレータ22aを有する。一方、可変絞り24は、前記右側分岐油路R3に接続された右側再生油路R5に設けられている。また、可変絞り24は、その開度を調整可能なレギュレータ24aを有する。
【0035】
可変絞り(回収側可変絞り)23、25は、旋回モータ10からタンクTまでの戻り油の流量を調整可能である。具体的に、可変絞り23は、前記左側分岐油路R4に接続された左側回収油路R8に設けられている。また、可変絞り23は、その開度を調整可能なレギュレータ23aを有する。一方、可変絞り25は、前記右側分岐油路R3に接続された右側回収油路R6に設けられている。また、可変絞り25は、その開度を調整可能なレギュレータ25aを有する。なお、各回収油路R6、R8は、それぞれ前記タンク油路R15に接続された回収合流油路R16に接続されている。
【0036】
可変絞り(再生側可変絞り)26は、ブームシリンダ11のヘッド側室から再生合流油路R14までの戻り油の流量を調整可能である。具体的に、可変絞り26は、前記ヘッド側分岐油路R11に接続されたヘッド側再生油路R12に設けられている。また、可変絞り26は、その開度を調整可能なレギュレータ26aを有する。
【0037】
可変絞り(回収側可変絞り)27は、ブームシリンダ11からタンクTまでの戻り油の流量を調整可能である。具体的に、可変絞り27は、前記ヘッド側分岐油路R11に接続されたヘッド側回収油路R13に設けられている。また、可変絞り27は、その開度を調整可能なレギュレータ27aを有する。
【0038】
チェック弁28〜33は、旋回モータ10又はブームシリンダ11へ向けた作動油の逆流を防止する。具体的に、チェック弁28〜31は、旋回モータ10から再生モータ16へ向けた作動油の流れを許容する一方、逆向きの流れを規制する。一方、チェック弁32、33は、ブームシリンダ11から再生モータ16へ向けた作動油の流れを許容する一方、逆向きの流れを規制する。
【0039】
オイルクーラ35は、前記タンク油路R15に設けられているとともに作動油を冷却する。クーラ保護弁36は、オイルクーラ35を保護する。具体的に、クーラ保護弁36は、前記オイルクーラ35をバイパスするように前記タンク油路R15に接続されたバイパス油路R17に設けられている。
【0040】
コントローラ37は、前記油圧ポンプ14、15及び再生モータ16の容量を制御可能である。具体的に、コントローラ37は、容量変更指令Z1〜Z3を出力可能となるようにレギュレータ14a、15a、16aに電気的に接続されている。また、コントローラ37は、前記可変絞り22〜27の開度を制御可能である。具体的に、コントローラ37は、開度制御指令Z4〜Z9を出力可能となるようにレギュレータ22a〜27aに電気的に接続されている。また、コントローラ37は、圧力検出値Y1〜Y3を入力可能となるように、圧力センサ19〜21に電気的に接続されている。
【0041】
また、コントローラ37は、ブーム7の下げ動作時におけるブームシリンダ11からの戻り油、及び/又は、上部旋回体3の旋回減速時における旋回モータ10からの戻り油を再生モータ16に供給するように、前記可変絞り22〜27の開度を制御する。具体的に、コントローラ37は、旋回モータ10及びブームシリンダ11のうち、その戻り油により再生が期待される動力(以下、期待動力と称す)の大きいものを優先アクチュエータとして選択する。前記動力は、戻り油の圧力に戻り油の流量を乗じることにより算出される。ここで、戻り油の圧力は、前記圧力センサ19〜21により検出されたものである。また、戻り油の流量は、例えば、操作レバーの操作量に応じた旋回モータ10及びブームシリンダ11の目標速度から求めることができる。また、上部旋回体3の旋回速度若しくはブーム7の倒伏速度を検出するための図外のセンサによる検出結果に基づいて、戻り油の流量を算出することもできる。
【0042】
さらに、コントローラ37は、圧力センサ19〜21の検出結果に基いて、前記優先アクチュエータの戻り油よりも高い圧力の戻り油を導出している他のアクチュエータ(補充アクチュエータ)が存在するか否かを判定する。本実施形態では、再生対象となる油圧アクチュエータは、旋回モータ10とブームシリンダ11との2つである。そのため、コントローラ37は、優先アクチュエータ以外の油圧アクチュエータの戻り油が油圧アクチュエータの戻り油よりも高圧であるか否かを判定する。
【0043】
前記補充アクチュエータが存在する場合、コントローラ37は、優先アクチュエータからの戻り油の全部を再生モータ16に供給するとともに、補充アクチュエータからの戻り油を可能な範囲で再生モータ16に供給する。具体的に、優先アクチュエータからの戻り油の最大の流量である優先流量が再生モータ16における再生可能流量より小さい場合には、再生可能流量から優先流量を減じた補充流量の戻り油を補充アクチュエータから補充する。ここで、再生可能流量Qm-maxは次の式(1)により算出される。
【0044】
Qm-max=qm-max×N×60÷2π÷1000(l/min)・・・(1)
ここで、Nは、エンジン6の回転数(min-1)である。また、qm-maxは、現時点における再生モータ16の消費動力に対応する容量q1、及び、再生モータ16に規定された最大容量qmaxのうちの低位選択されたものである。前記容量q1は、次の式(2)により算出される。
【0045】
q1=(W1+W2)÷N÷Pm×60・・・(2)
W1、W2:油圧ポンプの消費動力(W)
Pm:再生モータの圧力(MPa)
また、コントローラ37は、優先アクチュエータ及び補充アクチュエータから戻り油を再生モータ16に供給した場合に、再生モータ16の容量をqmに設定する。qmは、次の式(3)により算出される。
【0046】
qm=(Q1+Q2m)×1000÷N・・・(3)
Q1:優先アクチュエータからの戻り油の流量
Q2m:補充アクチュエータからの戻り油の流量
なお、Q2mは、次の式(4)又は(5)により算出される。
【0047】
Q2m=Qm-max―Q1 (Qm-max<Q1+Q2の場合)・・・(4)
Q2m=Q2 (Qm-max≧Q1+Q2の場合)・・・(5)
さらに、コントローラ37は、補充アクチュエータからの戻り油を再生モータ16に供給する場合に、可変絞り(再生側可変絞り)22、24、26の開度を調整する。具体的に、コントローラ37は、補充アクチュエータからの戻り油の圧力が優先アクチュエータからの戻り油の圧力と同等となるように、可変絞り22、24、26のうち、補充アクチュエータに接続された1つの開度を制御する。具体的に、コントローラ37は、可変絞り22、24、26の開度を次式(6)の開度A2に設定する。
【0048】
A2=Q2m÷(C0×√[ΔP])・・・(6)
ここで、C0は、流量係数である。また、ΔPは、補充アクチュエータからの戻り油の圧力から優先アクチュエータからの戻り油の圧力を減じたものである。
【0049】
また、コントローラ37は、補充アクチュエータから導出される戻り油のうち、前記補充流量(Q2m)の補充に供される戻り油以外の戻り油がタンクTに回収されるように、可変絞り(回収側可変絞り)23、25、27の開度を制御する。具体的に、コントローラ37は、可変絞り23、25、27の開度を次式(7)の開度A3に設定する。
【0050】
A3=(Q2−Q2m)÷(C0√P3)・・・(7)
ここで、P3は、補充アクチュエータからの戻り油の圧力である。
【0051】
以下、前記コントローラ37により実行される処理を図3を参照して説明する。
【0052】
コントローラ37による制御が実行されると、まず、図外の操作レバーにより回生対象となる操作(ブーム下げ及び/又は旋回減速)のための信号が入力されるのを待機する(ステップS1)。ここで、回生対象操作がされたと判定されると(ステップS1でYES)、再生可能流量Qm-maxを算出する(ステップS2)。
【0053】
次いで、再生対象となる油圧アクチュエータが複数であるか否か、つまり、ブーム下げと旋回減速の複合操作がなされたか否かが判定する(ステップS3)。ここで、再生対象となる油圧アクチュエータが1つであると判定されると(ステップS3でNo)、当該油圧アクチュエータからの戻り油を再生モータ16に供給するための制御を行う(ステップS4)。具体的に、ステップS4では、可変絞り22、24、26のうち再生対象となる油圧アクチュエータに接続されたものが、当該油圧アクチュエータから戻り油の流量に見合った開度に調整されるとともに、再生モータ16の容量が前記戻り油の流量に見合った容量に調整される。
【0054】
一方、再生対象となる油圧アクチュエータが複数であると判定されると(ステップS3でYES)、各油圧アクチュエータからの戻り油による期待動力を算出する(ステップS5)。そして、ステップS5で算出された期待動力の最も大きいものを導出している油圧アクチュエータを優先アクチュエータとして選択する(ステップS6)。
【0055】
次いで、ステップS2で算出された再生可能流量が優先アクチュエータの戻り油の流量よりも大きいか否かを判定する(ステップS7)。ここで、再生可能流量が優先アクチュエータの戻り油の流量よりも大きいと判定されると(ステップS7でYES)、優先アクチュエータの戻り油の圧力よりも高い圧力の戻り油を導出している補充アクチュエータが存在するか否かを判定する(ステップS8)。ここで、補充アクチュエータが存在していると判定されると(ステップS8でYES)、優先アクチュエータからの戻り油及び補充アクチュエータからの戻り油を再生するための処理が実行される(ステップS9)。具体的に、ステップS9では、可変絞り22、24、26のうちの優先アクチュエータに接続されたものの開度を全開に調整する。また、可変絞り22、24、26のうち補充アクチュエータに接続されたものの開度を前記A2(式(6)参照)に調整するとともに、可変絞り23、25、27のうち補充アクチュエータに接続されたものの開度を前記A3(式(7)参照)に調整する。さらに、ステップS9では、優先アクチュエータ及び補充アクチュエータから供給される戻り油の流量に見合うように再生モータ16の容量をqm(式(3)参照)に調整する。これらの処理によって、再生モータ16には、優先アクチュエータ及び補充アクチュエータからの戻り油が供給される。
【0056】
一方、前記ステップS7又はステップS8でNoと判定された場合、優先アクチュエータからの戻り油のみが再生モータ16に供給される。この処理は、前記ステップS4と同様であるため、説明を省略する。
【0057】
次に、上述のように油圧アクチュエータの期待動力の最も高いものを優先アクチュエータとして選択する(以下、高動力選択と称する)本実施形態の作用を図4を参照して説明する。なお、図4では、再生対象となる3つの油圧アクチュエータ#1〜#3が存在する場合(例えば、旋回モータ10及びブームシリンダ11に加えてアームシリンダ12が存在する場合)を例に挙げる。
【0058】
まず、サンプル1の場合において、本実施形態に係る高動力選択を行う場合、最も期待動力の高い油圧アクチュエータ#3が優先アクチュエータとして選択される。また、油圧アクチュエータ#1、#2の戻り油の圧力は、優先アクチュエータ#3よりも高い。そのため、油圧アクチュエータ#1、#2は、補充アクチュエータとして選択される。したがって、サンプル1の場合では、再生モータ16の再生可能流量に収まる範囲において、油圧アクチュエータ#1〜#3からの戻り油の全てを再生モータ16に供給可能である。
【0059】
一方、サンプル2の場合、最も期待動力の高い油圧アクチュエータ#2が優先アクチュエータとして選択される。また、優先アクチュエータ#2からの戻り油の圧力は、油圧アクチュエータ#1よりも小さく、かつ、油圧アクチュエータ#3よりも大きい。そのため、油圧アクチュエータ#1が補充アクチュエータとして選択されるとともに、油圧アクチュエータ#3からの戻り油は、廃棄される。したがって、サンプル2の場合では、再生モータ16の再生可能流量に収まる範囲において、油圧アクチュエータ#1、#2からの戻り油を再生モータ16に供給可能である。
【0060】
以上説明したように、前記実施形態では、優先アクチュエータよりも高圧の戻り油を導出している補充アクチュエータが存在する場合に、優先アクチュエータ及び補充アクチュエータの二次側の圧力が同等となるように可変絞り22、24、26の開度が制御される。これにより、優先アクチュエータからの戻り油だけでなく、これよりも高圧の補充アクチュエータからの戻り油を、可変絞り22、24、26により減圧された状態で再生モータに供給することができる。したがって、優先アクチュエータからの戻り油のみを再生する場合と比較して、複数の油圧アクチュエータの持つエネルギーを効率的に再生(回収)することができる。
【0061】
前記実施形態では、複数の油圧アクチュエータのうち期待動力(つまり、戻り油の圧力×流量)の大きなものが優先アクチュエータとして選択される。これにより、最大の動力を持つ油圧アクチュエータの戻り油を優先して再生することができる。したがって、油圧アクチュエータの持つエネルギーを効率的に再生することができる。
【0062】
前記実施形態では、再生可能流量が優先流量よりも大きい場合に、優先アクチュエータからの戻り油の全てを再生モータ16に供給するとともに、再生可能流量に不足する。これにより、優先アクチュエータからの戻り油の一部と、補充アクチュエータからの戻り油の一部とを合計して再生可能流量とする場合と比較して、各可変絞り22、24、26の開度の制御を簡素化することができる。
【0063】
前記実施形態では、補充アクチュエータから導出される余剰の戻り油が可変絞り23、25、27のうち補充アクチュエータに接続されたものを介してタンクTに回収される。そのため、優先アクチュエータ及び補充アクチュエータからの戻り油により再生可能流量の全て賄いながら、余剰の戻り油をタンクTに回収することができる。
【0064】
なお、前記実施形態では、複数の油圧アクチュエータのうち期待動力の最も高いものを優先アクチュエータとして選択したが、優先アクチュエータの選択方法は、これに限定されない。例えば、図5に示す実施形態のように、予め全ての油圧アクチュエータを仮定優先アクチュエータと仮定した場合における全ての再生可能動力を予め特定し、これらの再生可能動力の中から最も大きなものを得ることができる仮定優先アクチュエータを優先アクチュエータとして選択することができる。
【0065】
具体的に、本実施形態では、前記実施形態と同じステップS3までの処理を実行する。このステップS3で再生対象となる油圧アクチュエータが複数であると判定されると(ステップS3でYES)、これらの油圧アクチュエータを仮定優先アクチュエータと仮定した場合における再生可能動力をそれぞれ算出する(ステップS51)。
【0066】
ここで、再生対象となる3つの油圧アクチュエータA〜Cを有する場合を例に挙げてステップS51の処理の内容を説明する。ステップS51では、各油圧アクチュエータの戻り油の圧力の大小関係(ここでは、PA>PB>PCとする)を特定するとともに、次の(8)〜(10)の再生可能動力WA〜WCを算出する。
【0067】
WA=PA×QA・・・(8)
WB=PB×(QA×QB)・・・(9)
WC=PC×(QA×QB×QC)・・・(10)
ここで、PAは、油圧アクチュエータAからの戻り油の圧力であり、PBは、油圧アクチュエータBからの戻り油の圧力であり、PCは、油圧アクチュエータCからの戻り油の圧力である。また、QAは、油圧アクチュエータAからの戻り油の流量であり、QBは、油圧アクチュエータBからの戻り油の流量であり、QCは、油圧アクチュエータCからの戻り油の流量である。
【0068】
次いで、前記再生可能動力WA〜WCのうち、最大のものを特定し(ステップS52)、この最大の再生可能動力に対応する油圧アクチュエータを優先アクチュエータとして選択する(ステップS61)。つまり、ステップS61では、前記最大の再生可能動力が算出された場合における仮定優先アクチュエータが優先アクチュエータとして選択される。
【0069】
次に、上述のように再生可能動力WA〜WCのうちの最大のものに基づいて優先アクチュエータを選択する(以下、低損失選択と称する)本実施形態の作用を図4を参照して説明する。なお、図4では、再生対象となる3つの油圧アクチュエータ#1〜#3が存在する場合を例に挙げる。
【0070】
まず、サンプル1の場合、油圧アクチュエータ#1又は#2が優先アクチュエータとして選択されると、油圧アクチュエータ#3の高い動力が廃棄される。一方、油圧アクチュエータ#3が優先アクチュエータとして選択されると、全ての油圧アクチュエータ#1〜#3からの戻り油を再生モータ16に供給可能である。そのため、油圧アクチュエータ#3を仮定優先アクチュエータとして選択された場合の再生可能動力が最大となる。したがって、サンプル1の場合、前記実施形態に係る高動力選択と同様に、油圧アクチュエータ#3が優先アクチュエータとして選択される。
【0071】
同様に、サンプル2の場合、油圧アクチュエータ#1又は#2が優先アクチュエータとして選択されると、油圧アクチュエータ#3の動力が廃棄される。一方、油圧アクチュエータ#3が優先アクチュエータとして選択されると、全ての油圧アクチュエータ#1〜#3からの戻り油を再生モータ16に供給可能である。そのため、油圧アクチュエータ#3を仮定優先アクチュエータとして選択された場合の再生可能動力が最大となる。したがって、サンプル2の場合、前記実施形態に係る高動力選択の場合と異なり、油圧アクチュエータ#3が優先アクチュエータとして選択される。
【0072】
前記実施形態では、前記実施形態に係る高動力選択を行った場合と比較して以下の利点がある。
【0073】
前記実施形態に係る高動力選択の場合、優先アクチュエータよりも低圧の戻り油を導出している油圧アクチュエータの持つエネルギーは廃棄される。また、補充アクチュエータからの戻り油の圧力を優先アクチュエータからの戻り油の圧力まで降下させるための圧損に相当するエネルギーは、廃棄される。ここで、廃棄されるエネルギーが補充アクチュエータから補充されるエネルギーよりも大きい場合、他の油圧アクチュエータを優先アクチュエータとして選択した方が再生効率が高くなる可能性がある。そこで、前記実施形態では、全ての油圧アクチュエータを仮定優先アクチュエータと仮定した場合における全ての再生可能動力WA〜WCを予め特定し、これらの再生可能動力WA〜WCの中から最も大きな再生可能動力を得ることができる優先アクチュエータを選択する。これにより、複数の油圧アクチュエータの全てを優先アクチュエータとして選択する全ての組み合わせの中から最も再生効率の高い優先アクチュエータを選択することができる。
【0074】
なお、前記各実施形態では、優先アクチュエータからの戻り油を全量使い切った上で、補充アクチュエータからの戻り油を補充するように、絞り22、24、26の開度を制御しているが(図3のステップS9参照)、これに限定されない。例えば、優先アクチュエータからの戻り油を全量使い切らずに、優先アクチュエータからの戻り油の一部と、補充アクチュエータからの戻り油の一部とを再生モータ16に供給することもできる。
【符号の説明】
【0075】
R5 右側再生油路(再生油路の一部)
R6 右側回収油路(回収油路の一部)
R7 左側再生油路(再生油路の一部)
R8 左側回収油路(回収油路の一部)
R12 ヘッド側再生油路(再生油路の一部)
R13 ヘッド側回収油路(回収油路の一部)
R14 再生合流油路(再生油路の一部)
R16 回収合流油路(回収油路の一部)
T タンク
1 油圧ショベル(作業機械の一例)
2 下部走行体(支持体の一例)
3 上部旋回体
5 油圧制御装置
6 エンジン
6a 出力軸
7 ブーム
10 旋回モータ(油圧アクチュエータの一例)
11 ブームシリンダ(油圧アクチュエータの一例)
14、15 油圧ポンプ
16 再生モータ
19〜21 圧力センサ(圧力検出部の一例)
22、24、26 可変絞り(再生側可変絞りの一例)
23、25、27 可変絞り(回収側可変絞りの一例)
37 コントローラ(制御部の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧制御装置であって、
エンジンの出力軸が回転することにより駆動する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから作動油が供給されることにより作動するとともに、導出される戻り油が再生の対象となる複数の油圧アクチュエータと、
前記エンジンの出力軸が回転することにより回転駆動するとともに、作動油の供給に応じて前記エンジンの出力軸を回転させる再生モータと、
前記複数の油圧アクチュエータと前記再生モータとを接続するための複数の再生油路と、
前記複数の再生油路内の圧力をそれぞれ検出可能な複数の圧力検出部と、
前記複数の再生油路にそれぞれ設けられた複数の再生側可変絞りと、
前記再生側可変絞りの開度を制御可能な制御部とを備え、
前記制御部は、前記複数の油圧アクチュエータのうち戻り油を優先して再生する優先アクチュエータを選択するとともに、前記複数の圧力検出部による検出結果に基づいて、前記複数の油圧アクチュエータのうち前記優先アクチュエータの戻り油よりも高い圧力の戻り油を導出している少なくとも1つの補充アクチュエータが存在するか否かを判定し、前記少なくとも1つの補充アクチュエータが存在しないと判定した場合に、前記優先アクチュエータからの戻り油のみが前記再生モータに供給されるように前記複数の再生側可変絞りの開度を制御する一方、前記少なくとも1つの補充アクチュエータが存在する場合に、前記優先アクチュエータからの戻り油の前記再生側可変絞りの二次側の圧力と前記少なくとも1つの補充アクチュエータからの戻り油の前記再生側絞りの二次側の圧力とが同等となるように、前記優先アクチュエータ及び前記少なくとも1つの補充アクチュエータにそれぞれ接続された再生側可変絞りの開度を制御する、油圧制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の油圧アクチュエータの戻り油による期待動力をそれぞれ算出するとともに、前記複数の油圧アクチュエータのうち前記期待動力の最も高いものを前記優先アクチュエータとして選択する、請求項1に記載の油圧制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記複数の油圧アクチュエータのうちの1つを仮定優先アクチュエータであると仮定した場合における前記仮定優先アクチュエータの戻り油の圧力よりも高い圧力の戻り油を導出している仮定補充アクチュエータが存在するか否かを判定し、
前記仮定補充アクチュエータが存在しないと判定された場合には前記仮定優先アクチュエータの戻り油によりえられる再生可能動力を算出する一方、前記仮定補充アクチュエータが存在すると判定された場合には前記仮定優先アクチュエータの戻り油及び仮定補充アクチュエータの戻り油により得られる再生可能動力を算出し、
前記複数の油圧アクチュエータの全てが前記仮定優先アクチュエータと仮定される全ての場合について算出された前記再生可能動力のうち、前記再生可能動力が最も大きくなる場合における前記仮定優先アクチュエータを前記優先アクチュエータとして選択する、請求項1に記載の油圧制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記再生モータに供給可能な最大の流量である再生可能流量と前記優先アクチュエータからの戻り油の最大の流量である優先流量とを特定するとともに、前記再生可能流量が前記優先流量よりも大きいか否かを判定し、前記再生可能流量が前記優先流量よりも大きいと判定された場合に、前記優先アクチュエータに接続された再生側可変絞りの開度を全開にするとともに、前記再生可能流量から前記優先流量を減じた補充流量の戻り油が前記少なくとも1つの補充アクチュエータから前記再生モータに供給されるように、前記少なくとも1つの補充アクチュエータに接続された再生側可変絞りの開度を制御する、請求項2又は3に記載の油圧制御装置。
【請求項5】
前記複数の油圧アクチュエータとタンクとを接続するための複数の回収油路と、
前記複数の回収油路にそれぞれ設けられた複数の回収側可変絞りとをさらに備え、
前記制御部は、前記少なくとも1つの補充アクチュエータから導出される戻り油のうち、前記補充流量の補充に供される戻り油以外の戻り油が前記タンクに回収されるように、前記少なくとも1つの補充アクチュエータに接続された回収側可変絞りの開度を制御する、請求項4に記載の油圧制御装置。
【請求項6】
作業機械であって、
支持体と、
前記支持体に対して旋回可能に取り付けられた旋回体と、
前記旋回体に対して起伏可能に取り付けられたブームと、
前記支持体に対して前記旋回体を旋回駆動させるための旋回モータと、
前記旋回体に対して前記ブームを起伏動作させるためのブームシリンダと、
請求項1〜5の何れか1項に記載の油圧制御装置とを備え、
導出される戻り油が再生の対象となる複数の油圧アクチュエータには、前記旋回モータと、前記ブームシリンダとが含まれている、作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−87832(P2013−87832A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227750(P2011−227750)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】