説明

油圧拡大ヘッド制御装置

【課題】作業員の技量や経験如何にかかわらず、拡大球根部造成用の拡大穴を適正且つ容易に形成する。
【解決手段】作業員Mが、拡大掘削回数設定器18により、拡大掘削回数をN回と設定する。すると、拡大翼拡大量制御部20は、N回目の拡大掘削における最大拡大量をαとした場合に、第1段階での拡大量が(1/N)・α、第2段階での拡大量が(2/N)・α、第3段階での拡大量が(3/N)・α、第N段階での拡大量が(N/N)・α(=α)となるように、各段階での拡大量を演算して制御信号を油圧ユニット14に出力する。油圧ユニット14は、この制御信号に基づき拡大翼の拡大量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎杭の根固め用拡大球根部を造成するための拡大穴を形成する油圧拡大ヘッドに対して制御を行う油圧拡大ヘッド制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基礎杭を地中に建て込む場合、基礎杭とほぼ同じ径かそれよりもやや大きな径の穴を掘削機により形成していき、所定深度に達した後は基礎杭よりも大きな径を有する拡大穴が形成される。そして、この拡大穴にセメントミルクを注入して拡大球根部を造成し、その後建て込むべき基礎杭の下端部をセメントミルク凝固前の拡大球根部に差し込む。これにより基礎杭の下端部は拡大球根部により堅固に固定される。
【0003】
上記の拡大球根部造成用の拡大穴は、通常、アースオーガと呼ばれる掘削機の先端部に取り付けられる油圧拡大ヘッドによって形成される。この油圧拡大ヘッドは、拡大翼と呼ばれる穴掘削部材を有しており、所定深度まではこの拡大翼を拡大しない状態で掘削動作を行い、所定深度に達した後は拡大翼を拡大した状態で掘削動作を行って拡大穴を形成する。そして、近時はこのような拡大穴の形成過程をディスプレイ上に表示する技術も提案されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−240284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、油圧拡大ヘッドにより上記の拡大穴を形成する場合、拡大翼の拡大量をいきなり最大値としたのでは掘削負荷が過大となって掘削不可能となり、この状態で無理に掘削を継続しようとすると機器が損傷する虞がある。そのため、作業員(又はオペレータ)は、通常、拡大翼の拡大量を当初は小さくした状態で掘削を行い、拡大量を手動操作によって次第に大きくしながら拡大穴の穴径を目標値まで拡大させるようにしている。
【0005】
そして、作業員は拡大穴の掘削中は常時油圧拡大ヘッドの稼働状態に注意を払い、振動の大きさやモータ音の変化などから掘削負荷の変動状態を察知して、拡大翼の拡大量を適切に調整する必要がある。したがって、作業員が油圧拡大ヘッドにより拡大穴を適正に形成するためには高度な技量と長年の経験が要求され、経験の浅い作業員の場合には多くの作業時間を要するばかりか、必要な仕様を満足する拡大穴が得られない結果ともなりかねない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、作業員の技量や経験如何にかかわらず、拡大球根部造成用の拡大穴を適正且つ容易に形成することができる油圧拡大ヘッド制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明は、掘削機先端部に取り付けられて地中を掘削していき、所定深度に達した後は拡大翼を拡大した状態の拡大掘削により拡大球根部造成用の拡大穴を形成する油圧拡大ヘッドに対して制御を行う油圧拡大ヘッド制御装置において、前記拡大掘削を複数回に分けて行うことにより前記拡大穴径を目標値まで段階的に拡大していく場合の拡大掘削回数を設定するための拡大掘削回数設定手段と、前記拡大掘削回数設定手段により設定された拡大掘削回数に応じて前記拡大翼の各段階での拡大量を制御する拡大翼拡大量制御手段と、前記油圧拡大ヘッドの深度位置、及び前記拡大翼の拡大量に基づき、前記拡大穴の形成情況を模式的に表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記拡大翼は、ある段階の拡大掘削が終了した時点での拡大穴下端位置又は上端位置で次段階の拡大量まで拡大された後、そのまま拡大穴上端位置又は下端位置に向かって次段階の拡大掘削を行うものである、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記拡大翼は、ある段階の拡大掘削が拡大穴下端位置で終了した後、そのまま拡大穴上端位置まで引き上げられ、この上端位置で次段階の拡大量まで拡大された後、拡大穴下端位置に向かって次段階の拡大掘削を行うものである、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記拡大掘削が行われている間に前記拡大翼拡大量制御手段が制御する拡大量を手動操作により強制的に調整するための拡大量操作スイッチ、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記拡大翼は、油圧シリンダに収納され水平方向に伸縮動作を行う水平直動式のもの、又は、リンク部材に支持され垂直方向姿勢と水平方向姿勢との間で姿勢を変化させて開閉動作を行うリンク式のものである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、通常掘削が終了した時点で、作業員が拡大掘削回数設定手段により拡大穴の拡大掘削回数を設定すれば、拡大翼拡大量制御手段が各段階での拡大翼の拡大量を自動的に演算して制御するようになっており、また、作業員は模式的に表示される拡大穴の形成情況を表示手段により確認しながら拡大掘削作業を進めることができるようになっているので、作業員の技量や経験如何にかかわらず、拡大球根部造成用の拡大穴を適正且つ容易に形成することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図2は、本発明の実施形態に係る油圧拡大ヘッド制御装置を備えた杭打ち設備全体の構成を示す説明図である。この図において、掘削機であるアースオーガ1は、スパイラル状のスクリュー部材を有するオーガスクリュー2と、オーガスクリュー2を地盤に対して進退動させる掘進機構3と、オーガスクリュー2の先端部に取り付けられた油圧拡大ヘッド4とを備えている。
【0014】
油圧拡大ヘッド4は、先端掘削ヘッド部5と、この先端掘削ヘッド部5のやや上部に配設された拡大翼6とを有している。図示の状態は、拡大翼6が拡大された状態を示すものであり、この拡大翼6の掘削により形成される拡大穴8は先端掘削ヘッド部5の掘削により形成される穴7よりも径が大きなものとなっている。なお、本明細書では、拡大された状態での拡大翼6の掘削動作を「拡大掘削」と呼び、先端掘削ヘッド部5の掘削と区別することにする。
【0015】
作業員Mにより操作されるベースマシン9は支持部材10を有しており、この支持部材10にリーダ11が支持されている。リーダ11にはガイドレール12が固着されており、このガイドレール12に沿って掘進機構3は進退動すなわち上下動するようになっている。
【0016】
ベースマシン9には制御盤13及び油圧ユニット14が搭載されており、これらから延びるケーブル15及び油圧配管16が掘進機構3内に配設された各種機器又は部材に接続されている。例えば、掘進機構3内にはオーガスクリュー2を回転駆動する駆動モータが配設されており、この駆動モータは制御盤13からケーブル15を介して出力される電力及び制御信号により運転制御されるようになっている。また、油圧ユニット14から延びる油圧配管16は掘進機構3を介して更に油圧拡大ヘッド4まで延びており、油圧ユニット14の油圧制御により拡大翼6の拡大量が制御されるようになっている。作業員Mは、運転席に設けられている操作盤17の操作により、これら制御盤13及び油圧ユニット14の動作を制御できるようになっている。
【0017】
図3は、図2における拡大翼6の2つのタイプの外観形状を示す説明図であり、(a)は「水平直動式拡大翼」を示す斜視図、(b)は「リンク式拡大翼」を示す正面図である。本発明に係る装置では、いずれのタイプの拡大翼であってもよい。
【0018】
図3(a)において、一対の油圧シリンダ61,61が互いに逆向きに配置されており、各油圧シリンダ61には先端に爪部62が固着された拡大翼6が収納されるようになっている。そして、各油圧シリンダ61に対する油圧制御により、拡大翼6を矢印で示す水平方向に伸縮動作させることが可能となっている。
【0019】
また、図3(b)において、先端に爪部62Aが設けられている一対の拡大翼6A,6Aは油圧シリンダ63に取り付けられたリンク部材64に支持されている。そして、油圧シリンダ63に対する油圧制御により、矢印で示すように、拡大翼6A,6Aを垂直方向姿勢(拡大量ゼロ)と水平方向姿勢(拡大量最大)との間で開閉動作させることが可能になっている。
【0020】
図1は、本発明に係る油圧拡大ヘッド制御装置の構成を示すブロック図である。操作盤17内には、作業員Mが設定及び操作を行う拡大掘削回数設定器18及び拡大量操作スイッチ19が設けられており、これらからの設定信号及び操作信号は制御盤13内に設けられている拡大翼拡大量制御部20に出力されるようになっている。また、拡大翼拡大量制御部20には、深度計(図示せず)から油圧拡大ヘッドの深度位置を示すデータが入力されるようになっている。
【0021】
そして、拡大翼拡大量制御部20からの制御信号は油圧ユニット14に出力され、油圧ユニット14はこの制御信号に基づき油圧拡大ヘッド4の拡大翼6の拡大量を制御するようになっている。
【0022】
拡大翼拡大量制御部20は、拡大量を示すデータを表示装置21に出力するようになっている。表示装置21は、また、深度計(図示せず)から油圧拡大ヘッドの深度位置を示すデータを入力するようになっており、これら深度位置及び拡大量に基づき拡大穴8の形成情況を画面上に模式的に表示するようになっている。
【0023】
本発明では、先端掘削ヘッド部5の掘削により形成された穴7の径を、拡大翼6の拡大掘削により拡大穴8の径を目標値まで拡大して形成しようとする場合に、この拡大掘削をN回(N:2以上の整数)に分けて行うことを前提としている。拡大掘削回数設定器18は、作業員Mの操作により設定されたこの拡大掘削回数の値であるNを拡大翼拡大量制御部20に出力するものである。
【0024】
そして、拡大翼拡大量制御部20は、N回目の拡大掘削における最大拡大量をαとした場合に、第1段階での拡大量が(1/N)・α、第2段階での拡大量が(2/N)・α、第3段階での拡大量が(3/N)・α、第N段階での拡大量が(N/N)・α(=α)となるように、各段階での拡大量を演算して制御信号を油圧ユニット14に出力する。
【0025】
但し、拡大掘削の作業中に掘削負荷が異常に大きくなった場合等にそのままの拡大量で拡大掘削を継続したのでは油圧拡大ヘッド4やその他の機器を損傷するおそれがある。拡大量操作スイッチ19は、このような場合に作業員Mが手動操作により拡大量を強制的に調整するものである。そして、拡大翼拡大量制御部20は、この拡大量操作スイッチ19からの操作信号を入力した場合は、この操作信号の入力に基づき拡大量の制御を行うようにする。したがって、作業員Mは地中の障害物に拡大翼6がぶつかった場合等などは、現場の状況に応じて拡大量を直ちに変化させることにより油圧拡大ヘッド4やその他の機器が損傷するのを回避することができる。
【0026】
図4は、本実施形態における掘削作業についてのフローチャートであり、図5は、表示装置21の画面に表示される拡大穴の形成過程を示した説明図である。なお、図5(a)〜図5(i)において、点線部分は目標とする拡大穴の形状、実線部分は現在時点で形成済みの穴形状、一点鎖線の水平ラインは先端掘削ヘッド部5の位置、縦軸上に付された数値は深度(m)をそれぞれ表している。
【0027】
次に、これらの図を参照しつつ、作業員Mが本実施形態に係る油圧拡大ヘッド制御装置を用いて行う掘削作業について具体的に説明していく。但し、以下の例では、拡大掘削回数Nの値をN=3の場合にして説明する。
【0028】
作業員Mは、当初は拡大翼6の拡大量をゼロにして先端掘削ヘッド部5のみで通常掘削を行い(ステップ1、図5(a)参照)、先端掘削ヘッド部5が所定深度つまり予め設定されている目標深度(この例では13.7mとする)に到達したか否かを表示装置21の画面を見ながら判断している(ステップ2)。そして、目標深度に到達していなければそのまま通常掘削を継続する。
【0029】
その後、目標深度に到達し通常掘削が完了したならば(図5(b)参照)、作業員Mは、油圧拡大ヘッド4を上方の所定位置(この例では10.7mとする)まで引き上げ(図5(c)参照)、その位置で一旦運転を停止する。そして、拡大掘削回数設定器18により拡大掘削回数Nを3回に設定する(ステップ3)。
【0030】
拡大掘削回数が3回に設定されると、拡大翼拡大量制御部20は第1段階での拡大量を(1/3)・αとする制御信号を油圧ユニット14に出力し、油圧ユニット14は、この制御信号に基づき油圧拡大ヘッド4の拡大翼6を(1/3)・αだけ拡大させる(ステップ4、図5(d)参照)。そして、作業員Mは、先端掘削ヘッド部5が目標深度に下降するまで、この拡大量で第1段階での拡大掘削を油圧拡大ヘッド4に行わせる(ステップ5、図5(e)参照)。
【0031】
先端掘削ヘッド部5が目標深度まで下降し第1段階の拡大掘削が終了した時点で、作業員Mは一旦運転を停止する。すると、拡大翼拡大量制御部20は油圧拡大ヘッド4の深度位置に基づき、先に設定した拡大掘削回数である3回が終了したか否かを判断する(ステップ6)。この場合は勿論未だ終了していないので判断結果は「NO」となる。
【0032】
したがって、拡大翼拡大量制御部20は、次に、第2段階での拡大量を(2/3)・αとする制御信号を油圧ユニット14に出力し、油圧ユニット14は、この制御信号に基づき油圧拡大ヘッド4の拡大翼6を(2/3)・αだけ拡大させる(ステップ4、図5(f)参照)。そして、作業員Mは、先端掘削ヘッド部5が所定位置(10.7m)に上昇するまで、この拡大量で第2段階での拡大掘削を油圧拡大ヘッド4に行わせる(ステップ5、図5(g)参照)。
【0033】
先端掘削ヘッド部5が所定位置まで上昇し第2段階の拡大掘削が終了した時点で、作業員Mは一旦運転を停止する。すると、拡大翼拡大量制御部20は、再び油圧拡大ヘッド4の深度位置に基づき、先に設定した拡大掘削回数である3回が終了したか否かを判断する(ステップ6)。この場合も未だ終了していないので判断結果は「NO」となる。
【0034】
したがって、拡大翼拡大量制御部20は、次に、第3段階での拡大量を(3/3)・α=αとする制御信号を油圧ユニット14に出力し、油圧ユニット14は、この制御信号に基づき油圧拡大ヘッド4の拡大翼6をαだけ拡大させる(ステップ4、図5(h)参照)。そして、作業員Mは、先端掘削ヘッド部5が目標深度(13.7m)に下降するまで、この拡大量で第3段階での拡大掘削を油圧拡大ヘッド4に行わせる(ステップ5、図5(i)参照)。
【0035】
先端掘削ヘッド部5が目標深度まで下降し第3段階の拡大掘削が終了した時点で、作業員Mはこれまでと同様に運転を停止する。拡大翼拡大量制御部20は油圧拡大ヘッド4の深度位置に基づき、先に設定した拡大掘削回数である3回が終了したか否かを判断するが(ステップ6)、今回は判断結果が「YES」となり掘削作業が終了する。そして、この後、セメントミルクの拡大穴への注入など次工程の作業が行われることになる。
【0036】
上述したように、本実施形態の油圧拡大ヘッド制御装置によれば、拡大翼6を用いない先端掘削ヘッド部5のみによる通常掘削が終了した時点で、作業員Mが拡大掘削回数設定器18により拡大掘削回数Nを設定すれば、拡大翼拡大量制御部20が各段階での拡大翼6の拡大量を自動的に演算して油圧ユニット14を制御するようになっており、また、作業員Mは模式的に表示される拡大穴の形成情況を表示装置21により確認しながら拡大掘削作業を進めることができるようになっているので、作業員Mの技量や経験如何にかかわらず、拡大球根部造成用の拡大穴を適正且つ容易に形成することが可能になる。
【0037】
なお、上述した例では、図5(f),(g)に示したように、第1段階の拡大掘削が終了した時点での拡大穴下端位置で第2段階の拡大量まで拡大翼6が拡大された後、そのまま拡大穴上端位置に向かって第2段階の拡大掘削を行っており、同様に、図5(h),(i)に示したように、第2段階の拡大掘削が終了した時点での拡大穴上端位置で第3段階の拡大量まで拡大翼6が拡大された後、そのまま拡大穴下端位置に向かって第3段階の拡大掘削を行っている。
【0038】
しかし、拡大翼6を次段階の拡大量まで拡大する位置は上記の例に限定されるわけではない。例えば、拡大翼6の拡大位置を常に拡大穴上端位置と決め、拡大翼6が下降する場合のみ拡大掘削を行わせるようにしてもよい。
【0039】
すなわち、第1段階の拡大掘削が拡大穴下端位置で終了したら、そのまま拡大穴上端位置まで拡大翼6を引き上げるようにし、この上端位置で第2段階の拡大量まで拡大翼6を拡大し、その後で拡大穴下端位置に向かって拡大翼6に第2段階の拡大掘削を行わせるようにしてもよい。同様にして、第2段階の拡大掘削が拡大穴下端位置で終了したら、そのまま拡大穴上端位置まで拡大翼6を引き上げるようにし、この上端位置で第3段階の拡大量まで拡大翼6を拡大し、その後で拡大穴下端位置に向かって拡大翼6に第3段階の拡大掘削を行わせるようにしてもよい。
【0040】
また、上述した例では、図5(c),(d)に示したように、通常掘削から拡大掘削に移行する際は、作業現場の慣行に従って、一旦拡大翼6を拡大穴下端位置から拡大穴上端位置まで引き上げてから拡大掘削を行うようにしている。これについても、通常掘削が拡大穴下端位置で終了したら、その位置で拡大翼6を第1段階の拡大量まで拡大した後、拡大穴上端位置に向かって第1段階の拡大掘削を行わせるようにすることも可能である。
【0041】
更に、上述した例では、第1段階での拡大量を(1/3)・α、第2段階での拡大量を(2/3)・α、第3段階での拡大量を(3/3)・α(=α)というように、一定の割合で拡大量を増加しているが、初期段階付近での拡大量増加分や最終段階付近での拡大量増加分に変化を持たせるようにしてもよい。これにより、土質やその他の各種条件に応じてきめ細かい拡大掘削を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る油圧拡大ヘッド制御装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係る油圧拡大ヘッド制御装置を備えた杭打ち設備全体の構成を示す説明図。
【図3】図2における拡大翼6の2つのタイプの外観形状を示す説明図であり、(a)は「水平直動式拡大翼」を示す斜視図、(b)は「リンク式拡大翼」を示す正面図。
【図4】本実施形態における掘削作業についてのフローチャート。
【図5】図1における表示装置21の画面に表示される拡大穴の形成過程を示した説明図。
【符号の説明】
【0043】
1 アースオーガ(掘削機)
2 オーガスクリュー
3 掘進機構
4 油圧拡大ヘッド
5 先端掘削ヘッド部
6,6A 拡大翼
61 油圧シリンダ
62,62A 爪部
63 油圧シリンダ
64 リンク部材
7 穴
8 拡大穴
9 ベースマシン
10 支持部材
11 リーダ
12 ガイドレール
13 制御盤
14 油圧ユニット
15 ケーブル
16 油圧配管
17 操作盤
18 拡大掘削回数設定器
19 拡大量操作スイッチ
20 拡大翼拡大量制御部
21 表示装置
M 作業員
N 拡大掘削回数
α 最大拡大量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削機先端部に取り付けられて地中を掘削していき、所定深度に達した後は拡大翼を拡大した状態の拡大掘削により拡大球根部造成用の拡大穴を形成する油圧拡大ヘッドに対して制御を行う油圧拡大ヘッド制御装置において、
前記拡大掘削を複数回に分けて行うことにより前記拡大穴径を目標値まで段階的に拡大していく場合の拡大掘削回数を設定するための拡大掘削回数設定手段と、
前記拡大掘削回数設定手段により設定された拡大掘削回数に応じて前記拡大翼の各段階での拡大量を制御する拡大翼拡大量制御手段と、
前記油圧拡大ヘッドの深度位置、及び前記拡大翼の拡大量に基づき、前記拡大穴の形成情況を模式的に表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする油圧拡大ヘッド制御装置。
【請求項2】
前記拡大翼は、ある段階の拡大掘削が終了した時点での拡大穴下端位置又は上端位置で次段階の拡大量まで拡大された後、そのまま拡大穴上端位置又は下端位置に向かって次段階の拡大掘削を行うものである、
ことを特徴とする請求項1記載の油圧拡大ヘッド制御装置。
【請求項3】
前記拡大翼は、ある段階の拡大掘削が拡大穴下端位置で終了した後、そのまま拡大穴上端位置まで引き上げられ、この上端位置で次段階の拡大量まで拡大された後、拡大穴下端位置に向かって次段階の拡大掘削を行うものである、
ことを特徴とする請求項1記載の油圧拡大ヘッド制御装置。
【請求項4】
前記拡大掘削が行われている間に前記拡大翼拡大量制御手段が制御する拡大量を手動操作により強制的に調整するための拡大量操作スイッチ、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の油圧拡大ヘッド制御装置。
【請求項5】
前記拡大翼は、油圧シリンダに収納され水平方向に伸縮動作を行う水平直動式のもの、又は、リンク部材に支持され垂直方向姿勢と水平方向姿勢との間で姿勢を変化させて開閉動作を行うリンク式のものである、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の油圧拡大ヘッド制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−186948(P2007−186948A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−7242(P2006−7242)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(597058664)株式会社トーヨーアサノ (24)
【出願人】(000177416)三和機材株式会社 (144)
【Fターム(参考)】