説明

油圧破砕機

【課題】作業機のアーム先端部に取り付けられる油圧破砕機において、油圧ホースの損傷を抑えるとともに油圧ホースの交換を容易にする。
【解決手段】破砕アーム11,11と、長手方向に延びる空洞部65を有する破砕機本体部5と、油圧シリンダ3,3とを備えた油圧破砕機1である。基端側口金7a,…が破砕機本体部5のポートに接続され、空洞部65内で長手方向先端側に延びる4本の第1油圧ホース7,17,…と、基端側口金9a,…が各油圧シリンダ3,3のポートに接続され、湾曲しながら空洞部65内に入り長手方向先端側に延びる4本の第2油圧ホース9,19,…と、各第1油圧ホース7,17,…の先端部と各第2油圧ホース9,19,…の先端部とを接続する、長手方向に移動自在な中継手段(クランプ31,先端側コネクタ41b,51b,…及び第2油圧ホース9,19,…の先端側口金)とをさらに備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機のアーム先端部に取り付けられ、建造部の解体等に用いられる油圧破砕機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、油圧ショベルのアーム先端部に取り付けられた大型ブレーカーや油圧破砕機を用いて、コンクリート構造物等の解体作業を行うことが知られている。取り分け、市街地等における解体作業では、大型ブレーカーに比べて粉塵、振動及び騒音対策に優れている油圧破砕機が用いられることが多い。
【0003】
油圧破砕機は、通常、被破砕物を破砕するための一対の破砕アームと、先端部で破砕アームを枢軸を介して開閉回動自在に支持する破砕機本体部と、破砕機本体部の基端部及び各破砕アームとそれぞれ枢軸を介して回動自在に連結される一対の油圧シリンダとを備えている。また、破砕機本体部の基端部のポートと油圧シリンダの基端部のポートとを接続する油圧ホースは、飛散した破砕殻の衝突による損傷を避けるために、破砕機本体部の先端部と基端部との間に形成されるとともにカバープレートで囲まれた空洞部に、その大部分が収められている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
上記のように構成された油圧破砕機では、油圧シリンダのピストンロッドがシリンダ本体内に収まると破砕アームが開き、当該ピストンロッドが当該シリンダ本体部外に延出すると破砕アームが閉じるようになっている。そして、開いた状態の破砕アームに挟まれたコンクリート構造物等は、破砕アームが閉じることによって圧砕される。
【特許文献1】特開2004−68393号公報
【特許文献2】特開2008−18364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載された従来の油圧破砕機には以下のような問題がある。すなわち、作業機のアーム先端部に取り付けられる油圧破砕機は非常にコンパクトであることから、破砕機本体部のポートと油圧シリンダのポートとを1本の油圧ホースで直接接続する構成では、油圧ホースが破砕機本体部の空洞部内において小さい曲げ半径で曲げられることになり、当該油圧ホースが損傷するという問題がある。
【0006】
また、油圧ホースは、コンパクトな破砕機本体部の空洞部内に窮屈な状態で収納されているため、損傷した油圧ホースの交換が困難になるという問題がある。
【0007】
このような問題を解決するために、破砕機本体部の空洞部内を有効に活用した図8に示すような油圧破砕機が考えられる。なお、図8では、図を見易くするために、破砕機本体部105を構成するフレーム部及びカバー部材の一部を図示省略している。
【0008】
この油圧破砕機101では、破砕機本体部105と油圧シリンダ103とを接続する油圧ホースを、破砕機本体部105のポート(図示せず)に接続される第1油圧ホース107,117,127,137と油圧シリンダ103のポート(図示せず)に接続される第2油圧ホース109,119,129,139とに分けるとともに、破砕機本体部105の空洞部165内の先端側に中継ブロック131を設け、当該中継ブロック131を介して各第1油圧ホース107,117,…の先端部と各第2油圧ホース109,119,…の先端部とを接続するようにしている。
【0009】
この油圧破砕機101によれば、破砕機本体部105と油圧シリンダ103とを接続する油圧ホースが、第1油圧ホース107,117,…と第2油圧ホース109,119,…とに分けられているので、油圧ホース107,109,…の交換が容易となるのみならず、これに加えて第1油圧ホース107,117,…の先端部と第2油圧ホース109,119,…の先端部とが中継ブロック131を介して接続されているので、両油圧ホース107,109,…を小さい曲げ半径で曲げる必要がなく当該両油圧ホース107,109,…の損傷を抑えることができる。
【0010】
さらに、第1油圧ホース107,117,…は両端が固定されているため破砕アーム111の開閉に拘わらず不動であることから、第2油圧ホース109,119,…の長さを、当該第2油圧ホース109,119,…が第1油圧ホース107,117,…と干渉しないような長さに、具体的には、破砕アーム111が閉じた際にも弛んで湾曲しないような長さに調整しておけば、油圧ホース107,109,…同士が擦れ合って損傷するのを抑えることができる。
【0011】
しかしながら、破砕機本体部105の先端部に中継ブロック131を設けた上記油圧破砕機101では、以下のような新たな問題が生じる。すなわち、第2油圧ホース109,119,…の長さを破砕アーム111が閉じた際にも弛んで湾曲しないような長さに制限しているため、破砕アーム111が閉じた際、すなわち油圧シリンダ103が末広がりに開いた際に、第2油圧ホース109,119,…が引っ張られて油圧シリンダ103と中継ブロック131との間で突っ張った状態となり、損傷し易くなるという問題がある。
【0012】
また、第2油圧ホース109,119,…はその両端が固定された状態となっていることから可撓性が小さいため、油圧シリンダ103が縮んだ(不図示のピストンロッドを収容するようにシリンダ本体部113が基端側へ移動した)際、シリンダ本体部113とピストンロッドに接続される第2油圧ホース109,119,…との間に破砕殻等が挟まれやすくなり、第2油圧ホース109,119,…が損傷するおそれがある。
【0013】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、作業機のアーム先端部に取り付けられる油圧破砕機において、油圧ホースの損傷を抑えるとともに油圧ホースの交換を容易にする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために本発明では、破砕機本体部のポートに接続される第1油圧ホースと油圧シリンダのポートに接続される第2油圧ホースとを、破砕機本体部の空洞部内に設けられた中継手段を介して接続することにより、油圧ホースが極端に小さな曲げ半径で曲げられるのを回避するとともに、当該中継手段を長手方向に移動自在とすることにより、油圧ホースの可撓性を維持するようにしている。
【0015】
第1の発明は、作業機のアーム先端部に着脱可能に取り付けられる油圧破砕機であって、被破砕物を挟圧破砕するための一対の破砕アームと、基端部で上記作業機のアーム先端部に取り付けられる一方、先端部で上記破砕アームを枢軸を介して開閉回動自在に支持するとともに、当該先端部と当該基端部との間で当該先端部と当該基端部とを結ぶ方向である長手方向に延びる空洞部を有する破砕機本体部と、基端部が上記空洞部外で上記破砕機本体部の基端部と枢軸を介して回動自在にそれぞれ連結されるとともに先端部が上記各破砕アームと枢軸を介して回動自在にそれぞれ連結される一対の油圧シリンダと、基端側の口金が上記破砕機本体部の基端部に設けられたポートに接続され、上記空洞部内で長手方向先端側に延びる複数の第1油圧ホースと、基端側の口金が上記油圧シリンダの基端部に設けられたポートに接続され、湾曲しながら上記空洞部内に入り長手方向先端側に延びる複数の第2油圧ホースと、上記各第1油圧ホースの先端部と上記各第2油圧ホースの先端部とを接続する、上記空洞部内で長手方向に移動自在な中継手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0016】
第1の発明によれば、破砕機本体部と油圧シリンダとを接続する油圧ホースを、破砕機本体部の基端部に設けられたポートに接続される第1油圧ホースと、油圧シリンダの基端部に設けられたポートに接続される第2油圧ホースとに分け、中継手段を介して第1油圧ホースの先端部と第2油圧ホースの先端部とを接続しているので、所定の最小曲げ半径以下の無理な曲げ半径で両油圧ホースを曲げる必要がないことから、第1及び第2油圧ホースが損傷するのを抑えることができる。
【0017】
また、油圧シリンダが末広がりに開くと、第2油圧ホースが油圧シリンダの動きに追従して当該油圧シリンダの開く方向に引っ張られるが、第2油圧ホースは湾曲しながら破砕機本体部の空洞部内に入り長手方向先端側に延びているので、第2油圧ホースを油圧シリンダの開く方向に引っ張る力は、当該第2油圧ホースを長手方向基端側に引っ張る力に変換される。ここで、第2油圧ホースは、空洞部内で長手方向に移動自在な中継手段に接続されているので、長手方向基端側に引っ張られても、第2油圧ホースが油圧シリンダと中継手段との間で突っ張った状態となることはない。
【0018】
さらに、第2油圧ホースはその先端部が長手方向に移動自在な中継手段に接続されていて可撓性が維持されていることから、油圧シリンダが縮んだ際、当該油圧シリンダとこれに接続される第2油圧ホースとの間に破砕殻等が挟まれ難くなる。また、仮に油圧シリンダと第2油圧ホースとの間に破砕殻等が挟まれても、第2油圧ホースはその可撓性により、損傷し難くなっている。
【0019】
さらに、油圧シリンダのポートに接続される第2油圧ホースは、破砕機本体部のポートに接続される第1油圧ホースに比して損傷頻度が高いが、第2油圧ホースはその先端部が長手方向に移動自在な中継手段に接続されているので、当該第2油圧ホースの交換が容易となる。
【0020】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記中継手段は、上記複数の第2油圧ホースの先端部を上記複数の第1油圧ホースの先端部から所定間隔離間させるように、当該複数の第2油圧ホースの先端部及び/又は先端部近傍を結束していることを特徴とするものである。
【0021】
ところで、上記特許文献1及び2に記載された従来の油圧破砕機では、一対の油圧シリンダが一対の破砕アームの開閉に伴って、破砕機本体部の枢軸を中心として互いに対称に回動するため、両油圧シリンダに接続された各油圧ホースが当該両油圧シリンダに追従するように動き、互いに擦れ合って損傷するおそれがある。
【0022】
ここで、第2の発明によれば、中継手段は、複数の第2油圧ホースの先端部を複数の第1油圧ホースの先端部から所定間隔離間させるように、当該複数の第2油圧ホースの先端部及び/又は先端部近傍を結束していることから、油圧シリンダの動きに伴う各第2油圧ホースの不規則な動きが抑えられる。すなわち、油圧シリンダによって引っ張られる第2油圧ホースの動きが当該中継手段によって規制される。
【0023】
また、中継手段自体も傾くことなく長手方向基端側に移動するので、当該中継手段に接続されている複数の第1油圧ホースが極端に曲がったり、捩れたりすることなく、均等に撓むことになる。これらにより、第1油圧ホースと第2油圧ホースとの過度の接近が抑えられ、第1油圧ホースと第2油圧ホースとが互いに擦れ合って損傷するのを抑制することができる。
【0024】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記中継手段は、上記複数の第2油圧ホースを互いに離間させるように、上記各第2油圧ホースの先端部及び/又は先端部近傍を結束していることを特徴とするものである。
【0025】
第3の発明によれば、中継手段は、複数の第2油圧ホースを互いに離間させるように、各第2油圧ホースの先端部及び/又は先端部近傍を束ねているので、一対の破砕アームの開閉に伴う第2油圧ホース同士の接触及び離間の繰り返しにより当該第2油圧ホースが損傷するのを抑えることができる。
【0026】
第4の発明は、上記第1〜第3のいずれか1つの発明において、上記中継手段は、上記破砕機本体部と非接続状態で設けられていることを特徴とするものである。
【0027】
第4の発明によれば、中継手段は、破砕機本体部と非接続状態で設けられているので、例えば、破砕アームと被破砕物との衝突による衝撃が直接中継手段に伝わるのを抑えることができる。また、万が一、破砕殻が破砕機本体部の空洞部を構成する部材に当たり、当該部材が損傷した場合にも、中継手段の損傷を回避し易い。これらにより、中継手段の破損が抑制され、油圧ホースの損傷をより一層抑えることができる。
【0028】
第5の発明は、上記第1〜第4のいずれか1つの発明において、上記各第1油圧ホースの先端側の口金は、上記中継手段に対し回動可能に連結されていることを特徴とするものである。
【0029】
第5の発明によれば、第1油圧ホースの先端側の口金は、中継手段に対し回動可能に連結されているので、当該第1油圧ホースが捩れるのを抑えることができる。これにより、破砕アームの開閉、すなわち、長手方向における中継手段の移動が繰り返し行われても、第1油圧ホースが損傷するのを確実に抑制することができる。
【0030】
第6の発明は、上記第1〜第5のいずれか1つの発明において、上記中継手段は、上記各第2油圧ホースの先端側のエルボ形状の口金と、当該口金及び/又は口金近傍部を束ねるクランプと、当該口金が長手方向と直交する方向から接続される一方、上記第1油圧ホースの先端側の口金が長手方向基端側から接続されるコネクタとからなることを特徴とするものである。
【0031】
第6の発明によれば、中継手段は、第2油圧ホースの先端側のエルボ形状の口金、当該口金及び/又は口金近傍部を束ねるクランプ、及びエルボ形状の貫通孔を有するコネクタといった汎用部品で構成されているので、当該中継手段を簡単且つ安価で実現することができる。
【0032】
第7の発明は、上記第6の発明において、上記クランプには、長手方向と直交する平面上で互いに離間し、且つ、長手方向に延びる複数の貫通孔が形成されており、上記各第2油圧ホースの口金及び/又は口金近傍部は、上記各貫通孔に嵌装されていることを特徴とするものである。
【0033】
第7の発明によれば、簡単な構造のクランプで、第2油圧ホースの口金及び/又は口金近傍部を束ねることができ、特に、上記第3の発明に当該クランプを適用すれば、複数の第2油圧ホースの先端部を複数の第1油圧ホースの先端部から所定間隔離間させるとともに当該複数の第2油圧ホース同士も離間させることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る油圧破砕機によれば、油圧ホースを第1油圧ホースと第2油圧ホースとに分け、中継手段を介して第1油圧ホースの先端部と第2油圧ホースの先端部とを接続しているので、無理な曲げ半径で第1及び第2油圧ホースを曲げる必要がない。また、中継手段は、空洞部内で長手方向に移動自在になっているので、第2油圧ホースが油圧シリンダと中継手段との間で突っ張った状態になり難く、且つ縮んだ油圧シリンダと第2油圧ホースとの間に破砕殻等が挟まれ難くなるとともに、損傷頻度の高い油圧シリンダのポートに接続される第2油圧ホースの交換が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0036】
図1は、油圧ショベルに取り付けられた油圧破砕機を示し、図2は、破砕アームが開いた状態の油圧破砕機の正面図を示し、図3は、破砕アームが閉じた状態の油圧破砕機の正面図を示し、図4は、破砕アームが閉じた状態の油圧破砕機の側面図を示し、図5は、図2のV−V線の矢視図を示す。なお、図2〜図4では、図を見易くするためにカバープレート55の一部及び取付ブラケット25を図示省略しており、図4では破砕アーム11の一部及び油圧シリンダ3を図示省略している。
【0037】
図1に示すように、本実施形態の油圧破砕機1は、取付ブラケット25を介して油圧ショベルのアーム21の先端部に取り付けられるようになっている。この油圧破砕機1は、アーム21に対し着脱可能になっており、バケット等の先端アタッチメントと取替可能になっている。
【0038】
図1〜図5に示すように、油圧破砕機1は、破砕機本体部5と、当該破砕機本体部5の先端部で支持される一対の破砕アーム11,11と、各破砕アーム11,11にそれぞれ連結されるとともに破砕機本体部5の基端部にそれぞれ連結される一対の油圧シリンダ3,3と、基端部が破砕機本体部5にそれぞれ接続される4本の第1油圧ホース7,17,27,37と、基端部が各油圧シリンダ3,3にそれぞれ接続される4本の第2油圧ホース9,19,29,39と、当該第2油圧ホース9,19,…を結束するクランプ31と、各第1油圧ホース7,17,…と各第2油圧ホース9,19,…とをこれらの先端部で接続する4つの先端側コネクタ41b,51b,61b,71bとを備えている。
【0039】
上記破砕機本体部5は、上記一対の破砕アーム11,11をアーム連結ピン75,75を介して開閉回動自在に支持する支持ブラケット15(破砕機本体部5の先端部)と、油圧ショベルのアーム21の先端部に第1連結ピン85aを介して取り付けられる上記取付ブラケット25(破砕機本体部5の基端部)と、当該取付ブラケット25の先端側に設けられている旋回ユニット35と、長手方向(支持ブラケット15と旋回ユニット35とを結ぶ方向)に延び、旋回ユニット35と支持ブラケット15とを連結するフレーム部45と、当該フレーム部45に取り付けられるカバープレート55とを有している。なお、以下の説明では便宜上、アーム連結ピン75の延びる方向を破砕機前後方向といい、長手方向と破砕機前後方向とに直交する方向を破砕機左右方向という。
【0040】
上記支持ブラケット15は、上記一対の破砕アーム11,11を挟むように破砕機前後方向に対向配置され、各々2つのボス部15c,15cが破砕機左右方向に横並びに形成された略8字状の側板15a,15aと、当該両側板15a,15aをその長手方向基端側の端部で連結する支持板15bとを有していて、破砕機左右方向からみて略コ字状に形成されている。
【0041】
上記取付ブラケット25は、上記旋回ユニット35の長手方向基端側にボルト締結されている。取付ブラケット25は、上記油圧ショベルのアーム21の先端部を挟むように対向配置され、各々第1及び第2ボス部25b,25cが形成された側板25a,25aを有している。この取付ブラケット25は、第1ボス部25bに挿通された第1連結ピン85aを介して油圧ショベルのアーム21の先端部に回動自在に支持されているとともに、第2ボス部25cに挿通された第2連結ピン85bを介して油圧ショベルのアーム21に設けられたリンク機構21aと連結されている。これにより、油圧破砕機1は、リンク機構21aの動きに応じて、第1連結ピン85aを中心として上下に回動するようになっており、例えば、作業機のアーム21が水平状態の場合にも、上方や下方の被破砕物を挟むことができる。
【0042】
上記旋回ユニット35は、回転ベアリングを有していて取付ブラケット25に対して回転可能となっており、これにより旋回ユニット35の長手方向先端側に設けられた上記フレーム部45が旋回ユニット35の回転軸周りに回転するようになっている。旋回ユニット35の内部には、固定側である作業機のアーム21に設けられた油圧ホース21b,21b(より正確には増速弁の油圧シリンダ3側の油圧ホース(図6参照))と、可動側である上記第1油圧ホース7,17,27,37とを接続するスイベルジョイント35aが設けられている。このスイベルジョイント35aの可動側の回転筒35bには、上記油圧シリンダ3,3に作動油を給排するための4つの油圧ポート35c,35d,35e,35f(破砕機本体部5の基端部に設けられたポート(図6参照))が設けられている。
【0043】
上記フレーム部45は、正面視で(破砕機前後方向前側から見て)矩形状をなし且つ側面視で(破砕機左右方向右側から見て)先端側ほど窄む台形状をなすような中空台錐状に形成されており、その内部に長手方向に延びる空洞部65を有している。このフレーム部45の前後面及び左右両側面には、空洞部65内の清掃及び配管メンテナンス用の開口部45bがそれぞれ形成されている。この開口部45bを、フレーム部45にボルト締めされた上記カバープレート55で覆うことにより、飛散したコンクリート殻(破砕殻)等の空洞部65内への侵入が防がれるようになっている。また、フレーム部45の左右両側面には、油圧シリンダ3,3の後述する基端側ボス部23aを挟むように破砕機前後方向に対向配置されたボス部45a,45aが形成されている。
【0044】
上記破砕アーム11,11は、コンクリート構造物等の被破砕物を挟圧破砕するためのものであり、その長手方向後端部に形成された内側ボス部11e,11eが上記支持ブラケット15のボス部15c,15cとアーム連結ピン75,75を介して連結されることで、破砕機本体部5に回動自在に支持されている。そして、各破砕アーム11,11がアーム連結ピン75,75を中心として互いに反対向きに回動することで、一対の破砕アーム11,11が破砕機左右方向に開閉するようになっている。
【0045】
各破砕アーム11,11の破砕機左右方向内側(閉じた状態において破砕アーム11,11が重なり合う側)の縁部には、長手方向の先端部及び中央部に被破砕物を強固に挟むための先端ツース11a,11bが形成されているとともに、長手方向の基端部に破砕されたコンクリート構造物から飛び出した鉄筋を切断するためのカッタ部11cが形成されている。一方、破砕アーム11,11の破砕機左右方向外側の縁部には、長手方向の基端部に上記油圧シリンダ3,3を連結するための外側ボス部11d,11dが形成されている。
【0046】
上記各油圧シリンダ3,3は、図3及び図6に示すように、シリンダ本体部13と、ピストンロッド23と、ピストン33とを備えている。
【0047】
各シリンダ本体部13,13は、有頂有底の円筒状に形成されており、当該シリンダ本体部13の先端部には、上記破砕アーム11の外側ボス部11dを挟むように破砕機前後方向に対向配置された2つの先端側ボス部13a,13aが形成されている。当該各シリンダ本体部13の内部にはシリンダ筒軸方向に摺動自在にピストン33が組み込まれており、当該ピストン33によって、シリンダ本体部13の内部が先端側であるヘッド側油室3bと基端側であるロッド側油室3aに区画されている。
【0048】
一方、各ピストンロッド23,23は、各シリンダ本体部13,13に対してスライド自在に嵌挿されており、その先端部がピストン33,33と連結されている一方、その基端部に上記フレーム部45のボス部45a,45aと連結される基端側ボス部23aが形成されている。また、各ピストンロッド23,23には、基端側ボス部23aの近傍にヘッド側油圧ポート23b及びロッド側油圧ポート23c(油圧シリンダ3の基端部に設けられたポート)が形成されている。このヘッド側油圧ポート23bは、ピストンロッド23内部に形成された第1油路(図示せず)によってヘッド側油室3bと連通している一方、ロッド側油圧ポート23cは、ピストンロッド23内部に形成された第2油路(図示せず)によってロッド側油室3aと連通している。
【0049】
このように構成された各油圧シリンダ3,3は、その基端側ボス部23a,23a(基端部)が上記空洞部65の外側でフレーム部45のボス部45a,45a,…(破砕機本体部5の基端部)とそれぞれ連結ピン95a,95aを介して回動自在に連結されているとともに、その先端側ボス部13a,13a,…(先端部)が各破砕アーム11,11の外側ボス部11dとそれぞれ連結ピン95b,95bを介して回動自在に連結されている。
【0050】
そうして、作動油が各ロッド側油圧ポート23c,23cから各ロッド側油室3a,3aに供給されると、各ピストンロッド23,23が各シリンダ本体部13,13内を先端側に向かってスライドし、各油圧シリンダ3,3が縮むことによって破砕アーム11,11が破砕機左右方向に開く一方(図2参照)、作動油が各ヘッド側油圧ポート23b,23bから各ヘッド側油室3b,3bに供給されると、各ピストンロッド23,23が各シリンダ本体部13,13内を基端側に向かってスライドし、各油圧シリンダ3,3が延びることによって破砕アーム11,11が破砕機左右方向に閉じるようになっている(図3参照)。なお、各油圧シリンダ3,3は、破砕アーム11,11の開閉動作に伴って連結ピン95a,95aを中心として回動するようになっており、破砕アーム11,11が開くと、図2に示すように閉じる一方、破砕アーム11,11が閉じると、図3に示すように末広がりに開くようになっている。
【0051】
上記第1油圧ホース7,17,27,37は、可撓性をもったゴムホースであり、各油圧シリンダ3,3のロッド側油室3a,3aに作動油を給排するための左右の第1ロッド側油圧ホース7,17と、各油圧シリンダ3,3のヘッド側油室3b,3bに作動油を給排するための左右の第1へッド側油圧ホース27,37とからなっている。
【0052】
各第1ロッド側油圧ホース7,17は、基端側口金7a,17a及び先端側口金7b,17bがともにストレート形状(角度が付いていない形状)となっており、当該基端側口金7a,17aがスイベルジョイント35a(破砕機本体部5の基端部)に設けられた基端側油圧ポート35c,35dに基端側コネクタ41a,51aを介して接続されている。これら第1ロッド側油圧ホース7,17は、破砕アーム11,11が開いた状態、すなわち、油圧シリンダ3,3が閉じた状態では、空洞部65内において基端側コネクタ41a,51aからほぼ真っ直ぐに長手方向先端側に延びている。
【0053】
一方、各第1ヘッド側油圧ホース27,37は、基端側口金27a,37aが45度の屈曲部を有するベンド形状となっている一方、先端側口金27b,37bがストレート形状となっており、基端側口金27a,37aがスイベルジョイント35aに設けられた先端側油圧ポート35e,35fに基端側コネクタ61a,71aを介して接続されている。これら第1ヘッド側油圧ホース27,37は、破砕アーム11,11が開いた状態、すなわち、油圧シリンダ3,3が閉じた状態では、空洞部65内において基端側コネクタ61a,71aから長手方向に対し約45度傾いた方向に延びながら緩やかに湾曲した後、ほぼ真っ直ぐに長手方向先端側に延びている。
【0054】
これに対し、上記第2油圧ホース9,19,29,39は、可撓性をもったゴムホースであり、各油圧シリンダ3,3のロッド側油室3a,3aに作動油を給排するための左右の第2ロッド側油圧ホース9,19と、各油圧シリンダ3,3のヘッド側油室3b,3bに作動油を給排するための左右の第2へッド側油圧ホース29,39とからなっている。各第2ロッド側及び第2へッド側油圧ホース9,19,…は、基端側口金9a,19a,29a,39aがストレート形状となっている一方、先端側口金9b,19b,29b,39bが90度の屈曲部を有するベンド形状(エルボ形状)となっている。
【0055】
各第2ロッド側油圧ホース9,19は、その基端側口金9a,19aが、各油圧シリンダ3,3の基端部に設けられたロッド側油圧ポート23c,23cに対し、各油圧シリンダ3,3と直交する方向から接続されている。一方、各第2ヘッド側油圧ホース29,39は、その基端側口金29a,39aが、各油圧シリンダ3,3の基端部に設けられたヘッド側油圧ポート23b,23bに対し、各油圧シリンダ3,3と直交する方向から接続されている。
【0056】
そして、空洞部65の外側で油圧シリンダ3,3のヘッド側及びロッド側油圧ポート23b,23b,23c,23cに接続された第2ロッド側及び第2ヘッド側油圧ホース9,19,29,39は、上記フレーム部45の左右両側面に形成された開口部45b(上記カバープレート55で覆われていない基端側部分)を通って、各々湾曲しながら空洞部65内に入り長手方向先端側に延びている。
【0057】
上記クランプ31は、4本の第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,29b,39bを4本の第1油圧ホースの先端側口金7b,17b,27b,37bから所定間隔離間させるように、当該4本の第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,29b,39bを結束している。クランプ31は、円盤状に形成されたゴム製クランプであり、当該クランプ31には、図5に示すように、各第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,29b,39bが嵌装される長手方向に延びる貫通孔31c,31d,31e,31fが、長手方向と直交する平面上で互いに離間して4つ形成されている。
【0058】
各貫通孔31c,31d,31e,31fは、クランプ周縁部に形成された各切欠き部31g,31h,31i,31jと繋がっており、各第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,29b,39bは当該切欠き部31g,31h,31i,31jを通って各貫通孔31c,31d,31e,31fに嵌められるようになっている。このように、互いに離間した貫通孔31c,31d,…に、各第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…を嵌装することにより、4本の第2油圧ホース9,19,…は互いに擦れ合わない程度の間隔をあけて離間することになる。
【0059】
また、クランプ31の外周面には、その長手方向中央部に全周に亘って凹む環状溝が形成されており、長さ調節ねじ31bを備えた鋼製バンド31aが当該環状溝に嵌合されている。このクランプ31は、長さ調節ねじ31bによって鋼製バンド31aを締め付けることで、第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,29b,39bを強固に結束するようになっている。
【0060】
上記各先端側コネクタ41b,51b,61b,71bは、略立方体形状の鋼製コネクタであり、基端側面と一側面とに接続口が開口していて、その内部にこれら接続口を連通させるエルボ形状の貫通孔が形成されている。
【0061】
破砕機右側且つ後側の先端側コネクタ41bの基端側面の接続口には右側の第1ロッド側油圧ホース7の先端側口金7bが、破砕機左側且つ前側の先端側コネクタ51bの基端側面の接続口には左側の第1ロッド側油圧ホース17の先端側口金17bが、破砕機右側且つ前側の先端側コネクタ61bの基端側面の接続口には右側の第1ヘッド側油圧ホース27の先端側口金27bが、破砕機左側且つ後側の先端側コネクタ71bの基端側面の接続口には左側の第1ヘッド側油圧ホース37の先端側口金37bがそれぞれ接続されている。
【0062】
また、破砕機右側且つ後側の先端側コネクタ41bの側面の接続口には右側の第2ロッド側油圧ホース9の先端側口金9bが、破砕機左側且つ前側の先端側コネクタ51bの側面の接続口には左側の第2ロッド側油圧ホース19の先端側口金19bが、破砕機右側且つ前側の先端側コネクタ61bの側面の接続口には第2ヘッド側油圧ホース29の先端側口金29bが、破砕機左側且つ後側の先端側コネクタ71bの側面の接続口には第2ヘッド側油圧ホース39の先端側口金39bがそれぞれ長手方向と直交する方向から接続されている。
【0063】
これらにより、各第1油圧ホース7,17,27,37内を流れた作動油は、各先端側コネクタ41b,51b,61b,71b内部に形成された貫通孔を介して、第2油圧ホース9,19,29,39内に送られて、各油圧シリンダ3,3のロッド側油室3a,3a及びヘッド側油室3b,3bに供給される。このように、各先端側コネクタ41b,51b,…を介して第1油圧ホース7,17,…の先端部と第2油圧ホース9,19,…の先端部とを接続しているので、所定の最小曲げ半径以下の無理な曲げ半径で両油圧ホースを曲げる必要がない。
【0064】
−配管構造−
本発明で言うところの中継手段は、第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,29b,39b、クランプ31及び先端側コネクタ41b,51b,61b,71bに対応する。以下、中継手段9b,19b,29b,39b,31,41b,51b,6b1,71bを備えた配管構造について詳細に説明する。
【0065】
先ず、空洞部65の外側で油圧シリンダ3,3のヘッド側及びロッド側油圧ポート23b,23b,23c,23cに接続された第2油圧ホース9,19,29,39は、各々湾曲しながら空洞部65内に入り、当該空洞部65内を長手方向先端側に延びている。そして、第2油圧ホース9,19,29,39は、長手方向から見て当該空洞部65の中央部において、その先端側口金9b,19b,29b,39bの直線部分(90度屈曲部よりも長手方向基端側の部分)がクランプ31によって束ねられている。
【0066】
クランプ31によって束ねられた第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,29b,39bは、下端部で90度屈曲して放射状に拡がるように長手方向と直交する方向の外側に延びて、各先端側コネクタ41b,51b,61b,71bの側面に形成された接続口に接続されている。
【0067】
このように、第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…、先端側コネクタ41b,51b,…及びクランプ31(中継手段)は、破砕機本体部5と何ら接続されておらず(被接続状態であり)、且つ、先端側コネクタ41b,51b,…が第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…に接続されているとともに、当該第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…がクランプ31で結束されていることから、これら第2ロッド側油圧ホースの先端側口金9b,19b,…、先端側コネクタ41b,51b,…及びクランプ31(中継手段)は、一塊として空洞部65内を長手方向に自在に移動できるようになっている。
【0068】
一方、スイベルジョイント35aの基端側及び先端側油圧ポート35c,35d,35e,35fに基端側コネクタ41a,51a,61a,71aを介して接続された第1ロッド側及び第1ヘッド側油圧ホース7,17,27,37は、空洞部65内を長手方向先端側に延びて、その先端側口金7b,17b,27b,37bが各先端側コネクタ41b,51b,61b,71bの基端側面に形成された接続口に接続されている。
【0069】
より詳しくは、破砕機左右方向右側の油圧シリンダ3に接続されている右側の第1ロッド側油圧ホース7と右側の第1ヘッド側油圧ホース27とは、右側に曲がりながら空洞部65の外側に出る右側の第2ロッド側及び第2ヘッド側油圧ホース9,29を、破砕機前後方向両側から挟むように、基端側コネクタ41a,61aと先端側コネクタ41b,61bとの間で長手方向に延びている。一方、破砕機左右方向左側の油圧シリンダ3に接続されている左側の第1ロッド側油圧ホース17と左側の第1ヘッド側油圧ホース37とは、左側に曲がりながら空洞部65の外側に出る左側の第2ロッド側及び第2ヘッド側油圧ホース19,39を、破砕機前後方向両側から挟むように、基端側コネクタ51a,71aと先端側コネクタ51b,71bとの間で長手方向に延びている。
【0070】
すなわち、上述の如く、第2油圧ホースの先端部口金9b,19b,…をクランプ31で結束するとともに、下端部で90度屈曲して放射状に拡がった(クランプ31から遠ざかった)第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…に先端側コネクタ41b,51b,…を介して第1油圧ホースの先端側口金7b,17b,…を接続することにより、第2油圧ホース9,19,…を所定間隔あけた状態で囲むように第1油圧ホース7,17,…が配設されている。
【0071】
−第1及び第2油圧ホースの動作−
次いで、油圧破砕機1の開閉動作に伴う第1及び第2油圧ホース7,9,…の動作について説明する。
【0072】
図2に示すように破砕アーム11,11が開いた状態から、各油圧シリンダ3,3のヘッド側油室3b,3bに作動油が供給されると、当該各油圧シリンダ3,3が延びて破砕アーム11,11が閉じ始める。それとともに油圧シリンダ3,3が末広がりに開き、右側の第2ロッド側及び第2ヘッド側油圧ホース9,29が右側に引っ張られる一方、左側の第2ロッド側及び第2ヘッド側油圧ホース19,39が左側に引っ張られる。これら第2油圧ホース9,19,29,39は湾曲しながら破砕機本体部5の空洞部65内に入り長手方向先端側に延びているので、第2油圧ホース9,19,…を油圧シリンダ3,3の開く方向に引っ張る力は、当該第2油圧ホース9,19,…を長手方向基端側に引っ張る力に変換される。
【0073】
第2油圧ホース9,19,…は、空洞部65内で長手方向に移動自在なクランプ31に接続されているので、長手方向基端側に引っ張られても、第2油圧ホース9,19,…が各油圧シリンダ3,3とクランプ31との間で突っ張った状態となることはなく、クランプ31が基端側に移動する。
【0074】
このとき、第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…はクランプ31によって結束されていることから、各第2油圧ホース9,19,…の不規則な動き(不規則な撓みや捩れ)が抑えられる。また、クランプ31自体も剛な口金9b,19b,…に強く締結されていることから傾くことなく長手方向基端側に移動するので、当該クランプ31によって結束されている第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…、及び先端側コネクタ41b,51b,…も長手方向基端側に傾くことなく移動する。
【0075】
このように、先端側コネクタ41b,51b,…が長手方向基端側に傾くことなく移動することにより、当該先端側コネクタ41b,51b,…に接続されている第1油圧ホース7,17,…は極端に曲がったり、捩れたりすることなく、均等に撓む。
【0076】
図3に示すように破砕アーム11,11が閉じると、すなわち、油圧シリンダ3,3が末広がりに開ききると、右側の第1ロッド側油圧ホース7が右側に、又左側の第1ロッド側油圧ホース17が左側に僅かに曲がるとともに、右側の第1ヘッド側油圧ホース27が右側に、又左側の第1ヘッド側油圧ホース37が左側に稍大きく曲がるが、これら第1油圧ホース7,17,…は、上述の如く、第2油圧ホース9,19,…を所定間隔あけた状態で囲むように配設されているので、第1油圧ホース7,17,…と第2油圧ホース9,19,…とが擦れ難くなっている。
【0077】
一方、破砕アーム11,11が、図3に示すように閉じた状態から図2に示すように開く際には、第1油圧ホース7,17,…及び第2油圧ホース9,19,…は、上記と全く逆の動きをする。
【0078】
−効果−
本実施形態によれば、破砕機本体部5と各油圧シリンダ3,3とを接続する油圧ホースを、スイベルジョイント35aの基端側及び先端側油圧ポート35c,35d,…に接続される第1油圧ホース7,17,…と、各油圧シリンダ3,3のヘッド側及びロッド側油圧ポート23b,23c,…に接続される第2油圧ホース9,19,…とに分け、先端側コネクタ41b,51b,…を介して第1油圧ホースの先端側口金7b,17b,…と第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…とを接続しているので、所定の最小曲げ半径以下の無理な曲げ半径で両油圧ホース7,9,…を曲げる必要がないことから、第1及び第2油圧ホース7,9,…が損傷するのを抑えることができる。
【0079】
また、油圧シリンダ3,3が末広がりに開くと、第2油圧ホース9,19,…が油圧シリンダ3,3の動きに追従して長手方向基端側に引っ張られるが、第2油圧ホース9,19,…は空洞部65内で長手方向に移動自在なクランプ31及び先端側コネクタ41b,51b,61b,71bに接続されているので、第2油圧ホース9,19,…が油圧シリンダ3,3と先端側コネクタ41b,51b,61b,71bとの間で突っ張った状態となるのを抑制できる。
【0080】
さらに、第2油圧ホース9,19,…はその先端側口金9b,19b,…が長手方向に移動自在なクランプ31及び先端側コネクタ41b,51b,…に接続されていて可撓性が維持されていることから、各油圧シリンダ3,3が縮んだ際、シリンダ本体部13と第2油圧ホース9,19,…との間に破砕殻等が挟まれ難くなる。また、仮に油圧シリンダ3,3と第2油圧ホース9,19,…との間に破砕殻等が挟まれても、第2油圧ホース9,19,…はその可撓性により、損傷し難くなっている。
【0081】
また、各油圧シリンダ3,3のヘッド側及びロッド側油圧ポート23b,23c,…に接続される第2油圧ホース9,19,…は、破砕機本体部5の基端側及び先端側油圧ポート35c,35d,…に接続される第1油圧ホース7,17,…に比して損傷頻度が高いが、第2油圧ホース9,19,…はその先端側口金9b,19b,…が長手方向に移動自在なクランプ31及び先端側コネクタ41b,51b,…に接続されているので、配管メンテナンス用の開口部45bからの第2油圧ホース9,19,…の交換が容易となる。
【0082】
さらに、クランプ31は、4本の第2油圧ホース9,19,…の先端側口金9b,19b,…を、4本の第1油圧ホースの先端側口金7b,17b,…から所定間隔離間させるように、当該4本の第2油圧ホース9,19,…の先端側口金9b,19b,…を結束していることから、油圧シリンダ3,3の動きに伴う各第2油圧ホース9,19,…の不規則な撓みや捩れが抑えられる。
【0083】
また、第2油圧ホースの先端側口金9b,19b…、クランプ31及び先端側コネクタ41b,51b,…自体が、傾くことなく長手方向基端側に移動するので、先端側コネクタ41b,51b,…に接続されている4本の第1油圧ホース7,17,…は、極端に曲がったり、捩れたりすることなく、ほぼ均等に撓むことになる。これらにより、第1油圧ホース7,17,…と第2油圧ホース9,19,…との過度の接近が抑えられ、第1油圧ホース7,17,…と第2油圧ホース9,19,…とが互いに擦れ合って損傷するのを抑制することができる。
【0084】
さらに、クランプ31は、4本の第2油圧ホース9,19,…を互いに離間させるように、各第2油圧ホースの先端側口金9b,19b…を束ねているので、一対の破砕アーム11,11の開閉に伴う第2油圧ホース9,19,…同士の接触及び離間の繰り返しにより当該第2油圧ホース9,19,…が損傷するのを抑えることができる。
【0085】
また、第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…、クランプ31及び先端側コネクタ41b,51b,…は、破砕機本体部5と非接続状態で設けられているので、例えば、破砕アーム11,11と被破砕物との衝突による衝撃が直接中継手段に伝わるのを抑えることができる。また、万が一、破砕殻が破砕機本体部5の空洞部65を構成する部材に当たり、当該部材が損傷した場合にも、第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…、クランプ31及び先端側コネクタ41b,51b,…の損傷を回避し易く、油圧ホースの損傷をより一層抑えることができる。
【0086】
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0087】
上記実施形態では、第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…、クランプ31及び先端側コネクタ41b,51b,…で中継手段を構成したが、これに限らず、長手方向に移動自在な一体形成された中継ブロックに、第1及び第2油圧ホースの先端側口金7b,9b,…を接続するような構成としてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、第2油圧ホース9,19,…を、長手方向から見て空洞部65の中央部で束ねるようにしたが、4本の第2油圧ホース9,19,…の先端部を、4本の第1油圧ホースの先端部から所定間隔離間させるのであれば、第1油圧ホース7,17,…を囲むようにリング状のクランプで第2油圧ホース9,19,…を結束してもよい。
【0089】
さらに、上記実施形態では、4本の第2油圧ホース9,19,…を互いに離間させるように、各第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…をクランプ31の貫通孔31c,31d,…に嵌装したが、これに代えて、各第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…よりも基端側のゴム部(口金近傍部(先端部近傍))をクランプ31の貫通孔31c,31d,…に嵌装してもよい。
【0090】
また、2つ以上のクランプ31,31,…を用いて、各第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…及び当該先端側口金9b,19b,…よりも基端側のゴム部をそれぞれクランプ31,31,…の貫通孔31c,31d,…に嵌装して、4本の第2油圧ホース9,19,…を2箇所以上で結束するようにしてもよい。
【0091】
さらに、上記実施形態では、第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…、クランプ31及び先端側コネクタ41b,51b,…は破砕機本体部5と非接続状態で設けられているが、これに限らず、例えばフレーム部45に沿って長手方向に摺動するように中継手段を設けてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、第1油圧ホースの先端側口金7b,17b,…をストレート形状とし、第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…をエルボ形状とするとともに、第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…の先端が放射状に拡がるように当該第2油圧ホース9,19,…を配管したが、これに限らず、第1油圧ホースの先端側口金7b,17b,…をエルボ形状とし、第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…をストレート形状とするとともに、第1油圧ホースの先端側口金7b,17b,…の先端が空洞部65の中央に向くように第1油圧ホース7,17,…を配管してもよい。
【0093】
さらに、第1及び第2油圧ホースの先端側口金7b,9b,…をともにストレート形状とするとともに、角柱状のコネクタを放射状に拡がるように配置して両油圧ホースの先端側口金7b,9b,…を接続するようにしてもよい。
【0094】
また、第1及び第2油圧ホースの先端側口金7b,9b,…をともにストレート形状とするとともに、これら両油圧ホースの先端側口金7b,9b,…を、長手方向基端側に開口する略U字状のチューブを用いて接続するようにしてもよい。
【0095】
さらに、上記実施形態では、ゴム製クランプ31を用いたが、これに限らず、例えば、鋼製クランプを用いてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、各第1油圧ホースの先端側口金7b,17b,…を各先端側コネクタ41b,51b,…の基端側面に直接連結したが、これに限らず、各第1油圧ホースの先端側口金7b,17b,27b,37bを各先端側コネクタ41b,51b,61b,71bに対しスイベルを介して回動可能に連結してもよい。このようにすれば、第1油圧ホース7,17,…が捩れるのを抑えることができる。したがって、破砕アーム11,11の開閉、すなわち、長手方向における第2油圧ホースの先端側口金9b,19b,…、クランプ31及び先端側コネクタ41b,51b,…の移動が繰り返し行われても、第1油圧ホース7,17,…が損傷するのを確実に抑制することができる。
【0097】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上説明したように、本発明は、油圧ショベル等の作業機のアーム先端部に取り付けられ、建造部の解体等に用いられる油圧破砕機について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】油圧ショベルに取り付けられた本発明に係る油圧破砕機を示す側面図である。
【図2】破砕アームが開いた状態の油圧破砕機の正面図である。
【図3】破砕アームが閉じた状態の油圧破砕機の正面図である。
【図4】破砕アームが閉じた状態の油圧破砕機の側面図である。
【図5】図2のV−V線の矢視図である。
【図6】油圧破砕機の油圧回路図である。
【図7】油圧破砕機の配管構造を模式的に示す斜視図である。
【図8】中継ブロックが設けられた従来の油圧破砕機の配管構造を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0100】
1 油圧破砕機
3 油圧シリンダ
5 破砕機本体部
7 第1ロッド側油圧ホース(第1油圧ホース)
7a 基端側口金(基端側の口金)
7b 先端側口金(先端側の口金)
9 第2ロッド側油圧ホース(第2油圧ホース)
9a 基端側口金(基端側の口金)
9b 先端側口金(エルボ形状の口金)(中継手段)
11 破砕アーム
17 第1ロッド側油圧ホース(第1油圧ホース)
17a 基端側口金(基端側の口金)
17b 先端側口金(先端側の口金)
19 第2ロッド側油圧ホース(第2油圧ホース)
19a 基端側口金(基端側の口金)
19b 先端側口金(エルボ形状の口金)(中継手段)
21 作業機のアーム
23b ヘッド側油圧ポート(油圧シリンダの基端部に設けられたポート)
23c ロッド側油圧ポート(油圧シリンダの基端部に設けられたポート)
27 第1へッド側油圧ホース(第1油圧ホース)
27a 基端側口金(基端側の口金)
27b 先端側口金(先端側の口金)
29 第2ヘッド側油圧ホース(第2油圧ホース)
29a 基端側口金(基端側の口金)
29b 先端側口金(エルボ形状の口金)(中継手段)
31 クランプ(中継手段)
35c 基端側油圧ポート(破砕機本体部の基端部に設けられたポート)
35d 基端側油圧ポート(破砕機本体部の基端部に設けられたポート)
35e 先端側油圧ポート(破砕機本体部の基端部に設けられたポート)
35f 先端側油圧ポート(破砕機本体部の基端部に設けられたポート)
37 第1へッド側油圧ホース(第1油圧ホース)
37a 基端側口金(基端側の口金)
37b 先端側口金(先端側の口金)
39 第2ヘッド側油圧ホース(第2油圧ホース)
39a 基端側口金(基端側の口金)
39b 先端側口金(エルボ形状の口金)(中継手段)
41b 破砕機右側且つ後側の先端側コネクタ(コネクタ)(中継手段)
51b 破砕機左側且つ前側の先端側コネクタ(コネクタ)(中継手段)
61b 破砕機右側且つ前側の先端側コネクタ(コネクタ)(中継手段)
65 空洞部
71b 破砕機左側且つ後側の先端側コネクタ(コネクタ)(中継手段)
75 アーム連結ピン(枢軸)
95a 連結ピン(枢軸)
95b 連結ピン(枢軸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機のアーム先端部に着脱可能に取り付けられる油圧破砕機であって、
被破砕物を挟圧破砕するための一対の破砕アームと、
基端部で上記作業機のアーム先端部に取り付けられる一方、先端部で上記破砕アームを枢軸を介して開閉回動自在に支持するとともに、当該先端部と当該基端部との間で当該先端部と当該基端部とを結ぶ方向である長手方向に延びる空洞部を有する破砕機本体部と、
基端部が上記空洞部外で上記破砕機本体部の基端部と枢軸を介して回動自在にそれぞれ連結されるとともに先端部が上記各破砕アームと枢軸を介して回動自在にそれぞれ連結される一対の油圧シリンダと、
基端側の口金が上記破砕機本体部の基端部に設けられたポートに接続され、上記空洞部内で長手方向先端側に延びる複数の第1油圧ホースと、
基端側の口金が上記油圧シリンダの基端部に設けられたポートに接続され、湾曲しながら上記空洞部内に入り長手方向先端側に延びる複数の第2油圧ホースと、
上記各第1油圧ホースの先端部と上記各第2油圧ホースの先端部とを接続する、上記空洞部内で長手方向に移動自在な中継手段と、を備えていることを特徴とする油圧破砕機。
【請求項2】
請求項1記載の油圧破砕機において、
上記中継手段は、上記複数の第2油圧ホースの先端部を上記複数の第1油圧ホースの先端部から所定間隔離間させるように、当該複数の第2油圧ホースの先端部及び/又は先端部近傍を結束していることを特徴とする油圧破砕機。
【請求項3】
請求項2記載の油圧破砕機において、
上記中継手段は、上記複数の第2油圧ホースを互いに離間させるように、上記各第2油圧ホースの先端部及び/又は先端部近傍を結束していることを特徴とする油圧破砕機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の油圧破砕機において、
上記中継手段は、上記破砕機本体部と非接続状態で設けられていることを特徴とする油圧破砕機。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の油圧破砕機において、
上記各第1油圧ホースの先端側の口金は、上記中継手段に対し回動可能に連結されていることを特徴とする油圧破砕機。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の油圧破砕機において、
上記中継手段は、上記各第2油圧ホースの先端側のエルボ形状の口金と、当該口金及び/又は口金近傍部を束ねるクランプと、当該口金が長手方向と直交する方向から接続される一方、上記第1油圧ホースの先端側の口金が長手方向基端側から接続されるコネクタとからなることを特徴とする油圧破砕機。
【請求項7】
請求項6記載の油圧破砕機において、
上記クランプには、長手方向と直交する平面上で互いに離間し、且つ、長手方向に延びる複数の貫通孔が形成されており、
上記各第2油圧ホースの口金及び/又は口金近傍部は、上記各貫通孔に嵌装されていることを特徴とする油圧破砕機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−155228(P2010−155228A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−401(P2009−401)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】