説明

油性潤滑剤

【課題】油中において優れた潤滑性を有する油性潤滑剤を提供する。
【解決手段】下記単量体(A)由来の構成単位(a)及び下記単量体(B)由来の構成単位(b)を含有し、構成単位(a)と構成単位(b)のモル比が、構成単位(a):構成単位(b)で1:99〜30:70であり、全構成単位中の構成単位(a)及び構成単位(b)の割合が合計で85質量%以上である共重合体からなる油性潤滑剤。
(A)アミド基、カルボキシル基、水酸基及びスルホ基から選択される1以上を有する不飽和結合含有単量体
(B)置換基を有してもよい炭素数6〜22のアルキル基又はアルケニル基を有する不飽和結合含有単量体

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性潤滑剤、及びそれを含有する油性潤滑剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑性を付与するためのポリマーは、塗料、糊、接着剤、繊維工業、製紙工業などの各種分野で用いられている。一般に、溶液にポリマーを溶解させると潤滑性が上昇することが知られている。優れた潤滑付与特性を与えるためには、分子量の高いポリマーを配合しなければならないが、上記の工業用途の多くでは、強いせん断が加わるため、ポリマーが劣化し、潤滑付与効果が損なわれやすい。低分子量ポリマーは機械力の影響を受け難いが、高濃度で使用する必要があり、一般に工業用途には不適当である。
【0003】
このため、工業用途に適用可能な潤滑性付与ポリマーとして、会合性基を有するポリマーが開発されている。会合性基とは、その基中に、少なくとも分子間で相互作用が可能な官能基を有する基を意味する。会合性基を有するポリマーは、溶液中で物理的相互作用により見かけの分子量(会合体の分子量)が増加したり、3次元架橋構造を形成することで、優れた潤滑付与特性を与える。
水中では静電相互作用、疎水相互作用などの相互作用を使用することができ、会合体を形成することが容易であるため、水系での会合型ポリマーが開発されている。会合性基を有する水溶性ポリマーとしては、ポリウレタン型潤滑剤(特許文献1)や、アクリル型潤滑剤(特許文献2、3)が知られている。
【0004】
これらの技術は、水中で使用することを目的に開発されたものであり、油中では静電相互作用、疎水相互作用などの相互作用を使用することが難しく、強固な会合体を形成することが困難である。このため、油中での使用を目的とした会合性基を有する潤滑性付与ポリマーについては、これまで十分検討されてこなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3770684号
【特許文献2】米国特許第4921903号
【特許文献3】特開平11-116762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、油中において優れた潤滑性を有する油性潤滑剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定の単量体(A)及び(B)を特定の割合で含有する共重合体が、油中において優れた潤滑性を有することを見出した。
【0008】
本発明は、下記単量体(A)由来の構成単位(a)及び下記単量体(B)由来の構成単位(b)を含有し、構成単位(a)と構成単位(b)のモル比が、構成単位(a):構成単位(b)で1:99〜30:70であり、全構成単位中の構成単位(a)及び構成単位(b)の割合が合計で85質量%以上である共重合体からなる油性潤滑剤を提供するものである。
(A)アミド基、カルボキシル基、水酸基及びスルホ基から選択される1以上を有する不飽和結合含有単量体
(B)置換基を有してもよい炭素数6〜22のアルキル基又はアルケニル基を有する不飽和結合含有単量体
【0009】
また、本発明は、当該油性潤滑剤を2種以上含有する油性潤滑剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の油性潤滑剤は、油中において潤滑性に優れたものであり、しかも、せん断による潤滑性の劣化が少ないものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<単量体(A)>
本発明で用いる単量体(A)は、アミド基、カルボキシル基、水酸基及びスルホ基から選択される1以上を有する不飽和結合含有単量体である。その中でも、アミド基、カルボキシル基及び/又はアミノ基を有する不飽和結合含有単量体が好ましい。また、不飽和結合含有単量体は、ビニル系単量体が好ましい。
アミド基、カルボキシル基、水酸基、又はスルホ基のような会合性基を有することにより、単量体(A)由来の構成単位(a)を含む(共)重合体は、油中で物理的相互作用により見かけの分子量(会合体の分子量)が増加したり、3次元架橋構造を形成することで、潤滑性が向上すると推定される。
この会合性基は、その基中に少なくとも分子間で水素結合が可能な官能基を有しており、同一官能基又は異種間で水素結合が形成され得る。油への溶解性、会合体形成の強さの観点から、アミド基、カルボキシル基、アミノ基が好ましい。
【0012】
単量体(A)の具体例としては、メチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ブチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、2−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、ラウリル(メタ)アクリルアミド、ステアリル(メタ)アクリルアミド、ベヘニル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等の炭素数1〜22の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基又はアルケニル基を有する(メタ)アクリルアミド;ベンジル(メタ)アクリルアミド等のアリールアルキル基を有する(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、スチレンカルボン酸等のカルボキシル基を有するビニル化合物;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジt−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド;ジメチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン等のジアルキルアミノ基を有するスチレン類;ジアリルメチルアミン、ジアリルアミン等のジアリルアミン化合物などが挙げられる。
これらのうち、特に(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、1〜3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
【0013】
<単量体(B)>
本発明で用いる単量体(B)は、置換基を有してもよい炭素数6〜22のアルキル基又はアルケニル基を有する不飽和結合含有単量体である。この中でも、炭素数6〜22の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、炭素数6〜22の直鎖アルキル基がより好ましく、炭素数12〜16の直鎖アルキル基が更に好ましい。また、不飽和結合含有単量体は、ビニル系単量体が好ましい。
【0014】
単量体(B)の具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート等の炭素数5〜22の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基又はアルケニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;ベンジル(メタ)アクリレート等のアリールアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;ヘキサン酸ビニル、オクタン酸ビニル、デカン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の炭素数6〜22の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基又はアルケニル基を有するビニルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、ブチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン等のスチレン類などが挙げられる。
【0015】
<共重合体>
本発明で用いる共重合体は、単量体(A)由来の構成単位(a)と単量体(B)由来の構成単位(b)のモル比が、構成単位(a):構成単位(b)で1:99〜30:70であり、油中での潤滑性を向上させる観点から、より好ましくは5:95〜25:75である。
また、共重合体は、潤滑性発現の観点から、構成単位中の構成単位(a)及び構成単位(b)の割合が合計で85質量%以上であり、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上である。構成単位(a)及び構成単位(b)の割合がこの範囲にある場合、必要に応じて、上記単量体と共重合可能な単量体由来の構成単位を含有していてもよい。本発明で用いる共重合体としては、実質的に構成単位(a)及び構成単位(b)からなるものがより好ましい。
【0016】
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、潤滑性及び溶媒への溶解性の観点から、好ましくは10万〜100万、より好ましくは15万〜90万である。
なお、本発明において、(共)重合体のMwは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定による値を使用する。溶離液としては、水、アルコール、クロロホルム、ジメチルホルムアルデヒド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル及びこれらの溶媒を組み合わせた液の何れかを使用し、ポリエチレンオキシド及びポリスチレン換算の分子量とする。
【0017】
<共重合体の製造方法>
本発明において、共重合体は、通常の溶液重合法、懸濁重合法等により、上記単量体成分をラジカル重合させることによって製造することができる。
より具体的には、単量体(A)及び単量体(B)を、モル比が単量体(A):単量体(B)=1:99〜30:70、より好ましくは5:95〜25:75で共重合させることにより得られる。
【0018】
共重合体の製造において使用するラジカル重合開始剤としては、一般的なラジカル重合開始剤で良い。例えば、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、過硫酸アンモニウム等の過酸化物系開始剤;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤などが挙げられる。ラジカル重合開始剤の使用量は、単量体の種類や濃度、開始剤の種類、反応温度等により異なるが、通常全単量体濃度に対して0.001〜10モル%が好ましく、0.01〜1モル%がより好ましい。
【0019】
単量体の重合方法は、特に制限されないが、より具体的には以下の製造方法が挙げられる。
まず、反応容器に、単量体、ラジカル重合開始剤、溶媒を加え、所定の温度まで加熱する。その時の反応容器内の温度は、ラジカル重合開始剤の種類や量、溶媒の種類、単量体の種類や濃度等により自由に設定することができるが、ラジカル重合開始剤の半減期が200分以下となる温度であることが、反応制御の面で好ましい。通常その温度は40〜120℃程度であり、50〜100℃が好ましい。また、反応容器中に予め溶媒、又は、溶媒及びその他の成分(単量体等)を適量添加しておいても良い。また、必要に応じて窒素等の不活性ガスによる置換等により反応容器内の酸素を留去しておいても良い。反応は、反応溶液を上記温度範囲内で一定時間保持することが好ましい。反応時間は、0.5時間〜30時間であることが好ましい。得られた共重合体は、必要に応じてエタノールなどで洗浄を行った後、乾燥して精製することができる。
【0020】
(油性潤滑剤)
共重合体は、油性潤滑剤として、単独で用いることができる。また、より強固な会合体を形成させるためには、2種以上の共重合体を組み合わせて使用することが好ましい。2種以上の共重合体を使用する場合、異種の会合体基を有する共重合体を使用することが好ましく、その中でも、カルボキシル基を有する不飽和結合含有単量体由来の構成単位を含有する共重合体(X)と、アミド基を有する不飽和結合含有単量体由来の構成単位を含有する共重合体(Y)の組み合わせがより好ましい。例えば、当該共重合体(X)と共重合体(Y)との2種を組み合わせて使用する場合、潤滑性を向上させる観点から、共重合体(X)と共重合体(Y)との重量比は、共重合体(X):共重合体(Y)=10:90〜90:10が好ましく、20:80〜80:20がより好ましい。
【0021】
法線応力は、粘弾性流体からなる測定対象物にずり変形を加えたときに、ずりを加えた方向と直交する方向に発生する応力である。法線応力を発現する油性潤滑剤は、せん断を加えた際に油性潤滑剤が拡散し難くなるため、流体潤滑状態を保ち潤滑性が向上する。本発明者らは、潤滑性と法線応力の相関が高いことを見出し、潤滑性の指標として法線応力の値を用いて検討を行った。
【0022】
法線応力は、それ単独で把握されるものではなく、ずり応力との差で把握されるものである。すなわち、単純ずり流れにおいて流動方向を1とし、ずり方向を2とすると、法線応力差は第1法線応力差N1(=σ11−σ22)、第2法線応力差N2(=σ22−σ33)及び第3法線応力差N3(=σ33−σ11)として定義される。これらの法線応力差のうち、本発明においては、第1法線応力差N1を法線応力の尺度として採用している。法線応力の尺度として第1法線応力差N1を採用した理由は、(i)粘弾性特性によって生じる多くの現象はN1の効果として説明可能であること、(ii)市販のレオメータで容易にN1を測定することが可能であること等によるものである。
【0023】
本発明では、共重合体をイソノナン酸イソトリデシルに溶解させた溶解物を、100s-1のずり速度下において測定した第1法線応力差N1100(以下、第1法線応力差の単位はPa)を用いて潤滑性を評価した。当該N1100は、潤滑性及び滑らかな感触を発現させる観点から、好ましくは100<N1100<6000であり、より好ましくは250<N1100<5500、更に好ましくは350<N1100<5000である。
【0024】
なお、第1法線応力差N1100は、MCR301(アントンパール社製)を使用して、以下の条件で測定した。
測定温度:25℃
せん断速度:0.001→1000[1/s]
【0025】
(疎水性油)
本発明の油性潤滑剤組成物は、前記のような共重合体からなる油性潤滑剤を含有するもので、更に、疎水性油を含有することができる。疎水性油としては、(i)25℃で液状のエステル油、及び/又は(ii)25℃で液状の炭化水素油を用いることができる。
(i)25℃で液状のエステル油としては、例えば、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸オレイル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、アボガド油、ヒマワリ油、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル等が挙げられる。これらの中でも、分岐飽和脂肪酸エステルが好ましく、分岐飽和脂肪酸エステルとしては、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル等が挙げられる。特に分岐脂肪酸分岐アルコールエステルが好ましく、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシルが好ましく、更に、イソノナン酸イソトリデシルが好ましい。
上記エステル油は、1種以上用いることができ、潤滑性発現の観点から、油性潤滑剤組成物中に10〜80質量%、特に20〜60質量%含有するのが好ましい。
【0026】
(ii)25℃で液状の炭化水素油としては、例えば、軽質イソパラフィン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、スクワラン等が挙げられる。上記炭化水素油は、2種又は3種以上混合して用いることが好ましい。特に、数平均分子量700以下、特に数平均分子量600以下の液状炭化水素油と、数平均分子量1000以上、特に数平均分子量2000以上の液状炭化水素油を混合して用いるのが好ましい。更には、数平均分子量700以下の液状炭化水素油と数平均分子量1000以上の液状炭化水素油を、1/2〜2/1の割合で混合して用いるのが好ましい。
上記炭化水素油は、1種以上用いることができ、潤滑性発現の観点から、油性潤滑剤組成物中に合計で5〜60質量%、特に15〜40質量%含有するのが好ましい。
【0027】
また、上記(i)25℃で液状のエステル油、及び(ii)25℃で液状の炭化水素油の両方を使用する場合、その合計含有量は、20〜90質量%が好ましく、特に50〜90質量%が好ましい。
【0028】
(化粧料)
本発明の油性潤滑剤は、油性潤滑剤を含む化粧料としても使用することができる。化粧料の製品形態、形状は問わないが、好ましくは、メイクアップ化粧料で、例えば、ファンデーション、頬紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、口紅、ネイルエナメルなどが挙げられる。化粧料中の油性潤滑剤の配合量は、0.1〜50質量%、特に0.2〜40質量であるのが好ましい。
【0029】
化粧料には、通常化粧品用原料として用いられる他の成分を適宜選択して配合することができ、かかる他の成分としては、例えば、白色顔料、体質顔料、着色顔料、パール顔料、天然鉱物、有機粉末、油剤、紫外線防御剤、ゲル化剤、ワックス、金属石鹸、界面活性剤、保湿剤、防腐剤、香料、その他各種添加剤等が挙げられる。
【実施例】
【0030】
<重量平均分子量の測定>
重合体の平均分子量(Mw)は、日立L−6000型高速液体クロマトグラフィーを使用し、ゲル・パーミッション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。溶離液流路ポンプは日立L−6000、検出器はショーデックスRI SE−61示差屈折率検出器、カラムはGMHHR−Hをダブルに接続したものを用いた。サンプルは、溶離液で0.5g/100mLの濃度に調整し、20μLを用いた。溶離液には、1mmol/LのファーミンDM20のクロロホルム溶液を使用した。カラム温度は40℃で、流速は1.0mL/分で行った。
【0031】
<滑らかさ評価方法(官能評価)>
室温にて、共重合体を指の間でこねた時の滑らかさを10人の専門パネラーが評価し、その平均点を求め、下記の基準で示した。
◎;10名中8名以上が良好と評価した。
○;10名中6〜7名が良好と評価した。
△;10名中4〜5名が良好と評価した。
×;10名中3名以下が良好と評価した。
【0032】
<第1法線応力差N1100の測定>
共重合体10gをイソノナン酸イソトリデシル190gに加え、80℃で24時間撹拌する。室温にて共重合体の溶解性を目視で確認する。法線応力は、上述のようにせん断速度100S-1の第1法線応力差をN1100と定義した。
なお、第1法線応力差N1100は、MCR301(アントンパール社製)を使用して、以下の条件で測定した。
測定温度:25℃
せん断速度:0.001→1000[1/s]
【0033】
(合成例1)
撹拌機、ジムロート還流器、温度計を備えた4つ口セパラブルフラスコ中に、単量体として市販のメタクリル酸(和工純薬工業社製)7.15g(0.083mol)、ラルリルメタクリレート(三菱ガス化学社製)94.5g(0.333mol)、溶剤としてメチルエチルケトン40.0gを添加し、65℃まで昇温した。次いで、開始剤として2,2’―アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(v−65B:和光純薬工業社製)0.086gを添加し、65℃で5時間反応させた。エタノールで洗浄後、乾燥して、黄色無臭のメタクリル酸−ラウリルメタクリレート共重合体101gを得た。得られた化合物の重量平均分子量は35万であった。
【0034】
(合成例2〜23)
モノマーの種類、仕込み量、開始剤の仕込み量、溶剤の仕込み量を表1記載の量に変える以外は、合成例1と同様の方法で合成を行った。
【0035】
【表1】

【0036】
(実施例1)
合成例1で合成したメタクリル酸−ラウリルメタクリレート共重合体:5g、合成例11で合成したメタクリルアミド−ラウリルメタクリレート共重合体:5gをイソノナン酸イソトリデシル190gに加え、80℃で24時間攪拌し均一溶解させた。その後、第1法線応力差N1100、滑らかさを評価した。
【0037】
(実施例2〜11、比較例1〜2)
ビニル系共重合体を表2記載の種類、使用量に変える以外は、実施例1と同様の方法で評価を行った。
【0038】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記単量体(A)由来の構成単位(a)及び下記単量体(B)由来の構成単位(b)を含有し、構成単位(a)と構成単位(b)のモル比が、構成単位(a):構成単位(b)で1:99〜30:70であり、全構成単位中の構成単位(a)及び構成単位(b)の割合が合計で85質量%以上である共重合体からなる油性潤滑剤。
(A)アミド基、カルボキシル基、水酸基及びスルホ基から選択される1以上を有する不飽和結合含有単量体
(B)置換基を有してもよい炭素数6〜22のアルキル基又はアルケニル基を有する不飽和結合含有単量体
【請求項2】
単量体(A)及び単量体(B)を、単量体(A):単量体(B)=1:99〜30:70のモル比で共重合して得られる共重合体からなる請求項1記載の油性潤滑剤。
【請求項3】
共重合体の重量平均分子量が100000〜1000000である請求項1又は2記載の油性潤滑剤。
【請求項4】
単量体(A)が、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、及び1〜3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルから選択される1種以上である請求項1〜3のいずれか1項記載の油性潤滑剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の油性潤滑剤を2種以上含有する油性潤滑剤組成物。
【請求項6】
更に、疎水性油を含有する請求項5記載の油性潤滑剤組成物。
【請求項7】
疎水性油が、25℃で液状のエステル油及び25℃で液状の炭化水素油から選択される1種以上である請求項6記載の油性潤滑剤組成物。
【請求項8】
化粧料である請求項5〜7のいずれか1項記載の油性潤滑剤組成物。

【公開番号】特開2011−79871(P2011−79871A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230591(P2009−230591)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】