油面レベルセンサ異常検出装置
【課題】内燃機関のオイルパン内の油面レベルを検出する油面レベルセンサにて早期の異常検出を可能とする。
【解決手段】油量が十分である状態でアッパースイッチが断線していなければ、エンジン始動前ではアッパースイッチは油面以下であるので出力値はオンを示すはずである。したがって始動後においてロアスイッチの出力値OILL=オフの状態(S208でyes)、すなわち全体の油量が十分な状態で、始動前のアッパースイッチの状態を示すアッパースイッチ初期値OILHiniがオフである場合は(S212でyes)、アッパースイッチは断線異常であると判定できる。このようにエンジン始動を挟んだ短時間の処理により異常判定を下すことができ、オイルパン内における油面レベルを検出する油面レベルセンサに対する早期の異常検出が可能となる。
【解決手段】油量が十分である状態でアッパースイッチが断線していなければ、エンジン始動前ではアッパースイッチは油面以下であるので出力値はオンを示すはずである。したがって始動後においてロアスイッチの出力値OILL=オフの状態(S208でyes)、すなわち全体の油量が十分な状態で、始動前のアッパースイッチの状態を示すアッパースイッチ初期値OILHiniがオフである場合は(S212でyes)、アッパースイッチは断線異常であると判定できる。このようにエンジン始動を挟んだ短時間の処理により異常判定を下すことができ、オイルパン内における油面レベルを検出する油面レベルセンサに対する早期の異常検出が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のオイルパン内の油面レベルを検出する油面レベルセンサの異常検出に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関のオイル不足を検出するためにオイルパン内に上下に2つの油面レベル検出部(具体的にはスイッチ)を設けた油面レベルセンサが用いられているが、このような油面レベルセンサにおいて、油面レベル検出部の異常を検出している技術が知られている(例えば特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開平3−130519号公報(第5頁、図3,5)
【特許文献2】特開平5−163923号公報(第3−4頁、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これら特許文献1,2では、車両走行時の油面の揺れにより、2つの油面レベル検出部の出力にて特定の組み合わせは長時間継続することはないことを前提として、出力の特定組み合わせが長時間継続した場合に油面レベル検出部が異常であるとの判定をしている。
【0004】
近年、内燃機関の排気浄化対策が重要視され、排気経路に、触媒やフィルタなどを配置して排気を浄化する装置が用いられている。このような排気浄化装置においては、内部に堆積したPMを燃焼により消滅させたり、触媒反応を促進あるいは継続させるために、燃焼室側から燃料を供給する場合がある。例えばディーゼルエンジンにおいては、アフター噴射やポスト噴射を実行する場合がある。
【0005】
このような燃料噴射が燃焼室内にて実行されると、シリンダ壁とピストンとの間からエンジンオイルに燃料が混入しやすくなる。この混入が進行すると、オイル粘度低下による焼き付きが生じたり、あるいはオイルパン内の油面が過剰に上昇して不必要なオイル漏出の発生、例えばブローバイガスをエンジン燃焼室に流すPCV経路にオイルが直接流れ込むおそれがある。
【0006】
したがってオイルへの燃料混入を早期に検出するために、内燃機関運転時にオイルパンの油面よりも上となる位置に油面レベル検出部を配置し、内燃機関運転時において継続して油面が油面レベル検出部よりも上であれば、オイルへの燃料混入が進行しておりオイルの交換が必要であると判定できる。
【0007】
しかし、このような油面レベル検出部が故障し、常に油面が下にあるとの信号を出力するようになった場合には、燃料混入が進んだことを判断できず、オイル粘度低下や油面過剰上昇といった問題を防止できなくなるおそれがある。
【0008】
これを解決するために、前述した特許文献1,2と同様の手法によって、正常であれば油面レベル検出部の出力が特定の出力を長時間継続することはないことを前提として、特定の出力状態が長時間継続した場合に油面レベル検出部が異常であると判定することが考えられる。
【0009】
しかしこのような異常判定をしていると、正確に判定するためには可成りの長時間を要し、このような長時間、異常判定ができず、異常に対して対策ができない場合にはオイルへの燃料混入が進行してしまいかねない。
【0010】
本発明は、内燃機関のオイルパン内の油面レベルを検出する油面レベルセンサにて早期の異常検出を可能とすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の油面レベルセンサ異常検出装置は、内燃機関のオイルパン内における第1油面レベルを境界として出力が変化する低レベル油面検出部と、第1油面レベルより高い第2油面レベルを境界として出力が変化する高レベル油面検出部とを備え、前記第1油面レベルと前記第2油面レベルとは内燃機関運転時における油面レベルを挟むと共に内燃機関停止時における油面レベル以下に前記第2油面レベルが設定されている油面レベルセンサにおける前記高レベル油面検出部の異常検出装置であって、内燃機関の始動前に前記高レベル油面検出部の出力を記憶する始動前高レベルセンサ出力記憶手段と、内燃機関の始動後において前記低レベル油面検出部が前記第1油面レベルより高い油面であることを示す出力を生じていて、かつ前記始動前高レベルセンサ出力記憶手段にて記憶された前記高レベル油面検出部の出力が前記第2油面レベルより低い油面であることを示している場合に前記高レベル油面検出部は異常であると判定する判定処理を実行する異常判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
油量が十分であって高レベル油面検出部が正常状態であれば、内燃機関始動前では高レベル油面検出部の出力は油面以下の位置であることを示すはずである。したがって内燃機関の始動後において前記低レベル油面検出部が第1油面レベルより高い油面であることを示す出力を生じている状態、すなわち内燃機関に十分に油量が存在する状態においては、この始動前では、油面は当然、第2油面レベル以上となっているはずである。
【0013】
したがって、異常判定手段の判定処理により、始動後において第1油面レベルより高い油面状態で、かつ始動前高レベルセンサ出力記憶手段にて記憶されている高レベル油面検出部の出力が第2油面レベルより低い油面であることを示している場合は、高レベル油面検出部は異常であると判定することができる。
【0014】
このように始動を挟んだ短時間の処理にて異常判定を下すことが可能となり、内燃機関のオイルパン内の油面レベルを検出する油面レベルセンサにて早期の異常検出が可能となる。
【0015】
請求項2に記載の油面レベルセンサ異常検出装置では、請求項1において、前記始動前高レベルセンサ出力記憶手段は、内燃機関の始動前にて、イグニッションスイッチがオンで、かつ内燃機関のクランク軸が回転停止状態にて、前記高レベル油面検出部の出力を記憶することを特徴とする。
【0016】
このような状態の内燃機関始動前では、オイルパン内にオイルが十分に戻っており、かつ油面がほとんど揺れていない状態にて、高レベル油面検出部の出力が得られるので、高精度な検出結果が記憶できる。したがって異常判定手段は高精度な判定処理が可能となる。
【0017】
請求項3に記載の油面レベルセンサ異常検出装置では、請求項1又は2において、内燃機関運転が停止している時間を計測又は推定して基準時間以上か否かを判定する停止時間判定手段を備え、前記異常判定手段は、前記停止時間判定手段にて直前の内燃機関停止時において基準時間以上長く内燃機関が停止していたと判定された時に前記始動前高レベルセンサ出力記憶手段により記憶された前記高レベル油面検出部の出力を用いて、前記判定処理を実行することを特徴とする。
【0018】
内燃機関の停止時間が十分長くないと、オイルが内燃機関の各部からオイルパンに十分に戻っておらず、オイルパンの油面が油量に対応する最高レベル又はその近傍に達していないことがある。
【0019】
このため異常判定手段は、停止時間判定手段にて直前の内燃機関停止時において基準時間以上長く内燃機関が停止していたと判定された時に始動前高レベルセンサ出力記憶手段により記憶された高レベル油面検出部の出力を用いて、判定処理を実行することとしている。このことにより異常判定手段は高精度な判定処理が可能となる。
【0020】
請求項4に記載の油面レベルセンサ異常検出装置では、請求項3において、前記停止時間判定手段は、内燃機関の温度低下推移に基づいて内燃機関が停止している時間の長さを推定することを特徴とする。
【0021】
内燃機関の停止時間を直接測定する以外に、このように内燃機関の温度(冷却水温やオイル温度など)の低下推移により、内燃機関運転が停止している時間の長さを推定して基準時間以上長いか否かを判定しても良い。
【0022】
請求項5に記載の油面レベルセンサ異常検出装置では、請求項4において、前記停止時間判定手段は、イグニッションスイッチがオフされた直後の内燃機関の温度である第1温度と、イグニッションスイッチがオンされた直後の内燃機関の温度である第2温度とを記憶する内燃機関停止時温度記憶手段を備え、該内燃機関停止時温度記憶手段により記憶されている前記第1温度と前記第2温度とに基づいて、前記第2温度が基準温度以下で、かつ前記第1温度から前記2温度を減算した値が基準温度差以上である状態を、基準時間以上長く内燃機関が停止していたと判定することを特徴とする。
【0023】
内燃機関の温度低下推移は上述したごとく2つの温度に基づくことにより、より正確に内燃機関運転が停止している時間の長さを推定でき、基準時間以上長いか否かを、より適切に判定できる。
【0024】
請求項6に記載の油面レベルセンサ異常検出装置では、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記異常判定手段の判定処理により前記高レベル油面検出部は異常であるとの判定が基準回数連続して生じた場合に、前記高レベル油面検出部の異常時対策処理を実行する異常時処理手段を備えたことを特徴とする。
【0025】
尚、異常判定手段にて異常判定がなされた場合にも、直ちに異常時対策処理を実行するのではなく、異常であるとの判定が基準回数連続した場合に、高レベル油面検出部の異常時対策処理を実行することにより、より確実な状態にて異常時対策処理を実行できる。
【0026】
請求項7に記載の油面レベルセンサ異常検出装置では、請求項1〜6のいずれかにおいて、内燃機関運転時における前記高レベル油面検出部の出力値は、オイル希釈判定処理に用いられていることを特徴とする。
【0027】
このように高レベル油面検出部の出力値が、特にオイル希釈判定処理に用いられるものである場合には、油面レベルセンサに対する早期の異常検出ができ、故障に迅速に対応できるので、オイルへの燃料混入に起因するオイル粘度低下や油面過剰上昇といった問題を未然に防止できる。
【0028】
請求項8に記載の油面レベルセンサ異常検出装置では、請求項1〜7のいずれかにおいて、前記油面レベルセンサはディーゼルエンジンのオイルパンに適用されると共に、該ディーゼルエンジンは排気浄化装置を昇温させるための燃料噴射を実行するディーゼルエンジンであることを特徴とする。
【0029】
このような燃料噴射を実行するディーゼルエンジンでは、オイルへの燃料混入が生じやすく、このことによりオイル粘度低下や油面過剰上昇を招きやすい。しかし、上述したごとく油面レベルセンサに対する早期の異常検出ができるので、異常に対して迅速かつ効果的に対処できることから、オイル粘度低下や油面過剰上昇を、一層効果的に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用された車載用のディーゼルエンジン2及び油面レベルセンサ異常検出装置としての処理を実行する電子制御ユニット(以下、ECUと称する)4の概略構成を表すブロック図である。
【0031】
ディーゼルエンジン2は、吸気管6を介して燃焼室8に空気を吸入し、ピストン10による圧縮後に燃料噴射弁12から燃料を噴射することにより燃焼室8内にて燃料を燃焼させている。燃焼後の排気は、排気管14及び排気管14に配置されたPM除去用フィルタ16(排気浄化装置に相当)を介して外部に排出される。尚、更にターボチャージャ等を配置させた構成でも良い。
【0032】
ここでPM除去用フィルタ16は、「DPNR」と称されるものであり、NOx浄化用触媒(ここではNOx吸蔵還元触媒)と捕集したPMを酸化する触媒とを担持したディーゼルパティキュレートフィルタである。これ以外のフィルタとしては、NSR(NOx吸蔵還元触媒)、DPF(NOx浄化用触媒が存在せずに捕集したパティキュレートを酸化する触媒を担持したディーゼルパティキュレートフィルタ)、CCO(酸化触媒)等でも良い。
【0033】
ディーゼルエンジン2の下部にはクランク軸18を収容するクランクケース20とエンジンオイルを貯留するためのオイルパン22が備えられている。このオイルパン22内に貯留されるオイルは、オイルパン22内に設けられたオイルポンプ24を通じて、燃焼室8を構成しているシリンダ26の内周面等のエンジンの各摺動部や、オイルを作動油として用いる油圧駆動部分に供給される。エンジンの各摺動部分の潤滑や油圧駆動に供された後のオイルは、ディーゼルエンジン2の各部に形成されている還流油路により再びオイルパン22内に還流して貯まるようになっている。
【0034】
シリンダヘッド28には、サプライポンプ30によって圧送される燃料を高圧状態のまま貯留して燃料噴射弁12に供給するためのコモンレール32が設けられている。燃料噴射弁12からは、圧縮上死点付近にて燃料を噴射して燃焼室8内で燃焼させる主燃料噴射が行われ、このことによりピストン10が押し下げられてクランク軸18からトルク出力がなされる。この主燃料噴射以外に、PM除去用フィルタ16においてPMの堆積量が増加すると、フィルタ機能が低下するのを防止するために燃料噴射を膨張行程終期から排気行程の間に噴射して排気中に燃料を添加させるポスト噴射が実行される。このことによりPM除去用フィルタ16に捕捉されたPMが燃焼除去されてフィルタ機能が回復する。
【0035】
尚、ディーゼルエンジン2にはクランク軸18の回転数NEを検出するための回転数センサ34、エンジンの冷却水温THWを検出するための冷却水温センサ36、オイルパン22内の油面レベルを検出する油面レベルセンサ38が設けられている。更に、アクセルペダルの踏み込み量を検出するためのアクセルセンサ40、車両の走行距離を検出するための走行距離センサ42などが設けられている。ECU4はこれらセンサ34〜42による検出信号や、イグニッションスイッチ44等からのスイッチ信号を検出し、各種演算制御に用いている。
【0036】
更にECU4は、その演算制御、特に異常検出処理により得られた結果を、車室内のインストルメントパネルに配置されている警告ランプ46,48に表示している。ここではオイルレベル異常警告ランプ46はオイルの交換を促す必要がある場合に点灯され、PM過剰堆積異常警告ランプ48はPM除去用フィルタ16に異常がある場合の警告を行うために点灯される。
【0037】
油面レベルセンサ38は、図2に示すごとく2つの油面検出部50,52を備えて、コネクタ54にてオイルパン22に固定されている。2つの油面検出部50,52の内で、低レベル油面検出部50は第1油面レベルLVL1を境界としてこれより油面が下ではオン、上ではオフを出力する検出部である。この低レベル油面検出部50は、ロアスイッチ50aが下側に備えられて、その上に形成されているガイド50bとその上端のストッパ50cとにより拘束されたフロートマグネット50dが設けられている。フロートマグネット50dはオイル56の表面に浮かせるためのフロートと磁石とを一体化させたものであり、ガイド50bにて、下端のロアスイッチ50aと上端のストッパ50cとの間で上下動のみ可能に拘束されている。
【0038】
高レベル油面検出部52は第1油面レベルLVL1より高い第2油面レベルLVL2を境界としてこれより油面が上ではオン、下ではオフを出力する検出部である。この高レベル油面検出部52は、低レベル油面検出部50とは上下逆の配置構成である。すなわちアッパースイッチ52aが上側に備えられて、その下に形成されているガイド52bとその下端のストッパ52cとにより拘束されたフロートマグネット52dが設けられている。フロートマグネット52dは低レベル油面検出部50のフロートマグネット50dと同じ構成であって油面に浮かぶ構成となっており、ガイド52bにて、上端のアッパースイッチ52aと下端のストッパ52cとの間で上下動のみ可能に拘束されている。
【0039】
油面レベルセンサ38の回路構成は図3に示すごとくである。ここで油面検出部50,52において、スイッチ50a,52aと並列に配置されている抵抗器50e,52eは、コネクタ54内に配置されているが、他の構成は図2に示したごとくオイルパン22内に配置されている。
【0040】
図2,3に示すごとくオイル56の油面が低レベル油面検出部50と高レベル油面検出部52との中間位置に存在する場合には、両スイッチ50a,52a共にオフとなり、ECU4に対する出力は、共に0Vと5Vの中間の電位、ここでは「2.5V」となる。
【0041】
オイル56の油面が低レベル油面検出部50より低い場合、すなわち油面が第1油面レベルLVL1以下の場合には、低レベル油面検出部50のフロートマグネット50dはロアスイッチ50aをオンとする位置で停止する。そして高レベル油面検出部52のフロートマグネット52dは下端のストッパ52cに当接して停止しアッパースイッチ52aはオフとなる。したがってECU4に対する高レベル油面検出部52側の出力は「2.5V」であるが、低レベル油面検出部50側の出力は「0V」となる。
【0042】
オイル56の油面が高レベル油面検出部52より高い場合、すなわち油面が第2油面レベルLVL2以上の場合には、高レベル油面検出部52のフロートマグネット52dはアッパースイッチ52aをオンとする位置で停止する。そして低レベル油面検出部50のフロートマグネット50dは上端のストッパ50cに当接して停止しロアスイッチ50aはオフとなる。したがってECU4に対する低レベル油面検出部50側の出力は「2.5V」であるが、高レベル油面検出部52側の出力は「0V」となる。
【0043】
尚、コネクタ54からECU4までの経路で断線が生じた場合はECU4に対する各油面検出部50,52の出力は「5V」であるが、オイルパン22内部の経路にて断線が生じた場合は各油面検出部50,52の出力は「2.5V」であってオフの時と同一信号となり信号だけでは区別できない。
【0044】
次にECU4により実行される処理の内、異常検出装置として行われる処理を、図4〜7のフローチャートに示す。本処理は一定時間周期で割り込み実行される。尚、個々の処理内容に対応するフローチャート中のステップを「S〜」で表す。
【0045】
エンジン停止時処理(図4)について説明する。本処理が開始されると、まずイグニッションスイッチ44がオンか否かが判定される(S100)。ここでオンであれば(S100でyes)、次にイグニッションスイッチ44が今回オンとなってから最初の処理か否かが判定される(S102)。ドライバーによりイグニッションスイッチ44がオンに操作された直後であれば(S102でyes)、始動時初期水温THWint(第2温度に相当)として、現在、冷却水温センサ36にて検出されているエンジンの冷却水温THWの値を、ECU4のメモリに記憶する(S104)。
【0046】
次に回転数センサ34にて検出されているエンジン回転数NEが0rpmか否かが判定され(S106)、更にスターターがオフ状態か否かが判定される(S108)。NE=0rpmで(S106でyes)、かつスターターがオフであれば(S108でyes)、この時のアッパースイッチ52aの出力値OILH(オン又はオフ)が、アッパースイッチ初期値OILHiniとしてECU4のメモリに記憶される(S110)。
【0047】
尚、イグニッションスイッチ44のオン時において(S100でyes)、2回目以降の処理であれば(S102でno)、ステップS104の処理はなされない。又、クランク軸18が回転していたり(S106でno)、スターターオンによりディーゼルエンジン2の始動処理に入っていた(S108でno)場合には、ステップS110の処理はなされない。
【0048】
イグニッションスイッチ44がオフされた場合には(S100でno)、次にオフ時における最初の処理か否かが判定される(S112)。最初であれば(S112でyes)、停止時水温THWend(第1温度に相当)として、現在、冷却水温センサ36にて検出されているエンジンの冷却水温THWの値を、ECU4のメモリに記憶する(S114)。
【0049】
アッパースイッチ断線判定処理(図5)について説明する。本処理では、まず今回のイグニッションスイッチ44のオン時に前記エンジン停止時処理(図4)にて始動時初期水温THWint及びアッパースイッチ初期値OILHiniが設定されたか、すなわち前記ステップS104と前記ステップS110とが実行されたか否かが判定される(S200)。
【0050】
ここで始動時初期水温THWint及びアッパースイッチ初期値OILHiniが設定されていなければ(S200でno)、このまま一旦処理を出る。
始動時初期水温THWint及びアッパースイッチ初期値OILHiniが設定されている場合は(S200でyes)、次にエンジン回転数NEが断線検出前提回転数NEUP以上となったか否かが判定される(S202)。断線検出前提回転数NEUPとしては、例えば始動完了を判定するための回転数やアイドル回転数の値が設定されている。ここでエンジン回転数NEが十分に上昇しておらず、NE<NEUPであれば(S202でno)、このまま一旦本処理を出る。
【0051】
NE≧NEUPとなれば(S202でyes)、次に始動時初期水温THWintが断線検出前提水温THWOILIN以下か否かが判定される(S204)。ここで断線検出前提水温THWOILINとしてはディーゼルエンジン2の運転が停止してから十分に時間が経過していることを判定するものであり、このような時間経過の判定は、ディーゼルエンジン2の各部に循環していたオイルがオイルパン22に十分に戻っている状態を判定するためである。
【0052】
ここでTHWint>THWOILINであれば(S204でno)、停止時間が十分に長くない状態で再始動が行われたことを示すことから、一旦本処理を出る。
THWint≦THWOILINであれば(S204でyes)、前回のエンジン停止時に前記エンジン停止時処理(図4)のステップS114で記憶した停止時水温THWendと今回のエンジン始動時に前記ステップS104で記憶した始動時初期水温THWintとを用いた判定を実行する(S206)。すなわち停止時水温THWendから始動時初期水温THWintを減算し、この値が断線検出前提温度差THWTRDL以上か否かを判定する(S206)。この断線検出前提温度差THWTRDLはディーゼルエンジン2の停止時と次の始動時との間で冷却水温THWに十分に差が存在することにより、十分な停止時間が確実か否かを判定するための基準温度差である。したがってステップS204とステップS206との両者にて、ディーゼルエンジン2の停止時間がアッパースイッチ52aの断線検出が可能な長さとなっているか否かを判定していることになる。
【0053】
ステップS206にてyesと判定されると、次にロアスイッチ50aの出力値OILLがオフか否かが判定される(S208)。更にこのOILL=オフ(S208でyes)の状態が判定許可時間継続したか否かが判定される(S210)。この一連の判定(S208,S210)は、ディーゼルエンジン2の始動後においても、オイルパン22内においてロアスイッチ50aよりも上に油面が安定して存在しているか否かを判定するものである。ステップS210にてyesと判定された場合は、燃料によるオイル希釈の有無にかかわらず、今回の始動時直前の状態では、オイルパン22内の油面はアッパースイッチ52aをオンとするレベルまで存在していたことが推定できる。
【0054】
尚、ステップS210にてnoと判定されている間は一旦本処理を出る。ステップS210にてnoと判定されている間に、ロアスイッチ50aの出力値OILLがオンとなった場合には(S208でno)、アッパースイッチ52aの断線判定には不適切状態であると判断される。このため、断線検出カウンタUPDCはクリアされて(S218)、断線時ランプ点灯フラグにオフが設定され(S220)、本処理を一旦出る。この断線時ランプ点灯フラグは後述する警告ランプ点灯処理(図7)にて点灯判定時に参照される。尚、各種フラグやカウンタなどは、ECU4の不揮発性メモリに記憶されている。
【0055】
OILL=オフ(S208でyes)の状態が判定許可時間継続すると(S210でyes)、次に前記エンジン停止時処理(図4)のステップS110にて記憶されているアッパースイッチ初期値OILHiniがオフか否かが判定される(S212)。前述したごとくステップS210にてyesと判定された状態では、直前のエンジン停止時においては、オイルパン22内の油面はアッパースイッチ52a以上のレベル、すなわち第2油面レベルLVL2以上の高さに存在していたはずである。したがってOILHini=オンである場合には(S212でno)、アッパースイッチ52aに断線異常はないとして、ステップS218に移行する。
【0056】
しかしOILHini=オフである場合には(S212でyes)、アッパースイッチ52aは断線であることによりオフを出力している、すなわち断線異常であると判断できる。そしてこのようにステップS212でyesの場合は、更にステップS212でyesとなったことが今回のトリップで最初か否かが判定される(S213)。今回のトリップにて最初であれば(S213でyes)、断線検出カウンタUPDCをカウントアップする(S214)。1トリップにおいて断線検出カウンタUPDCのカウントアップは1度のみであるので、今回のトリップにてステップS212がyesとなったことが2回目以降であれば(S213でno)、このまま本処理を一旦出る。
【0057】
ステップS214の次には、カウントアップされた断線検出カウンタUPDCの値が判定基準回数未満か否かを判定する(S216)。この判定基準回数は1回でも良く、数回でも良く、数十回以上でも良い。2回以上であれば、1回よりも正確な判断ができる。
【0058】
UPDC<判定基準回数であれば(S216でyes)、異常時対策処理の実行には早いので、このまま本処理を出る。そして次回以降のトリップでもステップS214に到達する状態が継続することで、UPDC=判定基準回数となれば(S216でno)、断線時ランプ点灯フラグがオンに設定される(S217)。そして一旦本処理を出る。
【0059】
このようにしてアッパースイッチ断線判定処理(図5)ではロアスイッチ50aの出力値OILLとアッパースイッチ52aの出力値OILHとに基づいてオイルレベル異常警告ランプ46の点灯有無を決定する断線時ランプ点灯フラグの設定を実行している。
【0060】
上述したごとくアッパースイッチ断線判定処理(図5)での断線判定の対象となっているアッパースイッチ52aの出力に基づいて実行されるオイル希釈判定処理(図6)について説明する。本処理も前記図4,5のフローチャートと同じ周期で繰り返し割り込み実行される。
【0061】
本処理が開始されると、まず現在、オイルレベル異常警告ランプ46が消灯状態か否かが判定される(S300)。既に点灯状態であれば(S300でno)、このまま一旦本処理を出る。尚、ステップS300では希釈時ランプ点灯フラグと断線時ランプ点灯フラグとの一方又は両方がオンである場合にnoと判定し、2つのランプ点灯フラグがオフである場合にyesと判定するようにしても良い。
【0062】
オイルレベル異常警告ランプ46が消灯状態であれば(S300でyes)、次に現在、冷却水温センサ36にて検出されている冷却水温THWが油面レベル検出前提水温THWxより高いか否かが判定される(S302)。THW>THWxであれば(S302でyes)、次に現在、回転数センサ34にて検出されているエンジン回転数NEが油面レベル検出前提回転数範囲内(NEx〜NEy)にあるか否かが判定される(S304)。これら油面検出条件(S302,S304)のいずれかがnoであれば、このまま一旦本処理を出る。
【0063】
THW>THWxで(S302でyes)、かつNEx<NE<NEyであれば(S304でyes)、次に油面検出条件(S302,S304)が共に成立している状態が、油面検出条件成立継続時間判定用の基準時間Cxより長く継続したか否かが判定される(S306)。油面検出条件(S302,S304)が共に成立しても基準時間Cx以下の継続時間であれば(S306でno)、このまま一旦、本処理を出る。
【0064】
そして油面検出条件(S302,S304)が共に成立している状態が基準時間Cxより長く継続すると(S306でyes)、次に現在のアッパースイッチ52aの出力値OILHがオンか否かが判定される(S308)。尚、油面検出条件(S302,S304)の成立状態が基準時間Cxより長く継続した状態は、オイルパン22内のオイルが十分にディーゼルエンジン2の各部に循環した状態である。このような状態では、オイルが燃料により希釈されていなければ、油面レベルセンサ38の配置は、油面がロアスイッチ50aとアッパースイッチ52aとの中間に位置するようにされている。したがってオイルが燃料で希釈されていなければOILH=オフとなるはずである。
【0065】
したがってOILH=オフであれば(S308でno)、このOILH=オフ状態での継続時間が、出力オフ継続時間判定用の基準時間Czより長く継続したか否かが判定される(S320)。基準時間Cz以下である間は(S320でno)、このまま一旦本処理を終了するが、OILH=オフ状態が基準時間Czより長く継続すれば(S320でyes)、希釈時ランプ点灯フラグ及び前トリップオイル交換フラグがオフに設定される(S322)。そして一旦本処理を出る。
【0066】
OILH=オンである場合には(S308でyes)、このOILH=オン状態での継続時間が、出力オン継続時間判定用の基準時間Cyより長く継続したか否かが判定される(S310)。基準時間Cy以下である間は(S310でno)、このまま一旦本処理を出るが、OILH=オン状態が基準時間Cyより長く継続すれば(S310でyes)、ステップS310でyesと判定されたことが今回のトリップで最初か否かが判定される(S312)。今回のトリップで既にステップS310でyesと判定されていて最初でなければ(S312でno)、このまま一旦本処理を出るが、最初であれば(S312でyes)、次に既にECU4内の不揮発メモリーに記憶されている前トリップオイル交換フラグがオンか否かが判定される(S314)。ここで前トリップオイル交換フラグがオンでなければ(S314でno)、前トリップオイル交換フラグにオンが設定されて(S318)、一旦本処理を出る。
【0067】
前トリップオイル交換フラグがオンであれば(S314でyes)、希釈時ランプ点灯フラグにオンを設定して(S316)、一旦本処理を出る。
このようにしてオイル希釈判定処理(図6)ではアッパースイッチ52aの出力値OILHに基づいてオイルレベル異常警告ランプ46の点灯有無を決定する希釈時ランプ点灯フラグの設定を実行している。
【0068】
次に断線時ランプ点灯フラグと希釈時ランプ点灯フラグとの設定状態に基づいて実行される警告ランプ点灯処理を図7のフローチャートに示す。本処理は前述した各処理と同周期で割り込み実行される。
【0069】
警告ランプ点灯処理(図7)が開始されると、まず断線時ランプ点灯フラグと希釈時ランプ点灯フラグといずれか一方又は両方がオンか否かが判定される(S400)。ここで断線時ランプ点灯フラグと希釈時ランプ点灯フラグとが共にオフである場合は(S400でno)、距離カウンタをクリアし(S412)、オイルレベル異常警告ランプ46を消灯して(S414)、一旦本処理を出る。
【0070】
断線時ランプ点灯フラグと希釈時ランプ点灯フラグといずれか一方又は両方がオンである場合には(S400でyes)、次に距離カウンタの値がPM再生禁止判定距離より小さいか否かが判定される(S402)。この距離カウンタは後述するごとくディーゼルエンジン2が搭載されている車両の走行距離をカウントするものである。距離カウンタがPM再生禁止判定距離より小さければ(S402でyes)、オイルレベル異常警告ランプ46が点灯される(S404)。そして距離カウンタに新たな走行分の距離が積算される(S406)。すなわち距離カウンタには、継続してステップS400にてyesと判定されている期間に車両が走行した距離が記憶されることになる。こうして一旦本処理を出る。
【0071】
ステップS400でyesと判定された状態で車両走行を繰り返した後に、積算カウンタがPM再生禁止判定距離以上となると(S402でno)、オイル希釈が継続した、あるいはオイル希釈判断用のアッパースイッチ52aの断線が継続したので、PM再生が禁止される(S408)。そしてこのことをドライバーに報知するためにオイルレベル異常警告ランプ46を点滅させる(S410)。こうして一旦本処理を出る。
【0072】
尚、ECU4において、別途、PM除去用フィルタ16に対するPM過堆積異常判定や破損異常判定が、PM除去用フィルタ16の上下流に圧力センサを設ける等により実行されている場合がある。このような判定により異常が判明した場合には、PM過剰堆積異常警告ランプ48の点灯を実行したり、アクセル操作量に対する燃料噴射量の制限などを実行する。
【0073】
図8〜11のタイミングチャートに本実施の形態の制御の一例を示す。図8はアッパースイッチ52aが正常な場合の例を示している。すなわちタイミングt0にてイグニッションスイッチ44がオフ(OFF)となり、タイミングt2にてオン(ON)となっていて、この間でアッパースイッチ52aの出力値OILHは、エンジン停止時における油面の上昇によりオフからオンに切り替わっている(t1)。したがってアッパースイッチ断線判定処理(図5)のステップS208にてyesと判定されたタイミングt3から判定許可時間経過後(t5)になされるステップS212の判定はnoとされて、ステップS218,S220が実行されることで、断線時ランプ点灯フラグはオフのままである(S220)。この時、オイル希釈判定処理(図6)では希釈時ランプ点灯フラグにオフが設定されていれば、警告ランプ点灯処理(図7)のステップS400にてnoと判定されて、オイルレベル異常警告ランプ46は消灯状態が維持される(S414)。尚、図8の例では、エンジン始動後のタイミングt4においてオイルパン22内の油面がアッパースイッチ52aより下となり、アッパースイッチ52aの出力値OILHはオンからオフに変化している。
【0074】
図9はアッパースイッチ52aの断線異常が生じた最初のトリップの例を示している。すなわちタイミングt10にてイグニッションスイッチ44がオフ(OFF)となり、タイミングt12にてオン(ON)となっている。しかし、この間のエンジン停止時において油面が上昇してアッパースイッチ52aの位置以上となっても(t11)、アッパースイッチ52aは断線しているので出力値OILHはオフのままである。したがってアッパースイッチ断線判定処理(図5)のステップS208にてyesと判定されたタイミングt13から判定許可時間経過後(t15)になされるステップS212の判定はyesとされる。そしてステップS213でもyesとされることで、断線検出カウンタUPDCのカウントアップがなされる(S214)。しかし断線異常となって最初の処理であるので(S216でyes)、断線時ランプ点灯フラグはオフのままである。したがってオイル希釈判定処理(図6)側にて希釈時ランプ点灯フラグ=オフであれば、警告ランプ点灯処理(図7)にてはステップS400にてnoと判定されて、オイルレベル異常警告ランプ46は消灯状態が維持される(S414)。尚、エンジン始動後のタイミングt14においてオイルパン22内の油面がアッパースイッチ52aより下となるが、アッパースイッチ52aは断線しているので出力値OILHに変化はない。
【0075】
図10は、図9の次のトリップ時にもアッパースイッチ52aが断線異常のままである例を示している。すなわちタイミングt20にてイグニッションスイッチ44がオフ(OFF)となり、タイミングt22にてオン(ON)となっている。しかし、この間のエンジン停止時において油面が上昇してアッパースイッチ52aの位置以上となっても(t21)、アッパースイッチ52aは断線しているので、今回も出力値OILHはオフのままである。したがってアッパースイッチ断線判定処理(図5)のステップS208にてyesと判定されたタイミングt23から判定許可時間経過後(t25)になされるステップS212の判定はyesとされる。そしてステップS213でもyesとされることで、断線検出カウンタUPDCのカウントアップがなされる(S214)。この場合は断線異常後にて連続した2回目の処理であるので(S216でno)、断線時ランプ点灯フラグはオンとなる(S217)。したがってオイル希釈判定処理(図6)で設定される希釈時ランプ点灯フラグの状態にかかわらず、警告ランプ点灯処理(図7)にてはステップS400にてyesと判定されて、当初はステップS402でyesであることから、オイルレベル異常警告ランプ46が点灯される(S404)。尚、エンジン始動後のタイミングt24においてオイルパン22内の油面がアッパースイッチ52aより下となるが、アッパースイッチ52aは断線しているので出力値OILHに変化はない。
【0076】
図11は、図9の次のトリップ時にアッパースイッチ52aが正常に戻った例を示している。すなわちタイミングt30にてイグニッションスイッチ44がオフ(OFF)となり、タイミングt32にてオン(ON)となっている。この間のエンジン停止時において油面が上昇してアッパースイッチ52aの位置以上となると(t31)、アッパースイッチ52aは正常に動作して出力値OILHはオフからオンに変化する。したがってアッパースイッチ断線判定処理(図5)のステップS208にてyesと判定されたタイミングt33から判定許可時間経過後(t35)になされるステップS212の判定はnoとされ、断線検出カウンタUPDCの値はクリアされ(S218)、断線時ランプ点灯フラグはオフに戻される(S220)。したがってオイル希釈判定処理(図6)側で希釈時ランプ点灯フラグがオフであれば、警告ランプ点灯処理(図7)にてはステップS400にてnoと判定されて、オイルレベル異常警告ランプ46は消灯される(S414)。尚、エンジン始動後のタイミングt34においてオイルパン22内の油面がアッパースイッチ52aより下となるので、アッパースイッチ52aの出力値OILHはオフに戻っている。
【0077】
上述した構成において、請求項との関係は、ECU4が実行する処理の内で、エンジン停止時処理(図4)が始動前高レベルセンサ出力記憶手段及び停止時間判定手段としての処理に相当する。アッパースイッチ断線判定処理(図5)が停止時間判定手段、異常判定手段及び異常時処理手段としての処理に相当する。エンジン停止処理(図4)のステップS102,S104,S112,S114とアッパースイッチ断線判定処理(図5)のステップS204,S206とが停止時間判定手段としての処理に相当する。この内でステップS102,S104,S112,S114が内燃機関停止時温度記憶手段としての処理に相当する。アッパースイッチ断線判定処理(図5)のステップS214,S216,S217及び警告ランプ点灯処理(図7)が異常時処理手段としての処理に相当する。この内でステップS404〜S410が異常時対策処理に相当する。
【0078】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).油量が十分である状態でアッパースイッチ52aが断線していなければ、エンジン始動前ではアッパースイッチ52aは油面以下であるので出力値OILHはオンを示すはずである。
【0079】
したがって始動後にロアスイッチ50aの出力値OILL=オフ(S208でyes)、すなわち全体の油量が十分な状態で、始動前のアッパースイッチ52aの状態を示すアッパースイッチ初期値OILHini=オフの場合は(S212でyes)、アッパースイッチ52aは断線異常であると判定できる。
【0080】
このようにディーゼルエンジン2の始動を挟んだ短時間の処理により異常判定を下すことができ、オイルパン22内における油面レベルを検出する油面レベルセンサ38に対する早期の異常検出が可能となる。
【0081】
(ロ).エンジン始動前にて、イグニッションスイッチ44がオンで(S100でyes)、かつディーゼルエンジン2のクランク軸18が回転停止状態(S106でyes,S108でyes)にて、アッパースイッチ初期値OILHiniの取得を実行している(S110)。
【0082】
このような状態は、オイルパン22に十分にオイルが戻っていて、かつ油面がほとんど揺れていない状態であるので、油面の高精度な検出結果が記憶でき、高精度な判定処理が可能となる。
【0083】
(ハ).ディーゼルエンジン2の停止時間が十分に長くないと、オイルがディーゼルエンジン2の各部からオイルパン22に十分に戻っておらず、オイルパン22の油面が油量に対応する最高レベル又はその近傍に達していないおそれがある。このため直前のディーゼルエンジン2の停止時間が基準時間よりも長く停止していたと判定された時に(S204でyes、S206でyes)、アッパースイッチ初期値OILHiniにて得られた油面レベル状態に基づいて判定処理を実行することとしている。
【0084】
特に、直接、ディーゼルエンジン2の停止時間を測定するのではなく、ディーゼルエンジン2の温度(ここでは冷却水温THW)の低下推移により、ディーゼルエンジン2が停止している時間を推定して判定しているので、簡易な構成にて停止時間が基準時間より長いか否かが判定できる。特にステップS204とステップS206との組み合わせによりエンジン停止時間が基準時間より長いか否かを推定しているので、より正確な推定ができる。
【0085】
このようにエンジン停止時にてオイルパン22の油面が油量に対応する最高レベル又はその近傍に達している状態で得られたアッパースイッチ初期値OILHiniを判定対象にしているので、高精度な判定処理が可能となる。
【0086】
(ニ).本実施の形態では、一度の異常判定(S212,S213でyes)で、アッパースイッチ52aの異常時対策処理、ここではオイルレベル異常警告ランプ46の点灯を実行するのではない。ここでは、アッパースイッチ52aの異常判定が基準回数連続した場合に、ここでは2回連続した場合に(S216でno)、断線時ランプ点灯フラグをオンとして(S217)、異常時対策処理(S404〜S410)を実行している。このことにより、より確実な状態にて異常時対策処理を実行できる。
【0087】
(ホ).上述したごとく常に断線異常の有無がチェックされているアッパースイッチ52aの出力値OILHに基づいてオイル希釈判定処理(図6)が実行されている。このことにより、オイル希釈判定に重要な役割を果たす油面レベルセンサ38に対する早期の異常検出ができ、故障に迅速に対応できるので、オイルへの燃料混入に起因するオイル粘度低下やオイルパン22の油面過剰上昇が未然に防止できる。
【0088】
(ヘ).特に、油面レベルセンサ38が適用されているディーゼルエンジン2は、PM除去用フィルタ16を昇温させるための燃料噴射(ポスト噴射)を実行するエンジンである。このようなディーゼルエンジン2では、オイルへの燃料混入が生じやすく、このためにオイル粘度低下やオイルパン22の油面過剰上昇を招きやすい。しかし、上述したごとく油面レベルセンサ38に対する早期の異常検出ができるので、異常に対して迅速かつ効果的に対処できることから、オイル粘度低下や油面過剰上昇を一層効果的に防止できる。
【0089】
[その他の実施の形態]
(a).前記実施の形態において、ディーゼルエンジン2の停止時間は、冷却水温THWの低下推移によって推定していたが、エンジン温度としては、冷却水温THW以外に、同様な手法によりオイル温度の低下推移にて判定しても良い。又、ディーゼルエンジン2の停止時間を、イグニッションスイッチ44のオフからオンまでの時間として、ECU4内にバックアップ電源により機能するタイマーを設けて、実際の停止時間を実測しても良い。
【0090】
(b).断線異常時とオイル希釈時とで共にオイルレベル異常警告ランプ46を点灯あるいは点滅していたが、断線異常時とオイル希釈時とで点灯状態を区別しても良い。例えば点灯色の変更、点滅の間隔、あるいはランプ自体を2つ設けて区別しても良い。
【0091】
(c).前記実施の形態では、オイルパンはディーゼルエンジンに設けられたものであったが、オイルの希釈などのように油量が過剰となる問題が存在する場合にはガソリンエンジンのオイルパンに対しても適用できる。
【0092】
(d).前記実施の形態において、低レベル油面検出部50は図2,3に示したごとく、第1油面レベルLVL1より油面が下ではオン、上ではオフを出力する検出部としたが、低レベル油面検出部50のみ上下を逆に配置して、第1油面レベルLVL1より油面が下ではオフ、上ではオンを出力する検出部としても良い。
【0093】
高レベル油面検出部52についても図2,3に示したごとく、第2油面レベルLVL2より油面が上ではオン、下ではオフを出力する検出部としたが、高レベル油面検出部52のみ上下を逆に配置して、第2油面レベルLVL2より油面が上ではオフ、下ではオンを出力する検出部としても良い。
【0094】
更に、低レベル油面検出部50と高レベル油面検出部52とを共に、図2,3に示した構成に対して上下を逆に配置して、上述したごとくにそれぞれオン・オフが逆の出力としても良い。
【0095】
このようにオン・オフを逆の出力にした場合には、前述した実施の形態の各処理における出力値OILL,OILH、及びアッパースイッチ初期値OILHiniの判定についても逆の出力についての判定をすることになる。
【0096】
特に、高レベル油面検出部52について上述したごとくオン・オフを逆の出力にした場合には、前記実施の形態に述べた断線(アッパースイッチ52aがオンしないオン作動異常を含む)判定ではなく、短絡異常(アッパースイッチ52aがオフしないオフ作動異常を含む)判定となる。
【0097】
(e).前記実施の形態では、各油面検出部50,52はスイッチ50a,52aを用いてオン・オフ信号を出力するものであるが、油面レベルLVL1,LVL2を境界にして出力が変化する検出部であればスイッチ以外のものも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】実施の形態1の車載用ディーゼルエンジン及びECUのブロック図。
【図2】実施の形態1の油面レベルセンサの構成説明図。
【図3】同じく油面レベルセンサの回路図。
【図4】実施の形態1のECUが実行するエンジン停止時処理のフローチャート。
【図5】同じくアッパースイッチ断線判定処理のフローチャート。
【図6】同じくオイル希釈判定処理のフローチャート。
【図7】同じく警告ランプ点灯処理のフローチャート。
【図8】実施の形態1における制御の一例を示すタイミングチャート。
【図9】同じく制御の一例を示すタイミングチャート。
【図10】同じく制御の一例を示すタイミングチャート。
【図11】同じく制御の一例を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0099】
2…ディーゼルエンジン、4…ECU、6…吸気管、8…燃焼室、10…ピストン、12…燃料噴射弁、14…排気管、16…PM除去用フィルタ、18…クランク軸、20…クランクケース、22…オイルパン、24…オイルポンプ、26…シリンダ、28…シリンダヘッド、30…サプライポンプ、32…コモンレール、34…回転数センサ、36…冷却水温センサ、38…油面レベルセンサ、40…アクセルセンサ、42…走行距離センサ、44…イグニッションスイッチ、46…オイルレベル異常警告ランプ、48…PM過剰堆積異常警告ランプ、50…低レベル油面検出部、50a…ロアスイッチ、50b…ガイド、50c…ストッパ、50d…フロートマグネット、50e…抵抗器、52…高レベル油面検出部、52a…アッパースイッチ、52b…ガイド、52c…ストッパ、52d…フロートマグネット、52e…抵抗器、54…コネクタ、56…オイル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のオイルパン内の油面レベルを検出する油面レベルセンサの異常検出に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関のオイル不足を検出するためにオイルパン内に上下に2つの油面レベル検出部(具体的にはスイッチ)を設けた油面レベルセンサが用いられているが、このような油面レベルセンサにおいて、油面レベル検出部の異常を検出している技術が知られている(例えば特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開平3−130519号公報(第5頁、図3,5)
【特許文献2】特開平5−163923号公報(第3−4頁、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これら特許文献1,2では、車両走行時の油面の揺れにより、2つの油面レベル検出部の出力にて特定の組み合わせは長時間継続することはないことを前提として、出力の特定組み合わせが長時間継続した場合に油面レベル検出部が異常であるとの判定をしている。
【0004】
近年、内燃機関の排気浄化対策が重要視され、排気経路に、触媒やフィルタなどを配置して排気を浄化する装置が用いられている。このような排気浄化装置においては、内部に堆積したPMを燃焼により消滅させたり、触媒反応を促進あるいは継続させるために、燃焼室側から燃料を供給する場合がある。例えばディーゼルエンジンにおいては、アフター噴射やポスト噴射を実行する場合がある。
【0005】
このような燃料噴射が燃焼室内にて実行されると、シリンダ壁とピストンとの間からエンジンオイルに燃料が混入しやすくなる。この混入が進行すると、オイル粘度低下による焼き付きが生じたり、あるいはオイルパン内の油面が過剰に上昇して不必要なオイル漏出の発生、例えばブローバイガスをエンジン燃焼室に流すPCV経路にオイルが直接流れ込むおそれがある。
【0006】
したがってオイルへの燃料混入を早期に検出するために、内燃機関運転時にオイルパンの油面よりも上となる位置に油面レベル検出部を配置し、内燃機関運転時において継続して油面が油面レベル検出部よりも上であれば、オイルへの燃料混入が進行しておりオイルの交換が必要であると判定できる。
【0007】
しかし、このような油面レベル検出部が故障し、常に油面が下にあるとの信号を出力するようになった場合には、燃料混入が進んだことを判断できず、オイル粘度低下や油面過剰上昇といった問題を防止できなくなるおそれがある。
【0008】
これを解決するために、前述した特許文献1,2と同様の手法によって、正常であれば油面レベル検出部の出力が特定の出力を長時間継続することはないことを前提として、特定の出力状態が長時間継続した場合に油面レベル検出部が異常であると判定することが考えられる。
【0009】
しかしこのような異常判定をしていると、正確に判定するためには可成りの長時間を要し、このような長時間、異常判定ができず、異常に対して対策ができない場合にはオイルへの燃料混入が進行してしまいかねない。
【0010】
本発明は、内燃機関のオイルパン内の油面レベルを検出する油面レベルセンサにて早期の異常検出を可能とすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の油面レベルセンサ異常検出装置は、内燃機関のオイルパン内における第1油面レベルを境界として出力が変化する低レベル油面検出部と、第1油面レベルより高い第2油面レベルを境界として出力が変化する高レベル油面検出部とを備え、前記第1油面レベルと前記第2油面レベルとは内燃機関運転時における油面レベルを挟むと共に内燃機関停止時における油面レベル以下に前記第2油面レベルが設定されている油面レベルセンサにおける前記高レベル油面検出部の異常検出装置であって、内燃機関の始動前に前記高レベル油面検出部の出力を記憶する始動前高レベルセンサ出力記憶手段と、内燃機関の始動後において前記低レベル油面検出部が前記第1油面レベルより高い油面であることを示す出力を生じていて、かつ前記始動前高レベルセンサ出力記憶手段にて記憶された前記高レベル油面検出部の出力が前記第2油面レベルより低い油面であることを示している場合に前記高レベル油面検出部は異常であると判定する判定処理を実行する異常判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
油量が十分であって高レベル油面検出部が正常状態であれば、内燃機関始動前では高レベル油面検出部の出力は油面以下の位置であることを示すはずである。したがって内燃機関の始動後において前記低レベル油面検出部が第1油面レベルより高い油面であることを示す出力を生じている状態、すなわち内燃機関に十分に油量が存在する状態においては、この始動前では、油面は当然、第2油面レベル以上となっているはずである。
【0013】
したがって、異常判定手段の判定処理により、始動後において第1油面レベルより高い油面状態で、かつ始動前高レベルセンサ出力記憶手段にて記憶されている高レベル油面検出部の出力が第2油面レベルより低い油面であることを示している場合は、高レベル油面検出部は異常であると判定することができる。
【0014】
このように始動を挟んだ短時間の処理にて異常判定を下すことが可能となり、内燃機関のオイルパン内の油面レベルを検出する油面レベルセンサにて早期の異常検出が可能となる。
【0015】
請求項2に記載の油面レベルセンサ異常検出装置では、請求項1において、前記始動前高レベルセンサ出力記憶手段は、内燃機関の始動前にて、イグニッションスイッチがオンで、かつ内燃機関のクランク軸が回転停止状態にて、前記高レベル油面検出部の出力を記憶することを特徴とする。
【0016】
このような状態の内燃機関始動前では、オイルパン内にオイルが十分に戻っており、かつ油面がほとんど揺れていない状態にて、高レベル油面検出部の出力が得られるので、高精度な検出結果が記憶できる。したがって異常判定手段は高精度な判定処理が可能となる。
【0017】
請求項3に記載の油面レベルセンサ異常検出装置では、請求項1又は2において、内燃機関運転が停止している時間を計測又は推定して基準時間以上か否かを判定する停止時間判定手段を備え、前記異常判定手段は、前記停止時間判定手段にて直前の内燃機関停止時において基準時間以上長く内燃機関が停止していたと判定された時に前記始動前高レベルセンサ出力記憶手段により記憶された前記高レベル油面検出部の出力を用いて、前記判定処理を実行することを特徴とする。
【0018】
内燃機関の停止時間が十分長くないと、オイルが内燃機関の各部からオイルパンに十分に戻っておらず、オイルパンの油面が油量に対応する最高レベル又はその近傍に達していないことがある。
【0019】
このため異常判定手段は、停止時間判定手段にて直前の内燃機関停止時において基準時間以上長く内燃機関が停止していたと判定された時に始動前高レベルセンサ出力記憶手段により記憶された高レベル油面検出部の出力を用いて、判定処理を実行することとしている。このことにより異常判定手段は高精度な判定処理が可能となる。
【0020】
請求項4に記載の油面レベルセンサ異常検出装置では、請求項3において、前記停止時間判定手段は、内燃機関の温度低下推移に基づいて内燃機関が停止している時間の長さを推定することを特徴とする。
【0021】
内燃機関の停止時間を直接測定する以外に、このように内燃機関の温度(冷却水温やオイル温度など)の低下推移により、内燃機関運転が停止している時間の長さを推定して基準時間以上長いか否かを判定しても良い。
【0022】
請求項5に記載の油面レベルセンサ異常検出装置では、請求項4において、前記停止時間判定手段は、イグニッションスイッチがオフされた直後の内燃機関の温度である第1温度と、イグニッションスイッチがオンされた直後の内燃機関の温度である第2温度とを記憶する内燃機関停止時温度記憶手段を備え、該内燃機関停止時温度記憶手段により記憶されている前記第1温度と前記第2温度とに基づいて、前記第2温度が基準温度以下で、かつ前記第1温度から前記2温度を減算した値が基準温度差以上である状態を、基準時間以上長く内燃機関が停止していたと判定することを特徴とする。
【0023】
内燃機関の温度低下推移は上述したごとく2つの温度に基づくことにより、より正確に内燃機関運転が停止している時間の長さを推定でき、基準時間以上長いか否かを、より適切に判定できる。
【0024】
請求項6に記載の油面レベルセンサ異常検出装置では、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記異常判定手段の判定処理により前記高レベル油面検出部は異常であるとの判定が基準回数連続して生じた場合に、前記高レベル油面検出部の異常時対策処理を実行する異常時処理手段を備えたことを特徴とする。
【0025】
尚、異常判定手段にて異常判定がなされた場合にも、直ちに異常時対策処理を実行するのではなく、異常であるとの判定が基準回数連続した場合に、高レベル油面検出部の異常時対策処理を実行することにより、より確実な状態にて異常時対策処理を実行できる。
【0026】
請求項7に記載の油面レベルセンサ異常検出装置では、請求項1〜6のいずれかにおいて、内燃機関運転時における前記高レベル油面検出部の出力値は、オイル希釈判定処理に用いられていることを特徴とする。
【0027】
このように高レベル油面検出部の出力値が、特にオイル希釈判定処理に用いられるものである場合には、油面レベルセンサに対する早期の異常検出ができ、故障に迅速に対応できるので、オイルへの燃料混入に起因するオイル粘度低下や油面過剰上昇といった問題を未然に防止できる。
【0028】
請求項8に記載の油面レベルセンサ異常検出装置では、請求項1〜7のいずれかにおいて、前記油面レベルセンサはディーゼルエンジンのオイルパンに適用されると共に、該ディーゼルエンジンは排気浄化装置を昇温させるための燃料噴射を実行するディーゼルエンジンであることを特徴とする。
【0029】
このような燃料噴射を実行するディーゼルエンジンでは、オイルへの燃料混入が生じやすく、このことによりオイル粘度低下や油面過剰上昇を招きやすい。しかし、上述したごとく油面レベルセンサに対する早期の異常検出ができるので、異常に対して迅速かつ効果的に対処できることから、オイル粘度低下や油面過剰上昇を、一層効果的に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用された車載用のディーゼルエンジン2及び油面レベルセンサ異常検出装置としての処理を実行する電子制御ユニット(以下、ECUと称する)4の概略構成を表すブロック図である。
【0031】
ディーゼルエンジン2は、吸気管6を介して燃焼室8に空気を吸入し、ピストン10による圧縮後に燃料噴射弁12から燃料を噴射することにより燃焼室8内にて燃料を燃焼させている。燃焼後の排気は、排気管14及び排気管14に配置されたPM除去用フィルタ16(排気浄化装置に相当)を介して外部に排出される。尚、更にターボチャージャ等を配置させた構成でも良い。
【0032】
ここでPM除去用フィルタ16は、「DPNR」と称されるものであり、NOx浄化用触媒(ここではNOx吸蔵還元触媒)と捕集したPMを酸化する触媒とを担持したディーゼルパティキュレートフィルタである。これ以外のフィルタとしては、NSR(NOx吸蔵還元触媒)、DPF(NOx浄化用触媒が存在せずに捕集したパティキュレートを酸化する触媒を担持したディーゼルパティキュレートフィルタ)、CCO(酸化触媒)等でも良い。
【0033】
ディーゼルエンジン2の下部にはクランク軸18を収容するクランクケース20とエンジンオイルを貯留するためのオイルパン22が備えられている。このオイルパン22内に貯留されるオイルは、オイルパン22内に設けられたオイルポンプ24を通じて、燃焼室8を構成しているシリンダ26の内周面等のエンジンの各摺動部や、オイルを作動油として用いる油圧駆動部分に供給される。エンジンの各摺動部分の潤滑や油圧駆動に供された後のオイルは、ディーゼルエンジン2の各部に形成されている還流油路により再びオイルパン22内に還流して貯まるようになっている。
【0034】
シリンダヘッド28には、サプライポンプ30によって圧送される燃料を高圧状態のまま貯留して燃料噴射弁12に供給するためのコモンレール32が設けられている。燃料噴射弁12からは、圧縮上死点付近にて燃料を噴射して燃焼室8内で燃焼させる主燃料噴射が行われ、このことによりピストン10が押し下げられてクランク軸18からトルク出力がなされる。この主燃料噴射以外に、PM除去用フィルタ16においてPMの堆積量が増加すると、フィルタ機能が低下するのを防止するために燃料噴射を膨張行程終期から排気行程の間に噴射して排気中に燃料を添加させるポスト噴射が実行される。このことによりPM除去用フィルタ16に捕捉されたPMが燃焼除去されてフィルタ機能が回復する。
【0035】
尚、ディーゼルエンジン2にはクランク軸18の回転数NEを検出するための回転数センサ34、エンジンの冷却水温THWを検出するための冷却水温センサ36、オイルパン22内の油面レベルを検出する油面レベルセンサ38が設けられている。更に、アクセルペダルの踏み込み量を検出するためのアクセルセンサ40、車両の走行距離を検出するための走行距離センサ42などが設けられている。ECU4はこれらセンサ34〜42による検出信号や、イグニッションスイッチ44等からのスイッチ信号を検出し、各種演算制御に用いている。
【0036】
更にECU4は、その演算制御、特に異常検出処理により得られた結果を、車室内のインストルメントパネルに配置されている警告ランプ46,48に表示している。ここではオイルレベル異常警告ランプ46はオイルの交換を促す必要がある場合に点灯され、PM過剰堆積異常警告ランプ48はPM除去用フィルタ16に異常がある場合の警告を行うために点灯される。
【0037】
油面レベルセンサ38は、図2に示すごとく2つの油面検出部50,52を備えて、コネクタ54にてオイルパン22に固定されている。2つの油面検出部50,52の内で、低レベル油面検出部50は第1油面レベルLVL1を境界としてこれより油面が下ではオン、上ではオフを出力する検出部である。この低レベル油面検出部50は、ロアスイッチ50aが下側に備えられて、その上に形成されているガイド50bとその上端のストッパ50cとにより拘束されたフロートマグネット50dが設けられている。フロートマグネット50dはオイル56の表面に浮かせるためのフロートと磁石とを一体化させたものであり、ガイド50bにて、下端のロアスイッチ50aと上端のストッパ50cとの間で上下動のみ可能に拘束されている。
【0038】
高レベル油面検出部52は第1油面レベルLVL1より高い第2油面レベルLVL2を境界としてこれより油面が上ではオン、下ではオフを出力する検出部である。この高レベル油面検出部52は、低レベル油面検出部50とは上下逆の配置構成である。すなわちアッパースイッチ52aが上側に備えられて、その下に形成されているガイド52bとその下端のストッパ52cとにより拘束されたフロートマグネット52dが設けられている。フロートマグネット52dは低レベル油面検出部50のフロートマグネット50dと同じ構成であって油面に浮かぶ構成となっており、ガイド52bにて、上端のアッパースイッチ52aと下端のストッパ52cとの間で上下動のみ可能に拘束されている。
【0039】
油面レベルセンサ38の回路構成は図3に示すごとくである。ここで油面検出部50,52において、スイッチ50a,52aと並列に配置されている抵抗器50e,52eは、コネクタ54内に配置されているが、他の構成は図2に示したごとくオイルパン22内に配置されている。
【0040】
図2,3に示すごとくオイル56の油面が低レベル油面検出部50と高レベル油面検出部52との中間位置に存在する場合には、両スイッチ50a,52a共にオフとなり、ECU4に対する出力は、共に0Vと5Vの中間の電位、ここでは「2.5V」となる。
【0041】
オイル56の油面が低レベル油面検出部50より低い場合、すなわち油面が第1油面レベルLVL1以下の場合には、低レベル油面検出部50のフロートマグネット50dはロアスイッチ50aをオンとする位置で停止する。そして高レベル油面検出部52のフロートマグネット52dは下端のストッパ52cに当接して停止しアッパースイッチ52aはオフとなる。したがってECU4に対する高レベル油面検出部52側の出力は「2.5V」であるが、低レベル油面検出部50側の出力は「0V」となる。
【0042】
オイル56の油面が高レベル油面検出部52より高い場合、すなわち油面が第2油面レベルLVL2以上の場合には、高レベル油面検出部52のフロートマグネット52dはアッパースイッチ52aをオンとする位置で停止する。そして低レベル油面検出部50のフロートマグネット50dは上端のストッパ50cに当接して停止しロアスイッチ50aはオフとなる。したがってECU4に対する低レベル油面検出部50側の出力は「2.5V」であるが、高レベル油面検出部52側の出力は「0V」となる。
【0043】
尚、コネクタ54からECU4までの経路で断線が生じた場合はECU4に対する各油面検出部50,52の出力は「5V」であるが、オイルパン22内部の経路にて断線が生じた場合は各油面検出部50,52の出力は「2.5V」であってオフの時と同一信号となり信号だけでは区別できない。
【0044】
次にECU4により実行される処理の内、異常検出装置として行われる処理を、図4〜7のフローチャートに示す。本処理は一定時間周期で割り込み実行される。尚、個々の処理内容に対応するフローチャート中のステップを「S〜」で表す。
【0045】
エンジン停止時処理(図4)について説明する。本処理が開始されると、まずイグニッションスイッチ44がオンか否かが判定される(S100)。ここでオンであれば(S100でyes)、次にイグニッションスイッチ44が今回オンとなってから最初の処理か否かが判定される(S102)。ドライバーによりイグニッションスイッチ44がオンに操作された直後であれば(S102でyes)、始動時初期水温THWint(第2温度に相当)として、現在、冷却水温センサ36にて検出されているエンジンの冷却水温THWの値を、ECU4のメモリに記憶する(S104)。
【0046】
次に回転数センサ34にて検出されているエンジン回転数NEが0rpmか否かが判定され(S106)、更にスターターがオフ状態か否かが判定される(S108)。NE=0rpmで(S106でyes)、かつスターターがオフであれば(S108でyes)、この時のアッパースイッチ52aの出力値OILH(オン又はオフ)が、アッパースイッチ初期値OILHiniとしてECU4のメモリに記憶される(S110)。
【0047】
尚、イグニッションスイッチ44のオン時において(S100でyes)、2回目以降の処理であれば(S102でno)、ステップS104の処理はなされない。又、クランク軸18が回転していたり(S106でno)、スターターオンによりディーゼルエンジン2の始動処理に入っていた(S108でno)場合には、ステップS110の処理はなされない。
【0048】
イグニッションスイッチ44がオフされた場合には(S100でno)、次にオフ時における最初の処理か否かが判定される(S112)。最初であれば(S112でyes)、停止時水温THWend(第1温度に相当)として、現在、冷却水温センサ36にて検出されているエンジンの冷却水温THWの値を、ECU4のメモリに記憶する(S114)。
【0049】
アッパースイッチ断線判定処理(図5)について説明する。本処理では、まず今回のイグニッションスイッチ44のオン時に前記エンジン停止時処理(図4)にて始動時初期水温THWint及びアッパースイッチ初期値OILHiniが設定されたか、すなわち前記ステップS104と前記ステップS110とが実行されたか否かが判定される(S200)。
【0050】
ここで始動時初期水温THWint及びアッパースイッチ初期値OILHiniが設定されていなければ(S200でno)、このまま一旦処理を出る。
始動時初期水温THWint及びアッパースイッチ初期値OILHiniが設定されている場合は(S200でyes)、次にエンジン回転数NEが断線検出前提回転数NEUP以上となったか否かが判定される(S202)。断線検出前提回転数NEUPとしては、例えば始動完了を判定するための回転数やアイドル回転数の値が設定されている。ここでエンジン回転数NEが十分に上昇しておらず、NE<NEUPであれば(S202でno)、このまま一旦本処理を出る。
【0051】
NE≧NEUPとなれば(S202でyes)、次に始動時初期水温THWintが断線検出前提水温THWOILIN以下か否かが判定される(S204)。ここで断線検出前提水温THWOILINとしてはディーゼルエンジン2の運転が停止してから十分に時間が経過していることを判定するものであり、このような時間経過の判定は、ディーゼルエンジン2の各部に循環していたオイルがオイルパン22に十分に戻っている状態を判定するためである。
【0052】
ここでTHWint>THWOILINであれば(S204でno)、停止時間が十分に長くない状態で再始動が行われたことを示すことから、一旦本処理を出る。
THWint≦THWOILINであれば(S204でyes)、前回のエンジン停止時に前記エンジン停止時処理(図4)のステップS114で記憶した停止時水温THWendと今回のエンジン始動時に前記ステップS104で記憶した始動時初期水温THWintとを用いた判定を実行する(S206)。すなわち停止時水温THWendから始動時初期水温THWintを減算し、この値が断線検出前提温度差THWTRDL以上か否かを判定する(S206)。この断線検出前提温度差THWTRDLはディーゼルエンジン2の停止時と次の始動時との間で冷却水温THWに十分に差が存在することにより、十分な停止時間が確実か否かを判定するための基準温度差である。したがってステップS204とステップS206との両者にて、ディーゼルエンジン2の停止時間がアッパースイッチ52aの断線検出が可能な長さとなっているか否かを判定していることになる。
【0053】
ステップS206にてyesと判定されると、次にロアスイッチ50aの出力値OILLがオフか否かが判定される(S208)。更にこのOILL=オフ(S208でyes)の状態が判定許可時間継続したか否かが判定される(S210)。この一連の判定(S208,S210)は、ディーゼルエンジン2の始動後においても、オイルパン22内においてロアスイッチ50aよりも上に油面が安定して存在しているか否かを判定するものである。ステップS210にてyesと判定された場合は、燃料によるオイル希釈の有無にかかわらず、今回の始動時直前の状態では、オイルパン22内の油面はアッパースイッチ52aをオンとするレベルまで存在していたことが推定できる。
【0054】
尚、ステップS210にてnoと判定されている間は一旦本処理を出る。ステップS210にてnoと判定されている間に、ロアスイッチ50aの出力値OILLがオンとなった場合には(S208でno)、アッパースイッチ52aの断線判定には不適切状態であると判断される。このため、断線検出カウンタUPDCはクリアされて(S218)、断線時ランプ点灯フラグにオフが設定され(S220)、本処理を一旦出る。この断線時ランプ点灯フラグは後述する警告ランプ点灯処理(図7)にて点灯判定時に参照される。尚、各種フラグやカウンタなどは、ECU4の不揮発性メモリに記憶されている。
【0055】
OILL=オフ(S208でyes)の状態が判定許可時間継続すると(S210でyes)、次に前記エンジン停止時処理(図4)のステップS110にて記憶されているアッパースイッチ初期値OILHiniがオフか否かが判定される(S212)。前述したごとくステップS210にてyesと判定された状態では、直前のエンジン停止時においては、オイルパン22内の油面はアッパースイッチ52a以上のレベル、すなわち第2油面レベルLVL2以上の高さに存在していたはずである。したがってOILHini=オンである場合には(S212でno)、アッパースイッチ52aに断線異常はないとして、ステップS218に移行する。
【0056】
しかしOILHini=オフである場合には(S212でyes)、アッパースイッチ52aは断線であることによりオフを出力している、すなわち断線異常であると判断できる。そしてこのようにステップS212でyesの場合は、更にステップS212でyesとなったことが今回のトリップで最初か否かが判定される(S213)。今回のトリップにて最初であれば(S213でyes)、断線検出カウンタUPDCをカウントアップする(S214)。1トリップにおいて断線検出カウンタUPDCのカウントアップは1度のみであるので、今回のトリップにてステップS212がyesとなったことが2回目以降であれば(S213でno)、このまま本処理を一旦出る。
【0057】
ステップS214の次には、カウントアップされた断線検出カウンタUPDCの値が判定基準回数未満か否かを判定する(S216)。この判定基準回数は1回でも良く、数回でも良く、数十回以上でも良い。2回以上であれば、1回よりも正確な判断ができる。
【0058】
UPDC<判定基準回数であれば(S216でyes)、異常時対策処理の実行には早いので、このまま本処理を出る。そして次回以降のトリップでもステップS214に到達する状態が継続することで、UPDC=判定基準回数となれば(S216でno)、断線時ランプ点灯フラグがオンに設定される(S217)。そして一旦本処理を出る。
【0059】
このようにしてアッパースイッチ断線判定処理(図5)ではロアスイッチ50aの出力値OILLとアッパースイッチ52aの出力値OILHとに基づいてオイルレベル異常警告ランプ46の点灯有無を決定する断線時ランプ点灯フラグの設定を実行している。
【0060】
上述したごとくアッパースイッチ断線判定処理(図5)での断線判定の対象となっているアッパースイッチ52aの出力に基づいて実行されるオイル希釈判定処理(図6)について説明する。本処理も前記図4,5のフローチャートと同じ周期で繰り返し割り込み実行される。
【0061】
本処理が開始されると、まず現在、オイルレベル異常警告ランプ46が消灯状態か否かが判定される(S300)。既に点灯状態であれば(S300でno)、このまま一旦本処理を出る。尚、ステップS300では希釈時ランプ点灯フラグと断線時ランプ点灯フラグとの一方又は両方がオンである場合にnoと判定し、2つのランプ点灯フラグがオフである場合にyesと判定するようにしても良い。
【0062】
オイルレベル異常警告ランプ46が消灯状態であれば(S300でyes)、次に現在、冷却水温センサ36にて検出されている冷却水温THWが油面レベル検出前提水温THWxより高いか否かが判定される(S302)。THW>THWxであれば(S302でyes)、次に現在、回転数センサ34にて検出されているエンジン回転数NEが油面レベル検出前提回転数範囲内(NEx〜NEy)にあるか否かが判定される(S304)。これら油面検出条件(S302,S304)のいずれかがnoであれば、このまま一旦本処理を出る。
【0063】
THW>THWxで(S302でyes)、かつNEx<NE<NEyであれば(S304でyes)、次に油面検出条件(S302,S304)が共に成立している状態が、油面検出条件成立継続時間判定用の基準時間Cxより長く継続したか否かが判定される(S306)。油面検出条件(S302,S304)が共に成立しても基準時間Cx以下の継続時間であれば(S306でno)、このまま一旦、本処理を出る。
【0064】
そして油面検出条件(S302,S304)が共に成立している状態が基準時間Cxより長く継続すると(S306でyes)、次に現在のアッパースイッチ52aの出力値OILHがオンか否かが判定される(S308)。尚、油面検出条件(S302,S304)の成立状態が基準時間Cxより長く継続した状態は、オイルパン22内のオイルが十分にディーゼルエンジン2の各部に循環した状態である。このような状態では、オイルが燃料により希釈されていなければ、油面レベルセンサ38の配置は、油面がロアスイッチ50aとアッパースイッチ52aとの中間に位置するようにされている。したがってオイルが燃料で希釈されていなければOILH=オフとなるはずである。
【0065】
したがってOILH=オフであれば(S308でno)、このOILH=オフ状態での継続時間が、出力オフ継続時間判定用の基準時間Czより長く継続したか否かが判定される(S320)。基準時間Cz以下である間は(S320でno)、このまま一旦本処理を終了するが、OILH=オフ状態が基準時間Czより長く継続すれば(S320でyes)、希釈時ランプ点灯フラグ及び前トリップオイル交換フラグがオフに設定される(S322)。そして一旦本処理を出る。
【0066】
OILH=オンである場合には(S308でyes)、このOILH=オン状態での継続時間が、出力オン継続時間判定用の基準時間Cyより長く継続したか否かが判定される(S310)。基準時間Cy以下である間は(S310でno)、このまま一旦本処理を出るが、OILH=オン状態が基準時間Cyより長く継続すれば(S310でyes)、ステップS310でyesと判定されたことが今回のトリップで最初か否かが判定される(S312)。今回のトリップで既にステップS310でyesと判定されていて最初でなければ(S312でno)、このまま一旦本処理を出るが、最初であれば(S312でyes)、次に既にECU4内の不揮発メモリーに記憶されている前トリップオイル交換フラグがオンか否かが判定される(S314)。ここで前トリップオイル交換フラグがオンでなければ(S314でno)、前トリップオイル交換フラグにオンが設定されて(S318)、一旦本処理を出る。
【0067】
前トリップオイル交換フラグがオンであれば(S314でyes)、希釈時ランプ点灯フラグにオンを設定して(S316)、一旦本処理を出る。
このようにしてオイル希釈判定処理(図6)ではアッパースイッチ52aの出力値OILHに基づいてオイルレベル異常警告ランプ46の点灯有無を決定する希釈時ランプ点灯フラグの設定を実行している。
【0068】
次に断線時ランプ点灯フラグと希釈時ランプ点灯フラグとの設定状態に基づいて実行される警告ランプ点灯処理を図7のフローチャートに示す。本処理は前述した各処理と同周期で割り込み実行される。
【0069】
警告ランプ点灯処理(図7)が開始されると、まず断線時ランプ点灯フラグと希釈時ランプ点灯フラグといずれか一方又は両方がオンか否かが判定される(S400)。ここで断線時ランプ点灯フラグと希釈時ランプ点灯フラグとが共にオフである場合は(S400でno)、距離カウンタをクリアし(S412)、オイルレベル異常警告ランプ46を消灯して(S414)、一旦本処理を出る。
【0070】
断線時ランプ点灯フラグと希釈時ランプ点灯フラグといずれか一方又は両方がオンである場合には(S400でyes)、次に距離カウンタの値がPM再生禁止判定距離より小さいか否かが判定される(S402)。この距離カウンタは後述するごとくディーゼルエンジン2が搭載されている車両の走行距離をカウントするものである。距離カウンタがPM再生禁止判定距離より小さければ(S402でyes)、オイルレベル異常警告ランプ46が点灯される(S404)。そして距離カウンタに新たな走行分の距離が積算される(S406)。すなわち距離カウンタには、継続してステップS400にてyesと判定されている期間に車両が走行した距離が記憶されることになる。こうして一旦本処理を出る。
【0071】
ステップS400でyesと判定された状態で車両走行を繰り返した後に、積算カウンタがPM再生禁止判定距離以上となると(S402でno)、オイル希釈が継続した、あるいはオイル希釈判断用のアッパースイッチ52aの断線が継続したので、PM再生が禁止される(S408)。そしてこのことをドライバーに報知するためにオイルレベル異常警告ランプ46を点滅させる(S410)。こうして一旦本処理を出る。
【0072】
尚、ECU4において、別途、PM除去用フィルタ16に対するPM過堆積異常判定や破損異常判定が、PM除去用フィルタ16の上下流に圧力センサを設ける等により実行されている場合がある。このような判定により異常が判明した場合には、PM過剰堆積異常警告ランプ48の点灯を実行したり、アクセル操作量に対する燃料噴射量の制限などを実行する。
【0073】
図8〜11のタイミングチャートに本実施の形態の制御の一例を示す。図8はアッパースイッチ52aが正常な場合の例を示している。すなわちタイミングt0にてイグニッションスイッチ44がオフ(OFF)となり、タイミングt2にてオン(ON)となっていて、この間でアッパースイッチ52aの出力値OILHは、エンジン停止時における油面の上昇によりオフからオンに切り替わっている(t1)。したがってアッパースイッチ断線判定処理(図5)のステップS208にてyesと判定されたタイミングt3から判定許可時間経過後(t5)になされるステップS212の判定はnoとされて、ステップS218,S220が実行されることで、断線時ランプ点灯フラグはオフのままである(S220)。この時、オイル希釈判定処理(図6)では希釈時ランプ点灯フラグにオフが設定されていれば、警告ランプ点灯処理(図7)のステップS400にてnoと判定されて、オイルレベル異常警告ランプ46は消灯状態が維持される(S414)。尚、図8の例では、エンジン始動後のタイミングt4においてオイルパン22内の油面がアッパースイッチ52aより下となり、アッパースイッチ52aの出力値OILHはオンからオフに変化している。
【0074】
図9はアッパースイッチ52aの断線異常が生じた最初のトリップの例を示している。すなわちタイミングt10にてイグニッションスイッチ44がオフ(OFF)となり、タイミングt12にてオン(ON)となっている。しかし、この間のエンジン停止時において油面が上昇してアッパースイッチ52aの位置以上となっても(t11)、アッパースイッチ52aは断線しているので出力値OILHはオフのままである。したがってアッパースイッチ断線判定処理(図5)のステップS208にてyesと判定されたタイミングt13から判定許可時間経過後(t15)になされるステップS212の判定はyesとされる。そしてステップS213でもyesとされることで、断線検出カウンタUPDCのカウントアップがなされる(S214)。しかし断線異常となって最初の処理であるので(S216でyes)、断線時ランプ点灯フラグはオフのままである。したがってオイル希釈判定処理(図6)側にて希釈時ランプ点灯フラグ=オフであれば、警告ランプ点灯処理(図7)にてはステップS400にてnoと判定されて、オイルレベル異常警告ランプ46は消灯状態が維持される(S414)。尚、エンジン始動後のタイミングt14においてオイルパン22内の油面がアッパースイッチ52aより下となるが、アッパースイッチ52aは断線しているので出力値OILHに変化はない。
【0075】
図10は、図9の次のトリップ時にもアッパースイッチ52aが断線異常のままである例を示している。すなわちタイミングt20にてイグニッションスイッチ44がオフ(OFF)となり、タイミングt22にてオン(ON)となっている。しかし、この間のエンジン停止時において油面が上昇してアッパースイッチ52aの位置以上となっても(t21)、アッパースイッチ52aは断線しているので、今回も出力値OILHはオフのままである。したがってアッパースイッチ断線判定処理(図5)のステップS208にてyesと判定されたタイミングt23から判定許可時間経過後(t25)になされるステップS212の判定はyesとされる。そしてステップS213でもyesとされることで、断線検出カウンタUPDCのカウントアップがなされる(S214)。この場合は断線異常後にて連続した2回目の処理であるので(S216でno)、断線時ランプ点灯フラグはオンとなる(S217)。したがってオイル希釈判定処理(図6)で設定される希釈時ランプ点灯フラグの状態にかかわらず、警告ランプ点灯処理(図7)にてはステップS400にてyesと判定されて、当初はステップS402でyesであることから、オイルレベル異常警告ランプ46が点灯される(S404)。尚、エンジン始動後のタイミングt24においてオイルパン22内の油面がアッパースイッチ52aより下となるが、アッパースイッチ52aは断線しているので出力値OILHに変化はない。
【0076】
図11は、図9の次のトリップ時にアッパースイッチ52aが正常に戻った例を示している。すなわちタイミングt30にてイグニッションスイッチ44がオフ(OFF)となり、タイミングt32にてオン(ON)となっている。この間のエンジン停止時において油面が上昇してアッパースイッチ52aの位置以上となると(t31)、アッパースイッチ52aは正常に動作して出力値OILHはオフからオンに変化する。したがってアッパースイッチ断線判定処理(図5)のステップS208にてyesと判定されたタイミングt33から判定許可時間経過後(t35)になされるステップS212の判定はnoとされ、断線検出カウンタUPDCの値はクリアされ(S218)、断線時ランプ点灯フラグはオフに戻される(S220)。したがってオイル希釈判定処理(図6)側で希釈時ランプ点灯フラグがオフであれば、警告ランプ点灯処理(図7)にてはステップS400にてnoと判定されて、オイルレベル異常警告ランプ46は消灯される(S414)。尚、エンジン始動後のタイミングt34においてオイルパン22内の油面がアッパースイッチ52aより下となるので、アッパースイッチ52aの出力値OILHはオフに戻っている。
【0077】
上述した構成において、請求項との関係は、ECU4が実行する処理の内で、エンジン停止時処理(図4)が始動前高レベルセンサ出力記憶手段及び停止時間判定手段としての処理に相当する。アッパースイッチ断線判定処理(図5)が停止時間判定手段、異常判定手段及び異常時処理手段としての処理に相当する。エンジン停止処理(図4)のステップS102,S104,S112,S114とアッパースイッチ断線判定処理(図5)のステップS204,S206とが停止時間判定手段としての処理に相当する。この内でステップS102,S104,S112,S114が内燃機関停止時温度記憶手段としての処理に相当する。アッパースイッチ断線判定処理(図5)のステップS214,S216,S217及び警告ランプ点灯処理(図7)が異常時処理手段としての処理に相当する。この内でステップS404〜S410が異常時対策処理に相当する。
【0078】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).油量が十分である状態でアッパースイッチ52aが断線していなければ、エンジン始動前ではアッパースイッチ52aは油面以下であるので出力値OILHはオンを示すはずである。
【0079】
したがって始動後にロアスイッチ50aの出力値OILL=オフ(S208でyes)、すなわち全体の油量が十分な状態で、始動前のアッパースイッチ52aの状態を示すアッパースイッチ初期値OILHini=オフの場合は(S212でyes)、アッパースイッチ52aは断線異常であると判定できる。
【0080】
このようにディーゼルエンジン2の始動を挟んだ短時間の処理により異常判定を下すことができ、オイルパン22内における油面レベルを検出する油面レベルセンサ38に対する早期の異常検出が可能となる。
【0081】
(ロ).エンジン始動前にて、イグニッションスイッチ44がオンで(S100でyes)、かつディーゼルエンジン2のクランク軸18が回転停止状態(S106でyes,S108でyes)にて、アッパースイッチ初期値OILHiniの取得を実行している(S110)。
【0082】
このような状態は、オイルパン22に十分にオイルが戻っていて、かつ油面がほとんど揺れていない状態であるので、油面の高精度な検出結果が記憶でき、高精度な判定処理が可能となる。
【0083】
(ハ).ディーゼルエンジン2の停止時間が十分に長くないと、オイルがディーゼルエンジン2の各部からオイルパン22に十分に戻っておらず、オイルパン22の油面が油量に対応する最高レベル又はその近傍に達していないおそれがある。このため直前のディーゼルエンジン2の停止時間が基準時間よりも長く停止していたと判定された時に(S204でyes、S206でyes)、アッパースイッチ初期値OILHiniにて得られた油面レベル状態に基づいて判定処理を実行することとしている。
【0084】
特に、直接、ディーゼルエンジン2の停止時間を測定するのではなく、ディーゼルエンジン2の温度(ここでは冷却水温THW)の低下推移により、ディーゼルエンジン2が停止している時間を推定して判定しているので、簡易な構成にて停止時間が基準時間より長いか否かが判定できる。特にステップS204とステップS206との組み合わせによりエンジン停止時間が基準時間より長いか否かを推定しているので、より正確な推定ができる。
【0085】
このようにエンジン停止時にてオイルパン22の油面が油量に対応する最高レベル又はその近傍に達している状態で得られたアッパースイッチ初期値OILHiniを判定対象にしているので、高精度な判定処理が可能となる。
【0086】
(ニ).本実施の形態では、一度の異常判定(S212,S213でyes)で、アッパースイッチ52aの異常時対策処理、ここではオイルレベル異常警告ランプ46の点灯を実行するのではない。ここでは、アッパースイッチ52aの異常判定が基準回数連続した場合に、ここでは2回連続した場合に(S216でno)、断線時ランプ点灯フラグをオンとして(S217)、異常時対策処理(S404〜S410)を実行している。このことにより、より確実な状態にて異常時対策処理を実行できる。
【0087】
(ホ).上述したごとく常に断線異常の有無がチェックされているアッパースイッチ52aの出力値OILHに基づいてオイル希釈判定処理(図6)が実行されている。このことにより、オイル希釈判定に重要な役割を果たす油面レベルセンサ38に対する早期の異常検出ができ、故障に迅速に対応できるので、オイルへの燃料混入に起因するオイル粘度低下やオイルパン22の油面過剰上昇が未然に防止できる。
【0088】
(ヘ).特に、油面レベルセンサ38が適用されているディーゼルエンジン2は、PM除去用フィルタ16を昇温させるための燃料噴射(ポスト噴射)を実行するエンジンである。このようなディーゼルエンジン2では、オイルへの燃料混入が生じやすく、このためにオイル粘度低下やオイルパン22の油面過剰上昇を招きやすい。しかし、上述したごとく油面レベルセンサ38に対する早期の異常検出ができるので、異常に対して迅速かつ効果的に対処できることから、オイル粘度低下や油面過剰上昇を一層効果的に防止できる。
【0089】
[その他の実施の形態]
(a).前記実施の形態において、ディーゼルエンジン2の停止時間は、冷却水温THWの低下推移によって推定していたが、エンジン温度としては、冷却水温THW以外に、同様な手法によりオイル温度の低下推移にて判定しても良い。又、ディーゼルエンジン2の停止時間を、イグニッションスイッチ44のオフからオンまでの時間として、ECU4内にバックアップ電源により機能するタイマーを設けて、実際の停止時間を実測しても良い。
【0090】
(b).断線異常時とオイル希釈時とで共にオイルレベル異常警告ランプ46を点灯あるいは点滅していたが、断線異常時とオイル希釈時とで点灯状態を区別しても良い。例えば点灯色の変更、点滅の間隔、あるいはランプ自体を2つ設けて区別しても良い。
【0091】
(c).前記実施の形態では、オイルパンはディーゼルエンジンに設けられたものであったが、オイルの希釈などのように油量が過剰となる問題が存在する場合にはガソリンエンジンのオイルパンに対しても適用できる。
【0092】
(d).前記実施の形態において、低レベル油面検出部50は図2,3に示したごとく、第1油面レベルLVL1より油面が下ではオン、上ではオフを出力する検出部としたが、低レベル油面検出部50のみ上下を逆に配置して、第1油面レベルLVL1より油面が下ではオフ、上ではオンを出力する検出部としても良い。
【0093】
高レベル油面検出部52についても図2,3に示したごとく、第2油面レベルLVL2より油面が上ではオン、下ではオフを出力する検出部としたが、高レベル油面検出部52のみ上下を逆に配置して、第2油面レベルLVL2より油面が上ではオフ、下ではオンを出力する検出部としても良い。
【0094】
更に、低レベル油面検出部50と高レベル油面検出部52とを共に、図2,3に示した構成に対して上下を逆に配置して、上述したごとくにそれぞれオン・オフが逆の出力としても良い。
【0095】
このようにオン・オフを逆の出力にした場合には、前述した実施の形態の各処理における出力値OILL,OILH、及びアッパースイッチ初期値OILHiniの判定についても逆の出力についての判定をすることになる。
【0096】
特に、高レベル油面検出部52について上述したごとくオン・オフを逆の出力にした場合には、前記実施の形態に述べた断線(アッパースイッチ52aがオンしないオン作動異常を含む)判定ではなく、短絡異常(アッパースイッチ52aがオフしないオフ作動異常を含む)判定となる。
【0097】
(e).前記実施の形態では、各油面検出部50,52はスイッチ50a,52aを用いてオン・オフ信号を出力するものであるが、油面レベルLVL1,LVL2を境界にして出力が変化する検出部であればスイッチ以外のものも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】実施の形態1の車載用ディーゼルエンジン及びECUのブロック図。
【図2】実施の形態1の油面レベルセンサの構成説明図。
【図3】同じく油面レベルセンサの回路図。
【図4】実施の形態1のECUが実行するエンジン停止時処理のフローチャート。
【図5】同じくアッパースイッチ断線判定処理のフローチャート。
【図6】同じくオイル希釈判定処理のフローチャート。
【図7】同じく警告ランプ点灯処理のフローチャート。
【図8】実施の形態1における制御の一例を示すタイミングチャート。
【図9】同じく制御の一例を示すタイミングチャート。
【図10】同じく制御の一例を示すタイミングチャート。
【図11】同じく制御の一例を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0099】
2…ディーゼルエンジン、4…ECU、6…吸気管、8…燃焼室、10…ピストン、12…燃料噴射弁、14…排気管、16…PM除去用フィルタ、18…クランク軸、20…クランクケース、22…オイルパン、24…オイルポンプ、26…シリンダ、28…シリンダヘッド、30…サプライポンプ、32…コモンレール、34…回転数センサ、36…冷却水温センサ、38…油面レベルセンサ、40…アクセルセンサ、42…走行距離センサ、44…イグニッションスイッチ、46…オイルレベル異常警告ランプ、48…PM過剰堆積異常警告ランプ、50…低レベル油面検出部、50a…ロアスイッチ、50b…ガイド、50c…ストッパ、50d…フロートマグネット、50e…抵抗器、52…高レベル油面検出部、52a…アッパースイッチ、52b…ガイド、52c…ストッパ、52d…フロートマグネット、52e…抵抗器、54…コネクタ、56…オイル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のオイルパン内における第1油面レベルを境界として出力が変化する低レベル油面検出部と、第1油面レベルより高い第2油面レベルを境界として出力が変化する高レベル油面検出部とを備え、前記第1油面レベルと前記第2油面レベルとは内燃機関運転時における油面レベルを挟むと共に内燃機関停止時における油面レベル以下に前記第2油面レベルが設定されている油面レベルセンサにおける前記高レベル油面検出部の異常検出装置であって、
内燃機関の始動前に前記高レベル油面検出部の出力を記憶する始動前高レベルセンサ出力記憶手段と、
内燃機関の始動後において前記低レベル油面検出部が前記第1油面レベルより高い油面であることを示す出力を生じていて、かつ前記始動前高レベルセンサ出力記憶手段にて記憶された前記高レベル油面検出部の出力が前記第2油面レベルより低い油面であることを示している場合に前記高レベル油面検出部は異常であると判定する判定処理を実行する異常判定手段と、
を備えたことを特徴とする油面レベルセンサ異常検出装置。
【請求項2】
請求項1において、前記始動前高レベルセンサ出力記憶手段は、内燃機関の始動前にて、イグニッションスイッチがオンで、かつ内燃機関のクランク軸が回転停止状態にて、前記高レベル油面検出部の出力を記憶することを特徴とする油面レベルセンサ異常検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、内燃機関運転が停止している時間を計測又は推定して基準時間以上か否かを判定する停止時間判定手段を備え、
前記異常判定手段は、前記停止時間判定手段にて直前の内燃機関停止時において基準時間以上長く内燃機関が停止していたと判定された時に前記始動前高レベルセンサ出力記憶手段により記憶された前記高レベル油面検出部の出力を用いて、前記判定処理を実行することを特徴とする油面レベルセンサ異常検出装置。
【請求項4】
請求項3において、前記停止時間判定手段は、内燃機関の温度低下推移に基づいて内燃機関が停止している時間の長さを推定することを特徴とする油面レベルセンサ異常検出装置。
【請求項5】
請求項4において、前記停止時間判定手段は、イグニッションスイッチがオフされた直後の内燃機関の温度である第1温度と、イグニッションスイッチがオンされた直後の内燃機関の温度である第2温度とを記憶する内燃機関停止時温度記憶手段を備え、該内燃機関停止時温度記憶手段により記憶されている前記第1温度と前記第2温度とに基づいて、前記第2温度が基準温度以下で、かつ前記第1温度から前記2温度を減算した値が基準温度差以上である状態を、基準時間以上長く内燃機関が停止していたと判定することを特徴とする油面レベルセンサ異常検出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、前記異常判定手段の判定処理により前記高レベル油面検出部は異常であるとの判定が基準回数連続して生じた場合に、前記高レベル油面検出部の異常時対策処理を実行する異常時処理手段を備えたことを特徴とする油面レベルセンサ異常検出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、内燃機関運転時における前記高レベル油面検出部の出力値は、オイル希釈判定処理に用いられていることを特徴とする油面レベルセンサ異常検出装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかにおいて、前記油面レベルセンサはディーゼルエンジンのオイルパンに適用されると共に、該ディーゼルエンジンは排気浄化装置を昇温させるための燃料噴射を実行するディーゼルエンジンであることを特徴とする油面レベルセンサ異常検出装置。
【請求項1】
内燃機関のオイルパン内における第1油面レベルを境界として出力が変化する低レベル油面検出部と、第1油面レベルより高い第2油面レベルを境界として出力が変化する高レベル油面検出部とを備え、前記第1油面レベルと前記第2油面レベルとは内燃機関運転時における油面レベルを挟むと共に内燃機関停止時における油面レベル以下に前記第2油面レベルが設定されている油面レベルセンサにおける前記高レベル油面検出部の異常検出装置であって、
内燃機関の始動前に前記高レベル油面検出部の出力を記憶する始動前高レベルセンサ出力記憶手段と、
内燃機関の始動後において前記低レベル油面検出部が前記第1油面レベルより高い油面であることを示す出力を生じていて、かつ前記始動前高レベルセンサ出力記憶手段にて記憶された前記高レベル油面検出部の出力が前記第2油面レベルより低い油面であることを示している場合に前記高レベル油面検出部は異常であると判定する判定処理を実行する異常判定手段と、
を備えたことを特徴とする油面レベルセンサ異常検出装置。
【請求項2】
請求項1において、前記始動前高レベルセンサ出力記憶手段は、内燃機関の始動前にて、イグニッションスイッチがオンで、かつ内燃機関のクランク軸が回転停止状態にて、前記高レベル油面検出部の出力を記憶することを特徴とする油面レベルセンサ異常検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、内燃機関運転が停止している時間を計測又は推定して基準時間以上か否かを判定する停止時間判定手段を備え、
前記異常判定手段は、前記停止時間判定手段にて直前の内燃機関停止時において基準時間以上長く内燃機関が停止していたと判定された時に前記始動前高レベルセンサ出力記憶手段により記憶された前記高レベル油面検出部の出力を用いて、前記判定処理を実行することを特徴とする油面レベルセンサ異常検出装置。
【請求項4】
請求項3において、前記停止時間判定手段は、内燃機関の温度低下推移に基づいて内燃機関が停止している時間の長さを推定することを特徴とする油面レベルセンサ異常検出装置。
【請求項5】
請求項4において、前記停止時間判定手段は、イグニッションスイッチがオフされた直後の内燃機関の温度である第1温度と、イグニッションスイッチがオンされた直後の内燃機関の温度である第2温度とを記憶する内燃機関停止時温度記憶手段を備え、該内燃機関停止時温度記憶手段により記憶されている前記第1温度と前記第2温度とに基づいて、前記第2温度が基準温度以下で、かつ前記第1温度から前記2温度を減算した値が基準温度差以上である状態を、基準時間以上長く内燃機関が停止していたと判定することを特徴とする油面レベルセンサ異常検出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、前記異常判定手段の判定処理により前記高レベル油面検出部は異常であるとの判定が基準回数連続して生じた場合に、前記高レベル油面検出部の異常時対策処理を実行する異常時処理手段を備えたことを特徴とする油面レベルセンサ異常検出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、内燃機関運転時における前記高レベル油面検出部の出力値は、オイル希釈判定処理に用いられていることを特徴とする油面レベルセンサ異常検出装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかにおいて、前記油面レベルセンサはディーゼルエンジンのオイルパンに適用されると共に、該ディーゼルエンジンは排気浄化装置を昇温させるための燃料噴射を実行するディーゼルエンジンであることを特徴とする油面レベルセンサ異常検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−157089(P2008−157089A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345816(P2006−345816)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】
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