説明

治療剤

本発明は、(a)酸性糖、(b)ポリアクリル酸、(c)クロロゲン酸および(d)クロロゲン酸の酸化処理物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物、または藻類由来の抽出物を有効成分として含有することを特徴とする、骨形成タンパク質産生増強又は骨形成促進を要する疾患の治療剤又は予防剤;骨形成タンパク質産生増強剤又は骨形成促進剤;骨形成タンパク質産生増強用又は骨形成促進用の食品、飲料又は飼料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、骨形成タンパク質産生増強または骨形成促進を要する疾患、例えば、骨粗鬆症や骨折等の治療または予防に有用な医薬、食品、飲料又は飼料に関する。
【背景技術】
骨組織では、常に骨形成と骨吸収が一定のバランスを保ちながら繰り返されており、この営みが骨強度や血中のカルシウム濃度を調節している。骨形成には骨芽細胞が、骨吸収には破骨細胞が中心的な役割を担っており、骨形成と骨吸収のバランスが何らかの要因で崩れた時に、骨粗鬆症が引き起こされると考えられている。骨粗鬆症はエストロゲンの分泌低下を要因とする閉経後骨粗鬆症と、加齢を要因とする老人性骨粗鬆症に大別されるが、これら以外にも糖尿病や甲状腺機能亢進症などの内分泌・代謝疾患やステロイドなどの薬剤投与、消化器・肝疾患、ビタミンC欠乏、不動性、卵巣摘出、関節リウマチなどを要因とする続発性骨粗鬆症も知られている。
現在のところ、骨粗鬆症の治療薬としては、エストロゲン剤、カルシトニン、ビスホスホネート等の主として骨吸収を阻害することによって骨の量的減少を抑える薬剤が用いられている。しかしながら、エストロゲン剤治療では乳がんや子宮がん、心疾患のリスクが上昇するなど副作用が強く、カルシトニンでは薬剤の耐性が生じ易く、経口投与が不可能であり、ビスホスホネートは吸収率が悪い、残留性が高く骨代謝の過度の不活性化を招くといった欠点がある。また、骨代謝を活性化させる目的でビタミンD製剤が使用されているが、他の薬剤に比べて治療効果が低い割に、高カルシウム症などの副作用が大きい。これら従来の骨粗鬆症の治療薬は、既に進行した骨の欠失を元どおりに回復させることはできず、真の骨粗鬆症の治療剤として十分なものとは言い難い。
骨形成と密接に関係する細胞は骨芽細胞である。骨芽細胞は、軟骨細胞、筋肉細胞、脂肪細胞、腱細胞などと共通の間葉系幹細胞を起源としており、分化の過程で前骨芽細胞を経て成熟骨芽細胞になる。骨芽細胞は成熟過程において骨の構成成分であるコラーゲンをはじめとする大量の細胞外マトリクスを生産し、またアルカリ性フォスファターゼを発現しリン酸カルシウムのマトリクスへの沈着を引き起こす。一部の骨芽細胞はこうして石灰化したマトリクスの中に埋め込まれ、さらに骨細胞へと分化する。
ヒトの骨量は20〜30才に最大を示し以降は減少してゆく。加齢とともに骨組織中の骨芽細胞数は減少し、また間葉系幹細胞からの骨芽細胞への分化能も低下する。反面、同じ間葉系幹細胞を由来とする脂肪細胞数が加齢とともに増殖するとも言われている。従って骨の成長期に骨芽細胞、骨細胞量を高めておくことや、老年期や閉経後において間葉系幹細胞からの骨芽細胞への分化をより選択的に促進させて、骨形成を高めることは、骨粗鬆症の予防、治療の観点から見ても有効であると考えられる。
最近になり、骨の形成を促進する薬剤についての開発が行われてきており、ベンゾピラン誘導体(例えば、特開平7−291983号公報参照。)、フェニル置換ヒドロキシシクロペンテノン類縁体(例えば、特開平11−43460号公報参照。)、プロスタグランジンA1類縁体(例えば、特開平11−43461号公報参照。)、ベンゾチエピン誘導体(例えば、特開2000−109480号公報参照。)、クロモン誘導体(例えば、特開2001−139571号公報参照。)による骨形成促進作用が開示されている。しかし、有効性、安全性の評価は未だ十分ではなく、実用段階には至っていない。
骨基質中に骨形成を誘導する蛋白性因子が含まれていることが発見され、骨形成タンパク質(bone morphogenetic protein、以下、BMPと称することがある)と名づけられた。その本体は長い間不明であったが、4種のBMP遺伝子がクローニングされたのを契機に、現在では十数種の分子種が種を超えて広く動物に存在することがわかってきた。BMPは、前骨芽細胞に作用し、アルカリ性フォスファターゼ活性、副甲状腺ホルモンに対する応答性、オステオカルシン産生、コラーゲン合成等を上昇させて骨芽細胞への分化を誘導する。BMPは、多分化能を有する未分化間葉系細胞の分化段階に応じて軟骨細胞、骨芽細胞、脂肪細胞への分化の振り分けを行う。BMPは筋芽細胞の筋肉への分化を抑制し、骨芽細胞への分化へと変換させる。また、BMPには骨芽細胞からのインスリン様増殖因子等の二次的増殖因子の誘導活性が知られている。BMPを担体とともに皮下や筋肉内に投与することにより骨形成が誘導される。組換えヒトBMPのうちBMP−2、−4、−5、−6、−7には単独で骨形成を誘導する活性が認められている。中でも組換えヒトBMP−2は強力な骨形成活性を有し、ラット、ヒツジ、イヌ、サルなどの骨欠損モデルにおいて欠損組織を回復することが知られている。また、BMP−4、−5には骨折治癒過程への関与が、BMP−6には軟骨内骨化への関与が報告されており、BMP−12には靭帯、腱形成活性が、BMP−13には軟骨形成活性があることが知られている。さらに、老齢動物や高齢者では骨基質中のBMP量の低下や、骨芽細胞のBMPに対する感受性の低下が認められることから、BMPの老人性骨粗鬆症への関わりが指摘されている。
BMPは骨形成だけではなく、発生過程においても重要な働きを担っており、BMP−2、−4、−7、−8、−11等は背腹軸形成や中胚葉形成、心臓形成、腎臓形成、眼形成、精子形成等に関与している。BMPのノックアウト動物は致死もしくは重篤な障害を示す。このようにBMPは生体にとって必須であり多彩な生理活性を有していることが知られている。
BMPは前記各種作用を示すことから、BMP自体を直接、蛋白製剤として骨粗鬆症や骨折治療等に利用する試みもなされてきている。しかし、BMPは蛋白質であるので、投与方法の制限や耐性の出現などが問題となる。またBMPの受容体は多くの組織に広く発現しているので、全身投与した場合には骨以外の組織への影響が生じる恐れがある。これらの欠点により、BMPそのものを治療薬として実用化するには種々の制限が伴う。しかし、BMPを外から投与するのではなく、所望の組織部位で任意にBMPの産生を増強させることができるのであれば、骨粗鬆症や骨折等、BMP産生増強を必要とする疾患の治療、予防に有効であると考えられる。近年、2つの芳香族系を含む特定の化合物(例えば、国際公開第97/15308号パンフレット参照。)やネバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチンおよびシンバスタチンなどのスタチン系化合物(例えば、国際公開第98/25460号パンフレット参照。)がBMP−2産生増強活性を有することが開示されている。また、ヘリオキサンチン(例えば、特開平8−245386号公報参照。)や縮合チオフェン誘導体(例えば、特開平9−151132号公報参照。)にBMPの作用を増強する活性があることが開示されている。ただし、これらについては安全性、有効性の評価は未だ十分ではなく、実用段階には至っていない。
近年、BMPを骨再生医療に利用する開発が行われており、BMPと担体との複合体をインプラント材と組み合わせて骨折箇所に埋め込むことで治療効果を得ようという試みもなされてきている。しかし、大量のBMPを生体内に持ち込むことになる為、安全性、経済性の面からも問題が生じる。BMPのかわりに、BMPの産生を増強したり、骨形成を促進する物質を用いることによりその欠点を回避できると考えられるが、未だ実用に十分な手段は知られていない。
このように、骨形成を促進したり、BMP産生を増強することで、それらが関連する種々の疾患の治療または予防が可能になると考えるが、毒性や副作用を示さず所望により適切にBMP産生増強を行い得る、物質、手段等は未だ知られていない。
【発明の開示】
本発明の目的は、簡便に摂取可能な、食品素材、医薬品素材として適した骨形成タンパク質産生増強作用または骨形成促進作用を有する組成物を開発し、当該組成物を用いた、医薬、食品、飲料または飼料を提供することにある。
すなわち、本発明は、
〔1〕 (a)酸性糖、(b)ポリアクリル酸、(c)クロロゲン酸および(d)クロロゲン酸の酸化処理物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を有効成分として含有することを特徴とする骨形成タンパク質産生増強又は骨形成促進を要する疾患の治療剤又は予防剤、
〔2〕 酸性糖が酸性多糖、酸性オリゴ糖、酸性単糖及びそれらの分解物からなる群より選択される少なくとも1つの酸性糖である前記〔1〕記載の治療剤又は予防剤、
〔3〕 酸性糖がフコイダン、ヘパリン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸B、ペクチン酸、スピルリナ由来酸性多糖、フコイダン分解物、カラギーナンλ、カラギーナンκ、カラギーナンι、低分子ヘパリン、ヘパラン硫酸及びクロレラ由来酸性多糖からなる群より選択される少なくとも1つの酸性糖である前記〔1〕記載の治療剤又は予防剤、
〔4〕 (a)酸性糖、(b)ポリアクリル酸、(c)クロロゲン酸および(d)クロロゲン酸の酸化処理物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を有効成分として含有することを特徴とする骨形成タンパク質産生増強剤又は骨形成促進剤、
〔5〕 酸性糖が酸性多糖、酸性オリゴ糖、酸性単糖及びそれらの分解物からなる群より選択される少なくとも1つの酸性糖である前記〔4〕記載の骨形成タンパク質産生増強剤又は骨形成促進剤、
〔6〕 酸性糖がフコイダン、ヘパリン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸B、ペクチン酸、スピルリナ由来酸性多糖、フコイダン分解物、カラギーナンλ、カラギーナンκ、カラギーナンι、低分子ヘパリン、ヘパラン硫酸及びクロレラ由来酸性多糖からなる群より選択される少なくとも1つの酸性糖である前記〔4〕記載の骨形成タンパク質産生増強剤又は骨形成促進剤、
〔7〕 (a)酸性糖、(b)ポリアクリル酸、(c)クロロゲン酸および(d)クロロゲン酸の酸化処理物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を有効成分として含有することを特徴とする骨形成タンパク質産生増強用又は骨形成促進用の食品、飲料又は飼料、
〔8〕 酸性糖が酸性多糖、酸性オリゴ糖、酸性単糖及びそれらの分解物からなる群より選択される少なくとも1つの酸性糖である前記〔7〕記載の骨形成タンパク質産生増強用又は骨形成促進用の食品、飲料又は飼料、
〔9〕 酸性糖がフコイダン、ヘパリン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸B、ペクチン酸、スピルリナ由来酸性多糖、フコイダン分解物、カラギーナンλ、カラギーナンκ、カラギーナンι、低分子ヘパリン、ヘパラン硫酸及びクロレラ由来酸性多糖からなる群より選択される少なくとも1つの酸性糖である前記〔7〕記載の骨形成タンパク質産生増強用又は骨形成促進用の食品、飲料又は飼料、
〔10〕 藻類由来の抽出物を有効成分として含有することを特徴とする骨形成タンパク質産生増強又は骨形成促進を要する疾患の治療剤又は予防剤、
〔11〕 藻類由来の抽出物を有効成分として含有することを特徴とする骨形成タンパク質産生増強剤又は骨形成促進剤、並びに
〔12〕 藻類由来の抽出物を有効成分として含有することを特徴とする骨形成タンパク質産生増強用又は骨形成促進用の食品、飲料又は飼料、
に関する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ガゴメ由来フコイダンのDEAE−セルロファインA−800カラム溶出パターンを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本明細書において、「BMP産生増強作用」及び「BMP産生増強活性」はそれぞれBMP産生増強をもたらすこと及びBMP産生を増強する機能をいうが、その意味において特に厳密に区別するものではない。「増強」には、本発明に係る有効成分の作用前に比し、作用後において目的物質の量が増加するという態様と共に、本発明に係る有効成分を作用させることにより目的物質を生起せしめるという態様(誘導)を含む。また本明細書において、有効成分として挙げるいずれの物質も単独でもしくは2種以上混合して本発明において用いることができる。
本発明に使用される有効成分としては、(a)酸性糖、(b)ポリアクリル酸、(c)クロロゲン酸および(d)クロロゲン酸の酸化処理物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物が使用される。酸性糖としては、酸性基を有する糖であれば特に限定はないが、例えば、酸性多糖、酸性オリゴ糖、酸性単糖及びそれらの分解物からなる群より選択される少なくとも1つの酸性糖を使用することができる。
酸性多糖としては、BMP産生増強作用または骨形成促進作用を有すれば良く、特に限定はないが、藻類由来の酸性多糖、動物由来の酸性多糖、魚類由来の酸性多糖、植物由来の酸性多糖、微生物由来の酸性多糖、合成酸性多糖が例示される。
藻類由来の酸性多糖としては、例えば褐藻類由来の硫酸化多糖、例えば硫酸化フコース含有多糖、例えばフコイダン、硫酸化フコガラクタン(G−フコイダン)、硫酸化フコグルクロノマンナン、グルクロノキシロフカン、サルガッサン、グルクロノマンノガラクタン、キシロフコグルクロナン、アスコフィラン、グルクロノガラクトフカン、硫酸化グルクロノフカンが挙げられる。
上記記載の原料としては、例えばガゴメ、マ昆布、トロロ昆布、ヒバマタ、モズク、オキナワモズク、ワカメ、クロメ、アラメ、カジメ、レッソニア ニグレセンス、アスコフィラム ノドッサム等の昆布目、ながもつも目、ひばまた目等の褐藻類を使用することができる。
また、藻類由来の酸性多糖としては、紅藻類由来の酸性多糖、例えばマクサ、オゴノリ、ジャイアントケルプ、プテロクラディア カピラセア由来の酸性多糖やカラギーナンλ、カラギーナンκ、カラギーナンι等を使用することができる。また藍藻類由来の酸性多糖、例えばスピルリナ由来の酸性多糖、緑藻類由来の酸性多糖、例えばクロレラ由来の酸性多糖を使用することができる。また、藻類由来のラムナン硫酸も本発明の酸性多糖として使用することができる。またリン酸化多糖類、例えば核酸も本願発明の酸性多糖に包含される。
本発明に使用する酸性多糖として、例えば硫酸化フコース含有多糖である前出のフコイダンが例示されるが、硫酸化フコースを構成成分とする多糖でBMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有するものであればその由来は特に限定はなく、棘皮動物、例えばナマコ、ウニ、ヒトデ等由来のフコイダンを使用してもよい。フコイダンを含有するナマコとしては、例えば特開平4−91027号公報に記載のナマコがあり、当該公報記載の方法にてナマコよりフコイダンを調製することができる。
例えばガゴメからフコイダンを調製し、該フコイダンをグルクロン酸含有フコイダン(U−フコイダンと称す)とグルクロン酸非含有フコイダン(F−フコイダンと称す)に分離することができ、本発明の有効成分としてそれぞれのフコイダンを使用することが出来る。またガゴメから硫酸化フコガラクタンを調製し、使用することができる。
U−フコイダン及びF−フコイダンはガゴメからフコイダンを調製後、陰イオン交換樹脂、界面活性剤等を用いて分離される。ガゴメ由来のU−フコイダン及びF−フコイダンの存在比(重量比)は約1:2であり、U−フコイダンはフコース、マンノース、ガラクトース、グルクロン酸等を含み硫酸含量は約20重量%、F−フコイダンはフコースとガラクトースを含み、硫酸含量は約50重量%、分子量は両物質共に約20万を中心に分布している(第18回糖質シンポジウム要旨集、第159頁、1996年)。
例えばガゴメから調製したフコイダン溶液をDEAE−セルロファインA−800カラムにアプライ後、NaCl含有緩衝液にて濃度勾配法により溶出させることにより、U−フコイダンとF−フコイダンに分離することができる。第1図にその1例を示す。すなわち第1図はU−フコイダンとF−フコイダンの分離を示す図であり、図中前ピークがU−フコイダン、後ピークがF−フコイダンである。
その他、本発明に使用されるフコイダンとしては、ヒバマタ由来フコイダン、モズク由来フコイダン、オキナワモズク由来フコイダン、ワカメ由来フコイダン、レッソニア由来フコイダン、アスコフィラム由来フコイダン、他の藻類由来のフコイダンもそれぞれ公知の方法で調製し、本発明に使用することができる。
また、魚類由来の酸性多糖としては、例えば、軟骨魚類、例えば、サメ由来のコンドロイチン硫酸が、植物由来の酸性多糖としては、例えば、リンゴ、レモン、ミカン等由来のペクチン酸やペクチン等が、微生物由来の酸性多糖としては、例えば、大腸菌由来のコロミン酸、枯草菌由来のテイカン、酵母由来のホスホマンナン、ホスホガラクタンが、動物由来の酸性多糖としては、例えば、ヘパリン、低分子ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、コンドロイチン、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸、ポリリボースリン酸等が、それぞれ挙げられる。
本発明に使用される合成酸性多糖としては、BMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有するものであれば良く特に限定はないが、これまでに医薬品として使用されてきた酸性多糖の使用が好適である。当該合成酸性多糖としては、合成硫酸化多糖、例えばデキストラン硫酸ナトリウムが例示される。当該化合物はLeuconostoc mesenteroides van Tieghemによるショ糖の発酵によって生産されたデキストランの部分分解物を硫酸化して得た硫酸エステルのナトリウム塩である。
また、本発明において合成硫酸化多糖として、例えばデキストラン、デキストラン硫酸、デキストリン、シクロデキストリン、セルロース、デンプン、マンナン、キシラン、アルギン酸、ペクチン、ペクチン酸、フラクタン、アラビナン、キチン、プルラン、キシログルカン、スターチ等の硫酸化物を使用することができる。さらに例えば、リボフラナン硫酸、キシロフラナン硫酸、レンチナン硫酸、カードラン硫酸、マンノピラナン硫酸等の合成硫酸化多糖やパルミトイル基を有するリボフラナン硫酸等の合成硫酸化アルキル多糖を使用することができる。合成硫酸化アルキル多糖に含まれるアルキル基の構成は特に限定されるものではなく、その炭素数としては、通常、1〜50程度であればよい。更に硫酸化多糖やその分解物を硫酸化することにより、高硫酸化硫酸化多糖又は高硫酸化分解物を調製することができる。これらの硫酸化多糖、高硫酸化硫酸化多糖、高硫酸化分解物はそれぞれ公知の方法で調製すれば良く、その分解物も公知の方法で調製し、本発明に使用することができる。また市販のデキストラン硫酸、硫酸化セルロースも使用でき、それら合成硫酸化多糖等の塩等を使用しても良い。
本発明に酸性多糖として硫酸化多糖を使用した場合、硫酸化多糖の硫酸含量(若しくは硫酸基数)は、BMP産生増強作用又は骨形成促進作用を発現すれば特に限定はない。なお、酸性多糖の分解物はオリゴ糖、単糖も包含し、例えばフコース−2−硫酸、グルコース−2−硫酸を使用することができる。これらの硫酸化単糖、硫酸化オリゴ糖、硫酸化多糖はそれらの一般的な合成法により調製しても良く、調製物、精製物を本発明に使用することもできる。なお本発明においてオリゴ糖とは単糖が2個から10個の範囲でつながった糖化合物、多糖とは単糖が11個以上つながった糖化合物と定義する。
また本発明のBMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有する、酸性多糖の分解物、例えば硫酸化多糖、フコイダンの分解物は、酵素学的方法、化学的方法、物理的方法等の公知の方法にて調製し、目的のBMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有する分解物を選択し、使用することができる。
なお、分解物とは、分解対象とする酸性多糖にもよるが、酸性多糖を分解して得た、概ね分子量が好ましくは200〜10万、より好ましくは1000〜3万の範囲のものをいう。
本発明で使用する酸性多糖の分解物の好適な調製方法としては酸分解法があり、当該酸性多糖を酸分解することにより、BMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有する分解物を調製することができる。
本発明で使用する酸性多糖の酸分解条件は、骨形成促進作用又はBMP産生増強作用を有する分解物(以下、本発明の分解物と称す)が生成する条件であれば、特に限定はない。
例えば酸性多糖を酸水溶液等に溶解またはけん濁し、反応させることにより、本発明の分解物が生成する。また、反応時に加熱することにより、本発明の分解物の生成に必要な時間が短縮される。
酸性多糖を溶解又はけん濁する酸の種類は、特に限定するものではないが、塩酸、硫酸、硝酸等の無機塩、クエン酸、ギ酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等の有機酸、また陽イオン交換樹脂、陽イオン交換繊維、陽イオン交換膜等の固体酸が使用可能である。
酸の濃度も特に限定はないが、好ましくは0.0001〜5規定、より好ましくは0.01〜1規定程度の濃度で使用可能である。また、反応温度も特に限定は無いが好ましくは0〜200℃、より好ましくは20〜130℃に設定すれば良い。
また、反応時間も特に限定するものではないが、好ましくは数秒間〜数日間に設定すれば良い。酸の種類と濃度、反応温度及び反応時間は本発明に使用する分解物の生成量、分解物の重合度により適宜選択すれば良い。例えば、フコイダンの分解物の製造に際しては、クエン酸、乳酸、リンゴ酸等の有機酸を使用し、酸の濃度は数10mM〜数M、加熱温度は50〜110℃、好適には70〜95℃、加熱時間は数分間〜24時間の範囲から適宜選択することにより、本発明の分解物を調製することができる。フコイダンの酸分解物としてはガゴメ由来フコイダンの酸分解物が例示され、当該分解物はBMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有する食物繊維として使用することができる。
本発明の分解物はBMP産生増強作用又は骨形成促進作用を指標として分画することができ、例えば酸分解物をゲルろ過法、分子量分画膜による分画法等により分子量分画することができる。
ゲルろ過法の例としては、セルロファインGCL−300を使用し、例えば分子量25000超、分子量25000〜10000超、分子量10000〜5000超、分子量5000以下等の任意の分子量画分を調製でき、セルロファインGCL−25を用い、例えば分子量5000以下の画分を分子量5000〜3000超、分子量3000〜2000超、分子量2000〜1000超、分子量1000〜500超、分子量500以下等の任意の分子量画分に調製することができる。
また、限外ろ過膜を用いて工業的に分子量分画を行うことができ、例えばダイセル社製FE10−FUSO382を使用することにより分子量30000以下の画分を、同FE−FUS−T653を使用することにより分子量6000以下の画分を調製することができる。更にナノフィルター膜を使用することにより分子量500以下の画分を得ることもでき、これらのゲルろ過法、分子量分画法を組み合せることにより、任意の分子量画分を調製することができる。
本発明で使用できるBMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有する酸性多糖の分解物、例えばフコイダンの分解物としては、下記式(1)で表される化合物、

(式中、RはH又はSOHであり、Rの少なくとも1つはSOHである。)
下記式(2)で表される化合物、

(式中、RはOH又はOSOHであり、Rの少なくとも1つはOSOHである。)
下記式(3)で表される化合物、

(式中、RはOH又はOSOHであり、Rの少なくとも1つはOSOHである。)
が例示され、これらの化合物は特開2003−199596、国際公開第97/26896号パンフレット、国際公開第00/50464号パンフレット記載の方法で調製することができる。本明細書において、化合物の式中、「・H」は糖のアノマー炭素に結合した、α位又はβ位にある水素原子を表す。なお、式(1)、式(2)、式(3)で表される化合物の繰返し構造を有する硫酸化多糖、及びオリゴ糖も本発明のBMP産生増強作用を有する硫酸化糖として使用することができる。
またガゴメ由来フコイダンを有機酸存在下で、加熱処理することによりグルクロン酸とマンノースの重合体を得ることができ、この重合体も本発明のBMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有する酸性多糖として使用することができる。また加熱処理条件、加熱時間を調整することにより任意の重合度の重合体を調製することができる。
酸性オリゴ糖としては、好ましくは硫酸化オリゴ糖を挙げることができ、また、酸性単糖としては、好ましくは硫酸化単糖を挙げることができる。かかる硫酸化オリゴ糖又は硫酸化単糖は、市販のものが使用できるほか、さまざまなオリゴ糖、単糖を原料として、公知の方法で硫酸化して調製することができる。また、これらの塩も好適に使用できる。これらは各々単独で若しくは2種以上混合して使用できる。また、酸性オリゴ糖、又は酸性単糖の分解物としては、前出の酸性多糖の分解物と同様に得ることができる。酸性単糖としては、BMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有していれば特に限定はないが、例えば硫酸化グルコース、硫酸化ガラクトース、硫酸化キシロース、硫酸化2−デオキシ−グルコース、硫酸化タロース及び硫酸化マンノースが例示される。さらにまた硫酸化多糖、硫酸化オリゴ糖、硫酸化単糖の脂肪酸誘導体等も本発明の酸性多糖、酸性オリゴ糖、酸性単糖に包含される。
本発明で使用される酸性糖には、その塩も包含される。本発明で使用される酸性糖の塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機塩基等との塩が例示される。またナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム、またはジエタノールアミン、エチレンジアミン等との塩が挙げられる。これらの塩は、例えば本発明で使用される酸性糖の、硫酸基やカルボキシル基を公知の方法により塩に変換することで得られる。かかる塩としては薬理学的に許容される塩が好ましい。
本発明においては、酸性糖として、酸性多糖、酸性オリゴ糖、酸性単糖及びそれらの分解物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物、より具体的には、フコイダン、ヘパリン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸(特にコンドロイチン硫酸B)、ペクチン酸、スピルリナ由来酸性多糖、フコイダン分解物、カラギーナンλ、カラギーナンκ、カラギーナンι、低分子ヘパリン、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、アルギン酸、ペクチン、ヒアルロン酸及びクロレラ由来酸性多糖からなる群より選択される少なくとも1つの化合物が好適に使用される。中でも、フコイダン、その分解物である上記式(1)で表される化合物、スピルリナ由来酸性多糖、クロレラ由来酸性多糖は、いずれも長い食経験の有る海藻類から得られるものであるので、安全性が高く、副作用の心配もなく、当然経口による摂取が可能である。特にガゴメ由来のフコイダンはBMP−2産生増強活性も高く、安全性も高いことから、本発明において最も好適に使用できる。
本発明で使用されるポリアクリル酸としては、特に限定はないが、例えば市販のものを使用することができ、その分子量についても本発明のBMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有していれば特に限定はなく、例えば、平均分子量が5000〜1000000のものを使用することができる。
本発明で使用されるクロロゲン酸としては、特に限定はないが、例えば市販のものかもしくは各種植物より公知の方法で調製して使用することができる。クロロゲン酸はアカネ科やキク科、ナス科植物等、さまざまな双子葉植物の果実や葉に含まれている成分であり、いずれの植物から調製したクロロゲン酸でも本発明のBMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有していれば本発明に使用することができる。
本発明で使用されるクロロゲン酸の酸化処理物としては、特に限定はないが、例えば、上記のクロロゲン酸を酸化反応させることにより得られる処理物を使用することができる。酸化反応としては、例えばクロロゲン酸を、酸素との接触による酸化、酸化剤による酸化、酸化酵素による酸化、電気的酸化等の工程に供することにより行う。いずれも公知の方法に従って行うことができる。たとえば、酸素との接触により酸化を行う場合、水溶液中に溶解させたクロロゲン酸に対し、ポンプを通して空気を送りこむことにより行うことができる。酸化剤による酸化は、酸化剤として好適には過酸化水素、オゾン、銀、銅、鉄、ニッケル、マンガン、コバルト、クロム等を用いて行うことができる。酸化酵素による酸化は、酸化酵素として好適にはチロシナーゼ、ペルオキシダーゼ等を使用して行うことができる。なお、酸化酵素による酸化には、前記例示する酸化酵素を含む微生物による酸化も包含される。また、電気的に酸化を行う場合、たとえば、白金、酸化鉛、炭素、グラファイト、酸化白金等を電極に用いる陽極酸化反応により酸化することができる。
酸化処理により得られる組成物の構造は不明であるが、クロロゲン酸が単に酸化され、もしくは重合されてポリマーとして存在していること等が推測される。
これらの有効成分は単独で若しくは2種以上混合して用いることができる。また、これら例示される酸性多糖の分解物や塩もBMP産生増強作用又は骨形成促進作用を示す限り、特に限定なく使用することができる。
本発明において、藻類由来の抽出物としては、BMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有していれば特に限定はなく、褐藻類、藍藻類、紅藻類、緑藻類等、前出する酸性多糖の原料となる藻類であれば特に限定なく使用することができる。特に好適にはガゴメ等の褐藻類や、クロレラ、スピルリナを使用することができる。本発明において、抽出物とは抽出溶媒を用いて抽出操作を行う工程を経て得られる物質のことをいう。抽出は、公知の抽出方法により以下のように行うことができる。例えば原料を粉砕もしくは細断した後、溶媒を用いてバッチ式もしくは連続式で抽出を行うことができる。抽出物を得る際の抽出溶媒としては、特に限定はないが、水、クロロホルム、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等の親水性もしくは親油性の溶媒を挙げることができ、所望により単独で、もしくは適宜混合液として用いることができる。また、好適にはカルシウム塩の水溶液を溶媒として用いることができる。抽出溶媒の量は適宜決定すればよいが、通常、原料に対し、好ましくは重量で0.1〜100倍量の抽出溶媒を使用すれば良い。抽出温度も適宜、目的に応じて決定すれば良いが、水抽出の場合は通常、好ましくは4〜130℃、より好ましくは25〜100℃である。また、溶媒中にエタノールが含まれる場合は4〜60℃の範囲が好適である。抽出時間も、抽出効率を考慮し決定すればよいが、通常、好ましくは数秒間〜数日間、より好ましくは5分間〜24時間の範囲となるように、原料、抽出溶媒、抽出温度を設定するのが好適である。抽出時の圧力は、特に限定はなく、所望により適宜決定することができるが、例えば常圧でも加圧でも吸引濾過等による減圧でもよい。抽出操作は、たとえば、攪拌しながら又は静置して行えばよく、また、所望により数回繰り返してもよい。以上の操作により、藻類由来の抽出物(以下、本発明の抽出物と称することがある。)が得られる。抽出物は所望により、ろ過、遠心分離、濃縮、限外ろ過、分子ふるい等の処理を行い、BMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有する成分が濃縮された抽出物を調製することができる。なお、本発明において、有効成分として使用しようとする前記酸性糖等、藻類由来の抽出物や濃縮抽出物のBMP産生増強作用又は骨形成促進作用は、後述の実施例1又は6記載の方法により簡便に測定することができる。なお、本発明においては異なった抽出法で得られた抽出物を2種以上含有させて使用することもできる。
また、本発明においては、藻類由来の抽出物を公知の方法で分画することによって得られる画分や、分画操作を複数回繰り返すことにより得られる画分も本発明の抽出物に包含される。上記の分画手段としては、抽出、分別沈殿、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等が挙げられる。得られた画分の精製を、BMP産生増強作用又は骨形成促進作用を指標としてさらに進めることにより、BMP産生増強物質又は骨形成促進物質を単離することもできる。
本発明において、藻類由来の抽出物の形状としては、BMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有していれば特に限定はないが、粉状、固形状、液状のいずれの形状であってもよい。また、当該任意の形状を有する抽出物の処理物を公知の方法で造粒して粒状の固形物として、本発明の藻類由来の抽出物として使用することができる。造粒方法としては、特に限定はないが、転動造粒、攪拌造粒、流動層造粒、気流造粒、押出し造粒、圧縮成型造粒、解砕造粒、噴射造粒又は噴霧造粒等が例示される。粉状の当該抽出物を液体、例えば水やアルコール等に溶解して液状とし、本発明の抽出物として使用することもできる。
本発明の抽出物としては、藻類そのものと比較してBMP産生増強物質又は骨形成促進物質を、例えば酸性多糖、酸性オリゴ糖、酸性単糖、またはそれらの分解物を高濃度及び/又は高純度に含有するものが特に好ましい。ここで高濃度とは、原料である藻類の単位重量あたりのBMP産生増強物質又は骨形成促進物質重量よりも本発明の抽出物の単位重量あたりのBMP産生増強物質又は骨形成促進物質重量の方が多いことを意味する。また、高純度とは、原料である藻類と比較して当該物質のBMP産生増強物質又は骨形成促進物質の含有率が高いことを意味する。
本発明に係る有効成分には、後述するように特に毒性は認められない。また、副作用の発生の心配もない。それゆえ、安全かつ適切に疾患の治療又は予防を行うことができる。従って、当該有効成分を含んでなる本発明の治療剤、予防剤、食品、飲料または飼料は、BMP産生増強又は骨形成促進を要する疾患の治療または予防に有効である。
本発明において、BMPとしては、例えばBMP−1、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−14、BMP−15等が例示され、特に好適にはBMP−2、BMP−4またはBMP−7が例示される。また、BMP産生増強作用の有無については、特に限定はないが、後述の実施例1に記載の方法により簡便に測定することができる。
BMPは骨、軟骨、靭帯、腱などの形成を強く促進する因子であり、前骨芽細胞に作用し骨芽細胞への分化を促進し、骨の発生、成長、リモデリング、骨折の治癒過程に関与しているものと考えられている。また、BMPは未分化間葉系細胞に作用し、分化段階に応じて軟骨芽細胞、骨芽細胞、脂肪細胞への分化の振り分けを行うことにより、広く間葉系由来細胞の成熟と増殖に関与している。さらに、BMPは個体の発生過程においても、背腹軸形成や中胚葉形成等に重要な働きを担っている。BMPの中でもBMP−2、−4、−7は特に骨形成活性が強く、組換えヒトBMP−2は骨欠損動物に作用して骨欠損を回復することができる。
BMPは感受性を有する細胞に限り作用する選択性の高いタンパク質である。さらに、BMPによる未分化間葉系細胞から骨芽細胞への分化の方向は特異性が高く、骨芽細胞以外の望まない細胞へ分化することはない。よって、BMP産生増強作用を有する本発明の有効成分は、副作用の恐れがなく、医薬や機能性食品素材として非常に有用である。
本発明において骨形成促進作用とは、骨や軟骨の形成作用を促すものであれば特に限定はなく、例えば、間葉系幹細胞からの骨芽細胞への分化促進作用、未分化間葉系細胞からの骨芽細胞への分化促進作用、前骨芽細胞からの骨芽細胞への分化促進作用、骨基質の形成促進作用、骨基質の石灰化作用、骨芽細胞からの骨細胞への分化促進作用、軟骨内骨化誘導作用等が例示される。また、骨形成促進作用の有無については、特に限定はないが、後述の実施例6に記載の方法により、例えば、間葉系幹細胞からの骨芽細胞への分化促進作用として簡便に測定することができる。ここで、「促進」には「誘導」を含む。
本発明において、BMP産生増強または骨形成促進を要する疾患としては、例えば、骨粗鬆症(例えば、慢性骨粗鬆症、閉経後のホルモンバランス異常により起こる骨粗鬆症、糖尿病やステロイド剤等の副作用に伴う続発性骨粗鬆症等)、骨折、再骨折、骨欠損、骨形成不全症、骨軟化症、骨ペーチェット病、硬直性脊髄炎、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、軟骨が関与する変形性関節症、歯周病、歯周疾患における歯周組織欠損、歯根・歯槽欠損、顎堤形成、口蓋裂の修復が例示される。
本発明の治療剤は、BMP産生増強または骨形成促進を行なうことができることから、前記のような疾患に対し治療効果を発揮し得る。また、本発明の予防剤は、本発明の有効成分の作用により、骨、軟骨や歯を強くすることから、前記のような疾患に対し予防効果を発揮し得る。
また、本発明の治療剤または予防剤は、多発性骨髄腫、肺癌、乳癌等の外科手術後の骨組織修復剤として使用することもできる。さらには、本発明の治療剤または予防剤は再生医療分野における骨再生目的にも使用することができる。具体的には、本発明の治療剤または予防剤は、人工骨や人工歯根の活性化・安定化に使用することができ、また疾患を有する前の、もしくは疾患を有する患者の生体内から細胞をとり、体外で本発明の治療剤または予防剤を作用させて、再生骨組織を形成させた後、再び患者の生体内にもどすこともできる。
本発明の治療剤または予防剤としては、本発明に係る前記有効成分を公知の医薬用担体と組み合わせて製剤化したものが挙げられる。例えば、骨の吸収を阻害する薬剤、例えばエストロゲン、カルシトニン、活性型ビタミンD、ビスホスホネート等と共に使用することができる。
本発明の治療剤または予防剤の製造は、通常、前記有効成分を薬学的に許容できる液状または固体状の担体と配合することにより行われ、所望により溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を加えて、錠剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、カプセル剤等の固形剤、通常液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤とすることができる。また、使用前に適当な担体の添加によって液状となし得る乾燥品や、その他、外用剤とすることもできる。
医薬用担体は、治療剤または予防剤の投与形態および剤型に応じて選択することができる。固体組成物からなる経口剤とする場合は、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤等とすることができ、たとえば、デンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩などが利用される。また経口剤の調製に当っては、更に結合剤、崩壊剤、界面活性剤、潤沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料などを配合することもできる。たとえば、錠剤または丸剤とする場合は、所望によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロースなどの糖衣または胃溶性もしくは腸溶性物質のフィルムで被覆してもよい。液体組成物からなる経口剤とする場合は、薬理学的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤などとすることができ、たとえば、精製水、エタノールなどが担体として利用される。また、さらに所望により湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、防腐剤などを添加してもよい。
一方、非経口剤とする場合は、常法に従い本発明の前記有効成分を希釈剤としての注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、注射用植物油、ゴマ油、落花生油、大豆油、トウモロコシ油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどに溶解ないし懸濁させ、所望により、殺菌剤、安定剤、等張化剤、無痛化剤などを加えることにより調製することができる。また、固体組成物を製造し、使用前に無菌水または無菌の注射用溶媒に溶解して使用することもできる。
外用剤としては、経皮投与用または経粘膜(口腔内、鼻腔内)投与用の、固体、半固体状または液状の製剤が含まれる。また、座剤なども含まれる。たとえば、乳剤、ローション剤などの乳濁剤、外用チンキ剤、経粘膜投与用液剤などの液状製剤、油性軟膏、親水性軟膏などの軟膏剤、フィルム剤、テープ剤、パップ剤などの経皮投与用または経粘膜投与用の貼付剤などとすることができる。
以上の各種製剤は、それぞれ公知の医薬用担体などを利用して、適宜、常法により製造することができる。また、かかる製剤における有効成分の含有量は、その投与形態、投与方法などを考慮し、好ましくは後述の投与量範囲で当該有効成分を投与できるような量であれば特に限定されるものではない。本発明の有効成分の含有量としては、通常、0.0001重量%以上、好ましくは0.001〜80重量%、より好ましくは0.01〜70重量%程度である。なお、本明細書において、有効成分として本発明の抽出物を使用する場合の医薬、食品、飲料又は飼料中の含有量、及び有効成分の投与量については、全て本発明の抽出物の乾燥重量換算で示すものとする。
本発明の治療剤又は予防剤は、製剤形態に応じた適当な投与経路で投与される。投与方法も特に限定はなく、内用、外用および注射によることができる。注射剤は、たとえば静脈内、筋肉内、皮下、皮内などに投与し得、外用剤では、たとえば、座剤をその適する投与方法により投与すればよい。
本発明の治療剤または予防剤としての投与量は、その製剤形態、投与方法、使用目的および当該治療剤または予防剤の投与対象である患者の年齢、体重、症状によって適宜設定され一定ではない。一般には、製剤中に含有される前記有効成分の投与量で、例えば有効成分としてガゴメ由来フコイダンを使用する場合、特に限定はないが、ヒト(例えば成人)1日当り0.0001μg〜2000mg/kg体重、好ましくは0.001μg〜1000mg/kg体重、より好ましくは0.01μg〜100mg/kg体重である。もちろん投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、あるいは範囲を超えて必要な場合もある。投与は、所望の投与量範囲内において、1日内において単回で、または数回に分けて行ってもよい。投与期間も特に限定されない。また、本発明の治療剤または予防剤はそのまま経口投与するほか、任意の飲食品に添加して日常的に摂取させることもできる。
また、本発明は前記有効成分を含むBMP産生増強剤又は骨形成促進剤を提供することもできる。当該BMP産生増強剤又は骨形成促進剤としては、前記有効成分そのものであってもよく、また、前記有効成分を含む組成物であってもよい。BMP産生増強剤又は骨形成促進剤は、たとえば、前記有効成分を当該有効成分と同じ用途に使用可能な他の成分などと配合し、上記治療剤または予防剤の製造方法に準じて通常使用される試薬の形態に製造すればよい。かかるBMP産生増強剤又は骨形成促進剤における前記有効成分の含有量は、当該BMP産生増強剤又は骨形成促進剤の投与方法、使用目的などを考慮し、本発明の所望の効果の発現が得られ得るような量であればよく、特に限定されるものではない。本発明の有効成分の含有量としては、通常、0.01〜100重量%程度である。また、該BMP産生増強剤又は骨形成促進剤の使用量も、本発明の所望の効果の発現が得られ得るようであれば特に限定されるものではない。特に、生体に投与して使用する場合には、好ましくは前記治療剤または予防剤における有効成分の投与量範囲内で有効成分を投与できるような量で使用すればよい。本発明のBMP産生増強剤又は骨形成促進剤は、BMP産生増強又は骨形成促進を要する疾患において有用である。
また、本発明のBMP産生増強剤又は骨形成促進剤は、インプラントに含有させて使用することができる。これにより、例えば骨折においては、当該インプラントを使用することにより、骨接合を促進させ、それゆえに骨折の治癒またはインプラントと骨組織との統合を加速させることができる。なお、ここでインプラントとは、外科手術の過程で体内に少なくとも部分的に導入される器具を意味し、関節、骨、歯、靭帯もしくは腱等の切断や損傷に対して使用されるものである。また、インプラントは体内に永久に残っていてもよく、また生物によって再吸収されてもよい。ここで、本発明のBMP産生増強剤又は骨形成促進剤はインプラントの内部に含有させてもよいし、またインプラント表面にコーティングして含有させても良い。インプラントにおける本発明のBMP産生増強剤又は骨形成促進剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、通常、0.01〜80重量%程度である。
また、本発明のBMP産生増強剤又は骨形成促進剤は、ハミガキに含有させて使用することもできる。当該ハミガキは本発明のBMP産生増強作用又は骨形成促進作用により、歯の再石灰化を促進させることができる。ハミガキにおける本発明のBMP産生増強剤又は骨形成促進剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、通常、0.01〜80重量%程度である。
また、当該BMP産生増強剤又は骨形成促進剤は、骨に関与する疾患に対する薬物のスクリーニングにも有用である。さらにBMP産生増強剤又は骨形成促進剤は、骨の物理的変化に関する機能研究にも有用である。
また、本発明は、前記有効成分を含有してなるBMP産生増強用又は骨形成促進用の食品、飲料又は飼料を提供する。ここで、含有とは、含有、添加および/または希釈を意味する。本発明の食品、飲料または飼料は、そのBMP産生増強作用又は骨形成促進作用により、BMP産生増強又は骨形成促進を要する疾患の症状改善、予防に極めて有用である。よって、本発明の食品又は飲料は骨の健康が気になるか方や、骨密度が気になる方が食すのに極めて適している。
なお、本明細書における食品、飲料または飼料において、「含有」とは食品、飲料または飼料中に本発明で使用される有効成分が含まれるという態様を、「添加」とは食品、飲料または飼料の原料に、本発明で使用される有効成分を添加するという態様を、「希釈」とは本発明で使用される有効成分に、食品、飲料または飼料の原料を添加するという態様をいうものである。
本発明の食品、飲料または飼料の製造法に特に限定はない。たとえば、配合、調理、加工などは一般の食品、飲料または飼料のものに従えばよく、それらの製造法により製造することができ、得られた食品、飲料または飼料にBMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有する本発明に係る前記有効成分が含有されていれば良い。
本発明の食品または飲料としては特に限定はないが、たとえば、本発明に係る前記有効成分が含有されてなる、穀物加工品(小麦粉加工品、デンプン類加工品、プレミックス加工品、麺類、マカロニ類、パン類、あん類、そば類、麩、ビーフン、はるさめ、包装餅など)、油脂加工品(可塑性油脂、てんぷら油、サラダ油、マヨネーズ類、ドレッシングなど)、大豆加工品(豆腐類、味噌、納豆など)、食肉加工品(ハム、ベーコン、プレスハム、ソーセージなど)、水産製品(冷凍すりみ、かまぼこ、ちくわ、はんぺん、さつま揚げ、つみれ、すじ、魚肉ハム、ソーセージ、かつお節、魚卵加工品、水産缶詰、つくだ煮など)、乳製品(原料乳、クリーム、ヨーグルト、バター、チーズ、練乳、粉乳、アイスクリームなど)、野菜・果実加工品(ペースト類、ジャム類、漬け物類、果実飲料、野菜飲料、ミックス飲料など)、菓子類(ガム、飴、チョコレート、ビスケット類、菓子パン類、ケーキ、餅菓子、米菓類など)、アルコール飲料(日本酒、中国酒、ワイン、ウイスキー、焼酎、ウオッカ、ブランデー、ジン、ラム酒、ビール、清涼アルコール飲料、果実酒、リキュールなど)、嗜好飲料(緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒー、清涼飲料、乳酸飲料など)、調味料(しょうゆ、ソース、酢、みりんなど)、缶詰・瓶詰め・袋詰め食品(牛飯、釜飯、赤飯、カレー、その他の各種調理済み食品)、半乾燥または濃縮食品(レバーペースト、その他のスプレッド、そば・うどんの汁、濃縮スープ類)、乾燥食品(即席麺類、即席カレー、インスタントコーヒー、粉末ジュース、粉末スープ、即席味噌汁、調理済み食品、調理済み飲料、調理済みスープなど)、冷凍食品(すき焼き、茶碗蒸し、うなぎかば焼き、ハンバーグステーキ、シュウマイ、餃子、各種スティック、フルーツカクテルなど)、固形食品、液体食品(スープなど)、香辛料類などの農産・林産加工品、畜産加工品、水産加工品などが挙げられる。また、本発明の食品として、特にガム、飴類等が好適である。かかる食品は、口内において一定時間咀嚼されることから、それらに本発明の有効成分が含有されておれば、本発明の有効成分により奏される効果、例えば、歯周組織の再生効果、歯の再石灰化促進効果をより効果的に発現させることができる。
本発明の食品または飲料には前記有効成分が単独もしくは複数含有、添加および/または希釈されており、そのBMP産生増強作用又は骨形成促進作用を発現するための必要量が含まれていれば特にその形状に限定はなく、タブレット状、顆粒状、カプセル状等の形状の経口的に摂取可能な形状物も包含する。
本発明の食品又は飲料中の前記有効成分の含有量は特に限定されず、その官能と活性発現の観点から適宜選択できるが、例えば有効成分としてガゴメ由来フコイダンを使用する場合、特に限定はないが、食品100重量%当たり0.0001重量%以上、好ましくは0.001〜50重量%、より好ましくは0.006〜10重量%であり、飲料100重量%当たり0.0001重量%以上、好ましくは0.001〜50重量%、より好ましくは0.006〜10重量%である。また本発明の食品又は飲料は、好ましくはそれらに含有される有効成分が、例えばガゴメ由来フコイダンを有効成分とした場合、ヒト(例えば成人)1日当り0.0001μg〜2000mg/kg体重、好ましくは0.001μg〜1000mg/kg体重、より好ましくは0.01μg〜100mg/kg体重となるように摂取すればよい。もちろん摂取量は、種々の条件によって変動するので、上記摂取量より少ない量で十分な場合もあるし、あるいは範囲を超えて必要な場合もある。
また、本発明は、前記有効成分を含有、添加および/または希釈してなる、BMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有する生物用の飼料を提供するものであり、さらに、別の一態様として、前記有効成分を生物に投与することを特徴とする生物の飼育方法をも提供する。また、本発明の別の一態様として、前記有効成分を含有することを特徴とする生物飼育用剤が提供される。
これらの発明において、生物とはたとえば養殖動物、ペット動物などであり、養殖動物としては家畜、実験動物、家禽、魚類、甲殻類または貝類が例示される。飼料としては体調の維持および/または改善用飼料が例示される。生物飼育用剤としては浸漬用剤、飼料添加剤、飲料用添加剤が例示される。
これらの発明によれば、それらを適用する前記例示するような生物において、本発明に使用される前記有効成分のBMP産生増強作用又は骨形成促進作用に基づき、本発明の前記治療剤または予防剤によるのと同様の効果の発現が期待できる。すなわち、当該生物における骨形成タンパク質産生増強又は骨形成促進を要する疾患の治療または予防効果等が発揮される。
本発明に使用される前記有効成分は通常、例えばガゴメ由来フコイダンを有効成分とした場合、対象生物1日当たり0.0001μg〜2000mg/kg体重、好ましくは0.001μg〜1000mg/kg体重、より好ましくは0.01μg〜100mg/kg体重で摂取させればよい。もちろん投与量は、種々の条件、例えば本発明の抽出物を使用した場合、使用した溶媒の使用量等によっても変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、あるいは範囲を超えて必要な場合もある。投与は、たとえば、当該有効成分を、対象生物に供する人工配合飼料の原料中に添加混合しておくか、人工配合飼料の粉末原料と混合した後、その他の原料にさらに添加混合して用いることで行うことができる。また、前記有効成分の飼料中の含有量は特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜設定すれば良いが、例えば有効成分としてガゴメ由来フコイダンを使用する場合、特に限定はないが、飼料100重量%当たり0.0001重量%以上、好ましくは0.001〜50重量%、より好ましくは0.006〜10重量%である。
本発明の飼料の製造法に特に限定はなく、また配合も一般の飼料に準ずるものであればよく、製造された飼料中にBMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有する本発明に係る前記有効成分が含まれていればよい。
本発明が適用できる生物としては限定はないが、養殖動物としては、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ラマなどの家畜、マウス、ラット、モルモット、ウサギなどの実験動物、ニワトリ、アヒル、七面鳥、駝鳥などの家禽、ペット動物としてはイヌ、ネコなどが挙げられ、広く適用できる。
BMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有する本発明に使用される前記有効成分を含んでなる飼料を摂取させること、またはBMP産生増強作用又は骨形成促進作用を有する本発明に使用される前記有効成分の含有液(例えば、浸漬用剤を添加した水浴等)に対象生物を浸漬することにより、家畜、実験動物、家禽、ペット動物などの体調を良好に維持し、または、改善させたりすることができる。これらは、本発明の生物の飼育方法の一態様をなす。
本発明で使用される前記有効成分は、その作用発現にとっての有効量の投与を行っても毒性は認められない。たとえば経口投与の場合、ガゴメ由来フコイダンを1g/kg体重でマウスに単回投与しても死亡例は認められない。また、前記有効成分は、ラットに経口投与において1g/kg体重を経口単回投与しても死亡例は認められない。
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら限定されるものではない。なお、実施例における%は特段の事情がない限り重量%を意味する。
参考例1
(1)ガゴメを充分乾燥後、乾燥物20kgを自由粉砕機(奈良機械製作所製)により粉砕した。水道水900リットルに塩化カルシウム二水和物(日本曹達社製)7.3kgを溶解し、次にガゴメ粉砕物20kgを混合した。液温12℃から液温90℃となるまで水蒸気吹込みにより40分間昇温させ、次いで攪拌下90〜95℃に1時間保温し、次いで冷却し、冷却物1100リットルを得た。次いで固液分離装置(ウエストファリアセパレーター社製CNA型)を用い、冷却物の固液分離を行い、約900リットルの固液分離上清液を調製した。固液分離上清液360リットルをダイセル社製FE10−FC−FUS0382(分画分子量3万)を用い、20リットルまで濃縮した。次いで水道水を20リットル加え、また20リットルまで濃縮するという操作を5回行い、脱塩処理を行い、ガゴメ由来の抽出液25リットルを調製した。該抽出液1リットルを凍結乾燥し、ガゴメ由来フコイダン乾燥物13gを得た。
(2)参考例1−(1)記載のフコイダン乾燥物7gを、50mMの塩化ナトリウムと10%のエタノールを含む20mMのイミダゾール緩衝液(pH8.0)700mlに溶解し、遠心分離により不溶物を除去した。DEAE−セルロファインA−800カラム(φ11.4cm×48cm)を同緩衝液にて平衡化し、遠心分離上清をアプライ後、同緩衝液で洗い、塩化ナトリウムの50mMから1.95Mの濃度勾配により溶出させた(1フラクション:250ml)。フェノール硫酸法及びカルバゾール硫酸法にて、総糖量及びウロン酸含量を求め、溶出順にフラクション43〜49、フラクション50〜55、フラクション56〜67の画分を得た。次に、これらの画分を電気透析により脱塩後凍結乾燥し、フラクション43〜49よりI画分(340mg)、フラクション50〜55よりII画分(870mg)、フラクション56〜67よりIII画分(2.64g)をそれぞれ調製した。第1図にガゴメ由来フコイダンのDEAE−セルロファインA−800カラム溶出パターンを示す。第1図において縦軸はカルバゾール硫酸法での530nmの吸光度(図中黒丸)、フェノール硫酸法での480nmの吸光度(図中白丸)、及び電導度(mS/cm:図中白四角)、横軸はフラクション番号を示す。
参考例2
(1)アルテロモナス sp. SN−1009 (CCRC910070)を、グルコース 0.25%、ペプトン 1.0%、酵母エキス 0.05%を含む人工海水(ジャマリンラボラトリー社製)pH8.2からなる培地600mlを分注して殺菌した(120℃、20分間)2リットルの三角フラスコに接種し、25℃で26時間培養して種培養液とした。ペプトン 1.0%、酵母エキス 0.02%、下記参考例2−(2)に記載の硫酸化多糖 0.2%、及び消泡剤(信越化学工業社製KM70)0.01%を含む人工海水pH8.0からなる培地20リットルを30リットル容のジャーファメンターに入れて120℃、20分間殺菌した。冷却後、上記の種培養液600mlを接種し、24℃で24時間、毎分10リットルの通気量と毎分250回転の攪拌速度の条件で培養した。培養終了後、培養液を遠心分離して菌体及び培養上清を得た。得られた培養上清を、排除分子量1万のホロファイバーを装着させた限外ろ過機により濃縮後85%飽和硫安塩析し、生じた沈殿を遠心分離により集め、10分の1濃度の人工海水を含む20mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.2)に対して充分透析し、600mlの硫酸化多糖に選択的に作用するエンド型硫酸化多糖分解酵素液を調製した。
(2)乾燥したガゴメ2kgを直径1mmのスクリーンを装着させたカッターミル(増幸産業社製)により粉砕し、得られた昆布のチップを20リットルの80%エタノール中に懸濁し、25℃で3時間攪拌し、ろ紙でろ過後、残渣を充分洗浄した。得られた残渣を、95℃に加温した40リットルの50mMの塩化ナトリウムを含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液pH6.5に懸濁し、時々攪拌しながら95℃で2時間処理し、硫酸化多糖を抽出した。抽出液中の懸濁物を、ろ過し、ろ液を調製した後、ろ過残渣を3.5リットルの100mM塩化ナトリウムにより洗浄し、更にろ液を得た。両ろ液を合わせた後、30℃まで温度を下げ、3000Uのアルギン酸リアーゼ(ナガセ生化学工業社製)を添加後、エタノールを4リットル加え25℃で24時間攪拌した。次に遠心分離を行い、得られた上清を排除分子量10万のホロファイバーを備えた限外ろ過機により4リットルに濃縮し、更に、10%のエタノールを含む100mMの塩化ナトリウムにより、着色性物質がろ過されなくなるまで限外ろ過を続けた。非ろ過液中に生じた沈殿は遠心分離により除去し、この上清を5℃まで温度を下げ、0.5N塩酸によりpHを2.0とした後、生じたタンパク質等の沈殿を遠心分離により除去し、得られた上清を速やかに1N水酸化ナトリウムによりpHを8.0とした。次に、排除分子量10万のホロファイバーを装着させた限外ろ過機により限外ろ過を行い、20mM塩化ナトリウムpH8.0により完全に溶媒置換後、再度pHを8.0として遠心分離後、凍結乾燥を行い、約95gの硫酸化多糖を調製した。
(3)乾燥したガゴメ2kgを直径1mmのスクリーンを装着させたカッターミルにより粉砕し、得られた昆布のチップを20リットルの80%エタノール中に懸濁し、25℃で3時間攪拌し、ろ紙でろ過後、残渣を充分洗浄した。得られた残渣を、30mlの上記参考例2−(1)で調製したエンド型硫酸化多糖分解酵素液、10%のエタノール、100mMの塩化ナトリウム、50mMの塩化カルシウム、及び50mMのイミダゾールを含む20リットルの緩衝液(pH8.2)に懸濁し、25℃で48時間攪拌した。この懸濁液を網目の直径32μmのステンレス金網でろ過し、残渣を50mMの塩化カルシウムを含む10%のエタノールで洗浄した。更にその残渣を10リットルの50mM塩化カルシウムを含む10%のエタノール中に懸濁し、3時間攪拌後、ステンレス金網でろ過、洗浄した。更にその残渣を同条件で懸濁後、16時間攪拌し、直径32μmのステンレス金網でろ過、洗浄した。こうして得られたろ液及び洗浄液を集め、排除分子量3000のホロファイバーを装着させた限外ろ過機により限外ろ過し、ろ過液と非ろ過液に分離した。このろ過液をロータリーエバポレーターで約3リットルに濃縮後、遠心分離して上清を得た。得られた上清を排除分子量300の膜を装着させた電気透析器により脱塩し、この溶液に0.1Mとなるように酢酸カルシウムを添加し、生じた沈殿を遠心分離により除去した。この上清をあらかじめ50mMの酢酸カルシウムにより平衡化させたDEAE−セルロファイン(樹脂量4リットル)にかけ、50mMの酢酸カルシウム及び50mMの塩化ナトリウムで充分洗浄後、50mM〜800mMの塩化ナトリウムのグラジエントにより溶出させた。この時の分取量は1本当り500mlで行った。分取した画分をセルロースアセテート膜電気泳動法[アナリティカル バイオケミストリー(Analytical Biochemistry)、第37巻、第197〜202頁(1970)]により分析したところ塩化ナトリウム濃度が約0.4Mで溶出される硫酸化糖(フラクションナンバー63付近)が均一であった。そこで、まずフラクションナンバー63の液を150mlに濃縮後、濃度が4Mとなるように塩化ナトリウムを添加し、あらかじめ4Mの塩化ナトリウムにより平衡化したPhenyl−セルロファイン(樹脂量200ml)にかけ、4Mの塩化ナトリウムにより充分洗浄した。非吸着性の硫酸化糖画分を集め、排除分子量300の膜を装着させた電気透析器により脱塩し、脱塩液505mlを得た。得られた脱塩液のうち40mlを10%のエタノールを含む0.2Mの塩化ナトリウムによって平衡化させたセルロファインGCL−90のカラム(4.1cm×87cm)にかけて、ゲルろ過を行った。分取は1フラクション当り9.2mlで行った。全フラクションに対して総糖量の分析をフェノール硫酸法〔アナリティカルケミストリー(Analytical Chemistry)、第28巻、第350頁(1956)〕により行った。
この結果、硫酸化糖は1つのピークを形成したので、そのピークの中央部分、フラクションナンバー63〜70を集め、排除分子量300の膜を装着させた電気透析器により脱塩後、凍結乾燥し、112mgの下記式(4)で表される化合物の乾燥品を得た。以下、該化合物を7−12SFd−Fと称す。

参考例3
乾燥スピルリナ粉末(発売:(株)スピルリナ研究所)20gをホモジナイザー(日本精機社製)に入れ、400mlのアセトンを加え、8000rpm、10分間ホモジナイズした。ホモジネートを濾紙で濾過して、残渣を得た。残渣を前記の操作と同じようにアセトン洗浄を3回繰り返し、アセトン洗浄残渣を得た。アセトン洗浄残渣をアセトン洗浄と同じように、90%エタノールで4回、80%エタノールで4回洗浄し、エタノール洗浄残渣を得た。エタノール洗浄残渣に600mlの100mMの塩化ナトリウムと10%エタノールを含む30mMのリン酸緩衝液(pH7.0)を加え、室温で18時間攪拌した。この混合物を10000rpmで40分間遠心分離し、上清を得た。上清に混入した不溶物を濾紙で濾過して、粗抽出物(濾液)を得た。得られた粗抽出物を排除分子量1万のホロファイバーを装着させた限外濾過装置で300mlまで濃縮した後、2リットルの10%エタノールを含む100mM塩化ナトリウムを加えながら限外濾過した。この後、10%エタノール及び50mMの塩化ナトリウムを含む10mMイミダゾール−塩酸緩衝液(pH7.0)に溶媒置換し、スピルリナ高分子画分を240mlを得た。
スピルリナ高分子画分を10%エタノール及び50mM塩化ナトリウムを含む10mMイミダゾール−塩酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したDEAE−セルロファイン A−800カラム(Φ3x14.2cm)に添加して、同じ緩衝液360mlでカラムを洗浄した後、0.05M(200ml)から2M(200ml)までの塩化ナトリウムのグラジエントにより溶出させた。溶出液は一本あたり10mlで分画した。溶出画分のうち、フラクションNo.14から30までをスピルリナ酸性多糖画分−I(SSP−I)、フラクションNo.69から77までをスピルリナ酸性多糖画分−II(SSP−II)、フラクションNo.78から83までをスピルリナ酸性多糖画分−III(SSP−III)、フラクションNo.84から99までをスピルリナ酸性多糖画分−IV(SSP−IV)とそれぞれ名付けた。SSP−I、SSP−II、SSP−III及びSSP−IVを蒸留水に対して充分透析し、凍結乾燥したところ、それぞれ200mg、260mg、100mg及び60mgであった。
参考例4
乾燥クロレラ粉末20gをホモジナイザー(日本精機社製)に入れ、400mlのアセトンを加え、8000rpm、10分間ホモジナイズした。ホモジネートを濾紙で濾過して、残渣を得た。残渣を以上の操作と同じようにアセトン洗浄を3回繰り返し、アセトン洗浄残渣を得た。アセトン洗浄残渣をアセトン洗浄と同じように、90%エタノールで4回、80%エタノールで4回洗浄し、エタノール洗浄残渣を得た。
エタノール洗浄残渣に600mlの100mMの塩化ナトリウムと10%エタノールを含む30mMのリン酸緩衝液(pH7.0)を加え、室温で18時間攪拌した。この混合物を10000rpmで40分間遠心分離し、上清を得た。上清に混入した不溶物を濾紙で濾過して、粗抽出物(濾液)を得た。得られた粗抽出物を排除分子量1万のホロファイバーを装着させた限外濾過装置で310mlまで濃縮した後、3リットルの10%エタノールを含む100mM塩化ナトリウムを加えながら限外濾過した。この後、10%エタノール及び50mMの塩化ナトリウムを含む10mMイミダゾール−塩酸緩衝液(pH7.0)に溶媒置換し、クロレラ高分子画分を203mlを得た。
クロレラ高分子画分を10%エタノール及び50mM塩化ナトリウムを含む10mMイミダゾール−塩酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したDEAE−セルロファイン A−800カラム(Φ3x14.2cm)に添加して、同じ緩衝液297mlでカラムを洗浄した後、0.05M(200ml)から2M(200ml)までの塩化ナトリウムのグラジエントにより溶出させた。溶出液は一本あたり10mlで分画した。溶出画分のうち、フラクションNo.63から68までをクロレラ硫酸化多糖画分−I(CPS−I)と名付け、フラクションNo.69から75までをクロレラ硫酸化多糖画分−II(CPS−II)と名付けた。CSP−I及びCSP−IIを蒸留水に対して充分透析し、凍結乾燥したところ、それぞれ140mg及び200mgであった。
参考例5
クロロゲン酸を100mMの濃度になるように100mM炭酸ナトリウム緩衝液(pH9)に溶解した。この溶液に12時間、ペリスターポンプを通じて空気を送り込むことでクロロゲン酸の酸化処理物を調製した。
【実施例1】
ヒト骨肉腫細胞株HuO9を10% ウシ胎児血清(バイオウィタカ社製)を含むDMEM培地(バイオウィタカ社製)に1×10細胞/mlとなるように懸濁し、96穴プレートに0.1mlずつまき無菌的に培養した。2日間培養後、新しい培地に置き換えた。これに参考例1−(1)で得られたガゴメ由来フコイダンを試料として添加し、48時間培養した。次に、培養液中の骨形成タンパク質−2(BMP−2)の濃度をエンザイムイムノアッセイ法(BMP−2 Immunoassay:GT社製)にて測定した。対照は試料無添加とし、この細胞培養液中のBMP−2濃度(細胞のBMP−2産生量)を100%として、BMP−2産生増強活性を表した。試料の添加量は表1に示す通りとした。その結果、参考例1−(1)で得られたガゴメ由来フコイダンが濃度依存的にBMP−2の産生を増強することが明らかとなった。表1にその結果を示す。

【実施例2】
参考例1−(1)で調製したガゴメ由来フコイダン、参考例1−(2)で調製したフコイダンI画分、フコイダンII画分、フコイダンIII画分、参考例2−(3)で調製した7−12SFd−F、参考例3で調製したスピルリナ酸性多糖画分SSP−I、III、IVならびにヘパリン(和光純薬社製)、デキストラン硫酸(シグマ社製)、コンドロイチン硫酸B(生化学工業社製)、ペクチン酸(ナカライテスク社製)のBMP−2産生増強活性を実施例1と同様の方法で調べた。試料の添加量は表2、3に示す通りとした。その結果、ガゴメ由来フコイダン、フコイダンI画分、フコイダンII画分、フコイダンIII画分、7−12SFd−F、スピルリナ酸性多糖画分SSP−I、III、IV、ヘパリン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸B、ペクチン酸が濃度依存的にBMP−2の産生を増強することが明らかとなった。表2、3にその結果を示す。


【実施例3】
カラギーナンλ(シグマ社製)、カラギーナンκ(シグマ社製)、カラギーナンι(シグマ社製)、低分子ヘパリン(CELSUS LABORATORIES社製)のBMP−2産生増強活性を実施例1と同様の方法で調べた。試料の添加量は表4に示す通りとした。その結果、カラギーナンλ、カラギーナンκ、カラギーナンι、低分子ヘパリンが濃度依存的にBMP−2の産生を増強することが明らかとなった。表4にその結果を示す。

【実施例4】
ポリアクリル酸(平均分子量5000、250000、1000000:和光純薬社製)のBMP−2産生増強活性を実施例1と同様の方法で調べた。試料の添加量は表5に示す通りとした。その結果、ポリアクリル酸(平均分子量5000、250000、1000000)が濃度依存的にBMP−2の産生を増強することが明らかとなった。表5にその結果を示す。

【実施例5】
クロロゲン酸(東京化成工業社製)と参考例5で調製したクロロゲン酸の酸化処理物のBMP−2産生増強活性を実施例1と同様の方法で調べた。試料の添加量は表6に示す通りとした。その結果、クロロゲン酸、クロロゲン酸の酸化処理物が濃度依存的にBMP−2の産生を増強することが明らかとなった。表6にその結果を示す。

【実施例6】
マウス胚細胞株C3H10T1/2を10%ウシ胎児血清を含むDMEM培地に3×10細胞/mlとなるように懸濁し、96穴プレートに0.1mlずつまき無菌的に培養した。3日間培養後、新しい培地に置き換えた。これにヘパラン硫酸、参考例4で得られたクロレラ硫酸化多糖画分CSP−I、CSP−IIを試料として添加し、7日間培養した。続いて、C3H10T1/2細胞の骨芽細胞への分化をアルカリ性フォスファターゼ活性の細胞での増加を指標として測定した。細胞をPBSで一回洗浄し、反応基質液(100mM ジエタノールアミン緩衝液 pH10.0、2mM 塩化マグネシウム、1mM p−ニトロフェニルリン酸)100μlを加え、37℃で30分間反応を行った。次に、0.2Nの水酸化ナトリウム100μlを加えて反応を停止し、遊離したp−ニトロフェノール量を吸光度405nmで測定した。対照は試料無添加とし、対照のアルカリ性フォスファターゼ活性を100%として、試料を添加した場合のアルカリ性フォスファターゼ活性を表した。かかる活性は骨芽細胞への分化誘導活性を表す。試料の添加量は表7に示す通りとした。実験は2連で行い、その平均値を採用した。その結果、ヘパラン硫酸、CSP−I、CSP−IIが濃度依存的に骨芽細胞への分化を誘導することが明らかとなった。表7にその結果を示す。

【産業上の利用可能性】
本発明により、(a)酸性糖、(b)ポリアクリル酸、(c)クロロゲン酸及び(d)クロロゲン酸の酸化処理物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を、または藻類由来の抽出物を有効成分として含有するBMP産生増強又は骨形成促進を要する疾患の治療用又は予防用の医薬、BMP産生増強剤又は骨形成促進剤、BMP産生増強用又は骨形成促進用の食品、飲料又は飼料が提供される。該医薬は骨粗鬆症や骨折等の骨に関連する疾患の治療剤又は予防剤として有用である。また、BMP産生増強剤又は骨形成促進剤は、骨折治療や歯の治療に使用されるインプラントやハミガキの成分として使用することができる。また、当該剤は骨の機能研究、骨に関与する疾患に対する薬物のスクリーニングにも有用である。また、該食品又は飲料は、日常の飲食品として摂取することにより、BMP産生増強又は骨形成促進を要する疾患の症状改善等が可能となる。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)酸性糖、(b)ポリアクリル酸、(c)クロロゲン酸および(d)クロロゲン酸の酸化処理物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を有効成分として含有することを特徴とする骨形成タンパク質産生増強又は骨形成促進を要する疾患の治療剤又は予防剤。
【請求項2】
酸性糖が酸性多糖、酸性オリゴ糖、酸性単糖及びそれらの分解物からなる群より選択される少なくとも1つの酸性糖である請求項1記載の治療剤又は予防剤。
【請求項3】
酸性糖がフコイダン、ヘパリン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸B、ペクチン酸、スピルリナ由来酸性多糖、フコイダン分解物、カラギーナンλ、カラギーナンκ、カラギーナンι、低分子ヘパリン、ヘパラン硫酸及びクロレラ由来酸性多糖からなる群より選択される少なくとも1つの酸性糖である請求項1記載の治療剤又は予防剤。
【請求項4】
(a)酸性糖、(b)ポリアクリル酸、(c)クロロゲン酸および(d)クロロゲン酸の酸化処理物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を有効成分として含有することを特徴とする骨形成タンパク質産生増強剤又は骨形成促進剤。
【請求項5】
酸性糖が酸性多糖、酸性オリゴ糖、酸性単糖及びそれらの分解物からなる群より選択される少なくとも1つの酸性糖である請求項4記載の骨形成タンパク質産生増強剤又は骨形成促進剤。
【請求項6】
酸性糖がフコイダン、ヘパリン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸B、ペクチン酸、スピルリナ由来酸性多糖、フコイダン分解物、カラギーナンλ、カラギーナンκ、カラギーナンι、低分子ヘパリン、ヘパラン硫酸及びクロレラ由来酸性多糖からなる群より選択される少なくとも1つの酸性糖である請求項4記載の骨形成タンパク質産生増強剤又は骨形成促進剤。
【請求項7】
(a)酸性糖、(b)ポリアクリル酸、(c)クロロゲン酸および(d)クロロゲン酸の酸化処理物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を有効成分として含有することを特徴とする骨形成タンパク質産生増強用又は骨形成促進用の食品、飲料又は飼料。
【請求項8】
酸性糖が酸性多糖、酸性オリゴ糖、酸性単糖及びそれらの分解物からなる群より選択される少なくとも1つの酸性糖である請求項7記載の骨形成タンパク質産生増強用又は骨形成促進用の食品、飲料又は飼料。
【請求項9】
酸性糖がフコイダン、ヘパリン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸B、ペクチン酸、スピルリナ由来酸性多糖、フコイダン分解物、カラギーナンλ、カラギーナンκ、カラギーナンι、低分子ヘパリン、ヘパラン硫酸及びクロレラ由来酸性多糖からなる群より選択される少なくとも1つの酸性糖である請求項7記載の骨形成タンパク質産生増強用又は骨形成促進用の食品、飲料又は飼料。
【請求項10】
藻類由来の抽出物を有効成分として含有することを特徴とする骨形成タンパク質産生増強又は骨形成促進を要する疾患の治療剤又は予防剤。
【請求項11】
藻類由来の抽出物を有効成分として含有することを特徴とする骨形成タンパク質産生増強剤又は骨形成促進剤。
【請求項12】
藻類由来の抽出物を有効成分として含有することを特徴とする骨形成タンパク質産生増強用又は骨形成促進用の食品、飲料又は飼料。

【国際公開番号】WO2004/050078
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【発行日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556916(P2004−556916)
【国際出願番号】PCT/JP2003/015576
【国際出願日】平成15年12月5日(2003.12.5)
【出願人】(302019245)タカラバイオ株式会社 (115)
【Fターム(参考)】