治療組成物およびカプシアノシド型化合物による治療方法
本発明は、治療剤として、特に鎮痛剤および抗炎症剤としての特定の化合物の使用を開示する。このような化合物は、例えば特定のジテルペンモノグリコシドおよびジテルペンジグリコシドを含む。本発明の化合物は、合成される、またはカプシクム(Capsicum)属の実から単離することができ、特にピ−マン(C.annuum)から単離することができる。このような化合物の医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物およびプロドラッグも開示される。医薬組成物およびこのような化合物の使用方法(一つ以上の活性成分と組み合わせて使用する、医薬組成物および方法を含む。)も開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプシアノシドおよび関連化合物として知られている化合物を用いる鎮痛剤組成物および方法に関する。化合物は合成されてもよく、またはカプシクム(Capsicum)属、特にカプシクムアンヌウム(Capsicum annuum)の実から単離されてもよい。本発明は、鎮痛剤および抗炎症剤としてのこのような化合物の治療用途にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の背景
薬物研究の主要な焦点は、疼痛管理のための鎮痛剤の開発である。鎮痛剤は痛みに対して感覚経路を無感覚にする、またはより感じないようにするが、一方、麻酔薬はすべての感覚経路に作用して、これらを痛み、温度、接触、固有感覚および骨格筋緊張に対して無感覚にする。従って、麻酔薬は、疼痛管理のために使用することができるが、麻酔薬の有用性は、これらの他の感覚経路に対する阻害によって制限される。例えば接触、固有感覚(舌を噛むことを避けるために)または味覚(食欲を妨げないように)の感覚を妨げることなく、口腔粘膜病変と関連した患者の疼痛を制御することが求められ得るが、これは疼痛を選択的に抑制することができない局所用の麻酔薬(例えばベンゾカイン)では通常可能ではない。従って、このような状況での疼痛を制御する鎮痛剤の使用が望まれる。
【0003】
通常、鎮痛剤は、麻薬(オピオイド)または非麻薬のどちらかに分類される。麻薬性鎮痛剤は、主に中枢神経系に作用して、耽溺性、損なわれた高次皮質機能、および低下した呼吸などの潜在的に生命に脅威を与える副作用を有する。その結果、これらの使用は規制され、免許を与えられた医者によって処方されるのみである。非麻薬性鎮痛剤は、サリチラート(例えばアスピリンなど);アセトアミノフェン;および非ステロイド性の抗炎症剤(「NSAIDS」)(例えばシクロオキシゲナーゼ−2(「COX−2」)阻害剤など)を含む。このような非麻薬性鎮痛剤は、痛みを抑える能力に限界があり、化学的刺激、抗凝固、心筋梗塞および脳卒中の副作用を有する可能性がある。従って、新しい鎮痛剤、特に望ましくない副作用プロファイルのない、痛みの局所的管理に役立つ非麻薬性鎮痛剤の発見および開発が絶えず必要とされている。
【0004】
この点に関して、様々な植物由来の化合物が、これらの鎮痛特性に関して研究されてきている。例えばカプサイシン(トウガラシ中の刺激源であるバニリルアルカロイド)は、関節炎、骨関節炎および種々の末梢性神経障害の痛みを治療するために使われてきた。例えばCordell and Araujo,The Annals of Pharmacotherapy,(1993)27:330;Levinson,(Jan/Feb 1995)The Sciences,pp.13−15を参照。しかし、カプサイシンの治療的な有用性は、灼熱感や紅斑を含む不利な副作用プロファイルのために制限され、このような副作用は何時間にも渡って継続する可能性がある。さらなる例として、ピーマン(Capsicum annuum)の抽出物は、鎮痛特性を示すことが証明されたが(例えばU.S.Patent No.6,060,060およびU.S.Patent No.6,086,888を参照)、このような鎮痛効果を担う特定の化合物は、同定されていない。さらにまた、このような抽出物は、天然に存在する実に由来しなければならないので、これらの製造および実際の使用は制限される。
【0005】
さらに、ピーマン中に天然に存在する特定のカプシアノシド(ジテルペン配糖体)は、例えばIzumitaniら、(「Novel Acyclic Diterpene Glycosides,Capsianosides A−F and I−V from Capsicum Plants」(Solanaceous Studies.XVI)Chem.Pharm.Bull.(1990),38(5):1299−1307)およびIorizziら、(「New Glycosides from Capsicum annuum L.Var.acuminatum.Isolation,Structure Determination,and Biological Activity」J.Agric.Food Chem.(2001),49:2022−2029の両方で報告されたカプシアノシドA−FおよびI−Vとして同定され、これらの幾つかは、アンジオテンシン変換酵素の活性をインビトロで阻害することが示され、従って、抗高血圧薬剤(例えばJapanese Patent Application No.02−138289(1990)を参照)として有用である可能性がある。しかし、このような化合物の治療的な有用性を確立する実験的または臨床的データが報告されたことはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,060,060号明細書
【特許文献2】米国特許第6,086,888号明細書
【特許文献3】特開平02−138289(1990)号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Cordell and Araujo,The Annals of Pharmacotherapy,(1993)27:330;
【非特許文献2】Levinson,(Jan/Feb 1995)The Sciences,pp.13−15
【非特許文献3】Izumitaniら、(「Novel Acyclic Diterpene Glycosides,Capsianosides A−F and I−V from Capsicum Plants」(Solanaceous Studies.XVI)Chem.Pharm.Bull.(1990),38(5):1299−1307)
【非特許文献4】Iorizziら、(「New Glycosides from Capsicum annuum L.Var.acuminatum.Isolation,Structure Determination,and Biological Activity」J.Agric.Food Chem.(2001),49:2022−2029
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、特定の化合物および治療剤として、特に鎮痛剤および抗炎症剤としての使用に関する。このような化合物は、例えば様々なジテルペンモノグリコシドおよびジテルペンジグリコシドを含み、これらは、合成的または半合成的に製造され得る、またはカプシクム(Capsicum)属、特にピ−マン(C.annuum)の実から単離することができる。このような化合物の医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物およびプロドラッグも本発明に含まれる。医薬組成物、本発明の化合物と他の治療成分(例えば鎮痛剤および抗炎症剤など)との併用、同様にこのような医薬組成物、化合物および併用の使用方法が本発明により提供される。本発明の目的は、疼痛、不快および炎症の治療のために安全で有効な方法により、医薬組成物、化合物および併用を提供することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様において、本発明は、式I、
【0010】
【化1】
に対応する化合物または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療有効量を医薬的に有効な担体中に含む医薬組成物に関し、式中、R1は炭水化物部分であり;R2はHまたはC(O)R4であり;R3はH、炭水化物部分、または置換もしくは非置換のC1−C20基であり;およびR4は置換または非置換のC1−C20基である。特定の実施形態において、R1およびR3は、グルコース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、およびアラビノースからなる群から独立して選択され;R1はグルコースであり、R2とR3はそれぞれHであり;およびR2、R3およびR4の各々は、1個以上の芳香環を独立して含む。化合物は、哺乳類において無痛覚を処置するために、または炎症を減らすために治療的に有効な量で存在することができる。
【0011】
特定の実施形態において、式Iに対応する化合物は、式II、
【0012】
【化2】
の化合物である。
【0013】
特定の実施形態において、式Iに対応する化合物のプロドラッグは、式III、
【0014】
【化3】
(式中、R5はグルコースなどの加水分解性糖である。)に対応する化合物である。
【0015】
特定の実施形態において、式Iに対応する化合物のプロドラッグは、式IV、
【0016】
【化4】
の化合物である。
【0017】
さらに、本発明の医薬組成物は、即時放出型、放出制御型または徐放型の経口投与可能な組成物(例えば丸剤、錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤、ロゼンジ剤、のどスプレー剤、溶液剤、乳剤、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤、咳止めドロップ剤、溶解性ストリップ剤、ロリポップ剤またはガム剤など)の形態;局所投与可能な組成物(例えば液体溶液剤、液体スプレー剤、乳剤、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤、ローション剤、泡剤または含浸包帯など)の形態;眼内投与可能な組成物(例えば点眼剤など)の形態とすることができ;および例えば吸入性粒子、吸入性溶液、液滴またはエアゾールの形態で鼻腔、咽頭または肺に投与することができる。
【0018】
本発明の化合物は、合成的または半合成的に製造される;または天然に存在する有機体、例えばカプシクムアンヌウム(C.annuum)などのカプシクム(Capsicum)属の実から単離および精製することができ、その場合、これらは、天然に存在する有機体の細胞片からの単離および精製をすることができる。
【0019】
特定の実施形態において、本発明は、本発明の化合物と一つ以上の治療剤(例えば鎮痛剤および/または抗炎症剤など、例えばサリチラート、アセトアミノフェン、イブプロフェンおよびCOX−2阻害剤からなる群から選択されるNSAID)との併用を含む医薬組成物に関する。
【0020】
別の態様において、本発明は、医薬的に有効な担体中、式IIに対応する化合物の治療有効量を含む医薬組成物に関する。式IIの化合物は、鎮痛剤として有効な量で提供され、上記したものなどの一つ以上の治療剤と組み合わせて提供することが可能である。
【0021】
別の態様において、本発明は、上で定義された式Iに対応する化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療有効量を、医薬的に有効な担体中に含む医薬組成物に関し、これは鎮痛剤として有効な量で存在する。式Iの置換基および化合物は、上記したものであってよい。該化合物は、単位用量あたり約.01mgから約500mgの間、および単位用量あたり約1mgから約100mgの間の鎮痛剤として有効な量で存在し得る。このような医薬組成物は、上記したように投与することができる。
【0022】
別の態様において、本発明は、上で定義した式Iに対応する化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療有効量(鎮痛剤的に有効な量であり得る。)を医薬的に許容される担体中に含む医薬組成物を、無痛覚をもたらす、または炎症を減らすことを必要とする患者に投与することを含む哺乳類において無痛覚をもたらす、または炎症を減らす方法に関する。式Iの置換基および化合物は、上記したものであってよい。該方法は、本発明の化合物を上記した方法の単独で、または他の記述した治療剤と併用して、単位用量あたり約.01mgから約500mgの間、および単位用量あたり約1mgから約100mgの間の治療有効量で投与することを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】フラクションBMBW−M40iのHPLCクロマトグラムおよびUVスペクトルを示す。
【図2】フラクションBMBW−M40iのピークのTIC、UV(221nm)およびネガティブESIMSスペクトルを示す。
【図3】フラクションBMBW−M40i−5のESIMSの結果を示す。
【図4】フラクションBMBW−M40i−Aからのm/z 659.45(A)、m/z 745.19(B)およびm/z 1319.17(C)を有するイオンのTICおよびネガティブESI MS/MSスペクトルを示す。
【図5】フラクションBMBW−M40i−5からのm/z 497.43を有するイオンのネガティブESI MS/MSスペクトルを示す。
【図6】化合物−660の1D 1H−NMRスペクトルを示す。
【図7】化合物−660の1D 13C NMRスペクトルを示す。
【図8】化合物−498の1D 1H−NMRスペクトルを示す。
【図9】化合物−498の1D 13C NMRスペクトルを示す。
【図10】化合物−660(式IV)の構造を示す。
【図11】化合物−498(式II)の構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、治療剤として、特に疼痛の予防、治療および管理のための鎮痛剤として、および抗炎症剤としての特定のジテルペンモノグリコシドおよびジテルペンジグリコシドを含む特定の化合物の発見に関する。
【0025】
本明細書に記述されるように、該化合物は、単離、同定されて、治療的な有用性を有することが示された。該化合物、該化合物を含む医薬組成物、および本発明のこのような化合物と医薬組成物を製造し、使用する方法の同定および特性化は、本明細書に記述される研究努力の結果であり、これは、カプサイシンまたは辛味を示すコショウのピューレまたはジュースの使用に伴う灼熱感または刺激なしに、ピーマンのピューレまたはジュースが炎症を起こした咽頭粘膜に対して鎮痛性効果を示すという予想外の発見に由来する。
【0026】
この点に関して、本発明は、特定の実施形態において、式I、
【0027】
【化5】
に対応する化合物または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療有効量を医薬的に許容される担体中に含む医薬組成物(式中、R1は炭水化物部分であり;R2はHまたはC(O)R4であり;R3はH、炭水化物部分、または置換もしくは非置換のC1−C20基であり;およびR4は置換または非置換のC1−C20基である。)に関する。R1の炭水化物部分は、限定されることなく、例えばグルコース、ガラクトース、ラムノース、キシロースまたはアラビノースであり得る。特定の実施形態において、R2、R3またはR4は、それぞれ1個以上の芳香環を独立して含むことができる。
【0028】
特定の実施形態において、本発明は、式II、
【0029】
【化6】
の化合物の治療有効量を含む医薬組成物に関する。
【0030】
特定の実施形態において、本発明は、式Iに対応する化合物のプロドラッグ、例えば式III、
【0031】
【化7】
(式中、R5はGlcなどの加水分解性糖である。)の化合物を含む医薬組成物に関する。式IIIに対応する化合物は、膵臓または唾液のジサッカリダーゼなどの酵素による、または胃もしくは生体内の他の場所での条件による加水分解を受けて、式IIの化合物などの1個のGlc単位を有する化合物を生成することができる。
【0032】
特定の実施形態において、該プロドラッグは、式IV、
【0033】
【化8】
の化合物である。
【0034】
制限されることなく本発明において使われる場合、「プロドラッグ」という用語は、一般に不活性な形態で(または実質的に低下した活性を有する形態で)患者に提供される化合物として、慣用的な、および通常当分野で認められている定義が与えられ、これは生体内で例えば酵素分解などにより活性な、またはより活性な薬物に変換される。得られた活性な薬物は、通常、プロドラッグの「代謝物質」と呼ばれる。あらゆる特定の理論にも縛られることなく、本発明において、式IIIに対応する特定化合物は、式Iに対応する特定化合物のプロドラッグであると考えられ、式IIIに対応する化合物が、ヒトの体内にまたはヒト上に導入される場合は、これは通常の代謝条件下で反応して式Iに対応する化合物を産生するものである。例えば式IVの化合物は、式IIの化合物のプロドラッグであると考えられる。さらに、本発明の範囲内であるさらなるプロドラッグは、カルボン酸における遊離ヒドロキシル基上での加水分解性基またはエステル基を有する化合物を含むが、これに限定されない。特定のプロドラッグは、例えば式Iの限定を独立して満たすが、一方、他のプロドラックは、これらの活性型への変換の後にだけ式Iの限定を満たす。
【0035】
本発明において使用される場合、組成物が「特定の式に対応する(または特定の式の)化合物、またはこのような式の医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物およびプロドラッグの化合物を含む」ことを記述することは、該組成物がこのような定義内に入る単一化合物を含んでもよく、またはこのような定義内に入る一つ以上の化合物を含んでもよいことを具体的に意味する。例えば「式Iに対応する化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物またはプロドラッグの治療有効量」を含む本発明の医薬組成物は、式Iによる単一化合物(例えば式IIの化合物など)、または、例えば式IIの化合物と上記定義を満たす別の化合物、例えば式IVの化合物との組み合わせを含むことが可能である。同様に、本発明の医薬組成物は、他の化合物をさらに含むことができ、例えば式IIの化合物と式IVの化合物を式Iなどによる塩と組み合わせて含むことが可能である。当業者に理解されるように、本発明の医薬組成物は、任意の数の化合物を提供された定義に入る組み合わせで含んでもよいが、但し、これらが治療的にまたはその他、意図したように有用である限りにおいてである。
【0036】
本発明において使用されるように、化合物が「治療有効量」で存在すると述べることは、この用語が慣習的に使用され、当業者に理解されているように、哺乳類の所望の生理的変化をもたらすのに十分である量を指す。例えば化合物が「無痛覚をもたらすために治療的に有効な量で」存在すると述べることは、限定されずに、定性的にまたは定量的に決定されて、化合物が哺乳類での疼痛および/または不快および/または炎症の軽減または除去をもたらす量で存在することを意味する。同様に、定性的にまたは定量的に決定されて、化合物が「炎症を減らすために治療的に有効である量で」存在すると述べることは、限定されずに、化合物が炎症病態に罹患している哺乳類での炎症の軽減または除去をもたらす量で存在することを意味する。本発明の化合物および組成物によって軽減または除去され得るこのような病態は、慢性または急性であってもよい。
【0037】
本発明の医薬組成物は、一般に、式Iに対応する化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物またはプロドラッグの治療有効量を医薬的に有効な担体中に含む。本発明において使用されるように、用語「医薬的に許容される塩」は、例えば限定されずに、無機塩基および有機塩基を含む医薬的に許容される非毒性塩基から調製される塩を指す。無機塩基に由来する塩は、例えばアルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第2鉄塩、第1鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第2マンガン塩、第1マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩などを含む。医薬的に許容される有機の非毒性塩基に由来する塩は、例えば1級、2級および3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、および塩基イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩を含む。
【0038】
式Iに対応する化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物もしくはプロドラッグを医薬的に有効な担体中に含む医薬組成物は、本発明の実施例により説明され、示唆されるように、例えば種々の病態(リウマチ熱;インフルエンザまたは他のウイルス感染と関連した徴候;風邪;腰と首の痛み;月経困難症;頭痛;歯痛;捻挫および筋挫傷;筋炎;神経痛;滑膜炎;関節リウマチと変形性関節症(例えば骨関節炎)を含む関節炎;痛風や強直性脊椎炎;滑液包炎;火傷;傷害;および外科手術や歯の処置後の疼痛と炎症を含む。)の疼痛、発熱、および炎症の軽減に有用である。さらに、本発明の組成物および化合物は、細胞腫瘍性形質転換と転移腫瘍の増殖を抑制することが可能であり、従って、癌の治療に役立ち得る。
【0039】
さらに、式Iに対応する化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物もしくはプロドラッグを含む医薬組成物は、既知の治療化合物(例えば鎮痛剤や抗炎症剤)との治療的な併用に役立つことが期待される。例えば本発明の化合物と併用して治療的な有用性を有すると期待される鎮痛剤には、NSAIDS(例えばサリチラートなど);アセトアミノフェン;イブプロフェン;およびCOX−2阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
式Iに対応する化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物もしくはプロドラッグを含む医薬組成物は、本発明のこのような組成物がこれらの所望の治療効果を有することを可能にする従来の非毒性の医薬的に許容される担体、アジュバントおよびビークルを使用する用量単位製剤での任意の許容される形態で、これを必要とする患者に投与することができる。例えばこのような組成物は、経口投与可能な形態;局所用形態であり得、鼻腔、咽喉、肺、目、耳、膣および/または直腸に投与することができ;または非経口的に投与され得る。
【0041】
経口的および/または局所的な使用を目的とする本発明の医薬組成物は、丸剤、錠剤、ゲルキャップ剤または硬カプセル剤もしくは軟カプセル剤(これらの各々は、即時放出性、徐放性または時限放出性の製剤であってよい。);ロゼンジ剤;のどスプレー剤;溶液剤;乳剤;クリーム剤;軟膏剤;含浸包帯;泡剤;ペースト剤;ゲル剤;咳止めドロップ剤;溶解性ストリップ剤;ゼリー剤;口内洗浄剤;うがい薬;ロリポップ剤;ガム剤;水性または油性懸濁剤;分散性の散剤/顆粒剤;シロップ剤;および/またはエリキシル剤の形態であってよく、医薬組成物の製造のための当分野で既知の任意の方法で調製することが可能である。このような組成物は、医薬的に上品で口当たりがいい製剤を提供するために、甘味剤、風味剤、着色剤および保存剤からなる群から選択される一つ以上の薬剤をさらに含有してもよい。溶解性ストリップ剤とは、口内に置かれて活性成分を溶解および放出することができる1枚の材質を意味する。このような溶解性ストリップ剤は、フレーバーストリップまたは口腔ケアストリップとしても知られている。溶解性ストリップ剤は、しばしば炭水化物を主成分としている。錠剤は、一般的に、このような錠剤の製造に適した非毒性の医薬的に許容される賦形剤と混合した活性成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば不活性な希釈剤(例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなど);顆粒剤および崩壊剤(例えばトウモロコシ澱粉またはアルギン酸など);結合剤(例えば澱粉、ゼラチンまたはアラビアゴムなど);ならびに滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなど)であり得る。錠剤は被覆されていなくてもよく、または公知の技術によって被覆されてもよく、胃腸管での放出および吸収を遅らせ、それにより長時間にわたって徐放性作用を提供することが可能である。例えば時間遅延物質(例えばグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートなど)を用いることができる。
【0042】
カプセル剤に関して、硬質ゼラチンカプセル製剤では、活性成分(複数を含む。)は、不活性な固体の希釈剤(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合されてもよく;軟質ゼラチンカプセル製剤においては、活性成分(複数を含む。)は、水または油性媒体(例えば落花生油、流動パラフィンまたはオリーブ油)と混合されてもよい。
【0043】
水性懸濁剤は、一般に、活性物質をこのような水性懸濁剤の製造に適した賦形剤と混合されて含有する。このような賦形剤は、懸濁化剤(例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントガムおよびアラビアゴム);および分散剤もしくは湿潤剤、例えば天然に存在するホスファチド(例えばレシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えばポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えばヘプタデカエチレン−オキシセタノール)、エチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物(例えばポリエチレンソルビタンモノオレエート)であってよい。水性懸濁剤はまた、一つ以上の保存剤、例えばエチル、n−プロピルまたはp−ヒドロキシベンゾエート;一つ以上の着色剤;一つ以上の風味剤;および/または一つ以上の甘味剤(例えばスクロース、サッカリンまたはアスパルテーム)も含有することができる。
【0044】
油性懸濁剤は、有効成分を植物油(例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはヤシ油など);または鉱油(例えば流動パラフィンなど)中に懸濁させることによって処方することができる。このような油性懸濁剤は、例えば蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤も含有することができる。また、口当たりのよい経口製剤を得るために、例えば上記したような甘味剤および風味剤を加えることもできる。このような組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を添加することによって保存することができる。
【0045】
水の添加による水性懸濁剤の調製のために適した分散性散剤および顆粒剤は、有効成分を分散剤もしくは湿潤剤、懸濁化剤およびまたは一つ以上の保存剤との混合物として一般的に提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤とは、既に上記したものによって例示される。その他の賦形剤、例えば甘味剤、風味剤および着色剤なども存在してよい。
【0046】
本発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の形態であってもよい。このような製剤において、油相は植物油(例えばオリーブ油もしくは落花生油)、鉱油(例えば流動パラフィン)、またはこのような植物油と鉱油の混合物であり得る。適切な乳化剤は、天然に存在するホスファチド、例えば大豆、レシチン、脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来するエステルもしくは部分エステル(例えばソルビタンモノオレエート)、およびこのような部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)であり得る。また、このような乳剤は、甘味剤および風味剤を含有し得る。
【0047】
シロップ剤およびエリキシル剤は、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースなどの甘味剤と共に処方することができる。このような製剤は、鎮痛剤、保存剤および風味剤および/または着色剤を含有することもできる。本発明の医薬組成物は、無菌の注射可能な水性または油性懸濁液の形態であってもよく、これは、例えば上記した適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて当分野で公知の方法に従って処方することができる。このような無菌の注射用製剤は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌の注射用溶液または懸濁液(例えば1,3−ブタンジオールの溶液)とすることもできる。使用可能な許容されるビヒクルと溶媒には、例えば水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発性油は、例えば合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む無刺激性の不揮発性油は、溶媒または懸濁化媒体として用いることができる。また、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に用いることができる。
【0048】
上記したように、本発明の化合物と医薬組成物は、制御放出システムまたは徐放システムで投与することが可能である。このようなシステムは、例えばポンプの使用(例えばLanger and Sefton,(1987)CRC Crit.Ref.Biomed.14:201;Buchwaldら(1980),Surgery 88:507;Saudekら(1989),N.Engl.J.Med.321:574を参照)を含み、およびより典型的には(丸剤、錠剤などの経口製剤に関して)、高分子材料の使用(例えばMedical Applications of Controlled Release,Langer and Wise(eds.)(1974),CRC Pres.,Boca Raton,Florida;Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance,Smolen and Ball(eds.)(1984),Wiley,New York;Ranger and Peppas,J.(1983),Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem. 23:61;Levyら(1985),Science 228:190;Duringら(1989),Ann.Neurol.25:351;Howardら(1989),J.Neurosurg.71:105を参照)を含む。
【0049】
徐放をもたらす他の手段は、例えば治療標的の近くに治療組成物を置くことを含み、従って全身的な用量のうちのごく少量を必要とする(例えばGoodson,Medical Applications of Controlled Release,(1984)vol.2,pp.115−138を参照)。使用可能な他の制御放出システムは、Langer(Science(1990)249:1527−1533)により総説されているものを含む。
【0050】
式Iの化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物もしくはプロドラッグを含む医薬組成物は、直腸坐薬の形態で投与することもできる。このような組成物は、活性化合物と常温で固体であるが、直腸温度で液体である適切な非刺激性賦形剤を混ぜ合わせることによって調製され得、従って、直腸内で溶けて活性化合物を放出する。適切な直腸坐薬材料は、カカオバターおよびポリエチレングリコールを含む。
【0051】
本発明の組成物と化合物の局所投与のために、ロゼンジ剤;のどスプレー剤;溶液剤;乳剤;クリーム剤;軟膏剤;含浸包帯;泡剤;ペースト剤;ゲル剤;咳止めドロップ剤;溶解性ストリップ剤;ゼリー剤;口内洗浄剤;うがい薬;ロリポップ剤;ガム剤;水性または油性懸濁剤、分散性の散剤/顆粒剤;シロップ剤、および/またはエリキシル剤を使用することができる。
【0052】
本発明の医薬組成物と化合物は、例えば点眼薬、軟膏剤、スプレー剤または結膜徐放性の挿入物の形態で、眼内に投与することもできる。本発明の医薬組成物の鼻腔、咽喉または肺への投与は、吸入性粒子、吸入性溶液、液滴、吸入性スプレーまたはエアゾールの形態ですることができる。さらに、該組成物は、非経口的に、例えば皮下注射、静注内、筋肉内、胸骨内または、種々の注入方法などにより投与することが可能である。
【0053】
本発明の医薬組成物は、例えば式Iに対応する化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物もしくはプロドラッグの鎮痛剤としての有効量および/または炎症を減らす有効量を含み、該化合物の単位用量あたり約.01mgから約500mgを含有することができる。一つの実施形態において、この量は、単位用量あたり約1mgから約100mgである。
【0054】
本発明の医薬組成物のための投与計画は、当然のことながら、既知の要因(例えば特定の薬剤の薬力学的特徴およびこの投与様式と経路;患者の種、年齢、性別、一般的な健康状態、医学的病態、食餌、および体重;徴候の性質と程度;併用療法の種類;治療の頻度;投与の時間;投与経路、患者の腎臓および肝臓機能、および所望する効果など)によって変動する。医者(または本発明の組成物がヒト以外の動物の治療で使用するような場合の獣医)は、病的状態の進行を予防、対処または停止するために必要な薬物の有効量を決定し、処方することができる。
【0055】
さらに、担体物質と併用されて単一用量形態を生成し得る有効成分の量は、治療される宿主および投与の特定様式に依存して変動する。例えばヒトへの経口投与を目的とする製剤は、全組成物の約5%から約95%に変動し得る担体物質の適切で都合の良い量と混合した活性薬剤の0.5mgから約5gを含有することができる。用量単位の形態は、活性成分を通常、約1mgから約500mg、一般的に25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mgまたは1000mgを含有する。
【0056】
一旦製剤化したら、本発明の医薬組成物は、様々な治療的な用途のために限定されずに使用することができ、これは無痛化と炎症の減少を含む。例えばこのような組成物は、痛みまたは不快を経験している個体への投与により痛みおよび/または不快を処置するのに使用することができ、炎症性病態を示す個体への投与により炎症性病態を処置するのに使用することができる。一つの実施形態においては、本発明による組成物は、風邪またはインフエンザの一つ以上の徴候を治療するために投与される。このような徴候は、咽喉、目、耳または副鼻洞の痛みを含む。または、このような組成物は、擦過傷、発疹、または小さな切り傷または火傷を治療するために使用することができる。例えば一つの実施形態において、本発明の組成物は、粘着性包帯に含浸され、疼痛部位または水膨れの不快感の軽減を提供する。別の実施形態において、本発明の組成物は、局所的にまたは筋肉内に適用されて筋内痛または関節痛の軽減、または神経障害の軽減を提供する。投与経路は、時限放出型製剤も含み、延長された、または長期の治療を提供する。
【0057】
さらに、式Iに対応する化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物もしくはプロドラッグは、完全に天然物起源であってもよく、または完全に合成されたものであってもよく、または天然に存在する化合物から修飾(即ち半合成)されたものであってもよい。
【0058】
式Iの化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物もしくはプロドラッグが、天然物起源である場合は、これは、一般に、化合物を生成する有機体の細胞片からこのような化合物を実質的に精製して、単離することが必要である。この点に関して、一つの実施形態において、青ピーマン(Capsicum anuum ssp.grossum)は、スライスされて、手動または機械的手段でピューレが作られる。茎および/または種は、ピューレを作る前に取り除いてよい。ピューレは、従来の方法によって、ジュースに濾過(減圧濾過を含むがこれに限定されない。)できる。葉緑素およびワックス類(これらに限定されない。)を含む非常に非極性の化合物は、親水性水相と非極性溶媒(ジエチルエーテルを含むがこれに限定されない。)間にジュースを分配することによって、ジュースから除去することができる。水相はさらなる分離のためにそのまま利用される、または短鎖アルコール(メタノールまたはエタノールを含むがこれらに限定されない。)での粉末化に付されて、化合物(ポリペプチドおよび長鎖炭水化物を含むがこれに限定されない。)を析出させることができる。
【0059】
ジュースおよび/または粉末にされた上澄みは、従来の方法(例えば回転蒸発または凍結乾燥など)により濃縮される、またはC−18を含む吸着剤(固定相)(これに限定されない。)を使用して、水:メタノール(これに限定されない。)を含む勾配溶媒系(移動相)で溶出されるフラクションのカラムクロマトグラフィおよび/または純粋メタノール(これに限定されない。)を含む短鎖アルコールで溶出されるSephadex LH−20でのカラムクロマトグラフィにより直接に分離することができる。活性鎮痛性化合物を含有するサブフラクションは、HPLCまたはHPLC/質量分析を含む方法(これらに限定されない。)により精製されて活性化合物の純粋な分離物を生成することができる。
【0060】
ここで、以下の非限定的な実施例にうつり、本発明の組成物と化合物の単離、同定および治療効果を示す。
【実施例】
【0061】
(実施例1)
鎮痛剤バイオアッセイプロトコル
ラット後肢におけるアッセイが、本発明での鎮痛剤としての様々な抽出物/化合物の治療有効性を決定するのに使用された。
【0062】
Sprague−Dawleyラット(225から250g、雌)をウレタンで麻酔し、使い捨てのChuxパッド上に横向けに置いた。各ラットの後肢の両方は、墨で黒くし、10分間乾燥した。標準的なmW/cm2に調整されたELHプロジェクターランプが、疼痛刺激として使用され、各々の後肢上の5×15mmの面積に集光して、各々の後肢に対して垂直に、および各後肢から72mmに置いた。
【0063】
複数のベースラインの後肢退避潜時は、各々の後肢の各中間面と各側面に対して記録(秒)された。次いで、1マイクロモルのカプサイシン100μlをピペットで適用して各動物の一つの後肢を覆い、10分間乾燥させて、カプサイシン未処置の後肢と比較して、カプサイシン処置の後肢を疼痛刺激に対して過敏にした(これによって未処置の後肢と比較してカプサイシン処置の後肢に対する後肢退避潜時が減少した。)。
【0064】
次いで、後肢の両方を再び墨で黒く塗り、10分間乾燥し、両方の後肢の各中間面と各側面で後肢退避潜時をカプサイシン処置の後肢とカプサイシン未処置の後肢に対して20分、25分および30分目に記録した。退避潜時の有意な低下が、カプサイシン処置の後肢で見られ、このバイオアッセイにおいて使われた一般的な濃度と用量において、疼痛過敏性薬剤としてのカプサイシンの報告された効果と一致した。対照的に、カプサイシン未処置の後肢退避潜時では、わずかな低下が見られ、観察された効果は、もう片方の後肢上でのカプサイシン処置の中枢性メカニズム効果によると思われる。
【0065】
各々のフラクションの鎮痛特性を測定するために、各フラクション100μlをピペットでカプサイシン処置された後肢に適用して、乾燥させた(未処置の後肢は、フラクションで処置されなかった。)。次いで、後肢退避潜時を、カプサイシン/フラクションで処置された後肢と未処置の後肢の両方に対して5分、20分および30分目に記録した。後肢退避潜時の増加は、適用されたフラクションによる鎮痛効果を示唆した。
【0066】
(実施例2)
鎮痛化合物の単離
茎、種および隔壁を除いた12個の青ピーマン(Capsicum anuum ssp.grossum)をジュース抽出器(Panasonicモデル# MJ66PR)にかけて未濾過ジュース1200mlを生成した。ジュースは、粗い濾紙を用いブフナー漏斗を通して吸引濾過して濾過ピーマンジュース1.0リットルを生成した。
【0067】
濾過されたジュース500mlは、ジエチルエーテル500mlで分配し、ワックスと葉緑素を除去した。この分配は、合計3回行われた。3層は、水層、エーテル層および中間の羊毛状の層に分離された。各々の層の一定量は、鎮痛剤バイオアッセイ(実施例1)により試験された。水層だけが、鎮痛活性を示した。
【0068】
水層は、室温で淡褐色ゲル10mlに回転蒸発により濃縮され、これを室温でメタノール100mlの2回の連続した量で粉末化し、長鎖炭水化物およびポリペプチドを析出させた。メタノール性懸濁液は、ブフナー漏斗を用いて吸引濾過された。透明な濾過液は、40℃で回転蒸発中、琥珀色した粘性の液体1mlに乾燥した。
【0069】
濃縮メタノール性抽出物1.0gは、C−18逆相シリカゲル(Sep−Pak 35cc C−18 10g、Waters、Chicago、IL)の固定相を用いるカラムクロマトグラフィによって分画された。20mlのフラクションは、0:1から1:0のメタノール/水(移動相)の重力フィードされた勾配溶媒系で、1ステップあたり20%メタノール増分で溶出された。
【0070】
鎮痛剤バイオアッセイ(実施例1)により試験された各フラクションの一定量は、フラクションE(80%のメタノール:水のフラクション)に集中した鎮痛活性を示した。バイオアッセイ試験は、さらに、活性サンプルを45℃に加熱し、同じサンプルをpH4.4に酸性化することにより生物活性が保持されることを証明した。鎮痛活性は、pH8.4のアルカリにすると失われた。鎮痛フラクションの鎮痛効果は、試験動物にナロキソン(麻薬アンタゴニスト)の投与により失われなかったが、これは、誘発された無痛覚が麻薬実体(表1)からではなかったことを示唆した。フラクションEは、ナロキソン投与の後でも、何時間にもわたる鎮痛効果の増加を示した。
【0071】
【表1】
【0072】
(実施例3)
フラクションEのサブフラクション
最初の濃縮メタノール性抽出物1.0gを、C−18逆相シリカゲル(Sep−Pak 35cc C−18 10g、Waters、Chicago、IL)の固定相を用いるカラムクロマトグラフィによって分画した。20mlのフラクションは、0:1から1:0のメタノール/水(移動相)の重力フィードされた勾配溶媒系で、1ステップあたり20%メタノール増分で溶出された。
【0073】
濃縮80%メタノールフラクション1.0gを、C−18逆相シリカゲル(Sep−Pak 35cc C−18 10g、Waters、Chicago、IL)の固定相を用いるカラムクロマトグラフィによって再分画した。20mlのフラクションは、0:1から1:0のメタノール/水(移動相)の重力フィードされた勾配溶媒系で、1ステップあたり20%メタノール増分で溶出された。80%のメタノールフラクションは、EEa、EEb、EEcおよびEEdと名前を付けられ、5mlの一定量で回収された。これらのサブフラクションの全ては、フラクションEEaで最も大きな鎮痛活性を有する鎮痛活性を示した。
【0074】
(実施例4)
サブフラクションBMBW−M40iの同定
鎮痛剤バイオアッセイ(実施例1)により強い鎮痛活性を示す青ピーマン(Capsicum anuum ssp.grossum)のジュース3000mLを、ジエチルエーテル1000mlで分配した。この分配は、合計3回行われた。水層を濾過し、濃縮し、減圧下35.8℃で凍結乾燥して褐色の抽出物135.2gを生成した。
【0075】
凍結乾燥された抽出物21.0gは、C−18逆相シリカゲル(40μm;J.T.Baker,Phillipsburg,NJ)の固定相を用いるカラムクロマトグラフィによって分画された。フラクションが、0:1から1:0のメタノール/水(移動相)の勾配溶媒系で、1ステップあたり10%メタノール増分で溶出された。13のフラクションが得られ、薄層クロマトグラフィにより既知の生物活性フラクションEEaと比較された(実施例3を参照)。
【0076】
バイオアッセイは、薄層クロマトグラムを標準EEaに適合させることに基づいて30%から80%のメタノールで溶出されたフラクションに関して、先に述べたように実行された。これらの適合フラクションに隣接したフラクションも、バイオアッセイされた。バイオアッセイ試験の結果(秒での退避潜時と平均の対応する標準誤差(SEM)は、記述された分離と精製手順を通して得られるフラクションに対して記録された。サブ−フラクションは、1)上記したようなバイオアッセイ試験、および2)本明細書に記載の得られたフラクションとサブフラクションの薄層クロマトグラムをフラクションEEaと比較することの両方によって導かれた(実施例3を参照)。バイオアッセイされた鎮痛活性に基づいて、40%フラクション(BMBW−M40、総重量99.8mg)と60%フラクション(BMBW−M60、総重量102.1mg)の一定量は、さらにサブ分画された。
【0077】
BMBW−M40 66.0mgは、セファデックスLH−20(10.0g、25から100μm、Pharmacia Fine Chemicals、Piscataway、NJ)の固定相を用いるカラムクロマトグラフィによりサブ分画された。サブ−フラクションは、純粋なメタノールの溶媒系で溶出された。サブ−フラクションは、HPLC分析に基づき合わせて、12のサブ−フラクションを生成した。
【0078】
バイオアッセイは、全12のフラクションについて上記したように行われた。このアッセイされた生物活性に基づいて、フラクションBMBW−M40i(総重量3.6mg)は、さらにサブ分画された。
【0079】
BMBW−M60 70.5mgは、セファデックスLH−20(10.0g、25から100μm、Pharmacia Fine Chemicals、Piscataway、NJ)の固定相を用いるカラムクロマトグラフィによりサブ分画された。サブ−フラクションは、純粋なメタノールの溶媒系で溶出された。サブ−フラクションは、HPLC分析に基づき合わせて、16のサブ−フラクションを生成した。上記したように行われたバイオアッセイにおいて、BMBW−M60サブ−フラクションの全ては、鎮痛活性の有意な保持を示すことができなかった。
【0080】
サブ−フラクションBMBW−M40iは、Phenomenex Aqua C18カラム(4.6×250mm、5μm)とHPLC勾配プログラム(表2)、室温でのカラム、65分のランタイムを用いるWaters996フォトダイオードアレイ検出器およびEmpowerソフトウェアを備えたWaters2690分離モジュールでのHPLC分析により分析された。
【0081】
【表2】
【0082】
9つのピークが同定され、これらはBMBW−M40i 1、2、3、4、A、5、B、6、7と名付け、および45分と55分の間の幅広い2峰性ピークは、8および9と名付けた(図1を参照、これはBMBW−M40iピークのHPLCクロマトグラムおよびUVスペクトルを示す。)。ピーク1、2、3、4および7は、芳香環を有している可能性が高いことを、およびピークA、B、5および6は、芳香環を有していない可能性が高いことを図1のUVスペクトルは示した。
【0083】
サブ−フラクションBMBW−M40iを、HPLC−MS分析に付した。BMBW−M40i1.8mgを、メタノールの1.0mlに溶解した。この溶液20μLをメタノール100μLで希釈し、Xcaliburソフトウェアを備えたThermoFinnigan LCQ装置(San Jose、CA)を用いるネガティブエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESIMS)で分析した。サンプルは、Waters2487デュアルλ吸光度検出器を備えたWaters2690分離モジュールにより導入された。キャピラリー電圧は、4.5kVのスプレー電圧、0Vのチューブレンズオフセットおよび230℃のキャピラリー温度とともに10Vに設定された。シースガスと補助ガスはともに、それぞれ80および30の流量を有する窒素であった。このネガティブESIMSの結果は、図2に示される。
【0084】
ポジティブESIMSによるHPLC/MSは、エレクトロスプレーイオン化を用いて、Agilent Technologies 1100 Series LC/MSDモデルG1946D上でBMBW−M40iについて行われた。イオン化は、200℃の乾燥ガス温度、40psiの噴霧圧力および13L/分の流速で行われた。スキャンされた質量範囲は、ポジティブモードとネガティブモードの両方で70ボルトのフラグメンター値を有する140から1500の原子質量単位(amu)の間であった。キャピラリーは、4000ボルトに設定された。質量スペクトル分析の前に、サンプルは、36℃の温度で操作されるZorbax Eclipse XDB−C18の2.1mm×150mmの5−ミクロンカラム(部品番号993700−902)を用いて、Agilent Technologies 1100分析用HPLC上で分析された。移動相は、表3の勾配に従い、0.1%(v/v)ギ酸と水中50uMの酢酸アンモニウム(溶離剤A)、および0.1%(v/v)ギ酸とアセトニトリル中50uM酢酸アンモニウム(溶離剤B)からなるものであった。
【0085】
【表3】
【0086】
注入容量は25μLであった。同時監視が、230nmと260nmで行われた。スペクトルは、200から900nmで記録された。データは、AgilentのChemstationソフトウェアを使用して処理された。
【0087】
ポジティブESIMSによる質量スペクトルデータは、BMBW−M40iの主要な構成成分が、m/z 698(M+NH4+)、m/z 764(M+NH4+)、m/z 516(M+NH4+)を有するとともにこれに対応するm/z 1014(2M+NH4+)およびm/z 602(M+NH4+)に対する小さいピークを有することを明らかにした。
【0088】
BMBW−M40i1.6mgを、250×4.6mmのi.d.、5μm、Aqua C18カラム(Phenomenex、Torrance、CA)を使用して、Waters996フォトダイオードアレイ検出器とEmpowerソフトウェアを備えたWaters690分離モジュール上での分析用HPLCによってサブサブ分画された。HPLC勾配プログラム(表1を参照)は、10個のサブ−サブ−フラクション(BMBW−M40i−1、2、3、4、A、5、B、6、7および8)をもたらし、これらは全て鎮痛剤バイオアッセイに付された(実施例1)。種々のフラクションからの結果:BMBW−M40i−5(「フラクションi5」)および不活性フラクション:BMBW−M40i−A(「フラクションiA」)は、表4に集約される。潜時は、平均の対応する標準誤差(SEM)とともに秒で記録されている。
【0089】
【表4】
【0090】
5匹の動物が、各々のフラクションの鎮痛効果に対して試験された。ベースラインの後肢退避潜時が測定され(即ち、あらゆる処置の前にも)、その後、カプサイシンが各々の動物の2つの後肢のうちの一つに投与され(実施例1で記載されたプロトコルに従って)、それから、フラクションは各々の動物のカプサイシン処置の後肢に投与した。表4で示されるように、フラクションi5に関して、平均のベースライン退避潜時は、15.78秒であり、カプサイシン処置後20分、25分および30分では、それぞれ10.62秒、7.95秒および7.99秒に減少し;投与された用量における疼痛に対するカプサイシンの既知の過敏性効果と一致した。次いで、フラクションi5をカプサイシン処置された後肢に加えて、フラクション処置後それぞれ、5分、20分および30分での退避潜時は、18.01秒、15.24秒および12.21秒に増加した;これはフラクションi5による強い鎮痛効果を証明した。未処置の対照群の後肢は、同時間にわたる退避潜時において何ら有意な変化を示さなかった。
【0091】
30分でのカプサイシン退避潜時と比較したフラクションi5の適用後20分の退避潜時は、0.001235035のP値で非常に統計学的に有意であった(一因子分散分析による。)。フラクションiAによる結果は、0.539236411のP値で統計学的に有意ではなかった。
【0092】
サブ−サブ−フラクションBMBW−M40i−5(図5)は、直接注入によるネガティブモードおよびポジティブモードの両方でのESIMSによって試験された。サンプルは、MeOHに溶解され、50:50のMeCN:H2O、流速0.3ml/分の等張性混合溶媒系を用いるWaters2690分離モジュールにより導入された。キャピラリー電圧は10Vであり、スプレー電圧は、4.5kVであり、チューブレンズオフセットは0Vであった。キャピラリー温度は230℃であった。シースガスと補助ガスは両方とも、それぞれ80と30の流量を有する窒素であった。結果は、図3に示される。
【0093】
サブ−サブ−フラクションBMBW−M40i−5は、主にネガティブESIMS m/z 497.43および745.14からなるものであった。ネガティブESIMS m/z 745.14は、BMBW−M40i−Bの主要な成分であり、これは鎮痛剤バイオアッセイ(実施例1)でのバイオアッセイにより鎮痛活性を有さないことが示された。
【0094】
ネガティブESIMSによるm/z 659.45(A)、745.19(B)および1319.17(C)を有するイオンは、MS/MS実験に対する親イオンとして選択され、この結果が図4に示された。MS/MSは、サブ−サブ−フラクションBMBW−M40i−5からのm/z 497.43を有するネガティブESIMS親イオンについても行われ、この結果は、図5に示された。このMS/MS分析から、親イオンm/z 659.45が、m/z 497.4、319.3および301.3のフラグメントを生成したことは明らかであるのに対して、親イオンm/z 479.21も、m/z 319.18および301.24のフラグメントを生成した。ネガティブESIMS m/z 659.45のこの主要成分を有するBMBW−M40i−Aは、鎮痛活性を示さないのに対して、BMBW−M40i−5は、強い鎮痛活性を示した。ネガティブESIMS m/z 659.45とm/z 497.43との差は162.02であり、これは、ヘキソースグリコシド部分の違いを示唆している。
【0095】
フラクションE、EEA、BMBW−M40iおよびBMBW−M40i−5に対するポジティブESIMSデータは、フラクションBMBW−M40i中に存在するイオンm/z(M+NH4+)678、764、516および602に関して探索された。これらのそれぞれのイオンに対するピーク下面積は積分された。有意の生物活性は、m/z 678(ジテルペンジグリコシドに対応する。)と比較して、m/z 516(ジテルペンモノグリコシドに対応する。)の高濃度と相関した。
【0096】
高解像度MSは、m/z 683.3256(分子量=660)とm/z 521.2825(分子量=498)を生成するイオン上でのM+(Na+)によるエレクトロスプレーイオン化モードを使用してMicromass AutoSpec装置でのポジティブESIによって行われた。これらのイオンに対する平均同位体質量強度分布は、表5に集約される。
【0097】
【表5】
【0098】
ヘテロイオン:C、H、N、OおよびNaに関しての高解像度MSデータに対して生じる可能な分子式の表から算出された同位体質量強度分布に対する最適適合が、表6に集約される。
【0099】
【表6】
【0100】
C26H42O9およびC32H52O14のみが、測定された高解像度分子量および計算された高解像度分子量の間の小さい差の制約に適合し、測定された同位体質量強度分布に最適に適合し、互いに162(ヘキソースグリコシド部分)だけ異なっていた。
【0101】
(実施例5)
化合物の同定
1Dおよび2D NMRの実験は、実施例4で同定された2つの化合物、即ち、m/z 683.3256(分子量=660)の第1化合物(以下、「化合物−660」)とm/z 521.2825(分子量=498)の第2化合物(以下、「化合物−498」)について行われた。
【0102】
1D 1H、13C NMRおよび2D NMRの実験は、300MHz(1H)および75MHz(13C)でBruker Avance AV−300分光計で操作した。2D実験編集−HSQC、1H−1H COSY、NOESY、TOCSYおよびHMBCは、標準的なBrukerパルスシークエンスを使って得られた。化合物−660および化合物−498は、メタノール−d4中で測定された。図6および図7は、化合物−660の1D 1H−NMRおよび13C NMRスペクトルをそれぞれ示す。図8および図9は、化合物−498の1D 1H−NMRおよび13C NMRスペクトルをそれぞれ示す。
【0103】
化合物−660および化合物−498のLC−MSおよびNMR分析は、これらが非常に高純度であることを示した。従って、各々の純粋な化合物の少量にもかかわらず、これらの2つの化合物の優れたNMRスペクトルが得られた。高純度は、バイオアッセイ特異性にとっても重要であった。
【0104】
2つの化合物の構造解析は、分光法に基づいて実行された。これらの2つの化合物の1Dと2D NMRスペクトルの解釈とこれらのNMRデータと文献データ(Izumitani,Y.;Yahara,S.;Nohara,T.;Novel acyclic diterpene glycosides,capsianoside A−F and I−V from Capsicum Plant(Solanaceous studies.XVI).Chem.Pharm.Bull.1990,38:1299−1307)との比較により、化合物−660および化合物−498をカプサイアノシドIおよび14−(β−D−グルコピラノシルオキシ)−4−ヒドロキシ−2,6,10,14−テトラメチル−2,6,10,15−ヘキサデカテトラエン酸[4R−(2E,4R*,6E,10E,14S*)]としてそれぞれ同定した。これらの構造は、図10および図11にそれぞれ示される。これらの構造から分かるように、化合物498も化合物660もカプサイシノイドではない。
【0105】
純粋な化合物−498と純粋な化合物−660のバイオアッセイは、鎮痛剤バイオアッセイ(実施例1)に従って行われ、表7に集約される。
【0106】
【表7】
【0107】
5匹の動物が、各々の化合物の鎮痛効果に関して試験された。ベースライン後肢退避潜時が測定され(即ち、あらゆる処置前にも)、その後、カプサイシンが各々の動物の2つの後肢のうちの一つに投与され(実施例1で説明されたプロトコルに従って)、それから、化合物を各々の動物のカプサイシン処置の後肢に投与した。表7で示されるように、化合物498に関して、平均のベースライン後肢退避潜時は10.76667秒であり、これはカプサイシン処置後20分、25分および30分では、7.4秒、7.9555556秒および5.4秒にそれぞれ減少した;これは投与された用量で疼痛に対するカプサイシンの既知の過敏性効果と一致した。次いで、化合物498をカプサイシン処置された後肢に加え、化合物処置後の5分、20分および30分での退避潜時は、13.6秒、9.4秒および8.1秒にそれぞれ増加し;化合物498による強い鎮痛性効果を証明した。未処置の対照群の後肢は、同時間にわたる退避時間において何ら有意な変化を示さなかった。
【0108】
30分でのカプサイシン退避潜時と比較した20分での純粋な化合物−498処置後の退避潜時は、0.001788293のP値において統計学的に非常に有意であった(一因子分散分析による。)。純粋な化合物−660による結果は、0.042369157のP値の低い有意さであった。
【0109】
この鎮痛剤バイオアッセイ疼痛モデルにおいて、本発明の化合物に由来する無痛覚は、全身性モルヒネの0.1mg/kgに匹敵した。
【0110】
実施例5
炎症バイオアッセイプロトコル
マウス空気嚢アッセイは、本発明の抗炎症剤として様々な抽出物/化合物の治療有効性を決定するのに用いられた。
【0111】
空気嚢を誘発するために、10週から15週のネズミの背中に、空気3mlを皮下注射した。
【0112】
2日目に、この気嚢を空気1.5mlで再び膨張させた。
【0113】
6日目に、炎症が、カラギーナン懸濁液1ml(カルシウムを含まない、およびマグネシウムを含まないリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液での2%重量/容量)を空気嚢に注入することによって引き起こされた。
【0114】
試験化合物を含む溶液100μLが、カラギーナンとともに注射された(PBSの追加100μLが、対照群に注射された。)。
【0115】
4時間後に、マウスはCO2で昏睡させて殺し、空気嚢はPBSの2mlで洗浄し、滲出液を回収した。
【0116】
滲出液は、PBS中0.015%のメチレンブルーで1:1に希釈された。
【0117】
白血球は、標準的な血球計数室(American Optical,Buffalo,NY)で計数された。
【0118】
(実施例6)
炎症バイオアッセイ結果
化合物660(式IV)は、炎症バイオアッセイプロトコル(実施例5)に従って、抗炎症活性に関してアッセイされた。カラギーナン注射で、5匹のマウスは、化合物660を含有する試験溶液100μLの注射を受け、11匹の対照群のマウスは、PBSの100μLの注射を受けた。滲出液を空気嚢から回収し、白血球を計数し、この結果が表8(対照)と表9(化合物660)に示される。
【0119】
【表8】
【0120】
【表9】
【0121】
示されているように、試験化合物660で処置されたマウスからの一定量中の平均白血球容積(106細胞/ml)は、対照マウスの2.67と比較して1.54であり、化合物660の抗炎症剤としての有効性を確立する(0.05255485のP値)。化合物660の抗炎症性効果は、慢性用のメトトレキサート0.5から1.0mg/kg/週に、またはデキサメタゾン1.5mg/kgの急性用量に匹敵する。
【0122】
(実施例7)
併用の同定
上で議論したように、本発明の化合物は、既知の治療剤(例えば鎮痛剤および/または抗炎症剤)と医薬組成物の形態で併用することが可能である。このような鎮痛剤としては、NSAIDS(例えばサリチレート、アセトアミノフェン、イブプロフェンおよびCOX−2阻害剤など)が挙げられるが、これらに限定されない。実施例1の鎮痛剤バイオアッセイを用いて、当業者は、鎮痛剤としてのこのような併用の有効性を決定することができることが期待され、従って、このような併用は、本発明の範囲内でもある。
【0123】
命名法
当業者には容易に理解されるように、本発明化合物のすべての立体異性体は、本発明に含まれる。例えば式IIとIVの化合物については少なくとも32の可能な異性体があると考えられる。
【0124】
例えば式IIの化合物は、14−(β−D−グルコピラノシルオキシ)−4−ヒドロキシ−2,6,10,14−テトラメチル−2,6,10,15−ヘキサデカテトラエン酸と呼ぶことができ;特定の異性体に関して、14−(β−D−グルコピラノシルオキシ)−4−ヒドロキシ−2,6,10,14−テトラメチル−2,6,10,15−ヘキサデカテトラエン酸[4R/S−(2E,4R/S,6E,10E,14R/S)]と呼ぶこともできる。さらに、C−14の配置が、式IIの化合物に対して決定されて、14−(β−D−グルコピラノシルオキシ)−4−ヒドロキシ−2,6,10,14−テトラメチル−2,6,10,15−ヘキサデカテトラエン酸[4R/S−(2E,4R/S,6E,10E,14S)]と呼ぶこともできる。
【0125】
同様に、式IVの化合物は、14−[(2−O−β−D−グルコピラノシル−β−D−グルコピラノシル)オキシ]−4−ヒドロキシ−2,6,10,14−テトラメチル−2,6,あ10,15−ヘキサデカテトラエン酸と呼ぶことができ;特定の異性体に関して、14−[(2−O−β−D−グルコピラノシル−β−D−グルコピラノシル)オキシ]−4−ヒドロキシ−2,6,10,14−テトラメチル−2,6,10,15−ヘキサデカテトラエン酸[4R/S(2E,4R/S,6E,10E,14R/S)]と呼ぶこともできる。さらに、C−14の配置が、式IVの化合物に対して決定されて、14−[(2−O−β−D−グルコピラノシル−β−D−グルコピラノシル)オキシ]−4−ヒドロキシ−2,6,10,14−テトラメチル−2,6,10,15−ヘキサデカテトラエン酸[4R/S(2E,4R/S,6E,10E,14S)]と呼ぶこともできる。
【0126】
本発明は、様々な特定の実施形態および技術を参照して、上記の本明細書に記述されてきた。しかし、このような実施形態と技術の合理的な修正が、以下の特許請求の範囲によって定義される発明の精神と範囲から実質的に逸脱することなくなされることが理解される。本明細書で引用されたすべての参照は、これらの全部が組み入れられる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプシアノシドおよび関連化合物として知られている化合物を用いる鎮痛剤組成物および方法に関する。化合物は合成されてもよく、またはカプシクム(Capsicum)属、特にカプシクムアンヌウム(Capsicum annuum)の実から単離されてもよい。本発明は、鎮痛剤および抗炎症剤としてのこのような化合物の治療用途にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の背景
薬物研究の主要な焦点は、疼痛管理のための鎮痛剤の開発である。鎮痛剤は痛みに対して感覚経路を無感覚にする、またはより感じないようにするが、一方、麻酔薬はすべての感覚経路に作用して、これらを痛み、温度、接触、固有感覚および骨格筋緊張に対して無感覚にする。従って、麻酔薬は、疼痛管理のために使用することができるが、麻酔薬の有用性は、これらの他の感覚経路に対する阻害によって制限される。例えば接触、固有感覚(舌を噛むことを避けるために)または味覚(食欲を妨げないように)の感覚を妨げることなく、口腔粘膜病変と関連した患者の疼痛を制御することが求められ得るが、これは疼痛を選択的に抑制することができない局所用の麻酔薬(例えばベンゾカイン)では通常可能ではない。従って、このような状況での疼痛を制御する鎮痛剤の使用が望まれる。
【0003】
通常、鎮痛剤は、麻薬(オピオイド)または非麻薬のどちらかに分類される。麻薬性鎮痛剤は、主に中枢神経系に作用して、耽溺性、損なわれた高次皮質機能、および低下した呼吸などの潜在的に生命に脅威を与える副作用を有する。その結果、これらの使用は規制され、免許を与えられた医者によって処方されるのみである。非麻薬性鎮痛剤は、サリチラート(例えばアスピリンなど);アセトアミノフェン;および非ステロイド性の抗炎症剤(「NSAIDS」)(例えばシクロオキシゲナーゼ−2(「COX−2」)阻害剤など)を含む。このような非麻薬性鎮痛剤は、痛みを抑える能力に限界があり、化学的刺激、抗凝固、心筋梗塞および脳卒中の副作用を有する可能性がある。従って、新しい鎮痛剤、特に望ましくない副作用プロファイルのない、痛みの局所的管理に役立つ非麻薬性鎮痛剤の発見および開発が絶えず必要とされている。
【0004】
この点に関して、様々な植物由来の化合物が、これらの鎮痛特性に関して研究されてきている。例えばカプサイシン(トウガラシ中の刺激源であるバニリルアルカロイド)は、関節炎、骨関節炎および種々の末梢性神経障害の痛みを治療するために使われてきた。例えばCordell and Araujo,The Annals of Pharmacotherapy,(1993)27:330;Levinson,(Jan/Feb 1995)The Sciences,pp.13−15を参照。しかし、カプサイシンの治療的な有用性は、灼熱感や紅斑を含む不利な副作用プロファイルのために制限され、このような副作用は何時間にも渡って継続する可能性がある。さらなる例として、ピーマン(Capsicum annuum)の抽出物は、鎮痛特性を示すことが証明されたが(例えばU.S.Patent No.6,060,060およびU.S.Patent No.6,086,888を参照)、このような鎮痛効果を担う特定の化合物は、同定されていない。さらにまた、このような抽出物は、天然に存在する実に由来しなければならないので、これらの製造および実際の使用は制限される。
【0005】
さらに、ピーマン中に天然に存在する特定のカプシアノシド(ジテルペン配糖体)は、例えばIzumitaniら、(「Novel Acyclic Diterpene Glycosides,Capsianosides A−F and I−V from Capsicum Plants」(Solanaceous Studies.XVI)Chem.Pharm.Bull.(1990),38(5):1299−1307)およびIorizziら、(「New Glycosides from Capsicum annuum L.Var.acuminatum.Isolation,Structure Determination,and Biological Activity」J.Agric.Food Chem.(2001),49:2022−2029の両方で報告されたカプシアノシドA−FおよびI−Vとして同定され、これらの幾つかは、アンジオテンシン変換酵素の活性をインビトロで阻害することが示され、従って、抗高血圧薬剤(例えばJapanese Patent Application No.02−138289(1990)を参照)として有用である可能性がある。しかし、このような化合物の治療的な有用性を確立する実験的または臨床的データが報告されたことはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,060,060号明細書
【特許文献2】米国特許第6,086,888号明細書
【特許文献3】特開平02−138289(1990)号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Cordell and Araujo,The Annals of Pharmacotherapy,(1993)27:330;
【非特許文献2】Levinson,(Jan/Feb 1995)The Sciences,pp.13−15
【非特許文献3】Izumitaniら、(「Novel Acyclic Diterpene Glycosides,Capsianosides A−F and I−V from Capsicum Plants」(Solanaceous Studies.XVI)Chem.Pharm.Bull.(1990),38(5):1299−1307)
【非特許文献4】Iorizziら、(「New Glycosides from Capsicum annuum L.Var.acuminatum.Isolation,Structure Determination,and Biological Activity」J.Agric.Food Chem.(2001),49:2022−2029
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、特定の化合物および治療剤として、特に鎮痛剤および抗炎症剤としての使用に関する。このような化合物は、例えば様々なジテルペンモノグリコシドおよびジテルペンジグリコシドを含み、これらは、合成的または半合成的に製造され得る、またはカプシクム(Capsicum)属、特にピ−マン(C.annuum)の実から単離することができる。このような化合物の医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物およびプロドラッグも本発明に含まれる。医薬組成物、本発明の化合物と他の治療成分(例えば鎮痛剤および抗炎症剤など)との併用、同様にこのような医薬組成物、化合物および併用の使用方法が本発明により提供される。本発明の目的は、疼痛、不快および炎症の治療のために安全で有効な方法により、医薬組成物、化合物および併用を提供することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様において、本発明は、式I、
【0010】
【化1】
に対応する化合物または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療有効量を医薬的に有効な担体中に含む医薬組成物に関し、式中、R1は炭水化物部分であり;R2はHまたはC(O)R4であり;R3はH、炭水化物部分、または置換もしくは非置換のC1−C20基であり;およびR4は置換または非置換のC1−C20基である。特定の実施形態において、R1およびR3は、グルコース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、およびアラビノースからなる群から独立して選択され;R1はグルコースであり、R2とR3はそれぞれHであり;およびR2、R3およびR4の各々は、1個以上の芳香環を独立して含む。化合物は、哺乳類において無痛覚を処置するために、または炎症を減らすために治療的に有効な量で存在することができる。
【0011】
特定の実施形態において、式Iに対応する化合物は、式II、
【0012】
【化2】
の化合物である。
【0013】
特定の実施形態において、式Iに対応する化合物のプロドラッグは、式III、
【0014】
【化3】
(式中、R5はグルコースなどの加水分解性糖である。)に対応する化合物である。
【0015】
特定の実施形態において、式Iに対応する化合物のプロドラッグは、式IV、
【0016】
【化4】
の化合物である。
【0017】
さらに、本発明の医薬組成物は、即時放出型、放出制御型または徐放型の経口投与可能な組成物(例えば丸剤、錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤、ロゼンジ剤、のどスプレー剤、溶液剤、乳剤、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤、咳止めドロップ剤、溶解性ストリップ剤、ロリポップ剤またはガム剤など)の形態;局所投与可能な組成物(例えば液体溶液剤、液体スプレー剤、乳剤、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤、ローション剤、泡剤または含浸包帯など)の形態;眼内投与可能な組成物(例えば点眼剤など)の形態とすることができ;および例えば吸入性粒子、吸入性溶液、液滴またはエアゾールの形態で鼻腔、咽頭または肺に投与することができる。
【0018】
本発明の化合物は、合成的または半合成的に製造される;または天然に存在する有機体、例えばカプシクムアンヌウム(C.annuum)などのカプシクム(Capsicum)属の実から単離および精製することができ、その場合、これらは、天然に存在する有機体の細胞片からの単離および精製をすることができる。
【0019】
特定の実施形態において、本発明は、本発明の化合物と一つ以上の治療剤(例えば鎮痛剤および/または抗炎症剤など、例えばサリチラート、アセトアミノフェン、イブプロフェンおよびCOX−2阻害剤からなる群から選択されるNSAID)との併用を含む医薬組成物に関する。
【0020】
別の態様において、本発明は、医薬的に有効な担体中、式IIに対応する化合物の治療有効量を含む医薬組成物に関する。式IIの化合物は、鎮痛剤として有効な量で提供され、上記したものなどの一つ以上の治療剤と組み合わせて提供することが可能である。
【0021】
別の態様において、本発明は、上で定義された式Iに対応する化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療有効量を、医薬的に有効な担体中に含む医薬組成物に関し、これは鎮痛剤として有効な量で存在する。式Iの置換基および化合物は、上記したものであってよい。該化合物は、単位用量あたり約.01mgから約500mgの間、および単位用量あたり約1mgから約100mgの間の鎮痛剤として有効な量で存在し得る。このような医薬組成物は、上記したように投与することができる。
【0022】
別の態様において、本発明は、上で定義した式Iに対応する化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療有効量(鎮痛剤的に有効な量であり得る。)を医薬的に許容される担体中に含む医薬組成物を、無痛覚をもたらす、または炎症を減らすことを必要とする患者に投与することを含む哺乳類において無痛覚をもたらす、または炎症を減らす方法に関する。式Iの置換基および化合物は、上記したものであってよい。該方法は、本発明の化合物を上記した方法の単独で、または他の記述した治療剤と併用して、単位用量あたり約.01mgから約500mgの間、および単位用量あたり約1mgから約100mgの間の治療有効量で投与することを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】フラクションBMBW−M40iのHPLCクロマトグラムおよびUVスペクトルを示す。
【図2】フラクションBMBW−M40iのピークのTIC、UV(221nm)およびネガティブESIMSスペクトルを示す。
【図3】フラクションBMBW−M40i−5のESIMSの結果を示す。
【図4】フラクションBMBW−M40i−Aからのm/z 659.45(A)、m/z 745.19(B)およびm/z 1319.17(C)を有するイオンのTICおよびネガティブESI MS/MSスペクトルを示す。
【図5】フラクションBMBW−M40i−5からのm/z 497.43を有するイオンのネガティブESI MS/MSスペクトルを示す。
【図6】化合物−660の1D 1H−NMRスペクトルを示す。
【図7】化合物−660の1D 13C NMRスペクトルを示す。
【図8】化合物−498の1D 1H−NMRスペクトルを示す。
【図9】化合物−498の1D 13C NMRスペクトルを示す。
【図10】化合物−660(式IV)の構造を示す。
【図11】化合物−498(式II)の構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、治療剤として、特に疼痛の予防、治療および管理のための鎮痛剤として、および抗炎症剤としての特定のジテルペンモノグリコシドおよびジテルペンジグリコシドを含む特定の化合物の発見に関する。
【0025】
本明細書に記述されるように、該化合物は、単離、同定されて、治療的な有用性を有することが示された。該化合物、該化合物を含む医薬組成物、および本発明のこのような化合物と医薬組成物を製造し、使用する方法の同定および特性化は、本明細書に記述される研究努力の結果であり、これは、カプサイシンまたは辛味を示すコショウのピューレまたはジュースの使用に伴う灼熱感または刺激なしに、ピーマンのピューレまたはジュースが炎症を起こした咽頭粘膜に対して鎮痛性効果を示すという予想外の発見に由来する。
【0026】
この点に関して、本発明は、特定の実施形態において、式I、
【0027】
【化5】
に対応する化合物または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療有効量を医薬的に許容される担体中に含む医薬組成物(式中、R1は炭水化物部分であり;R2はHまたはC(O)R4であり;R3はH、炭水化物部分、または置換もしくは非置換のC1−C20基であり;およびR4は置換または非置換のC1−C20基である。)に関する。R1の炭水化物部分は、限定されることなく、例えばグルコース、ガラクトース、ラムノース、キシロースまたはアラビノースであり得る。特定の実施形態において、R2、R3またはR4は、それぞれ1個以上の芳香環を独立して含むことができる。
【0028】
特定の実施形態において、本発明は、式II、
【0029】
【化6】
の化合物の治療有効量を含む医薬組成物に関する。
【0030】
特定の実施形態において、本発明は、式Iに対応する化合物のプロドラッグ、例えば式III、
【0031】
【化7】
(式中、R5はGlcなどの加水分解性糖である。)の化合物を含む医薬組成物に関する。式IIIに対応する化合物は、膵臓または唾液のジサッカリダーゼなどの酵素による、または胃もしくは生体内の他の場所での条件による加水分解を受けて、式IIの化合物などの1個のGlc単位を有する化合物を生成することができる。
【0032】
特定の実施形態において、該プロドラッグは、式IV、
【0033】
【化8】
の化合物である。
【0034】
制限されることなく本発明において使われる場合、「プロドラッグ」という用語は、一般に不活性な形態で(または実質的に低下した活性を有する形態で)患者に提供される化合物として、慣用的な、および通常当分野で認められている定義が与えられ、これは生体内で例えば酵素分解などにより活性な、またはより活性な薬物に変換される。得られた活性な薬物は、通常、プロドラッグの「代謝物質」と呼ばれる。あらゆる特定の理論にも縛られることなく、本発明において、式IIIに対応する特定化合物は、式Iに対応する特定化合物のプロドラッグであると考えられ、式IIIに対応する化合物が、ヒトの体内にまたはヒト上に導入される場合は、これは通常の代謝条件下で反応して式Iに対応する化合物を産生するものである。例えば式IVの化合物は、式IIの化合物のプロドラッグであると考えられる。さらに、本発明の範囲内であるさらなるプロドラッグは、カルボン酸における遊離ヒドロキシル基上での加水分解性基またはエステル基を有する化合物を含むが、これに限定されない。特定のプロドラッグは、例えば式Iの限定を独立して満たすが、一方、他のプロドラックは、これらの活性型への変換の後にだけ式Iの限定を満たす。
【0035】
本発明において使用される場合、組成物が「特定の式に対応する(または特定の式の)化合物、またはこのような式の医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物およびプロドラッグの化合物を含む」ことを記述することは、該組成物がこのような定義内に入る単一化合物を含んでもよく、またはこのような定義内に入る一つ以上の化合物を含んでもよいことを具体的に意味する。例えば「式Iに対応する化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物またはプロドラッグの治療有効量」を含む本発明の医薬組成物は、式Iによる単一化合物(例えば式IIの化合物など)、または、例えば式IIの化合物と上記定義を満たす別の化合物、例えば式IVの化合物との組み合わせを含むことが可能である。同様に、本発明の医薬組成物は、他の化合物をさらに含むことができ、例えば式IIの化合物と式IVの化合物を式Iなどによる塩と組み合わせて含むことが可能である。当業者に理解されるように、本発明の医薬組成物は、任意の数の化合物を提供された定義に入る組み合わせで含んでもよいが、但し、これらが治療的にまたはその他、意図したように有用である限りにおいてである。
【0036】
本発明において使用されるように、化合物が「治療有効量」で存在すると述べることは、この用語が慣習的に使用され、当業者に理解されているように、哺乳類の所望の生理的変化をもたらすのに十分である量を指す。例えば化合物が「無痛覚をもたらすために治療的に有効な量で」存在すると述べることは、限定されずに、定性的にまたは定量的に決定されて、化合物が哺乳類での疼痛および/または不快および/または炎症の軽減または除去をもたらす量で存在することを意味する。同様に、定性的にまたは定量的に決定されて、化合物が「炎症を減らすために治療的に有効である量で」存在すると述べることは、限定されずに、化合物が炎症病態に罹患している哺乳類での炎症の軽減または除去をもたらす量で存在することを意味する。本発明の化合物および組成物によって軽減または除去され得るこのような病態は、慢性または急性であってもよい。
【0037】
本発明の医薬組成物は、一般に、式Iに対応する化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物またはプロドラッグの治療有効量を医薬的に有効な担体中に含む。本発明において使用されるように、用語「医薬的に許容される塩」は、例えば限定されずに、無機塩基および有機塩基を含む医薬的に許容される非毒性塩基から調製される塩を指す。無機塩基に由来する塩は、例えばアルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第2鉄塩、第1鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第2マンガン塩、第1マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩などを含む。医薬的に許容される有機の非毒性塩基に由来する塩は、例えば1級、2級および3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、および塩基イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩を含む。
【0038】
式Iに対応する化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物もしくはプロドラッグを医薬的に有効な担体中に含む医薬組成物は、本発明の実施例により説明され、示唆されるように、例えば種々の病態(リウマチ熱;インフルエンザまたは他のウイルス感染と関連した徴候;風邪;腰と首の痛み;月経困難症;頭痛;歯痛;捻挫および筋挫傷;筋炎;神経痛;滑膜炎;関節リウマチと変形性関節症(例えば骨関節炎)を含む関節炎;痛風や強直性脊椎炎;滑液包炎;火傷;傷害;および外科手術や歯の処置後の疼痛と炎症を含む。)の疼痛、発熱、および炎症の軽減に有用である。さらに、本発明の組成物および化合物は、細胞腫瘍性形質転換と転移腫瘍の増殖を抑制することが可能であり、従って、癌の治療に役立ち得る。
【0039】
さらに、式Iに対応する化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物もしくはプロドラッグを含む医薬組成物は、既知の治療化合物(例えば鎮痛剤や抗炎症剤)との治療的な併用に役立つことが期待される。例えば本発明の化合物と併用して治療的な有用性を有すると期待される鎮痛剤には、NSAIDS(例えばサリチラートなど);アセトアミノフェン;イブプロフェン;およびCOX−2阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
式Iに対応する化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物もしくはプロドラッグを含む医薬組成物は、本発明のこのような組成物がこれらの所望の治療効果を有することを可能にする従来の非毒性の医薬的に許容される担体、アジュバントおよびビークルを使用する用量単位製剤での任意の許容される形態で、これを必要とする患者に投与することができる。例えばこのような組成物は、経口投与可能な形態;局所用形態であり得、鼻腔、咽喉、肺、目、耳、膣および/または直腸に投与することができ;または非経口的に投与され得る。
【0041】
経口的および/または局所的な使用を目的とする本発明の医薬組成物は、丸剤、錠剤、ゲルキャップ剤または硬カプセル剤もしくは軟カプセル剤(これらの各々は、即時放出性、徐放性または時限放出性の製剤であってよい。);ロゼンジ剤;のどスプレー剤;溶液剤;乳剤;クリーム剤;軟膏剤;含浸包帯;泡剤;ペースト剤;ゲル剤;咳止めドロップ剤;溶解性ストリップ剤;ゼリー剤;口内洗浄剤;うがい薬;ロリポップ剤;ガム剤;水性または油性懸濁剤;分散性の散剤/顆粒剤;シロップ剤;および/またはエリキシル剤の形態であってよく、医薬組成物の製造のための当分野で既知の任意の方法で調製することが可能である。このような組成物は、医薬的に上品で口当たりがいい製剤を提供するために、甘味剤、風味剤、着色剤および保存剤からなる群から選択される一つ以上の薬剤をさらに含有してもよい。溶解性ストリップ剤とは、口内に置かれて活性成分を溶解および放出することができる1枚の材質を意味する。このような溶解性ストリップ剤は、フレーバーストリップまたは口腔ケアストリップとしても知られている。溶解性ストリップ剤は、しばしば炭水化物を主成分としている。錠剤は、一般的に、このような錠剤の製造に適した非毒性の医薬的に許容される賦形剤と混合した活性成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば不活性な希釈剤(例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなど);顆粒剤および崩壊剤(例えばトウモロコシ澱粉またはアルギン酸など);結合剤(例えば澱粉、ゼラチンまたはアラビアゴムなど);ならびに滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなど)であり得る。錠剤は被覆されていなくてもよく、または公知の技術によって被覆されてもよく、胃腸管での放出および吸収を遅らせ、それにより長時間にわたって徐放性作用を提供することが可能である。例えば時間遅延物質(例えばグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートなど)を用いることができる。
【0042】
カプセル剤に関して、硬質ゼラチンカプセル製剤では、活性成分(複数を含む。)は、不活性な固体の希釈剤(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合されてもよく;軟質ゼラチンカプセル製剤においては、活性成分(複数を含む。)は、水または油性媒体(例えば落花生油、流動パラフィンまたはオリーブ油)と混合されてもよい。
【0043】
水性懸濁剤は、一般に、活性物質をこのような水性懸濁剤の製造に適した賦形剤と混合されて含有する。このような賦形剤は、懸濁化剤(例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントガムおよびアラビアゴム);および分散剤もしくは湿潤剤、例えば天然に存在するホスファチド(例えばレシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えばポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えばヘプタデカエチレン−オキシセタノール)、エチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物(例えばポリエチレンソルビタンモノオレエート)であってよい。水性懸濁剤はまた、一つ以上の保存剤、例えばエチル、n−プロピルまたはp−ヒドロキシベンゾエート;一つ以上の着色剤;一つ以上の風味剤;および/または一つ以上の甘味剤(例えばスクロース、サッカリンまたはアスパルテーム)も含有することができる。
【0044】
油性懸濁剤は、有効成分を植物油(例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはヤシ油など);または鉱油(例えば流動パラフィンなど)中に懸濁させることによって処方することができる。このような油性懸濁剤は、例えば蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤も含有することができる。また、口当たりのよい経口製剤を得るために、例えば上記したような甘味剤および風味剤を加えることもできる。このような組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を添加することによって保存することができる。
【0045】
水の添加による水性懸濁剤の調製のために適した分散性散剤および顆粒剤は、有効成分を分散剤もしくは湿潤剤、懸濁化剤およびまたは一つ以上の保存剤との混合物として一般的に提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤とは、既に上記したものによって例示される。その他の賦形剤、例えば甘味剤、風味剤および着色剤なども存在してよい。
【0046】
本発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の形態であってもよい。このような製剤において、油相は植物油(例えばオリーブ油もしくは落花生油)、鉱油(例えば流動パラフィン)、またはこのような植物油と鉱油の混合物であり得る。適切な乳化剤は、天然に存在するホスファチド、例えば大豆、レシチン、脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来するエステルもしくは部分エステル(例えばソルビタンモノオレエート)、およびこのような部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)であり得る。また、このような乳剤は、甘味剤および風味剤を含有し得る。
【0047】
シロップ剤およびエリキシル剤は、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースなどの甘味剤と共に処方することができる。このような製剤は、鎮痛剤、保存剤および風味剤および/または着色剤を含有することもできる。本発明の医薬組成物は、無菌の注射可能な水性または油性懸濁液の形態であってもよく、これは、例えば上記した適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて当分野で公知の方法に従って処方することができる。このような無菌の注射用製剤は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌の注射用溶液または懸濁液(例えば1,3−ブタンジオールの溶液)とすることもできる。使用可能な許容されるビヒクルと溶媒には、例えば水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発性油は、例えば合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む無刺激性の不揮発性油は、溶媒または懸濁化媒体として用いることができる。また、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に用いることができる。
【0048】
上記したように、本発明の化合物と医薬組成物は、制御放出システムまたは徐放システムで投与することが可能である。このようなシステムは、例えばポンプの使用(例えばLanger and Sefton,(1987)CRC Crit.Ref.Biomed.14:201;Buchwaldら(1980),Surgery 88:507;Saudekら(1989),N.Engl.J.Med.321:574を参照)を含み、およびより典型的には(丸剤、錠剤などの経口製剤に関して)、高分子材料の使用(例えばMedical Applications of Controlled Release,Langer and Wise(eds.)(1974),CRC Pres.,Boca Raton,Florida;Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance,Smolen and Ball(eds.)(1984),Wiley,New York;Ranger and Peppas,J.(1983),Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem. 23:61;Levyら(1985),Science 228:190;Duringら(1989),Ann.Neurol.25:351;Howardら(1989),J.Neurosurg.71:105を参照)を含む。
【0049】
徐放をもたらす他の手段は、例えば治療標的の近くに治療組成物を置くことを含み、従って全身的な用量のうちのごく少量を必要とする(例えばGoodson,Medical Applications of Controlled Release,(1984)vol.2,pp.115−138を参照)。使用可能な他の制御放出システムは、Langer(Science(1990)249:1527−1533)により総説されているものを含む。
【0050】
式Iの化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物もしくはプロドラッグを含む医薬組成物は、直腸坐薬の形態で投与することもできる。このような組成物は、活性化合物と常温で固体であるが、直腸温度で液体である適切な非刺激性賦形剤を混ぜ合わせることによって調製され得、従って、直腸内で溶けて活性化合物を放出する。適切な直腸坐薬材料は、カカオバターおよびポリエチレングリコールを含む。
【0051】
本発明の組成物と化合物の局所投与のために、ロゼンジ剤;のどスプレー剤;溶液剤;乳剤;クリーム剤;軟膏剤;含浸包帯;泡剤;ペースト剤;ゲル剤;咳止めドロップ剤;溶解性ストリップ剤;ゼリー剤;口内洗浄剤;うがい薬;ロリポップ剤;ガム剤;水性または油性懸濁剤、分散性の散剤/顆粒剤;シロップ剤、および/またはエリキシル剤を使用することができる。
【0052】
本発明の医薬組成物と化合物は、例えば点眼薬、軟膏剤、スプレー剤または結膜徐放性の挿入物の形態で、眼内に投与することもできる。本発明の医薬組成物の鼻腔、咽喉または肺への投与は、吸入性粒子、吸入性溶液、液滴、吸入性スプレーまたはエアゾールの形態ですることができる。さらに、該組成物は、非経口的に、例えば皮下注射、静注内、筋肉内、胸骨内または、種々の注入方法などにより投与することが可能である。
【0053】
本発明の医薬組成物は、例えば式Iに対応する化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物もしくはプロドラッグの鎮痛剤としての有効量および/または炎症を減らす有効量を含み、該化合物の単位用量あたり約.01mgから約500mgを含有することができる。一つの実施形態において、この量は、単位用量あたり約1mgから約100mgである。
【0054】
本発明の医薬組成物のための投与計画は、当然のことながら、既知の要因(例えば特定の薬剤の薬力学的特徴およびこの投与様式と経路;患者の種、年齢、性別、一般的な健康状態、医学的病態、食餌、および体重;徴候の性質と程度;併用療法の種類;治療の頻度;投与の時間;投与経路、患者の腎臓および肝臓機能、および所望する効果など)によって変動する。医者(または本発明の組成物がヒト以外の動物の治療で使用するような場合の獣医)は、病的状態の進行を予防、対処または停止するために必要な薬物の有効量を決定し、処方することができる。
【0055】
さらに、担体物質と併用されて単一用量形態を生成し得る有効成分の量は、治療される宿主および投与の特定様式に依存して変動する。例えばヒトへの経口投与を目的とする製剤は、全組成物の約5%から約95%に変動し得る担体物質の適切で都合の良い量と混合した活性薬剤の0.5mgから約5gを含有することができる。用量単位の形態は、活性成分を通常、約1mgから約500mg、一般的に25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mgまたは1000mgを含有する。
【0056】
一旦製剤化したら、本発明の医薬組成物は、様々な治療的な用途のために限定されずに使用することができ、これは無痛化と炎症の減少を含む。例えばこのような組成物は、痛みまたは不快を経験している個体への投与により痛みおよび/または不快を処置するのに使用することができ、炎症性病態を示す個体への投与により炎症性病態を処置するのに使用することができる。一つの実施形態においては、本発明による組成物は、風邪またはインフエンザの一つ以上の徴候を治療するために投与される。このような徴候は、咽喉、目、耳または副鼻洞の痛みを含む。または、このような組成物は、擦過傷、発疹、または小さな切り傷または火傷を治療するために使用することができる。例えば一つの実施形態において、本発明の組成物は、粘着性包帯に含浸され、疼痛部位または水膨れの不快感の軽減を提供する。別の実施形態において、本発明の組成物は、局所的にまたは筋肉内に適用されて筋内痛または関節痛の軽減、または神経障害の軽減を提供する。投与経路は、時限放出型製剤も含み、延長された、または長期の治療を提供する。
【0057】
さらに、式Iに対応する化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物もしくはプロドラッグは、完全に天然物起源であってもよく、または完全に合成されたものであってもよく、または天然に存在する化合物から修飾(即ち半合成)されたものであってもよい。
【0058】
式Iの化合物、または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物もしくはプロドラッグが、天然物起源である場合は、これは、一般に、化合物を生成する有機体の細胞片からこのような化合物を実質的に精製して、単離することが必要である。この点に関して、一つの実施形態において、青ピーマン(Capsicum anuum ssp.grossum)は、スライスされて、手動または機械的手段でピューレが作られる。茎および/または種は、ピューレを作る前に取り除いてよい。ピューレは、従来の方法によって、ジュースに濾過(減圧濾過を含むがこれに限定されない。)できる。葉緑素およびワックス類(これらに限定されない。)を含む非常に非極性の化合物は、親水性水相と非極性溶媒(ジエチルエーテルを含むがこれに限定されない。)間にジュースを分配することによって、ジュースから除去することができる。水相はさらなる分離のためにそのまま利用される、または短鎖アルコール(メタノールまたはエタノールを含むがこれらに限定されない。)での粉末化に付されて、化合物(ポリペプチドおよび長鎖炭水化物を含むがこれに限定されない。)を析出させることができる。
【0059】
ジュースおよび/または粉末にされた上澄みは、従来の方法(例えば回転蒸発または凍結乾燥など)により濃縮される、またはC−18を含む吸着剤(固定相)(これに限定されない。)を使用して、水:メタノール(これに限定されない。)を含む勾配溶媒系(移動相)で溶出されるフラクションのカラムクロマトグラフィおよび/または純粋メタノール(これに限定されない。)を含む短鎖アルコールで溶出されるSephadex LH−20でのカラムクロマトグラフィにより直接に分離することができる。活性鎮痛性化合物を含有するサブフラクションは、HPLCまたはHPLC/質量分析を含む方法(これらに限定されない。)により精製されて活性化合物の純粋な分離物を生成することができる。
【0060】
ここで、以下の非限定的な実施例にうつり、本発明の組成物と化合物の単離、同定および治療効果を示す。
【実施例】
【0061】
(実施例1)
鎮痛剤バイオアッセイプロトコル
ラット後肢におけるアッセイが、本発明での鎮痛剤としての様々な抽出物/化合物の治療有効性を決定するのに使用された。
【0062】
Sprague−Dawleyラット(225から250g、雌)をウレタンで麻酔し、使い捨てのChuxパッド上に横向けに置いた。各ラットの後肢の両方は、墨で黒くし、10分間乾燥した。標準的なmW/cm2に調整されたELHプロジェクターランプが、疼痛刺激として使用され、各々の後肢上の5×15mmの面積に集光して、各々の後肢に対して垂直に、および各後肢から72mmに置いた。
【0063】
複数のベースラインの後肢退避潜時は、各々の後肢の各中間面と各側面に対して記録(秒)された。次いで、1マイクロモルのカプサイシン100μlをピペットで適用して各動物の一つの後肢を覆い、10分間乾燥させて、カプサイシン未処置の後肢と比較して、カプサイシン処置の後肢を疼痛刺激に対して過敏にした(これによって未処置の後肢と比較してカプサイシン処置の後肢に対する後肢退避潜時が減少した。)。
【0064】
次いで、後肢の両方を再び墨で黒く塗り、10分間乾燥し、両方の後肢の各中間面と各側面で後肢退避潜時をカプサイシン処置の後肢とカプサイシン未処置の後肢に対して20分、25分および30分目に記録した。退避潜時の有意な低下が、カプサイシン処置の後肢で見られ、このバイオアッセイにおいて使われた一般的な濃度と用量において、疼痛過敏性薬剤としてのカプサイシンの報告された効果と一致した。対照的に、カプサイシン未処置の後肢退避潜時では、わずかな低下が見られ、観察された効果は、もう片方の後肢上でのカプサイシン処置の中枢性メカニズム効果によると思われる。
【0065】
各々のフラクションの鎮痛特性を測定するために、各フラクション100μlをピペットでカプサイシン処置された後肢に適用して、乾燥させた(未処置の後肢は、フラクションで処置されなかった。)。次いで、後肢退避潜時を、カプサイシン/フラクションで処置された後肢と未処置の後肢の両方に対して5分、20分および30分目に記録した。後肢退避潜時の増加は、適用されたフラクションによる鎮痛効果を示唆した。
【0066】
(実施例2)
鎮痛化合物の単離
茎、種および隔壁を除いた12個の青ピーマン(Capsicum anuum ssp.grossum)をジュース抽出器(Panasonicモデル# MJ66PR)にかけて未濾過ジュース1200mlを生成した。ジュースは、粗い濾紙を用いブフナー漏斗を通して吸引濾過して濾過ピーマンジュース1.0リットルを生成した。
【0067】
濾過されたジュース500mlは、ジエチルエーテル500mlで分配し、ワックスと葉緑素を除去した。この分配は、合計3回行われた。3層は、水層、エーテル層および中間の羊毛状の層に分離された。各々の層の一定量は、鎮痛剤バイオアッセイ(実施例1)により試験された。水層だけが、鎮痛活性を示した。
【0068】
水層は、室温で淡褐色ゲル10mlに回転蒸発により濃縮され、これを室温でメタノール100mlの2回の連続した量で粉末化し、長鎖炭水化物およびポリペプチドを析出させた。メタノール性懸濁液は、ブフナー漏斗を用いて吸引濾過された。透明な濾過液は、40℃で回転蒸発中、琥珀色した粘性の液体1mlに乾燥した。
【0069】
濃縮メタノール性抽出物1.0gは、C−18逆相シリカゲル(Sep−Pak 35cc C−18 10g、Waters、Chicago、IL)の固定相を用いるカラムクロマトグラフィによって分画された。20mlのフラクションは、0:1から1:0のメタノール/水(移動相)の重力フィードされた勾配溶媒系で、1ステップあたり20%メタノール増分で溶出された。
【0070】
鎮痛剤バイオアッセイ(実施例1)により試験された各フラクションの一定量は、フラクションE(80%のメタノール:水のフラクション)に集中した鎮痛活性を示した。バイオアッセイ試験は、さらに、活性サンプルを45℃に加熱し、同じサンプルをpH4.4に酸性化することにより生物活性が保持されることを証明した。鎮痛活性は、pH8.4のアルカリにすると失われた。鎮痛フラクションの鎮痛効果は、試験動物にナロキソン(麻薬アンタゴニスト)の投与により失われなかったが、これは、誘発された無痛覚が麻薬実体(表1)からではなかったことを示唆した。フラクションEは、ナロキソン投与の後でも、何時間にもわたる鎮痛効果の増加を示した。
【0071】
【表1】
【0072】
(実施例3)
フラクションEのサブフラクション
最初の濃縮メタノール性抽出物1.0gを、C−18逆相シリカゲル(Sep−Pak 35cc C−18 10g、Waters、Chicago、IL)の固定相を用いるカラムクロマトグラフィによって分画した。20mlのフラクションは、0:1から1:0のメタノール/水(移動相)の重力フィードされた勾配溶媒系で、1ステップあたり20%メタノール増分で溶出された。
【0073】
濃縮80%メタノールフラクション1.0gを、C−18逆相シリカゲル(Sep−Pak 35cc C−18 10g、Waters、Chicago、IL)の固定相を用いるカラムクロマトグラフィによって再分画した。20mlのフラクションは、0:1から1:0のメタノール/水(移動相)の重力フィードされた勾配溶媒系で、1ステップあたり20%メタノール増分で溶出された。80%のメタノールフラクションは、EEa、EEb、EEcおよびEEdと名前を付けられ、5mlの一定量で回収された。これらのサブフラクションの全ては、フラクションEEaで最も大きな鎮痛活性を有する鎮痛活性を示した。
【0074】
(実施例4)
サブフラクションBMBW−M40iの同定
鎮痛剤バイオアッセイ(実施例1)により強い鎮痛活性を示す青ピーマン(Capsicum anuum ssp.grossum)のジュース3000mLを、ジエチルエーテル1000mlで分配した。この分配は、合計3回行われた。水層を濾過し、濃縮し、減圧下35.8℃で凍結乾燥して褐色の抽出物135.2gを生成した。
【0075】
凍結乾燥された抽出物21.0gは、C−18逆相シリカゲル(40μm;J.T.Baker,Phillipsburg,NJ)の固定相を用いるカラムクロマトグラフィによって分画された。フラクションが、0:1から1:0のメタノール/水(移動相)の勾配溶媒系で、1ステップあたり10%メタノール増分で溶出された。13のフラクションが得られ、薄層クロマトグラフィにより既知の生物活性フラクションEEaと比較された(実施例3を参照)。
【0076】
バイオアッセイは、薄層クロマトグラムを標準EEaに適合させることに基づいて30%から80%のメタノールで溶出されたフラクションに関して、先に述べたように実行された。これらの適合フラクションに隣接したフラクションも、バイオアッセイされた。バイオアッセイ試験の結果(秒での退避潜時と平均の対応する標準誤差(SEM)は、記述された分離と精製手順を通して得られるフラクションに対して記録された。サブ−フラクションは、1)上記したようなバイオアッセイ試験、および2)本明細書に記載の得られたフラクションとサブフラクションの薄層クロマトグラムをフラクションEEaと比較することの両方によって導かれた(実施例3を参照)。バイオアッセイされた鎮痛活性に基づいて、40%フラクション(BMBW−M40、総重量99.8mg)と60%フラクション(BMBW−M60、総重量102.1mg)の一定量は、さらにサブ分画された。
【0077】
BMBW−M40 66.0mgは、セファデックスLH−20(10.0g、25から100μm、Pharmacia Fine Chemicals、Piscataway、NJ)の固定相を用いるカラムクロマトグラフィによりサブ分画された。サブ−フラクションは、純粋なメタノールの溶媒系で溶出された。サブ−フラクションは、HPLC分析に基づき合わせて、12のサブ−フラクションを生成した。
【0078】
バイオアッセイは、全12のフラクションについて上記したように行われた。このアッセイされた生物活性に基づいて、フラクションBMBW−M40i(総重量3.6mg)は、さらにサブ分画された。
【0079】
BMBW−M60 70.5mgは、セファデックスLH−20(10.0g、25から100μm、Pharmacia Fine Chemicals、Piscataway、NJ)の固定相を用いるカラムクロマトグラフィによりサブ分画された。サブ−フラクションは、純粋なメタノールの溶媒系で溶出された。サブ−フラクションは、HPLC分析に基づき合わせて、16のサブ−フラクションを生成した。上記したように行われたバイオアッセイにおいて、BMBW−M60サブ−フラクションの全ては、鎮痛活性の有意な保持を示すことができなかった。
【0080】
サブ−フラクションBMBW−M40iは、Phenomenex Aqua C18カラム(4.6×250mm、5μm)とHPLC勾配プログラム(表2)、室温でのカラム、65分のランタイムを用いるWaters996フォトダイオードアレイ検出器およびEmpowerソフトウェアを備えたWaters2690分離モジュールでのHPLC分析により分析された。
【0081】
【表2】
【0082】
9つのピークが同定され、これらはBMBW−M40i 1、2、3、4、A、5、B、6、7と名付け、および45分と55分の間の幅広い2峰性ピークは、8および9と名付けた(図1を参照、これはBMBW−M40iピークのHPLCクロマトグラムおよびUVスペクトルを示す。)。ピーク1、2、3、4および7は、芳香環を有している可能性が高いことを、およびピークA、B、5および6は、芳香環を有していない可能性が高いことを図1のUVスペクトルは示した。
【0083】
サブ−フラクションBMBW−M40iを、HPLC−MS分析に付した。BMBW−M40i1.8mgを、メタノールの1.0mlに溶解した。この溶液20μLをメタノール100μLで希釈し、Xcaliburソフトウェアを備えたThermoFinnigan LCQ装置(San Jose、CA)を用いるネガティブエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESIMS)で分析した。サンプルは、Waters2487デュアルλ吸光度検出器を備えたWaters2690分離モジュールにより導入された。キャピラリー電圧は、4.5kVのスプレー電圧、0Vのチューブレンズオフセットおよび230℃のキャピラリー温度とともに10Vに設定された。シースガスと補助ガスはともに、それぞれ80および30の流量を有する窒素であった。このネガティブESIMSの結果は、図2に示される。
【0084】
ポジティブESIMSによるHPLC/MSは、エレクトロスプレーイオン化を用いて、Agilent Technologies 1100 Series LC/MSDモデルG1946D上でBMBW−M40iについて行われた。イオン化は、200℃の乾燥ガス温度、40psiの噴霧圧力および13L/分の流速で行われた。スキャンされた質量範囲は、ポジティブモードとネガティブモードの両方で70ボルトのフラグメンター値を有する140から1500の原子質量単位(amu)の間であった。キャピラリーは、4000ボルトに設定された。質量スペクトル分析の前に、サンプルは、36℃の温度で操作されるZorbax Eclipse XDB−C18の2.1mm×150mmの5−ミクロンカラム(部品番号993700−902)を用いて、Agilent Technologies 1100分析用HPLC上で分析された。移動相は、表3の勾配に従い、0.1%(v/v)ギ酸と水中50uMの酢酸アンモニウム(溶離剤A)、および0.1%(v/v)ギ酸とアセトニトリル中50uM酢酸アンモニウム(溶離剤B)からなるものであった。
【0085】
【表3】
【0086】
注入容量は25μLであった。同時監視が、230nmと260nmで行われた。スペクトルは、200から900nmで記録された。データは、AgilentのChemstationソフトウェアを使用して処理された。
【0087】
ポジティブESIMSによる質量スペクトルデータは、BMBW−M40iの主要な構成成分が、m/z 698(M+NH4+)、m/z 764(M+NH4+)、m/z 516(M+NH4+)を有するとともにこれに対応するm/z 1014(2M+NH4+)およびm/z 602(M+NH4+)に対する小さいピークを有することを明らかにした。
【0088】
BMBW−M40i1.6mgを、250×4.6mmのi.d.、5μm、Aqua C18カラム(Phenomenex、Torrance、CA)を使用して、Waters996フォトダイオードアレイ検出器とEmpowerソフトウェアを備えたWaters690分離モジュール上での分析用HPLCによってサブサブ分画された。HPLC勾配プログラム(表1を参照)は、10個のサブ−サブ−フラクション(BMBW−M40i−1、2、3、4、A、5、B、6、7および8)をもたらし、これらは全て鎮痛剤バイオアッセイに付された(実施例1)。種々のフラクションからの結果:BMBW−M40i−5(「フラクションi5」)および不活性フラクション:BMBW−M40i−A(「フラクションiA」)は、表4に集約される。潜時は、平均の対応する標準誤差(SEM)とともに秒で記録されている。
【0089】
【表4】
【0090】
5匹の動物が、各々のフラクションの鎮痛効果に対して試験された。ベースラインの後肢退避潜時が測定され(即ち、あらゆる処置の前にも)、その後、カプサイシンが各々の動物の2つの後肢のうちの一つに投与され(実施例1で記載されたプロトコルに従って)、それから、フラクションは各々の動物のカプサイシン処置の後肢に投与した。表4で示されるように、フラクションi5に関して、平均のベースライン退避潜時は、15.78秒であり、カプサイシン処置後20分、25分および30分では、それぞれ10.62秒、7.95秒および7.99秒に減少し;投与された用量における疼痛に対するカプサイシンの既知の過敏性効果と一致した。次いで、フラクションi5をカプサイシン処置された後肢に加えて、フラクション処置後それぞれ、5分、20分および30分での退避潜時は、18.01秒、15.24秒および12.21秒に増加した;これはフラクションi5による強い鎮痛効果を証明した。未処置の対照群の後肢は、同時間にわたる退避潜時において何ら有意な変化を示さなかった。
【0091】
30分でのカプサイシン退避潜時と比較したフラクションi5の適用後20分の退避潜時は、0.001235035のP値で非常に統計学的に有意であった(一因子分散分析による。)。フラクションiAによる結果は、0.539236411のP値で統計学的に有意ではなかった。
【0092】
サブ−サブ−フラクションBMBW−M40i−5(図5)は、直接注入によるネガティブモードおよびポジティブモードの両方でのESIMSによって試験された。サンプルは、MeOHに溶解され、50:50のMeCN:H2O、流速0.3ml/分の等張性混合溶媒系を用いるWaters2690分離モジュールにより導入された。キャピラリー電圧は10Vであり、スプレー電圧は、4.5kVであり、チューブレンズオフセットは0Vであった。キャピラリー温度は230℃であった。シースガスと補助ガスは両方とも、それぞれ80と30の流量を有する窒素であった。結果は、図3に示される。
【0093】
サブ−サブ−フラクションBMBW−M40i−5は、主にネガティブESIMS m/z 497.43および745.14からなるものであった。ネガティブESIMS m/z 745.14は、BMBW−M40i−Bの主要な成分であり、これは鎮痛剤バイオアッセイ(実施例1)でのバイオアッセイにより鎮痛活性を有さないことが示された。
【0094】
ネガティブESIMSによるm/z 659.45(A)、745.19(B)および1319.17(C)を有するイオンは、MS/MS実験に対する親イオンとして選択され、この結果が図4に示された。MS/MSは、サブ−サブ−フラクションBMBW−M40i−5からのm/z 497.43を有するネガティブESIMS親イオンについても行われ、この結果は、図5に示された。このMS/MS分析から、親イオンm/z 659.45が、m/z 497.4、319.3および301.3のフラグメントを生成したことは明らかであるのに対して、親イオンm/z 479.21も、m/z 319.18および301.24のフラグメントを生成した。ネガティブESIMS m/z 659.45のこの主要成分を有するBMBW−M40i−Aは、鎮痛活性を示さないのに対して、BMBW−M40i−5は、強い鎮痛活性を示した。ネガティブESIMS m/z 659.45とm/z 497.43との差は162.02であり、これは、ヘキソースグリコシド部分の違いを示唆している。
【0095】
フラクションE、EEA、BMBW−M40iおよびBMBW−M40i−5に対するポジティブESIMSデータは、フラクションBMBW−M40i中に存在するイオンm/z(M+NH4+)678、764、516および602に関して探索された。これらのそれぞれのイオンに対するピーク下面積は積分された。有意の生物活性は、m/z 678(ジテルペンジグリコシドに対応する。)と比較して、m/z 516(ジテルペンモノグリコシドに対応する。)の高濃度と相関した。
【0096】
高解像度MSは、m/z 683.3256(分子量=660)とm/z 521.2825(分子量=498)を生成するイオン上でのM+(Na+)によるエレクトロスプレーイオン化モードを使用してMicromass AutoSpec装置でのポジティブESIによって行われた。これらのイオンに対する平均同位体質量強度分布は、表5に集約される。
【0097】
【表5】
【0098】
ヘテロイオン:C、H、N、OおよびNaに関しての高解像度MSデータに対して生じる可能な分子式の表から算出された同位体質量強度分布に対する最適適合が、表6に集約される。
【0099】
【表6】
【0100】
C26H42O9およびC32H52O14のみが、測定された高解像度分子量および計算された高解像度分子量の間の小さい差の制約に適合し、測定された同位体質量強度分布に最適に適合し、互いに162(ヘキソースグリコシド部分)だけ異なっていた。
【0101】
(実施例5)
化合物の同定
1Dおよび2D NMRの実験は、実施例4で同定された2つの化合物、即ち、m/z 683.3256(分子量=660)の第1化合物(以下、「化合物−660」)とm/z 521.2825(分子量=498)の第2化合物(以下、「化合物−498」)について行われた。
【0102】
1D 1H、13C NMRおよび2D NMRの実験は、300MHz(1H)および75MHz(13C)でBruker Avance AV−300分光計で操作した。2D実験編集−HSQC、1H−1H COSY、NOESY、TOCSYおよびHMBCは、標準的なBrukerパルスシークエンスを使って得られた。化合物−660および化合物−498は、メタノール−d4中で測定された。図6および図7は、化合物−660の1D 1H−NMRおよび13C NMRスペクトルをそれぞれ示す。図8および図9は、化合物−498の1D 1H−NMRおよび13C NMRスペクトルをそれぞれ示す。
【0103】
化合物−660および化合物−498のLC−MSおよびNMR分析は、これらが非常に高純度であることを示した。従って、各々の純粋な化合物の少量にもかかわらず、これらの2つの化合物の優れたNMRスペクトルが得られた。高純度は、バイオアッセイ特異性にとっても重要であった。
【0104】
2つの化合物の構造解析は、分光法に基づいて実行された。これらの2つの化合物の1Dと2D NMRスペクトルの解釈とこれらのNMRデータと文献データ(Izumitani,Y.;Yahara,S.;Nohara,T.;Novel acyclic diterpene glycosides,capsianoside A−F and I−V from Capsicum Plant(Solanaceous studies.XVI).Chem.Pharm.Bull.1990,38:1299−1307)との比較により、化合物−660および化合物−498をカプサイアノシドIおよび14−(β−D−グルコピラノシルオキシ)−4−ヒドロキシ−2,6,10,14−テトラメチル−2,6,10,15−ヘキサデカテトラエン酸[4R−(2E,4R*,6E,10E,14S*)]としてそれぞれ同定した。これらの構造は、図10および図11にそれぞれ示される。これらの構造から分かるように、化合物498も化合物660もカプサイシノイドではない。
【0105】
純粋な化合物−498と純粋な化合物−660のバイオアッセイは、鎮痛剤バイオアッセイ(実施例1)に従って行われ、表7に集約される。
【0106】
【表7】
【0107】
5匹の動物が、各々の化合物の鎮痛効果に関して試験された。ベースライン後肢退避潜時が測定され(即ち、あらゆる処置前にも)、その後、カプサイシンが各々の動物の2つの後肢のうちの一つに投与され(実施例1で説明されたプロトコルに従って)、それから、化合物を各々の動物のカプサイシン処置の後肢に投与した。表7で示されるように、化合物498に関して、平均のベースライン後肢退避潜時は10.76667秒であり、これはカプサイシン処置後20分、25分および30分では、7.4秒、7.9555556秒および5.4秒にそれぞれ減少した;これは投与された用量で疼痛に対するカプサイシンの既知の過敏性効果と一致した。次いで、化合物498をカプサイシン処置された後肢に加え、化合物処置後の5分、20分および30分での退避潜時は、13.6秒、9.4秒および8.1秒にそれぞれ増加し;化合物498による強い鎮痛性効果を証明した。未処置の対照群の後肢は、同時間にわたる退避時間において何ら有意な変化を示さなかった。
【0108】
30分でのカプサイシン退避潜時と比較した20分での純粋な化合物−498処置後の退避潜時は、0.001788293のP値において統計学的に非常に有意であった(一因子分散分析による。)。純粋な化合物−660による結果は、0.042369157のP値の低い有意さであった。
【0109】
この鎮痛剤バイオアッセイ疼痛モデルにおいて、本発明の化合物に由来する無痛覚は、全身性モルヒネの0.1mg/kgに匹敵した。
【0110】
実施例5
炎症バイオアッセイプロトコル
マウス空気嚢アッセイは、本発明の抗炎症剤として様々な抽出物/化合物の治療有効性を決定するのに用いられた。
【0111】
空気嚢を誘発するために、10週から15週のネズミの背中に、空気3mlを皮下注射した。
【0112】
2日目に、この気嚢を空気1.5mlで再び膨張させた。
【0113】
6日目に、炎症が、カラギーナン懸濁液1ml(カルシウムを含まない、およびマグネシウムを含まないリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液での2%重量/容量)を空気嚢に注入することによって引き起こされた。
【0114】
試験化合物を含む溶液100μLが、カラギーナンとともに注射された(PBSの追加100μLが、対照群に注射された。)。
【0115】
4時間後に、マウスはCO2で昏睡させて殺し、空気嚢はPBSの2mlで洗浄し、滲出液を回収した。
【0116】
滲出液は、PBS中0.015%のメチレンブルーで1:1に希釈された。
【0117】
白血球は、標準的な血球計数室(American Optical,Buffalo,NY)で計数された。
【0118】
(実施例6)
炎症バイオアッセイ結果
化合物660(式IV)は、炎症バイオアッセイプロトコル(実施例5)に従って、抗炎症活性に関してアッセイされた。カラギーナン注射で、5匹のマウスは、化合物660を含有する試験溶液100μLの注射を受け、11匹の対照群のマウスは、PBSの100μLの注射を受けた。滲出液を空気嚢から回収し、白血球を計数し、この結果が表8(対照)と表9(化合物660)に示される。
【0119】
【表8】
【0120】
【表9】
【0121】
示されているように、試験化合物660で処置されたマウスからの一定量中の平均白血球容積(106細胞/ml)は、対照マウスの2.67と比較して1.54であり、化合物660の抗炎症剤としての有効性を確立する(0.05255485のP値)。化合物660の抗炎症性効果は、慢性用のメトトレキサート0.5から1.0mg/kg/週に、またはデキサメタゾン1.5mg/kgの急性用量に匹敵する。
【0122】
(実施例7)
併用の同定
上で議論したように、本発明の化合物は、既知の治療剤(例えば鎮痛剤および/または抗炎症剤)と医薬組成物の形態で併用することが可能である。このような鎮痛剤としては、NSAIDS(例えばサリチレート、アセトアミノフェン、イブプロフェンおよびCOX−2阻害剤など)が挙げられるが、これらに限定されない。実施例1の鎮痛剤バイオアッセイを用いて、当業者は、鎮痛剤としてのこのような併用の有効性を決定することができることが期待され、従って、このような併用は、本発明の範囲内でもある。
【0123】
命名法
当業者には容易に理解されるように、本発明化合物のすべての立体異性体は、本発明に含まれる。例えば式IIとIVの化合物については少なくとも32の可能な異性体があると考えられる。
【0124】
例えば式IIの化合物は、14−(β−D−グルコピラノシルオキシ)−4−ヒドロキシ−2,6,10,14−テトラメチル−2,6,10,15−ヘキサデカテトラエン酸と呼ぶことができ;特定の異性体に関して、14−(β−D−グルコピラノシルオキシ)−4−ヒドロキシ−2,6,10,14−テトラメチル−2,6,10,15−ヘキサデカテトラエン酸[4R/S−(2E,4R/S,6E,10E,14R/S)]と呼ぶこともできる。さらに、C−14の配置が、式IIの化合物に対して決定されて、14−(β−D−グルコピラノシルオキシ)−4−ヒドロキシ−2,6,10,14−テトラメチル−2,6,10,15−ヘキサデカテトラエン酸[4R/S−(2E,4R/S,6E,10E,14S)]と呼ぶこともできる。
【0125】
同様に、式IVの化合物は、14−[(2−O−β−D−グルコピラノシル−β−D−グルコピラノシル)オキシ]−4−ヒドロキシ−2,6,10,14−テトラメチル−2,6,あ10,15−ヘキサデカテトラエン酸と呼ぶことができ;特定の異性体に関して、14−[(2−O−β−D−グルコピラノシル−β−D−グルコピラノシル)オキシ]−4−ヒドロキシ−2,6,10,14−テトラメチル−2,6,10,15−ヘキサデカテトラエン酸[4R/S(2E,4R/S,6E,10E,14R/S)]と呼ぶこともできる。さらに、C−14の配置が、式IVの化合物に対して決定されて、14−[(2−O−β−D−グルコピラノシル−β−D−グルコピラノシル)オキシ]−4−ヒドロキシ−2,6,10,14−テトラメチル−2,6,10,15−ヘキサデカテトラエン酸[4R/S(2E,4R/S,6E,10E,14S)]と呼ぶこともできる。
【0126】
本発明は、様々な特定の実施形態および技術を参照して、上記の本明細書に記述されてきた。しかし、このような実施形態と技術の合理的な修正が、以下の特許請求の範囲によって定義される発明の精神と範囲から実質的に逸脱することなくなされることが理解される。本明細書で引用されたすべての参照は、これらの全部が組み入れられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I、
【化9】
(式中、
R1は炭水化物部分であり;
R2はHまたはC(O)R4であり;
R3はH、炭水化物部分、または置換もしくは非置換のC1−C20基であり;および
R4は置換または非置換のC1−C20基である。)
に対応する化合物または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療有効量を医薬的に有効な担体中に含む医薬組成物。
【請求項2】
前記化合物が、哺乳類において無痛覚をもたらす、または炎症を減らすために治療的に有効な量で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
R1とR3の各々が、グルコース部分、ガラクトース部分、ラムノース部分、キシロース部分およびアラビノース部分からなる群から独立して選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
R2、R3およびR4の各々が、一つ以上の芳香環を独立して含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
式Iに記載の前記化合物が、式II、
【化10】
の化合物である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
式Iに対応する化合物の前記プロドラッグが、式III
【化11】
(式中、R5は加水分解性糖である。)
に対応する化合物である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記加水分解性糖がグルコースである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
式Iに対応する化合物の前記プロドラッグが、式IV、
【化12】
の化合物である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
式II、
【化13】
に対応する化合物または式IV、
【化14】
に対応する化合物の治療有効量を医薬的に有効な担体中に含む医薬組成物であって、式IIまたは式IVに記載の前記化合物が、哺乳類において無痛覚をもたらす、または炎症を減らすために治療的に有効な量で存在する医薬組成物。
【請求項10】
前記組成物が、即時放出型組成物、制御放出型組成物、徐放型の経口投与可能な組成物、局所投与可能な組成物、液体溶液剤、液体スプレー剤、ロゼンジ剤、のどスプレー剤、軟膏剤、溶液剤、泡剤、咳止めドロップ剤、溶解性ストリップ剤、ゼリー剤、口内洗浄剤;うがい薬、ロリポップ剤、ガム剤、水性または油性懸濁剤、分散性の散剤または顆粒剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤、ローション剤、含浸包帯、眼内投与可能な組成物、吸入性粒子、吸入性溶液、液滴剤およびエアゾール剤からなる群から選択される形態である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
式IIまたはIVに対応する前記化合物が、天然に存在する有機体から合成的に、半合成的に製造される、または単離および精製される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
一つ以上の治療剤を式IIまたはIVに対応する前記化合物と組み合わせてさらに含む請求項9に記載の医薬組成物であって、前記治療剤が、鎮痛剤、NSAID、サリチレート、アセトアミノフェン、イブプロフェンおよびCOX−2阻害剤からなる群から選択される医薬組成物。
【請求項13】
哺乳類において、無痛覚をもたらす、または炎症を減らすために治療的に有効である前記量が、単位用量あたり約.01mgから約500mgの間、または単位用量あたり約1mgから約100mgの間である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項14】
式I、
【化15】
(式中、
R1は炭水化物部分であり;
R2はHまたはC(O)R4であり;
R3はH、炭水化物部分、または置換もしくは非置換のC1−C20基であり;および
R4は置換または非置換のC1−C20基である。)
に対応する化合物または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療有効量を医薬的に有効な担体中に含む医薬組成物を、無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らすことを必要とする患者に投与することを含む、哺乳類において無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らす方法。
【請求項15】
前記化合物が、哺乳類において無痛覚をもたらす、または炎症を減らすために治療的に有効な量で存在する、哺乳類において無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らす、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
R1とR3の各々が、グルコース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、およびアラビノースからなる群から独立して選択される、哺乳類において無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らす、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
R2、R3およびR4の各々が、一つ以上の芳香環を独立して含む、哺乳類において無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らす、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
式Iに対応する前記化合物が、式II、
【化16】
の化合物である、哺乳類において無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らす、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
式Iに対応する化合物の前記プロドラッグが、式III、
【化17】
(式中、R5は加水分解性糖である。)
に対応する化合物である、哺乳類において無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らす、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記加水分解性糖がグルコースである、哺乳類において無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らす、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
式Iに対応する化合物の前記プロドラッグが、式IV、
【化18】
の化合物である、哺乳類において無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らす、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
カプシクム(Capsicum)属の実から単離および精製された化合物の治療有効量を含む医薬組成物を、無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らすことを必要とする患者に投与することを含む、哺乳類において無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らす方法であって、前記化合物は、哺乳類において無痛覚をもたらす、または炎症を減らすために治療的に有効な量で存在する方法。
【請求項1】
式I、
【化9】
(式中、
R1は炭水化物部分であり;
R2はHまたはC(O)R4であり;
R3はH、炭水化物部分、または置換もしくは非置換のC1−C20基であり;および
R4は置換または非置換のC1−C20基である。)
に対応する化合物または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、鏡像異性体が富化された混合物、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療有効量を医薬的に有効な担体中に含む医薬組成物。
【請求項2】
前記化合物が、哺乳類において無痛覚をもたらす、または炎症を減らすために治療的に有効な量で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
R1とR3の各々が、グルコース部分、ガラクトース部分、ラムノース部分、キシロース部分およびアラビノース部分からなる群から独立して選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
R2、R3およびR4の各々が、一つ以上の芳香環を独立して含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
式Iに記載の前記化合物が、式II、
【化10】
の化合物である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
式Iに対応する化合物の前記プロドラッグが、式III
【化11】
(式中、R5は加水分解性糖である。)
に対応する化合物である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記加水分解性糖がグルコースである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
式Iに対応する化合物の前記プロドラッグが、式IV、
【化12】
の化合物である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
式II、
【化13】
に対応する化合物または式IV、
【化14】
に対応する化合物の治療有効量を医薬的に有効な担体中に含む医薬組成物であって、式IIまたは式IVに記載の前記化合物が、哺乳類において無痛覚をもたらす、または炎症を減らすために治療的に有効な量で存在する医薬組成物。
【請求項10】
前記組成物が、即時放出型組成物、制御放出型組成物、徐放型の経口投与可能な組成物、局所投与可能な組成物、液体溶液剤、液体スプレー剤、ロゼンジ剤、のどスプレー剤、軟膏剤、溶液剤、泡剤、咳止めドロップ剤、溶解性ストリップ剤、ゼリー剤、口内洗浄剤;うがい薬、ロリポップ剤、ガム剤、水性または油性懸濁剤、分散性の散剤または顆粒剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤、ローション剤、含浸包帯、眼内投与可能な組成物、吸入性粒子、吸入性溶液、液滴剤およびエアゾール剤からなる群から選択される形態である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
式IIまたはIVに対応する前記化合物が、天然に存在する有機体から合成的に、半合成的に製造される、または単離および精製される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
一つ以上の治療剤を式IIまたはIVに対応する前記化合物と組み合わせてさらに含む請求項9に記載の医薬組成物であって、前記治療剤が、鎮痛剤、NSAID、サリチレート、アセトアミノフェン、イブプロフェンおよびCOX−2阻害剤からなる群から選択される医薬組成物。
【請求項13】
哺乳類において、無痛覚をもたらす、または炎症を減らすために治療的に有効である前記量が、単位用量あたり約.01mgから約500mgの間、または単位用量あたり約1mgから約100mgの間である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項14】
式I、
【化15】
(式中、
R1は炭水化物部分であり;
R2はHまたはC(O)R4であり;
R3はH、炭水化物部分、または置換もしくは非置換のC1−C20基であり;および
R4は置換または非置換のC1−C20基である。)
に対応する化合物または式Iの医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療有効量を医薬的に有効な担体中に含む医薬組成物を、無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らすことを必要とする患者に投与することを含む、哺乳類において無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らす方法。
【請求項15】
前記化合物が、哺乳類において無痛覚をもたらす、または炎症を減らすために治療的に有効な量で存在する、哺乳類において無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らす、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
R1とR3の各々が、グルコース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、およびアラビノースからなる群から独立して選択される、哺乳類において無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らす、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
R2、R3およびR4の各々が、一つ以上の芳香環を独立して含む、哺乳類において無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らす、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
式Iに対応する前記化合物が、式II、
【化16】
の化合物である、哺乳類において無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らす、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
式Iに対応する化合物の前記プロドラッグが、式III、
【化17】
(式中、R5は加水分解性糖である。)
に対応する化合物である、哺乳類において無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らす、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記加水分解性糖がグルコースである、哺乳類において無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らす、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
式Iに対応する化合物の前記プロドラッグが、式IV、
【化18】
の化合物である、哺乳類において無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らす、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
カプシクム(Capsicum)属の実から単離および精製された化合物の治療有効量を含む医薬組成物を、無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らすことを必要とする患者に投与することを含む、哺乳類において無痛覚をもたらす、および/または炎症を減らす方法であって、前記化合物は、哺乳類において無痛覚をもたらす、または炎症を減らすために治療的に有効な量で存在する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−508299(P2010−508299A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534900(P2009−534900)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/082717
【国際公開番号】WO2008/052183
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(509118477)ビー・エム・ビー・パテント・ホールデイング・コーポレイシヨン (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/082717
【国際公開番号】WO2008/052183
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(509118477)ビー・エム・ビー・パテント・ホールデイング・コーポレイシヨン (1)
【Fターム(参考)】
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