説明

治療薬として使用するための製薬

【課題】本発明はイスファグラサヤ5〜50重量%と、少なくとも1種類のアミノ酸1〜20重量%と、少なくとも1種類の炭水化物と電解質液20〜80重量%とを含む製剤に関する。製剤はヒトを含む単胃動物の腸管系の疾患状態の治療等、治療剤としての使用を目的とする。具体的に腸管系の疾患状態とは、主として吸収不良性の下痢の結果、脱水も伴って上皮層が損傷を受ける腸のあらゆる障害を指す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、
・オオバコ(Isphagula Husk)5〜50重量%;少なくとも1種類のアミノ酸1〜20重量%;少なくとも1種類の炭水化物と電解質とを20〜80重量%含む、治療薬として使用するための製剤、
・更には、オオバコ;少なくとも1種類のアミノ酸;ならびに少なくとも1種類の炭水化物と電解質とを含有する製剤であって、前記オオバコ、少なくとも1種類のアミノ酸ならびに少なくとも1種類の炭水化物および電解質が、ヒトを含む単胃動物の腸管系疾患状態の治療に同時または逐次的に使用するために組み合わせて調製されている製剤、
・更には、ヒトを含む単胃動物の腸管系疾患状態を治療するための製剤であって、前記製剤がオオバコ5〜50重量%、少なくとも1種類のアミノ酸1〜20重量%、ならびに少なくとも1種類の炭水化物と電解質20〜80重量%とを含む製剤、
・ならびにヒトを含むほ乳動物の腸管上皮層修復のための製剤であって、前記製剤がオオバコ5〜50重量%;少なくとも1種類のアミノ酸1〜20重量%;少なくとも1種類の炭水化物および電解質20〜80重量%とを含む製剤、に関する。
【0002】
腸管系の疾患とは、具体的には上皮層が損傷を受けるあらゆる腸管障害であり、多くの場合吸収不良による下痢を起こし、脱水状態を伴うこともある。
【背景技術】
【0003】
毎年腸内病原体により多くのウシ新生児が死亡し、世界中では数百万ドルの損失を農業経済に及ぼしている。輸送、環境の変化、ならびに離乳時には食事が仔牛にストレスを与える。しかし、ストレスは様々な形をとり、胃腸管へのストレスの最も重大な影響は、粘膜血流量を減少させ、その結果粘膜バリアの健全性が損われることである。粘膜バリアが持つ重要な機能は、上皮を通過しての細菌の管腔内への侵入を防止することである。ストレスが白痢とも言われる下痢の様な症状の進行を引き起こすこともあり、また若い動物では脱水とも関連する胃腸管バリアの破壊とも関係する。細菌やウイルスによる局所感染、毒素の汚染、身体的傷害、ならびに多くの全身性の疾患がこの破壊を起こす。この破壊は軽度であって比較的容易に修復するか、あるいは死に至ることもある。これら腸管系疾患状態時には、粘膜の一部である絨毛のような腸管バリアの構造上の特徴が全て破壊され、全くなくなる事もある。例えばコロナウイルス(クリプトポリジウム)やロタウイルスはいずれもが腸絨毛先端部にある成熟細胞を破壊する。電解質や単糖類の吸収は、そのような疾患の時には大きく低下し、その結果として若い動物は摂取すべき栄養分や水を吸収できなくなる。
【0004】
EP 0 160 015は下痢を起こしたヒト含む単胃動物および反芻動物新生児に水分を補給するための、例えばオオバコのような吸収性増量剤、電解質、グルコースおよびラクトース分解酵素とを含む製剤を記載している。前記製剤は非感染性の下痢ならびにロタウイルスおよびコロナウイルスを原因とする下痢の治療に特に好適である。オオバコがラクトース分解に高い能力を発揮することが記載されており、そして実験はオオバコの作り出す粘液が腸管感染に罹った被検体の損傷粘膜層の替わりとなって、グルコースの吸収を促進する生体接着ポリマーとして機能することを示している。さらに製剤はとりわけても腸粘膜保護作用を有するものとして記載されている。
【0005】
EP 0 474 282は創傷治療向け製剤での多糖類含有材料の使用について記している。使用した材料はオオバコ(またはサイリウム)であり、繊維物質として記載されている。創傷治療の分野に用いる場合、オオバコは、数ある特徴のなかでもとりわけて、ムコ多糖類と創傷内に存在する細菌の細胞壁との間に非特異的な結合が起こるという利点を持つことが知られている。さらに、繊維は水分を吸収するか、または創傷の水分と結合することができ、さらにこの水分と組み合わさり粘液物質を生成できる。繊維物質は、他の活性物質、特に成長刺激剤や電解質とも上手く組み合わせることができる。創傷治療の記述では、オオバコは細胞増殖を促進するものとしては記載されていない。製剤は皮膚と接触する多孔性のホルダの形態、例えばサッシェまたは圧迫ガーゼ様の生成物をとることが好ましい。製剤はまた、アッシュ下側、クッションと創傷表面との間で起こるゲル形成により湿潤媒体が形成されることから、特に上皮形成段階に使用することもできる。
【0006】
“New therapies for calf diarrhoea:Therapy and prevention for the new millenium”、Elanine Hunt、North Carolina State University College of Veterinary Medicineには、グルタミンが幾つかのメカニズムを通し下痢疾患で、ある役割を果たしていること、そして胃粘膜の健全性の維持に役割をもつことが記載されており、対照実験を行うと、さらに損傷を受けた腸粘膜の修復を促進して治療を成功させることも記載されている。グルタミンはウシの腸での溶質吸収に直接作用することが知られており、そしてウシの下痢の治療に関し、グルタミンは将来電解質溶液の重要な成分になると言われている。グルタミンは、栄養不足の時に腸粘膜を損なわないだけでなく、損傷を受けた粘膜の修復速度を上げることもわかっている。グルタミンをTGFアルファと組み合わせると虚血/再還流の損傷からの修復を促進するが、ブタのロタウイルス腸炎でも同じように機能する。更に、グルタミンがブタの腸管絨毛頂部の細胞でのグルタミン結合Na吸収を促進すること、およびグルタミンがグルコースよりも水および電解質の吸収をより強く刺激することが判明している。またグルタミン輸送体はウシの回腸絨毛全体に存在しており、それ故にウシの浸透圧性の下痢ではグルタミンをベースとした経口電解質溶液はグルコースをベースとした溶液よりもより効果的である。グルタミン以外の物質についても、例えばアルギニン、プロスタグランジンおよびある種の増殖因子は粘膜修復のプロセスで細胞の局所的な増殖を促進することが報告されており、これらはインヴィトロ研究ではグルタミンと一緒になり粘膜修復を促進することが見出されている。
【0007】
米国特許番号第4,711,780号は、ビタミンC、亜鉛塩ならびに含硫アミノ酸を含む、表面上皮治療用医薬品を開示しており、これら医薬品はムコ多糖類を含んでもよい。ムコ多糖類は毒素が血液循環系内に侵入するのを皮膚表面で防ぐバリアとして機能すると報告されており、そうでない場合は敗血症となる。ムコ多糖類はアロエ・ベラから抽出できるが、約0.05〜10重量%という大量のムコ多糖類が存在している。細胞増殖の補助およびアミノ酸取込みに於けるムコ多糖類の共同作用についてのメカニズムは開示されていない。
【0008】
“Potential benefits of Psyllium mucilloid supplementation of oral replacement formulas for neonatal calf scours”、Continuing Education Article 7、North American Edition vol.14、no.2、February 1992 247 by Martin J.Fettmanには腸細胞の増殖および機能にとって繊維による短鎖脂肪酸産生速度上昇が有益であるらしいことが記載されている。大腸癌発生リスクの高いヒト由来の結腸細胞培養物にオオバコを加えると、微生物代謝、短鎖脂肪酸の産生が刺激され、続いて結腸細胞の増殖も促進されることも見出されている。オオバコ粘漿薬を含む経口製剤は、とりわけても腸細胞の増殖に対し促進効果を有しており、この効果は腸炎からの回復およびそれに続く通常食への復帰に効果的であろう。さらに、セルロースをラットの基礎液体食に加える実験を行ったところ、小腸細胞の再生速度が大きく増加したことも報告されている。
【0009】
“Evaluation of a glutamine−containing oral rehydration solution for the treatment of calf diarrhoea using an“Escherichia coli” model”、Brooks et al、The Veterinary Journal 1997、153、163〜170で、E.coliを経口投与したウシの血糖および体重に及ぼす有益作用について、複数種類のORS(経口再水和溶液)組成物を対象に研究が行われている。1種類のアミノ酸、即ちグルタミンは、腸でのナトリウムの取込みを促進する潜在力を有するものとして、ならびに絨毛の形態および機能を維持するのに重要である(”Glutamine and preservation of gut integrity”, Van der Hulst et al., Lancet 341、1363〜5(1993年)参照)そして、さらに腸内の完全性バリアおよび免疫機能を支持するもの(”Intestinal fuels:glutamine、short−chain fatty acids and dietary fiber”、Evans et al.,Journ.Parenteral and Enteral Nutrition、17、47〜55(1992年)参照)として注目されている。結果は従来の結果に一致した:グルタミンは中性および電子放出性ナトリウムの吸収を促進する。グルタミンの持つ有益な特徴の1つは、腸粘膜細胞の増殖に及ぼす上皮増殖因子の効果を持続することと報告されている(“Glutamine is essential for epidermal growth factor−stimulated intestinal cell proliferation”、Ko et al., Surgery、114、147〜54(1993年)参照)。
【0010】
“Effect of glutamine or glycine containign oral electrolyte solutions on mucosal morphology、clinical and biochemical findings、in calves with viral induced diarrhea”、J.M.Naylor et al.,Can J Vet Res 1997年;61:43〜48では、ウシをそれぞれ1種類のアミノ酸:40mmol/lグリシン、40mmol/lグルタミンまたは400mmol/lグルタミンを含む1〜3の経口電解質液を用い処置した。このタイプの電解質液は十二指腸の絨毛の高さに大きく影響した。群間に小腸表面積に有意差はなかった。全体として、該試験から、経口電解質溶液中のグリシンをグルタミンに置換することで下痢を起こしたウシの治療または粘膜治癒の速度が改善されることは示されなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的の1つは、下痢を起こした、ヒトを含む単胃動物を治療するための、特に下痢中の粘膜治癒を向上させる、改良製剤を提供することである。
【0012】
本発明の目的の1つは、腸上皮層修復のための改良製剤を提供することである。
【0013】
本発明の目的の1つは、腸上皮層に改良された方法で栄養を供給するための改良製剤を提供することである。
【0014】
本発明の目的の1つは、下痢を起こした、ヒトを含む単胃動物、特に若い動物に栄養を供給するための改良製剤を提供することである。
【0015】
本発明の目的の1つは、細胞増殖を増進するための、特に腸上皮の細胞のための製剤を提供することである。
【0016】
本発明の目的の1つは、治療薬として使用するための製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これらの目的は、以下の製剤により達成される。
【0018】
実施態様の1つでは、製剤は、治療剤として使用するためのものであり、オオバコ5〜50重量%、少なくとも1種類のアミノ酸1〜20重量%、および少なくとも1種類の炭水化物と電解質とを20〜80重量%含む。
【0019】
実施態様の1つでは、製剤は、治療剤として使用するためのものであり、オオバコ5〜50重量%、少なくとも1種類のアミノ酸1〜20重量%、および少なくとも1種類の炭水化物と電解質とを20〜80重量%含み、前記オオバコ、少なくとも1種類のアミノ酸および少なくとも1種類の炭水化物と電解質はヒトを含む単胃動物の腸管系疾患状態の治療に同時または逐次的に使用するために組み合わせて調製されている。
【0020】
実施態様の1つでは、ヒトを含む単胃動物の腸管系の疾患を治療するための製剤は、オオバコ5〜50重量%、少なくとも1種類のアミノ酸1〜20%、および少なくとも1種類の炭水化物と電解質とを20〜80重量%を含む。
【0021】
実施態様の1つでは、ヒトを含むほ乳動物の腸管上皮層を修復するための製剤は、オオバコ5〜50重量%、少なくとも1種類のアミノ酸1〜20%、および少なくとも1種類の炭水化物と電解質とを20〜80重量%を含む。
【0022】
上記製剤は、記載の成分のみから成っても良い。
【0023】
下痢とはあらゆる種類の下痢であり、特に非感染性下痢、吸収不良/消化不良、例えばロタウイルスおよびコロナ「クリプトスポリジウム パルバム(Cryptosporidium parvum)」ウイルスが引き起こす浸透圧性の下痢であり、これらウイルスはいずれもが腸絨毛頂部成熟細胞を破壊する。発明の製剤は、腸内細胞への栄養供給を必要とする下痢の治療に適している。
【0024】
実施態様の1つでは、オオバコの量は10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%、より好ましくは25〜30重量%の範囲内である。
【0025】
オオバコは繊維性物質であり、サイリウム(psyllium)(husk)とも呼ばれ、EP0 160 015およびEP0 474 282に記載されており、これらは参照によりここに組み込まれる。本発明に従い用いられる繊維性物質は、ポリキシロース基本構造およびガラクツロン酸、がラクトース、マンノース、グルコース、フコース、ラムノースおよびアラビノースを含む群より選択される1またはそれ以上の側鎖を有するプランタゴオバタ(Plantago ovata)に由来するいわゆるムコ多糖類を含む。オオバコは水を吸収する膨張剤の特徴を有し、ラクトースを分解し、更にムコ多糖類と細菌細胞壁との間に非特異的結合を提供することに顕著な能力を示す。
【0026】
実施態様の1つでは、少なくとも1種類のアミノ酸の量は1〜12重量%、好ましくは2〜9重量%、より好ましくは3〜7重量%の範囲内である。
【0027】
実施態様の1つでは、炭水化物量は25〜50重量%、好ましくは30〜45重量%、より好ましくは35〜40重量%の範囲内である。
【0028】
炭水化物は、好ましくは一水化デキストロースのようなグルコース等の単糖のような単純糖として画定されるか、またはショ糖のような2糖類でもよい。グルコースは動物の小腸で吸収されてエネルギー源となり、また回復のプロセスを補助する。本発明の製剤中の炭水化物とオオバコの相対量は、製剤を動物に投与した時に、製剤が添加したもののうちのある量の炭水化物がオオバコと結合せず、しかしオオバコと結合しないまま製剤混合物の液相内に存在するような量である。
【0029】
実施態様の1つでは、電解質の量は8〜40重量%、好ましくは12〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%の範囲内である。
【0030】
本発明によるとアミノ酸混合物は、酵母細胞の可溶性成分を提供するよう加工された乳酸酵母(“Milchhefe”)より得ても良い。このプロセスは、次のプロセスのいずれか、またはその組み合わせとする:原形質分離、自己分解、熱分解または機械的分散。加工された乳酸酵母は、グルタミンと一緒に摂取されることが好ましい。乳酸酵母混合液は、安価で利用しやすい生成物では、アミノ酸含有量が比較的高いことから、アミノ酸源として好まれている。乳酸酵母混合物のアミノ酸含有量の表示値は48〜52重量%である。理論的には、上記プロセスに供される細胞はアミノ酸源として処理されて用いられる。
【0031】
乳酸酵母細胞は、そのアミノ酸組成が初乳の組成に類似することより好まれている。同様にビタミン、ミネラル、ステロール、多価不飽和脂肪酸、グルタチオンの組成も初乳に類似している。このアミノ酸組成は腸の下痢状態に苦しむ若い動物、特にウシ、仔牛、または子豚の処置に好適である。
【0032】
発明の実施態様の1つでは、酵母抽出物には少なくとも1種類のアミノ酸が含まれており、そしてこの場合の酵素は乳酸酵素である。
【0033】
発明の実施態様の1つでは、少なくとも1種類のアミノ酸は乳酸酵母の可溶性成分に含まれている。
【0034】
発明の実施態様の1つでは、少なくとも1種類のアミノ酸は原形質分離した、乾燥乳酸酵母に含まれている。
【0035】
発明の実施態様の1つでは、少なくとも1種類のアミノ酸は選択した乳酸酵母の乾燥抽出物に含まれている。
【0036】
乳酸酵母抽出物は、液性酵母抽出物(乾燥固形物含有量50〜65%)または強粘性なペーストタイプ(乾燥固形物含有量70〜80%)でもよい。
【0037】
実施態様の1つでは、製剤は全ての既知アミノ酸より成る群から選択された少なくとも1種類のアミノ酸、好ましくはグルタミン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、アラニン、グリシン、プロリン、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、トリプトファン、システインより成る群から選択された少なくとも1種類のアミノ酸、より好ましくはグルタミン、アルギニン、アラニンおよびグリシンより成る群から選択された少なくとも1種類のアミノ酸を含む製剤である。グルタミン、アルギニン、アラニンおよびグリシンは、上皮回復に特に有益と考えられている。
【0038】
実施態様の1つでは、アミノ酸混合物はほ乳動物の初乳、好ましくはウシ亜科動物の初乳に見出されるアミノ酸相対量を有することを特徴とする。
【0039】
実施態様の1つでは、アミノ酸混合物が蛋白質および前記混合物中への蛋白質の分解を制御するのに好適なプロテアーゼの供給源の一部であってもよい。
【0040】
実施態様の1つでは、グルタミンの量は最大10重量%まで、好ましくは最大5重量%まで、より好ましくは0.1〜4重量%、更に好ましくは0.2〜3%の範囲である。
【0041】
グルタミンはL−グルタミンであり、供給源はL−グルタミンそのもの、またはL−アラニル−L−グルタミン(商標名「Glutamax I」として知られる)もしくはグリシル−L−グルタミン(商標名「GlutamaxII」として知られる)でよい。グルタミンは粘膜の再生過程に重要である。グルタミンは多くの種に於いて、栄養欠乏状態にある腸粘膜を健全に保つことが知られている。仔牛の回腸の一部を分離することにより、グルタミンが腸粘膜の栄養欠乏状態に陥った他の各部を健全に保つ機能を果たしていることが実証されている。また、損傷した粘膜の修復を速めることも確認されている。
【0042】
実施態様の1つでは、アルギニンの量は最大5重量%まで、好ましくは最大3重量%まで、より好ましくは0.1〜2重量%、更に好ましくは0.1〜0.5%の範囲である。
【0043】
実施態様の1つでは、製剤は電解質液を含む塩類を少なくとも1種類含み、それは下痢により失われた少なくとも1種類の塩類の代替となる少なくとも1種類の塩類である。本発明の製剤を投与すると、再水和を促しまたは下痢を抑えるために、電解質液を含む置換塩が下痢により失われた塩類に代わって補給される。
【0044】
実施態様の1つでは、少なくとも1種類の炭水化物はグルコースである。
【0045】
実施態様の1つでは、製剤は、酸化マグネシウム、炭酸水酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム二水和物およびクエン酸カリウムより成る群から選択される少なくとも2つの物質の混合物である電解質液を含む。
【0046】
実施態様の1つでは、製剤は水酸化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸、クエン酸三ナトリウム二水和物およびクエン酸ナトリウムより成る群から選択された少なくとも2つの物質の混合物である電解質液を含む。
【0047】
実施態様の1つでは、製剤は少なくとも1種類の増量剤、少なくとも1種類の矯味剤、および少なくとも1種類の着色剤を含む。
【0048】
実施態様の1つでは、増量剤は繊維性のふすま物質である。
【0049】
実施態様の1つでは、増量剤は小麦粉である。
【0050】
実施態様の1つでは、製剤は薬学的に許容できる着色剤を含む。
【0051】
実施態様の1つでは、製剤は着色剤FD&C赤色40号(食品着色料)を含む。
【0052】
実施態様の1つでは、製剤はアルファ−トコフェロール(天然ビタミンE)を含む。
【0053】
実施態様の1つでは、製剤はイスファグラサヤ27.16%、グルタミンを含む乳酸酵母10.66%、(塩化カリウム3.30%、炭酸水素ナトリウム7.08%、塩化ナトリウム4.85%、クエン酸三ナトリウム二水和物3.45%、水酸化マグネシウム1.07%よりなる)電解質液19.75%、デキストロース一水和物38.10%、ニコチンアミド0.87%、香味剤0.30%、二酸化ケイ素0.20%、小麦粉2.43%、食用着色料0.03%、アルファ−トコフェロール(天然ビタミンE)0.50%から構成されており、この時の重量%は完成した製剤を基に算出されている。
【0054】
実施態様の1つでは、製剤は下痢治療のための薬剤の製造に用いられる。
【0055】
実施態様の1つでは、製剤は上皮層、好ましくは腸の上皮層、より好ましくは絨毛上皮細胞の治療のための薬剤の製造に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
粘膜びらんは、殆どの場合ストレスが関係している。下痢等の腸管系の疾患状態に陥ると、粘膜バリア構造の一部である絨毛は、程度に差はあるものの破壊される。この破壊によって腸での栄養吸収が適切に行われなくなり、健康状態は急激に悪化する。絨毛が完全に回復し、物質の吸収が動物の全身状態に良い影響を与えるようになるまで、動物は危険な状態に置かれる。それ故に回復には臨機の処置が極めて重要であり、多くの場合数時間が重要と考えられている。治癒には、異常個所端部の上皮細胞が増殖、分化し、損傷域内に移動して正常な細胞構造および機能を回復することが求められる。治癒のプロセスは、増殖する絨毛が次第により多くの栄養物質を吸収できるようになる正のフィードバックのプロセスとして説明できる。このように、初期段階での小さな正の効果が、回復期間全体では大きな効果を持ち、したがって生存機会を高めると考えられている。
【0057】
極めて意外なことに、イスファグラサヤを含む再水和剤およびアミノ酸からなる混合物を含む薬剤を培養細胞に加えると、イスファグラサヤのみを含む再水和剤を培養細胞に加えた場合、またはイスファグラサヤを含まない再水和剤と前記混合物とを培養細胞に加えた場合に比べて、細胞の増殖を有意に増進することが確認された。
【0058】
以下に示すように、イスファグラサヤとアミノ酸混合物とを組み合わせた薬剤の予想外の細胞増殖に対する正の増進作用のメカニズムとしては、イスファグラサヤのメディエータとしての作用が考えられる。メディエータは、細胞外側から細胞内側への連絡を促進しうる手段を提供する。イスファグラサヤはその構造の大きさから細胞壁自体を通過することはできず、従って細胞増殖へ直接作用することはない。しかしながら、イスファグラサヤがアミノ酸混合物との組み合わせによって効果をもたらすことが観察できることから、イスファグラサヤが細胞壁レベルで存在し、そこでアミノ酸の取り込みを補助していると考えられる。我々が知る限りでは、イスファグラサヤについて数多くの特徴が報告されているが、イスファグラサヤがメディエータとして作用するという特徴はこれまでに報告されていない。
【0059】
細胞内側との連絡を促進するメディエータが存在しない場合には、存在する場合に比べ栄養は十分に供給されず、このことはアミノ酸と再水和剤は含むが、イスファグラサヤは含まない混合物の存在下では、培養細胞の増殖に及ぼす正の作用が僅かに過ぎないこと(以下参照)を示している。
【0060】
イスファグラサヤを含む再水和剤とアミノ酸からなる混合物との組み合わせを含む薬剤は、それらが単胃動物である限り反芻動物のすべての子の下痢の治療、ならびにヒトを含むあらゆる単胃動物に於ける非感染性の下痢およびロタウイルスとコロナウイルスを原因とする下痢の治療に用いられる。
【0061】
上記研究結果について、以下詳しく説明する。
【0062】
標準的な細胞培地での細胞増殖を、イスファグラサヤ存在下および非存在下で調べた。
【0063】
標準的な細胞培地、ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco Modified Eagles’s Medium)を、以下に示すようにグルタミン存在下、または非存在下で用いた。
【0064】
2種類の溶液を調製した:
細胞培養キットIは、グルタミン入りDMEM、ウシ胎児血清10%、ペニシリン100IU/ml、ストレプトマイシン100IU/mlを含む。
【0065】
細胞培養キットIIは、グルタミン入りDMEM、ウシ胎児血清10%、ペニシリン100IU/ml、ストレプトマイシン100IU/ml、に加えてイスファグラサヤ20%を含む。
【0066】
使用した細胞は、アムステルダムのAcademic Medical Centreの外科より得たヒトの包皮から採取した。上皮を取り除き;真皮層を小片に切り、0.25%ディスパーゼおよび0.25%コラゲナーゼ処理して37℃で2時間培養した。懸濁液を輸液チャンバーに通してろ過した;細胞を遠心分離し、細胞培地に再懸濁した。繊維芽細胞培養はCO5%の空気中で37℃に維持しておこなった。
【0067】
溶液毎に3枚のウェル培養皿を用意した。繊維芽細胞を10細胞/cmの密度で播種した。Matsuda氏他の報告(自動サンプラー、Cobas Fara、Hoffman LaRoche Ltd.,バセル、スイス)に従って、細胞増殖の数量化は0日目、1日目、3日目、7日目および14日目の乳酸脱水素酵素(LDH)活性を測定し、細胞数を決定し、任意単位(a.u.)で表した。表1にLDHの結果の生データを示す。
【0068】
【表1】

溶液IとIIとの間のLDH活性の差により、イスファグラサヤの付加が細胞増殖を増進することが分かる。
【0069】
標準細胞培地における細胞増殖についても、各種組成の再水和剤存在下で検証した。
【0070】
溶液III、IV、V、VIおよびVIIの5種類を用意した(記載パーセンテージは全て重量パーセント):
細胞培養キットIIIは:
グルタミン、ペニシリン100IU/mlおよびストレプトマイシン100IU/ml入りDMEMを20%;
再水和剤no.1を60%(組成については次表参照);
Protibelを20%含んだ。
【0071】
細胞培養キットIVは:
グルタミン、ペニシリン100IU/mlおよびストレプトマイシン100IU/mlを含まないDMEM20%;
再水和剤no.1を80%(組成については次表参照)含んだ。
【0072】
細胞培養キットVは:
グルタミン、ペニシリン100IU/mlおよびストレプトマイシン100IU/mlを含まないDMEMを20%;
標準WHO再水和剤(グルコース29.8g、KCl1.9g、NaHCO2.1g、NaCl0.6g/リットル)を80%含んだ。
【0073】
細胞培養キットVIは:
グルタミン、ペニシリン100IU/mlおよびストレプトマイシン100IU/mlを含まないDMEM20%;
高張再水和剤を80%(グルコース90g、KCl1.9g、NaHCO2.1g、NaCl0.6g/リットル)を含んだ。
【0074】
細胞培養キットVIIは:
グルタミン、ペニシリン100IU/mlおよびストレプトマイシン100IU/mlを含むDMEM20%;
再水和剤no.1を60%、ただしイスファグラサヤを含まない;
Protibel20%を含んだ。
【0075】
[組成表1]

【0076】
[組成表2]

【0077】
使用した細胞は、アムステルダムのAcademic Medical Centreの外科より得たヒト包皮から採取した。上皮を取り除き;真皮層を小片に切り分け、0.25%ディスパーゼおよび0.25%コラゲナーゼ処理し37℃で2時間培養した。懸濁液を輸液チャンバに通してろ過した;細胞を遠心分離し、細胞培地に再懸濁した。繊維芽細胞培地は、5%COの空気中で37℃に保った。
【0078】
溶液毎に3枚のウェル培養皿を用意した。繊維芽細胞を10細胞/cmの密度で播種した。Matsuda氏他の報告(自動サンプラー、Cobas Fara、Hoffman LaRoche Ltd.,バセル、スイス)に従って細胞数を0日目、1日目、3日目、7日目および14日目の乳酸脱水素酵素(LDH)活性を測定して決定し、測定結果を用いて細胞増殖を数量化した。表2はLDHの測定結果の生データを表している。
【0079】
表2は生データを示す。
【0080】
【表2】

【0081】
図1は結果を図示したものである。図1には実施例1の結果も含まれる。溶液IIおよびVIIの結果を除き、測定結果の間で統計的に有意な差が認められる
(p<0.05)。
【0082】
図1に示す実験結果を比較すると、イスファグラサヤを含む再水和剤とアミノ酸を含む混合物とを組み合わせたものを含む溶液IIIでは、LDHレベルに正の作用が見られる。
共にイスファグラサヤを含んだ再水和剤は含むがアミノ酸を含んだ混合物を含まない溶液IVとVのLDHレベルと、アミノ酸を含む混合物とイスファグラサヤを含まない再水和剤との組み合わせを含む溶液VIIのLDHレベルとを比較することで、正の作用が認識できる。
【0083】
図1に示す実験結果の比較により、ウシ胎児血清を含む標準細胞培養キットとイスファグラサヤとの組み合わせを含む溶液IIのLDHレベルに正の作用が認められる。この正の作用は、ウシ胎児血清を含む標準細胞培養キットのみを含み、イスファグラサヤは含まない溶液IのLDHレベルを比較すると認識できる。
【実施例1】
【0084】
本発明による製剤は、例えば次の組成を持つ:
デキストロース一水和物 38.10%
サイリウム粉末(イスファグラサヤ) 27.16%
塩化カリウム、KCl 3.30%
炭酸水素ナトリウム 7.08%
塩化ナトリウム、NaCl 4.85%
クエン酸三ナトリウム二水和物 3.45%
ニコチンアミド 0.87%
グルタミンを含む、蛋白質、B群ビタミンおよび
アスコルビン酸高含有乳酸酵母混合物 10.66%
香味剤(スイートピーチ) 0.30%
二酸化ケイ素 0.20%
小麦粉 2.43%
FD&C赤色40号(食品着色料) 0.03%
水酸化マグネシウム、MaOH 1.07%
アルファ−トコフェロール(天然ビタミンE)60% 0.50%
合計 100.00%
表示パーセンテージは重量%である。
【0085】
個々の成分は全て乾燥粉末の形で入手でき、機械を使用して混合される。本発明の製剤は、乾燥状態での投与はできず、EP0160015に記載のように水に懸濁して、溶液または懸濁液の形で投与しなければならいが、前記記載は参照によりここに組み込まれる。製剤75gを水1リットルと混合すると、ウシへの投与に好適な懸濁液または溶液の製剤ができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】溶液I〜VIIについての測定結果をグラフ図化して示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イスファグラサヤ5〜50重量%と、
少なくとも1種類のアミノ酸1〜20重量%と、
少なくとも1種類の炭水化物と電解質液20〜80重量%と、を含む、
治療剤として使用するための製剤。
【請求項2】
イスファグラサヤ5〜50重量%と、
少なくとも1種類のアミノ酸1〜20重量%と、
少なくとも1種類の炭水化物と電解質液20〜80重量%と、を含む、製剤であって、
前記イスファグラサヤ、少なくとも1種類のアミノ酸、および少なくとも1種類の炭水化物と電解質液とが、ヒトを含む単胃動物の腸管系の疾患状態の治療に、同時または連続的に使用するための組み合わせ製剤として含まれる製剤。
【請求項3】
ヒトを含む単胃動物の腸管系の疾患状態を治療するための製剤であって;前記製剤が、
イスファグラサヤ5〜50重量%と、
少なくとも1種類のアミノ酸1〜20重量%と、
少なくとも1種類の炭水化物と電解質液20〜80重量%と、を含む、製剤
【請求項4】
ヒトを含む哺乳動物の腸管上皮層を修復するための製剤であって、前記製剤が;
イスファグラサヤ5〜50重量%と、
少なくとも1種類のアミノ酸1〜20重量%と、
少なくとも1種類の炭水化物と電解質液20〜80重量%と、を含む、製剤。
【請求項5】
イスファグラサヤの量が10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%、より好ましくは25〜30重量%の範囲内にある、請求項1〜4のいずれかに記載の製剤。
【請求項6】
少なくとも1種類のアミノ酸の量が1〜12重量%、好ましくは2〜9重量%、より好ましくは3〜7重量%の範囲内にある、請求項1〜4のいずれかに記載の製剤。
【請求項7】
炭水化物の量が25〜50重量%、好ましくは30〜45重量%、より好ましくは35〜40重量%の範囲内にある、請求項1〜4のいずれかに記載の製剤。
【請求項8】
電解質液の量が8〜40重量%、好ましくは12〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%の範囲内にある、請求項1〜4のいずれかに記載の製剤。
【請求項9】
少なくとも1種類のアミノ酸が乳酸酵母の可溶性成分内に含まれている、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項10】
全ての既知アミノ酸より成る群から選択された少なくとも1種類のアミノ酸、好ましくはグルタミン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、アラニン、グリシン、プロリン、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、トリプトファン、システインより成る群から選択された少なくとも1種類のアミノ酸、より好ましくはグルタミン、アルギニン、アラニンおよびグリシンより成る群から選択された少なくとも1種類のアミノ酸を含む、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項11】
グルタミンの量が最大10重量%まで、好ましくは最大5重量%まで、より好ましくは0.1〜4重量%、よりさらに好ましくは0.2〜3重量%までの範囲内にある、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項12】
アルギニンの量が最大5重量%まで、好ましくは最大3重量%まで、より好ましくは0.1〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%の範囲内にある、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項13】
電解質液を含む塩類の少なくとも1つが、下痢により失われる塩類の少なくとも1つを代替する塩類の少なくとも1つである、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項14】
前記少なくとも1つの炭水化物がグルコースである、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項15】
電解質液が、酸化マグネシウム、炭酸水酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム二水和物およびクエン酸カリウムより成る群から選択される少なくとも2つの物質の混合物である、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項16】
電解質液が水酸化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸、クエン酸三ナトリウム二水和物およびクエン酸ナトリウムから成る群より選択される少なくとも2種類の物質の混合物である、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項17】
少なくとも1種類の増量剤、少なくとも1種類の矯味剤、少なくとも1種類の着色剤を更に含む、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項18】
増量剤を更に含む、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項19】
増量剤が繊維性ふすま物質である、請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
増量剤が小麦粉である、請求項18に記載の製剤。
【請求項21】
薬学的に許容できる着色剤を更に含む、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項22】
着色剤がFD&C赤色40号である、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項23】
アルファ−トコフェロール(天然ビタミンE)を更に含む、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項24】
前記製剤がイスファグラサヤ27.16%、グルタミンを含む乳酸酵母の混合物10.66%、(塩化カリウム3.30%、炭酸水素ナトリウム7.08%、塩化ナトリウム4.85%、クエン酸三ナトリウム二水和物3.45%、水酸化マグネシウム1.07%よりなる)電解質液19.75%、デキストロース一水和物38.10%、ニコチンアミド0.87%、香味剤0.30%、二酸化ケイ素0.20%、小麦粉2.43%、食用着色料0.03%、アルファ−トコフェロール(天然ビタミンE)0.50%から構成されており、前記重量%が完成した製剤を基に算出されている、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項25】
下痢治療のための薬剤の製造に関する、先行請求項のいずれかに記載の製剤の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イスファグラサヤ5〜30重量%と、
少なくとも1種類のアミノ酸1〜20重量%と、
少なくとも1種類の炭水化物と電解質液20〜80重量%と、を含む、
治療剤として使用するための製剤。
【請求項2】
イスファグラサヤ5〜30重量%と、
少なくとも1種類のアミノ酸1〜20重量%と、
少なくとも1種類の炭水化物と電解質液20〜80重量%と、を含む、製剤の使用であって、ヒトを含む単胃動物の腸管系の疾患状態の治療に同時または連続的に使用する薬品製剤に関する、製剤の使用。
【請求項3】
ヒトを含む単胃動物の腸管系の疾病状態を治療するための薬品製剤に関する、
イスファグラサヤ5〜30重量%と、
少なくとも1種類のアミノ酸1〜20重量%と、
少なくとも1種類の炭水化物と電解質液20〜80重量%と、を含む、製剤の使用。
【請求項4】
ヒトを含む哺乳動物の腸上皮層を修復するための薬品製剤に関する、
イスファグラサヤ5〜30重量%と、
少なくとも1種類のアミノ酸1〜20重量%と、
少なくとも1種類の炭水化物と電解質液20〜80重量%と、を含む、製剤の使用。
【請求項5】
イスファグラサヤの量が10〜30重量%、好ましくは15〜30重量%、より好ましくは25〜30重量%の範囲内にある、請求項1〜4のいずれかに記載の製剤。
【請求項6】
少なくとも1種類のアミノ酸の量が1〜12重量%、好ましくは2〜9重量%、より好ましくは3〜7重量%の範囲内にある、請求項1〜4のいずれかに記載の製剤。
【請求項7】
炭水化物の量が25〜50重量%、好ましくは30〜45重量%、より好ましくは35〜40重量%の範囲内にある、請求項1〜4のいずれかに記載の製剤。
【請求項8】
電解質液の量が8〜40重量%、好ましくは12〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%の範囲内にある、請求項1〜4のいずれかに記載の製剤。
【請求項9】
少なくとも1種類のアミノ酸が乳酸酵母の可溶性成分内に含まれている、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項10】
全ての既知アミノ酸より成る群から選択された少なくとも1種類のアミノ酸、好ましくはグルタミン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、アラニン、グリシン、プロリン、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、トリプトファン、システインより成る群から選択された少なくとも1種類のアミノ酸、より好ましくはグルタミン、アルギニン、アラニンおよびグリシンより成る群から選択された少なくとも1種類のアミノ酸を含む、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項11】
グルタミンの量が最大10重量%まで、好ましくは最大5重量%まで、より好ましくは0.1〜4重量%、よりさらに好ましくは0.2〜3重量%までの範囲内にある、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項12】
アルギニンの量が最大5重量%まで、好ましくは最大3重量%まで、より好ましくは0.1〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%の範囲内にある、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項13】
電解質液を含む塩類の少なくとも1つが、下痢により失われる塩類の少なくとも1つを代替する塩類の少なくとも1つである、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項14】
前記少なくとも1つの炭水化物がグルコースである、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項15】
電解質液が、酸化マグネシウム、炭酸水酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム二水和物およびクエン酸カリウムより成る群から選択される少なくとも2つの物質の混合物である、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項16】
電解質液が水酸化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸、クエン酸三ナトリウム二水和物およびクエン酸ナトリウムから成る群より選択される少なくとも2種類の物質の混合物である、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項17】
少なくとも1種類の増量剤、少なくとも1種類の矯味剤、少なくとも1種類の着色剤を更に含む、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項18】
増量剤を更に含む、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項19】
増量剤が繊維性ふすま物質である、請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
増量剤が小麦粉である、請求項18に記載の製剤。
【請求項21】
薬学的に許容できる着色剤を更に含む、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項22】
着色剤がFD&C赤色40号である、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項23】
アルファ−トコフェロール(天然ビタミンE)を更に含む、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項24】
前記製剤がイスファグラサヤ27.16%、グルタミンを含む乳酸酵母の混合物10.66%、(塩化カリウム3.30%、炭酸水素ナトリウム7.08%、塩化ナトリウム4.85%、クエン酸三ナトリウム二水和物3.45%、水酸化マグネシウム1.07%よりなる)電解質液19.75%、デキストロース一水和物38.10%、ニコチンアミド0.87%、香味剤0.30%、二酸化ケイ素0.20%、小麦粉2.43%、食用着色料0.03%、アルファ−トコフェロール(天然ビタミンE)0.50%から構成されており、前記重量%が完成した製剤を基に算出されている、先行請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項25】
下痢治療のための薬剤の製造に関する、先行請求項のいずれかに記載の製剤の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2006−511504(P2006−511504A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550662(P2004−550662)
【出願日】平成15年11月11日(2003.11.11)
【国際出願番号】PCT/DK2003/000773
【国際公開番号】WO2004/043451
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(505150121)ファーマレット エイ/エス (1)
【氏名又は名称原語表記】PHARMALETT A/S
【Fターム(参考)】