説明

波長多重装置

【課題】波長多重装置において、クライアントネットワークから入力される光信号の波長を変換するインタフェース部と、波長の異なる複数の光信号を多重化する波長多重部との間の光ファイバケーブルの接続確認を、既存サービスに影響を与えずに実施する。
【解決手段】波長多重装置内の監視制御部により、同装置内で使用可能な全波長の使用状態を管理し、同装置内で使用されていない波長を検出して接続確認に使用することにより、装置内で干渉が起こるのを防ぐ。また、波長多重部内に波長フィルタ部を設け、接続確認時には接続確認に使用する波長を通過阻止することにより、接続確認に使用した光信号が波長多重部から送出され、コアネットワーク内で他装置から出力された同波長の光信号に干渉することを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長多重装置に係り、特にインタフェース部と波長多重部との間の特定波長による接続確認機能の実現方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットに代表されるデータトラヒックの急増により、通信ネットワークの伝送容量の大容量化が進んでいる。大容量化は、伝送信号を光化し、時分割多重技術および光波長多重技術を用いて実現されている。1チャネルあたり毎秒10Gbit/s、40Gbit/s、100Gbit/sの信号を扱う伝送装置および数チャネルから数十チャネル分の信号を1本の光ファイバに波長多重し、光増幅器または再生中継器等を用いて、数百kmを超える長距離伝送が可能なポイント・ツー・ポイント型の波長多重装置が実用化されている。また後の伝送容量の需要増、さらなる経済化およびサービスの多様化に対応するため、伝送装置を環状に接続したリング型光ネットワーク、複数のリング型光ネットワークを一部の接点で接続したマルチリング型ネットワーク、更に経路選択の自由度を増すために網目状に接続したメッシュ型光ネットワークが導入されている。このような光ネットワークは、各伝送装置を遠隔一元管理する網監視制御システムによる運用の簡素化、または各伝送装置の監視制御部が相互連携で、回線の始点から終点までの、エンド・ツー・エンドのパス管理の容易化、およびパス設定の高速化が期待できる。さらに、高度な光伝送技術を用いて、電気・光変換せずに光信号のまま伝送装置を通過(スルー)させる構成とすることで、網全体を経済的に実現できる。
【0003】
図1を参照して、波長多重装置を用いて構成されたネットワークの構成を説明する。図1において、コアネットワーク200は、3台の光分岐挿入多重装置(OADM:Optical Add Drop Multiplexer)107によって構成されたリング型ネットワークである。OADM装置107には、波長多重装置101が接続されている。波長多重装置101は、クライアントネットワークを形成する外部装置106からの複数のクライアント信号を波長多重する。
【0004】
波長多重装置101は、波長多重部102と、インタフェース部103とから構成される。インタフェース部103は、3つのトランスポンダ部104から構成される。トランスポンダ部104は、外部装置106より入力されたクライアント信号を、波長多重可能とするためにそれぞれ異なった波長の光信号へと変換し、波長多重部102へ送信する。波長多重部102は、受信した複数の光信号を合分波器105によって多重化し、コアネットワークを構成しているOADM装置107へと送信する。OADM装置107は、波長多重装置101から受信した多重化された光信号をコアネットワーク200へと挿入(Add)する。また、OADM装置107は、コアネットワーク200から任意の複数の波長の信号を選択的に取り出し(Drop)、波長多重装置101へと送信する。
【0005】
波長多重装置101の合分波部105は、その信号をさらに波長毎に分岐し、トランスポンダ104を介してユーザネットワークへと送信する。
【0006】
以上のように、波長多重装置101は、ポイント・ツー・ポイント型ネットワークに限らず、リング型光ネットワークをはじめとするコアネットワーク200においても不可欠である。
【0007】
波長多重装置101の一般的な装置構成として、波長多重部102とインタフェース部103は、各々独立した専用のカードや専用のユニットとして構成されることが多い。このとき波長多重部102と、インタフェース部103間の物理的な通信路は、それぞれの信号入出力用光コネクタを、光ケーブルによって接続することで確保される。
【0008】
波長多重部102は、一般に、複数のトランスポンダ部と接続されるため、光ケーブルを挿入するための同型の光コネクタが複数並んだ構成となっている。また、波長多重部102とインタフェース部103は、独立した専用カードや専用ユニットとして構成されているため、同じ架内に配置されるとは限らない。そのため、ケーブル接続作業を行なう作業者が、接続したい光コネクタとは異なる箇所へ誤接続してしまう可能性がある。また、ケーブル接続が正常に行なわれていたとしても、光ケーブルの断線や光コネクタの故障により、通信路が確保できない可能性もある。以上のようなことから、接続作業を行なったあと、正常に接続され通信路が確保されたということを容易に確認することが必要である。
【0009】
接続確認の方法として、接続元インタフェース部103の発光部を発光させ、接続先である波長多重部102の受光部において受光光強度を確かめることにより正常に接続されていることを確かめることが一般的である。ただし、トランスポンダ部104の発光部を発光させる際には、必ず発光に使用する波長を指定する必要があり、このとき不適切な波長で発光した場合、他の信号に干渉し、サービスに影響を与えてしまう。
【0010】
図2を参照して、従来の波長多重装置101において、インタフェース部103の発光部115のうち複数の発光部で、同じ波長を使用して同時に発光した場合に、光信号の干渉が起こることを説明する。図2において、波長多重装置101は、波長多重部102と、インタフェース部103と、監視制御部117とから構成される。
【0011】
波長多重部102は、合分波器105と、3台の受光部108と、3台の光強度監視部109と、受光監視部110と、装置内通信部112とから構成される。インタフェース部103は、3台のトランスポンダ104から構成される。監視制御部117は、装置内通信部118と、外部通信部119とから構成される。トランスポンダ104は、受光部113と、波長可変発光部115と、装置内通信部116とから構成される。
【0012】
なお、実際にはコアネットワーク側より入力され、波長多重部102によって分波されてインタフェース部103よりクライアント側へ送出する光信号も存在する。しかし、ここでは簡単のためクライアントネットワーク側からインタフェース部103へ入力されて波長多重部102で多重化され、コアネットワーク側へ送出される方向の光信号のみを図示している。
【0013】
図2において、波長多重装置101は、波長多重部102と、インタフェース部103と、装置制御部117とから構成されている。波長多重部102は、3台の受光部108と、3台の光強度監視部109と、合分波器105と、受光監視部110と、装置内通信部112とを含む。インタフェース部103は、3台のトランスポンダ部104を含む。監視制御部117は、装置内通信部118と、外部通信部119とを含む。トランスポンダ104は、受光部113と、波長可変発光部115と、装置内通信部116とから構成されている。
【0014】
外部通信部108は、ローカル制御端末120と接続されている。装置内通信部118は、装置内通信部112、116と接続されている。受光部108は、図示しない9:1カプラーとフォトダイオードである。受光部108は、光信号を2分岐し、90%の光を合分波器105に送信し、10%の光をフォトダイオードで電流に変換する。光強度監視部109は、電流−電圧変換する。受光監視部110は、光強度監視部109の電圧から、受光部108が受光しているか否か判定する。受光監視部110は、判定結果を装置内通信部112を介して、ローカル制御端末120に送信する。合分波器105は、受光部108からの光信号を波長多重して、波長多重光信号を生成する。
【0015】
受光部113は、フォトダイオード等である。受光部113は、クライアントネットワークからの光信号を電気信号に変換する。波長可変発光部は、電気信号を装置内通信部の指示に基づく波長の光信号に変換する。
【0016】
図2に示す波長多重装置101を用いて、新たにクライアントネットワークを収容するためには、必要に応じてトランスポンダ部を増設し、トランスポンダ部と波長多重部102を光ファイバによって接続する。例として、トランスポンダ部104−1を使用する場合、トランスポンダ部104−1の発光部115−1と、波長多重部102の受光部108−1、108−2、108−3のうちいずれかをケーブルにより接続する。このとき正常に接続されたことを確認するためには、トランスポンダ部104−1の発光部115−1から発光させ、接続先の波長多重部受光部に対応する光強度監視部(109−1、109−2、109−3のいずれか)において、受光強度が閾値以上となることを確認する。しかしこのとき仮に図2のトランスポンダ部104−2および波長多重部の別の受光部を用いて既にサービスを運用中である場合、トランスポンダ部104−2で使用している波長と同じ波長にてトランスポンダ部104−1の発光部115−1を発光させると、波長多重部102の合分波器105の位置で光信号の干渉が起こり、既存のサービスの運用を妨げてしまう。
【0017】
また、接続確認に用いた光信号は、合波部105で多重化されたのち、外部へと送出され、そこに接続されたOADM装置107によりコアネットワークへと光挿入分岐が行なわれることがある。このとき、装置内では同じ波長が使用されていなかった場合であっても、他装置から入力されて同コアネットワークへ収容される別の光信号がこれと同じ波長を使用していた場合、干渉が起こり、サービスに影響を与えてしまう。
【0018】
この干渉を回避する技術として、試験用の光信号の波長に、データを運搬する主信号と異なる波長を用いることは、特許文献1ないし特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平11−275014号
【特許文献2】特開平11−275016号
【特許文献3】特開2008−042723号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上述したように、既にサービスを運用している波長多重装置101において、上記のような手順で接続確認を実施する場合、接続確認に使用する波長は、同装置内ですでに使用している波長、および波長多重部より送出された信号が挿入されるコアネットワークにおいてすでに使用されている波長と干渉を起こさないよう、異なる波長を選択する必要がある。
【0021】
実際に上記手順のような接続確認が有効な場面の例として、ケーブル接続作業を行なった作業者が、接続作業を行なった直後に接続確認を実施するというケースがある。このような場合、装置が設置された局内において、ローカル制御端末120等を用いて接続確認を実施するのが一般的である。ただし、このとき接続確認の為に発光させた干渉により提供中のサービスに影響を及ぼすことを避けるためには、同装置内で使用中の波長、および接続されるコアネットワークで使用されている波長を全て把握している必要がある。しかし、図2に示すように、ローカル制御端末120は、一台の波長多重装置101と接続され、直接接続された波長多重装置101のみを監視制御可能であり、他装置で使用されている波長までは管理することができない。
【0022】
コアネットワークを構成する複数の装置を監視制御可能な装置として、図3に示すオペレーション装置123がある。図3において、オペレーション装置123は、コアネットワーク200を構成するOADM装置107のそれぞれに接続されている。オペレーション装置123は、接続確認を実施する波長多重装置101を含め、コアネットワークを構成している全ての伝送装置を監視制御可能であり、実際の運用の際には、インタフェース部103への発光指示、波長の指定は、オペレーション装置123から行なう。オペレーション装置123では、同ネットワーク内で使用可能な全波長について、使用中かもしくは未使用かの状態を管理しており、インタフェース部103への発光指示時には必ず未使用の波長を使用する。
【0023】
特許文献に示した先行技術において、接続確認に使用する波長を決定するためには、オペレーション装置123によって同ネットワーク内で使用可能な波長のうち未使用のものを選択し、接続確認に使用していると考えられる。
【0024】
これに対し、ローカル制御端末120では、直接接続された波長多重装置101以外の装置で使用されている波長を管理することができず、ネットワーク全体で使用されている波長を把握できないため、局建時にローカル制御端末120によって他の信号に影響を与えずに接続確認を実施するためには、各波長多重装置内部に、干渉を避けて接続確認を実施する仕組みが必要となる。
【0025】
本発明の目的は、局建時に波長多重装置101に直接接続されたローカル制御端末120を用いて接続確認を実施する場合に代表されるように、同装置から出力される光信号が挿入されるコアネットワークでの使用波長を管理できない状況において、インタフェース部の発光部および波長多重部の受光部間の接続を、他の既存サービスに影響を与えることなく実施することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
波長多重装置において、クライアントネットワークから入力される光信号の波長を変換するインタフェース部と、波長の異なる複数の光信号を多重化する波長多重部との間の光ファイバケーブルの接続確認を既存サービスに影響を与えずに実施する。
【0027】
具体的には、波長多重装置内の監視制御部により、同装置内で使用可能な全波長の使用状態を管理し、同装置内で使用されていない波長を検出して接続確認に使用することにより、装置内で干渉が起こるのを防ぐ。また、波長多重部内に波長フィルタ部を設け、接続確認に使用する波長を装置外部へ出力されることを阻止することで、接続確認に使用する光信号が波長多重部から出力され、コアネットワーク内で他装置から出力された同波長の光信号に干渉することを防ぐ。
【0028】
上述した課題は、クライアント装置からの光信号を電気信号に変換する受光部とこの電気信号を再び光信号に変換する波長可変発光部とからなるトランスポンダと、波長可変発光部からの光信号の強度をモニタする受光監視部と波長可変発光部からの光信号をブロックするフィルタ部とこのフィルタ部の出力を合波する合波部とからなる波長多重部と、トランスポンダと波長多重部とを制御する監視制御部と、からなる波長多重装置において、監視制御部は、波長グリッド毎の使用/非使用を管理する使用波長管理テーブルを備え、トランスポンダと波長多重部との接続確認に際して、フィルタ部をブロック状態に遷移し、波長管理テーブルで非使用な波長で波長可変発光部を発光させ、受光監視部で受光の有無を確認する波長多重装置により、達成できる。
【発明の効果】
【0029】
波長多重部とインタフェース部からなる波長多重装置において、複数インタフェース部からの同波長による同時発光が行なわれた場合の信号の干渉を回避し、且つ、既存サービスに影響を与えない波長を自動検出して、波長多重部とインタフェース部との間の接続性を確認することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】波長多重装置を含むネットワークの構成を説明するブロック図である。
【図2】一般的な波長多重装置において、複数のトランスポンダ部の同一波長同時発光により干渉が起こることを説明するブロック図である。
【図3】オペレーション装置の位置づけを説明するブロック図である。
【図4】波長多重装置の構成を説明するブロック図である。
【図5】フィルタ部の構成を説明するブロック図である。
【図6】接続確認時の主なメッセージ内容を説明する図である。
【図7】波長管理テーブルを説明する図である。
【図8】接続確認時の各部間の通信を説明する図である。
【図9】接続確認時の波長多重部での受光有無判定処理を説明するシーケンス図である。
【図10】接続確認に使用する波長を決定する手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【0032】
図4を参照して、本実施例における波長多重装置の構成を説明する。図4において、波長多重装置101Aは、波長多重部102Aと、インタフェース部103と、装置制御部117Aとから構成されている。波長多重部102は、3台の受光部108と、3台の光強度監視部109と、合分波器105と、受光監視部110と、装置内通信部112と、フィルタ部121とを含む。インタフェース部103は、3台のトランスポンダ部104を含む。監視制御部117Aは、装置内通信部118と、外部通信部119と、使用波長管理テーブル122とを含む。トランスポンダ104は、受光部113と、波長可変発光 図4の波長多重装置101Aと図2の波長多重装置101との違いは、波長フィルタ部121が合分波器105と受光部108に追加され、監視制御部177内に使用波長管理テーブル122が追加されている。波長フィルタ部121は、受光部108を通過した光信号に対し、通過させるかもしくは遮断するかを波長単位で制御する。
【0033】
この波長フィルタ部121の機能により、特定の波長を遮断するように設定することで、その波長の光信号を装置外部には出力しないようにする。そのため接続確認に使用した光信号が、波長多重部102の送信部111から外部へと送出され、そこに接続されたOADM装置107において光挿入分岐された場合に、同じ波長を使用していた既存信号に干渉してしまうという事態を防ぐことができる。
【0034】
図5を参照して、フィルタ部121の詳細な構成を説明する。図5において、フィルタ部121は、複数の1×2スイッチ125で構成されている。ここで、1×2スイッチ125は、1入力2出力の光スイッチである。1×2スイッチ125の入力は、受光部108の通過出力である。1×2スイッチ125の2出力は、合分波器105の一つの入力と図示しない光終端器である。光終端器は、反射なく光を吸収する。
【0035】
保守者がケーブル接続確認を実施する場合の、図4に示す波長多重装置における各部での処理の概要と各部間で送受信されるメッセージについて、図6に示すメッセージ構成の図を用いて説明する。図6(a)は、ローカル制御端末120から波長多重装置101Aの監視制御部117Aへ送信されるメッセージフォーマットである。一方、図6(b)は、監視制御部117Aからインタフェース部103へ送信されるメッセージフォーマットである。
【0036】
図6(a)において、メッセージは、(1)インタフェース部発光部ID、(2)波長多重部側ポートID、(3)波長の指定有無、(4)指定波長を含む。なお、(3)波長の指定有無が、無のとき、(4)指定波長は、省略される。
図6(b)において、メッセージは、(1)インタフェース部発光部ID、(2)接続確認に使用する波長を含む。
【0037】
図7を参照して、監視制御部117Aが保持する使用波長管理テーブル122を説明する。図7において、使用波長管理テーブル122は、波長1221のコラムと使用中/未使用1222のコラムが対応付けられている。波長1221は、波長多重装置101Aが使用する全グリッドの波長を記載する。使用中/未使用1222は、該当波長を波長多重装置101Aが使用中のとき「1」を、未使用のとき「0」を記録する。
【0038】
図8を参照して、インタフェース部103の波長可変発光部115−3と波長多重部102の受光部108−3との接続を確認するシーケンスを説明する。図8において、接続確認を実施する保守者は、波長多重装置101Aに接続されたローカル制御端末120より、接続確認を実施したいインタフェース部の波長可変発光部、および波長多重部の受光部を指定し、さらに接続確認に使用する波長を指定したい場合は使用する波長を入力し、接続確認を開始する。ここでは保守者はインタフェース部の波長可変発光部115−3と波長多重部側受光部108−3を指定する。
【0039】
保守者の操作によりローカル制御端末120は、波長多重装置101Aへと接続確認指示を送信する(S201)。接続確認指示を受信した監視制御部117Aは、指定された波長多重部側受信部108−3が他のサービスに使用されていないことを確認するため、波長多重部102Aへ受光確認指示を送信する(S202)。波長多重部102Aは、この指示を受け、受信部108−3における受光の有無を判定する(S203)。波長多重部102Aは、監視制御部117Aへと応答を返す(S204)。監視制御部117Aは、接続確認に使用する波長を決定する(S206)。監視制御部117Aは、インタフェース部へ発光を指示する前に、波長多重部102Aへ接続確認に使用する光信号が外部へ送出されるのを防止するため、波長多重部へフィルタ遮断指示を送信する(S207)。指示を受けた波長多重部102Aは、波長フィルタ部121にて指定された波長の信号を遮断するよう設定する(S208)。この操作により、接続確認に使用される光信号は波長フィルタ部121にて遮断され外部へは送出されなくなるため、発光部111から出力された光信号がOADM装置によりコアネットワークへと挿入され他の信号へ干渉することを防止することができる。
【0040】
次に監視制御部117Aは、インタフェース部103へ発光指示を送信する(S211)。発光指示を受信したインタフェース部103は、指定された波長可変発光部115−3より指定された波長にて発光する(S212)。インタフェース部103は、監視制御部117Aへ発光完了応答を返す(S213)。発光完了応答を受信した監視制御部117Aは、波長多重部102Aへと受光確認指示を送信する(S214)。これを受信した波長多重部102Aは、指定された受信部108−3での受光有無を判定する(S216)。波長多重部102Aは、判定結果を監視制御部117に応答する(S217)。監視制御部117Aは、受光確認結果に関わらず、インタフェース部103へ、発光指示にて発光させた波長可変発光部を発光停止するよう、発光停止指示を送信する(S218)。これを受信したインタフェース部102Aは、指定された波長可変発光部115−3の発光を停止する(S219)。インタフェース部102Aは、監視制御部117Aへ発光停止完了応答を返す(S221)。
【0041】
監視制御部117Aは、発光停止完了応答を受信後、波長フィルタ部121での接続確認に使用した波長の信号の遮断を解除するため、波長多重部102Aへフィルタ通過指示を送信する(S222)。インタフェース部102Aは、波長フィルタ部121で指定された波長を通過するよう設定する(S223)。インタフェース部102Aは、監視制御部へと応答を返す(S224)。
【0042】
ここでは、波長多重部102Aから受信した受光有無確認結果が受光有りであり、監視制御部117Aは、インタフェース部の波長可変発光部115−3と波長多重部側受光部108−3間の接続が正常に行なわれていると判定し、接続確認結果が正常であったことを示すメッセージを指示元であるローカル制御端末120へと返す(S226)。
【0043】
図9を参照して、受光部における受光有無の確認方法を説明する。図9において、受光確認指示を受けた波長多重部102Aの受光監視部110は、指定された受光部108−3に対応する光強度監視部109−3における受光強度が閾値を超えているか判定する(S8)。受光監視部110は、閾値を超えていれば(YES)、受光有りと判定する(S9)。ステップ8で、閾値以下であれば(NO)、受光監視部110は、受光なしと判定する(S10)。
【0044】
図10を参照して、監視制御部117Aでの接続確認に使用する波長の決定方法を説明する。図10において、監視制御部117Aは、ローカル制御端末120からの接続確認指示メッセージ中の「波長の指定有無」が「指定有り」か判定する(S11)。ありのとき、監視制御部117Aは、指定波長が使用中かを確認する(S12)。使用中でない場合、監視制御部117Aは、指定波長を接続確認に使用する波長に決定して(S13)、終了する。ステップ12で指定波長が既に使用されている場合、監視制御部117Aは、指定波長が使用中であるため接続確認が実施不可であることを接続確認実行指示発行元であるローカル制御端末120へ応答し(S14)、接続確認を中止する。
【0045】
ステップ11で「波長の指定有無」が「指定なし」であった場合、波長管理テーブル122を用いて未使用波長を検出する。
【0046】
波長管理テーブル122上の情報は、監視制御部117Aがインタフェース部103へ発光指示または発光停止指示を送信するたびに該当波長の使用状態を更新されるため、常に最新の情報が保たれている。
【0047】
監視制御部117Aは、未使用波長を検出するため、波長管理テーブル122を波長λ1から順に探索し(S15−S16)、使用状態が未使用であれば、その波長を接続確認に使用する波長として決定して(S17)、終了する。これを波長λ1から波長λNまで繰り返し、全波長が使用中であった場合、監視制御部117Aは、ローカル制御端末120へ未使用波長がないため接続確認ができないことを応答し(S18)、接続確認を中止する。
【0048】
上記手段により、インタフェース部側発光部と波長多重部側受信部のケーブル接続の正常性を確認した後、その箇所を実際にサービスに使用するため、インタフェース部側発光部を発光させる場合、ローカル制御端末120ではなく、ネットワーク全体での波長の使用状態を把握することができるオペレーション装置123により実施する必要がある。
【0049】
オペレーション装置123は、波長多重装置101Aの監視制御部117Aが持つ波長管理テーブルと同様に、コアネットワークを構成する装置で使用できる全ての波長について使用状態を管理しており、サービス開始のためにインタフェース部の発光部へ発光を指示する場合、オペレーション装置123によって、コアネットワーク内で使用されていない波長を選択し、指示することとする。
【0050】
課題として述べたように、波長多重部102Aとインタフェース部103との接続を確認するために、インタフェース部103を発光させた場合、波長多重部102A内部の合分波部105での干渉、接続確認に用いた光信号がコアネットワークへと挿入するための光挿入分岐装置における干渉、と2箇所で干渉が起こる可能性がある。本発明では、未使用の波長を自動的に検出して接続確認に使用する方法により合分派部105での干渉を回避し、さらに波長フィルタ部121によって接続確認に使用される光信号が装置外部へ送出されることを阻止することにより、コアネットワークへ挿入時の干渉を回避することができる。
【符号の説明】
【0051】
101…波長多重装置、102…波長多重部、103…インタフェース部、104…トランスポンダ、105…合分波器、106…クライアントネットワーク側外部装置、107…OADM装置、108…受光部、109…光強度監視部、110…受光監視部、112…装置内通信部、113…受光部、115…波長可変発光部、116…装置内通信部、117…監視制御部、118…装置内通信部、119…外部通信部、120…ローカル制御端末、121…波長フィルタ部、122…波長管理テーブル、123…オペレーション装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント装置からの光信号を電気信号に変換する受光部とこの電気信号を再び光信号に変換する波長可変発光部とからなるトランスポンダと、前記波長可変発光部からの光信号の強度をモニタする受光監視部と前記波長可変発光部からの光信号をブロックするフィルタ部とこのフィルタ部の出力を合波する合波部とからなる波長多重部と、前記トランスポンダと前記波長多重部とを制御する監視制御部と、からなる波長多重装置において、
前記監視制御部は、波長グリッド毎の使用/非使用を管理する使用波長管理テーブルを備え、前記トランスポンダと前記波長多重部との接続確認に際して、前記フィルタ部をブロック状態に遷移し、前記波長管理テーブルで非使用な波長で前記波長可変発光部を発光させ、前記受光監視部で受光の有無を確認することを特徴とする波長多重装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−249055(P2012−249055A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118858(P2011−118858)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】