説明

波長特定熱照射および処理用の方法およびシステム

広い範囲の加工目的のために、選択された狭帯域熱赤外線(IR)放射またはエネルギを物品内に直接注入するためのシステムが提供される。熱移送の所望の効率を創出するためにターゲット体の特定の吸収帯域特性にしたがって、照射波長が選択される。本発明の用途は、一連の異なる工業、医療、民生、または、商業環境において、加熱、物品の温度を上げるか維持すること、または、ターゲット項目を刺激することを含んでもよい。システムは、特に選択された中赤外域波長を照射するか、またはパルスするか、または放射線を注入する能力を必要とするか、またはそれから利益を得る操作に、特に適用可能である。システムは、より高いスピードでかつターゲットとの非接触環境で機能するときに、特に有利である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年6月8日に出願された米国予備特許出願第60/933,818号に基づき、その優先権を主張しており、それは参照により本願に組み込まれる。
関連出願
【0002】
本願は、2004年12月3日に出願された米国特許出願第11/003,679号、発明の名称「波長特定熱照射および処理用の方法およびシステム(A Method and System for Wavelength Specific Thermal Irradiation and Treatment)」、2006年2月9日に出願された米国特許出願第11/351,030号、発明の名称「波長特定熱照射および処理用の方法およびシステム(A Method and System for Wavelength Specific Thermal Irradiation and Treatment)」、2006年6月7日に出願された米国特許出願第11/448,630号、発明の名称「レーザに基づいた、波長特定赤外線照射処理用の方法およびシステム(A Method and System for Laser−Based, Wavelength Specific Infrared Irradiation Treatment)」、に関連し、これら3出願は参照により本願に組み込まれる。
【0003】
本発明は、広範囲の加熱、加工または処理目的のために、選択された熱赤外(IR)波長放射線またはエネルギをターゲット体に直接注入することに関する。後述されるように、これらの目的は、一連の異なる工業、医療、民生または商業環境で加熱、物体の温度を上げるかまたは維持すること、または、ターゲット品を刺激したりすることを含んでもよい。本願に記載された方法およびシステムは、特別に選択された波長を照射するか、もしくは放射線をパルスするか、注入する能力を必要とするか、またはそれから利益を得る操作に特に適用可能である。本発明は、ターゲットがより高いスピードでターゲットと非接触の環境で動いているときに、特に有利である。本発明は、広い範囲の最終用途に高度にプログラム可能な選択された狭い波長の赤外線システムを提供する。照射システムは、少なくとも1つの形態で、複数の狭帯域照射源を含み、これは、ターゲットの特定の吸収性に整合する波長でターゲットを照射するように構成される。1つの形態において、本発明は、狭い波長のソリッドステート放射線放出装置(RED)、最も好ましくは、新しいクラスの設計アレイから構成される新規なタイプの赤外線照射システムを教示し、その1つの変形例が、特に本明細書で後に示される。これらの装置および代替例または変形例は、本願では例示のために記載されるが、ダイオード、レーザダイオード(または他のタイプのレーザダイオード)、または、他のソリッドステート放出装置等の狭帯域照射源の多くの形態を含む様々な形態を取ることができる。
【0004】
より具体的には、本発明は、何らかの方法でターゲットの温度に影響を与えるために、赤外線の最適な波長をターゲット内に注入する新規で効率的な方法に関する。赤外線を注入するための「ターゲット」は、小さなサンプル例を示せば、製造操作の個別の構成要素から、材料の連続コイルを処理する領域、調理プロセスの食物、または、医療環境におけるヒトの患者までの範囲の、広く様々な品目であってもよい。
【背景技術】
【0005】
以下に記載される本発明の特定の実施態様は、特にプラスチックボトルプリフォーム再加熱操作に関連する例であるが、中に含まれる概念は、他の多くのケースにも当てはまる。これはまた、射出成形操作がブロー成形操作直前に連続的に行われる。一段式プラスチックボトルブロー操作にも当てはまる。この展開において、たとえば、本発明の方法および機器は、既知の技術に対して類似の利点を有する以外に、異なる検知および制御を用いて、プロセスの再加熱セクションに入る際の初期温度の変動を取り扱う。
【0006】
一般に、理想的な赤外線加熱システムは、最小のエネルギ消費でターゲットの温度を最適に上げる。そのようなシステムは、その電気入力を放射電磁エネルギ出力に直接変換することができる装置を備えてもよく、選ばれた単一のまたは狭帯域の波長がターゲットに向けられ、照射を備えるエネルギがターゲットによって部分的にまたは完全に吸収されて熱に変換されるようにする。電気入力が放射電磁出力に変換されるのが効率的であればあるほど、システムはより効率的に機能することができる。ターゲット上の所望の区域のみを露出するように放射電磁波が向けられるのが効率的であればあるほど、システムはより効率的にその作業を達成する。使用のために選ばれた放射線放出装置は、ターゲットが照射されていないときには、入力エネルギも出力エネルギも浪費されないように、瞬時「オン」および瞬時「オフ」特性を有するべきである。露出されたターゲットが放射電磁エネルギを吸収してこれを直接熱に変換するのが効率的であればあるほど、システムはより効率的に機能することができる。最適なシステムでは、システム出力波長のセットが、ターゲットの吸収特性に整合するように、適切に選択するように注意しなければならない。これらの波長は、本発明の異なるターゲット用途にそれぞれ異なって選ばれ、異なる材料の異なる吸収特性に最良に適合し、かつ、異なる所望の結果に適合する。
【0007】
対照的に、広い範囲の加工および処理には一連の異なるタイプの放射加熱システムを使用することが、当該技術分野では知られている。そのような目的のために既に利用可能であった技術は、発せられた放射電磁エネルギの比較的広い帯域スペクトルを生成する。それらは、赤外線加熱、処理、または、加工システムと称されてもよいが、実際には、赤外線スペクトル外に放射エネルギを生成することが多い。
【0008】
スペクトルの赤外線部分は、一般に、3つの波長クラスに分割される。これらは一般に、近赤外線、中赤外線および遠赤外線の波長帯域として類別される。これらの一般領域では、正確なカットオフポイントははっきりとは確立されていないが、近赤外線領域が、可視光線と1.5マイクロメートルの間の範囲に及ぶことが一般に認められている。中赤外線領域は、1.5マイクロメートルと5マイクロメートルの間の範囲に及ぶ。遠赤外線領域は、一般に、5マイクロメートルと14マイクロメートルの間およびそれを超えた範囲と考えられている。
【0009】
工業、商業および医療の加熱処理または加工機器に使用されている放射赤外線源は、赤外線スペクトルの1つのセクションにめったに限定されない、広い帯域の波長を予め生成する。広帯域出力は、赤外線スペクトルの特定の範囲でピークに達してもよいが、典型的には、隣接する領域に拡張する出力の尾を有する。
【0010】
例として、当該技術分野で知られており、様々なプロセス加熱操作に使用される石英赤外線加熱ランプが、0.8〜1マイクロメートルの範囲でピーク出力を生成することが多い。その出力は、0.8〜1マイクロメートルの間でピークに達してもよいが、これらのランプは、紫外線(UV)から可視を通って中赤外線の約3.5マイクロメートルまでの波長帯域の広い連続セットに、かなりの出力を有する。明らかに、石英ランプのピーク出力は近赤外線範囲であるが、可視範囲および中赤外線範囲の両方にかなりの出力がある。したがって、既存の広いスペクトル赤外線源では、いずれの与えられた加熱、加工または処理用途にもっとも望ましい好適な単数または複数の波長に関して、選択的とはなり得ない。これは、本質的に広いスペクトル処理またはプロセスで、広く使用されているが、それは、たとえば、上記関連用途の発展過程で実用的な代替物がなかったためである。多くのターゲットにおける一次温度の上昇は、波長の1つまたはそれ以上の狭帯域における熱IRエネルギの吸収によって行われる。このようにして、広帯域IRエネルギ出力の多くは浪費される。
【0011】
それにもかかわらず、石英赤外線ランプは、個別部品および連続材料加工の両方の業界で、広く使用されている。典型的には、様々な方法が使用されて、様々なリフレクタタイプを含むプロセスにより石英ランプからの放出をターゲットに向けるのを助ける。エネルギがどのようにターゲットに集中されるかとは無関係に、石英ランプは典型的に連続してエネルギが付与される。プロセス下でターゲットが連続して生成される物品であろうと個別部品であろうと、これは当てはまる。その理由は、主に、典型的には秒の単位で測定され、石英ランプの比較的遅い熱応答時間のためである。
【0012】
改良されたエネルギ注入が特に必要な区域は、ブロー成形操作に関係する。より具体的には、延伸ブロー成形操作の前に、プラスチックボトル延伸ブロー成形システムが、プリフォームを熱的に状態調節する。このプロセスの1つの態様は、再加熱操作として当該技術分野では知られている。再加熱操作においては、射出成形または圧縮成形プロセスによって形成されたプリフォームは、室温で熱的に安定化させられる。その後、プリフォームは延伸ブロー成形システム内に供給され、その初期段階で、熱可塑性プリフォーム材料は、次のブロー成形操作に最適化される温度に、プリフォームを加熱する。このプリフォームが経路に沿って加熱セクションを通って機械のブロー成形セクションへ輸送されている間、この状態調節は、適合される。ブロー成形セクションでは、プリフォームは、まず機械的に延伸され、次いで、より大きな容量の容器へブローされる。
【0013】
エネルギ消費コストは、ブロー成形操作を使用して製造される完成品のコストの大きな割合を占める。より具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)プリフォームを周囲温度から延伸ブロー成形機械の再加熱セクションの105℃へ加熱するか、または熱的に状態調節するために、今までの最新技術で必要なエネルギは、かなりの量である。すべての製造の効率的な目安から、延伸ブロー成形システムの熱状態調節セクションの操作に関連したエネルギ消費率を下げることが、経済および環境両方の観点から明らかに有利である。
【0014】
さらに説明すると、現在行われているものは、トンネル内に組み込まれた複数の石英赤外線ランプW−VIIランプからの放射エネルギに、容器を露出することである。各ランプからのエネルギは、概ね変動可能であり、したがって、容器の異なるセグメントへの照射を調節する非常に小さな手段を提供する。ランプからのエネルギの多くは、容器によってまったく吸収されないか、または、周囲の空気、または、機械的支持物によって吸収され、そのために、全体的効率を大いに低下させる。望ましくない加熱を緩和するために、いくつかの努力がなされている。空気は、1)容器の外皮を冷却し(これは望ましい)、2)不必要に加熱された空気を通って対流によって容器内により多くのエネルギを結合させるために、トンネルのまわりに吹かれる。
【0015】
現在の方法の不利な点は、空気および隣接する構造物の不必要な加熱、容器における照射分布の不良な調整能力、大きな物理的空間が必要であること、プリフォーム上の特定のスポットまたは帯域を選択的に加熱することができないこと、加熱分布を新しい要件に即座に適応させる能力が低いこと、たとえば、異なるサイズの容器に対するロット切り替え、および、それによって発生するその後の問題である。たとえば、容器プリフォームによる光の不完全な吸収は、トンネル用のより多くの常用出力、過剰な熱をプラント内部の環境から除去するためのより多くの常用出力、トンネルがより緩やかで均一な加熱を可能にするためのより多くの空間、切れた電球のためのより頻繁な保守間隔、および、不均一な電球劣化から加熱におけるより多くの変動性を生じさせる。
【0016】
米国特許第5,322,651号明細書には、熱可塑性プリフォームを熱的に処理する方法の改良が記載されている。この特許には、プラスチックプリフォームの熱処理用に広帯域赤外線(IR)放射加熱を使用する従来の方法が、記載されている。この特許からの文章を引用すると、「対流および伝導等の他の加熱または熱処理方法に比較して、かつ、材料の低熱伝導性を考慮して、赤外線放射を使用する加熱は、有利な出力を提供し、生産率が上昇するのを可能にする」。
【0017】
この特許に記載された特定の従来技術の改良は、プリフォームのIR加熱中に生ずる過剰エネルギをうまく取り扱う方法に関する。特に、この特許は、輸送されるプリフォームを取り囲む炉容積中の空気温度が上昇することになる(プリフォーム以外の場所の吸収、伝導、次いで対流を通して)加熱プロセス中に発せられるエネルギに関する。熱風の流れによって生じるプリフォームの対流加熱は、プリフォームの不均一な加熱を生じ、製造操作に有害な影響を与えることがわかった。米国特許第5,322,651号明細書には、IR加熱操作中にプリフォームを取り囲む空気の流れの意図しない加熱の影響に対処する方法が記載されている。
【0018】
予想されるように、これまでの従来技術のIR加熱要素およびシステムから熱エネルギをターゲットのプリフォームへ移送することは、完全には効率的なプロセスではない。プリフォームを熱的に状態調節するために消費されるエネルギの100%が、熱エネルギの形態でプリフォームの容量内で終わることが理想的である。上記に参照された特許には具体的には記載されていないが、5%〜10%の間の範囲の典型的な変換効率値(輸送されるプリフォーム内へのエネルギ/IR加熱要素によって消費されるエネルギ)が、現在のブロー成形機械に要求されている。変換効率値を改良するプリフォームの赤外線加熱に関連した方法または手段に対する改良は、非常に有利であり、延伸ブロー形成機械のユーザにはエネルギコストの実質的な削減を表す。
【0019】
現在のブロー成形機械に使用されるIR加熱要素およびシステムのエネルギ効率の性能を確立するために共に作用する多くの要因がある。既に述べたように、従来の熱可塑性プリフォーム、たとえばPETプリフォーム等は、約105℃の温度に加熱される。これは、典型的には、市販の広帯域石英赤外線ランプを使用して最新式ブロー成形機械で達成される。高スピード/高生産機械において、これらは、非常に高いワット数の電球の大きなバンクの形態を取ることが多い。石英ランプのすべてのバンクの複合エネルギドローは、最高速の機械では何百キロワットに達する巨大な電流ドローになる。加熱システム全体のエネルギ変換効率の性能全体に影響を与える、これらのタイプのIR加熱要素に関連する2つの要因は、ランプフィラメントの色温度およびフィラメント電球の光透過特性である。
【0020】
現在のブロー成形機械の熱状態調節サブシステムの全体エネルギ変換性能に大きな影響を及ぼす他の要因は、システムを通って輸送されているプリフォームの容量内に、加熱要素によって発せられたIR放射線を方向づけるのに使用される磁束制御またはレンジング方法である。大半の従来型ブロー成形機械において、石英ランプによって発せられたIR放射磁束をプリフォームの容量内に方向づけるいくつかの方法が開発されつつある。特に、金属化リフレクタは、これらのシステムで浪費される放射IR放射線量の減少に効果を上げている。
【0021】
IR加熱サブシステムのエネルギ変換効率性能に影響を及ぼす、さらに他の要因は、典型的には固定されたIR加熱要素への入力エネルギが、加熱システムを通って動いているプリフォームの動きに同期する程度である。より具体的には、固定量の入力エネルギが、静止IR加熱要素によって連続して消費される場合には、システムを通って連続するプリフォームの動きによってヒータのすぐ近くにプリフォームがない時でさえ、システムのエネルギ変換効率の性能が最適化されていないことは明らかである。実際、市販の石英ランプの緩やかな物理的応答時間と従来のブロー成形機械の比較的速いプリフォーム移送スピードが、ランプの入力電力を成功裏に調節して、これを別々の部分運動に同期させ、これによりエネルギ変換効率性能全体の改良を達成する試みを妨げてきた。
【0022】
米国特許第5,925,710号明細書、米国特許第6,022,920号明細書および米国特許第6,503,586B1号明細書には、すべて、ブロー成形プロセスに使用される輸送プリフォームによって吸収される、IR灯によって放射されたエネルギの割合を増加させる類似の方法が記載されている。これらの特許のすべてには、詳細の程度は異なるものの、IR加熱要素として石英ランプを使用する従来の再加熱ブロー成形機械における一般的な方法が記載されている。再加熱ブロー成形プロセスにおいて、先に射出成形され、室温へ安定されたプリフォームが、ブロー成形操作前にブロー温度へ再加熱される。これらの上記参照特許には、一般にポリマー、特にPETが、伝導または対流手段を使用するよりも、IR吸収によってどのようにより効率的に加熱することができるかが記載されている。これらの特許の図面には、PETの測定された吸収係数が波長の関数として記録されている。PETでは、多数の強い分子吸収帯域、主に、1.6マイクロメートルより上のIR波長帯域が発生する。石英ランプは、広いスペクトルにわたって放射線を発することが知られており、正確な発光スペクトルは、プランクの法則によって規定されたように、フィラメント温度によって決定される。
【0023】
既存の従来のブロー成形機械に使用されるように、石英ランプは、およそ3000°Kのフィラメント温度で操作される。この温度では、ランプは、およそ0.8マイクロメートルのピーク放射線放出を有する。しかし、この放出は、当該技術分野で知られているように、黒体タイプの放出であるため、石英フィラメントは、X線からの遠赤外線へのエネルギの連続スペクトルを放射する。3000°Kで、放射は、可視領域を通って上昇し、0.8マイクロメートルでピークに達し、次いで、徐々に減少して、およそ1.6マイクロメートルで開始する、PET吸収のかなりの領域に重なり合い始める。
【0024】
これらの特許のいずれにも記載されていないことは、石英バルブが、ランプの放射スペクトルに与える影響である。市販の石英ランプのバルブを製作するのに使用される石英は、およそ3.5マイクロメートルの上部透過限界を有する。この波長を超えて、封入フィラメントによって放出されるいずれのエネルギも、その大半の部分が、フィラメントを取り囲む石英ガラスシースによって吸収され、したがって、プリフォーム加熱には直接利用することができない。
【0025】
上述の理由のため、石英ランプを使用してPETプリフォームをブローイング温度に再加熱する既存の従来型ブロー成形機械では、吸収加熱の範囲は、1マイクロメートル〜3.5マイクロメートルの間で発生する。上記に参照された特許(米国特許第5,925,710号明細書、米国特許第6,022,920号明細書および米国特許第6,503,586B1号明細書)には、すべて、プリフォームの自然の吸収特性を変えるための異なった方法および手段が記載され、これにより再加熱プロセスのエネルギ変換効率性能の全体を改良している。これらの特許のすべてにおいては、混合物の吸収係数を上げるという単一の目的のために、PETプリフォームストックに加えられる異物が記載されている。これらの記載された方法および手段は、およそ0.8マイクロメートルの近赤外線から3.5マイクロメートルまでの範囲で材料の光学吸収特性に影響を与えるように意図されている。これらは、再加熱プロセスのエネルギ変換効率性能全体を上げる実用的な手段ではあるが、容器の製造コストを削減するのに有益であるプリフォームの吸収特性を変えることは、完成容器の外観に悪影響を与える。容器の光学的透明度の低下は、容器の曇りと言われることもあり、この一般的なアプローチを、こうした製造上の課題に対する不適切な解決策としてしまう。
【0026】
米国特許第5,206,039号明細書には、プリフォームを状態調節し、プロセスの射出成形段階からブローイング段階へプリフォームを輸送する、改良された手段から構成される一段式射出成形/ブロー成形システムが記載されている。この特許には、射出成形機械およびブロー成形機械の独立した操作は、各々が熱可塑性材料を熱的に状態調節するプロセスにかなりの量のエネルギを加えるため、無駄であることが記載されている。この特許は、一段式製造プロセスを使用することが、エネルギ消費率全体および製造コストの両方を減少すると教示している。エネルギ消費におけるこの削減は、主に、ブロー成形操作を可能にするのに必要な熱エネルギの大半は、射出成形段階に従うプリフォームによって保持されるという事実から来る。より具体的には、米国特許第5,206,039号明細書に記載される一段式プロセスにおいては、プリフォームは、射出成形プロセス後に室温へ安定化されず、むしろ、射出成形段階から熱状態調節セクションへ直接動き、次いで、ブロー成形セクションへ動く。
【0027】
米国特許第5,206,039号明細書に記載された熱状態調節セクションは、プリフォームを制御された安定期間に置くとともに、より少ない量の熱エネルギを加えることができるという特性を有する。これは、プリフォームをブローイング温度へ加熱するために大量のエネルギが必要である再加熱操作ブロー成形機械の2段階プロセスにおける熱状態調節セクションの要件とは異なる。一段式射出成形/ブロー成形機械の操作は当該技術分野では知られているが、完成容器の品質に関する問題は、これらの機械でも依然として存在する。これらの品質に関する問題は、プリフォームの流れがブローイング段階へ入るときに、プリフォームからプリフォームへの温度変動に結びつくものである。これまでのIR加熱や、温度検知手段および方法を使用する米国特許第5,206,039号明細書に記載された進歩にかかわらず、プリフォームを射出成形プロセスから取り外した直後に熱的に状態調節するプロセスをとっても、依然として、変動する熱容量のプリフォームがブローイング段階に投入されることになる。投入されたプリフォームの熱容量の変動により、完成容器の特性および品質が変動することになる。プリフォームごとのベースでIR加熱プロセスをカスタム調整する能力は非効率的であるため、製造業者は、必要な品質レベルを達成するために、再加熱ブロー成形方法を選ぶことになる。この理由のため、もっとも高い生産性のために、再加熱方法に対する業界の信頼性は維持される。また、プリフォームは市販のコンバータによって製造されることが多く、ブローイングを行い容器を充填するエンドユーザへ販売されるため、再加熱プロセスは人気を保っている。
【0028】
ブロー成形機械のIR加熱セクションの効率および/または機能性を改良する可能性は、操作コストおよび製品品質見込みの両方から、明らかに有望である。従来のIR加熱サブシステムの改良を行う数種類の試みがなされているが、依然として明らかな欠陥がある。本発明の意図は、新規なIR加熱要素および方法の導入により、これらの欠陥を克服することである。
【0029】
ソリッドステート電子機器部門において、ソリッドステートエミッタまたはLEDは、当該技術分野ではよく知られている。このタイプの光子または磁束エミッタは、市販されており、紫外線(UV)から近赤外線を通る様々な波長で作用することが知られている。LEDは、適切にNドープまたはPドープされた半導体材料から作られる。一定容量の半導体材料が、同一材料のNドープ領域に直接接触して置かれたPドープ領域を含むように適切に処理されたものに、ダイオードという一般名称が与えられる。ダイオードは、当該技術分野でよく知られているように、多くの重要な電気的および光電子的な特性を有する。たとえば、形成された半導体ダイオードのNドープ領域とPドープ領域との間の物理的インターフェースで、特徴的なバンドギャップが材料に存在することは、当該技術分野ではよく知られている。このバンドギャップは、より低い利用可能なP領域軌道の電子のエネルギレベルに対する、N領域の伝導帯域に位置する電子のエネルギレベルの差に関する。電子が誘発されてPN接合部を横切って流れるときには、N領域伝導軌道からより低いP領域軌道への電子のエネルギレベルの転移が発生し始めるため、そのような各電子転移用に光子が放出されることになる。正確なエネルギレベル、または、代替的に、放出される光子の波長は、伝導される電子のエネルギの低下に対応する。
【0030】
要するに、LEDは、直接電流−光子エミッタとして作用する。フィラメントまたは他の黒体タイプのエミッタとは異なり、出力光子が抽出可能となる前に、入力エネルギを熱の中間形態に伝達する必要はない。この直接電流−光子挙動のため、LEDは、非常に速く作用する特性を有する。LEDは、非常に高いパルス速度のUV、可視、および/または、IR光の生成を必要とする多数の用途に使用されている。LEDの高いパルス速度特性が特に有用である1つの特別な用途は、自動個別部品視覚検知用途であり、可視または近赤外線を使用して、レンズ焦点画像を形成し、これは次いで、コンピュータで検査される。
【0031】
フィラメント系の源とは異なり、LEDは、使用されている半導体材料の特定のバンドギャップに対応する比較的限定された波長範囲に対して放出する。LEDのこの特性は、波長選択的操作、たとえば、成分照明、状態表示または光通信が必要である用途には、特に有用である。より近年では、LEDの大きな一群が、可視照明のより大きなスケールの形態に、または、自動車のテールライトまたは交通信号ランプ等の信号灯にまで、使用されている。
【発明の概要】
【0032】
本発明は、過去には利用不能だった全く新しいクラスの適用および技術を得ることを容易にするような、高度な波長選択が可能である、かつ、赤外線放射を使用した少量または相当量の赤外線放射装置の実施を提供する。
【0033】
本発明の目的は、改良されたIRエネルギ変換効率性能および減少した加熱持続時間を有する熱IR加熱方法を備えた成形または他のプロセスまたは処理のシステムを提供することである。
【0034】
本発明の他の目的は、有利な構成を有し、加工されるかまたはターゲットにされている特定の材料に調整された浸透深さ性能を達成する加熱システムを提供することである。
【0035】
本発明の他の目的は、REDおよびレーザダイオード等のタイプのダイオードを初めとする狭帯域照射源の設計された混合物を組み込むことができ、適用クラスに最適な、選択された狭い波長帯域でIR放射を生成する熱IR照射システムを提供することである。
【0036】
本発明の他の目的は、パルスモードで駆動することができるIR加熱システムを提供することであり、上記パルスモードは、製造プロセス中に輸送されるときに別々に製造された部品をIR加熱するのに特に適しており、または、照射のターゲットの同期トラッキングを容易にするのに特に適している。
【0037】
本発明の他の目的は、金属化リフレクタ要素を経由して、より方向づけが可能であるIR加熱要素を提供することである。
【0038】
本発明の他の目的は、プリフォーム温度測定システムとともに作動してプリフォーム特定IR加熱能力を提供することができるIR加熱システムを提供することである。
【0039】
本発明の他の目的は、直接電流−光子IRソリッドステートエミッタまたは放射放出ダイオード(REDs)または他のタイプの狭帯域照射源のアレイとして製作されるIR加熱要素を提供することである。
【0040】
本発明のさらに他の利点は、高度に特定の単一の、または複数の狭い波長の帯域で実質的な放射出力の赤外線照射システムを提供することである。
【0041】
本発明のさらに他の利点は、強力な熱赤外線照射を生成し、かつ位置、強度、波長、ターンオン/ターンオフ速度、方向性、パルス周波数、および、製品トラッキングの少なくとも1つに関して高度にプログラム可能な機能性である。
【0042】
本発明のさらに他の利点は、現在の広帯域源に比較して熱エネルギを注入するためにより多くの入力エネルギ効率の方法を容易にすることである。
【0043】
ボトルプリフォームの加熱における本発明のさらに他の利点は、完成容器の可視透明性および外観品質を減少する添加剤を必要とせずに、効率的に加熱する能力を保持することにある。
【0044】
本発明のさらに他の目的は、プログラム可能性およびパルス能力と組み合わせて、波長選択的な赤外線放射の機能性を増加するように適合することができる、広範囲の適用のための、一般放射加熱システムを提供することである。
【0045】
本発明のさらに他の利点は、定常状態の強度よりもかなり高い瞬時強度を備えた、非常に速い高強度バーストパルスを容易にする能力である。
【0046】
本発明のさらに他の利点は、廃熱を、それが必要である別の場所へ容易に追い出すことができるか、または、非ターゲット加熱を減少するために、使用環境から導出することができることである。
【0047】
本発明のさらに他の利点は、RED装置を高密度にパッケージして、ソリッドステートの、これまで実際には達成できなかった熱IR出力レベルを生成することである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の1つの実施態様を示す例示的な半導体素子の一部の断面図である。
【0049】
【図2】本発明の1つの実施態様を示す例示的な半導体素子の緩衝層の断面図である。
【0050】
【図3】本発明の1つの実施態様を示す例示的な半導体素子の量子ドット層の断面図である。
【0051】
【図4】本発明の1つの実施態様を示す量子ドット層を含む放射線放出ダイオードの断面図である。
【0052】
【図5】本発明の1つの実施態様を示す量子ドット層を含む放射線放出ダイオードの断面図である。
【0053】
【図6】本発明の1つの実施態様を示す量子ドット層を含む放射線放出ダイオードの断面図である。
【0054】
【図7】本発明の1つの実施態様を示す量子ドット層を含むレーザダイオードの断面図である。
【0055】
【図8】単一のRED半導体素子の図式描写である。
【0056】
【図9】、
【図10】波長に応じてPETの10ミル厚のセクションを通って透過した赤外線エネルギの相対割合を示すグラフである。
【0057】
【図11】(a)、(b)および(c)は、REDヒータ要素内に一緒にパッケージされた個別REDエミッタの典型的な集合体を示す図である。
【0058】
【図12】(a)および(b)は、ブロー成形機内のREDヒータ要素の好適な展開を示す図である。
【0059】
【図13】本発明によって記載されたような、プリフォームの熱処理のための好適な方法を示す図である。
【0060】
【図14】、
【図15】、
【図16】本発明にしたがった熱可塑性プリフォームの熱処理のための別の方法を示す図である。
【0061】
【図17】動的に輸送されている部分に有利に加えられているREDヒータ要素を示す図である。
【0062】
【図18】本発明の特徴を例示するグラフである。
【0063】
【図19】(a)−(c)は、本発明の実施態様を例示する図である。
【0064】
【図20】(a)−(c)は、本発明の実施態様を例示する図である。
【0065】
【図21】(a)および(b)は、本発明の実施態様を例示する図である。
【0066】
【図22】本発明の実施態様を例示する図である。
【0067】
【図23】(a)−(c)は、本発明の実施態様を例示する図である。
【0068】
【図24】本発明の実施態様を例示する図である。
【0069】
【図25】本発明の実施態様を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
波長特定照射を提供する利益は、仮説の放射加熱例を見ることによって説明することができる。可視範囲から中赤外域範囲の電磁放射線にほぼ透明である材料が、ある製造操作を行うためにプロセス加熱を必要とすると仮定する。また、このほぼ透明な材料は、3.0〜3.25マイクロメートルの間に位置決めされた、狭いが重要な分子吸収帯域を有すると仮定する。上述の例は、業界内でどのようにもっとも有利に適用されているかを表す、現在の実施態様の代表的なものである。この特定のプロセス加熱用途のパラメータで放射加熱技術を使用する場合には、現在の技術では、およそ3000°Kのフィラメント温度で操作される石英ランプの使用が必要になる。このフィラメント温度では、基本的な物理計算によれば、有利なエネルギ吸収が発生する3.0〜3.25マイクロメートル帯域内には、石英ランプの合計放出放射エネルギのおよそ2.1%しか入らないという結果を生じる。本開示に示すように、波長特定放射エネルギ出力のみを生成する能力は、様々なプロセス加熱用途の効率を大いに改良する見込みがある。
【0071】
本発明は、そのような広帯域タイプの装置に置き換える目的のため、選択された波長で実質的な量の赤外線放射を直接出力することができる、新規なアプローチに直接関する。後述されるもの、および狭帯域照射の目的を達成する他のもの等の狭帯域照射源が、もっとも有利に使用される。
【0072】
半導体加工技術の近年の進歩により、1マイクロメートル(1,000ナノメートル)より上の一般的な中赤外域範囲で作用する直接電子−光子ソリッドステートエミッタを利用することができるようになった。これらのソリッドステート装置は、普通の発光ダイオード(LED)に類似して作用し、可視光線を発するのみならず、より長い中赤外域波長で真の熱IRエネルギを発する。1つの形態において、これらは、出力が偽単色であり、中赤外域波長帯域にある直接電子−光子コンバータとして機能することができる、使用可能で費用効率が高いソリッドステート装置の製造を妨げるバリアを突破する、量子ドット技術を利用するまったく新しいクラスの装置である。
【0073】
この新しいクラスの装置を従来のより短い波長の装置(LEDs)と区別するために、これらの装置は、放射輝度または放射線放出ダイオード(REDs)としてより適切に記載される。装置は、きつく制限された波長範囲で放射電磁エネルギを発する性質を有する。さらに、適切な半導体加工操作を通して、REDsを調整し、特定の放射処理用途にもっとも有利である特定の波長でREDsを発することができる。REDsは、ダイオード形態またはレーザダイオード形態、または、場合によっては、レーザ形態を初めとする様々な形態を取ることができる。たとえば、ターゲットまたはターゲット体の吸収性質に整合する所望の帯域または範囲で狭帯域照射が行われるどのようなタイプの装置を使用して本発明を実施してもよく、本願における参照を容易にするために、ここではREDsと称されてもよいことを理解すべきである。
【0074】
加えて、ターゲットされたIR範囲に、かつ潜在的にこれを超えて光子を生成するために、材料または量子ドットの小区域の無作為に分布されたアレイとして形成された反対のドープ領域に接触する、ドープされた平面領域の形成に関連したRED技術の刷新がある。この製作技術、または、新規半導体化合物の発達等の他のものが適切に加えられた技術は、本発明に適した偽単色ソリッドステート中赤外域エミッタを生む。また代替の半導体技術は、本発明を実施する適切なビルディングブロックである長波長赤外線および中赤外域の両方で利用可能になってもよい。
【0075】
これらの記載された実施態様で考えられる直接電子(または電流)−光子変換は、偽単色と称されることが多い狭い波長範囲内で発生し、製作されたダイオードエミッタの固有のバンドギャップおよび量子ドット形状に一致する。候補となるREDエミッタの半値の帯域幅(half-power band widths)は、20〜500ナノメートル範囲のいずれかに入ると予想される。このタイプの赤外線エミッタの狭帯域幅は、本発明の開示内容中に識別されるような様々な波長特定照射用途を支持しなければならない。RED装置およびそれを作る技術の1つの群は、別の特許出願、2004年11月16日に出願された米国予備特許出願第60/628,330号、発明の名称「量子ドット半導体素子(Quantum Dot Semiconductor Device)」、発明者Samar SinharoyおよびDave Wilt(代理人整理番号ERI.P.US0002、速達便ラベル番号EL726091609US)(2005年11月16日に米国特許出願第11/280,509号としても出願されている)の主題であり、この出願は、参照により本願に組み込まれる。
【0076】
この「量子ドット半導体素子」の出願によると、半導体素子は当該技術分野では既知である。それは、電磁放射線を電気に変換する太陽電池に用いられる。これらの素子はまた、発光ダイオード(LED)として用いることもでき、これは、電気エネルギを電磁放射線(たとえば、光)に変換する。大半の半導体用途では、所望のバンドギャップ(電子ボルト)または所望の波長(ミクロン)がターゲットにされ、所望のバンドギャップ範囲または波長範囲に合致するような方法で半導体が準備される。
【0077】
特定の波長のエネルギの放出または電子ボルトを達成する能力は、瑣末なものではない。実際、半導体は、特定の材料、そのエネルギギャップ、格子定数、および、固有の放出能力によって限定される。半導体素子を調整するために用いられている1つの技術は、二元または三元の化合物を用いることである。素子の組成特性を変えることによって、技術的に有用な素子が設計されてきた。
【0078】
半導体素子の設計を操作して、素子の挙動を調整することもできる。1つの例としては、量子ドットは、半導体素子内に含ませることができる。これらのドットは、量子閉じ込めキャリアであり、それによって、同一半導体のバルクサンプルと比較して、光子放出のエネルギを変えると思われている。たとえば、米国特許第6,507,042号には、量子ドット層を含む半導体素子が教示されている。具体的には、インジウムガリウムヒ素(InGa1−xAs)の層に置かれるインジウムヒ素(InAs)の量子ドットが教示されている。この特許には、量子ドット(すなわち、InAs)とドットが置かれる層(すなわち、InGa1−xAs)との間の格子不整合の量を制御することによって、量子ドットに関連した光子の放出波長を制御することができることが開示されている。この特許にはまた、InGa1−xAs基板内のインジウムのレベルを変えることによって、InGa1−xAs基板とInAs量子ドットとの間の格子不整合を制御することができるという事実が開示されている。InGa1−xAs基板内ののインジウムの量が増加するにつれて、不整合の程度が減少し、光子放出に関連した波長が増加する(すなわち、エネルギギャップが減少する)。実際、この特許には、基板内のインジウムの量が約10%から約20%へ増加すると、関連光子の波長が約1.1μmから約1.3μmへ増加することができることが開示されている。
【0079】
米国特許第6,507,042号に開示された技術は、約1.3μmの波長を有する光子を放出するか、吸収することができる装置を提供することに有用であると認めているが、InGa1−xAs基板内のインジウムの量を増加する能力は限定されている。言い換えると、インジウムのレベルが20%、30%、または、40%を超えてまで増加すると、結晶構造内の不完全さ、または欠陥の程度が限界になる。これは、InGa1−xAs基板が、ガリウムヒ素(GaAs)基板またはウェーハに置かれる場合に、特にそうである。したがって、米国特許第6,507,042号に開示された技術を用いることによって、より長い波長(より低いエネルギギャップ)の光子を放出するか吸収する装置を実現することはできない。
【0080】
したがって、1.3μmよりも長い波長の光子を放出するか、吸収する半導体素子を有することが望ましく、この性質の半導体素子に対することである。
【0081】
一般に、REDは、InGa1−xAs層を備える半導体素子を有している。ここで、xは、約0.64〜約0.72重量%インジウムのモル分率である。量子ドットは上記InGa1−xAs層に位置し、そこで量子ドットは、InAsまたはAlIn1−zAsを含んでいる。ここで、zは、約5重量%未満のアルミニウムのモル分率である。
【0082】
本発明もまた、InAsまたはAlIn1−zAsを含む量子ドットを有する半導体素子を含む。ここで、zは、約5重量%未満のアルミニウムのモル分率である。さらに、量子ドットの少なくとも一部に接触するクラッド層を含む。ここで、量子ドットおよび上記クラッド層の格子定数は、少なくとも1.8%で、かつ2.4%未満だけ不整合である。
【0083】
半導体素子は、インジウムヒ素(InAs)またはアルミニウムヒ化インジウム(AlIn1−zAs、ここで、zは、0.05に等しいかそれ未満)量子ドットを含む量子ドット層を、インジウムガリウムヒ素(InGa1−xAs)層上に含む。これは、InGa1−xAsマトリクスクラッディングと称されてもよい。該ドットおよびInGa1−xAsマトリクス層の格子定数は、不整合である。格子不整合は、少なくとも1.8%であってもよく、他の実施態様では少なくとも1.9%、他の実施態様では少なくとも2.0%、かつ、他の実施態様では少なくとも2.05%であってもよい。有利には、不整合は3.2未満であってもよく、他の実施態様では3.0%未満、他の実施態様では2.5%未満、他の実施態様では2.2%未満であってもよい。1つまたはそれ以上の実施態様において、InGa1−xAsマトリクスクラッディングの格子定数は、該ドットの格子定数未満である。
【0084】
該ドットがInGa1−xAsクラッディングマトリクス上に位置するそれらの実施態様において、このクラッディングマトリクス層内のインジウムのモル濃度(すなわち、x)は、約0.55〜約0.80であってもよく、任意に約0.65〜約0.75、任意に約0.66〜約0.72、かつ、任意に約0.67〜約0.70であってもよい。
【0085】
1つまたはそれ以上の実施態様において、InGa1−xAsクラッディングマトリクスは、該InGa1−xAsクラッディングマトリクスに格子整合するリン化インジウムヒ素(InP1−yAs)層上に位置する。1つまたはそれ以上の実施態様において、InGa1−xAsクラッディングが置かれるInP1−yAs層は、InGa1−xAsクラッディングと半導体が支持される基板との間に存在する複数のグレーデッド(graded)(連続した、または別々の)InP1−yAs層の1つである。1つまたはそれ以上の実施態様において、基板は、リン化インジウム(InP)ウェーハを有する。半導体はまた、InGa1−xAsクラッディングと基板との間に位置決めされた、1つまたはそれ以上の他の層、たとえば、InGa1−xAs層を含んでいてもよい。
【0086】
1つの実施態様が、図1に示されるが、図1および他の図は概略図であり、各層または構成要素に対して、または、比較上、各層の間の相対厚さまたは寸法に対して、一定の縮尺で描かれてはいない。
【0087】
装置1000は、基板1020と、任意の伝導層1025と、緩衝構造物1030と、クラッド層1040と、ドット層1050と、を含む。当業者が認識するように、ある半導体装置は、電流を電磁放射線に、または、電磁放射線を電流に変換することによって作動する。これらの装置内で電磁放射線または電流を制御する能力は、当該技術分野では既知である。本開示は、必ずしもこれらの従来の設計を変えるものではなく、その多くは、半導体装置を製造するか、または設計する当該技術分野では既知である。
【0088】
1つの実施態様においては、基板1020は、リン化インジウム(InP)を含む。InP基板1020の厚さは、250ミクロンより大きくてもよく、他の実施態様では300ミクロンより大きくてもよく、他の実施態様では350ミクロンより大きくてもよい。有利には、厚さは、700ミクロン未満であってもよく、他の実施態様では600ミクロン未満であってもよく、他の実施態様では500ミクロン未満であってもよい。
【0089】
1つまたはそれ以上の実施態様において、想定された半導体素子は、リン化インジウム(InP)のエピタキシャルに成長した層を任意に含んでもよい。このエピタキシャルに成長したリン化インジウム層の厚さは、約10nm〜約1ミクロンであってもよい。
【0090】
1つの実施態様において、任意の伝導層1025は、インジウムガリウムヒ素(InGa1−xAs)を含む。この層内のインジウムのモル濃度(すなわち、x)は、約0.51〜約0.55であってもよく、任意に約0.52〜約0.54、かつ、任意に約0.53〜約0.535であってもよい。1つまたはそれ以上の実施態様において、伝導層1025は、InP基板に格子整合する。
【0091】
伝導層1025は、所与の装置に十分な電気伝導性を提供するために、所与の値にドープされてもよく、かつ適切な厚さであってもよい。1つまたはそれ以上の実施態様において、厚さは、約0.05ミクロン〜約2ミクロンであってもよく、任意に約0.1ミクロン〜約1ミクロンであってもよい。
【0092】
1つまたはそれ以上の実施態様において、緩衝層1030は、リン化インジウムヒ素(InP1−yAs)を含む。ある実施態様においては、緩衝層1030は、少なくとも2つの、任意に少なくとも3つの、任意に少なくとも4つの、また、任意に少なくとも5つのInP1−yAs層を含み、各層の格子定数は、層が基板1020からより遠くに位置決めされるにつれ、増加する。たとえば、図2に描かれるように、緩衝層1030は、第1の緩衝層1032、第2の緩衝層1034および第3の緩衝層1036を含む。緩衝構造物1030の底部層表面1031は基板1020に隣接し、緩衝構造物1030の頂部平表面1039はバリア板1040に隣接する。第2の層1034の格子定数は第1の層1032より大きく、第3の層1036の格子定数は第2の層1034より大きい。
【0093】
当業者が認識するように、緩衝構造物1030の個別層の格子定数は、連続層の組成を変えることによって増加させることができる。1つまたはそれ以上の実施態様において、InP1−yAs緩衝層のヒ素の濃度は、各連続層で増加する。たとえば、第1の緩衝層1032は、約0.10〜約0.18モル分率のヒ素(すなわち、y)を含んでもよく、第2の緩衝層1034は、約0.22〜約0.34モル分率のヒ素を含んでもよく、第3の緩衝層1036は、約0.34〜約0.40モル分率のヒ素を含んでもよい。
【0094】
1つまたはそれ以上の実施態様において、隣接する緩衝層の間(たとえば、層1032と層1034との間)のヒ素の増加は、0.17モル分率未満である。連続緩衝層の間に形成されたいずれの欠陥は、ヒ素含有量の増加から生じる格子定数の変化のため生じるもので、半導体には有害ではないと思われる。このように臨界組成グレーディング(critical composition grading)を使用する技術は、米国特許第6,482,672号に記載されたように、既知であり、それは、参照してここに組み込まれる。
【0095】
1つまたはそれ以上の実施態様において、第1の緩衝層1032の厚さは、約0.3〜約1ミクロンであってもよい。1つまたはそれ以上の実施態様において、頂部緩衝層は、格子構造物の完全な緩和を確実にするため、一般により厚くなっている。
【0096】
1つまたはそれ以上の実施態様において、緩衝構造物1030の頂部1039にあるか、それに近い個別の緩衝層(たとえば、緩衝層1036)は、約5.869Å〜約5.960Å、任意には約5.870Å〜約5.932Å、である格子定数を有するように設計される。
【0097】
1つまたはそれ以上の実施態様において、緩衝構造物1030の底部1031にあるか、それに近い個別の緩衝層(たとえば、緩衝層1032)は、臨界組成グレーディング技術の範囲内で設計されることが好ましい。言い換えると、第1の緩衝層(たとえば、緩衝層1032)がInPウェーハ上に置かれるため、第1の緩衝層(たとえば、緩衝層1032)内に存在するヒ素の量は、17モル分率未満である。
【0098】
クラッド層1040は、InGa1−xAsを含む。1つまたはそれ以上の実施態様において、この層は、緩衝構造物1030の頂部1039、またはその近くにある頂部緩衝層の面内格子定数に格子整合することが好ましい。格子整合という用語は、互いの100万当たり500部(すなわち、0.005%)内である格子定数によって特徴づけられる連続層を意味する。
【0099】
1つまたはそれ以上の実施態様において、クラッド層1040は、約10オングストローム〜約5ミクロンである厚さを有してもよく、任意には約50nm〜約1ミクロン、また、任意には約100nm〜約0.5ミクロンであってもよい。
【0100】
1つまたはそれ以上の実施態様において、量子ドット層1050は、インジウムヒ素(InAs)を含む。層1050は、湿潤層1051および量子ドット1052を含むことが好ましい。湿潤層1051の厚さは、1つまたは2つのモノ層であってもよい。1つの実施態様において、ドット1052の厚さは、層1050の底部1053およびドット1055のピークから測定して、約10nm〜約200nmであってもよく、任意には約20nm〜約100nm、また、任意には約30nm〜約150nmであってもよい。また、1つの実施態様において、ドット1052の平均直径は、10nmより大きくてもよく、任意には40nmより大きくてもよく、また、任意には70nmより大きくてもよい。
【0101】
1つまたはそれ以上の実施態様において、量子層1050は、ドットの複数の層を含む。たとえば、図3に示されるように、量子ドット1050は、第1のドット層1052と、第2のドット層1054と、第3のドット層1056と、第4のドット層1058とを含んでもよい。各層は、インジウムヒ素InAsを含み、それぞれ、湿潤層1053、1055、1057および1059を含む。各ドット層は、同様に、ドット1055を含む。湿潤層およびドットを含む各ドット層の特徴は、実質的に類似しているが、同一である必要はない。
【0102】
ドット層1052、1054、1056および1058の各々の間に、それぞれ中間クラッド層1062、1064、1066および1068が置かれる。これらの中間クラッド層は、InGa1−xAsを含む。1つまたはそれ以上の実施態様において、InGa1−xAs中間クラッド層は、クラッド層1040に実質的に類似するか同一である。言い換えると、中間クラッド層は、バリア層1040に格子整合することが好ましく、またそれは、頂部緩衝層1036に格子整合することが好ましい。1つまたはそれ以上の実施態様において、中間クラッド層1062、1064、1066および1068の厚さは、約3nm〜50nmであってもよく、任意には約5nm〜約30nm、かつ、任意には約10nm〜約20nmであってもよい。
【0103】
上記のように、量子ドット層を取り囲む様々な層は、電流フローを操作するために、陽性または陰性にドープされてもよい。半導体素子内で電流フローを操作するための技術は、たとえば、米国特許第6,573,527号、第6,482,672号および第6,507,042号に記載されたように、当該技術分野では既知であり、これらの特許は参照により本願に組み込まれる。たとえば、1つまたはそれ以上の実施態様において、領域または層は、亜鉛、炭素、カドミウム、ベリリウムまたはマグネシウムを用いることにより、「p型」にドープすることができる。他方、ケイ素、硫黄、テルル、セレン、ゲルマニウムまたは錫を用いることにより、「n型」にドープすることができる。
【0104】
想定された半導体素子は、当該技術分野で既知の技術を用いることによって、準備することができる。たとえば、1つまたはそれ以上の実施態様において、有機金属気相エピタクシ(OMVPE)を用いることによって、様々な半導体層を準備することができる。1つまたはそれ以上の実施態様において、ストランスキ・クラスタノフ(Stranski−Krastanov)モード(S−Kモード)等の自己形成技術を用いることによって、ドット層を準備することができる。この技術は、米国特許第6,507,042号に記載されており、これは参照により本願に組み込まれる。
【0105】
量子ドットを含む放射線放出装置(RED)の1つの実施態様は、図4に示される。RED1100は、基部接触1105と、赤外線リフレクタ1110と、半絶縁性半導体基板1115と、n型側方向伝導層(LCL)1120と、n型緩衝層1125と、クラッド層1130と、量子ドット層1135と、クラッド層1140と、p型層1145と、p型層1150と、エミッタ接触1155と、を含む。基部接触1105、赤外線リフレクタ1110、半絶縁性半導体基板1115、n型側方向伝導層(LCL)1120、n型緩衝層1125、クラッド層1130、量子ドット層1135、およびクラッド層1140は、上述の半導体層に類似する。
【0106】
基部接触1105は、多数の高伝導性材料を含んでもよい。例示的な材料として、金、金亜鉛合金(特に、p−領域に隣接するとき)、金ゲルマニウム合金、または、金ニッケル合金、または、クロム金(特に、n−領域に隣接するとき)が挙げられる。基部接触1105の厚さは、約0.5〜約2.0ミクロンであってもよい。チタンまたはクロムの薄い層を使用して、金と誘電材料との間の接着を高めてもよい。
【0107】
赤外線リフレクタ1110は、反射性材料と、任意には誘電材料と、を備える。たとえば、酸化ケイ素を誘電材料として用いることができ、また金を、赤外線反射材料としてその上に置くことができる。リフレクタ1110の厚さは、約0.5〜約2ミクロンであってもよい。
【0108】
基板1115は、InPを含む。基板1115の厚さは、約300〜約600ミクロンであってもよい。
【0109】
側方向伝導層1120は、InP基板1115に格子整合する(すなわち、500ppm内で)InGa1−xAsを含む。また、1つまたはそれ以上の実施態様において、層1120は、n−ドープされる。好適なドーパントはケイ素であり、ドーピングの好適な濃度は、約1〜約3E19/cmであってもよい。側方向伝導層1120の厚さは、約0.5〜約2.0ミクロンであってもよい。
【0110】
緩衝層1125は、上述のものと一致した方法でInP1−yAsの3つのグレーデッド層を含む。層1125はnドープされることが好ましい。好適なドーパントはケイ素であり、ドーピング密度は、約0.1〜約3E9/cmであってもよい。
【0111】
クラッド層1130は、緩衝層1125の頂部(すなわち、第3のグレードまたはそのサブ層)の面内格子定数に格子整合する(すなわち、500ppm内で)InGa1−xAsを含む。1つまたはそれ以上の実施態様において、InGa1−xAsクラッド層1130は、約0.60〜約0.70%モル分率インジウムを備える。クラッド層1130の厚さは約0.1〜約2ミクロンである。
【0112】
量子ドット層1135は、本発明の教示に関して上述したように、InAsドットを備える。先の実施態様と同様に、各ドット層の間の中間層は、クラッド層1130に類似した(すなわち、格子整合した)InGa1−xAsクラッドを含む。1つまたはそれ以上の実施態様において、1つまたはそれ以上の連続中間クラッド層のインジウムの量は、クラッド層1130、または、先の、または、より低い中間層よりも少ないインジウムを含んでもよい。
【0113】
クラッド層1140は、緩衝層1125の頂部(すなわち、第3のグレードまたはそのサブ層)に格子整合する(すなわち、500ppm内で)InGa1−xAsを含む。
【0114】
閉じ込め層1145は、InGa1−xAs層1140に格子整合するInP1−yAsを含む。また、1つまたはそれ以上の実施態様において、層1145はp−ドープされる。好適なドーパントは亜鉛であり、ドーピング濃度は、約0.1〜約4E19/cmであってもよい。閉じ込め層1145の厚さは約20nm〜約200nmであってもよい。
【0115】
接触層1150は、閉じ込め層1145に格子整合するInGa1−xAsを含む。接触層1150は、pドープされることが好ましい(たとえば、亜鉛でドープされる)。ドーピング濃度は、約1〜約4E19/cmであってもよい。接触層1150の厚さは、約0.5〜約2ミクロンである。接触層1150は、下層1155を除いて表面全体から除去されてもよい。
【0116】
エミッタ接触1155は、いずれの高伝導性材料を含んでもよい。1つまたはそれ以上の実施態様において、伝導性材料は、金/亜鉛合金を含む。
【0117】
他の実施態様が、図5に示される。半導体素子1200は、p領域内にトンネル接合を備えた放射線放出ダイオードとして構成される。この設計は、有利なことに、より低い抵抗接触およびより低い抵抗電流分布を提供する。半導体1200の多くの態様は、図4に示された半導体1100に類似している。たとえば、接触1205は接触1105に類似してもよく、リフレクタ1210はリフレクタ1110に類似してもよく、基板1215は基板1115に類似してもよく、側方向伝導層1220は伝導層1120に類似してもよく、緩衝層1225は緩衝層1125に類似してもよく、クラッド層1230はクラッド層1130に類似してもよく、ドット層1235はドット層1135に類似してもよく、クラッド層1240はクラッド層1140に類似してもよく、閉じ込め層1245は閉じ込め層1145に類似してもよい
【0118】
トンネル接合層1247は、閉じ込め層1245に格子整合するInGa1−xAsを含む。トンネル接合層1247の厚さは、約20〜約50nmである。トンネル接合層1247は、p−ドープされる(たとえば、亜鉛で)ことが好ましく、ドーピング濃度は、約1〜約4E19/cmであってもよい。トンネル接合層1250は、トンネル接合1247に格子整合するInGa1−xAsを含む。トンネル接合層1250の厚さは、約20〜約5,000nmである。トンネル接合層1250は、n−ドープされる(たとえばケイ素)ことが好ましく、ドーピング濃度は、約1〜約4E19/cmである。
【0119】
エミッタ接触1255は、様々な高伝導性材料を含んでもよいが、たとえば、クロム金、金ゲルマニウム合金または金ニッケル合金のような、n領域に好適である材料を含むことが好ましい。
【0120】
REDの他の実施態様が、図6に示される。半導体素子1300は、図5に示されたREDに類似した方法で放射線放出ダイオードとして構成されるが、少なくとも部分的には基部リフレクタがないため(たとえば、図5に示された1210等のリフレクタがない)、半導体素子の基板を通って電磁放射線を放出されることを除く。また、図6に示された半導体素子1300は、エミッタ接触/赤外線リフレクタ1355を含む。これは、装置の表面全体(または実質的に表面のすべて)を覆う「完全接触」となる。
【0121】
すべての他の態様において、素子1300は素子1200に類似する。たとえば、接触1305は接触1205に類似してもよく、基板1315は基板1215に類似してもよく、側方向伝導層1320は伝導層1220に類似してもよく、緩衝層1325は緩衝層1225に類似してもよく、クラッド層1330はクラッド層1230に類似してもよく、ドット層1335はドット層1235に類似してもよく、クラッド層1340はクラッド層1240に類似してもよく、閉じ込め層1345は閉じ込め層1245に類似してもよく、トンネル接合層1347はトンネル接合層1247に類似し、トンネル接合層1350はトンネル接合層1250に類似する。
【0122】
想定された半導体技術はまた、レーザダイオードの製造にも用いられてもよい。例示的なレーザが、図7に示される。レーザ1600は、接触1605を含み、これは、金クロム合金等のいずれの伝導性材料を含むことができる。接触層1605の厚さは、約0.5ミクロン〜約2.0ミクロンである。
【0123】
基板1610は、約5〜約10E18/cmの濃度でnドープされることが好ましいリン化インジウムを含む。基板1610の厚さは、約250〜約600ミクロンである。
【0124】
任意のエピタキシャルリン化インジウム層1615が、約0.2 4E19/cm〜約1E19/cmの濃度でnドープされることが好ましい。エピタキシャル層615の厚さは、約10nm〜約500nmである。
【0125】
グレーテッド(grated)InP1−yAs層1620は、図2に示されたグレーテッドInP1−yAs緩衝に類似する。緩衝1620は、約1〜約9E18/cmの濃度でnドープされることが好ましい。
【0126】
層1625および1630は、導波管1627を形成する。層1625は、インジウムガリウムヒ素リン(In1−xGAAs1−z)を含む。層1630も同様に、In1−xGAAs1−zを含む。両方の層1625および1630は、層1620の頂部に格子整合される。言い換えると、層1625および1630は、約0〜約0.3モル分率のガリウム、および、0〜約0.8モル分率のヒ素を含む。層1625は、約0.5〜約2ミクロン厚であり、約1〜9E18/cmの濃度でnドープされる。層1630は、約500〜1,500nmであり、約0.5〜1E18/cmの濃度でnドープされる。
【0127】
閉じ込め層1635、ドット層1640および閉じ込め層1645は、他の実施態様で上述されたドット層および閉じ込め層に類似する。たとえば、閉じ込め層1635は閉じ込め層1040に類似し、ドット層1640は、図3に示されたドット層1050に類似する。1つまたはそれ以上の実施態様において、レーザ装置のドット領域内で用いられるドット層の数は、5ドット層を超え、任意に7ドット層を超え、かつ、任意に9ドット層(たとえば、サイクル)を超える。閉じ込め層1635および1645は、約125〜約500nmの厚さでもよく、導波管に格子整合される。層1635、1640および1645は、ドープされないことが好ましい(すなわち、固有である)。
【0128】
層1650および1655は、導波管1653を形成する。層1625および1630に類似した方法で、層1650および1655は、緩衝1620の頂部に格子整合されるIn1−xGAAs1−zを含む。層1650は、約0.5〜約1E18/cmの濃度でpドープされた約500〜1,500nmである。層655は、約1〜約2ミクロン厚であり、約1〜約9E18/cmの濃度でpドープされている。
【0129】
1つの実施態様において、層1660は、緩衝層1620に類似した緩衝層である。すなわち、各グレードが量子ドットからさらに離れるにつれて、ヒ素のモル分率は減少する。層1660は、約1〜9E18/cmの濃度でpドープされることが好ましい。
【0130】
層1665は、リン化インジウム(InP)を備える。層1665の厚さは、約200〜約500nm厚であり、約1〜約4E19/cmの濃度でpドープされることが好ましい。
【0131】
層1670は、先の実施態様に記載された他の接触層に類似した接触層である。
【0132】
他の実施態様において、層1660、1665および1670は、他の実施態様に関して記載された他の構成に類似することができる。たとえば、これらの層は、図4に示された層1145、1150および1155に類似することができる。代替的に、図5に示された1245、1247、1250および1255に類似した層を、層1660、1665および1670に置き換えることができる。
【0133】
これらの装置の実施態様の範囲および精神から逸脱しない様々な修正例および代替例は、当業者にとっては明白である。
【0134】
当然ながら、1つの態様において、本発明はここに記載されたようなRED要素を組み込むことを認識すべきであるが、様々な他の装置技術が用いられてもよいことを理解すべきである。たとえば、1.6マイクロメートル〜5.0マイクロメートルの範囲で作用する実験用中間IR LEDは既知であるが、製品化されてはいない。加えて、様々な半導体レーザおよびレーザダイオードが、適切な修正をして、用いられてもよい。たとえば、およそ1.2ミクロンよりも大きい範囲で、ターゲットの吸収特性に整合した狭帯域で波長を生成する、長期間の寿命特性(たとえば、寿命が10〜15,000時間よりも大きい)を有するレーザダイオードまたは他の装置に使用することができる。1つの態様において、そのような装置は、リン化インジウムから作られてもよく、比較的低い電力のデータ通信用途(たとえば、電気通信)で、100,000時間以上の耐用期間を有することがわかった。高電力用途の推定寿命は、装置が適切に冷却される場合には、類似しなければならない。当然ながら、有利な波長で限定帯域幅照射を効率的に生成するための、他の実現可能な技術が開発されてもよい。再度、参照に際して、すべてのそのような装置は、本願では(様々な時に)REDと称されてもよい。
【0135】
特定の用途に本発明を実施するために、通常、適切な照射の振幅を有するために多くの適切な装置を展開する必要がある。再度、1つの形態において、これらの装置は、RED装置である。本発明の大半の熱応用において、そのような装置は、典型的には、何らかの種類の高密度x−yアレイ、または、複数のx−yアレイに展開され、そのいくつかは、個別RED装置の専用配列の形態を取ることができる。アレイは、使用される装置のタイプおよびサイズ、必要な出力、および、本発明の特定の実施に必要な波長に依存して、単一の装置から、より典型的には、装置の何百、何千の、または、無数のアレイへの範囲であり得る。RED装置は、通常、特別な熱除去設備を要するものでなければ、少なくとも熱放散能力を有する回路基板に装着される。RED装置は、非常に高い密度/近接近展開でそのような回路基板に装着されることが多い。高出力用途に望ましい密度を最大限にするために、ダイ装着および回路基板構造に、最近の革新技術を活用することができる。たとえば、フリップチップで使用されるような技術が、そのような目的には有利である。RED装置の効率は、ダイオード装置のこの独特のクラスでは良好であるが、電気エネルギ入力の大半は、局所的熱に直接変換される。この廃熱は、個別の装置を過熱し、焼き切るのを防止するために、半導体接合部から追い出されなければならない。最高密度のアレイでは、能動および/または受動の冷却を備えたフリップチップおよびチップオンボード実装技術が使用されてもよい。実用性および位置決めの柔軟性のために、複数の回路基板が使用されることが多い。x−yアレイもまた、たとえば1マイクロメートル〜5マイクロメートルの範囲で赤外線放射の少なくとも2つの異なる選択された波長を表すRED装置の混合物を備えてもよい。
【0136】
大半の用途では、RED装置は、様々なサイズのアレイで有利に展開され、そのいくつかは、一定のタイプのターゲットにより良好に照射するために、本来、三次元または非平面であってもよい。少なくとも下記の理由のため、これは真実である。すなわち、
1.複数の装置の出力を組み合わせることによって、十分な出力を提供することができる。
2.単一の装置が適切に照射することができるよりも、より広い表面上に十分に「拡散した」出力を提供することができる。
3.RED装置のアレイがプログラム可能であることを用途にもたらすことができる機能性を提供することができる。
4.本明細書に記載された多くの機能的理由のため、異なる特定の波長が調整されたアレイ装置への混合を可能にする。
5.特定の適用要件に、出力の「形状(geometry)」を整合させるのを容易にする。
6.装置の装着場所、放射角度および経済を、適用要件に整合させるのを容易にする。
7.可動ターゲットの出力の同期、または他の「出力運動(output motion)」を容易にする。
8.共通制御回路を備えた装置の駆動群に適応させることができる。
9.多段加熱技術に適応させることができる。
【0137】
ダイオードの典型的な最終用途のため、接合部のサイズを減少することによって、これらはコストを最小限にするような方法で製造されてきた。したがって、コストに直接的に相互関連する半導体ウェーハ区域はあまり必要としない。RED装置の最終用途は、より多くの光子の形態で、実質的な放射エネルギ出力を必要とすることが多い。REDは、大きな光子生成足跡接合区域を形成する創造的な方法で製造することができることが理論化されている。そうすることによって、劇的に高い中赤外域放射出力を維持することができるRED装置を生成することが可能である。そのような装置が利用可能である場合には、本発明を実施するのに必要なRED装置の絶対数を減少することができる。しかし、本発明の多くの用途に関連した高出力を前提とすると、装置の数が単一装置に減少することは、必ずしも望ましくはないか、または、実際的ではない。本発明は、低出力用途に、単一波長用途に、または、十分な出力能力を備えたRED装置を製造することができる場合には、単一の装置で実施することができる。
【0138】
同様に、集積回路としてRED装置アレイを製造することが可能である。そのような実施では、REDは、ケイ素の単一片の閉じ込め内にまたは他の適切な基板内に配置されるが、チップ上で光子変換照射サイトとして機能する複数の接合部を備える。これらは、電気接続のためにボールグリッドアレイを使用する他の集積回路実装に類似することができる。そのような装置実装は、次いで、アレイとして使用されることができ、制御システムに接続し、それによって制御するための、所望の電気接続性を容易にする。また、設計パラメータとしては、損傷が発生する前に、現在の化学的性質では、およそ100°〜105°Cに達することが許容されるべきでない接合部温度に制御される。将来の化合物が高い耐熱性を有することが予想されるが、熱は常に、用いられる装置の臨界損傷範囲より下に保たれなければならない。これらは、個別にまたは複数単位で回路基板上でさらに展開されることができるか、または、用途および経済によって指示されるように、装置のより高いレベルのアレイとして配置することができる。
【0139】
RED装置を照射アレイに展開するための最良の構成を設計する際には、装置のフォームファクタとは無関係に、設計者はあらゆる範囲の変動要因を考慮しなければならない。ターゲットの用途を鑑みて考慮すべき変動要因のいくつかは、実装、展開の容易さ、コスト、電子接続性、プログラム可能である考慮事項への制御、冷却、展開の環境、パワールーティング、パワーサプライ、ストリング電圧、ストリング形状、照射要件、安全性、および、当業者が理解する他の多くのことを含む。
【0140】
製品を製造するために使用されるすべての原料は、電磁スペクトル内の様々な波長における特定の吸収および透過特性に関連している。各原料はまた、特有の赤外反射および放出特性を有するが、これらを検討するのにはここでは時間を割かないが、それは、本発明の実施が吸収/透過特性によってより行われるためである。いずれの所与の波長における吸収の割合は、いずれかの特定の原料で測定し、図表にすることができる。これは、次いで、本明細書で後により詳細に説明され、例を挙げられるように、広範囲の波長にわたって図式的に示すことができる。各タイプの原料が異なる波長で特有の吸収または透過特性を有するため、最良の熱プロセス最適化のために、これらの原料特性を知ることは非常に価値がある。一定の原料が波長の一定の範囲で高度に透過性である場合には、その波長範囲でその原料を加熱しようとすることは、極めて非効率的であることを認識しなければならない。逆に、原料が一定の波長で吸収的でありすぎる場合には、放射加熱を加えると、原料の表面を加熱することになる。非効率的な熱導体である原料には、通常、原料を通して均一に加熱することは最適な方法とはいえない。
【0141】
様々な原料が様々な波長で特定の吸収および透過特性を有するという事実は、当該技術分野では、長年に亘りよく知られている。しかし、特定の波長で、または波長の組み合わせで特定することができる高出力赤外線源が利用可能ではなかったため、現行の加熱または加工操作の多くを充分に最適化することはできなかった。赤外線放射の特定の波長を製品に送出することは実際的ではなかったため、多くの製造業者は、自分たちの特定の製品がもっとも望ましく加熱または加工される波長に気付いていない。しかし、本発明は、加熱されるべきターゲットの吸収性質に適合する狭帯域照射源を利用する。そのため、たとえば、下記に例示されるように、PETの吸収範囲(たとえば、1.5マイクロメートル〜2.5マイクロメートル)または吸収帯域(たとえば、およそ1.6マイクロメートルまたは図9および10に示された他のもの)が、容器業界で有利に使用することができる。PETプリフォームでは、少なくとも1つの形態で、1.2ミクロンより上の範囲または狭帯域で照射することができる装置を使用することが有利であるかも知れない。上記に示唆されたように、少なくとも1つの形態で、そのような装置(リン化インジウムを使用して形成されたもの等)が、長い使用可能寿命特性を有することができ、その使用可能寿命は、100,000時間を超えることがある。PLA、トウモロコシを原料とするプラスチック樹脂等の他のタイプの原料を使用するときも、類似のアプローチを使用することができる。
【0142】
これは、プラスチック業界を例にとって説明される。図9および10を参照すれば、プラスチックの飲料容器が延伸ブロー成形されるポリエチレンテレフタレート(業界では既知のPET樹脂原料)の透過曲線を調べることによって、PET原料が、長波長領域では高度に吸収性があり、可視および近赤外波長領域では高度に透過性があることを観察することができる。この透過性は1マイクロメートル〜5マイクロメートルの間で劇的に変動する。この透過性は、その範囲で劇的に変動するだけではなく、頻繁にかつ突然に変動し、実質的に0.1マイクロメートル内であることが多い。
【0143】
たとえば、2.9マイクロメートルで、PETは、非常に強い吸収性がある。これは、赤外線放射が2.9マイクロメートルでPETに導入された場合、原料の表面または外皮でほぼすべて吸収されることを意味する。原料の外側表面のみを加熱することが望ましい場合には、この波長を使用することができる。PETは、非常に不良な熱の導体であり(熱伝導率が低い)、また、延伸ブロー成形操作では、PET原料を中から深く、かつその容量全体にわたって均一に加熱することがより望ましいため、これは、実際には、PETを適切に加熱するには悪い波長である。
【0144】
別の条件を見ると、1.0マイクロメートル(1000ナノメートル)で、PET原料は、高度に透過性がある。これは、PETの表面に衝突するこの波長での放射の高い割合が、PETを通って透過し、いずれの優先的な加熱を与えずに出て行き、したがって、大部分は廃棄されることを意味する。電磁エネルギの透過度は、すべての誘電体の厚さに応じて指数関数的に減少するため、原料の厚さがその原料の最適波長の選択に実質的に影響を与えることに留意することが重要である。
【0145】
ここではPET熱可塑性材料が例として使用されているが、異なる業界で使用される非常に広い範囲の異なるタイプの材料に、また、異なるタイプの加工に、この原理が当てはまることを理解すべきである。非常に異なる例として、グルー接着または接着積層システムがあげられる。たとえば、PEN(ポリエチレンナフタレート)またはPLA(ポリ乳酸)は、これらの原理を適用してもよい材料である。この例では、グルー接着されるべき母材が、選ばれた赤外線波長で非常に透過性であると仮定すると、用いられるべき熱硬化グルーは、その同一の波長で非常に吸収性があってもよく、この特定の有利な波長でグルー/ラミネートサンドイッチを照射することによって、隣接する母材ではなく、グルーが加熱されるため、プロセスはさらに最適化することができる。これらの波長の相互作用を選択的に選ぶことによって、業界内で様々な広く多様性のある種類の加工または加熱用途において、最適点を見つけることができる。
【0146】
過去において、特定の波長で比較的高い赤外線放射密度を生成する能力は、業界では簡単に入手することはできず、したがって、このタイプの加熱または加工最適化が利用できないため、大半の製造業者によってこれは企図されていなかった。そのような波長特定赤外線放射力の利用可能性が、まったく新しい方法およびプロセスを開くものと予想される。本発明は、そのような新しいプロセスを実用化し、広い範囲の用途に、柔軟な適用性を有する実用的な技術を提供する。本発明の第1の利用は、工業であると予想されるが、商業、医療、民生および他の領域でも同様に多くの用途があることも認められる。
【0147】
本発明は、現在広く使用されている広帯域石英赤外線加熱バルブまたは他の従来の加熱装置の代替として、非常に有用であることが予想される。そのような石英バルブは、熱成形操作のためのプラスチック材料の加熱シートを含む一連の物に使用される。本発明は、石英赤外線ランプまたは他の従来の加熱装置の既存の機能に対する代替として利用することができるだけではなく、実質的な追加の機能を有することも考えられる。
【0148】
本発明は、また一方、連続してエネルギを与えるか、または、代替的なパルスモードか、のいずれかで放射エネルギを生成することができる。基本的な狭帯域照射源、たとえばRED、または本発明の他の装置は、マイクロ秒で測定される非常に速い応答時間を有するため、必要なとき、または、ターゲット構成要素がターゲット区域内にあるときに、エネルギをオンにし、またターゲット区域内にないときには、エネルギをオフにすることが、よりエネルギ効率的である。
【0149】
赤外線源にパルスエネルギを与えることができるという追加的な機能は、多くの放射加熱用途の全体的エネルギ効率にかなりの改良を与えることができる。たとえば、個別の、または、アレイの狭帯域照射源、たとえば赤外線放射放出装置(REDs)の、エネルギ付与時間を適切に調節することによって、大きな赤外線アレイ源を過ぎて動く個別ターゲットを追跡することが可能である。言い換えると、ターゲット装置にもっとも近い赤外線放出装置が、エネルギ付与されるものである。ターゲット部材または領域が前方へ動くときに、「エネルギ付与波」が、アレイを通過することができる。
【0150】
熱成形される加熱材料の場合には、より穏やかに成形されるか、またはまったく成形されない区域に比べて、より厳しく成形される区域に、より多く熱入力を加えることが望ましい。赤外線エミッタアレイの構成を正しく設計することによって、すべの装置を同時にエネルギ付与しないことが可能であるのみならず、加熱されるべき区域の形状に対応して極めて戦略的にエネルギ付与することができる。連続して動いている生産ライン用に、たとえば、加熱されるべきターゲット領域と同期した動きでプログラム可能に動くことができる所望の熱プロファイルの、特定の形状区域をプログラムすることがもっとも望ましい場合もある。図17に示すように、加熱を必要とする額縁形状の区域を検討する。この場合、ターゲットの熱成形シート(401)の動きと同期して、アレイをプログラム可能に動く所望の放射強度で、類似額縁形状アレイの装置(402)を設けることが可能である。熱成形シート(401)等の製品の動きを追跡するエンコーダを使用することにより、よく知られている電子機器同期技術を使用し、プログラム可能なコントローラまたはコンピュータの指令に従って、所望の強度で正しい装置をターンオン(turn on)することができる。アレイ内の装置は、「連続」モードまたは「パルス」モードのいずれかで、所望の出力強度用に制御システムによってオンにすることができる。いずれのモードも、もっとも望ましい出力条件に対する時間の関数として、強度を調節することができる。この制御は、装置の群、または、個別のRED装置で行ってもよい。特定の用途のために、個別RED装置に至るグラニュラー制御(granular control)を有する必要はない。これらの場合には、RED装置は、もっとも望ましい形状のストリングにワイヤで結ぶことができる。これらのストリングまたはストリング群は、次いで、適用の必要があれば、プログラム可能に制御されてもよい。時には、実用上の要請から、狭帯域照射またはREDの装置が、群またはストリングで駆動され、最も好都合な電圧を容易にし、個別装置制御のコストを減少させることができる。
【0151】
REDのストリングまたはアレイは、単に、開放ループの構成に電流を供給することによって制御されてもよく、または、より高度の制御が用いられてもよい。特定の用途の事実集約的な評価により、適切な赤外線放射制御の量およびレベルが指定(dictate)される。複雑なまたは精密な制御が指定される程度まで、制御回路が、入力電流、電圧または特定の出力を連続してモニタし、調節することができる。もっとも望ましい放射出力または結果をモニタすることは、赤外線アレイの出力を直接測定することにより、または、代替的に、赤外線放射のターゲット物体に関連したいくつかのパラメータを測定することにより、実施することができる。これは、簡単な熱電対または高温計を組み込むことから、たとえば赤外線カメラの形態を取ることができる、かなり高度の技術に到る異なる技術の連続体によって、実行することができる。本発明の特定の用途には、特定の閉鎖ループモニタリング技術が、当業者にとって経済面で賢明であり、適当なものとして推奨することができる。
【0152】
モニタリングの直接および間接の両方の方法を組み込むことができる。たとえば、成形可能な温度範囲に到達する目的で特定の材料が加熱される場合には、材料を成形するのに必要な力を測定し、赤外線放射アレイを調節するためのフィードバックの少なくとも一部として、そのデータを使用することが望ましい。本発明の出力の最適化および制御を容易にするため、多くの他の直接または間接のフィードバック手段が可能である。
【0153】
本願に記載されているように、本発明の放射熱源の形状、強度およびエネルギ付与時間は、高度にプログラム可能であり、非常にハイレベルのプログラム可能な特注生産に適していることが明確に理解されるべきである。業界では、特定の構成部材用に、その部材の正確な場所に加熱を方向づけるために、熱源の特注形状または構成が設計、製造されることが多い。本発明は柔軟にプログラム可能であるため、単一のプログラム可能な加熱パネルが、ほとんど無限数の特注パネルに対する柔軟な代替品として役立つことができる。業界は、広く様々な赤外線加熱炉および加工システムが充実している。そのような炉は、様々な種類およびタイプの塗料、コーティング、スラリーを硬化するために、また他の多くの目的のために使用される。それらはまた、材料を熱溶融するための広く様々な異なるラミネーションラインに使用することができ、またグルー、接着剤、表面処理、コーティング、またはラミネーション「サンドイッチ」に加えられてもよい様々な層を硬化するために使用することができる。
【0154】
広く様々な乾燥用途に、他の炉を使用してもよい。たとえば、2片(two−piece)飲料用缶業界では、飲料用缶の内部にコーティングをスプレーし、次いで、それらを長い硬化炉を通って「大量に(in mass)」コンベヤによって連続して運ぶことが一般的である。未硬化の内部コーティングは、塗布時に白い塗料の外観を有するが、硬化後にほぼ透明になる。本発明のこれらの様々な乾燥および硬化用途において、乾燥、処理または、硬化される必要がある材料によって最も容易に、かつ適切に吸収される波長または波長の組み合わせを選ぶことができる。いくつかの用途では、存在しない波長が、存在するものよりも、改良されたプロセスにより重要であることもある。望ましくない波長は、乾燥、加熱、粒子構造を変えたり、または、他の多くの有害な結果によって材料に悪影響を与えることもあり、それは、より最適なプロセスにおいて、本発明で回避することができる。
【0155】
基板または母材に実質的に影響を与えることなく、硬化または乾燥すべきターゲット材料の温度を上げることが望ましいことが多い。母材がそのような処理によって損傷されることがある。ターゲット材料内に熱を誘発させながら、母材の中には熱を誘発させないことがより望ましい。本発明は、このタイプの選択加熱を容易にする。
【0156】
本発明の他の用途の領域を検討するために、医療業界では、広い範囲の可視光線および近赤外線放射治療の実験を行っている。一定の波長の電磁エネルギが刺激し、治癒を促進することが理論化されている。一定の波長の照射が、酵素、ホルモン、抗体、および、身体内の他の化学物質の生産を刺激し、かつ、反応の鈍い器官の活動を刺激することができることも要求されている。そのような要求の詳細や治療の方法またはメリットを調べることは、本特許の範囲を超える。しかし、本発明は、広い範囲のそのような治療様式を容易にすることができる、ソリッドステートの、波長選択が可能で、かつプログラム可能な中赤外域の放射線源を提供することができる。
【0157】
しかし、これまで医療業界は、中間IR波長帯域に高出力の波長特定照射を生成するための実際的な方法を持たなかったことも、事実である。本発明は、そのような狭帯域波長の特定赤外線照射が可能であり、医療用途で容易に使用される、スリムかつ軽量で、安全かつ便利な成形要素においてそうすることができる。
【0158】
医療用に、照射に使用される特定の波長または波長の組み合わせを選択することができることは、極めて重要ないくつかの利点がある。工業的製造材料と同様に、有機材料もまた、特徴的な透過/吸収スペクトル曲線を有する。動物、植物またはヒトの組織は、極めて有利に利用することができる、特定の透過/吸収ウインドウを呈する。
【0159】
人体の非常に高い割合は、要素的に水から構成され、したがって、水の透過/吸収曲線が、多くのヒト組織を概算するには良好な開始点である。広範囲に及ぶ研究を通して、ヒト、動物および植物のすべてのタイプの精密な曲線を展開することは可能である。器官または組織から求められる様々な種類の治癒または刺激の間の関係を展開すること、および、それを透過/吸収曲線に関係づけることもまた可能である。波長または波長の組み合わせを注意深く選択することにより、広い範囲の疾患および病気にプラス効果を与えることができる治療計画を展開することが可能である。
【0160】
治療することが望ましい組織または器官のうちのいくつかは、非常に表面に近くにあり、一方、体内深くにあるものもある。ヒト組織の吸収特性のため、非侵襲的技術でそのような深い区域に到達することは不可能である。ターゲット組織の近くに照射源を得るために、何らかの形態の侵襲的技術を使用することが必要な場合もある。広い範囲の侵襲的治療または非侵襲的治療に使用されるべき適切なサイズおよび/または形状になるように、本発明の照射アレイを設計することが可能である。治療技術、様式および構成は、本検討の範囲を超えるが、本発明は、中赤外線波長帯域で利用可能なソリッドステートの波長選択照射を利用可能にする、今までに類を見ないものである。広い範囲の様式および治療タイプに構成することができる。高度に柔軟な成形ファクタおよびプログラム可能な性質のため、本発明は、特定の身体サイズおよび体重用に、特注の治療のための適切な角度、強度および波長を生成するように構成することができる。
【0161】
赤外線放射は、痔の治療から皮膚科学までのますます多くの医療用途に利用されている。広帯域赤外線源で現在行われている赤外線治療の1つの例は、赤外線凝固治療と呼ばれる。さらに、糖尿病性末梢神経障害が、赤外線ランプ治療で治療されることもある。テニス肘および他の類似した病気は、現在、広帯域赤外線ランプ等で治療されることが多い。特定の放射線の波長を生成する本発明の能力およびパルス照射を生成する能力を組み込むことは、これらの治療に実質的な改良を提供する。これにより、良好な患者耐性および快適性が提供される。本発明は、また、本質的に安全な電圧で、電力供給することができる医療機器を製造することを容易にする。
【0162】
照射エネルギのパルシングは、多くの医療用途に関連した重要な態様であることが分っているいる。連続照射は、組織の過熱を引き起こすこともあるが、パルス照射は、過熱、不快または組織損傷の有害な影響なしで、十分な刺激を提供することができることが分っている。装置/アレイが、マイクロ秒、またはそれより速く測定されるターンオン時間で、非常に高い速度でパルスを打つことができるという事実が、別の有用な特性を提供する。非常に短いデューティサイクルで活性化される場合には、そのような短いパルス時間では半導体接合部の過熱を生ずる時間がないため、放射線の非常に高い強度のパルスが、アレイに対する損傷無しで許容されるものと思われる。これは、より多くの組織を貫通するのを容易にするより大きな積算瞬時強度を可能にする。
【0163】
パルシングが発生する周波数が、重要であることが判明した。文献では、ヒトへ照射する一定の周波数は、治癒の効果を有すか、または、代替的に、有害な影響を与えることが可能であることが知られている。たとえば、可視光線の一定の振幅変調周波数または周波数の組み合わせは、ヒトに吐き気を催させることができ、さらに別の振幅変調周波数または周波数の組み合わせは、てんかん性発作を引き起こすことができる。さらなる医学研究につれて、実際に、選択された波長または波長の組み合わせとともに、パルシング周波数、波形形状、または、周波数の組み合わせが、様々な放射線治療の成功に極めて実質的な影響を与えると決めてよい。本発明は、研究者や開業医には利用可能ではないため、本発明を利用する治療様式の多くがまだ理解されていないか、または実現されていないようである。
【0164】
本発明の他の用途は、食物の調製加工またはステージングにある。ヒトの歴史にわたって、極めて広い範囲の異なるタイプの炉および加熱システムが、食物の調製に使用されてきた。それらの大半はよく知られているため、そのような炉および加熱システムのあらゆる種類を述べることは、本特許出願の範囲を超える。非赤外線/非熱源調理技術を利用する電子レンジ調理の注目すべき例外はあるが、事実上、他のすべての調理技術は、様々なタイプの広帯域加熱源を利用する。そのような炉で使用される赤外線加熱源および要素は、広帯域源である。それは、特定の調理状況または調理される製品に対して、もっとも有利な赤外線エネルギの特定の波長を生成する能力がない。
【0165】
他の材料で先に検討されたように、植物製品および動物製品は、特定の吸収スペクトル曲線を有する。これらの特定の吸収曲線は、特定の食品が特定の波長でどれほど吸収的または透過的であるかを関係づける。特定の波長を選択することによって、または、対象食物を照射する数個の、注意深く選択された波長によって、所望の調理特性を修正するか、または最適化することができる。放射されたエネルギのもっとも効率的な使用により、加熱または調理のコストを減少することができる。
【0166】
たとえば、特定の食品の外側表面を加熱するか、焦がすことがもっとも望ましい場合には、本発明は、その特定の食品が高度に吸収性のある波長の選択を可能にする。結果は、選ばれた波長で照射されるときには赤外線エネルギは表面に非常に近くですべて吸収され、したがって、所望の加熱/焦がし作用を表面で正しく発生させるということになる。逆に、表面は過熱しないが、むしろ中から非常に深く食品を調理することが望ましい場合には、所望の調理結果を達成することができるように、特定の食品がより透過性である波長または選択された波長の組み合わせを選ぶことが可能である。したがって、放射エネルギは、所望の深さへ浸透するにつれて、漸次吸収される。
【0167】
非金属材料を通って移動する電磁波として、この波の強度I(t)は、下式によって記載されるように、移動距離に応じて減少する。
I(t)=I(e−αt
この式において、Iは、ビームの初期強度であり、αは、その材料の特定の吸収係数である。時間tが減少するにつれて、ビームの強度は、指数関数的減衰を受ける。これは、母材によって吸収されている元々のビーム内の放射エネルギによって引き起こされる。この理由のため、最適調理結果を得るために赤外線放射加熱を利用することは、食品の厚さ、加えられる赤外線放射強度、照射波長、および、材料吸収係数(単/複)の間の複雑な相互作用を必要とする。
【0168】
異なる波長で照射するRED要素を混合することによって、調理結果をさらに最適化することが可能である。そのような多波長アレイ内で、1つの要素タイプは、放射エネルギの吸収が低い波長で選ばれ、したがって、深部熱浸透を発生させることができる。第2の要素タイプは、放射エネルギの吸収が高いように選ばれ、表面加熱が発生し易くする。アレイを完成するため、吸収におけるこれら2つの極端に対して中間の波長で選ばれるように、第3のRED要素タイプを、想定することができる。このようなアレイに含まれる3タイプのREDエミッタの相対放射出力を制御することによって、調製される食品の重要な特性を最適化することが可能である。
【0169】
制御システムに色センサ、温度センサおよび潜在的視覚センサを接続することにより、ループを閉鎖し、所望の調理結果をさらに最適化することが可能である。そのような状況下で、問題となるであろう正確なパラメータをチェックすることが可能であってもよく、もっとも望ましい適切な波長、強度および方向で照射を送ることによって、制御システムに応答させることが可能である。視覚センサを利用し、統合することにより、調理されるべき食品の場所およびサイズを実際に見ることができ、次いで、上述のように、それに応じて炉の出力を最適化することができる。湿度センサと組み合わせて使用するときには、所望の水分含量を維持する組み合わせで応答させることが可能である。したがって、本発明が、適切なセンサおよびコントローラの「知性」と組み合わせて、どのように、未来のコンピュータ化された炉を真に容易にすることができるかを理解することができる。当然ながら、本発明を、対流の炉および電子レンジ能力を初めとする従来の調理技術と組み合わせて、これらの技術が提供するものの各々の最良の混合を得ることができる。コンピュータ化された制御システムは、従来の調理技術と組み合わされた、本発明の技術の両方を最良に最適化するように設計することが可能である。
【0170】
1つの食品によって吸収され、第2の食品には高度には吸収されない波長を選択することにより、食品の混合されたプレートに発生する加熱の量に関して、非常に選択的であることも可能である。このようにして、選択可能である様々な波長の組み合わせ、順列および強度を変えることによって、広い範囲の特別に設計された調理結果を達成可能であることを理解することができる。
【0171】
本発明の用途のいずれについても、照射エネルギの所望の方向性を達成するために、様々なレンジング(lensing)またはビームガイド装置を使用することができる。これは、一連の異なる実施形態、個別レンズのRED装置から、装置の近くに装着されたマイクロレンズアレイまでを取ることができ、選ばれたビームガイド装置は、導波または方向付けされている放射線の波長で機能するように、適切に選ばれなければならない。回折、屈折および反射といった周知の技術を利用することにより、エネルギをRED装置のアレイの異なる部分から所望の方向に方向づけることができる。オンにされる特定の装置をプログラム可能に制御したり、また、その強度を調節することにより、広い範囲の照射選択性を達成することができる。安定した状態またはパルスモードを選んだり、またいずれの装置がいずれの時間にパルスされるかをさらにプログラムすることにより、機能性をさらに上げることができる。
【0172】
本開示は、主として1.0〜3.5マイクロメートル範囲内の放射エネルギの適用を検討しているが、赤外線のより長い波長または可視領域へ至るより短い波長を含む他の操作波長で、類似材料の加熱効果を達成できることは当業者にとって自明のことである。開示された本発明の精神は、放射加熱の目的で直接電子−光子ソリッドステートエミッタの適用を含み、エミッタは、可視から遠赤外を通じて操作可能である。あるタイプの用途では、他の波長選択が可能な装置を、中赤外域範囲外の他の波長で照射する本発明に、組み合わせることが望ましいこともある。
【0173】
図8は、単一RED構成要素10の図形表示したものである。RED10は、スタック20を備える。スタック20は、様々な構成を取ってもよく、たとえば、図1〜7に関連して例示された半導体層のスタックなどである。少なくとも1つの形態において、RED10の接触40(たとえば、接触1105、1205および1305に対応する)が、ワイヤ80を通ってスタック20へ組み立てられる。電流60が結合ワイヤ80およびスタック20を通って流されるとき、スタック20の構成に一致する特性エネルギまたは波長を有する光子70が放出される。
【0174】
LED製造の際に学んだ半導体に関する経験の多くはREDに適用されてもよいため、新しいRED装置の発展の助けになるような類似を述べることは有用である。LEDのエネルギ変換効率(光エネルギ出/電気エネルギ入)のドラスチックな改良は、一般市場に導入されたときから長年にわたって発生している。10%を超えるエネルギ変換効率は、スペクトルの可視光線および近赤外線部分で作用する市販のLEDで達成されてきた。本発明は、様々な加熱システム内の主要な赤外線加熱要素として、1マイクロメートル〜3.5マイクロメートル範囲内のどこかで作用する新しいREDの使用を意図している。本願には、ブロー成形システムにおける特定の実施が記載されている。
【0175】
図9および10は、PETの10ミル厚セクション内に透過されたIRエネルギの相対的割合を波長の関数として示したものである。石英透過範囲(3.5マイクロメートルまで)内に、強い吸収帯域(実質的な透過の波長帯域、または、透過がない波長帯域)が存在することは、およそ1.6マイクロメートル、1.9マイクロメートル、2.1マイクロメートル、2.3マイクロメートル、2.4マイクロメートル、2.8マイクロメートルおよび3.4マイクロメートルを含む数波長で明らかである。本発明に関連する基本概念は、たとえば、ブロー成形機械の熱調節セクション内の基本的な加熱要素として、1マイクロメートル〜3.5マイクロメートル範囲内の選択された波長(単/複)で作用するように選ばれ、設計されたRED装置を使用することである。
【0176】
エネルギを送出する方法、および、波長(単/複)の選択は、用途の必要性にしたがって変化できることを認識すべきである。1つの形態において、選択された狭い波長範囲が、特定のターゲット構成要素(またはターゲット体)が製造される材料の加熱要件に特に調整されてもよい。単色または近単色波長特異性へのダイオード等の狭帯域照射装置を製造することは理論的には可能であるが、高出力装置をそのように狭く製造するのは実用的ではない。波長が吸収帯域の中心に正確に置かれる場合には、プラスまたはマイナス14ナノメートルであるか、または50ナノメートルにさえなっても差し支えない。いくつかの普通ではない用途では、吸収帯域の狭さまたは近さのため、非常に狭い波長耐性を有する必要がある。使用のために選択された波長は、1.0〜5.0ミクロンの範囲のいずれかであってもよく、または、たとえば、PET用に、より実用的に1.5〜3.5ミクロンの狭い範囲から選択されてもよい。または、1.2ミクロン以上の例の範囲が望まれてもよい。より短い波長でより「壁コンセント効率(wall−plug efficient)の良い」ダイオードまたはソリッドステート装置を製造することができるため、もっとも有用な波長帯域幅(range)は、可能であれば、帯域幅のより短い端で選ばれる。異なる波長を有する材料の吸収率特性が一つの要因となる。2つ以上の吸収材が含まれる場合には、たとえば、一方の材料は加熱すべきであるが、他方はそうではない場合に、「ドア窓(door and window)」評価が適切であるかも知れない。一方の材料は不良吸収材であるが、同一波長で、他方は強力な吸収材であるような波長を選ぶことができるか否かを決定する必要がある。これらの相互作用は、本発明の価値の高い側面である。該吸収および/または該相互作用をよく観察することによって、システム最適化を達成することができる。特定の材料用の吸収帯域は、加熱の所望の深さ、加熱の場所、加熱のスピードまたは加熱されるべき厚さに基づいて選択され、または、それを最適化することができる。加えて、本願で意図されたレーザダイオード(または他の装置)は、他の振動要素を投入して、所望の波長を達成するように使用してもよい。
【0177】
図11a、11bおよび11cは、個別REDエミッタ10が適切なREDヒータ要素100内に一括パッケージされた集合体例を示す。本発明のこの実施態様において、RED10は、Nドープされた領域が陰極バス120に直接取り付けられるように物理的に装着される。陰極バス120は、理想的には銅または金から製作され、それらは、両方とも電気および熱の良導体である。RED10の対応する領域は、結合ワイヤ80を経由して、陽極バス110に接続される。理想的には、陽極バスは、陰極バスと同一の熱および電気特性を有する。入力電圧は、外部から2バスバーを横切って生成され、RED10内に電流(I)を流し、170で示されるような、IR光子または放射エネルギを発生させる。放射エネルギをREDヒータ要素100から離れた好適な方向に方向づけるため、リフレクタ130が、好適な実施態様として使用される。RED10の小さな物理的な広さが、放射エネルギ170を好適な方向により容易に方向づけるのを可能にする。この記述は、比較的、かなり大きなコイル状フィラメントの場合に適用される。エミッタの物理的サイズと、結果として得られた放射フラックスを、伝統的なレンジング手段を使用して方向づける能力との間のそのような関係は、当該技術分野ではよく知られている。
【0178】
ヒートシンク140は、IR放射エネルギ170を創出するプロセスで生成された廃熱をREDヒータ要素100から離れさせるのに使用される。ヒートシンク140は、業界で知られている様々な手段を使用して実施することができる。これらの手段は、受動ヒートシンキング、対流の空冷を使用する能動ヒートシンキング、および、水または液体冷却を使用する能動ヒートシンキングを含む。たとえば、液体ジャケットを通る液体冷却は、放射光子に変換されなかった一定量の電気エネルギから生成されるかなりの量の熱を追い出すことができるという利点を有する。液体媒体を通して、この熱は、戸外の場所へまたは熱が必要とされる別の区域へ導くことができる。熱が工場または装置から、または、別の場所へ導かれる場合に、空気調節/冷却エネルギは実質的に減少するか、または、異なる方法で使用することができる。
【0179】
さらに、バルブ150は、本発明のこの実施態様で最適に使用されるものである。ここに加えられるようなバルブ150の主要機能は、RED10および結合ワイヤ80の損傷から保護することである。バルブ150は、可視から3.5マイクロメートルを通って広がる透過範囲のため、石英から構築されることが好ましい。しかし、RED10の操作波長を超えて広がる透過範囲を有するガラスを初めとする他の光学材料も使用することができる。
【0180】
ブロー成形機内のREDヒータ要素100の1つの展開は、図12aおよび12bに描かれる。このシステムにおいて、プリフォーム240は、移送システム220を経由して、熱モニタリング状態調節システム210内に入る。プリフォーム240は、室温で熱モニタリング制御システム210内に入ってくることができ、幾分前に予め射出成形されている。または、代替的に、プリフォーム240は、一段式射出成形/ブロー成形システムで行われるように、射出成形プロセスから直接入って来ることができる。あるいは、プリフォームは、数種類の他のプロセスの1つによって作ることができる。プリフォーム製造の形態およびタイミングが何であれ、このように入るときには、プリフォーム240は、その中に含まれる潜熱の量は変動する。
【0181】
ひとたび移送システム220に送られると、プリフォーム240は、コンベヤ250を経由して、熱モニタリング制御システム210を通って輸送されるが、そのようなコンベヤは業界ではよく知られている。プリフォーム240が熱モニタリング制御システム210を通って移動するにつれて、一連のREDヒータ要素100によって発せられる放射IRエネルギ170を受ける。これらのREDヒータ要素100によって発せられるIRエネルギ170は、ブローイングシステム230に入るのに備えてプリフォーム240によって直接吸収される。該エネルギは、供給または駆動電流および/または他の設計目的に応じて、連続でもパルス式でもよいことを認識すべきである。制御システム280等の制御システムは、1つの形態において、この機能を制御する。任意的に、制御システムは、推薦された定常状態の電流レベルよりも実質的に大きい電流レベルでシステムをパルスするように操作され、パルス操作でより高い瞬時放出強度を達成し、またパルス操作のタイミングを決定することができる関連センサからの入力信号に応答する。
【0182】
上述のように、狭帯域照射ヒータ要素のアレイは、異なる波長の要素をシステム内で実現することができるように、配列することができる。より特定的な例において、変動する波長の要素を、複数の層を有するプリフォームに適合させるのに使用することができる。複数の層を有するボトルは、様々な異なる用途に使用され、たとえば、酸素、CO、または、紫外線阻止等を提供する。各別個の層は、異なる材料製であってもよく、または、1つの層を別の層と区別するコーティングを有してもよい。結果として、プリフォーム内の様々な層は各々が異なる吸収性質を有することができる。このようなことから、1波長の狭帯域照射要素が放射線を発し、多層プリフォームの第1の層を加熱し、一方、第2のアレイの狭帯域照射が放射線を発し、多層プリフォームの第2の層を加熱するように、アレイを配列し、実施することができる。当然ながら、これは、様々な方法で達成されてもよいことを認識すべきである。たとえば、層は、同時にまたは順次に加熱することができる。また、層は、プリフォームのサブセクションで、順次にまたは同時に、加熱されてもよい。さらなる代替において、層は、プロセス内で明白に別々の回数で、加熱されてもよい。このタイプの配列は、材料の明白な層とは対照的に、加熱のプロセスで使用されることが求められる明白な吸収ピークを材料の層が有する場合に適用されてもよいことが理解されるべきである。
【0183】
本発明によって記載された方法および手段を使用して操作する、ブロー成形機の好適な実施態様において、対流冷却システム260もまた展開されることが好ましい。このシステムは、プロセス下でプリフォーム240に近接する空気および機械から廃熱を除去する。伝導冷却装置もまた、同様に用いられてもよい。対流および/または伝導によるプリフォームの加熱は、全体的熱状態調節プロセスに有害であると業界では知られている。これは、PETが非常に不良な熱導体であるためで、プリフォームの外側周囲を加熱した場合、不均一に加熱されるため、中心は冷たすぎ、外皮は温かすぎてしまうためである。
【0184】
好適なシステムの実施態様内には、また温度センサ270(知的センサまたはカメラの形態を取ってもよく、少なくとも1つの態様では、単一点温度測定センサが可能な、ターゲットをモニタすることができるもの)および温度制御システム280が含まれる。好適なブロー成形機設計のこれらの態様は、一段式ブロー成形システムの特質に特に適用可能である。一段式ブロー成形システムにおいて、プリフォーム240は、射出成形段階中に得られた潜熱エネルギを含む熱モニタリング状態調節システム210内に入る。入ってくるプリフォーム240(または、そのようなプリフォームの特定のサブセクション)の温度およびその熱含量をモニタすることによって、温度モニタリング制御システム280が、プリフォームに特有の(または、サブセクションに特有の)加熱要件を生成し、次いで、これらの要件を駆動信号の形態で、個別の狭帯域照射、または、REDヒータ要素100へ伝達する。狭帯域照射またはREDエミッタ10のソリッドステート性および関連した速い応答時間により、時間の関数として、またはプリフォーム運動に応じて、電気供給電流またはオンタイムが調節される。また、認識されるように、REDアレイのサブセクションも、制御されてもよい。
【0185】
このような出力制御を成立させるために使用される温度制御システム280は、工業PCとして、特注埋め込みロジックとして、または、工業的プログラム可能なロジックコントローラ(PLC)として、実施されることができ、これら3つのすべての性質および操作は、業界ではよく知られている。280として示されるような制御システムは、本願の目的に合致するように、様々な方法で構成されてもよい。しかし、いくつかの例として、システムは、REDアレイの各波長用に活性化された装置のオン/オフ状態、電流フローおよび場所を制御するようにしてもよい。
【0186】
図13〜16は、本発明にしたがった方法を例示する。これらの方法は、適切なソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせおよび技術を使用して、実施されてもよいことを、認識すべきである。たとえば、著名なハードウェア要素が、温度制御システム280で格納され実行されるソフトウェアルーチンによって制御されてもよい。
【0187】
次に図13を参照すると、熱可塑性プリフォームの熱処理用の好適な方法300が示され、操作の基本的なステップを概説する。プリフォーム240は、コンベヤ250を経由して、熱モニタリング制御システム210を通って輸送される(ステップ305)。当然のことながら、運搬を示すすべての実施態様で、運搬の有無にかかわらず、露出のための物品の場所を見つける簡単な手段が用いられることを理解すべきである。プリフォーム240は、狭帯域照射、または、熱モニタリング制御システム210内に含まれるREDヒータ要素100を使用して、照射される(ステップ310)。狭帯域照射ヒータ要素は、このプロセス中に特定の時間量の間、パルスされるかまたは連続して活性化されてもよいことを認識すべきである。1つの実施態様において、プリフォームは、ブロー成形直前に、3秒未満で十分に加熱されてもよいことが理解される。いくつかの形態において、プリフォームは、少ない時間で、たとえば、2秒未満、1秒未満、または0.5秒未満、で加熱されてもよい。他の実施態様では、加熱は、およそ5秒未満で、または、およそ10秒未満で、達成されてもよい。この短い加熱時間は、たとえば、石英ランプを使用する従来の加熱方法に対してかなりの利点を示す。現在の石英ランプ系の炉は、典型的に、12〜15秒+均等化散在期間(interspersed periods of equalization)で加熱する。そのような短い持続期間を達成するために、ヒータ要素のアレイは、実質的により密閉した物理空間でプリフォームへ十分な加熱を提供するように構成することができる。0.1〜3秒でプリフォームを加熱するのに必要なエネルギの量を達成することが望ましい場合には、狭帯域照射要素は、過度に運転されてもよい。ダイオードのアレイまたはソリッドステート装置が連続的に一貫して冷たく保たれ、そのため、初期故障がないことを確実にすることが有利である。放射線のこの短い持続時間は、図14〜25に関連するものを含む本願の実施態様のいずれを使用して達成されてもよい。また、回転数または回転スピードは、加熱中に変動してもよい。典型的には、6回転を使用してプリフォームを加熱するが、より少ない回転またはより多い回転を使用して、加熱を変動してもよい。また、回転のスピードまたは照射の量を変動して、加熱プロセスの開始および終了時における加熱プロファイルが滑らかになるようにしてもよい。この短い加熱持続時間を達成するために、本願で意図された装置は、少なくとも1つの形態で、延長した寿命を有する装置、たとえば、上記に記されたリン化インジウム系装置を含むこともまた理解すべきである。これらの装置はまた、所望の帯域を生成するために様々な範囲で操作してもよい。たとえば、PETプリフォーム用に、1.2ミクロンより大きい波長帯域の選択が望まれてもよい。さらに、システムは、1.2ミクロンより大きい帯域または範囲に放出する要素、および、1.2ミクロン未満の帯域または範囲に放出する要素を含んでいてもよい。熱モニタリング制御システム210内の空気および機械構成要素から廃熱を除去するために、対流冷却システム260が使用される(ステップ315)。
【0188】
熱可塑性プリフォームを処理するための他の方法301が、図14で概説される。方法301では、(ステップ310)、すなわち、REDヒータ要素100を使用してプリフォーム240を照射するプロセスが、ステップ320と置き換えられている。方法301のステップ320中に、プリフォーム240は、熱モニタリング制御システム210を通るその動きに同期してパルス照射される。この同期したパルス照射は、かなりの追加エネルギ効率を要するが、それは、狭帯域照射またはプリフォームにもっとも近いRED装置が、与えられた瞬間にオンにされる唯一のものであるからである。1つの形態において、パルスエネルギの最大出力は、個別ターゲットの輸送に同期して調節される。
【0189】
熱可塑性プリフォームを処理するためのさらに別の方法302が、図15に概説される。この方法302では、入ってくるプリフォーム240の温度が、温度センサ270を使用して測定される。これは、システム内に入るときに、プリフォーム240の潜熱エネルギを測定するために行われる(ステップ325)。
【0190】
温度検知は、様々な方法で実施されてもよいことを認識すべきである。1つの例において、システム内の場所に加熱対象物を適合させ、プリフォームの究極的な加熱を調整することができるように、プリフォームの内側および外側の両方の温度が測定される。さらに、プリフォームの内側および外側の表面の温度を測定することが、多くの既知の技術を使用して達成することができることを理解すべきである。例として、スナップ動作技術が、2005年3月7日に出願された米国特許出願第10/526,799号(2006年10月19日に公開された米国特許公開第2006−0232674−A1号)、発明の名称「自動プロセス制御物品検査適用内にスナップショット作用熱赤外線画像形成を提供するための機器および方法(An Apparatus and Method for Providing Snapshot Action Thermal Infrared Imaging Within Automated Process Control Article Inspection Applications)」、および、2004年1月7日に出願された米国特許出願第10/753,014号(2005年7月7日に公開された米国特許公開第2005−0146065−A1号、現在、米国特許第7,220,378号B2)、発明の名称「延伸ブロー成形操作中に熱可塑性プリフォームの内側および外側の両方の表面温度を測定し制御するための方法および機器(A Method and Apparatus for the Measurement and Control of Both the Inside and Outside Surface Temperature of Thermoplastic Preforms During Stretch Blow Molding Operations)」を使用して、この目的を達成してもよく、この両方は、参照してここに組み込まれる。
【0191】
いずれにせよ、たとえば、プリフォームの内側温度がプリフォームの外側温度よりも低く、均一な加熱が望まれることが判った場合には、より高い速度でプリフォームの内側部分を加熱する技術が実施され、均一な加熱がなされる。いくつかの用途では、不均一な加熱が望ましいこともある。そこで、プリフォームの内側および外側の温度を測定し、適切な加熱サイクルを実施することができる。
【0192】
プリフォームの外側表面と内側表面との間での不均一な加熱を実現する1つの技術は、使用される特定の材料の吸収曲線の原理を利用することである。これに関して、次に図18を参照すると、吸収曲線1700が示される。図示のように、第1の吸収帯域1701が画成されている。プリフォームの厚さを通して均一な加熱を達成するためには、帯域の中心線、すなわち、線1702の波長W1を選択することが有利であることがわかった。しかし、吸収帯域の一方の端(たとえば、W2)かまたは他方(たとえば、W3)で波長を選択すること、たとえば、線1704または線1706、は、プリフォームの外側表面から内側表面へ不均一な加熱を提供することもわかった。照射源の帯域に含まれる異なる透過係数または吸収係数の範囲が広くなればなるほど、材料の厚さを通る加熱がより不均一になることに注意すべきである。従って、W2またはW3は、W1よりも、加熱されている材料の厚さを通して、あまり一貫性のない加熱を行う傾向があるという結果になる。
【0193】
この現象は、局所的な性質を持つことがさらに判明した。そのため、図17の吸収帯域1707を参照すると、中心線1708に対応する波長を選択しても、プリフォームの均一な加熱が達成される。この場合、より狭い吸収帯域が実際にはより大きな吸収帯域1707内にあるにもかかわらず、より狭い吸収帯域1709が選択されることが望ましいが、それは、その範囲内に吸収性のより小さな範囲を有するからである。これに関して、非常に狭い帯域照射、たとえば、20ナノメートル未満を使用することは、大半のエネルギが局所吸収特徴部に集中するために有利である。これらの技術の実施および波長、たとえば、W1、W2、W3またはW4の選択は、様々な技術を使用して、達成することができることを認識すべきである。また、帯域1709を選択することによって、より良好な一貫性を達成することができるが、それは、この範囲の幅が、たとえば、溝1720のまわりに選択されてもよい類似範囲よりも、%透過率に関して、すなわち、グラフのy方向で、より少なく変動をカバーするからである。
【0194】
これらの線に沿って、所望の結果を達成するために放射の帯域を選択することができるため、ターゲットの吸収曲線を知ることが有利であることを認識すべきである。そのため、いくつかの用途では、W1のまわりの狭帯域で、またW4のまわりの狭帯域で、ターゲットを照射することが望ましい。上述のように、1つの帯域では均一に加熱し、別の帯域では不均一に加熱してもよい。このために、異なる帯域での放射の合計量が、与えられた場所でのターゲットの合計露出になるようにしてもよい。そのため、
【0195】
合計露出=xW1+yW4
【0196】
であり、与えられた用途のため、xおよびyは、W1およびW4を取り囲む、与えられた波長帯域におけるターゲットの露出量を表す。
【0197】
プリフォーム240は、次いで、コンベヤ250を経由して熱モニタリング制御システム210を通って輸送される(ステップ305)。温度制御システム280は、温度センサ270によって供給される温度情報を使用して、狭帯域照射またはREDヒータ要素100に加えられるべき好適な制御信号を生成する(ステップ330)。好適な制御信号は、次いで温度制御システム280からヒータ要素100へ伝達される(ステップ335)。プリフォーム240は、次いで、熱モニタリング制御システム210に含まれるヒータ要素100を使用して照射される(ステップ310)。次いで対流冷却システム260が、熱モニタリング制御システム210内の空気および機械構成要素から廃熱を除去する(ステップ315)。
【0198】
熱可塑性プリフォームを処理するためのさらに他の方法303が、図16で概説される。この方法303では、ステップ310、すなわち、RED加熱要素100を使用してプリフォーム240を照射するプロセスが、ステップ320と置き換えられている。方法303のステップ320中に、プリフォーム240は、熱モニタリング制御システム210を通るその動きに同期してパルス照射される。
【0199】
この代替の実施態様において、狭帯域照射アレイは、様々な異なる形態を取ってもよい。これらの形態の中で、要素は、回転式か線状に、または他のプログラムされた経路をそれぞれ進行するプリフォームと共に移動するステーション上に配置される。これに関して、下記の実施態様は例としてのみ提供され、様々な異なる方法で実施されてもよいことを認識すべきである。
【0200】
プリフォームを回転することによって、照射加熱効果が、回転軸のまわりで、より一貫して均一になることを理解すべきである。ネックリング(完成したねじ端)からの距離の関数として、各プリフォーム用に異なる温度プロファイルを有することが望ましいが、丸いボトルで回転軸のまわりに異なる温度プロファイルを求めることは普通ではない。これは普通ではないと認識しながら、プリフォームの周囲のまわりに非均一的な熱プロファイル有することが非常に望ましいクラス全体のボトルがある。いずれの所望の熱プロファイルへの加熱においても、迅速に放射線をオフオンにするか、またはターゲットと同期して照射を調節する本発明を有効に利用することができる。そのプロファイルは、プリフォームがその高さの位置および回転位置の両方に応じて変えるように照射がプログラムされている場合には、非常に複雑になる。そのように特化した加熱は、PETボトル業界では選択的加熱と呼ばれることが多いが、本発明が提供するような高度にプログラム可能な柔軟性は有していない。
【0201】
次に、図19(a)を参照すると、システム300の側面図が示される。システム300は、図12に提供されたアレイ210の代替として動作することが認識されるべきである。参照が容易なように、図12に例示されたシステムのすべての構成要素は示されていないが、当業者は、システム300がその中でどのように実施されてもよいかを認識することができる。さらに、例示が容易なように、システム300(および、下記により詳細に記載されるシステム400)の単一の側部のみが示されている。
【0202】
図示のように、システム300は狭帯域照射アレイ310を含み、これは、エミッタを有する線状アレイまたは長さ方向に沿って整列配置されたエミッタのアレイの形態を取ることができ、その側部に配置された放出装置(狭帯域で放出する)312を有する。図示のように、狭帯域放射装置またはRED312は、システムを通るプリフォーム240上に作用する。また、破線で示されるのは、アレイ310がそのまわりを回転するシャフト320である。図19(b)には、複数のアレイが、数個のプリフォームを収容するために、コンベヤラインの長さ方向に沿って配置されている。図19(c)は、アレイ310の実施態様を示したもので、エミッタ(たとえばエミッタ313等)を有する複数のアレイ311が、アレイ310の長さ方向に沿ってx−y式に配置されている。アレイおよびエミッタの数は、当然ながら、変動する。この構成もまた、本願に記載されたすべての実施態様に適用されてもよい。
【0203】
次に、図20(a)〜20(c)を参照すると、アレイ310の基本操作が例示される。図20(a)に示されるように、アレイ310は回転して、プリフォーム240が直線310に近いゾーンに入るときにプリフォーム240上に適切な放射線を発する。図20(b)に示されるように、プリフォーム240がアレイ310の側を通過するときに、アレイ310は、プリフォームとともに回転するか、または移動して、その上に放射線を発し続ける。図20(c)は、シャフト320を中心にしたアレイ310のさらなる回転を示し、プリフォーム240上に照射し続ける。
【0204】
アレイ310を回転可能な要素として実施することは、多くの方法で実施してもよいことを認識すべきである。1つの形態において、単一のアレイ310のみが設けられてもよく、単一のアレイ310は、システムを通って加工される1つ1つのプリフォームに作用する。代替の実施態様においては、単一のプリフォームがシステムを通って進むときに、複数のアレイ310がそれに作用する。
【0205】
当然のことながら、適切な検出器、アクチュエータおよびセンサもまたシステムに設けられ、プリフォームの進行とともにアレイの回転の同期を可能にする。サーボ、機械的リンク機構、検流計またはカムの作動を含む、アレイからの放射の同期した動きに影響を与える多くの方法がある。
【0206】
さらなる実施態様において、次に図21(a)〜21(b)を参照すると、システム400が実施される。図21(a)には、一般に線形アレイ410が、プリフォーム240との関係で示されている。プリフォームは、少なくとも1つの形態では、回転しているか、またはインデックスされて、その軸の回りに回転することを認識すべきである。アレイ410または要素(またはエミッタのアレイ)412は、本願に記載されたように、選択的に作動され、かつ作動停止されてプリフォーム240を加熱する。図21(a)には、コンベヤ要素420も示されている。
【0207】
次に、図21(b)を参照すると、システム400の頂面図が示され、この図は、各照射アレイ410が加熱ゾーンを通るプリフォーム240の進行に同期し、次いで、コンベヤ上でそのまわりを回転し、追加プリフォーム上に作用することを示す。図19および20に例示された実施態様と同様に、図21の実施態様は、例示されたものとは異なる、様々な形態を取ってもよいことが認識されるべきである。しかし、これらの形態の各々において、アレイ410は、ある方法で、プリフォーム240の経路に従い、プリフォーム240に放射線処理を提供する。代替として、コンベヤ420によって提供されたようなループを使用する代わりに、操作は厳密に直線状であってもよく、それによって、アレイのセットは、レールまたはトラックに沿って所定の距離をそれぞれのプリフォームに従い、次いで、逆になるかまたは戻り、プリフォームの別のセットに同期する。そのようなシステムは、線状トラックおよび/またはレールシステムを含んでもよく、それによって、ベルトの回転運動の複雑さは不要になる。そのようなシステムの回転運動は、単に、トラックまたはレールの歯に噛み合う歯車を含むだけであってもよく、または、同期のさらにプログラム可能な方法を提供するサーボモータ駆動システムによって駆動されてもよい。
【0208】
さらなる実施態様において、図22を参照すると、アレイは、必要な放射線を発するために、加熱ステーションでプリフォームの周辺のまわりに位置決めされてもよい。この場合、プリフォームが回転してもよいか、または、アレイがプリフォームのまわりを回転してもよいかのいずれかである。図示のように、システム500は、プリフォーム240の周辺のまわりに配置された複数のアレイ510を含む。再度、プリフォームは、矢印520によって示されたような方向に回転してもよい。代替的に、略線状アレイ510の円形構成が、既知の技術によって1つの方向に、たとえば方向522に、回転されてもよい。当然ながら、アレイおよびプリフォームの両方が、回転してもよいことを認識すべきである。プリフォームが様々な方法でシステム500内に配置されてもよいこともまた、理解すべきである。たとえば、プリフォームは、アレイ510の間をシステム500内に運搬されてもよい。代替的に、システム500は、システム500が下向きに移動してプリフォームを加熱し、次いで上向きに移動して、プリフォームを加熱することができるように、プリフォームに対して垂直に移動可能であってもよい。
【0209】
図22にはまた、図示のように、任意に置くことができるため、破線で示されるミラー512も示されている。図22は、プリフォーム240を照射するように構成された8つの照射ヘッド510を示す。照射ヘッドの数は、設計されたシステムの形状に適合するように、1からいずれかの所望の数Nへ変化することができる。プリフォームを通って他のものに直接エネルギを向けないように、照射ヘッド510が放射状に位置することが非常に望ましい。ミラー512は、照射ヘッドの間の空間を満たすように設計され、与えられた場所に照射ヘッドがない場合には、代わりになるように使用することができる。たとえば、プリフォーム240を照射する照射ヘッド510が1つしかない場合には、ミラーは、完全円から、それを通って照射が起こるべき空間を引いたもの、でありうる。照射エネルギが照射ヘッド510から発せられるため、これは、プリフォーム240に向けて進み、典型的に、発散ビームを形成する。照射エネルギ光線は、プリフォームを通って進むため、4つまでの異なるインターフェースに遭遇する。プリフォーム240の外壁に当たるときには、空気−プラスチックインターフェースであり、プリフォーム240の外壁を離れてプリフォーム240の「内側空間」内に進むときには、他のものであり、次いで、第3のインターフェースは、プリフォーム240の壁の内部にぶつかるときであり、空気との第4のインターフェースは、エネルギ光線がプリフォーム240の外壁を出るときである。よく理解された数式にしたがい、かつ、特定のターゲット材料の特定の吸収曲線にしたがって、光子がターゲット材料によって指数関数的に吸収されることは、本特許出願で先に教示されている。エネルギ光線がプリフォーム240の第1の側壁を通り、次いで第2の側壁を通って進むにつれて、光子を失い続け、それは、ターゲット材料によって吸収され、熱に変換される。非常に壁の厚いフォーム240では、エネルギは、第1の側壁を出て第2の側壁へ進む前に、完全に消滅することもある。これは、その照射用に選ばれた波長、およびその波長でターゲット材料が吸収するもの、に依存する。そのため、照射エネルギが第1の側壁に完全に吸収されていない場合には、いずれの残っているエネルギは経路に沿って進み続け、プリフォーム240の形状にしたがって回折によってわずかに曲がりながら第2の側壁へ進む。エネルギ光線がプリフォーム240の第2の側壁に入るときには、再度、材料の変化に遭遇し、その方向ベクトルは、第2の側壁に入るときに入射角およびプリフォーム240の形状にしたがって曲がる。再度、第2の側壁に吸収されなかった照射ビームに依然としてエネルギがあると仮定すると、光子519は進み続け、ミラー512に衝突し、プリフォーム240に向けて反射し戻る。次いで、再度プリフォームの壁の各々を通る経路を進み始める。PETプリフォームの厚さのための波長が適切に選ばれた場合には、光線517がプリフォームを通って周遊した後に第2の側壁を離れるときにエネルギは残らない。このミラー技術を使用することによって、システムが特定の波長で広い範囲のプリフォームを扱うように設計することが可能である。設計目標は、プリフォーム240を通る第1の通過で吸収による照射の100%を消滅させることであるが、システムは典型的にはプリフォーム240の厚さおよび形状の一定の範囲を扱うように設計されているため、ミラーは、そうでなければ無駄にされるエネルギのかなりの割合を取り戻して回収することができる。
【0210】
さらなる実施態様が、図23(a)、23(b)、23(c)および24で説明される。図23(a)〜(c)に示されるように、システム600は、加熱ゾーン602に設定されたプリフォーム240の加熱を容易にする。プリフォーム240は、加熱ゾーンの外側にある第1の位置(図23(b))から加熱ゾーン内部の第2の位置(図23(a)および23(b))へ移動することができるステージングシステム604によって支持されている。ステージングシステム604は、モータ装置606およびピストン装置608を含む。モータ装置606は、上記のように、ピストン装置608を第1の位置から第2の位置へ移動するように作動させる。モータ装置606はまた、ピストン装置608を回転するようにも作動する。当然ながら、この機能は、前記の方法(たとえば、3秒未満等の特定の長さの時間)を含む有利な方法で、プリフォームを加熱するのを容易にする。加熱ゾーン602は、アレイまたはヘッド610およびミラー612によって画成される。アレイまたはヘッド610は、選択された波長(単/複)で放射線を発し、この放射線はプリフォームによって吸収されるかまたはミラーに反射することが分る。
【0211】
アレイ610は、様々な形態を取ってもよい。1つの形態において、アレイ610は、前述のように、一連の線状に位置決めされた狭帯域照射要素またはエミッタのアレイを含む。アレイ610はまた、変動するサイズのターゲットまたはプリフォームに適応させるために、本質的にモジュールである複数のアレイまたはブロックを含んでもよい。そのような形態において、要素613は、アレイの電力供給や制御ラインと関連づけられてもよい。他の形態では、図示のように、ヘッドは、光ファイバ線の形態を取ることができるライン613の使用を通して、狭帯域照射装置(たとえば、レーザダイオード)と伝達する一連のレンズまたは開口を含む。ブロックまたはアレイは、様々な方法で実施されてもよい。たとえば、ブロックの縁のファイバ(または放出装置)は、ブロックの縁の物理的特性を補正するために、扇形に広げられてもよく、または、サイズを変えてもよい。これは、より均一な放出およびターゲットへの熱の添加を容易にする。エミッタまたはファイバ、またはブロックの間隔もまた、より均一な加熱を達成するために、変化させてもよい。同様に、ミラー612は、本発明の実施態様の目的を達成する限り、様々な形態を取ってもよい。
【0212】
図24は、システム600の頂面図を示す。加熱ゾーン602は、円形配列に構成されることに注意されたい。上記の付属のハードウェア装置が、各加熱ゾーン用に設けられている。当然ながら、プリフォームが加熱ゾーンに投入される詳細な方法は、用途によって変化させてもよい。しかし、構成の円形性質は、炉の基部プレートの回転軸にほぼ平行な方向に、加熱ゾーンまたはキャビティ内を、上または下に垂直に移動することを含む、様々な便利なアプローチに適している。
【0213】
図23(a)〜23(c)および24の実施態様、および、本願に記載された他のものは、様々な環境で実施されてもよい。そのような環境の1つは、図25に例示される。図示のように、システム700は、炉702と、移送スピンドル760、762と、ブロー成形機780と、を含む。ブロー成形機は、参照が容易なように、概略にのみ示されていることを認識すべきである。また、様々な方法のいずれで回転可能な炉702を制御しかつ/または温度(および他のパラメータ)または照射装置の検知を制御するために、コントローラ790が、典型的に示されている。たとえば、電流源パワーサプライを備えた48ボルト駆動レベルを達成する場合には、電流の制御は、比較的高出力の多くの装置を使用するのが有利である。1つの形態では、コントローラは、様々な形態を取ってもよく、様々なソフトウェアルーチンおよびハードウェアの構成を使用してもよい。システムのセンサは、同様に、制御システム内に組み込まれてもよい。当業者は、その基本操作を理解する。加えて、他の構成要素(具体的には図示せず)、たとえば、冷却装置、回転機構、モータ等が装備されてもよい。
【0214】
移送スピンドル760は、プリフォームをトラック704から炉702へ移送するように操作される。トラック704は移送歯車706で終端することを認識すべきである。移送スピンドル760は、プリフォームを移送歯車から炉のステージング装置720へ移送する移送アーム764を有する。ステージング装置720は、プリフォームを受け取り、これを、炉702のまわりに、かつそれを通って、平行移動させる。これに関して、プリフォームは、炉の加熱キャビティ層710へ下方移動される。これは、様々な方法で達成してもよいが、1つの形態では、ステージング装置720が炉702のまわりを回転するときに、カム712が、ステージング装置720を加熱キャビティ層710に向けて付勢する。加熱キャビティ層710は、複数の加熱キャビティ730を有する。各加熱キャビティは、アレイまたはヘッド、たとえば3つのヘッド732と、プリフォームの受け取りが可能なサイズを有する円筒形キャビティ、照射ステーションまたは汚染物質容器を形成するミラー734と、によって画成される。この形態において、炉702はまた、複数の放射線源742を含む放射線源層740も含む。図示のように、放射線源は、本願に記載されたように、複数の放射線放出アレイを含む。これらのアレイから発せられた放射線は、光ファイバ線736を通ってヘッド732へ伝達される。当然ながら、光ファイバの使用は、単に実施可能な1つの構成として理解されるべきである。放射線放出アレイもまた、アレイからプリフォームへ直接放出するように、ヘッドの場所に配置されてもよいことを認識すべきである。これにより、放射線源層の必要がなくなる。
【0215】
炉702はまた、電源層750も含む。電源層750は、電力を放射線源層および炉内の他の構成要素に提供するように配置される複数の電源を含む。
【0216】
操作に際して、プリフォームは、トラック704を下方移動し、移送スピンドル760に到達する。移送スピンドル760は、プリフォームを炉704のステージング装置へ移送する。ステージング装置720は、炉のまわりを回って加熱キャビティ層710まで回転され、そこで、プリフォームは加熱キャビティ内に受け取られ、炉のまわりをさらに回転する。加熱キャビティ内で、プリフォームは、特定の加熱プロファイルを達成することができるように回転される。たとえば、プリフォームは、加熱プロセスの開始時および/または終了時に異なるスピードで回転してもよく、より均一な加熱を達成し、かつ、たとえば、サーボモータまたはステッピングモータおよび適切にインターフェースされたコントローラの実施によって、「開始/停止」ラインの影響を減少する。プリフォームの加熱は、前述のように、3秒未満で行われてもよい。プリフォームが加熱されているキャビティが実質的に炉のまわりを一回転すると、プリフォームは、キャビティ内に配置された場合とほぼ同じ方法で、たとえばカム712によってキャビティから除去される。プリフォームは、次いで、移送スピンドルによって掴まれ、加工のためにブロー成形機780へ回転される。移送スピンドル762は、次いで、図示のように、ブローされたボトルをブロー成形機から取り出す。
【0217】
本願に記載された実施態様(図18〜25に関連して記載されたもの、および、他のもの)は、制御、検知およびフィードバック機能(および、冷却等の他の機能)を有利に組み込み、システムの閉鎖ループ操作を可能にすることを理解すべきである。そのため、システムは、その特定のプリフォーム用の正確な熱プロファイルを獲得するために、個別プリフォームの加熱を容易にするように制御される。このプロファイルは、その長さに対するプロファイル、または、プリフォームがその長軸の回りの回転周囲に関するプロファイルを含んでもよい。本願に記載された実施態様のいくつかは、容易な適用のため、制御、検知およびフィードバックを達成するための特定のモジュール(図12のモジュール280または図25のコントローラ790等)を示していないが、そのようなモジュールは、そのような機能がより詳細に検討された実施態様に類似した方法で、中に組み込まれることができることを理解すべきである。冷却機能もまた、様々な手段によって実施されてもよいことを理解すべきである。たとえば、冷却機能は、廃熱を別の所望の場所(プラントまたはシステムの内部または外部であってもよい)へ除去するのに使用されてもよい。たとえば、図25では、冷却は、たとえば入口791および出口793で、システム内におよびシステムから液体冷却ラインを流すことによって、達成されてもよい。適切な冷却ブランチ(図示せず)が、加熱キャビティに設けられてもよい。出口793を適切な構造物に付設して廃熱を区域またはシステムから除去することができる。
【0218】
これらのラインに沿って、図22〜25の実施態様の回転タイプを初めとする本発明の実施態様は、用途にしたがって下記の特徴部分を含んでもよいことを認識すべきである。すなわち、
−回転可能な装着配列は、回転炉構成であり、その中で、照射ステーションまたは加熱キャビティが炉内でいずれの所与の時間加熱されている各ターゲットに対応し、炉内で上記所与の時間加熱されている各ターゲットは、対応する照射ステーションによって加熱することができる。
−構成は、2つ以上の照射ステーションまたは加熱キャビティを含み、各照射ステーションは、コントローラ(コントローラ790等)および/または電流を供給して対応するターゲットを加熱するための手段によって、別個に制御することができる。
−構成は、たとえばコントローラ790を通して、ターゲット熱パラメータを検知することと、電流を供給しそれに応じて各照射ステーションまたは加熱キャビティを制御するための手段を制御することとを含む。
−たとえばコントローラ790を通して、ターゲット熱パラメータを検知することは、各個別ターゲット体のターゲット熱またはターゲット熱プロファイルの1つの検知することと、検知情報から各個別ターゲット体の照射熱注入必要性を決定することと、それに応じてターゲット体を照射する、少なくとも1つの狭帯域照射要素へ電流を供給するための手段へ制御信号を送ることとを含む。
−システムは、対応する照射ステーションの照射視野に、回転する各ターゲット体を機械的に配列することを含む。
−放射エネルギが注入されているターゲット体は、その後の操作でボトル内にブローされるのに備えたプラスチックボトルプリフォームである。
−照射ステーションの各々は、照射のために中にターゲット体を挿入することができ、挿入の運動方向が主要な炉の回転軸に実質的に平行であるように、密閉容器として設計される。
−電力または冷却液体の少なくとも一方が、炉の回転可能な部分に使用されるために回転接続を通して供給される。
−装着配列は、少なくとも1つの狭帯域照射要素の複数の線状アレイを備える。
−線状アレイは、ターゲットの経路に沿って移動可能である。
−システムは、選択された加熱ゾーン内に照射を方向づけるための、少なくとも1つの光学要素を含む。
【0219】
上記記載は、単に、本発明の特定の実施態様の開示を提供するだけであり、本発明を上記記載に限定する目的で意図したものではない。そのため、本発明は、上述の用途または実施態様のみに限定されない。本開示は、本発明の多くの用途に広く対処しており、1つの用途の実施態様に具体的に対処している。当業者は、本発明の範囲内に入る代替の用途および特定の実施態様を想定することができることを認識すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形または加工操作の前に複数の層または吸収ピークを有するプラスチックターゲット構成要素の非接触熱処理を行なうためのシステムであって、
放射加熱を容易にする方法で前記プラスチックターゲット構成要素を位置づけるように操作する手段と、
前記プラスチック構成要素が露出のために配置される熱モニタリング制御セクションであって、前記構成要素の第1の層の所望の吸収特性に整合する少なくとも第1の狭い波長帯域の放射エネルギを発するように作用する1つまたはそれ以上のソリッドステート狭帯域加熱要素の第1のセットと、少なくとも第2の狭い波長帯域の放射エネルギを発するように作用する1つまたはそれ以上のソリッドステート狭帯域放射加熱要素の第2のセットと、を備える熱モニタリング制御セクションと、
を備えるシステム。
【請求項2】
延伸ブロー成形操作前に熱可塑性プリフォームを熱的に処理する方法であって、
ブロー成形機械の熱モニタリング制御セクションの選択された加熱ゾーンを通って一連のプリフォームを輸送するステップと、
少なくとも1つの加熱ゾーンで前記一連のプリフォームを回転するステップと、
前記プリフォームの各々を回転しながら、およそ10秒未満の期間の間、狭帯域照射系放射加熱要素を使用して照射し、それによって、前記プリフォームは、望ましくは、さらなる処理のために適切に加熱され、前記狭帯域要素は、狭い波長帯域で放射線を発するように操作されるステップと、
を備える方法。
【請求項3】
前記10秒未満は、5秒未満、3秒未満、2秒未満、1秒未満、および、0.5秒未満のうちの1つを含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記熱モニタリング制御セクションに入る前に、入ってくるプリフォームの内側表面および外側表面の温度を測定して、潜熱含有量を測定するステップと、
前記入ってくるプリフォームの温度に基づいて前記狭帯域放射加熱要素に加える制御信号を生成するステップと、
これらの制御信号を前記狭帯域放射加熱要素に伝達して、前記プリフォームの所望の熱プロファイルを達成するステップと、
をさらに備える請求項2記載の方法。
【請求項5】
各プリフォームを個別に測定することをさらに備える請求項4記載の方法。
【請求項6】
各個別プリフォームを照射し、前記狭帯域加熱要素を使用してそのプリフォームの正確な熱を獲得し、その要素は、10,000時間を超える耐用期間を有することをさらに備える請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記プリフォームの長さに対して所望の熱プロファイルを獲得するために要する熱注入に応じて、各個別プリフォームを照射することをさらに備える請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記プリフォームの、その長軸を中心にした回転周囲のまわりに所望の熱プロファイルを獲得するために要する熱注入に応じて、各個別プリフォームを照射する能力をさらに備える請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記所望の断面熱プロファイルによって、プリフォームが、前記外側表面から前記内側表面へ均一に加熱される請求項4記載の方法。
【請求項10】
前記所望の断面熱プロファイルによって、プリフォームが、前記外側表面から前記内側表面へ不均一に加熱される請求項4記載の方法。
【請求項11】
前記回転は、より均一な加熱を達成するために、回転のスピードまたは照射の量の少なくとも一方を変動することを備える請求項2記載の方法。
【請求項12】
前記照射は、1.2ミクロンよりも大きい範囲内である請求項2記載の方法。
【請求項13】
前記照射は、1.2ミクロンを超えて放出する少なくとも1つの要素と、1.2ミクロン未満で放出する別の要素とを使用して、前もって形成される請求項2記載の方法。
【請求項14】
ターゲット内に狭帯域放射熱を選択的に注入するためのシステムであって、
少なくとも1つのソリッドステート狭帯域照射装置要素であって、前記少なくとも1つの狭帯域照射要素は、前記ターゲットに関連して適用するために、放射熱出力の狭い波長帯域に放射線を発するように操作され、前記狭い波長帯域は、前記関連したターゲット材料の特定の吸収特性に対応するように選択される、少なくとも1つのソリッドステート狭帯域照射装置要素と、
前記少なくとも1つの狭帯域照射要素を、それからの照射が前記ターゲットに向かうように位置決めする装着配列であって、前記ターゲットが加熱ゾーン内にある間に、前記向けられた放射線が前記ターゲットに追従できるように操作される装着配列と、
前記少なくとも1つの狭帯域要素に電流を供給するための手段であって、それによって直接電流−光子放射変換プロセスが発生する電流供給手段と、
を備えるシステム。
【請求項15】
前記ターゲットの断面を通る放射加熱の所望のレベルを得るために、前記ターゲット材料の吸収性質に特に対応するように選ばれた放射線の波長を使用する照射システムをさらに備える請求項14記載のシステム。
【請求項16】
前記装着配列は、回転可能な要素を備える請求項14記載のシステム。
【請求項17】
前記回転可能な装着配列は回転炉構成であり、その中で、照射ステーションが、前記炉内で所与の時間加熱される各ターゲットに対応し、かつ前記炉内で前記所与の時間加熱される各ターゲットは、前記対応する照射ステーションによって加熱される請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記構成は2つ以上の照射ステーションを含み、各照射ステーションは、前記対応するターゲットを加熱するために電流を供給する手段によって別個に制御可能である請求項17記載のシステム。
【請求項19】
前記構成は、ターゲット熱パラメータを検知することと、それに応じて各照射ステーションを制御するために供給される前記電流を制御することとを含む請求項18記載のシステム。
【請求項20】
ターゲット熱パラメータを検知することは、各個別ターゲット体のターゲット熱またはターゲット熱プロファイルの一方を検知することと、前記検知情報から、各個別ターゲット体の照射熱注入必要量を決定することと、それに応じて前記ターゲット体を照射するために少なくとも1つの狭帯域照射要素に電流を供給する手段へ制御信号を送ることとを含む請求項19記載のシステム。
【請求項21】
前記対応する照射ステーションの照射視野内で各ターゲット体を回転する機械的配列をさらに備える請求項18記載のシステム。
【請求項22】
放射エネルギが注入される前記ターゲット体は、その後の操作でボトル内にブローされるのに準備されたプラスチックボトルプリフォームである請求項21記載のシステム。
【請求項23】
前記照射ステーションの各々は包含(containment)容器として設計され、その中に、照射のために前記ターゲット体を挿入することができ、かつ挿入のための運動方向は、主要炉の回転軸に対して実質的に平行である請求項18記載のシステム。
【請求項24】
回転接続を通して前記炉の回転可能部分に使用するために、電力または冷却液体の少なくとも一方が供給される請求項16記載のシステム。
【請求項25】
前記装着配列は、少なくとも1つの狭帯域照射要素の複数のx−yアレイを備える請求項14記載のシステム。
【請求項26】
線状アレイは、前記ターゲットの経路に沿って移動可能である請求項25記載のシステム。
【請求項27】
前記包含容器は、反射エンクロージャを備え、その形状は、前記ターゲットを通って進み前記ターゲット内に戻る照射エネルギの実質的な量を反射するように設計される請求項23記載のシステム。
【請求項28】
放射熱をターゲット内に選択的に注入するためのシステムであって、
少なくとも1つのソリッドステート狭帯域照射装置要素であって、前記少なくとも1つの狭帯域照射要素は、前記ターゲットに関連して適用するために、放射熱出力の狭い波長帯域に放射線を発するように操作され、前記波長は、前記関連したターゲット材料の特定の吸収特性に対応するように選択される少なくとも1つのソリッドステート狭帯域照射装置要素と、
前記少なくとも1つの狭帯域照射要素を、それからの照射が前記ターゲットに向かうように位置決めする装着配列であって、該装置配列は、少なくとも1つの加熱ゾーンを画成してターゲット体を選択的に受け取り、その中に、前記加熱ゾーンの前記少なくとも1つの狭帯域照射要素からの放射熱が注入され、かつ前記ターゲット体を前記少なくとも1つの加熱ゾーンの内外に輸送する回転可能な要素を有する装着配列と、
選択的加熱ゾーン内に照射を方向づけるための少なくとも1つの光学素子と、
前記少なくとも1つの狭帯域照射要素に電流を供給する手段と、
を備えるシステム。
【請求項29】
前記加熱ゾーンは、少なくとも1つのミラーによってさらに画成される請求項28記載のシステム。
【請求項30】
前記少なくとも1つの狭帯域照射要素はアレイを備える請求項28記載のシステム。
【請求項31】
前記装着配列は、互いに略円形配列に構成される複数の加熱ゾーンを画成する複数のアレイを備える請求項30記載のシステム。
【請求項32】
前記装着配列は、前記ターゲット材料に向けて放射線を供給するために光ファイバを利用する請求項28記載のシステム。
【請求項33】
前記光ファイバは、均一な加熱を達成するために、選択された区域で扇形に広げられてもよい請求項32記載のシステム。
【請求項34】
前記ターゲット体は、その後の操作でボトル内にブローされるプラスチックボトルプリフォームを含む請求項28記載のシステム。
【請求項35】
成形または加工操作におけるプリフォームの非接触熱処理用のシステムであって、
前記プリフォームを輸送するためのトラックと、
複数のステージング装置と対応する加熱キャビティとを有する炉であって、前記加熱キャビティは、前記プリフォームの所望の吸収特性に整合するように放射熱物体の狭い波長帯域の放射線を発するように作用する狭帯域放出要素を使用して、前記プリフォームの照射を提供する炉と、
前記トラックから前記ステージング装置へプリフォームを移送するように作用する移送スピンドルであって、前記ステージング装置は前記加熱キャビティの内外に前記プリフォームを配置するように回転するように操作され、前記移送スピンドルは、前記プリフォームをブロー成形機へ移送するようにさらに操作される移送スピンドルと、
を備えるシステム。
【請求項36】
前記プリフォームの前記照射は10秒未満で完了する請求項35記載のシステム。
【請求項37】
前記システムで冷却機能を実行するための入口と出口をさらに備える請求項35記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2010−528906(P2010−528906A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511426(P2010−511426)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/066344
【国際公開番号】WO2008/154503
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(501401283)プレスコ テクノロジー インコーポレーテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】PRESSCO TECHNOLOGY INC.
【Fターム(参考)】