説明

注射用アロプラスト皮膚充填材およびその使用方法

生体適合性と柔軟性とを有する材料と生理学的に許容される懸濁化剤を含む皮膚充填材として使用される注射用アロプラスト懸濁液を含む組成物が提供される。また、生体適合性と柔軟性とを有する材料と生理学的に許容される懸濁化剤を含む皮膚充填材として使用される注射用アロプラスト懸濁液を含む組成物を調製する方法であって、生体適合性と柔軟性とを有する材料と生理学的に許容される懸濁化剤とを混合することを含む方法が提供される。皮膚欠陥の長期に渡る縮小を提供するための軟部組織を増加させる方法であって、皮膚欠陥の下方のコラーゲンの産生の刺激を含む方法が更に提供される。軟部組織を増加させる方法の一態様において、コラーゲン産生の刺激が、深部真皮網状層への皮膚充填材の注射により誘発され、該皮膚充填材は注射用アロプラスト懸濁液であり、生体適合性と柔軟性とを有する材料と生理学的に許容される懸濁化剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体を参照により本明細書に組み込む2007年10月29日に出願された米国出願11/926,930号に基づく優先権を主張するものである。本出願は、宿主組織内でほとんどあるいは全く免疫応答を生じさせることのない皮膚充填材として使用される注射用アロプラスト懸濁液に関する。更なる側面において、本出願は、シワとりを含む審美的適応症及び美容的欠陥の改善等の医学的適応症のための注射用アロプラスト懸濁液の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚のシワは、表面の小ジワであれ、より深いシワであれ、目に見える老化の兆候である。早期老化及びそれに関連したシワは、笑顔や渋面等の顔の表情をつくるための筋肉の使い過ぎと共に、過度な日光の照射や環境汚染による皮膚の損傷により引き起こされる可能性がある。シワの形成の原因となる可能性のあるその他の因子としては、喫煙や、たばこの煙への暴露、栄養不足及び皮膚疾患等が挙げられる。
【0003】
老化の過程で、皮膚の中のコラーゲンやヒアルロン酸の減少が起こり、その結果、脆弱な皮膚になると共に小ジワやシワが生じる。老化に関連したシワは静的なシワとして知られている。一方、動的なシワは、表情をつくる際に繰り返される筋肉の運動によって引き起こされ、その結果、無表情の場合でも皮膚のシワやヒダが残る。動的なシワとしては、笑いジワ、渋面ジワ、目尻のシワ、口元のシワや額のシワ等が挙げられる。皮膚がたるむと、皮膚のヒダの中にシワが発生する。例えば、たるんだ頬は皮膚のヒダの中に鼻の両角から口の両側を回り顎の方に下りる鼻唇溝として知られるシワを生じさせる。
【0004】
何世紀も前からシワのない若々しく見える皮膚の探求が行われてきた。老化や皮膚損傷に起因するシワの治療は、免疫反応等の副作用を最小限に抑え、出来る限り長期間に渡たって、皮膚を滑らかにする等、外見上明白な改善が得られるものでなければならない。皮膚欠陥の治療は、美容的理由、医学的理由に関わらず、副作用、即ち治療手段とその手段に対する宿主組織の抗原抗体反応とによる合併症を最小限に抑え、審美的に心地よい結果を長期間に渡って得ることと、意図した結果を得るための再治療を減らすこととを両立しなければならない。
【0005】
シワとたるんだ皮膚に対する現行の治療法は、余分な脂肪を取り除き下層の筋肉を引っ張り固定し、顔と首の皮膚を引っ張る一般にフェイスリフトとして知られているシワ切除(rhytidectomy)からレーザーリサーフェシング(laser resurfacing)、化学的表皮剥離(chemical peels)やA型ボツリヌス毒素(Botox(登録商標))の注射等の侵襲性の少ない治療法まで多岐に渡っている。いずれの方法も特定の皮膚欠陥の求める改善を達成できないか、短期間の改善しか出来ないということがあり、同じ組成物や手段を用いた追加の治療や別の手段の使用が必要となっている。
【0006】
注射用皮膚充填材は、フェイスリフトよりも短い回復時間でシワや傷跡等の皮膚欠陥を縮小する非侵襲性の選択肢を提供する。注射用軟部組織充填剤は、皮膚欠陥の内部の皮膚をもち上げる。皮膚欠陥は周囲よりも低く、より深くなっており、光が当たると影ができ、例えば欠陥のような目に見えるものとなる。皮膚欠陥の下方にある軟部組織の充填材は皮膚をもち上げ、欠陥を周囲の皮膚とほぼ同じ高さまでもってきてその影を減じる。
【0007】
皮膚、腱及び靱帯を支える天然に存在するタンパク質であるコラーゲンは、1980年代の初めから軟部組織充填材として、体重のかからない場所の真皮の輪郭変形を矯正するために使用されている。米国食品医薬品局(FDA)に認可されている一般的な注射用皮膚充填材、即ちインプラントは、牛皮からウシコラーゲンを抽出し、精製、滅菌処理を施し、次いで3%のリドカインを含有するリン酸緩衝生理食塩水に分散することで調製される。コラーゲンは、グルタルアルデヒドで軽く架橋されていても、非架橋コラーゲン充填材であってもよい。こうしたタイプの充填材は、膨張性のニキビの跡、疾患や外傷が原因の委縮症、眉間の渋面シワ、鼻唇溝、鼻形成術、植皮あるいはその他の外科手術で誘発された変形や軟部組織欠陥を改善するために用いられてきた。コラーゲンに対するアレルギーの有無を確定するために事前に患者の皮膚検査が必要である。ウシコラーゲンの注射は、即効性はあるものの、皮膚欠陥の改善効果は一時的で、せいぜい6週間から6ヶ月間しか持続せず、また、アレルギー反応や潜在的な結合組織疾患の危険性をともなう。
【0008】
その他のコラーゲンの皮膚充填材が入手可能である。Autologenは、患者自身の皮膚から抽出、滅菌、そして注射可能な形態に加工されたコラーゲンであり、その注射の効果はウシコラーゲンの注射よりも持続するように見えるが、安定した効果が得られない。Isolagenは、コラーゲン産生細胞等の生きているクローン線維芽細胞の調合液で、この細胞も患者自身の皮膚から抽出して、液体の形態に加工したものである。これらの生きた線維芽細胞は数ヵ月に渡って皮膚欠陥を改善する可能性があるが、シワが改善される割合を高めるのに、2週間毎に3回の注射が推奨され、効果維持のための注射が必要な場合もある。Dermalogenは死亡した人間のドナーから得たコラーゲンで、滅菌、精製、そして加工したものである。このコラーゲン充填材もまたウシコラーゲンよりも長く持続し、アレルギー反応と結合組織疾患の危険性を最小限にできる可能性があるが、感染伝播の理論上の危険性が存在する。この皮膚欠陥治療法は追加注射の必要可能性とその効果が時間と共に低下する可能性がある。
【0009】
もう一つの皮膚成分であるヒアルロン酸もまた皮膚充填材として使用される。雄鶏の鶏冠等から抽出された動物由来のヒアルロン酸や、組み換え技術や合成的に産出されたヒアルロン酸等の非動物性のヒアルロン酸皮膚充填材が、中程度から深刻な(深い)顔のシワやヒダの治療用や、鼻、口及びその他の軟部組織の周囲へのボリューム付加用として市販されている。細菌のタンパク質にアレルギーがある患者に組み換え技術で産生されたヒアルロン酸を注射する場合と同様に、鳥類由来の製品に敏感な患者に動物由来のヒアルロン酸、即ち皮膚充填材を注射すると、アレルギー反応を起こす可能性がある。これらのヒアルロン酸軟部組織充填材の注射後は、即座にシワやヒダが矯正されるが、それらの効果は一時的であり、6ヶ月から1年迄しか持続しない。
【0010】
骨や歯の成分であるカルシウムヒドロキシアパタイトもまた水性担体に懸濁させた微小球の形で注射用皮膚充填材として使用される。上記の皮膚充填剤の場合と異なり、宿主組織は注射されたカルシウムヒドロキシアパタイトと反応し、コラーゲン産生を刺激して各々の微小球を独立に包み、カプセル化し、その結果、皮膚欠陥の下の嵩(ボリューム)が増え、欠陥を目立たなくする。カルシウムヒドロキシアパタイト微小球の注射用皮膚充填材は中程度から深刻な(深い)シワやヒダの治療用として認可されている。カルシウムヒドロキシアパタイト微小球の懸濁液の注射の結果は即効性でコラーゲンの皮膚充填材の効果よりも持続性があり約1年から2年続くと報告されている。
【0011】
小ジワ、シワ、深いシワやヒダの矯正用としてごく最近に米国外で認可された新たな注射用皮膚充填材の微小球に、生分解性で生体適合性のあるポリ乳酸が含まれている。米国では、この注射用ポリ乳酸の微小球皮膚充填材はHIV患者の皮下脂肪萎縮症の回復及び/あるいは矯正用としてFDAに認可されている。皮膚充填材中の直径が2〜50μmのポリ乳酸微小球は、宿主組織中で第一段階の中程度の炎症を経て多孔質になり、続いて、異物巨細胞が微小球を食菌し、このインプラントの分解を促進する第二のより強い炎症が起こる。皮膚欠陥は即時に改善され、最大2年間持続すると報告されている。非再吸収性微小球は治療を受けた皮膚欠陥の下に永続的なボリュームを加え、宿主を刺激し、インプラントの周囲にコラーゲン繊維を産出させる。注射したポリ乳酸の微小球皮膚充填材の潜在的な副作用としては、炎症性肉芽腫の形成やしこりの形成が挙げられる。
【0012】
もう一つの永続型の微小球系注射用皮膚充填材は、各々が30μmと42μmの間の直径を有し表面が平滑なポリメチルメタクリレート(PMMA)製のより大きな非再吸収性微粒子と高純度のウシコラーゲンゲルとをPMMA20%とウシコラーゲン80%の割合で含有する。この注射用皮膚充填材は0.3%のリドカイン麻酔溶液も含有する。固体粒子の直径はより大きくてもよく、例えば、全体を参照により本明細書に組み込む米国特許第5,344,452を参照のこと。この注射用皮膚充填材はコラーゲンを含有するため、コラーゲンアレルギーに対する皮膚試験が必要である。注射用PMMA−ウシ皮膚充填材は、笑いジワ等の鼻唇溝を矯正するための非再吸収性の美容目的の注射用皮膚充填材としてFDAに認可されている。それは真皮の深部、下皮あるいは骨膜上に注射されるが、唇に用いるのは、筋肉運動によって、一列に紐状に注射された微小球が圧迫され、その結果、小結節を形成するので難しい。この特殊な注射用皮膚充填材よって即座にシワは改善されるが、最終的に求める結果を達成するには、凡そ4週間から8週間毎に2,3回の追加の治療が必要となる場合がある。副作用としては、しこりによる凸凹や、炎症性の肉芽腫等が挙げられる。注射用PMMA−コラーゲン皮膚充填材による治療はケロイドを形成し易い患者だけでなく既知のウシアレルギーやリドカインアレルギーの患者には禁忌である。この皮膚充填材による治療は、皮膚欠陥の下方のボリュームが増加するだけでなく、皮膚欠陥の下方にコラーゲンを堆積させる刺激が生涯続くと推定されるので、永続的なものと考えられる。
【0013】
皮膚充填材微粒子の電荷は、マクロファージを引き付け、活性化することに関与しているように見え、異物巨細胞の形成、ついで線維芽細胞形成を促進し、その結果、新しい結合組織組成物を増加させる。
【0014】
シワ、傷跡やその他の変形部等に対するこれらの治療法は、いずれも皮膚欠陥の縮小効果あるいは線維芽細胞や不活性型線維芽細胞の宿主産生を刺激する効果の持続期間が変化し、一定せず、即発性及び/または遅発性の免疫反応を示し、アレルギーの危険性をともない、凝集(clumping)、塊形成(lumping)、小結節形成や肉芽腫形成のような触診や目視で分かる副作用をもたらす。
【発明の概要】
【0015】
従って、老化の進行、あるいは、動的シワ、静的シワ、小ジワ、ニキビの跡、手術の傷跡、怪我の傷跡等の早期老化に関連する皮膚欠陥の縮小効果を長期間に渡って得られる組成物に対する要求は、未だに満たされていない状態である。そのような組成物は、宿主組織にアレルギー反応、即発性炎症反応、遅発性炎症反応あるいは再発性炎症反応を起こすことなく皮膚を滑らかにする効果を有することが望ましい。また、同様に望ましいのは、皮膚欠陥の縮小効果が長期間に渡って得られる組成物の製造方法や、宿主細胞中でのコラーゲン産生、線維芽細胞産生(fibroblast production)、不活性型線維芽細胞産生(fibrocyte production)、あるいは、これらの細胞の任意の組み合わせの産生を促す刺激を誘発することで軟部組織を増加させるそれらの組成物の使用方法である。
【0016】
一態様において、生体適合性と柔軟性とを有する材料と生理学的に許容される懸濁化剤を含んでなる、皮膚充填剤として用いる注射用アロプラスト懸濁液を含んでなる組成物が提供される。
【0017】
別の態様において、生体適合性と柔軟性とを有する材料と生理学的に許容される懸濁化剤を含んでなる、皮膚充填剤として用いる注射用アロプラスト懸濁液を含んでなる組成物を作製する方法も提供され、該方法は生体適合性と柔軟性とを有する材料を生理学的に許容される懸濁化剤と混合することを含む。
【0018】
一態様において、皮膚欠陥の長期間に渡る縮小を提供するための軟部組織を増加させる方法が更に提供され、該方法は皮膚欠陥の下方のコラーゲン産生、線維芽細胞産生、不活性型線維芽細胞産生、あるいは、これらの細胞の任意の組み合わせの産生を刺激することを含む。
【0019】
一態様において、シワと傷跡を縮小する方法が更に提供され、該方法は皮膚欠陥の下方のコラーゲン産生、線維芽細胞産生、不活性型線維芽細胞産生、あるいは、これらの細胞の任意の組み合わせの産生を刺激することを含む方法。
【0020】
軟部組織を増加させ、シワと傷跡を縮小する方法の一態様において、表皮、真皮深部、下皮、皮下組織、あるいは骨膜上(骨質の近傍及び上方)の中への皮膚充填材の注射により、コラーゲン産生、線維芽細胞産生、不活性型線維芽細胞産生、あるいは、これらの細胞の任意の組み合わせの産生に対する刺激が誘発され、該皮膚充填材は、注射用アロプラスト懸濁液であり、生体適合性と柔軟性とを有する材料と生理学的に許容される懸濁化剤を含む。
【0021】
これら及びその他の態様は、以下の詳細な説明を読むことにより、当業者には容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書に記述された態様の理解を促す目的で、態様への言及が行われ、態様の説明には特定の用語が用いられる。本明細書で用いられる専門用語は特定の実施例のみを記述することを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図しない。本開示全体において、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈で他に明確に述べていないかぎり、複数についても述べたものとする。従って、例えば、「組成物」について述べる場合は、単数の組成物と共に複数のそのような組成物をも包含する。
【0023】
「コポリマー」とは、ポリマー鎖が2種以上のモノマーからなる重合体である。
「アクリレート/メタクリレートコポリマー」は、本明細書では、医薬だけでなく、AcrySof MA60BM眼内レンズ(Alcon Laboratories)や多孔質膜の製作等の他の用途にも用いられているコポリマーとして定義される。これらのコポリマーはもともと不活性で、非常に多くの産業において、数えきれない用途に用いられている。
【0024】
一態様において、生体適合性と柔軟性とを有する材料と生理学的に許容される懸濁化剤を含む、皮膚充填剤として用いる注射用アロプラスト懸濁液を含む組成物が提供される。
一態様において、生体適合性と柔軟性とを有する材料は、非置換アクリレートモノマーと置換アクリレートモノマーとのコポリマーである。
【0025】
本ポリマーの更なる一態様において、置換アクリレートモノマーはメチル基で置換される。非置換アクリレートモノマーと置換アクリレートモノマーは、人体によって吸収も分解もされず、不活性であり、免疫機構によって認識もされない。このコポリマーは免疫学的に不活性であるため炎症性の肉芽腫や瘢痕の形成を引き起こさない。非置換アクリレートモノマーと置換アクリレートモノマーとのコポリマーは皮膚への適用に対して重要な特性である柔軟性を有する。このコポリマー材料は疎水性でもあり、そのことは、シワが形成された場所での皮膚の拡張に有利である可能性がある。非置換アクリレートモノマーと置換アクリレートモノマーとのコポリマーは、例えば、材料を注射した数年後にフェイスリフトをする場合等に除去し易いように、必要に応じ、色付けしても良い。
【0026】
非置換アクリレートモノマーと置換アクリレートモノマーとのコポリマーの別の態様において、置換アクリレートモノマーはメチル基以外の官能基で置換されてもよい。置換基としては、非反応性基(あるいは、反応場に近づけない潜在的な反応性基)及びメチル基と同じ大きさか、もしくは立体的に等価な大きさの官能基が挙げられる。しかしながら、置換基の立体的な大きさは、メチル基と同程度の大きさに限定されない。例えば、その他のアルキル基誘導体、すなわち、炭素鎖長が1〜4(5でも可)(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル)のアクリレート誘導体等も同様の柔軟性を付与できる可能性がある。そのような誘導体も広く市販されている。置換アクリレートモノマーに対する置換基の別の選択肢としては、メチル基と同じ立体的空間を占める塩素でもよい。塩素は反応性基であるが、コポリマーが固体で非分散状態のため、塩素が別の反応基に近づけない、即ち、別の反応基との反応から隠蔽されるため、塩素の潜在的な反応性は、置換アクリレートモノマーの置換基として塩素を用いることの妨げにはならない。ニトリル基もメチル基と同程度の大きさであるので置換アクリレートモノマーの置換基の別の選択肢としての可能性を有する。ニトリル基は潜在的には反応性である可能性があるが、この潜在的反応性は、塩素基についての説明と同じ理由で、ニトリル基を置換基として用いることの妨げにはならないであろう。他のハロゲンも同様に置換アクリレートモノマーの置換基として用いるのに適している可能性がある。置換アクリレートモノマーにフェニル基を置換することでも、コポリマーに柔軟性を付与できる可能性がある。フェニル基のパイ積層(pi-stacking)、即ち、お互いの積み重なりが起こらなければ、フェニル基も使用してもよい。
【0027】
注射用アロプラスト懸濁液を含む組成物の別の態様において、生体適合性と柔軟性とを有する材料は、アクリレート/メタクリレートコポリマーである。
注射用アロプラスト懸濁液を含む組成物の更なる態様において、アクリレート/メタクリレートコポリマーは固体である。一態様において、この固体は非多孔性の微粒子でもよい。より更なる態様において、この固体は粉末であってもよい。別の態様において、この固体は微小球であってもよい。注射用アロプラスト懸濁液を含む組成物の更なる態様において、この固体は、約10μm〜約100μmの直径を有する。
【0028】
本発明のさまざまな態様に従えば、アクリレート/メタクリレートコポリマーは、各々が約100μmより小さい直径を有する粒子状である。好ましい態様に従えば、各々の粒子の直径は約10μmより小さい。別の好ましい態様に従えば、各々の粒子は約0.01μm〜約10μmの直径を有する。別の好ましい態様においては、各々の粒子は約0.1μm〜約5μmの直径を有する。
【0029】
注射用アロプラスト懸濁液の一態様において、生理学的に許容される懸濁化剤は、再吸収性で、例えば、人体に吸収されるが、分解はされない。
注射用アロプラスト懸濁液の別の態様において、生理学的に許容される懸濁化剤は、緩衝生理溶液でもよい。また、別の態様においては、生理学的に許容される懸濁化剤は、架橋ヒアルロン酸ナトリウムを含んでもよい。更に別の態様においては、生理学的に許容される懸濁化剤は、非架橋ヒアルロン酸ナトリウムを含んでもよい。緩衝生理溶液が非架橋あるいは架橋ヒアルロン酸ナトリウムを懸濁化剤として含む態様においては、ヒアルロン酸ナトリウムは、緩衝生理溶液の約10%〜約80%を構成する。
【0030】
注射用アロプラスト懸濁液を含む組成物の更に別の態様において、生理学的に許容される懸濁化剤はコラーゲンを含む。更なる態様においては、コラーゲンは動物に由来する。より更なる態様においては、コラーゲンは鳥に由来する。
【0031】
注射用アロプラスト懸濁液を含む組成物の別の態様において、コラーゲンは、細菌中で遺伝子工学により産生されたものである。一態様では、細菌は、タンパク質の組み換え発現に用いるいかなる細菌でもよい。更なる態様では、細菌は連鎖球菌(Streptococcus)株でもよい。
【0032】
一態様において、生体適合性と柔軟性とを有する材料と生理学的に許容される懸濁化剤を含む皮膚充填剤として用いる注射用アロプラスト懸濁液を含む組成物を作製する方法が提供され、前記方法は生体適合性と柔軟性とを有する材料を生理学的に許容される懸濁化剤と混合することを含む。
【0033】
この方法の一態様において、生体適合性と柔軟性とを有する材料は、非置換アクリレートモノマーと置換アクリレートモノマーとのコポリマーである。
この方法の更なる態様において、置換アクリレートモノマーはメチル基で置換される。非置換アクリレートモノマーと置換アクリレートモノマーとのコポリマーのその他の態様において、置換アクリレートモノマーはメチル基以外の官能基で置換されてもよい。置換基としては、非反応性基(あるいは、反応場に近づけない潜在的な反応性基)及びメチル基と同じ大きさか、もしくは立体的に等価な大きさの官能基が挙げられるが、置換基の立体的な大きさは、メチル基と同程度の大きさに限定されない。例えば、その他のアルキル基誘導体、すなわち、炭素鎖長が1〜4(5でも可)(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル)のアクリレート誘導体等のその他のアルキル基誘導体も置換アクリレートモノマーのメチル基に置き換える置換基として用いてもよい。非置換アクリレートモノマーと置換アクリレートモノマーとのコポリマーの別の態様において、置換アクリレートモノマーの置換基は塩素または別のハロゲンでもよい。ニトリル基も置換アクリレートモノマーのもう一つの可能性のある置換基である。上述のように置換アクリレートモノマーは、フェニル基で置換されてもよい。
【0034】
皮膚充填剤として用いる注射用アロプラスト懸濁液を含む組成物の作製方法の別の態様において、生体適合性と柔軟性とを有する材料は、アクリレート/メタクリレートコポリマーである。この方法の更なる態様において、アクリレート/メタクリレートコポリマーは固体である。更に別の態様において、この固体のアクリレート/メタクリレートコポリマーは粉末でもよい。この方法の更に別の態様において、この固体は非多孔質微粒子でもよい。この方法の別の態様において、この固体は微小球でもよい。皮膚充填剤として用いる注射用アロプラスト懸濁液を含む組成物の作製方法の別の態様において、この固体は約10μm〜約100μmの直径を有すればよい。別の態様に従えば、この固体は約0.01μm〜約10μmの間の直径を有する。別の態様では、この固体は約0.1μm〜約5μmの間の直径を有する。
【0035】
この方法の別の態様において、生理学的に許容される懸濁化剤は再吸収性である。一態様では、生理学的に許容される懸濁化剤は緩衝生理溶液でもよい。この方法の更に別の態様において、生理学的に許容される懸濁化剤は、架橋ヒアルロン酸ナトリウムを含む。別の態様において、生理学的に許容される懸濁化剤は、非架橋ヒアルロン酸ナトリウムを含む。更なる態様において、生理学的に許容される懸濁化剤は、コラーゲンを含む。別の態様において、コラーゲンは動物由来であってもよい。更に別の態様において、コラーゲンは鳥由来であってもよい。この方法のより更なる態様において、コラーゲンは、細菌中で遺伝子工学によって産生されてもよい。一態様では、細菌は、タンパク質の組み換え発現に用いられるいかなる細菌でもよい。更なる態様では、細菌は連鎖球菌株でもよい。
【0036】
一態様において、皮膚欠陥の長期間に渡る縮小を提供するための軟部組織を増加させる方法が提供され、前記方法は皮膚欠陥の下方のコラーゲン産生、線維芽細胞産生、不活性型線維芽細胞産生、あるいは、これらの細胞の任意の組み合わせの産生を刺激することを含む。
【0037】
皮膚欠陥の長期間に渡る縮小を提供するための軟部組織を増加させる方法の更なる態様において、深部真皮網状層への皮膚充填材の注射により、コラーゲン産生、線維芽細胞産生、不活性型線維芽細胞産生、あるいは、これらの細胞の任意の組み合わせの産生に対する刺激が誘発され、前記皮膚充填材は、注射用アロプラスト懸濁液を含み、また生体適合性と柔軟性とを有する材料と生理学的に許容される懸濁化剤を含む組成物である。
【0038】
皮膚欠陥の長期間に渡る縮小を提供するための軟部組織を増加させる方法の一態様において、生体適合性と柔軟性とを有する材料は、非置換アクリレートモノマーと置換アクリレートモノマーとのコポリマーである。
【0039】
この方法の更なる態様において、置換アクリレートモノマーはメチル基で置換される。非置換アクリレートモノマーと置換アクリレートモノマーとのコポリマーのその他の態様において、置換アクリレートモノマーはメチル基以外の官能基で置換されてもよい。置換基としては、非反応性基(あるいは、反応場に近づけない潜在的な反応性基)及びメチル基と同じ大きさか、もしくは立体的に等価な大きさの官能基が挙げられるが、置換基の立体的な大きさは、メチル基と同程度の大きさに限定されない。例えば、その他のアルキル基誘導体、すなわち、炭素鎖長が1〜4(5でも可)(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル)のアクリレート誘導体等のその他のアルキル基誘導体も置換アクリレートモノマーのメチル基に置き換える置換基として用いてもよい。非置換アクリレートモノマーと置換アクリレートモノマーとのコポリマーの別の態様において、置換アクリレートモノマーの置換基は塩素または別のハロゲンでもよい。ニトリル基も置換アクリレートモノマーの別の可能性のある置換基である。上述のように置換アクリレートモノマーは、フェニル基で置換されてもよい。
【0040】
皮膚欠陥の長期間に渡る縮小を提供するための軟部組織を増加させる方法の別の態様において、生体適合性と柔軟性とを有する材料は、アクリレート/メタクリレートコポリマーである。この更なる態様において、アクリレート/メタクリレートコポリマーは、固体である。更に別の態様においては、この固体のアクリレート/メタクリレートコポリマーは、粉末であってもよい。更に別の態様において、この固体は、非多孔性微粒子でもよい。この方法の別の態様は、この固体は、微小球であってもよい。皮膚欠陥の長期間に渡る縮小を提供するための軟部組織を増加させる方法の更なる態様において、この固体は約10μm〜約100μmの直径を有する。
【0041】
皮膚欠陥の長期間に渡る縮小を提供するための軟部組織を増加させる方法の更なる態様に従えば、アクリレート/メタクリレートコポリマーは、約100μmより小さい直径を有する細かく粉砕された固体粒子の形態をしている。一態様に従えば、細かく粉砕された固体粒子の直径は、約10μmより小さい。一つの好ましい態様に従えば、粒子は、約0.01μmから約10μmの直径を有する。別の好ましい態様に従えば、粒子は、約0.1μmから約5μmの直径を有する。
【0042】
この方法の別の態様において、生理学的に許容される懸濁化剤は再吸収性である。一態様では、生理学的に許容される懸濁化剤は緩衝生理溶液であってもよい。この方法の更に別の態様では、生理学的に許容される懸濁化剤は架橋ヒアルロン酸ナトリウムを含む。別の態様において、生理学的に許容される懸濁化剤は非架橋ヒアルロン酸ナトリウムを含む。更なる態様において、生理学的に許容される懸濁化剤はコラーゲンを含む。別の態様において、コラーゲンは動物由来でもよい。この方法の更に別の態様において、コラーゲンは鳥由来でもよい。この方法のより更なる態様において、コラーゲンは、細菌中で遺伝子工学によって産生されてもよい。一態様において、細菌は、タンパク質の組み換え発現に用いられるいかなる細菌でもよい。更なる態様では、細菌は連鎖球菌株でもよい。
【0043】
皮膚欠陥の長期間に渡る縮小を提供するための軟部組織を増加させるこの方法の一態様において、皮膚充填材は皮膚欠陥の下の真皮と皮下脂肪との接合部に注射されてもよい。別の態様において、注射された皮膚充填材は宿主組織中で免疫反応を起こすことはほとんどない、もしくは、宿主組織中で免疫反応を起こすことは全くない。更なる態様において、皮膚欠陥は老化の進行の過程で皮膚の中のコラーゲン及びヒアルロン酸が減少した結果である可能性がある。別の態様では、皮膚欠陥は早期老化の結果である可能性があり、前記早期老化は、日光への過剰暴露、環境汚染物質への過剰暴露、喫煙、たばこの煙への暴露、栄養不足及び皮膚疾患によって引き起こされる。
【0044】
皮膚欠陥の長期間に渡る縮小を提供するための軟部組織を増加させる方法の別の態様において、皮膚欠陥は動的シワ、小ジワあるいは静的シワでもよい。更に別の態様において、動的シワは、額のシワ、眉間のシワ、あるいは目のシワ(目尻のシワ)であってよい。より更に別の態様では、静的シワは、たるんだ皮膚に起因する皮膚のヒダ状シワであってよい。別の態様において、皮膚欠陥は、例えば、「ローリング型」瘢痕(“rolling” scar)、「ボックスカー型」瘢痕(“boxcar” scar)、「アイスピック型」瘢痕(“ice pick” scar) 等のニキビの跡、手術の傷跡、外傷の傷跡、粗大毛穴及び軟部組織輪郭欠陥から成るグループから選ばれる疾患である。一態様において、この疾患とは、(例えば、動物咬傷の後にできるような)小さな組織欠陥あるいは、外傷に関連した美容上見栄えの悪い変形のような再成形を必要とする変形である。軟部組織を増加させる方法の更なる態様として、対称的な美しさや目的の結果を得るために美容整形手術の後にこの組織増加を行ってもよい。
【0045】
皮膚欠陥の長期間に渡る縮小を提供するための軟部組織を増加させる方法の更なる態様において、皮膚欠陥の「長期間に渡る」縮小とは、少なくとも1年の期間の縮小である。この方法の別の態様において、皮膚欠陥の長期間に渡る縮小とは、少なくとも1年から約5年の期間の縮小である。この方法の更に別の態様において、皮膚欠陥の長期間に渡る縮小とは、少なくとも約5年から約10年の期間の縮小である。更に別の態様において、皮膚欠陥の長期間に渡る縮小とは、約10年以上の期間の縮小である。
【0046】
別の態様において、シワと傷跡を縮小する方法が更に提供され、この方法は皮膚欠陥の下方のコラーゲン産生、線維芽細胞産生、不活性型線維芽細胞産生、あるいは、これらの任意の組み合わせの産生を刺激することを含む。
【0047】
シワと傷跡を縮小する方法の一態様において、生体適合性と柔軟性とを有する材料は、非置換アクリレートモノマーと置換アクリレートモノマーとのコポリマーである。
本方法の更なる実施態様において、置換アクリレートモノマーはメチル基で置換される。非置換アクリレートモノマーと置換アクリレートモノマーとのコポリマーの別の態様において、置換アクリレートモノマーはメチル基以外の官能基で置換されてもよい。置換基としては、非反応性基(あるいは、反応場に近づけない潜在的な反応性基)及びメチル基と同じ大きさか、もしくは立体的に等価な大きさの官能基が挙げられるが、置換基の立体的な大きさは、メチル基と同程度の大きさに限定されない。例えば、1〜4、更に5の炭素鎖長(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、及びペンチル)のアクリレート誘導体等のその他のアルキル基誘導体も置換アクリレートモノマーのメチル基に置き換え、置換基として用いてもよい。非置換アクリレートモノマーと置換アクリレートモノマーとのコポリマーの別の態様において、置換アクリレートモノマーの置換基は塩素または別のハロゲンでもよい。ニトリル基も置換アクリレートモノマーのもう一つの可能性のある置換基である。置換アクリレートモノマーは、例えば、フェニル基のパイ積層が起こらなければ、フェニル基でもよい。
【0048】
シワと傷跡を縮小する方法の別の態様において、生体適合性と柔軟性とを有する材料は、アクリレート/メタクリレートコポリマーである。この方法の更なる態様は、アクリレート/メタクリレートコポリマーは固体である。更に別の態様において、固体のアクリレート/メタクリレートコポリマーは粉末であってもよい。この方法の更に別の態様において、固体は非多孔性微小粒子であってもよい。この方法の別の態様では、固体は微小球である。シワと傷跡を縮小する方法の更なる態様において、固体は約10μm〜約100μmの直径を有してもよい。
【0049】
本発明の方法の更なる態様に従えば、アクリレート/メタクリレートコポリマーは、微粉砕され、各々が約100μmより小さな粒子となる。別の態様において、各々の粒子は約10μmより小さい直径を有する。別の態様において、各々の粒子は約0.01μm〜約10μmの直径を有する。更に別の態様において、各々の粒子は約0.1μm〜約5μmの直径を有する。本明細書に記載された指針に基づき、当業者であれば、本発明の実施態様に従って、容易に入手可能な技術と装置を用い、微粉砕されたコポリマーを調製できるであろう。例えば、本発明の態様に従って、コポリマーを粉末状に粉砕するのに使用可能な粉砕機としては、Fritschで製造され、http://www.fritsch.de/en.html.に記載のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
この方法の別の態様において、生理学的に許容される懸濁化剤は再吸収性である。一態様では、生理学的に許容される懸濁化剤は緩衝生理溶液であってもよい。この方法の更に別の態様では、生理学的に許容される懸濁化剤は架橋ヒアルロン酸ナトリウムを含む。別の態様において、生理学的に許容される懸濁化剤は非架橋ヒアルロン酸ナトリウムを含む。更なる態様において、生理学的に許容される懸濁化剤はコラーゲンを含む。別の態様において、コラーゲンは動物由来でもよい。この方法の更に別の態様において、コラーゲンは鳥由来でもよい。この方法のより更なる態様において、コラーゲンは、細菌中で遺伝子組み換えによって産生されてもよい。一態様において、細菌は、タンパク質の組み換え発現に用いられるいかなる細菌でもよい。更なる態様では、細菌は連鎖球菌株でもよい。
【0051】
このシワと傷跡を縮小する方法の更なる態様において、深部真皮網状層への皮膚充填材の注射により、コラーゲン産生、線維芽細胞産生、不活性型線維芽細胞産生、あるいは、これらの細胞の任意の組み合わせの産生に対する刺激が誘発され、前記皮膚充填材は、注射用アロプラスト懸濁液であり、生体適合性と柔軟性とを有する材料と生理学的に許容される懸濁化剤を含む。
【0052】
シワと傷跡を縮小する方法の別の態様において、皮膚充填材は長期間に渡るシワと傷跡を縮小するために皮膚欠陥の下の真皮と皮下脂肪との接合部に注射されてもよい。この方法の別の態様において、注射された皮膚充填材は宿主組織中で免疫反応を起こすことはほとんどない、もしくは、宿主組織中で免疫反応を起こすことは全くない。更なる態様において、皮膚欠陥は老化進行の過程で皮膚の中のコラーゲン及びヒアルロン酸が減少した結果である可能性がある。別の態様では、シワと傷跡は早期老化の結果の可能性があり、前記早期老化は、日光への過剰暴露、環境汚染物質への過剰暴露、喫煙、たばこの煙への暴露、栄養不足及び皮膚疾患によって引き起こされる。
【0053】
シワと傷跡の長期間に渡る縮小を提供するためのシワと傷跡を縮小する方法の別の態様において、シワと傷跡は動的シワ、小ジワあるいは静的シワでもよい。更に別の態様において、動的シワは、額のシワ、眉間のシワ、目のシワ(目尻のシワ)であってよい。より更に別の態様では、静的シワはたるんだ皮膚に起因する皮膚のヒダ状シワであってよい。別の態様において、皮膚欠陥は、例えば、「ローリング型」瘢痕(“rolling” scar)、「ボックスカー型」瘢痕(“boxcar” scar)、「アイスピック型」瘢痕(“ice pick” scar)瘢痕 等のニキビの跡、手術の傷跡、外傷の傷跡、粗大毛穴及び軟部組織輪郭欠陥から成るグループから選ばれる疾患である。一態様において、この疾患とは、(例えば、動物咬傷の後にできるような)小さな組織欠陥あるいは、美容上見栄えが悪い外傷に関連した変形のような再成形を必要とする変形である。シワと傷跡を縮小する方法の更なる態様において、対称的な美しさや目的の結果を得るために美容整形手術の後にシワと傷跡の縮小を行ってもよい。
【0054】
シワと傷跡の長期間に渡る縮小を提供するためのシワと傷跡を縮小する方法の更なる態様において、シワと傷跡の「長期間に渡る」縮小とは、少なくとも1年の期間の縮小である可能性がある。この方法の別の態様において、シワと傷跡の長期間に渡る縮小とは、少なくとも1年から約5年の期間の縮小である可能性がある。この方法の更に別の態様において、シワと傷跡の長期間に渡る縮小とは、少なくとも約5年から約10年の期間の縮小である可能性がある。この方法の更に別の態様において、シワと傷跡の長期間に渡る縮小とは、約10年以上の期間の縮小である可能性がある。
【0055】
本発明の更なる態様に従えば、本発明は、当業者ならば本明細書に提示された指針に基づき認識できるように、本明細書に記載された任意の組成物とその他の適切な組成物とを、例えば、混合物として、あるいは別々に投与する材料として、併用することを意図している。更なる実施態様に従えば、本発明は、当業者であれば理解されるように、組成物を医療用具として使用すること、あるいは、組成物をインプラント可能あるいはインプラント不可能な医療用具等を含む適切な医療用具と併用することを意図している。
【0056】
下記の実施例は、本発明の組成物及び本発明の例示であって、これらに限定されるものではない。当業者ならば、本明細書に提示された指針に基づいて理解できるその他の適切な変更や応用は、本態様の思想と範囲の中にある。
【実施例】
【0057】
実施例1
水平な額のスジ状しわの縮小
額の深い水平なスジ状、ヒダ状、あるいはその他のシワを伴う20人の患者を、アクリレート/メタクリレート(A/M)コポリマー粉末(または非多孔質微粒子または微小球)及び架橋ヒアルロン酸ナトリウム(または非架橋ヒアルロン酸ナトリウム)を含む皮膚充填材として使用される注射用アロプラスト懸濁液の注射により処置する。
【0058】
注射を打たれる時の不快感を和らげるために、額の水平でスジ状やヒダ状、あるいはその他のシワの近位部の皮膚に軽い局所麻酔を施す。0.5インチの長さの30ゲージ、27ゲージ、または26ゲージの針が使用される。注射器は0.5ccの懸濁A/Mコポリマーを収容できる。注射針の液体通過性は、懸濁A/Mコポリマーの一部を注射針から徐々に絞り出すことで確認する。額のスジ状、ヒダ状、あるいはその他のシワの線に沿って、その下部に、親指で注射器に一定の圧力をかけながら針を刺す。この注射は、真皮と皮下脂肪との接合部のすぐ真上の真皮網状層の深く皮内に施される。真皮からの抵抗は感じられるが、もし、針を奥深く刺し過ぎた場合は、皮下脂肪からの抵抗はほとんど感じられない。
【0059】
注射はトンネリング技術によって行われるが、この方法は、額のスジ状、ヒダ状、あるいはその他のシワの真下で注射針を水平に前後に動かし、注射針を引き抜くと同時に注入が行われる。この灰色の注射針がシワの部分の皮膚を通して見えるようではいけない。表層近くに皮内注射をした場合、微粒子や微小球が、一列に紐に通した真珠と同じような一列の小さな顆粒を形成する。
【0060】
注射部位を指先で一様にマッサージをし、検出されたシコリを弱く押して平らに延ばす。激しいマッサージは望ましくない。というのは、そうすることで、注射をした懸濁A/Mコポリマーは組織の奥深く広がり、その結果、意図した効果が得られなくなるからである。
【0061】
約3ヶ月経つと、薄くなっていた表皮は元の厚みに回復する。厚みの回復度は主として使用前後の写真を用いて決められ、従って、その期間は患者毎に異なる可能性がある。
懸濁A/Mコポリマーの2回目の注射は、4週間〜4ヶ月の期間を経て、1回目に注射した層の上に施されてもよい。この相加効果は目的の結果を達成するために用いてもよい。より深い額のシワの場合は、懸濁A/Mコポリマーの2回、3回、そして4回目の注射が必要となる場合がある。
【0062】
額のスジ状、ヒダ状、あるいはその他のシワ、例えば、深い溝状のシワの下方への注射には、懸濁A/Mコポリマーの量は0.5ccで十分である。必要であれば、例えば、第一回目に注射して埋め込んだ微粒子や微小球の分布を均一にするために、組織反応や患者の望む効果に応じて、第2回目の注射でほぼ同量かそれより少ない量の懸濁A/Mコポリマーを注入することもできる。
【0063】
表層部注射の副作用はコルチコステロイドクリームあるいはコルチコステロイドの皮内注射で処置される。皮膚剥離により、皮内の微粒子や微小球の顆粒を除去できる。このコポリマーは不活性な性質であるため、粉末状の場合は顆粒を形成することはないと考えられる。微粒子や微小球を用いる場合は、微粒子や微小球は、注射後1日か2日以内にマッサージにより広げられ、均一な分布となる。従って、凝集は起こらないと予想される。というのは、凝集が起こるのは、コポリマーの微粒子または微小球を凝集させる炎症反応が起こる場合だからである。
【0064】
懸濁A/Mコポリマーの最後の注射から4週間〜4ヶ月以内に、額のスジ状、ヒダ状、あるいはその他のシワを含む皮膚は周囲の皮膚と同じ高さまで持ち上げられ、額のスジ状、ヒダ状やその他のシワは縮小されるか消失する。額のスジ状、ヒダ状やその他のシワの縮小や消失は永続的であると期待され、少なくとも18ヶ月間は触診や目視では判別できず、約5年〜約10年まで持続できると期待される。約5年〜約10年間に渡る筋肉の運動によって、懸濁A/Mコポリマーは、1mmの1/10だけ沈む可能性がある。この期間にスジ状、ヒダ状やその他のシワが現れた場合、懸濁A/Mコポリマーの注射は、粉末、微粒子あるいは微小球の最初の注射(あるいは、2回以上注射された場合は最後の注射)の箇所の上部に施される。
【0065】
実施例2
眉間の渋面ジワの縮小
眉間の渋面ジワ(frown lines)は、眉毛の間に各々の眉毛の近位の殆ど垂直な部位にできる。眉間の渋面ジワの縮小の検証あるいはそれらのシワの除去のために、眉間に中程度から深い渋面ジワを伴う20人の患者は、アクリレート/メタクリレート(A/M)コポリマー粉末(または非多孔質微粒子または微小球)及び緩衝生理溶液(あるいは、架橋ヒアルロン酸ナトリウム、非架橋ヒアルロン酸ナトリウムあるいはコラーゲン)を含む皮膚充填材として使用される注射用アロプラスト懸濁液の眉間の渋面ジワの部位への注射により、実施例1に記載の方法に従って、処置される。
【0066】
眉間の2本の渋面ジワを処置するには、懸濁A/Mコポリマーを0.5cc注射するだけで十分である。真皮は概して厚く、眉間の渋面ジワの下の結合組織は、注射した懸濁A/Mコポリマーの良い支えとなる。この注射は、しこりができる可能性があるので、眉間の各々の渋面ジワの下方の末端のような尾方向へ離れ過ぎた部位に注射してはならない。眉間の渋面ジワに深い線が入っている場合には、上述のように処置を反復する。眉間の渋面ジワの真下の真皮は厚いので、上述の副作用がない皮内注射が可能である。
【0067】
懸濁A/Mコポリマーの最後の注射から4週間〜4ヶ月以内に、眉間の渋面ジワを含む皮膚は周囲の皮膚と同じ高さまで持ち上げられ、これまで存在していた眉間の渋面ジワは縮小されるか消失する。眉間の渋面ジワの縮小や消失は永続的であると期待され、少なくとも18ヶ月間は触診や目視では判別できず、約5年〜約10年まで持続すると期待される。約5年〜約10年間の筋肉の運動によって、懸濁A/Mコポリマーは、1mmの1/10だけ沈む可能性がある。この期間に眉間の渋面ジワが現れた場合、懸濁A/Mコポリマーの注射は、粉末、微粒子あるいは微小球の最初の注射(あるいは、2回以上注射された場合は最後の注射)の箇所の上部に施される。
【0068】
実施例3
鼻唇溝の縮小
鼻唇溝、即ち笑いジワは鼻の両角から延び口の両側を回り顎の方に下りる。鼻唇溝の縮小の検証、あるいはそれらのシワの除去のために、中程度から深い鼻唇溝を伴う20人の患者は、アクリレート/メタクリレート(A/M)コポリマー粉末(または非多孔質微粒子または微小球)及び緩衝生理溶液(あるいは、架橋ヒアルロン酸ナトリウム、非架橋ヒアルロン酸ナトリウム、あるいはコラーゲン)を含む皮膚充填材として使用される注射用アロプラスト懸濁液の鼻唇溝の部位への注射を、各々のシワに平行で内側に(真ん中に)施す点以外は、実施例1に記載の方法に従って、処置される。最初の3日間は、注射されたA/M懸濁液は、顔面筋の運動によって、側方(横方向)に動く可能性がある。従って、注射は、シワの真下の1〜2mm内側に直接施される。
【0069】
薄い皮膚の患者においては、懸濁A/Mコポリマーの注射は浅過ぎてはならない。浅過ぎると、紅斑、発赤等の副作用が注射部位に発症し、A/M微粒子または微小球が顆粒状に顕在化する。
【0070】
1本の鼻唇溝を処置するには、懸濁A/Mコポリマーを0.5cc注射するだけで十分である。従って、両方の鼻唇溝の処置には、各々が0.5ccの懸濁A/Mコポリマーを収容した2本の注射器が必要である。一般的に鼻唇溝は、A/Mコポリマーの粉末(または非多孔質微粒子または微小球)及び緩衝生理溶液を含む皮膚充填材として使用される注射用アロプラスト懸濁液の注射による2回目の処置が必要である。
【0071】
懸濁A/Mコポリマーの最後の注射から4週間〜4ヶ月以内に、各々の鼻唇溝を含む皮膚は周囲の皮膚と同じ高さまで持ち上げられ、それまで存在した鼻唇溝は縮小するか消失する。鼻唇溝の縮小や消失は永続的であると期待され、少なくとも18ヶ月間は触診や目視では判別できず、約5年〜約10年まで持続すると期待される。約5年〜約10年間の筋肉の運動によって、懸濁A/Mコポリマーは、1mmの1/10だけ沈む可能性がある。この期間に鼻唇溝が現れた場合、懸濁A/Mコポリマーの注射は、粉末、微粒子あるいは微小球の最初の注射(あるいは、2回以上注射された場合は、最後の注射)の箇所の上部に施され、それに続いて、最初の反復処置から3〜4ヶ月後に2回目の処置が行われる。
【0072】
実施例4
陥凹性「ローリング型」ニキビ跡の縮小
「ローリングヒル」型に似て、滑らかなエッジを有している浅く軽度に陥凹した、または深い「ローリング型」瘢痕、あるいは、ボックスカーに類似の断面を有している「ボックスカー型」瘢痕を伴う20人の患者は、アクリレート/メタクリレート(A/M)コポリマー粉末(または非多孔質微粒子または微小球)及び緩衝生理溶液(あるいは、架橋ヒアルロン酸ナトリウム、非架橋ヒアルロン酸ナトリウム、あるいはコラーゲン)を含む皮膚充填材として使用される注射用アロプラスト懸濁液の注射により、下記の点を除いては、実施例1に記載の方法に従って処置される。即ち、「ローリング型」ニキビ跡の処置は、瘢痕から5〜10mm離れた位置から懸濁A/Mコポリマーを注射し、「ボックスカー型」ニキビ跡の処置は、懸濁A/Mコポリマーを瘢痕の真ん中に、垂直下方向に注射する。
【0073】
黒ずんだ瘢痕の白化(blanching)が求められるので、懸濁A/Mコポリマーはできるだけ表面付近に注入する。白化は、注射した懸濁A/Mコポリマーを指の爪で動かすことで達成してもよい。
【0074】
新しい瘢痕は、処置しても効果がなく、しかも瘢痕が悪化する可能性があるので、決して処置してはならない。
「アイスピック型」のように見える瘢痕は、前述の瘢痕と同じように処置してもよいが、懸濁A/Mコポリマーを注射する前に前処理をする必要がある。前処理は、穿孔・縫合法あるいは約1mmの深さで適切な刃や針を用いる真皮切除(subcising)を伴う。「ローリング型」や「ボックスカー型」瘢痕とは異なり、このように前治療された「アイスピック型」瘢痕は、腫れが引いて切断傷がしっかり閉じ次第、前処置後3〜8日以内に、懸濁A/Mコポリマーで充填される。
【0075】
ニキビ跡を処置するには、懸濁A/Mコポリマーを0.1ccより少ない量注射するだけで十分である。ニキビ跡は、充填にボリュームを持たせることに加え、瘢痕の白化を達成するために、A/Mコポリマー粉末(または非多孔質微粒子または微小球)及び緩衝生理溶液(あるいは、架橋ヒアルロン酸ナトリウム、非架橋ヒアルロン酸ナトリウム、あるいはコラーゲン)を含む皮膚充填材として使用される注射用アロプラスト懸濁液の注射による2回目の処置が必要な場合がある。
【0076】
懸濁A/Mコポリマーの最後の注射から4週間〜4ヶ月以内に、各々のニキビ跡を含む皮膚は周囲の皮膚と同じ高さまで持ち上げられ、それまで存在したニキビ跡は外見上縮小するか消失する。ニキビ跡の外見上の縮小や消失は永続的であると期待され、少なくとも18ヶ月間は触診や目視では判別できず、約5年〜約10年まで持続すると期待される。少なくとも浅いローリング型瘢痕程度の陥凹部を有する黒ずんだ皮膚部位としてニキビ跡が再び現れた場合、この瘢痕は懸濁A/Mコポリマーの注射で処置されるが、このコポリマーは各々の型のニキビ跡に対し、上述と同じ方法で投与され、粉末、微粒子あるいは微小球は、最初の注射(あるいは、2回以上注射された場合は、最後の注射)の箇所の上部に施される。瘢痕の再発が審美的に心地よくない場合は、再発した瘢痕の2回目の処置は、1回目の反復処置から3、4ヶ月後に行ってもよい。
【0077】
実施例5
手術の傷跡あるいは外傷の傷跡の縮小
浅く軽度に陥凹した、または深い手術の傷跡、あるいは、例えば、事故や自ら招いた刃物による外傷の傷跡を伴った20人の患者は、アクリレート/メタクリレート(A/M)コポリマー粉末(または非多孔質微粒子または微小球)及び緩衝生理溶液(あるいは、架橋ヒアルロン酸ナトリウム、非架橋ヒアルロン酸ナトリウム、あるいはコラーゲン)を含む皮膚充填として使用される注射用アロプラスト懸濁液の手術の傷跡や外傷の傷跡の部位への注射により、実施例1に記載の方法に従って、処置される。瘢痕の重症度によっては、皮下組織や骨膜組織等のより深い部位への注射が必要になる場合がある。これらの症例における美容的変形を縮小するにはより多量の懸濁液が必要となる。これらの症例は、目的の効果に達するために、シワの場合より多くの回数の注射が必要になる場合がある。
【0078】
手術の傷跡あるいは外傷の傷跡を処置するには、懸濁A/Mコポリマーを0.1cc以上注射するだけで十分である。このような傷跡、特に深い傷跡は、傷跡の充填(そして見込まれる白化)を達成するために、A/Mコポリマー粉末(または非多孔質微粒子または微小球)及び緩衝生理溶液を含む皮膚充填材として使用される注射用アロプラスト懸濁液を注射する2回目の処置が必要になる場合がある。
【0079】
懸濁A/Mコポリマーの最後の注射から4週間〜4ヶ月以内に、手術の傷跡あるいは外傷の傷跡を含む皮膚は周囲の皮膚と同じ高さまで持ち上げられ、それまで存在した手術の傷跡あるいは外傷の傷跡は外見上縮小するか消失する。手術の傷跡あるいは外傷の傷跡の外見上の縮小や消失は永続的であると期待され、少なくとも18ヶ月間は触診や目視では判別できず、約5年〜約10年まで持続すると期待される。手術の傷跡あるいは外傷の傷跡が再び現れた場合、懸濁A/Mコポリマーの注射を、上記の最初の処置と同じ方法で投与し、粉末、微粒子あるいは微小球の最初の注射(あるいは、2回以上注射された場合は最後の注射)の箇所の上部に施すことで、この傷跡を処置する。この傷跡の再発が審美的に心地よくない場合は、再発した傷跡の2回目の処置を、1回目の反復処置から3、4ヶ月後に行ってもよい。
【0080】
実施例6
一本の目尻のシワの縮小
一本の目尻のシワ(両側に一本ずつで、複数の目尻のシワではない)を伴う20人の患者は、アクリレート/メタクリレート(A/M)コポリマー粉末(または非多孔質微粒子または微小球)及び緩衝生理溶液(あるいは、架橋ヒアルロン酸ナトリウム、非架橋ヒアルロン酸ナトリウムあるいはコラーゲン)を含む皮膚充填材として使用される注射用アロプラスト懸濁液の一本の目尻のシワの部位への注射により、実施例1に記載の方法に従って、処置される。目尻のシワが形成する部位は表皮も真皮も他より薄い。従って、注射用アロプラスト懸濁液の注射は、より少ない量でよい。
【0081】
一本の目尻のシワの治療をするためには、懸濁A/Mコポリマーを0.05cc〜0.2cc注射するだけで十分である。一本の目尻の深いシワの場合には、A/Mコポリマー粉末(または非多孔質微粒子または微小球)及び緩衝生理溶液を含む皮膚充填材として使用される注射用アロプラスト懸濁液の注射による2回目の処置が、この目尻のシワへの充填を完遂するために、必要になる場合がある
懸濁A/Mコポリマーの最後の注射から4週間〜4ヶ月以内に、一本の目尻のシワを含む皮膚は周囲の皮膚と同じ高さまで持ち上げられ、それまで存在した目尻のシワが外見上縮小されるか消失する。一本の目尻のシワの縮小や消失は永続的であると期待され、少なくとも18ヶ月間は触診や目視では判別できず、約5年〜約10年まで持続されると期待される。時間をかけての筋肉の運動の結果として一本の目尻のシワが再発した場合、懸濁A/Mコポリマーの注射を、上記の最初の処置と同じ方法で投与し、粉末、微粒子あるいは微小球の最初の注射(あるいは、2回以上注射された場合は最後の注射)の箇所の上部に施すことで、このシワを治療する。もし、一本の目尻のシワの再発が審美的に心地よくないのであれば、再発した瘢痕の2度目の処置は、最初の反復処置から3〜4ヶ月後に行ってもよい。
【0082】
実施例7
その他の皮膚欠陥及び疾患の処置
前述した症状以外の皮膚疾患は実施例1に記載の方法に従って処置され、必要に応じ、目的の処置を達成するために、当業者によって修正される。
【0083】
上述の処置法は、(例えば、動物咬傷の後にできるような)小さな組織欠陥や外傷に関連した美容上見栄えの悪い変形のような再成形を必要とする変形に対して用いてもよく、あるいは、対称的な美しさや目的の結果を得るために、美容整形手術後に組織増加に対して用いてもよい。
【0084】
本発明は種々の態様と実施例を参照して説明したが、当業者は、本発明の思想と範囲から逸脱せずに、種々の修正を本発明に加えうることを認識する。
本明細書で言及した上記の米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許公開のすべては、全体が参照により本発明に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体適合性と柔軟性とを有する材料と生理学的に許容される懸濁化剤を含んでなる皮膚充填材として使用される注射用アロプラスト懸濁液を含んでなる組成物であって、該生体適合性と柔軟性とを有する材料が非置換アクリレートモノマーと置換アクリレートモノマーとのコポリマーである組成物。
【請求項2】
前記置換アクリレートモノマーがメチル基で置換されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記置換アクリレートモノマーが2、3、4または5個の炭素の炭化水素鎖で置換されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記置換アクリレートモノマーがハロゲン基で置換されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記置換アクリレートモノマーがニトリル基で置換されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記生体適合性と柔軟性とを有する材料がアクリレート/メタクリレートコポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記アクリレート/メタクリレートコポリマーが固体である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記固体が粉末である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記固体が非多孔性微粒子である、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記固体が微小球である、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
前記固体が約10μm〜約100μmの直径を有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項12】
前記固体が約0.01μm〜約10μmの直径を有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項13】
前記生理学的に許容される懸濁化剤が再吸収性である、請求項7に記載の組成物。
【請求項14】
前記生理学的に許容される懸濁化剤が緩衝生理溶液である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記生理学的に許容される懸濁化剤が架橋ヒアルロン酸ナトリウムを含んでなる、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記生理学的に許容される懸濁化剤が非架橋ヒアルロン酸ナトリウムを含んでなる、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
前記生理学的に許容される懸濁化剤がコラーゲンを含んでなる、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
前記コラーゲンが動物由来である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記コラーゲンが鳥由来である、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
前記コラーゲンが遺伝子工学によって産生されたものである、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
局所麻酔薬をさらに含んでなる、請求項13に記載の組成物。
【請求項22】
非置換アクリレート/置換アクリレートコポリマーの粒子を含んでなる注射用アロプラスト懸濁液を含んでなる組成物であって、該非置換アクリレート/置換アクリレートコポリマーの粒子が約100μmよりも小さい直径を有する組成物。
【請求項23】
前記粒子が約10μmより小さい直径を有する、請求項22記載の組成物。
【請求項24】
前記粒子が約0.01μm〜約10μmの直径を有する、請求項22記載の組成物。
【請求項25】
前記粒子が約0.1μm〜約5μmの直径を有する、請求項22記載の組成物。
【請求項26】
前記非置換アクリレート/置換アクリレートコポリマーの置換アクリレートモノマーがメチル基で置換されている、請求項22に記載の組成物。
【請求項27】
前記置換アクリレートモノマーが2、3、4または5個の炭素の炭化水素鎖で置換されている、請求項22に記載の組成物
【請求項28】
前記置換アクリレートモノマーがハロゲン基で置換されている、請求項22に記載の組成物。
【請求項29】
前記置換アクリレートモノマーがニトリル基で置換されている、請求項22に記載の組成物。
【請求項30】
生体適合性と柔軟性とを有する材料と生理学的に許容される懸濁化剤を含んでなる皮膚充填材として使用される注射用アロプラスト懸濁液を含んでなる組成物であって、該生体適合性と柔軟性とを有する材料が非置換アクリレートモノマーと置換アクリレートモノマーとのコポリマーであり、かつ、該生体適合性と柔軟性とを有する材料が約100μmよりも小さい直径を有する粒子を含んでなる組成物。
【請求項31】
前記粒子が約10μmより小さい直径を有する、請求項30記載の組成物。
【請求項32】
前記粒子が約0.01μm〜約10μmの直径を有する、請求項30記載の組成物。
【請求項33】
前記粒子が約0.1μm〜約5μmの直径を有する、請求項30記載の組成物。
【請求項34】
前記アクリレート/メタクリレートコポリマーが微粉砕された固体である、請求項30記載の組成物。
【請求項35】
前記微粉砕された固体が粉末である、請求項34記載の組成物。
【請求項36】
前記微粉砕された固体が非多孔性微粒子である、請求項34記載の組成物。
【請求項37】
前記微粉砕された固体が微小球である、請求項34記載の組成物。
【請求項38】
前記生理学的に許容される懸濁化剤が再吸収性である、請求項34に記載の組成物。
【請求項39】
前記生理学的に許容される懸濁化剤が緩衝生理溶液である、請求項30に記載の組成物。
【請求項40】
前記生理学的に許容される懸濁化剤が架橋ヒアルロン酸ナトリウムを含んでなる、請求項30に記載の組成物。
【請求項41】
前記生理学的に許容される懸濁化剤が非架橋ヒアルロン酸ナトリウムを含んでなる、請求項30に記載の組成物。
【請求項42】
前記生理学的に許容される懸濁化剤がコラーゲンを含んでなる、請求項30に記載の組成物。
【請求項43】
前記コラーゲンが動物由来である、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記コラーゲンが鳥由来である、請求項42に記載の組成物。
【請求項45】
前記コラーゲンが遺伝子工学によって産生されたものである、請求項42に記載の組成物。
【請求項46】
局所麻酔薬をさらに含んでなる、請求項30に記載の組成物。
【請求項47】
被験者の皮膚欠陥を処置する薬剤の調製における、請求項1〜46のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項48】
生体適合性と柔軟性とを有する材料を含んでなる皮膚充填剤を含んでなる生体適合性医療用具であって、該生体適合性と柔軟性とを有する材料が非置換アクリレートモノマーと置換アクリレートモノマーとのコポリマーであり、かつ該生体適合性と柔軟性とを有する材料が約100μmよりも小さい直径を有する固体粒子を含んでなる生体適合性医療用具。
【請求項49】
生体適合性と柔軟性とを有する材料と生理学的に許容される懸濁化剤を含んでなる皮膚充填材として使用される注射用アロプラスト懸濁液を含んでなる組成物を調製する方法であって、該方法は生体適合性と柔軟性とを有する材料を生理学的に許容される懸濁化剤と混合することを含んでなり、該生体適合性と柔軟性とを有する材料がアクリレート/メタクリレートコポリマーである、方法。
【請求項50】
前記アクリレート/メタクリレートコポリマーが固体である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記固体が粉末である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記固体が非多孔性微粒子である、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記固体が微小球である、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記固体が約10μm〜約100μmの直径を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記固体が約0.01μm〜約10μmの直径を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項56】
生体適合性と柔軟性とを有する材料と生理学的に許容される懸濁化剤を含んでなる皮膚充填剤として使用される注射用アロプラスト懸濁液を含んでなる組成物を調製する方法であって、該方法は生体適合性と柔軟性とを有する材料を生理学的に許容される懸濁化剤と混合することを含んでなり、該生体適合性と柔軟性とを有する材料がアクリレート/メタクリレートコポリマーであり、該アクリレート/メタクリレートコポリマーが混合される前に微粉砕される、方法。
【請求項57】
前記アクリレート/メタクリレートコポリマーが微粉砕された固体である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記微粉砕された固体が粉末である、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記微粉砕された固体が非多孔性微粒子である、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記微粉砕された固体が微小球である、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
前記微粉砕された固体が約0.01μm〜約10μmの直径を有する、請求項56に記載の方法。
【請求項62】
皮膚欠陥の長期間に渡る縮小を提供するための軟部組織を増加させる方法であって、皮膚欠陥の下方のコラーゲン産生、線維芽細胞産生、不活性型線維芽細胞産生、あるいは、これらの細胞の任意の組み合わせの産生を刺激することを含んでなる方法。
【請求項63】
深部真皮網状層への皮膚充填材の注射により、コラーゲン産生、線維芽細胞産生、不活性型線維芽細胞産生、あるいは、これらの細胞の任意の組み合わせの産生に対する刺激が誘発され、該皮膚充填材は、注射用アロプラスト懸濁液であり、生体適合性と柔軟性とを有する材料と生理学的に許容される懸濁化剤を含んでなる、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記皮膚充填材が皮膚欠陥の下の真皮と皮下脂肪との接合部に注射される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
注射された皮膚充填材が宿主組織中で免疫反応を起こすことがほとんどない、もしくは、宿主組織中で免疫反応を起こすことが全くない、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記皮膚欠陥は老化の進行の過程で皮膚の中のコラーゲン及びヒアルロン酸が減少した結果である、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記皮膚欠陥が早期老化の結果であり、該早期老化は、日光への過剰暴露、環境汚染物質への過剰暴露、喫煙、たばこの煙への暴露、栄養不足及び皮膚疾患によって引き起こされる、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記皮膚欠陥は動的シワ、小ジワあるいは静的シワである、請求項62に記載の方法。
【請求項69】
前記動的シワが、額のシワ、眉間のシワ、あるいは、目のシワ(目尻のシワ)である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記静的シワが、たるんだ皮膚に起因する皮膚のヒダ状シワである、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記皮膚欠陥は、ニキビの跡、手術の傷跡、粗大毛穴及び軟部組織輪郭欠陥から成るグループから選ばれる疾患である、請求項62に記載の方法。
【請求項72】
前記皮膚欠陥の長期間に渡る縮小が、少なくとも1年間持続する、請求項62に記載の方法。
【請求項73】
前記皮膚欠陥の長期間に渡る縮小が、少なくとも約1年から約5年間持続する、請求項62に記載の方法。
【請求項74】
前記皮膚欠陥の長期間に渡る縮小が、少なくとも約5年から約10年間持続する、請求項62に記載の方法。
【請求項75】
前記皮膚欠陥の長期間に渡る縮小が、約10年以上の期間持続する、請求項62に記載の方法。
【請求項76】
検体の深部真皮網状層への皮膚充填材の注射を含んでなる検体に皮膚充填材を投与する方法であって、該皮膚充填材が生体適合性と柔軟性とを有する材料の粒子と生理学的に許容される懸濁化剤を含む注射用アロプラスト懸濁液であり、該生体適合性と柔軟性とを有する材料の粒子が約100μmよりも小さい直径を有する、方法。
【請求項77】
前記微粉砕された固体が約0.01μm〜約10μmの直径を有する、請求項76に記載の組成物。
【請求項78】
前記皮膚充填材が皮膚欠陥の下方の真皮と皮下脂肪との接合部に注射される、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
検体の皮膚欠陥を処置する方法であって、注射用懸濁液中に非置換アクリレート/置換アクリレートコポリマーの粒子を含んでなる組成物を検体に投与することを含み、該粒子が100μmより小さい直径を有する、方法。

【公表番号】特表2011−502026(P2011−502026A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532211(P2010−532211)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/081608
【国際公開番号】WO2009/058883
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(510119463)
【Fターム(参考)】