説明

洗浄剤組成物

【課題】泡立て時の水馴染みに優れるとともに、起泡力に優れ、洗い流し時のべたつきが低く、経時的な保存安定性に優れる洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型陰イオン性界面活性剤、(B)水膨潤性粘土鉱物、(C)アニオン性高分子並びに(D)長鎖脂肪酸アミド酢酸ベタイン及び/又は長鎖脂肪酸アミノ酢酸ベタインを含有してなる洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、粘土鉱物は、その膨潤性、増粘性等の性質を利用して、化粧品に配合されてきた。粘土鉱物を配合すると、化粧料の液性が変化すると共に、官能特性として、(1)べとつきがなく、なめらかでさわやかな感触を有する、(2)エマルションやサスペンションの安定性が向上する、(3)洗顔、シャンプー等のクレンジング性能が向上する等の効果が発揮される。特に、皮膚洗浄剤のような洗い流してしまうものに配合した場合においても、すすぎ時にぬるつきがなく、洗い上がりの肌にすべすべした感触を与えるという利点を有している。しかし、界面活性剤やシリコーン等が多量に含まれる洗浄剤では、その電解質や有機物が共存するために、粘土鉱物が凝集を起こしやすくなり、その結果、分散安定性が低下したり、泡のクリーミィ性や使用後の感触が劣るという問題が生じる。
【0003】
このような課題を解消すべく、使用感に優れ、種々の条件下においても良好な分散安定性を維持するために、アニオン性界面活性剤、水膨潤性粘土鉱物、特定のノニオン性高分子及び特定のアニオン性高分子を含有する皮膚・毛髪用液体洗浄剤組成物が例示されている(例えば、特許文献1を参照)。また、シリコーン及び水膨潤性粘土鉱物を含有する乳化組成物に、水溶性ノニオン性高分子化合物及び水溶性アニオン性高分子化合物を含有する洗浄剤組成物が例示されている(例えば、特許文献2を参照)。さらに、膨潤力の異なる粘土鉱物をそれぞれ1種以上、界面活性剤、アニオン性高分子及び/又はノニオン性高分子を含有する洗浄剤組成物が例示されている(例えば、特許文献3を参照)。
【0004】
しかし、上記試みによって、ある程度は組成物の分散安定性を向上させることができるものの、泡立て時の水馴染みが劣ることに加えて、起泡力の低下や洗い流し後のべたつきが発生するという問題がある。加えて、経時的な保存安定性については、十分満足のいくものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3539074号公報
【特許文献2】特開2001−139990号公報
【特許文献3】特開2001−181680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術に鑑みてされたものであって、泡立て時の水馴染みに優れるとともに、起泡力に優れ、洗い流し時のべたつきが低く、経時的な保存安定性に優れる洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、
(A)ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型陰イオン性界面活性剤、(B)水膨潤性粘土鉱物、(C)アニオン性高分子並びに(D)長鎖脂肪酸アミド酢酸ベタイン及び/又は長鎖脂肪酸アミノ酢酸ベタインを含有してなる洗浄剤組成物、に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の洗浄剤組成物は、泡立て時の水馴染みに優れるとともに、起泡力に優れ、洗い流し時のべたつきが低いという効果を奏する。また、経時的な保存安定性にも優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の洗浄剤組成物は、(A)ヒドロキシエーテルカルボン酸型陰イオン性界面活性剤、(B)水膨潤性粘土鉱物、(C)アニオン性高分子並びに(D)長鎖脂肪酸アミド酢酸ベタイン及び/又は長鎖脂肪酸アミノ酢酸ベタインを含有する。
【0010】
(A)成分のヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型陰イオン性界面活性剤としては、ドデカン−1,2−ジオール酢酸エーテルナトリウムが好ましく、市販のものとしては、三洋化成工業社製「ビューライトSHAA」等が例示できる。
【0011】
上記(A)成分の含有量は限定されるものではないが、洗浄剤組成物中、好ましくは0.1〜20質量%(以下、単に%と表わす)、より好ましくは0.5〜10%である。起泡性や洗浄力を高める観点から、組成物中0.1%以上が好ましく、皮膚刺激の観点から、組成物中20%以下が好ましい。
【0012】
(B)成分の水膨潤性粘土鉱物は、ベントナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、ラポナイト等のスメクタイト類を挙げることができ、天然物であっても、合成物であってもいずれもよい。
【0013】
(B)成分は、ヘクトライト、サポナイト、ラポナイトであることがより好ましい。これら水膨潤性粘土鉱物を用いると、外観の透明性に優れ、少量で増粘効果をより発揮できるからである。
【0014】
本発明に用いられる(B)成分として示した粘土鉱物は、いずれのものも単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0015】
上記(B)成分の含有量は限定されるものではないが、洗浄剤組成物中、好ましくは0.05〜3%、より好ましくは0.1〜1%である。増粘効果を発揮させる観点から、組成物中0.05%以上が好ましく、使用時のべたつきを軽減する観点から、組成物中3%以下が好ましい。
【0016】
(C)成分のアニオン性高分子は特に限定されないが、例えば、1)下記(a)〜(e)のモノマーユニットからなる群より選択される少なくとも1種を含有する共重合体及びクロスポリマー、2)カルボキシビニルポリマー、3)キサンタンガム、4)ポリアクリル酸ナトリウム、及び5)アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。これら(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0017】
本明細書において、(a)〜(e)のモノマーユニットとは、下記の成分のことである。
(a)(メタ)アクリル酸
(b)(メタ)アクリル酸アルキル
(c)イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル
(d)(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル
(e)ネオデカン酸ビニル
【0018】
好適な(C)成分としては、経時安定性維持の観点から、上記の(a)〜(e)のモノマーユニットからなる群より選択される少なくとも1種を含有する共重合体及びクロスポリマーからなる群より選択される1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0019】
(C)成分の共重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体等が挙げられる。また、クロスポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルクロスポリマー、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/ネオデカン酸ビニルクロスポリマー等が挙げられる。尚、重合される酸化エチレンの付加モル数は特に限定されない。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」の双方を意味する。
【0020】
具体的には、アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル/メタクリル酸ポリオキシエチレンセチルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル/メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル/メタクリル酸ポリオキシエチレンべへネスエーテル共重合体、アクリル酸アルキル/イタコン酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル/イタコン酸ポリオキシエチレンセチルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル/メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテルクロスポリマー、アクリル酸アルキル/ネオデカン酸ビニルクロスポリマー、アクリル酸アルキル/ネオデカン酸ビニルクロスポリマー等を例示することができる。
【0021】
より好適な(C)成分としては、アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル/メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル/メタクリル酸ポリオキシエチレンべへネスエーテル共重合体、アクリル酸アルキル/ネオデカン酸ビニルクロスポリマー、アクリル酸アルキル/イタコン酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル/イタコン酸ポリオキシエチレンセチルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル/メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテルクロスポリマーが挙げられる。
【0022】
尚、上記(C)成分は、市販品を用いることもできる。(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル共重合体の市販品としては、例えば、アキュリン33A(Acrylates Copolymer)(商品名:ローム・アンド・ハース社製)、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体の市販品としては、例えば、アキュリン22(Acrylates/Steareth-20 Methacrylate Copolymer)、アキュリン28(Acrylates/Beheneth-25 Methacrylate Copolymer)(商品名:いずれもローム・アンド・ハース社製)等を例示することができる。(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体の市販品としては、例えば、STRUCTURE2001(Acrylates/Steareth-20 Itaconate Copolymer)、STRUCTURE3001(Acrylates/Ceteth-20 Itaconate Copolymer)(商品名:いずれもアクゾ ノーベル社製)等を例示することができる。(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルクロスポリマーの市販品としては、例えば、アキュリン88(Acrylates/Steareth-20 Methacrylate Crosspolymer)(商品名:ローム・アンド・ハース社製)、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/ネオデカン酸ビニルクロスポリマーの市販品としては、例えば、アキュリン38(Acrylates/Vinyl Neodecanoate Crosspolymer)等を例示することができる。かかる成分は、性能の点に加えて入手が容易な点で、より好ましい。
【0023】
上記(C)成分の含有量は限定されるものではないが、洗浄剤組成物中、好ましくは0.5〜5%、より好ましくは1〜4%である。経時安定性維持の観点から、組成物中0.5%以上が好ましく、洗い流し後にべたつきを残さないという観点から、組成物中5%以下が好ましい。
【0024】
(B)成分と(C)成分との重量含有比〔(B)/(C)〕としては特に限定されないが、組み合わせによる優れた増粘効果を発揮させる観点から、例えば、〔(B)/(C)〕=1/100〜5/1が好ましく、〔(B)/(C)〕=1/50〜2/1がより好ましく、〔(B)/(C)〕=1/20〜1/1がさらに好ましい。(B)成分と(C)成分との重量の和としては特に限定されないが、組み合わせによる優れた増粘効果を発揮させる観点から、例えば、洗浄剤組成物中、好ましくは0.6〜8%、より好ましくは1〜5%、さらに好ましくは1.5〜4%である。
【0025】
(C)成分は、通常、塩基性物質等の中和剤で中和して用いられる。塩基性物質としては、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基、アンモニア、アルギニン等の有機塩基等が例示される。また、塩基性物質の添加量は、アニオン性高分子を中和するのに充分な量であり、これら成分の種類や使用量に応じて適宜配合すればよい。
【0026】
(D)長鎖脂肪酸アミド酢酸ベタイン及び/又は長鎖脂肪酸アミノ酢酸ベタインは、起泡力や系の保存安定性を高める観点から用いられる。(D)成分の具体例としては次のようなものが挙げられる。長鎖脂肪酸アミド酢酸ベタインとしては、例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン等を例示することができる。また、長鎖脂肪酸アミノ酢酸ベタインとしては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸ジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン等を例示することができる。
【0027】
(D)成分の長鎖脂肪酸アミド酢酸ベタイン及び長鎖脂肪酸アミノ酢酸ベタインにおいて、長鎖とは、例えば脂肪酸部分の炭素数が8〜22のものが挙げられ、脂肪酸部分の炭素数が10〜20のものが好ましい。
【0028】
本発明に用いられる(D)成分として示したベタイン化合物は、いずれのものも単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0029】
上記(D)成分の含有量は限定されるものではないが、洗浄剤組成物中、好ましくは0.1〜10%、より好ましくは0.3〜5%である。起泡性の向上及び経時安定性維持の観点から、組成物中0.1%以上が好ましく、皮膚刺激の観点から、組成物中10%以下が好ましい。
【0030】
また、本発明の洗浄剤組成物においては、保存安定性の観点から、多価アルコールを配合させることができる。本発明に用いることができる多価アルコールとしては、化粧品原料として使用できるものであれば特に限定されないが、例えば、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グルコース、マルトース、マルチトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、グルコシルトレハロース等が好ましい例として挙げられる。多価アルコールとしては、各成分を単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。多価アルコールの含有量としては特に限定されないが、例えば、洗浄剤組成物中、0.1〜50%が好ましく、3〜30%がより好ましい。また、本発明の残分には、水が用いられる。
【0031】
本発明に係る洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記に記した成分の他、l−メントール、カンファ、l−メンチルグリセリルエーテル等の清涼剤;酸化防止剤、キレート剤、シリコーン類、ビタミン類、動植物エキス、パール化剤、着色剤、各種香料、防腐剤、pH調整剤等を目的に応じて適宜配合してもよい。
【0032】
本発明の洗浄剤組成物の用途は特に制限されないが、動物の皮膚用、特にヒトの皮膚用に適している。具体的には、頭髪用のシャンプー、皮膚用のボディーシャンプー、ハンドソープ、顔用の洗顔料、足用ソープ等、ヒトのいずれの部位の洗浄剤組成物にも使用することができる。本発明品は使用時の水馴染みに優れ、洗い流し時のぬるつきが抑えられるという優れた利点を有することから、ボディーシャンプー、洗顔料といった皮膚洗浄剤として使用されるのがより好ましい。
【0033】
また、本発明の剤型も、液状、乳液状、ジェル状、クリーム状、ペースト状等、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、本発明品の良好な経時的保存安定性の観点から、ジェル状剤型とすることがより好ましい。
【0034】
本発明の組成物をジェル状剤型とする場合の粘度は特に制限されないが、500〜100000mPa・sの範囲が好ましく、5000〜70000mPa・sの範囲がより好ましく、10000〜50000mPa・sの範囲がさらに好ましい。充填容器からの吐出のしやすさの観点から、500mPa・s以上が好ましく、泡立て時の水馴染みの良さを低減させない観点から、100000mPa・s以下が好ましい。本発明の洗浄剤組成物の粘度の調整は、例えば、各成分の含有量を適宜調整することによって容易に実施することができる。
【0035】
本明細書において、各成分及び組成物等の粘度とは、別に規定のない限り、次の方法よって得られる値である。
粘度計として、TVB型回転粘度計(TVB−22L、東機産業社製)を用い、次のようにして測定対象物の粘度を測定する。150mL容のマヨネーズ瓶に測定対象物を充填し、ローター:No.4、回転速度:12rpm(ただし、測定対象物の粘度が高すぎたり低すぎたりして測定できない時は0.3〜30.0rpmの範囲で調整する。)、測定時間:1分間、温度:25℃の測定条件下で測定する。
【0036】
本発明の洗浄剤組成物のpHとしては特に限定されないが、製剤中の各成分の特性を発揮するため、及び皮膚に与える刺激を軽減する観点から、例えば、6.0〜9.0の範囲が好ましく、6.5〜8.0の範囲がより好ましい。洗浄剤組成物のpHの調整は、中和剤、pH調整剤等を用いて容易に実施することができる。
【0037】
本発明の洗浄剤組成物の商品形態も特に限定されず、ポンプ付きボトル、キャップ付きボトル、チューブ等に充填した形態が利用できる。
【0038】
本明細書においては、(A)ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型陰イオン性界面活性剤、(B)水膨潤性粘土鉱物、(C)アニオン性高分子並びに(D)長鎖脂肪酸アミド酢酸ベタイン及び/又は長鎖脂肪酸アミノ酢酸ベタインを配合して得られる洗浄剤組成物も本発明に包含される。
【0039】
各成分の配合量は、上記の洗浄剤組成物の各成分の含有量の説明に記載の数値範囲をそのまま採用することができる。さらに、各成分を配合して本発明の洗浄剤組成物を得るための具体的な方法としては、常法を利用することができる。
【実施例】
【0040】
(組成物の調製)
表1及び表2に記した組成に従い、実施例1〜5及び比較例1〜8の洗浄剤組成物を常法に従って調製した。以下の表等におけるの数値は組成物中の質量%であり、各成分の量については、例えば原料が水分を含む場合、水分を含んだ量を示す。得られた各組成物をそれぞれチューブ容器に充填し、洗顔料の形態で、下記評価試験に供した。結果をそれぞれ表1及び2に併記する。
【0041】
(試験例1:水馴染みの評価)
チューブ容器から、各組成物を手の平に1cm取り出し、水を5g加えて両手で擦り合わせて泡立てた時の水馴染みを、以下の評価基準に従って評価した。
【0042】
<水馴染みの評価基準>
◎:組成物と水が、手を2往復擦り合わせるまでに混ざり合う
○:組成物と水が、手を5往復擦り合わせるまでに混ざり合う
△:組成物と水が、手を10往復擦り合わせるまでに混ざり合う
×:組成物と水が、手を10往復擦り合わせても混ざり合わない
【0043】
(試験例2:起泡力の評価)
チューブ容器から、各組成物を手の平に1cm取り出し、水を5g加えて両手で擦り合わせて泡立てた時の起泡力を、以下の評価基準に従って評価した。本評価は、官能評価パネル20名により実施された。
【0044】
<起泡力の評価基準>
◎:20名中16名以上が起泡力に優れると回答
○:20名中11〜15名が起泡力に優れると回答
△:20名中6〜10名が起泡力に優れると回答
×:20名中5名以下が起泡力に優れると回答
【0045】
(試験例3:洗い流し時のべたつきの評価)
チューブ容器から、各組成物を手の平に1cm取り出し、水を5g加えて両手で擦り合わせて泡立てて肌に塗布後、洗い流した時のべたつきを、以下の評価基準に従って評価した。本評価は、官能評価パネル20名により実施された。
【0046】
<洗い流し時のべたつきの評価基準>
◎:20名中16名以上がべたつきがないと回答
○:20名中11〜15名がべたつきがないと回答
△:20名中6〜10名がべたつきがないと回答
×:20名中5名以下がべたつきがないと回答
【0047】
(試験例4:保存安定性の評価)
各組成物が充填されたチューブ容器を、5℃、25℃、40℃の恒温槽にそれぞれ1月保管した。保管後、恒温槽から取り出した直後の組成物の状態、及び常温に6時間以上放置した後の組成物の状態を目視観察して、以下の評価基準に従って評価した。
【0048】
<保存安定性の評価基準>
◎:各恒温槽から取り出した直後及び常温放置後の両者において、すべての保管温度で組成物の析出・分離等が見られず、チューブから問題無く吐出できる
○:各恒温槽から取り出した直後には、少なくとも一つの保管温度でわずかに組成物の分離・析出・軟化等が見られるが、常温放置後には、すべての保管温度で組成物の析出・分離等がなく、チューブから問題なく吐出できる
△:各恒温槽から取り出した直後に、少なくとも一つの保管温度で組成物の分離・析出・軟化等が見られ、常温放置後にも、少なくとも一つの保管温度でわずかに組成物の分離・離液等が認められる
×:各恒温槽から取り出した直後も、常温に戻した後にも、すべての保管温度で明らかな組成物の分離・析出・離液等が認められる
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
表1及び表2の結果から、各実施例の洗浄剤組成物は、各比較例のものと対比して、水馴染みが良く、起泡力に優れ、洗い流し時のべたつきが少ないことに加え、経時的な製剤の保存安定性にも優れた効果を奏していることが分かった。
【0052】
(A)成分の代わりに本発明品の分野で汎用される陰イオン性界面活性剤(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、ミリスチン酸カリウム、ポリオキシエチレン(3E.O.)スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム)を用いたところ、洗浄剤組成物として期待すべき効果が発揮されなかった。このように、本発明品の分野で用いられる多種多様の陰イオン性界面活性剤の中から、本発明に示される特定の陰イオン性界面活性剤を用いた時にのみ、所定の効果が発揮されることが分かった。
【0053】
以下に、本発明に係る洗浄剤組成物の処方例を以下に示す。
【0054】
処方例:洗顔ジェル
ドデカン−1,2−ジオール酢酸エーテルナトリウム(30%水溶液):10%
ラポナイト:0.3%
(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)クロスポリマー(29%水溶液):6%
ラウリン酸アミドプロピルベタイン液(30%水溶液):10%
グリセリン:3%
ポリエチレングリコール400:5%
ポリクオタニウム−7(10%水溶液):1%
メントール:0.5%
酢酸トコフェロール:0.1%
水酸化カリウム:適量
エデト酸二ナトリウム:適量
BHT:適量
香料:適量
着色剤:適量
防腐剤:適量
精製水:残量
【0055】
処方例:ボディーシャンプー
ドデカン−1,2−ジオール酢酸エーテルナトリウム(30%水溶液):5%
ラポナイト:0.3%
(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)コポリマー(30%水溶液):1.5%
アクリレーツコポリマー(28%水溶液):0.5%
ラウリン酸アミドプロピルベタイン液(30%水溶液):5%
1,3−ブチレングリコール:3%
ジプロピレングリコール:5%
ポリクオタニウム−39(10%水溶液):0.5%
酢酸トコフェロール:0.1%
水酸化ナトリウム:適量
エデト酸二ナトリウム:適量
BHT:適量
香料:適量
防腐剤:適量
精製水:残量
【0056】
処方例:ヘアシャンプー
ドデカン−1,2−ジオール酢酸エーテルナトリウム(30%水溶液):10%
ラポナイト:0.5%
(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)コポリマー(30%水溶液):5%
アクリレーツコポリマー(28%水溶液):2%
ラウリン酸アミノ酢酸ベタイン液(30%水溶液):10%
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(2E.O)(30%水溶液):7%
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド:3%
プロピレングリコール:3%
エタノール:3%
ポリクオタニウム−10:0.7%
酢酸トコフェロール:0.1%
水酸化ナトリウム:適量
エデト酸二ナトリウム:適量
防腐剤:適量
香料:適量
精製水:残量
【0057】
処方例:ボディーシャワージェル
ドデカン−1,2−ジオール酢酸エーテルナトリウム(30%水溶液):7%
ラポナイト:0.5%
(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)コポリマー(30%水溶液):4%
(アクリレーツ/ネオデカン酸ビニル)クロスポリマー(29%水溶液):3%
ラウリン酸アミドプロピルベタイン液(30%水溶液):7%
ソルビトール:3%
ジプロピレングリコール:2%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース:0.5%
水酸化カリウム:適量
エデト酸二ナトリウム:適量
BHT:適量
香料:適量
防腐剤:適量
精製水:残量
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の洗浄剤組成物は、使用時の水馴染みに優れ、起泡力に優れ、洗い流し時のべたつきが低いということから、皮膚洗浄剤としての使用に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型陰イオン性界面活性剤、(B)水膨潤性粘土鉱物、(C)アニオン性高分子並びに(D)長鎖脂肪酸アミド酢酸ベタイン及び/又は長鎖脂肪酸アミノ酢酸ベタインを含有してなる洗浄剤組成物。
【請求項2】
(B)成分が、ヘクトライト、サポナイト及びラポナイトからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
(C)成分が、下記(a)〜(e):
のモノマーユニットからなる群より選択される少なくとも1種を含有する共重合体及びクロスポリマーからなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項1又は2記載の洗浄剤組成物:
(a)(メタ)アクリル酸
(b)(メタ)アクリル酸アルキル
(c)イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル
(d)(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル
(e)ネオデカン酸ビニル。
【請求項4】
(A)ヒドロキシアルキルエーテルカルボン酸型陰イオン性界面活性剤、(B)水膨潤性粘土鉱物、(C)アニオン性高分子並びに(D)長鎖脂肪酸アミド酢酸ベタイン及び/又は長鎖脂肪酸アミノ酢酸ベタインを配合して得られる洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2011−38004(P2011−38004A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187322(P2009−187322)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】