説明

洗浄容器の脱水装置

【課題】短時間による脱水完了が可能で、作業性に優れ、しかも、大きい洗浄容器と小さ洗浄容器の脱水を可能とする。
【解決手段】洗浄容器3を搬送する搬送装置5と、搬送されてくる前記洗浄容器を脱水位置で停止させる位置決めストッパ7と、停止した洗浄容器3を脱水位置上方の脱水部9まで上昇させる上下動可能な容器支持テーブル11とを備え、前記脱水部9を、駆動モータM3によって高速回転が与えられる回転体43の中心から遠い位置に下方に延出して設けた第1の容器保持ピン45と回転体43の中心から近い位置に同じく下方に延出して設けた第2の容器保持ピン47,とで構成する。前記第1の容器保持ピン45を、大きい洗浄容器用とし、第2の容器保持ピン47を、小さい洗浄容器用とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は折畳み可能な洗浄容器に適した脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、食品等を入れて運ぶ容器にあっては、定期的に洗浄することで繰返し使用される。
【0003】
食品等を入れ運ぶ容器にあっては、運び終わった後、容器を持ち帰る時にかさばらないようにすることと、使用しない時に大きく専用スペースを占用することなく保管できるように折畳み可能となっている。
【0004】
容器のサイズは大きいものと小さいものがあり、大小の容器は目的に対応して使用される。
【0005】
一方、洗浄した後の容器は乾燥装置によって乾燥が行われる。洗浄完了後の容器の乾燥は、外から熱風をあてる熱風乾燥の場合、内部まで熱風が届きにくく時間がかかるために、一般には脱水乾燥(水切り)が主流となっている。
【0006】
そのための遠心脱水装置については多数提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−183029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
遠心脱水装置は、洗浄容器を1つ、1つ脱水作業を行なうとその出し入れ作業が面倒となり能率も悪くなるところから作業性を考慮してターンテーブルの上に折畳まれた洗浄容器を所定の高さまで積重ねてセットし、高速回転させることで水切りを行なう手段がとられている。
【0008】
しかしながら、ターンテーブルには積重ねられた洗浄容器によって大きな荷重が働くことと、多段に積重ねられている条件と相俟って回転数を落とす必要があり脱水完了まで時間がかかるのが現状である。
【0009】
この場合、大きい出力の駆動モータを用いること、積重ねられた洗浄容器の高速回転に耐える丈夫な容器保持ケースを用いることで高速脱水が可能となるが、コストがかかる等、新たな問題をかかえる。
【0010】
また、多段に積重ねられた洗浄容器をターンテーブルに対してバランスよくセットする必要があり、そのセット作業を含む出し入れを脱水完了ごとに行なうため、面倒で時間がかかる等作業性の面でも望ましくない。
【0011】
そこで、本発明にあっては短時間による脱水完了が可能で、作業性に優れ、しかも、大きい洗浄容器と小さい洗浄容器の対応ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明にあっては、矩形に形成された洗浄容器を搬送する搬送装置と、搬送装置によって搬送されてくる前記洗浄容器を脱水位置で停止させる位置決めストッパと、位置決めストッパによって停止した洗浄容器を脱水位置上方の脱水部まで上昇させる上下動可能な容器支持テーブルとを備え、前記脱水部を、駆動モータによって高速回転が与えられる回転体と前記回転体から下向きに突出して設けられ前記回転体の中心から遠い位置の第1の容器保持ピンと回転体の中心から近い位置の第2の容器保持ピンとで構成し、前記第1の容器保持ピンは、前記回転体が標準姿勢の時、容器支持テーブルによって支持された状態で洗浄容器の対角線上にある各コーナ部をそれぞれ上方から保持する大きい洗浄容器用、第2の容器保持ピンは、前記回転体が標準姿勢から所定角度回動した回転姿勢の時、容器支持テーブルによって支持された状態で洗浄容器の対角線上にある各コーナ部をそれぞれ上方から保持する小さい洗浄容器用となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、搬送装置によって搬送されてくる洗浄容器を容器支持テーブルによって脱水部にセットすることができるため、脱水部にセットされた回転体に大きな荷重が作用することはなく、しかも、容器支持テーブルに支持された状態で対角線上にある各コーナ部を容器保持ピンによって上方から保持することができるため高速回転による脱水が可能となり短時間で脱水を完了することができる。
【0014】
また、脱水完了後は、容器支持テーブルの上面で回転停止した洗浄容器を搬送装置まで下降させれば、取出部へ向けて迅速に送りだすことができる。したがって、容器支持テーブルを再び上昇させれば次に待機する洗浄容器を脱水部へセットできるため、作業性を損なうことなく脱水作業を連続して行なうことができる。
【0015】
また、第1の容器保持ピンと第2の容器保持ピンとを選択して使用することで大きい洗浄容器から小さい洗浄容器まで支障なく脱水作業を行なえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するにあたって
第1に前記位置決めストッパにあっては、搬送装置から上昇したストップ位置と下降した待機位置とに上下動自在で、かつ、脱水位置の中心に対して近づいた第1のストップ位置と離れた第2のストップ位置とに進退自在とすることで、1つの位置決めストッパによって大きい洗浄容器と小さい洗浄容器とを脱水位置の中心軸心線に対して正確に停止が行なえるようにすることが望ましい。
【0017】
第2に前記搬送装置にあっては、洗浄容器の両サイドをガイドするガイド板を設ける一方、大きい洗浄容器用の容器幅と小さい洗浄容器用の容器幅とに拡縮自在とすることで、大きい洗浄容器及び小さい洗浄容器を正しい向きで正確に脱水位置まで搬送が行なえるようにすることが望ましい。
【実施例】
【0018】
以下、図1乃至図5の図面を参照しながら本発明の実施形態について具体的に説明する。
【0019】
図1は本発明にかかる洗浄容器の脱水装置全体の概要説明図を示している。
【0020】
脱水装置1は、洗浄容器3を搬送する搬送装置5と、搬送装置5によって送られてくる洗浄容器3を脱水位置の中心軸心線上Xで停止させる位置決めストッパ7と、位置決めストッパ7によって停止した洗浄容器3を脱水位置上方の脱水部9まで上昇させる上下動可能な容器支持テーブル11とを備えている。
【0021】
搬送装置5は、図1に示す如く駆動プーリ13と従動プーリ15とに搬送ベルト17がエンドレスに掛け回された構造となっていて、図2に示す如く所定の幅を有して左右一対のフレーム19にそれぞれ支持されている。
【0022】
各駆動プーリ13は駆動モータM1によってそれぞれ回転動力が与えられることで搬送ベルト17に矢印イ方向へ駆動するもので、脱水中の搬送ベルト17は常に作動状態にある。
【0023】
搬送ベルト17は、一段又は二段重ねされた洗浄容器3を搬送するもので、その外側には洗浄容器3を搬送方向に沿って正しくガイドするガイド板21がそれぞれ設けられている。ガイド板21は搬送ベルト17と共に大きい洗浄容器用と小さい洗浄容器用とにガイド幅Lの調整が可能となっている。
【0024】
具体的には、図2に示す如く搬送装置5の左右のフレーム19に可動台23を設け、その可動台23を幅方向(矢印ロ)への移動を可能とする一対のガイドレール25と移動用のねじ杆27とによって移動装置29を構成する。ねじ杆27の右ねじ部27a及び左ねじ部27bは前記可動台23のナット部23aと螺合し合い、例えば、ねじ杆27の正転で左右の可動台23、即ち、ガイド板21は拡がる方向への移動が可能となる。また、逆転で左右の可動台23、即ち、ガイド板21は互いに近づく方向への移動が可能となっている。ねじ杆27は正転、逆転可能な駆動モータM2によって回転動力が与えられる。
【0025】
移動装置29は、前後2箇所にそれぞれ配置され、前記駆動モータM2の回転動力はベベルギヤ等の入ったギヤボックス30から伝導軸31を介して各ねじ杆27に同時に伝達される。これにより、前後に長い搬送装置5を洗浄容器3の大きさに対応したサイズのガイド幅Lに支障なく調整が行なえるようになっている。
【0026】
洗浄容器3は図3に示す如く、トラック等の荷台に整列して積み込むことができる大きい洗浄容器3−1と、図4に示す如くそれより小さい折畳み用の洗浄容器3−2となっている。
【0027】
小さい折畳み用の洗浄容器3−2は、大きい洗浄容器3−1の1/2サイズ(図4実線)となっている。
【0028】
なお、1/2サイズの洗浄容器3−2は、大きい洗浄容器3−1と同一幅となるためガイド板21のガイド幅Lの調整は必要としないが、例えば、図6に示すように2/3サイズの洗浄容器3−3の時にはガイド板21のガイド幅Lの調整が必要となる。
【0029】
位置決めストッパ7は、搬送ベルト17と搬送ベルト17の間に位置し、図1に示す如く脱水位置の中心軸線Xに対してストッパ部7aが前進した第1のストッパ位置aと、後退した第2のストッパ位置bとに前進、後退が可能で、かつ、ストッパ部7aが搬送装置5から上昇した作動位置cと下降した待機位置dとに上下動自在となっている。
【0030】
ストッパ部7aの作動位置cと待機位置dは、油圧等の第1の駆動装置35によって垂直ロッド37を上下動自在に制御することで行なわれる。
【0031】
この場合、ストッパ部7aが作動位置cにある時、洗浄容器3は脱水位置の中心軸線X上で停止するため、後続の洗浄容器3は待機ストッパSによって待機位置で待機停止状態におかれることが望ましい。
【0032】
待機ストッパSは、容器支持テーブル11が上昇した脱水中とストッパ部7aが下降した待機位置dにある時、容器停止状態にあって、容器支持テーブル11が下降した脱水完了時とストッパ部7aが上昇した作動位置cにある時、下降した容器停止状態を解除するようになっている。
【0033】
ストッパ部7aの第1のストッパ位置aと第2のストッパ位置bは、油圧等の第2の駆動装置37によって水平ロッド39を水平方向に伸長制御し第1のストッパ位置aとすることで、例えば、小さい洗浄容器3−2の停止位置用となる。
【0034】
また、水平ロッド39を縮小制御し第2のストッパ位置dとすることで、例えば、大きい洗浄容器3−1の停止位置用として使用可能となる。
【0035】
容器支持テーブル11は搬送ベルト17と搬送ベルト17の間に位置し脱水位置の中心軸線X上に配置され、昇降装置41によって搬送装置5の搬送面よりテーブル上面が下位に位置する下降位置(実線)と脱水部9まで上昇する上昇位置(二点鎖線)とに上下動自在となっている。容器支持テーブル11のテーブル上面は脱水作動中も含めて洗浄容器3を支持する支持面となっている。
【0036】
脱水部9は、回転数が正確に管理できる、例えば、サーボモータ等の駆動モータM3によって設定された角度への回転と高速回転可能な回転体43を有する。
【0037】
回転体43は軽量化を図るために打抜きされた複数の開口孔を備え、下向きに突出した大きい洗浄容器用の第1の容器保持ピン45と小さい洗浄容器用の第2の容器保持ピン47がそれぞれ設けられている。
【0038】
第1の容器保持ピン45と第2の容器保持ピン47の関係を図3と図4に示す。
【0039】
第1の容器保持ピン45と第2の容器保持ピン47は、図5に示す如く一体に連結された一対のピン49で構成され、下向きに突出している。
【0040】
したがって、容器支持テーブル11によって上昇してくる洗浄容器3の各コーナ部はピン49とピン49の間に臨み、高速回転時の振り出し力に耐える下向きに突出する壁によって容器支持テーブル11に支持された状態で保持が行なえるようになっている。
【0041】
第1の容器保持ピン45は、図3に示す如く回転体43の回転中心Pから遠い位置で4箇所に配置された大きい洗浄容器3−1用となっている。第1の容器保持ピン45の4箇所の位置は、回転体43が標準姿勢(図3実線)の時、即ち、4箇所の切欠き目印49が進行方向中心軸線Yの位置で前後と90度両側の位置にある時、容器支持テーブル11によって上昇してくる洗浄容器3の4箇所ある各コーナ部がピン49とピン49の間に無理なく臨む対向し合う位置関係となっている。
【0042】
第2の容器保持ピン47は、回転体43の回転中心Pから近い位置で大きい洗浄容器3−1が位置する領域から外れた図3上下2箇所に配置された小さい洗浄容器3−2用となっている。第2の容器保持ピン47の2箇所の位置は回転体43が標準姿勢(図3実線)の時から約45度回転した回転姿勢(図4実線)の時、容器支持テーブル11によって上昇してくる小さい洗浄容器3−2の対角線上にある各コーナ部がピン49とピン49の間に臨む対向し合う位置関係にそれぞれ配置されている。
【0043】
なお、図6に示す2/3サイズの洗浄容器3−3にあっては第2の容器保持ピン47−1は各コーナ部と対向し合う位置関係に設けられるようになる。
【0044】
このように構成された脱水装置1において大きい洗浄容器3−1を脱水するには、まず、位置決めストッパ7を第2のストッパ位置bとする一方、回転体43を標準姿勢(図3実線)とした後、搬送ベルト17上に洗浄容器3−1を載せる。この時、洗浄容器3−1の向きは左右のガイド板21によって正しい向きに修正され脱水位置の中心軸線X上で位置決めストッパ7によって停止する。停止した脱水位置の洗浄容器3−1は容器支持テーブル11によって脱水部9まで上昇し、容器支持テーブル11に支持された状態で各コーナ部は第1の容器保持ピン45によって保持される。
【0045】
脱水時は容器支持テーブル11のテーブル上面に載った状態で高速回転し、迅速に脱水が終了する。
【0046】
脱水終了後、容器支持テーブル11の下降で洗浄容器3−1は搬送ベルト17上に乗り取出部へ向け搬送される。以下、容器支持テーブル11の上下動で脱水作業を連続して行なえる。
【0047】
次に、小さい洗浄容器3−2を脱水するには位置決めストッパ7を前進させた第1のストッパ位置a(例えば1/2サイズの時)とする一方、回転体43を標準姿勢(図3実線)から所定角度(45°)回動させた回動姿勢(図4実線)とすることで、脱水作業に入れる。
【0048】
この時、回転体43は回動姿勢(図4実線)に切換わることで容器支持テーブル11によって上昇してくる小さい洗浄容器3−2の対角線上の各コーナ部を第2の容器保持ピン47によって保持し、高速回転による脱水が可能になると共に迅速に脱水作業が完了する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明にかかる洗浄容器の脱水装置全体の概要説明図。
【図2】ガイド板を含む搬送装置のガイド幅を調整する移動装置の概要説明図。
【図3】大きい洗浄容器と回転体の第1の容器保持ピンとの関係を示した概要説明図。
【図4】小さい洗浄容器と回転体の第2の容器保持ピンとの関係を示した概要説明図。
【図5】第1、第2容器保持ピンを示した概要説明図。
【図6】2/3サイズの小さい洗浄容器と回転体との関係を示した概要説明図。
【符号の説明】
【0050】
1 脱水装置
3 洗浄容器
5 搬送装置
7 位置決めストッパ
7a ストッパ部
9 脱水部
11 容器支持テーブル
21 ガイド板
43 回転体
45 第1の容器保持ピン
47,47−1 第2の容器保持ピン
M3 駆動モータ
a 第1のストッパ位置
b 第2のストッパ位置
c 作動位置
d 待機位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形に形成された洗浄容器を搬送する搬送装置と、搬送装置によって搬送されてくる前記洗浄容器を脱水位置で停止させる位置決めストッパと、位置決めストッパによって停止した洗浄容器を脱水位置上方の脱水部まで上昇させる上下動可能な容器支持テーブルとを備え、
前記脱水部を、駆動モータによって高速回転が与えられる回転体と前記回転体から下向きに突出して設けられ前記回転体の中心から遠い位置の第1の容器保持ピンと回転体の中心から近い位置の第2の容器保持ピンとで構成し、前記第1の容器保持ピンは、前記回転体が標準姿勢の時、容器支持テーブルによって支持された状態で洗浄容器の対角線上にある各コーナ部をそれぞれ上方から保持する大きい洗浄容器用、第2の容器保持ピンは、前記回転体が標準姿勢から所定角度回動した回転姿勢の時、容器支持テーブルによって支持された状態で洗浄容器の対角線上にある各コーナ部をそれぞれ上方から保持する小さい洗浄容器用となっていることを特徴とする洗浄容器の脱水装置。
【請求項2】
前記位置決めストッパは、ストッパ部が搬送装置から上昇した作動位置と下降した待機位置とに上下動自在で、かつ、脱水位置の中心に対してストッパ部が近づいた第1のストッパ位置と離れた第2のストッパ位置とに進退自在となっていることを特徴とする請求項1記載の洗浄容器の脱水装置。
【請求項3】
前記搬送装置は、洗浄容器の両サイドをガイドするガイド板を有すると共に大きい洗浄容器用の容器幅と、小さい洗浄容器用の容器幅とに拡縮自在であることを特徴とする請求項1記載の洗浄容器の脱水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−36466(P2009−36466A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201938(P2007−201938)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(396013329)株式会社クレオ (12)
【出願人】(392008415)クレヴァ電機工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】