説明

洗浄方法および洗浄装置

【課題】複数の細孔を有する薄膜において、その表面のみならず細孔内に付着した汚れをも確実に除去し得る洗浄方法および洗浄装置を提供すること。
【解決手段】本発明の洗浄装置900は、複数の細孔を有する薄膜2を洗浄するための装置であり、チャンバ910と、チャンバ910内に設けられたステージ950と、ステージ950上に配置された容器920と、減圧手段930と、排液手段940と、給液手段960と、各部を制御する制御手段990とを有している。また、ステージ950には、温度調整手段970および振動付与手段980が内蔵されている。洗浄装置900は、容器920に貯留された洗浄液Sに薄膜2を浸漬した状態で、減圧手段930によりチャンバ910内を減圧することにより、洗浄液Sを細孔内に浸透させ、その後、排液手段940により容器920内から洗浄液Sを排液する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄方法および洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子デバイスの小型化に伴って、その各部に各種の薄膜が用いられる。
これらの薄膜の中には、複数の細孔を有するものがあるが、かかる薄膜では、成膜時に、細孔の奥深くに汚れが付着し、その膜特性に悪影響を及ぼす場合がある。
複数の細孔を有する薄膜として、例えば、液晶プロジェクタ(投射型表示装置)等では、SiO等の斜方蒸着膜が多用されているが、かかる斜方蒸着膜において、汚れが付着すると、斜方蒸着膜表面の形状や極性が変化して、液晶分子に配向異常が生じるという問題がある。
例えば、特許文献1には、基板の洗浄方法について開示されているが、この方法を斜方蒸着膜等の複数の細孔を有する薄膜に対して適用しても、細孔の奥深くに付着した汚れを除去することは困難である。
【0003】
【特許文献1】特開平5−181101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、複数の細孔を有する薄膜において、その表面のみならず細孔内に付着した汚れをも確実に除去し得る洗浄方法および洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の洗浄方法は、複数の細孔を有する薄膜を洗浄する洗浄方法であって、
前記薄膜を洗浄液に浸漬した状態で、前記洗浄液が配置された周囲の空間を減圧することにより、前記洗浄液を前記細孔内に浸透させ、その後、前記洗浄液と前記薄膜とを離反することを特徴とする。
これにより、薄膜の表面のみならず細孔内に付着した汚れをも確実に除去し得る。
【0006】
本発明の洗浄方法では、前記離反は、容器内に貯留された前記洗浄液を、前記容器から排液することにより行われることが好ましい。
これにより、薄膜に破損が生じるのを防止しつつ、洗浄液と薄膜とを離反することができる。
本発明の洗浄方法では、前記空間の真空度は、1×10−4〜1×10Paであることが好ましい。
これにより、細孔内に洗浄液を十分に浸透させることができる。
本発明の洗浄方法では、前記空間を減圧する時間は、1〜300分間であることが好ましい。
これにより、細孔内に洗浄液を確実に浸透させることができる。
【0007】
本発明の洗浄方法では、前記洗浄液に振動を与えつつ、前記空間を減圧することが好ましい。
これにより、細孔内により確実に洗浄液を浸透させることができる。また、洗浄液が、水やアルコール類のようにクラスターを形成する分子で構成される場合には、振動を与えることによりクラスターが細分化されて低分子化するため、かかる点からも、細孔内に洗浄液がより確実に浸透し易くなる。
このように、洗浄液に振動を与えることにより、洗浄液が細孔内に浸透し易くなることから、チャンバ内の真空度を比較的低くしても、洗浄液を細孔内に十分に浸透させることができるという効果が得られる。さらに、薄膜自体にも振動が与えられるので、汚れが薄膜から離脱し易くなるという利点もある。
本発明の洗浄方法では、前記洗浄液の温度は、0〜200℃であることが好ましい。
これにより、洗浄液の粘度が不要に高くなるのを防止して、洗浄液を細孔内に十分に浸透させることができるとともに、洗浄液の気化を抑制または防止して、薄膜が洗浄液から露出するのを防止することができる。
【0008】
本発明の洗浄方法では、前記細孔の平均開口径は、0.001〜1000μmであることが好ましい。
本発明によれば、このように小さい開口径の細孔であっても、その奥深くに付着する汚れを確実に除去することができる。
本発明の洗浄方法では、前記薄膜は、無機酸化物の斜方蒸着膜であることが好ましい。
本発明によれば、小さい開口径の細孔を有し、かつ、表面に存在する活性な水酸基の影響で汚れが付着し易く、汚れの除去が極めて困難な無機酸化物の斜方蒸着膜であっても、汚れを確実に除去することができる。
【0009】
本発明の洗浄方法では、前記洗浄液は、前記薄膜との反応性に乏しい液体であることが好ましい。
これにより、洗浄に供される薄膜が変質・劣化するのを防止して、薄膜の特性の低下(変化)を防止することができる。
本発明の洗浄方法では、前記洗浄液は、超純水であることが好ましい。
無機酸化物膜の表面には、プレステッド酸としての高い活性を有する水酸基が存在するため、洗浄液としては、各種物質との反応性が極めて低い超純水が好適に用いられる。また、超純水は、不純物含有量が極めて低いため、薄膜への新たな汚れの付着を防止して、薄膜の洗浄効率を向上することができる。
【0010】
本発明の洗浄装置は、複数の細孔を有する薄膜を洗浄する洗浄装置であって、
前記薄膜を洗浄する洗浄液を貯留する容器と、
該容器を収納するチャンバと、
該チャンバ内を減圧する減圧手段と、
前記洗浄液と前記薄膜とを離反する離反手段とを有し、
前記容器に貯留された前記洗浄液に前記薄膜を浸漬した状態で、前記減圧手段により前記チャンバ内を減圧することにより、前記洗浄液を前記細孔内に浸透させ、その後、前記離反手段により前記洗浄液と前記薄膜とを離反するよう構成されていることを特徴とする。
これにより、薄膜の表面のみならず細孔内に付着した汚れをも確実に除去し得る。
【0011】
本発明の洗浄装置では、前記離反手段は、前記洗浄液を前記容器から排液する排液手段で構成されていることが好ましい。
これにより、薄膜に破損が生じるのを防止しつつ、洗浄液と薄膜とを離反することができる。
本発明の洗浄装置では、さらに、前記洗浄液に振動を与える振動付与手段を有し、
該振動付与手段により前記洗浄液に振動を与えつつ、前記減圧手段により前記チャンバ内を減圧するよう構成されていることが好ましい。
これにより、細孔内に洗浄液を十分に浸透させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の洗浄方法および洗浄装置について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の洗浄方法を実施し得る洗浄装置の実施形態を示す模式図である。
本発明の洗浄装置900は、複数の細孔を有する薄膜2を洗浄するための装置であり、図1に示すように、チャンバ910と、チャンバ910内に設けられたステージ950と、ステージ950上に配置された容器920と、減圧手段930と、排液手段940と、給液手段960と、各部を制御する制御手段990とを有している。
また、ステージ950には、温度調整手段970および振動付与手段980が内蔵されている。
チャンバ910は、開口911aが形成された本体911と、本体911に着脱自在に設けられ、開口911aを気密的に封止する蓋体912とで構成されている。
チャンバ910(本体911および蓋体912)は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の各種金属材料等で構成されている。
【0013】
容器920は、洗浄液Sを貯留するためのものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリスチレン、スチロール樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアミド、ナイロン、ポリウレタン、飽和ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリブタジエン、EVA樹脂、ポリメチルペンテン、メタクリルスチレン等の各種樹脂材料、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の各種金属材料等で構成されている。
【0014】
減圧手段930は、チャンバ910内を減圧するものであり、ポンプ932と、ポンプ932とチャンバ910とを連通する減圧ライン931と、減圧ライン931の途中に設けられたバルブ933とで構成されている。
また、排液手段940は、容器920内に貯留された洗浄液Sを排液するものであり、洗浄液Sを回収する回収タンク944と、回収タンク944と容器920とを連通する排液ライン941と、排液ライン941の途中に設けられたポンプ942およびバルブ943とで構成されている。本実施形態では、この排液手段940が洗浄液Sと薄膜2とを離反する離反手段を構成する。
【0015】
なお、その他離反手段は、例えば、容器920内に貯留された洗浄液S中から、薄膜2(基板1)を引き上げる手段で構成することができる。ただし、本実施形態のように、離反手段を排液手段で構成することにより、薄膜2を移動させることを要しないので、薄膜2に破損が生じるのを防止しつつ、洗浄液Sと薄膜2とを離反することができるという利点がある。
また、給液手段960は、容器920内に洗浄液Sを供給するものであり、洗浄液Sを貯留する貯留タンク964と、貯留タンク964から洗浄液Sを容器920に導く給液ライン961と、給液ライン961の途中に設けられたポンプ962およびバルブ963とで構成されている。
【0016】
温度調整手段970は、容器920内に貯留された洗浄液Sや、薄膜2が形成された基板1を加熱および/または冷却する機能を有するものであり、例えば、ヒーター、ペルチェ素子、赤外線や高周波を発生する手段等またはこれらを組み合わせて構成されている。
容器920内から排液を行った後、この温度調整手段970により、薄膜2(基板1)を加熱することにより、例えば、薄膜2の乾燥等を行うことができる。
【0017】
振動付与手段980は、容器920内の洗浄液Sに振動を与えるものであり、例えば、超音波発振器、油圧型振動発信器、動電型振動発信器等で構成されている。
また、チャンバ910には、圧力計(図示せず)が設けられ、チャンバ910内の圧力をモニターし得るようになっている。
そして、この圧力計、減圧手段930のポンプ932およびバルブ933、排液手段940のポンプ942およびバルブ943、給液手段960のポンプ962およびバルブ963、温度調整手段970、振動付与手段980等が、制御手段990に電気的に接続され、この制御手段990により制御されている。
【0018】
次に、このような洗浄装置900を用いて薄膜2を洗浄する方法、すなわち、本発明の洗浄方法について説明する。
[1] まず、薄膜2が形成された基板1を用意する。
基板1上に薄膜2を形成する方法としては、無機材料を用いる場合、例えば、斜方蒸着法、基板1上に無機粒子を配置した後、焼成して多孔質化する方法等、有機材料を用いる場合、有機材料の溶液を基板1上に塗布した後、塗膜中に気泡が生じるようにして乾燥させる方法等が挙げられる。
【0019】
このとき、薄膜2の表面および細孔の内面に汚れが付着する。本発明では、薄膜2に洗浄液Sを接触させて、薄膜2の表面のみならず、細孔の奥深くに付着(存在)する汚れを除去する。
ここで、薄膜2に付着する汚れとしては、例えば、薄膜2の原料が微粒子化したパーティクルや、薄膜2の原料中に含まれる不純物等が挙げられる。
薄膜2の平均厚さは、特に限定されないが、1〜10000nm程度であるのが好ましく、20〜1000nm程度であるのがより好ましい。
【0020】
[2] 次に、薄膜2が形成された基板1を洗浄液Sに浸漬する。
具体的には、蓋体912を本体911から取り外し、チャンバ910を開放する。そして、薄膜2が形成された基板1を開口911aを介して本体911内に搬入して、容器920内に設置する。
【0021】
次に、開口911aを塞ぐように、蓋体912を本体911に装着して、チャンバ910を密閉した状態とする。
次に、ポンプ962を作動し、この状態で、バルブ963を開く。これにより、給液ライン961を介して、洗浄液Sを貯留タンク964から容器920内に供給する。
そして、容器920内に所定量の洗浄液S、すなわち、薄膜2が完全に浸る程度の量の洗浄液Sを供給すると、ポンプ962を停止するとともに、バルブ963を閉じる。
【0022】
ここで、洗浄液Sとしては、薄膜2の構成材料に応じて適宜選択され、特に限定されないが、例えば、純水、超純水、蒸留水、イオン交換水、RO水のような各種水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等のアルコール類、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)等のエーテル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ類、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物類、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル類のような各種有機溶媒等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
なお、洗浄液Sとしては、薄膜2との反応性が乏しい液体を選択するのが好ましい。これにより、洗浄に供される薄膜2が変質・劣化するのを防止して、薄膜2の特性の低下(変化)を防止することができる。
例えば、薄膜2が無機酸化物膜の場合、無機酸化物膜の表面には、プレステッド酸としての高い活性を有する水酸基が存在するため、洗浄液Sとしては、各種物質との反応性が極めて低い水、特に超純水が好適に用いられる。また、超純水は、不純物含有量が極めて低いため、薄膜2への新たな汚れの付着を防止して、薄膜2の洗浄効率を向上することができる。
【0024】
[3] 次に、チャンバ910内(洗浄液Sが配置された周囲の空間)を減圧することにより、薄膜2の細孔内に洗浄液Sを浸透させる。
具体的には、ポンプ932を作動し、この状態で、バルブ933を開くことにより、減圧ライン931を介して、チャンバ910内の気体を外部に排出する。
これにより、チャンバ910内の圧力は徐々に低下するが、この圧力低下に伴って、洗浄液S中および薄膜2の細孔内の気体(例えば空気等)が取り除かれ、細孔内に洗浄液Sが浸透していく。
そして、チャンバ910内が所定の圧力になると、ポンプ932を停止するとともに、バルブ933を閉じる。
【0025】
薄膜2が洗浄液Sと接触することにより、薄膜2に付着する汚れは、薄膜2から洗浄液S中に移行し、次工程[4]において洗浄液Sを排液することにより除去される。
特に、本発明によれば、チャンバ910内を減圧するので、薄膜2の細孔内に洗浄液Sが確実に浸透し、薄膜2の表面のみならず、細孔の奥深くに付着する汚れをも確実に除去することができる。
なお、チャンバ910内を減圧しない場合には、洗浄液Sは、薄膜2の表面に接触するに止まり、細孔内に付着する汚れを除去することは困難である。
【0026】
この際のチャンバ910内(空間)の圧力、すなわち、チャンバ910内の真空度は、洗浄液Sが気化しない程度に設定され、洗浄液Sの組成等によっても若干異なるが、1×10−4〜1×10Pa程度であるのが好ましく、1×10−2〜1×10Pa程度であるのがより好ましい。これにより、薄膜2の細孔内から十分に空気が取り除かれ、細孔内に洗浄液Sを十分に浸透させることができる。
【0027】
このチャンバ910内(空間)を減圧する時間は、特に限定されないが、1〜300分間程度であるのが好ましく、10〜60分間程度であるのがより好ましい。これにより、細孔内に洗浄液Sを確実に浸透させることができる。なお、減圧する時間が短過ぎると、洗浄液Sの組成や粘度等によっては、細孔内に洗浄液Sを十分に浸透させることができないおそれがある。
【0028】
また、本工程[3]では、振動付与手段980により洗浄液Sに振動を与えるのが好ましい。これにより、薄膜2の細孔内から効率よく空気が取り除かれ、細孔内により確実に洗浄液Sを浸透させることができる。
また、洗浄液Sが、水やアルコール類のようにクラスターを形成する分子で構成される場合には、振動を与えることによりクラスターが細分化されて低分子化するため、かかる点からも、細孔内に洗浄液Sがより確実に浸透し易くなる。
【0029】
このように、洗浄液Sに振動を与えることにより、洗浄液Sが細孔内に浸透し易くなることから、チャンバ910内の真空度を比較的低くしても、洗浄液Sを細孔内に十分に浸透させることができるという効果が得られる。
さらに、薄膜2自体にも振動が与えられるので、汚れが薄膜2から離脱し易くなるという利点もある。
【0030】
洗浄液Sに超音波振動を与える場合、超音波の周波数は、特に限定されないが、20K〜200MHz程度であるのが好ましく、20K〜1MHz程度であるのがより好ましい。これにより、細孔内に洗浄液Sをより確実に浸透させることができるようになる。
また、本工程[3]では、温度調整手段970により洗浄液Sの温度を調整するようにしてもよい。これにより、薄膜2からの汚れの除去効率(薄膜2の洗浄効率)をより向上させることができる。
【0031】
この場合、洗浄液Sの温度は、洗浄液Sの組成やチャンバ910内の真空度等によっても若干異なり、特に限定されないが、0〜200℃程度であるのが好ましく、20〜100℃程度であるのがより好ましい。このような温度範囲とすることにより、洗浄液Sの粘度が不要に高くなるのを防止して、洗浄液Sを薄膜2の細孔内に十分に浸透させることができるとともに、洗浄液Sの気化を抑制または防止して、薄膜2が洗浄液Sから露出するのを防止することができる。
なお、本発明では、必要に応じて、洗浄液Sへの振動の付与および洗浄液Sの温度調整のいずれか一方または双方を省略することもできる。
【0032】
[4] 次に、バルブ933を開放し、チャンバ910内を大気圧に復帰させる。
その後、ポンプ942を作動し、この状態で、バルブ943を開くことにより、容器920内の洗浄液Sを排液ライン941を介して回収タンク944に回収する(排液する)。
そして、容器920内から洗浄液Sのほぼ全てが回収されると、ポンプ942を停止するとともに、バルブ943を閉じる。
これにより、洗浄液S中に離脱した汚れが、洗浄液Sとともに回収タンク944内に回収される。すなわち、薄膜2が洗浄される。
なお、本発明では、必要に応じて、以上の工程[2]〜[4]を1サイクルとして、複数サイクル繰り返して行うようにしてもよい。
【0033】
[5] 再度、前述したようにしてチャンバ910内を減圧し、この状態で、温度調整手段970により、薄膜2(基板1)を加熱する。これにより、薄膜2を乾燥させる。
薄膜2の加熱温度は、特に限定されないが、80〜250℃程度であるのが好ましく、100〜200℃程度であるのがより好ましい。加熱温度が低過ぎると、チャンバ910内の真空度等によっては、薄膜2を乾燥するのに長時間を要する場合があり、一方、加熱温度を前記上限値を超えて高くしても、それ以上の効果の増大が見込めないばかりか、薄膜2の種類等によっては、薄膜2が変質・劣化するおそれがある。
また、薄膜2の加熱時間も、特に限定されないが、20〜180分程度であるのが好ましく、40〜150分程度であるのがより好ましい。加熱温度やチャンバ910内の真空度等の他の条件によらず、薄膜2を十分に乾燥することができる。
【0034】
以上のような洗浄に供される薄膜2は、その細孔の平均開口径が0.001〜1000μm程度であるのが好ましく、0.001〜1μm程度であるのがより好ましい。本発明によれば、このように小さい開口径の細孔であっても、その奥深くに付着する汚れを確実に除去することができる。
また、洗浄に供される薄膜2は、無機材料または有機材料のいずれで構成されたものであってもよいが、特に、無機酸化物で構成されるものが好ましい。無機酸化物で構成される薄膜2は、前述したように、その表面に活性な水酸基を有するため、汚れが多く付着する傾向にあるが、本発明によれば、このような無機酸化物で構成される薄膜2であっても、確実に汚れを除去することができる。
【0035】
無機酸化物で構成される薄膜2の中でも、前述したような範囲の小さい開口径の細孔を有する斜方蒸着膜は、汚れの除去が極めて困難な膜であるが、本発明によれば、かかる無機酸化物の斜方蒸着膜であっても、汚れを確実に除去することができる。
ここで、無機酸化物としては、例えば、SiO、SiOのようなシリコン酸化物、Al、MgO、TiOTiO、In,Sb,Ta、Y、CeO、WO、CrO、GaO、HfO、Ti、NiO、ZnO、Nb、ZrO、Ta等の金属酸化物が挙げられるが、特に、SiOまたはAlを主とするものが好ましい。
【0036】
SiOやAlは、誘電率が特に低く、かつ、高い光安定性を有するため、SiOやAlの斜方蒸着膜は、液晶表示素子の配向膜として好適に用いられるが、配向膜への汚れの付着は、配向膜表面の形状や極性に変化をもたらし、液晶分子の配向性の低下を招くため好ましくない。したがって、配向膜において汚れを除去することは、特に有効であり、このようなSiOやAlの斜方蒸着膜に付着する汚れの除去に、本発明を適用するのが好適である。
【0037】
以上、本発明の洗浄方法および洗浄装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本発明の洗浄方法では、任意の1または2以上の工程を追加することができる。
また、本発明の洗浄装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
【実施例】
【0038】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.斜方蒸着膜付き基板の作製
以下において、各実施例および各比較例の斜方蒸着膜付き基板を、それぞれ、複数個ずつ作製した。
【0039】
(実施例1A)
<1> まず、ガラス基板(2.5cm×2.5cmの正方形)を用意し、真空蒸着装置のチャンバ内に基板面が蒸着源に対して、角度が50°となるようにセットした。
そして、チャンバ内を減圧(1×10−4Pa)し、SiOを斜方蒸着して、斜方蒸着膜付き基板を作製した。
なお、斜方蒸着膜の平均厚さは、40nm、細孔の平均開口径は、0.003μmであった。
<2> 次に、図1に示す洗浄装置内に、斜方蒸着膜付き基板を搬入し、容器(ポリテトラフルオロエチレン製)内に、斜方蒸着膜を上にして設置し、チャンバを密閉した。
【0040】
<3> 次に、準備した超純水(洗浄液)を容器内に供給して、斜方蒸着膜付き基板を洗浄液に浸漬させた。
<4> 次に、前記工程<3>の状態で、チャンバ内を133Pa(1Torr)に減圧し、この状態を10分間維持した。
これにより、斜方蒸着膜の細孔内の気体を超純水に置換した。すなわち、細孔内に超純水を浸透させた。
なお、超純水の温度は、30℃とした。
【0041】
<5> 次に、チャンバ内を大気圧に復帰させた後、超純水を容器から排液した。
<6> 再度、チャンバ内を減圧しつつ、基板を200℃×90分間、加熱した。
これにより、斜方蒸着膜を乾燥させた。
<7> 加熱終了後、減圧状態を維持しつつ、放冷した。
以上のようにして、洗浄済みの斜方蒸着膜付き基板を得た。
【0042】
(実施例2A)
前記工程<4>において、超純水に超音波振動(周波数:28KHz)を与えた以外は、前記実施例1Aと同様にして、洗浄済みの斜方蒸着膜付き基板を得た。
(実施例3A)
前記工程<3>〜<5>を1サイクルとして、5サイクル繰り返し行った以外は、前記実施例1Aと同様にして、洗浄済みの斜方蒸着膜付き基板を得た。
(実施例4A)
前記工程<3>〜<5>を1サイクルとして、10サイクル繰り返し行った以外は、前記実施例1Aと同様にして、洗浄済みの斜方蒸着膜付き基板を得た。
【0043】
(比較例1A)
前記工程<2>〜<7>を省略(すなわち洗浄処理を省略)した以外は、前記実施例1Aと同様にして、未洗浄の斜方蒸着膜付き基板を得た。
(比較例2A)
前記工程<4>を大気圧で行った以外は、前記実施例1Aと同様にして、洗浄済みの斜方蒸着膜付き基板を得た。
(比較例3A)
前記工程<4>を大気圧で行った以外は、前記実施例2Aと同様にして、洗浄済みの斜方蒸着膜付き基板を得た。
【0044】
(実施例1B)
SiOに代えて、Alを用いた以外は、前記実施例1Aと同様にして、洗浄済みの斜方蒸着膜付き基板を得た。
(比較例1B)
SiOに代えて、Alを用いた以外は、前記比較例1Aと同様にして、未洗浄の斜方蒸着膜付き基板を得た。
(比較例2B)
SiOに代えて、Alを用いた以外は、前記比較例2Aと同様にして、洗浄済みの斜方蒸着膜付き基板を得た。
【0045】
2.斜方蒸着膜付き基板における水分吸着量の測定
実施例1A〜4A、比較例2A、3A、実施例1Bおよび比較例2Bにおいて、それぞれ、前記工程<5>終了後の斜方蒸着膜付き基板を3個取り出し、200℃に加熱し、発生した水蒸気を、GC−MS(株式会社島津製作所製、「GC−MS GC−2014 熱伝導度検出器付き」)で分析した。
得られたGC−MSのチャートから、水蒸気に由来するピークの面積を時間積算して、斜方蒸着膜付き基板への吸着水分量を求めた。
この結果を、下記表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
表1には、比較例2Aで得られた値を基準に、実施例1A〜4Aおよび比較例3Aで得られた値を相対値として示し、また、比較例2Bで得られた値を基準に、実施例1Bで得られた値を相対値として示した。
なお、発生した水蒸気量が多いほど、細孔の奥深くまで洗浄が行えたことを示す。
表1に示すように、各実施例では、いずれも、斜方蒸着膜への水分吸着量が多く、斜方蒸着膜の細孔の奥深くまで確実に洗浄できることが明らかとなった。
また、減圧に加え、超純水に振動を与えた実施例2Aでは、特に、水分吸着量が多く、斜方蒸着膜の細孔の奥深くまでより確実に洗浄できることが明らかとなった。
これに対して、各比較例では、いずれも、斜方蒸着膜への水分吸着量が少なく、表面のみの洗浄しか行えないことが明らかとなった。
【0048】
3.液晶パネルの製造
以下において、各サンプルNo.の液晶パネルを、それぞれ製造した。
(サンプルNo.1)
まず、実施例1Aの斜方蒸着膜付き基板を2枚用意し、一方の斜方蒸着膜付き基板に対し、斜方蒸着膜を形成した面の外周部に沿って、液晶注入口となる部分を残して、熱硬化型接着剤(日本化薬社製、「ML3804P」)を印刷し、80℃×10分間加熱して溶媒を除去した。
なお、熱硬化型接着剤は、直径約3μmのシリカ球を混合したエポキシ樹脂である。
【0049】
次に、他方の斜方蒸着膜付き基板の斜方蒸着膜を形成した面を内側にして、2枚の基板を圧着しつつ、140℃×1時間で加熱することにより貼り合わせた。
なお、2枚の基板は、斜方蒸着膜の配向が互いに180°となるように配置した。
次に、2枚の基板を貼り合わせて形成された内側の空間に、液晶注入口から、フッ素系の負の誘電異方性液晶(メルク社製、「MLC−6610」)を真空注入法により注入した。
次に、液晶注入口をアクリル系のUV接着剤(ヘンケルジャパン社製、「LPD−204」)を用いて、波長365nmのUVを3000mJ/cm照射して硬化し、液晶注入口を封止した。
以上のようにして、液晶パネルを製造した。
【0050】
(サンプルNo.2)
実施例2Aの斜方蒸着膜付き基板を2枚用いた以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、液晶パネルを製造した。
(サンプルNo.3)
実施例3Aの斜方蒸着膜付き基板を2枚用いた以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、液晶パネルを製造した。
【0051】
(サンプルNo.4)
実施例4Aの斜方蒸着膜付き基板を2枚用いた以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、液晶パネルを製造した。
(サンプルNo.5)
比較例1Aの斜方蒸着膜付き基板を2枚用いた以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、液晶パネルを製造した。
【0052】
(サンプルNo.6)
比較例2Aの斜方蒸着膜付き基板を2枚用いた以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、液晶パネルを製造した。
(サンプルNo.7)
比較例3Aの斜方蒸着膜付き基板を2枚用いた以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、液晶パネルを製造した。
【0053】
(サンプルNo.8)
実施例1Bの斜方蒸着膜付き基板を2枚用いた以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、液晶パネルを製造した。
(サンプルNo.9)
比較例1Bの斜方蒸着膜付き基板を2枚用いた以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、液晶パネルを製造した。
(サンプルNo.10)
比較例2Bの斜方蒸着膜付き基板を2枚用いた以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、液晶パネルを製造した。
【0054】
4.液晶パネルの耐光性試験
耐光性試験は、各サンプルNo.で製造した液晶パネルを、それぞれ、図2に示すような投射型表示装置の青色用の液晶ライトバルブとしてセットして、液晶パネルの表面温度を70℃に保ちつつ、光源を連続点灯し、表示異常が発生するまでの時間を測定した。
図2に示す投射型表示装置300は、光源301と、複数のインテグレータレンズを備えた照明光学系と、複数のダイクロイックミラー等を備えた色分離光学系と、赤色用の液晶ライトバルブ24と、緑色用の液晶ライトバルブ25と、青色用の液晶ライトバルブ26と、赤色光のみを反射するダイクロイックミラー面211および青色光のみを反射するダイクロイックミラー面212が形成されたダイクロイックプリズム(色合成光学系)21と、投射レンズ(投射光学系)22とを有している。
【0055】
また、照明光学系は、インテグレータレンズ302および303を有している。色分離光学系は、ミラー304、306、309、青色光および緑色光を反射するダイクロイックミラー305、緑色光のみを反射するダイクロイックミラー307、青色光のみを反射するダイクロイックミラー308、集光レンズ310、311、312、313および314とを有している。
液晶ライトバルブ24、25および26は、液晶パネル100を備え、この液晶パネル100は、図示しない駆動回路にそれぞれ接続されている。
【0056】
このような投射型表示装置300では、光源301から出射された白色光(白色光束)は、インテグレータレンズ302および303を透過する。
インテグレータレンズ302および303を透過した白色光は、ミラー304で図2中左側に反射し、その反射光のうちの青色光(B)および緑色光(G)は、それぞれダイクロイックミラー305で図2中下側に反射し、赤色光(R)は、ダイクロイックミラー305を透過する。
【0057】
ダイクロイックミラー305を透過した赤色光は、ミラー306で図2中下側に反射し、その反射光は、集光レンズ310により整形され、赤色用の液晶ライトバルブ24に入射する。
ダイクロイックミラー305で反射した青色光および緑色光のうちの緑色光は、ダイクロイックミラー307で図2中左側に反射し、青色光は、ダイクロイックミラー307を透過する。
【0058】
ダイクロイックミラー307で反射した緑色光は、集光レンズ311により整形され、緑色用の液晶ライトバルブ25に入射する。
また、ダイクロイックミラー307を透過した青色光は、ダイクロイックミラー(またはミラー)308で図2中左側に反射し、その反射光は、ミラー309で図2中上側に反射する。前記青色光は、集光レンズ312、313および314により整形され、青色用の液晶ライトバルブ26に入射する。
【0059】
このように、光源301から出射された白色光は、色分離光学系により、赤色、緑色および青色の三原色に色分離され、それぞれ、対応する液晶ライトバルブに導かれ、入射する。
これにより赤色光、緑色光および青色光は、それぞれ、液晶ライトバルブ24、25および26で変調され、赤色用の画像、緑色用の画像および青色用の画像がそれぞれ形成される。
【0060】
赤色用の画像は、面213からダイクロイックプリズム21に入射し、ダイクロイックミラー面211で図2中左側に反射し、ダイクロイックミラー面212を透過して、出射面216から出射する。
また、緑色用の画像は、面214からダイクロイックプリズム21に入射し、ダイクロイックミラー面211および212をそれぞれ透過して、出射面216から出射する。
また、青色用の画像は、面215からダイクロイックプリズム21に入射し、ダイクロイックミラー面212で図2中左側に反射し、ダイクロイックミラー面211を透過して、出射面216から出射する。
【0061】
このように、液晶ライトバルブ24、25および26により形成された各画像は、ダイクロイックプリズム21により合成され、これによりカラーの画像が形成される。この画像は、投射レンズ22により、所定の位置に設置されているスクリーン320上に投影(拡大投射)される。
なお、本耐光性試験において、光源には、130WUHPランプ(フィリップス社製)を用いた。
この結果を、下記表2に示す。
【0062】
【表2】

【0063】
なお、表2には、サンプルNo.6の液晶パネルにおいて表示異常が発生するまでの時間を基準に、サンプルNo.1〜5および7の液晶パネルにおいて表示異常が発生するまでの時間を相対値として示し、また、サンプルNo.10の液晶パネルにおいて表示異常が発生するまでの時間を基準に、サンプルNo.8および9の液晶パネルにおいて表示異常が発生するまでの時間を相対値として示した。
【0064】
表2に示すように、各実施例の斜方蒸着膜付き基板を用いて製造した液晶パネルは、各比較例の斜方蒸着膜付き基板を用いて製造した液晶パネルに対して、いずれも、表示異常が発生するまでの時間が長くなることが明らかとなった。
特に、実施例2Aの斜方蒸着膜付き基板を用いて製造した液晶パネルは、表示異常が発生するまでの時間が長くなる傾向にあった。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の洗浄装置の実施形態を示す模式図である。
【図2】液晶パネルの耐光性試験に用いる投射型表示装置の光学系を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0066】
900……洗浄装置 910……チャンバ 911……本体 911a……開口 912……蓋体 920……容器 930……減圧手段 931……減圧ライン 932……ポンプ 933……バルブ 940……排液手段 941……排液ライン 942……ポンプ 943……バルブ 944……回収タンク 950……ステージ 960……給液手段 961……給液ライン 962……ポンプ 963……バルブ 964……貯留タンク 970……温度調整手段 980……振動付与手段 990……制御手段 S……洗浄液 100……液晶パネル 300……投射型表示装置 301……光源 302、303……インテグレータレンズ 304、306、309……ミラー 305、307、308……ダイクロイックミラー 310〜314……集光レンズ 320……スクリーン 20……光学ブロック 21……ダイクロイックプリズム 211、212……ダイクロイックミラー面 213〜215……面 216……出射面 22……投射レンズ 23……表示ユニット 24〜26……液晶ライトバルブ 1……基板 2……薄膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の細孔を有する薄膜を洗浄する洗浄方法であって、
前記薄膜を洗浄液に浸漬した状態で、前記洗浄液が配置された周囲の空間を減圧することにより、前記洗浄液を前記細孔内に浸透させ、その後、前記洗浄液と前記薄膜とを離反することを特徴とする洗浄方法。
【請求項2】
前記離反は、容器内に貯留された前記洗浄液を、前記容器から排液することにより行われる請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
前記空間の真空度は、1×10−4〜1×10Paである請求項1または2に記載の洗浄方法。
【請求項4】
前記空間を減圧する時間は、1〜300分間である請求項1ないし3のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項5】
前記洗浄液に振動を与えつつ、前記空間を減圧する請求項1ないし4のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項6】
前記洗浄液の温度は、0〜200℃である請求項1ないし5のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項7】
前記細孔の平均開口径は、0.001〜1000μmである請求項1ないし6のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項8】
前記薄膜は、無機酸化物の斜方蒸着膜である請求項1ないし7のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項9】
前記洗浄液は、前記薄膜との反応性に乏しい液体である請求項1ないし8のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項10】
前記洗浄液は、超純水である請求項8に記載の洗浄方法。
【請求項11】
複数の細孔を有する薄膜を洗浄する洗浄装置であって、
前記薄膜を洗浄する洗浄液を貯留する容器と、
該容器を収納するチャンバと、
該チャンバ内を減圧する減圧手段と、
前記洗浄液と前記薄膜とを離反する離反手段とを有し、
前記容器に貯留された前記洗浄液に前記薄膜を浸漬した状態で、前記減圧手段により前記チャンバ内を減圧することにより、前記洗浄液を前記細孔内に浸透させ、その後、前記離反手段により前記洗浄液と前記薄膜とを離反するよう構成されていることを特徴とする洗浄装置。
【請求項12】
前記離反手段は、前記洗浄液を前記容器から排液する排液手段で構成されている請求項11に記載の洗浄装置。
【請求項13】
さらに、前記洗浄液に振動を与える振動付与手段を有し、
該振動付与手段により前記洗浄液に振動を与えつつ、前記減圧手段により前記チャンバ内を減圧するよう構成されている請求項11または12に記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−67254(P2007−67254A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253120(P2005−253120)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】