説明

洗浄装置、乾燥装置及び洗浄システム

【課題】コンパクトな構成ながら、洗浄ムラや乾燥ムラを有効に抑制できる洗浄装置、乾燥装置及び洗浄システムを提供する。
【解決手段】シャッター13により開口11,12を遮蔽した後、バルブV1を開放すると、チャック20に固定された部品W(ここでは洗浄物)に対して、細孔31e、31fと細孔31g、31hを介して、液体供給源WPから供給された温水が連続的に噴射される。又、バルブV2を周期的に開閉することで、細孔31i、31jと細孔31k、31mを介して、空気圧源APから供給された空気が間欠的に噴射される。これにより、空気と温水とが混じり合った状態で、部品Wの表面が洗浄されるので高い洗浄効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,加工した部品等の洗浄に好適な洗浄装置、乾燥装置及び洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
旋盤等を用いて部品を機械加工すると、加工された部品には切り粉や切削油などの異物が付着するので、通常は組み付け前に部品を洗浄する工程が必要になる。これに対し特許文献1には、ノズルからエアと洗浄液を吹き付けてワークを洗浄する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−253960号公報
【発明の概要】
【0004】
しかるに、特許文献1の装置によれば、回転するワークの外周に対して、固定されたノズルからエアと洗浄液とを吹き付けるために、エアと洗浄液とは厳密にワークの半径方向に当たらず、回転方向によって部分的に洗浄ムラが生じる恐れがある。同様に、ワークの乾燥は、回転するワークの外周に対して、固定されたノズルからエアを吹き付けるために、エアが厳密にワークの半径方向に当たらず、回転方向によって部分的に乾燥ムラが生じる恐れがある。又、ワークを回転させる構成であるため、比較的大型の装置が必要になり、また回転するワークから遠心力で洗浄液が飛散し易いため、チャンバーの密封を確実に行う必要もある。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり,コンパクトな構成ながら、洗浄ムラや乾燥ムラを有効に抑制できる洗浄装置、乾燥装置及び洗浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の洗浄装置は、
洗浄物を内側に配置可能な内径を備えた環状の本体部と、
前記本体部の内周において周方向に並べて開口し、外部の液体供給源に接続された複数の液体通路と、
前記本体部の内周において周方向に並べて開口し、外部の気体供給源に接続された複数の気体通路と、を備えた洗浄装置であって、
前記本体部の内側に洗浄物を配置(相対移動させる場合を含む)した状態で、少なくとも前記本体部の軸線直交方向内方に向かって、前記液体通路の開口から液体が噴出され、且つ前記気体通路の開口から気体が噴出されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、前記本体部の内周において周方向に並べて開口し、外部の液体供給源に接続された複数の液体通路と、前記本体部の内周において周方向に並べて開口し、外部の気体供給源に接続された複数の気体通路と、を有するので、洗浄物を回転させずとも、洗浄物の外周全体を有効に洗浄できる。又、洗浄物の外周に当たって跳ね返った液体は、対向した位置にある前記本体部の内周に当たるので、それにより外部への飛散が抑制されると共に、前記本体部の内周で跳ね返った液体が、再度洗浄物に当たり、洗浄効果が増大されるというメリットも期待できる。尚、「少なくとも前記本体部の軸線直交方向内方に向かって」とは、本体部の軸線直交方向内方に向かう成分を有すれば良く、必ずしも軸線に直交させる必要はない。
【0008】
請求項2に記載の洗浄装置は、前記本体部の軸線に対して傾いた方向に、前記液体通路の開口から液体が噴出され、且つ前記気体通路の開口から気体が噴出されることを特徴とする。これにより、更に効果的に洗浄物の洗浄を行える。
【0009】
請求項3に記載の洗浄装置は、前記液体通路が2組設けられ、一方の組の液体通路から噴出される液体の噴出方向は、他方の組の液体通路から噴出される液体の噴出方向と異なっており、
前記気体通路は2組設けられ、一方の組の気体通路から噴出される気体の噴出方向は、他方の組の気体通路から噴出される気体の噴出方向と異なっていることを特徴とする。これにより、更に効果的に洗浄物の洗浄を行える。
【0010】
請求項4に記載の洗浄装置は、前記本体部において、前記液体通路が、前記気体通路に対して軸線方向外側に配置されていることを特徴とする。これにより、更に効果的に洗浄物の洗浄を行える。
【0011】
請求項5に記載の洗浄装置において、前記液体の噴出は連続的であり、前記気体の噴出は間欠的であることを特徴とする。これにより、更に効果的に洗浄物の洗浄を行える。
【0012】
請求項6に記載の乾燥装置は、
乾燥物が通過可能な内径を備えた環状の本体部と、
前記本体部の内周において周方向に並べて開口し、外部の気体供給源に接続された複数の第1気体通路と、
前記本体部の内周において周方向に連続して開口し、外部の気体供給源に接続された第2気体通路と、を備えた乾燥装置であって、
前記第1気体通路から噴出される気体の噴出方向は、前記第2気体通路から噴出される気体の噴出方向と異なっており、
乾燥物を前記本体部の内側を通過させながら、前記第1気体通路から噴出させた気体と、前記第2気体通路から噴出させた気体を、乾燥物に向かって吹き付けるようになっていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、乾燥物を前記本体部の内側を通過させながら、前記第1気体通路から噴出させた気体と、前記第2気体通路から噴出させた気体を、乾燥物に向かって吹き付けるので、前記第2気体通路から噴出した気体によって、前記本体部の内側に連続したエアカーテンを形成することで、前記第1気体通路から噴出した気体によって乾燥物の表面から吹き飛ばされた液体や異物を有効に捕捉でき、外部への飛散を抑制することができる。
【0014】
請求項7に記載の乾燥装置は、前記第2気体通路から噴出される気体の噴出方向は、前記本体部の軸線に対して直交する方向であり、前記第1気体通路から噴出される気体の噴出方向は、前記本体部の軸線に対して傾いていることを特徴とする。これにより、気体の混合によって乱流が発生するため、乾燥物が複雑な形状を有している場合でも、細部まで気体が侵入し、より有効に乾燥を行うことができる。
【0015】
請求項8に記載の乾燥装置は、前記気体の噴出時に、乾燥物と前記乾燥装置とが繰り返し相対移動するようになっており、乾燥物が前記乾燥装置に対して重力方向上方に相対移動する速度は、重力方向下方に相対移動する速度より遅いことを特徴とする。これにより液体等の飛散を抑制しつつ、より有効に乾燥を行うことができる。
【0016】
請求項9に記載の洗浄システムは、請求項1〜5に記載の洗浄装置と請求項6〜8のいずれかに記載の乾燥装置とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば,コンパクトな構成ながら、洗浄ムラや乾燥ムラを有効に抑制できる洗浄装置、乾燥装置及び洗浄システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態の洗浄システムを示す図である。
【図2】本実施の形態の洗浄システムを示す図である。
【図3】本実施の形態の洗浄システムを示す図である。
【図4】本実施の形態の洗浄システムを示す図である。
【図5】チャック20の斜視図である。
【図6】図6(a)は、洗浄装置30の中央環状部31の上面図(図6(b)の矢印VIA方向に見た図)であり、図6(b)は、洗浄装置30の断面図であるが、内周の細孔は一部のみ描いている。
【図7】図7(a)は、乾燥装置40の上面図であり、図7(b)は、図7(a)の乾燥装置40をVIIB-VIIB線で切断して矢印方向に見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を、図面の簡単な説明を参照して説明する。図1〜4は、本実施の形態にかかる洗浄システムを示す図である。図において、筐体状のチャンバー10は、上部に開口11,12を有していると共に、開口11,12を遮蔽するシャッター13(図3)を有している。
【0020】
チャンバー10の底面には、基部14が固定されている。基部14に取り付けられた支持板15により、開口11の下方において支持されたタンク16は、上部が開放した筐体状であって、内部に洗浄液としての温水LQを貯留している。タンク16の底には、栓をしたドレーン孔16aが形成されており、栓を抜くことでドレーン孔16aから温水LQを抜き出すことができるようになっている。
【0021】
更に、基部14は、支持台座17を介して、チャック20を支持している。又、チャック20の上方には、それと同軸に洗浄装置30がチャンバー10に固定され、洗浄装置30の上方であって開口12の下方には、それと同軸に乾燥装置40がチャンバー10に固定されている。尚、洗浄装置30と乾燥装置40との間を、筒状の遮蔽カーテンを設けて密封しても良い。
【0022】
図5は、チャック20の斜視図である。図5において、チャック20は、支持台座17(図1〜4)に取り付けられる円盤状の本体21と、本体21の軸線回りに取り付けられた8個の扇形柱状の爪部22とを有する。本体20に対して不図示の空気圧源から圧縮空気を供給することで、各爪部22は、本体21の軸線に接近もしくは離反可能となっており、その間に後述する部品W(図1〜4)を保持固定可能となっている。このようなチャックとしては、例えば特開2007−15038号公報に記載のものを好適に用いることができる。
【0023】
図6(a)は、洗浄装置30の中央環状部31の上面図であり、図6(b)は、洗浄装置30の断面図である。洗浄装置30は、本体部を構成する中央環状部31と外側環状部32,32とからなり、これらは同じ内径及び外径を有する環状である。中央環状部31は、その上面に、上面内側周溝31aと上面外側周溝31bとを有し、その下面に、下面内側周溝31cと下面外側周溝31dとを有する。尚、内側周溝31a,31cは、外側周溝31b、31dより浅くなっている。
【0024】
上面内側周溝31aの底面から、中央環状部31の内周まで、その軸線に向かい且つそれに対して角度約60度(即ち下向き)で傾くようにして、φ0.8mmの2組の細孔31e、31fが並んで延在し、中央環状部31の内周で開口している。細孔31eは、周方向に角度10度ずつに等間隔に放射状に配置され、細孔31fは、隣接する細孔31e、31eの中間に放射状に配置されているが、それより中央環状部31の軸線方向内側にシフトしている。一方、下面内側周溝31cの底面から、中央環状部31の内周まで、その軸線に向かい且つそれに対して角度約120度(即ち上向き)で傾くようにして、φ0.8mmの2組の細孔31g、31hが並んで延在し、中央環状部31の内周で開口している。細孔31gは、周方向に角度10度ずつに等間隔に放射状に配置され、細孔31hは、隣接する細孔31g、31gの中間に放射状に配置されているが、それより中央環状部31の軸線方向内側にシフトしている(すなわち周方向に千鳥状に2列に並んでいる)。尚、細孔31e、31fと細孔31g、31hの延長線は、中央環状部31の軸線上で互いに約60度の角度で交差することとなる。
【0025】
また、上面外側周溝31bの側面から、中央環状部31の内周まで、その軸線に向かい且つそれに対して角度約60度(即ち下向き)で傾くようにして、φ0.8mmの2組の細孔31i、31jが並んで延在し、中央環状部31の内周で開口している。細孔31iは、周方向に角度10度ずつに等間隔に放射状に配置され、細孔31jは、隣接する細孔31i、31iの中間に放射状に配置されているが、それより中央環状部31の軸線方向内側にシフトしている。一方、下面外側周溝31dの側面から、中央環状部31の内周まで、その軸線に向かい且つそれに対して角度約120度(即ち上向き)で傾くようにして、φ0.8mmの2組の細孔31k、31mが並んで延在し、中央環状部31の内周で開口している。細孔31kは、周方向に角度10度ずつに等間隔に放射状に配置され、細孔31mは、隣接する細孔31k、31kの中間に放射状に配置されているが、それより中央環状部31の軸線方向内側にシフトしている(すなわち周方向に千鳥状に2列に並んでいる)。尚、細孔31i、31jと細孔31k、31mの延長線は、中央環状部31の軸線上で互いに約60度の角度で交差することとなる。本実施の形態では、中央環状部31の軸線方向に対して、液体通路である細孔31e、31fと細孔31g、31hの内側に、気体通路である細孔31i、31jと細孔31k、31mが開口しているが、この関係を逆にしても良い。
【0026】
中央環状部31は、外周から軸線直交方向に延在する通孔31n、31pを有している。通孔31nは上面外側周溝31bに連通し、配管及びバルブV1を介して外部の空気圧源(気体供給源としての工場エアでよい)APからの加圧空気を供給するようになっている。又、通孔31pは下面外側周溝31dに連通し、配管及びバルブV1を介して外部の空気圧源APからの加圧空気を供給するようになっている。
【0027】
中央環状部31の軸線方向両側に密着して用いられる外側環状部32,32は、それぞれ軸線方向に延在する通孔32a、32aを有している。上方の外側環状部32の通孔32aは、上面内側周溝31aに連通し、配管及びバルブV2を介して外部の液体供給源WP(例えばポンプとタンクを含む)に貯留された温水を供給するようになっている。又、下方の外側環状部32の通孔32aは、下面内側周溝31cに連通し、配管及びバルブV2を介して外部の液体供給源WPに貯留された温水を供給するようになっている。中央環状部31と外側環状部32,32との間に、シール手段としてのガスケットやO−リングを介在させても良い。
【0028】
図7(a)は、乾燥装置40の上面図であり、図7(b)は、図7(a)の乾燥装置40をVIIB-VIIB線で切断して矢印方向に見た断面図である。乾燥装置40は、本体部を構成する上側環状部41と下側環状部42とからなり、これらは同じ内径及び外径を有する環状であって、同軸に密着するようにして取り付けられる。上側環状部41は、その下面に、周方向に等間隔に8つの袋孔41aを形成している。各袋孔41aには、外周から軸線方向に直交する方向に延在する通孔41bが形成されており、通孔41bは、配管及びバルブV3を介して外部の空気圧源(気体供給源としての工場エアでよい)APからの加圧空気を供給するようになっている。
【0029】
又、各袋孔41aの側面から、上側環状部41の内周に向かって、その軸線に向かい且つそれに対して角度約60度(即ち下向き)で傾くようにして、φ0.8mmの細孔41cが放射状に延在し、上側環状部41の内周で開口している。
【0030】
一方、下側環状部42の上面には、内周側が一段シフトした(下がった)平面を含む段部42aが、上面に平行に且つ周方向に連続して形成されている。上側環状部41の下面と下側環状部42の上面とを密着させたとき、段部42aと、上側環状部41の下面とで、周方向に連続した周溝43が形成され、袋孔41aの開口端は周溝43に開口している。従って、通孔41bから供給された空気は、第1気体通路である細孔41cを介して乾燥装置40の内側に、軸線に対して約60度の傾きで噴出され、その一方、第2気体通路である周溝43を介して軸線直交方向内方に向かって、周方向に連続的に噴出されて途切れのないエアカーテンを形成するようになっている。
【0031】
次に、本実施の形態の洗浄システムの動作について、図1〜4を参照して説明する。ここでは、搬送装置50を用いるものとする。搬送装置50は、接近/離反可能な一対の爪部51,51を有し、図1〜4で上下左右に移動可能となっている。
【0032】
初期状態で、バルブV1,V2、V3は閉止位置にある。まず、シャッター13を退避させて、チャンバー10の開口11,12を開放する。次に、機械加工を終えた円筒状(但し円筒状に限られない)の部品Wを、搬送装置50の爪部51,51で把持して開口11の上方まで搬送し、更に開口11を通して下降させ、図1に示すように、タンク16内の洗浄液LQに浸漬し、搬送装置50を上下に動かして、表面(特に下部)に付着した異物を洗い落とす。尚、搬送装置50の上下動作は、3〜10回程度で、回数は変更可能であることが望ましい。
【0033】
その後、部品Wと共に搬送装置50を上昇させ、開口12の上方へと移動させ、更に開口12、乾燥装置40及び洗浄装置30の内側を通して下降させ、図2に示すように、爪部51,51を開いて部品Wをチャック20に受け渡した後、搬送装置50を開口12の外部へと退避させる。ここで、図3に示すように、シャッター13により開口11,12を遮蔽した後、バルブV1を開放すると、チャック20に固定された部品W(ここでは洗浄物)に対して、細孔31e、31fと細孔31g、31hを介して、液体供給源WPから供給された温水が連続的に噴射される。又、バルブV2を周期的に開閉することで、細孔31i、31jと細孔31k、31mを介して、空気圧源APから供給された空気が間欠的に噴射される。これにより、空気と温水とが混じり合った状態で、部品Wの表面が洗浄されるので高い洗浄効果を得ることができる。但し、空気は連続的に噴出させても良い。
【0034】
特に、本実施の形態では、部品Wに吹き付けられる空気と温水が、それぞれ洗浄装置30の軸線に対して約60度で交差しており、これにより部品Wの表面が凹凸のある複雑な形状でも、細部の奥まで洗浄を行うことができる。又、部品Wの外周に当たって跳ね返った温水は、対向した位置にある中央環状部31又は外側環状部32,32の内周に当たるので、それにより外部への飛散が抑制されると共に、中央環状部31又は外側環状部32,32の内周で跳ね返った液体が、再度部品Wに当たり、洗浄効果が増大されるというメリットも期待できる。
【0035】
所定時間の洗浄工程後、バルブV1,V2を閉止し、シャッター13を開放して、搬送装置50を、開口12を介してチャンバー10内に進入させ、開いた爪部51,51で部品Wを把持した後、チャック20から解放する。その後、水滴の付いた部品Wと共に搬送装置50を上昇させ、バルブV3を開放する。
【0036】
乾燥装置40の位置に部品Wが近づいたら、搬送装置50の上昇速度を落とし、その後、図4に示すように、乾燥装置40の内側で部品W(ここでは乾燥物)を上下に移動させる。このとき、部品Wの上面下面が周溝43の位置を超えるまで往復動作させると好ましい。又、部品Wが乾燥装置40に対して上方に移動する速度が、下方に移動する速度よりも遅くすると好ましい。これにより、乾燥装置40の細孔41cから、軸線に対して約60度の傾きで下方に噴出された空気が、部品Wから洗浄時に付着した水滴を吹き飛ばす。一方、周溝43を介して軸線直交方向内方に向かって周方向に連続的に噴出された空気は、いわゆるエアカーテンを形成するので、部品Wに吹き付けた空気により飛散した水滴が舞い上がることを制限するようになっているため、シャッター13を開放させたままでも特に問題はない。尚、搬送装置50の上下動作は、3〜10回程度で、回数は変更可能であることが望ましい。
【0037】
乾燥工程後、バルブV3を閉止して、部品Wと共に搬送装置50を、開口12を通して上昇させ、部品Wを次工程へと搬送する。以上で、本実施の形態の洗浄システムにおける洗浄・乾燥工程が完了する。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、以上の実施の形態に限られない。洗浄用の液体は温水に限らず、例えば特開2004−107499号公報に記載された炭化水素系洗浄液等を用いることができる。又、搬送装置の形態も、以上に限られず部品を保持しつつ搬送可能なものであれば足り、種々の形態が可能である。或いは、チャック20を上下に移動可能な構成として、搬送装置の代わりに用いても良い。
【符号の説明】
【0039】
10 チャンバー
11 開口
12 開口
13 シャッター
14 基部
15 支持板
16 タンク
17 支持台座
20 チャック
21 本体
22 爪部
30 洗浄装置
31 中央環状部
31a 上面内側周溝
31b 上面外側周溝
31c 下面内側周溝
31d 下面外側周溝
31e 細孔
31f 細孔
31g 細孔
31h 細孔
31i 細孔
31j 細孔
31k 細孔
31m 細孔
31n 通孔
31p 通孔
32 外側環状部
32a 通孔
40 乾燥装置
41 上側環状部
41a 袋孔
41b 通孔
41c 細孔
42 下側環状部
42a 段部
43 周溝
50 搬送装置
51 爪部
AP 空気圧源
LQ 温水
V1 バルブ
V2 バルブ
V3 バルブ
W 部品
WP 液体供給源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄物を内側に配置可能な内径を備えた環状の本体部と、
前記本体部の内周において周方向に並べて開口し、外部の液体供給源に接続された複数の液体通路と、
前記本体部の内周において周方向に並べて開口し、外部の気体供給源に接続された複数の気体通路と、を備えた洗浄装置であって、
前記本体部の内側に洗浄物を配置した状態で、少なくとも前記本体部の軸線直交方向内方に向かって、前記液体通路の開口から液体が噴出され、且つ前記気体通路の開口から気体が噴出されることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記本体部の軸線に対して傾いた方向に、前記液体通路の開口から液体が噴出され、且つ前記気体通路の開口から気体が噴出されることを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記液体通路は2組設けられ、一方の組の液体通路から噴出される液体の噴出方向は、他方の組の液体通路から噴出される液体の噴出方向と異なっており、
前記気体通路は2組設けられ、一方の組の気体通路から噴出される気体の噴出方向は、他方の組の気体通路から噴出される気体の噴出方向と異なっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記本体部において、前記液体通路は、前記気体通路に対して軸線方向外側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記液体の噴出は連続的であり、前記気体の噴出は間欠的であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項6】
乾燥物が通過可能な内径を備えた環状の本体部と、
前記本体部の内周において周方向に並べて開口し、外部の気体供給源に接続された複数の第1気体通路と、
前記本体部の内周において周方向に連続して開口し、外部の気体供給源に接続された第2気体通路と、を備えた乾燥装置であって、
前記第1気体通路から噴出される気体の噴出方向は、前記第2気体通路から噴出される気体の噴出方向と異なっており、
乾燥物を前記本体部の内側を通過させながら、前記第1気体通路から噴出させた気体と、前記第2気体通路から噴出させた気体を、乾燥物に向かって吹き付けるようになっていることを特徴とする乾燥装置。
【請求項7】
前記第2気体通路から噴出される気体の噴出方向は、前記本体部の軸線に対して直交する方向であり、前記第1気体通路から噴出される気体の噴出方向は、前記本体部の軸線に対して傾いていることを特徴とする請求項6に記載の乾燥装置。
【請求項8】
前記気体の噴出時に、乾燥物と前記乾燥装置とは繰り返し相対移動するようになっており、乾燥物が前記乾燥装置に対して重力方向上方に相対移動する速度は、重力方向下方に相対移動する速度より遅いことを特徴とする請求項6又は7に記載の乾燥装置。
【請求項9】
請求項1〜5に記載の洗浄装置と請求項6〜8のいずれかに記載の乾燥装置とを有することを特徴とする洗浄システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−274245(P2010−274245A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132137(P2009−132137)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(509154176)株式会社K−ING (1)
【Fターム(参考)】