説明

洗濯添加剤としての疎水的に変性されたポリマー

【課題】洗濯添加剤としての疎水的に変性されたポリマーの提供
【解決手段】本発明は、少なくとも以下のモノマー成分:
(I)20ないし99.9質量%、好ましくは50%ないし99質量%の式(1)
【化1】


に従う少なくとも1種のカチオン性モノマー、及び(II)0.1ないし80質量%の、開始剤の存在下で重合する疎水性不飽和ノニオン性モノマー;所望により、モノマー(I)及びモノマー(II)のいずれとも異なる水溶性モノマー(III)、及び所望により架橋剤(IV)から誘導される主鎖を含むポリマー化合物に関する。前記化合物は、洗濯プロセスにおける染料ブリード及び/又は染料転移の問題を克服するために特に有益である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
洗濯プロセスにおける染料ブリード及び/又は染料転移の問題を解決するために様々な試みが為されてきた。‘染料ブリード’という用語は、しばしば洗浄中に特定の染料が布地から流れ落ち落ち、これによって布地の色あせが起こるという事実を指す。そのような現象は、直接染料、バット染料、アゾイック染料及び硫黄染料(DR.Warring 及び G.Hallas,“The chemistry and application of dye”,Plenum Press, ニューヨーク,1990)のような非反応性染料で染色されたセルロース性布地に顕著に見られるようである。布地から流れ落ちる染料はしばしば“移行染料”と呼ばれ、そして染料ブリードを解決するための工程はしばしば“染料固定”として言及される。
他方では、すでに布地から流れ落ち及び洗浄液に存在する移行染料を処理する必要性がまたある。そうでなければ、そのような移行染料は布地表面に再付着し、これによって色汚れを起しうる。この処理はしばしば“染料の転移抑制”及び/又は“汚染抑制”として言及される。
それゆえ、洗濯洗剤及び/又はアフターリンス製品に添加されて、布地上の染料ブリードの防止(即ち、固定化)を補助するか、或いは移行染料の再付着を防止し得る物質を補助し得る添加剤の必要性がある。該問題を解決するために実に多くの努力がなされ、そして該問題に対処するのを補助し得る物質はしばしば染料固定剤、染料転移抑制剤、抗付着剤、染料捕捉剤及び/又は汚染抑制剤として言及される。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、アニオン性染料捕捉剤として作用する三級ポリマーアミンの使用を開示している。ポリマーアミンは、セルロース材、例えば、いずれかの形態における綿、精製された綿セルロース、セルロース・スポンジ等のような基材材料の表面に化学的に固定される。ポリマーアミンを固定するために、前記綿基材はポリマーアミンのリン酸化及び化学吸着によって変性される。関連する特許文献2において、染料捕捉材料として前記三級ポリマーアミン及び四級アンモニウム化合物の両方の使用を開示している。後者のEdwardsの特許は、布地製品を洗濯する時のように液体槽において好ましくない無作為の染料の調節のためにまた使用される、セルロース材料基材に染料捕捉化合物を化学的に固定する他の方法を開示する。例えば、セルロース材料のヒドロキシ化表面が、アニオン性官能基を定着させるために化学的に変性される。各々のアニオン性官能基は上述に開示された染料捕捉化合物のような窒素化合物を化学的に結合し得る。
染料転移をもたらす布地表面を変性することに加え、洗濯物に移行染料を吸収する犠牲材料を加え、これによって価値のあるそして関心のある布地への再付着を防止することがまた可能である。そのような材料はしばしば、洗浄液から染料を誘引し得ると信じられている種々の化学物質を用いて処理された布地の形態に作られる。Kleinschmidt、特許文献3において、洗濯プロセス中の染料転移を防止するために、洗浄中の染色布地から放出されたアニオン性染料を捕捉するための染料捕捉品を開示している。染料捕捉品は、化学結合した染料捕捉化合物を有するポリウレタン材料のような支持マトリックスを含む。染料捕捉化合物は、ポリ四級アンモニウム化合物を含む。
特許文献4は、染料捕捉化合物としてのN−トリ置換アンモニウム−2−ヒドロキシ−3−ハロプロピル化合物及びエポキシプロピルアンモニウムの塩類の使用を一般的に開示している。好ましい染料捕捉化合物は、セルロース材料基材に塗布され、吸収され、又は含浸されるグリシジルトリメチルアンモニウムクロリドである。生じたセルロース材料基材は、洗浄及びすすぎ用水から無作為の染料を除去するために慣用の衣服洗浄用洗濯機において使用し、これにより洗濯機中の他の衣服からの染料の転移による望ましくない衣服
の変色を断つことに適していると開示されている。
特許文献5は、洗濯洗浄用途からの異質の無作為の流動性染料の除去のための物品を開示している。前記洗濯物品は、支持材マトリックスを用いて洗浄水に導入される二種類の成分である染料吸収剤及び染料転移抑制剤を含む。染料吸収剤は、支持マトリックスに化学的に結合して、洗濯洗浄用途の間、相関的関連を維持する。他方、染料転移抑制剤は、支持マトリックスから洗浄水へ放出され、洗濯洗浄用途の間、均等に分布される。
特許文献5は、2−ヒドロキシ−3−クロロプロポイルトリメチルアンモニウムクロリドのような四級N置換アンモニウム)−ヒドロキシ−ハロアルキル化合物;ポリ四級アンモニウム化合物;ポリ両性化合物;四級化澱粉;タンパク質;キチン又はその加水分解形態、キトサン;コリンクロリド;ポリビニルアミン(PVAm);ポリエチレンイミン(PEI);並びにそれらの組み合わせを含む、前記洗濯物品のための染料吸収剤として適する材料を開示している。染料転移抑制剤は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルイミダゾール、ポリアミン−N−オキシド、カチオン性澱粉、アルミン酸マグネシウム、ヒドロタルサイト、タンパク質、加水分解タンパク質、ポリエチレンイミン、ポリビニルオキサゾリドン、酵素、酸化剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、プロピレンオキシド反応生成物、ポリアミノ酸、アルキレンオキシドのブロックコポリマー、ポリアミン、ポリアミド、メチルセルロース、カルボキシアルキル基、セルロース、グアーガム、天然ガム、アルギン酸、ポリカルボン酸、シクロデキストリン及び混合物を含む。
【0003】
望ましくない染料転移の問題に対処するための別の方法は、洗浄液中の移行染料を除去し、これによって再付着を防止し得る酸化触媒の使用である。そのような触媒、例えば選別されたマンガン錯体は、特別な添加剤として洗濯洗剤に添加され得る。
特定のポリマーがまた移行染料が再付着することを防止するのに有用であることが発見された。例えば、染料の再付着を防ぐ上でポリ(ビニルピリジン)及びその種々の誘導体及びコポリマーの使用が以下の引用文献で見られ得る。
特許文献6は、染料転移を制御するために調製された非水性洗浄剤を使用し、そして高効率洗濯機中にて泡立たせる、汚染された布地を洗浄する方法を開示している。特許文献7は、抗染料転移剤としての四級ポリビニルピリジニウム誘導体の使用を開示している。特許文献8は、抗染料転移剤としての四級ポリビニルピリジニウム誘導体の使用を開示している。特許文献9は、布地仕上げプロセスにおいて染料の付着を防ぐための方法及び布地仕上げ用組成物を開示している。特許文献10は、抗染料転移剤としてのポリビニルピリジニウム誘導体の使用を開示している。特許文献11は、四級化された水溶性ビニルピリジンカルボキシレートポリマーを作るための生成物及び方法を開示している。特許文献12は、四級化された水溶性ビニルピリジンカルボキシレートポリマーを作るための生成物及び方法を開示している。特許文献13は、水溶性染料複合ポリマーを開示している。特許文献14は、洗浄剤用の染料転移抑制剤を開示している(BASF社、ビニルアミン誘導体)。特許文献15は、洗剤後処理剤及び洗剤への色固定剤又は色転移抑制添加剤としてビニルイミダゾール単位を含む四級化された重合体の使用を開示している。特許文献16は、洗剤のための染料転移抑制剤:水不溶性粒子、1−ビニルピロリドン及び/又は1−ビニルイミダゾールの重合単位を含む架橋ポリマーを開示する。
ビニルピリジナム、ポリ(ビニルピリジン−N−オキシド)ベースの種々の誘導体が効率的な染料転移抑制剤であることが発見された。そのような化合物の調製及び用途は、特許文献17及び特許文献18に記載されている。
アミンベースの製品が染料転移抑制特性を与え得ると信じられている。例えば、染料転移抑制剤としてN,N,N’,N’−テトラキス−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン)の使用が特許文献19において調査されている。染料転移抑制剤としてアミンベースの物質の使用に関する他の参照文献は、特許文献20、特許文献21及び特許文献22を含む。
上述の引用文献の他に、染料転移抑制剤として、ポリグリコシド(特許文献23)及び
パーオキシダーゼ活性を呈する様々な酵素(特許文献24)の使用が記載されている。
【0004】
染料転移抑制特性を与える洗濯洗剤としての種々の材料及びそれらの有用性に関して一見多くの参照文献があることに比べて、布地を染料ブリードから防止することを助け得る物質に関する参照文献はほとんどないように見える。非常に僅かな引用文献の内、染料ブリード防止剤としてホルムアルデヒドと共にビス−(ヒドロキシフェニル)スルホンの使用が特許文献25中に報告されている。
窒素含有のポリマーは、特に汚染剥離特性のために洗濯用途における使用が知られている。公開されたPCT出願である特許文献26は、洗剤製品中の窒素含有の汚染剥離ポリマーの水溶性使用を開示している。これらのポリマーのいくつかは、アクリルアミドモノマーから形成され、そしてアルキルアクリレートのアミンであるコモノマーと共に重合する。窒素含有の汚れ除去ポリマーは特許文献26に記載されており、及びジカルボン酸モノマー及び(ポリ)アルキレンオキシ基を含む二級アミンである親水溶性コモノマーから形成される。公開されたPCT出願である特許文献26は、四級アンモニウム末端基を有するアルキレンアクリレートモノマー、及び、(メタ)アクリル酸又はエステル又はそれらの塩であるコモノマーから形成されたポリマーを開示している。唯一の例はカチオン性モノマー、すなわちメタアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、及びアニオン性モノマー、すなわちアクリル酸(AA)及び中性モノマー、すなわちイソブチルアクリレート(IsoBuA)から形成されるポリマーである。
特許文献27は、汚染の抗再付着剤として使用するためのポリビニルピロリドン(PVP)とビニルアセテートのコポリマーを開示している。
公開されたPCT出願である特許文献28は、ポリアミン主鎖及び四級アンモニウムカチオン基を含む綿の汚染剥離ポリマーを開示している。
公開された欧州特許出願である特許文献29は布地、特に綿及び綿含有布地からの汚染剥離を促進するのに有用であると言われる幅広い範囲の疎水的に変性されたポリカルボキシレートポリマーを開示している。前記ポリマーは3個までの部分であるA、B及びCを含み得、Aは1種又はそれ以上の炭素原子数3ないし8のモノエチレン性不飽和カルボン酸から選択されたモノマーの重合残基であり、Bは1種又はそれ以上の炭素原子数3ない
し60のアルキル(メタ)アクリレート、炭素原子数1ないし24のエトキシ化アルキル(メタ)アクリレート、及びポリ(アルキレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(アルキレングリコール)のアルキル又は芳香族エーテル又はその対応するマレイン酸塩のモノ及びジエステルから選択されたモノマーの重合残基であり、CはA及びB中の前記モノマーと共重合し得る1種又はそれ以上のエチレン性不飽和モノマーから選択されたモノマーの重合残基である。
【0005】
公開された英国特許出願である特許文献30によると、アニオン性及びカチオン性ビニルモノマーのコポリマーは、幅広い範囲の洗剤製品、例えば商品洗浄、固体表面洗浄、織物洗浄及びヘア製品のための洗浄力強化剤として使用され得る。
特許文献31は、洗剤又は化粧品組成物のラメラ相のレオロジー変性剤としての様々な両性コポリマーを開示している。
特許文献32は、少なくとも10モル%のカチオン性ビニルモノマー単位、少なくとも10モル%のアニオン性ビニルモノマー単位及び少なくとも10モル%のノニオン性ビニルモノマー単位を含む洗剤組成物を開示している。アニオン性ビニルモノマー単位に対するカチオン性ビニルモノマー単位の好ましい割合は、1:2ないし2:1のモル比である。
特許文献33は、自動皿洗い機洗剤配合物中で有用である水溶性ターポリマーを開示している。これらのターポリマーは、(a)1種又はそれ以上の炭素原子数3ないし6のモノエチレン性不飽和カルボン酸のおよそ92質量%からおよそ30質量%、(b)1種又はそれ以上のアミノアクリロイル誘導体のおよそ5質量%からおよそ50質量%、及び(c)(a)及び(b)と重合可能なおよそ25質量%からの1種又はそれ以上のモノエチ
レン性不飽和モノマーを重合単位として含む。
【特許文献1】米国特許第3,694,364号明細書
【特許文献2】米国特許第3,673,110号明細書
【特許文献3】米国特許第3,816,321号明細書
【特許文献4】米国特許第4,380,453号明細書
【特許文献5】米国特許第5,698,476号明細書
【特許文献6】米国特許第6,348,441号明細書
【特許文献7】米国特許第5,466,802号明細書
【特許文献8】米国特許第6,306,815号明細書
【特許文献9】米国特許第5,380,447号明細書
【特許文献10】米国特許第6,191,098号明細書
【特許文献11】米国特許第6,156,829号明細書
【特許文献12】米国特許第6,271,386号明細書
【特許文献13】米国特許第6,103,831号明細書
【特許文献14】米国特許第5,863,879号明細書
【特許文献15】米国特許第6,165,969号明細書
【特許文献16】米国特許第5,830,844号明細書
【特許文献17】米国特許第6,121,223号明細書
【特許文献18】米国特許第5,149,456号明細書
【特許文献19】米国特許第5,827,813号明細書
【特許文献20】米国特許第6,251,846号明細書
【特許文献21】米国特許第6,156,722号明細書
【特許文献22】米国特許第6,140,292号明細書
【特許文献23】米国特許第6,159,921号明細書
【特許文献24】米国特許第5,855,621号明細書
【特許文献25】米国特許第5,707,949号明細書
【特許文献26】国際公開第98/23714号パンフレット
【特許文献27】米国特許第3,749,682号明細書
【特許文献28】国際公開第97/42285号パンフレット
【特許文献29】欧州特許出願公開第995,791号明細書
【特許文献30】英国特許出願公開第2,104,091号明細書
【特許文献31】米国特許第5,783,533号明細書
【特許文献32】特開昭59−135293号公報
【特許文献33】米国特許第5,413,731号明細書
【発明の開示】
【0006】
本発明の目的
1つの目的は、カチオン性基、特にDADMAC部分を含む疎水的に変性されたポリマー及びそれらの製造方法を提供することである。もう1つの目的は、ブリードを防止するために染料の転移を抑制し又は染料を布地表面上に固定する洗濯用添加剤としてのそのようなポリマーの使用方法を提供することである。疎水性基及びカチオン性基の両方を有するポリマーは、基材への前記ポリマーの直接性を高め、それによりそれが最も必要とされる染料固定の効率性を改善することができると信じられている。同時に、これらのポリマーは、洗浄液中にすでに流れ落ちた染料(移行染料)とのポリマーの錯体化を促進し、従って同じ洗濯中の他の布地への染料の転移を防止することができる妥当な水溶性/分散性を有する。
もう1つの目的は、汚染を防ぐために家で又は別の屋内環境で表面を処理するために使用される配合物中の該ポリマーの使用方法を提供することである。該表面の例は、皿洗いの利用における皿、カーペット、木材、積層板又は有機及無機材料によって作られた他の型の床を含む。
本発明の更にもう1つの目的は、カチオン性基及び疎水基の両方を有する前記ポリマーを添加剤として含む様々な洗濯ケア製品の配合物を提供することである。そのような製品は洗濯洗剤、アフターリンスコンディショナー、前処理剤、タンブル乾燥シート、洗浄後スプレー等を含むが、これらに制限されない。そのような製品は、液体、顆粒、タブレット、又はこれら何れかの組合せの形態にあり得ることが考えられる。そのような配合物の調製は、当業者に既知である様々な方法、機械を使用し行われ得る。そのような製品は、種々の包装材料を用いて種々の形態にて包装され得ることもまた当業者に明らかである。
本発明のもう1つの目的は、上記のような様々な形態の洗濯ケア製品を調製する方法を提供することであるが、そのような製品の性能は、柔軟剤、香料、汚染剥離ポリマー、着色剤、防腐剤、種々の微生物に対する種々の活性を有する抗菌剤、防虫剤、チリダニ駆除剤及び/又は防チリダニ剤、蛍光増白剤、UV吸収剤、他の光制御剤、イオン化剤、消泡剤、種々の種類の酵素、漂白剤、酸化触媒、ゼオライト、及びシクロデクストリン及びその種々の誘導体を含むがそれに限定されない臭気抑制剤のような他の添加剤の配合によりさらに高められ得る。他の添加剤及び/又は薬剤がまた、何れかの形態の洗濯ケア製品にも組み込まれ得るということが当業者に既知である。典型的な洗濯洗剤及び他の洗濯ケア製品の優れた記述が、限定されないが、米国特許第5,744,435号明細書(その内容は参照によりここに組み込まれている)に見られる。
【0007】
本発明の要約
本発明は、少なくとも以下のモノマー成分:
(I)20ないし90質量%、好ましくは50%ないし99質量%の式(1)
【化1】

に従う少なくとも1種のカチオン性モノマー及び(II)0.1ないし80質量%の、開始剤の存在下で重合する疎水性不飽和ノニオン性モノマー;所望により60質量%までの(III)モノマー(I)及びモノマー(II)のどちらとも異なる水溶性モノマー;及び所望により(IV)0ないし10質量%の量の架橋剤
から誘導される主鎖を含むポリマー化合物に関する。
ここで記載された主題である疎水性基及びカチオン性基の両方を有するポリマーは、洗濯ケアに加え他の有用性を有すると信じられている。その例は、紙のための保存剤及び固定化剤、とりわけセルロース繊維から作られた布地の染色前、間及び/又は後の湿潤耐久度の改善、シャンプー、コンディショナー、ヘア着色剤、ヘアスタイリング製品、スキンクリーニング製品のようなパーソナルケア製品及び化粧製品、クリーム、ローション及びトナーのようなスキンケア製品を含み得る。対象の材料及びそのような材料を含む種々の配合物の利用は別の特許出願に記載されるであろう。
ここで記載されている主題である疎水性基及びカチオン性基の両方を有するポリマーは、また洗濯ケア用途に使用される場合、更なる効果を与え得ると信じられている。可能性のある利点は、これに限定されないが、改善された手触り例えば、柔軟性、及び布地の表面間摩擦の減少を含み得る。後者の特性は、これに制限されないが、改善された布地の外見、摩耗減少等のような消費者に評価できる主張に導き得ると信じられている。
【0008】
本発明の詳細な説明
疎水性基及びカチオン性基の両方を有するポリマーは、活性化剤の存在下
(I)20ないし99.9質量%、好ましくは50ないし99質量%の式(1)
【化2】

(式中、
1及びR2は、互いに独立して、水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表し;
3及びR4は、互いに独立して、水素原子、又は1ないし18個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、カルボキシアミドアルキル基或いはアルコキシアルキル基を表し;及び
-はアニオンを表す。)に従う少なくとも一種のカチオン性モノマー;及び
(II)0.1ないし80質量%の、開始剤の存在下で重合する疎水性不飽和ノニオン性モノマーを含む重合混合物から製造される。
疎水性モノマー状のモノマー(II)は、室温下及びpH7で、好ましくはおよそ50g/水100g未満の、及びより好ましくは5g/水100g未満の水溶性の値を有する。
【0009】
好ましいカチオン性モノマー(I)の例は、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジアリルジメチルアンモニウムブロミド、ジアリルジメチルアンモニウムスルフェート、ジアリルジメチルアンモニウムホスフェート、ジメタアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジエチルアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジ(β−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド、及びジアリルジ(β−エトキシエチル)アンモニウムクロリドを含む。最も好ましいカチオン性モノマーはDADMACである。
【0010】
疎水性モノマー(II)の例は、制限なしに、選択されたビニル化合物及び(メタ)アクリレートベースの化合物、及び(メタ)アクリルニトリル及び不飽和多官能価酸のエステルのような他の不飽和化合物を含む。
モノマー(II)のための適切なビニル化合物の例は、これに限定されないが、スチレン;ビニルアセテート及びビニルブチレートのような炭素原子数2ないし18のカルボン酸のビニルエステル;N−ビニルアセトアミドのような炭素原子数2ないし18のカルボン酸のN−ビニルアミド等を含む。
モノマー(II)として適切である前記(メタ)アクリレートベースの化合物は、これに限定されないが、(メタ)アクリル酸のエステル、及び(メタ)アクリル酸のアミドを含む。
【0011】
(メタ)アクリル酸のエステル又は(メタ)アクリレートは、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、第三ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、及びステアリル(メタ)アクリレートのような長鎖−及び短鎖のアルキル(メタ)アクリレート;アルコキシアルキル(メタ)アクリ
レート、特に、ブトキシエチルアクリレート及びエトキシエトキシエチルアクリレートのような炭素原子数1ないし4のアルコキシ炭素原子数1ないし4のアルキル(メタ)アクリレート;アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート、特に、フェノキシエチルアクリレート(例えばアゲフレックス(Ageflex)、チバ スペシャルティ ケミカルズ社))のようなアリールオキシ炭素原子数1ないし4のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジシクロペンタジエンアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、ボルニルアクリレート、イソボルニルアクリレート(例えばアゲフレックス IBOA、チバ スペシャルティ ケミカルズ社)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えばSR285、サートマーカンパニー社(Sartmer Company Inc.)、カプロンラクトンアクリレート(例えばSR495、サートマーカンパニー社)及びアクリロイルモルホリンのような単環及び多環型環状芳香族又は非芳香族アクリレート;ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレートのようなアルコールベースの(メタ)アクリレート、及びエトキシ化(4)ノニルフェノルアクリレートのような様々なアルコキシル化アルキルフェニルアクリレート(例えば、フォトマー(Photomer)4003、ヘンケル社(Henkel Corp.);ジアセトンアクリルアミド、イソブトキシメチルアクリルアミド及び第三オクチルアクリルアミドのような(メタ)アクリル酸のアミド;及びマレイン酸エステル及びフマル酸エステルのような多官能不飽和酸のエステルを含む。
【0012】
上記の長鎖及び短鎖アルキルアクリレートに関して、短鎖のアルキルアクリレートは、6個又はそれ以下の炭素原子数を有するアルキル基であり、そして長鎖のアルキルアクリレートは、7個又はそれ以上の炭素原子数を有するアルキル基である。最も適切なモノマーは、商業上入手可能であるか、又は当業者に既知である反応スキームを使用して容易に合成される。例えば、上記モノマーの殆どは、適切なアルコール又はアミドをアクリル酸又はアクリロイルクロリドと反応させることにより合成され得る。
【0013】
モノマー(II)としての使用のための好ましい化合物の特別な例は:
【化3】

[式中、
5はH又はCH3を表し、及びR6は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原
子数1ないし12のアルコキシ基、炭素原子数1ないし12のアルキル基又は炭素原子数1ないし12のアルコキシル基により1回ないし3回置換され得る炭素原子数1ないし6のアルキルフェニル基、又は酸素原子により1回又はそれ以上中断された、炭素原子数1ないし6のアルキルフェニル基であって炭素原子数1ないし12のアルキル基又は炭素原子数1ないし12のアルコキシ基により1ないし3回置換され得る基;炭素原子数1ないし6のアルキルヒドロキシ基を表し、
及びXは、−O−、−NH−又は−NR7−(式中、R7は炭素原子数1ないし6のアルキル基を表す。)の二価の基を表す。]
によって例示される。
【0014】
好ましい化合物は、式:
【化4】

及び
【化5】

(式中、R5及びXは、上記で定義され、及びnは1ないし5、好ましくは2又は3の数
である。)
で表されるものである。
特に好ましい化合物は式:
【化6】

(式中、R5はH又はCH3を示す。)で表されるものである。
【0015】
重合混合物は、所望によりモノマー(I)及びモノマー(II)と異なる重合可能なモノマーである水溶性モノマー(III)を更なる含む。水溶性モノマー(III)は、室温にて及びpH7にて好ましくは50g/水100gより大きい水溶性の値を有する。
水溶性モノマー(III)は、ノニオン性、アニオン性又はカチオン性であり得る。モノマー(III)の例は、ビニルアミン、ビニルホルムアミド、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ジメチルシクロキサンのビニル誘導体、アミノシクロキサン及び他の誘導体、種々のビニルフルオロカーボン、2−ヒドロキシエチル−アクリレート、2−ヒドロキシプロピル−アクリレート、及び2−ヒドロキシブチル−アクリレートのようなヒドロキシアルキルアクリレート;ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチ
ルアミノエチルメタアクリレート及び7−アミノー3,7−ジメチルオクチルアクリレートのようなアミノアルキル(メタ)アクリレート、及びそれらのアルキル及びベンジル四級化塩を含むそれらの塩;(メタ)アクリル酸及びそれらの塩;アクリルアミド、メタアクリルアミド、及びN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、及びN,N’−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのようなN,N−ジアルキルアクリルアミド及びそれらの塩である。所望によるが、モノマー(III)の含量は、総モノマーの質量の0ないし60質量%、好ましくは0ないし20質量%であり得る。
【0016】
重合混合物は、0ないし10質量%の量で、架橋剤であるモノマー(IV)を更に所望により含む。適切な架橋剤の好ましい例は、メチレンビスアクリルアミド、ペンタエリトリトールジ−、トリ−、及びテトラ−アクリレート、ジベニルベンゼン、ポリエチレングリコールジアクリレート及びビスフェノールAジアクリレートを含む。
より一般的には、適切な架橋剤は多官能性エチレン性不飽和モノマーであり得、該モノマーは、制限なく、2以上の、好ましくは2ないしおよそ30の範囲でエトキシ化されたエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート[例えば、サートーマー カンパニー社(Sartomer Company,Inc.),West Chester,Paから入
手可能なSR349及びSR601、及び、ヘンケル社(Henkel Corp.),
(Ambler,Pa.)から入手可能なフォトマー(Photomer)4025及びフォトマー4028]、及び、2以上、好ましくは2ないしおよそ30の範囲でプロポキシ化されたプロポキシ化ビスフェノールAジアクリレートのようなアルコキシ化ビスフェノールAジアクリレート;3以上、好ましくは3ないしおよそ30の範囲でエトキシ化されたエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、フォトマー4149,ヘンケル社,及びSR499、サートマー カンパニー社)、3以上、好ましくは3ないし30の範囲でプロポキシ化されたプロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、フォトマー4072,ヘンケル社、及びSR492,サートマー社)、及びジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(例えば、フォトマー4355,ヘンケル社
)のような、アルコキシ化されたか又はされていないトリメチロールプロパンポリアクリレート;3以上でプロポキシ化されたプロポキシ化グリセリルトリアクリレートのようなアルコキシ化グリセリルトリアクリレート(例えば、フォトマー4096,ヘンケル社、
及びSR9020、サートマー社);ペンタエリトリトールテトラアクリレート(例えば、サートマー カンパニー社(West Chester,Pa.)から入手可能なSR295)、エトキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリレート(例えば、SR494,
サートマー カンパニー社)、及びジペンタエリトリトールペンタアクリレート(例えば、フォトマー4399,ヘンケル社、及びSR399, サートマー カンパニー社)のよ
うなアルコキシ化されたか又はされていないペンタエリトリトールポリアクリレート;トリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(例えば、SR368,サートマー カンパニー社)及びトリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレー
トジアクリレートのような、適切な官能性イソシアヌレートをアクリル酸又はアクリロイルクロリドと反応させることにより形成されるイソシアヌレートポリアクリレート;トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(例えば、CD406, サートマー カンパニー社)及び2以上、好ましくはおよそ2ないし30の範囲でエトキシ化されたエトキシ化ポリエチレングリコールジアクリレートのような、アルコキシ化されたか又はされていないポリオールポリアクリレート;アクリレートをビスフェノールAジグリシジルエーテル(4倍)等に添加することにより形成されるヒドロキシアクリレート(例えば、フォトマー3016,ヘンケル社);及びジシクロペンタジエンジアクリレート及びジシクロペン
タンジアクリレートのような単一及び多環式芳香族又は非芳香族ポリアクリレートを含む。
【0017】
本発明のポリマーの調製は、溶液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、逆エマルジョン、及び/又はバルク重合のような種々の重合技術、並びに当業者に利用可能な他の技
術を使用して行われ得る。重合は明らかに種々の濃度の種々の開始剤を使用して又は使用せずに行われ得る。コポリマー又はターポリマーはまた、ニトロキシルエーテル又は他の種類のニトロキシルラジカルのような重合調節剤の使用により又は使用せずに、ポリマーの構造がブロック、交互又はコアシェルとなるような方法で調製され得る。
本発明のポリマーを製造するための好ましい方法は、水溶性開始剤を使用した水性重合によるものである。適する開始剤の例は、アンモニウムパースルフェート(APS)のようなパースルフェート;過酸化水素、第三ブチルヒドロパーオキシド、及び第三ブチルパーオキシピバレートのようなパーオキシド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリアン酸及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ基開始剤;及び第三ブチルヒドロパーオキシド/Fe(II)及びアンモニウムパースルフェート/ビスルファイトのような酸化還元開始剤系を含む。アンモニウムパースルフェート(APS)を使用した水性溶液重合は、好ましいカチオン性DADMACモノマーを有するポリマーを調製するための好ましい方法である。重合プロセスにおいて使用される遊離ラジカル開始剤の量は、総モノマー濃度及び使用されたモノマーの型により、そして99%以上の総モノマー転換率を達成するためには総モノマー使用量のおよそ0.2ないしおよそ5.0質量%の範囲であり得る。
【0018】
疎水性モノマー(II)は、少なくとも部分的に、水相で溶解し、及びカチオン性及び疎水性基の両方を有するポリマーを形成するために好ましいカチオンモノマーDADMACと共重合される。疎水性のモノマー(II)が、その水溶性より高い量で前記重合系に添加される場合、その過剰量は、十分に攪拌が与えられる場合に微細な液滴中に第二相を形成し得る。この重合機構に拘束されずに、前記モノマー(II)の液滴は、モノマー(II)を水相に与えるためのモノマー貯蔵所として役立ち得る。
水溶性開始剤が使用される場合、モノマー(I)と疎水性のモノマー(II)の溶解部分の共重合は、水相において開始される。こうして形成された疎水的に変性されたポリマーは、疎水性又は水溶性及び使用されたモノマー(II)の濃度に依存して水に溶解性であってもなくてもよい。生じたポリマーは、界面活性剤特性を有し得、及び半透明の外観を与えるコロイド状態において生じ得る。
所要量のモノマー(II)は、初めに徐々に全て添加され得るか、又は反応物に継続的に供給することにより添加され得る。疎水性モノマー(II)の水性反応溶媒体への継続的供給は、ホモポリマー又は巨大ホモポリマー状セグメントのより少ない形成にて疎水的に変性されたコポリマーを製造する利点を有し得る。
【0019】
酸素の不在下で重合を実行することが好ましい。酸素は、攪拌しながら真空を適用することにより、或いは窒素又はアルゴンのような不活性ガスを用いてパージすることにより、反応媒体から除去され得る。重合はその後、不活性ガスの雰囲気下で行われ得る。
調製されたポリマーの分子量は、千から数百万までの範囲であり得る。例えばそれらは、1000ないし5百万ダルトンの範囲の平均分子量を有する。ポリマーは種々の形態、すなわち溶液、分散液、懸濁液、顆粒、粉体、ビーズ、ブロック等の形態で生じ得る。溶液、分散液、懸濁液等のような液体形態の場合、液体相は、水性及び/又は大豆油、エステル及び鉱油のような非水性であり得る。
【0020】
洗浄製品は、本発明のポリマー化合物及び有効量の1種以上の界面活性剤を含む。洗浄製品は、改良された染料固定性及び染料転移抑制性を有する、洗濯洗剤、布地コンディショナー、前処理剤、後処理剤又はタンブル乾燥シートの形態であり得る。それらは、また食器洗浄用配合物の形態であり得る。本発明の洗浄製品は、0.001質量%ないし50質量%、好ましくは0.1質量%ないし5質量%の本発明のポリマー化合物を含む。
ここでの使用のための洗濯用組成物は、洗濯洗浄及び/又はすすぎ用製品における使用のための1種又はそれ以上の界面活性剤を含み得る。最も一般的な意味では、それらは、1種以上の洗浄性の及び非洗浄性のアニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性及び双性
イオン性表面活性化合物及びそれらの混合物から選択され得る。多くの適する表面活性化合物が入手可能であり、及び文献中において、例えば、Schwartz,Perry及びBerchによる“Surface−Active Agents and Detergent”第I及びII巻中にすべて記載されている。
洗濯洗浄製品として意図されたこれらの組成物のために、好ましくは界面活性剤は1種又はそれ以上のセッケン及び合成の非洗浄性カチオン性及びノニオン性化合物から選択される。殆どの自動織物用洗濯機における使用に適する洗剤組成物は、一般的に、アニオン性非洗浄性界面活性剤、又はノニオン性界面活性剤、或いはいずれの適する比率での2種の組み合わせを、所望によりセッケンと共に含む。
【0021】
例えば、本発明の洗濯洗浄用組成物は、直鎖状のアルキルベンゼンスルホネートアニオン性界面活性剤、特に炭素原子数8ないし15のアルキル鎖長を有する直鎖状のアルキルベンゼンスルホンネートを含み得る。直鎖状のアルキルベンゼンスルホネートの量が0質量%ないし30質量%、より好ましくは1質量%ないし25質量%、最も好ましくは2質量%ないし15質量%である場合に、それは好ましい。
本発明の洗濯洗浄用組成物は、付加的に又は代わりに、1種又はそれ以上の他のアニオン性界面活性剤を、上記アルキルベンゼンスルホネートの為に引用したパーセンテージに対応した総量で含み得る。適するアニオン性界面活性剤は当業者に良く知られている。これらは第一及び第二アルキルスルフェート、特に炭素原子数8ないし15の第一アルキルスルフェート;アルキルエーテルスルフェート;オレフィンスルホネート;アルキルキシレンスルホネート;ジアルキルスルホスクシネート;及び脂肪酸エステルスルホネートを含む。ナトリウム塩が一般的に好ましい。
【0022】
そのような他のアニオン性界面活性剤のいくつかの特別な例は:
式R100−CH(SO3M)−COOR200[式中、R100は、炭素原子数8ないし20の、好ましくは炭素原子数10ないし16のアルキル基を表し、R200は、炭素原子数1ない
し16の、好ましくは炭素原子数1ないし3のアルキル基を表し、及びMはアルカリ性カチオン(ナトリウム、カリウム、リチウム)、未置換の又は置換されたアンモニウム(例えば、メチル、ジメチル、トリメチル、テトラメチルアンモニウム、ジメチルピペリジニウム等)、又はアルカノールアミンの誘導体(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)を表す。]で表されるアルキルエステルスルホネート;
式R300OSO3M(式中、R300は、炭素原子数5ないし24、好ましくは炭素原子数1
0ないし18のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表し、及びMは、水素原子又は上記で定義されたとおりのカチオンを表す。)で表されるアルキルスルフェート、及び平均0.5ないし30、好ましくは0.5ないし10のEO及び/又はPO単位を有するそれらのエチレンオキシ(EO)及び/又はプロピレンオキシ(PO)誘導体;
式R400CONHR500OSO3M(式中、R400は、炭素原子数2ないし22、好ましくは炭素原子数6ないし20のアルキル基を表し、R500は、炭素原子数2又は3のアルキル
基を表し、及びMは、水素原子又は上記で定義されたとおりのカチオンを表す。)で表されるアルキルアミドスルフェート、及び平均0.5ないし60EO及び/又はPO単位を有するそれらのエチレンオキシ(EO)及び/又はプロピレンオキシ(PO)誘導体;
炭素原子数8ないし24、好ましくは炭素原子数14ないし20の飽和又は不飽和脂肪酸の塩、炭素原子数8ないし22の第一又は第二アルキルスルホネート、アルキルグリセロールスルホネート、公開された英国特許公開第1,082,179号明細書に記載のスルホネート化ポリカルボン酸、パラフィンスルホネート、N−アシルN’−アルキルタウレート、アルキルホスフェート、イセチオネート、アルキルスクシナメート、アルキルスルホスクシネート、スルホスクシネートのモノエステル又はジエステル、N−アシルサルコシネート、アルキルグリコシドスルフェート、ポリエトキシカルボキシレート、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム)であるカチオン、置換されたか又は未置換のアンモニウム残基(メチル、ジメチル、トリメチル、テトラメチルアンモニウム、ジメチル
ピペリジニウム等)又はアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)の誘導体;又は
17−ヒドロキシオクタデセン酸から誘導された酸又はラクトン形態のにあるもののようなソホロリピッド(sophorolipid)である。
【0023】
本発明の洗濯洗浄組成物は、ノニオン性界面活性剤を含み得る。使用され得るノニオン性界面活性剤は、第一及び第二アルコールエトキシレート、とりわけ、アルコール1モルあたりエチレンオキシドの平均1ないし20モルにてエトキシ化された炭素原子数8ないし20の脂肪族アルコール、及びよりとりわけには、アルコール1モルあたりエチレンオキシドの平均1ないし10モルにてエトキシ化された炭素原子数10ないし15の第一及び第二脂肪族アルコールを含む。未エトキシ化ノニオン性界面活性剤は、アルキルポリグリコシド、グリセロールモノエーテル、及びポリヒドロキシアミド(グルカミド)を含む。
そのようなノニオン性界面活性剤のいくつかの特別な例は:
ポリアルコキシレン化アルキルフェノール(すなわち、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、ポリブチレンオキシ)であって、アルキル置換基が6ないし12の炭素原子数を有し、及び5ないし25のアルコキシレン化単位を有するもの;例は、ローム アンド ハース社(Rohm&Haas Co.,)により市販されるトリトン(TRITON) X−45、X−114、X−100及びX−102、及びローディア社(Rhodia)により製造されたイゲパル(IGEPAL)NP2ないしNP17;
1ないし25のアルコキシレン化(エチレンオキシ、プロピレンオキシ)単位を含む炭素原子数8ないし22のポリアルコキシレン化脂肪族アルコール;例はユニオンカーバイド社(Union Carbide Corp.)により市販されるタージトール(TERGITOL)15−S−9及びタージトール24−L−6NMW、シェルケミカル社(S
hell Chemical Co.)により市販されているネオドール(NEODOL)45−9、ナオドール23−65、ネオドール45−7及びネオドール45−4、プロクター アンド ギャンブル社(The Proctor & Gamble Co.)により市販されているKYRO EOB、ICI社により製造されたシンペロニック(SYNPERONIC)A3ないしA9、及びローディア社により製造されたローダサーフ(RHODASURF)IT、及びDB及びB;
バスフ社(BASF)により市販されているプルロニック(PLURONIC)製品のような、2000ないし10000オーダーの分子量を有する、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドとプロピレングリコール、エチレングリコールとの縮合生成物;
バスフ社により市販されているテトロニック(TETRONIC)製品のような、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドとエチレンジアミンとの縮合生成物;
5ないし25のエチレンオキシ及び/又はプロピレンオキシ単位を含む炭素原子数8ないし18のエトキシ及び/又はプロポキシ脂肪酸;
5ないし30のエチレンオキシ単位を含む炭素原子数8ないし20の脂肪酸アミド;
5ないし30のエチレンオキシ単位を含むエトキシ化アミン;
1ないし50、好ましくは1ないし25及び特に2ないし20個アルキレンオキシ(好ましくはエチレンオキシ)単位を含むアルコキシ化アミドアミン;
炭素原子数10ないし18のアルキルジメチルアミンのオキシド、炭素原子数8ないし22のアルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンのオキシドのようなアミンオキシド;
1ないし30のエチレンオキシ及び/又はプロピレンオキシ単位を含むエトキシ化及び/又はプロポキシ化−或いは−ピネンのようなアルコキシ化テルペン炭化水素;
アルキルポリグリコシド(APG)1モルあたり炭素原子数4ないし20、好ましくは炭素原子数8ないし18のアルキル基及び0.5ないし3のオーダー、好ましくは1.1ないし1.8のオーダーの平均数のグルコース単位を有する、グルコースと第一脂肪族アルコールとの縮合により(例えば酸触媒により)得られ得るアルキルポリグリコシド(例えば、米国特許第3598865号明細書;米国特許第4,565,647号明細書;欧州
特許出願公開第132043号明細書;欧州特許出願公開第132046号明細書)、特に、それぞれ名称グルコポン(GLUCOPON)600EC、グルコポン600CSUP、グルコポン650EC及びグルコポン225CSUPの下で市販され、及びヘンケル社により製造されている
1モルあたり炭素原子数8ないし14のアルキル基及び平均1.4のグルコース単位
1モルあたり炭素原子数12ないし14のアルキル基及び平均1.4のグルコース単位
1分子あたり炭素原子数8ないし14のアルキル基及び平均1.5のグルコース単位
1分子あたり炭素原子数8ないし10のアルキル基及び平均1.6のグルコース単位
を有するものである。
総ノニオン性界面活性剤の量は、0質量%ないし30質量%、好ましくは1質量%ないし25質量%、より好ましくは2質量%ないし15質量%である。
【0024】
適する界面活性剤のもう一つの類は、本発明に従う主要な洗浄洗濯組成物中における使用のための特定のモノ−長鎖−アルキルカチオン性界面活性剤を含む。この型のカチオン性界面活性剤は、一般式R10203040+-[式中、R基は長鎖又は短鎖炭化水素鎖、典型的にアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はエトキシ化アルキル基を表し、及びXは対イオンを表す。]で表される四級アンモニウム塩(例えば、R10が炭素原子数8ないし22のアルキル基、好ましくは炭素原子数8ないし10又は炭素原子数12ないし14のアルキル基を表し、R20がメチル基を表し、及び同じであるか又は異なっていてもよいR30及びR40がメチル基又はヒドロキシエチル基を表すところの化合物である。);及びカチオンエステル(例えば、コリンエステル)を含む。
【0025】
界面活性化合物(界面活性剤)の選択、及び本発明に従う洗濯洗浄組成物中に存在する量は、洗浄組成物の意図された使用による。布地洗浄組成物においては、異なる界面活性剤系は、当業調製者によく知られているように、手指洗浄製品のために及び異なる型の洗濯機中での使用のために意図された製品のために選択され得る。存在する界面活性剤の総量はまた、意図される最終使用に応じ、及び例えば、手により布地を洗濯するための組成物中に60質量%程度であり得る。布地の機械的洗濯のための組成物中においては、5ないし40質量%の量が一般的に適切である。典型的に組成物は、少なくとも2質量%の界面活性剤、例えば2ないし60質量%、好ましくは15ないし40質量%及び最も好ましくは25ないし35質量%を含む。
本発明に従う洗濯すすぎ用組成物の場合においては、界面活性剤(群)は好ましくは布地コンディショニング剤から選択される。実際は、慣用の布地コンディショニング剤が使用され得る。これらのコンディショニング剤はカチオン性又はノニオン性であり得る。布地コンディショニング化合物が主要な洗剤組成物中に使用される場合、該化合物は典型的にノニオン性である。すすぎ相中で使用される場合、それらは典型的にカチオン性である。それらは、例えば組成物の0.5ないし35%、好ましくは1ないし30%、より好ましくは3ないし25質量%の量で使用され得る。
好ましくは、布地コンディショニング剤は、炭素原子数16以上の平均鎖長を各々有する二つの長鎖アルキル又はアルケニル鎖を有する。最も好ましくは、長鎖アルキル基又はアルケニル基の少なくとも50%が炭素原子数8以上の鎖長を有する。布地コンディショニング剤の長鎖アルキル又はアルケニル基が優先的に直鎖状であることが好ましい。
布地コンディショニング剤は、好ましくは優れた柔軟性を与え、及び25℃より高い、好ましくは35℃より高い、最も好ましくは45℃より高い鎖溶融LないしL転移温度を特徴とする化合物である。
【0026】
本発明においては、実質的に不溶性の布地コンディショニング化合物は、20℃にて、脱塩水中に1×10-3質量%より低い溶解性を有する布地コンディショニング化合物として定義される。好ましくは、布地柔軟化合物は、1×10-4質量%より低い、最も好ましくは1×10-8 ないし1×10-6より低い水溶性を有する。好ましいカチオン性布地柔
軟剤は、炭素原子数20以上の平均鎖長を有する単一のアルキル又はアルケニル長鎖を含む実質的に水不溶性の四級アンモニウム材、又はより好ましくは、極性の末端基及び炭素原子数14以上の平均鎖長を有する2つのアルキル又はアルケニル鎖を含む化合物を含む。
好ましくは、カチオン性布地柔軟剤は、四級アンモニウム材又は少なくとも1個のエステル基を含む四級アンモニウム材料である。少なくとも1個のエステル基を含む四級アンモニウム化合物は、エステル結合された四級アンモニウム化合物としてここに引用されている。
四級アンモニウムカチオン性布地柔軟剤が使用される場合、エステル基という用語は、分子の結合基であるエステル基を含む。
エステル結合された四級アンモニウム化合物が2個又はそれ以上のエステル基を含むことが好ましい。モノエステル及びジエステル四級アンモニウム化合物の両方において、エステル基が窒素原子とアルキル基との間の結合基である場合が好ましい。エステル基(群)は、好ましくはもう1つのヒドロカルビル基を経由して窒素原子に結合される。
【0027】
また好ましいのは、少なくとも1個のエステル基を含む少なくとも1個の高分子量基及び2個又は3個の低分子量基が共通の窒素原子に結合されてカチオンを生成するところの、及び、電気的に平衡なアニオンがハライド、アセテート或いはクロリド又はメトスルフェートのような低級アルコスルフェートイオンであるところの、少なくとも1個のエステル基、好ましくは2個のエステル基を含む四級アンモニウム化合物である。窒素上の高分子量置換基は、12ないし28個、好ましくは12ないし22個、例えば12ないし20個の炭素原子を含む、ココアルキル基、牛脂アルキル基、水素化牛脂アルキル基又は置換された高級アルキル基のような高級アルキル基であり、及び、低分子量置換基は、メチル基又はエチル基、又は置換された低級アルキル基のような、好ましくは1ないし4個の炭
素原子を有する低級アルキル基である。前記低分子量置換基の1種又はそれ以上は、アリール部分を含み得るか、又はベンジル基、フェニル基又は他の適する置換基のようなアリール基により置換され得る。
好ましくは、四級アンモニウム材は、少なくとも1個のエステル結合、好ましくは2個のエステル結合を介して四級アンモニウム先端基に結合された2個の炭素原子数12ないし22のアルキル基又はアルケニル基を有する化合物、又は、炭素原子数20以上の平均鎖長を有する単一の長鎖を含む化合物である。
より好ましくは、四級アンモニウム材は、炭素原子数14以上の平均鎖長を有する2つの長鎖のアルキル又はアルケニル鎖を有する化合物を含む。さらにより好ましくは、各々の鎖が炭素原子数16以上の平均鎖長を有する。最も好ましくは、各々の長鎖アルキル又はアルケニル基の少なくとも50%が炭素原子数18の鎖長を有する。長鎖アルキル又はアルケニル基が優先的に直鎖状である場合が好ましい。
【0028】
本発明に従う洗濯すすぎ組成物中で使用され得るエステル結合された四級アンモニウム材の最も好ましい型は、式(A):
【化7】

(式中、Tは、
【化8】

を表し、及び
各々R50基は、独立して、炭素原子数1ないし4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又は炭素原子数2ないし4のアルケニル基から選択され;及び各々R51基は、独立して、炭素原子数8ないし28のアルキル基又はアルケニル基から選択され;Y-は、いずれの
の適する対イオン、すなわちハライド、アセテート或いはクロリド又はメトスルフェートのような低級アルコスルフェートイオンを表し;
wは、1ないし5の整数又は0であり;及び
yは、1ないし5の整数である。)
により表される。
各々R50基がメチル基を表し、及びwが1又は2であるものがとりわけ好ましい。
【0029】
四級アンモニウム材が生物的に分解可能である場合に環境面の理由で利点がある。1,2ビス[硬化タロウオイルオキシ]−3−トリメチルアンモニウムプロパンクロリドのようなこの類の好ましい材料及びそれらの調製の方法は、例えば米国特許第4,137,180号特許明細書に記載されている。好ましいこれらの材料は、米国特許第4,137,180号明細書に記載されているような対応するモノエステル、例えば1−硬化タロウオイルオキシ−2ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロパンクロリドの少量を含む。
本発明に従う洗濯すすぎ組成物中での使用のためのこのましいエステル架橋された四級アンモニウム材のもう1つの類は、式(B):
【化9】

(式中、Tは
【化10】

を表し、及び
50、R51及びY-は上記に定義されたとおりである。)
により表され得る。
式(B)で表される化合物のうち、ヘキスト社(Hoechst)から入手可能なジ−(タロウイルオキシエチル)−ジメチルアンモニウムクロリドが最も好ましい。ジ−(硬
化タロウイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロリド,販売ヘキスト社及びジ−(タロウイルオキシエチル)−メチルヒドロキシエチルメトスルフェートがまた好ましい。
四級アンモニウムカチオン性布地柔軟剤のもう1つの好ましい類は、式(C):
【化11】

(式中、R50、R51及びY-は前記で定義された通りである。)
により定義される。
式(C)の好ましい材料は、アークワッド(ARQUAD)(登録商標)2HTの登録商標で販売されているジ−硬化牛脂−ジエチルアンモニウムクロリドである。
所望により、エステル結合された四級アンモニウム材は、当業者に既知であるような所望の付加的な成分、特に低分子量溶媒、例えばイソプロパノール及び/又はエタノール、及びノニオン性柔軟剤、例えば脂肪酸又はソルビタンエステルのような共活性剤を含み得る。
【0030】
洗浄力強化剤
本発明の組成物が洗濯洗浄組成物として使用される場合、一般的に1種又はそれ以上の洗浄力強化剤もまた含む。組成物中の洗浄力強化剤の総量は、典型的に5ないし80質量%、好ましくは10ないし60質量%の範囲にある。
存在し得る無機強化剤は、所望により、英国特許第1437950号明細書(ユニリーバー社(Unilever))に記載されているような炭酸カルシウムの結晶化種との組み合わせにおける炭酸ナトリウム;英国特許第1473201号明細書(ヘンケル社(Henkel))に記載されているような結晶質の及び非晶質のアルミノシリケート、例えばゼオライト、英国特許第1473202号明細書(ヘンケル社)に記載されているような非晶質のアルミノシリケート及び英国特許1470250号明細書(プロクター アンド ギャンブル社)に記載されているような混合された結晶質の/非晶質のアルミノシリケ−ト;及び欧州特許第164514号明細書(ヘキスト社)に記載されているような層状シリケートを含む。無機ホスフェート強化剤、例えば、オルトリン酸ナトリウム、ピロホスフェート及びトリポリホスフェートがまた本発明における使用に適している。
【0031】
本発明の組成物は、好ましくはアルカリ金属、好ましくはナトリウム、アルミノシリケート強化剤を含む。ナトリウムアルミノシリケートは、一般的に10ないし70質量%(無水物ベースで)の量で、好ましくは25から50質量%の量で配合され得る。
アルカリ金属アルミノシリケートは、一般式:0.8−1.5Na2O.Al23.0
.8−6SiO2を有する結晶質又は非晶質或いはそれらの混合物のどちらかであり得る

これらの材料は幾分かの結合水を含み、及び少なくとも50mgCaO/gのカルシウムイオン交換能を有することが望まれる。好ましいナトリウムアルミノシリケートは、1.5−3.5SiO2単位(上記の式において)を含む。非晶質及び結晶質材料の両方は
、参照文献に十分に記載されているように、ナトリウムシリケートとアルミン酸ナトリウムとの間の反応によりたやすく調製され得る。適する結晶質のナトリウムアルミノシリケートイオン交換洗浄力強化剤は、例えば英国特許第1429143号明細書(プロクター
アンド ギャンブル社)に記載されている。この型の好ましいナトリウムアルミノシリケートは、よく知られている商業上入手可能なゼオライトA及びX、並びにそれらの混合物である。
ゼオライトは、現在広く洗濯洗剤粉体中に使用されている商業上入手可能なゼオライト4Aであり得る。しかしながら、本発明の好ましい態様によると、本発明の組成物中に配合されるゼオライト強化剤は、欧州特許出願公開第384070号明細書(ユニリーバー社)に記載され及び特許請求されているような最高のアルミニウムゼオライト P(ゼオライトMAP)である。ゼオライトMAPは、1.33を超えない、好ましくは0.90ないし1.33の範囲内、及びより好ましくは0.90ないし1.20の範囲内にあるアルミニウムに対するシリコン比を有するゼオライトP型のアルカリ金属アルミノシリケートとして定義されている。
とりわけ好ましくは、1.07を超えない、より好ましくはおよそ1.00のアルミニウムに対するシリコン比を有するゼオライトMAPである。ゼオライトMAPのカルシウム結合能は一般的に、無水材料gあたり少なくとも150mgCaOである。
【0032】
存在し得る有機強化剤は、ポリアクリレート、アクリル酸/マレイン酸コポリマー、及びアクリルホスフィネートのようなポリカルボキシレートポリマー;シトレート、グルコネート、オキシジスクシネート、グリセロールモノ−、ジ及びトリスクシネート、カルボキシメチルオキシスクシネート、カルボキシメチルオキシマロネート、ジピコリネート、ヒドロキシエチルイミノジアセテート、アルキル−及びアルケニルマロネート及びスクシネートのようなモノマー状ポリカルボキシレート;及びスルホン化脂肪酸塩を含む。このリストは網羅することを意図していない。とりわけ好ましい有機強化剤は、5ないし30質量%、好ましくは10ないし25質量%の量で適切に使用されるシトレート;及び0.5ないし15質量%、好ましくは1から10質量%の量で適切に使用されるアクリル酸ポリマー、より好ましくはアクリル酸/マレイン酸コポリマーである。
無機及び有機両方の強化剤は、好ましくはアルカリ金属塩、とりわけナトリウム塩の形態で存在する。
【0033】
本発明に従う洗濯洗浄組成物はまた、漂白剤系もまた適切に含み得る。布地洗浄組成物は、望ましくは水性溶液中に過酸化水素を生じ得るパーオキシ漂白化合物、例えば無機パー塩又は有機パーオキシ酸を含み得る。
適切なパーオキシ漂白化合物は、ウレアパーオキシドのような有機パーオキシド、及びアルカリ金属パーボレート、パーカルボネート、パーホスフェート、パーシリケート及びパースルフェートのような無機パー塩を含む。好ましい無機パー塩は、ナトリウムパーボレート一水和物及び四水和物、及びナトリウムパーカルボネートである。
とりわけ好ましいのは、湿気による不安定化に対して保護コーティングを有するナトリウムパーカルボネートである。ナトリウムメタボレート及びナトリウムシリケートを含む保護コーティングを有するナトリウムパーカルボネートは、英国特許第2123044号明細書(花王)に記載されている。
【0034】
パーオキシ漂白化合物は、0.1ないし35質量%、好ましくは0.5ないし25質量%の量で適切に存在する。パーオキシ漂白化合物は、低い洗浄温度において漂白作用を改良するために漂白活性剤(漂白前駆体)と組合せて使用され得る。漂白前駆体は0.1ないし8質量%、好ましくは0.5ないし5質量%の量で適切に存在する。
好ましい漂白前駆体は、パーオキシカルボン酸前駆体、よりとりわけには、パー酢酸前駆体及びノナン酸前駆体である。本発明の使用に適するとりわけ好ましい漂白前駆体は、N,N,N’,N’,−テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)及びナトリウムノナノイルオキシベンゼンスルホネート(SNOBS)である。新規の四級アンモニウム及びホスホニウム漂白前駆体は、米国特許第4,751,051号明細書,米国特許第4,818,426号明細書(リーバー ブラザーズ カンパニー社(Lever Brothers Company))及び欧州特許出願公開第402971号明細書(ユニリーバー)に記載されており、及び欧州特許出願公開第284292号明細書及び欧州特許出願公開第303520号明細書(花王)に開示されるカチオン性漂白前駆体がまた興味あ
るものである。
漂白剤系は、パーオキシ酸により補完され得るか又は代用されるかのどちらかであり得る。そのようなパー酸の例は、米国特許第4,686,063号明細書及び米国特許第5,397,501号明細書(ユニリーバー)に見られ得る。好ましい例は、欧州特許出願公開第325288号明細書、欧州出願公開第349940号明細書、独国特許第3823172号明細書及び欧州特許第325289号明細書に記載されているパー酸のイミドパーオキシカルボン類である。特に好ましい例は、フタルイミドパーオキシカプロン酸(PAP)である。そのようなパー酸は、0.1ないし12%、好ましくは0.5ないし10%において適切に存在する。
漂白安定剤(遷移金属封鎖剤)もまた存在しうる。適切な漂白安定剤は、エチレンジアミンテトラ−アセテート(EDTA)、デクエスト(DEQUEST)(登録商標)のようなポリホスホネート及びEDDS(エチレンジアミンジコハク酸)のような非ホスフェート安定剤を含む。これらの漂白安定剤はまた、とりわけ低量の漂白剤種を含むか又は漂白剤種を含まない製品中の汚れ除去のために使用される。
とりわけ好ましい漂白剤系は、パーオキシ漂白化合物(好ましくは所望により漂白活性剤と併用のナトリウムパーカルボネート)、及び欧州特許出願公開第458397号明細書、欧州特許出願公開第458398号明細書及び欧州特許出願公開第509787号明細書(ユニリーバー)に記載されているような遷移金属漂白触媒を含む。
【0035】
本発明に従う洗濯洗浄組成物はまた、1種又はそれ以上の酵素(群)も含み得る。適する酵素は、洗浄剤組成物中の配合のために使用し得るプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、オキシターゼ、パーオキシターゼ及びリパーゼを含む。好ましいタンパク分解性酵素(プロテアーゼ)は、布地の汚れ中に存在する場合、加水分解反応におけるタンパク質型の汚れを分解又は変性する触媒的に活性のタンパク質材である。それらは、植物、動物、微生物又は酵母起源のようないずれの適する起源のものであり得る。
種々の性質及び起源を有し、及び4ないし12の種々のpH範囲において活性を有するタンパク質分解性酵素又はプロテアーゼが入手可能であり、及び本発明に使用され得る。適するタンパク質分解性酵素の例は、ギスト ブロカデス社(Gist Brocades N.V.),Delft,Hollandにより供給されるような、商業上入手可能なズブチリシン マクサターゼ(MAXATASE)(登録商標)、及び、ノボ インダストリ社(Novo Industri A/S),コペンハーゲン,デンマークにより供給されるようなアルカラーゼ(ALCALASE)(登録商標)のような、B.ズブチルワス(Subtilwas)B.リチェニフォルミス(licheniformis)の特定の菌株から得られるズブチリシンである。
【0036】
特に適するのは、例えば登録商標エスペラーゼ(ESPERASE)(登録商標)及びサビナーゼ(SAVINASE)(登録商標)の下でノボ インダストリ社から商業上入手可能である、8ないし12のpH範囲全体において最大活性を有するバチラス(Bacillus)の菌株から得られたプロテアーゼである。これら及び類似の酵素の調製は、英国特許第1243785号明細書に記載されている。他の市販のプロテアーゼは、カズサーゼ(KAZUSASE)(登録商標,日本の昭和電工株式会社から入手可能)、オプティマーゼ(OPTIMASE)(登録商標,マイルス カリ−ケミエ社(Miles Kali−Chemie),ハノーバー,西ドイツ,から)、及びスペラーゼ(SUPERASE)(登録商標,アメリカ合衆国のファイザー社(Pfizer)から入手可能)である。
洗浄酵素は、およそ0.1ないし3.0質量%の量で顆粒状において一般的に使用される。しかしながら、何れの適する物理的形態の酵素も使用され得る。
【0037】
本発明の組成物は、洗浄力を高め、及び加工を容易にするために、アルカリ金属、好ましくは炭酸ナトリウムのような他の所望の成分を含み得る。炭酸ナトリウムは、1ないし
60質量%、好ましくは2ないし40質量%の範囲の量で適切に存在し得る。しかしながら、炭酸ナトリウムをほとんど又は全く含まない組成物もまた本発明の目的内である。
【0038】
粉体流は、少量の粉体構成物、例えば脂肪酸(又は脂肪酸セッケン)、砂糖、アクリレート又はアクリレート/マレエートコポリマー、又はナトリウムシリケートの配合により改良され得る。1つの好ましい粉体構成物は脂肪酸セッケンであり、1ないし5質量%の量で適切に存在する。
【0039】
本発明の洗剤組成物中に存在し得るさらに他の材料は、ナトリウムシリケート;セルロースポリマーのような抗再付着剤;硫酸ナトリウムのような無機塩;泡制御剤又は必要に応じた気泡増進剤;タンパク質分解性及び脂肪分解性酵素;染料;着色されたスペックル;香料;発泡制御剤;蛍光増白剤及びデカップリングポリマーを含む。このリストは網羅することを意図していない。
【0040】
本発明の洗剤組成物中に存在し得るまた他の材料は、柔軟剤、香料、汚れ除去ポリマー、着色剤、保存料、種々の微生物に対して種々の活性を有する抗菌剤、昆虫忌避剤、チリダニ忌避剤及び/又はチリダニ駆除剤、蛍光増白剤、UV吸光剤、他の光制御剤、イオン化剤、消泡剤、種々の種類の酵素、漂白剤、酸化触媒、ゼオライト、及びシクロデキストリン及びその種々の誘導体を含むがそれらに限定されない臭気抑制剤を含む。
【0041】
本発明の組成物は、洗浄液中に希釈されるされる場合(典型的な洗浄サイクルの間)、典型的には、洗浄製品のために7ないし11、好ましくは7ないし10.5のpHを洗浄液に与える。本発明の局面に従うカチオン性及び疎水性基の両方を有するポリマーによる布地の処理は、洗浄、浸漬又はすすぎのような何れの適する方法により為される。
典型的に処理は、洗濯機の主要な洗浄又はすすぎサイクルにおける処理のような洗浄又はすすぎ方法を含み、及び布地を、本発明の第一局面に従う組成物を含む水性媒体と接触させることを含む。
【0042】
本発明のもう1つの局面に従う組成物は、何れの便利な形態、例えば粉体、液体(水性又は非水性)又はタブレットとして配合され得る。
微粒子状の洗剤組成物は、相溶性の熱不感受性成分のスラリーを噴霧乾燥し、その後スラリーを介して加工されるのに適していない材料を噴霧するか又は後投与することにより適切に調製される。熟練した洗剤配合者は、どの成分がスラリー中に含まれるべきでどれが含まれるべきでないかを決めることを困難としない。
本発明の微粒子状の洗剤組成物は好ましくは、少なくとも400g/L、より好ましくは少なくとも500g/Lの嵩密度を有する。とりわけ好ましい組成物は、少なくとも650g/リットル、より好ましくは少なくとも700g/リットルの嵩密度を有する。
そのような粉体は 噴霧乾燥された粉体のポストタワー(post−tower)高密度化、又は乾燥混合及び顆粒化のような完全に非タワー(non−tower)方法のいずれかにより調製され得;両方の場合において、高速ミキサー/造粒機が有利に使用され得る。高速ミキサー/造粒機を使用する方法は、例えば欧州特許出願公開第340013号明細書、欧州特許出願公開第367339号明細書、欧州特許出願公開第390251号明細書及び欧州特許出願公開第420317号明細書(ユニリーバー)に開示されている。
液体洗浄組成物は、必要な濃度の成分を含む組成物を与えるために、いずれの望ましいオーダーで不可欠及び所望の成分を混合することにより調製され得る。本発明に従う液体組成物はまた、密な形態にあり得、このことは慣用の液体洗浄剤と比較してより低量の水を含むことを意味する。
【0043】
以下の実施例は、本発明の特定の態様を説明するが、本発明はそれに限定されるもので
はない。開示された態様に対する多くの変化が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなしにここでの開示に従って為され得ることが理解されるべきである。これらの実施例はそれゆえ、本発明の範囲を制限することを意味していない。むしろ、本発明の範囲は、添付の請求項及びそれらと同様のものによってのみ決定されるべきである。これらの実施例において、示されない限り全ての部は質量部である。
【0044】
実施例1
コンデンサー、温度計、窒素注入口、及びオーバーヘッド攪拌器付きの1リトットル反応器に、水中の66%モノマーDADMAC453.8g、メチルメタアクリレート(MMA)15.8g、脱イオン水57.40g及び20%Na4EDTA溶液0.15gを
入れた。重合混合物を窒素によりパージし、及び90℃の温度にまで攪拌しながら加熱した。アンモニウムパースルフェート(APS)5.1gを含む水性溶液を、190分かけて反応器にゆっくりと供給した。反応温度を100℃より高い温度にまで上げ、そしてその後、APS供給時間の間、還流温度(100ないし110℃)にて維持した。APS供給後、反応温度を95℃まで低下させ、及びおよそ30分間保持した。その後ナトリウムメタビスルフィット(MBS)5.6gを含む水性溶液を30分間かけて添加した。反応器の内容物をさらに30分間95℃にて保持して、重合を完了させた(およそ99%の転換率)。ポリマー溶液を、およそ35%固形分まで十分な水を用いて希釈し、及び室温まで冷却した。総モノマー転換率は99.5%超を測定した。最終生成物は、25℃にて23,400cpsのブルックフィールド粘度及び33.7%のポリマー固形分を有していた。
【0045】
実施例2
コンデンサー、温度計、窒素注入口、及びオーバーヘッド攪拌器付きの1リトットル反応器に、水中の66%モノマーDADMAC453.8g、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート(ENPA)15.8g、脱イオン水57.40g及び20%Na4EDT
A溶液0.15gを入れた。重合混合物を窒素によりパージし、及び90℃の温度にまで攪拌しながら加熱した。アンモニウムパースルフェート(APS)5.1gを含む水性溶液を、190分かけて反応器にゆっくりと供給した。反応温度を100℃より高い温度にまで上げ、そしてその後、APS供給時間の間、還流温度(100ないし110℃)にて維持した。APS供給後、反応温度を95℃まで低下させ、及びおよそ30分間保持した。その後ナトリウムメタビスルフィット(MBS)5.6gを含む水性溶液を30分間かけて添加した。反応器の内容物をさらに30分間95℃にて保持して、重合を完了させた(およそ99%の転換率)。ポリマー溶液を、およそ35%固形分まで十分な水を用いて希釈し、及び室温まで冷却した。総モノマー転換率は99.5%超を測定した。最終生成物は、25℃にて15,700cpsのブルックフィールド粘度及び33.7%のポリマー固形分を有していた。
【0046】
実施例3
この実施例は、供給による疎水性モノマーIIの添加を示す。重合手順は、APS開始剤供給を開始したときに15.8gの量のメチルメタアクリレートをおよそ45分間かけて反応器に供給したことを除き、実施例1と同様である。ポリマー溶液を、およそ35%固形分まで十分な水を用いて希釈し、及び室温まで冷却した。総モノマー転換率は99.5%超を測定した。最終生成物は、25℃にて19,500cpsのブルックフィールド粘度、及び35%のポリマー固形分を有していた。最終ポリマー生成物は、実施例1の生成物のエマルジョンの外観と比較して透明であった。
【0047】
実施例4:用途:洗浄I前の固定
固定:
生成物を、水性溶液から染色布地シート(“ブリーダー”)に塗布し、そして遠心脱水
した。
洗浄:
この処理された布地を、いずれの染料固定剤又は染料転移抑制剤もなしに標準洗剤を使用して白色の布地(“アクセプター”)と一緒に洗浄した。布地を遠心脱水し、清浄水を用いてすすぎ、遠心脱水し、そして60℃にて乾燥した。その後の洗浄サイクル毎に、“アクセプター”を新しいものに替えた。
性能を、固定液の吸収(最大吸収の吸光度)、洗浄液、及び白色の“アクセプター”布地上への染料の付着(デルタE)により評価した。
得られた吸収値及びデルタE値を用いて、相当する量の染料を計算した。すべての結果は、染色布地1kgからの染料損失の量で与えた。
適用条件:
染色綿布地(2.09%ダイレクトブルー(Direct Blue)78)5gを、40℃にて1:10の液比にて1%のポリマーの活性物質を含む溶液2.5g/L又は5g/Lを用いて15分間処理した。布地を液から除き、遠心脱水し、及び40℃にて1:10の液比を有する2.5g/LのECE77洗剤溶液中で、白色の綿布地“アクセプター”5gと一緒に15分間洗浄した。布地を絞り、水道水を流してすすぎ、遠心脱水し及び60℃にてオーブン中で乾燥した。
この手順を、洗浄毎に新しい“アクセプター”を使用して、同一の“ブリーダー”を用いて2回繰り返した。
結果:
[染色布地kgあたりの染料損失mg]
【表1】

ここで、実施例2はDADMACとアクリルアミドとのコポリマーであり、及びチノフィックス(TINOFIX)CLは、チバ スペシャルティ ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals)からの市販品である。
上記示された結果は、固定液、洗浄液及びアクセプター布地に対する染料損失量が、少量の疎水的に変性されたDADMACポリマーが洗浄前に布地を処理するのに使用された場合に大幅に減少し;それゆえブリードから染料を防止するのに優れた性能があることを示している。
【0048】
実施例5:用途:洗浄中の固定
着色された布地(“ブリーダー”)を、いずれの染料固定剤又は染料転移抑制剤もなしに標準洗剤を使用して白色の布地(“アクセプター”)と一緒に洗浄した。染色固定ポリ
マーを、適用直前に洗浄液に添加した。布地を遠心脱水し、清浄水を用いてすすぎ、遠心脱水し、そして60℃にて乾燥した。その後の洗浄サイクル毎に、“アクセプター”を新しいものに替えた。
性能を、洗浄液の吸収(最大吸収での吸光度)、及び白色の“アクセプター”布地上への染料の付着(デルタE)により評価した。
得られた吸収値及びデルタE値を用いて、相当する量の染料を計算した。すべての結果は、染色布地1kgからの染料損失の量で与えた。
適用条件:
染色綿布地(2.09%ダイレクトブルー78)5g及び白色の綿布地“アクセプター”5gを、2.5g/Lの標準洗剤ECE77溶液中に入れた。液比は1:10であり、及び洗浄温度は40℃であった。
布地を絞り、水道水を流してすすぎ、遠心脱水し及び60℃にてオーブン中で乾燥した。
この手順を、洗浄毎に新しい“アクセプター”を使用して、同様の“ブリーダー”を用いて2回繰り返した。
結果:
[染色布地kgあたりの染料損失mg]
【表2】

ここで、ソカラン(SOKALAN)HP56及びPVP K−30は両方とも商業上入手可能なポリ(ビニルピロリドン)−ベースの抗再付着剤である。
上記示された結果は、疎水的に変性されたDADMACポリマーが洗濯洗剤に少量で添加された場合、液体への染料損失量が大幅に減少したことを示している。さらに、そのようなポリマーはまた、SOKALAN HP56及びPVP K−30のような商業上入手可能な抗再付着剤と同様の方法で移行染料が再付着することを防止することを補助している。
【0049】
実施例6:DADMACと種々の疎水性モノマーを共重合することにより疎水的に変性したポリマーの調製
実施例1に記載されているとおりの手順を用いて、疎水的に変性したDADMACポリマーを、DADMACと、種々の量、すなわち2.5%、5%及び10%(w/w)のメチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート、ベンジルメタアクリレートと共重合することにより調製した。
【表3】

下記記載のような適用試験を、色素固定性能における疎水性モノマーの型及び/又は疎水性モノマーの量の影響を研究するために実施した。実施例は例示目的のみのためのものであり、及び疎水性モノマーの選択及び使用量は、単にこれらの実施例に制限されることを意味するものではないことに注意すべきである。
【0050】
実施例7:用途:DADMACと種々の量のメチルメタアクリレートモノマーとを重合することにより調製した疎水的に変性したポリマーを用いた洗浄前の固定試験
この一組の試験の設定のための適用条件を、実施例4に記載されているものと比較して少し変更した。こうして、100%綿から作られ、及び2.09%ダイレクトブルー及び/又は3.0%ダイレクトレッド(Direct Red)227それぞれを用いて染色した5gのブリーダー布地を、試験された1%ポリマーの溶液を5g/L含む水性溶液中ですすいだ。すすぎは、10:1の液比及び水の硬度は11゜dHにおいて、25℃にて30分間行った。乾燥は室温で行った。
この前固定したブリーダーを:
5gのアクセプター−漂白された100%の綿布地
2.5g/LのECE77標準洗剤とともに
液比10:1、水の硬度11゜dH
30℃、15分間
にて洗浄した。
損失染料の量は、洗浄液の吸光度及びアクセプターのデルタE値から計算した。
以下の結果を、Dブルー078染料を用いて染色した綿を用いて得た(結果は染色布地kgあたりの染料損失mgとして示す)
【表4】

Dレッド227染料にて染色した綿を用いて得られた結果(結果は染色布地kgあたりの染料損失mgとして示す)
【表5】

結果は、疎水的に変性したポリマーが染料固定性能において有意な改良性を与え得、及び改良の程度はコポリマー中の疎水性モノマーの量によることを示している。
【0051】
実施例8:適用:95%のDADMACと5%の種々の疎水性モノマーを重合することにより調製した疎水的に変性したポリマーを用いた洗浄前の固定試験
試験に使用したポリマーを除き、すべての他の試験条件は実施例7に記載したと同様であった。
Dブルー078により染色した綿を用いて得られた結果(結果は染色布地kgあたりの染料損失mgとして示す)
【表6】

Dレッド227染料により染色した綿を用いて得られた結果(結果は染色布地kgあたりの染料損失mgとして示す)
【表7】

結果は、疎水的に変性したポリマーが染料固定性能において有意な改良性を与え得、及び改良の程度はコポリマー中に使用された疎水性モノマーの型によることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下のモノマー成分:
(I)20ないし99.9質量%の式(1)
【化1】

(式中、
1及びR2は、互いに独立して、水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表し;
3及びR4は、互いに独立して、水素原子、又は1ないし18個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、カルボキシアミドアルキル基或いはアルコキシアルキル基を表し;及び
-はアニオンを表す。)に従う少なくとも1種のカチオン性モノマー;
(II)0.1ないし80質量%の、開始剤の存在下で重合する疎水性不飽和ノニオン性モノマー;所望により
(III)0ないし60質量%の量の、モノマー(I)及びモノマー(II)のいずれとも異なる水溶性モノマー、及び所望により
(IV)0ないし10質量%の量の架橋剤
から誘導される主鎖を含むポリマー化合物。
【請求項2】
前記少なくとも1種のカチオン性モノマー(I)が、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジアリルジメチルアンモニウムブロミド、ジアリルジメチルアンモニウムスルフェート、ジアリルジメチルアンモニウムホスフェート、ジメタリルジメチルアンモニウムクロリド、ジエチルアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジ(β−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド、及びジアリルジ(β−エトキシエチル)アンモニウムクロリドから成る群より選択される請求項1記載のポリマー化合物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のカチオン性モノマー(I)は、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)である請求項1記載のポリマー化合物。
【請求項4】
前記疎水性モノマー反応物(II)は、室温において及びpH7において、およそ50g/水100g未満の水溶性の値を有する請求項1記載のポリマー化合物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の疎水性モノマー(II)は、ビニル化合物及び(メタ)アクリレートベースの化合物、(メタ)アクリロニトリル及び不飽和多官能価酸のエステルから成る群より選択される請求項4記載のポリマー化合物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の疎水性モノマー(II)は、スチレン;炭素原子数2ないし18のカルボン酸のビニルエステル、炭素原子数2ないし18のカルボン酸のN−ビニルアミド及びアルキル(炭素原子数4ないし18の)アクリルアミドから成る群より選択される請求項4記載のポリマー化合物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の疎水性モノマー(II)は、式(B)
【化2】

[式中、
5はH又はCH3を表し、及びR6は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原
子数1ないし12のアルコキシ基、炭素原子数1ないし12のアルキル基又は炭素原子数1ないし12のアルコキシル基により1回ないし3回置換され得る炭素原子数1ないし6のアルキルフェニル基、又は酸素原子により1回又はそれ以上中断された炭素原子数1ないし6のアルキルフェニル基であって炭素原子数1ないし12のアルキル基又は炭素原子数1ないし12のアルコキシ基により1ないし3回置換され得る基;炭素原子数1ないし6のアルキルヒドロキシ基を表し、
及びXは、−O−、−NH−及び−NR7−(式中、R7は炭素原子数1ないし6のアルキル基を表す。)より選択される二価の基を表す。]により表される請求項1記載のポリマー化合物。
【請求項8】
前記疎水性モノマー(II)は
【化3】

(式中、R5はH又はCH3を表す。)から成る群より選択される請求項1記載のポリマー化合物。
【請求項9】
前記水溶性モノマー(III)は、室温において及びpH7においておよそ50g/水100gより大きい水溶性の値を有する請求項1記載のポリマー化合物。
【請求項10】
水溶性モノマー(III)は、ビニルアミン、ビニルホルムアミド、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ジメチルシロキサンのビニル誘導体、アミノシロキサン、ビニルフルオロカーボン、ヒドロキシアルキルアクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート及びそれらの塩、(メタ)アクリル酸及び塩;アクリルアミド、メタアクリルアミド;及びN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド及びN,N’−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのようなN,N’−ジアルキルアクリルアミド及びそれらの塩から成る群より選択される請求項1記載のポリマー化合物。
【請求項11】
1000ないし5百万ダルトンの範囲の平均分子量を有する請求項1記載のポリマー化合
物。
【請求項12】
請求項1記載のポリマー化合物及び1種又はそれ以上の界面活性剤の有効量を含む洗浄製品。
【請求項13】
改良された染料固定性及び染料移行抑制性を有する、洗濯洗剤、布地コンディショナー、前処理剤、後処理剤又はタンブル乾燥用シートの形態にある請求項12記載の洗浄製品。
【請求項14】
食器洗浄用製剤の形態にある請求項12記載の洗浄製品。
【請求項15】
0.001ないし50質量%の前記ポリマー化合物を含む請求項12記載の洗浄製品。
【請求項16】
柔軟剤、香料、汚れ除去ポリマー、着色剤、保存料、種々の微生物に対して種々の活性を有する抗菌剤、昆虫忌避剤、チリダニ忌避剤及び/又はチリダニ駆除剤、蛍光増白剤、UV吸光剤、他の光制御剤、イオン化剤、消泡剤、種々の種類の酵素、漂白剤、酸化触媒、ゼオライト、及びシクロデキストリン及びその種々の誘導体を含むがそれらに限定されない臭気抑制剤から成る群より選択される少なくとも1種の変性成分をさらに含む請求項12記載の洗浄製品。
【請求項17】
液体又は固体形態にある0.001ないし50質量%の請求項1記載のポリマー化合物を含む織物加工製剤。
【請求項18】
請求項17記載の織物加工製剤を含む染色又は印刷助剤及び/又は仕上げ剤。
【請求項19】
織物の湿潤耐久度を改良するために及び退色を防止するために、染色又は他の種類の仕上げ加工の前、間及び後に、請求項17記載の織物加工製剤を添加することを含む織物加工方法。

【公表番号】特表2006−512471(P2006−512471A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502569(P2005−502569)
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2003/051000
【国際公開番号】WO2004/056888
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】