洗顔料組成物
【課題】本発明の課題は、解決しようとする問題点は、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物において、温度依存性経時粘度上昇を防止し、安定性に優れる新規脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物を提供することすることである。
【解決手段】脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物において、グリチルリチン酸ジカリウム及び／又は酢酸カリウムを含有させることにより、温度依存性粘度上昇を防ぐ効果を有する。
【解決手段】脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物において、グリチルリチン酸ジカリウム及び／又は酢酸カリウムを含有させることにより、温度依存性粘度上昇を防ぐ効果を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物に関し、特に、当該組成物が経時で粘度上昇することを防止するための成分を含有した脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物に関する。
【背景技術】
【０００２】
脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物は、スキンケアの分野において、液状や固形状等の他の性状の洗顔料に比べ、機能、使用性、使用感触において有用な製剤として広く使用されている。
【０００３】
これは、洗浄剤主成分である脂肪酸石けんを中和により製造する際、脂肪酸の中和を１００％行なわず、使用する脂肪酸の一部を遊離脂肪酸の状態で残存させることにより、洗顔等に使用した際に、皮膚を脱脂し過ぎず、皮膚にマイルドな洗浄性と滑らかな使用感触を作り出している。
【０００４】
ところが、脂肪酸の中和を１００％行なわず、使用する脂肪酸の一部を遊離脂肪酸の状態で残存させることが逆に安定性に大きく影響を及ぼすこととなる。これは、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料が安定系ではないため、些細な環境（温度）の変化が直ちに製剤に影響を及ぼすためである。とりわけ３０℃以上の高温環境下で長期間保存された後、常温から低温環境下のもとで使用する場合、主として前記の遊離脂肪酸による結晶化析出や脂肪酸石けん自体の再結晶化（固化）などにより、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物の構造粘度が経時的に上昇し、使用する際、チューブなどの容器から非常に出し難くなり、商品価値を損なうものとなっていた。
【０００５】
この様な問題について、未だ満足する解決策は存在せず、製剤化研究の際の試行錯誤により個々の処方で応急的に対応しているのが現状である。また、洗浄剤や化粧料には、系の安定化や増粘に関して、グリチルリチン酸ジカリウム又は酢酸カリウムを含有した先行技術がある。（特許文献１及び２参照）しかし、特許文献１は、水系固化化粧料の固形化の安定性に関する特許であり、グリチルリチン酸ジカリウムが固化作用成分として含まれており、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料の温度依存性経時粘度上昇の防止に関して何ら示唆する記載は見当たらない。また、特許文献２は、液体洗浄組成物に関する系の安定化技術であり、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料に関して何ら示唆する記載は見当たらない。従って、前記の温度依存性経時粘度上昇によるチューブなどの容器から出し難くなる問題点を示唆及び解決させるものではなかった。
【特許文献１】特開平９−１００２１２号公報
【特許文献２】特許第３２１７３５７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明の課題は、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物において、温度依存性経時粘度上昇を防止し、如何なる環境化においても温度依存性経時粘度上昇が少なく、使用性に優れた新規脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料の提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明者らは、鋭意研究の結果、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物において、グリチルリチン酸ジカリウム及び／又は酢酸カリウムが温度依存性粘度上昇を防ぐ効果を有することを見出し、本発明に至った。即ち、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物にグリチルリチン酸ジカリウム及び／又は酢酸カリウムを含有させることにより、如何なる環境化においても温度依存性経時粘度上昇が少なく、使用性に優れた新規脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料の提供を可能とした。
【発明の効果】
【０００８】
本発明によれば、安定性に優れる新規脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物を提供することができる。とりわけ３０℃以上の高温環境下で長期間保存された後、常温から低温環境下のもとで使用する場合、粘度上昇によりチューブ容器から出し難くくなるという問題を防止することができ、如何なる環境化においても温度依存性経時粘度上昇が少なく、使用性に優れた新規脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料の提供を可能とした。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
本発明に用いるグリチルリチン酸ジカリウムは、一般式（Ｉ）で表わされるものであれば特に限定はされない。また、好ましい含有量は洗顔料組成物全量に対して、０．０２５〜０．５重量％であり、特に好ましくは、０．０５〜０．３重量％である。
【００１０】
【化１】
【００１１】
本発明に用いる酢酸カリウムは、一般式（II）で表わされるものであれば特に限定はされない。また、好ましい含有量は、洗顔料組成物全量に対して、０．００１〜１．０重量％であり、特に好ましくは、０．０２５〜０．５重量％である。
【００１２】
【化２】
【００１３】
本発明の組成物には、前述の脂肪酸に加えて、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で化粧料に一般に用いられる各種成分、例えば、油性成分、界面活性剤、保湿剤、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤等々を配合することができる。
【００１４】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【００１５】
表１に示す成分にて、本発明の洗顔料組成物である実施例１〜実施例４を調整した。同時に、この実施例の洗顔料組成物よりグリチルリチン酸ジカリウム及び酢酸カリウムを除いた処方にて比較例１を調製した。
【実施例】
【００１６】
実施例１〜実施例４及び比較例１の洗顔料の処方例を表1に示す。なお、洗顔料は通常の製法にて製造し、試料を得た。
【００１７】
【表１】
【００１８】
実施例１〜実施例４及び比較例１を４０℃１ヶ月の保存試験にかけ、段落００１９の評価基準にて評価した。なお、粘度測定は３０℃条件下に４時間静置した後測定した。
【００１９】
〔評価基準〕
◎：０〜２Ｐａ・ｓの範囲で上昇、あるい減少する。
○：３〜５Ｐａ・ｓの範囲で上昇する。
△：６〜８Ｐａ・ｓの範囲で上昇する。
×：９〜１１Ｐａ・ｓの範囲で上昇する。
××：１２Ｐａ・ｓ以上上昇する。
【００２０】
実施例１〜実施例４は、比較例１に比べ温度による粘度変化が少なかった。これにより、本発明の洗顔料組成物が、グリチルリチン酸ジカリウム又は酢酸カリウムが含まれていない比較例１と比べ、温度依存性経時粘度上昇を防止する効果を有していることが判る。このことは、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物において、グリチルリチン酸ジカリウム又は酢酸カリウムを含有させることで、温度依存性経時粘度上昇が無い洗顔料を提供することができることを示している。
【００２１】
更に、実施例１〜実施例４及び比較例１を用いて、４０℃１週間の保存試験にかけ、５℃に４時間静置した後、チューブ容器からの使用性試験（「チューブからの出し易さ試験」）を行なった。なお、本試験の評価は段落００２２に記載の評価基準により専門パネラーが判定し、その結果を表１に示した。
【００２２】
〔評価基準〕
◎：出し易い。
○：違和感なく出すことができる。
△：やや出し難い。
×：出し難い。
××：非常に出し難い。
【００２３】
その結果、チューブ容器からの使用性について、チューブからの出し易さの評価を行なったところ、実施例はチューブからの出し易さに問題はなかったのに対し、比較例は顕著にチューブ容器から出し難いことが認められた。これにより、特に高温から低温環境に移行させた時の固化によりチューブ容器から出しにくくなるという問題を防止することができるものであることが判る。
【産業上の利用可能性】
【００２４】
本発明は、温度依存性経時粘度変化の少ない洗顔料組成物である為、化粧料や洗浄料に広く応用が期待できる。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物に関し、特に、当該組成物が経時で粘度上昇することを防止するための成分を含有した脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物に関する。
【背景技術】
【０００２】
脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物は、スキンケアの分野において、液状や固形状等の他の性状の洗顔料に比べ、機能、使用性、使用感触において有用な製剤として広く使用されている。
【０００３】
これは、洗浄剤主成分である脂肪酸石けんを中和により製造する際、脂肪酸の中和を１００％行なわず、使用する脂肪酸の一部を遊離脂肪酸の状態で残存させることにより、洗顔等に使用した際に、皮膚を脱脂し過ぎず、皮膚にマイルドな洗浄性と滑らかな使用感触を作り出している。
【０００４】
ところが、脂肪酸の中和を１００％行なわず、使用する脂肪酸の一部を遊離脂肪酸の状態で残存させることが逆に安定性に大きく影響を及ぼすこととなる。これは、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料が安定系ではないため、些細な環境（温度）の変化が直ちに製剤に影響を及ぼすためである。とりわけ３０℃以上の高温環境下で長期間保存された後、常温から低温環境下のもとで使用する場合、主として前記の遊離脂肪酸による結晶化析出や脂肪酸石けん自体の再結晶化（固化）などにより、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物の構造粘度が経時的に上昇し、使用する際、チューブなどの容器から非常に出し難くなり、商品価値を損なうものとなっていた。
【０００５】
この様な問題について、未だ満足する解決策は存在せず、製剤化研究の際の試行錯誤により個々の処方で応急的に対応しているのが現状である。また、洗浄剤や化粧料には、系の安定化や増粘に関して、グリチルリチン酸ジカリウム又は酢酸カリウムを含有した先行技術がある。（特許文献１及び２参照）しかし、特許文献１は、水系固化化粧料の固形化の安定性に関する特許であり、グリチルリチン酸ジカリウムが固化作用成分として含まれており、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料の温度依存性経時粘度上昇の防止に関して何ら示唆する記載は見当たらない。また、特許文献２は、液体洗浄組成物に関する系の安定化技術であり、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料に関して何ら示唆する記載は見当たらない。従って、前記の温度依存性経時粘度上昇によるチューブなどの容器から出し難くなる問題点を示唆及び解決させるものではなかった。
【特許文献１】特開平９−１００２１２号公報
【特許文献２】特許第３２１７３５７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明の課題は、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物において、温度依存性経時粘度上昇を防止し、如何なる環境化においても温度依存性経時粘度上昇が少なく、使用性に優れた新規脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料の提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明者らは、鋭意研究の結果、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物において、グリチルリチン酸ジカリウム及び／又は酢酸カリウムが温度依存性粘度上昇を防ぐ効果を有することを見出し、本発明に至った。即ち、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物にグリチルリチン酸ジカリウム及び／又は酢酸カリウムを含有させることにより、如何なる環境化においても温度依存性経時粘度上昇が少なく、使用性に優れた新規脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料の提供を可能とした。
【発明の効果】
【０００８】
本発明によれば、安定性に優れる新規脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物を提供することができる。とりわけ３０℃以上の高温環境下で長期間保存された後、常温から低温環境下のもとで使用する場合、粘度上昇によりチューブ容器から出し難くくなるという問題を防止することができ、如何なる環境化においても温度依存性経時粘度上昇が少なく、使用性に優れた新規脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料の提供を可能とした。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
本発明に用いるグリチルリチン酸ジカリウムは、一般式（Ｉ）で表わされるものであれば特に限定はされない。また、好ましい含有量は洗顔料組成物全量に対して、０．０２５〜０．５重量％であり、特に好ましくは、０．０５〜０．３重量％である。
【００１０】
【化１】
【００１１】
本発明に用いる酢酸カリウムは、一般式（II）で表わされるものであれば特に限定はされない。また、好ましい含有量は、洗顔料組成物全量に対して、０．００１〜１．０重量％であり、特に好ましくは、０．０２５〜０．５重量％である。
【００１２】
【化２】
【００１３】
本発明の組成物には、前述の脂肪酸に加えて、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で化粧料に一般に用いられる各種成分、例えば、油性成分、界面活性剤、保湿剤、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤等々を配合することができる。
【００１４】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【００１５】
表１に示す成分にて、本発明の洗顔料組成物である実施例１〜実施例４を調整した。同時に、この実施例の洗顔料組成物よりグリチルリチン酸ジカリウム及び酢酸カリウムを除いた処方にて比較例１を調製した。
【実施例】
【００１６】
実施例１〜実施例４及び比較例１の洗顔料の処方例を表1に示す。なお、洗顔料は通常の製法にて製造し、試料を得た。
【００１７】
【表１】
【００１８】
実施例１〜実施例４及び比較例１を４０℃１ヶ月の保存試験にかけ、段落００１９の評価基準にて評価した。なお、粘度測定は３０℃条件下に４時間静置した後測定した。
【００１９】
〔評価基準〕
◎：０〜２Ｐａ・ｓの範囲で上昇、あるい減少する。
○：３〜５Ｐａ・ｓの範囲で上昇する。
△：６〜８Ｐａ・ｓの範囲で上昇する。
×：９〜１１Ｐａ・ｓの範囲で上昇する。
××：１２Ｐａ・ｓ以上上昇する。
【００２０】
実施例１〜実施例４は、比較例１に比べ温度による粘度変化が少なかった。これにより、本発明の洗顔料組成物が、グリチルリチン酸ジカリウム又は酢酸カリウムが含まれていない比較例１と比べ、温度依存性経時粘度上昇を防止する効果を有していることが判る。このことは、脂肪酸石けん系クリーム状洗顔料組成物において、グリチルリチン酸ジカリウム又は酢酸カリウムを含有させることで、温度依存性経時粘度上昇が無い洗顔料を提供することができることを示している。
【００２１】
更に、実施例１〜実施例４及び比較例１を用いて、４０℃１週間の保存試験にかけ、５℃に４時間静置した後、チューブ容器からの使用性試験（「チューブからの出し易さ試験」）を行なった。なお、本試験の評価は段落００２２に記載の評価基準により専門パネラーが判定し、その結果を表１に示した。
【００２２】
〔評価基準〕
◎：出し易い。
○：違和感なく出すことができる。
△：やや出し難い。
×：出し難い。
××：非常に出し難い。
【００２３】
その結果、チューブ容器からの使用性について、チューブからの出し易さの評価を行なったところ、実施例はチューブからの出し易さに問題はなかったのに対し、比較例は顕著にチューブ容器から出し難いことが認められた。これにより、特に高温から低温環境に移行させた時の固化によりチューブ容器から出しにくくなるという問題を防止することができるものであることが判る。
【産業上の利用可能性】
【００２４】
本発明は、温度依存性経時粘度変化の少ない洗顔料組成物である為、化粧料や洗浄料に広く応用が期待できる。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
グリチルリチン酸ジカリウム及び／又は酢酸カリウムを含有することを特徴とする、炭素数がＣ１２〜Ｃ１８の脂肪酸石けんで構成される洗顔料組成物。
【請求項１】
グリチルリチン酸ジカリウム及び／又は酢酸カリウムを含有することを特徴とする、炭素数がＣ１２〜Ｃ１８の脂肪酸石けんで構成される洗顔料組成物。
【公開番号】特開２００８−２４７７８２（Ｐ２００８−２４７７８２Ａ）
【公開日】平成２０年１０月１６日（２００８．１０．１６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−８９９３４（Ｐ２００７−８９９３４）
【出願日】平成１９年３月２９日（２００７．３．２９）
【出願人】（５９１２３０６１９）株式会社ナリス化粧品 (200)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１０月１６日（２００８．１０．１６）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年３月２９日（２００７．３．２９）
【出願人】（５９１２３０６１９）株式会社ナリス化粧品 (200)
【Ｆターム（参考）】
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