説明

活性物質の凍結乾燥組成物

【課題】アスコルビン酸、アセチルサリチル酸等、不安定な活性物質を安定化した状態で長時間維持する製剤の提供。
【解決手段】凍結乾燥成型品の全組成物基準で、1種類以上の活性物質を50重量%以上、タンパク質を除く1種類以上の足場形成剤を15重量%以下と、場合により1種類以上の補助物質とを含み、その1重量%の水溶液または水懸濁液が、20℃でpH値が7未満である、凍結乾燥成型品。さらに、これらの凍結乾燥成型品を製造するための方法、パーツキット構成でのそのような凍結乾燥成型品と水溶液との組み合わせ、ならびに、凍結乾燥成型品およびパーツキットの組み合わせの、医薬品および化粧品としての用途のための使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いずれも凍結乾燥成型品の全組成基準で、1種類以上の活性物質を50重量%以上と、およびタンパク質を除く1種以上の足場形成剤を15重量%以下と、ならびに場合により、1種類以上の補助物質とを含む凍結乾燥成型品であって、その1重量%の水溶液または水懸濁液は20℃で7未満のpH値を有する凍結乾燥成型品に関する。
さらに、本発明は、これらの凍結乾燥成型品を製造するための方法、パーツキット構成の凍結乾燥成型品と水溶液との組み合わせ、ならびに、凍結乾燥成型品およびパーツキットの組み合わせの、医薬品および化粧品としての用途のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品および医薬品として適用される、重要かつ非常に有効な多くの活性物質は、不安定であり、外的影響が原因で変質または分解されることが知られている。その結果、活性物質はこれらが含まれる組成物内で所望の作用を示さなくなるか、または十分に示すことができなくなるか、あるいは、変質した活性物質またはそれらが分解された副生成物が有害な作用を生じることすらある。この点に関して、このような不安定な活性物質のなかでも、特に、熱による影響下での不安定性が高い活性物質、ならびに、光、湿度、および/または酸化に極めて敏感である活性物質について、言及されなければならない。
【0003】
したがって、このように極めて有効であり、分解されるおそれがある極めて不安定な活性物質を、長期間にわたり高い安定性を提供する形態とし、保存性に優れ、保存期間と投与期間全体にわたって活性物質の含有量を最適かつ再現可能に提供し、ひいては、適用に際し最善の安全性および効率を提供にすることに、関心が集まっている。
【0004】
この場合、活性物質の効率的な安定化の他に、それぞれの用途の目的に応じて最適に構成された最適な投与形態での活性物質の提供が、特に注目される。用途に適した形態の選択は、特に、用途のタイプと場所、ターゲット集団とその特性、活性物質の投与量のタイプと量、あるいは、それらの投与形態、ならびに、例えば、この場合には考慮されなければならない活性物質の物理的および生化学的特性、特に、それらの生物学的利用能と全身作用に関する特性に依存する。
【0005】
特に、外用投与形態および経口投与形態は、この場合における安定で極めて有効な活性物質提供のため、特に注目される。この場合、前述の投与形態は、特に、水性および/または水を含む製剤あるいは環境で使用することができ、そのような水性の環境の中で急速に溶解する投与形態に特に適しており好ましい。これは、特に、経口投与のための活性物質系において重要である。
【0006】
生物製剤または物質を湿度による分解、劣化、または減成から保護するためには、凍結乾燥の方法が公知であり、広く利用されている。この際、物質は、直接凍結乾燥されることが多く、特に薬剤学において、不安定な活性物質がそのように保存される。しかし、凍結乾燥保存された活性物質を最終的に外用または内服として利用するのに適した医薬品または化粧品の投与形態で提供することに関して、凍結乾燥され、それにより安定化した活性物質を、安定であって、ひいては湿気から保護される方法で、所望の投与形態に取り込むという課題が生じる。粉末混合物、圧縮して錠剤にされる混合物、カプセルに充填される活性物質、または顆粒化される活性物質系等の乾燥投与形態はよく知られている。そのような投与形態に伴う欠点は、特に、多くの場合溶解度が低いこと、それゆえ活性物質の放出が遅いこと、不活性であるが処理に必要な補助物質と賦形剤の比率が高いこと、通常は外用への適合性が低いこと、ならびに、投与能(dosability)が十分でないこと、ひいては取り扱いの危険または使用者による投与の問題である。
【0007】
活性物質を投与形態または剤形にする適切で公知の方法は、担体物質系の中に活性物質を分散させ、この混合物を凍結乾燥させる方法である。ほとんどの場合、このような物質は、優れた溶解挙動または膨潤挙動を有し、膨潤によって良い質感を形成することができる担体物質として選択される。その結果、溶解した活性物質系または膨潤剤中に分散した活性物質系は、投与形態として直接使用することができる。そのような系は、それらの優れた溶解性のために、公知であり、経口投与形態の提供、ならびに、外用投与の化粧品または医薬品の形態の製造に、適している。この場合、最終消費者にとって簡単であり正確な活性物質の一回分服用量の投与を可能にする、いわゆる1単位の投与形態を提供することに関心が高まっている。この場合の1単位の投与形態とは、粉末剤または顆粒とは対照的に、錠剤もしくはカプセル剤等の1つの投与単位中に、投与単位あたりに所望の必要な量の活性物質を含む投与形態であって、溶解性が劣るまたは外用への適合性がないという欠点を有しない投与形態であると理解される。
【0008】
したがって、不安定な活性物質を経口投与および/または外用投与するために、乾燥によって水分安定化された、このような易可溶性の1単位の投与形態に関し、特に大量の活性物質が投与される場合において、より大きな形態の実施形態にますます注目が集まっている。概して、この点における特別な課題は、即溶解性の形態で高含有量の活性物質を提供することであり、可能な限り完全にまたは残留物を残さないで溶解し、可能な限り高い活性物質の含有量を有し、可能な限り少ない割合で担体または補助物質を組成物中に含むものが望まれている。担体または補助物質の含有量が少ないほど、一般に、より残留物が少なく、より完全に溶解する。しかし、特に、大きな成型品において、パッケージング、保存、および取り扱いにおいて役割を担う、1つの成型の機械的安定性は、一般に、低くなる。
【0009】
そのような投与形態において広く一般的に使用される膨潤性または可溶性の担体物質は、ほとんどの場合は、中性からアルカリ性の環境において特に優れた膨潤性と溶解性を有しており、したがって、このpH範囲で特にうまく処理することができる担体物質から選択される。さらに、外用製剤ついては、中性からわずかにアルカリ性の製剤が一般的に使用される。なぜなら、これらは一般的に、皮膚への適合性に優れており、刺激の傾向をほとんど示さないからである。しかし、特に、酸性活性物質、すなわち、pH依存性の解離傾向を有しており、したがって中性からアルカリ性の条件下で解離した形態で存在するそのような活性物質のグループについては、前述の系は、特に、活性物質の含有量が高い場合に、限られた程度しか凍結乾燥させることができないという問題を生じる。
【0010】
一方で、そのような活性物質の高い解離傾向により、凍結乾燥される製剤過程で高いイオン濃度が生じるので、組成物の凝固点の低下が生じる。これは凍結乾燥の条件を受け入れられないほど難しくしてしまう。さらに、凍結乾燥された生成物における高いイオン濃度は、特に、凍結乾燥組成物の機械的安定性に対して決定的な影響を与える担体物質の含有量が少ない製剤が十分には安定でない程度にまで、その吸湿性を高める。上記の特性を有している公知かつ重要な酸性活性物質は、例えば、アスコルビン酸(ビタミンC)およびその誘導体、ならびに、例えば、アセチルサリチル酸(ASS)およびその誘導体である。
【0011】
したがって、多量の不安定な、特に、高いpH値依存性解離傾向を有する酸性活性物質と、低い含有量の不溶性または膨潤性の担体物質とを含み、それにより、急速かつ完全な溶解性、および化粧品としておよび医薬品としての外用ならびに経口での使用について最大限可能な機械的安定性を有している、良好に投与することができる大きな1単位の投与形態を提供する必要がある。
【0012】
特許文献1および特許文献2には、ビタミン類、特に医薬品ならびに化粧品のいずれにも適用可能なビタミンC等の、加水分解性の活性物質を供給するとされる、活性物質が含まれる投与可能なペレットまたは1単位の一定の大きさの剤形が記載されている。これらの文献において使用される担体材料は、好ましくは、タンパク質をベースとするものである。ペレットは、タンパク質足場形成剤と、場合により、化粧品用または医薬品用の活性物質の分散液とを、低温不活性である液体(好ましくは、液体窒素)の中に滴下し、続いて、分離させ、凍結したペレットを凍結乾燥させることによって製造される。しかし、タンパク質足場形成剤、特に、コラーゲンまたはコラーゲン誘導体しかこれらの条件下で安定なペレットを形成することができないので、これらの条件下でペレットを形成させるためには上記タンパク質足場形成剤の存在が必要である。さらに、活性物質の含有量が多く、足場形成剤の含有量が少ない成型品を、上記文献に記載された生産プロセスを用いて生成することは不可能である。記載された方法は、特に、アスコルビン酸(ビタミンC)またはアセチルサリチル酸のような加水分解性の活性物質を生成するために特に適していると記載されているが、各実施例に記載された組成物は全て、足場形成構成成分の含有量が活性物質の含有量よりも数倍高いことを特徴とする。したがって、この方法は、足場形成担体材料と比較して特に高い活性物質濃度を有しているペレットを供給するためには適していない。これはまた、使用される滴下法での組成物の高レベルの安定化に関する特別な要件と関係がある。
【0013】
特許文献3に記載されている多孔性の方鉛鉱粒子を製造するための方法にも同様の課題が生じる。記載によれば、多孔性の方鉛鉱粒子は最大5mmの大きさで得られる。この文献において用いられる方法では、活性物質の混合物が、マトリックス状に押し出し成型され、所望の大きさの粒子になるように切断され、その後、凍結乾燥により多孔性の成型品を形成する。しかし、例示的な実施形態は、単に、直径が最大1.5mmであるいわゆるマイクロスフェアを得ることができることを示しているにすぎない。これは、押し出し成型された塊について一定の機械的安定性を求めるこの発明の押し出し成型および切断の方法の使用によるものと考えられる。これは一般的には、比較的高含有量の足場形成ポリマーまたは担体物質と、安定剤または賦形剤賦形剤とによって得ることができる。しかし、活性物質の含有量と比較して、極少量の安定化担体または補助物質しか使用しない場合は、この文献に示されるように、極めて小さいマイクロスフェアしか得られない。この開示の内容には、不安定な活性物質、特に、いわゆる酸性活性物質を安定化させる、何ら特別な可能性も含まれていない。
【0014】
活性物質を含むエマルションの製造、該エマルションを型に注ぐこと、続いて該エマルションを凍結乾燥させることを含む別の方法は、特許文献4の主題である。説明部分の記載によると、この方法で製造することができる成型品は、0.2〜5mm以上の大きさで得ることができ、水溶性であるか、または水中に分散させることができる。そしてこの方法はまた、ビタミン類等の不安定な活性物質を安定化させる可能性も提供するとされる。しかし、この発明の方法の主題は、第1に、活性物質が、水中油エマルションの中に取り込まれる成型品を提供することであり、この水中エマルションはそれ自身を調整するために界面活性剤等の乳化剤をさらに含むことを特徴とする。しかし、この方法もまた、大きな成型品の安定性により、少量の足場形成剤で極めて高含有量の活性物質を取り込むことができないことを示す。したがって、足場形成剤の含有量は、最大5%の界面活性剤含有量において、10%から95%であるとされる。この例もまた、記載された方法が、極少量の安定化ポリマーとともに主に水分安定性の活性物質、特に、酸性活性物質からなる成型品の製造に適しているとの示唆を全く提供していない。
【0015】
特許文献5には、水分不安定性の活性物質であるL−アスコルビン酸−2−リン酸、アスコルビン酸誘導体(ビタミンC誘導体)を、活性物質−足場形成剤混合物を凍結乾燥させることによって安定化させるとともに、化粧品用の易溶性の凍結乾燥成型品を得るための方法が記載されている。しかし、この方法では、活性物質の安定化は、特定の量比のオリゴ糖、糖アルコール、および水溶性ポリマーからなる足場形成剤の極めて特異的な組み合わせを使用することによって達成される。この量比は、この場合にもまた、安定化させるための足場形成剤の含有量が活性物質の含有量よりもはるかに多い場合にのみ、活性物質が含まれる凍結乾燥成型品が得られることを示している。
【0016】
単独使用される成型品の化粧品としておよび医薬品としての用途のいずれについても、均一な形状と大きさの比較的大きな成型品が好ましい。その理由は、粉末剤または小さいペレット、マイクロスフェア、および顆粒剤とは対照的に、これらは最終消費者がより簡単に取り扱うことができるからである。その結果、1回の投与につき1つの投与形態が可能であるような大きさの成型品を提供することが意図される。さらに、例えば、着色されたデザインで提供することができる大きな成型品は、より強い美的印象を残す。
【0017】
この意味では、タンパク質足場形成剤の使用が好ましくない場合もある。したがって、特に化粧品において、純粋な植物性の製品の使用が最終的に好まれることが増えている。この結果は、とりわけ、基本的な道徳的配慮からである。
さらに、タンパク質の処理には、一般的に、複雑な処理工程と精製工程が必要である。さらに、皮膚への外用におけるタンパク質足場形成剤の特性は、これらが常に同じアミノ酸から構成されるので、これらの特性の範囲に過度に限定される。
【0018】
したがって、化粧品としての用途と医薬品としての用途の両方において望ましい高含有量の活性物質、特に、例えば、アスコルビン酸(ビタミンC)およびその誘導体、またはアセチルサリチル酸およびその誘導体等、水分不安定性のいわゆる酸性活性物質を安定して提供することを可能にする活性物質、を含み、可能な限り完全に溶解する即溶解性の大きい成型品を得るためには、上記理由から、特に、非タンパク新生由来の足場形成剤(例えば、特に、高分子多糖類(例えば、アルギン酸塩)等の植物性ポリマー足場形成剤、または動物性ポリアミノ糖類(例えば、キチンおよびその誘導体(特に、キトサン))が、その溶液挙動と高いゲル形成能力からも、そのような凍結乾燥された活性物質の成型品の製造に特に適している。
【0019】
したがって、特許文献6には、活性物質が含まれる一定の形状の大きい成型品が記載されている。この成型品は、型に注がれた活性物質−足場形成剤混合物の凍結乾燥法によって得られる。記載された方法にしたがって得られる成型品は、優れた機械的安定性と速い溶解速度を特徴とする。全組成物基準で少なくとも10重量%の植物性の足場形成剤の量で、得ることができる。原則として、0〜85重量%の量が、活性物質含有可能量とされるが、50重量%以下の活性物質が含まれることが好ましいと強調されている。最大25重量%の活性物質を含む実施形態(実施例4)のみが、実施例によってサポートされている。さらに、この文献には、開示された成型品についての特定のpH値、例えば特に、7未満のpH値、またはさらに6以下もしくは4以下のpH値に関する示唆はない。活性物質の多数のグループとクラスが、可能性のある活性物質として挙げられている。この文献では、不安定な活性物質、特に、中性からアルカリ性の環境下で水分安定性が低く解離傾向が高い活性物質(いわゆる、酸性活性物質)の安定化は、特に着目されておらず、特定のpH値の設定によるこのような不安定な酸性活性物質の安定化に関する示唆も見られない。記載された成型品の溶解速度は、4分未満の範囲である。これは、原則として、足場形成剤のそれぞれの含有量に依存する。
【0020】
基本的に、足場形成剤の含有量が特に少ない調製物は、足場形成剤の含有量が多い調製物よりも急速かつ完全に溶解する。
とりわけ大きい成型品、特に、アルギン酸塩等の植物性の足場形成剤をベースとする成型品と、存在する活性物質に対して極めて少量でのこれらの使用には、外用と経口投与の両方に必要な均一な形態および急速かつ完全な溶解度を有する成型品を製造させることができるよう、十分な機械的安定性を得るという課題が直ちに生じる。
【0021】
特許文献6に開示されている、足場形成剤を含む凍結乾燥成型品におけるような、凍結乾燥組成物の中において、特に、高い水分不安定性に加え、解離傾向により凝固点を下げる効果があるアスコルビン酸(ビタミンC)およびその誘導体またはアセチルサリチル酸およびその誘導体等のように、水分に不安定な酸性活性物質の大量の取り込みと安定化は、これまでのところは不可能であった。そのような解離した活性物質の凝固点を下げる効果により、大量の未凍結水と高い活性物質濃度またはイオン濃度を持つ大きい氷晶が、凍結した成型品の中に形成され、これにより凍結乾燥された最終生成物の部分的構造の崩壊を招き、成型品のいわゆる融解を招き、そのため、これまで記載された方法では、機械的に安定し、均一かつ魅力的な成型品の製造を行うことはできなかった。
【0022】
特許文献7は、機械的に安定で、急速かつ完全に溶解可能で、水分安定性があり、医薬品として単独使用される投与可能な形態の製造において、凝固点を下げるビタミンCの大量融解の問題を、凝固点を下げるビタミンCの含有量により解決する。すでに異常に高い約30重量%のビタミンCが、合成ブロックコポリマーを用いて発泡された後に、約70重量%の足場形成剤とタンパク質新生性賦形剤であるグリシンと一緒に混合される。
【0023】
しかし、原則として、実際の薬理学的効果がない合成物質、または担体、補助物質、もしくは添加物の使用が、起こりうる毒物学的または薬理学的副作用を回避するために最小限におさえられなければならないので、そのような合成ブロックコポリマーの使用は、化粧品用および医薬品用の調製物の中では望ましくない。さらに、ポリマー性の担体物質の添加によって、原則的に、それらの含有量が増えるほど、調製物の溶解度が低下する。これが、可能な限り少量を用いて作業すること、そして可能であれば天然の毒物学的に無害なポリマーと担体物質を使用することが望まれる理由である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】米国特許第5,405,616号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第4201179号明細書
【特許文献3】米国特許第5,843,347号明細書
【特許文献4】国際公開第05/073296号
【特許文献5】特開2004−149468号公報
【特許文献6】独国特許出願公開第10248314号明細書(国際公開第2004/035023号)
【特許文献7】独国特許出願公開第2017373号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
したがって、本発明の目的は、極めて多量の不安定な活性物質、さらにはいわゆる酸性活性物質(25℃でpKa値が7以下である物質)を、安定化した状態で長期間維持することができ、投与の際に、急速に、効率よく、特異的に、そして高い活性状態で放出され、投与することができる、凍結乾燥組成物を提供することにある。さらに、別の目的は、これらの凍結乾燥組成物に、原則として凝固点を下げる効果があり、それにより、これまでは凍結乾燥された調製物の製造に使用することができなかった、酸性活性物質を大量に取り込ませる可能性を見出すことにある。さらに、本発明の目的は、これらの安定な活性物質の組成物を、特に、いわゆる単回投与単位または単独投与の用途の形態で化粧品としてまたは医薬品としての用途に使用できるように、高い機械的強度と十分な大きさを有するように設計することにある。この場合、組成物は、外用、ならびに経口投与または経口的な用途に等しく適していると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0026】
驚くべきことに、上記特許文献6に基づいて、特許文献6の最大限界値であり、特にこれを超えている、50重量%以上の活性物質の含有量と、15重量%以下の足場形成剤の含有量である活性物質の量を含む、安定であり、大きな、活性物質が含まれる成型品を製造することができることがわかった。驚くべきことに、特に、凝固点を下げる作用により、これまでは本発明のタイプの凍結乾燥組成物中に、そのように大量に取り込ませることができなかった不安定な酸性活性物質を、この場合は、活性物質を、pH値が7以下、好ましくは、6以下、より好ましくは5以下、特に好ましくは4以下になるように予め調整することによって、取り込ませることができる。
【0027】
少なくとも10重量%の担体材料、ならびに最大50重量%の活性物質を、安定化した形態、好ましくは、活性物質の誘導体および/または前駆体の形態で含む凍結乾燥組成物が、独国特許出願公開第102006038629号明細書から公知である。活性物質としては、ビタミンのグループ類から選択されるもの、例えば特に、ビタミンC(アスコルビン酸)および誘導体が、この場合に特に好ましいとされる。さらに、この組成物には、組成物に水相が添加された際に安定化形態から活性物質を形成させるための薬剤が、最大50重量%含まれる。このような放出剤は、酵素のグループから選択されることが好ましい。しかし、独国特許出願公開第102006038629号明細書では、この文献において開示された成型品の特定のpH値、例えば特に、7未満、またはさらには6以下もしくは4以下のpH値についての示唆は全くなされていない。アルギン酸塩のグループから選択される使用される好ましい担体材料に関して、6〜8のpH値が好ましいと記載されているにすぎない。しかし、後者は、使用されるアルギン酸塩の特徴を提供するにすぎず、最終的に得られる本発明の成型品についてのpH値に関して何らかの結論を示すことができるものではない。
【0028】
対応の国際公開第2008/020066号は、上記独国特許出願公開第102006038629号明細書の開示の範囲を超えており、これにはさらに例示的な実施形態1〜実施形態5が含まれる。ここで、実施例1〜実施例3には、適切な凍結乾燥組成物の製造が開示されている。ここでは、pH値は4〜5に調整され、そして得られる組成物には、およそ16重量%の担体材料とおよそ1.6重量%の安定化した活性物質(アスコルビルグルコシド)が含まれる。加えて、およそ82重量%の酵素であるグルコアミラーゼが、市販されている酵素溶液(Novozym 300 GL、10〜40%)の形態で加えられ、場合によりさらに補助物質が組成物に加えられる。市販されている酵素溶液であるNovozym 300 GLには、10〜40%のグルコアミラーゼが含まれており、これによって、後者は、およそ8重量%から最大33重量%の割合で組成物中に含まれ得る。
【0029】
理論上、酵素は活性物質としての活性も生じることができるが、この場合は、酵素は、特に安定化した誘導体の形態で存在する活性物質の定義には含まれない。グルコアミラーゼは、液体の添加に伴い活性物質であるアスコルビン酸を放出する放出剤として組成物に加えられるにすぎない。さらに、酵素類を考慮しても、国際出願公開第2008/020066号の実施例1〜実施例3のいずれの場合にも50重量%以上の活性物質の含有量は開示されていない。したがって、文献独国特許出願公開第102006038629号明細書にも国際出願公開第2008/020066号にも、50重量%以上の活性物質の含有量を有し、pH値が7未満またはさらには6以下もしくは4以下である凍結乾燥組成物は全く開示されていない。
【0030】
仏国特許出願公開第2886845号明細書からはさらに、アルギン酸ナトリウム等の足場形成剤を15重量%〜75重量%の量で、加えてアスコルビン酸を0.1重量%〜80重量%の量で含むことができ、そして特に凍結乾燥によって得ることができる、乾燥組成物が公知である。しかし、この仏国特許出願公開第2886845号明細書、特に、不安定な活性物質であるアスコルビン酸の安定化という目的がマレイン酸コポリマーを添加することによって達成されるので、選択されるべき詳細なpH値についての具体的な示唆は全く提供されていない。したがって、この文献によっても、50重量%以上の活性物質の含有量と、7未満またはさらには6以下もしくは4以下特定のpH値を有している凍結乾燥組成物について全く示唆されていない。具体的なpH値は、例示的な実施形態1に関連して定められているにすぎず、その中で開示された組成物は、50重量%以上の活性物質の特に高い含有量を開示しているものではない。このように、50重量%以上の活性物質の含有量と、7未満またはさらには6以下もしくは4以下の特定のpH値を有している凍結乾燥成型品は、仏国特許出願公開第2886845号明細書からも明らかではない。
【0031】
欧州特許出願公開第0888769号明細書には、10重量%〜30重量%のアルギン酸塩と70重量%〜90重量%の活性物質が含まれている、凍結乾燥された形態の化粧品用組成物が開示されている。ここでは、植物抽出物、海藻抽出物、ミネラル、および微量元素、ならびに、海洋性タンパク質(例えば特に、海洋性コラーゲンまたは海洋性ヌクレオチド)が、活性物質とされている。酸性活性物質のグループから選択される活性物質は開示されていない。さらに、欧州特許出願公開第0888769号明細書もまた、本発明の組成物についての特定のpH値、例えば特に、7未満、さらには6以下もしくは4以下のpH値、に関しては全く示唆していない。
【0032】
したがって、本発明により、特許文献6に記載されている系のような既知の系と比較して、極めて低い含有量の足場形成剤で、その溶解挙動を再びさらに有意に改善することができた上、凍結乾燥され、機械的に安定な、大きな活性物質の成型品が得られたことは驚くべきことである
【0033】
さらに、キチンまたはその誘導体等のポリアミノ糖類のグループから選択される足場形成剤を選択することにより、特に、足場形成剤としてキトサンを選択することにより、足場形成剤の含有量が極めて少ない凍結乾燥された活性物質の成型品の安定性と溶解挙動をさらに改善できることが明らかになったことも、驚くべきことである。これはまた、カチオン化澱粉誘導体または陽イオンで修飾されたカルボキシメチルセルロースにも適用される。
【0034】
ほとんどの場合、これは、酸性のpH範囲でのキトサンまたはカチオン化澱粉の特に優れた溶解度によるものと考えられる。
特許文献6、特許文献7のいずれにも、本明細書中で述べた他のどの文献にも、化粧品としておよび医薬品としての単回投与の用途のための機械的安定性、溶解挙動、および大きさに関して対応する所望の特性を持つ、多孔性の凍結乾燥成型品を得るための、そのような低含有量の足場形成剤(特に、キトサン等のキチン誘導体またはカチオン化澱粉もしくはカチオン化カルボキシメチルセルロースのグループから選択される)と、これに応じて高含有量の活性物質(特に、酸性の凝固点を下げる活性物質(これはpH値を7未満、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、特に好ましくは4以下になるように調整することによって取り込ませることができる))を含む処方は開示されていない。
【0035】
したがって、本発明は、いずれも凍結乾燥成型品の全組成物基準で、1種類以上の活性物質を50重量%以上、およびタンパク質を除く1種類以上の足場形成剤を15重量%以下、ならびに場合により、1種類以上の補助物質を含み、その1重量%の水溶液または水懸濁液が、20℃で7未満のpH値を有する、凍結乾燥成型品を提供する。
さらに、本発明は、これらの凍結乾燥成型品を製造するための方法、ならびに、パーツキット構成でのそのような凍結乾燥成型品と水溶液との組み合わせ、ならびに、凍結乾燥成型品およびパーツキットの組み合わせの医薬品および化粧品としての用途のための使用を提供する。
【0036】
成型品は、本発明の意味においては、一定の形状(例えば具体的には、球形、立方体、角錐、星型)の幾何学的物体であると理解されるが、海洋生物(例えば、ヒトデ)等の動物、ムール貝等の魚介類、植物および植物の一部(例えば、葉など)の形のような、自然の形状を再現した成型品であってもよい。以下に記載される本発明にしたがって使用される成型品の製造方法によれば、これらの形状が全て得られる。均一な球形(例えば具体的には、球面形状)が本発明に好ましい。なぜなら、これ自体が、酸性で、凝固点を下げる大量の活性物質(例えば、アスコルビン酸(ビタミンC)およびその誘導体、またはアセチルサリチル酸およびその誘導体)の取り込みに関して特に有利であることが示されているからであり、その理由は、特に好ましい表面積/体積比にある。すでに乾燥した生成物を通り抜ける昇華距離は、あらゆる面に対して対称であり、小さい。このことは、凍結乾燥プロセスにおいて、すでに乾燥した材料を通り抜ける蒸気の移動を容易にする。
【0037】
本発明の1つの態様では、言及される成型品が容器の中に複数含まれる。これにはまた、異なる幾何学的形状または異なる大きさの成型品の混合物が含まれてもよい。成型品が個別にパッケージされてもよいが、好ましくは、特に化粧品としての用途では、複数の成型品が、容器の中で互いに隣接した状態に位置する。使用される成型品の体積は、例えば、それらの製造方法によっては限定されない。便宜上、体積は、好ましくは約0.1cm、好ましくは0.3cm、より好ましくは、少なくとも約0.5cm、さらに好ましくは、少なくとも約0.6cmである。使用される体積の上限は、便宜上、約6cm、好ましくは約5cm、より好ましくは、約4cmである。特に、成型品の大きさは、成型品について所望の投与形態、または外用の部位によって決まる。したがって、外用の化粧品としてまたは医薬品としての使用においては、大きな体表面または毛髪への塗布(例えば、背中などへの湿った成型品の直接の塗布、または入浴剤としての使用)により、大きな成型品を使用することができ、一方、小さい成型品は、体の小さい領域(例えば、頬など)に使用する際に好ましい。
【0038】
大きさは、また、経口投与のための成型品の製造に適合させることもできる。例えば、成型品の大きさは、関連のあるターゲットグループに合うようにできると考えられる。高齢の使用者には、より取り扱いやすい大きな成型品を提供し、例えば、若い使用者や子供には、彼らの体の大きさに合わせ、彼らの年齢から予測される用途に合わせた成型品が提供されることが考えられる。
【0039】
便宜上、成型品の直径(任意の幾何学的形状の成型品の中の2点間の最大距離)は、少なくとも約3mm、好ましくは少なくとも約5mm、より好ましくは少なくとも約7mm、さらに好ましくは、少なくとも約8mm、便宜上は60mmまで、好ましくは約50mmまで、より好ましくは約40mmまで、さらに好ましくは約30mmまでである。
【0040】
上記の理由から、特に好ましい成型品は、略球状の幾何学的形状を有し、球の直径は3mm〜30mm、好ましくは5mm〜20mm、より好ましくは7mm〜15mm、さらに好ましくは8mm〜14mmである。直径が少なくとも6mmである球形の成型品が特に好ましい。
【0041】
本発明の凍結乾燥成型品には、少なくとも1種類以上の活性物質が含まれ、好ましくは、少なくとも1種類の活性物質が、凍結乾燥された全組成物基準で少なくとも50重量%、または好ましくは50重量%を上回る量で含まれる。活性物質には、特に、外用、ならびに経口投与または経口的な用途に適している、化粧品用または治療用または医薬品用の活性物質が含まれる。好ましくは、本発明にしたがって使用される成型品には、少なくとも1種類の化粧品用および/または医薬品用の活性物質が含まれる。したがって、本発明の凍結乾燥成型品は、化粧品または治療用の製品であることが好ましい。
【0042】
化粧品用の成型品または本発明の意味に含まれる化粧品用の活性物質を使用して製造された成型品は、これらが疾患、障害、身体の異常、または病気による不快感を緩和するかあるいは取り除くために主に意図されない限りは、German Food and Feed Code(LFGB)の意味に含まれる実質的な生成物、すなわち、外見もしくは体臭をきれいにする、整える、またはそれらに影響を与えるため、あるいは、嗅覚によって印象を伝えるために、ヒトへの外用が意図される物質、あるいはそのような物質由来の調製物である。この意味では、本発明にしたがって使用される化粧品用の成型品は、例えば、入浴剤、皮膚の洗浄およびクレンジング用の製品、皮膚のケア用製品、特に、顔面皮膚のケア用製品、目の化粧品、唇のケア用製品、爪のケア用製品、足のケア用製品、頭髪のケア用製品であり(特に、頭髪の洗浄用製品、ヘアーコンディショナー製品、頭髪を軟化させるリンスなど)、太陽光線防護用の製品、日焼け用の製品、および美白化粧品、脱色用の製品、防臭剤、抗ハイドロテック剤(antihydrotic)、脱毛剤、防虫剤など、あるいはこのような製品の組み合わせである。
【0043】
化粧品用の、または状況によっては、例えば、皮膚科学的に治療上有効な物質の例は以下のものがあり得る:抗にきび剤、抗菌剤、抗蒸散剤、収斂剤、防臭剤、脱毛剤、皮膚の状態を整える製品、皮膚を滑らかにする製品、皮膚の水和状態を高める製品(例えば、グリセリンまたは尿素)、日焼け防止剤、角質溶解薬、フリーラジカル用のフリーラジカル捕捉剤、抗脂漏症剤、フケ防止剤、防腐性のある活性物質、皮膚の老化の兆候を処置するための活性物質、ならびに/あるいは、皮膚の分化および/または増殖および/または色素沈着を調節する薬剤、ビタミンC(アスコルビン酸)等のビタミン類、およびその誘導体、例えば、グリコシド(例えば、アスコルビルグルコシドまたはアスコルビン酸のエステル、例えば、アスコルビルリン酸ナトリウムまたはアスコビルリン酸マグネシウムまたはパルミチン酸アスコルビルおよびステアリン酸アスコルビル、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸リン酸エステルのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩);L−アスコルビン酸リン酸エステルのアルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩およびカルシウム塩);L−アスコルビン酸リン酸エステルの三価の金属塩(例えば、アルミニウム塩);L−アスコルビン酸硫酸エステルのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩);L−アスコルビン酸硫酸エステルのアルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩およびカルシウム塩);L−アスコルビン酸硫酸エステルの三価の金属塩(例えば、アルミニウム塩);L−アスコルビン酸エステルのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩);L−アスコルビン酸エステルのアルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩およびカルシウム塩);ならびに、L−アスコルビン酸エステルの三価の金属塩(例えば、アルミニウム塩))。
【0044】
刺激性の副作用を有する活性物質、例えば、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、α−ケト酸、β−ケト酸、レチノイド類(レチノール、レチナール、レチノイン酸)、アントラリン類(ジオキシアントラノール)、アントラノイド類、過酸化物(特に、過酸化ベンゾイル)、ミノキシジル、リチウム塩類、代謝拮抗物質、ビタミンDおよびその誘導体、カテキン類、フラボノイド類、セラミド類、多価不飽和脂肪酸、必須脂肪酸(例えば、γ−リノレン酸)、酵素、補酵素、酵素阻害剤、水和剤、皮膚沈静剤、洗剤または発泡剤、および無機もしくは合成の艶消充填剤(matting filler)、または、ファンデーション用の顔料もしくは着色剤および粒子等の化粧品用の物質、化粧品用製剤、ならびに、目、唇、および顔の化粧による美化および着色のための他の製品、ならびに研磨剤。
【0045】
さらに、植物性物質の抽出物、またはそれから得られる抽出物あるいは個々の物質も挙げることができる。一般に、植物性活性物質の抽出物は、通常は、以下からなる群から選択される:固体の植物抽出物、液体の植物抽出物、親水性植物抽出物、親油性植物抽出物、植物の個々の成分;およびフラボノイドやそのアグリコンのようなそれらの混合物:ルチン、ケルセチン、ジオスミン、ハイペロサイド、(ネオ)へスペリジン、へスペリチン、イチョウ(Ginkgo biloba)(例えば、イチョウフラボングリコシド)、クラテグス(Crataegus)抽出物(例えば、オリゴマーのプロシアニジン)、そば粉(例えば、ルチン)、エンジュ(Sophora japonica)(例えば、ルチン)、樺の葉(例えば、ケルセチングリコシド、ハイペロサイド、およびルチン)、セイヨウニワトコ(例えば、ルチン)、ライムブロッサム(lime blossom)(例えば、ケルセチンおよびファルネソールを含むエッセンシャルオイル)、セントジョーンズワート(St. John’s wort)の油(例えば、オリーブオイル抽出物)、キンセンカ、アルニカ(例えば、エッセンシャルオイルを含む花の油性溶媒抽出物、フラボノイドを含む極性抽出物)、メリッサ(例えば、フラボン、エッセンシャルオイル)、免疫賦活剤:エキナセアプルプレア(Echinacea purpurea)(例えば、アルコール抽出物、フレッシュ樹液、圧搾ジュース)、エレウテロコッカスセンテコサス(Eleutherokokkus senticosus);アルカロイド:ラウオルフィア(Rauwolfia)(例えば、プラジマリン(Prajmalin))、ニチニチソウ(例えば、ビンカミン);他の植物生薬:アロエ、トチノキ(例えば、アエシン)、ニンニク(例えば、ニンニク油)、パイナップル(例えば、ブロメリン)、朝鮮人参(例えば、ジンセノサイド)、ミルクシスル(Silybum marianum)の実(例えば、シリマリンに標準化した抽出物)、ナギイカダ(Butcher’s broom)の根(例えば、ラスコゲニン)、カノコソウ(例えば、バレポトリエート、Tct.ヴァレリアン(Tct. Valerianae))、カバカバ(Kava−Kava)(例えば、カバラクトン)、ホップ(例えば、ホップビター物質)、パッシフローラ(passiflorae)抽出物、リンドウ(例えば、エタノール抽出物)、アントラキノン含有薬物抽出物、例えば、アロイン含有アロエベラジュース、花粉抽出物、藻類抽出物、甘草抽出物、ヤシ抽出物、ガルフィミア(galphimia)(例えば、母液)、ヤドリギ(例えば、水−エタノール抽出物)、フィトステロール(例えば、β−シトステリン)、モウズイカ(水−アルコール抽出物)、モウセンゴケ(例えば、リキュールワイン抽出物)、シーバックソーン(sea−buckthorn)の果実(例えば、これから抽出したジュースまたはシーバックソーンオイル)、ウスベニタチアオイの根、プリムローズ根抽出物、以下から選択される新鮮な植物抽出物:ゼニアオイ、ヒレハリソウ、セイヨウキヅタ、つくし、ノコギリソウ、ヘラオオバコ(例えば、圧搾ジュース)、イラクサ、クサノオウ、パセリ;ノロレナロバタ(Norolaena lobata)、ミントマリーゴールド、テーオマジーム(Teeoma siems)、苦瓜から選択される植物抽出物、ならびにアロエ抽出物。
【0046】
好ましい化粧品用および医薬品用の活性物質には、特に、水分の添加によって引き起こされる分解または減成に関する高い不安定性を有する活性物質が含まれ、これはさらに、活性物質、いわゆる酸性活性物質中の酸性基により、水溶液中で酸性のpH値を生じる。化粧品において広く使用されるこれらの不安定で、凝固点を下げる酸性の活性物質のグループから選択される特に好ましい活性物質は、アスコルビン酸(ビタミンC)およびその誘導体であるか、またはビタミンAおよびその誘導体である。
【0047】
概ね化粧品に使用される上記成型品とは対照的に、治療的に使用される成型品(医薬品)は、少なくとも1種類の医薬品用または治療用の活性物質、特に皮膚化学的活性物質を含む成型品であり、これは、「Arzneimittelgesetz」(独国医薬品法)の意味においては、病気、疾患、身体の損傷または病理的障害の治癒、軽減、または予防が意図される。そのような薬剤または活性物質は、外用、ならびに経口投与または経口的な用途のいずれについても意図される。
【0048】
外用のための活性物質は、特に、皮膚への作用を有し、経皮的活性物質でもある。これらには例えば、以下が含まれる:皮膚病の治療剤、外用鎮痛剤(例えば、デキストロプロポクシフェン、ペンタゾシン、ぺチジン、ブプレノルフィン);抗リューマチ剤/消炎剤(NSAR)(例えば、インドメタシン、ジクロフェナック、ナプロキセン、ケトプロフェン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、サリチル酸およびその誘導体(例えば、アセチルサリチル酸オキシカム));ステロイドホルモン(例えば、ベタメタゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニソロン、エチニルエストラジオール、メドロエルゴタミン、ジヒトロエルゴトキシン);痛風治療薬(例えば、ベンズブロマロン、アロプリノール);以下を含む皮膚用外用剤:抗菌剤(例えば、銀塩またはコロイド状の銀)、抗真菌薬、抗ウィルス活性物質、抗炎症活性物質、止痒活性物質、麻酔活性物質(例えば、ベンゾカイン)、コルチコイド、抗にきび薬、抗寄生虫活性物質;外用ホルモン;静脈治療剤;免疫抑制剤など。これらは全て外用である。
【0049】
好ましい外用の治療剤は、鎮痛剤、例えば、免疫抑制剤、ホルモン、神経皮膚炎、アトピー性皮膚炎、ニキビ、酒さなどのような皮膚病治療薬、および抗ヘルペス剤である。
【0050】
経口投与または経口的な用途のための治療用活性物質は、以下のグループから選択することができる:抗ヒスタミン剤、抗生物質、ペプチド薬、抗菌剤、気管支治療薬(bronchial therapeutics)(例えば、抗喘息薬、鎮咳薬、粘液溶解薬など)、抗糖尿病薬(例えば、グリベンクラミド)、ホルモン、ステロイドホルモン(例えば、デキサメタゾン)、強心配糖体(例えば、ジギトキシン)、心臓と循環器の治療薬(例えば、β−遮断薬、不整脈治療剤、抗高張液(antihypertonic)、カルシウム拮抗剤など)、向精神薬および抗鬱剤(例えば、三環系抗鬱薬(NSMRI)、セロトニン特異的再取り込み阻害剤(SSRI)、ノルエピネフィリン再取り込み阻害剤(NRI)、セロトニンおよびノルエピネフィリン再取り込み阻害剤(SNRI)、モノアミノオキシダーゼ阻害剤(MAO阻害剤)など)、神経弛緩薬、鎮痙剤、または抗癲癇薬、睡眠薬、鎮静剤、麻酔薬、消化管治療薬、脂質低下薬、鎮痛剤(例えば、偏頭痛薬、パラセタモール、サリチル酸、およびその誘導体(例えば、アセチルサリチル酸、ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフィン、ナプロキセンなど))、消炎剤、血管拡張剤、利尿剤、痛風治療薬、細胞増殖抑制剤、筋弛緩剤、植物抽出物、プロビタミン(例えば、β−カロテン)、ビタミン類(例えば、ビタミンC、A、B、Eなど)、ケイ酸、ミネラル、および微量元素(例えば、カリウム、マグネシウム、カルシウム、セレニウム、ヨードなど)、栄養補助食品、ならびに保健食品など。これらは全て経口投与用および経口的な用途用である。
【0051】
外用、ならびに経口投与または経口的な用途の両方に使用される、不安定で、酸性の、凝固点を下げる物質のグループから選択される、特に好ましい医薬品用の活性物質は、サリチル酸およびその誘導体、例えば、アセチルサリチル酸(ASS)である。他の好ましい不安定な、酸性の、凝固点を下げる活性物質は、クロフィブリン酸、イブプロフェン、ジェムフィブロジル、フェノプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、インドメタシン、ベンザフィブレート、トルフェナミン酸、ジクロフェナク、マクロフェナミン酸、パラセタモール、アシトレチン、アクリバスチン、アザライン酸、クロモリン、エタクリン酸、フロセミド、ペニシリンおよびその誘導体、リセドロン酸およびその誘導体、リポ酸、ならびにウルソジオールである。
【0052】
本発明の凍結乾燥成型品は、いずれも凍結乾燥成型品の全組成物基準で、50重量%以上、好ましくは75重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上の活性物質の含有を特徴とする。50重量%を超える活性物質の含有が特に好ましい。
【0053】
これらは、特に、酸性活性物質、すなわち、活性物質中の酸性基により水溶液中で酸性のpH値を生じる活性物質のグループから選択される活性物質である。そのような酸性活性物質は、特に、その1重量%の溶液または水懸濁液が、20℃で7未満のpH値を有する活性物質であるか、あるいは、25℃でpKa値が7以下である活性物質である。
【0054】
ここで、pKa値とは、酸解離定数(acid constant)Ksの負の10を底とする対数(negative decadic logarithm)を示す。この酸解離定数は物質定数であり、プロトリシス下での水との平衡反応における物質(HA)反応の程度についての情報をもたらす。
【0055】
【数1】

【0056】
ここで、HAは、ブレンステッド酸(ブレンステッドにちなむ)を示し、これは、水等の溶媒にプロトンHを供与して、陰イオンAを残すことができる。より一般的には、ブレンステッドの定義は、非水性系にも適用され、この場合、任意のプロトン化可能な溶媒Yについて以下が当てはまる:
【0057】
【数2】

【0058】
ここで、酸解離定数Ksは、この反応の平衡定数を示し、酸の強度の尺度である。酸が強いほど、反応は右項にシフトする。これは、pKs値が小さいほど、酸が強いことを示す。
【0059】
pKs値は、いわゆる半滴定法においてpHを測定することによって求められる。このプロセスでは、濃度が分かっている酸の溶液が提供され、pH値が、例えば、pH測定用プローブによって測定される。その後、酸は、提供された酸と同じ価数の塩基の標準溶液で一部中和される。このプロセスでは、提供された酸の物質量の正確に半分が添加される。pH値がここで再び求められる。以下が当てはまる:
【0060】
【数3】

【0061】
物質量の半量の添加後は、c[A]=c[HA]であるので、いわゆる半滴定点にpKs=pHが成り立つ。
【0062】
このような酸性活性物質は、pH値依存性の高い解離傾向を有しており、そのため、活性物質が中性からアルカリ性のpH値の範囲では解離した形態で、したがって高いイオン濃度で存在する。そして、そのような高いイオン濃度は、凍結乾燥プロセスに対して上記の悪影響を及ぼす凝固点を低下させる作用を生じる。そのため、前述の活性物質を凍結乾燥プロセスによって安定な凍結乾燥された形態にうまく変換できないか、または極めて低い濃度でしか存在しないか、または非常に長い乾燥時間で超低温での処理による極めて高いコストがかかってしまう。
【0063】
好ましい実施形態では、本発明の凍結乾燥成型品には、凍結乾燥成型品の全組成物基準で、アスコルビン酸およびその誘導体のグループから50重量%以上の活性物質が含まれる。
別の好ましい実施形態では、本発明の凍結乾燥成型品には、凍結乾燥成型品の全組成物基準で、サリチル酸およびその誘導体のグループから、好ましくはアセチルサリチル酸およびその誘導体のグループから、50重量%以上の活性物質が含まれる。
【0064】
したがって、前述の活性物質は、一般的には、本発明の方法と本発明の組成物を用いて凍結乾燥させることができる。これは、それらのpH値依存性の解離傾向により、特に高濃度において、水の凝固点を下げ、ひいては、凝固点を下げる効果を有するからである。
凝固点を下げる(または、融点を下げる)という用語は、溶液の融点が純粋な液体の融点よりも低い現象を示す。
【0065】
希釈された溶液については、凝固点の低下ΔTは、溶解した物質の重量モル濃度nに比例する。
【0066】
【数4】

【0067】
このプロセスにおいて、溶媒1kgあたりに溶解した物質1モルあたりの凝固点は、溶媒特異的値ずつ下がる。この値は、凝固点降下定数Enと呼ばれ、これは溶媒だけに依存し、溶解した物質には依存しない(水の場合は、この値は1.86(K・kg)/molである)。これはラウールの法則と、以下のクラウジウス−クラペイロンの式から導くことができる:
【0068】
【数5】

【0069】
式中、Rは、一般的な気体定数=8.314472J/(mol・K)であり、Tgは、Kでの溶媒の凝固点であり、LSは、J/kgでの溶媒の特異的な潜熱(specific latent heat)である。
【0070】
この関係は、高希釈溶液(濃度0.1mol/L未満)だけに当てはまる。すなわち、高濃度の溶液中では、成分の活性(成分および水の濃度ではない)を考慮しなければならない。
【0071】
本明細書中では、塩、酸、および塩基(電解質)は水溶液中で解離することに留意しなければならない。結果として、この電離により、明らかになった凝固点の低下は、モル濃度に基づいて予想されるよりも大きい。
【0072】
特に、アスコルビン酸(ビタミンC)およびその誘導体、またはサリチル酸およびその誘導体(例えば、アセチルサリチル酸)等、それらの活性基により電離する活性物質について、即溶解性で、大きく、機械的に安定な凍結乾燥成型品中で、活性物質が高濃度であっても、活性物質の組成物のpH値を7未満に調節することを含む本発明の方法によって、水分に対する安定化を行うことができる。選択されたpH範囲により、酸−塩基平衡は酸性側にシフトし、その結果、解離したイオンは存在せず、活性物質は電気的に中性の形態で存在する。したがって、凝固点を下げる傾向は小さくなり、電離傾向がある活性物質の融解の課題はなくなり、高濃度活性物質の組成物を、成型品の質および安定性を全く損なうことなく凍結乾燥させることができる。さらに、酸性活性物質が解離していない形態でその中に存在する活性物質の組成物の提供もまた、解離していない活性物質(例えば、解離していないアスコルビン酸)がすでに良好な化学的安定性を有しており、さらには、投与に際して良好な生体利用性をも有するので、好ましい
【0073】
さらに、酸性pH値を有している凍結乾燥成型品の組成物は効果的である。というのは、そのような酸性組成物は活性物質(このpH値範囲では含まれていない)の皮膚浸透の向上を皮膚投与および局所投与において可能にするからである。
さらに、酸性の凍結乾燥成型品は、先に説明されたように、低い吸湿傾向を有する。その理由は、プロトン化された形態の酸性活性物質は、イオンの形態で存在するプロトン化されていない、解離した活性物質ほどは吸湿性を示さないからである。記載すべき高吸湿傾向を有するプロトン化されていない形態の酸性活性物質の一例は、例えば、アスコルビン酸ナトリウムである。
【0074】
したがって、本発明の凍結乾燥成型品は、1重量%の水溶液または水懸濁液中で、20℃で、pH値が7以下、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.0以下、特に好ましくは4.0以下である。6未満または4未満のpH値が特に好ましい。
【0075】
本発明の凍結乾燥成型品にはさらに、タンパク質を除く少なくとも1種類の足場形成剤が、全組成物基準で15重量%以下の量で含まれる。足場形成剤は、一般的には、いわゆる親水コロイド、すなわち、(部分的に)水溶性の、天然または合成のポリマーであり、これは、水溶液系の中でゲルまたは粘性溶液を形成する。足場形成剤が、多糖類、ムコ多糖類、動物性ポリアミノ糖類(例えば、キチンまたはその誘導体、具体的には、キトサン)から、あるいは、グルコサミノグリカン、ならびに合成ポリマー(例えば、特に、陽イオンによって修飾された澱粉または陽イオンによって修飾されたカルボキシメチルセルロースのグループのもの)から選択されることが適切である。足場形成剤は、多糖類のグループから選択されることが好ましい。多糖類としては、例えば、ホモグリカンまたはヘテログリカン(例えば、アルギン酸塩、特に、アルギン酸ナトリウム)、カラギーン(本明細書中では、英語名カラギーナンとも呼ばれる)、ペクチン、トラガカントガム、グアーガム、カルボガム、寒天、アラビアガム、プルラン、トレハロース、キサンタンガム、天然および修飾された(例えば、陽イオンで修飾された)澱粉、デキストラン、デキストリン、マルトデキストリン、グルカン(例えば、β−1,3−グルカンまたはβ−1,4−グルカン、例えば、セルロース)、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸など)、ならびに動物性のポリアミノ糖類(例えば、キチンまたは特にキトサン等のその誘導体)である。合成ポリマーには、例えば、以下が含まれる:セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、合成のセルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、陽イオンで修飾されたカルボキシメチルセルロース、セルロースエステル、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロースエーテル)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリメタクリレート(PMA)、ポリエチレングリコールなど。いくつかの足場形成剤の混合物もまた使用することができる。
【0076】
好ましい実施形態では、本発明の凍結乾燥成型品には、陽イオン性の足場形成剤のグループから選択される少なくとも1種類の足場形成剤が含まれる。一般的には、これらは、生理学的環境条件(室温、中性のpH値の範囲、水性環境)下で、それらの表面上に負電荷よりも正電荷を多く持つ足場形成剤であると理解される。
【0077】
特に、陽イオンで修飾されたポリマーには、陽イオン基によってその中のポリマー骨格の少なくとも1つの側鎖基が置換されているものが含まれる。本発明によれば、陽イオンによって修飾されたポリマーは、置換度(Sga)が1%以上であることが特に好ましい。この場合、置換度は、修飾されたポリマー中の陽イオン基のタイプに応じて、当業者に公知のそれぞれに適している標準的な試験方法にしたがって求めることができる。
【0078】
一般的に陽イオン性ポリマーまたは足場形成剤という用語には、具体的に、特に、キトサン等の修飾されたキチン誘導体が含まれるが、カチオン化セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)またはカチオン化澱粉等の、他の化学的に修飾された生体ポリマーもまた含まれる。
この場合は、セルロースまたは澱粉等の多糖類をベースとする陽イオン性の生体ポリマーに、ポリマーの側鎖の中のいくつかのヒドロキシ基が、カチオン基または酸性媒体中でプロトン化によって陽イオン性の基に変換させることができる基でエーテル化されているものが含まれる。これらの置換基は、例えば、三級アミノ基または四級アンモニウム塩、あるいは、スルホニウム基またはホスホニウム基からなってもよい。
【0079】
特に好ましい実施形態では、足場形成剤は、陽イオン性の足場形成剤であるキトサン、および/または陽イオンで修飾された澱粉、および/または陽イオンで修飾されたカルボキシメチルセルロースのグループから選択される。
【0080】
本発明に特に好ましい他の足場形成剤は、ヒアルロン酸、および特にアルギン酸ナトリウム等のアルギン酸塩である。
例えば、純粋な、乾燥された、添加剤を含まない活性物質と比較して、本発明の活性物質の成型品において少量の足場形成剤を使用することは、一方では、適用性と取り扱いに関して、特に外用において役割を果たす、適切な投与形態で活性物質を提供できるようにするために不可欠である。この場合、特に、外用の活性物質の成型品に関しては、足場形成剤の割合が、再水和されたかまたは溶解した活性物質の成型品の質感の形成に重要である。その結果、溶解した活性物質は皮膚または頭髪に十分に適用できる。対照的に、純粋な活性物質の水溶液は流れてしまい、粘性がないために、明らかな理由から外用には適さない
【0081】
他方で、足場形成剤の割合(本発明ではすでに少量であるが)は、活性物質の成型品の安定性に関して、決定的に重要な貢献をする。これらのすでに少ない量により、パッケージング、保存、取り扱い、および使用において十分な機械的安定性を有する一定の、均一な幾何学的形状になるように活性物質を変えることは達成可能である。特に、驚くべきことに、本発明の足場形成剤の含有量は、機械的摩耗から十分に保護される非ダスティング(non−dusting)活性物質成形品を提供するのにすでに十分であることが明らかとなった。
【0082】
本発明によれば、足場形成剤として使用されることが好ましい多糖類は、約10から約10、好ましくは約10から約10の平均モル質量を有することが適している。
【0083】
本発明の凍結乾燥成型品は、いずれも凍結乾燥成型品の全組成物基準で、15重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下の足場形成剤を含むことを特徴とする。
【0084】
足場形成剤は、皮膚適合性かつ粘膜適合性であり、外用される際にも、経口投与または経口的に投与される際にも、毒性である可能性、刺激作用、または他の不和性反応を有さない。これらは、薬理学的には全体として無害であり、したがって場合により、本発明による化粧品用および医薬品用の外用、および経口または経口的な使用のための担体材料として適している。
【0085】
用語「タンパク質を除く足場形成剤」が、本発明の意味においては、酵素、ホルモンなどのようなタンパク質をベースとする活性物質の存在を排除しないことも、明確にするために、述べられなければならない。これらの足場形成剤(特に多糖類)はまた、特定の治療効果も有し得る。したがって、足場形成剤であるアルギン酸(ナトリウム)(これが使用されることが好ましい)は、いくらかの抗ウイルス作用を有しており、上皮細胞再形成(re−epithelization)における一定の作用、ならびに皮膚のケアにおける抗酸化剤および保湿剤としての一定の作用は、ヒアルロン酸によるものである。しかし、これらは、本発明の意味では活性物質ではない。
【0086】
本発明にしたがって使用される成型品にはさらに、場合により1種類以上の補助物質が含まれる。補助物質には以下が含まれる:pH調整剤、緩衝物質、無機および有機酸または塩基、鉱油等の脂肪物質(例えば、パラフィン油、ワセリン油、シリコン油)、植物性油(例えば、ココナッツ油、スイートアーモンド油、アプリコット油、コーン油、ホホバ油、オリーブ油、アボカド油、ゴマ油、パーム油、ユーカリ油、ローズマリー油、ラベンダー油、マツ油、タイム油、ミント油、カルダモン油、橙花油、大豆油、ぬか油、米油、菜種油およびヒマシ油)、小麦の胚種油およびそれから単離されたビタミンE、月見草油)、植物性のレシチン(例えば、大豆レシチン)、植物性、動物性の脂または脂肪から単離されたスフィンゴ脂質/セラミド(例えば、獣脂)、ラノリン、酪酸の油(butyric oil)、脂肪酸エステル、トリグリセリド等の脂肪アルコールのエステル、ならびに、皮膚の温度に相当する融点を持つワックス(動物性ワックス(例えば、蜜ロウ、カルナバワックス、およびキャンデリラワックス(candelilla wax)、ミネラルワックス(例えば、微結晶性ワックス)、および合成のワックス(例えば、ポリエチレンワックスまたはシリコンワックス))、ならびに美容目的に適している全ての油(いわゆる、化粧品用の油)(例えば、CFTA 論文、題名 Cosmetic Ingredient Handbook,第1版,1988年,The Cosmetic,Toiletry and Fragrance Association,Inc.,Washingtonに記載されているもの)、上記の洗浄用界面活性剤に加えて界面活性剤(例えば、分散剤、乳化剤など)、賦形剤、安定剤、共溶媒、医薬品用もしくは化粧品用に一般的に使用されるかまたは他の着色剤および顔料(特に、成型品の色のデザインに主に使用され、人体への投与および色のデザインには使用されないもの(例えば、活性物質のグループに列挙された装飾用の着色剤、保存剤、軟化剤、潤滑剤としての顔料および着色剤)。
【0087】
特に好ましい補助物質は、pH値を所望の7以下、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、特に好ましくは4以下に調整するための塩酸である。
さらに、油脂のグループ、特に、上記の化粧品用の油(例えば、特に、ホホバ油、スクワレン、またはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(中性油))のグループから選択される補助物質が好ましい。
本発明によれば、好ましい他の補助物質は、pH調整用の緩衝液物質および不活性な賦形剤である。
一般的には、上記物質を、本発明の文脈での補助物質のカテゴリーへ分類することは、該補助物質が特定の美容的効果および/または治療的効果を有することを妨げず、上記好適に用いられる化粧品用油に特に適用される。
補助物質は、全組成物基準で、最大25重量%の量で本発明の凍結乾燥成型品に加えることができる
【0088】
本発明の成型品は、ヒトおよび動物において、外用の化粧品および医薬品、および経口または経口的な使用に役立つ。本発明の成型品は、水もしくは1種類以上の活性物質および/または1種類以上の補助物質を含む水溶液で湿らされるかまたは溶解されて、外用に使用される。液体量と、使用される成型品の材料の溶解度に応じて、成型品は、溶液を形成しつつ完全に溶解可能であるか、あるいは、ゲルを形成しつつ分解可能である。
【0089】
好ましくは、保湿効果のあるアルコール(例えば、グリセリン、ブチレングリコール、またはペンチレングリコール)をさらに含む水溶液、ならびに、低粘性(50mPas未満)で、油を含まないか油の含有量が少ない(水溶液の全組成物基準で10重量%未満の)水溶液が使用される。さらに、特に、カルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオン等のアルカリ土類イオンを含まない(水溶液の全組成物基準で1重量%未満のカルシウムおよび/またはマグネシウムイオンが含まれる)活性剤溶液、ならびに、約4.0から8.0の間のpH値を有している活性剤溶液が好ましい。
【0090】
入浴剤としての用途に適している水量での本発明の成型品の溶液も、本発明によれば、外用に含まれる。しかし、成型品が少量のおよそ0.5ml〜5.0mlの水、または活性物質および/または補助物質の溶液で湿らされると同時に、皮膚もしくは毛髪上に直接、または適切な容器の中で溶液またはゲルが形成し、30秒以内で完全に分解されるような使用が行われることが好ましい。好ましくは、凍結乾燥成型品は、このプロセスにおいては残渣を有し溶解する。この場合、溶解は、わずかな機械的影響(例えば、攪拌、摩擦、押しつぶし、またはマッサージ)下で行われることが好ましい。
【0091】
本発明はまた、一体の空間的配置(アプリケーションパッケージ、セット、パーツキットなど)での、本発明にしたがって使用される少なくとも1種類の成型品、ならびに1種類以上の活性物質および/または少なくとも1種類以上の補助物質を含む少なくとも1種類の水溶液(いわゆる活性剤溶液)との組み合わせに関する。活性物質の溶液は、例えば、生産プロセス(例えば、精油、香料などの特定の成分)により、凍結乾燥による成型品の中に導入されるべきではないか、または導入することができない揮発性が高い活性物質および/または補助物質の溶液であり得る。皮膚への外用に関して特に所望され、好ましい保湿効果があり、この保湿効果が原因であるか、もしくは吸湿傾向が原因で、水分不安定性の活性物質の安定性がこれ以上維持できないことから本発明の凍結乾燥成型品に取り込ませることができない活性物質および/または補助物質もまた含有可能である。
【0092】
一方では、本発明の成型品と、他方では、活性物質の溶液とのパーツキットの組み合わせの構成により、これらの2種類の成分は、パーツキット構成から別々に取り出すことができ、さらに使用するためにその外側で混合され、溶解されることを可能にする。しかし、2種類の成分の混合が、パーツキットのパッケージング自体の中で行われること、およびその後、溶解した成分が、さらなる化粧品または医薬品としての外用、経口および/または経口的な使用のためにそこから直接供給されることもまた考えられる。最終使用者がこれを直接行うことができることが好ましい。
【0093】
本発明の成型品には、1種類以上の活性物質が、少なくとも50重量%、好ましくは75重量%、またはより好ましくは90重量%、またはさらに好ましくは95重量%、あるいはそれ以上含まれる。水分不安定性の酸性活性物質、特に、電離傾向を有しており、したがって、凝固点を下げる効果があるものが特に好ましく、アスコルビン酸(ビタミンC)およびその誘導体、ならびに/またはサリチル酸およびその誘導体(例えば、アセチルサリチル酸(ASS))が特に好ましい。
【0094】
全乾燥組成物中の活性物質の含有量は、例えば、DIN,Pharmacopeia,Amtliche Sammlung von Untersuchungsverfahren(ASU,Official Collection of Testing Methods)などにしたがって認められている適切な分析方法によって求めることができる。適切な方法の選択は、当然、活性物質の種類に依存する。具体的に、アスコルビン酸(ビタミンC)およびその誘導体、ならびに/またはサリチル酸およびその誘導体(例えば、アセチルサリチル酸(ASS))等の特に好ましい活性物質は、高速液体クロマトグラフィー法(HPLC)によって分析することができる。ビタミンCおよびアセチルサリチル酸の定量ためのHPLC法は、場合により試料調製を調節して、USP31,NF26,第2巻,2008年による公式な研究論文「Aspirin Tablets」および「Ascorbic acid Injections」から採用することができる。
【0095】
存在する活性物質および/または可能なさらなる補助物質の存在する量とタイプに応じて、本発明の成型品には、凍結乾燥成型品の全重量基準で、最大約15重量%の足場形成剤、好ましくは、いずれも凍結乾燥成型品の全組成物基準で、最大10重量%またはそれ未満、より好ましくは最大7重量%、なおより好ましくは5重量%未満の足場形成剤が、多糖類(例えば、アルギン酸ナトリウムまたはヒアルロン酸)またはポアリアミノ糖類(例えば、キトサン)または陽イオンで修飾された多糖類(例えば、陽イオンで修飾された澱粉または陽イオンで修飾されたカルボキシメチルセルロース)とともに含まれることが特に好ましい。
【0096】
全乾燥組成中の足場形成剤の全含有量は、この場合は、存在するポリマー鎖の加水分解と、その後の、個々の単量体成分のクロマトグラフィーによる定量的検出によって求めることができる。異なる足場形成剤と、特別な活性物質および補助物質の特別な組み合わせのために、この方法を使用できない場合には、定量的なポリマー含有量は、全重量と、定量的に求めることができる補助物質および活性物質および水との差から数学的に求めることができる。処方の個々の成分を求めるための定量的方法は、すでに上記で言及された方法の公式な蔵書から取り入れられる。
【0097】
成型品には、全組成物基準で、最大約25重量%の1種類以上の補助物質、好ましくは最大10重量%、より好ましくは5重量%未満の1種類以上の補助物質が含まれ得る。
好ましい補助物質は、油脂のグループから、特に、化粧品用の油のグループから選択される。これらは、本発明の成型品の中に、最大50重量%、より好ましくは25重量%の量で含まれ得る。
さらに好ましい補助物質は、pH調整剤のグループから選択される。塩化水素酸がこの場合に特に好ましい。これは、成型品の組成物のpH値を7以下、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下に調整するために、場合により使用される。活性物質、足場形成剤、および状況に応じた他の補助物質の組成物自体がすでに、本発明にしたがってpH値が所望の7未満である場合には、pH調整剤の添加の工程は省略される。
【0098】
場合により、成型品にはまた残留水も含まれる。しかし、本発明によれば、成型品に含まれる活性物質は、水分に対して特に安定化させられるので、水含有量は可能な限り少なく保たれなければならない。活性物質の種類(親水性、疎水性)に応じて、水含有量は、全組成物基準で最大10重量%であり得る。水含有量は、凍結乾燥による成型品の製造後、保存中に変化する可能性がある。原則として、これは高くなる。好ましくは、その製造後の成型品の水含有量は、最大10重量%、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満であり、驚くべきことに、本発明の本質的な特徴として、組成物のpH値を7以下、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下へ調整することを含む、本発明の成型品を製造するための本発明の方法により、残留水分を、pH値の調整工程を行わずに製造された、例えば独国特許出願公開第10248314号に開示されているような公知の成型品と比較して、成型品を乾燥させる際に有意に低下させることができる。成型品の残留水分が生成により低下することにより、活性物質のさらなる安定化を達成することができる。
【0099】
特に好ましい成型品には:
・1種類以上の活性物質を50重量%以上、特に、酸性活性物質(例えば、アスコルビン酸(ビタミンC)もしくはその誘導体、またはサリチル酸もしくはその誘導体(例えば、アセチルサリチル酸(ASS))
・1種類以上足場形成剤を15重量%以下、好ましくは、低粘度足場形成剤、特に、他糖類(例えば、ヒアルロン酸および/またはアルギン酸ナトリウム、特にカルシウムを含まないアルギン酸ナトリウム)、あるいは陽イオン性の足場形成剤(例えば、特に、ポリアミノ糖類のグループから選択されるキトサン)、または陽イオンで修飾された多糖類(例えば、カチオン化澱粉もしくはカチオン化カルボキシメチルセルロース)
・1種類以上の補助物質を25重量%以下、(例えば、特に、化粧品用の油)、ならびにpH調整剤(例えば、ヒアルロン酸)、および
・最大10重量%、好ましくは最大5重量%、より好ましくは1重量%未満の水が含まれる。
ただし、成型品は足場形成剤としてのタンパク質を含まず、そしてその1重量%の水溶液もしくは水懸濁液は、20℃でpH値が7未満であるという条件である。
【0100】
好ましくは、上記組成の成型品のような、1種類以上の活性物質を少なくとも50重量%と、タンパク質を除く1種類以上の足場形成剤を最大15重量%とを含む本発明の成型品は:
・その1重量%の水溶液または水懸濁液中で、20℃で測定された場合に、pH値が6以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下であり、
・密度が0.005g/cm3から0.8g/cm3、好ましくは0.01g/cm3から0.8g/cm3であり、
・体積が0.1cm3から6cm3、好ましくは0.8cm3から6cm3であり、
・直径が少なくとも6mm(成型品の2点間の最大距離)であり、および/または
・好ましくは、球状の立体構造を有し、特に好ましくは球形である。
本発明の成型品は、(場合によりコーティングが存在することを除いて)複数の成分が均一に分布している多孔性の成型品を構成する。
【0101】
例えば、上記の成型品のような本発明の成型品は:
・少なくとも70重量%の水、
・少なくとも5重量%の多価アルコール、
・最大10重量%の、特に、化粧品用の活性物質のグループから選択される活性物質のような、1種類以上の活性物質、
・特に、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドおよび適切な乳化剤等の化粧品用の油のグループから選択される補助物質等の、最大20重量%の1種類以上の補助物質を含み、5〜7のpH値と、さらには、特に1重量%未満の、カルシウムおよび/またはマグネシウムイオン等のアルカリ土類イオンの含有量を有している、水性液体/活性剤溶液で溶解させられることが好ましい。
【0102】
PharmEUの試験装置を用いて「錠剤とカプセル剤の分解時間」を測定するための方法にしたがって測定される、本発明で使用される成型品の溶解速度は、30秒未満であり、さらに好ましくは20秒未満である(11mmの直径を有している成型品の場合には、10秒未満後には完全に水和されており、認められるコアはない)。
【0103】
本発明の成型品は以下の工程を含む方法によって得られる:
(a) タンパク質を除く1種類以上の足場形成剤、1種類以上の活性物質、ならびに1種類以上の補助物質を含む水溶液または水懸濁液を調製する工程と、
(b) 場合により、この水溶液または水懸濁液のpH値を7未満に調整する工程と、
(c) この混合物を型に注ぐ工程と、
(d) 型の中の混合物を凍結させる工程と、
(e) 凍結させた混合物を凍結乾燥させると同時に、成型品を形成させる工程とを含む。
【0104】
水溶液または水懸濁液のpH値が、工程(b)において、6未満、さらに好ましくは4未満に調整されることが好ましい。
場合により、他の工程を、これらの工程の間で行うことができる。具体的には、工程(d)の後に、型から凍結させた成型品を取り出すことができる。さらに、その後、機械処理によって、あるいは例えば、活性物質の溶液、着色剤溶液、および/もしくは溶解速度を変化させる物質を塗布するかまたは吹き付けることによって、凍結させた成型品の表面の処理を行うことが可能である。しかし、成型品は、表面コーティングを持たない、均一な構造であることが、成型品全体に等しく成分が分散されるという意味で好ましい。
【0105】
製造は、最初に、足場形成剤の水溶液を調製し、続いて活性物質(単数または複数)、ならびに場合により1種類以上の補助物質を添加し、混合することによって行われることが好都合である。場合により、全ての構成成分を混合した後、所望のpH値が、7以下、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下になるように、場合によりpH調整剤のグループから選択される補助物質を添加することによって調整される
【0106】
十分な機械的安定性を有している成型品を提供するためには、溶液または懸濁液が特定の濃度の足場形成剤を有することが不可欠である。ただし、本発明によれば、濃度は、全組成物基準で最大15重量%である。それぞれの正確な濃度は、当然、使用される足場形成剤のタイプに依存する。これは、溶液全量基準で、少なくとも約0.3重量%、好ましくは少なくとも約0.5重量%から約1.0重量%、好ましくは3.0重量%未満、さらに好ましくは1.5重量%未満である(溶液の全重量に基づく足場形成剤の重量)ことが好都合である。
【0107】
足場形成剤、活性物質、および補助物質のような、溶液または懸濁液中に含まれる固体の量は、得られる成型品の密度(成型品の幾何学的形態の体積に対する成型品の重量)に重要な影響を与える。そして、密度は、成型品の多孔性に重要な量であり、したがって、水、または活性物質および/もしくは補助物質の溶液で湿らされた場合の成型品の溶解速度について重要な量である。多孔性の材料の大きな表面により、水相と固体の成型品との間での徹底的な交換が再水和プロセスの間に起こり得るので、凍結乾燥成型品の多孔性の構造は、即溶解性に不可欠な条件である。溶液中での活性物質の濃度、足場形成剤の濃度、ならびに状況によっては補助物質の濃度が高いほど密度は高くなり、それにより、成型品の多孔性の程度は下がり、逆もまた同様である。しかし、成型品の多孔性の程度は、材料の密度だけによるものではない。むしろ、物質の多孔性は、実質的には、材料の密度と氷晶の大きさの2つのパラメーターの関数である。水懸濁液中での高い固体含有量は、凍結乾燥された最終的な生成物中での材料の密度を増大させ、再水和剤/固体間の接触表面を小さくする。凍結勾配が大きいと小さい氷晶を生じ、これは、大きな物質内表面をもたらし、次いで再水和を促進する。したがって、低い材料密度と小さい氷晶が、凍結乾燥成型品の急速な湿潤と溶解に有利である。
【0108】
それらの電離により、水の凝固点を下げる活性物質(例えば、アスコルビン酸(ビタミンC)またはアセチルサリチル酸)の高い濃度が、ここでは、エマルションにおいて使用される場合には、原則的に、大きな氷晶が形成され、凍結プロセスにおける一般的な問題点が生じる。高濃度の活性物質を含む凍結させることができない水が大量に生じ、これは結果として、凍結乾燥の際の凍結乾燥された生成物の部分的な構造崩壊を導く。成型品は「融解する」。
【0109】
それぞれ、多孔性の密度/程度と溶解速度に関して、本発明の成型品の処方での製剤と製造は、それを用いて得られる成型品の密度が約0.01g/cm3から0.8g/cm3、好ましくは約0.015g/cm3から0.5g/cm3、好ましくは約0.02g/cm3から0.25g/cm3となるように構成される。用語、密度は、本明細書中で使用される場合は、組成物の外側の幾何学的形状の体積に対する成型品の重量を示す。
【0110】
個々の成型品の重量は、当然、それらの大きさに依存する。一般的には、個々の成型品の重量は、約10mgから300mg、好ましくは20mgから200mgである。例えば、11mmの直径を有している球は、好ましくは20mgから150mg、より好ましくは50mgから125mgまでの範囲の重量を有する。対応する好ましい範囲は、他の直径を有している球について計算される。
【0111】
氷晶の形成/多孔性の程度に関しては、驚くべきことに、融解の課題と、それに付随する活性物質(特に、解離性の酸−塩基基を持つ酸性活性物質)の高濃度での取り込みの際に凍結させることができない水を高含有量で含む大きな氷晶の形成を、一方では、溶解していない酸側に酸−塩基平衡をシフトさせるために、pH値を7以下、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下に調整することによって、そして他方では、成型品を、少なくとも−20℃未満であらゆる角度から同時に凍結させる凍結のための形状を選択することによって、解決できることが明らかになった。例えば、冷風を吹き付けることによって型の中で凍結させるこの方法は、融解しない水の割合を最小限にまで減らし、結果として、その後に乾燥をより高温で行うことができ、これは次いで、凍結乾燥プロセスのコストを大幅に下げる。加えて、特に、球形等の球状の立体配置は、活性物質を高含有量で含む成型品の乾燥に有益である。その理由は、球形の有益な表面積/体積比により、生成物全体の昇華があらゆる角度に対称に向かい、小さい距離となるように向けられるからであり、これは次いで、昇華の際の蒸気の移動を促進する。
【0112】
凍結乾燥させられる溶液は、足場形成剤の溶液が最初に調製され、そしてその後、活性物質または場合により含まれる補助物質が足場形成剤の溶液の中に取り込まれる方法で調製されることが好ましい。油溶性の活性物質が使用される場合は、これらは、補助物質として場合により使用される油(特に、スクワレン、ホホバ油、およびトリグリセリド)で溶解されることが好ましく、その後、足場形成剤の溶液に添加される。この生成製造方法は、安定な溶液または懸濁液が短時間に形成される点で有効である。乳化剤または界面活性剤(例えば、洗浄用界面活性剤)は必要ないか、または極少量が必要であり、油溶性もしくは油性の補助物質または活性物質が使用される場合には、処理の際に溶液または懸濁液の相分離は起こらない。しかし、水溶性の活性物質が使用されることが好ましい。
【0113】
このように製造された溶液または懸濁液は、次いで、成型品に対応する所望の幾何学的形状の空洞を有している型に注がれる。型は、ゴム、シリコンゴム、加硫ゴム(ゴム)製などが好ましい。ゴム製の型が好ましい。型材は、場合によりコーティングされ得る。その中に溶液が注ぎ込まれる成型品の空洞は、一般的には、所望の成型品の形状を有している。すなわち、空洞の体積は、後に得られる成型品の体積に実質的に相当する。
【0114】
空洞の中に充填される溶液または懸濁液の容積は、凍結させると増える(水と氷の密度の差)ので、空洞は、通常は完全には充填されない。この方法で、完全に対称な成型品が得られる。例えば、これは、低温不活性な溶液(例えば、液体窒素)中へ滴下する方法によっては不可能である。なぜなら、この場合は、非対称な温度分布が起こり、結果として、均一な形態からの多少の狂いが毎回生じるからである。しかし、このような不均一な形状の成型品は、化粧品用の最終生成物の分野では特に望ましくない。一般に、これは、滴下法によって製造された成型品には、本発明で使用されるような方法には必要のない機械的な後処理が必要であることを意味する。滴下法によって製造された成型品の場合には、この方法ではかなりの凹凸が外面上に生じ、これは大きな成型品の場合にはより顕著になるので、そのような後処理が成型品の体積が大きくなるに伴いさらに必要となる。
【0115】
溶液が型の空洞に充填された後、溶液または懸濁液は凍結させられる。溶液の冷却または凍結は、任意の方法で、例えば、冷風を吹き付けること、冷たい食塩水が流れているプレート上に置くことによって冷却することで、または液体ガスの中に型を浸すこと(例えば、液体窒素の中に浸すこと)でも行うことができる。このプロセスの冷却速度は、形成される氷晶の大きさに影響を与える。これは次いで、形成される成型品の孔の大きさの分布に影響を与える。いくつかの大きい結晶が形成される場合は、成型品はいくつかの大きな孔を示す。これは、上記の理由、すなわち、凝固点を下げる活性物質を高濃度で取り込ませる際の融解の課題が生じるので望ましくない。多くの小さい結晶が形成される場合には、成型品は多くの小さい孔を有する。溶液または懸濁液の冷却速度が速いほど、結晶は小さくなる。先に説明されたように、成型品が少なくとも−20℃未満であらゆる角度から同時に凍結される凍結形状が好ましい。
【0116】
必要な凍結温度は、特に、溶液または懸濁液の中に含まれる活性物質または補助物質の凝固点を下げる作用の大きさがどの程度大きいかに依存する。温度は、水の凝固点未満から、液体窒素の温度(−196℃)までが好ましい。好ましくは、凍結温度は、約−20℃から−80℃、好ましくは−25℃から−45℃である。溶液または懸濁液が凍結された後、成型品が型から取り出され、必要である場合には後処理が行われる。後処理は、機械によって、例えば、表面処理(研磨、粗化によって行うことができる。さらに、塩溶液の吹き付け(例えば、特に、アルギン酸ナトリウムおよび多価金属イオンの塩溶液が使用される場合に、足場形成剤の溶解しにくい形態を形成させるため)等の、コーティング処理が可能である。さらに、着色された溶液を、凍結された成型品の表面に塗布することができ、これによって着色された成型品が得られる。
【0117】
その後、成型品は凍結乾燥プロセスに供される。凍結乾燥は、それ自体公知の方法で、例えば、独国特許出願公開第4328329C2号明細書、独国特許出願公開第4028622C2号明細書、または独国特許出願公開第10350654A1号明細書にも記載されているような一般的に知られている凍結乾燥プロセスにしたがって行うことができる。
【0118】
本発明には具体的に、以下の好ましい実施形態が含まれる:
[1]いずれも凍結乾燥成型品の全組成物基準で:1種類以上の活性物質を50重量%以上、およびタンパク質を除く1種類以上の足場形成剤を15重量%以下、ならびに場合により、1種類以上の補助物質を含み、その1重量%の水溶液または水性懸濁液が20℃でpH値が7未満であることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
【0119】
[2][1]に記載の凍結乾燥成型品において、いずれも凍結乾燥成型品の全組成物基準で、75重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは、95重量%以上の活性物質の含有量を含むことを特徴とする、凍結乾燥成型品。
[3][1]または[2]に記載の凍結乾燥成型品において、活性物質の1重量%の水溶液または水懸濁液が、20℃でpH値が7未満であることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
[4][1]から[3]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、活性物質が、25℃でpKa値が7以下である酸性活性物質のグループから選択されることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
【0120】
[5][1]から[4]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、活性物質が、アスコルビン酸およびその誘導体、ならびにサリチル酸およびその誘導体、特に、アセチルサリチル酸、クロフィブリン酸、イブプロフェン、ジェムフィブロジル、フェノプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、インドメタシン、ベンザフィブレート、トルフェナミン酸、ジクロフェナク、マクロフェナミン酸、パラセタモール、アシトレチン、アクリバスチン、アザライン酸、クロモリン、エタクリン酸、フロセミド、ペニシリンおよびその誘導体、ビタミンAおよびその誘導体、リセドロン酸およびその誘導体、リポ酸、ならびにウルソジオールからなるグループより選択されることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
【0121】
[6][1]から[5]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、アスコルビン酸およびその誘導体のグループから選択される活性物質が、凍結乾燥成型品の全組成物基準で、50重量%以上含まれることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
[7][1]から[5]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、サリチル酸およびその誘導体のグループ、好ましくは、アセチルサリチル酸およびその誘導体のグループから選択される活性物質が、凍結乾燥成型品の全組成物基準で、50重量%以上含まれることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
【0122】
[8][1]から[7]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、いずれの場合も凍結乾燥成型品の全組成物基準で、10重量%以下、より好ましくは5重量%以下の足場形成剤を有していることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
[9][1]から[8]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、足場形成剤が、多糖類、ポリアミノ糖類、グルコサミノグリカン、および/または合成ポリマー、またはそれらの混合物のグループから、好ましくは、多糖類およびポリアミノ糖類のグループから選択されることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
[10][9]に記載の凍結乾燥成型品において、少なくとも1種類の足場形成剤が、陽イオン性の足場形成剤のグループから選択されることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
【0123】
[11][1]から[10]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、少なくとも1種類の足場形成剤が、キトサンおよび/またはカチオン化澱粉および/またはカチオン化カルボキシメチルセルロースであることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
[12][1]から[9]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、少なくとも1種類の足場形成剤が、アルギン酸塩のグループから、好ましくは、アルギン酸ナトリウムのグループから選択されることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
[13][1]から[12]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、その1重量%の水溶液または水懸濁液が、20℃でpH値が6.0以下、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下であることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
【0124】
[14][1]から[13]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、その1重量%の水溶液または水懸濁液は、20℃で、pH値が6.0未満であり、活性物質は、25℃でpKa値が7以下である酸性活性物質のグループから選択されることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
[15][1]から[14]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、その1重量%の水溶液または水懸濁液は、20℃で、pH値が4.0未満であり、活性物質は、25℃でpKa値が7以下である酸性活性物質のグループから選択されることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
[16][1]から[13]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、凍結乾燥成型品の全組成物基準で、15重量%未満の足場形成剤の含有量を有しており、活性物質が、25℃でpKa値が7以下である酸性活性物質のグループから選択されることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
【0125】
[17][1]から[16]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、液体が添加されると30秒以内で完全に分解されることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
[18][1]から[17]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、0.1cm3から6cm3の体積、0.01g/cm3から0.8g/cm3の密度、および/または少なくとも6mmの直径を有している球状の幾何学的形状を有していることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
【0126】
[19]以下の工程を含む、[1]から[18]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品の生成製造方法:
(a)タンパク質を除く1種類以上の足場形成剤、1種類以上の活性物質、ならびに1種類以上の補助物質を含む水溶液または水性懸濁液を調製する工程と、
(b)場合により、この水溶液または水性懸濁液のpH値を7未満に調整する工程と、
(c)この混合物を型に注ぐ工程と、
(d)型の中の混合物を凍結させる工程と、
(e)凍結させた混合物を凍結乾燥させると同時に、成型品を形成させる工程とを含む。
【0127】
[20][19]に記載の方法において、工程(d)による凍結された混合物が、工程(e)の凍結乾燥の前に型からはずされることを特徴とする方法。
[21][19]または[20]に記載の方法において、pH値が、工程(b)において6未満、好ましくは4未満に調整されることを特徴とする方法。
[22][19]から[21]のいずれかに記載の方法にしたがって得られる、凍結乾燥成型品。
【0128】
[23][1]から[18]または[22]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品の化粧品としての使用。
[24][1]から[18]または[22]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品の治療薬としての使用。
[25][23]または[24]に記載の使用において、投与が外用によって行われることを特徴とする使用。
【0129】
[26][23]から[25]のいずれかに記載の使用において、凍結乾燥成型品が水、または1種類以上の活性物質および/または場合により補助物質の水溶液で湿らされ、分解され、その後、皮膚または毛髪に塗布されることを特徴とする使用。
[27][1]から[18]または[22]のいずれかに記載の凍結乾燥成型品の使用において、活性物質の経口投与または経口的な用途のためであることを特徴とする使用。
【0130】
[28][1]から[18]または[22]のいずれかに記載の少なくとも1種類の凍結乾燥成型品、ならびに、1種類以上の活性物質および/または場合により1種類以上の補助物質を含む少なくとも1つの水溶液を、一体の空間的配置の中に含むことを特徴とする、パーツキットの組み合わせ。
[29][28]に記載のパーツキットの組み合わせの化粧品としての使用。
[30][28]に記載のパーツキットの組み合わせの治療薬としての使用。
[31][23]から[27]および[29]から[30]のいずれかに記載の使用において、使用が最終使用者によって直接行われることを特徴とする使用。
【0131】
本発明は以下の実施例によってさらに詳細に説明される。
【実施例】
【0132】
[実施例1(アスコルビン酸の球、直径11mm)]
ヒアルロン酸を含むアスコルビン酸
1.0g ヒアルロン酸
16.0g アスコルビン酸
83.0g 水
1.0gのヒアルロン酸を、攪拌しながら83.0gの水に添加し、均質均一になるように混合する。その後、16.0gのアスコルビン酸を攪拌しながら添加し、混合物(pH値が3.0以下である)を、処理中、0〜10℃の温度で維持する。均質均一な(脱気した)混合物を型に注ぎ、風を吹きつけることによって凍結させ、型からはずし、その後、それ自体が公知の方法で凍結乾燥させる。
【0133】
凍結乾燥成型品には以下が含まれる:
94.1重量%のアスコルビン酸
5.9重量%のヒアルロン酸
凍結乾燥成型品の溶解速度は、PharmEUの試験装置を用いて「錠剤とカプセル剤の分解時間」を測定するための方法にしたがって測定した場合には、10秒未満である。
【0134】
[実施例2(アスコルビン酸の球、直径11mm)]
実施例1の混合物を、型に充填する前に、希水酸化ナトリウム水溶液(0.1mol/L)でpH3.0に調整する。
凍結乾燥成型品の溶解速度は、PharmEUの試験装置を用いて「錠剤とカプセル剤の分解時間」を測定するための方法にしたがって測定した場合には、5秒未満である。
【0135】
[実施例3(アスコルビン酸の球、直径13mm)]
キトサンを含むアスコルビン酸
0.9g キトサン
17.6g アスコルビン酸
81.5g 水
0.9gのキトサンを、攪拌しながら81.5gの水に添加し、均質均一になるように混合する。キトサンを、濃塩酸を添加することによって溶解させ、キトサンの溶解後、3.0のpH値にする。その後、17.6gのアスコルビン酸を攪拌しながら添加し、混合物(pH値が3未満である)を、処理中、0〜10℃の温度で維持する。均質均一な(脱気した)混合物を型に注ぎ、風を吹きつけることによって凍結させ、型からはずし、その後、それ自体が公知の方法で凍結乾燥させる。
【0136】
凍結乾燥成型品には以下が含まれる:
95.1重量%のアスコルビン酸
4.8重量%のキトサン
凍結乾燥成型品の溶解速度は、PharmEUの試験装置を用いて「錠剤とカプセル剤の分解時間」を測定するための方法にしたがって測定した場合には、10秒未満である。
【0137】
[実施例4(アスコルビン酸の球、直径13mm)]
実施例3の混合物を、型に充填する前に、希水酸化ナトリウム水溶液(0.1mol/L)でpH3.0に調整する。
凍結乾燥成型品の溶解速度は、PharmEUの試験装置を用いて「錠剤とカプセル剤の分解時間」を測定するための方法にしたがって測定した場合には、10秒未満である。
【0138】
[実施例5(アルギン酸+カルボキシメチルセルロース+ヒアルロン酸を含むアスコルビン酸の球、直径15mm)]
0.5g アルギン酸ナトリウム
0.5g ヒアルロン酸ナトリウム
0.5g カルボキシメチルセルロースナトリウム
9.0g アスコルビン酸
89.5g 水
0.5gのアルギン酸ナトリウム、0.5gのヒアルロン酸塩、および0.5gのカルボキシメチルセルロースナトリウムを、攪拌しながら89.5gの水に添加し、均質均一になるように混合する。その後、9.0gのアスコルビン酸を攪拌しながら添加し、混合物(pH値が3未満である)を、処理中、0〜10℃の温度で維持する。均質均一な(脱気した)混合物を型に注ぎ、風を吹きつけることによって凍結させ、型からはずし、その後、それ自体が公知の方法で凍結乾燥させる。
【0139】
凍結乾燥成型品には以下が含まれる:
85.7重量%のアスコルビン酸
4.8重量%のヒアルロン酸
4.8重量%のアルギン酸ナトリウム
4.8重量%のカルボキシメチルセルロースナトリウム
凍結乾燥成型品の溶解速度は、PharmEUの試験装置を用いて「錠剤とカプセル剤の分解時間」を測定するための方法にしたがって測定した場合には、10秒未満である。
【0140】
[実施例6(アルギン酸塩を含むアセチルサリチル酸、直径9mm)]
0.8g アルギン酸ナトリウム
0.3g カラギーナン
5.0g 中性油
4.0g PEG−40水素化ヒマシ油
13.0g アセチルサリチル酸
76.9g 水
0.8gのアルギン酸ナトリウム、0.3gのカラギーナンを、攪拌しながら76.9gの水に添加し、均質均一になるように混合する。13gのアセチルサリチル酸を、5gの中性油および4gのPEG−40水素化ヒマシ油の中でスラリーとする。このスラリーを攪拌しながらアルギン酸塩−カラギーナン懸濁液に添加する。次いで、混合物を、希塩酸でpH値3未満に調整する。均質均一な(脱気した)混合物を型に注ぎ、風を吹きつけることによって凍結させ、型からはずし、その後、それ自体が公知の方法で凍結乾燥させる。
【0141】
凍結乾燥成型品には以下が含まれる:
56.3% アセチルサリチル酸
21.6% 中性油
17.3% PEG−40水素化ヒマシ油
3.5% アルギン酸ナトリウム
1.3% カラギーナン
凍結乾燥成型品の溶解速度は、PharmEUの試験装置を用いて「錠剤とカプセル剤の分解時間」を測定するための方法にしたがって測定した場合には、10秒未満である。
【0142】
[実施例7(キトサンを含むアセチルサリチル酸の球、直径9mm)]
1.0g キトサン
5.0g 中性油
4.0g PEG−40水素化ヒマシ油
13.0g アセチルサリチル酸
77.0g 水
1.0gのキトサンを、濃塩酸を添加しつつ、攪拌しながら77.0gの水に添加し、溶解させる。このキトサンの溶液を、3.0のpH値にする。13gのアセチルサリチル酸を、5gの中性油および4gのPEG−40水素化ヒマシ油の中でスラリーとする。このスラリーを攪拌しながらキトサン懸濁液に添加する。次いで、混合物を、希塩酸でpH値を3以下に調整する。均一な(脱気した)混合物を型に注ぎ、風を吹きつけることによって凍結させ、型からはずし、その後、それ自体が公知の方法で凍結乾燥させる。
【0143】
凍結乾燥成型品には以下が含まれる:
56.5% アセチルサリチル酸
21.8% 中性油
17.4% PEG−40水素化ヒマシ油
4.3% キトサン
凍結乾燥成型品の溶解速度は、PharmEUの試験装置を用いて「錠剤とカプセル剤の分解時間」を測定するための方法にしたがって測定した場合には、5秒未満である
【0144】
[実施例8(アスコルビン酸の球+カチオン化澱粉、直径11mm)]
カチオン化澱粉を含むアスコルビン酸
2.0g カチオン化澱粉
16.0g アスコルビン酸
82.0g 水
2.0gのカチオン化澱粉を、攪拌しながら82.0gの水に添加し、均質均一になるように混合する。その後、16.0gのアスコルビン酸を攪拌しながら添加し、混合物(pH値が3.0以下である)を、処理中、0〜10℃の温度で維持する。均質均一な(脱気した)混合物を型に注ぎ、風を吹きつけることによって凍結させ、型からはずし、その後、それ自体が公知の方法で凍結乾燥させる。
【0145】
凍結乾燥成型品には以下が含まれる:
11.1重量%のカチオン化澱粉
88.9重量%のアスコルビン酸
凍結乾燥成型品の溶解速度は、PharmEUの試験装置を用いて「錠剤とカプセル剤の分解時間」を測定するための方法にしたがって測定した場合には、5秒未満である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
いずれも凍結乾燥成型品の全組成物基準で:1種類以上の活性物質を50重量%以上と、およびタンパク質を除く1種類以上の足場形成剤を15重量%以下と、ならびに場合により、1種類以上の補助物質とを含み、その1重量%の水溶液または水懸濁液が20℃でpH値が7未満であることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
【請求項2】
請求項1に記載の凍結乾燥成型品において、いずれも凍結乾燥成型品の全組成物基準で、75重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは、95重量%以上の活性物質を含むことを特徴とする、凍結乾燥成型品。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の凍結乾燥成型品において、活性物質が、25℃でpKa値が7以下である酸性活性物質のグループから選択されることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、アスコルビン酸およびその誘導体のグループ、またはサリチル酸およびその誘導体のグループ由来、好ましくは、アセチルサリチル酸およびその誘導体のグループから選択される活性物質が、凍結乾燥成型品の全組成物基準で、50重量%以上含まれることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、いずれの場合も凍結乾燥成型品の全組成物基準で、10重量%以下、より好ましくは5重量%以下の足場形成剤を含むことを特徴とする、凍結乾燥成型品。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、足場形成剤が、多糖類、ポリアミノ糖類、グルコサミノグリカン、および/または合成ポリマー、あるいはそれらの混合物のグループから、好ましくは、多糖類およびポリアミノ糖類のグループから選択されることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、少なくとも1種類の足場形成剤が、キトサンまたはアルギン酸塩、好ましくは、アルギン酸ナトリウムであることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、その1重量%の水溶液または水懸濁液が、20℃でpH値が6.0以下、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下であることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の凍結乾燥成型品において、液体が添加されると30秒以内で完全に分解されることを特徴とする、凍結乾燥成型品。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の凍結乾燥成型品の製造方法であって、
(a)タンパク質を除く1種類以上の足場形成剤、1種類以上の活性物質、ならびに1種類以上の補助物質を含む水溶液または水懸濁液を調製する工程と、
(b)場合により、前記水溶液または水懸濁液のpH値を7未満に調整する工程と、
(c)混合物を型に注ぐ工程と、
(d)型の中の前記混合物を凍結させる工程と、
(e)凍結させた前記混合物を凍結乾燥させると同時に、成型品を形成させる工程とを含む。
【請求項11】
請求項10に記載の方法にしたがって得られる、凍結乾燥成型品。
【請求項12】
請求項1から請求項9または請求項11のいずれかに記載の凍結乾燥成型品の、化粧品または治療薬としての使用。
【請求項13】
請求項12に記載の使用において、凍結乾燥成型品が水、または1種類以上の活性物質および/または場合により補助物質の水溶液で湿らされ、分解され、その後、皮膚または毛髪に塗布されることを特徴とする使用。
【請求項14】
請求項1から請求項9または請求項11のいずれかに記載の凍結乾燥成型品の使用において、活性物質の経口投与または経口的な用途のためであることを特徴とする、使用。
【請求項15】
請求項1から請求項9または請求項11のいずれかに記載の少なくとも1種類の凍結乾燥成型品、ならびに、1種類以上の活性物質および/または場合により1種類以上の補助物質を含む少なくとも1つの水溶液を、一体の空間的配置の中に含むパーツキットの組み合わせ。

【公開番号】特開2010−254690(P2010−254690A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−97405(P2010−97405)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(509044785)ドクトル ズーヴェラッハ スキン アンド ヘルス ケア アーゲー (6)
【Fターム(参考)】