説明

流体ディスペンスノズル

容器から液体を所望の、略矩形のスプレーパターンでディスペンスするためのノズルが提供される。ノズルは、容器からの液体を受容すべく構成された入口端と、出口端と、を有し、アクチュエータ出口端が出口チャンバを画定する、アクチュエータを含む。インサートは、アクチュエータ出口端に結合されると共に、出口チャンバと流体連通するインサート通路を画定する。インサートは、出口チャンバの下流に配置される第一の凸状ショルダと、第一の凸状ショルダの下流に配置されるノズル出口と、を少なくとも含む。凸状ショルダは曲率半径を有してもよく、側壁が収束角度で設けられていてもよい。曲率半径及び収束角度は、一般的なエアロゾル缶圧力を用いて所望の流量で所望のスプレーパターンを取得すべく一定の範囲で提供されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して流体ディスペンスデバイスに関し、より詳しくは、所望のスプレーカバレージパターン(coverage pattern)を形成するためのノズルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
スプレーノズルは、種々の異なる容器から流体をディスペンス(放出)するために使用されている。容器は、1種の成分又は各種成分の組み合わせを保持することができ、一般的には容器の内容物を排出するために永久的又は一時的な圧力を利用する。容器がエアロゾル缶である場合、例えば、ディスペンスされる1種以上の化学物質又は他の活性成分は通常は溶剤中に混合され、一般的には缶を加圧するため高圧ガスと更に混合される。既知の高圧ガスとして、二酸化炭素、選択された炭化水素ガス、又はプロパン/ブタン混合物などの炭化水素ガスの混合物が挙げられる。便宜上、本願明細書ではディスペンスされる材料を化学的性質又は意図された機能に関係なく単に「活性物質」と呼ぶこととする。
【0003】
活性物質/高圧ガス混合物は、エアロゾル缶内に一定の、しかし必ずしも連続的でない圧力下で保管され得る。リリースバルブが缶の上端に取り付けられ、通常は閉位置にある。作動用(アクティベータ)ボタンは、下方向又は横方向などの所定の方向へ押圧された際にリリースバルブを開位置へ移動させるようにリリースバルブに結合される。スプレーされる活性物質は乳化状態、単相、多相、及び/又は一部気相として排出されてもよい。活性物質としては昆虫防除剤(例えば、高圧ガス、殺虫剤、成長調整剤)、芳香剤、殺菌剤、洗浄剤、ワックス又は他の表面処理剤、及び/又は防臭剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0004】
単純な構成において、バルブ制御ステムへの圧力は、ステムに取り付けられると共に缶の内容物をボタン側部の出口へと導く内部通路を有するボタンへの指の圧力により提供されることができる。バルブが起動されると、缶の内容物が内部通路を通って出口へと通過することが許可され、これにより周辺環境へと排出されるスプレーが形成される。
【0005】
非エアロゾル用途においては、容器の内容物を排出するために一時的な圧力が用いられる。例えば、トリガポンプは、容器内の浸漬管を通じて流体を送り、スプレーノズルから最終的に排出するために手動の力を用いる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のノズルにより形成されるスプレーパターンは、多くの家事の用途に特段適しているわけではない。従来のノズルは一般的に円錐型のスプレージェットを形成し、一貫性のない、非一様な表面のカバレージ(被覆域)を生じる。更に、正方形又は矩形形状を有する平面(シャワー壁など)を処理する際、円錐形状のスプレージェットを壁の表面全体に均一に行き渡らせることは極めて困難であることが多い。実際には、円錐形状のスプレージェットがコーナー部に到達する際には必ずその一部が隣接表面に到達するとなり、過剰なスプレーが発生する。比較的平坦な扇形状のスプレージェットを形成する他のノズルが知られている。扇形状のジェットは過剰なスプレーを要さずにコーナーに到達することが可能であるものの、ディスペンスされる製品はスプレーパターン全体に亘って均一に分散されず、比較的平坦なパターンをカバーされるべき表面全体に到達させるには使用者は過度に移動しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に従うと、容器からの液体を受容すべく構成された入口端と、出口端と、を有し、アクチュエータ出口端は出口チャンバを画定する、アクチュエータを有する、容器から液体をディスペンスするためのノズルが提供される。インサートは、アクチュエータ出口端に結合されると共に出口チャンバと流体連通するインサート通路を画定し、該インサートは、出口チャンバの下流に配置される第一の凸状ショルダ(肩部)と、第一の凸状ショルダの下流に配置されるノズル出口と、を含む。
【0008】
別の実施形態に従うと、容器から液体をディスペンスするためのノズルは、容器からの液体を受容すべく構成された入口端と、出口端と、を有し、アクチュエータ出口端が円筒形の内壁と、少なくとも部分的に内壁を通って延出し環状出口チャンバを画定するセンターポストと、を含む、アクチュエータを含んでいてもよい。インサートは、アクチュエータ出口端に結合されると共に、出口チャンバと流体連通するインサート通路を画定する入口端を有する。インサートは、入口通路の下流に配置されると共に、対向する第一及び第二の凸状ショルダ(肩部)を有する遷移チャンバと、第一及び第二の凸状ショルダ間に延出する対向する第一及び第二の平面壁と、第一及び第二の凸状ショルダの下流に配置されるノズル出口と、を更に定義する。
【0009】
更に別の諸実施形態に従うと、アクチュエータを有する、液体の容器と共に用いるノズルインサートが提供され、アクチュエータは容器からの液体を受容すべく構成された入口端と、出口端と、を有し、アクチュエータ出口端は出口チャンバを画定する。ノズルインサートは、アクチュエータ出口端に結合されると共に出口チャンバと流体連通するインサート通路を画定する、入口端を含んでいてもよい。遷移チャンバが入口通路の下流に配置されると共に入口通路と流体連通し、遷移チャンバ内に、直径方向に対向する第一及び第二の凸状ショルダが配置される。直径方向に対向する第一及び第二の平面壁が第一及び第二の凸状ショルダ間に延出し、第一及び第二の平面壁の各々が収束角度に配置される。ノズル出口が第一及び第二の凸状ショルダの下流に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本開示に従って構成された、ノズルインサート及びアクチュエータを有するエアロゾル缶の、一部を断面図とした側面図である。
【図2】ノズルインサートの拡大斜視図である。
【図3】インサートの正面図である。
【図4】インサートの側面図である。
【図5】図3の断面線5−5に沿ったインサートの断面図である。
【図6】図3の断面線6−6に沿ったインサート及びアクチュエータキャップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示のより深い理解のため、添付の図面により詳細に示されている諸実施形態を参照すべきである。
【0012】
図面は必ずしも実際の大きさに忠実でなく、開示された諸実施形態は図式的に及び部分図として示されている場合があることを理解されたい。本開示の理解において不必要な詳細や、他の詳細の理解を難しくする詳細を省いている場合がある。当然ながら、本開示は本願明細書に示される特定の諸実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0013】
本願明細書では、拡大された略矩形又は楕円形スプレーパターンを形成することが可能なディスペンスノズルが開示される。例示的なノズルは出口チャネル及び支持ポストを画定するアクチュエータキャップを含む。ノズルインサートはアクチュエータキャップに結合され、出口チャネルと流体連通する。インサートは、出口オリフィスの非遮断部分に向けて流体の流れをガイドする、流れを方向付ける構造を含んでいてもよい。インサートは、出口オリフィスの非遮断部分と位置合わせされた一対の対向する凸状ショルダを有する遷移チャンバを更に含む。更に、遷移チャンバは、ノズル出口に向かって選択された角度で収束する、一対の対向する平面壁を含む。材料が出口オリフィスを通って移動すると、流れを方向付ける構造がショルダに向かう流れをガイドし、比較的広い角度で排出される部分を有するジェットの形態で材料をノズルから排出させ、これにより略楕円形又は矩形スプレーパターンを得る。収束する平面壁は、所望により比較的狭い排出角度を提供する。
【0014】
本願明細書にて使用される場合、用語「スプレージェット」とは、出口オリフィスとターゲット表面との間における材料の三次元形状を指し、用語「スプレーパターン」とは、ノズルが静止状態にあるとき、材料によりカバーされるターゲット表面の二次元領域を指す。
【0015】
スプレーノズルの例示的実施形態が、エアロゾル容器の環境において図1に示されている。但し、本開示の範囲を逸脱することなくトリガポンプなどの他のタイプの容器や排出手段を使用してもよいことを認識されたい。
【0016】
図示されたエアロゾルディスペンサ10は、ディスペンスされる材料を圧力をかけた状態で収容可能な内部チャンバ15を画定する、従来のエアロゾル金属(例えば、アルミニウム又は鋼)缶などの容器12を含む。容器12はその上部エッジをドーム16により閉止されている円筒形の壁14を有する。缶壁14の上部エッジは缶チャイム18を介してドームと結合される。上方に開口したバルブカップ20はドーム16の中央に位置し、ドームに圧着もしくは他の方法にて結合され、従来の方法にてバルブカップリム22を形成する。
【0017】
エアロゾルディスペンサ10は、バルブカップ20及びバルブカップリム22に従来の方法にて圧着される従来のエアロゾルバルブ41(このようなバルブの他の例については、米国特許第5,068,099号などを参照)を含む。エアロゾルバルブ41は、中空であると共にバルブカップ20から軸方向上方に延出するバルブステム34を有する。
【0018】
当該技術において種々の他の従来のエアロゾルバルブが知られている。これらのバルブは各々のバルブステムを下方向及び/又は横方向に移動させることにより起動される。このような起動がなされると、容器内に収容されている加圧材料がディスペンスされ、バルブステムから送り出される。更に他の既知のバルブを非エアロゾル用途に利用できる。
【0019】
アクチュエータ48は、バルブステム44に対し協働関係に取り付けられる。アクチュエータ48は共通エアロゾルボタンの形態でバルブステム34に単独で取り付けられてもよく、あるいはチャイム18又はバルブカップリム22に取り付けられるオーバーキャップ又は他の構造の一部をなしてもよい。アクチュエータをエアロゾル缶に取り付けるための上記代替モードは当該技術でよく知られており、本開示は特定の取り付け方法に限定されない。
【0020】
アクチュエータ48は、アクチュエータ入口端52からアクチュエータ出口端58へ延在するアクチュエータ通路50を有する。アクチュエータ入口端52は、バルブステム54を液密に受容するソケット53を有する。本開示に従うと、ノズルインサート60はアクチュエータ出口端58に取り付けられる。図5及び図6に最もよく示されているように、ノズルインサート60は、入口端61、出口端63及びこれらの間を連通する導管65を有する、長尺の略管状体の形態をとる。ノズルインサート60は従来の射出成形技術により作製可能であり、好適にはポリプロピレン又はポリエチレンなどの弾性プラスチックで作製される。エアロゾルバルブ41が起動されると、ディスペンスされる材料はリリースされ、アクチュエータ通路50を介してアクチュエータを通って移動し、最終的にノズルインサート60から空気中に排出される。
【0021】
図2〜図6に最もよく示されているように、ノズルインサート入口端61は、アクチュエータ出口端58の内壁表面72と摩擦係合するサイズの外壁表面70を含む。内壁表面72は円筒形であり、センターポスト74を囲繞してセンターポスト74との間に環状出口チャンバ76を画定する(図6参照)。インサート60は、インサート通路80を画定する内壁78を更に含む。インサート60がアクチュエータ48と結合されると、センターポスト74はインサート通路の中央部分を遮断して、センターポスト74とインサート内壁78との間に環状流路を画定する。インサート60をセンターポスト74上で中央に位置決めする補助をなすべく、一対の突起82が設けられてもよい。図5及び図6に最もよく示されているように、突起82はインサート内壁78から径方向内側に突出するフィンガの形態をとってもよい。突起82は、センターポスト74の直径方向に対向する部分と摺動により係合するサイズ及び位置に設けられてもよい。但し、突起82はフィンガ以外の構成で設けられてもよく、他の方法にてセンターポスト74と係合されてもよいことを理解されたい。
【0022】
更に、インサート60は、インサート60を通って延在する環状流路の所望の部分に向けて流体の流れを方向付ける障害物を含んでいてもよい。図5及び図6に最もよく示されるように、障害物は、インサート内壁78から内方向に延出するタブ84の形態をとってもよい。タブ84は、センターポスト74と密封係合し、センターポスト74との間の流体の流れを妨げるサイズ及び形状に設けられる。この結果、タブ84は、図6に矢印86で示されるように、流路の非遮断部分に向けて流体の方向を転換させる。障害物は、インサート通路80の所望の領域に向けて流体の流れを方向付けるものであれば、図示されたタブ84以外の形態で設けられてもよい。
【0023】
更に、ノズルインサート60は、より大きい排出角度で材料をディスペンスし、これにより非円錐形状を有するスプレージェットを形成すべく構成されていてもよい。更に、インサート60は、環状流路から排出される流体を受容する遷移チャンバ88を含む。遷移チャンバ88は、流体の流れをノズル出口92に向けて方向付ける、直径方向に対向するショルダ90の形態をとる第一の対のジェット形成面を含む。各ショルダ90は、図6に示されるように略一定の半径の、凸状形状を有すべく構成されていてもよい。ショルダの半径は、以下に更に詳細に議論するように、例えば約0.03〜0.15インチ(0.08〜0.38cm)、好適には約0.05インチ(0.13cm)であってもよい。
【0024】
図示された実施形態は、非円錐形スプレージェット形状を得るために、2つの湾曲した壁及び2つの平面壁を利用する。図3、図5及び図6に最もよく示されているように、ショルダ90は遷移チャンバ壁に、ノズル出口92の「頂部」及び「底部」エッジ92t、92bとつながって形成される。更に、遷移チャンバは、略平面であると共に相互に収束してノズル出口92の「左」及び「右」エッジ92l、92rとつながる2つの側壁91を有する。ショルダ90上を移動する流体は、水平基準線94に対し、平面収束壁91などの、出口につながる平面壁を用いた場合に得られる角度よりも大きい排出角度「α」をもってノズル出口92を通って方向付けられる。従って、湾曲したショルダ90と平面壁91の組み合わせにより、左右側部エッジと比べて大きい出口角度で排出される頂部及び底部エッジを有するスプレージェットが形成され、矩形又は楕円形スプレーパターンを形成する。上記説明において、インサートの方向又は部分を識別するために「頂部」、「底部」、「左」及び「右」という用語を使用したが、これは図面に示される例示的実施形態に関してのみ使用されたものであり、従って、本開示及び添付の請求の範囲は本願明細書に開示される特定の方向に限定されないことが意図されている。
【0025】
出願者らは、排出角度αが、流体が流れるショルダ90の湾曲した表面の曲率半径によって主に影響されることを見出した。より詳細には、出願者らは、排出角度が各ショルダ90の曲率半径R(図6参照)に反比例することを見出した。湾曲したショルダは排出角度に影響を与える角度力(angular force)を流体に付与する。角度力は圧力勾配∂p/∂rとして表すことができ、∂p/∂r=ρVθ2/Rである。ρは流体密度、Vθは流体速度の接線方向成分、Rは流体が流れる表面の曲率半径である。従って、曲率半径が大きくなると、角度力(従って、排出角度α)は小さくなる。この関係及びエアロゾル缶と関連付けられたパラメータに基づいて、曲率半径Rの許容可能な大きさの範囲を見出すことができる。より詳細には、曲率半径が過度に大きいと、排出角度が不適切に小さくなり、所望のスプレーパターンを形成できない。更に、曲率半径が過度に小さい場合、同一の製品流量(放出速度)を得るために缶内に更なる圧力が要求される。範囲の下限に関する更なる実施上の配慮点として、小さい形状の作製は困難かつ高価であるという点がある。試験結果に基づき、出願者らは、一般的なエアロゾル缶圧力下において約0.5〜8.0グラム/秒の流量(放出速度)を維持しながら所望のスプレーパターン結果を得るための曲率半径は好適には約0.03〜0.15インチ(0.08〜0.38cm)であることを見出した。本願明細書にて使用される場合、一般的なエアロゾル缶圧力は約70°Fの標準的な室温における初期缶圧力であり、約1〜100psi、好適には約30〜80psi、より好適には約40〜50psiである。
【0026】
排出角度αに影響を及ぼす他の主要な要素は、平面壁91の収束角度θである。平面壁91は、ショルダ90に対し略垂直に配置されていても排出角度αに影響を及ぼす。図5に最もよく示されているように、平面壁91は水平基準線に対し角度をもって収束する。ここではこの角度を収束角度θとしている。収束角度θの変化は排出角度α及びスプレーパターン全体のカバレージの均一性に影響を及ぼす。試験を通じて、収束角度が過度に大きい場合、許容できない圧力損失が発生することがわかった。収束角度が過度に小さい場合、排出角度が過度に小さくなり(すなわち、製品が所望のスプレーパターンを得るのに十分には扇状に拡散されない)。これらの観察に基づき、出願者らは許容可能な収束角度θの範囲、すなわち約30〜60°を見出した。このうち約45°の角度が好適である。この角度範囲であれば、一般的なエアロゾル缶圧力下において約0.5〜8.0グラム/秒の製品流量(放出速度)で所望のスプレーパターンが十分に維持された。
【0027】
曲率半径R及び収束角度θが上記範囲内にあるとき、所望のスプレーパターンが得られる。より詳細には、特徴のこの組み合わせにより、排出角度αが約30〜37°となり、スプレーパターン全体にわたり一貫した適切なカバレージが得られる。標準的なエアロゾル圧力の下、製品流量(放出速度)を約6.0グラム/秒として再度試験を行ったところ、本願明細書で教示される利益を提供しつつ、製品流量を約0.5〜8.0グラム/秒の範囲内とすることができる。
【0028】
排出角度αに影響を及ぼす第二の要素は、ショルダ90の湾曲した表面とノズル出口92との間の距離である。湾曲した表面により生じる角度力は、流体が平面上を移動する際に消散する。従って、力は湾曲した表面とノズル出口との間の距離、すなわち図6に参照符号「ND」で示される「ノズル距離」として本願明細書で特定された距離に反比例する。よって、ノズル距離が短くなると角度力の大きさ(従って、排出角度)は大きくなる。
【0029】
図3に最もよく示されているように、ノズル出口92は細長い矩形形状に構成されることが望ましい。図示された向きにおいて、ノズル出口92は、高さ「H」よりも大きい幅「W」を有する。この構成により、インサート60は、略矩形の、水平方向寸法よりも垂直方向寸法が大きいスプレーパターンを形成する。
【0030】
動作において、アクチュエータ48はエアロゾルバルブ41を開放し、これにより加圧容器12から流体材料をリリースすべく作動される。流体はアクチュエータ通路50を通ってアクチュエータ出口端へと移動する。インサート60は流体をアクチュエータ出口端から、インサート内壁78とセンターポスト74との間に画定された環状流路に向けて方向付ける。環状流路を流れる流体の一部はタブ84により流路の非遮断部分へと方向を転換される。流体は遷移チャンバ88内へ排出されるまで環状流路を降下する。流体はショルダ90上及び平面壁91上を通過し、これにより流体がより広い垂直排出角度αにてノズル出口92を通って排出される。
【0031】
図示された実施形態ではタブとショルダの両方の使用について議論したが、ショルダのみを使用した場合でも、より広い排出角度を得ることが可能である。
【0032】
諸実施形態について述べたが、当業者には上記説明から変更物及び修正物が明白となろう。上記及び他の変更物は本開示及び添付の請求の範囲の精神及び範囲内の均等物に相当するものとみなす。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本開示は、エアロゾルスプレーストリームを比較的広い排出角度を有するスプレーパターンに変換する際に使用されるノズル、インサート及びアクチュエータ、及びこれらの使用方法を提供する。
<関連出願への相互参照> 本開示は、2007年9月25日に出願された米国仮出願第60/974,941号に基づく優先権を主張する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器から液体を放出するためのノズルであって、
前記容器からの液体を受容すべく構成された入口端と、出口端と、を有し、アクチュエータ出口端が出口チャンバを画定する、アクチュエータと、
前記アクチュエータ出口端に結合されると共に前記出口チャンバと流体連通するインサート通路を画定するインサートであって、前記出口チャンバの下流に配置される第一の凸状ショルダと、前記第一の凸状ショルダの下流に配置されるノズル出口と、を含む、インサートと、
を備えるノズル。
【請求項2】
前記出口チャンバが環状断面形状を有する請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記アクチュエータ出口端が、円筒形の内壁と、少なくとも部分的に前記内壁を通って延出する円筒形のセンターポストとを含み、前記出口チャンバが前記内壁と前記センターポストとの間に画定される、請求項2に記載のノズル。
【請求項4】
前記インサートが、前記アクチュエータ出口チャンバに挿入されるサイズの入口端を含む、請求項3に記載のノズル。
【請求項5】
前記インサート入口端が前記アクチュエータ内壁と摩擦係合するサイズであり、前記インサート入口端が、前記インサート通路を画定する円筒形の内壁を更に含む、請求項4に記載のノズル。
【請求項6】
前記インサートが、前記センターポストと密封係合し、これにより少なくとも前記インサート通路の第一の非遮断部分に向けて流体を方向付けるサイズの第一の障害物を更に含み、前記第一の凸状ショルダが前記インサート通路の第一の非遮断部分と略位置合わせされる、請求項3に記載のノズル。
【請求項7】
前記出口チャンバの下流に配置されると共に、前記第一の凸状ショルダと直径方向に対向して位置決めされる、第二の凸状ショルダを更に含む、請求項1に記載のノズル。
【請求項8】
前記インサートが、前記インサート通路の少なくとも第一及び第二の非遮断部分に向けて流体を方向付けるべく構成された第一及び第二の障害物を更に含み、前記第一及び第二の凸状ショルダは、前記インサート通路の前記第一及び第二の非遮断部分とそれぞれ略位置合わせされる、請求項7に記載のノズル。
【請求項9】
前記第一の凸状ショルダが連続する半径を有する請求項1に記載のノズル。
【請求項10】
前記半径が約0.03〜0.150インチである請求項9に記載のノズル。
【請求項11】
前記容器が、エアゾールバルブを有するエアゾール容器を含み、前記アクチュエータ入口端は前記エアゾールバルブを作動すべく構成される、請求項1に記載のノズル。
【請求項12】
前記インサートが、前記インサート通路の下流に配置されると共に前記インサート通路と流体連通する遷移チャンバを更に画定し、前記第一の凸状ショルダが前記遷移チャンバ内に配置される、請求項1に記載のノズル。
【請求項13】
容器から液体を放出するためのノズルであって、
前記容器からの液体を受容すべく構成された入口端と、出口端と、を有し、アクチュエータ出口端が円筒形の内壁と、少なくとも部分的に前記内壁を通って延出し環状出口チャンバを画定するセンターポストと、を含む、アクチュエータと、
前記アクチュエータ出口端に結合されると共に、前記出口チャンバと流体連通するインサート通路を画定する入口端と、前記入口通路の下流に配置されると共に、対向する第一及び第二の凸状ショルダを有する遷移チャンバと、前記第一及び第二の凸状ショルダ間に延出する対向する第一及び第二の平面壁と、前記第一及び第二の凸状ショルダの下流に配置されるノズル出口と、を有するインサートと、
を含むノズル。
【請求項14】
前記インサートが、前記センターポストと密封係合するサイズであり、これにより前記インサート通路の第一及び第二の非遮断部分に向けて流体を方向付ける、直径方向に対向する第一及び第二の障害物を更に含み、前記第一及び第二の凸状ショルダはそれぞれ前記インサート通路の第一及び第二の非遮断部分と略位置合わせされている、請求項13に記載のノズル。
【請求項15】
前記第一及び第二の凸状ショルダの各々が連続する半径を有する、請求項13に記載のノズル。
【請求項16】
前記第一及び第二の凸状ショルダの各々の前記半径が約0.03〜0.150インチである請求項16に記載のノズル。
【請求項17】
前記遷移チャンバの前記第一及び第二の平面壁の各々は約30〜60°の収束角度に配置されている請求項13に記載のノズル。
【請求項18】
アクチュエータを有する、液体の容器と共に用いるノズルインサートであって、前記アクチュエータは前記容器からの液体を受容すべく構成された入口端と、出口端と、を有し、アクチュエータ出口端が出口チャンバを画定し、前記ノズルインサートが、
前記アクチュエータ出口端に結合されると共に前記出口チャンバと流体連通するインサート通路を画定する、入口端と、
前記入口通路の下流に配置されると共に前記入口通路と流体連通する遷移チャンバと、
前記遷移チャンバ内に配置される、直径方向に対向する第一及び第二の凸状ショルダと、
前記第一及び第二の凸状ショルダ間に延出する、直径方向に対向する第一及び第二の平面壁であって、各々が収束角度に配置される、前記第一及び第二の平面壁と、
前記第一及び第二の凸状ショルダの下流に配置されるノズル出口と、
を含む、ノズルインサート。
【請求項19】
前記インサート通路の第一及び第二の非遮断部分に向けて流体を方向付けるべく構成された直径方向に対向する第一及び第二の障害物を更に含み、前記第一及び第二の凸状ショルダはそれぞれ前記インサート通路の第一及び第二の非遮断部分と略位置合わせされている、請求項18に記載のノズル。
【請求項20】
前記第一及び第二の凸状ショルダの各々が、約0.03〜0.15インチの連続する半径を有し、前記第一及び第二の平面壁の各々の前記収束角度が約30〜60°である、請求項18に記載のノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−540225(P2010−540225A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526945(P2010−526945)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/011132
【国際公開番号】WO2009/042183
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】