流体レギュレータに用いられる2ピーストリム
【課題】流体レギュレータに用いられる2ピーストリム装置を提供する。
【解決手段】流体レギュレータ500は、弁箱118と、第一の流れ特性を提供する弁座リング204とを備えており、弁座リング204は、弁箱118内に配置され、流体オリフィス126が形成されており、弁座リング204は、第一の流れ特性とは異なる第二の流れ特性を提供する第二の弁座リングと交換可能となっており、この流体レギュレータ500は、第三の流れ特性を提供するとともに上記弁座リング204に着脱可能に結合されるケージをさらに備えており、このケージは、第三の流れ特性とは異なる第四の流体流れ特性を提供する第二のケージと交換可能となっており、上記ケージを上記弁座リング204もしくは第二の弁座リングに選択的に結合することができ、また、弁座リング204を上記ケージもしくは第二のケージに選択的に結合することができる。
【解決手段】流体レギュレータ500は、弁箱118と、第一の流れ特性を提供する弁座リング204とを備えており、弁座リング204は、弁箱118内に配置され、流体オリフィス126が形成されており、弁座リング204は、第一の流れ特性とは異なる第二の流れ特性を提供する第二の弁座リングと交換可能となっており、この流体レギュレータ500は、第三の流れ特性を提供するとともに上記弁座リング204に着脱可能に結合されるケージをさらに備えており、このケージは、第三の流れ特性とは異なる第四の流体流れ特性を提供する第二のケージと交換可能となっており、上記ケージを上記弁座リング204もしくは第二の弁座リングに選択的に結合することができ、また、弁座リング204を上記ケージもしくは第二のケージに選択的に結合することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に流体レギュレータに関するものであり、とくに流体レギュレータに用いられる2ピーストリムに関するものである。
【0002】
本出願は、2007年4月18日に出願された米国仮特許出願第60/912,601号の優先権を主張し、当該米国仮特許出願の全内容を本明細書において参照することにより援用するものである。
【背景技術】
【0003】
プロセス制御システムでは、プロセスパラメータを制御するためにさまざまなフィールドデバイスが用いられる。さまざまな流体(たとえば、液体、ガスなど)の流量および/または圧力を制御するために、流体用の弁およびレギュレータがプロセス制御システム全体にわたって分布されているのが一般的である。具体的にいえば、流体レギュレータは、典型的には流体の圧力を実質的に一定の値に調節するために用いられている。詳細にいえば、流体レギュレータは、典型的には、比較的高い圧力で供給流体を受け取る流入口を備えており、流出口で比較的低い圧力でかつほぼ一定の圧力で供給するようになっている。たとえば、一台の装置(ボイラーなど)に接続されているガスレギュレータは、ガス分配源から比較的高いかつ多少変化する圧力を有するガスを受け取り、当該装置による安全かつ効率的な使用に適した低いほぼ一定の圧力にガスを調整しうる。
【0004】
典型的には、流体レギュレータは、ダイヤフラムを用いて流体の流れおよび圧力を制御している。このダイヤフラムは、設定圧力または制御圧力が付勢バネによってその複数の側面のうちの一方に加えられるようになっている。 また、ダイヤフラムは、レギュレータの流入口をその流出口に連通させる弁座リングのオリフィスに対して移動される弁体に直接にまたはリンク部材(たとえば、レバー)によって結合されている。ダイヤフラムは、流出口圧力と設定圧力または制御圧力との間の差に応じて弁体を移動させ、弁体により加えられている流れに対する絞りを変え、ほぼ一定の流出口圧力を実現するようになっている。また、この流出口圧力は、設定圧力または制御圧力と等しいまたは比例するバランス力をダイヤフラムの他方の側面に加えるようになっている。
【0005】
弁座リングに加えて、ほとんどの流体レギュレータは、流体レギュレータの流路の流入口と流出口との間に介在するケージを有したトリムを備え、ある流体流れ特性を提供するようになっている。たとえば、ケージによっては、流れる流体に付随する騒音を下げるために曲がりくねった流路または他のタイプの流路を提供するように設計されているものもある。このような騒音を抑制するケージは、一般的に騒音トリムと呼ばれ、レギュレータが人々(たとえば、家の住人やビルの住人)の直ぐ近くに位置するような用途において特に有効となる。レギュレータトリムの他の設計では、個々の制御用途のニーズに適した流体流れ特性またはレギュレータ特性を備えたケージが提供される。たとえば、このようなケージは、ある所望の流体流れ対圧力降下特性を提供するように構成されうる。さらに、レギュレータトリムの設計によっては、異なるタイプの弁座または弁座リングを提供するものもある。たとえば、絞りのもっと多い弁座(すなわち、ある与えられた流体の流量において比較的大きな圧力降下を提供する弁座)を提供するようにまたは絞りのもっと少ない弁座(すなわち、ある与えられた流量において比較的小さな圧力降下を提供する弁座))を提供するようにオリフィスのサイズが変えられてもよい。
【0006】
しかしながら、ケージを用いている公知のレギュレータトリムについていえば、一体式のまたは1ピースの構造体としてケージおよび弁座リングが提供されていることが一般的である。このような一体式のまたは1ピースのトリム構造を用いることにより、複数の構成部材を用いた場合に生じうる許容誤差の累積という可能性が排除されることになる。具体的にいえば、レギュレータ弁箱に対するケージの位置合せが、複数の個別のトリム構成部材の許容誤差が累積によって危険にさらされることになる。さらに、このような公知の一体式のまたは1ピースのトリムにより、一部の鉛直方向の用途(たとえば、ボンネットが鉛直方向に向いているまたは下方に向いている用途)にレギュレータを用いることができるようになる。このような鉛直方向の用途では、レギュレータトリムを修理(たとえば、交換)する場合、トリムが一体式の構造または1ピース構造でなければ、交換トリムを設置することが非常に困難なもの、さらにいえば不可能なものとなる。具体的にいえば、複数のトリム構成部材を設置(たとえば、積層)すると、第二の構成部材を第一の構成部材の上に設置する間に最初に設置した構成部材が所望の設置位置および/またはレギュレータ弁箱から落下(すなわち、下方に向けて落下)することになる。
【0007】
さらに他の公知のレギュレータトリムの構造では、弁座リングだけ(すなわち、一体構造のケージなしの弁座リング)が設けられており、この弁座リングは、ピンによってレギュレータ内の適所に保持されるようになっている。公知のこのような構造は、フィッシャーコントロールズインターナショナルLLC(FisherControls International LLC)社により製造されているEZHレギュレータおよびEZLレギュレータという製品に見られる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態では、流体レギュレータは、レギュレータ弁箱と、この弁箱内に配置され、流体オリフィスが形成される弁座リングと、この弁座リングに着脱可能に結合されているケージとを備えている。
【0009】
他の実施形態では、流体レギュレータに用いられる装置は、流体レギュレータを流れる流体の流れを制御するためのケージと、ガスレギュレータ内に取り付けられ、弁座リングが形成されている弁座リングとを備えている。この弁座リングは、弁座リングをケージに着脱可能に結合する第一の肩部と、流体オリフィスに隣接する弁座リングのシール面と第一の肩部との間にある第二の肩部とを有している。
【0010】
他の実施形態では、装置は、流体レギュレータに用いられる複数の異なるケージと、流体レギュレータに用いられる複数の異なる弁座リングとを備えている。各ケージは、各弁座リングに着脱可能に結合されている、
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】公知の流体レギュレータを示す断面図である。
【図1A】図1の公知の流体レギュレータの一部を示す拡大断面図である。
【図2】流体レギュレータに用いられる2ピーストリム組立体の一例である。
【図3】図2の2ピーストリム組立体の一例を示す拡大断面図である。
【図4】図3の弁座リングの一例を示す拡大断面図である。
【図5】2ピーストリムの一例が組み込まれた流体レギュレータを示す断面図である。
【図5A】図5の流体レギュレータの一部を示す拡大断面図である。
【図6】2ピーストリムの一例を具象化するために用いられうる騒音防止ケージの一例を示す斜視図である。
【図7】2ピーストリムの一例を具象化するために用いられうる特徴付きケージの一例を示す斜視図である。
【図8】2ピーストリムの一例を具象化するために用いられうる絞り付き弁座の一例を示す斜視図である。
【図9】2ピーストリムの一例を具象化するために用いられうるストレーナ付き弁座の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載の流体レギュレータトリムの一例は、複数のタイプの弁座リングとケージとの間の交換を可能とする2ピースレギュレータトリム構造を備えている。本明細書に記載の2ピースレギュレータトリム構造により提供される交換可能性により、流体レギュレータに対するさまざまなトリム構造の提供に必要となる構成部材の数が少なくなる。換言すれば、本明細書に記載の流体レギュレータトリムの場合、公知の一体化トリム設計または1ピーストリム設計において通常必要な、弁座構造とケージ構造との考えうる組み合わせの各々の製造する必要が無く、および、在庫品目への記入を行う必要がなくなる。より正確にいえば、交換可能な弁座リングとケージ構成部材とを製造して備蓄しておく必要があるだけで、個々の用途に合わせておよび必要に応じて、これらの構成部材をいろいろ組み合わせればよいことになる。
【0013】
本明細書に記載の流体レギュレータ用の2ピーストリムは、相互に着脱可能に結合することができるケージおよび弁座リングを備えている。ケージおよび弁座リングの正確な位置合わせを容易にするために、本明細書に記載の例示の弁座リングは、ケージを受ける第一のまたは外側の肩部を有する段部を有している。例示の弁座リングは、第一の肩部と弁座リングのオリフィスに隣接するシール面との間に第二のまたは内側の肩部を有している。第二の肩部は、第一の肩部とは異なる高さに位置に設けられて弁座リング上に円周方向の段部すなわち壁部を形成することにより、ケージと弁座リングとの正確な位置合わせを容易なものとするようになっている。換言すれば、本明細書に記載の例示の弁座リングの段構造により、(たとえば、許容誤差の累積の結果、)流体レギュレータの動作に対して悪い影響を与えうる状態が実質的に最小限に抑えられるまたは排除されることとなる。
【0014】
さらに、本明細書に記載の例示の弁座リングおよびケージは、とくに垂直方向の用途(たとえば、レギュレータボンネットまたはアクチュエータの上側ケースが下方に向いている場合)において、レギュレータトリムの現場での修理(たとえば。交換、修理など)を容易にするよう着脱可能に結合されうる。さらに詳細にいえば、例示の弁座リングおよびケージは、交換作業時または修理作業時にケージおよび弁座リングがレギュレータから分離または落下しないようにするために、グリース(たとえば、第一の肩部に塗布)、締まりばめ、ネジなどを用いて、着脱可能に結合(たとえば、着脱可能に相互に保持)されうる。
【0015】
2ピーストリムの一例について詳細に記載する前に、公知の流体レギュレータ100を図1および図1Aを参照しながら簡単に説明する。図1および図1Aに示されているように、流体レギュレータ100は、弁104に作用可能に結合されているアクチュエータ102を備えている。アクチュエータ102は、上側アクチュエータケース106と下側アクチュエータケース108とを有している。アクチュエータケース106、108は、ダイヤフラム板110、112を有しており、これらのダイヤフラム板は、弁棒116と作用可能に係合しているダイヤフラム114を保持している。また、ダイヤフラム114は、図1に示されているように、ケース106とケース108との間に狭持されるようになっている。
【0016】
下側アクチュエータケース108は、流入口120と流出口122とを有した弁箱118に取り付けられている。弁座リング124は、弁箱118に取り付けられ、オリフィス126を形成している。流体は、このオリフィスを通り抜けて、流入口120から流出口122へと流れうるようになっている。弁棒116の端部に取り付けられた弁体128はシールリング130を有している。シールリング130は、弁棒116および弁体128がオリフィス126の方に向けて移動させられるとき、弁座リング124のシール面132とシールを形成して係合されるエラストマ材料からなっていてもよい。公知になっているように、弁体128、すなわちシールリング130のオリフィス126の方向に向かう(たとえば、シール面132の方向に向かうもしくはシール面132と接触する)またはオリフィス126とは反対側に向かう(たとえば、シール面132とは反対側に向かうもしくは離脱する)動作は、ダイヤフラム114の両側の圧力差によって引き起こされる。この圧力差は、流出口122における実際の圧力と流出口122における所望の圧力との間の差に比例している。
【0017】
スペーサまたはピン134は下側アクチュエータケース108に結合されている。図1Aに最も分かりやすく示されているように、ピン134の端部136は、弁座リング124の肩部138に接触して、弁座リング124と弁箱118との間にシールを形成するのに十分足りるo−リング140の変位を引き起こすよう弁箱118内の適切な位置に弁座リング124を保持するようになっている。図1および図1Aには示されていないが、このような複数のピン134を弁座リング124の周面に円周方向に沿って間隔をおいて設け、弁箱118と堅固に接触するように弁座リング124を保持し、o−リング140に対して実質的に均一なシール力を加えるようにしてもよい。
【0018】
図2には、流体レギュレータに用いられる例示の2ピーストリム組立体200が示されている。2ピーストリム組立体200はケージ202と弁座リング204とを備えている。下記に詳細に記載するように、公知になっている一体式の流体弁のトリム組立体とは対照的に、ケージ202は、弁座リング204と着脱可能に結合されることにより、ケージおよび弁座リングの間での交換、すなわちケージおよび弁座リングのさまざまな組み合わせを容易にしうる。たとえば、流体レギュレータに対する所望の流れ特性および/または他の性能特性を達成するため、たとえばケージ202、600(図6)、700(図7)の如き本明細書に記載の例示のケージのうちのいずれのケージが、弁座リング204、800(図8)、900(図9)の如き本明細書に記載の弁座リングのうちのいずれの弁座リングと結合されてもよい。これに加えて、本明細書に記載の例示のケージおよび弁座リングを着脱可能に結合することができるため、これらの構成部材の現場での修理(たとえば、流体レギュレータの流れ特性または他の性能特性の変更、これらの構成部材のうちの一または複数の修理など)が簡単なものとなる。とくに、修理作業時に複数のトリム構成部材が積み重ねられ、流体レギュレータから落下してくる恐れのある鉛直方向の用途において簡単なものとなる。
【0019】
図3は、図2に示されている例示の2ピーストリム組立体200を示す拡大断面図であり、図4は、図2および図3に示されている例示の弁座リング204を示す拡大断面図である。例示の弁座リング204には、レギュレータの流入口からの流体がレギュレータの流出口へと流れる際に通り抜けるオリフィス300が形成されている。弁座リング204は、ケージ202の端部304を受けてケージ202をオリフィス300およびレギュレータの弁箱と整列させる(たとえば、図5に示されているような)第一の肩部302を備えている。弁座リング204は、第一の肩部302と、流体オリフィス300に隣接する弁座リング204のシール面308との間に第二の肩部306を有している。第一の肩部302と第二の肩部306とは、弁座リング204の長手方向の軸(longitudinal axis)310に沿って間隔をおいて設けられている。さらに詳細には、図3および図4の実施形態では、第二の肩部306は段部である円周方向の壁312によって、第一の肩部302から間隔をおいて設けられている。
【0020】
段部である壁312は、弁座リング204へのケージ202の位置合わせおよび着脱可能な結合を容易にするように構成されている。たとえば、ケージ202の内壁314は、段部である壁312に対して近接するかまたは当接するような寸法または構造に形成されてもよい。具体的にいえば、段部である壁312および内壁314は、ケージ202の内壁314と段部である壁312との間に締まりばめまたは圧入されるような寸法に形成されてもよいしまたは形状もしくは幾何形状を有していてもよい。たとえばケージ202の少なくとも一部が、非円形状である、真ん丸ではない等々のようにケージ202を製造することによってこのような締まりばめまたは圧入を達成することができる。このように、段部である壁312がほぼ円形状であり、ケージ202の非円形状部分またはまんまるではない部分(たとえば、内壁314)がほぼ円形状に弾性変形する場合、内壁314の少なくとも一部分が段部である壁312にしっかりと係合し、弁座リング202の端部304が肩部302に係合するまたは他の方法で結合されるよう、ケージ202とを弁座リング202に結合(たとえば、圧接)することができる。これに代えて、ケージ202および弁座リング204は、同様のまたは同一の非円形状(たとえば、わずかに楕円形状)の形状を有するように製造してもよく、こうすることにより、ケージ202と弁座リング204の非円形状部分とを整列させたとき、まず、ケージ202を弁座リング204に緩く係合させることができる(たとえば、弁座リング204上に無理やりケージ202を押すつけることを必要とすることなく、ケージ202の端部304を肩部302に載置することができる)。次いで、ケージ202および弁座リング204を相互に回転させることにより、内壁314の少なくとも一部分を壁312に締まりばめする(たとえば、留める)ことができる。この場合、ケージ202および弁座リング204を回転させ段部312または壁312と内壁314との間の締まりまたは拘束を解除して弁座リング204からケージ202を引き離すことにより、ケージ202および弁座リング204を分離することができる。さらに他の実施形態では、段部である壁の312がほぼ円形状またはシリンダ形状を有しかつ第一の直径を有し、内壁314もほぼ円形状またはシリンダ形状を有しかつ第一の直径よりも小さな第二の直径を有し、ケージ202と弁座リング204との間の圧入ができるようになっている。内壁314と段部である壁312のうちの一方または両方は、ケージ202の弁座リング204への係合ならびにたとえば本明細書に記載されているもののようなケージ202と弁座リング204との締まりばめ構造および圧入構造を実現することを容易なものとするためのたとえば面取り部、R部などの如き導入部を備えうる。弁座リング204は、o−リング(たとえば、図5Aのo−リング504)を弁箱(たとえば、弁箱118)とシールを形成して係合させることにより弁座リング204と弁箱との間の流体の漏れを防ぐ傾斜面316を有している。
【0021】
ケージ202を弁座リング204に着脱可能に結合するために上述の締まりばめ構造および/または圧入構造に加えて用いうる係合構造は他にもまだある。たとえば、ケージ202を弁座リング204に着脱可能に結合するために接着剤またはグリースが用いられてもよい。ケージ202を弁座リング204に結合するためにグリースまたは接着剤を用いる場合、結合が比較的緩くなるような(たとえば、締まりばめまたは圧入のないような)サイズにケージ202および弁座リング204を形成し、肩部302、壁312、ケージ202の端部304および/または内壁314に接着剤またはグリースを塗布しうる。したがって、ケージ202の端部304が肩部302に載置されると、接着剤またはグリースは、ケージ202および弁座リング204の合わせ面と合わせ面との間にケージ202を弁座リング204に着脱可能に保持する層を形成する。
【0022】
さらに他の実施形態では、ケージ202を弁座リング302に螺合することができるように内壁314および段部である壁312をネジ切りしうる。これに代えてまたはこれに加えて、ケージ202および弁座リング204同士が一または複数の取り付けネジおよび/またはロールピンを用いて着脱可能に結合されてもよい。
【0023】
図5は、本明細書に記載の2ピーストリムの一例を組み入れた例示の流体レギュレータ500を示す断面図であり、図5Aは、図5に示されている流体レギュレータ500の一部を示す拡大断面図である。図5の流体レギュレータ500の構成部材のうちのほとんどは、図1の公知の流体レギュレータ100の構成部材と同様または同一であり、これらの構成部材は、図1で用いられている同一の参照番号を用いて図5に表されている。さらに、図1の構成部材と同様または同一の図5の構成部材の説明はここでは繰り返さない。興味のある読者はそれらの構成部材についての図1の記載を参照されたい。図5Aから分かるように、弁座リング204は、弁座リング204と弁箱118との間の流体の漏洩を防ぐためにo−リング504を弁箱118とシールを形成して係合する傾斜面502を有している。
【0024】
図6には、本明細書に記載の2ピーストリムを具象化するために用いらうる騒音防止ケージ600の一例が示されている。具体的にいえば、図5の例示の流体弁500を流れる流体により生じる騒音を削減するために、前記ケージ202に代えてこのケージ600を用いうる。同様に、ケージ202(図2)により提供される流れ特性とは異なる流れ特性(たとえば、ある流れ特性に対する異なる圧力降下)を達成するためにケージ202に代えて用いられうる例示の特徴付きケージ700が示されている。
【0025】
図8には、本明細書に記載の2ピーストリムを具象化するために用いられうる例示の絞り付き弁座800が示されている。具体的にいえば、より高い絞り(すなわち、ある与えられた流体流量においてより大きな圧力降下)を備える流体オリフィスを提供するために、弁座リング204(図2)に代えて例示の絞り付き弁座800を用いうる。同様に、図9には、弁座リング204(図2)の代わりに用いられうる例示のストレーナ付き弁座900が示されている。本明細書に記載の2ピーストリムを具象化するために弁座204、800、900のうちのいずれが用いられうるかに関係なく、弁座リング204、800、900の各々は、弁座リング204、800、900のうちの任意の一つとケージ202、600、700のうちの任意の一つとの間の位置合わせおよび着脱可能な結合の実現を容易にするための第一の肩部および第二の肩部ならびに段部である壁を備えている。
【0026】
本明細書にいくつかの例示の装置が記載されているが、本発明が網羅する技術的範囲はこれらに限定されるものではない。むしろ、本発明は、文字通りにまたは均等論に従って添付の特許請求の範囲に公正に含まれる装置および製品すべてを網羅するものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に流体レギュレータに関するものであり、とくに流体レギュレータに用いられる2ピーストリムに関するものである。
【0002】
本出願は、2007年4月18日に出願された米国仮特許出願第60/912,601号の優先権を主張し、当該米国仮特許出願の全内容を本明細書において参照することにより援用するものである。
【背景技術】
【0003】
プロセス制御システムでは、プロセスパラメータを制御するためにさまざまなフィールドデバイスが用いられる。さまざまな流体(たとえば、液体、ガスなど)の流量および/または圧力を制御するために、流体用の弁およびレギュレータがプロセス制御システム全体にわたって分布されているのが一般的である。具体的にいえば、流体レギュレータは、典型的には流体の圧力を実質的に一定の値に調節するために用いられている。詳細にいえば、流体レギュレータは、典型的には、比較的高い圧力で供給流体を受け取る流入口を備えており、流出口で比較的低い圧力でかつほぼ一定の圧力で供給するようになっている。たとえば、一台の装置(ボイラーなど)に接続されているガスレギュレータは、ガス分配源から比較的高いかつ多少変化する圧力を有するガスを受け取り、当該装置による安全かつ効率的な使用に適した低いほぼ一定の圧力にガスを調整しうる。
【0004】
典型的には、流体レギュレータは、ダイヤフラムを用いて流体の流れおよび圧力を制御している。このダイヤフラムは、設定圧力または制御圧力が付勢バネによってその複数の側面のうちの一方に加えられるようになっている。 また、ダイヤフラムは、レギュレータの流入口をその流出口に連通させる弁座リングのオリフィスに対して移動される弁体に直接にまたはリンク部材(たとえば、レバー)によって結合されている。ダイヤフラムは、流出口圧力と設定圧力または制御圧力との間の差に応じて弁体を移動させ、弁体により加えられている流れに対する絞りを変え、ほぼ一定の流出口圧力を実現するようになっている。また、この流出口圧力は、設定圧力または制御圧力と等しいまたは比例するバランス力をダイヤフラムの他方の側面に加えるようになっている。
【0005】
弁座リングに加えて、ほとんどの流体レギュレータは、流体レギュレータの流路の流入口と流出口との間に介在するケージを有したトリムを備え、ある流体流れ特性を提供するようになっている。たとえば、ケージによっては、流れる流体に付随する騒音を下げるために曲がりくねった流路または他のタイプの流路を提供するように設計されているものもある。このような騒音を抑制するケージは、一般的に騒音トリムと呼ばれ、レギュレータが人々(たとえば、家の住人やビルの住人)の直ぐ近くに位置するような用途において特に有効となる。レギュレータトリムの他の設計では、個々の制御用途のニーズに適した流体流れ特性またはレギュレータ特性を備えたケージが提供される。たとえば、このようなケージは、ある所望の流体流れ対圧力降下特性を提供するように構成されうる。さらに、レギュレータトリムの設計によっては、異なるタイプの弁座または弁座リングを提供するものもある。たとえば、絞りのもっと多い弁座(すなわち、ある与えられた流体の流量において比較的大きな圧力降下を提供する弁座)を提供するようにまたは絞りのもっと少ない弁座(すなわち、ある与えられた流量において比較的小さな圧力降下を提供する弁座))を提供するようにオリフィスのサイズが変えられてもよい。
【0006】
しかしながら、ケージを用いている公知のレギュレータトリムについていえば、一体式のまたは1ピースの構造体としてケージおよび弁座リングが提供されていることが一般的である。このような一体式のまたは1ピースのトリム構造を用いることにより、複数の構成部材を用いた場合に生じうる許容誤差の累積という可能性が排除されることになる。具体的にいえば、レギュレータ弁箱に対するケージの位置合せが、複数の個別のトリム構成部材の許容誤差が累積によって危険にさらされることになる。さらに、このような公知の一体式のまたは1ピースのトリムにより、一部の鉛直方向の用途(たとえば、ボンネットが鉛直方向に向いているまたは下方に向いている用途)にレギュレータを用いることができるようになる。このような鉛直方向の用途では、レギュレータトリムを修理(たとえば、交換)する場合、トリムが一体式の構造または1ピース構造でなければ、交換トリムを設置することが非常に困難なもの、さらにいえば不可能なものとなる。具体的にいえば、複数のトリム構成部材を設置(たとえば、積層)すると、第二の構成部材を第一の構成部材の上に設置する間に最初に設置した構成部材が所望の設置位置および/またはレギュレータ弁箱から落下(すなわち、下方に向けて落下)することになる。
【0007】
さらに他の公知のレギュレータトリムの構造では、弁座リングだけ(すなわち、一体構造のケージなしの弁座リング)が設けられており、この弁座リングは、ピンによってレギュレータ内の適所に保持されるようになっている。公知のこのような構造は、フィッシャーコントロールズインターナショナルLLC(FisherControls International LLC)社により製造されているEZHレギュレータおよびEZLレギュレータという製品に見られる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態では、流体レギュレータは、レギュレータ弁箱と、この弁箱内に配置され、流体オリフィスが形成される弁座リングと、この弁座リングに着脱可能に結合されているケージとを備えている。
【0009】
他の実施形態では、流体レギュレータに用いられる装置は、流体レギュレータを流れる流体の流れを制御するためのケージと、ガスレギュレータ内に取り付けられ、弁座リングが形成されている弁座リングとを備えている。この弁座リングは、弁座リングをケージに着脱可能に結合する第一の肩部と、流体オリフィスに隣接する弁座リングのシール面と第一の肩部との間にある第二の肩部とを有している。
【0010】
他の実施形態では、装置は、流体レギュレータに用いられる複数の異なるケージと、流体レギュレータに用いられる複数の異なる弁座リングとを備えている。各ケージは、各弁座リングに着脱可能に結合されている、
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】公知の流体レギュレータを示す断面図である。
【図1A】図1の公知の流体レギュレータの一部を示す拡大断面図である。
【図2】流体レギュレータに用いられる2ピーストリム組立体の一例である。
【図3】図2の2ピーストリム組立体の一例を示す拡大断面図である。
【図4】図3の弁座リングの一例を示す拡大断面図である。
【図5】2ピーストリムの一例が組み込まれた流体レギュレータを示す断面図である。
【図5A】図5の流体レギュレータの一部を示す拡大断面図である。
【図6】2ピーストリムの一例を具象化するために用いられうる騒音防止ケージの一例を示す斜視図である。
【図7】2ピーストリムの一例を具象化するために用いられうる特徴付きケージの一例を示す斜視図である。
【図8】2ピーストリムの一例を具象化するために用いられうる絞り付き弁座の一例を示す斜視図である。
【図9】2ピーストリムの一例を具象化するために用いられうるストレーナ付き弁座の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載の流体レギュレータトリムの一例は、複数のタイプの弁座リングとケージとの間の交換を可能とする2ピースレギュレータトリム構造を備えている。本明細書に記載の2ピースレギュレータトリム構造により提供される交換可能性により、流体レギュレータに対するさまざまなトリム構造の提供に必要となる構成部材の数が少なくなる。換言すれば、本明細書に記載の流体レギュレータトリムの場合、公知の一体化トリム設計または1ピーストリム設計において通常必要な、弁座構造とケージ構造との考えうる組み合わせの各々の製造する必要が無く、および、在庫品目への記入を行う必要がなくなる。より正確にいえば、交換可能な弁座リングとケージ構成部材とを製造して備蓄しておく必要があるだけで、個々の用途に合わせておよび必要に応じて、これらの構成部材をいろいろ組み合わせればよいことになる。
【0013】
本明細書に記載の流体レギュレータ用の2ピーストリムは、相互に着脱可能に結合することができるケージおよび弁座リングを備えている。ケージおよび弁座リングの正確な位置合わせを容易にするために、本明細書に記載の例示の弁座リングは、ケージを受ける第一のまたは外側の肩部を有する段部を有している。例示の弁座リングは、第一の肩部と弁座リングのオリフィスに隣接するシール面との間に第二のまたは内側の肩部を有している。第二の肩部は、第一の肩部とは異なる高さに位置に設けられて弁座リング上に円周方向の段部すなわち壁部を形成することにより、ケージと弁座リングとの正確な位置合わせを容易なものとするようになっている。換言すれば、本明細書に記載の例示の弁座リングの段構造により、(たとえば、許容誤差の累積の結果、)流体レギュレータの動作に対して悪い影響を与えうる状態が実質的に最小限に抑えられるまたは排除されることとなる。
【0014】
さらに、本明細書に記載の例示の弁座リングおよびケージは、とくに垂直方向の用途(たとえば、レギュレータボンネットまたはアクチュエータの上側ケースが下方に向いている場合)において、レギュレータトリムの現場での修理(たとえば。交換、修理など)を容易にするよう着脱可能に結合されうる。さらに詳細にいえば、例示の弁座リングおよびケージは、交換作業時または修理作業時にケージおよび弁座リングがレギュレータから分離または落下しないようにするために、グリース(たとえば、第一の肩部に塗布)、締まりばめ、ネジなどを用いて、着脱可能に結合(たとえば、着脱可能に相互に保持)されうる。
【0015】
2ピーストリムの一例について詳細に記載する前に、公知の流体レギュレータ100を図1および図1Aを参照しながら簡単に説明する。図1および図1Aに示されているように、流体レギュレータ100は、弁104に作用可能に結合されているアクチュエータ102を備えている。アクチュエータ102は、上側アクチュエータケース106と下側アクチュエータケース108とを有している。アクチュエータケース106、108は、ダイヤフラム板110、112を有しており、これらのダイヤフラム板は、弁棒116と作用可能に係合しているダイヤフラム114を保持している。また、ダイヤフラム114は、図1に示されているように、ケース106とケース108との間に狭持されるようになっている。
【0016】
下側アクチュエータケース108は、流入口120と流出口122とを有した弁箱118に取り付けられている。弁座リング124は、弁箱118に取り付けられ、オリフィス126を形成している。流体は、このオリフィスを通り抜けて、流入口120から流出口122へと流れうるようになっている。弁棒116の端部に取り付けられた弁体128はシールリング130を有している。シールリング130は、弁棒116および弁体128がオリフィス126の方に向けて移動させられるとき、弁座リング124のシール面132とシールを形成して係合されるエラストマ材料からなっていてもよい。公知になっているように、弁体128、すなわちシールリング130のオリフィス126の方向に向かう(たとえば、シール面132の方向に向かうもしくはシール面132と接触する)またはオリフィス126とは反対側に向かう(たとえば、シール面132とは反対側に向かうもしくは離脱する)動作は、ダイヤフラム114の両側の圧力差によって引き起こされる。この圧力差は、流出口122における実際の圧力と流出口122における所望の圧力との間の差に比例している。
【0017】
スペーサまたはピン134は下側アクチュエータケース108に結合されている。図1Aに最も分かりやすく示されているように、ピン134の端部136は、弁座リング124の肩部138に接触して、弁座リング124と弁箱118との間にシールを形成するのに十分足りるo−リング140の変位を引き起こすよう弁箱118内の適切な位置に弁座リング124を保持するようになっている。図1および図1Aには示されていないが、このような複数のピン134を弁座リング124の周面に円周方向に沿って間隔をおいて設け、弁箱118と堅固に接触するように弁座リング124を保持し、o−リング140に対して実質的に均一なシール力を加えるようにしてもよい。
【0018】
図2には、流体レギュレータに用いられる例示の2ピーストリム組立体200が示されている。2ピーストリム組立体200はケージ202と弁座リング204とを備えている。下記に詳細に記載するように、公知になっている一体式の流体弁のトリム組立体とは対照的に、ケージ202は、弁座リング204と着脱可能に結合されることにより、ケージおよび弁座リングの間での交換、すなわちケージおよび弁座リングのさまざまな組み合わせを容易にしうる。たとえば、流体レギュレータに対する所望の流れ特性および/または他の性能特性を達成するため、たとえばケージ202、600(図6)、700(図7)の如き本明細書に記載の例示のケージのうちのいずれのケージが、弁座リング204、800(図8)、900(図9)の如き本明細書に記載の弁座リングのうちのいずれの弁座リングと結合されてもよい。これに加えて、本明細書に記載の例示のケージおよび弁座リングを着脱可能に結合することができるため、これらの構成部材の現場での修理(たとえば、流体レギュレータの流れ特性または他の性能特性の変更、これらの構成部材のうちの一または複数の修理など)が簡単なものとなる。とくに、修理作業時に複数のトリム構成部材が積み重ねられ、流体レギュレータから落下してくる恐れのある鉛直方向の用途において簡単なものとなる。
【0019】
図3は、図2に示されている例示の2ピーストリム組立体200を示す拡大断面図であり、図4は、図2および図3に示されている例示の弁座リング204を示す拡大断面図である。例示の弁座リング204には、レギュレータの流入口からの流体がレギュレータの流出口へと流れる際に通り抜けるオリフィス300が形成されている。弁座リング204は、ケージ202の端部304を受けてケージ202をオリフィス300およびレギュレータの弁箱と整列させる(たとえば、図5に示されているような)第一の肩部302を備えている。弁座リング204は、第一の肩部302と、流体オリフィス300に隣接する弁座リング204のシール面308との間に第二の肩部306を有している。第一の肩部302と第二の肩部306とは、弁座リング204の長手方向の軸(longitudinal axis)310に沿って間隔をおいて設けられている。さらに詳細には、図3および図4の実施形態では、第二の肩部306は段部である円周方向の壁312によって、第一の肩部302から間隔をおいて設けられている。
【0020】
段部である壁312は、弁座リング204へのケージ202の位置合わせおよび着脱可能な結合を容易にするように構成されている。たとえば、ケージ202の内壁314は、段部である壁312に対して近接するかまたは当接するような寸法または構造に形成されてもよい。具体的にいえば、段部である壁312および内壁314は、ケージ202の内壁314と段部である壁312との間に締まりばめまたは圧入されるような寸法に形成されてもよいしまたは形状もしくは幾何形状を有していてもよい。たとえばケージ202の少なくとも一部が、非円形状である、真ん丸ではない等々のようにケージ202を製造することによってこのような締まりばめまたは圧入を達成することができる。このように、段部である壁312がほぼ円形状であり、ケージ202の非円形状部分またはまんまるではない部分(たとえば、内壁314)がほぼ円形状に弾性変形する場合、内壁314の少なくとも一部分が段部である壁312にしっかりと係合し、弁座リング202の端部304が肩部302に係合するまたは他の方法で結合されるよう、ケージ202とを弁座リング202に結合(たとえば、圧接)することができる。これに代えて、ケージ202および弁座リング204は、同様のまたは同一の非円形状(たとえば、わずかに楕円形状)の形状を有するように製造してもよく、こうすることにより、ケージ202と弁座リング204の非円形状部分とを整列させたとき、まず、ケージ202を弁座リング204に緩く係合させることができる(たとえば、弁座リング204上に無理やりケージ202を押すつけることを必要とすることなく、ケージ202の端部304を肩部302に載置することができる)。次いで、ケージ202および弁座リング204を相互に回転させることにより、内壁314の少なくとも一部分を壁312に締まりばめする(たとえば、留める)ことができる。この場合、ケージ202および弁座リング204を回転させ段部312または壁312と内壁314との間の締まりまたは拘束を解除して弁座リング204からケージ202を引き離すことにより、ケージ202および弁座リング204を分離することができる。さらに他の実施形態では、段部である壁の312がほぼ円形状またはシリンダ形状を有しかつ第一の直径を有し、内壁314もほぼ円形状またはシリンダ形状を有しかつ第一の直径よりも小さな第二の直径を有し、ケージ202と弁座リング204との間の圧入ができるようになっている。内壁314と段部である壁312のうちの一方または両方は、ケージ202の弁座リング204への係合ならびにたとえば本明細書に記載されているもののようなケージ202と弁座リング204との締まりばめ構造および圧入構造を実現することを容易なものとするためのたとえば面取り部、R部などの如き導入部を備えうる。弁座リング204は、o−リング(たとえば、図5Aのo−リング504)を弁箱(たとえば、弁箱118)とシールを形成して係合させることにより弁座リング204と弁箱との間の流体の漏れを防ぐ傾斜面316を有している。
【0021】
ケージ202を弁座リング204に着脱可能に結合するために上述の締まりばめ構造および/または圧入構造に加えて用いうる係合構造は他にもまだある。たとえば、ケージ202を弁座リング204に着脱可能に結合するために接着剤またはグリースが用いられてもよい。ケージ202を弁座リング204に結合するためにグリースまたは接着剤を用いる場合、結合が比較的緩くなるような(たとえば、締まりばめまたは圧入のないような)サイズにケージ202および弁座リング204を形成し、肩部302、壁312、ケージ202の端部304および/または内壁314に接着剤またはグリースを塗布しうる。したがって、ケージ202の端部304が肩部302に載置されると、接着剤またはグリースは、ケージ202および弁座リング204の合わせ面と合わせ面との間にケージ202を弁座リング204に着脱可能に保持する層を形成する。
【0022】
さらに他の実施形態では、ケージ202を弁座リング302に螺合することができるように内壁314および段部である壁312をネジ切りしうる。これに代えてまたはこれに加えて、ケージ202および弁座リング204同士が一または複数の取り付けネジおよび/またはロールピンを用いて着脱可能に結合されてもよい。
【0023】
図5は、本明細書に記載の2ピーストリムの一例を組み入れた例示の流体レギュレータ500を示す断面図であり、図5Aは、図5に示されている流体レギュレータ500の一部を示す拡大断面図である。図5の流体レギュレータ500の構成部材のうちのほとんどは、図1の公知の流体レギュレータ100の構成部材と同様または同一であり、これらの構成部材は、図1で用いられている同一の参照番号を用いて図5に表されている。さらに、図1の構成部材と同様または同一の図5の構成部材の説明はここでは繰り返さない。興味のある読者はそれらの構成部材についての図1の記載を参照されたい。図5Aから分かるように、弁座リング204は、弁座リング204と弁箱118との間の流体の漏洩を防ぐためにo−リング504を弁箱118とシールを形成して係合する傾斜面502を有している。
【0024】
図6には、本明細書に記載の2ピーストリムを具象化するために用いらうる騒音防止ケージ600の一例が示されている。具体的にいえば、図5の例示の流体弁500を流れる流体により生じる騒音を削減するために、前記ケージ202に代えてこのケージ600を用いうる。同様に、ケージ202(図2)により提供される流れ特性とは異なる流れ特性(たとえば、ある流れ特性に対する異なる圧力降下)を達成するためにケージ202に代えて用いられうる例示の特徴付きケージ700が示されている。
【0025】
図8には、本明細書に記載の2ピーストリムを具象化するために用いられうる例示の絞り付き弁座800が示されている。具体的にいえば、より高い絞り(すなわち、ある与えられた流体流量においてより大きな圧力降下)を備える流体オリフィスを提供するために、弁座リング204(図2)に代えて例示の絞り付き弁座800を用いうる。同様に、図9には、弁座リング204(図2)の代わりに用いられうる例示のストレーナ付き弁座900が示されている。本明細書に記載の2ピーストリムを具象化するために弁座204、800、900のうちのいずれが用いられうるかに関係なく、弁座リング204、800、900の各々は、弁座リング204、800、900のうちの任意の一つとケージ202、600、700のうちの任意の一つとの間の位置合わせおよび着脱可能な結合の実現を容易にするための第一の肩部および第二の肩部ならびに段部である壁を備えている。
【0026】
本明細書にいくつかの例示の装置が記載されているが、本発明が網羅する技術的範囲はこれらに限定されるものではない。むしろ、本発明は、文字通りにまたは均等論に従って添付の特許請求の範囲に公正に含まれる装置および製品すべてを網羅するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体レギュレータであって、
レギュレータ弁箱と、
前記弁箱内に配設され、流体オリフィスが形成されている第一の流れ特性を提供する第一の弁座リングと、
前記第一の弁座リングと着脱可能に結合されている第三の流れ特性を提供する第一のケージとを備えており、
前記第一の弁座リングが、前記第一の流れ特性とは異なる第二の流れ特性を提供する第二の弁座リングと交換可能となっており、
前記第一のケージが、前記第三の流れ特性とは異なる第四の流体流れ特性を提供する第二のケージと交換可能となっており、
前記第一のケージを前記第一の弁座リングまたは前記第二の弁座リングに選択的に結合することができ、前記第一の弁座リングを前記第一のケージまたは前記第二のケージに選択的に結合することができるように構成されてなる、流体レギュレータ。
【請求項2】
前記第一の弁座リングが、締まりばめ、ネジ、接着剤、取り付けネジ、ロールピンまたはグリースのうちの少なくとも一つによって前記第一のケージに結合されてなる、請求項1に記載の流体レギュレータ。
【請求項3】
前記第一の弁座リングが、前記第一のケージを受けて該第一のケージを前記レギュレータ弁箱と整列させる第一の肩部を有してなる、請求項1に記載の流体レギュレータ。
【請求項4】
前記第一の弁座リングが、前記第一の肩部と前記流体オリフィスに隣接する前記第一の弁座リングのシール面との間に位置する第二の肩部を有してなる、請求項3に記載の流体レギュレータ。
【請求項5】
前記第一の肩部および前記第二の肩部が前記第一の弁座リングの長手方向の軸に沿って間隔をおいて設けられてなる、請求項4に記載の流体レギュレータ。
【請求項6】
前記レギュレータ弁箱と前記第一の弁座リングとの間をシールするための少なくとも一つのo―リングをさらに備えてなる、請求項1に記載の流体レギュレータ。
【請求項7】
前記第一の弁座リングの前記第一の流体流れ特性が、前記第二の弁座リングにより提供される前記第二の流れ特性よりも前記レギュレータの前記オリフィスの前後においてより大きな流体圧力降下を提供してなる、請求項1に記載の流体レギュレータ、
【請求項8】
前記第一のケージの前記第三の流れ特性が前記レギュレータを流れる流体の速度を下げることであり、前記第二のケージの前記第四の流体流れ特性が、前記レギュレータを流れる流体の圧力を下げることである、請求項1に記載の流体レギュレータ。
【請求項9】
流体レギュレータに用いられる装置であって、
前記流体レギュレータを流れる流体の流れを制御するためのケージと、
前記流体レギュレータ内に取り付けられ、流体オリフィスが形成された弁座リングとを備えており、
該弁座リングが、
前記弁座リングを前記ケージに着脱可能に結合する第一の肩部と、
前記第一の肩部と前記流体オリフィスに隣接する前記弁座リングのシール面との間に位置する第二の肩部とを有してなる、装置。
【請求項10】
前記第一の肩部および前記第二の肩部が、前記弁座リングの長手方向の軸に沿って間隔をおいて設けられてなる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記弁座リングと前記ケージ同士とが、締まりばめ、ネジ、接着剤、取り付けネジ、ロールピンまたはグリースのうちの少なくとも一つによって着脱可能に結合されてなる、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記第一のケージとは異なる少なくとも一つの他のケージをさらに備えており、該他のケージが前記弁座リングに着脱可能に結合されてなる、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記ケージが、少なくとも音響トリムまたは特徴付けトリムを有してなる、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第一の弁座リングとは異なる少なくとも一つの他の弁座リングをさらに備えており、該他の弁座リングが、前記ケージに着脱可能に結合されてなる、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記第一の弁座リングおよび前記他の弁座リングが、少なくともストレーナ付き弁座リングまたは絞り付き弁座リングを有してなる、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
流体レギュレータに用いられる複数の異なるケージと、
前記流体レギュレータに用いられる複数の異なる弁座リングとを備えており、
前記ケージの各々が前記弁座リングの各々と着脱可能に結合されてなる、装置
【請求項17】
前記複数の異なる弁座リングの各々が、前記複数の異なるケージの各々を受けて前記複数の異なるケージを前記レギュレータ弁箱と整列させる第一の肩部を有してなる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記複数の異なる弁座リングの各々が、前記第一の肩部と前記弁座リングの流体オリフィスに隣接する前記弁座リングのシール面との間に位置する第二の肩部を有してなる、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第一の肩部および前記第二の肩部が前記複数の異なる弁座リングの各々の長手方向の軸に沿って間隔をおいて設けられてなる、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記複数の異なる弁座リングの各々が、締まりばめ、ネジ、接着剤、取り付けネジ、ロールピンまたはグリースのうちの少なくとも一つによって、前記複数の異なるケージの各々に着脱可能に結合されてなる、請求項16に記載の装置。
【請求項21】
流体レギュレータであって、
レギュレータ弁箱と、
複数の弁座リングから選択され、流体オリフィスが形成された前記弁箱内に配設される弁座リングと、
複数のケージから選択され、前記弁座リングに着脱可能に結合されたケージとを備えており、
前記複数の弁座リングから選択された第一の弁座リングが、前記複数の弁座リングのうちの第二の弁座リングにより提供される第二の前もって決められた流れ特性とは異なる第一の前もって決められた流れ特性を提供するように構成されており、
前記複数のケージから選択された第一のケージが、前記複数のケージの第二のケージにより提供される第二の前もって決められた流れ特性とは異なる第一の前もって決められた流体特性を提供するように構成されてなる、流体レギュレータ。
【請求項1】
流体レギュレータであって、
レギュレータ弁箱と、
前記弁箱内に配設され、流体オリフィスが形成されている第一の流れ特性を提供する第一の弁座リングと、
前記第一の弁座リングと着脱可能に結合されている第三の流れ特性を提供する第一のケージとを備えており、
前記第一の弁座リングが、前記第一の流れ特性とは異なる第二の流れ特性を提供する第二の弁座リングと交換可能となっており、
前記第一のケージが、前記第三の流れ特性とは異なる第四の流体流れ特性を提供する第二のケージと交換可能となっており、
前記第一のケージを前記第一の弁座リングまたは前記第二の弁座リングに選択的に結合することができ、前記第一の弁座リングを前記第一のケージまたは前記第二のケージに選択的に結合することができるように構成されてなる、流体レギュレータ。
【請求項2】
前記第一の弁座リングが、締まりばめ、ネジ、接着剤、取り付けネジ、ロールピンまたはグリースのうちの少なくとも一つによって前記第一のケージに結合されてなる、請求項1に記載の流体レギュレータ。
【請求項3】
前記第一の弁座リングが、前記第一のケージを受けて該第一のケージを前記レギュレータ弁箱と整列させる第一の肩部を有してなる、請求項1に記載の流体レギュレータ。
【請求項4】
前記第一の弁座リングが、前記第一の肩部と前記流体オリフィスに隣接する前記第一の弁座リングのシール面との間に位置する第二の肩部を有してなる、請求項3に記載の流体レギュレータ。
【請求項5】
前記第一の肩部および前記第二の肩部が前記第一の弁座リングの長手方向の軸に沿って間隔をおいて設けられてなる、請求項4に記載の流体レギュレータ。
【請求項6】
前記レギュレータ弁箱と前記第一の弁座リングとの間をシールするための少なくとも一つのo―リングをさらに備えてなる、請求項1に記載の流体レギュレータ。
【請求項7】
前記第一の弁座リングの前記第一の流体流れ特性が、前記第二の弁座リングにより提供される前記第二の流れ特性よりも前記レギュレータの前記オリフィスの前後においてより大きな流体圧力降下を提供してなる、請求項1に記載の流体レギュレータ、
【請求項8】
前記第一のケージの前記第三の流れ特性が前記レギュレータを流れる流体の速度を下げることであり、前記第二のケージの前記第四の流体流れ特性が、前記レギュレータを流れる流体の圧力を下げることである、請求項1に記載の流体レギュレータ。
【請求項9】
流体レギュレータに用いられる装置であって、
前記流体レギュレータを流れる流体の流れを制御するためのケージと、
前記流体レギュレータ内に取り付けられ、流体オリフィスが形成された弁座リングとを備えており、
該弁座リングが、
前記弁座リングを前記ケージに着脱可能に結合する第一の肩部と、
前記第一の肩部と前記流体オリフィスに隣接する前記弁座リングのシール面との間に位置する第二の肩部とを有してなる、装置。
【請求項10】
前記第一の肩部および前記第二の肩部が、前記弁座リングの長手方向の軸に沿って間隔をおいて設けられてなる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記弁座リングと前記ケージ同士とが、締まりばめ、ネジ、接着剤、取り付けネジ、ロールピンまたはグリースのうちの少なくとも一つによって着脱可能に結合されてなる、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記第一のケージとは異なる少なくとも一つの他のケージをさらに備えており、該他のケージが前記弁座リングに着脱可能に結合されてなる、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記ケージが、少なくとも音響トリムまたは特徴付けトリムを有してなる、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第一の弁座リングとは異なる少なくとも一つの他の弁座リングをさらに備えており、該他の弁座リングが、前記ケージに着脱可能に結合されてなる、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記第一の弁座リングおよび前記他の弁座リングが、少なくともストレーナ付き弁座リングまたは絞り付き弁座リングを有してなる、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
流体レギュレータに用いられる複数の異なるケージと、
前記流体レギュレータに用いられる複数の異なる弁座リングとを備えており、
前記ケージの各々が前記弁座リングの各々と着脱可能に結合されてなる、装置
【請求項17】
前記複数の異なる弁座リングの各々が、前記複数の異なるケージの各々を受けて前記複数の異なるケージを前記レギュレータ弁箱と整列させる第一の肩部を有してなる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記複数の異なる弁座リングの各々が、前記第一の肩部と前記弁座リングの流体オリフィスに隣接する前記弁座リングのシール面との間に位置する第二の肩部を有してなる、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第一の肩部および前記第二の肩部が前記複数の異なる弁座リングの各々の長手方向の軸に沿って間隔をおいて設けられてなる、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記複数の異なる弁座リングの各々が、締まりばめ、ネジ、接着剤、取り付けネジ、ロールピンまたはグリースのうちの少なくとも一つによって、前記複数の異なるケージの各々に着脱可能に結合されてなる、請求項16に記載の装置。
【請求項21】
流体レギュレータであって、
レギュレータ弁箱と、
複数の弁座リングから選択され、流体オリフィスが形成された前記弁箱内に配設される弁座リングと、
複数のケージから選択され、前記弁座リングに着脱可能に結合されたケージとを備えており、
前記複数の弁座リングから選択された第一の弁座リングが、前記複数の弁座リングのうちの第二の弁座リングにより提供される第二の前もって決められた流れ特性とは異なる第一の前もって決められた流れ特性を提供するように構成されており、
前記複数のケージから選択された第一のケージが、前記複数のケージの第二のケージにより提供される第二の前もって決められた流れ特性とは異なる第一の前もって決められた流体特性を提供するように構成されてなる、流体レギュレータ。
【図1】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2010−525455(P2010−525455A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504165(P2010−504165)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/059782
【国際公開番号】WO2008/130849
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(591055436)フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー (183)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/059782
【国際公開番号】WO2008/130849
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(591055436)フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー (183)
【Fターム(参考)】
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