説明

流体制御弁

【課題】圧力制御性の低下を抑制しつつ流体圧力の発振を抑制することができる流体制御弁を提供する。
【解決手段】流体制御弁10は、ボトムプレート12、ボディ14、及びカバー16を備えている。ボディ14には流入口18及び流出口20が設けられ、流入口18は上流側流体室22及び下流側流体室24を介して流出口20と連通可能とされている。上流側流体室22及び下流側流体室24間は弁体26によって連通及び遮断される。弁体26は、軸部30と、該軸部30に連結される可撓性膜部28とを備え、軸部30のボトムプレート12側端部には、バネ受け部材39が組み付けられている。バネ受け部材39は、略円柱状の小径部39bを有し、小径部39bの外周側には環状に形成されたボトムプレート12の規制部12aが設けられている。小径部39bと規制部12aとの間には所定の隙間48が設けられ、その隙間48には真空用グリス50が充填されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸部と該軸部に連結された可撓性膜部とを備える弁体によって流体の流路が上流側流体室及び下流側流体室に仕切られて且つ、前記弁体の変位により前記上流側流体室へ流入する流体を前記下流側流体室を介して外部へと流出させる流体制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
図6に、従来の流体制御弁の断面構成を示す。
【0003】
図示されるように、流体制御弁110は、ボトムプレート112、ボディ114及びカバー116を備えて構成されている。そして、ボディ114には、流入口118及び流出口120が設けられている。これら流入口118及び流出口120間は、弁体126によって連通及び遮断される。すなわち、弁体126のテーパ部126aがボディ114内壁によって形成されるシート部132に着座することで、流入口118及び流出口120間が遮断され、テーパ部126aがシート部132から離座することで、流入口118及び流出口120間が連通される。
【0004】
上記弁体126には、バネ受け部材134を介してコイルスプリング136の弾性力が閉弁方向に付与される。これに対し、弁体126には、圧力印加部材138によって開弁方向の力が付与される。
【0005】
こうした構成において、流入口118に所定圧の薬液を供給するとともに圧力印加部材138に所定の圧力を印加すると、弁体126のテーパ部126aがシート部132から離座し、流入口118から流入した薬液が流出口120へと流出する。この際、流出口120から流出する薬液の圧力は、圧力印加部材138の圧力によって制御することができる。
【0006】
ところで、かかる流体制御弁110では、薬液の流れ(圧力や流量等)が変動する等して、薬液の流れにより弁体126に作用する力とコイルスプリング136等により弁体126に作用する力との力バランスがくずれた場合に、弁体126が振動することがある。この弁体126の振動が生じると流出口120から流出する薬液の圧力(つまり2次圧)が発振する発振現象が生じ、その結果圧力精度が低下するおそれがある(その他寿命の低下等の問題もある)。
【0007】
そこで、かかる問題を解決するものとして、例えば特許文献1には、弁体にゴム弾性体よりなる棒状の制振部材を取り付け、その制振部材を摺動孔に配設することで、弁体の変位に伴い制振部材を摺動孔の内面に摺動させる構成が開示されている。これによれば、制振部材に所定の摩擦力を付与することができ、ひいては弁体に抵抗力を付与することができるため、弁体の発振を抑制することができ、その結果圧力の発振を抑制することが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−24070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、制振部材又は摺動孔を形成するに際し寸法のばらつきが発生すると、それに伴い制振部材に付与される摩擦力の大きさにばらつきが生ずることが考えられる。例えば、制振部材の外径寸法が目標寸法よりも大きい場合又は摺動孔の内径寸法が目標寸法よりも小さい場合には、上記摩擦力が大きくなり、その結果弁体の動きが鈍って圧力制御性の低下を招くおそれがある。また、制振部材の外径寸法が目標寸法よりも小さい場合又は摺動孔の内径寸法が目標寸法よりも大きい場合には摩擦力が小さくなり、その結果流体圧力の発振を抑制できないおそれがある。つまり、上記の技術では、流体圧力の発振の抑制と圧力制御性の確保との両立を図る点において、未だ改善の余地が残されているといえる。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、圧力制御性の低下を抑制しつつ流体圧力の発振を抑制することができる流体制御弁を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく、第1の発明の流体制御弁は、軸部と該軸部に連結された可撓性膜部とを備える弁体によって流体の流路が上流側流体室及び下流側流体室に仕切られて且つ、前記弁体の変位により前記上流側流体室へ流入する流体を前記下流側流体室を介して外部へと流出させる流体制御弁において、前記軸部と連動して変位する可動部と、該可動部の外周側に設けられ前記可動部の変位方向を前記弁体の変位方向に規制する規制部と、前記可動部と前記規制部との間に隙間が設けられ、その隙間に充填された粘性流体と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、可動部の外周側に規制部が設けられているため、可動部の変位方向が弁体の変位方向に規制される。また、可動部と規制部との間の隙間には粘性流体が充填されているため、可動部が規制部に対して変位すると粘性抵抗が発生する。ここで、粘性抵抗は、可動部の変位速度に比例して大きくなるものである。そのため、流体圧力が発振(弁体が振動)しようとして可動部の変位速度が大きくなる場合には、それに比例して大きな粘性抵抗が発生する。この場合、弁体の振動が抑えられるため、その結果流体圧力の発振現象を抑制することができる。また、その一方で、弁体の変位が安定した状態にある場合には、弁体の変位速度が比較的小さいため大きな粘性抵抗が発生しない。そのため、安定状態時において圧力制御性が低下するのを抑制することができる。よって、以上より液体圧力の発振現象を抑制しつつ圧力制御性が低下するのを抑制することができる。
【0013】
ところで、流体圧力の発振が生じた場合に、圧力印加部材により印加する圧力を発振に追従させながら調整することで発振を抑制することも場合によっては可能である。しかしながら、かかる方法では、流体(被制御流体)の粘性が低くなる流体の高温時に発振が生じた場合、つまり低粘度の流体により高周波数の発振が生じた場合に、圧力調整が発振に追従しきれずその結果発振を抑制できないおそれがある。その点、本発明では、高周波数の発振が生じて弁体(ひいては可動部)の変位速度が大きくなった場合でも、変位速度に比例して付与される粘性抵抗が大きくなるため、好適に流体圧力の発振を抑制することができる。
【0014】
また、従来は、可動部を規制部と接触させて可動部に摺動抵抗を付与することで流体圧力の発振を抑制していたため、可動部又は規制部に寸法ばらつきが生じると摺動抵抗の大きさがばらつき、その結果圧力制御性が低下したり圧力の発振を抑制できなかったりするおそれがあった。その点、本発明では、可動部と規制部との間に隙間を設け、その隙間に充填した粘性流体により可動部に粘性抵抗を付与する構成としたため、可動部と規制部とを接触させることなく弁体に抵抗力を付与することができる。これにより、可動部又は規制部に寸法のばらつきが生じても上記の効果を得ることが可能となる。
【0015】
ここで、粘性流体は、隙間において弁体の変位方向(換言すれば可動部の変位方向)に沿って充填したり、可動部の外周方向に沿って充填したりするのが望ましい。そうすれば、可動部と粘性流体との接触面積を比較的大きくすることができるため、可動部に対して付与される粘性抵抗を大きくすることができる。そのため、流体圧力の発振を抑制する効果を高めることができる。
【0016】
可動部を有するとともに弁体の変位方向の一端側に連結されたバネ受け部材と、バネ受け部材に当接されて弁体をその変位方向における他端側に付勢する付勢手段と、付勢手段による付勢力に抗して弁体をその変位方向におけるバネ受け部材側に押圧する押圧手段とを備える構成としてもよい。一般に、流体制御弁においては、弁体を付勢手段によりその変位方向における一方側に付勢するとともに、押圧手段によりその変位方向における他方側に押圧しながら弁体の変位調整を行う。この場合、付勢手段により弁体を付勢するにあたっては、弁体の変位方向の一端側に連結されたバネ受け部材に付勢手段を当接させ、その付勢手段によりバネ受け部材を付勢することにより行う。そこで、このバネ受け部材を用いて可動部を構成することが考えられる。この場合、可動部を設けるに際し別途新規部材を設ける必要がないため、簡素な構成で上記の効果を得ることができる。
【0017】
第2の発明の流体制御弁は、第1の発明において、前記規制部には、前記可動部の外周面と対向する対向面が設けられており、前記可動部の外周面と前記規制部の前記対向面との間に前記隙間が設けられ、その隙間に前記粘性流体が充填されていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、規制部に可動部の外周面と対向する対向面が設けられており、その対向面と可動部の外周面との間には隙間が設けられている。そして、この対向する面同士の間の隙間に粘性流体が充填されている。この場合、可動部と粘性流体との接触面積を比較的大きくすることができるため、可動部に対して付与される粘性抵抗を大きくすることができる。これにより、流体圧力の発振を抑制する効果を高めることができる。また、かかる構成としても、弁体の変位が安定した状態にある場合には、大きな粘性抵抗が付与されることがないため、液体圧力の発振を抑制する効果を高めつつも圧力制御性が低下するのを抑制することができる。
【0019】
ここで、規制部には、可動部の外周面全域と対向するように対向面が設けられ、その対向面と可動部の外周面との間の隙間全域に粘性流体が充填されているのが望ましい。そうすれば、可動部と粘性流体との接触面積をより一層大きくすることができるため、可動部に対して付与される粘性抵抗をさらに大きくすることができる。これにより、流体圧力の発振を抑制する効果をより一層高めることができる。
【0020】
第3の発明の流体制御弁は、第1又は第2の発明において、前記可動部は、前記粘性流体を注入するための注入口と、外周側に開口し、前記注入口に注入された前記粘性流体を前記隙間に導く流体通路と、を備えることを特徴とする。
【0021】
例えば粘性流体として粘性が比較的低いものや揮発性が比較的高いものを用いる場合には、粘性流体を可動部の側面に塗布してから同可動部を流体制御弁に組み込む際に、粘性流体が垂れたり揮発したりするおそれがある。その点、本発明によれば、可動部の注入口にシリンジ等を用いて粘性流体を注入することで、粘性流体を流体通路を介して可動部と規制部との間の隙間に注入することができるため、かかる粘性流体を用いる場合でも上記の不都合を回避しつつ粘性流体を隙間に充填することができる。つまり、この場合、隙間に充填する粘性流体の充填量を管理し易いため、所望の粘性抵抗を好適に付与することができる。
【0022】
また、長期間の使用等によって隙間内に充填された粘性流体が不足してきた場合には、可動部の注入口に粘性流体を注入することで上記隙間に粘性流体を補充することができる。そのため、長期間にわたって上記第1の発明の効果を得ることができる。
【0023】
第4の発明の流体制御弁は、第1又は第2の発明において、前記可動部は、前記粘性流体が貯えられるとともに前記隙間に通じる通路を有する貯留部と、前記貯留部に貯えられた粘性流体を前記隙間に供給すべく、前記貯留部内の粘性流体を押し出す押出手段と、を備えていることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、可動部に設けられた貯留部に粘性流体を貯留することができ、その貯留した粘性流体を押出手段により押し出すことで粘性流体を可動部と規制部との間の隙間に供給することができる。これにより、上記隙間に充填された粘性流体が揮発する等して不足してきた場合でも、粘性流体を上記隙間に補充できるため、上記第1の発明の効果を長期間にわたって得ることができる。
【0025】
また、この場合、外部から押出手段へのアクセスを可能とする開口部と、開口部を塞ぐための蓋部とを備えるのが望ましい。そうすれば、通常使用時には蓋部により開口部を閉じておくことで、押出手段側につまりは可動部側にごみ等が入るのを防止できるため、ごみ等が上記隙間に入り可動部の変位に支障をきたす等の不都合を回避できる。
【0026】
第5の発明の流体制御弁は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記粘性流体は、真空用グリスであることを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、可動部と規制部との間の隙間に充填する粘性流体として、比較的粘性の高い真空用グリスを用いているため、粘性流体を上記隙間に保持させる効果を高めることができる。その上、真空用グリスは比較的揮発性が低いため、上記隙間内の粘性流体が揮発して減るのも抑制できる。よって、この場合、上記第1の発明の効果を長期にわたって得ることができる。
【0028】
第6の発明の流体制御弁は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記可動部及び前記規制部の少なくともいずれかには前記粘性流体との接触面に、凹凸部が設けられていることを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、可動部及び規制部の少なくともいずれかには粘性流体との接触面に凹凸部が設けられているため、粘性流体を可動部と規制部との間の隙間に保持させる効果を高めることができる。これにより、長期間にわたって流体圧力の発振を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】流体制御弁の全体構成を示す縦断面図。
【図2】別例におけるバネ受け部材周辺の構成を示す縦断面図。
【図3】別例におけるバネ受け部材周辺の構成を示す縦断面図。
【図4】別例におけるバネ受け部材周辺の構成を示す縦断面図。
【図5】バネ受け部材の小径部の側面に凹凸部を設けた構成を示す縦断面図。
【図6】従来における流体制御弁の構成を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明にかかる流体制御弁を半導体製造工程において用いられる流体制御弁に適用した第1の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図1は流体制御弁の全体構成を示す断面図である。
【0032】
図1に示すように、流体制御弁10は、ボトムプレート12、ボディ14、及びカバー16の順にこれらが一体的に組みつけられることで略直方体状をなすものとなっている。ここで、ボトムプレート12やカバー16は、例えばポリプロピレン樹脂によって形成され、ボディ14は、フッ素系合成樹脂によって形成されている。
【0033】
上記ボディ14には、流入口18及び流出口20が設けられている。そして、流体制御弁10は、流入口18に流入した薬液を、流出口20を介して外部に流出する。詳しくは、流入口18は、上流側流体室22及び下流側流体室24を介して流出口20と連通可能とされている。
【0034】
上流側流体室22及び下流側流体室24は、ボディ14の中央部で連通可能とされている。詳しくは、上流側流体室22及び下流側流体室24間は、弁体26によって連通及び遮断される。弁体26は、軸部30と、該軸部30の下部において連結される可撓性膜部28とを備えて構成されている。軸部30は、その軸方向の中央部に断面積が拡大された拡大部30aを備えて構成されている。拡大部30aは、可撓性膜部28に近接するほど断面積が縮小するテーパ形状となっている。そして、拡大部30aは、可撓性膜部28と最も離間した端部においてその断面積が最大となっており、同端部には軸方向と直交する方向に拡がる平面部が形成されている。
【0035】
上記弁体26は、上流側流体室22及び下流側流体室24に跨って収容されている。弁体26は、軸部30の軸方向がボトムプレート12側からカバー16側へ向かう方向と同じとなるように収容されている。そして、弁体26は、軸部30の軸方向(図1における上下方向)に沿って変位可能とされている。ここで、弁体26がその軸部30の軸方向に沿ってカバー16側に変位すると、上記拡大部30aのカバー16側端部(断面積が最大の部分)がボディ14の内壁により形成される弁座部32に着座する。この場合、上流側流体室22及び下流側流体室24間が遮断される。これに対し、弁体26がその軸部30の軸方向に沿ってボトムプレート12側に変位すると、拡大部30aのカバー16側端部が弁座部32から離れる。この場合、上流側流体室22及び下流側流体室24間が連通される。
【0036】
可撓性膜部28の端部は、ボトムプレート12及びボディ14間に挟みこまれることで固定されている。これにより、上流側流体室22及びボトムプレート12(詳細には、後述する収容領域35)間が、可撓性膜部28によって仕切られることとなる。
【0037】
ボトムプレート12には、カバー16側に開口された略円柱状の収容領域35が形成されている。この収容領域35は、可撓性膜部28を挟んで上流側流体室22とは反対側に設けられている。ボトムプレート12には、収容領域35の奥側面(底面)からカバー16側に延びるように規制部12aが設けられている。規制部12aは、全体として環状に形成されており、この規制部12aにより収容領域35が二つの空間に区画されている。それら二つの空間のうち、規制部12aよりも外側がバネ収容室37となっており、規制部12aよりも内側が略円柱状の規制領域41となっている。
【0038】
バネ収容室37には、圧縮コイルバネ38が収容されている。圧縮コイルバネ38のカバー16側の端部は、弁体26の軸部30のボトムプレート12側端部に組み付けられたバネ受け部材39に当接されている。バネ受け部材39は、全体として略円柱状に形成されており、例えばポリプロピレン樹脂よりなる。具体的には、バネ受け部材39は、カバー16側に形成された大径部39aと、ボトムプレート12側に形成された小径部39bとを有し、大径部39aと小径部39bとがこれら各部39a,39bよりも径の小さい連結部39cにより連結されることで構成されている。バネ受け部材39の大径部39aは圧縮コイルバネ38に当接している。これにより、圧縮コイルバネ38の付勢力によってバネ受け部材39が、ひいては弁体26がカバー16側に常時付勢されるようになっている。つまり、弁体26の軸部30の拡大部30aが弁座部32に当接(着座)する状態が保持されるようになっている。
【0039】
バネ受け部材39の小径部39bは、上記規制領域41において往復移動可能に収容されている。小径部39bは、略円柱状に形成されており、その外径寸法が規制領域41の外径寸法、つまり規制部12aの内周径よりも若干小さく設定されている。そのため、バネ受け部材39は規制部12aによりその変位方向が弁体26の変位方向に規制されている。
【0040】
また、ボトムプレート12には、収容領域35と(流体制御弁10の)外部とを連通する連通路33が形成されている。これにより、収容領域35は連通路33を介して大気開放されている。
【0041】
一方、上記弁体26の軸部30のうち可撓性膜部28から離間した側の端部は、圧力印加部材43の中央部に嵌め込まれている。圧力印加部材43は、その端部に可撓性膜部43aを備えており、可撓性膜部43aはボディ14及びカバー16間に挟み込まれることにより固定されている。これにより、下流側流体室24及びカバー16間が遮断される。また、カバー16には、圧力作用室45が形成されており、この圧力作用室45に外部から圧力調節されたエアが充填されるようになっている。
【0042】
次に、上記流体制御弁10の動作を説明する。
【0043】
圧力作用室45内に圧力の調節されたエアが充填されていないときには、図1に示すように、バネ受け部材39を介して弁体26に加えられる圧縮コイルバネ38の弾性力により、弁体26の上記拡大部30aのカバー16側端部が弁座部32に着座する。これにより、上流側流体室22及び下流側流体室24間が遮断される。このため、流入口18から流入した薬液が流出口20側に流出することはない。
【0044】
これに対し、圧力作用室45内に圧力の調節されたエアが充填されると、圧力作用室45内の圧力に応じて圧力印加部材43が、ひいては弁体26が軸部30の軸線方向に沿ってボトムプレート12側に変位する。このため、拡大部30aのカバー16側端部が弁座部32から離座し、上流側流体室22及び下流側流体室24間が連通される。これにより、流入口18から流入した薬液が上流側流体室22及び下流側流体室24を介して流出口20から流出する。この際、流出口20から流出される薬液の圧力は、圧力作用室45内の圧力に応じた一定の圧力に調節されたものとなる。これは、圧力作用室45内の圧力によって弁体26をボトムプレート12側に変位させる力と、圧縮コイルバネ38の弾性力が弁体26をカバー16側に変位させる力と、薬液が弁体26に及ぼす力とが釣り合うところで弁体26の変位が固定されることによる。これにより、流入口18側から供給される略一定の圧力の薬液を、これよりも低圧の所望の圧力に高精度に制御して流出口20から流出させることができる。
【0045】
ところで、一般に流体制御弁による圧力制御に際しては、外部へ流出する流体の圧力が発振する(圧力が上下する)発振現象が生じることが問題となる。そこで本実施形態では、バネ受け部材39の小径部39bと規制部12aとの間の隙間に粘性流体を充填することで弁体26の変位に際し粘性抵抗を付与し、これにより流体圧力の発振現象を抑制することとしている。以下、その詳細について説明する。
【0046】
バネ受け部材39の小径部39bの側面と規制部12aの内側面との間には、所定の隙間48が設けられている。本実施形態では、この隙間48が例えば0.3mmに設定されている。この隙間48には、粘性流体としての真空用グリス50が充填されている。真空用グリス50は、比較的粘性が高くかつ揮発性の低いグリスである。そのため、バネ受け部材39の変位に際して真空用グリス50が隙間48から垂れたり、揮発したりすることが抑制されている。
【0047】
真空用グリス50の隙間48への充填は、バネ受け部材39の小径部39bに真空用グリス50を塗布し、その後小径部39bをボトムプレート12の規制領域41に収容することにより行われる。本実施形態では、真空用グリス50がバネ受け部材39の小径部39bの側面全域に塗布されるため、隙間48内全域に真空用グリス50が充填される。
【0048】
規制領域41にバネ受け部材39の小径部39bが収容されることで、規制領域41における小径部39bよりもカバー16側とは反対側(図1において小径部39bよりも下方の空間)は同小径部39bにより閉ざされている。小径部39bには、この閉ざされた領域とバネ収容室37側とを連通するエア抜き通路52が形成されており、当該閉ざされた空間に存在するエアをエア抜き通路52及び連通路33等を通じて外部に排出できるようになっている。
【0049】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0050】
バネ受け部材39の小径部39bと規制部12aとの間に所定の隙間48を設け、その隙間48に真空用グリス50を充填した。この場合、バネ受け部材39が弁体26に連動して変位すると真空用グリス50により粘性抵抗が発生するため、バネ受け部材39には、ひいては弁体26には抵抗力が付与される。ここで、粘性抵抗は、バネ受け部材39の変位速度に比例して大きくなるものである。そのため、発振により弁体26が振動し始めてバネ受け部材39の変位速度が大きくなると、それに比例して大きな粘性抵抗が発生する。この場合、弁体26の振動を抑えることができるため、その結果流体圧力の発振現象を好適に抑制することができる。また、その一方で、弁体26の変位が安定した状態にある場合には、弁体26の変位速度が比較的小さいため大きな粘性抵抗が発生しない。そのため、安定状態時において圧力制御性が低下するのを抑制することができる。よって、以上より、流体圧力の発振現象を抑制しつつ圧力制御性が低下するのを抑制することができる。
【0051】
具体的には、バネ受け部材39の小径部39bの外周面と規制部12aの内周面とを対向させ、それら対向する対向面同士の間に隙間48を設けるとともに、その隙間48全域に真空用グリス50を充填した。この場合、小径部39bと真空用グリス50との接触面積を大きくすることができるため、小径部39bに付与される粘性抵抗を大きくすることができる。これにより、流体圧力の発振を抑制する効果を高めることができる。
【0052】
ところで、流体制御弁10において使用する流体が高温である場合には流体の粘性が低くなるため高周波数の発振が生じることがあり、この場合には弁体26の変位速度が著しく大きくなるおそれがある。その点、上記の構成では、弁体26の変位速度が大きくなるほどバネ受け部材39に付与される粘性抵抗が大きくなるため、かかる場合においても好適に流体圧力の発振を抑制することができる。
【0053】
また、バネ受け部材39の小径部39bと規制部12aとの間に隙間48を設け、その隙間48に充填された真空用グリス50により小径部39bに粘性抵抗を付与する構成としたため、小径部39bと規制部12aとを接触させることなく弁体26に抵抗力を付与することができる。これにより、小径部39b又は規制部12aに寸法ばらつきが生じても上記の効果を得ることができる。
【0054】
さらに、万が一圧縮コイルバネ38の不具合等によりバネ受け部材39の小径部39bと規制部12aとの間に摺りが発生しても、真空用グリス50により潤滑作用が働くため、小径部39b(ひいては弁体26)の動きが鈍る等、性能が低下するのを回避する効果が期待できる。
【0055】
バネ受け部材39の小径部39bと規制部12aとの間の隙間48に充填する粘性流体として真空用グリス50を用いた。真空用グリス50は、比較的粘性の高い粘性流体であるため上記隙間48に保持させる効果を高めることができる。その上、真空用グリス50は比較的揮発性が低いため、隙間48に充填された粘性流体が揮発して減るのも抑制できる。よって、この場合、上記の効果を長期にわたって得ることができる。
【0056】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0057】
(1)上記実施形態では、流体制御弁10を組み立てる前にバネ受け部材39の小径部39bの側面に真空用グリス50を塗布し、その後小径部39bをボトムプレート12の規制領域41に挿入することで隙間48内に真空用グリス50を充填したが、これを変更して、流体制御弁10を組み立てた後に真空用グリス50を上記隙間48に充填してもよい。具体的には、例えば、バネ受け部材に、真空用グリス50を注入するための注入口と、注入口に注入された真空用グリス50を隙間48に導く流体通路とを設け、流体制御弁10の組み立て後にシリンダ等により注入口に真空用グリス50を注入することで真空用グリス50を隙間48に充填する構成が考えられる。以下、その具体例について図2に基づいて説明する。
【0058】
図2(a)に示すように、バネ受け部材55において小径部55aには、真空用グリス50を注入するためのグリス注入口56が設けられている。グリス注入口56は、カバー16側とは反対側に開口された略円柱状の凹状空間である。また、小径部55aには、グリス注入口56に注入された真空用グリス50を隙間48に導くためのグリス通路57が設けられている。グリス通路57は、グリス注入口56と隙間48とを連通する連通路であり、小径部55aの周方向に沿って所定間隔で複数形成されている。なお、本実施形態では4つのグリス通路57が等間隔で形成されている。さらに、小径部55aには、グリス注入口56とバネ収容室37側とを連通するエア抜き通路62が形成されている。
【0059】
ボトムプレート12には、規制領域41と(流体制御弁10の)外部とを連通するシリンダ挿入口58が形成されている。シリンダ挿入口58には、同挿入口58を塞ぐためのキャップ59が設けられている。
【0060】
次に、流体制御弁10の組み立て後に、シリンダ61を用いて真空用グリス50を隙間48に充填する作業について説明する。ここで用いられるシリンダ61には、小径部55aのグリス通路57に合わせて形成された4つの吐出口61aが設けられている。
【0061】
まず、隙間48に充填する真空用グリス50の量に応じて、必要な量の真空用グリス50をシリンダ61内に充填する。その後、図2(b)に示すように、キャップ59を取り外してシリンダ挿入口58を開口し、同挿入口58を通じてシリンダ60をバネ受け部材55の小径部55aのグリス注入口56に挿入する。そして、シリンダ60の吐出口60aがグリス通路57と連通するようにシリンダ60を回転させ位置合わせを行う。なお、シリンダ60をシリンダ挿入口58に挿入する際、グリス注入口56内のエアはエア抜き通路62を通じてバネ収容室37側に排出されるため、シリンダ60の挿入が上記エアによって妨げられることはない。
【0062】
次に、真空用グリス50の隙間48への充填作業を行う。この充填作業は、図示しないピストンを押すことによりシリンダ60内の真空用グリス50をグリス注入口56に注入することにより行う。この場合、グリス注入口56に注入された真空用グリス50は各グリス通路57を通じて隙間48に導かれる。これにより、所定量の真空用グリス50が隙間48に充填される。
【0063】
充填が終了した後、シリンダ60をグリス注入口56から引き抜いて、同シリンダ60をシリンダ挿入口58より規制領域41(つまり流体制御弁10)の外に引き出す。そして、隙間48に充填した真空用グリス50がグリス注入口56を介して漏れ出るのを防止するために、グリス注入口56に円柱状のゴム等からなる栓(図示略)を挿し込む。その後、キャップ59をグリス注入口56に取り付ける。これにより、真空用グリス50の充填作業が終了する。
【0064】
上記構成によれば、流体制御弁10を組み立てた後、シリンダ61により真空用グリス50をグリス注入口56に注入することで、バネ受け部材55と規制部12aとの間の隙間48に真空用グリス50を充填することができる。これにより、真空用グリス50をバネ受け部材39の側面に塗布してからバネ受け部材39を流体制御弁10に組み込む上記実施形態の場合とは異なり、組み込み途中で真空用グリス50が揮発したり垂れたりするのを回避できるため、隙間48に充填する真空用グリス50の充填量を管理し易い。よって、この場合、バネ受け部材55に所望の粘性抵抗を好適に付与することができる。
【0065】
また、小径部55aには、グリス通路57が同小径部55aの周方向に沿って複数形成されているため、隙間48全域に真空用グリス50を充填させることが可能である。これにより、小径部55aの外周全域に粘性抵抗を付与することができるため、局所的に抵抗力が付与されることで弁体26がその変位に際しバランスを欠き傾くといった不都合を抑制することができる。
【0066】
さらに、長期間の使用等によって隙間48内に充填された真空用グリス50が不足してきた場合には、バネ受け部材55のグリス注入口56に真空用グリス50を注入することで上記隙間48に真空用グリス50を補充することができる。そのため、長期間にわたって圧力制御性の低下を抑制しつつ流体圧力の発振を抑制することができる。
【0067】
(2)流体制御弁10を長期間使用等することで、隙間48に充填された真空用グリス50が揮発等して不足してきた場合に、真空用グリス50を隙間48に補充できるようにしてもよい。例えば、バネ受け部材に、真空用グリス50が貯えられるとともに隙間48に通じる貯留部と、貯留部に貯えられた真空用グリス50を隙間48に供給すべく、貯留部内の真空用グリス50を押し出す押出手段とを設ける構成が考えられる。以下、その具体例について図3を参照しつつ説明する。
【0068】
図3に示すように、バネ受け部材65において小径部65aには、カバー16側とは反対側に開口された略円柱状のシリンダ部67と、該シリンダ部67を隙間48と連通させるグリス通路68とが設けられている。グリス通路68は、小径部65aの周方向に沿って所定間隔で複数形成されている。また、バネ受け部材65には、シリンダ部67からカバー16側に延びるようにしてねじ孔69が設けられ、さらにそのねじ孔69の先端部からバネ収容室37に通じるエア抜き通路70が設けられている。
【0069】
シリンダ部67には、ピストン部71が設けられている。ピストン部71は、略円板状に形成されており、例えばゴム板からなる。ピストン部71は、その外径がシリンダ部67のシリンダ径よりも若干大きくなっており、その側面をシリンダ部67の内周面に当接(密着)させた状態でシリンダ部67に設けられている。ピストン部71は、シリンダ部67においてその軸線方向に変位可能とされており、シリンダ部67におけるピストン部71よりもカバー16側には所定のスペースが形成される。そして、このスペースと、各グリス通路68とは真空用グリス50を貯えておくための貯留スペース74となっており、ここではこの貯留スペース74に真空用グリス50が予め充填されていることを想定している。
【0070】
バネ受け部材65のねじ孔69には、充填用ねじ76がねじ込まれている。充填用ねじ76は、その頭部とピストン部71との間に平座金72を介在させ、かつ、ピストン部71を貫通した状態でねじ孔69にねじ込まれている。ここで、充填用ねじ76を締め込むと、それに伴いピストン部71がカバー16側に移動する。その結果、貯留スペース74が縮小されるため、貯留スペース74に貯留されている真空用グリス50がその縮小分だけグリス通路68を通じて隙間48に押し出される。これにより、真空用グリス50が隙間48に補充される。なおここで、ピストン部71や充填用ねじ76等により押出手段が構成されている。
【0071】
ボトムプレート12には、規制領域41と(流体制御弁10の)外部とを連通する開口部78が形成されている。この開口部78を通じて外部より充填用ねじ76の締め込みが可能とされている。また、開口部78には、同開口部78を塞ぐためのキャップ79が設けられている。
【0072】
次に、上記構成において、真空用グリス50を隙間48に補充する場合の作業について説明する。
【0073】
真空用グリス50の補充作業を行う際には、まず、キャップ79を取り外して開口部78を開ける。そして、開口部78を通じてドライバ(図示略)等により充填用ねじ76を締め込む。この締め込みは、例えば隙間48から真空用グリス50が溢れ出るのを開口部78を通じて目視で確認できるまで行う。これにより、真空用グリス50が隙間48に補充される。なお、充填用ねじ76を締め込む際、ねじ孔69内のエアはエア抜き通路70を通じてバネ収容室37側に排出されるため、充填用ねじ76の締め込みが上記エアによって妨げられることはない。真空用グリス50の補充が終了した後、キャップ79を開口部78に取り付ける。これにより、真空用グリス50の補充作業は終了する。
【0074】
上記構成によれば、隙間48に充填された真空用グリス50が揮発等して不足してきた場合でも、真空用グリス50を隙間48に補充することができるため、圧力制御性の低下を抑制しつつ流体圧力の発振を抑制する効果を長期間にわたって得ることができる。
【0075】
(3)上記実施形態では、バネ受け部材39の小径部39bの外周面と規制部12aの内周面との間に所定の隙間48を設け、この隙間48に真空用グリス50を充填したが、真空用グリス50を充填する隙間をその他の部位に設定してもよい。例えば、バネ受け部材の外周面と収容領域35の内周面との間に所定の隙間を設け、その隙間に真空用グリス50を充填する構成としてもよい。その具体例を図4に示す。
【0076】
図4に示すように、ボトムプレート81には、カバー16側に開口された略円柱状の収容領域82が形成されている。収容領域82には、弁体26の軸部30の端部に組み付けられたバネ受け部材85が設けられている。バネ受け部材85は、弁体26の軸部30に連結された略円柱状の円柱部85aと、円柱部85aの外周部からカバー16側とは反対側に延びる略円筒状の円筒部85bとを有している。円筒部85bの内周側には、圧縮コイルバネ38が設けられており、圧縮コイルバネ38のカバー16側端部が円柱部85aに当接している。これにより、バネ受け部材85が圧縮コイルバネ38によりカバー16側に付勢されている。
【0077】
円筒部85bは、その外径が収容領域82の内径よりも若干小さくなっている。これにより、バネ受け部材85の変位方向が収容領域82の内側面により弁体26の変位方向に規制されている。なおここで、収容領域82の内側面を形成する壁部が規制部に相当する。また、円筒部85bの外側面と収容領域82の内側面との間には所定の隙間86が設けられている。この隙間86は、上記実施形態と同様、例えば0.3mmに設定されている。そして、この隙間86には真空用グリス50が充填されている。つまり、本例では、バネ受け部材85と真空用グリス50との接触面が上記実施形態と比べ大きくなっている。この場合、バネ受け部材85に付与される粘性抵抗を増大することができるため、流体圧力の発振をより一層抑制することができる。
【0078】
(4)図5に示すように、バネ受け部材39の小径部39bの側面に凹凸部91を設けてもよい。この場合、隙間48における真空用グリス50の保持力を高めることができるため、長期間にわたって流体圧力の発振を抑制することができる。なお、凹凸部91をバネ受け部材39の小径部39bの側面に設けるのに代えて又は加えて、規制部12aの内周面に設けてもよい。この場合も同様に、真空用グリス50の保持力を高めることができる。また、凹凸部91における凹凸の数や凹凸の大きさは、図5で示したものに限定されず任意としてよい。
【0079】
(5)上記実施形態では、粘性流体として真空用グリス50を使用したが、シリコングリス等その他のグリスを使用してもよい。また、必ずしもグリスを使用する必要はなく、ワセリンや油等を用いてもよい。
【0080】
(6)上記実施形態では、真空用グリス50を隙間48全域に充填したが、必ずしも全域に充填する必要はなく、充填範囲や充填量については任意である。要するに、真空用グリス50の充填範囲や充填量については、流体制御弁の種類(例えば仕様)等に応じて適宜決定すればよい。
【0081】
(7)流体制御弁10としては、薬液の圧力を制御するものに限らず、例えば半導体製造工程において、薬液の濃度を調節するために用いられる純水の圧力を制御するものであってもよい。更に、流体制御弁10としては、半導体製造工程で用いられるものに限らず、例えば化学製品の製造工程で用いられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0082】
10…流体制御弁、12…ボトムプレート、12a…規制部、22…上流側流体室、24…下流側流体室、26…弁体、28…可撓性膜部、30…軸部、39…バネ受け部材、39b…可動部としての小径部、48…隙間、50…粘性流体としての真空用グリス、91…凹凸部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部と該軸部に連結された可撓性膜部とを備える弁体によって流体の流路が上流側流体室及び下流側流体室に仕切られて且つ、前記弁体の変位により前記上流側流体室へ流入する流体を前記下流側流体室を介して外部へと流出させる流体制御弁において、
前記軸部と連動して変位する可動部と、
該可動部の外周側に設けられ前記可動部の変位方向を前記弁体の変位方向に規制する規制部と、
前記可動部と前記規制部との間に隙間が設けられ、その隙間に充填された粘性流体と、
を備えることを特徴とする流体制御弁。
【請求項2】
前記規制部には、前記可動部の外周面と対向する対向面が設けられており、
前記可動部の外周面と前記規制部の前記対向面との間に前記隙間が設けられ、その隙間に前記粘性流体が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の流体制御弁。
【請求項3】
前記可動部は、
前記粘性流体を注入するための注入口と、
外周側に開口し、前記注入口に注入された前記粘性流体を前記隙間に導く流体通路と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体制御弁。
【請求項4】
前記可動部は、
前記粘性流体が貯えられるとともに前記隙間に通じる通路を有する貯留部と、
前記貯留部に貯えられた粘性流体を前記隙間に供給すべく、前記貯留部内の粘性流体を押し出す押出手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体制御弁。
【請求項5】
前記粘性流体は、真空用グリスであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の流体制御弁。
【請求項6】
前記可動部及び前記規制部の少なくともいずれかには前記粘性流体との接触面に、凹凸部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の流体制御弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−106577(P2011−106577A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262477(P2009−262477)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】