説明

流体噴射装置及び流体噴射装置のメンテナンス方法

【課題】フラッシング動作における流体の使用量をより十分に減少させる。
【解決手段】噴射口16から噴射される流体の重量を取得し、流体の重量に基づいてフラッシング動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体噴射装置及び流体噴射装置のメンテナンス方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流体噴射装置として、記録ヘッドの噴射口より記録媒体にインクを噴射するインクジェット式記録装置が知られている。流体噴射装置においては、噴射口が乾燥等することによって噴射不良が発生するのを抑制するために、所定のタイミング(例えば、記録動作前のタイミングや定期的なタイミング)にて、噴射口からインクを噴射することによって噴射特性を維持あるいは回復するためのフラッシング動作が行われている。
このフラッシング動作は、記録媒体への記録領域の外部にて行われ、フラッシング動作にて用いられたインクは廃棄され記録に用いることができない。このため、噴射特性の維持あるいは回復を達成しつつ、フラッシング動作におけるインクの使用量を減少させる試みがなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、記録時における噴射口からの噴射回数をカウントし、カウント値に応じて、すなわち使用頻度に応じてフラッシング動作における噴射回数を決定するインクジェット式記録装置が開示されている。
【特許文献1】特開平7−47696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フラッシング動作において噴射特性を所望の状態に維持あるいは回復するためには、インクを、噴射特性を所望の状態に維持あるいは回復するために必要とされる重量分だけ噴射口から噴射する必要がある。つまり、フラッシング動作においては、噴射するインクの重量が重要となる。
噴射口から噴射されるインクの重量は、噴射口の使用頻度のみならず、噴射口の寸法ばらつき、インクを噴射するための駆動信号の電圧のばらつき及び周囲の温度等の様々な条件によって変化する。
特許文献1のように、噴射口の使用頻度のみに基づいてフラッシング動作における噴射回数を決定する場合には、使用頻度以外の他の条件に基づく噴射するインクの重量が最も軽いものとして、噴射回数が決定せざるを得ない。このため、使用頻度以外の他の条件が良好な場合には、フラッシング動作にて無駄なインクが生じることとなり、十分にフラッシング動作におけるインクの使用量を減少させることができない。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、フラッシング動作における流体の使用量をより十分に減少させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の流体噴射装置は、流体を噴射する噴射口が形成された噴射ヘッドを備え、所定のタイミングにて上記噴射口から上記流体を噴射することによって上記噴射ヘッドの噴射特性を維持あるいは回復するフラッシング動作を行う流体噴射装置であって、上記噴射口から噴射される上記流体に応じた検出信号を出力する検出装置と、上記検出信号に基づいて上記流体の重量に関する情報を取得する処理装置と、上記フラッシング動作にて噴射口から噴射すべき流体の総重量を記憶する記憶装置と、上記処理装置にて取得された上記流体の重量に関する情報及び上記記憶装置に記憶される上記流体の総重量に基づいて上記フラッシング動作における上記流体の噴射回数を算出し、算出した上記流体の噴射回数に基づいて上記フラッシング動作を実行する制御装置とを備えることを特徴とする。
【0007】
このような特徴を有する本発明の流体噴射装置によれば、検出装置によって噴射口から噴射される流体に応じた検出信号が出力され、処理装置によって検出信号に基づいて流体の重量に関する情報が取得される。つまり、本発明の流体噴射装置においては、実際に噴射口から噴射される流体の重量に関する情報が取得される。
このため、噴射口の使用頻度のみならず、噴射口の寸法ばらつき、流体を噴射するための駆動信号の電圧のばらつき及び周囲の温度等の様々な条件によって、噴射口から噴射される流体の重量が変化した場合であっても、常に実際に噴射口から噴射される流体の重量に関する情報に基づいてフラッシング動作が実行される。
したがって、フラッシング動作において噴射口から噴射される流体の重量を正確に管理することができ、フラッシング動作における流体の使用量をより十分に減少させることが可能となる。
【0008】
また、本発明の流体噴射装置においては、前記フラッシング動作にて噴射口から噴射すべき流体の総重量を記憶する記憶装置をさらに備え、前記制御装置は、前記処理装置にて取得された前記流体の重量に関する情報及び前記記憶装置に記憶される前記流体の総重量に基づいて前記フラッシング動作における前記流体の噴射回数を算出し、算出した前記流体の噴射回数に基づいて前記フラッシング動作を実行するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、記憶装置によってフラッシング動作にて噴射口から噴射すべき流体の総重量が記憶され、制御装置によって、実際に噴射口から噴射される流体の重量に関する情報とフラッシング動作にて噴射口から噴射すべき流体の総重量に基づいて、フラッシング動作における流体の噴射回数が算出される。つまり、本発明の流体噴射装置においては、実際に噴射口から噴射される流体の重量に基づいてフラッシング動作における流体の噴射回数が決定される。
このため、噴射口の使用頻度のみならず、噴射口の寸法ばらつき、流体を噴射するための駆動信号の電圧のばらつき及び周囲の温度等の様々な条件によって、噴射口から噴射される流体の重量が変化した場合であっても、常に必要最小限の噴射回数にて、噴射ヘッドの噴射特性を維持あるいは回復させることが可能となる。
したがって、フラッシング動作における流体の使用量をより十分に減少させることが可能となる。
【0009】
また、本発明の流体噴射装置においては、上記制御装置は、上記フラッシング動作を実行する直前に上記流体の噴射回数を算出するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、より正確にフラッシング動作における流体の噴射回数を算出することが可能となる。
【0010】
また、本発明の流体噴射装置においては、上記制御装置は、上記フラッシング動作の実行途中に上記流体の噴射回数を再度算出するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、例えば、フラッシング動作にて噴射口から噴射すべき流体の総重量が多く、フラッシング動作の実行途中に噴射口から噴射される流体の重量が変化するような場合であっても、より確実にフラッシング動作において必要な重量のインクを噴射することができる。
【0011】
また、本発明の流体噴射装置においては、複数の上記噴射口がある場合に、上記制御装置は、噴射口ごとに上記流体の噴射回数を算出するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、全ての噴射口から必要最小限の流体が噴射される。このため、より確実に噴射特性の維持あるいは回復を行うことができる。
【0012】
また、本発明の流体噴射装置においては、上記検出装置は、上記噴射口から噴射された上記流体が供給される検出部を有し、上記噴射面と上記検出部との間に電界を与えて、上記噴射口から上記検出部に上記流体が移動するときの静電誘導に基づく電圧値の変化を上記検出信号として出力するという構成を採用する。
また、本発明の流体噴射装置においては、上記処理装置は、上記電圧値の極値に基づいて上記流体の重量に関する情報を取得するという構成を採用する。
これらの構成を採用することによって、噴射口から噴射される流体の重量に関する情報を正確に得ることができる。
【0013】
次に、本発明の流体噴射装置のメンテナンス方法は、流体を噴射する噴射口が形成された噴射ヘッドを備え、所定のタイミングにて前記噴射口から前記流体を噴射することによって前記噴射ヘッドの噴射特性を維持あるいは回復するフラッシング動作を行う流体噴射装置のメンテナンス方法であって、前記噴射口から噴射される前記流体の重量を取得し、前記流体の重量に基づいて前記フラッシング動作を行うことを特徴とする。
【0014】
このような特徴を有する本発明の流体噴射装置のメンテナンス方法によれば、噴射口から噴射される流体の重量に関する情報が取得される。つまり、本発明の流体噴射装置のメンテナンス方法においては、実際に噴射口から噴射される流体の重量に関する情報が取得される。
このため、噴射口の使用頻度のみならず、噴射口の寸法ばらつき、流体を噴射するための駆動信号の電圧のばらつき及び周囲の温度等の様々な条件によって、噴射口から噴射される流体の重量が変化した場合であっても、常に実際に噴射口から噴射される流体の重量に関する情報に基づいてフラッシング動作が実行される。
したがって、フラッシング動作において噴射口から噴射される流体の重量を正確に管理することができ、フラッシング動作における流体の使用量をより十分に減少させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る流体噴射装置及び流体噴射装置のメンテナンス方法の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る流体噴射装置の一例を示す斜視図、図2は、平面図である。本実施形態においては、流体噴射装置が、インク等の液体(液状体)を噴射する液体噴射装置(液状体噴射装置)である場合を例にして説明する。本実施形態においては、流体噴射装置が、記録ヘッドの噴射口から記録媒体にインクを噴射して、その記録媒体に対する記録を実行するインクジェット式記録装置である場合を例にして説明する。本実施形態においては、インクジェット式記録装置の一例として、記録媒体である記録紙にインクの滴を吐出(噴射)して、その記録紙に対する記録を実行するインクジェットプリンタについて説明する。
【0017】
図1及び図2において、インクジェットプリンタ1は、インクで記録紙に対する記録を実行する記録ユニット2と、記録紙を搬送する記録紙搬送機構3とを備えている。
【0018】
記録ユニット2は、インクを噴射する記録ヘッド4(噴射ヘッド)と、記録ヘッド4を支持しながら移動可能なキャリッジ5と、記録ヘッド4及びキャリッジ5と対向する位置に配置され、インクが噴射される記録紙を支持するプラテン6とを含む。
【0019】
また、インクジェットプリンタ1は、キャリッジ5を移動するモータ等を含むキャリッジ駆動装置7と、キャリッジ5の移動を案内するキャリッジガイド部材とを備えている。
キャリッジ5は、キャリッジガイド部材に案内されながら、キャリッジ駆動装置7によって、主走査方向に移動する。記録紙は、記録紙搬送機構3により、記録ユニット2に対して、主走査方向と交差する副走査方向に移動する。
【0020】
インクジェットプリンタ1は、記録紙を収容する給紙カセット9を備えている。給紙カセット9は、インクジェットプリンタ1の本体の背面側に、着脱可能に設けられている。給紙カセット9は、積層された複数の記録紙を収容可能である。
【0021】
記録紙搬送機構3は、給紙カセット9の記録紙を搬出するための給紙ローラと、給紙ローラを駆動するモータ等を含む給紙ローラ駆動装置10と、記録紙の移動を案内する記録紙ガイド部材11と、給紙ローラに対して搬送方向の下流側に配置されている搬送ローラと、搬送ローラを駆動する搬送ローラ駆動装置と、記録ユニット2に対して搬送方向の下流側に配置されている排出ローラとを有している。
【0022】
給紙ローラは、給紙カセット9に積層されている複数の記録紙のうち、最も上側に配置されている記録紙をピックアップし、給紙カセット9より搬出可能である。給紙カセット9の記録紙は、記録紙ガイド部材11に案内されながら、給紙ローラ駆動装置10によって駆動する給紙ローラによって、搬送ローラに送られる。搬送ローラに送られた記録紙は、搬送ローラ駆動装置によって駆動する搬送ローラにより、搬送方向の下流側に配置された記録ユニット2に搬送される。
【0023】
記録ユニット2のプラテン6は、記録ヘッド4及びキャリッジ5と対向する位置に配置され、記録紙の下面を支持する。記録ヘッド4及びキャリッジ5は、プラテン6の上方に配置されている。記録紙搬送機構3は、記録ユニット2による記録動作と連動して、記録紙を副走査方向に搬送する。記録ユニット2で記録された記録紙は、排出ローラを含む記録紙搬送機構3によって、インクジェットプリンタ1の正面側から排出される。
【0024】
また、インクジェットプリンタ1は、インクカートリッジのインクをキャリッジ5の記録ヘッド4に供給するインク供給チューブ12を備えている。インクカートリッジのインクは、インク供給針を介してインク供給路に供給され、そのインク供給路より、インク供給チューブ12を介して、キャリッジ5の記録ヘッド4に供給される。
【0025】
また、インクジェットプリンタ1は、記録ヘッド4をメンテナンス可能なメンテナンス装置13を備えている。メンテナンス装置13は、キャッピング装置14及びワイピング装置15を含む。メンテナンス装置13は、キャリッジ5及び記録ヘッド4のホームポジションに配置されている。ホームポジションは、キャリッジ5の移動領域内であって、記録ユニット2による記録動作が実行される記録領域の外側の端部領域に設定されている。
電源が切断されている間、あるいは長時間に亘って記録動作が実行されない場合、キャリッジ5及び記録ヘッド4は、ホームポジションに配置される。
【0026】
また、インクジェットプリンタ1は、記録ヘッド4とキャッピング装置14のキャップ部材34との位置関係を検出可能な検出システム8を備えている。
【0027】
記録ヘッド4は、ヘッド本体18と、振動板19、流路基板20、及びノズル基板21を含む流路形成ユニット22とを備えている。噴射面17は、ノズル基板21の下面によって形成されている。噴射口16は、ノズル基板21に形成されている。流路形成ユニット22は、振動板19、流路基板20、及びノズル基板21を積層し、接着剤等で接合して一体にしたものである。
【0028】
記録ヘッド4は、ヘッド本体18の内部に形成された収容空間23と、収容空間23に配置された駆動ユニット24とを備えている。駆動ユニット24は、複数の圧電素子25と、圧電素子25の上端を支持する固定部材26と、駆動信号を圧電素子25に供給する柔軟なケーブル27とを備えている。圧電素子25は、複数の噴射口16のそれぞれに対応するように設けられている。
【0029】
また、記録ヘッド4は、ヘッド本体18の内部に形成され、インクカートリッジからインク供給チューブ12を介して供給されたインクが流れる内部流路28と、振動板19、流路基板20、及びノズル基板21を含む流路形成ユニット22によって形成され、内部流路28と接続された共通インク室29と、流路形成ユニット22によって形成され、共通インク室29と接続されたインク供給口30と、流路形成ユニット22によって形成され、インク供給口30と接続された圧力室31とを備えている。圧力室31は、複数の噴射口16に対応するように複数設けられている。複数の噴射口16のそれぞれは、複数の圧力室31のそれぞれに接続されている。
【0030】
ヘッド本体18は、合成樹脂で形成されている。振動板19は、例えばステンレス鋼等の金属製の支持板上に弾性フィルムをラミネート加工したものである。振動板19の圧力室31に対応する部分には、圧電素子25の下端と接合される島部32が形成されている。振動板19の少なくとも一部は、圧電素子25の駆動に応じて弾性変形する。振動板19と内部流路28の下端近傍との間にはコンプライアンス部33が形成されている。
【0031】
流路基板20は、内部流路28の下端と噴射口16とを接続する共通インク室29、インク供給口30、及び圧力室31それぞれの空間を形成するための凹部を有する。本実施形態においては、流路基板20は、シリコンを異方性エッチングすることで形成されている。
【0032】
ノズル基板21は、所定方向に所定間隔(ピッチ)で形成された複数の噴射口16を有する。本実施形態のノズル基板21は、例えばステンレス鋼等の導電性を有する金属で形成された板状の部材である。なお、上述のように噴射面17は、ノズル基板21の下面によって形成されている。このため、噴射面17も、ノズル基板21と同様に導電性を持つ。
【0033】
インクカートリッジからインク供給チューブ12を介して供給されたインクは、内部流路28の上端に流入する。内部流路28の下端は、共通インク室29に接続されており、インクカートリッジからインク供給チューブ12を介して内部流路28の上端に流入したインクは、内部流路28を流れた後、共通インク室29に供給される。共通インク室29に供給されたインクは、インク供給口30を介して、複数の圧力室31のそれぞれに分配されるように供給される。
【0034】
ケーブル27を介して圧電素子25に駆動信号が入力されると、圧電素子25が伸縮する。これにより、振動板19が圧力室31に接近する方向及び離れる方向に変形(移動)する。これにより、圧力室31の容積が変化し、インクを収容した圧力室31の圧力が変動する。この圧力の変動によって、噴射口16から、インクが噴射(吐出)される。
【0035】
このように、本実施形態の圧電素子25は、噴射口16よりインクを噴射するために、入力される駆動信号に基づいて、噴射口16に接続された圧力室31の圧力を変動させる。
【0036】
図4は、メンテナンス装置13を示す斜視図、図5は、メンテナンス装置13の内部の一部を下方から見た斜視図である。メンテナンス装置13は、キャッピング装置14、及びワイピング装置15を含む。
【0037】
図4及び図5において、キャッピング装置14は、記録ヘッド4の噴射面17と対向可能なキャップ部材34を備えている。キャップ部材34は、記録ヘッド4の噴射面17と接触可能な上端面57を有し、当該上端面57が噴射面17と接触することによって、キャップ部材34と噴射面17との間に閉空間が形成される。
【0038】
また、キャッピング装置14は、ベース部材36と、ホームポジションに配置されている記録ヘッド4の噴射面17に対してキャップ部材34の上端面57を接近する方向及び離れる方向に移動する駆動装置37とを備えている。
【0039】
図6は、駆動装置37が記録ヘッド4の噴射面17に対してキャップ部材34の上端面57を接近する方向及び離れる方向に移動している状態を示す図である。駆動装置37は、例えば特開2006−272779号公報等に開示されているような、ベース部材36に搭載され、キャップ部材34の上端面57を記録ヘッド4の噴射面17に対して接近する方向及び離れる方向に案内しつつ移動するスライダ部材38、ベース部材36とスライダ部材38との間に配置されるばね部材37B、及び、例えば給紙ローラ駆動装置、搬送ローラ駆動装置等の動力源の動力をカム機構37Cに伝達するギアユニット37G等を含む。
【0040】
また、キャッピング装置14は、キャップ部材34と噴射面17との間に形成された空間の流体を吸引可能な吸引装置35を備えている。図5に示すように、キャッピング装置14は、キャップ部材34の底に接続された吸引チューブ39を備えており、吸引装置35は、吸引チューブ39に接続されている。本実施形態の吸引装置35は、例えば特開2004−314622号公報等に開示されているような、チューブポンプを含む。
【0041】
図7は、吸引装置35の一例を示す図である。図7において、吸引装置35は、ローラ部材40と、チューブ部材41とを備えている。チューブ部材41は、可撓性を有し、円環状に湾曲している。チューブ部材41の両端は、同方向に引き出されるように配置されている。チューブ部材41の一端は、吸引チューブ39を介してキャップ部材34と接続され、チューブ部材41の他端は、不図示の廃インクタンクと接続されている。ローラ部材40は、チューブ部材41の円環状部41Aの内周を転がるように移動可能である。
【0042】
吸引装置35は、ローラ部材40を回転可能に支持するとともに、回転軸40X周りに回転可能な回転板40Tと、回転板40Tを回転させる駆動装置とを備えている。なお、本実施形態においては、回転板40Tを回転させる駆動装置は、記録紙搬送機構3の例えば給紙ローラ駆動装置10を含み、給紙ローラ駆動装置10の動力は、吸引装置35に設けられたギアユニット10Gを介して、回転板40Tに伝達される。回転板40Tが回転することによって、ローラ部材40が公転し、チューブ部材41の円環状部40Aの内周に沿って転がる。
【0043】
ローラ部材40がチューブ部材41を押し潰しながら、図7中、例えば矢印Y1方向に移動(回転)することによって、チューブ部材41内の流体(空気、インク等)が、チューブ部材41の他端側(廃インクタンク側)へ絞り出される。すなわち、ローラ部材40の回転によって、チューブ部材41内の一端側(キャップ部材側)の流体が他端側へ移動する。これにより、吸引装置35は、吸引チューブ39を介して、噴射面17とキャップ部材34との間に形成された空間を負圧にすることができる。
【0044】
噴射面17とキャップ部材34との間に形成された空間を負圧にすることによって、噴射面17の噴射口16からインクを吸引したり、空間のインクを吸引チューブ39、及び吸引装置35のチューブ部材41を介して、空間の外部(廃インクタンク)に排出したりすることができる。
【0045】
また、ローラ部材40をチューブ部材41から離れるように移動して、ローラ部材40でチューブ部材41を押し潰さないようにすることができる。
【0046】
なお、チューブポンプの構成としては、図7に示したような、円環状に湾曲させたチューブ部材の両端を同方向に引き出して同一平面内で束ねる形式に代えて、円環状に湾曲させたチューブ部材の両端を互いに逆方向に引き出して交差させる構成を採用することもできる。また、吸引装置35としては、例えば特開2006−257928号公報に開示されているようなチューブポンプを用いることもできる。
【0047】
また、図5に示すように、キャッピング装置14は、キャップ部材34の底に接続された大気開放チューブ42と、大気開放チューブ42に設けられた大気開放弁43とを備えている。大気開放弁43を開放することによって、大気開放チューブ42を介して、噴射面17とキャップ部材34との間に形成されている空間に空気を流入させることができる。したがって、吸引装置35によって、噴射面17とキャップ部材34との間に形成されている空間が負圧状態のとき、大気開放弁43を開放することによって、空間は大気開放され、その空間の負圧状態は解除される。
【0048】
図4において、ワイピング装置15は、記録ヘッド4の噴射面17と対向可能なワイピング部材44を備えている。本実施形態においては、ワイピング部材44は、ベース部材36の一部に配置されている。ワイピング部材44は、キャップ部材34に対して、記録ユニット2側(記録領域側)に配置されている。ワイピング装置15は、ワイピング部材44を用いて、残留したインク等、噴射面17に付着している異物を拭き取ったり、払ったりすることができる。
【0049】
インクジェットプリンタ1は、メンテナンス装置13の吸引装置35やワイピング装置15を用いたメンテナンス処理の他、所定のタイミングにて噴射口16からインクをキャップ部材34に向けて噴射することによって記録ヘッド4の噴射特性を維持あるいは回復するフラッシング動作を実行可能とされている。
【0050】
フラッシング動作は、記録領域において噴射口16からのインクを記録紙に供給する記録動作の前に、ホームポジションにおいて、噴射口16よりインクをキャップ部材34に予め噴射する記録前フラッシング動作を含む。また、フラッシング動作は、記録動作中における定期的なタイミングにて、ホームポジションにおいて、噴射口16からインクをキャップ部材34に噴射する定期フラッシング動作を含む。
これらのフラッシング動作により、噴射口16付近の粘度が増大したインクが排出され、噴射口16(記録ヘッド4)の噴射特性が維持又は回復される。
【0051】
図8は、検出システム8を説明するための模式図である。検出システム8は、記録ヘッド4の噴射口16のインクの噴射状態、及び記録ヘッド4の噴射口16から噴射されるインクを検出可能である。また、検出システム8は、記録ヘッド4の噴射口16から噴射されたインクの重量に関する情報を検出可能である。
【0052】
図8において、インク供給チューブ12は、インクカートリッジ48と記録ヘッド4に接続されたサブタンク51とを接続しており、インクカートリッジ48からインク供給チューブ12に供給されたインクは、サブタンク51に供給される。本実施形態においては、インクカートリッジ48は、ケース部材49と、ケース部材49に収容され、可塑性材料で形成されたインクパック50とを含む。サブタンク51は、インク室52を有し、インク室52に供給されたインクは、記録ヘッド4に供給される。
【0053】
図8において、検出システム8は、記録ヘッド4の噴射面17と所定のギャップを介して対向するように配置され、噴射口16から噴射されたインクが供給される検出部45を有し、噴射口16から噴射されたインクに応じた検出波形を出力する検出装置46と、検出装置46から出力された検出波形に基づいて、インクの重量に関する情報を取得する処理装置47とを備えている。
【0054】
検出装置46は、検出部45と記録ヘッド4の噴射面17との間に電圧を印加する電圧印加器53と、検出部45の電圧を検出する電圧検出器54とを備えている。
なお、本実施形態においては、検出装置46の検出部45は、ホームポジションに配置されているメンテナンス装置13(キャッピング装置14)のキャップ部材34の内側に設けられている。
【0055】
キャップ部材34は、上部に開口を有するトレイ状の部材であり、エラストマー等の弾性部材で形成されている。キャップ部材34の内側には、インク吸収体55と電極部材56とが配置されている。電極部材56は、例えばステンレス鋼等の金属のメッシュ部材(格子状部材)で形成されている。検出部45は、電極部材56の上面によって形成されている。検出部45は、キャップ部材34の上端面57よりも低い位置に配置されている。上端面57は、キャップ部材34のうち噴射面17に最も近い面であって、検出部45は、噴射面17に対して上端面57よりも僅かに離れた位置に配置されている。
【0056】
インク吸収体55は、インクを保持可能(吸収可能)なスポンジ状部材、あるいは多孔部材等で形成されている。本実施形態においては、インク吸収体55は、フェルトなどの不織布で形成されている。非記録中には、インク吸収体55に吸収されたインクが、噴射面17とキャップ部材34とが当接することによって形成された空間内を保湿し、噴射口16内のインクの乾燥を抑制する。なお、インクによってはインクが吸湿作用をする場合もあり、その場合、インク吸収体は無くてもよい。すなわち、インク吸収体は、必要に応じて配置される。
【0057】
検出部45に供給されたインクは、電極部材56の隙間を通過して、インク吸収体55に保持(吸収)される。なお、インクが通過できれば、電極部材56はメッシュ部材でなくてもよい。また、インク吸収体55が無い場合には、電極部材56は、キャップ部材34の底面から延びるように設けられたリブに保持される。上述のように、キャップ部材34の底には、吸引チューブ39が接続されており、インク吸収体55のインクは、吸引チューブ39を介して、吸引装置35に吸引される。
【0058】
電圧印加器53は、記録ヘッド4のノズル基板21の噴射面(下面)17と電極部材56の検出部(上面)45との間に電圧を印加可能な電子回路を含む。本実施形態においては、電圧印加器53は、電極部材56が正極、ノズル基板21が負極となるように、直流電源と抵抗素子とを介して、電極部材56とノズル基板21とを電気的に接続する。
【0059】
上述のように、ノズル基板21はステンレス鋼等の金属で形成されており、電極部材56はステンレス鋼等の金属で形成されており、ノズル基板21及び電極部材56のそれぞれは導電性を有する。電圧印加器53は、噴射面17と検出部45との間に電圧を印加可能である。
【0060】
電圧検出器54は、電極部材56の電圧信号を積分して出力する積分回路、この積分回路から出力された信号を反転増幅して出力する反転増幅回路、及びこの反転増幅回路から出力された信号をA/D変換して出力するA/D変換回路等を含む。
【0061】
本実施形態においては、検出装置46は、噴射面17と検出部45との間に電界を与えて、噴射口16から検出部45にインクが移動するときの静電誘導に基づく電圧値の時間的変化を検出波形として処理装置47に出力する。処理装置47は、検出装置46の出力を演算処理可能であり、検出装置46から出力された検出波形に基づいて、インクの重量に関する情報を取得可能である。
【0062】
図9は、検出装置46の検出動作の原理を説明するための模式図である。電圧印加器53によってノズル基板21の噴射面17と電極部材56の検出部45との間に電圧を印加した状態で、圧電素子25を駆動することによって、噴射口16からインクの滴が噴射(吐出)される。本実施形態においては、ノズル基板21は負極となっているため、図9(A)に示すように、ノズル基板21の一部の負電荷がインクの滴に移動し、噴射されたインクの滴は負に帯電する。噴射口16から噴射されたインクの滴が電極部材56の検出部45に近づくにつれて、静電誘導によって、検出部45では、正電荷が増加する。これにより、ノズル基板21の噴射面17と電極部材56の検出部45との間の電圧は、静電誘導によって生じる誘導電圧により、インクの滴を噴射しない状態における当初の電圧値よりも高くなる。その後、図9(B)に示すように、インクの滴が検出部45に接触すると、インクの滴の負電荷により、検出部45の正電荷が中和される。この結果、ノズル基板21の噴射面17と電極部材56の検出部45との間の電圧は、当初の電圧値を下回る。その後、ノズル基板21の噴射面17と電極部材56の検出部45との間の電圧は、当初の電圧値に戻る。
【0063】
ここで、以下の説明においては、噴射面17と検出部45との間に電界を与えた状態で、噴射口16からインクを噴射していないときに検出される噴射面17と検出部45との間の電圧値(当初の電圧値)を適宜、基準値V0、と称する。
【0064】
図10は、噴射面17と検出部45との間に電圧を印加してその噴射面17と検出部45との間に電界を与えた状態で、噴射口16よりインクの滴を噴射(吐出)したときの、検出装置46の電圧検出器54から出力される電圧値の時間的変化(検出波形)VTの一例を示す図である。図10において、横軸は時間、縦軸は電圧値である。
【0065】
図10に示すように、検出波形VTは、第1のタイミングT1、第1のタイミングT1から第1時間D1経過後の第2のタイミングT2、及び第2のタイミングT2から第2時間D2経過後の第3のタイミングD3のそれぞれについての電圧値を含む。
【0066】
第1のタイミングT1から第2のタイミングT2までにおいて電圧値は基準値V0であり、第2のタイミングT2において電圧値は変化を開始し、第3のタイミングT3において電圧値は極大値VP(極値)となる。
【0067】
図10に示す検出波形VTにおいて、第1のタイミングT1は、圧電素子25に駆動信号が入力された時である。第2のタイミングT2は、噴射口16よりインクの滴の噴射(吐出)が開始された時である。第3のタイミングT3は、噴射口16からのインクの滴が検出部45に到達(接触)した時である。
【0068】
噴射口16よりインクの滴を噴射(吐出)するために、第1のタイミングT1で圧電素子25に駆動信号を入力すると、噴射口16に接続された圧力室31の圧力の変化が開始される。第1のタイミングT1で圧電素子25に駆動信号を入力した後、圧力室31の圧力が所定の値に達し、第1時間D1経過後の第2のタイミングT2に、噴射口16からのインクの滴の噴射(吐出)が開始される。換言すれば、噴射口16からのインクの滴が噴射面17から検出部45に移動する場合において、第2のタイミングT2は、インクの滴の移動が開始される瞬間である。
【0069】
図9を参照して説明したように、噴射口16から噴射されるインクの滴は、負に帯電され、噴射口16よりインクの滴の噴射が開始された瞬間、すなわち、噴射口16からインクの滴が出た瞬間、電圧値は変化を開始する。
【0070】
噴射口16よりインクの滴の噴射が開始された後、噴射口16から噴射されたインクの滴が電極部材56の検出部45に近づくにつれて、図9を参照して説明したように、静電誘導によって、検出部45では、正電荷が増加する。静電誘導によって生じる誘導電圧により、電圧値は、除々に増加する。そして、噴射口16からのインクの滴が検出部45に到達(接触)する第3のタイミングT3において、電圧値は極大値VPとなる。
【0071】
その後、図9を参照して説明したように、インクの滴が検出部45に接触すると、インクの滴の負電荷により、検出部45の正電荷が中和される。この結果、第3のタイミングT3以降、電圧値は、除々に減少し、第3のタイミングT3から所定時間経過後の第4のタイミングにおいて、基準値V0を下回って極小値VUとなった後、基準値V0に戻る。
【0072】
検出装置46の検出波形VTは、処理装置47に出力される。処理装置47は、検出装置46から出力された検出波形VTに基づいて、極大値VPを求める。処理装置47は、極大値VPに基づいて、インクの重量に関する情報を取得する。
【0073】
基準値V0に対する極大値VPは、噴射口16から噴射されるインクの重量(1つのインクの滴の大きさ、体積)に応じて変化する。インクの滴の重量が重い場合、極大値VPは大きくなり、インクの滴の重量が軽い場合、極大値VPは小さくなる。
【0074】
このように、本実施形態においては、噴射面17と検出部45との間に電圧を印加してその噴射面17と検出部45との間に電界を与えた状態で、噴射口16よりインクの滴を噴射することによって、検出装置46は、噴射口16から検出部45にインクが移動するときの静電誘導に基づく電圧値の変化(検出波形)VTを出力することができる。
【0075】
そして、処理装置47は、検出装置46から出力される検出波形VTに基づいて、具体的には、極大値VPに基づいて、噴射口16から噴射されるインクの重量に関する情報を取得することができる。
【0076】
また、極大値VPのみならず、極小値VUに基づいて、噴射口16から噴射されるインクの重量に関する情報を取得することができる。上述のように、インクの重量に応じて、噴射口16から噴射されるインクの重量(1つのインクの滴の大きさ、体積)が変化する。基準値V0に対する極小値VUは、そのインクの重量に応じて変化するので、極小値VUに基づいて、噴射口16から噴射されるインクの重量に関する情報を取得することができる。
【0077】
このように、検出システム8は、検出波形VTの極値(極大値VPあるいは極小値VU)に基づいて、噴射口16から噴射されたインクの重量(インクの滴の大きさ、体積)を検出することができる。
【0078】
ここで、検出装置46から出力される検出波形VTの極大値VP及び極小値VUは、圧電素子25を含む駆動ユニット24の駆動状態(駆動力、駆動信号、駆動波形を含む)に応じても変化する。したがって、検出システム8は、駆動ユニット24の駆動状態を一定にした状態で、インクの粘度に関する情報を取得する動作を実行する。
すなわち、検出システム8は、インクの重量に関する情報を取得する動作を実行する際、噴射口16よりインクを噴射するときの噴射条件を、常に同じ条件にして実行する。
【0079】
図11は、インクジェットプリンタ1の電気的な構成を示すブロック図である。本実施形態におけるインクジェットプリンタ1は、インクジェットプリンタ1全体の動作を制御する制御装置58を備えている。制御装置58には、インクジェットプリンタ1の動作に関する各種情報を入力する入力装置59と、インクジェットプリンタ1の動作に関する各種情報を記憶した記憶装置60と、時間の計測を実行可能な計測装置61とが接続されている。
また、本実施形態のインクジェットプリンタ1において、記憶装置60は、上述したフラッシング動作にて噴射口16から噴射すべきインクの総重量(以下、噴射総重量と称する)を記憶している。なお、同じフラッシング動作であっても、記録前フラッシング動作と定期フラッシング動作とでは、噴射総重量が異なる。このため、記憶装置60は、記録前フラッシング動作の噴射総重量と、定期フラッシング動作の噴射総重量とを各々記憶している。
【0080】
また、制御装置58には、上述した記録紙搬送機構3、キャリッジ駆動装置7、メンテナンス装置13、及び検出システム8(検出装置46、処理装置47)等が接続されている。
そして、本実施形態のインクジェットプリンタ1において、制御装置58は、検出システム8の処理装置47にて取得されたインクの重量に関する情報と、記憶装置60に記憶された噴射総重量とに基づいて、フラッシング動作における噴射口16からインクを吐出する回数(噴射回数)を算出し、この算出した噴射回数に基づいてフラッシング動作を実行する。
【0081】
また、インクジェットプリンタ1は、圧電素子25を含む駆動ユニット24に入力する駆動信号を発生する駆動信号発生器62を備えている。駆動信号発生器62は、制御装置58に接続されている。
【0082】
駆動信号発生器62には、記録ヘッド4の圧電素子25に入力する吐出パルスの電圧値の変化量を示すデータ、及び吐出パルスの電圧を変化させるタイミングを規定するタイミング信号が入力される。駆動信号発生器62は、入力されたデータ及びタイミング信号に基づいて、例えば、図12に示す吐出パルスDPを含む駆動信号を発生する。
【0083】
図12において、吐出パルスDPは、基準電位VMから最高電位VHまで所定の勾配で電位を上昇させる第1充電要素PE1と、最高電位VHを一定時間維持する第1ホールド要素PE2と、最高電位VHから最低電位VLまで所定の勾配で電位を降下させる放電要素PE3と、最低電位VLを短い時間維持する第2ホールド要素PE4と、最低電位VLから基準電位VMまで電位を復帰させる第2充電要素PE5とを含む。噴射口16から噴射されるインクの滴の量が設計値と一致するように、吐出パルスDPのうち、最高電位VHと最低電位VLとの電位差である駆動電圧VDが設定される。なお、図12に示す吐出パルスDPは一例であり、種々の波形のものを用いることができる。
【0084】
駆動信号発生器62より吐出パルスDPが圧電素子25に入力されると、噴射口16よりインクの滴が吐出される。第1充電要素PE1が供給されると、圧電素子25が収縮して圧力室31が膨張する。この圧力室31の膨張状態が短時間維持された後、放電要素PE3が供給されて圧電素子25が急激に伸長する。これに伴って、圧力室31の容積が基準容積(圧電素子25に基準電位VEを印加したときの圧力室31の容積)以下に収縮し、噴射口16に露出したメニスカスが外側に向けて急激に加圧される。これにより、所定量のインクの滴が噴射口16から吐出される。その後、第2ホールド要素PE4、及び第2充電要素PE5が圧電素子25に順次供給され、インクの滴の吐出に伴うメニスカスの振動を短時間で収束させるように、圧力室31が基準容積に復帰する。
【0085】
次に、上述の構成を有するインクジェットプリンタ1のメンテナンス動作(メンテナンス方法)の一例について、主に検出システム8及び制御装置58の動作を中心にして、図13のフローチャートを参照しながら説明する。
【0086】
所定のタイミングで、制御装置58は、検出システム8を用いた検出動作の開始を指令する。より詳細には、制御装置58は、記録領域において噴射口16からのインクを記録紙に供給する記録動作の前のタイミング、あるいは、定期的なタイミングにて検出システム8を用いた検出動作の開始を指令する。
【0087】
そして、制御装置58は、検出システム8を用いて、インクの重量に関する情報を検出する動作(重量情報取得動作)を実行する(ステップS1)。
重量情報取得動作において、制御装置58は、駆動信号発生器62を用いて駆動ユニット24に駆動信号を供給し、複数の噴射口16のうち、ある1つの噴射口16からインクの滴を噴射する動作を実行させる。噴射口16から噴射されたインクの滴は、検出部45に供給される。電圧検出器54は、図10等を参照して説明したように、噴射口16から噴射されたインクに応じた検出波形を処理装置47に出力する。処理装置47は、検出波形に基づいて、インクの重量に関する情報を取得する。
【0088】
本実施形態においては、初期状態のインクの滴に基づいて検出装置46から出力されるべき基準波形VRが記憶装置60に予め記憶されている。初期状態のインクの滴は、重量が変化する前のインクの滴である。基準波形VRに関する情報は、例えば、インクジェットプリンタ1の製造工場等における製造時において、実験又はシミュレーションによって予め取得可能である。基準波形VRは、製造工場からの出荷時等において、記憶装置60に予め記憶される。
【0089】
処理装置47は、検出装置46から出力された検出波形VTと、記憶装置60に記憶されている基準波形VRとに基づいて、初期状態からのインクの重量に関する情報を取得する。
【0090】
図14は、基準波形VRと検出波形VTとの関係を示す図である。図10を参照して説明したように、検出波形VTは、第1のタイミングT1、第1のタイミングT1から第1時間D1経過後の第2のタイミングT2、及び第2のタイミングT2から第2時間D2経過後の第3のタイミングT3のそれぞれについての電圧値を含む。第1のタイミングT1から第2のタイミングT2までにおいて電圧値は基準値V0であり、第2のタイミングT2において電圧値は変化(増加)を開始し、第3のタイミングT3において電圧値は極大値VPとなる。
【0091】
基準波形VRは、第1のタイミングT1、第1のタイミングT1から第3時間D3経過後の第4タイミングT4、及び第4のタイミングT4から第4時間D4経過後の第5のタイミングT5のそれぞれについての電圧値を含む。第1のタイミングT1から第4のタイミングT4までにおいて電圧値は基準値V0であり、第4のタイミングT4において電圧値は変化(増加)を開始し、第5のタイミングT5において電圧値は極大値VPRとなる。
【0092】
検出波形VTにおいて、第1のタイミングT1は、圧電素子25に駆動信号が入力された時である。第2のタイミングT2は、噴射口16よりインクの滴の噴射が開始された時である。第3のタイミングT3は、噴射口16からのインクの滴が検出部45に到達(接触)した時である。
【0093】
基準波形VRにおいて、第1のタイミングT1は、圧電素子25に駆動信号が入力された時に対応するタイミングである。第4のタイミングT4は、噴射口16よりインクの滴の噴射が開始された時に対応するタイミングである。第5のタイミングT5は、噴射口16からのインクの滴が検出部45に到達(接触)した時に対応するタイミングである。
【0094】
噴射口16から噴射されるインクの重量が、初期状態のインクの重量よりも少ない場合、検出波形VTの極大値VPは、基準波形VRの極大値VPRに対して小さくなる。また、検出波形VTの極小値VUは、基準波形VRの極小値VURに対して大きくなる。したがって、処理装置47は、検出波形VTより求めることができる極大値VPあるいは極小値VUと、基準波形VRより求めることができる極大値VPRあるいは極小値VURとの差等に基づいて、初期状態に対するインクの重量に関する情報を取得することができる。
【0095】
以上、複数の噴射口16のうち、ある1つの噴射口16から噴射されるインクの重量に関する情報を取得する動作について説明した。制御装置58は、他の噴射口16についても、各噴射口16から1つずつインクを噴射する動作を実行させる。制御装置58は、検出システム8を用いて、各噴射口16のそれぞれについて個別に検出動作を実行し、各噴射口16のそれぞれから噴射されるインクの重量に関する情報を取得する動作を実行する。
【0096】
次に、制御装置58は、検出システム8を用いて取得したインクの重量に関する情報と、記憶装置60に記憶された噴射総重量とに基づいて、フラッシング動作における各噴射口16の噴射回数を算出する(ステップS2)。より詳細には、制御装置58は、噴射総重量を、ステップS1にて取得されるインクの重量にて割ることによって、噴射回数を算出する。
なお、制御装置58は、記録領域において噴射口16からのインクを記録紙に供給する記録動作の前のタイミングにて検出システム8を用いた検出動作の開始を指令した場合、すなわち、記録前フラッシング動作である場合には、記憶装置60に記憶された噴射総重量のうち、記録前フラッシング動作に応じた噴射総重量を選択して、上記噴射回数を算出する。
また、制御装置58は、定期的なタイミングにて検出システム8を用いた検出動作の開始を指令した場合、すなわち、定期フラッシング動作である場合には、記憶装置60に記憶された噴射総重量のうち、定期フラッシング動作に応じた噴射総重量を選択して、上記噴射回数を算出する。
【0097】
なお、前回のフラッシング動作からの経過時間に応じて噴射総重量が変化する場合がある。このため、記憶装置60には、上記のフラッシング動作からの経過時間に対応する複数の噴射総重量が記憶されていることが好ましい。このような場合には、制御装置58は、計測装置61を用いて、上記のフラッシング動作からの経過時間を取得し、この取得した経過時間に応じて記憶装置60に記憶された噴射総重量を選択すれば良い。
【0098】
次に、制御装置58は、ステップS2にて算出された噴射回数に基づいてフラッシング動作を実行する(ステップS3)。
従来のインクジェットプリンタでは、記録前フラッシング動作における噴射回数は1000〜3000回である。例えば、従来のインクジェットプリンタでの記録前フラッシング動作における噴射回数を1000回とし、本実施形態のインクジェットプリンタ1の重量情報取得動作において取得されたインクの重量が基準のインクの重量よりも10%減少していた場合には、本実施形態のインクジェットプリンタ1では、記録前フラッシング動作として、噴射口16から1112回(小数点以下繰上げ)の噴射が行われる。
【0099】
以上説明したように、本実施形態のインクジェットプリンタ1によれば、噴射口16から噴射されるインクの重量に関する情報が取得される。つまり、実際に噴射口16から噴射されるインクの重量に関する情報が取得される。
このため、噴射口16の使用頻度のみならず、噴射口16の寸法ばらつき、インクを噴射するための駆動信号の電圧のばらつき及び周囲の温度等の様々な条件によって、噴射口16から噴射されるインクの重量が変化した場合であっても、常に実際に噴射口16から噴射されるインクの重量に関する情報に基づいてフラッシング動作が実行される。
したがって、フラッシング動作において噴射口16から噴射されるインクの重量を正確に管理することができ、フラッシング動作におけるインクの使用量をより十分に減少させることが可能となる。
【0100】
また、本実施形態のインクジェットプリンタ1によれば、実際に噴射口16から噴射されるインクの重量に関する情報とフラッシング動作における噴射総重量に基づいて、フラッシング動作におけるインクの噴射回数が算出される。つまり、本実施形態のインクジェットプリンタ1によれば、実際に噴射口16から噴射されるインクの重量に基づいてフラッシング動作におけるインクの噴射回数が決定される。
このため、噴射口16の使用頻度のみならず、噴射口16の寸法ばらつき、インクを噴射するための駆動信号の電圧のばらつき及び周囲の温度等の様々な条件によって、噴射口16から噴射されるインクの重量が変化した場合であっても、常に必要最小限の噴射回数にて、記録ヘッド4の噴射特性を維持あるいは回復させることが可能となる。
したがって、本実施形態のインクジェットプリンタ1によれば、フラッシング動作におけるインクの使用量をより十分に減少させることが可能となる。
【0101】
また、本実施形態のインクジェットプリンタ1においては、制御装置58は、フラッシング動作を実行する直前に上記流体の噴射回数を算出する。このため、より正確にフラッシング動作における流体の噴射回数を算出することが可能となる。
【0102】
また、本実施形態のインクジェットプリンタ1においては、複数の噴射口16があり、制御装置58は、噴射口16ごとにインクの噴射回数を算出している。このため、全ての噴射口16から必要最小限の流体が噴射され、より確実に噴射特性の維持あるいは回復を行うことができる。
なお、全ての噴射口についてインクの噴射回数を算出するには時間を要するため、噴射口16をグループ分けし(例えば噴射するインクの色ごと、ノズル列ごと)、グループごとにまとめて噴射回数を算出しても良い。
【0103】
また、本実施形態のインクジェットプリンタ1においては、検出装置46は、噴射口16から噴射されたインクが供給される検出部45を有し、噴射面17と検出部45との間に電界を与えて、噴射口16から検出部45にインクが移動するときの静電誘導に基づく電圧値の変化を検出信号(検出波形)として出力している。
また、本実施形態のインクジェットプリンタ1においては、処理装置47は、検出信号の電圧値の極値(極大値あるいは極小値)に基づいてインクの重量に関する情報を取得している。
これらの構成を採用することによって、噴射口16から噴射されるインクの重量に関する情報を正確に得ることができる。
なお、インクの重量に関する情報を取得するための検出装置としては、例えば、インクを受け、該インクの重量を計測する重量計等を用いることもできる。
【0104】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態と同様の部分については、その説明を簡略もしくは省略する。
【0105】
例えば、噴射口16の使用頻度が低く、インクの粘度が増加することによって、噴射されるインクの重量が減少しているような場合には、フラッシング動作の過程にて粘度が増加したインクが排出されインクの重量が回復する。すなわち、フラッシング動作の実行途中に噴射口16から噴射されるインクの重量が変化する場合がある。特に記録前フラッシング動作では、噴射総重量が多く、インクの噴射回数が多いため、フラッシング動作の実行途中に噴射口16から噴射されるインクの重量が変化する場合がある。
【0106】
本実施形態のインクジェットプリンタにおいては、記憶装置60に噴射されるインクの重量が大きく変化する噴射回数(以下、重量変化回数と称する)を記憶している。この重量変化回数は、製造工場からの出荷時等において、記憶装置60に予め記憶される。
そして、本実施形態のインクジェットプリンタ1において、制御装置58は、フラッシング動作におけるインクの噴射回数が重量変化回数を越えた場合に、再度インクの噴射回数を算出する。
【0107】
具体的には、制御装置58は、フラッシング動作の実行中に噴射口16からのインクの噴射回数をカウントしており、このカウント値が重量変化回数を超えた場合に、残りの噴射回数を再度ステップS1及びステップS2を行うことによって算出する。そして、残りのフラッシング動作を、このようにして算出した噴射回数に基づいて行う。
【0108】
本実施形態のインクジェットプリンタ1においては、制御装置58は、フラッシング動作の実行途中に上記流体の噴射回数を再度算出するという構成を採用する。このため、フラッシング動作にて噴射口16から噴射すべきインクの総重量が多く、フラッシング動作の実行途中に噴射口16から噴射されるインクの重量が変化するような場合であっても、より確実にフラッシング動作において必要な重量のインクを噴射することができる。
【0109】
なお、上述の実施形態においては、インクジェット式記録装置がインクジェットプリンタ1である場合を例にして説明したが、インクジェットプリンタに限られず、複写機及びファクシミリ等の記録装置であってもよい。
【0110】
なお、上述の実施形態においては、流体噴射装置が、インク等の液体(液状体)を噴射する液体噴射装置(液状体噴射装置)である場合を例にして説明したが、本発明の流体噴射装置は、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする流体噴射装置に適用することができる。流体噴射装置が噴射可能な流体は、液体、機能材料の粒子が分散又は溶解されている液状体、ジェル状の流状体、流体として流して噴射できる固体、及び粉体(トナー等)を含む。
【0111】
なお、上述の実施形態において、流体噴射装置から噴射される液体(液状体)としては、インクのみならず、特定の用途に対応する液体を適用可能である。流体噴射装置に、その特定の用途に対応する液体を噴射可能な噴射ヘッドを設け、その噴射ヘッドから特定の用途に対応する液体を噴射して、その液体を所定の物体に付着させることによって、所定のデバイスを製造可能である。例えば、本発明の液体噴射装置(液状体噴射装置)は、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、及び面発光ディスプレイ(FED)の製造等に用いられる電極材、色材等の材料を所定の分散媒(溶媒)に分散(溶解)した液体(液状体)を噴射する液体噴射装置に適用可能である。
【0112】
また、液体噴射装置としては、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。
【0113】
さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置、ジェルを噴射する流状体噴射装置、トナーなどの粉体を例とする固体を噴射するトナージェット式記録装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の流体噴射装置に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタを示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタを示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタが備える記録ヘッドを示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタが備えるメンテナンス装置を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタが備えるメンテナンス装置の一部を下方から見た斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタが備える駆動装置の一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタが備える吸引装置の一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタが備える検出装置を説明するための図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタが備える検出装置の検出動作の原理を説明するための模式図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタが備える検出装置から出力される検出波形の一例である。
【図11】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの電気的な構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタが備える圧電素子に入力する駆動信号の一例を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタが備える検出装置から出力される検出波形と基準波形との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0115】
1…インクジェットプリンタ(流体噴射装置)、4…記録ヘッド(噴射ヘッド)、8…検出システム、13…メンテナンス装置、14…キャッピング装置、15…ワイピング装置、16…噴射口、17…噴射面、25…圧電素子、31…圧力室、34…キャップ部材、35…吸引装置、37…駆動装置、45……検出部、46……検出装置、47……処理装置、57…上端面、58…制御装置、60……記憶装置、61……計測装置、VP……極大値(極値)、VU……極小値(極値)、VT……検出波形(検出信号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を噴射する噴射口が形成された噴射ヘッドを備え、所定のタイミングにて前記噴射口から前記流体を噴射することによって前記噴射ヘッドの噴射特性を維持あるいは回復するフラッシング動作を行う流体噴射装置であって、
前記噴射口から噴射される前記流体に応じた検出信号を出力する検出装置と、
前記検出信号に基づいて前記流体の重量に関する情報を取得する処理装置と、
前記処理装置にて取得された前記流体の重量に関する情報に基づいて前記フラッシング動作を実行する制御装置と
を備えることを特徴とする流体噴射装置。
【請求項2】
前記フラッシング動作にて噴射口から噴射すべき流体の総重量を記憶する記憶装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記処理装置にて取得された前記流体の重量に関する情報及び前記記憶装置に記憶される前記流体の総重量に基づいて前記フラッシング動作における前記流体の噴射回数を算出し、算出した前記流体の噴射回数に基づいて前記フラッシング動作を実行することを特徴とする請求項1記載の流体噴射装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記フラッシング動作を実行する直前に前記流体の噴射回数を算出することを特徴とする請求項2記載の流体噴射装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記フラッシング動作の実行途中に前記流体の噴射回数を再度算出することを特徴とする請求項2または3記載の流体噴射装置。
【請求項5】
複数の前記噴射口がある場合に、前記制御装置は、噴射口ごとに前記流体の噴射回数を算出することを特徴とする請求項2〜4いずれか一項に記載の流体噴射装置。
【請求項6】
前記検出装置は、前記噴射口から噴射された前記流体が供給される検出部を有し、前記噴射面と前記検出部との間に電界を与えて、前記噴射口から前記検出部に前記流体が移動するときの静電誘導に基づく電圧値の変化を前記検出信号として出力することを特徴とする請求項1〜5いずれか一項に記載の流体噴射装置。
【請求項7】
前記処理装置は、前記電圧値の極値に基づいて前記流体の重量に関する情報を取得することを特徴とする請求項6記載の流体噴射装置。
【請求項8】
流体を噴射する噴射口が形成された噴射ヘッドを備え、所定のタイミングにて前記噴射口から前記流体を噴射することによって前記噴射ヘッドの噴射特性を維持あるいは回復するフラッシング動作を行う流体噴射装置のメンテナンス方法であって、
前記噴射口から噴射される前記流体の重量を取得し、前記流体の重量に基づいて前記フラッシング動作を行うことを特徴とする流体噴射装置のメンテナンス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−238628(P2008−238628A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83619(P2007−83619)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】