説明

流体圧シリンダのピストン位置検出装置

【課題】可動部に取付けられて使用する場合であっても長い耐用期間が得られると共に、シリンダの周囲の磁気による誤動作を起こすおそれがない流体圧シリンダのピストン位置検出装置を提供する。
【解決手段】シリンダチューブ2のロッド側端部およびヘッド側端部のうちの少なくとも一方に切換弁12,13を設ける。切換弁12,13は、ピストン3のロッド室側端部またはヘッド側端部への到達により操作されて切換わる。流体圧シリンダから離れた位置に圧力スイッチ14,15等の圧力検出手段を設ける。切換弁12,13の出力ポートと圧力スイッチ14,15等の圧力検出手段との間を可撓性を有するホース16,17により接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばロボットの可動部先端に取付けられる空気圧シリンダ等の流体圧シリンダに適用する場合に好適なピストン位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気圧シリンダ等の流体圧シリンダには、その作動状態をコントローラやオペレータに知らせるため、ピストンの位置を検出する装置が付設されたものがある。このようなピストン位置検出のための従来装置として、例えば特許文献1に記載のように、ピストンに磁石を設け、非磁性体で構成されたシリンダチューブの外部に、前記磁石の近接により作動する位置検出センサを設け、位置検出センサの作動をケーブルにより電気信号としてコントローラ等に伝達する構成を有するものがある。
【0003】
従来のピストンの位置検出装置の他の例として、例えば特許文献2、3に記載のように、シリンダの外部にリミットスイッチを設け、ピストンロッドに前記リミットスイッチを作動させるストライカを取付け、リミットスイッチとコントローラ等とをケーブルにより接続したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−11722号公報
【特許文献2】特開平5−106605号公報
【特許文献3】特開2006−220179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、従来のピストン位置検出装置は、いずれも位置検出センサやリミットスイッチにケーブルが接続されてコントローラ等に接続される構成を有している。しかしながら、ロボットの先端に取付けられる流体圧シリンダのように、装置や機械の可動部分に取付けられて使用される流体圧シリンダの場合、ケーブル中の銅線やアルミニウム線等の芯線が繰り返し曲げ力を受け、使用期間の経過により芯線が断線することがあるという問題点があった。小型化された流体圧シリンダの場合には、ケーブルに細線が用いられる場合も多いため、長期間の使用に耐えるものを提供することが困難となる。また、磁石を用いた位置検出装置の場合、流体圧シリンダが磁気のある雰囲気で使用される場合、磁気により誤った位置検出動作を起こすおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、可動部に取付けられて使用する場合であっても長い耐用期間が得られると共に、シリンダの周囲の磁気による誤動作を起こすおそれがない流体圧シリンダのピストン位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による流体圧シリンダのピストン位置検出装置は、シリンダチューブのロッド側端部およびヘッド側端部のうちの少なくとも一方に設けられ、ピストンのロッド室側端部またはヘッド側端部への到達により操作されて切換わる切換弁と、
前記流体圧シリンダから離れた位置に設置される圧力検出手段と
前記切換弁の出力ポートと前記圧力検出手段との間に設けられ、前記切換弁の切換えにより生じる出力ポートの流体圧の変化を前記圧力検出手段に伝達する可撓性を有するホースとを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明のピストン位置検出装置は、前記切換弁が、前記端部ブロック内に設けられた孔に摺動可能に設けられた弁体と、
前記弁体を前記チューブ内部に向けて押圧する押圧スプリングと、
前記弁体に設けられ、前記端部ブロックの前記チューブの内部側端部から突出して設けた操作部とを備え、
前記操作部に前記ピストンが当接することによって前記切換弁が切換わり、前記切換弁の出力ポートに前記ピストン当接に呼応した流体圧が現れることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のピストン位置検出装置は、前記圧力検出手段が圧力スイッチからなり、
前記圧力スイッチは、入力ポートを有するボディと、対をなす端子を有するコネクタと、ボディとコネクタとの間に移動可能に介装され、前記入力ポートからの圧力を受けるピストンと、ピストンをコネクタから離反する方向に付勢する復帰スプリングと、前記コネクタに形成され、前記復帰スプリングを収容すると共に、底板部に前記端子を固定したスプリング保持筒部と、ピストンの移動により対をなす端子間を電気的に接続、開離させる導電体と、前記スプリング保持筒部の底板部に設けた水抜き孔とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明のピストン位置検出装置は、前記圧力スイッチのピストンの前記コネクタ側に、前記スプリング保持筒部に移動可能に外嵌した筒部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、流体圧シリンダのピストン位置検出手段としてピストンにより操作されて切換わる切換弁を流体圧シリンダに設けることにより、検出信号の伝達手段としてホースを用いることを可能としたものである。本発明は、ホースとしては樹脂製の可撓性のあるものを用いるので、金属製の芯線を有するケーブルに比較して断線等の故障を生じる度合が少なくなり、長期使用に耐えるピストン位置検出装置を提供できる。また、ピストン位置検出手段が切換弁により構成されるので、シリンダの周辺に磁気がある場合であっても、その磁気によって誤動作を起こすおそれがない。
【0012】
また、本発明において、前記切換弁を、前記端部ブロック内に設けられた孔に摺動可能に設けられた弁体と、前記弁体を前記チューブ内部に向けて押圧する押圧スプリングと、前記弁体に設けられ、前記端部ブロックの前記チューブの内部側端部から突出して設けた操作部とを備え、前記操作部に前記ピストンが当接することによって前記切換弁が切換わり、前記切換弁の出力ポートに前記ピストン当接に呼応した流体圧が現れる構成のものとすることにより、切換弁を小形に構成することができる。
【0013】
また、本発明において、圧力検出手段が圧力スイッチからなり、前記圧力スイッチは、スプリング保持筒部の端子を設けた底板部に水抜き孔とを備えた構成とすることにより、圧力スイッチの入力ポートから圧縮空気内のドレンが浸入しやすい環境で使用される場合であっても、端子がドレンにより電気的に短絡したり酸化して誤動作を起こす事態の発生を回避することができる。
【0014】
さらに前述のように圧力検出手段に圧力スイッチを用いるピストン位置検出装置において、前記圧力スイッチのピストンの前記コネクタ側に、前記スプリング保持筒部に移動可能に外嵌した筒部を備えることにより、スプリング保持筒部内へのドレンの浸入がさらに良好に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による流体圧シリンダのピストン位置検出装置の一実施の形態示す構成図である。
【図2】本実施の形態の流体圧シリンダの一例を示す正面図である。
【図3】本実施の形態の流体圧シリンダの一例を示す右側面図である。
【図4】本実施の形態の流体圧シリンダの一例を示す左側面図である。
【図5】本実施の形態の流体圧シリンダを、ピストンがロッド側端部にある状態で示す断面図である。
【図6】本実施の形態の流体圧シリンダを、ピストンがヘッド側端部にある状態で示す断面図である。
【図7】本実施の形態のロッド室側切換弁を示す断面図である。
【図8】本実施の形態のヘッド室側切換弁を示す断面図である。
【図9】本実施の形態の圧力スイッチの一例を示す分解正面図である。
【図10】図9の圧力スイッチの分解側面図である。
【図11】図9の圧力スイッチの本体部の分解斜視図である。
【図12】図9のA−A拡大断面図である。
【図13】図10のB−B拡大断面図である。
【図14】図13の圧力スイッチの作動状態を示す断面図である。
【図15】本実施の形態の圧力スイッチの他の例を示す分解正面図である。
【図16】図15の圧力スイッチの分解側面図である。
【図17】図15の圧力スイッチの本体部の分解斜視図である。
【図18】図15のC−C拡大断面図である。
【図19】図16のD−D拡大断面図である。
【図20】図19の圧力スイッチの作動状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明による流体圧シリンダのピストン位置検出装置の一実施の形態を示す。この実施の形態は流体圧シリンダが空気圧シリンダである例について示す。1は空気圧シリンダ、2はそのチューブ、3はそのピストン、4は空気圧シリンダのコントロール弁、5はコントローラである。
【0017】
この空気圧シリンダ1はコントローラ5からの制御信号あるいはオペレータにより発生させる操作信号によりコントロール弁4のソレノイド4aが励磁されるとコントロール弁4が右位置に切換わり、空気圧源6からの加圧空気が空気圧シリンダ1のヘッド室10に供給されてピストン3が図面上左方向に移動し、ピストンロッド9が伸長する。反対に、ソレノイド4bが励磁されるとコントロール弁4が左位置に切換わり、空気圧源6からの加圧空気が空気圧シリンダ1のロッド室7に供給されてピストン3が図面上右方向に移動し、ピストンロッド9が収縮する。
【0018】
12,13はピストン3の位置を検出するために流体圧シリンダに設けた切換弁である。各切換弁12,13はそれぞれ供給ポート12a,13aと、排気ポート12b,13bと、出力ポート12c,13cとを有する。
【0019】
図1において、切換弁12,13はいずれも不動作状態で示しており、図示のように、スプール12d,13dにピストン3が当接しない状態では出力ポート12c,13cは排気ポート12b,13bに連通する。反対にピストン3がスプリング12e,13eに抗してスプール12d,13dを操作する(押し込む)と、空気圧源6からの加圧空気が出力ポート12c,13cへ供給される。
【0020】
14,15は圧力検出手段として設けた圧力スイッチであり、これらの圧力スイッチ14,15はそれぞれ切換弁12,13の出力ポート12c,13cとの間を可撓性を有するホース16,17により接続する。図1において、圧力スイッチ14,15はオフ状態を示す。図示のように圧力スイッチ14,15がオフ状態では電源18はコントローラ5に接続されず、反対に圧力スイッチ14または15がオン状態になると、電源18からの電圧がコントローラ5に加わり、オン状態であることがコントローラ5に伝えられる。
【0021】
例えばロボットにおいては、コントローラ5は好ましくは静止するかあるいは動きの少ない取付け部(図示せず)に置かれ、圧力スイッチ14,15はコントローラ5の近傍あるいはコントローラ5内に置かれる。コントローラ5等の取付け部に対し、空気圧シリンダ1はコントローラ5により動作制御される可動支持手段(図示せず)を介して支持される。空気圧シリンダ1に設ける切換弁12,13に接続されるホース16,17や、空気圧シリンダ1に加圧空気を供給するホースは、可動支持手段による空気圧シリンダ1の動きに追従可能とするため、取付け部と空気圧シリンダ1との間に弛ませて取付けられる。
【0022】
図2〜図6は空気圧シリンダ1の一実施の形態を示す。図5、図6に示すように、空気圧シリンダ1のチューブ2内にピストン3が摺動可能に収容される。19はピストン3の外周に設けたゴム製のパッキングである。チューブ2の両端に矩形断面の端部ブロック25,26を固定する。ロッド側の端部ブロック25には、ピストンロッド9を摺動可能に嵌合する貫通孔27と、ロッド室7に対して空気を給排するポート28と、このポート28とロッド室7との間を連通させる円孔29とを有する。また、この端部ブロック25には、この空気圧シリンダ1を適用機器に取付けるためのねじ部25aを有する。30は貫通孔27とピストンロッド9との間の隙間から空気の漏出を防止するゴム製のパッキングである。ヘッド側の端部ブロック26には、ヘッド室10に対して空気を給排するために設けたポート32と、このポート32とヘッド室10との間を連通させる円孔33とを有する。
【0023】
端部ブロック25,26内にそれぞれ切換弁12,13を構成する。図2〜図4に示すように、端部ブロック25,26の一方の側面に切換弁12,13の供給ポート12a,13aを設け、他方の側面に出力ポート12c,13cと排気ポート12b,13bとを設けている。これらポート12a〜12c、13a〜13cは端部ブロック25,26の同じ側の側面に設けてもよい。
【0024】
図7、図8にそれぞれ切換弁12,13の構成を示す。図7において、35は端部ブロック25内にピストンロッド9と同方向に設けた円孔である。この円孔35はピストン3側の端部35aを小径に形成する。12dは円孔35に摺動可能に嵌合したスプールである。このスプール12dは、先端の小径部12fが円孔35の端部の小径部35aに摺動可能に嵌合される。36は円孔35の外端に嵌着した蓋、37はこの蓋36を端部ブロック25に固定するねじである。12eはスプール12dと蓋36との間に介装した押圧スプリングである。
【0025】
スプール12dの外周には間隔をおいて3つの環状突起38a,38b,38cを形成し、これらの環状突起38a,38b,38cの外周にはパッキング39を設ける。環状突起38aと38bとの間に供給ポート12aと出力ポート12cとの間を連通、遮断する第1の室40を形成し、環状突起38bと38cとの間に出力ポート12cと排気ポート12bとの間を連通、遮断する第2の室41を形成する。
【0026】
図6に示すように、ピストンロッド9が収縮状態にあり、ピストン3がスプール12dの内端に当接しない状態においては、スプール12dの小径部12fの先端部は図7に示すように押圧スプリング12eの力によりロッド室7側に押し出されている。このとき、供給ポート12aと出力ポート12cとは環状突起38bにより遮断されている。この時、出力ポート12cと排気ポート12bとは第2の室41を介して連通し、出力ポート12cの圧力は大気圧となっている。したがってこのときは、切換弁12の出力ポート12cにホース16を介して接続された圧力スイッチ14の入力ポートには大気圧が加わり、圧力スイッチ14はオフである。
【0027】
反対に図5に示すように、ピストン3がストロークエンド近傍まで移動することにより、ピストン3がスプール12dの内端に当接し、図7に示す押圧スプリング12eの力に抗してスプール12dを押込むと、図7において、スプール12dが左行し、供給ポート12aと出力ポート12cとは第1の室40により連通し、出力ポート12cと排気ポート12bとの間は環状突起38bにより遮断される。したがってこのときは、圧力スイッチ14はオンとなる。このように、ピストン3がストロークエンドまで移動することにより、スプール12dがピストン3により押されて切換弁12が切換わり、空気圧源6からの加圧空気がホース16を通して圧力スイッチ14に加わり、圧力スイッチ14を作動させるため、コントローラ5側ではピストン3がストロークエンドまで伸長したことを検知することができる。また、圧力スイッチ14がオフとなれば、ピストン3が端部ブロック25から離れたことを検知することができる。
【0028】
切換弁13も同様に構成される。図8において、45は端部ブロック26内にピストンロッド9と同方向に設けた円孔である。この円孔45はピストン3側端部45aを小径に形成する。13dは円孔45に摺動可能に嵌合したスプールである。このスプール13dは、先端の小径部13fが円孔45の端部の小径部45aに摺動可能に嵌合される。46は円孔45の外端に嵌着した蓋、47はこの蓋46を端部ブロック26に固定するねじである。13eはスプール13dと蓋46との間に介装した押圧スプリングである。
【0029】
スプール13dの外周には間隔をおいて3つの環状突起48a,48b,48cを形成し、これらの環状突起48a,48b,48cの外周にはパッキング49を設ける。環状突起48aと48bとの間に供給ポート13aと出力ポート13cとの間を連通、遮断する第1の室50を形成し、環状突起48bと48cとの間に出力ポート13cと排気ポート13bとの間を連通、遮断する第2の室51を形成する。
【0030】
ピストンロッド9が伸長状態にあり、ピストン3がスプール13dの小径部13fの先端部に当接していない状態においては、図5、図8に示すように、小径部13fの先端部は、押圧スプリング13eの力によりロッド室10側に押し出されている。このとき、供給ポート13aと出力ポート13cとは環状突起48bにより遮断されている。また、出力ポート13cと排気ポート13bとは第2の室51を介して連通し、出力ポート13cの圧力は大気圧となっている。したがってこのときは、切換弁13の出力ポート13cにホース17を介して接続された圧力スイッチ15の入力ポートには大気圧が加わり、圧力スイッチ15はオフである。
【0031】
反対にピストンロッド9が収縮し、図8において、ピストン3がスプール13dの小径部13fに当接し、押圧スプリング13eの力に抗してスプール13を右行させると、供給ポート13aと出力ポート13cとは第1の室50により連通し、出力ポート13cと排気ポート13bとの間は環状突起48bにより遮断される。したがってこのときは、圧力スイッチ15はオンとなる。このように、ピストン3がヘッド側端部(基端部)まで移動することにより、スプール13dがピストン3により押されて切換弁13が切換わり、空気圧源6からの加圧空気がホース17を通して圧力スイッチ15を作動させるため、コントローラ5側ではピストン3が基端部まで移動したことを検知することができる。また、圧力スイッチ15がオフとなれば、ピストン3が端部ブロック26から離れたことを検知することができる。
【0032】
このように、この実施の形態においては、空気圧シリンダ1のピストン位置検出手段としてピストン3により操作されて切換わる切換弁12,13を設けたことにより、検出信号の伝達手段として樹脂製で可撓性のあるホース16,17を用いることを可能としたのである。このように、信号ラインにホース16,17を用いることにより、金属製の芯線を有するケーブルに比較して断線等の故障を生じる度合が少なくなり、長期使用に耐えるピストン位置検出装置が提供できる。また、ピストン位置検出手段が切換弁12,13により構成されるので、シリンダの周辺に磁気がある場合であっても、その磁気によって誤動作を起こすおそれがない。
【0033】
また、この実施の形態においては、空気圧シリンダ1のチューブ2の端部ブロック25,26内に切換弁12,13を構成したので、ピストン9に設けた磁石の磁気を検出する位置検出センサやリミットスイッチをチューブの外部に取付ける従来のものに比較して、ピストン位置検出装置を小形に構成することができる。
【0034】
次に本実施の形態に好適な圧力スイッチ14,15の一例を図9〜図14により説明する。図9、図10において、52は圧力スイッチ本体、53はこの圧力スイッチ本体52に着脱可能に結合するプラグである。72,73はプラグ53に接続したリード線である。図11〜図14において、54はホース16または17が接続具(図示せず)を介して接続される入力ポート54aを有するプラスチック製のボディ、55はこのボディ54に内嵌し固定されるプラスチック製のコネクタである。このコネクタ55は端子58,59を有するもので、プラグ53を嵌合するものである。
【0035】
ボディ54は中空構造を有しており、ピストン56を摺動可能に収容した入力ポート54a側第1の筒部54bと、この筒部54bと入力ポート54aとを連通させる連通孔54cと、コネクタ55が嵌合固定される拡大された第2の筒部54dとにより構成される。
【0036】
ピストン56の入力ポート54a側端部56aは第1の筒部54bの連通孔54cよりやや大きな直径を有するロッド状をなし、この端部56aの外周と第1の筒部54bの内壁との間に気密性を得るためのゴム製のパッキング57を設ける。また、第1の筒部54bの内壁と第2の筒部54dの内壁との間にピストン56の段部56bを受ける段部54eを設ける。また、第2の筒部54dの対向する複数箇所(本実施の形態においては2箇所)に、図9、図10、図13に示すように、コネクタ55を固定するための係止孔54fを設ける。一方、コネクタ55の外側には係止孔54fに対応する箇所にそれぞれ係止突起55aを形成する。そしてコネクタ55をボディ54の第2の筒部54d内に嵌合すると共に、係止突起55aを係止孔54fに係止させてコネクタ55をボディ54に結合し固定する。
【0037】
コネクタ55にはプラグ53を嵌合する嵌合孔55bを有する。この嵌合孔55bの底板55cに、端子58,59を貫通して固定し、端子58,59を底板55cの両面から突出させる。
【0038】
60は端子58,59間を短絡させる導電板スプリングである。図11に示すように、この導電板スプリング60には板状部60aと、この板状部60aの周囲に一体に折り曲げて形成した3本以上(図示例は4本)の線条部60bとからなる。線条部60bは、板状部60aに対して鋭角的に傾斜させた傾斜部61とこの傾斜部61の先端から板状部60aと平行をなすように折り曲げた平行線部62とからなる。
【0039】
図12〜図14に示すように、ピストン56のコネクタ55側の面には、導電板スプリング60を嵌める凹部56cを設けると共に、この凹部56cの中心に導電板スプリング60の脱落防止用のくびれを有する突起56dを設ける。なお、この突起56dは必ずしもなくてもよい。導電板スプリング60は、その平行線部62をピストン56の凹部56c内に嵌合し、かつ複数の平行線部62内に突起56dを嵌めてピストン56に取付ける。導電板スプリング60の傾斜部61は、導電板スプリング60と端子58,59との接触時における緩衝効果を発揮する。
【0040】
64はピストン56の復帰スプリングである。この復帰スプリング64は、コネクタ55のピストン側に設けたスプリング保持筒部55d内に収容し、コネクタ55の底板部55cに一端部を当接させ、他端部をピストン56の凹部56cに収容し、かつ導電板スプリング60の平行線部62に当接させて設ける。図12に示すように、スプリング保持筒部55dとピストン56の対向面56fの間隔g2は、端子58,59と導電板スプリング60との間隔g1よりやや大きく形成される。
【0041】
ここで、切換弁12,13を通して圧力スイッチ14,15に供給される圧縮空気にはドレンが含まれることがある。このドレンが端子58,59や導電板スプリング60等の部分に浸入してこれらが電気的短絡を起こしたり酸化したりすることを防止するため、前記パッキング57が設けられている。しかしながら、このパッキング57の存在にもかかわらず、このパッキング57から下部にドレンが浸入した場合であっても、端子58,59や導電板スプリング60等の部分にドレンが浸入することを防止するため、前記ピストン56には、スプリング保持筒部55dの先端を微小間隙を介して包囲する筒部56eを有する。すなわち、この筒部56eは、ドレンがパッキング57の隙間を通過して、ピストン56とボディ54の内壁間より浸入した場合に、ドレンがピストン保持筒部55d内の端子58,59や導電板スプリング60側に浸入することを防止するものである。また、万が一ドレンがスプリング保持筒部55d内に浸入した場合であっても、これはスプリング保持筒部55d内に溜まって端子58,59や導電板スプリング60に短絡や酸化を生じないように、図12に示すように、コネクタ55のプラグ53を嵌合する嵌合孔55bの底板55cには、スプリング保持筒部55d内にドレンが浸入した場合にこれをコネクタ55の外部に流出させるための水抜き孔65を設ける。
【0042】
図9、図10に示すように、プラグ53は、前記コネクタ55の嵌合孔55bに嵌合する嵌合部53aを有し、この嵌合部53aに前記端子58,59に接続する凹部(図示せず)とその凹部に設けた導電体でなる接触子(図示せず)とを有する。そして接触子にリード線72,73が接続される。このプラグ53は、先端に係止突起53bを設けた係止片53cを、前記嵌合部53aに並べて形成する。そして、プラグ53の嵌合部53aをコネクタ55の嵌合孔55bに嵌合すると同時に、係止片53cの弾性を用いて係止突起53bをコネクタ55の係止受部55e(図9、図12参照)に係止させることにより、プラグ53がコネクタ55に結合される。
【0043】
この圧力スイッチは、切換弁12または13のスプール12dまたは13dがピストン3により押し込まれて切換わり、出力ポート12cまたは13cの加圧空気がホース16または17を通してピストン56に加わると、ピストン56が図12、図13において復帰スプリング64の弾力に抗して下方に移動する。そして導電板スプリング60の板状部60aが端子58,59に接触し、端子58,59間が電気的に短絡する。さらにピストン56が下方に移動してピストン56の面56fがコネクタ55のスプリング保持筒部55dの先端に当接する。ここで、ピストン56の面56fとスプリング保持筒部55dとの当接によってピストン56の動きを制限することにより、導電板スプリング60の損傷を防止する。この状態では導電板スプリング60の傾斜部61が撓み、導電板スプリング60が端子58,59に加圧状態で接触し、圧力スイッチがオンとなる。
【0044】
上述のように、この例の圧力スイッチは、スプリング保持筒部55dの先端を微小間隙を介して包囲する筒部56eを設けたので、圧縮空気中にドレンが含まれ、このドレンがパッキング57の部分を通過し、ピストン56とボディ54の内壁間より下に浸入した場合に、ドレンがピストン保持筒部55d内に浸入して、端子58,59や導電板スプリング60側に浸入することを防止することができる。また、コネクタ55のプラグ53を嵌合する嵌合孔55bの底板55cに水抜き孔65を設けたので、万が一スプリング保持筒部55d内に前記パッキング57を通過したドレンが浸入した場合にこれを流出させることができる。このため、入力ポート54aから圧縮空気内のドレンが浸入しやすい環境で使用される場合であっても、端子58,59がドレンにより電気的に短絡したり酸化して誤動作を起こす事態の発生を回避することができる。
【0045】
図15〜図20は圧力スイッチの他の例である。この実施の形態は、ピストン56Xの周囲に溝56gを設け、この溝56gに、ピストン56Xとボデイ54Xとの間の気密性を確保するためのゴム製の円環状をなすダイヤフラム70を嵌合する。このダイヤフラム70は、その上面をボデイ54X内にコネクタ55Xに対向して設けた面54eに当て、周囲をボディ54Xの第2の筒部54dの内面に嵌合して取付ける。
【0046】
また、復帰スプリング64は、コネクタ55Xのスプリング保持筒部55d内に収容すると共に、上端部をピストン56Xの凹部56c内に収容し、導電板スプリング60の平行線部62に当接させることにより、コネクタ55Xとピストン56Xとの間に介装する。
【0047】
コネクタX55のスプリング保持筒部55dの外周部はさらにピストン56X側に延出した筒部55fを有する。この筒部55fの上端部と前記ボディ54Xの段部54eとの間でダイヤフラム70を挟持する。ピストン56Xの下部にはコネクタ55Xの前記筒部55fに摺動可能に嵌合される筒部56gを有する。図18において、74はコネクタ55Xのプラグ嵌合孔55bの底板55cに設けた水抜き孔であり、スプリング保持筒部55d内にドレンが浸入した場合にこれを流出させるためのものである。他の構成は図9〜図14の構成と同じである。
【0048】
この圧力スイッチにおいても、コネクタ55Xのプラグ嵌合孔55bの底板55cに水抜き孔74を設けたので、スプリング保持筒部55d内にドレンが浸入した場合にこれを流出させることができる。ホース16,17内や入力ポート54aからドレンが浸入しやすい環境で使用される場合であっても、端子58,59がドレンにより電気的に短絡したり酸化して誤動作を起こす事態の発生を回避することができる。
【0049】
上記の実施の形態においては、切換弁12,13を空気圧シリンダ1の先端側(ロッド室側端部)および基端側(ヘッド室側端部)の双方に設けた例を示したが、先端側のみまたは基端側のみに切換弁を設ける構成とする場合もある。また、空気圧シリンダ1として、上記実施の形態で示した複動シリンダではなく、単動シリンダを用いる場合にも適用できる。また、圧力スイッチ14,15は上記実施の形態に限られるものではなく、正圧によりオン(接点閉)となるのではなく、反対に正圧によりオフ(接点開)となる構成とすることもできる。また、圧力検出手段として圧力スイッチではなく、半導体センサを用いることができる。また、切換弁12,13はスプール弁ではなく、ポペット弁を用いることができる。また、本発明は、ロボット以外に流体圧シリンダが可動部に取付けられる他の装置にも適用できる。本発明は流体圧シリンダが空気圧シリンダではなく、油圧シリンダである場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0050】
1:空気圧シリンダ、2:チューブ、3:ピストン、4:コントロール弁、5:コントローラ、6:空気圧源、7:ロッド室、9:ピストンロッド、10:ヘッド室、12,13:切換弁、12a,13a:供給ポート、12b,13b:排気ポート、12c,13c:出力ポート、12d,13d:スプール、12e,13e:スプリング、14,15:圧力スイッチ、16,17:ホース、18:電源、25,26:端部ブロック、27:貫通孔、28:ポート、29:円孔、30:パッキング、32:ポート、33:円孔、35:円孔、36:蓋、38a,38b,38c:環状突起、39:パッキング、40:第1の室、41:第2の室、41,45:円孔、46:蓋、47:ねじ、48a,48b,48c:環状突起、49:パッキング、50:第1の室、51:第2の室、52:圧力スイッチ本体、53:プラグ、54,54X:ボディ、54a:入力ポート、54f:係止孔、55,55X:コネクタ、55a:係止突起、55b:プラグ嵌合孔、55c:底板、55d:スプリング保持筒部、55e:係止受部、55f:筒部、56,56X:ピストン、57:パッキング、58,59:端子、60:導電板スプリング、64:復帰スプリング、65:水抜き孔、70:ダイヤフラム、72,73:リード線、74:水抜き孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダチューブのロッド側端部およびヘッド側端部のうちの少なくとも一方に設けられ、ピストンのロッド室側端部またはヘッド側端部への到達により操作されて切換わる切換弁と、
前記流体圧シリンダから離れた位置に設置される圧力検出手段と
前記切換弁の出力ポートと前記圧力検出手段との間に設けられ、前記切換弁の切換えにより生じる出力ポートの流体圧の変化を前記圧力検出手段に伝達する可撓性を有するホースとを備えたことを特徴とする流体圧シリンダのピストン位置検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のピストン位置検出装置において、
前記切換弁は、前記端部ブロック内に設けられた孔に摺動可能に設けられた弁体と、
前記弁体を前記チューブ内部に向けて押圧する押圧スプリングと、
前記弁体に設けられ、前記端部ブロックの前記チューブの内部側端部から突出して設けた操作部とを備え、
前記操作部に前記ピストンが当接することによって前記切換弁が切換わり、前記切換弁の出力ポートに前記ピストン当接に呼応した流体圧が現れることを特徴とするピストン位置検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のピストン位置検出装置において、
前記圧力検出手段は圧力スイッチからなり、
前記圧力スイッチは、入力ポートを有するボディと、対をなす端子を有するコネクタと、ボディとコネクタとの間に移動可能に介装され、前記入力ポートからの圧力を受けるピストンと、ピストンをコネクタから離反する方向に付勢する復帰スプリングと、前記コネクタに形成され、前記復帰スプリングを収容すると共に、底板部に前記端子を固定したスプリング保持筒部と、ピストンの移動により対をなす端子間を電気的に接続、開離させる導電体と、前記スプリング保持筒部の底板部に設けた水抜き孔とを備えたことを特徴とするピストン位置検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載のピストン位置検出装置において、
前記圧力スイッチのピストンの前記コネクタ側に、前記スプリング保持筒部に移動可能に外嵌した筒部を備えたことを特徴とするピストン位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−2040(P2011−2040A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−145888(P2009−145888)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(000102511)SMC株式会社 (344)
【Fターム(参考)】