説明

流体投与装置

ポンプや弁などの流体ディスペンサ部材(10)と、投与開口部を備えたディスペンサヘッド(20)とを有する流体ディスペンサ装置であって、特徴となるのは、前記装置が、流体1ドーズの投与を検知するための投与検知手段(30,31)を備えており、前記検知手段(30,31)は、前記ポンプによって実際に1ドーズの流体が投与されたことをユーザに通知するための信号を送出するように作られており、前記検知手段は、前記ディスペンサ部材から前記投与開口部へ進む流体を検地する検知器(30)を有することである、という前記流体ディスペンサ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体ディスペンサ装置に関し、さらに具体的に言えば、手動で駆動されるポンプまたは弁を有した流体ディスペンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプまたは弁を用いて流体(液体、クリーム、または粉末)を定量または「ドーズ」で投与できることは、特に薬剤、香水、および化粧品の分野で公知である。特に薬剤の分野で非常に重要なのは、オーバードーズおよび/または過少カウントの危険を回避することである。弁の場合、推進ガスを用いた動作では、問題は、何よりも送出済みのドーズ数に関するものであり、数ドーズが未投与で残っているとユーザは信じているにも関らず装置が空になっている、という事態が生じないよう、過少カウントの危険を排除することがしばしば必要である。一般には、カウントシステムがこうした弁と組み合わされて、送出済みのドーズ数をカウントし、前記システムは一般に、貯蔵器と弁の弁部材とがお互いに対して移動することで駆動される。問題は、駆動が部分的であったり中断されたりした場合に生じ、こうした事態が起きると、ドーズの放出は完全に行われる場合もあるが、部分的になる場合もある。この問題を考慮して複雑なカウンタが提案されてきたが、こうしたカウンタは信頼性を高めるために非常に複雑になっており、それゆえ非常に高価なものとならざるを得ない。ポンプが使用される場合、特に新世代のポンプが使用される場合には、過少カウントの危険に加えて、他の問題も生じ得る。すなわり、スプレーが非常に細かいため、ドーズが投与されたことにユーザが気づかないことがあり得る。これは特に、いくつかの鼻用ディスペンサポンプに当てはまる。それらの場合、ドーズが投与されたことはユーザに示されず、そのため、一度目の駆動は無効であったと考えたユーザが再び装置を駆動してしまう、という危険が存在する。それはオーバードーズの危険を生じさせるが、オーバードーズはユーザの健康に好ましくない結果を招く。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上で述べた問題の生じない流体スプレー装置を提供することを目的とする。
具体的には、本発明は、送出済みドーズに関してオーバードーズおよび/または過少カウントの危険を排除するポンプまたは弁を有した流体スプレー装置を提供することを目的とする。
本発明はまた、製造および組立が簡単かつ安価であり、使用に当たって安全かつ信頼性が高い、という装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明が提供するのは、ポンプや弁などの流体ディスペンサ部材と、投与開口部を備えたディスペンサヘッドとを有する流体ディスペンサ装置であって、特徴となるのは、前記装置が、流体1ドーズの投与を検知するための投与検知手段を備えており、前記検知手段は、前記ポンプによって実際に1ドーズの流体が投与されたことをユーザに通知するための信号を送出するように作られており、前記検知手段は、前記ディスペンサ部材から前記投与開口部へ進む流体を検地する検知器を有することである、という前記流体ディスペンサ装置である。
【発明の効果】
【0005】
また、ディスペンサ部材は放出チャネルを介して投与開口部に接続されており、前記検知手段は前記放出チャネルの中に設けられている、とするのが効果的である。
また、前記検知器は動的圧力検知器で成る、とするのが効果的である。
また、第1の実施の形態では、前記検知器は圧電素材で成ることとする。
また、前記検知器はポリフッ化ビニリデン(PVDF)で成る、とするのが効果的である。
【0006】
また、前記検知器は、振動(breathing)モードで動作するPVDF管で成る、とするのが効果的である。
また、前記PVDF管は、前記放出チャネルの一部を囲む形に配置されている、とするのが効果的である。
また、第2の実施の形態では、前記検知器は光ファイバを有することとする。
【0007】
また、前記光ファイバは、流体が通過する際に変形する変形可能な膜と組み合わされており、この変形により光ファイバにストレスが生じる、とするのが効果的である。
また、前記変形可能な膜は、前記放出チャネルの一部を囲む形に配置される、とするのが効果的である。
また、前記光ファイバは、ディスペンサヘッドに固定されたケースの中で前記変形可能な膜と協働する、とするのが効果的である。
【0008】
また、前記光ファイバはプラスチックまたはガラスで作られている、とするのが効果的である。
また、前記検知手段はスリーブ内に配置されており、当該スリーブは、一方の端部では前記ディスペンサ部材と、もう一方の端部では前記ディスペンサヘッドと協働している、とするのが効果的である。
【0009】
また、前記スリーブは2つの部分から作られており、これら部分は、一方が他方の上にくる形、および/または、一方が他方を囲む形で契合しており、前記検知手段は前記2つのスリーブ部分の間に配置されている、とするのが効果的である。
また、前記スリーブは、弁の弁部材を囲む形、あるいは、ポンプの駆動ロッドを囲む形で嵌められている、とするのが効果的である。
【0010】
また、前記検知手段は電子手段に接続されており、当該手段は前記検知手段によって送出された信号を処理するもの、とするのが効果的である。
また、前記検知手段は、ドーズカウンタの値を増加または減少させるように作られている、とするのが効果的である。
また、前記ディスペンサ部材は、ユーザが検知できない程度に細かいスプレーとして噴霧される、という形で流体を投与するように作られたポンプであって、前記検知手段は、流体が1ドーズ投与されるたびにユーザに通知する、とするのが効果的である。
【0011】
また、変形例では、前記ディスペンサ部材は、推進ガスと共に動作する定量弁とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に関する他の特徴および効果は、非限定的な例として与えられる、添付図面を参照しながらの以下の詳細な説明を読めば、より明らかになるであろう。
図1に示すディスペンサ部材はポンプ10であり、これに、投与開口部25の設けられたディスペンサヘッド20が組み付けられている。ポンプはどのような種類のものでもよく、そのため、ポンプの内部構造については、これ以上詳しい説明はしない。本発明は特に、駆動のたびに1ドーズの流体を非常に細かいスプレーの形で投与するように作られたディスペンサポンプに適用されるが、これに限定されるわけではない。図1に示すディスペンサヘッド20は鼻用のディスペンサヘッドであり、ポンプ10を手動で駆動するために使われる。当然のことながら、本発明は図に示した例に限定されるものではなく、様々な実施の形態が考えられる。ポンプ10は、何らかの公知の様態で貯蔵器(図示せず)に組み付けられる設計となっている。
【0013】
本発明による装置は、1ドーズの流体の投与を検知するように設計された投与検知手段30、31を有する。好ましい構成として、検知手段30、31は信号を送出するように作られており、前記ポンプによる1ドーズの流体の投与が実際に完了したことが、当該信号を用いてユーザに通知される。ユーザへの通知の方法としては、例えば表示装置を用いるなど、様々な形が可能である。また、変形例として、音声通知手段や類似の通知手段を用いることで、ドーズ投与の完了をユーザに示すことも可能であろう。また、効果的な構成として、投与検知手段30によって発せられる信号を、ドーズカウンタの駆動のために用いることも可能であろう。こうした構成であれば、ドーズのスプレーがあまりに細かいため投与が実施されたか否かユーザが気づかない、というポンプがディスペンサポンプとして用いられる場合でも、本発明では、ドーズ投与が実際に完了したことがユーザに通知されるため、過剰ドーズ投与の危険を排除することができる。
【0014】
第1の実施の形態では、前記検知手段は、流体がポンプ10から投与開口部25に進むタイミングを検知する動的圧力検知器30で成る。
好ましい構成として、検知器30は圧電素材で成り、圧電特性を有したプラスチック素材であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)とするのが効果的である。また、図2に示すように、検知器30は振動(breathing)モードで動作するPVDFチューブで成る、とするのが効果的である。
【0015】
こうした形での実装により、ごく少量しか放出されない場合であっても、完全に信頼のできる検知が保証される。
図1に示すように、検知器30は、装置のスプレー開口部25にディスペンサポンプ10を接続する放出チャネル50の中に配置することができる。さらに、効果的な構成として、検知器はスリーブ40の中に配置されており、当該スリーブは一方の端部でポンプ10の駆動ロッドに、もう一方の端部でディスペンサヘッド20にそれぞれ接続されている。スリーブ40は、前記駆動ロッドを囲む形に嵌めることができ、2つの部分41、42から作ることができる。これら部分は、一方が他方の上に載る形、または、一方が他方を囲む形で装着することができ、検知器30は当該2つの部分の間に配置される。これにより、装置の組立が簡単かつ容易になると共に、耐漏洩性を保証することもできる。
【0016】
図3に示すのは実施の形態の変形例であり、ここでのディスペンサ部材は弁10(例えば、逆さまの状態で動作する定量弁)である。検知器30の実装の様態は、先に述べた例における様態と同様である。すなわち、2つの部分41、42から成るスリーブ40の中に置かれて、弁の弁部材を囲む形に組み付けられたPVDF管の形を取っている。本使用例において、流体は一般に水溶液であり、弁の最大吐出圧力は1000キロパスカル(すなわち10バール)もの高さになり得る。これにより、検知器および密封手段には高いストレスがかかる。しかし上述の構成では、何の問題もなく、こうしたストレスに適応すること、および、ディスペンサ装置の信頼できる形での動作を保証することが可能となり、装置が部分的にしか駆動されない場合でさえ、過少カウントや過剰ドーズ投与は回避される。
【0017】
図4は本発明の別の実施の形態を示し、ここでの検知手段は光ファイバによって形成された検知器30で成る。好ましい構成として、前記光ファイバは変形可能膜31と組み合わされており、当該膜31は、効果的な構成として、放出チャネル50の一部を囲む形に配置されている。流体の放出中、膜31は、特に圧力の影響を受けて変形し、光ファイバ30にはストレスが発生する。その結果、適当な電子手段60によって利用可能な信号が発生させられる。光学的な計測は、プラスチックの成形および/または上乗せ成形の技術と共に使用できる光ファイバが用いられる限り、小型化の点から効果がある。また、効果的な構成として、光ファイバ30はケース45の中で膜31と協働しており、当該ケースは、ディスペンサヘッド20に固定できると共に、その内部では、光ファイブは膜31のいかなる変形も検知できる様態で固定的に保持されている。本実施の形態で、電気的手段60は、トランスミッタと検知器とから成るものとすることができる。当該検知器は、光ファイバ30によって運ばれる光束における変動(ファイバ内に生じるストレスに起因するもの)を感知できるものとする。光ファイバはプラスチック製またはガラス製とすることができる。
【0018】
一般に、検知手段30、31は、適当な接続手段35を介して、電子手段60に接続されており、当該手段60は、前記検知器30が送出してくる信号を処理し、そうすることで、ドーズ投与の完了のユーザへの通知、および/または、ドーズカウンタまたはインジケータの駆動が行われるようにする、という作りになっている。
以上、本発明に関して、特定の実施の形態を参照しながら説明したが、本発明が、図示した例に限定されないことは理解すべきである。それどころか、当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明から逸脱しない形で、必要ないかなる変形も施すことが可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のスプレー装置に関する第1の実施の形態を示す概略断面図である。
【図2】図1の一部を示す拡大詳細図である。
【図3】図1と同様の図であり、本発明の変形例を示す図である。
【図4】図1と同様の図であり、本発明の別の実施の形態を示す図である。
【図5】図4の一部を示す拡大詳細図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプや弁などの流体ディスペンサ部材(10)と、投与開口部を備えたディスペンサヘッド(20)とを有する流体ディスペンサ装置であって、
特徴となるのは、
前記装置が、流体1ドーズの投与を検知するための投与検知手段(30,31)を備えており、前記検知手段(30,31)は、前記ポンプによって実際に1ドーズの流体が投与されたことをユーザに通知するための信号を送出するように作られており、前記検知手段は、前記ディスペンサ部材から前記投与開口部へ進む流体を検地する検知器(30)を有することである、
という前記流体ディスペンサ装置。
【請求項2】
ディスペンサ部材(10)は放出チャネル(50)を介して投与開口部(40)に接続されており、前記検知手段(30,31)は前記放出チャネル(50)の中に設けられていること、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記検知器(30)は動的圧力検知器で成ること、
を特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記検知器(30)は圧電素材で成ること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記検知器(30)はポリフッ化ビニリデン(PVDF)で成ること、
を特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記検知器(30)は、振動(breathing)モードで動作するPVDF管で成ること、
を特徴とする請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記PVDF管は、前記放出チャネル(50)の一部を囲む形に配置されていること、
を特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記検知器(30)は光ファイバ(30)を有すること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記光ファイバ(30)は、流体が通過する際に変形する変形可能な膜(31)と組み合わされており、この変形により、光ファイバ(30)にストレスが生じること、
を特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記変形可能な膜(31)は、前記放出チャネル(50)の一部を囲む形に配置されること、
を特徴とする請求項2および9に記載の装置。
【請求項11】
前記光ファイバ(30)は、ディスペンサヘッド(20)に固定されたケース(45)の中で前記変形可能な膜(31)と協働すること、
を特徴とする請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記光ファイバ(30)はプラスチックまたはガラスで作られていること、
を特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記検知手段(30,31)はスリーブ(40)内に配置されており、当該スリーブは、一方の端部では前記ディスペンサ部材(10)と、もう一方の端部では前記ディスペンサヘッド(20)と協働していること、
を特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記スリーブ(40)は2つの部分(41,42)から作られており、これら部分は、一方が他方の上にくる形、および/または、一方が他方を囲む形で契合しており、前記検知手段(30,31)は前記2つのスリーブ部分(41,42)の間に配置されていること、
を特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記スリーブ(40)は、弁の弁部材を囲む形、あるいは、ポンプの駆動ロッドを囲む形で嵌められていること、
を特徴とする請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
前記検知手段(30,31)は電子手段(60)に接続されており、当該手段(60)は前記検知手段(30,31)によって送出された信号を処理するものであること、
を特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記検知手段(30,31)は、ドーズカウンタの値を増加または減少させるように作られていること、
を特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記ディスペンサ部材は、ユーザが検知できない程度に細かいスプレーとして噴霧される、という形で流体を投与するように作られたポンプ(10)であって、前記検知手段(30)は、流体が1ドーズ投与されるたびにユーザに通知すること、
を特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記ディスペンサ部材は、推進ガスと共に動作する定量弁(10)であること、
を特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−534562(P2007−534562A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544522(P2006−544522)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050706
【国際公開番号】WO2005/061998
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)
【Fターム(参考)】