流体機械でアブレイダブル被膜として使用される表面形状を付形された表面
【課題】流体機械において、ブレード先端にとって好適とされるアブレイダブル被膜を提供する。
【解決手段】流体機械でアブレイダブル被膜として摩耗表面が使用される。ブレード先端の移動で材料が除去されて形成される摩耗表面10が生じる。この表面は、空所状の陥凹部11を囲むリブ15によって形成される。アブレイダブル被膜はストリップ状の構成要素5で構成されたパターンを形成し、基準格子40における屈曲位置41,42の間を結ぶ線45上をリブ方向に沿って位置する。摩耗表面10の各位置における大部分、すなわち摩耗表面の少なくとも80〜90%を超える部分で、リブ方向はブレード先端2の移動方向vと相違される。摩耗表面の2/3で、移動方向はリブ方向から30゜よりも大きな角度、45゜よりも大きな角度でずれている。摩耗表面のストリップ状の構成要素5は、湾曲、分離および(または)部分的に連結されたストリップとして形成される。
【解決手段】流体機械でアブレイダブル被膜として摩耗表面が使用される。ブレード先端の移動で材料が除去されて形成される摩耗表面10が生じる。この表面は、空所状の陥凹部11を囲むリブ15によって形成される。アブレイダブル被膜はストリップ状の構成要素5で構成されたパターンを形成し、基準格子40における屈曲位置41,42の間を結ぶ線45上をリブ方向に沿って位置する。摩耗表面10の各位置における大部分、すなわち摩耗表面の少なくとも80〜90%を超える部分で、リブ方向はブレード先端2の移動方向vと相違される。摩耗表面の2/3で、移動方向はリブ方向から30゜よりも大きな角度、45゜よりも大きな角度でずれている。摩耗表面のストリップ状の構成要素5は、湾曲、分離および(または)部分的に連結されたストリップとして形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体機械で被摩耗部材すなわちアブレイダブル被膜として使用される請求項1の前文に記載の表面形状を付形された表面、およびその形式のアブレイダブル被膜を備えた流体機械に関する。アブレイダブル被膜として使用される表面形状を付形された表面は、以下に短縮してアブレイダブル被膜と呼ぶことにする。
【背景技術】
【0002】
航空機の推進ユニット、固設されたガス・タービン、ターボ・コンプレッサおよびポンプのような流体機械では、高い効率を得るために、ローター・ブレードを担持したローターの外周面位置における運転時のブレード先端とハウジングとの間のシール間隙は非常に狭いことが必要とされる。ローター・ブレードの先端が沿って移動するハウジング内面にアブレイダブル被膜を使用することにより、ブレード先端を損傷することのない最小限のシール間隙を形成することが可能になる。約800゜C以上の高い作動温度のため、アブレイダブル被膜はセラミック材料で製造されねばならず、セラミック材料は熱スプレー法、すなわち火炎スプレーまたは大気プラズマスプレーによって塗布される。焼失させることのできる相(重合材粉末)をセラミック・スプレー粉末に混合することで、アブレイダブル被膜の気孔性が得られ、この気孔性のために、回転するローターのブレード先端によってアブレイダブル被膜の表面から微細片の削り取りが可能になる。
【0003】
表面形状を付形されていない表面を有するセラミック・アブレイダブル被膜の場合、ブレード先端が摩接時に損傷されないようにするために、例えばレーザーによる再溶融を行うと同時に硬質粒子を付与して、ブレード先端は一般に補強される。削り取られた摩耗粒子は実質的に抵抗を生じることなくシール間隙から排出できねばならない。表面形状を付形された表面を有するアブレイダブル被膜は特許文献1によって周知である。これによれば、摩耗粒子は問題を生じることなくシール間隙から排出されること、およびブレード先端の補強は不要であることが期待されている。しかしながら試験によれば、摩接時に補強していないブレード先端には、ブレード先端に波形縁を生じるようにして材料の摩耗が生じた。ブレード先端におけるこの種の材料の摩耗は、許容することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願第0935009号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、補強していないブレード先端にとって好適とされるアブレイダブル被膜を形成することである。この目的は、請求項1に記載された特徴を付与されたアブレイダブル被膜によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
表面形状を付形された表面は、流体機械でアブレイダブル被膜として使用される。それらの機械では、ブレード先端は表面形状を付形されたアブレイダブル被膜の上を所定の方向へ移動する。そのように移動することで部分的な表面、すなわち摩耗表面が形成され、これは材料が除去されて形成される。表面形状は空所状の陥凹部を囲むリブによって形成される。リブ方向はいずれの場合もリブと関係づけることができる。摩耗表面はカートリッジ状の構成要素で構成されたパターンを形成し、それらの構成要素は基準格子における屈曲位置の間を結ぶ線上をリブ方向に沿って位置する。大部分の摩耗表面の各位置において、すなわち摩耗表面の少なくとも80%〜95%において、リブ方向はブレード先端の移動方向とは異なる。摩耗表面の少なくとも2/3に関しては、移動方向はリブ方向から30゜よりも大きい角度、好ましくは45゜よりも大きい角度でずれている。摩耗表面のストリップ状の構成要素は湾曲、ならびに分離および(または)部分的に連結されたストリップとされることができる。
【0007】
ブレード先端の移動方向が考慮されて設計される本発明によるアブレイダブル被膜の表面形状によれば、補強していないブレード先端における材料の除去は少なくなり、さらに材料の除去は先端縁の全体に沿って一様に分布される。さらにブレード先端における材料の除去を減少するために、ブレード先端に対する補強を行うこともできる。
【0008】
従属する請求項2〜請求項7は本発明によるアブレイダブル被膜の有利な実施例に関する。請求項8〜請求項10の主題は、この形式のアブレイダブル被膜を備えた流体機械である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】摩耗表面上をブレード先端が移動するアブレイダブル被膜の断面図。
【図2】アブレイダブル被膜の斜視図。
【図3】本発明によるアブレイダブル被膜の摩耗表面の第1のパターンを示す概略図。
【図4】第1のパターンの変更形を示す概略図。
【図5】第1のパターンの他の変更形を示す概略図。
【図6】本発明による他の摩耗表面のパターンを示す概略図。
【図7】本発明によるさらに他の摩耗表面のパターンを示す概略図。
【図8】本発明によるさらに他の摩耗表面のパターンを示す概略図。
【図9】本発明によるさらに他の摩耗表面のパターンを示す概略図。
【図10】本発明によるさらに他の摩耗表面のパターンを示す概略図。
【図11】等辺五角形および菱形を含む「ペンローズ」構造を有する基準格子を示す説明図。
【図12】摩耗表面の対応するパターンを示す概略図。
【図13】シュラウド付きブレードを備えたブレード先端を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、以下に図面を参照して説明される。
【実施例】
【0011】
図1に横断面として示されるアブレイダブル被膜1は表面形状を付形された表面を有し、その表面上でブレード先端2が平面20内を所定の方向vへ移動する。リブ15はその表面の表面形状を形成している。それらのリブは空所状の陥凹部11を囲んでいる。アブレイダブル被膜1の本来の表面10''は一点鎖線で示される。平面10’の摩耗された表面(摩耗表面)10はブレード先端2が材料を除去することで形成されている。平面20と摩耗表面10との間の狭い間隙はシール間隙であり、これは材料の除去によって形成される。摩耗表面10は、ストリップ状の構成要素5で構成されるように想像することのできるパターンを形成する。摩耗表面10および陥凹部11を有すアブレイダブル被膜1は図2に斜視図で示されている。続く図3〜図12は、本発明によるアブレイダブル被膜1の材料が除去されて形成される摩耗表面10の種々のパターンを示している。摩耗表面10のストリップ状の構成要素5は湾曲することができる。それらの構成要素は分離および(または)部分的に連結されたストリップとして形成されることもできる。
【0012】
アブレイダブル被膜1は熱スプレー法によって金属基材3に付与される。材料は、高温で使用されるために例えばセラミック材を含むものが使用される。また材料は、補強しない表面形状を付形されたアブレイダブル被膜における使用で既に周知である(例えば、米国特許第5434210号を参照)。基材3はウェブ35を備えた表面形状を付形された表面を有する。この表面形状はさまざまな形状として与えられる。すなわち、鋳造本体の鋳造表面形状として、皿穴状の腐食または機械的切削加工による本来は平坦な金属本体に形成される表面形状として、はんだ付けまたはレーザー溶接または拡散溶接によって金属本体に付与された編んだ状態または単独の金属ワイヤーによる表面形状として、またはレーザー照射溶接によるマイクロ鋳造法で付与されたリブ形態による表面形状として与えられる。
【0013】
ウェブ35に熱スプレー法でリブ15を構成できるようにするために、ストリップ状の構成要素5の幅は約1mmよりも大きくされねばならない。アブレイダブル被膜1からの材料の除去で損傷が全く生じないようにするために、これらの幅はブレード先端の横断面の幅(移動方向vにおける幅)と同じ程度の大きさとされねばならない。すなわち、それらはこの横断面での幅のアブレイダブル被膜1〜3倍を超えては成らない。
【0014】
ウェブ35は基材3のランプ30へ向かって狭まる横断面を有する。それらまた上述したEP−A0935009で知られているように、ランプ30に間隙を形成する。この形状の結果として、アブレイダブル被膜1を形成する材料はウェブ35の間の陥凹部31内で留められる。
【0015】
リブの方向はいずれの場合にもリブ15と関係付けることができる。本発明によれば、リブ方向は摩耗表面10の各位置にてブレード先端2の移動方向vとは大きく相違されねばならない。これにおいて「大きく」という用語は、ブレードの移動方向およびリブの同様な配向が摩耗表面10のせいぜい5〜15%、または20%において存在することを意味する。その配向が同じとされる度合いは経験的に決定されねばならない。摩耗表面10の少なくとも2/3において本発明により移動方向vはリブ方向から30゜よりも大きな角度、好ましくは45゜よりも大きな角度で相違されねばならない。これらの条件が満たされるならば、補強していないブレード先端2を使用することができる。
【0016】
図3には、本発明によるアブレイダブル被膜1の摩耗表面10の第1のパターンが示されている。このパターンはストリップ状の構成要素(5)で構成されている。これらの構成要素5は、基準格子40の屈曲位置41,42の間を結ぶ線45上のリブ15の方向に位置される。これらの軸線x1,x2,yは基準格子40の各屈曲位置41または42に関連づけることができる。角度α12,α2,α1はこれらの軸線の間にそれぞれ与えられる。a1,a2,bで示されるリブ15がそれぞれ軸線x1,x2,y上に位置する。リブa1,a2はリブbに比較して2倍以上長い。いずれの例においても角度α2,α1,α12は100゜よりも大きく150゜未満(合計で360゜)である。図示されたパターンは全体的にハニカム構造をしている。すなわち、いずれの例においても基準格子40の6つの屈曲位置、すなわち3つの屈曲位置41および3つの屈曲位置42、の間を結ぶ線45は、空所状の陥凹部11のリブ15と関係づけることができる。
【0017】
各軸線yは、1つのy方向と少なくともほぼ平行である。ブレード先端2の移動方向vは小さい角度、すなわち最大30゜でy方向からずれている。リブbはリブa1,a2と比べて十分に小さい、すなわち1/3であることが好ましい。リブbと関係づけられる屈曲位置41,42は互いに接近して、リブbが実際的に無視できる、すなわち存在しないようにすることができる。
【0018】
図4および図5は第1のパターン(図3)の変更形を示している。図4では、パターンは魚の鱗を有する被覆のようである。リブ15は湾曲されている。図5では、パターンは独立した構成要素5で構成されている。リブa1,a2が与えられ、リブbの代わりに間隙が形成されている。
【0019】
図6も摩耗表面10のハニカム状のパターンを示している。構成要素5’は個々の陥凹部11内に島のように点在配置されている。図7では、ストリップ状の構成要素5が連結されてジグザク線上に配置されている。リブ方向と移動方向vとのなす角度は45゜、またはそれより多少大きい角度であることが好ましい。空所状の陥凹部11の境界はここでは独特であるが与えられていない。それらは、例えば一点鎖線で描かれた四角形11’として考えることができる。図8は、図5の場合と同様に独立した構成要素5によるパターンを再び示している。このパターンは図7のジグザグ・パターンと或る種の関係を有しており、このパターンでは、ジグザグ・パターンにおける1つ置きの構成要素5が取り去られて、残る構成要素5が両端をそれぞれ延長されている。図9は、四角形で互いに偏倚するように配置された陥凹部11を有するパターンを示している。図10には菱形パターンが示されており、1つのリブの方向は移動方向vに直角で、他のリブの方向は移動方向vと約45゜の角度を成している。
【0020】
図3〜図10の代表的実施例において、摩耗表面10はいずれの場合も基準格子40は基本セル(六角形または四角形)が周期的に配列されて構成できる表面形状を有している。非周期的な表面形状も可能であり、その基準格子40は、例えば図11による「ペンローズ(Penrose)構造」を有する。図12は五角形または菱形の陥凹部11’,11''を有する摩耗表面10の対応するパターンを示している。この基準格子40は等辺五角形(隣接側縁間の角度:108)および菱形(角度:36゜,144゜)で構成されている。周期的な格子には2〜3の主方向が存在するのに対し、「ペンローズ構造」では5つの主方向が存在する。ブレード先端2の移動方向vはそれらの主方向の1つから約18゜ほど有利にずれている。
【0021】
少なくとも大体「ペンローズ構造」を有する基準格子40に関して、以下の説明が適用される(図11、図12を参照)。すなわち、3つの軸線x1,x2,yは基準格子40の各屈曲位置43または44に関連づけることができる。角度α12,α2,α1はこれらの軸線の間にそれぞれ与えられる。リブa1,a2は軸線x1,x2上に位置する。リブa1,a2は主にリブbと長さが等しい。いずれの例においても、角度α2,α1,α12は100゜よりも大きく150゜未満(合計で360゜)である。屈曲位置の1つ、すなわち屈曲位置43に関して、一方のリブbは軸線y上に位置する。他方の屈曲位置44に関しては、いずれの場合も軸線yに関して2つのリブb1,b2を有する分岐が与えられる。リブb、およびリブb1,b2はそれぞれリブa1またはa2の長さと等しい長さである。リブb1およびリブb2の間の角度β12は30゜よりも大きく45゜未満である。ブレード先端2の移動方向vは分岐の一方の軸線yに実質的に平行である。
【0022】
上述したアブレイダブル被膜は、ハウジング壁に付与される代わりに、すなわち特にローター・ブレードであるブレードが静止状態に配置される場合には、可動機械部品に対しても適用できる。またシール間隙は、静止しているブレード先端と可動機械部品との間に形成され、その機械部品は特に回転シャフトとされる。アブレイダブル被膜は静止ブレードの先端位置でシュラウド付きブレードにも付与されることができる。それ故に、請求項1で記載するブレード先端の移動は相対移動として理解されるべきである。
【0023】
本発明によるアブレイダブル被膜1を備えた流体機械は、いずれの場合もシュラウド付きブレード21として先端2が形成されたブレードも含む(図13を参照)。シュラウド付きブレード21は、ブレード先端2の移動方向vに沿って延在する1以上の薄板22,22’を有する。複数存在する場合には薄板22,22’はラビリンス・シールを形成する。
【符号の説明】
【0024】
a1,a2,b リブ
x1,x2,y 軸線
v 移動方向
α1,α2,α12 角度
1 アブレイダブル被膜
2 ブレード先端
3 基材
5 構成要素
10 摩耗表面
11 陥凹部
15 リブ
20 平面
21 シュラウド付きブレード
22,22’ 薄板
30 ランプ
31 陥凹部
35 ウェブ
40 基準格子
41,42,43 ,44 屈曲位置
45 屈曲位置の間を結ぶ線
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体機械で被摩耗部材すなわちアブレイダブル被膜として使用される請求項1の前文に記載の表面形状を付形された表面、およびその形式のアブレイダブル被膜を備えた流体機械に関する。アブレイダブル被膜として使用される表面形状を付形された表面は、以下に短縮してアブレイダブル被膜と呼ぶことにする。
【背景技術】
【0002】
航空機の推進ユニット、固設されたガス・タービン、ターボ・コンプレッサおよびポンプのような流体機械では、高い効率を得るために、ローター・ブレードを担持したローターの外周面位置における運転時のブレード先端とハウジングとの間のシール間隙は非常に狭いことが必要とされる。ローター・ブレードの先端が沿って移動するハウジング内面にアブレイダブル被膜を使用することにより、ブレード先端を損傷することのない最小限のシール間隙を形成することが可能になる。約800゜C以上の高い作動温度のため、アブレイダブル被膜はセラミック材料で製造されねばならず、セラミック材料は熱スプレー法、すなわち火炎スプレーまたは大気プラズマスプレーによって塗布される。焼失させることのできる相(重合材粉末)をセラミック・スプレー粉末に混合することで、アブレイダブル被膜の気孔性が得られ、この気孔性のために、回転するローターのブレード先端によってアブレイダブル被膜の表面から微細片の削り取りが可能になる。
【0003】
表面形状を付形されていない表面を有するセラミック・アブレイダブル被膜の場合、ブレード先端が摩接時に損傷されないようにするために、例えばレーザーによる再溶融を行うと同時に硬質粒子を付与して、ブレード先端は一般に補強される。削り取られた摩耗粒子は実質的に抵抗を生じることなくシール間隙から排出できねばならない。表面形状を付形された表面を有するアブレイダブル被膜は特許文献1によって周知である。これによれば、摩耗粒子は問題を生じることなくシール間隙から排出されること、およびブレード先端の補強は不要であることが期待されている。しかしながら試験によれば、摩接時に補強していないブレード先端には、ブレード先端に波形縁を生じるようにして材料の摩耗が生じた。ブレード先端におけるこの種の材料の摩耗は、許容することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願第0935009号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、補強していないブレード先端にとって好適とされるアブレイダブル被膜を形成することである。この目的は、請求項1に記載された特徴を付与されたアブレイダブル被膜によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
表面形状を付形された表面は、流体機械でアブレイダブル被膜として使用される。それらの機械では、ブレード先端は表面形状を付形されたアブレイダブル被膜の上を所定の方向へ移動する。そのように移動することで部分的な表面、すなわち摩耗表面が形成され、これは材料が除去されて形成される。表面形状は空所状の陥凹部を囲むリブによって形成される。リブ方向はいずれの場合もリブと関係づけることができる。摩耗表面はカートリッジ状の構成要素で構成されたパターンを形成し、それらの構成要素は基準格子における屈曲位置の間を結ぶ線上をリブ方向に沿って位置する。大部分の摩耗表面の各位置において、すなわち摩耗表面の少なくとも80%〜95%において、リブ方向はブレード先端の移動方向とは異なる。摩耗表面の少なくとも2/3に関しては、移動方向はリブ方向から30゜よりも大きい角度、好ましくは45゜よりも大きい角度でずれている。摩耗表面のストリップ状の構成要素は湾曲、ならびに分離および(または)部分的に連結されたストリップとされることができる。
【0007】
ブレード先端の移動方向が考慮されて設計される本発明によるアブレイダブル被膜の表面形状によれば、補強していないブレード先端における材料の除去は少なくなり、さらに材料の除去は先端縁の全体に沿って一様に分布される。さらにブレード先端における材料の除去を減少するために、ブレード先端に対する補強を行うこともできる。
【0008】
従属する請求項2〜請求項7は本発明によるアブレイダブル被膜の有利な実施例に関する。請求項8〜請求項10の主題は、この形式のアブレイダブル被膜を備えた流体機械である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】摩耗表面上をブレード先端が移動するアブレイダブル被膜の断面図。
【図2】アブレイダブル被膜の斜視図。
【図3】本発明によるアブレイダブル被膜の摩耗表面の第1のパターンを示す概略図。
【図4】第1のパターンの変更形を示す概略図。
【図5】第1のパターンの他の変更形を示す概略図。
【図6】本発明による他の摩耗表面のパターンを示す概略図。
【図7】本発明によるさらに他の摩耗表面のパターンを示す概略図。
【図8】本発明によるさらに他の摩耗表面のパターンを示す概略図。
【図9】本発明によるさらに他の摩耗表面のパターンを示す概略図。
【図10】本発明によるさらに他の摩耗表面のパターンを示す概略図。
【図11】等辺五角形および菱形を含む「ペンローズ」構造を有する基準格子を示す説明図。
【図12】摩耗表面の対応するパターンを示す概略図。
【図13】シュラウド付きブレードを備えたブレード先端を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、以下に図面を参照して説明される。
【実施例】
【0011】
図1に横断面として示されるアブレイダブル被膜1は表面形状を付形された表面を有し、その表面上でブレード先端2が平面20内を所定の方向vへ移動する。リブ15はその表面の表面形状を形成している。それらのリブは空所状の陥凹部11を囲んでいる。アブレイダブル被膜1の本来の表面10''は一点鎖線で示される。平面10’の摩耗された表面(摩耗表面)10はブレード先端2が材料を除去することで形成されている。平面20と摩耗表面10との間の狭い間隙はシール間隙であり、これは材料の除去によって形成される。摩耗表面10は、ストリップ状の構成要素5で構成されるように想像することのできるパターンを形成する。摩耗表面10および陥凹部11を有すアブレイダブル被膜1は図2に斜視図で示されている。続く図3〜図12は、本発明によるアブレイダブル被膜1の材料が除去されて形成される摩耗表面10の種々のパターンを示している。摩耗表面10のストリップ状の構成要素5は湾曲することができる。それらの構成要素は分離および(または)部分的に連結されたストリップとして形成されることもできる。
【0012】
アブレイダブル被膜1は熱スプレー法によって金属基材3に付与される。材料は、高温で使用されるために例えばセラミック材を含むものが使用される。また材料は、補強しない表面形状を付形されたアブレイダブル被膜における使用で既に周知である(例えば、米国特許第5434210号を参照)。基材3はウェブ35を備えた表面形状を付形された表面を有する。この表面形状はさまざまな形状として与えられる。すなわち、鋳造本体の鋳造表面形状として、皿穴状の腐食または機械的切削加工による本来は平坦な金属本体に形成される表面形状として、はんだ付けまたはレーザー溶接または拡散溶接によって金属本体に付与された編んだ状態または単独の金属ワイヤーによる表面形状として、またはレーザー照射溶接によるマイクロ鋳造法で付与されたリブ形態による表面形状として与えられる。
【0013】
ウェブ35に熱スプレー法でリブ15を構成できるようにするために、ストリップ状の構成要素5の幅は約1mmよりも大きくされねばならない。アブレイダブル被膜1からの材料の除去で損傷が全く生じないようにするために、これらの幅はブレード先端の横断面の幅(移動方向vにおける幅)と同じ程度の大きさとされねばならない。すなわち、それらはこの横断面での幅のアブレイダブル被膜1〜3倍を超えては成らない。
【0014】
ウェブ35は基材3のランプ30へ向かって狭まる横断面を有する。それらまた上述したEP−A0935009で知られているように、ランプ30に間隙を形成する。この形状の結果として、アブレイダブル被膜1を形成する材料はウェブ35の間の陥凹部31内で留められる。
【0015】
リブの方向はいずれの場合にもリブ15と関係付けることができる。本発明によれば、リブ方向は摩耗表面10の各位置にてブレード先端2の移動方向vとは大きく相違されねばならない。これにおいて「大きく」という用語は、ブレードの移動方向およびリブの同様な配向が摩耗表面10のせいぜい5〜15%、または20%において存在することを意味する。その配向が同じとされる度合いは経験的に決定されねばならない。摩耗表面10の少なくとも2/3において本発明により移動方向vはリブ方向から30゜よりも大きな角度、好ましくは45゜よりも大きな角度で相違されねばならない。これらの条件が満たされるならば、補強していないブレード先端2を使用することができる。
【0016】
図3には、本発明によるアブレイダブル被膜1の摩耗表面10の第1のパターンが示されている。このパターンはストリップ状の構成要素(5)で構成されている。これらの構成要素5は、基準格子40の屈曲位置41,42の間を結ぶ線45上のリブ15の方向に位置される。これらの軸線x1,x2,yは基準格子40の各屈曲位置41または42に関連づけることができる。角度α12,α2,α1はこれらの軸線の間にそれぞれ与えられる。a1,a2,bで示されるリブ15がそれぞれ軸線x1,x2,y上に位置する。リブa1,a2はリブbに比較して2倍以上長い。いずれの例においても角度α2,α1,α12は100゜よりも大きく150゜未満(合計で360゜)である。図示されたパターンは全体的にハニカム構造をしている。すなわち、いずれの例においても基準格子40の6つの屈曲位置、すなわち3つの屈曲位置41および3つの屈曲位置42、の間を結ぶ線45は、空所状の陥凹部11のリブ15と関係づけることができる。
【0017】
各軸線yは、1つのy方向と少なくともほぼ平行である。ブレード先端2の移動方向vは小さい角度、すなわち最大30゜でy方向からずれている。リブbはリブa1,a2と比べて十分に小さい、すなわち1/3であることが好ましい。リブbと関係づけられる屈曲位置41,42は互いに接近して、リブbが実際的に無視できる、すなわち存在しないようにすることができる。
【0018】
図4および図5は第1のパターン(図3)の変更形を示している。図4では、パターンは魚の鱗を有する被覆のようである。リブ15は湾曲されている。図5では、パターンは独立した構成要素5で構成されている。リブa1,a2が与えられ、リブbの代わりに間隙が形成されている。
【0019】
図6も摩耗表面10のハニカム状のパターンを示している。構成要素5’は個々の陥凹部11内に島のように点在配置されている。図7では、ストリップ状の構成要素5が連結されてジグザク線上に配置されている。リブ方向と移動方向vとのなす角度は45゜、またはそれより多少大きい角度であることが好ましい。空所状の陥凹部11の境界はここでは独特であるが与えられていない。それらは、例えば一点鎖線で描かれた四角形11’として考えることができる。図8は、図5の場合と同様に独立した構成要素5によるパターンを再び示している。このパターンは図7のジグザグ・パターンと或る種の関係を有しており、このパターンでは、ジグザグ・パターンにおける1つ置きの構成要素5が取り去られて、残る構成要素5が両端をそれぞれ延長されている。図9は、四角形で互いに偏倚するように配置された陥凹部11を有するパターンを示している。図10には菱形パターンが示されており、1つのリブの方向は移動方向vに直角で、他のリブの方向は移動方向vと約45゜の角度を成している。
【0020】
図3〜図10の代表的実施例において、摩耗表面10はいずれの場合も基準格子40は基本セル(六角形または四角形)が周期的に配列されて構成できる表面形状を有している。非周期的な表面形状も可能であり、その基準格子40は、例えば図11による「ペンローズ(Penrose)構造」を有する。図12は五角形または菱形の陥凹部11’,11''を有する摩耗表面10の対応するパターンを示している。この基準格子40は等辺五角形(隣接側縁間の角度:108)および菱形(角度:36゜,144゜)で構成されている。周期的な格子には2〜3の主方向が存在するのに対し、「ペンローズ構造」では5つの主方向が存在する。ブレード先端2の移動方向vはそれらの主方向の1つから約18゜ほど有利にずれている。
【0021】
少なくとも大体「ペンローズ構造」を有する基準格子40に関して、以下の説明が適用される(図11、図12を参照)。すなわち、3つの軸線x1,x2,yは基準格子40の各屈曲位置43または44に関連づけることができる。角度α12,α2,α1はこれらの軸線の間にそれぞれ与えられる。リブa1,a2は軸線x1,x2上に位置する。リブa1,a2は主にリブbと長さが等しい。いずれの例においても、角度α2,α1,α12は100゜よりも大きく150゜未満(合計で360゜)である。屈曲位置の1つ、すなわち屈曲位置43に関して、一方のリブbは軸線y上に位置する。他方の屈曲位置44に関しては、いずれの場合も軸線yに関して2つのリブb1,b2を有する分岐が与えられる。リブb、およびリブb1,b2はそれぞれリブa1またはa2の長さと等しい長さである。リブb1およびリブb2の間の角度β12は30゜よりも大きく45゜未満である。ブレード先端2の移動方向vは分岐の一方の軸線yに実質的に平行である。
【0022】
上述したアブレイダブル被膜は、ハウジング壁に付与される代わりに、すなわち特にローター・ブレードであるブレードが静止状態に配置される場合には、可動機械部品に対しても適用できる。またシール間隙は、静止しているブレード先端と可動機械部品との間に形成され、その機械部品は特に回転シャフトとされる。アブレイダブル被膜は静止ブレードの先端位置でシュラウド付きブレードにも付与されることができる。それ故に、請求項1で記載するブレード先端の移動は相対移動として理解されるべきである。
【0023】
本発明によるアブレイダブル被膜1を備えた流体機械は、いずれの場合もシュラウド付きブレード21として先端2が形成されたブレードも含む(図13を参照)。シュラウド付きブレード21は、ブレード先端2の移動方向vに沿って延在する1以上の薄板22,22’を有する。複数存在する場合には薄板22,22’はラビリンス・シールを形成する。
【符号の説明】
【0024】
a1,a2,b リブ
x1,x2,y 軸線
v 移動方向
α1,α2,α12 角度
1 アブレイダブル被膜
2 ブレード先端
3 基材
5 構成要素
10 摩耗表面
11 陥凹部
15 リブ
20 平面
21 シュラウド付きブレード
22,22’ 薄板
30 ランプ
31 陥凹部
35 ウェブ
40 基準格子
41,42,43 ,44 屈曲位置
45 屈曲位置の間を結ぶ線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレード先端(2)がアブレイダブル被膜上を所定の方向(v)へ移動し、材料に摩接することで形成される部分表面すなわち摩耗表面(10)が生じるようにされる流体機械でアブレイダブル被膜(1)として使用される表面形状を付形された表面であり、アブレイダブル被膜の表面形状はリブ(15)によって形成されており、いずれの例においてもリブにリブ方向を関係づけることが可能であり、また摩耗表面はストリップ状の構成要素(5)で構成されたパターンを形成し、その構成要素は基準格子(40)における屈曲位置(41,42;43,44)の間を結ぶ線(45)上をリブ方向に沿って位置しているような前記表面形状を付形された表面であって、
摩耗表面(10)の各位置における大部分、すなわち摩耗表面の少なくとも80%、好ましくは90%を超える部分で、リブ方向がブレード先端(2)の移動方向(v)と相違していること、摩耗表面の少なくとも2/3に関して移動方向がリブ方向から30゜よりも大きな角度、好ましくは45゜よりも大きな角度で相違していること、および摩耗表面のストリップ状の構成要素(5)が、湾曲、ならびに分離および(または)連結または部分的に連結されたストリップとして形成されることができることを特徴とする表面形状を付形された表面。
【請求項2】
3つの軸線x1,x2,yが基準格子(40)の各屈曲位置(41,42)に関連づけられ、また角度α12,α2,α1がこれらの軸線の間にそれぞれ与えられていること、リブa1,a2,bがそれぞれ軸線x1,x2,yの上に位置しており、リブa1,a2がリブbに比較して2倍以上長く、いずれの例においても角度α2,α1,α12が100゜よりも大きく150゜未満であること、全ての軸線yが少なくとも互いにほぼ平行であり、すなわち1つのy方向へ配向されていること、およびブレード先端(2)の移動方向(v)がy方向から小さな角度、すなわち最大30゜でずれていることを特徴とする請求項1に記載された表面形状を付形された表面。
【請求項3】
いずれの例においても基準格子(40)の6つの屈曲位置(41,42)の間を結ぶ線(45)が空所状の陥凹部(11)のリブ(15)と関係づけることができることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された表面形状を付形された表面。
【請求項4】
リブbの代わりに間隙が与えられること、またはリブa1,a2がリブbに比較して3倍以上長いこと、またはリブbの長さが実際に無視できるほどであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載された表面形状を付形された表面。
【請求項5】
3つの軸線x1,x2,yが基準格子(40)の各屈曲位置(43,44)に関連づけられ、また角度α12,α2,α1がこれらの軸線の間にそれぞれ与えられていること、リブa1,a2がそれぞれ軸線x1,x2の上に位置しており、リブa1,a2はほぼ長さが等しく、いずれの例においても角度α1,α2,α12は100゜よりも大きく150゜未満であること、一方の屈曲位置(43)に関しては1つのリブbが軸線y上にあり、いずれの例においても他の屈曲位置(44)に関しては、軸線yに関して2つのリブb1,b2を有する分岐が与えられ、bおよびそれぞれb1,b2はα1またはα2の長さにほぼ等しい長さで、b1およびb2の間の角度β12は30゜よりも大きく45゜未満であり、ブレード先端の移動方向は分岐の一方の軸線yに実質的に平行であることを特徴とする請求項1に記載された表面形状を付形された表面。
【請求項6】
ストリップ状構成要素(5)の幅は約1mmより広く、ブレード先端の横断面の幅と同程度の大きさ、特にこの幅の1〜3倍未満であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載された表面形状を付形された表面。
【請求項7】
周知の表面形状を付形されていないアブレイダブル被膜に好適で、特にセラミックス材を含む材料を金属基体(3)に熱スプレーすることで製造され、表面形状を付形された表面を有する基体はウェブ(35)を有しており、表面形状はさまざまな形態、例えば鋳造本体の鋳造表面形状や、はんだ付けまたはレーザー溶接または拡散溶接によって金属本体に付与された編んだ状態または単独の金属ワイヤーによる表面形状、またはレーザー照射溶接によりマイクロ鋳造法で付与されたリブ形態による表面形状、として与えることが可能であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載された表面形状を付形された表面。
【請求項8】
ブレード先端(2)がローター・ブレードの一部であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載されたアブレイダブル被膜(1)として使用される表面形状を付形された表面を含む、特にガス・タービンである流体機械。
【請求項9】
ブレード先端(2)が1以上の襞を有するシュラウド付きブレードで形成され、襞はブレード先端の移動する方向(v)に延在し、特にラビリンス・シールのシール・リップとして形成されていることを特徴とする請求項8に記載された流体機械。
【請求項10】
ブレード先端(2)が静止ガイド・ブレードの一部であり、シール間隙がブレード先端と移動機械部品との間に形成され、アブレイダブル被膜は静止ブレードの先端位置でシュラウド付きブレードに取付けられるか、またはローター・シャフトの表面に取付けられることができ、また請求項1に記載されたブレード先端の移動は相対移動として理解されることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載されたアブレイダブル被膜(1)として使用される表面形状を付形された表面を有する、特にガス・タービンである流体機械。
【請求項1】
ブレード先端(2)がアブレイダブル被膜上を所定の方向(v)へ移動し、材料に摩接することで形成される部分表面すなわち摩耗表面(10)が生じるようにされる流体機械でアブレイダブル被膜(1)として使用される表面形状を付形された表面であり、アブレイダブル被膜の表面形状はリブ(15)によって形成されており、いずれの例においてもリブにリブ方向を関係づけることが可能であり、また摩耗表面はストリップ状の構成要素(5)で構成されたパターンを形成し、その構成要素は基準格子(40)における屈曲位置(41,42;43,44)の間を結ぶ線(45)上をリブ方向に沿って位置しているような前記表面形状を付形された表面であって、
摩耗表面(10)の各位置における大部分、すなわち摩耗表面の少なくとも80%、好ましくは90%を超える部分で、リブ方向がブレード先端(2)の移動方向(v)と相違していること、摩耗表面の少なくとも2/3に関して移動方向がリブ方向から30゜よりも大きな角度、好ましくは45゜よりも大きな角度で相違していること、および摩耗表面のストリップ状の構成要素(5)が、湾曲、ならびに分離および(または)連結または部分的に連結されたストリップとして形成されることができることを特徴とする表面形状を付形された表面。
【請求項2】
3つの軸線x1,x2,yが基準格子(40)の各屈曲位置(41,42)に関連づけられ、また角度α12,α2,α1がこれらの軸線の間にそれぞれ与えられていること、リブa1,a2,bがそれぞれ軸線x1,x2,yの上に位置しており、リブa1,a2がリブbに比較して2倍以上長く、いずれの例においても角度α2,α1,α12が100゜よりも大きく150゜未満であること、全ての軸線yが少なくとも互いにほぼ平行であり、すなわち1つのy方向へ配向されていること、およびブレード先端(2)の移動方向(v)がy方向から小さな角度、すなわち最大30゜でずれていることを特徴とする請求項1に記載された表面形状を付形された表面。
【請求項3】
いずれの例においても基準格子(40)の6つの屈曲位置(41,42)の間を結ぶ線(45)が空所状の陥凹部(11)のリブ(15)と関係づけることができることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された表面形状を付形された表面。
【請求項4】
リブbの代わりに間隙が与えられること、またはリブa1,a2がリブbに比較して3倍以上長いこと、またはリブbの長さが実際に無視できるほどであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載された表面形状を付形された表面。
【請求項5】
3つの軸線x1,x2,yが基準格子(40)の各屈曲位置(43,44)に関連づけられ、また角度α12,α2,α1がこれらの軸線の間にそれぞれ与えられていること、リブa1,a2がそれぞれ軸線x1,x2の上に位置しており、リブa1,a2はほぼ長さが等しく、いずれの例においても角度α1,α2,α12は100゜よりも大きく150゜未満であること、一方の屈曲位置(43)に関しては1つのリブbが軸線y上にあり、いずれの例においても他の屈曲位置(44)に関しては、軸線yに関して2つのリブb1,b2を有する分岐が与えられ、bおよびそれぞれb1,b2はα1またはα2の長さにほぼ等しい長さで、b1およびb2の間の角度β12は30゜よりも大きく45゜未満であり、ブレード先端の移動方向は分岐の一方の軸線yに実質的に平行であることを特徴とする請求項1に記載された表面形状を付形された表面。
【請求項6】
ストリップ状構成要素(5)の幅は約1mmより広く、ブレード先端の横断面の幅と同程度の大きさ、特にこの幅の1〜3倍未満であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載された表面形状を付形された表面。
【請求項7】
周知の表面形状を付形されていないアブレイダブル被膜に好適で、特にセラミックス材を含む材料を金属基体(3)に熱スプレーすることで製造され、表面形状を付形された表面を有する基体はウェブ(35)を有しており、表面形状はさまざまな形態、例えば鋳造本体の鋳造表面形状や、はんだ付けまたはレーザー溶接または拡散溶接によって金属本体に付与された編んだ状態または単独の金属ワイヤーによる表面形状、またはレーザー照射溶接によりマイクロ鋳造法で付与されたリブ形態による表面形状、として与えることが可能であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載された表面形状を付形された表面。
【請求項8】
ブレード先端(2)がローター・ブレードの一部であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載されたアブレイダブル被膜(1)として使用される表面形状を付形された表面を含む、特にガス・タービンである流体機械。
【請求項9】
ブレード先端(2)が1以上の襞を有するシュラウド付きブレードで形成され、襞はブレード先端の移動する方向(v)に延在し、特にラビリンス・シールのシール・リップとして形成されていることを特徴とする請求項8に記載された流体機械。
【請求項10】
ブレード先端(2)が静止ガイド・ブレードの一部であり、シール間隙がブレード先端と移動機械部品との間に形成され、アブレイダブル被膜は静止ブレードの先端位置でシュラウド付きブレードに取付けられるか、またはローター・シャフトの表面に取付けられることができ、また請求項1に記載されたブレード先端の移動は相対移動として理解されることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載されたアブレイダブル被膜(1)として使用される表面形状を付形された表面を有する、特にガス・タービンである流体機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−185272(P2011−185272A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82846(P2011−82846)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【分割の表示】特願2000−383301(P2000−383301)の分割
【原出願日】平成12年12月18日(2000.12.18)
【出願人】(500063790)ズルツァー・メットコ・アクチェンゲゼルシャフト (30)
【氏名又は名称原語表記】Sulzer Metco AG
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【分割の表示】特願2000−383301(P2000−383301)の分割
【原出願日】平成12年12月18日(2000.12.18)
【出願人】(500063790)ズルツァー・メットコ・アクチェンゲゼルシャフト (30)
【氏名又は名称原語表記】Sulzer Metco AG
【Fターム(参考)】
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