説明

流体減圧装置

【課題】流体力学的騒音の発生を抑制でき、安い費用で効率的に製造できる流体減圧装置を提供。
【解決手段】騒音発生の少ない流体減圧装置として、入口スロット36、出口スロット38、及びこれらを連結するプレナム40で流体の流路を形成するディスク30a〜30dが積層される。この非対称スロット配列を有するディスク30を、向きを変えて積層することにより、積層体内で上下方向流れのない所定の流路が形成される。高圧回収用入口段階と低圧回収用出口段階とを直列状態で連通することにより、騒音発生の少ない高効率の流体減圧ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体エネルギーを放散する装置、特に流体を減圧する装置に関し、気体の流れについてはエネルギーの騒音への変換を少なくし、液体の流れについてはキャビテーション(空洞現象)の発生を抑えて騒音を少なくした流体減圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関係するいくつかの要因について項目別に考察する。特に、本発明の圧力低減装置に関して、(A)空気力学的騒音、(B)製作、及び(C)流体力学的騒音に分けて以下に述べる。
【0003】
(A)空気力学的騒音
石油やガスの配管ライン、化学反応設備等の産業プロセス等において、流体を制御する場合に、しばしば流体の減圧が必要となる。流量制御弁や流量調節器等の流量調節が可能な流量抑制装置、及びディフーザ、サイレンサその他の背圧装置がこの用途に使用されている。ある用途における流量制御弁、及び/又は流量抑制装置の目的は、流量その他のプロセス変数の調節であるが、流量抑制に付随して流体の圧力が低下する。
【0004】
加圧された流体には機械的エネルギーが内蔵されている。圧力の低下はこのエネルギーが関係する。このエネルギーは、流体全体の運動と局部的乱流とを含む流体の運動エネルギーとして現れる。乱流は流体の無秩序な運動である。しかし無秩序な運動にも瞬間的に見ると秩序がある。乱流(渦)が形成されても、すぐに小さな渦に分割されて消滅する。最終的に液体の粘性により、小さな渦が消滅して流体の運動エネルギーが熱に変換される。乱流によって生じる圧力と流速の変動が配管システムの構造部材に振動を発生させる。振動は、圧力保持部材(部材に強度があっても)の疲労破壊や摩耗、性能低下、又は取付機器に損傷をもたらす望ましくない現象である。振動による物理的損傷がなくても、振動が空気中に伝播すると耳に不快な騒音となる。
【0005】
騒音防止に関する3つの基本的方法:
1)発生個所での振動の抑制。放散されるエネルギー量は用途によって異なるが、騒音の低減レベルは、流体エネルギーの音響エネルギーへの変換率の低減に基づく。
【0006】
2)騒音エネルギーの吸収。産業設備での代表例として、ガラス繊維充填サイレサーがある。
【0007】
3)騒音伝播の遮断。この例として厚肉のパイプがある。振動に変換される全エネルギーの一部は、流路の性質と流体の乱れ関係し、さらに流体に接する構造部材のエネルギー吸収特性に関係する。機械的エネルギーの騒音エネルギーへの変換量は、音響変換効率として知られている。流体の減圧に伴って生じる騒音や振動の低減について、いくつかの方法が知られている。
【0008】
流体が気体である場合、次の4つの方法が使われる。
【0009】
1)乱流が発生しやすいプロセスでは、一度に減圧せず、複数の小段階に分けて減圧すること。圧力低減段階として、通常、流路の収縮や拡大、又は流れの方向変換が使われる。いずれの場合も、流体の低速領域内で高速流体の噴流が形成される。このとき生ずる流体の乱流混合によって騒音を発生する。この減圧段階の前後での圧力変化が大きい場合は、噴流が流れを遮断したり、噴流の流速が音速に達して流体の内部で「衝撃」が発生する。この衝撃によって、流れの熱力学的状態が急激に変化する。例えば、圧力が著しく低下する。流入する乱流に衝撃が加わると広い周波数域の騒音が発生する。
【0010】
2)高速噴流と乱流の固体面への接触を防止すること。いわゆるレイノルズ・ストレスと呼ばれる自由な流れにおける乱れが騒音の原因となる。しかし、固体面に乱流が接触すると共振の原因となる。流体の平均流速が小さい場合にも共振は有力な騒音源となり得る。
【0011】
3)まず、流れを小さな流れに分割すること。この手法は多くの好ましい結果をもたらす。流路の寸法が小さくなると発生する渦の寸法も小さくなるため、渦の周波数が高くなる。そしてエネルギーが振動に変わることなく渦の消滅過程に移行する。第2に、小さな渦に含まれるエネルギーの大部分は、配管システムで吸収しにくい(騒音となって発散されやすい)高い周波数域のエネルギーである。従って実際の配管システムにおいて、流れを小さな流れに分割することは、発生する騒音の伝播を抑えるのに有効である。第3に、周波数の高い騒音は人間の耳に聞こえにくいため、これによっても見かけ上の騒音防止効果が得られる。第4に、小さな噴流の固体表面への衝突による共振を防止することは比較的容易である。最後に、各噴流が分割された流れの中で独立している限り、他の流れで発生する騒音と関係がないため、段階的減圧と同様に、全体としての騒音を低く抑えることができる。しかし、流体中の異物による流路閉塞があるため、流れの微少化には限度がある。
【0012】
4)以上の対策の組み合わせ。圧縮性流体を段階的に減圧する場合の1つの問題は、減圧によって、次の段階に流れる流体の体積が増加することである。減圧段階での圧力比(入口圧/出口圧)が高い場合、その下流で、流体の体積増加に伴う流路断面積の増加が必要となる。従来の流れ抑制装置の多くは広がる流路を使用している。圧縮性流体に対するこれらの流れ抑制装置は、流体が半径方向外側に流れる環状のかご型壁が使用している。これは、流路が自然に拡大して広い流路断面積が得られる点で好ましい。
流体の減圧に伴って生ずる騒音と振動を抑制するための技術的課題は、流れの状態が効率よく制御でき、しかも安価に製造できる流路形状を得ることである。
【0013】
(B)製造上の問題
騒音抑制部材の内部に適切な流路を設けるは、通常、費用がかかる。特殊な材料で流路を構成することも費用と入手の点で問題がある。環状の鋳造物又は棒状物を、広く使われているスリーブ、リング等の円筒状流路内の流れ抑制部材として使用することができる。しかし、材料の直径、長さ、厚み等の多くの要素の組み合わせて製作しなければならない。普通の板材から切り出したいろいろな内径/外径の環状ディスクをある高さに積層した弁かごが使用されている。シート状の鍛造物は、空隙ができにくい点で、環状鋳造物に比べて有利である。
【0014】
積層用ディスクは、これまで、化学エッチング、ミル加工、放電加工(EDM)、鋳造、切り出し、パンチング、ドリル加工等によって製造されている。化学エッチングは、広く使われる加工技術であるが、弁かごの部品の加工用としては、寸法的に見て非常に高価となる。さらに、この加工方法では酸性廃液と溶解金属とが有害廃棄物となる。ミル加工は高価で、カッターの寸法によって被加工物の最小寸法が制約を受ける。ワイヤ放電加工は貫通加工に限られ、加工に時間がかかる。プランジ(突き当て)放電加工は凹部の加工に使われ、型の作成には適切であるが、ディスクの量産には適していない。鋳造は安価であるが、製品の種類ごとに型が必要となる。又、鋳造品は積層前に仕上げ加工が必要である。パンチングは打ち抜きに限られ、打ち抜き物の形状に応じた専用のダイを必要とし、打ち抜き後の製品が平面であるとは限らない。ダイの摩耗によって流路形状が変化し、流れ制御特性に悪影響を及ぼす。さらに、特に厚みが大きく寸法が小さいディスクの製造には不向きである。ドリル加工は、非対称流路やテーパ孔の加工に向かない。またドリル加工によって、環状かごの内部で隅部の丸み加工はできない。
【0015】
切削方法として、プラズマ加工、レーザ加工、高圧水ジェット等がある。これらは貫通加工に限られる。しかし、従来の貫通加工によって流量抑制部材を安価に製造することはできない。例えば、セルフ(Self)に付与された米国特許第3,513,864号に記載の骨格ディスク(skeletal disk)では、加工個所が変わるごとにフレーム/ビーム・ジェットの頻繁な噴射・停止が必要である。この頻繁な噴射・停止と被加工物の移動が必要なことから加工長さ当たりの加工時間と加工費用が増大する。従って、効率よく安価な加工ができるディスクの形状が要求される。
【0016】
さらに、コンピュータ数値制御(CNC)工作機械、キャド(CAD)システム、及び自動化されたインターフェースの普及により、型による製造(鋳造)に比べてコスト的に有利なソフトウェアに基づくCNC加工に移行しつつある。このソフトウェアを用いると、騒音防止が要求され、しぼしば特別な形状が必要となる特殊用途に有利である。
【0017】
ディスクの積層体は、通常、ロー付け、ボルト止めによって組み立てられる。ディスクを互いに溶接して組み立てることもできる。
【0018】
流量抑制部材の費用以外に、所定流量に対して必要な流量抑制部材の寸法が弁の寸法に関係し、これが弁全体の費用に影響を及ぼす。
【0019】
従来の屈曲流路は、圧力を均一に低下させるのに効率の悪い流路である。所定の流路断面を通過する流量は、例えば、2段階減圧装置に比べて少ない。従って従来の屈曲流路に基づく流量抑制部材は、流路断面積と流路当たり段階数が大きいため、寸法が大きくなる。流量抑制部材の寸法が大きいことは、これを収容する大型で重く高価な弁を必要とし、弁を操作するアクチュエータも大型となる。
【0020】
(C)流体動力学的騒音
液体の減圧に伴う動力学的騒音は発生機構が異なる。本発明による製作技術は、液体の流路についても有利である。実際の用途において、液体の減圧に伴って生じる騒音と振動の主な原因はキャビテーションである。キャビテーションは、液体が、流路内の圧力が蒸気圧以下となった領域を通過するときに発生する。気泡を発生した液体が、圧力が蒸気圧以上となった領域まで流れると気泡が消滅する。気泡の消滅に伴って騒音と振動が発生し、材料に損傷を与える。
【0021】
この問題の解決手段の一つは、流路内の圧力を蒸気圧以上に保つことである。
気体の流れでは、しばしば複数の減圧段階が使用される。減圧の必要段数は、全体の圧力降下量、即ち圧力回収量に対する各段階での最低圧力降下量に関係する。圧力回収量は小さい方が望ましい。積層形式の流量抑制部材では、流れを直角方向に変換する形式の減圧段階がしばしば使われ、流れの変換個所で圧力回収が行われる。従って減圧段階としてより多くの流れ変換個所が必要となるが、減圧段階の数を増すに従い流量抑制物の複雑さが増し、弁全体の寸法と費用が増加する。
【0022】
実際上、第1段目の段階(静圧が最大となる段階)での減圧量を大きくし、後続の各段での減圧量を次第に小さくするのが有利である。流れの方向変換による各減圧段階を有する流路は、断面拡大流路とも呼ばれる。
【0023】
圧縮性流れでは、流路寸法が小さい方が有利である。少量のキャビテーションが生じる条件がしばしば許容される。多数の独立した小さな2相噴流(気体と液体とが混合した局部的な高速流)は、大きな2相噴流に比べて振動発生効率が小さくなる。
【0024】
液体の流速制御は、原理的に、液体の振動及び騒音の間接的制御手段となる。
【0025】
流速制御の目的は、液体の全体流動において局部的に静圧が低下するベルヌーイ作用を低減することである。この比較的高い静圧は、キャビテーション発生の原因となる圧力範囲が狭まる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
騒音エネルギーへの変換、即ち流体力学的騒音の発生を抑制でき、しかも安い費用で効率的に製造できる流体減圧装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記課題を解決するため、本発明は、原理的に、積層された少なくとも2枚のディスクを有し、各ディスクが、流体を入口から出口に導く流路を有する流体減圧装置である。圧縮性流体については、流路中に高圧回収用の第1段階と、低圧回収用の第2段階とが直列に設けられている。ディスク積層体内での第1段階と第2段階との直列配置により、騒音発生を抑制した所定の流体減圧ができる。液体の減圧については、全ての段階を低回収率型とするのが望ましい。
【0028】
本発明の流体減圧装置の別の実施形態では、同心の中心空洞部と外周とを有する複数のディスクが積層されている。各ディスクは、(a)ディスク中心からディスク外周に向かって部分的に延びた入口段階スロット、(b)ディスク外周からディスク中心に向かった部分的に延びた出口段階スロット、及び(c)ディスク内部で延びた少なくとも1つのプレナム・スロットを有している。ディスクは積層体内で、あるディスクの入口段階スロットを通過した流体が、隣接する別のディスクのプレナム・スロットを通って、流体の一部が少なくとも元のディスクの出口段階スロットから流出するように各ディスクが向きを変えて配置されており、入口段階スロットに流入した流体の流れは、上下に2分され、積層体内でさらに隣接するディスクの複数の出口段階スロットに分配されて排出される。
【0029】
本発明の流体減圧装置の別の実施形態では、プレナムとスロットが交互に配列された、同様の積層用ディスクが使用される。各入口及び出口スロット群の間にプレナムが設けられている。
【0030】
本発明の流体減圧装置の別の実施形態では、対になった2枚のディスクの部分積層体を多数積層しており、前記の入口及び出口スロットが全て一方のディスクに設けられ、プレナムが他方のディスクに設けられている。この実施形態では、他の実施形態のように、弁棒の出し入れに応じて滑らかに流れ抵抗を変えることはできない。2種類のディスクを使用する装置は、前記の1種類のディスクを使用する装置に比べて不利である。
【0031】
本発明の流体減圧装置の別の実施形態では、7段の減圧段階を有しており、積層された各ディスクは、(a)ディスク中心からディスク外周に向かって部分的に延びた流体入口スロット、(b)ディスク外周からディスク中心に向かって部分的に延びた出口段階スロット及び(c)ディスク内部で延びた少なくとも1つのプレナム・スロットを有している。この実施形態では各スロットが、その段階の長手方向に、複数の(前記実施形態と比較して)収縮/拡張流路を形成している。さらに、流体がある段階から次の段階に移るとき、隣接するディスクのスロット及びプレナムを通過するよう、積層体内で各ディスクが向きを変えて積層されている。多数の減圧段階を有するこの実施形態では、積層体内でスロットの重なり部分が多くなって、好ましくない上下流が発生する。これは特に液体を減圧する場合に好ましくないが、積層体内で、ある高さごとにディスク間に薄い仕切り板を介在させることによって上下流を防止することができる。3段〜6段(又は7段以上)の減圧段階を持つ実施形態も当業者にとって容易に考えられる。
【0032】
本発明の好ましい実施形態では、外周と中心空洞部を有する複数のディスクが積層され、各ディスクが互いに補い合うスロット群を形成している。従って、各ディスクは、ディスク中心からディスク外周に向かって部分的に延びた複数の流体入口段階スロットを有する同一のディスクである。各流体入口スロットの入口角部には流れの剥離を防止する丸みが付けられ、また騒音発生を抑えて高い減圧が達成されるよう流路にテーパーが付けられている。テーパー流路の終端部には上下に隣接したディスクのプレナムに連通させるための限定された寸法の後部スロットが形成されている。これらについては後に述べる。
【0033】
各ディスクは、さらにディスク外周には、前記入口段階と周方向の同一側に出口段階が設けられ、ディスク中心に向かって部分的に延びた複数の出口段階スロットを有している。各出口段階スロットは、下流側の低回収段階として騒音の発生を抑えるため、下流に向かって狭まる流路となっている。また各出口段階スロットは上下に隣接するディスクのプレナムに連通するスロット前方部を有している。
【0034】
さらに各ディスクは、前記入口及び出口段階スロットとは、周方向の反対側に、スロット状のプレナム部を有している。
【0035】
積層体内では、上記のディスク4枚からなる部分積層体が使用される。第1ディスクの上に第2ディスクを逆向きに重ねて、第1ディスクの入口及び出口段階の上に第2ディスクのプレナム部が重なるようにする。第3ディスクは第1ディスクと同じ向きであるが裏返して第2ディスクに重ねる。これにより第3ディスクのプレナム部が第2ディスクの入口及び出口段階に重なる。最後に第4ディスクを第2ディスクと同じ向きであるが裏返して第3ディスクに重ねる。従って、第4ディスクの入口及び出口段階が第3ディスクのプレナム部に重なる。
【0036】
また、各ディスクの各入口段階スロット及び各出口段階スロットは非対称に配置されている。この非対称配置により、積層体内において一つのディスクのプレナムを挟んでその上下に隣接するディスクの入口及び出口段階スロットが上下に重ならないため、積層体内での望ましくない上下流の発生を防止することができる。
【0037】
従って、この望ましい実施形態では、積層されたディスクの中心空洞部に流入した流体は、高圧回収段階として形成された複数の入口スロットに流入する。入口スロットに流入した流体は、後部スロット部から上下に分割されて隣接ディスクのプレナム部に流入する。分割された流体は各プレナム部を放射状に流れて周方向に分散され、上下に隣接するディスクの外周に設けた低圧回収段階として形成された各出口スロットから分散されて流出する。
【0038】
この実施形態を気体の流れに適用するときは、騒音発生を抑えるために、高圧回収段階での圧力比を約2以上で運転するのが望ましい。さらに低圧回収段階での圧力比を約2以下で運転するのが望ましい。これにより騒音が少なく効率のよい気体の減圧ができる。
以上に述べた実施形態の装置は、流体がディスク積層体内を外部に向かって放射状に流れる装置である。しかし、流体の入口と出口を逆にして、流体が積層体内を内部に向かって流れるようにすることも当業者に自明であろう。
【発明の効果】
【0039】
本発明の原理に基づく流体減圧装置は、次のような構造上及び使用上の特徴と利点を有している。
【0040】
1)流れの剥離と衝撃を抑制する流路形状により、空気力学的騒音の発生を最低限に抑えることができる。
【0041】
2)液体の流れについては、流れの剥離を防止して圧力回収ができる流路形状によってキャビテーションの発生を防止することができる。
【0042】
3)通常の材料で望ましい形状の流路を形成することにより、製品の在庫を減らし納期を短縮することができる。
【0043】
4)装置内の流路形状については、数値制御されたレーザー又は高圧水噴射型工作機械などの最新加工装置により効率的に安価に製造することができる。
【0044】
5)現在使用されている従来の屈曲流路形式のものに比べて減圧用部材の寸法が小さくなるため、弁全体の費用を安くすることができる。
【0045】
6)弁開度に応じて減圧用部材の流路抵抗を滑らかに変わるため、弁の制御特性が向上する。
【0046】
7)強固に組み立てられたディスク積層体を安価に製造でき、補修又は洗浄のための分解も容易である。
【0047】
8)特別な用途の流体減圧部材を安価な加工費用で製造することができる。
【0048】
従来の減圧装置では、流体が屈曲流路を半径方向にジグザグに流れ、入口と出口の高さも同一ではない。本発明の減圧装置では、流体が3次元的に流れるが、入口と出口は同一高さにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
本願発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0050】
まず図1には、流量制御弁12内に設けられ、複数の積層ディスクを備えた弁かご10形式の、本発明の原理に基づく流体減圧装置が図示されている。流量制御弁12は、流体入口16、流体出口18及びこれらの間の流路20を有する弁箱14を備えている。
弁箱流路20内にシート・リング22が設けられ、弁操作部材24と協動して弁かご10の内部から外部に流れる流体の流量を制御する。弁かご10は、ボンネット部に接続したかご保持装置26と取付ボルト28等の公知の取付手段によって、弁内に保持されている。弁かご10は、積層された複数のディスクで構成され、各ディスクは図2に示す同一のディスク30である。ディスク30は、中心空洞部32と環状外周部34を有している。ディスク30の一方の側には、複数の流体入口段階スロット36がディスク中心32からディスク外周34に向かって部分的に延びており、複数の流体出口段階スロット38がディスク外周34からディスク中心32に向かって部分的に延びている。
【0051】
ディスク外周には、流体入口及び流体出口段階スロットとは周方向の反対側に、1個所又は複数個所にプレナム・スロット40が形成され、流体入口及び出口段階スロットの一方の端部の近傍にある一方のプレナム端部42から、流体入口及び出口スロットの他方の端部の近傍にある他方のプレナム端部44にかけてディスク全体に延びている。プレナム40には、又、中心空洞部32に沿ったディスク内側部41とディスク外周34に沿ったディスク外側部43とが設けられている。この内側部41と外側部43とを連結するブリッジ部45が、プレナム・スロット40を2つのプレナム部に分割している。
【0052】
図2に示すように、各ディスクには、2つの孔46が対向位置に設けられている。各ディスク30を貫通する各孔46には、各ディスクを積層するときに、1対の位置合わせピンが挿入される。図2から明らかなとおり、積層した各ディスク30の孔46に挿入されたピンは、弁かご10の流路の妨げとならないように設けられ、弁かご10外周の一連の溶接ビード48(図1参照)が積層体を構成する各ディスク30を強固に保持する。各入口段階スロット36には、湾曲角部50を形成して、第1入口段階を通る流れのディスク面からの剥離を防止している。又、各スロット36内のテーパー側壁部52が、流体入口段階の高圧回収段階を構成している。例えば、対向する側壁部52が約15°の内角でディスク外周方向に向かって広がっている。各スロット36の端に、小寸法であるが、積層体内で隣接する上部及び下部ディスクのプレナム40に流路を連通させる十分な大きさの後部スロット部54が形成されている。これについては後に述べる。
【0053】
各流体出口段階スロット38が、上部及び下部の隣接ディスクのプレナム40に連通する寸法のスロット前方部56を有している。流路の両側壁部58がディスク外周34に向かって狭まり、各流路出口段階スロット38が低圧回収段階を構成している。この高圧回収段階と低圧回収段階の組み合わが騒音の発生を少なくする。
【0054】
騒音防止技術(Noise Control Engineering)の1984年1月及び2月号のハンスDバウマン(Hans D.Baumann)による記事「調節弁で発生する騒音レベルに関する係数と要因(Coefficients and Factors relating to Acrodynamic Sound Level Generated by Throttling Valves)」を、特に本願の従来技術として参照されたい。この記事では、騒音エネルギーを圧力回収率の関数としてとらえている。この記事によると、騒音作用(換言すれば、騒音発生能力)は、圧力比(入口と出口の圧力比)を圧力回収率(FL値)で割った値の関数となる。整流域ではFL値が低く、急激に開放する流体出口ではFL値が1.0に近づく。入口流路が狭く出口に向かって狭まるテーパー流路によりFL値を下げることができる。FL値を下げることは、5〜10dBの騒音を発生する圧力比2:1以上の流路において有効である。しかし、圧力比が低く(2:1以下)、騒音が5〜10dB以下の場合は高いFL値が望ましい。従ってスロット寸法と形状の範囲を、弁で通常使用される圧力の範囲に合わせて決めることができる。
【0055】
本発明の好ましい実施形態によると、各入口の高圧回収段階36での圧力比を2以上として、騒音発生を少なくしている。また、各出口の低圧回収段階38での圧力比を2以下として騒音発生を少なくしている。これにより、弁かご10で騒音を抑えた高効率の減圧ができる。
【0056】
図2に示すとおり、ディスク30の一端に記号Aが付けられ、他端に記号Bが付けられている。これらの記号A、Bは、本発明に基づいて積層される各ディスク30の向きを示すのに役立つものである。また、図2からわかるように、各流体入口段階スロット36はプレナム40に対して対称には配列されいない。特に、図2の左側のプレナム端部42に隣接する入口段階スロット36は、右側のプレナム端部44に隣接する入口段階スロット36に比べて、プレナム端部42により近い位置にある。各出口段階スロット38についても、プレナム端部42、44に対して非対称に配列されている。このスロット配列は、本発明の重要な特徴点の一つであり、ディスク30を図3に示すように積層したとき、各スロットが、障害のない上下方向流路が形成されないようにしている。従って、全ての流路が、実質的に、各入口段階スロット36からプレナム40を通って各出口段階スロット38に出る流路となっている。
【0057】
図3には、4枚の同一ディスク30で形成した部分積層体の分解斜視図が示され、各ディスク30の位置関係が容易にわかるようになっている。弁かご10は、この図3に示す4枚のディスク30で形成された部分積層体を上下に積み重ねて構成されている。
【0058】
図3では、最下部のディスク30aが、図2のディスク30と同様の状態で設置され、その上面に記号Bが見えている。その上のディスク30bは、下部のディスク30aの記号Bの上にディスク30bの記号Aが来るように、ディスクが180°回転して設置されている。その上のディスク30cは、その下のディスク30bの記号Aの上に記号Bが来るように図2のディスク30が裏返して設置され、ディスク30cの記号Bは見えない。最後に、最上部のディスク30dは、その下のディスク30cの見えていない記号Bの上に記号Aが来るように図2のディスク30を裏返して設置され、ディスク30dの記号Aは見えない。このように、見えていないディスク30dの記号Aとディスク30cの記号B、及び見えているディスク30bの記号Aとディスク30aの記号Bが上下1列に並んだ状態で各ディスク30が積層されている。
【0059】
前記のとおり、流体入口段階スロット36と流体出口段階スロット38は、位置合わせピン孔46、及び、特にプレナム端部42、44に対して非対称となっている。スロット36、38の非対称配置と、図3に示すディスク30a〜30dの選択配置により、ディスク積層体内部で障害のない上下方向流路が形成されない。さらに、この構成によると、障害のない上下方向流路を有するチャンバー内で生じる共振を防止することができる。
【0060】
次に、図4、図5及び図6には、弁かご10内を3次元的に流れる流体の流路を示す。説明を簡単化するために、図3及び図4で使用した、最下部ディスク30aの上に重なったディスク30b、30c及び30dの符号を、流路を模式的に説明する図5及び図6にも使用する。まず、流体は中心空洞部32から各流体入口段階スロット36に入る。図と説明を簡単化するため、1つの流体入口段階スロット36から複数の流体出口段階スロット38まで、3次元的に流れる流体の流路について説明する。流体はディスク積層体内部を3次元的に流れるが、便宜上、流体の入口と出口を同一平面上に図示している。
【0061】
1例として、流体はディスク30bの流体入口段階スロット36aに流入する。流体はテーパー側壁52の間を通って後部スロット部54に流入し、後部スロット部54から上下に分かれて、下部ディスク30a及び上部ディスク30cのプレナム40に流入する。上下に2分された流体は、それぞれディスク30aのプレナム40aとディスク30cのプレナム40c内を放射状に流れる。
【0062】
次に流体は、各出口段階スロット38のスロット前方部56に達する。1例として、プレナム40a、40c内の各流路がスロット前方部56に達すると、上下に分かれてスロット前方部56aに流入し、その1つがディスク30bの流体出口スロット38aを通って流出する。上記では、便宜上、2つのプレナムを通った流体が1つの出口スロットから流出する1つの流路について説明した。しかし、実際には、プレナム40a、40c内で流体は放射状に流れて、さらに上下に分かれて複数の出口段階スロット38から分散されて流出する。
【0063】
例えば、図5に示すように、ディスク30bに流入した流体は上下に2分されて下部ディスク30aと上部ディスク30cに向かって流れ、各ディスクのプレナム40a、40cの内部を半径方向外側に向かって流れる。出口段階では、例えばプレナム40c内の流体は、一部が下部ディスク30bの前方スロット部56の各出口段階スロット38(図6参照)に向かって下向きに流れ、残りの一部が上部ディスク30dの前方スロット部56の各出口段階スロット38に向かって上向きに流れる。プレナム40a内を半径方向外側に向かって流れる流体も同様に、上下に分かれて上部ディスク30bと下部ディスク(図5では符号を省略)に流入する。
【0064】
図6では、ディスク30d、30b及び図5で符号を省略したディスク内で、流体が周方向に分散され、最終的に半径方向に向かう複数の出口スロット38から流出する状態を示している。例えばプレナム40c内の流体は周方向に分散され、複数の前方スロット部(56a、56b、56c等)を通ってディスク30bの複数の出口38a、38b、38c等を通って流出する。従って、本発明の装置では、弁かご10内の複数の出口スロットに流体を送り込む大容量のプレナムにより、出口段階スロットの一部が異物で閉塞しても装置全体の性能に大きな影響が生じない。これは、1つでも流路が閉塞すると全体の流れが停止する屈曲流路を使用した従来装置と比べて大きな利点となる。また、好ましい実施形態として、各ディスク30が複数の流体入口と流体出口とを有するために、なめらかな絞りと流量の直線的性質が得られ、屈曲流路を有する従来の装置のように流れの停滞域が生じない。流路と流れの非直線的性質が望まれる場合は、一部のディスクの入口及び出口の数を変えることによって達成することができる。
【0065】
図2の実施形態からわかるように、各スロットが周方向に分散して設けられているのではなく、2つのスロット群を形成している。また、内部圧力を等しくするためのプレナム・チャンバーが、1つの大きなチャンバーを形成するため、加工時に、フレーム/ビームの頻繁な噴射と停止が不要となる。又、プレナムの周長さ(加工長さ)を著しく短縮することができる。スロット群を形成することにより、積層して弁かご10を形成するディスク30が1種類ですむ。積層体内部の流路は、ディスクの向きを変えることによって形成することができる。ディスク上で2つ以上のスロット群を形成することもできる。図2に示す2つのスロット群を有するディスクは4枚で図3に示す部分積層体を形成することができる。
【0066】
3つのスロット群を有するディスクは6枚で部分積層体を形成することができる。スロットの適切な配列により、所定の減圧を達成するためのディスクの枚数を減らし、減圧用部材の寸法を小さくして形状を単純化することができる。
【0067】
図2に示したディスク30では、ディスクの周方向の一方の側に全てのスロット群36、38が設けられ、他方の側にプレナム40が設けられている。図7に示す別の形態のディスク60では、スロット群が交互に配置されている。即ち、入口スロット62、出口スロット64、及びプレナム66がディスクの全周に配置されている。プレナム66は入口スロットと出口スロットの間に配置されている。プレナムとスロット群を交互に配置した図7に示すディスク60によると、2枚のディスク60で積層体内の部分積層体を形成することができ、積層体内で、入口スロットと出口スロットが同一高さにある3次元流れを形成することができる。しかし、図7の実施形態では、障害のない上下流を防止するためのスロットの非対称配置は困難である。図7に示すスロットとプレナムを交互配置の利点は、長いプレナム・チャンバーを有する図2及び図8のディスクに比べてディスクの剛性が高まることである。従って差圧を大きく取ることができる。
【0068】
さらに、図7からわかるように、各流体出口段階64では、スロットの側面65が平行で、ディスク30の側面58のように傾斜していない。出口段階64の平行側面は、傾斜側面に比べて、騒音防止の点では効率的ではない。しかし、傾斜側面に比べて平行側面は従来の方法によって容易に加工することができる。もちろん、必要に応じて出口段階64の側面をディスク30と同様に傾斜させて騒音防止効率を向上させることができる。
【0069】
図8(A)、図8(B)にさらに別の形態のディスクを示す。図8(A)に示すディスク68は、流体入口スロット70と流体出口スロット72がディスク68の全周に設けられ、4つの集団(即ち、4群の入口スロット及び出口スロット)が形成されている。図8(B)に示すディスク74は、ディスク68と対となるディスクであって、周囲に4つのプレナム76が設けられている。ディスク68、74では、前記実施形態と同様に、入口と出口を同一高さとして積層体内部で上下方向流れを防止した3次元流れを形成する部分積層体を形成するのに4枚のディスクが必要である。
【0070】
図8(A)、図8(B)の実施形態では、1種類のディスクを使用した前記の実施形態と異なり、2種類のディスクが必要である。又、直線的性質を有する前記の実施形態と異なり、弁プラグの押込み量に応じて流れの抵抗滑らかに変えることはできない。
【0071】
減圧装置内部の圧力降下と流量を変更するため、積層されたディスクごとにスロット配列を変えることもできる。例えば、装置内のあるディスクのスロットの数を他のスロットの数に比べて少なくすることができる。これによると、1種類、又は2種類のディスクの利点が失われるが、流量特性(流れと絞り量)が変えられる点で望ましい。
【0072】
図9には、流体入口段階スロット80、流体出口段階スロット82、及びプレナム84を有し、さらにディスクに4個所の開口86を有する別の形態のディスク78を示す。開口86は、ボルト88を通して各ディスク78を結合して積層するためのものである。ボルトを使用して積層するため、図1に示す溶接ビードは不要である。本発明では、ボルト88がプレナムと内を通るため流量を減らすことにはならない。
【0073】
以上に述べた本発明の実施形態では、入口段階から流入した流体がプレナムを通って出口段階から流出する2段階構造となっている。しかし、必要に応じて、さらに多くの減圧段階を設けることができる。
【0074】
多数の減圧段階を有するディスクの1例として、図10に7段の減圧段階を有するディスク90を示し、図11には、4枚のディスク90を用いた部分積層体の斜視図を示す。図10に示すとおり、ディスク90には、流路が、1段目の入口スロット92、プレナム94、2段目のスロット96、プレナム98から最終段階の7段目の出口段階スロット100に接続している。図10に示すとおり、スロット92、96、100は、スロットの長さ当たり、収縮/拡張のある複数の流路を形成している。
【0075】
図11の斜視図では、入口スロット92から流入した流体が、4枚のディスク90で構成される部分積層体の内部を3次元的に流れて入口スロット92と同じ高さにある出口スロット100から流出する。流体は積層体内に形成された7段の減圧段階を通過するが、原理的には、先に述べた2段階減圧と同様である。即ち、流体が1つの段階から、隣接ディスクのスロット、プレナムを通って次の段階に移るようになっている。7段の減圧段階を有する実施形態は液体の流れの減圧に特に有効である。しかし、積層体内では、多数のスロット部分が重なって望ましくない流体の上下流が生じやすくなるが、積層体内にある高さごとにディスク間に薄い仕切板を介在させることにより、この問題を解決することができる。その他、3段〜6段(又は7段以上)の減圧段階を持つ形態の実施は当業者にとって容易であろう。
【0076】
以上の詳細な説明は理解を容易にするためのものであり、これに関する限定や改良は当業者にとって自明である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上では、本発明の流体減圧装置の流量制御弁への適用について述べたが、本発明の適用はこれに限らない。本発明の装置は、配管中で固定された流量抑制装置として弁の上流側、又は下流側に設けることができ、また流量制御弁とは関係なく独立した位置に設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
本発明の新規な特徴事項は各請求項に記載されている。本発明は、添付図面に基づく詳細な説明によって明らかとなろう。なお、いくつかの図において、類似の部材に同一符号を使用している。
【図1】本発明の流体減圧装置を形成するディスク積層型の弁かごを内蔵した流量制御弁の断面図である。
【図2】図1に示すディスク積層体を形成するディスクの平面図である。
【図3】図2に示すディスク4枚を向きを変えて重ね合わせて部分積層体とした本発明の実施形態の斜視図である。
【図4】図1に示すディスク積層体の部分斜視図であり、その内部を通過する流体の流れを概念的に示す。
【図5】側方から見たディスク積層体内の流れの概念図である。
【図6】上方から見たディスク積層体内の流れの概念図である。
【図7】スロットとプレナムが交互に配置された別の実施形態のディスクの平面図である。
【図8(a)】一方のディスクに全てのスロットを設け、他方のディスクにプレナムに設けた、さらに別の実施形態の各ディスクの平面図である。
【図8(b)】一方のディスクに全てのスロットを設け、他方のディスクにプレナムに設けた、さらに別の実施形態の各ディスクの平面図である。
【図9】ディスクを積層状態に保つボルトを有するさらに別の実施形態のディスクの平面図である。
【図10】複数の流体処理段階を有するさらに別の実施形態のディスクの平面図である。
【図11】図10に示すディスク4枚を、向きを変えて重ね合わせて部分積層体とした本発明の実施形態の部分斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
10 弁かご
12 流量制御弁
14 弁箱
16 流体入口
18 流体出口
30 ディスク
32 中心空洞部
34 環状外周部
36 流体入口段階スロット
38 流体出口段階スロット
40 プレナム
54 後部スロット部
56 スロット前方部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
同心の外周と中心空洞部を有し、積層された複数のディスク;
各ディスクが、(a)ディスク中心からディスク外周に向かって部分的に延びた入口段階スロット、(b)ディスク外周からディスク中心に向かって部分的に延びた出口段階スロット、及び(c)ディスク内で延びた少なくとも1つのプレナム・スロットを有し:
上記入口段階スロットに流入した流体が、隣接ディスクのプレナム・スロットに流入し、さらに少なくとも1つのディスクの出口段階スロットに流れるよう、上記各ディスクが積層内で向きを変えて配置されており、流入した流体が上下に2分されて隣接ディスクのプレナム・スロットに流入して複数の半径方向外向き流れとなって、少なくとも1つのディスクの複数の出口段階スロットから流出するようにした流体減圧装置。
【請求項2】
上記隣接ディスクのプレナム・スロットが、あるディスクの流体入口段階スロットから、さらにそれに隣接するディスクの各出口段階スロットに流体を流すことができる請求項1記載の流体減圧装置。
【請求項3】
上記各流体入口段階スロットがディスク中心空洞から外側に向かって放射状に配列され、上記各流体出口段階スロットがディスク外周から内側に向かって放射状に配列されている請求項2記載の流体減圧装置。
【請求項4】
上記各流体入口段階スロットと各流体出口段階スロットが、いずれも各ディスクの周方向の一方の側に設けられている請求項3記載の流体減圧装置。
【請求項5】
上記プレナム・スロットが、上記各流体入口段階スロットと流体出口段階スロットに対して周方向の反対側に設けられている請求項4記載の流体減圧装置。
【請求項6】
積層体内での障害のない上下方向流れを防止するため、各ディスクの上記各入口段階スロットと各出口段階スロットとが、プレナム・スロットに対して非対称に配列されている請求項5記載の流体減圧装置。
【請求項7】
上記各入口段階スロットが、流れの剥離を防止する湾曲角部を有し、さらに、高圧回収を達成するため、下流に向かって広がる流路を形成している請求項1記載の流体減圧装置。
【請求項8】
上記各流体入口スロットが、上下に隣接する各ディスクのプレナム・スロットに連通する後部スロット部を有している請求項7項記載の流体減圧装置。
【請求項9】
上記各流体出口段階スロットが、低圧回収を達成するため、下流に向かって狭まる流路を形成している請求項8記載の流体減圧装置。
【請求項10】
上記各流体出口段階スロットが、積層体内で隣接する各ディスクのプレナム・スロットに連通するスロット前方部を有している請求項9記載の流体減圧装置。
【請求項11】
積層体内での障害のない上下流れを防止するため、各ディスクの各流体入口段階スロットと各流体出口段階スロットとが、プレナム・スロットに対して非対称に配列されている請求項10記載の流体減圧装置。
【請求項12】
入口圧力をプレナム圧力の2倍以上として、上記流体入口段階スロットで高圧回収ができるようにした請求項1記載の流体減圧装置。
【請求項13】
プレナム圧力を出口圧力の2倍以上として、上記流体出口段階スロットで高圧回収ができるようにした請求項1記載の流体減圧装置。
【請求項14】
各ディスクが、各段階スロットとプレナム・スロットを通して、収縮及び拡張する複数の流路を有している請求項1記載の流体減圧装置。
【請求項15】
上記各段階が低圧回収段階で形成されている請求項14記載の流体減圧装置。
【請求項16】
ディスクの積層状態を保持するための溶接ビードがディスク外周に形成されている請求項1記載の流体減圧装置。
【請求項17】
各ディスクが間隔を隔てた貫通孔を有し、この貫通孔に通して各ディスクを積層状態で保持するための棒状の結合部材を有している請求項1記載の流体減圧装置。
【請求項18】
流体入口、流体出口、及びこれらを接続する弁箱流路;
上記弁箱流路内に設けられた弁シート;
上記弁シートと協動して弁箱流路内を流れる流体の流量を制御する弁操作部材;
上記弁シートに設置され、弁箱流路内を流れる流体の圧力を低下させる弁かご;
上記弁かごが、同心の外周と中心空洞部を有する複数のディスクを積層して構成され, 上記各ディスクが、(a)ディスク中心からディスク外周に向かって部分的に延びた流体入口段階スロット、(b)ディスク外周からディスク中心に向かって部分的に延びた流体出口段階スロット、及び(c)ディスク内で延びた少なくとも1つのプレナム・スロットを有しており;
上記ディスクが、積層体内で、流体が流体入口段階スロットから隣接する第2のディスクのプレナム・スロットに流入し、さらに少なくとも1つのディスクの出口段階スロットに流れるよう配置され、流体入口スロットを流れる流体が上下に2分割されて、複数の半径方向流れとなるプレナム・スロットに流入し、さらに少なくとも1つのディスクの複数の出口段階スロットに分配され;
上記弁かごが、騒音発生の少ない所定の流体減圧を行うようにした流量制御弁。
【請求項19】
同心の外周と中心空洞部を有する複数の積層されたディスク;
上記各ディスクが、(a)ディスク中心からディスク外周に向かって部分的に延びた流体入口段階スロットと、ディスク外周からディスク中心に向かって部分的に延びた流体出口段階スロット、及び(b)ディスク内で延びた少なくとも1つのプレナム・スロットを有し;
上記各ディスクが、積層体内で、流体が、あるディスクの入口段階スロットから、隣接するディスクのプレナム・スロットと少なくとも1つのディスクの流体出口段階スロットに流れるよう配置されており、入口段階スロットを通った流体が上下に2分割されてプレナム・スロットに流入して放射状の複数の流れとなり、少なくとも1つのディスクの複数の出口段階スロットから分散されて流出する流体減圧装置。
【請求項20】
同心の外周と中心空洞部を有する複数の積層されたディスク;
上記ディスクが、第1ディスクと第2ディスクとからなり;
上記第1ディスクが、(a)ディスク中心からディスク外周に向かって部分的に延びた流体入口段階スロット、及び(b)ディスク外周からディスク中心に向かって部分的に延びた流体出口段階スロットを有し;
上記第2ディスクが、(c)ディスク内で延びた少なくとも1つのプレナム・スロットを有し、あるディスクの流体入口段階スロットから流入した流体が、隣接ディスクのプレナム・スロットと、少なくとも1つのディスクの流体出口段階スロットから流出するように、各ディスクが積層体内で配列されており、流体入口段階スロットを通った流体が上下に2分割されてプレナム・スロットに流入して複数の放射状流れとなり、少なくとも1つのディスクの複数の出口段階スロットから分散されて流出する流体減圧装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−286404(P2008−286404A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183617(P2008−183617)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【分割の表示】特願平10−532937の分割
【原出願日】平成10年1月28日(1998.1.28)
【出願人】(591055436)フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー (183)
【Fターム(参考)】