説明

流体監視装置

【課題】給水配管等の配管途中に配置して管内の流れ方向を監視できるようにし、しかも逆流や漏水が発生した場合には速やかにそれを把握できる流体監視装置を提供する。
【解決手段】管内の流れに沿って管内を所定の範囲で変位する変位体4と、変位体4を可動範囲の所定位置に向けて付勢し、流体が停止したときに変位体4を所定位置に復帰させる付勢手段5と、変位体4が管内の流れによって変位する終端位置に対応して管壁に設けた監視窓6,7とを備えた構成である。変位体は、所定の範囲を回動することによって変位する態様であっても良いし、スライド移動することにより変位する態様であっても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道配管等の配管途中に配置して管内の流体、特にその流れ方向を監視する流体監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水道管等の給水配管で水の逆流が生じると、それによる水質汚染が問題となる。それ故、近年は配管途中に逆止弁を設けて給水配管での逆流が防止されている。しかし、逆止弁を設けた給水配管であっても、逆止弁の弁体にゴミ等が挟まった場合には管内に逆流が生じても流路を閉鎖することができず、水が管内を逆流するという事態が生じ、水質汚染に至る可能性がある。そのため、給水配管では逆流が生じた場合に即座にそれを把握して適切な対応を行うことが重要である。また給水配管からの漏水についても同様であり、漏水が生じた場合には即座に把握して適切な対応を行うことが望まれる。
【0003】
【特許文献1】特開2002−340300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般家庭などの給水配管では水道水の逆流や漏水が生じた場合でも、それを即座に把握することは難しく、迅速な対応を行えないのが実情である。特に逆流に関しては、給水配管に逆止弁を設けた場合であっても発生することがあり、しかもそれを把握することが極めて難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点を解決することを目的としてなされたものであり、給水配管等の配管途中に配置して管内の流れを監視できるようにし、しかも逆流や漏水が発生した場合には速やかにそれを把握できる流体監視装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明が解決手段として採用したところは、配管の途中に配置して管内の流体を監視する装置であって、管内の流れに沿って管内を所定の範囲で変位する変位体と、前記変位体を前記範囲の所定位置に向けて付勢し、流体が停止したときに前記変位体を前記所定位置に復帰させる付勢手段と、前記変位体が流体によって変位する終端位置に対応して管壁に設けた監視窓を備える構成とした点にある。ここで、変位体は、配管の内壁近傍に設けた軸部を中心に回動する回動板からなり、管内の流れに沿って回動することにより角度変位するものであっても良いし、配管の軸方向に沿ってスライドするスライド部材からなり、管内の流れに沿ってスライド移動するものであっても良い。
【0007】
かかる構成により、監視窓から管内を監視しておくことにより、変位体の位置を確認して管内の流れ方向を把握できるようになる。
【0008】
上記構成においては、付勢手段が変位体を復帰させる所定位置は変位体が移動可能な移動範囲の中間位置であり、監視窓はその移動範囲の両端に対応して設けておくことが好ましい。かかる構成とすれば、管内の流れがいずれの方向であるかを特定できると共に、管内に流れがない場合にもそれを把握することができる。
【0009】
また監視窓に透明板を設ける場合には、管内の流れを目視によって把握できるし、監視窓に変位体を検知するセンサを配置する場合には、管内の流れを自動検知することができる。更に監視窓にセンサを配置する場合には、センサの出力信号に基づいて管内の逆流を検知する逆流検知手段と、その逆流検知手段が逆流を検知した場合に警告を発する警告手段とをさらに備える構成とすることが好ましい。またタイマ信号を出力するタイマと、そのタイマ信号とセンサの出力信号とを入力し、センサが変位体を検知してから所定時間以上、センサの出力信号が一定状態を継続する場合に漏水と判断する漏水検知手段と、漏水検知手段が漏水を検知した場合に警告を発する警告手段とを更に備える構成としても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る流体監視装置によれば、変位体は管内に流れが生じている場合にはその流れに沿って管内の所定の範囲で変位し、管内の流れが停止した場合には付勢手段の作用によって所定位置に復帰する。そのため、監視窓から変位体を確認することができる場合には、管内に流れが生じていることを把握できると共に、その流れ方向を特定することができ、監視窓を通して逆流や漏水の発生を速やかに把握できる。それ故、逆流や漏水が生じた場合には、止水栓を閉栓するなどの適切な処置を迅速に行うことができるので、逆流が継続することによる水質汚染の拡大や漏水による被害の拡大を防止できるようになる。
【0011】
また付勢手段によって変位体が復帰する所定位置を変位体の可動範囲の中間位置とし、監視窓をその可動範囲の両端に対応して設けることにより、正流と逆流の二方向への流れを検知できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0013】
(第一実施形態)
図1は本発明に係る流体監視装置の第一実施形態を示す図であり、(a)は配管内部構造を示す図であり、(b)は(a)のA−A断面を、(c)は(a)のB−B断面を示している。流体監視装置1は配管2の内側2aの内壁近傍に設けた軸部3と、その軸部3の側面に対してほぼ垂直に設けられ、軸部3を中心に回動可能な回動板4を備えている。回転板4は管内2aの流れ方向に沿って軸部3を中心に回動し、例えば上流側から下流側に向かう正流の場合にはその先端を下流側に向けるように回動する一方、下流側から上流側に向かう逆流の場合にはその先端を上流側に向けるように回動する。言い換えると、回動板4は、先端が上流側に向く位置と、下流側に向く位置の範囲内を回転動作(角度変位)によって変位する変位体として設けられている。そして配管2には、回動板4が上流側に向いた状態の回動板4の先端に対応する位置と、下流側に向いた状態の回動板4の先端に対応する位置の少なくとも2箇所に監視窓6,7が設けられている。
【0014】
また図1(b)に示すように、回転板4の軸方向一端側にはスプリング5が設けられている。このスプリング5は一端を配管2の内壁に固定し、軸部3の周りを数回程度巻回して他端を回転板4に固定しており、回転板4が回動範囲の中間位置で管内2aの流れ方向に対してほぼ90度となる位置に向けて付勢する。そして管内2aに流れがあるときには、回動板4はその流れを受け、スプリング5の付勢力に抗して軸部3周りに回動し、上流側若しくは下流側の監視窓6,7が設けられた位置に変位する。管内2aの流れが停止したときには、回動板4にはスプリング5による付勢力のみが作用して回動範囲の中間位置に復帰して管路に対してほぼ90度を成す位置で停止する。尚、回動板4を回動範囲の中間位置に付勢する付勢手段はスプリング5以外の他の手段(例えば板バネ等)を採用しても良い。
【0015】
図1(c)は監視窓6が設けられた部分のB−B断面を示しているが、監視窓7が設けられた部分の断面も同様である。配管2の監視窓6,7には、図1(c)に示す如く、ガラス板等の透明板8が設けられており、この透明板4を通して外部から管内2aの状態を視認可能な構成である。
【0016】
流体監視装置1を給水配管等の配管途中に設置すると、配管の内部2aを流れる流体の流れ方向を把握することができる。即ち、管内2aの流れが停止しているときには、回動板4が管路に対してほぼ90度を成す位置で静止しているので、回動板4の回動範囲両端位置に設けられた監視窓6,7の透明板8を通して管内2aを覗いても、回動板4の先端部4aを視認することはできない。これに対し、管内2aに水流が生じているときには、回動板4はその流れ方向下流側に向き、監視窓6,7のいずれか一方の透明板8を通して回動板4の先端部4aを視認することができる。そして回動板4の先端部4aの位置を特定することにより、管内2aにおける水流の流れ方向を特定することができ、管内2aに逆流が生じたとしても迅速にそれを把握することができる。
【0017】
図2は流体監視装置1を逆止弁10が設けられた配管途中に配置した構成を示す図であり、(a)は管内2aの流れが停止している状態を、(b)は管内2aに正流が生じている状態を、(c)は管内2aに逆流が生じている状態を示している。図2(a)に示すように末端の蛇口が閉じられており、逆止弁10が正常に作用する場合には、逆止弁体11がスプリング12の作用によって管路を閉塞し、下流側から上流側への逆流は防止され、管内2aの水流は停止する。このとき、流体監視装置1の回動板4はスプリング5の作用によって軸部3周りの回動範囲の中間位置で停止するので、監視窓6,7のいずれでも回動板4を確認することができない。したがって、この場合には監視窓6,7から管内2aを覗くことによって管内2aには水流が生じていないことを把握できる。
【0018】
また図2(b)に示すように蛇口を開いて給水が行われている場合には、逆止弁10の逆止弁体11がスプリング12の付勢力に抗して下流側に押し込まれて管路を開放し、上流側から下流側への正流が生じる。このとき、流体監視装置1の回動板4はスプリング5の付勢作用に抗して軸部3周りに下流側へ回動し、その先端を監視窓7が設けられた位置に向けるので、監視窓7で回動板4を確認できる。したがって、この場合には回動板4が下流側に向いているので、管内2aには正流(上流から下流へ流れる正常な流れ)が生じていることを把握できる。
【0019】
また蛇口を閉じているにもかかわらず、図2(b)の如く回動板4が下流側に向いた状態となるときには、管内2aに流れが生じていることになり、漏水であることを把握できる。
【0020】
更に図2(c)に示すように逆止弁10の逆止弁体11にゴミ13等が挟まった場合には蛇口を閉じた場合でも逆止弁10は管路を閉鎖することができず、配管中に逆流現象が発生した場合には水がこの逆止弁10を通過して管内2aを逆流する。このとき、流体監視装置1の回動板4はスプリング5の付勢作用に抗して軸部3周りに上流側へ回動し、その先端を監視窓6が設けられた位置に向けるので、監視窓6で回動板4を確認できる。したがって、この場合には回動板4が上流側に向いているので、管内2aには逆流(下流から上流への流れ)が生じていることを直ちに把握できる。そして逆流が生じていた場合には、迅速に適切な処置を施すことができるようになる。
【0021】
したがって、流体監視装置1を給水配管の途中に配置して監視窓6,7を介して回動板4の位置を確認することにより、管内2aの流れ方向を特定することができ、管内2aの水流が正流であるか逆流であるかを迅速に把握できると共に、漏水の発生も把握できるという利点がある。
【0022】
図3は流体監視装置1を止水栓15に取り付けた構成例を示す図であり、(a)はその外観平面図、(b)は(a)のC−C断面図、(c)は(b)のD−D断面図である。流体監視装置1は止水栓15の二次側(下流側)に取り付けられており、逆止弁10は流体監視装置1の二次側に接続されたユニオン管16の内部に設けられている。ユニオン管16は配管から容易に取り外すことができ、逆止弁10はその取り外したユニオン管16の内側から抜き出すことによりメンテナンスが行われる。したがって、図3の構成において流体監視装置1の監視窓6,7を通して管内を覗くことにより、管内に逆流が生じていることを確認した場合、直ちに止水栓15を閉じて管路への給水を停止し、ユニオン管16を配管から取り外して逆止弁10のメンテナンスや交換等の適切な処置を行うことができる。また、漏水を確認した場合にも直ちに止水栓15を閉じて漏水被害の拡大を防止することができる。
【0023】
(第二実施形態)
次に本発明の第二実施形態について説明する。上記第一実施形態では、監視窓6,7を目視することにより管内の流れを把握する構成例を示したが、第二実施形態では流体監視装置1の監視窓6,7に非接触検知型の近接センサを配置して管内の流れを常時自動監視する構成例を説明する。
【0024】
図4は図1(c)に代わる図であり、流体監視装置1の監視窓6,7が設けられた部分の断面図である。図例の如く、本実施形態では監視窓6,7に対してそれぞれ近接センサ17,18が配置される。尚、その他の構成は第一実施形態と同様である。
【0025】
近接センサ17,18は磁気式、静電容量式及び光式のいずれのタイプであっても良く、監視窓6,7の下方位置に回動板4の先端部4aが移動すると、それを非接触で検知できるものであれば良い。本実施形態では近接センサ17,18として例えば磁気式の非接触センサが使用され、回動板4の先端部4aには被検物体として金属板等の磁性体が設けられる。そして管内に正流が生じており、回動板4がその正流によって回動して先端部4aを監視窓7の下方位置に移動させると、監視窓7に設けた近接センサ18がそれを検知してオン状態となり、検知信号を出力する。また管内に逆流が生じており、回動板4がその逆流によって回動して先端部4aを監視窓6の下方位置に移動させると、監視窓6に設けた近接センサ17がそれを検知してオン状態となり、検知信号を出力する。このように検知センサ17,18はそれぞれの監視窓6,7で回動板4の先端部4aを常時検知可能であるので、管内に正流及び逆流が生じると、即時、それに対応した信号を出力する。
【0026】
図5は近接センサ17,18の検知信号を入力して管内に異常が生じた場合に警報を発する警報装置20を示す図である。警報装置20は、逆流検知部21、正流検知部22、漏水検知部23、警告手段24、表示手段25、スピーカ26及びタイマ27を備え、屋外若しくは屋内の適所に設置される。逆流検知部21は監視窓6に設けられた近接センサ17の出力信号を入力し、正流検知部22は監視窓7に設けられた近接センサ18の出力信号を入力する。尚、近接センサ17と逆流検知部21は有線接続であっても良いし、無線通信によって信号の送受信を行う接続形態であっても良い。また近接センサ18と正流検知部22の接続形態についても同様である。
【0027】
逆流検知部21は近接センサ17からの逆流検知信号を受信すると、警告手段24を起動する。警告手段24はLED等の表示手段25又はスピーカ26を駆動することによって居住者等に逆流警告を行う。また警告手段24は水道局等に自動通報を行うように構成することもできるし、止水栓15が電動バルブ等で構成されている場合には止水栓15を自動閉栓するように構成することもできる。警告手段24が表示手段25若しくはスピーカ26から逆流警告を発することにより、居住者等は配管内で逆流が生じていることを速やかに把握でき、迅速に適切な処置を行うことができる。
【0028】
正流検知部22は近接センサ18からの正流検知信号を受信すると、漏水検知部23に対して正流が生じていることを示す信号を出力する。漏水検知部23には漏水検知部23からの信号が入力されると共に、タイマ27からタイマ信号(クロック信号)が入力される。また漏水検知部23には漏水判定のための所定時間が予め設定されており、正流検知部22から所定時間以上継続して正流信号を受信し続けると、漏水又は油断流水と判断して警告手段24を起動する。警告手段24は漏水検知部23から警告指令を入力すると、表示手段25又はスピーカ26を駆動し、居住者等に対して逆流警告とは異なる漏水警告を行う。この場合もまた、警告手段24は水道局等に自動通報を行うもできるし、止水栓15が電動バルブ等で構成されている場合には止水栓15を自動閉栓することもできる。警告手段24が表示手段25若しくはスピーカ26から漏水警告を発することにより、居住者等は配管内で漏水又は油断流水が生じていることを速やかに把握でき、迅速に適切な処置を行うことができる。
【0029】
このように流体監視装置1の監視窓6,7に近接センサ17,18を配置してこのセンサ出力を警報装置20に入力させ、配管内で逆流や漏水が生じた場合には警報装置20が直ちに警告を発することにより、居住者等は迅速に適切な処置を行うことができ、逆流による水質汚染や漏水による被害拡大を抑制することができる。
【0030】
(第三実施形態)
上記第一及び第二実施形態では、管内の流れに沿って管内を所定の回動範囲で回転変位する回動板4が変位体として設けられる場合を例示した。本実施形態では管内の流れに沿って管内を配管の軸方向に沿って所定の移動範囲をスライド移動するスライド部材を変位体として設けた場合を例示する。
【0031】
図6は、本発明に係る流体監視装置の第三実施形態を示す図であり、(a)はその外観図であり、(b)は(a)のE−E断面を示している。流体監視装置1aは、配管2のほぼ中心位置で配管の軸方向と平行に支持された軸部材31と、その軸部材31に挿通され、管内2aを軸方向に沿ってスライド移動するほぼ円形のスライド部材32を備えており、スライド部材32の外側にはガラス製若しくは樹脂製の透明管33が設けられると共に、透明管33の外側の管壁には配管2の軸方向に沿って開口する監視窓34が設けられる。
【0032】
軸部材31の周りには2つのスプリング35,36が設けられている。スプリング35は一端が軸部材31を支持する支持部37に固定されており、他端がスライド部材32を付勢する。またスプリング36は一端が軸部材31を支持する支持部38に固定されており、他端がスライド部材32を付勢する。したがってスライド部材32は2つのスプリング35,36の作用により、軸部材31のほぼ中間位置に向けて付勢される。尚、スライド部材32を軸部材31に沿った移動範囲の中間位置に付勢する付勢手段はスプリング35,36以外の他の手段(例えば板バネ等)を採用しても良い。
【0033】
スライド部材32は、管内2aの流れ方向に沿って軸部材31をスライド移動し、例えば配管の上流側から下流側に向かう正流の場合には、軸部材31を支持する下流側の支持部38に近接する位置まで移動する一方、下流側から上流側に向かう逆流の場合には、上流側の支持部37に近接する位置まで移動する。言い換えると、スライド部材32は、管内2aの流れによって、支持部37,38の間の範囲内をスライド変位する変位体として設けられている。そして透明管33には、スライド部材32が移動する両端の位置に対応して近接センサ17,18が設けられている。尚、近接センサ17,18の検知信号は図5と同様の警報装置20に出力される。
【0034】
スライド部材32は軸部材31を挿通する中心部の外側が水流を通過させるメッシュ状若しくは放射状のアームによって構成されており、そのアームが略円形の外周縁部を支持している。その外周縁部の周側面には近接センサ17,18によって検出可能な金属板等の磁性体32aが設けられている。
【0035】
この流体監視装置1aを給水配管等の配管途中に設置すると、配管2の内部2aを流れる流体の流れ方向を自動検知することができる。図7は流体監視装置1aの動作を示す図であり、(a)は管内2aの流れが停止している状態を、(b)は管内2aに正流が生じている状態を、(c)は管内2aに逆流が生じている状態を示している。図7(a)に示すように管内2aの流れが停止しているときには、スライド部材32に対して2つのスプリング35,36の均等な付勢力が作用し、スライド部材32は軸部材31のほぼ中間位置で静止する。そのため各近接センサ17,18はスライド部材32を検知しないので、管内2aに水の流れが生じていないことがわかる。これに対し、管内2aに水流が生じているときには、スライド部材32はその流れ方向下流側に移動し、監視窓34に設けた近接センサ17,18のいずれか一方がスライド部材32を検出する。スライド部材32の位置を特定することにより、管内2aにおける水流の流れ方向を特定することができ、管内2aに逆流が生じたとしても迅速にそれを把握することができる。
【0036】
図7(b)に示すように蛇口を開いて給水が行われている場合には、上流側から下流側への正流が生じ、流体監視装置1aのスライド部材32はスプリング36の付勢力に抗して軸部材31に沿って下流側へ移動し、支持部38に近接する位置で止まる。この場合、下流側の近接センサ18がスライド部材32を検知するので、管内2aには正流(上流から下流へ向かう正常な流れ)が生じていることが確認できる。
【0037】
また蛇口を閉じているにもかかわらず、図7(b)に如くスライド部材32が下流側に移動した状態となるときには、管内2aに流れが生じていることになり、漏水であることを把握できる。
【0038】
更に図7(c)に示すように管内2aに逆流が生じた場合には、流体監視装置1aのスライド部材32はスプリング35の付勢力に抗して軸部材31に沿って上流側へ移動し、支持部37に近接する位置で止まる。この場合、上流側の近接センサ17がスライド部材32を検知するので、管内2aには逆流(下流から上流へ向かう流れ)が生じていることが確認できる。
【0039】
したがって、流体監視装置1aを給水配管の途中に配置すれば、監視窓34に配置した近接センサ17,18によって管内2aの流れ方向を特定することができるので、管内2aの水流が正流であるか逆流であるかを迅速に把握できると共に、漏水の発生も把握できるという利点がある。
【0040】
尚、本実施形態では監視窓34に近接センサ17,18を設けて管内2aの流れを自動検知する場合を例示したが、近接センサ17,18を設けることなく、透明管33を介してスライド部材32の位置を目視で確認する態様としても良い。また本実施形態では監視窓34を配管2の軸方向に沿って開口した長孔窓とする場合を例示したが、これに限られるものではなく、第一及び第二実施形態と同様に、スライド部材32の移動範囲の両端位置に1つ宛の監視窓を設けていれば良い。
【0041】
(変形例)
上述の各実施形態では、流体監視装置1,1aが管内2aの正流と逆流の双方を検知することができる構成例を示したが、例えば逆流のみを検知する場合のように、いずれか一方向の流れのみを検知できれば良い場合には、上述の構成を簡略化することができる。例えば、逆流のみを検知する構成とする場合、回動板4やスライド部材32等の変位体が管内2aの逆流によって変位する終端位置の1箇所のみに監視窓を設け、必要に応じてその監視窓に近接センサを配置すれば良い。また正流のみを検知する構成とする場合、回動板4やスライド部材32等の変位体が管内2aの正流によって変位する終端位置の1箇所のみに監視窓を設け、必要に応じてその監視窓に近接センサを配置すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】流体監視装置の第一実施形態を示す図である。
【図2】流体監視装置を逆止弁が設けられた配管途中に配置した構成を示す図である。
【図3】流体監視装置を止水栓に取り付けた構成例を示す図である。
【図4】流体監視装置の第二実施形態を示し、監視窓に対して近接センサを配置した構成を示す図である。
【図5】近接センサの検知信号を入力して管内に異常が生じた場合に警報を発する警報装置を示す図である。
【図6】流体監視装置の第三実施形態を示す図である。
【図7】第三実施形態における流体監視装置の動作を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1,1a 流体監視装置
2 配管
4 回動板(変位体)
5 スプリング(付勢手段)
6,7 監視窓
8 透明板
10 逆止弁
17,18 近接センサ
20 警報装置
21 逆流検知部(逆流検知手段)
23 漏水検知部(漏水検知手段)
24 警告手段
32 スライド部材(変位体)
34 監視窓
35,36 スプリング(付勢手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の途中に配置して管内の流体を監視する装置であって、
管内の流れに沿って管内を所定の範囲で変位する変位体と、
前記変位体を前記範囲の所定位置に向けて付勢し、流体が停止したときに前記変位体を前記所定位置に復帰させる付勢手段と、
前記変位体が流体によって変位する終端位置に対応して管壁に設けた監視窓を備えることを特徴とする流体監視装置。
【請求項2】
前記所定位置は前記範囲の中間位置であり、前記監視窓は前記範囲の両端に対応して設けられる請求項1記載の流体監視装置。
【請求項3】
前記変位体は、配管の内壁近傍に設けた軸部を中心に回動する回動板からなり、管内の流れに沿って回動することにより角度変位することを特徴とする請求項1又は2記載の流体監視装置。
【請求項4】
前記変位体は、配管の軸方向に沿ってスライドするスライド部材からなり、管内の流れに沿ってスライド移動することを特徴とする請求項1又は2記載の流体監視装置。
【請求項5】
前記監視窓には透明板を設けてなる請求項1乃至4のいずれかに記載の流体監視装置。
【請求項6】
前記監視窓には前記変位体を検知するセンサを配置してなる請求項1乃至4のいずれかに記載の流体監視装置。
【請求項7】
前記センサの出力信号に基づいて管内の逆流を検知する逆流検知手段と、
前記逆流検知手段が逆流を検知した場合に警告を発する警告手段をさらに備える請求項6記載の流体監視装置。
【請求項8】
タイマ信号を出力するタイマと、
前記センサの出力信号と前記タイマのタイマ信号を入力し、前記センサが前記変位体を検知してから所定時間以上、前記センサの出力信号が一定状態を継続する場合に漏水と判断する漏水検知手段と、
前記漏水検知手段が漏水を検知した場合に警告を発する警告手段をさらに備える請求項6記載の流体監視装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−278899(P2007−278899A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106686(P2006−106686)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000151025)株式会社タブチ (86)
【Fターム(参考)】