説明

流体軸受装置

【課題】軸受金属の腐食が効果的に抑制された流体軸受装置を提供する。
【解決手段】皮膜112を焼結体の潤滑流体17に接する部分を覆うように設け、皮膜112によって表面が覆われていることによって、焼結体の空孔111内に潤滑流体17が入り込みにくくなる。また、潤滑流体17の基油となるイオン液体に、塩基性化合物を添加し、イオン液体の劣化によって生じた酸性物質が、塩基性化合物によって中和されることによって、軸受金属の腐食が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体軸受装置等の装置に使用可能な潤滑剤組成物及び流体軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスクドライブの小型化及び高速化に伴い、ハードディスクドライブに搭載されるスピンドルモータには、回転速度の高速化、及びこの高速回転に耐え得る長寿命化が求められている。
【0003】
スピンドルモータ内の流体軸受装置には潤滑流体が使用されるが、この潤滑流体の特性がスピンドルモータの特性(剛性、電流値、及び寿命等)に影響を与える。例えば、潤滑流体の蒸発は、潤滑流体の減少を招き、スピンドルモータの特性を変化させる。そのため、上述の要求に応えるべく、潤滑流体の基油として汎用されてきたエステル油に代えて、イオン液体を用いることが提案されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−147394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の流体軸受装置では、イオン液体を用いることによって軸受金属の表面が腐食されるという問題がある。腐食が生じると、軸受金属の寸法が変化したり、一部が剥落したりして、回転精度の悪化といった不具合を引き起こす。
【0005】
そこで、本発明は、このような腐食が抑制された流体軸受装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、
(1) 軸受孔を有するスリーブと、上記スリーブの軸受孔内に上記スリーブに対して相対的に回転するよう配置された軸と、上記スリーブと上記軸との間の隙間に配置され、基油としてのイオン液体を含むと共に塩基性化合物を含む潤滑剤組成物と、を備える流体軸受装置;
(2) 上記潤滑剤組成物は、上記塩基性化合物として、スルホネート、フェネート、サリシレート、及びホスホネートからなる群より選択される1つ以上の化合物を含む上記(1)に記載の流体軸受装置;及び
(3) 上記スリーブは、金属の焼結体からなり、表面に不動態膜を有する上記(1)又は(2)に記載の流体軸受装置
を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の流体軸受装置は、潤滑剤組成物中に含まれる塩基性化合物によって、イオン液体の劣化により生じた酸性物質が中和され、軸受金属の腐食が効果的に抑制されるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
[1]第1実施形態
(1-1)スピンドルモータ
本発明の流体軸受装置の一例として、ハードディスクドライブ用スピンドルモータにおける流体軸受装置について、以下、図面を参照して説明する。図1は本実施形態に係るスピンドルモータ1の断面図である。
【0009】
[スピンドルモータ1の構成]
本実施形態のスピンドルモータ1は、図1に示すように、円盤状の磁気記録ディスク151を回転駆動するための装置であって、主として、流体軸受装置10と、ベース18と、ステータコア19と、ロータマグネット20と、を備えている。
【0010】
流体軸受装置10は、ロータハブ15を含む回転側部材を、軸12を中心として、スリーブ11等の固定側部材に対して互いに非接触の状態でスムーズに回転させる。ロータハブ15には磁気記録ディスク151が搭載されているので、磁気記録ディスク151は軸12を中心として回転する。流体軸受装置10の構成については後述する。
【0011】
ベース18は、流体軸受装置10及びステータコア19の基台部分を形成している。そして、ベース18は、非磁性のアルミ系金属材料(例えば、ADC12)または磁性を有する鉄系金属材料(例えば、SPCC、SPCD)で形成されている。ベース18には、スリーブ11及びステータコア19が取り付けられている。
【0012】
ステータコア19は、ベース18に固定されており、その外周部がロータマグネット20の内周部に所定の隙間を保持して対向する位置に配置されている。ステータコア19は、外周に向かって複数の突極が形成されており、それらの突極にコイルがそれぞれ巻回されている。
【0013】
ロータマグネット20は、円環状の形状を有し、ロータハブ15の鍔部からの垂下円筒部の内周側の面に固定されており、コイルが巻回されたステータコア19とともに磁気回路を構成する。
【0014】
[流体軸受装置10の構成]
本実施形態に係る流体軸受装置10は、図2に示すように、スリーブ11と、軸12と、フランジ13と、スラスト板14と、ロータハブ15と、スリーブキャップ16と、潤滑流体17と、を備えている。
【0015】
スリーブ11は、軸受孔11aを有すると共に、軸受孔11aの開放端側と閉塞端側とを連通させる連通路11bを有している。スリーブ11の詳細については後述する。
図2に示すように、軸12は、スリーブ11の軸受孔11a内に、軸受孔11aの内周面と軸12の外周面との間に第1の隙間G1を形成するように、回転可能な状態で挿入されている。軸12の外周面、または、スリーブ11の軸受孔11a内周面の少なくとも一方には、動圧発生溝11c,11dが形成されている。軸12の下端部には、フランジ13が略直角に精度良く固定されている。
【0016】
フランジ13は、軸12の下端部に、軸12とフランジ13との成す角が略直角になるように、かつフランジ13の上端面がスリーブ11に対向するように配置される。また、フランジ13は、スリーブ11とフランジ13との間に隙間を形成するように配置され、この隙間は、上述の第1の隙間G1から連続している。
【0017】
さらに、フランジ13は、その下端面がスラスト板14に対向するように、かつ、フランジ13とスラスト板14との間に隙間を形成するように配置され、この隙間は、上述のスリーブ11とフランジ13との間の隙間から連続している。また、フランジ13とスラスト板14との間の隙間は、連通路11bまで連続している。
【0018】
スリーブ11のフランジ13との対向面及びフランジ13のスリーブ11との対向面の少なくとも一方には、動圧発生溝11eが形成されている。また、フランジ13のスラスト板14との対向面及びスラスト板14のフランジ13との対向面の少なくとも一方には、動圧発生溝14aが形成されている。動圧発生溝11e及び14aは、いずれか一方のみ設けられていてもよい。
【0019】
ロータハブ15には、ステータコア19に対向する位置に後述するロータマグネット20が固定されるとともに、必要に応じて磁気ディスクまたは光ディスク等の磁気記録ディスク151が取り付けられる。ロータハブ15は、スリーブ11に向かって突出するボス部15aを備えている。
【0020】
スリーブキャップ16は、中央孔16aを有しており、スリーブ11の上端面に対して固定されている。スリーブキャップ16は、スリーブ11の上面との間に第2の隙間G2を形成するように配置される。第2の隙間G2は、第1の隙間G1から連通路11bまで連続している。上述のボス部15a及び軸12は、その外周面が中央孔16aの内周面と対向し、かつ、これらの外周面と中央孔16aの内周面との間に第3の隙間G3を形成するように配置される。第3の隙間G3は、第1の隙間G1及び第2の隙間と通じている。第3の隙間G3は大気に開放されているが、潤滑流体17は自身の表面張力によって流体軸受装置10内に保持される。
【0021】
潤滑流体17は、図2に示す第1〜第3の隙間G1〜G3を含む軸受隙間内に充填されている。そして、軸12を含む回転側部材の回転が開始されると、潤滑流体17は、動圧発生溝11c,11d,11e等に流入して動圧を発生させるとともに、ラジアル側の動圧発生溝11c,11dが非対称に形成されていることで循環力が生じて、図中矢印方向に沿って流体軸受装置10内を循環する。
【0022】
なお、軸12の材質としては、ステンレス鋼が最適である。ステンレス鋼は、他の金属と比べ、高硬度で、摩耗発生量も抑制できるため、有効である。より好ましくは、マルテンサイト系ステンレス鋼である。
【0023】
スリーブ11には、銅合金、鉄合金、ステンレス鋼、セラミックス、樹脂等の材料を使用することが好ましい。さらに、より耐摩耗性及び加工性が高く、かつ、低コストである、銅合金、鉄合金、ステンレス鋼がより好ましい。スリーブ材料の一部表面または全表面に、メッキ法、物理蒸着法、化学蒸着法、拡散被膜法等によって表面改質を行ってもよい。また、コスト面からスリーブ材料に金属の焼結体を用いることができる。図3を参照して、スリーブ11に焼結体を用いた場合について説明する。図3は、流体軸受装置10における第1の隙間G1周辺の断面図である。
【0024】
焼結体は、鉄成分が全体の80重量%以上、好ましくは95重量%以上占める圧粉成型金属焼結体である。焼結体は、複数の空孔(ポーラス)111を有しており、体積密度が98%以上の多孔質体である。
【0025】
なお、焼結体を構成する金属は、鉄、銅、アルミニウム、チタン、及びクロム、並びにこれらの合金があげられ、中でもその表面に不動態膜を形成可能な、鉄、アルミニウム、チタン、及びクロム、並びにこれらの合金等が好ましい。焼結体を構成する金属としては、腐食防止の観点から、特に、その不動態と軸12を構成する金属とのイオン化傾向とが近いものが選択される。つまり、本実施形態では、軸12がステンレス鋼からなるので、焼結体を構成する金属として鉄を用いるが、軸12を構成する金属が変更されるのに合わせて、焼結体を構成する金属も変更可能である。
【0026】
本実施形態では、焼結体の表面に不動態の皮膜(不動態膜)112が形成されている。皮膜112の厚さは好ましくは2〜15マイクロメータであり、この皮膜112により、焼結体の表面の空孔111は埋められている。皮膜112の形成方法としては、従来公知の金属の酸化方法を好適に用いることができる。焼結体が鉄の場合、この皮膜112の一例として、四三酸化鉄(Fe34)皮膜があげられる。四三酸化鉄(Fe34)皮膜は、例えば、400℃〜700℃の水蒸気処理等の種々の酸化処理によって形成される。
【0027】
皮膜112は、少なくとも軸受孔11aの内周面を覆うように設けられ、好ましくは連通路11b、第2の隙間G2、及び第3の隙間G3を構成する面等にも設けられる。つまり、皮膜112は、焼結体の潤滑流体17に接する部分を覆うように設けられることが好ましい。
【0028】
空孔111は、焼結粒子間に生じた隙間であり、互いに繋がっている。そのため、不動態の皮膜を形成しない場合は、焼結体の表面から内部へ、イオン液体が入り込みやすい。図3に示すように、皮膜112によって表面が覆われていることによって、焼結体の空孔111内に潤滑流体17が入り込みにくい。
【0029】
[潤滑流体17]
潤滑流体17としては、基油としてのイオン液体を含むと共に塩基性化合物を含む潤滑剤組成物が用いられる。
【0030】
(基油)
イオン液体とは、室温で液体であって、カチオン及びアニオンから構成されるイオン性の物質である。イオン液体は常温溶融塩とも呼ばれる。
【0031】
「基油」とは、潤滑剤組成物の主成分であり、潤滑剤組成物に潤滑性を付与する物質を意味する。したがって、一般的に、潤滑剤組成物全体における基油の含有量は、50重量%以上に設定される。特に、潤滑剤組成物全体におけるイオン液体の含有量は、80重量%以上、90重量%以上、又は95重量%以上に設定可能である。
【0032】
上述したように、イオン液体は室温で液体であるが、より具体的には、融点が0℃以下のものが好ましい。なかでも、融点が0〜−60℃程度であるイオン液体が、より好ましい。融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される。
【0033】
イオン液体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イオン液体の組成、例えば、含有されるアニオン及びカチオン、並びに各イオンの濃度等は、特に限定されるものではない。カチオンとしては、例えば、イミダゾリウム系、ピラゾリウム系、ピロリジニウム系、ピリジニウム系、ピペリジニウム系、ホスホニウム系、スルホニウム系、及びアンモニウム系等を採用することができる。また、アニオンとしては、Cl-、Br-、I-、BF4-、PF6-、[SCN]-、[Cn2n+1SO3]-、[(Cn2n+1SO22N]-、[p−CH364SO2]-、[Cn2n+1SO3]-、[Cn2n+1OSO3]-、[Cn2n+1CO2]-、[Cn2n+1CO2]-、[N(CN)2-、[C(CN)3]-、及び[(Cn2n+12PO4]-等が挙げられる。
【0034】
(塩基性化合物)
塩基性化合物としては、具体的には、スルホネート、フェネート、サリシレート、及びホスホネートからなる群より選択される1以上の化合物が用いられる。これら金属塩を構成する金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属があげられる。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等があげられる。また、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等があげられる。ただし、塩基性化合物はこれらの化合物に限定されるものではなく、他の化合物を適宜使用することができる。
【0035】
塩基性化合物は、基油であるイオン液体の劣化によって生じた酸性物質を中和することで、軸受金属の腐食を防止することができる。なお、軸受金属とは、潤滑流体17と接する金属部材であり、具体的にはスリーブ11、軸12、フランジ13、スラスト板14、ロータハブ15、スリーブキャップ16等があげられる。
【0036】
塩基性化合物の添加量は、潤滑剤組成物全体における塩基性化合物の含有量が、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%とすることができる。
【0037】
(その他の成分)
潤滑剤組成物は、さらなる添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、例えば、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性剤、金属腐食防止剤、油性剤、極圧剤、摩擦調整剤、摩耗防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、泡消剤、加水分解抑制剤、帯電防止剤、導電性付与剤、および清浄分散剤等が挙げられる。
【0038】
本発明の潤滑剤組成物において、上記添加剤の添加量は特に限定されるものではないが、例えば、潤滑剤組成物全体に対して、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下とすることができる。
【0039】
(潤滑剤組成物全体の特性)
潤滑剤組成物は、低温(0℃以下)で液体であることが好ましい。つまり、潤滑剤組成物の融点及び凝固点は、例えば、0℃以下、さらには−20℃以下であることが好ましい。このように、融点が−20℃以下であれば、潤滑剤組成物が流体軸受装置に用いられたとき、低温環境下での軸受のトルクの急激な増加を防ぐことができる。
【0040】
(潤滑剤組成物の製造)
本発明の潤滑剤組成物は、イオン液体、塩基性化合物、及びその他の添加剤を、慣用の方法により混合することで、製造することができる。
【0041】
(1-2)スピンドルモータ1の動作
図1に示すように、ステータコア19が通電されることで、ロータマグネット20とステータコア19との間に回転磁界が発生して、ロータマグネット20が、軸12、フランジ13、及びロータハブ15と共に回転を開始する。軸12が回転を始めると、動圧発生溝11c〜11e及び14aに潤滑流体17が集まることで、軸12は潤滑流体17中に浮上した状態で、スリーブ11に対して非接触回転する。潤滑流体17は、連通路11bと隙間G1及びG2との間を循環する。
【0042】
以上の説明から明らかなように、スリーブ11は固定側部材であり、軸12及びフランジ13は回転側部材である。
【0043】
(1-3)磁気記録再生装置
上述のスピンドルモータ1は、磁気記録再生装置に適用可能である。図4は、本実施形態に係る磁気記録再生装置150の構成を示す断面図である。
【0044】
図4に示すように、磁気記録再生装置150は、スピンドルモータ1と、記録ディスク151と、記録ヘッド152と、を備える。
磁気記録ディスク151は、ロータハブ15のディスク載置部上に載置され、例えば、図示しない軸方向にバネ性を有する円盤状のクランパ等を図示しないタッピングネジにセットし、軸12の中央部に設けられたネジタップ部にタッピングネジをねじ込むことにより、軸方向下側に押え付けられて、クランパとロータハブ15のディスク載置部との間に狭持される。
【0045】
記録ヘッド152は、磁気記録ディスク151上の情報を読み出したり、情報を書き込んだりするようになっている。なお、記録ヘッド152は、読み出し及び書込みの少なくとも一方が可能となっていればよい。
【0046】
この他に、磁気記録再生装置150は、記録ヘッド152を支えるアーム、アームを移動させることによって、記録ヘッド152を磁気記録ディスク151の所定の位置に配置するアーム駆動部等を備える。
【0047】
[2]他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0048】
(A)
上記実施形態では、軸12に対してフランジ13が取り付けられた、いわゆるフランジタイプの流体軸受装置10を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0049】
例えば、図2において、軸12に対してフランジ13がなく、軸12の下端面が軸受面であるいわゆるフランジレスタイプの流体軸受装置に本発明を適用してもよい。
【0050】
(B)
上記実施形態では、軸12やロータハブ15を含む回転側部材が、スリーブ11を含む固定側部材に対して回転する軸回転型の流体軸受装置10を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】
例えば、軸を含む固定側部材に対して、スリーブやロータハブ等を含む回転側部材が回転する軸固定型の流体軸受装置に対して、本発明の一実施形態に係る潤滑流体を充填してもよい。
【0052】
(C)
上記実施形態では、スリーブ11に形成された連通路11bを含む循環経路に沿って潤滑流体17を循環させる流体軸受装置10の構成を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0053】
例えば、スリーブに連通路を持たない非循環型の流体軸受装置に対して、本発明の一実施形態に係る潤滑流体を充填してもよい。
【0054】
(D)
また、流体軸受装置およびスピンドルモータは、記録ヘッド152によって記録ディスクに情報を記録する/再生する磁気記録再生装置に適用可能であるが、この他にも、光ディスク等の記録再生装置に対して搭載してもよい。
【0055】
さらには、情報処理装置として、CPUに搭載される冷却ファンを回転させるスピンドルモータに含まれる流体軸受装置に本発明を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の流体軸受装置は、軸受金属が腐食されにくいので、ハードディスクドライブ用スピンドルモータに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係るスピンドルモータの断面図。
【図2】上記スピンドルモータに搭載された流体軸受装置の構成を示す部分拡大断面図。
【図3】流体軸受装置10における第1の隙間G1周辺の断面図。
【図4】上記流体軸受装置を搭載した磁気記録再生装置の構成を示す断面図。
【符号の説明】
【0058】
1 スピンドルモータ
10 流体軸受装置
11 スリーブ
11a 軸受孔
11b 連通路
11c,11d,11e 動圧発生溝
12 軸
13 フランジ
14 スラスト板
14a 動圧発生溝
15 ロータハブ
16 スリーブキャップ
16a 中央孔
17 潤滑流体
18 ベース
19 ステータコア
20 ロータマグネット
111 空孔
112 皮膜
150 磁気記録再生装置
151 磁気記録ディスク
152 記録ヘッド
G1〜G3 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受孔を有するスリーブと、
上記スリーブの軸受孔内に上記スリーブに対して相対的に回転するよう配置された軸と、
上記スリーブと上記軸との間の隙間に配置され、基油としてのイオン液体を含むと共に塩基性化合物を含む潤滑剤組成物と、
を備える流体軸受装置。
【請求項2】
上記潤滑剤組成物は、上記塩基性化合物として、スルホネート、フェネート、サリシレート、及びホスホネートからなる群より選択される1つ以上の化合物を含む
請求項1に記載の流体軸受装置。
【請求項3】
上記スリーブは、金属の焼結体からなり、表面に不動態膜を有する請求項1又は2に記載の流体軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−156386(P2010−156386A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334118(P2008−334118)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】