説明

流量調節装置

【課題】従来の流量調節装置では、流体の流れ方向がケーシング内において略90度屈曲するため流動抵抗が増し、そのためケーシングの内部空間を大きくしないと流量を確保できない。また、流量調節機構を駆動するためのモータがケーシングの上部に載置されるため、流量調節装置全体としては更に大型化するという不具合が生じる。
【解決手段】モータのロータをケーシング内に配設すると共に、ロータを挟んで対向する位置に上記流入部と流出部とを各々設けてガスがロータを配設した部分を通過するように構成し、上記流量調節部を流入部と流出部とのいずれか一方に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス通路の途中に介設され、ガスの流量を増減する流量調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の流量調節装置としては、たとえば冷媒の流量を調節する流量調節装置として、円筒形状のケーシングの側方に開口する流入部と、ケーシングの底部に開口する流出部とを備えると共に、ケーシングの上面にモータを載置して、このモータのロータ軸の下端をケーシング内に挿入し、ケーシング内の流量調節機構を駆動するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−148643号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の流量調節装置では、ケーシングの側方に設けた流入部からケーシング内に流体が流れ込むが、流出部がケーシングの底部に形成されているので、流体の流れ方向はケーシング内において略90度屈曲することになる。このように流体の流れ方向が大きく曲げられると流動抵抗が増し、そのためケーシングの内部空間を大きくしないと流量を確保できない。そのため、ケーシングが大型化するという不具合が生じる。また、流量調節機構を駆動するためのモータがケーシングの上部に載置され、ロータ軸の下端がケーシング内に挿入されているため、流量調節装置全体としてはケーシングとそのケーシングの上部に載置されたモータとの双方から構成されることになり、ケーシングが大型化する上にモータの容積も加えられ、流量調節装置が更に大型化するという不具合が生じる。
【0005】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、可及的に小型化することのできる流量調節装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明による流量調節装置は、ガス通路の途中に介設され、ケーシング内にガスを流入される流入部とケーシング内からガスを流出させる流出部とを備え、モータにより駆動され流出部から流出されるガスの流量を増減させる流量調節部を有する流量調節装置において、上記モータのロータをケーシング内に配設すると共に、ロータを挟んで対向する位置に上記流入部と流出部とを各々設けてガスがロータを配設した部分を通過するように構成し、上記流量調節部を流入部と流出部とのいずれか一方に設けたことを特徴とする。
【0007】
上記構成ではモータのロータをケーシング内に配設したことにより、ケーシングの上部に載置されていたモータの容積を省略することにより装置全体として小型化することができる。また、流入部と流出部とをロータを挟んで対向する位置に形成したことにより、流入部からケーシング内に流入したガスの流れはそのまま曲げられることなくロータを配設した部分を通過して流出部へと流れることになる。このためガスの流れ方向がケーシング内で曲げられないので流動抵抗が可及的に小さくなる。
【0008】
なお、流量調節装置には必ずしも閉鎖機能を設ける必要はないが、閉鎖機能を設ける際には、上記流量調節部に閉鎖機能を設け、この閉鎖機能によって流出部からのガスの流出を停止させればよい。
【0009】
あるいは、上記流量調節部を流入部と流出部とのいずれか一方に設け、他方に、モータによって駆動され流出部からのガスの流出を停止させる閉鎖機構を設けてもよい。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明は、モータのロータをケーシング内に配設し、かつケーシング内でのガスの流れ方向を曲げないようにしたので、流量調節装置としての大きさを従来のものより大幅に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】流量調節装置の外観を示す斜視図
【図2】流量調節装置の内部構造を示す断面図
【図3】III-III断面図
【図4】流量調節部の作動状態を示す図
【図5】他の実施の形態における流量調節装置の内部構造を示す断面図
【図6】VI-VI断面図
【図7】閉鎖機構の作動状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、1は本発明による流量調節装置であり、ガス器具のバーナへ供給されるガスの流量を増減するために用いられる。図示のごとく流量調節装置1の外形は略円柱形状をしており、図示の姿勢では底部に連結された流入管INと上部に連結された流出管OUTとに挟まれるように設置され、ガスは図において下から上に向かって流れる。
【0013】
図2を参照して、円筒状のケーシング本体10の底部には底板10aが取り付けられ、ケーシング本体10の上部には上板10bが取り付けられており、ケーシング本体10の内部には環状の駆動コイル21とロータ22とからなるモータが内蔵されている。なお、ケーシング本体10内には非磁性体からなるスリーブ13が取り付けられており、駆動コイル21はスリーブ13の外側に設置され、ロータ22はスリーブ13の内部に配設されている。ロータ22はロータ軸23を中心に回転するように支持されている。本モータはステッピングモータであり、駆動コイルに駆動パルスを供給すると、供給されたパルス数に応じた角度だけロータ22およびロータ軸23が回転するものである。そしてパルスの供給を停止すればロータ22およびロータ軸23は停止してその状態で自己保持し、逆位相のパルスを供給すると、パルス数に応じた角度だけ逆回転する。
【0014】
図3に示すように、ロータ軸23を上下で回転自在に保持する軸受プレートの内の下側のプレート14には両面ストッパとして機能する突起14bが形成されており、ロータ軸23に形成された突起24がこの突起14bに当接するまで回転すると、ロータ軸23およびロータ22はそれ以上回転することができない。従って、本実施の形態ではロータ軸23は360度よりも若干狭い範囲で往復回転することになる。なお、プレート14にはガスが通過できるように貫通窓14aを形成した。
【0015】
上記底板10aには流入部11が形成されており、この流入部11からケーシング本体10内に流入したガスはロータ22の内側を通って上方に流れ、上板10bに形成した流出部12から流出する。本実施の形態ではロータ軸23の上端に流量調節部として機能する回転板3を取り付けた。
【0016】
図4に示すように、この回転板3には相互に大きさの相違する5個の貫通口31が形成されている。回転板3が(a)に示す位相であれば、いずれの貫通口31も流出部12に一致していないので、流出部12は回転板3によって閉鎖され、流出部12からガスが流出しない。
【0017】
ロータ軸23を回転させて回転板3を図において時計回りに回転させると、(b)に示す位相では一番小さな貫通口31が1個だけ流出部12に一致する。この状態が最少流量状態であり、流出部12からは最少流量のガスが流出する。更にロータ軸23を回転させると流出部12に一致する貫通口31の数が増加し、(c)に示す最大流量状態になるまで流出部12から流出するガスが段階的に増加する。(c)に示す最大流量状態になればロータ軸23をそれ以上回転させる必要はないので停止させる。そして、流出する流量を減少させる場合には回転板3を逆転させて(c)に示す状態から(b)に示す状態にし、更にガスの流出を停止させる場合には回転板3を更に逆転させて(a)に示す状態にする。なお、駆動コイル21に駆動パルスを供給する駆動ユニット(図示せず)が暴走してロータ軸23を正方向に回転させ続けた場合、ロータ軸23の突起24がプレート側の突起14bに当接して強制的にそれ以上の回転が規制される。そして、その状態では回転板3は図4の(d)に示す位相になっており、いずれの貫通口31も流出部12に一致しないので、ガスの流出は停止されることになる。
【0018】
上記図1から図4に示した実施の形態では、流量調節は回転板3に形成した複数個の貫通口31によって行うため、流量の変化が段階的に変化することになる。ガス器具の種類によってはガスの流量を段階的ではなく連続して増減させる要請がある場合がある。そのようなガス器具には図5に示す流量調節装置を用いればよい。
【0019】
図5に示すものでは、ロータ軸23の下端に流量調節部として機能するノズル5を取り付けた。このノズル5はロータ軸23の下端に形成したねじ部25に螺合している。また図6に示すように、ノズル5に固定した1対の回り止め53が溝15に係合しているので、ロータ軸23が回転するとノズル5は回転せずに図において上下方向に移動する。
【0020】
ノズル5の先端部外周にはストレート部52が形成されており、このストレート部52は流入部11に気密に係合している。従って、ノズル5が引き上げられてストレート部52が流入部11から抜けるまでは、ストレート部52と流入部11との間を通ってガスが流れない。そして、ノズル5には最少流量を規定するためのオリフィス部51が形成されているので、ストレート部52が流入部11から抜けるまでは、ガスはこのオリフィス部51を通って最少流量のガスが一定して流れることになる。ノズル5が更に引き上げられ、ストレート部52が流入部11から抜けると、流入部11がケーシング本体10の内部に対して開口するので、流入部11とノズル5との間を通ってガスがケーシング本体10内に流入する。なお、その流入部11を通過する流量はノズル5が流入部11から離れるに従って連続して増加することになる。
【0021】
一方、ロータ軸23の上端には上記回転板3の代わりに開閉板4を取り付けた。この開閉板4は、図7に示すように、開閉板4の回転方向に沿った1個の長孔41が形成されている。図7の(a)に示す位相では長孔41が流出部12に一致していないので流出部12からガスが流出しない。開閉板4を図において時計方向に回転させると、すぐに長孔41が流出部12に重なるが、その状態ではまだノズル5のストレート部52は流入部11から抜けていない。従って、流出部12からはオリフィス部51を通過した最少流量のガスが流出することになある。
【0022】
開閉板4を更に回転させると、流出部12と長孔41とは重なったままの状態でノズル5が上昇するため、流出部12から流出するガスの流量は連続して増加する。図7の(b)は流量が最大になった状態を示す。この状態から流量を減少させる場合にはロータ軸23を逆転させればよい。従って、(b)に示した状態から(a)に示した状態に戻っていくことになる。ただし、上述のように暴走が生じてロータ軸23が正方向に回転し続ければ、開閉板4は(c)に示す位相になり、流出部12からのガスの流出は停止される。
【0023】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0024】
1 流量調節装置
21 駆動コイル
22 ロータ
11 流入部
12 流出部
5 ノズル
51 オリフィス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス通路の途中に介設され、ケーシング内にガスを流入される流入部とケーシング内からガスを流出させる流出部とを備え、モータにより駆動され流出部から流出されるガスの流量を増減させる流量調節部を有する流量調節装置において、上記モータのロータをケーシング内に配設すると共に、ロータを挟んで対向する位置に上記流入部と流出部とを各々設けてガスがロータを配設した部分を通過するように構成し、上記流量調節部を流入部と流出部とのいずれか一方に設けたことを特徴とする流量調節装置。
【請求項2】
上記流量調節部に閉鎖機能を設け、この閉鎖機能によって流出部からのガスの流出を停止させることを特徴とする請求項1に記載の流量調節装置。
【請求項3】
上記流量調節部を流入部と流出部とのいずれか一方に設け、他方に、モータによって駆動され流出部からのガスの流出を停止させる閉鎖機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載の流量調節装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−47327(P2012−47327A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192912(P2010−192912)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】