説明

浄化槽処理水の脱色処理機能を備えた固液分離システム

【課題】 本発明の課題は、浄化槽で処理した濾液にポリ硫酸第二鉄と有機凝集剤を加えて攪拌して反応をさせて着色物質を固体成分として分離させる先の畜産処理水の脱色処理だけでなく、畜産汚物処理工程における当初の糞等の固液分離にも兼用できるシステムを提供することにある。
【解決手段】 本発明の浄化槽処理水の脱色処理機能を備えた固液分離システムは、浄化槽で曝気処理した濾液にポリ硫酸第二鉄を加える手段と、ポリ硫酸第二鉄が加えられた液を導入して攪拌反応させる第1の反応タンクと、該第1の反応タンクで処理された液を第2の反応タンクへ移送する途上で有機凝集剤を加える手段と、前記第2の反応タンクで反応処理されて固体と液体成分に分離させたスラリーを傾斜配置されて連続駆動されるスクリーンコンベアの上流側の低い位置に供給する手段と、連続的にコンベヤで搬送中のスラリーを圧搾処理して固液分離する手段とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は畜舎から出される畜産汚物の固液分離、脱水処理機能に加えて浄化槽処理水の脱色処理機能を備えた固液分離システムに関する。
【背景技術】
【0002】
畜舎から出される畜産処理水(以下原水という)は、原水槽に貯留して、そこからポンプにより固液分離装置に供給して糞等の固形分と液分に分離してそれぞれを処理する方法が採られている。従来の活性汚泥法による汚水処理装置に採用されている振動篩方式及び傾斜スクリーン方式の固液分離システムは、ホッパー状の汚水受けの傾斜開口部に傾斜状の網目スクリーンを配置してなり、傾斜スクリーンの上部に糞尿を含む原水をポンプにより供給して、網目スクリーンに沿って落下させることにより、液分はスクリーンの網目より落下しホッパー状の汚水受けから濾液槽に一旦ためてから、曝気槽等の次処理工程に送られる。一方、固形分はスクリーンに沿って流れてスクリーンの下端部から固形分収納ピッチに落下して堆積される。曝気槽では、エアレータにより曝気が行なわれて汚水中の汚泥物が活性汚泥微生物により分解される。曝気槽には一般には固定式のエアレータが設けられ、このエアレータにより微細な気泡を尿汚水に吹き込むことにより槽内を一定流速で攪拌して槽内の溶存酸素濃度を一定にし、活性汚泥微生物を培養して汚水処理をする。
【0003】
また、従来の汚水処理設備に於いては処理水を公共排水路に放流する前に脱色処理を施している。色抜き前の処理液は褐色に懸濁しており、その懸濁物は微小な繊維状物質を含んでおりこれがフィルターを目詰まりさせたりし、後の処理にも厄介な問題を残す元凶ともなっている。従来の脱色処理はオゾンを吹き込んだり大量の活性炭を用いたり、浸透膜を通したりといった作業を伴うもので、十分な透明度を得るためには相当量のオゾンや活性炭と処理時間を要するものであった。因みに特許文献1に開示の方法では図6に示すように膜処理部で処理された処理水が、膜分離槽106に隣接する汚泥貯留槽107の次に設けられたろ過水槽108へ吸引ポンプ142で吸引されて移送管l15を経て送られ、ここでろ過された処理水は移送管l16を経て脱色処理部150へ送られて汚水を無色透明に近づける脱色処理が行なわれる。この脱色処理部150を形成する脱色装置150aは、逆浸透膜を有する膜モジュール152へ膜供給高圧ポンプ151によりろ過水槽108から吸引した処理水を送り、薬品溶解タンク153から薬注ポンプ154により洗浄用の薬品溶液で洗浄された逆浸透膜により処理水の脱色処理をするように構成されている。図に於いてl17は透過液移送管、l18は循環水管、l19は濃縮水移送管、l20は洗浄水供給管である。このように、従来は脱色処理に大がかりな設備やその処理に多くの時間を要していたにもかかわらず、その十分な効果は得られていなかった。
【0004】
この様な状況下で、本件出願人は先に、畜産処理水である原水を浄化槽で処理した液を簡単な設備で迅速に脱色処理が出来るだけでなく、更にその処理水を洗浄液等に再利用可能な程度にまで浄化する脱色処理方法を提示し、特願2004−259564号として特許出願した。この発明の畜産処理水の脱色方法は、畜産処理水である原水を浄化槽で処理した濾液にポリ硫酸第二鉄とノニオン系又はアニオン系若しくはカチオン系有機凝集剤を加えて攪拌して反応をさせて固体と液体成分に分離させ、固体成分を除去する工程からなるものである。
そしてこの畜産処理水の脱色方法は、原水を浄化槽で処理した濾液にポリ硫酸第二鉄とノニオン系又はアニオン系若しくはカチオン系を加えて攪拌して反応をさせることにより、褐色をした懸濁物の主成分である微小な繊維状物質まで凝集させて分離することができるため、抜群の脱色効果を有する。その上、フィルターを目詰まりさせたりする元凶でもある微小な繊維状物質まで除去できるため、後の処理にも厄介な問題を残すことがない。この効果はノニオン系又はアニオン系若しくはカチオン系有機凝集剤はポリ硫酸第二鉄を加えて攪拌して反応をさせた後に添加して二段階の反応をさせるようにすることにより更に向上する。
【0005】
また、本件出願人は畜舎汚水中に含まれる家畜の糞等の固形分を液分から分離する糞尿固液分離装置を提示し、実用新案登録第3091008号として登録されている。この装置は、糞尿の固液分離処理能力が従来の糞尿固液分離装置と比べて著しく高く、且つスクリーンコンベアが目詰まりすることを防止でき、大量の糞尿を連続して固液分離処理することができ、設備コストの低減と処理能力の向上を図ることができる糞尿固液分離装置を提供することを目的としたもので、図5に示すように、傾斜配置されて連続駆動されるスクリーンコンベア5の上流側の低い位置に、原水攪拌凝集タンク104から糞尿凝集スラリ−を供給し、スクリーンコンベア5の往路上面に搾りローラ8を複数段設け、下流側に向かって上昇搬送する間に、その自重と搾りローラ8による圧力で糞尿凝集スラリーの液分が分離してスクリーンコンベアの網目から落下し、固形分はその下流側端部から落下することによって固液分離を行うというもので、スクリーンコンベアの復路側には、清掃ブラシ13、洗浄水噴射装置12、清掃エアブロー装置27が配置されている。
【0006】
更に、本件出願人は特願2003−323764号としてこの糞尿固液分離装置の改良システムを提示した。この改良型は凝集処理された家畜汚水の固形分を装置が目詰まり等を起こす恐れも少なく、連続的にコンベヤで搬送中の家畜糞尿スラリーを高速で圧搾処理して、堆肥化に適する低含水率まで固液分離することができ、しかもメンテナンスも殆ど必要でなく大量処理ができ、且つ脱水処理により固形異物含有量(SS)、生化学的酸素要求量(BOD)の少ない良好な処理水を大量に得、再び原水槽に戻して再脱水処理する汚水量を低減させることができ、設備コストを含む単位処理コストを従来よりも飛躍的に低減することが可能な家畜糞尿圧搾装置及び該装置を用いた家畜糞尿固液分離システムを提供するものであった。
【特許文献1】特開2003−205298号公報 「家畜尿汚水の処理装置」 平成15年7月22日公開
【特許文献2】実用新案登録第3091008号公報 「糞尿固液分離装置」 平成15年1月17日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、浄化槽で処理した濾液にポリ硫酸第二鉄と有機凝集剤を加えて攪拌して反応をさせて着色物質を固体成分として分離させる先の畜産処理水の脱色処理方法における、固形分を除去する工程に、固液分離装置として性能の優れた先のスクリーンコンベアを採用したコンパクトなシステムを提供することにある。また、この固液分離装置を畜産処理水の脱色処理だけでなく、畜産汚物処理工程における当初の糞等の固液分離にも兼用できるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の浄化槽処理水の脱色処理機能を備えた固液分離システムは、浄化槽で曝気処理した濾液にポリ硫酸第二鉄を加える手段と、ポリ硫酸第二鉄が加えられた液を導入して攪拌反応させる第1の反応タンクと、該第1の反応タンクで処理された液を第2の反応タンクへ移送する途上で有機凝集剤を加える手段と、前記第2の反応タンクで反応処理されて固体と液体成分に分離させたスラリーを傾斜配置されて連続駆動されるスクリーンコンベアの上流側の低い位置に供給する手段と、連続的にコンベヤで搬送中のスラリーを圧搾処理して固液分離する手段とを備えるようにした。
また、濾液にポリ硫酸第二鉄を加える手段の好ましい形態は、仕切板によって区画された筒状のタンクであって、下方の上流区画内でポリ硫酸第二鉄が添加され、上方の下流区域で活性炭等の添加物が加えられるものとした。
【0009】
本発明の浄化槽処理水の脱色処理機能を備えた固液分離システムは、固液分離する手段として、スクリーンコンベアの往路上面に搾りローラを複数段設け、下流側に向かって上昇搬送する間に、その自重と搾りローラによる圧力でスラリーの液分が分離してスクリーンコンベアの網目から落下し、固形分はその下流側端部から落下することによって固液分離を行うようにした。
本発明の浄化槽処理水の脱色処理機能を備えた固液分離システムは、第1の反応タンクには原尿槽からの原水に有機凝集剤を加える手段を備えた導入路が別途設置されるようにした。
異なる形態では、第1の反応タンクで処理された液を第2の反応タンクへ移送する途上で有機凝集剤を加える手段を別途備えるようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の浄化槽処理水の脱色処理機能を備えた固液分離システムは、浄化槽で曝気処理した濾液にポリ硫酸第二鉄を加える手段と、ポリ硫酸第二鉄が加えられた液を導入して攪拌反応させる第1の反応タンクと、該第1の反応タンクで処理された液を第2の反応タンクへ移送する途上で有機凝集剤を加える手段と、前記第2の反応タンクで反応処理されて固体と液体成分に分離させたスラリーを傾斜配置されて連続駆動されるスクリーンコンベアの上流側の低い位置に供給する手段と、連続的にコンベヤで搬送中のスラリーを圧搾処理して固液分離する手段とを備えるようにしたものであるから、一連のコンパクトなシステム構成によってポリ硫酸第二鉄による凝集、有機凝集剤による凝集と二段反応処理によって濾液中に含まれる色素成分の固化を効果的に行うことが出来、それを固液分離したもののうち固形分は発酵工程へ、液体はそのまま公共排水へ放流できるだけでなく、二次用水として再利用可能な水を得ることが出来る。
【0011】
また、濾液にポリ硫酸第二鉄を加える手段の好ましい形態は、仕切板によって区画された筒状のタンクであって、上流区画内でポリ硫酸第二鉄が添加され、下流区域で活性炭等の添加物が加えられるものとしたので、ポリ硫酸第二鉄を加える第一段の反応で活性炭等の添加を実行することにより、脱水効果を上げるだけでなく微小な繊維状物質をそれらに吸着させて除去することができるのでスクリーンコンベアは目詰まりを起こすこともなく低メンテナンス負担で処理を行うことが出来る。
更に、本発明の浄化槽処理水の脱色処理機能を備えた固液分離システムは、固液分離する手段として、スクリーンコンベアの往路上面に搾りローラを複数段設け、下流側に向かって上昇搬送する間に、その自重と搾りローラによる圧力でスラリーの液分が分離してスクリーンコンベアの網目から落下し、固形分はその下流側端部から落下することによって固液分離を行うというものであるから、分離された固形分は75〜85%の含水量にまで除水されているので使用するおが屑等の添加物は少ない量で発酵反応にはいることが出来る。
【0012】
本発明の浄化槽処理水の脱色処理機能を備えた固液分離システムは、第1の反応タンクには原尿槽からの原水に有機凝集剤を加える手段を備えた導入路が別途設置されるようにしたものであるから、第1反応タンクから第2反応タンクと傾斜配置されて連続駆動されるスクリーンコンベアの上流側の低い位置に供給する手段と、連続的にコンベヤで搬送中のスラリーを圧搾処理して固液分離する手段とを畜産汚物処理工程における当初の糞等の固液分離にも兼用することができる。一般に畜産汚物処理をおこなうシステムには広いスペースを必要とするが、このシステムによって、一層の省スペース化を図ることが出来る。
また、第1の反応タンクで処理された液を第2の反応タンクへ移送する途上で有機凝集剤を加える手段を別途備えた異なる形態によれば、畜産汚物処理工程における当初の糞等の固液分離のときと浄化槽濾液の脱色処理の際とでは最適な有機凝固剤を、簡単な切替動作によって選択して使用することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る浄化槽処理水の脱色処理機能を備えた固液分離システムの1実施形態について、図1乃至図4を参照しながら詳細に説明する。この実施形態装置1は、畜産処理水の脱色処理だけでなく、畜産汚物処理工程における当初の糞等の固液分離機能を備えたシステムとなっている。図1に示されるように、基台50の上に第1の反応タンク51と第2の反応タンク52が設置され、第1の反応タンク51には内周側面に固定された羽根が、中央部には回転羽根が設置され、両方の羽根の相互作用により収納された液は攪拌する機能を備えている。また、第2の反応タンク52にも中央部には回転羽根が設置されている。前記第1の反応タンク51にはアクリル製の小タンク55を経て浄化槽の濾液が導入される経路53と、流量調整タンク56を経て原尿槽からの原水が導入される経路54とが配置され、該経路54にはカチオン凝集剤が添加される添加口60が配設されている。アクリル製の小タンク55は図3に示すように透明の円筒形状のもので、上下に仕切板57を介して区画されており、この例では中央部分に穴が開いた仕切板57が用いられ、底部分に浄化槽の濾液が導入される流入口70が上方から仕切板57を突き抜けてポリ硫酸第二鉄が添加されるパイプ61とが配置されている。仕切板57の上方区画には活性炭の他古紙やPH調整剤などが混合された添加物が投入されるパイプ64が配置され、流れる流体添加されるようになっている。また、第1の反応タンク51で処理された流体が流路58を経て第2の反応タンク52へ送られるが、この途中にはアニオン又はノニオン凝集剤の添加口62とカチオン凝集剤の添加口63とが配設されている。更に前記第2の反応タンク52の上部から凝集した固形分が浮いている凝集スラリーをスクリーンコンベアの上流端部に供給する凝集スラリー供給樋59が配置されている。以上が処理水の凝集工程の構成である。
【0014】
次に固液分離工程の構成について説明する。この部分の構成は先の特願2003−323764号の「家畜糞尿圧搾装置及び該装置を用いた家畜糞尿固液分離システム」と基本的に同じものである。図2に示されるように、複数本の支柱2で支持された本体フレーム3の両端部に設けられた駆動ロール4a、従動ロール4b間に無端ベルト状のスクリーンコンベア5が掛け渡され、該スクリーンコンベアが図示しないモータで回転駆動される。スクリーンコンベアは、下流側が上流側よりも若干高くなるように傾斜状態に設置してある。そして、その往路側には上流から順に、凝集スラリー供給樋59、3つの予備圧搾ローラ8、圧搾ローラ10が配置され、復路側には、シャワー12と回転ブラシ13が対になっている洗浄装置14が所定間隔をおいて2組配置され、そして該洗浄装置間にコンベヤの内側から加圧エアを吹きつけるエアノズル群15が配置されている。
【0015】
圧搾ローラ10は、圧搾部を構成する重要な構成部材であり、1つの圧搾ローラを用いて圧搾するように構成しているが、必ずしも1段に限らず、処理量に応じて複数の圧搾ローラを用いて多段に構成してもよい。圧搾ローラ10は、有効な圧搾効果を得るには直径が40〜100cm程度の径大とするのが望ましく、またその表面は滑らかなものが望ましい。本実施形態では圧搾ローラ10が、直径約70cm程度のステンレスローラで形成され、その軸が本体フレーム3に上下動調節可能に支持された軸受けに自由回転可能に軸受されている。そして、該圧搾ローラ10に対してスクリーンコンベア5は、これらの圧搾ローラの下側外周面の90°〜180°、より望ましくは160°〜180°の範囲に亘ってローラの下側外周面に沿って移動し、搬送中の固形分ケーキが該スクリーンコンベアとローラ面との間に噛み込まれて帯状に圧搾されるような、位置関係で設けられている。そのため、圧搾ローラ10への入口側でスクリーンコンベア5を下方に屈曲案内するロール入口側案内ロール16と、圧搾ローラ10の出口側でスクリーンコンベアを屈曲案内する出口側案内ロール17を設けてある。両側の案内ロールとも回転自在に軸受され、該軸受は、圧搾ローラの径方向に調節可能に本体フレーム3に設けられており、入口側案内ロール16は固形分ケーキが圧搾ローラ10とスクリーンコンベア5との間にスムーズに噛み込まれるように、圧搾ローラ10との隙間を調節して、最適位置で固定する。一方、出口側案内ロール17は図4に示すように、該出口側案内ロールの軸受支持プレート24と本体フレーム3に突出して設けたボルト等の適宜のブラケット20との間にスプリング21を設け、出口側案内ロールを圧搾ローラ側に所定圧力で付勢して、スクリーンコンベア5による圧搾力を得ている。したがって、スプリング21のバネ力を調節することにより、固形分ケーキの圧搾力を調整することができ、適正な含水率を維持することができる。
【0016】
また、圧搾ローラ10の下方外周面に沿って過負荷が作用した際にスクリーンコンベアの外方への拡がりを防止するために複数の規制ローラ18、19が設けられている。該規制ローラもスクリーンコンベア5の搬送面と圧搾ローラ外周面との最大隙間を調節できるように、本体フレーム3にその軸受が調節可能に設けられている。予備圧搾ローラ8は、凝集スラリー供給樋59を介してスクリーンコンベア上に投入された固形分ケーキをスクリーンコンベアで均等厚さにならす役割と軽く予備圧搾する役割を果たすものであり、そのローラ径は前記圧搾ローラ10のそれよりも小さく形成されており、図示のように、スクリーンコンベア面よりも深く位置して圧搾ローラ10と同様に所定角度範囲にわたってスクリーンコンベア5が予備圧搾ローラ8の外周面に沿うように配置してもよく、あるいはスクリーンコンベア面と略同じ高さか僅かな隙間を有するように配置してもよい。
【0017】
一方、復路側に配置されているシャワー12は、スクリーンコンベアの内側に該コンベヤを横断するように配置されたマニホルド管に所定間隔で複数個のノズルが配置され、スクリーンコンベアの内側から圧力水を噴射することにより、スクリーンコンベア5に付着している固形物を洗浄除去する。また、シャワー12と対向するように配置された回転ブラシ13は、毛足の長い硬い植物繊維を植え込んだ複数個の棒体を回転フレームに放射状に配置して構成され、糞尿スラリーが載る表面を掻き落とすようになっている。したがって、内側から洗浄水が噴射され、外側から回転ブラシで汚れが掻き押されるので、効果的に汚れが除去され目詰まりが防止される。しかも、本実施形態では、回転ブラシ(シャワー)の下流側にコンベヤの内側からブロワー27によって加圧エアを噴射するエアノズル群を配置しているので、スクリーンコンベアの内面に水膜となって残留している汚水が内部より吹き飛ばされ、目詰りの原因となり易い水膜を確実に除去することができ、より効果的に目詰まりを防止することができる。
【0018】
スクリーンコンベア5の往路側の下方には、図2に示すように、往路搬送中にスクリーンコンベア5から透過した分離水を受ける分離水受樋11が無端コンベヤ内に設けられ、分離された液体は分離槽30に貯留される。また、スクリーンコンベア5の復路側の下方には洗浄排水を受ける洗浄排水受け樋26が設けられ、洗浄排水は回収されて洗浄排水槽に集められ、そこから原水槽にポンプで供給される。
【0019】
以上のように構成された本実施形態の浄化槽処理水の脱色処理機能を備えた固液分離システムは、まず、畜産汚物処理工程における当初の段階で行われる糞等の固液分離の際に使用される。原水槽から流量調整タンク56を経て供給される原水は流路54の途上で凝集剤添加口60からカチオン凝集剤が添加され、第1の反応タンク51内に導入され、この第1の反応タンク51内で攪拌され、固定羽根と回転羽根の協働により凝集反応が促進されてフロック形成がなされる。この流体は流路58を経て第2の反応タンク52へ搬送されるが、その途中で凝集剤添加口63から再度カチオン凝集剤が添加される。第2の反応タンク52内では回転羽根が緩やかに回され、フロック形成が促進される。この最初の固液分離に用いる凝集剤はアニオンやノニオン系ではなくカチオン系の有機凝集剤が効果的である。形成されたフロックは凝集スラリー供給樋59を経てスクリーンコンベア5の上流に導入される。液体分はスクリーンコンベア5の網目を通して流下し、固体分がスクリーンコンベア5の上面に漉かれる。この固体分は多量の水分を含んでおり、スクリーンコンベア5で搬送される途上3つの予備圧搾ローラ8によって順次軽く絞られる。絞られた水分はスクリーンコンベア5の網目を通して流下する。更にスクリーンコンベア5の下流側で濾された固形分は圧搾ローラ10と出口側案内ロール17によって固く絞られ、絞られた水分はスクリーンコンベア5の網目を通して流下する。網目から流下した水分は無端コンベヤ内に設けられ分離水受樋11に受けられ、分離された液体は分離槽30に貯留される。この分離液は浄化槽へ移送され、バッキ処理が施される。濾された固体分は先端の従動ロール4bの部分で無端ベルト状のスクリーンコンベア5から落下され、固形分収集ピット35へ蓄積される。蓄積された固形分は適宜発酵施設に移送されるが、75〜85%の含水量にまで除水されているのでおが屑等の添加物を多量に用いることなく発酵反応にはいることが出来る。
【0020】
次に、第1の反応タンク51への流入路が54から53に切り替えられ、浄化槽の濾液の脱色処理にこの本実施形態の浄化槽処理水の脱色処理機能を備えた固液分離システムの作動について説明する。浄化槽の濾液は濾液導入口70からアクリル製小タンク55の下方から供給され、投入パイプ61からポリ硫酸第二鉄が添加される。ポリ硫酸第二鉄が添加された流体は分離板57によって分離された区分に送られそこに貯蔵されている活性炭の他古紙やPH調整剤などが混合された添加物が、投入パイプ64から流体中に添加されて導入路53を経て第1の反応タンク51へ導入される。この混合流体は第1の反応タンク51内で攪拌され、固定羽根と回転羽根の協働により凝固反応が促進されてフロック形成がなされる。この段階で、スクリーンの目詰まりを起こす元凶である微細な繊維成分は活性炭や古紙等に効果的に吸着される。この流体は流路58を経て第2の反応タンク52へ搬送されるが、その途中で凝集剤添加口62からアニオン又はカチオン系の有機凝集剤が添加される。第2の反応タンク52内では回転羽根が緩やかに回され、フロック形成が促進される。この浄化槽の濾液脱色に用いる凝集剤はカチオン系ではなくアニオンやノニオン系有機凝固剤を用いるが排水の際の魚毒性を考慮すると好ましい。形成されたフロックは凝集スラリー供給樋59を経てスクリーンコンベア5の上流に導入される。液体分はスクリーンコンベア5の網目を通して流下し、固体分がスクリーンコンベア5の上面に漉かれる。この固体分は多量の水分を含んでおり、スクリーンコンベア5で搬送される途上3つの予備圧搾ローラ8によって順次軽く絞られる。絞られた水分はスクリーンコンベア5の網目を通して流下する。更にスクリーンコンベア5の下流側で濾された固形分は圧搾ローラ10と出口側案内ロール17によって固く絞られ、絞られた水分はスクリーンコンベア5の網目を通して流下する。網目から流下した水分は無端コンベヤ内に設けられ分離水受樋11に受けられ、分離された液体は分離槽30に貯留される。このときの分離液は綺麗な水であり、そのまま公共の排水路に流して問題はない。ただし、最初の固液分離に使用した後の切替当初は分離槽30や分離水受樋11が尿液で汚されているので、しばらくは洗浄運転してその際の洗浄水は浄化槽へ移送し、洗浄後は二次用水として使用若しくは公共の排水路に流す。濾された固体分は先端の従動ロール4bの部分で無端ベルト状のスクリーンコンベア5から落下され、最初の固液分離のものと一緒に固形分収集ピット35へ蓄積される。蓄積された固形分は適宜発酵施設に移送されるが、75〜80%の含水量にまで除水されているのでおが屑等の添加物を多量に用いることなく発酵反応にはいることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の1実施形態の平面図である。
【図2】本発明の1実施形態における固液分離装置の側面図である。
【図3】本発明の1実施形態におけるアクリル製小タンクを説明する図である。
【図4】本発明の1実施形態における圧搾ロールと出口側案内ロールの作動を説明する図である。
【図5】従来の固液分離装置を説明する図である。
【図6】従来の畜産汚水処理における脱色装置を説明する図である。
【符号の説明】
【0022】
1 脱色処理機能を備えた固液分離システム 2 支柱
3 本体フレーム 4a 駆動ロール
4b 従動ロール 5 スクリーンコンベア
8 予備圧搾ローラ 10 圧搾ローラ
11 分離水受樋 12 シャワー
13 ブラシ 14 洗浄装置
15 エアノズル群 16 入口側案内ロール
17 出口側案内ロール 20 ブラケット
21 スプリング 24 軸受支持プレート
27 ブロア 30 分離槽
35 固形分収集ピット 50 基台
51 第1の反応タンク 52 第2の反応タンク
53,54、58 流路 55 アクリル製の小タンク
56 流量調整タンク 57 仕切板
59 凝集スラリー供給樋 60,62,63 有機凝集剤添加口
61 ポリ硫酸第二鉄投入パイプ 64 活性炭等添加剤投入パイプ
70 浄化槽の濾液流入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄化槽で曝気処理した濾液にポリ硫酸第二鉄を加える手段と、ポリ硫酸第二鉄が加えられた液を導入して攪拌反応させる第1の反応タンクと、該第1の反応タンクで処理された液を第2の反応タンクへ移送する途上で有機凝集剤を加える手段と、前記第2の反応タンクで反応処理されて固体と液体成分に分離させたスラリーを傾斜配置されて連続駆動されるスクリーンコンベアの上流側の低い位置に供給する手段と、連続的にコンベヤで搬送中のスラリーを圧搾処理して固液分離する手段とからなる浄化槽処理水の脱色処理機能を備えた固液分離システム。
【請求項2】
濾液にポリ硫酸第二鉄を加える手段は、仕切板によって区画された筒状のタンクであって、上流区画内でポリ硫酸第二鉄が添加され、下流区域で活性炭等の添加物が加えられるものである請求項1に記載の浄化槽処理水の脱色処理機能を備えた固液分離システム。
【請求項3】
固液分離する手段は、スクリーンコンベアの往路上面に搾りローラを複数段設け、下流側に向かって上昇搬送する間に、その自重と搾りローラによる圧力でスラリーの液分が分離してスクリーンコンベアの網目から落下し、固形分はその下流側端部から落下することによって固液分離を行うというものである請求項1又は2に記載の浄化槽処理水の脱色処理機能を備えた固液分離システム。
【請求項4】
第1の反応タンクには原尿槽からの原水に有機凝集剤を加える手段を備えた導入路が別途備えられたことにより、畜産汚物処理工程における当初の糞等の固液分離にも兼用できる機能を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の浄化槽処理水の脱色処理機能を備えた固液分離システム。
【請求項5】
第1の反応タンクで処理された液を第2の反応タンクへ移送する途上で有機凝集剤を加える手段を別途備えることにより、浄化槽処理水の脱色処理の場合と糞等の固液分離処理の場合とで異なる有機凝集剤の使い分けが出来る機能を備えたことを特徴とする請求項4に記載の浄化槽処理水の脱色処理機能を備えた固液分離システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−281040(P2006−281040A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−101987(P2005−101987)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(502231454)アイケイ商事株式会社 (8)
【Fターム(参考)】