説明

浴室乾燥機

【課題】被乾燥物からの水分の蒸発量が少なくなる状態となる前に、換気量を減少させることを抑制し、かつ、被乾燥物からの水分の蒸発量が少なくなった状態での換気量を、被乾燥物の乾燥を促進できる換気量に調整して、被乾燥物の乾燥効率を向上できる浴室乾燥機を提供する。
【解決手段】換気機能付暖房手段の作動を制御する制御手段1が、乾燥運転を開始したのちにおいて浴室内の絶対湿度が低下傾向になったとき、又は、その低下傾向を示す傾きの設定時間内の変化が設定範囲となる傾き安定状態になったときに、外気の温度、及び、外気の絶対湿度又は相対湿度に対応して、乾燥を促進する目標換気量を定めた換気量設定関係情報に基づいて、目標換気量を求めて、換気手段の換気量を目標換気量に調整する換気量調整制御を実行するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内の空気を吸引して外部に排出する換気手段、前記浴室内の空気を吸引しかつその空気を前記浴室内に吹き出す循環手段、及び、前記循環手段にて通風される空気を加熱する空気加熱手段を備えた換気機能付暖房手段と、前記換気機能付暖房手段の作動を制御する制御手段とが設けられ、
前記制御手段が、乾燥運転開始が指令されると、乾燥運転用の作動状態として定めた乾燥運転作動状態にて、前記換気機能付暖房手段を作動させて乾燥運転を実行し、且つ、運転終了条件が満たされると、前記乾燥運転を停止するように構成された浴室乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる浴室乾燥機は、浴室を換気しながら、浴室内の空気を空気加熱手段にて加熱して浴室内に吹き出すことにより、浴室内に存在する洗濯物等の被乾燥物を乾燥するようにしたものである。
ちなみに、浴室内の空気を吸引して外部に排出する換気手段が作動されると、浴室の扉に設けたギャラリー等から、浴室に隣接する脱衣室等、浴室外の外気が浴室内に流動して、浴室が換気されることになり、この換気により、被乾燥物から放出される水分が浴室外に排出されることなる。
尚、洗濯物等の被乾燥物を乾燥する場合には、一般に、被乾燥物を支持する物干しバーが浴室の対向する側壁の間に配置されて、その物干しバーに、被乾燥物を直接支持することや、被乾燥物を保持するハンガーを支持することが行われる。
【0003】
換気機能付暖房手段は、浴室の天井部に設置されることが多いが、浴室の側壁部に設置されることもある。
そして、換気機能付暖房手段に装備する空気加熱手段としては、熱源機からの熱媒(例えば、80℃の温水)が循環供給される熱交換器が用いられることが多いが、電気ヒータを用いた電気式の加熱器が使用される場合もある。
【0004】
このような浴室乾燥機の従来例として、乾燥運転を開始したのち、浴室内の相対湿度が低下傾向になると、換気手段としての換気ファンを、強運転から弱運転に切換えるように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
つまり、この従来例は、乾燥運転を開始して一定時間内では、浴室内の温度上昇に伴って、被乾燥物(衣類)からの蒸発量が多く、浴室内の湿度(相対湿度)が高くなっているので、換気ファンを強運転することにより、浴室内の水分を的確に排出させる。
【0006】
そして、乾燥運転を開始してから一定時間が経過したのちにおいては、先ず、被乾燥物(衣類)からの水分の蒸発量が安定して、浴室内の温度が安定するとともに、浴室内の湿度(相対湿度)も安定することになるが、その後、被乾燥物(衣類)からの水分の蒸発量が少なくなると、浴室内の温度が上昇するとともに、浴室内の湿度(相対湿度)が低下することになるので、その低下傾向を湿度センサにて検知して、換気ファンを強運転から弱運転に切換えることによって、浴室内の温度の高温化により、被乾燥物(衣類)の温度を上昇させることにより乾燥を促進させるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−216299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来例は、被乾燥物からの水分の蒸発量が多い乾燥初期においては、被乾燥物から蒸発される水分を的確に浴室外に排出し、被乾燥物からの水分の蒸発量が少なくなったときには、浴室内の温度の高温化により、被乾燥物の乾燥を促進させるようにしたものであるが、被乾燥物の乾燥を十分に促進できない虞があった。
【0009】
すなわち、上記従来例では、被乾燥物からの水分の蒸発量が少なくなった状態であることを、浴室内の相対湿度が低下傾向になることにより判別し、換気量を減少させて浴室温度の高温化を図るが、換気量の減少に伴い、被乾燥物から蒸発した水分を浴室外に排出する能力は低下するため、被乾燥物の乾燥効率を悪化させてしまう虞があった。
【0010】
つまり、浴室内の温度は、乾燥を開始すると、浴室内の空気を空気加熱手段にて加熱して浴室内に吹き出すことにより、上昇するものであるが、浴室内の温度は、換気手段の換気に伴って浴室内に流入する外気の温度および、浴室内外の温度差に起因する放熱の影響を受けるものであるため、例えば、外気の温度が高いときには、浴室内の温度は上昇しやすく、被乾燥物からの水分蒸発量が少なくなった状態であると誤判定する虞があった。
【0011】
また、上記従来例では、浴室内の相対湿度が低下傾向になると、単に、換気ファンを強運転から弱運転に切換えて、浴室の換気量を減少させるものであるが、被乾燥物からの水分の蒸発量が少なくなった状態において、浴室の換気量を減少させても、必ずしも、被乾燥物の乾燥を促進できないものであり、改善が望まれるものであった。
【0012】
すなわち、被乾燥物からの水分の蒸発量が少なくなった状態おいて、被乾燥物の乾燥効率を向上させるには、浴室内の温度を高温に維持し、浴室内の相対湿度あるいは絶対湿度を低湿度に維持することが好ましいものである。
従来では、被乾燥物からの水分の蒸発量が少なくなった状態において、単に、浴室の換気量を減少させるものであるから、浴室の温度を高温化することはできても、浴室内の相対湿度あるいは絶対湿度を低湿度にすることができないため、被乾燥物の乾燥を促進できない虞があった。
【0013】
つまり、例えば、換気手段の換気に伴って浴室内に流動する外気の温度が高く、かつ、湿度が低い場合には、浴室の換気量を減少させるよりも、浴室の換気量を減少させずに維持するあるいは増加させた方が、浴室内の温度を高温に維持し、浴室内の相対湿度あるいは絶対湿度を低湿度に維持することができるものであるが、このような場合においても、従来では、単に、浴室の換気量を減少させるものであるから、浴室の温度を高温化することはできても、浴室内の相対湿度あるいは絶対湿度を低湿度にすることができないため、被乾燥物の乾燥を促進できない虞があった。
【0014】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、被乾燥物からの水分の蒸発量が少なくなる状態となる前に、換気量を減少させることを抑制し、かつ、被乾燥物からの水分の蒸発量が少なくなった状態での換気量を、被乾燥物の乾燥を促進できる換気量に調整して、被乾燥物の乾燥効率を向上できる浴室乾燥機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の浴室乾燥機は、浴室内の空気を吸引して外部に排出する換気手段、前記浴室内の空気を吸引しかつその空気を前記浴室内に吹き出す循環手段、及び、前記循環手段にて通風される空気を加熱する空気加熱手段を備えた換気機能付暖房手段と、
前記換気機能付暖房手段の作動を制御する制御手段とが設けられ、
前記制御手段が、乾燥運転開始が指令されると、乾燥運転用の作動状態として定めた乾燥運転作動状態にて、前記換気機能付暖房手段を作動させて乾燥運転を実行し、且つ、運転終了条件が満たされると、前記乾燥運転を停止するように構成されたものであって、
前記換気手段の換気作動に伴って前記浴室内に流動する外気の絶対湿度を検出する外気湿度検出手段、及び、前記浴室内の絶対湿度を検出する浴室湿度検出手段が設けられ、その第1特徴構成は、
前記換気手段の換気作動に伴って前記浴室内に流動する外気の絶対湿度又は相対湿度を検出する外気湿度検出手段、前記換気手段の換気作動に伴って前記浴室内に流入する外気の温度を検出する外気温度検出手段、及び、前記浴室内の絶対湿度を検出する浴室湿度検出手段が設けられ、
前記制御手段は、
前記外気湿度検出手段、前記外気温度検出手段、及び、前記浴室湿度検出手段の検出情報に基づいて、前記乾燥運転を開始したのちにおいて前記浴室内の絶対湿度が低下傾向になったとき、又は、その低下傾向を示す傾きの設定時間内の変化が設定範囲となる傾き安定状態になったときに、前記外気の温度、及び、前記外気の絶対湿度又は相対湿度に対応して、乾燥を促進する目標換気量を定めた換気量設定関係情報に基づいて、前記目標換気量を求めて、
前記乾燥運転作動状態にて定める基準換気量に代えて、前記換気手段の換気量を前記目標換気量に調整する換気量調整制御を実行するように構成されている点を特徴とする。
【0016】
すなわち、制御手段が、乾燥運転を開始したのちにおいて浴室内の絶対湿度が低下傾向になったとき、又は、その低下傾向を示す傾きの設定時間内の変化が設定範囲となる傾き安定状態になったときに、換気量調整制御を実行することになる。
【0017】
つまり、外気の温度、及び、外気の絶対湿度又は相対湿度に対応して、乾燥を促進する目標換気量を定めた換気量設定関係情報に基づいて、目標換気量を求めることになる。
そして、乾燥運転作動状態にて定める基準換気量に代えて、換気手段の換気量を目標換気量に調整することになる。
【0018】
このように、乾燥運転を開始したのちにおいて浴室内の絶対湿度が低下傾向になったとき、又は、その低下傾向を示す傾きの設定時間内の変化が設定範囲となる傾き安定状態になったときに、換気量調整制御を実行するものであって、乾燥運転がおこなわれているときの浴室内の絶対湿度は、浴室内に流動する外気に被乾燥物からの放出された水分を加えた値に相当することになるため、上述の如く、低下傾向になったときや、傾き安定状態になったときには、被乾燥物からの水分の蒸発量が少なくなった状態であることは明らかで
り、被乾燥物からの水分の蒸発量が少なくなった状態のあとで、換気量調整制御が実行されることになる。
【0019】
換気量調整制御は、外気の温度、及び、外気の絶対湿度又は相対湿度に対応して、乾燥を促進する目標換気量を定めた換気量設定関係情報に基づいて、目標換気量を求めるものであって、換気量設定情報は、外気の温度、及び、外気の絶対湿度又は相対湿度に対応して、乾燥を促進する目標換気量を定めるものであるから、乾燥を促進する目標換気量を、外気の温度、及び、外気の絶対湿度又は相対湿度に対応して定めることができる。
【0020】
つまり、換気量設定関係情報として、外気の温度が低く、かつ、外気の絶対湿度又は相対湿度が高いときには、目標換気量を、少なめの換気量に設定し、また、外気の温度が高く、かつ、外気の絶対湿度又は相対湿度が低いときには、目標換気量を、多めの換気量に設定することができるように定めておくことにより、乾燥を促進する目標換気量を、外気の温度、及び、外気の絶対湿度又は相対湿度に対応して定めることができる。
尚、換気量設定関係情報を定めるに際の具体的な数値は、実験結果に基づいて、適正な数値を定めることになる。
【0021】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、被乾燥物からの水分の蒸発量が少なくなる状態となる前に、換気量を減少させることを抑制し、かつ、被乾燥物からの水分の蒸発量が少なくなった状態での換気量を、被乾燥物の乾燥を促進できる換気量に調整して、被乾燥物の乾燥効率を向上できる浴室乾燥機を提供できる。
【0022】
本発明の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記浴室湿度検出手段が、前記循環手段にて吸引される空気の絶対湿度を前記浴室の絶対湿度として検出するように設けられ、
前記制御手段が、前記換気量調整制御を実行する前に、前記浴室の絶対湿度から前記外気の絶対湿度を減算した湿度差と、前記換気手段の前記基準換気量との積を記憶し、その積よりも、前記換気量調整制御を実行したのちの、前記浴室の絶対湿度から前記外気の絶対湿度を減算した湿度差と、前記換気手段の前記目標換気量との積が、小さいときには、前記換気手段の換気量を、前記乾燥運転作動状態にて定めた前記基準換気量に戻すように構成されている点を特徴とする。
【0023】
すなわち、制御手段が、換気量調整制御を実行する前に、浴室の絶対湿度から外気の絶対湿度を減算した湿度差と、換気手段の基準換気量との積を記憶する。
また、換気量調整制御を実行したのちにおいて、浴室の絶対湿度から外気の絶対湿度を減算した湿度差と、換気手段の目標換気量との積を求める。
そして、換気量調整制御を実行する前に記憶した積よりも、換気量調整制御を実行したのちに求めた積が、小さいときには、換気手段の換気量を、乾燥運転作動状態にて定めた基準換気量に戻すように構成されている。
【0024】
つまり、乾燥運転が行われると、被乾燥物から水分が放出されるため、浴室内の絶対湿度は、浴室内に流動する外気に被乾燥物からの放出された水分を加えた値に相当することになり、浴室内の絶対湿度と外気の絶対湿度との湿度差は、被乾燥物から放出される水分量に対応する値であり、その湿度差に対応する水分量が、換気手段の換気に伴って浴室外に順次排出されることになる。
【0025】
このため、湿度差と換気手段の基準換気量との積は、換気手段が基準換気量である状態での、浴室からの排水量を示し、湿度差と換気手段の目標換気量との積は、換気手段が目標換気量である状態での、浴室からの排水量を示すことになる。
そして、換気手段が目標換気量である状態での、浴室からの排水量が、換気手段が基準換気量である状態での、浴室からの排水量よりも小さいときには、換気手段の換気量を基準換気量にした方が、被乾燥物の乾燥効率を高めることができるので、換気手段の換気量を基準換気量に戻すようにするのである。
【0026】
説明を加えると、一般には、換気量設定情報に基づいて求められる目標換気量にて換気手段を作動させる方が、基準換気量にて換気手段を作動させるよりも、浴室からの排水量を増加させることができるものであるが、被乾燥物の状態等の種々の変化によって、基準換気量にて換気手段を作動させた方が、目標換気量にて換気手段を作動させるよりも、浴室からの排水量を増加することがあるので、そのような場合には、基準換気量にて換気手段を作動させことにより、目標換気量にて換気手段を作動させることによって、被乾燥物の乾燥効率が低下することを抑制するのである。
【0027】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、換気量調整制御によって換気量を調整することにより、被乾燥物の乾燥効率が低下することを抑制できる浴室乾燥機を提供できる。
【0028】
本発明の第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記循環手段にて前記浴室内に吹き出す空気の吹出方向を変更する吹出方向変更手段が設けられ、
前記浴室湿度検出手段が、前記循環手段にて吸引される空気の絶対湿度を前記浴室の絶対湿度として検出するように設けられ、
前記制御手段が、
乾燥運転開始が指令されると、前記循環手段にて前記浴室内に吹き出す空気の吹出方向を乾燥運転用の初期吹出方向に向けるように、前記吹出方向変更手段を作動させ、かつ、
前記換気量調整制御を実行する前、又は、前記換気量調整制御を実行した後に、前記循環手段にて前記浴室内に吹出す空気の吹出方向を、前記浴室湿度検出手段にて検出される湿度の単位時間当たりの低下量が小さな方向に向けるように調整すべく、前記吹出方向変更手段を作動させる吹出方向調整制御を実行するように構成されている点を特徴とする。
【0029】
すなわち、制御手段は、乾燥運転開始が指令されると、循環手段にて浴室内に吹き出す空気の吹出方向を乾燥運転用の初期吹出方向に向けるように、吹出方向変更手段を作動させる。
ちなみに、乾燥運転用の初期吹出方向とは、被乾燥物を干す箇所に、被乾燥物が通常通り干された場合において、被乾燥物を効率良く乾燥できる方向として定められた方向である。
【0030】
そして、制御手段が、換気量調整制御を実行する前、又は、換気量調整制御を実行した後に、循環手段にて浴室内に吹出す空気の吹出方向を、浴室湿度検出手段にて検出される湿度の単位時間当たりの低下量が小さな方向に向けるように調整すべく、吹出方向変更手段を作動させる吹出方向調整制御を実行する。
【0031】
つまり、循環手段にて浴室内に吹出す空気の吹出方向が、湿度の高い被乾燥物が多量に存在する等、乾燥負荷が大きな方向に向かう状態であるときには、浴室湿度検出手段にて検出される湿度の単位時間当たりの低下量が小さくなるが、循環手段にて浴室内に吹出す空気の吹出方向が、湿度の低い被乾燥物が少量に存在する等、乾燥負荷が小さな方向に向かう状態であるときには、浴室湿度検出手段にて検出される湿度の単位時間当たりの低下量が大きくなる。
【0032】
そこで、循環手段にて浴室内に吹出す空気の吹出方向を、浴室湿度検出手段にて検出される湿度の単位時間当たりの低下量が小さな方向に向けるように調整すべく、吹出方向変更手段を作動させることにより、循環手段にて浴室内に吹出す空気の吹出方向を、乾燥負荷の大きな方向に向けて、被乾燥物の乾燥効率を向上できるのである。
【0033】
ちなみに、循環手段にて浴室内に吹出す空気の吹出方向を、浴室湿度検出手段にて検出される湿度の単位時間当たりの低下量が小さな方向に向けるように調整する形態としては、種々の形態が適用できるものである。
例えば、初期吹出方向から最初に変更する方向や、その次に変更する方向を予め決めておき、最初に変更する方向に向けた状態における、浴室湿度検出手段にて検出される湿度の単位時間当たりの低下量が、初期吹出方向に向けた状態における、浴室湿度検出手段にて検出される湿度の単位時間当たりの低下量よりも小さいか否かを判別し、小さいときには、最初に変更する方向を、空気の吹出方向に決定し、小さくないときには、次に変更する方向に、吹出方向を変更する。
そして、次に変更する方向に向けた状態における、浴室湿度検出手段にて検出される湿度の単位時間当たりの低下量が、初期吹出方向に向けた状態における、浴室湿度検出手段にて検出される湿度の単位時間当たりの低下量よりも小さいか否かを判別し、小さいときには、次に変更する方向を、空気の吹出方向に決定し、小さくないときには、初期吹出方向を、乾燥用空気の吹出方向に決定する形態が考えられる。
【0034】
また、別の形態としては、吹出方向を変更する複数の吹出方向を予め定めて、その定めた複数の吹出方向に順次変更しながら、各吹出方向のうちで、浴室湿度検出手段にて検出される湿度の単位時間当たりの低下量が最も小さくなる方向を、空気の吹出方向に決定する形態が考えられる。
【0035】
吹出方向調整制御は、換気量調整制御を実行する前、又は、換気量調整制御を実行した後のいずれかにおいて、実行すればよいものであるが、換気量調整制御の実行前に、吹出方向調整制御を実行するようにすれば、循環手段にて浴室内に吹出す空気の吹出方向を乾燥負荷が大きい方向に向けた状態において、換気量調整制御を実行できるため、換気量調整制御の適正化のためには、換気量調整制御の実行前に、吹出方向調整制御を実行した方がよい。
【0036】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第1又は第2特徴構成による作用効果に加えて、循環手段にて浴室内に吹出す空気の吹出方向を乾燥負荷が大きな方向に向けるようにして、被乾燥物の乾燥効率を向上できる浴室乾燥機を提供できる。
【0037】
本発明の第4特徴構成は、上記第1〜3のいずれかの特徴構成に加えて、
前記制御手段が、
前記乾燥運転を開始したのちにおいて前記浴室の絶対湿度が低下傾向になったときに、前記換気量調整制御を実行するように構成され、且つ、
前記乾燥運転を開始したときから、前記浴室内の絶対湿度から前記外気の絶対湿度を減算した湿度差と、前記換気手段の換気量との積を、時間経過に伴って積算して積算排水量を求めて、その積算排水量が、目標総排水量になると、前記運転終了条件が満たされたと判別し、かつ、
前記乾燥運転を開始してから前記浴室内の絶対湿度が低下傾向になるまで、前記浴室内の絶対湿度から前記外気の絶対湿度を減算した湿度差と、前記換気手段の換気量との積を、時間経過に伴って積算して排出済み排水量を求めて、その排出済み排水量、及び、その排出済み排水量と前記目標総排水量との関係を定めた目標総排水量関係情報に基づいて、前記目標総排水量を定めるように構成されている点を特徴とする。
【0038】
すなわち、制御手段が、乾燥運転を開始してから浴室内の絶対湿度が低下傾向になるまで、浴室内の絶対湿度から外気の絶対湿度を減算した湿度差と、換気手段の換気量との積を、時間経過に伴って積算して排出済み排水量を求めて、その排出済み排水量と目標総排水量との関係を定めた目標関係情報に基づいて、目標総排水量を求めるようにする。
【0039】
そして、制御手段が、乾燥運転を開始したときから、浴室内の絶対湿度から外気の絶対湿度を減算した湿度差と、換気手段の換気量との積を、時間経過に伴って積算して積算排水量を求めて、その積算排水量が、目標総排水量になると、運転終了条件が満たされたと判別して、乾燥運転を停止することになるため、乾燥運転の終了タイミングを適切に判別して、被乾燥物の過乾燥や乾燥不足を抑制できるのである。
【0040】
説明を加えると、乾燥運転が行われると、被乾燥物から水分が放出されるため、浴室内の絶対湿度は、浴室内に流動する外気に被乾燥物からの放出された水分を加えた値に相当することになり、浴室内の絶対湿度と外気の絶対湿度との湿度差は、被乾燥物から放出される水分量に対応する値であり、その湿度差に対応する水分量が、換気手段の換気に伴って浴室外に順次排出されることになる。
【0041】
このため、排出済み排水量は、乾燥運転を開始してから浴室の絶対湿度が低下傾向になるまでの間において、被乾燥物から放出されて浴室外に排出された水分量に相当する値であり、積算排水量は、乾燥運転を開始してから現時点に至るまでの間において、被乾燥物から放出されて浴室外に排出された水分量に相当する値である。
【0042】
浴室の絶対湿度は、上述した通り、浴室内に流動する外気に被乾燥物から放出された水分を加えた値に相当するものであるから、乾燥運転が開始されると、被乾燥物から放出される水分量が次第に増加することになるため、浴室の絶対湿度は次第に増加することになる。
【0043】
そして、被乾燥物の量が多くて、それから放出される単位時間当たりの水分量が多い場合には、浴室の絶対湿度は、飽和状態にまで増加して、その状態を維持することになり、その後、被乾燥物からの放出される単位時間当たりの水分量が少なくなると、浴室の絶対湿度は、次第に低下することになり、最終的には、浴室内に流動する外気の絶対湿度又はその絶対湿度よりも少し高い湿度に低下することになる。
ちなみに、飽和状態を維持する時間は、被乾燥物の量が多いほど放出される水分量が多いため、被乾燥物の量が多いほど長くなることになる。
【0044】
このように、一般には、浴室の絶対湿度は、乾燥運転を開始すると、飽和状態にまで増加した後、次第に低下することになるが、被乾燥物の量が少なくて、それから放出される単位時間当たりの水分量が少ない場合には、浴室の絶対湿度は、飽和状態にまで増加することなく、一旦上昇した後、次第に低下することになる。
【0045】
つまり、浴室の絶対湿度は、被乾燥物の量の多少に拘わらず、乾燥を開始すると次第に増加し、その後、乾燥が進むと低下することになる。
そして、乾燥運転を開始してから浴室の絶対湿度が低下傾向を示すまでの間に積算される排出済み排水量は、被乾燥物の量、換言すれば、乾燥運転を行ったときに被乾燥物から放出されることになる水分量の総和と比例的な関係を示すものである。
【0046】
したがって、被乾燥物から放出されることになる水分量の総和を、目標総排水量として、排出済み排水量と目標総排水量との関係を示す目標排水量関係情報を、予め実験により求めて定めておくことによって、排出済み排水量に基づいて目標総排水量を精度良く求めることができるのである。
【0047】
そして、乾燥運転を開始した後において、排出済み排水量を求め、目標排水量関係情報に基づいて、目標総排水量を求めて、積算排水量が目標総排水量になると、運転終了条件が満たされたと判別して、乾燥運転を停止することにより、乾燥運転の終了タイミングを適切に判別して、被乾燥物の過乾燥や乾燥不足を抑制できるのである。
【0048】
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、上記第1〜第3特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、乾燥運転の終了タイミングを適切に判別できる浴室乾燥機を提供できる。
【0049】
本発明の第5特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれかに加えて、
前記制御手段が、
前記乾燥運転を開始したのちにおいて前記浴室の絶対湿度が低下傾向になったときに、前記換気量調整制御を実行するように構成され、且つ、
前記外気湿度検出手段及び前記浴室湿度検出手段の検出情報に基づいて、前記乾燥運転を開始したのちにおいて前記浴室内の絶対湿度が低下傾向になったときから、前記浴室内の絶対湿度から前記外気の絶対湿度を減算した湿度差と、前記換気手段の換気量との積を、時間経過に伴って積算して後期積算排水量を求めて、その後期積算排水量が、目標残排水量になると、前記運転終了条件が満たされたと判別し、かつ、
前記外気湿度検出手段及び前記浴室湿度検出手段の検出情報に基づいて、前記乾燥運転を開始してから前記浴室の絶対湿度が低下傾向になるまで、前記浴室内の絶対湿度から前記外気の絶対湿度を減算した湿度差と、前記換気手段の換気量との積を、時間経過に伴って積算して排出済み排水量を求めて、その排出済み排水量、及び、その排出済み排水量と前記目標残排水量との関係を定めた目標残排水量関係情報に基づいて、前記目標残排水量を定めるように構成されている点を特徴とする。
【0050】
すなわち、制御手段が、乾燥運転を開始してから浴室内の絶対湿度が低下傾向になるまで、浴室内の絶対湿度から外気の絶対湿度を減算した湿度差と、換気手段の換気量との積を、時間経過に伴って積算して排出済み排水量を求めて、その排出済み排水量と目標残水量との関係を定めた目標関係情報に基づいて、目標残排水量を求めるようにする。
【0051】
そして、制御手段が、乾燥運転を開始したのちにおいて浴室内の絶対湿度が低下傾向になったときから、浴室内の絶対湿度から外気の絶対湿度を減算した湿度差と、換気手段の換気量との積を、時間経過に伴って積算して後期積算排水量を求めて、その後期積算排水量が、目標残排水量になると、運転終了条件が満たされたと判別して、乾燥運転を停止することになるため、乾燥運転の終了タイミングを適切に判別して、被乾燥物の過乾燥や乾燥不足を抑制できるのである。
【0052】
説明を加えると、第4特徴構成に対応する説明でも述べた如く、乾燥運転が行われると、被乾燥物から水分が放出されるため、浴室内の絶対湿度は、浴室内に流動する外気に被乾燥物からの放出された水分を加えた値に相当することになり、浴室内の絶対湿度と外気の絶対湿度との湿度差は、被乾燥物から放出される水分量に対応する値であり、その湿度差に対応する水分量が、換気手段の換気に伴って浴室外に順次排出されることになる。
【0053】
このため、排出済み排水量は、乾燥運転を開始してから浴室の絶対湿度が低下傾向になるまでの間において、被乾燥物から放出されて浴室外に排出された水分量に相当する値であり、後期積算排水量は、乾燥運転を開始したのちにおいて浴室内の絶対湿度が低下傾向になったときから、現時点に至るまでの間において、被乾燥物から放出されて浴室外に排出された水分量に相当する値である。
【0054】
浴室の絶対湿度は、上述した通り、浴室内に流動する外気に被乾燥物から放出された水分を加えた値に相当するものであるから、乾燥運転が開始されると、被乾燥物から放出される水分量が次第に増加することになるため、浴室の絶対湿度は次第に増加することになる。
【0055】
そして、被乾燥物の量が多くて、それから放出される単位時間当たりの水分量が多い場合には、浴室の絶対湿度は、飽和状態にまで増加して、その状態を維持することになり、その後、被乾燥物からの放出される単位時間当たりの水分量が少なくなると、浴室の絶対湿度は、次第に低下することになり、最終的には、浴室内に流動する外気の絶対湿度又はその絶対湿度よりも少し高い湿度に低下することになる。
ちなみに、飽和状態を維持する時間は、被乾燥物の量が多いほど放出される水分量が多いため、被乾燥物の量が多いほど長くなることになる。
【0056】
このように、一般には、浴室の絶対湿度は、乾燥運転を開始すると、飽和状態にまで増加した後、次第に低下することになるが、被乾燥物の量が少なくて、それから放出される単位時間当たりの水分量が少ない場合には、浴室の絶対湿度は、飽和状態にまで増加することなく、一旦上昇した後、次第に低下することになる。
【0057】
つまり、浴室の絶対湿度は、被乾燥物の量の多少に拘わらず、乾燥を開始すると次第に増加し、その後、乾燥が進むと低下することになる。
そして、乾燥運転を開始してから浴室の絶対湿度が低下傾向を示すまでの間に積算される排出済み排水量は、被乾燥物の量、換言すれば、乾燥運転を行ったときに被乾燥物から放出されることになる水分量の総和と比例的な関係を示すものであり、このことから、排出済み排水量は、乾燥運転を開始したのちにおいて浴室内の絶対湿度が低下傾向になったのちにおいて、被乾燥物から放出される残りの水分量の総和とも比例関係を示すものであることが理解できる。
【0058】
したがって、乾燥運転を開始したのちにおいて浴室内の絶対湿度が低下傾向になったのちにおいて、被乾燥物から放出される残りの水分量の総和を、目標残排水量として、排出済み排水量と目標残排水量との関係を示す目標残排水量関係情報を、予め実験により求めて定めておくことによって、排出済み排水量に基づいて目標残排水量を精度良く求めることができるのである。
【0059】
そして、乾燥運転を開始した後において、排出済み排水量を求め、目標排水量関係情報に基づいて、目標残排水量を求めて、後期積算排水量が目標総排水量になると、運転終了条件が満たされたと判別して、乾燥運転を停止することにより、乾燥運転の終了タイミングを適切に判別して、被乾燥物の過乾燥や乾燥不足を抑制できるのである。
【0060】
要するに、本発明の第5特徴構成によれば、上記第1〜第3特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、乾燥運転の終了タイミングを適切に判別できる浴室乾燥機を提供できる。
【0061】
本発明の第6特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれかに加えて、
前記制御手段が、
前記乾燥運転を開始してから前記湿度検出手段の検出湿度が低下傾向になり、かつ、その低下傾向を示す傾きの設定時間内の変化が設定範囲内となる傾き安定状態になったときに、前記換気量調整制御を実行するように構成され、かつ、
前記傾き安定状態になったときから、前記浴室湿度検出手段の検出湿度から前記外気湿度検出手段の検出湿度を減算した湿度差と、前記換気手段の換気量との積を、時間経過に伴って積算した安定後積算排水量を求めて、その安定後積算排水量が予測残排水量になると、前記運転終了条件が満たされたと判別し、かつ、
前記傾き安定状態になったときの傾きにて、前記浴室内の絶対湿度が、前記外気湿度検出手段にて検出される外気湿度又はその外気湿度に設定値を加えた判別用湿度にまで低下すると仮定して、前記傾き安定状態になったときから、前記浴室内の絶対湿度が前記外気湿度又は前記判別用湿度に低下する間に前記浴室から排出される排水量を求めて、その排水量を前記予測残排水量として定めるように構成されている点を特徴とする。
【0062】
すなわち、制御手段が、乾燥運転を開始してから浴室内の絶対湿度が低下傾向になり、かつ、その低下傾向を示す傾きの設定時間内の変化が設定範囲内となる傾き安定状態になると、その傾きにて、浴室内の絶対湿度が、外気湿度検出手段にて検出される外気湿度又はその検出湿度に設定値を加えた判別用湿度にまで低下すると仮定して、傾き安定状態になったときから、浴室内の絶対湿度が外気湿度又は判別用湿度に低下する間に浴室から排出される排水量を求めて、その排水量を予測残排水量として定める。
【0063】
ちなみに、傾き安定状態になったときから外気湿度又は判別用湿度に低下する間に浴室から排出される排水量は、時間経過に伴って変化すると仮定した浴室の絶対湿度から外気湿度を減算した湿度差と、換気手段の換気量との積を、時間経過に伴って積算して求めることができる。
【0064】
そして、制御手段が、傾き安定状態になったときから、浴室内の絶対湿度から外気の絶対湿度を減算した湿度差と、換気手段の換気量との積を、時間経過に伴って積算して安定後積算排水量を求めて、その安定後積算排水量が、予測残排水量になると、運転終了条件が満たされたと判別して、乾燥運転を停止することになるため、乾燥運転の終了タイミングを適切に判別して、被乾燥物の過乾燥や乾燥不足を抑制できるのである。
【0065】
説明を加えると、第4特徴構成に対応する説明でも述べた如く、乾燥運転が行われると、被乾燥物から水分が放出されるため、浴室内の絶対湿度は、浴室内に流動する外気に被乾燥物からの放出された水分を加えた値に相当することになり、浴室内の絶対湿度と外気の絶対湿度との湿度差は、被乾燥物から放出される水分量に対応する値であり、その湿度差に対応する水分量が、換気手段の換気に伴って浴室外に順次排出されることになる。
【0066】
このため、安定後積算排水量は、傾き安定状態になってから現時点に至るまでの間において、被乾燥物から放出されて浴室外に排出された水分量に相当する値である。
【0067】
浴室の絶対湿度は、上述した通り、浴室内に流動する外気に被乾燥物から放出された水分を加えた値に相当するものであるから、乾燥運転が開始されると、被乾燥物から放出される水分量が次第に増加することになるため、浴室の絶対湿度は次第に増加することになる。
【0068】
そして、被乾燥物の量が多くて、それから放出される単位時間当たりの水分量が多い場合には、浴室の絶対湿度は、飽和状態にまで増加して、その状態を維持することになり、その後、被乾燥物からの放出される単位時間当たりの水分量が少なくなると、浴室の絶対湿度は、次第に低下することになり、最終的には、浴室内に流動する外気の絶対湿度又はその絶対湿度よりも少し高い湿度に低下することになる。
ちなみに、乾燥運転の終了時点においては、被乾燥物からの水分の放出がないため、浴室の絶対湿度は、最終的には、浴室内に流動する外気の絶対湿度となるが、乾燥運転の終了時点において、浴室の壁面等に水蒸気が付着している場合が多く、一般には、乾燥運転の終了時点において、浴室の絶対湿度が、浴室内に流動する外気の絶対湿度よりも少し高い湿度になることが多い。
【0069】
このように、一般には、浴室の絶対湿度は、乾燥運転を開始すると、飽和状態にまで増加した後、次第に低下することになるが、被乾燥物の量が少なくて、それから放出される単位時間当たりの水分量が少ない場合には、浴室の絶対湿度は、飽和状態にまで増加することなく、一旦上昇した後、次第に低下することになる。
つまり、浴室の絶対湿度は、被乾燥物の量の多少に拘わらず、乾燥を開始すると次第に増加し、その後、乾燥が進むと低下することになるのである。
【0070】
そして、本発明者の鋭意研究の結果、浴室の絶対湿度は、低下傾向になったのち、その傾きが安定状態となり、その後、その傾き安定状態で、浴室内に流動する外気の絶対湿度又はその絶対湿度よりも少し高い湿度の近くまで、低下することが判明した。
ちなみに、浴室の絶対湿度が、浴室内に流動する外気の絶対湿度又はその絶対湿度よりも少し高い湿度に近づいたのちにおいては、浴室の絶対湿度は、それ以前よりも緩やかな傾きに変化しながら、浴室内に流動する外気の絶対湿度又はその絶対湿度よりも少し高い湿度にまで低下することになる。
【0071】
このことを利用して、傾き安定状態になったときの傾きにて、浴室内の絶対湿度が、外気湿度検出手段にて検出される外気湿度又はその外気湿度に設定値を加えた判別用湿度にまで低下すると仮定して、傾き安定状態になったときから、浴室内の絶対湿度が外気湿度又は判別用湿度に低下する間において、浴室から排出される排水量を求めて、その排水量を予測残排水量として定めれば、予測残排水量を、傾き安定状態の後において、乾燥運転より浴室から排出すべき排水量として定めることができる。
【0072】
したがって、傾き安定状態になったときから、安定後積算排水量を求めて、安定後積算排水量が予測残排水量になると、運転終了条件が満たされたと判別して、乾燥運転を停止することにより、乾燥運転の終了タイミングを適切に判別して、被乾燥物の過乾燥や乾燥不足を抑制できるのである。
【0073】
要するに、本発明の第6特徴構成によれば、上記第1〜第3特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、乾燥運転の終了タイミングを適切に判別できる浴室乾燥機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】浴室乾燥システムの概略図
【図2】浴室乾燥機の縦断正面図
【図3】浴室リモコンの正面図
【図4】乾燥用空気の吹出状態を示す概略図
【図5】標準運転の浴室の湿度変化を示す図
【図6】スピード運転の浴室の湿度変化を示す図
【図7】省エネ運転の浴室の湿度変化を示す図
【図8】排出済み排水量と目標総排水量との関係を示す図
【図9】スピード運転用換気量設定情報を示す表
【図10】限界除湿量設定情報を示す表
【図11】予測温風乾燥時間設定情報を示す表
【図12】省エネ運転換気量設定情報を示す表
【図13】乾燥機用の制御手段の制御作動を示すフローチャート
【図14】排出済み排水量と目標残排水量との関係を示す図
【図15】予測残排水量と運転時間との関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0075】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、浴室乾燥機Aが、浴室Yの天井部に備えられ、浴室乾燥機Aに対して熱媒を循環供給する熱源機Nが、浴室Yの外部に設けられて、浴室乾燥機Aから乾燥用空気を吹出しかつ浴室内を換気する浴室乾燥システムが構成されている。
ちなみに、浴室乾燥機Aは、後述の如く、暖房機能、換気機能、涼風機能、及び、ミスト噴出機能も備えている。
【0076】
浴室Yの内部には、浴室乾燥機Aの運転を制御する制御手段としての乾燥機用の制御手段1に各種の情報を指令する浴室リモコン2が設置され、また、熱源機Nの運転を制御する熱源機用の制御手段3に各種の情報を指令する熱源機用リモコン4が設けられている。
尚、例示はしないが、一般には、浴室Yに隣接する脱衣室にも、浴室リモコン2と同様に構成された脱衣室リモコンが装備されることになる。
【0077】
乾燥機用の制御手段1と熱源機用の制御手段3とは、各種の情報を通信自在に接続されており、例えば、浴室リモコン2にて乾燥運転指令が乾燥機用の制御手段1に指令されると、乾燥機用の制御手段1が熱源機用の制御手段3に熱媒要求指令を通信し、また、乾燥機用の制御手段1が乾燥運転を停止する場合には、乾燥機用の制御手段1が熱源機用の制御手段3に熱媒不要指令を通信するように構成されている。
熱源機用の制御手段3は、熱媒要求指令が指令されると、熱媒往き管5及び熱媒戻り管6を通して、加熱した熱媒を浴室乾燥機Aに循環供給する熱媒供給運転を実行し、熱媒不要指令が指令されると、熱媒供給運転を停止することになる。
【0078】
熱源機Nは、詳述はしないが、熱媒を循環供給する機能に加えて、一般給湯栓等に対する給湯機能を備えるものであって、熱源機用リモコン4にて運転指令が指令されているときに、給湯要求指令があるときには、給湯運転を行うように構成されている。
ちなみに、熱源機用リモコン4は、通常は、台所や洗面所等に装備されることになる。
【0079】
図2に示すように、浴室乾燥機Aは、浴室Yの天井Yaの裏側に設置される本体ケーシング7と、浴室Yの天井Yaの表側に設置されるグリル板8とを備えている。
本体ケーシング7の内部には、グリル板8に形成した吸引口Kを通して浴室Y内の空気を吸引し、吸引した空気を浴室Y内に向けて送風路Sを通して吹出す循環手段としての循環ファン9、その循環ファン9にて通風される空気を加熱する空気加熱手段として空気加熱用熱交換器10、上述した吸引口Kを通して浴室Y内の空気を吸引して外部に排出する換気手段としての換気ファン11、給水路12を通して供給される湯水を浴室Y内にミスト状に噴出する複数のミストノズル13、それらミストノズル13から噴出される湯水を加熱するミスト用熱交換器14、及び、送風路Sから吹き出される空気の吹出方向を変更する可動ルーバ15等が装備されている。
【0080】
空気加熱用熱交換器10は、縦向き姿勢の熱交換部分10Aと、横倒れ姿勢の熱交換部分10Bとを備え、熱源機Nの熱媒往き管5に接続された熱媒供給管16を通して熱媒が供給され、そして、熱交換済みの熱媒を熱媒排出管17を通して熱源機Nに接続された熱媒戻り管6に戻すように構成されている。
熱媒供給管16には、熱媒供給を断続する熱動弁18が設けられており、この熱動弁18は、浴室Yの暖房運転や乾燥運転を行うときには、開かれることになる。
【0081】
熱媒供給管16における熱動弁18の設置箇所よりも上手側箇所から、ミスト用供給管16Aが分岐されている。このミスト用供給管16Aは、上述したミスト用熱交換器14を経由したのち熱媒排出管17に接続されている。
また、上述した給水路12が、ミスト用熱交換器14を経由してミストノズル13に接続されるように配管されており、ミストノズル13に供給される湯水がミスト用熱交換器14にて加熱されるように構成されている。
【0082】
給水路12が、ミスト用熱交換器14を通過したのち、2つの分岐管12A、12Bに分岐され、一方の分岐管12Aには一つのミストノズル13が接続され、他方の分岐管12Bには2つのミストノズル13が接続されている。
各分岐管12A、12Bには、ミスト用電磁弁19A、19Bが設けられており、これらミスト用電磁弁19A、19Bを選択的に開閉させることによって、3つのミストノズル13からのミスト噴出状態を調整できるように構成されている。
給水路12には、給水を断続する給水電磁弁20が設けられており、この給水電磁弁20は、ミストノズル13からミストを噴出するミスト運転を行うときには、開かれることになる。
【0083】
ちなみに、給水路12におけるミスト用熱交換器14と2つの分岐管12A、12Bの分岐箇所との間に位置する部分に、排水路21が接続され、その排水路21に、排水電磁弁22が設けられており、例えば、ミスト運転を開始する前に、設定時間の間、排水電磁弁22を開くことにより、ミスト運転を開始したときに冷たい湯水がミストノズル13に供給されることを抑制できることになる。図中、23は、逆止弁である。
【0084】
また、ミスト用供給管16Aには、熱媒供給量を調整する電磁式の比例弁24が設けられている。この比例弁24は、ミストノズル13からミストを噴出するミスト運転を行うときには、熱媒を通流する状態に開かれるものであり、また、ミストノズル13に供給される湯水の温度が目標温度になるように開度が変更調整されるように構成されている。
【0085】
換気ファン11は、本体ケーシング7の内部に形成した換気用通路Tを通して吸引作用して、グリル板8の吸引口Kより浴室内の空気を吸引し、そして、屋外に延出される排気ダクト25を通して、吸引した空気を外部に排気するように構成されている。
ちなみに、グリル板8の吸引口Kは、循環ファン9による浴室内からの空気の吸引と、換気ファン11による浴室内からの空気の吸引とに兼用されているため、後述の如く、換気ファン11の換気量が変更されると、循環ファン9を同じ回転速度で回転させても、循環量が変化することになる。
【0086】
浴室リモコン2には、図3に示すように、種々の情報を表示するための表示部26、ミストサウナ運転を指令するミストスイッチ27、運転時間を変更設定するためのタイマー設定スイッチ28、可動ルーバ15の向き変更を指令する風向スイッチ29、乾燥運転を指令する乾燥指令手段としての乾燥スイッチ30、浴室Yの暖房を行う暖房運転を指令する暖房スイッチ31、換気ファン11による換気運転を指令する換気スイッチ32、循環ファン9による涼風運転を指令する涼風スイッチ33、及び、各種の運転を停止する停止指令を指令する停止スイッチ34が装備され、さらに、浴室リモコン2には、乾燥運転としてのスピード運転を選択するスピード選択スイッチ30A、及び、乾燥運転としての省エネ運転を選択する省エネ選択スイッチ30Bが設けられている。
尚、例示はしないが、脱衣室に装備される脱衣室リモコンも、浴室リモコン2と同様に構成されることなる。
【0087】
従って、本実施形態の浴室乾燥機Aは、浴室リモコン2や脱衣室リモコンの指令に基づいて、乾燥運転、暖房運転、換気運転、ミスト運転、涼風運転を行えるように構成されている。
すなわち、乾燥機用の制御手段1が、浴室リモコン2や脱衣室リモコンの指令に基づいて、乾燥運転、暖房運転、換気運転、ミスト運転、涼風運転を行なうべく、循環ファン9や換気ファン11等の機器類の作動を制御するように構成されている。
【0088】
具体的に説明すると、乾燥スイッチ30にて乾燥運転が指令されると、基本的には、熱源機Nからの熱媒を空気加熱用熱交換器10に通流させた状態で、循環ファン9及び換気ファン11を作動させることにより、浴室内の空気を吸引して外部に排出し且つ浴室内の空気を吸引して加熱して乾燥用空気として浴室Yの内部の乾燥対象領域Eに吹き出す温風乾燥運転形態にて乾燥運転が行われる。
【0089】
つまり、乾燥運転としては、標準乾燥運転と、スピード選択スイッチ30Aにて選択されるスピード運転と、省エネ選択スイッチ30Bにて選択される省エネ運転とがあり、標準乾燥運転やスピード運転においては、乾燥運転の開始から終了まで、上述の温風乾燥運転が実行され、省エネ運転においては、乾燥初期及び乾燥終期においては、上述の温風乾燥運転が行われ、かつ、乾燥初期と乾燥終期との間の乾燥中期においては、循環ファン9及び換気ファン11を作動させ、且つ、空気加熱用熱交換器10に対する熱媒の通流を停止させた通風乾燥運転が行われることになるが、その詳細は後述する。
【0090】
また、上述の乾燥対象領域Eは、本実施形態においては、図1に示すように、浴室乾燥機Aの直下方に相当する領域であり、乾燥運転を行うときには、乾燥対象領域Eに、洗濯物等の被乾燥物が乾燥に適した姿勢で置かれることになる。
つまり、乾燥対象領域Eには、被乾燥物を支持するための一対の棒状体Bが、浴室Yの対向する壁面の間に設けられて、これら棒状体Bに、被乾燥物を支持させることになる。
尚、棒状体Bは、浴室Yの壁面に設けた受具にて、その両端が支持された状態で架設されるものであって、非使用時には、受具から外して収納できるようになっている。
【0091】
ちなみに、本実施形態の浴室乾燥機Aは、上述の如く、熱源機Nからの熱媒を空気加熱用熱交換器10に通流させた状態で、循環ファン9及び換気ファン11を作動させることにより乾燥運転を行うものであり、本実施形態では、浴室内の空気を吸引して外部に排出し且つ浴室内の空気を吸引して加熱したのち暖房用空気として浴室内に吹き出す換気機能付暖房手段Jが、循環ファン9、空気加熱用熱交換器10、及び、換気ファン11を主要部として構成されることになる。
【0092】
暖房スイッチ31にて暖房運転が指令されると、換気ファン11を停止させかつ熱源機Nからの熱媒を空気加熱用熱交換器10に通流させた状態で、循環ファン9を作動させることにより、浴室内の空気を吸引して加熱して暖房用空気として浴室内に吹き出す暖房運転が行われる。
【0093】
換気スイッチ32にて換気運転が指令されると、循環ファン9を停止しかつ空気加熱用熱交換器10に対する熱媒の通流を停止させた状態で、換気ファン11を作動させることにより、浴室内の空気を吸引して外部に排出する換気運転が行われる。
【0094】
涼風スイッチ33にて涼風運転が指令されると、換気ファン11を停止しかつ空気加熱用熱交換器10に対する熱媒の通流を停止させた状態で、循環ファン9を作動させることにより、浴室内の空気を吸引して浴室内に吹出す涼風運転が行われる。
【0095】
ミストスイッチ27にてミストサウナ運転が指令されると、熱源機Nからの熱媒をミスト用熱交換器14に通流させる状態にして、給水電磁弁20を開くことにより、給水路12からの湯水を加熱して噴出するミストサウナ運転が行われる。
【0096】
図1及び図4に示すように、上述した可動ルーバ15は、向き変更用の電動モータ35によって、水平方向に沿う回動軸心Z周りで往復揺動操作されるように構成されるものであり、回動軸心Zが、乾燥対象領域Eに設置される棒状体Bの長手方向に平行な方向となるように構成されている。
【0097】
つまり、可動ルーバ15は、回動軸心方向に沿って長尺状の筒状に形成されて、回転軸心方向に沿った広範囲に空気を吹き出すことができるように構成されている。
そして、その可動ルーバ15の一端側に、電動モータ35が配設されて、その電動モータ35が、図4に示すように、乾燥用空気の吹出方向を、複数の乾燥用吹出方向に変更するように構成されている。
したがって、本実施形態においては、可動ルーバ15及び電動モータ35にて、吹出方向変更手段Fが構成されている。
【0098】
また、本実施形態においては、乾燥用空気の吹出方向が、4つの吹出方向L4〜L7に変更されるものとして説明する。そして、4つの吹出方向L4〜L7のうち、L6の方向が、真下を向かうように定められ、L5の方向が、左下を向かうように定められ、L4の方向が、L5の方向よりもさらに左を向くように定められ、L7の方向が、右下を向かうように定められている。
以下の記載において、L6の方向を真下方向、L5の方向を左下方向、L4の方向を左方向、L7の方向を右下方向と呼称する。
【0099】
乾燥機用の制御手段1は、暖房運転や涼風運転等において、風向スイッチ29の指令により向き変更が指令されると、可動ルーバ15の向きを、4つの吹出方向L4〜L7に順次向きを変更するように構成されている。
【0100】
乾燥機用の制御手段1は、乾燥運転においては、可動ルーバ15の向きを自動的に調整するように構成されている。
すなわち、乾燥スイッチ30により乾燥運転の開始が指令されると、乾燥機用の制御手段1は、標準乾燥運転、スピード運転、及び、省エネ運転のいずれにおいても、乾燥用空気の吹出方向が、初期吹出方向としての真下方向L6となるように、可動ルーバ15の向きを変更する吹出方向初期設定処理を実行することになる。
【0101】
そして、標準運転や省エネ運転においては、その後乾燥運転が終了するまで、乾燥用空気の吹出方向が真下方向L6となるようにする状態を維持することになる。
また、スピード運転においては、乾燥機用の制御手段1は、乾燥運転の途中において、後述の如く、乾燥用空気の吹出方向を乾燥効率が向上する方向に調整する吹出方向調整処理(吹出方向調整制御)を実行するように構成されている。
【0102】
ちなみに、可動ルーバ15は、例示はしないが、送風路Sを閉じることになる横向き姿勢(以下、閉じ姿勢と略称)にも操作できるように構成されるものであって、乾燥機用の制御手段1は、乾燥運転の終了等により、循環ファン9を作動させないときには、可動ルーバ15を閉じ姿勢に切換えるように構成されている。
【0103】
図2に示すように、本体ケーシング7の内部に、グリル板8の吸引口Kを通して吸引される浴室内の空気の絶対湿度及び相対湿度を検出する湿度検出手段としての湿度検出センサ36、及び、グリル板8の吸引口Kを通して吸引される浴室内の空気の温度を検出する温度検出手段としの温度センサ37が設けられている。
【0104】
次に、乾燥運転について説明すると、乾燥機用の制御手段1は、乾燥スイッチ30にて乾燥運転が指令されると、乾燥運転用の作動状態として定めた乾燥運転作動状態にて、換気機能付暖房手段Jを作動させて乾燥運転を実行することになり、そして、運転終了条件が満たされると、乾燥運転を停止するように構成されている。
【0105】
ちなみに、本実施形態においては、乾燥運転として、上述の如く、標準乾燥運転、スピード運転、及び、省エネ運転を備えるものであるため、それらの運転に対応して定めた乾燥運転作動状態にて換気機能付暖房手段Jを作動させて乾燥運転を実行するように構成されている。
【0106】
また、本実施形態においては、乾燥機用の制御手段1が、乾燥運転を開始すると、湿度検出センサ36の検出湿度(絶対湿度)を設定時間(例えば、1秒)ごとにサンプリングするように構成され、そして、乾燥運転を開始した直後において、湿度検出センサ36にて検出される検出湿度(絶対湿度)、及び、温度センサ37にて検出される検出温度を、初期検出湿度、及び、初期検出温度として記憶するように構成されている。
また、乾燥機用の制御手段1は、乾燥運転を開始した直後において、湿度検出センサ36にて検出される相対湿度も、初期検出湿度として記憶するように構成されている。
【0107】
ちなみに、初期検出湿度(絶対湿度、相対湿度)は、乾燥運転を開始したときに、換気に伴って外部から浴室Yに流れ込む外気の湿度(絶対湿度、相対湿度)を示し、同様に、初期検出温度は、乾燥運転を開始したときに、換気に伴って外部から浴室Yに流れ込む外気の温度を示すことになる。
つまり、初期検出湿度(絶対湿度、相対湿度)は、換気ファン11の換気作動に伴って浴室内に流動する外気の絶対湿度及び相対湿度に対応し、初期検出温度は、換気ファン11の換気作動に伴って浴室内に流動する外気の温度に対応することになる。
【0108】
また、運転終了条件が満たされたことの判別は、本実施形態においては、乾燥機用の制御手段1が、乾燥運転を開始したときから、設定時間(例えば、1秒)ごとにサンプリングした検出湿度(絶対湿度)から初期検出湿度を減算した湿度差と、換気ファン11の換気量(上記サンプリング設定時間内の換気量)との積を、時間経過に伴って積算した積算排水量SXを求めるように構成され、そして、その積算排水量SXが目標総排水量WPになると、運転終了条件が満たされた判別するように構成されるものであって、その詳細は後述する。
尚、設定時間(例えば、1秒)ごとにサンプリングした検出湿度(絶対湿度)から初期検出湿度を減算した湿度差と、換気ファン11の換気量(上記サンプリング設定時間内の換気量)との積を、以下の説明においては、単位時間排水量と記載する。
【0109】
乾燥機用の制御手段1は、浴室リモコン2や脱衣室リモコンにおけるスピード選択スイッチ30Aや省エネ選択スイッチ30Bが操作されることなく、乾燥スイッチ30が操作されると、乾燥運転として標準乾燥運転を実行し、スピード選択スイッチ30Aが操作されたのち、引き続いて乾燥スイッチ30が操作されると、乾燥運転としてスピード運転を実行し、また、省エネ選択スイッチ30Bが操作されたのち、引き続いて乾燥スイッチ30が操作されると、乾燥運転として省エネ運転を実行するように構成されている。
【0110】
ちなみに、標準乾燥運転やスピード運転においては、乾燥運転の運転時間を設定する必要はないが、省エネ運転においては、タイマー設定スイッチ28にて、乾燥運転の運転時間を設定することになる。
つまり、省エネ運転においては、後述の如く、乾燥中期の通風乾燥運転から乾燥終期の温風乾燥運転への切換タイミングの判断のために、タイマー設定スイッチ28にて設定された運転時間が利用されるように構成されている。尚、この省エネ運転においても、上述した運転終了条件が満たされると、乾燥運転を終了することになる。
【0111】
標準乾燥運転及びスピード運転の乾燥運転作動状態は、乾燥運転の開始から終了まで、換気ファン11及び循環ファン9を通風作動させかつ空気加熱用熱交換器10を加熱作動させて温風乾燥運転を行う状態に定められているが、標準乾燥運転の作動条件と、スピード運転の作動条件とは、後述の如く、異なる条件に設定されている。
【0112】
省エネ運転の乾燥運転作動状態は、乾燥初期及び乾燥終期においては、換気ファン11及び循環ファン9を通風作動させかつ空気加熱用熱交換器10を加熱作動させて温風乾燥運転を行い、乾燥初期と乾燥終期との間の乾燥中期においては、循環ファン9及び換気ファン11を作動させかつ空気加熱用熱交換器10の加熱作動を停止させて通風乾燥運転を行う状態に定められるものであるが、温風乾燥運転での作動条件や、通風乾燥運転での作動条件が、後述の如く設定されることになる。
【0113】
標準乾燥運転における乾燥運転作動状態、つまり、乾燥運転を開始して終了するまで実行する温風乾燥運転の作動条件が、乾燥運転を開始して終了するまで、循環ファン9、換気ファン11、及び、空気加熱用熱交換器10を同じ状態で作動させる条件に設定されている。
本実施形態においては、乾燥運転を開始してから終了するまで、循環ファン9を、例えば、1300回/分で回転させ、かつ、空気加熱用熱交換器10に対して、例えば、3L/分の通流量で熱媒を通流させ、かつ、換気ファン11を、例えば、換気量が1.5m3となる回転速度で回転させる条件に設定されている。
【0114】
図5は、標準乾燥運転にて乾燥運転を行ったときの、単位時間排水量の時間経過に伴う変化を示すものであり、J1は、衣類乾燥量が少ない場合を示し、J2は、衣類乾燥量が多い場合を示すものである。
尚、標準乾燥運転は、乾燥運転の開始から終了まで、換気ファン11を同じ状態で作動させるものであるから、図5は、浴室Yの絶対湿度の時間経過に伴う変化を示す図に対応する。
【0115】
スピード運転における乾燥運転作動状態、つまり、乾燥運転を開始して終了するまで実行される温風乾燥運転の作動条件が、循環ファン9、及び、空気加熱用熱交換器10については、乾燥運転を開始してから終了するまで、同じ状態で作動させ、かつ、換気ファン11については、乾燥運転を開始したのちにおいて湿度検出センサ36の検出湿度(絶対湿度)が低下傾向になるまでは、標準乾燥運転における換気量と同じ初期換気量となるように、換気ファン11を作動させ、湿度検出センサ36の検出湿度(絶対湿度)が低下傾向になったのちは、換気ファン11の換気量を、スピード運転用の目標換気量としてのスピード運転用換気量に変更する条件に設定されている。
尚、換気ファン11の換気量を、スピード運転用の目標換気量としてのスピード運転用換気量に変更する換気量調整制御を、以下、スピード運転用換気量変更処理と記載する。
【0116】
湿度検出センサ36の検出湿度(絶対湿度)が低下傾向になったことの判別について説明すると、乾燥機用の制御手段1は、上述の如く、乾燥運転を開始したのちは、乾燥運転を終了するまで、湿度検出センサ36の検出湿度(絶対湿度)を、設定時間(例えば、1秒)ごとにサンプリングするように構成されている。
そして、先にサンプリングした検出湿度よりも次にサンプリングした検出湿度が設定値以上低くなる状態が、設定時間継続すると、検出湿度(絶対湿度)が低下傾向になったと判別するように構成されている。
尚、湿度検出センサ36の検出湿度が低下傾向になった時点を、以下、湿度低下傾向時点HPと略称する。
【0117】
スピード運転用換気量は、乾燥運転を開始した直後において、湿度検出センサ36にて検出されて記憶された初期検出湿度(相対湿度)、及び、温度センサ37にて検出される初期検出温度と、それら初期検出湿度(相対湿度)及び初期検出温度とスピード運転換気量との関係を示す換気量設定関係情報としての、スピード運転換気量設定情報(図9参照)とに基づいて、定められることになる。
つまり、乾燥機用の制御手段1は、スピード運転換気量設定情報を予め記憶しており、
初期検出湿度(相対湿度)及び初期検出温度と、スピード運転換気量設定情報とに基づいて、スピード運転換気量を求めるように構成されている。
【0118】
スピード運転換気量設定情報は、本実施形態においては、図9に示すように、初期検出温度を3段階に区分し、それら3段階の夫々に対応して、初期検出湿度(相対湿度)を3段階に区分して、計9段階の区分の夫々に対して、換気量を設定しているが、初期検出温度を区分する段階数や、初期検出湿度(相対湿度)を区分する段階数は、種々変更できるものである。
また、本実施形態においては、スピード運転用換気量を定めるために用いる初期検出湿度として、相対湿度を用いる場合を例示するが、相対湿度に代えて、絶対湿度を用いてもよいことは勿論である。
【0119】
ちなみに、本実施形態においては、スピード運転における温風乾燥運転の作動条件が、乾燥運転を開始してから終了するまで、循環ファン9を、例えば、1300回/分で回転させ、かつ、空気加熱用熱交換器10に対して、例えば、3L/分の通流量で熱媒を通流させ、そして、換気ファン11については、乾燥運転を開始したのち湿度低下傾向時点HPになるまでは、初期換気量として、例えば、換気量が1.5m3となる回転速度で回転させ、湿度低下傾向時点HPになったのちは、スピード運転用換気量になる回転速度で回転させる条件に設定されている。
【0120】
また、乾燥機用の制御手段1は、換気ファン11の換気量をスピード運転用換気量に変更することが適正であるか否かを判断するように構成されている。
つまり、乾燥機用の制御手段1は、換気ファン11の換気量をスピード運転用換気量に変更する前に、設定時間(例えば、1秒)ごとにサンプリングされる湿度検出センサ36の検出湿度(絶対湿度)から初期検出湿度(絶対湿度)を減算した湿度差と、換気ファン11の換気量(上記サンプリング設定時間内の換気量)との積を求めて記憶する。
【0121】
次に、換気ファン11の換気量をスピード運転用換気量に変更して、その後設定定時間(例えば、2分)経過するまで待機する。そして、設定時間が経過すると、設定時間(例えば、1秒)ごとにサンプリングされる湿度検出センサ36の検出湿度(絶対湿度)に基づいて、その時点での絶対湿度を求める。
次に、その絶対湿度から初期湿度(絶対湿度)を減算した湿度差と、スピード運転用換気量との積を求めて、その積が、換気量をスピード運転用換気量に変更する前に記憶した積よりもよりも大きいか否かを判別して、大きいときには、変更したスピード運転用換気量に維持し、大きくないときには、変更前の換気量に戻すように構成されている。
【0122】
つまり、被乾燥物の差異等の乾燥条件の相違によって、換気ファン11の換気量をスピード運転用換気量に変更しても、必ずしも乾燥効率が増加しない場合があるため、換気ファン11の換気量をスピード運転用換気量に変更しても乾燥効率が増加しないときには、換気ファン11の換気量を初期換気量に戻すことにより、乾燥効率の低下を抑制するようにしてある。
尚、乾燥用の制御手段1が、上記の如く、換気ファン11の換気量をスピード運転用換気量に変更するために実行する処理を、以下の説明においては、スピード運転用換気量変更処理と記載する。
【0123】
また、乾燥機用の制御手段1は、スピード運転においては、上述の如く、乾燥運転の途中において、乾燥用空気の吹出方向を乾燥効率が向上する方向に調整する吹出方向調整処理を実行することになる。
この吹出方向調整処理は、乾燥運転を開始したのち湿度低下傾向時点HPになったときに実行されるものであって、先ず、乾燥空気の吹出方向を、初期吹出方向としての真下方向L6に向けた状態において、設定時間(例えば、1秒)ごとにサンプリングされる湿度検出センサ36の検出湿度(絶対湿度)に基づいて、先にサンプリングした検出湿度と次にサンプリングした検出湿度との差(以下、絶対湿度差と略称)を求めて、その絶対湿度差を記憶する。
【0124】
次に、乾燥用空気の吹出方向を、真下方向L6から左下方向L5に変更して、その後設定定時間(例えば、2分)経過するまで待機し、その時点での絶対湿度度を求める。
そして、その絶対湿度差が、予め記憶した絶対湿度差よりも小さいときには、その乾燥用空気の吹出方向に維持することになり、その絶対湿度差が、予め記憶した絶対湿度差よりも小さくないときには、乾燥用空気の吹出方向を、真下方向L6に戻すことになる。
【0125】
乾燥用空気の吹出方向を、真下方向L6に戻したのち、設定定時間(例えば、2分)経過するまで待機し、その時点での絶対湿度度を求める。
次に、乾燥用空気の吹出方向を、真下方向L6から右下方向L7に変更して、その後設定定時間(例えば、2分)経過するまで待機し、その時点での絶対湿度度を求める。
そして、その絶対湿度差が、予め記憶した絶対湿度差よりも小さいときには、その乾燥用空気の吹出方向に維持することになり、その絶対湿度差が、予め記憶した絶対湿度差よりも小さくないときには、乾燥用空気の吹出方向を、真下方向L6に戻すことになる。
【0126】
すなわち、乾燥用空気の吹出方向を、絶対湿度差が小さくなる方向に向けることが、被乾燥物の全体を良好に乾燥できるものであるから、乾燥用空気の吹出方向が、絶対湿度差が小さくなる方向となるようにすべく、乾燥用空気の吹出方向が変更されることになる。
つまり、通常は、乾燥用空気の吹出方向を真下方向L6に向けたときが、乾燥効率の向上を図れるものであるが、被乾燥物の干し方の変化等により、乾燥用空気の吹出方向を真下方向L6に向けたときが、必ずしも乾燥効率を向上できない場合があるため、乾燥用空気の吹出方向を調整するのである。
【0127】
ちなみに、湿度低下傾向時点HPになったときに、吹出方向調整処理とスピード運転用換気量変更処理とを実行することになるため、本実施形態は、先に、吹出方向調整処理の実行し、吹出方向調整処理が終了したのち、スピード運転用換気量変更処理を行うように構成されている。
尚、本実施形態とは逆に、先に、スピード運転用換気量変更処理を実行し、その後、吹出方向調整処理を実行する形態で実施してもよい。
【0128】
図6は、スピード運転にて乾燥運転を行ったときの、単位時間排水量の時間経過に伴う変化を示すものであり、J3は、スピード運転を行う場合を示し、J4は、標準乾燥運転を行う場合を示すものである。
【0129】
省エネ運転においては、乾燥運転の運転終了条件が満たされたことを判別するために用いる目標総排水量WPを、乾燥中期の通風乾燥運転から乾燥終期の温風乾燥運転への切換のために用いることになるで、先に、運転終了条件が満たされたことを判別する構成について説明し、その後、省エネ運転について説明する。
【0130】
乾燥機用の制御手段1は、上述の如く、乾燥運転を開始してから乾燥運転を終了するまで、湿度検出センサ36の検出湿度(絶対湿度)を設定時間(例えば、1秒)ごとにサンプリングすることになり、そして、設定時間(例えば、1秒)ごとにサンプリングした検出湿度(絶対湿度)から初期検出湿度(絶対湿度)を減算した湿度差と、換気ファン11の換気量(上記サンプリング設定時間内の換気量)との積、つまり、単位時間排水量を時間経過に伴って積算した積算排水量SXを求めることを、乾燥運転の開始から乾燥運転を終了するまで継続して行うことになる。
【0131】
乾燥機用の制御手段1は、設定時間ごとにサンプリングされる湿度検出センサ36の検出湿度(絶対湿度)に基づいて、図5〜図7に示すように、湿度低下傾向時点HPになったことを判別すると、その時点までの積算排水量SXを排出済み排水量WKとして記憶する。
乾燥機用の制御手段1は、排出済み排水量WKと目標総排水量WPとの関係を定めた目標総排水量関係情報(図8参照)を予め記憶しており、記憶した排出済み排水量WKと目標総排水量関係情報とに基づいて、目標総排水量WPを定めるように構成されている。
【0132】
そして、乾燥機用の制御手段1は、乾燥運転を開始したときから、単位時間排水量を時間経過に伴って積算した積算排水量SXが、目標総排水量WPになると、運転終了条件が満たされた判別するように構成されている。
つまり、図5に示すように、湿度低下傾向時点HPにおいては、目標総排水量WPから積算排水量SXを減算して求められる目標残排水量WZが残存することになり、湿度低下傾向時点HPの後において、この目標残排水量WZを排出されると、運転終了条件が満たされた判別されることになる。
【0133】
排出済み排水量WKと目標総排水量WPとの関係を定めた目標総排水量関係情報は、被乾燥物の量を変化させながら乾燥運転を実行したときの実験結果に基づいて定められるものであり、被乾燥物の量が多いほど、それに比例して、目標総排水量WPも多くなる関係に定められたものである。
尚、被乾燥物は、脱水機能付の洗濯機にて洗濯処理し、その後、同じ湿度となるように脱水処理したものである。
【0134】
ちなみに、排出済み排水量WKと目標総排水量WPとの関係を定めた目標総排水量関係情報は、浴室Yの換気に伴って浴室Yの内部に流動する外気の湿度や温度には大きな影響を受けないものであるが、外気の湿度や温度が大きく変動する場合には、外気の湿度と温度を変化させた状態の夫々について、目標総排水量関係情報を定めておき、目標総排水量WPを求める際に、そのときの外気の湿度と温度に応じた目標総排水量関係情報を用いる形態で実施してもよい。
【0135】
省エネ運転の乾燥運転作動状態は、上述の如く、乾燥初期及び乾燥終期においては、温風乾燥運転を行い、乾燥初期と乾燥終期との間の乾燥中期においては、通風乾燥運転を行う状態に定められるものであり、そして、乾燥機用の制御手段1は、乾燥初期から乾燥中期への切換、つまり、温風乾燥運転から通風乾燥運転への切換を、湿度低下傾向時点HPにて、つまり、乾燥運転を開始したのちにおいて湿度検出センサ36の検出湿度(絶対湿度)が低下傾向となる時点にて行なうように構成されている。
【0136】
また、乾燥機用の制御手段1は、省エネ運転における乾燥中期の通風乾燥運転から乾燥終期温の風乾燥運転への切換を、運転開始からの経過時間が、タイマー設定スイッチ28にて設定された運転時間よりも予測温風乾燥時間だけ早い温風乾燥切換時点TPなると、行なうように構成されている(図7参照)。
【0137】
つまり、タイマー設定スイッチ28にて設定された運転時間は、乾燥開始から湿度低下傾向時点HPまでの乾燥初期、湿度低下傾向時点HPから温風乾燥切換時点TPまでの乾燥中期、及び、予測温風乾燥時間を加えた値に相当する。
【0138】
予測温風乾燥時間は、図11に示すように、目標総排水量WPと限界除湿量との関係を示す予測温風乾燥時間設定情報から求められるように構成され、限界除湿量は、図10に示すように、乾燥運転を開始した直後において、湿度検出センサ36にて検出される初期検出湿度(相対湿度)、及び、温度センサ37にて検出される初期検出温度と、それら初期検出湿度(相対湿度)及び初期検出湿度と限界除湿量との関係を示す限界除湿量設定情報に基づいて求められるように構成されている。
【0139】
すなわち、乾燥機用の制御手段1は、予測温風乾燥時間設定情報、及び、限界除湿量設定情報を予め記憶しており、そして、初期検出湿度(相対湿度)及び初期検出温度と、予測温風乾燥時間設定情報及び限界除湿量設定情報とに基づいて、予測温風乾燥時間を求め、求めた予測温風乾燥時間とタイマー設定スイッチ28にて設定された運転時間とに基づいて、温風乾燥切換時点TPを求めるように構成されている。
ちなみに、上述の如く、初期検出湿度(相対湿度)は、乾燥運転を開始したときに、換気に伴って外部から浴室Yに流れ込む外気の相対湿度を示し、同様に、初期検出温度は、乾燥運転を行うときに、換気に伴って外部から浴室Yに流れ込む外気の温度を示すことになる。
【0140】
限界除湿量設定情報は、本実施形態においては、図10に示すように、初期検出温度を3段階に区分し、それら3段階の夫々に対応して、初期検出湿度(相対湿度)を3段階に区分して、計9段階の区分の夫々に対して、限界除湿量を設定しているが、初期検出温度を区分する段階数や、初期検出湿度を区分する段階数は、各種変更できるものである。
【0141】
また、限界除湿量設定情報を設定するにあたり、本実施形態においては、初期検出湿度として、相対湿度を用いる場合を例示するが、相対湿度に代えて、絶対湿度を用いてもよいことは勿論である。
尚、図10においては、参考までに、各区分についての絶対湿度や飽和水蒸気量を記載しているが、これらの情報を、乾燥機用の制御手段1に記憶させる必要はない。
また、図10において、初期検出湿度が40〜60%に対応する絶対湿度g/kgは、初期検出温度が17.5℃で、初期検出湿度が50%に対応する値を記載している。
【0142】
予測温風乾燥時間設定情報は、本実施形態においては、図11に示すように、目標総排水量WPを3段階に区分して、9段階の限界除湿量の夫々に対して、目標総排水量WPが3段階に異なる場合の夫々についての予測温風乾燥時間を設定する場合を例示するが、目標総排水量WPを区分する段階数は各種変更できるものであり、また、限界除湿量の段階数も各種変更できるものである。
【0143】
省エネ運転における乾燥初期の温風乾燥運転は、上述した標準乾燥運転と同じ条件で、換気ファン11及び循環ファン9を通風作動させかつ空気加熱用熱交換器10を加熱作動させるように構成されている。
つまり、省エネ運転における乾燥初期の温風乾燥運転の作動条件が、本実施形態では、循環ファン9を、例えば、1300回/分で回転させ、かつ、空気加熱用熱交換器10に対して、例えば、3L/分の通流量で熱媒を通流させ、かつ、換気ファン11を、例えば、換気量が1.5m3となる回転速度で回転させる条件に設定されている。
【0144】
また、省エネ運転における通風乾燥運転の作動条件が、循環ファン9を乾燥初期の温風乾燥運転と同じ状態で作動させ、換気ファン11の換気量については、省エネ運転換気量に変更する条件に設定されている。
【0145】
省エネ運転換気量は、乾燥運転を開始した直後において、湿度検出センサ36にて検出される初期検出湿度(相対湿度)、及び、温度センサ37にて検出される初期検出温度と、それら初期検出湿度及び初期検出湿度と省エネ運転換気量との関係を示す省エネ運転換気量設定情報(図12参照)とに基づいて、定められることになる。
つまり、乾燥機用の制御手段1は、省エネ運転換気量設定情報を予め記憶しており、そして、初期検出湿度(相対湿度)及び初期検出温度と、省エネ運転換気量設定情報とに基づいて、省エネ運転換気量を求めて、通風乾燥を行うときに、換気ファンの換気量が省エネ運転換気量となるようにする省エネ運転用換気量変更処理を実行するように構成されている。
ちなみに、上述の如く、初期検出温度(相対湿度)は、乾燥運転を開始した直後において、換気に伴って外部から浴室Yに流れ込む外気の相対湿度を示し、同様に、初期検出温度は、乾燥運転を行うときに、換気に伴って外部から浴室Yに流れ込む外気の温度を示すことになる。
【0146】
省エネ運転換気量設定情報は、本実施形態においては、図12に示すように、初期検出温度を3段階に区分し、それら3段階の夫々に対応して、初期検出湿度を3段階に区分して、計9段階の区分の夫々に対して、換気量を設定しているが、初期検出温度を区分する段階数や、初期検出湿度を区分する段階数は、各種変更できるものである。
また、本実施形態においては、初期検出湿度として、相対湿度を用いる場合を例示するが、相対湿度に代えて、絶対湿度を用いてもよいことは勿論である。
【0147】
省エネ運転における乾燥終期における温風乾燥運転は、上述した標準乾燥運転と同じ条件で、循環ファン9を通風作動させかつ空気加熱用熱交換器10を加熱作動させ、換気ファン11を通風乾燥運転と同じ条件で作動させるように構成されている。
つまり、省エネ運転における乾燥終期の温風乾燥運転の作動条件が、本実施形態では、循環ファン9を、例えば、1300回/分で回転させ、かつ、空気加熱用熱交換器10に対して、例えば、3L/分の通流量で熱媒を通流させ、かつ、換気ファン11を、換気量が省エネ運転用換気量となる回転速度で回転させる条件に設定されている。
【0148】
図7は、省エネ運転にて乾燥運転を行ったときの、単位時間排水量の時間経過に伴う変化を示すものであり、J5は、スピード運転を行う場合を示し、J6は、標準乾燥運転を行う場合を示すものである。
【0149】
次に、図13のフローチャートに基づいて、乾燥運転における乾燥機用の制御手段1の制御作動について説明する。
乾燥スイッチ45にて乾燥運転が指令されると、先ず、乾燥運転開始処理を実行することになる(#1)。
この乾燥運転開始処理は、乾燥用空気の吹出方向が真下方向L6となるように可動ルーバ15を閉じ姿勢から揺動させ、循環ファン9及び換気ファン11を作動させ、熱源機用の制御手段3に熱媒要求指令を通信し、熱動弁18を開き作動させる処理である。
尚、この乾燥運転開始処理においては、上記説明から明らかな如く、標準乾燥運転、スピード運転、及び、省エネ運転のいずれにおいても、換気機能付暖房手段Jを同じ状態に作動させることになる。
【0150】
また、この乾燥運転開始処理を開始した際には、湿度検出センサ36にて検出される検出湿度(絶対湿度、相対湿度)を初期検出湿度として記憶し、同様に、温度センサ37にて検出される検出温度を初期検出温度として記憶することになる。
さらに、この乾燥運転開始処理を開始すると、湿度検出センサ36の検出湿度(絶対湿度)を設定時間(例えば、1秒)ごとにサンプリングし、そして、設定時間(例えば、1秒)ごとにサンプリングした検出湿度(絶対湿度)から初期検出湿度(絶対湿度)を減算した湿度差を求め、その湿度差と換気ファン11の換気量(上記サンプリング設定時間内の換気量)との積(単位時間排水量)を時間経過に伴って積算した積算排水量SXを求めることを開始することになる。
【0151】
次に、目標総排水量WPを設定済みであるか否かを判別し(#2)、設定済みでないときには、湿度低下傾向時点HPであるか否かを判別し(#4)、湿度低下傾向時点HPであるときには、目標総排水量WPを設定する(#5)。
目標総排水量WPは、上述の如く、排出済み排水量WKと、目標総排水量関係情報(図8参照)とに基づいて、求められことになる。
【0152】
#4にて、湿度低下傾向時点HPでないと判別したときに、浴室リモコン2や脱衣室リモコンの停止スイッチ34にて停止指令が指令されているか否かを判断し(#15)、停止指令が指令されている場合には、換気機能付暖房手段Jを停止させる停止処理を実行し(#16)、停止指令が指令されていない場合には、#2からの処理を繰り返すことになる。
【0153】
#5にて、目標総排水量WPを設定したのちは、現在実行している乾燥運転がスピード運転であるか否かを判別し(#6)、スピード運転である場合には、上述した吹出方向調整処理(#7)や、上述したスピード運転用換気量設定処理(#8)を順次実行する。
【0154】
#6にて、スピード運転でないと判別したときには、現在実行している乾燥運転が省エネ運転であるか否かを判別し(#9)、省エネ運転の場合には、通風乾燥運転に切換えるために、熱動弁18を閉じて、空気加熱用熱交換器10に対する熱媒の通流を停止する処理を実行する(#10)。
引き続き、初期検出湿度(相対湿度)、及び、初期検出温度と、省エネ運転換気量設定情報とに基づいて、省エネ運転換気量を求めて、換気ファン11の換気量が省エネ運転換気量となるように、換気ファン11の回転速度を調整する省エネ運転用換気量変更処理を実行する(#11)。
【0155】
その後、温風乾燥切換時点TPであるか否かを判別し(#12)、温風乾燥切換時点TPである場合には、乾燥終期の温風乾燥運転に切換えるために、熱動弁18を開いて、空気加熱用熱交換器10に対する熱媒の通流を開始する処理を実行する(#13)。
【0156】
#9にて、省エネ運転でないと判別される場合は、現在実行されている乾燥運転が標準乾燥運転である。
この標準乾燥運転は、乾燥運転の開始から終了まで、循環ファン9、換気ファン11、及び、空気加熱用熱交換器10を、つまり、換気機能付暖房手段Jを同じ作動状態で継続して作動させるものである。
したがって、#9にて、省エネ運転でないと判別された場合には、直ちに、運転終了であるか否かを判別することになる(#14)。
【0157】
また、乾燥運転がスピード運転である場合において、吹出方向調整処理(#7)やスピード運転用換気量設定処理(#8)を順次実行した後においても、#14の運転終了の判別に移行することになり、さらに、乾燥運転が省エネ運転である場合において、#12にて温風乾燥切換時点TPでないと判別したときや、#13にて熱媒の通流を開始する処理を実行した後は、#14の運転終了の判別に移行することになる。
【0158】
#14の運転終了の判別は、積算排水量SXが目標総排水量WPに達すると運転終了であると判別する処理であり、そして、運転終了であると判別すると、#16の停止処理に移行することになる。
また、運転終了でないと判別すると、#15に移行して、上述の如く、停止スイッチ34にて停止指令が指令されているか否かを判断する処理を実行し、停止指令が指令されている場合には、停止処理を実行し(#16)、停止指令が指令されていない場合には、#2からの処理を繰り返すことになる。
【0159】
#2にて、目標総排水量WPを設定済みであると判別したときには、現在実行している乾燥運転が省エネ運転であるか否かを判別し(#3)、省エネ運転の場合には、#12に移行して、温風乾燥切換時点TPであるか否かを判別する処理を実行し、省エネ運転でない場合には、#14に移行して、運転終了であるか否かを判別する処理を実行することになる。
【0160】
要するに、乾燥機用の制御手段1は、乾燥運転として、標準乾燥運転、スピード運転、及び、省エネ運転を実行することになり、そして、いずれの運転においても、積算排水量SXが目標総排水量WPになると、乾燥運転を停止することになる。
【0161】
また、乾燥機用の制御手段1は、スピード運転においては、湿度低下傾向時点HPになると、吹出方向調整処理やスピード運転用換気量変更処理を実行して、乾燥効率の向上を図ることになる。
【0162】
さらに、乾燥機用の制御手段1は、省エネ運転においては、湿度低下傾向時点HPになると、温風乾燥運転から通風乾燥運転に切換え、温風乾燥切換時点になると、通風乾燥運転から温風乾燥運転に切換えることになり、また、温風乾燥運転から通風乾燥運転に切換える際に、換気ファン11の換気量を、省エネ運転用の換気量に変更することにより、乾燥効率の向上を図ることになる。
【0163】
ちなみに、上記の説明では、運転開始からの積算排水量SXと目標総排水量WPとを単に比較することにより、積算排水量SXが目標総排水量WPに達したことを判別するようにしたが、次に述べるようにしてもよい。
【0164】
すなわち、図5〜図7に示すように、目標総排水量WPから排出済み排水量WKを減算して、目標残排水量WZを定めるようにする。
そして、湿度低下傾向時点HPになったときから、設定時間(例えば、1秒)ごとにサンプリングした検出湿度(絶対湿度)から初期検出湿度(絶対湿度)を減算した湿度差と、換気ファン11の換気量(上記サンプリング設定時間内の換気量)との積(単位時間排水量)を時間経過に伴って積算した新たな積算排水量を求めることを開始して、その新たな積算排水量が、目標残排水量WZになると、積算排水量SXが目標総排水量WPに達したと判別するようにしてもよい。
【0165】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について説明するが、この第2実施形態は、運転終了条件が満たされたことの判別する構成の別形態を示すものであって、その他の構成は、第1実施形態と同じであるので、以下の説明においては、第1実施形態とは異なる点についてのみ説明する。
【0166】
この第2実施形態においては、乾燥機用の制御手段1が、第1実施形態と同様に、設定時間ごとにサンプリングされる湿度検出センサ36の検出湿度(絶対湿度)に基づいて、図5〜図7に示すように、湿度低下傾向時点HPになったことを判別すると、その時点までの積算排水量SXを排出済み排水量WKとして記憶する。
【0167】
そして、乾燥機用の制御手段1は、排出済み排水量WKと目標残排水量WZとの関係を定めた目標残排水量関係情報(図14参照)を予め記憶しており、記憶した排出済み排水量WKと目標残水量関係情報とに基づいて、目標残排水量WZを定めるように構成されている。
【0168】
排出済み排水量WKと目標残排水量WZとの関係を定めた目標残排水量関係情報は、被乾燥物の量を変化させながら乾燥運転を実行したときの実験結果に基づいて定められるものであり、被乾燥物の量が多いほど、それに比例して、目標残排水量WZも多くなる関係に定められている。
尚、被乾燥物は、脱水機能付の洗濯機にて洗濯処理し、その後、同じ湿度となるように脱水処理したものである。
【0169】
ちなみに、排出済み排水量WKと目標残排水量WZとの関係を定めた目標残排水量関係情報は、浴室Yの換気に伴って浴室Yの内部に流動する外気の湿度や温度には大きな影響を受けないものであるが、外気の湿度や温度が大きく変動する場合には、外気の湿度と温度を変化させた状態の夫々について、目標残排水量関係情報を定めておき、目標残排水量WZを求める際に、そのときの外気の湿度と温度に応じた目標残排水量関係情報を用いる形態で実施してもよい。
【0170】
そして、乾燥機用の制御手段1は、湿度低下傾向時点HPになったときから、単位時間排水量を時間経過に伴って積算した後期積算排水量SYが、目標残排水量WZになると、運転終了条件が満たされたと判別するように構成されている。
つまり、湿度低下傾向時点HPにおいては、その後において乾燥すべき目標残排水量WZが残存することになり、湿度低下傾向時点HPの後において、この目標残排水量WZが排出されると、運転終了条件が満たされた判別されることになる。
【0171】
後期積算排水量SYは、湿度低下傾向時点HPになったときから、単位時間排水量を時間経過に伴って新たに積算して求めることができるが、乾燥運転の開始から積算している積算排水量SXの湿度低下傾向時点HPになったときの値を記憶しておき、乾燥運転の開始から積算している積算排水量SXから、湿度低下傾向時点HPになったときに記憶した積算排水量を減算して、求めるようにしてもよい。
【0172】
さらに、後期積算排水量SYが、目標残排水量WZになると、運転終了条件が満たされと判別するあたり、湿度低下傾向時点HPになったときの、乾燥運転の開始から積算している積算排水量SXの値に、目標残排水量WZを加えた値を、第1実施形態における目標総排水量WPに対応する算出目標総排水量として定めて、乾燥運転の開始から積算している積算排水量SXが、算出目標総排水量になると、後期積算排水量SYが、目標残排水量WZになったとして、運転終了条件が満たされたと判別してもよい。
【0173】
ちなみに、省エネ運転においては、第1実施形態にて述べた如く、予測温風乾燥時間を求めるために、目標総排水量WPを必要とするが、この第2実施形態においては、上述した算出目標総排水量を、目標総排水量WPとして用いることになる。
尚、この第2実施形態の乾燥運転における乾燥機用の制御手段1の制御作動は、第1実施形態と同様であり、第1実施形態の説明にて理解できるので、その説明は省略する。
【0174】
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態について説明するが、この第3実施形態は、運転終了条件が満たされたことを判別する構成の別形態を示すものであり、運転終了条件が満たされたことを判別する構成が第1実施形態とは異なるに伴って、省エネ運転において、乾燥初期の温風乾燥運転から乾燥中期の通風乾燥運転に切換えるタイミング、及び、スピード運転において、吹出方向調整処理やスピード運転用換気量変更処理を実行するタイミングが、第1実施形態とは異なるものの、その他の構成は、第1実施形態と同じであるので、以下の説明においては、第1実施形態とは異なる点についてのみ説明する。
【0175】
この第3実施形態においては、乾燥機用の制御手段1が、図15に示すように、設定時間(例えば、1秒)ごとにサンプリングする湿度検出センサ36の検出湿度(絶対湿度)に基づいて、乾燥運転を開始したのちにおいて検出湿度(絶対湿度)が低下傾向になり(湿度低下傾向時点HPに相当)、かつ、その低下傾向を示す傾きの設定時間(例えば、5秒)内の変化が設定範囲内となる傾き安定状態になったとき(以下、湿度低下安定時点HDと略称)を判別する。
【0176】
ちなみに、図15は、標準乾燥運転を行う場合を代表して例示するものであって、第1実施形態にて説明した図5に対応するものである。
つまり、図15は、標準乾燥運転にて乾燥運転を行ったときの、単位時間排水量の時間経過に伴う変化を示すものであり、J1は、衣類乾燥量が少ない場合を示すものである。
尚、標準乾燥運転は、乾燥運転の開始から終了まで、換気ファン11を同じ状態で作動させるものであるから、図16は、浴室Yの絶対湿度の時間経過に伴う変化を示す図に対応する。
【0177】
ちなみに、傾き安定状態の判別は、低下傾向を示す傾きの変化が、設定範囲となる状態が、設定時間(例えば、5秒)継続すると、検出湿度(絶対湿度)が傾き安定状態であると判別することができる。
具体的には、先にサンプリングした検出湿度と次にサンプリングした検出湿度との差(以下、湿度差と記載)を求めることを、検出湿度をサンプリングするごとに繰り返し、時系列的に並ぶ複数の湿度差が、設定範囲内にあると、傾き安定状態であると判別する形態で行うことができる。
【0178】
乾燥機用の制御手段1は、湿度低下安定時点HDを判別すると、その時点の傾きにて、浴室内の湿度(絶対湿度)が、乾燥運転を開始する際に湿度検出センサ36にて検出された初期湿度(絶対湿度)にまで低下すると仮定して、湿度低下安定時点HDから初期湿度に低下する間に浴室Yから排出される予測残排水量WYを定めるように構成されている。
ちなみに、傾き安定状態になったときから初期検出湿度(絶対湿度)に低下する間に浴室Yから排出される排水量は、時間経過に伴って変化すると仮定した浴室Yの絶対湿度から初期検出湿度(絶対湿度)を減算した湿度差と、換気ファン11の換気量との積を、時間経過に伴って積算して求めることができる。
【0179】
ちなみに、予測残排水量WYを求めるにあたって、初期検出湿度に設定値を加えた判別用湿度を定めて、浴室内の湿度(絶対湿度)が判別用湿度に低下すると仮定して、予測残排水量WYを求めるようにしてもよい。
つまり、被乾燥物の乾燥が終了しても、浴室Yの壁面等には水分が付着する傾向にあるため、被乾燥物の乾燥が終了したときの、浴室Yの湿度(絶対湿度)が初期湿度よりも少し高めになる場合があり、このような場合には、浴室内の湿度(絶対湿度)が判別用湿度に低下すると仮定して、予測残排水量WYを求めるようにするとよい。
【0180】
そして、乾燥機用の制御手段1は、湿度低下安定時点HDを判別した時点からの、単位時間排水量を時間経過に伴って積算した安定後積算排水量SZが、予測残排水量WYになると、運転終了条件が満たされた判別するように構成されている。
尚、単位時間排水量とは、第1実施形態にて説明した通り、換気ファン11の換気量とサンプリングした検出湿度(絶対湿度)との積である。
【0181】
安定後積算排水量SZは、湿度低下安定時点HDになったときから、単位時間排水量を時間経過に伴って新たに積算して求めることができるが、乾燥運転の開始から積算している積算排水量SXが湿度低下安定時点HDになったときの値を記憶しておき、乾燥運転の開始から積算している積算排水量SXから、湿度低下安定時点HDになったときに記憶した積算排水量を減算して、求めるようにしてもよい。
【0182】
さらに、安定後積算排水量SZが予測残排水量WZになったことを判別するに、湿度低下安定時点HDになったときの、乾燥運転の開始から積算している積算排水量SXの値を、排出済み総排水量WLとして、その排出済み総排水量WLに、予測残排水量WYを加えた値を、予測目標総排水量として定めて、乾燥運転の開始から積算している積算排水量SXが予測目標総排水量になると、運転終了条件が満たされたとして判別してもよい。
【0183】
そして、乾燥機用の制御手段1は、湿度低下安定時点HDになると、省エネ運転において、乾燥初期の温風乾燥運転から乾燥中期の通風乾燥運転に切換えることになり、また、スピード運転において、吹出方向調整処理やスピード運転用換気量変更処理を実行することになる。
ちなみに、省エネ運転においては、第1実施形態にて述べた如く、予測温風乾燥時間を求めるために、目標総排水量WPを必要とするが、この第3実施形態においては、上述した予測目標総排水量を、目標総排水量WPとして用いることになる。
【0184】
尚、この第3実施形態の乾燥運転における乾燥機用の制御手段1の制御作動は、第1実施形態と同様であり、第1実施形態の説明を参照して理解できるので、その説明は省略する。
【0185】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
(1)上記第1〜第3実施形態では、ミスト噴出機能を備えた浴室乾燥機に、本発明を適用する場合を例示したが、本発明は、ミスト噴出機能を備えない形態の浴室乾燥機に適用してもよいことはもちろんである。
【0186】
(2)上記第1〜第3実施形態では、換気機能付暖房手段が、浴室の天井部に設置される場合を例示したが、換気機能付暖房手段を、浴室の側壁等に設置する形態で実施してもよい。
【0187】
(3)上記第1〜第3実施形態では、空気加熱手段として、熱媒が循環される空調用加熱器を例示したが、空気加熱手段としては、電気ヒータを備えた電気式の加熱器等、種々のものを適用できる。
【0188】
(4)上記第1〜第3実施形態では、乾燥運転作動状態として、循環手段の循環量や空気加熱手段の加熱量を変更しない場合を例示したが、循環手段の循環量や空気加熱手段の加熱量を変更する形態に乾燥運転作動状態を設定する形態で実施してもよい。
【0189】
(5)上記第1及び第2実施形態では、換気手段の換気量を変更するにあたり、換気ファンの回転速度を変化させる場合を例示したが、例えば、浴室からの空気を排出する排気路に、その開度を変更するダンパを設けて、そのダンパの調整により換気量を調整する形態で実施してもよい。
【0190】
(6)上記第1〜第3実施形態では、浴室温度検出手段が、循環ファンにて吸引される浴室内の空気の温度を検出する場合を例示したが、例えば、浴室リモコンに温度センサを設けて、その温度センサの値を浴室温度とする形態で実施してもよい。
【0191】
(7)上記第1〜第3実施形態では、乾燥運転を開始した直後において、浴室内の温度を検出する浴室温度検出手段の検出温度を、換気手段の換気作動に伴って浴室内に流動する外気の温度として、制御手段に記憶させることにより、浴室温度検出手段を、換気手段の換気作動に伴って浴室内に流動する外気の温度検出手段に兼用する場合を例示したが、浴室の外部に外気の温度を検出するセンサを装備して、そのセンサにて外気温度検出手段を構成する形態で実施してもよい。
【0192】
(8)上記第1〜第3実施形態では、浴室内の絶対湿度を検出する浴室湿度検出手段が、循環ファンにて吸引される浴室内の空気の湿度を検出する場合を例示したが、例えば、浴室リモコンに湿度センサを設けて、その湿度センサの値を浴室湿度とする形態で実施してもよい。
【0193】
(9)上記第1〜第3実施形態では、乾燥運転を開始した直後において、浴室内の絶対湿度及び相対湿度を検出する浴室湿度検出手段の検出湿度を、換気手段の換気作動に伴って浴室内に流動する外気の絶対湿度及び相対湿度として、制御手段に記憶させることにより、浴室湿度検出手段を、換気手段の換気作動に伴って浴室内に流動する外気の絶対湿度及び相対湿度を検出する外気湿度検出手段に兼用する場合を例示したが、浴室の外部に外気の絶対湿度又は相対湿度を検出するセンサを装備して、そのセンサにて外気湿度検出手段を構成する形態で実施してもよい。
【0194】
(10)上記第1〜第3実施形態では、換気手段の吸引口と、循環手段の吸引口とが兼用される場合を例示したが、換気手段の吸引口と、循環手段の吸引口とが、別個に形成される形態で実施してもよい。
【符号の説明】
【0195】
1 制御手段
9 循環手段
10 空気加熱手段
11 換気手段
36 湿度検出手段
HD 湿度低下安定時点
HP 湿度低下傾向時点
J 換気機能付暖房手段
SK 積算排水量
SY 後期積算排水量
SZ 安定後積算排水量
WK 排出済み排水量
WP 目標総排水量
WY 予測残排水量
WZ 目標残排水量
Y 浴室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内の空気を吸引して外部に排出する換気手段、前記浴室内の空気を吸引しかつその空気を前記浴室内に吹き出す循環手段、及び、前記循環手段にて通風される空気を加熱する空気加熱手段を備えた換気機能付暖房手段と、
前記換気機能付暖房手段の作動を制御する制御手段とが設けられ、
前記制御手段が、乾燥運転開始が指令されると、乾燥運転用の作動状態として定めた乾燥運転作動状態にて、前記換気機能付暖房手段を作動させて乾燥運転を実行し、且つ、運転終了条件が満たされると、前記乾燥運転を停止するように構成された浴室乾燥機であって、
前記換気手段の換気作動に伴って前記浴室内に流動する外気の絶対湿度又は相対湿度を検出する外気湿度検出手段、前記換気手段の換気作動に伴って前記浴室内に流入する外気の温度を検出する外気温度検出手段、及び、前記浴室内の絶対湿度を検出する浴室湿度検出手段が設けられ、
前記制御手段は、
前記外気湿度検出手段、前記外気温度検出手段、及び、前記浴室湿度検出手段の検出情報に基づいて、前記乾燥運転を開始したのちにおいて前記浴室内の絶対湿度が低下傾向になったとき、又は、その低下傾向を示す傾きの設定時間内の変化が設定範囲となる傾き安定状態になったときに、前記外気の温度、及び、前記外気の絶対湿度又は相対湿度に対応して、乾燥を促進する目標換気量を定めた換気量設定関係情報に基づいて、前記目標換気量を求めて、
前記乾燥運転作動状態にて定める基準換気量に代えて、前記換気手段の換気量を前記目標換気量に調整する換気量調整制御を実行するように構成されている浴室乾燥機。
【請求項2】
前記浴室湿度検出手段が、前記循環手段にて吸引される空気の絶対湿度を前記浴室の絶対湿度として検出するように設けられ、
前記制御手段が、前記換気量調整制御を実行する前に、前記浴室の絶対湿度から前記外気の絶対湿度を減算した湿度差と、前記換気手段の前記基準換気量との積を記憶し、その積よりも、前記換気量調整制御を実行したのちの、前記浴室の絶対湿度から前記外気の絶対湿度を減算した湿度差と、前記換気手段の前記目標換気量との積が、小さいときには、前記換気手段の換気量を、前記乾燥運転作動状態にて定めた前記基準換気量に戻すように構成されている請求項1記載の浴室乾燥機。
【請求項3】
前記循環手段にて前記浴室内に吹き出す空気の吹出方向を変更する吹出方向変更手段が設けられ、
前記浴室湿度検出手段が、前記循環手段にて吸引される空気の絶対湿度を前記浴室の絶対湿度として検出するように設けられ、
前記制御手段が、
乾燥運転開始が指令されると、前記循環手段にて前記浴室内に吹き出す空気の吹出方向を乾燥運転用の初期吹出方向に向けるように、前記吹出方向変更手段を作動させ、かつ、
前記換気量調整制御を実行する前、又は、前記換気量調整制御を実行した後に、前記循環手段にて前記浴室内に吹き出す空気の吹出方向を、前記浴室湿度検出手段にて検出される湿度の単位時間当たりの低下量が小さな方向に向けるように調整すべく、前記吹出方向変更手段を作動させる吹出方向調整制御を実行するように構成されている請求項1又は2記載の浴室乾燥機。
【請求項4】
前記制御手段が、
前記乾燥運転を開始したのちにおいて前記浴室の絶対湿度が低下傾向になったときに、前記換気量調整制御を実行するように構成され、且つ、
前記乾燥運転を開始したときから、前記浴室内の絶対湿度から前記外気の絶対湿度を減算した湿度差と、前記換気手段の換気量との積を、時間経過に伴って積算して積算排水量を求めて、その積算排水量が、目標総排水量になると、前記運転終了条件が満たされたと判別し、かつ、
前記乾燥運転を開始してから前記浴室内の絶対湿度が低下傾向になるまで、前記浴室内の絶対湿度から前記外気の絶対湿度を減算した湿度差と、前記換気手段の換気量との積を、時間経過に伴って積算して排出済み排水量を求めて、その排出済み排水量、及び、その排出済み排水量と前記目標総排水量との関係を定めた目標総排水量関係情報に基づいて、前記目標総排水量を定めるように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の浴室乾燥機。
【請求項5】
前記制御手段が、
前記乾燥運転を開始したのちにおいて前記浴室の絶対湿度が低下傾向になったときに、前記換気量調整制御を実行するように構成され、且つ、
前記外気湿度検出手段及び前記浴室湿度検出手段の検出情報に基づいて、前記乾燥運転を開始したのちにおいて前記浴室内の絶対湿度が低下傾向になったときから、前記浴室内の絶対湿度から前記外気の絶対湿度を減算した湿度差と、前記換気手段の換気量との積を、時間経過に伴って積算して後期積算排水量を求めて、その後期積算排水量が、目標残排水量になると、前記運転終了条件が満たされたと判別し、かつ、
前記外気湿度検出手段及び前記浴室湿度検出手段の検出情報に基づいて、前記乾燥運転を開始してから前記浴室の絶対湿度が低下傾向になるまで、前記浴室内の絶対湿度から前記外気の絶対湿度を減算した湿度差と、前記換気手段の換気量との積を、時間経過に伴って積算して排出済み排水量を求めて、その排出済み排水量、及び、その排出済み排水量と前記目標残排水量との関係を定めた目標残排水量関係情報に基づいて、前記目標残排水量を定めるように構成されている請求項1〜3のいずれか記載の浴室乾燥機。
【請求項6】
前記制御手段が、
前記乾燥運転を開始してから前記湿度検出手段の検出湿度が低下傾向になり、かつ、その低下傾向を示す傾きの設定時間内の変化が設定範囲内となる傾き安定状態になったときに、前記換気量調整制御を実行するように構成され、かつ、
前記傾き安定状態になったときから、前記浴室湿度検出手段の検出湿度から前記外気湿度検出手段の検出湿度を減算した湿度差と、前記換気手段の換気量との積を、時間経過に伴って積算した安定後積算排水量を求めて、その安定後積算排水量が予測残排水量になると、前記運転終了条件が満たされたと判別し、かつ、
前記傾き安定状態になったときの傾きにて、前記浴室内の絶対湿度が、前記外気湿度検出手段にて検出される外気湿度又はその外気湿度に設定値を加えた判別用湿度にまで低下すると仮定して、前記傾き安定状態になったときから、前記浴室内の絶対湿度が前記外気湿度又は前記判別用湿度に低下する間に前記浴室から排出される排水量を求めて、その排水量を前記予測残排水量として定めるように構成されている請求項1〜3のいずれかに記載の浴室乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−215343(P2012−215343A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80982(P2011−80982)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】