説明

消火栓装置点検システム

【課題】道路に消火用水を放水することなく消火栓装置の機能点検を自動的に行って点検作業を簡便化する。
【解決手段】消火栓装置10に、自動調圧弁58、消火栓弁56、点検時用消火栓弁55、切替弁70A、通常位置保持配管98、点検制御弁100及び放水圧力センサ104を設ける。通常時は切替弁70Aのシリンダ室88に収納したピストン90の片側に給水配管22から加圧消火用水を供給して通常位置に保持する。点検時には、遠隔点検弁100を開制御してシリンダ室88の加圧消火用水の排水によりピストン90をストロークして切替弁70Aを通常位置から点検位置に切替え、更に点検用消火栓55を開制御して排水管80に消火用水を流す。放水圧力センサ104は点検時に切替弁70Aの流入ポート側の圧力を放水圧力として検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル付きホースを引き出して消火する消火栓装置の点検システムに関し、特に放水圧力を確認するための機能点検を自動的に行う消火栓装置点検システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車専用道路のトンネルには、トンネル内で発生する火災事故から人身及び車両を守るため、非常用設備が設置されている。このような非常用設備としては、火災の監視と通報のため火災検知器や非常電話が設けられ、火災消火のために消火栓装置やトンネル防護のための水噴霧ヘッドから水を散布させる水噴霧自動弁装置が設けられる。
【0003】
消火栓装置にはノズル付きホースが収納されており、火災時には消火栓扉を開いてノズル付きホースを引き出し、消火栓弁開閉レバーを操作することでノズルから放水するようにしている。また消火栓装置には、火災時に使用者に支障がないように、ノズルからの放水圧力を自動で調整する自動調圧機能が備えられている。
【0004】
トンネル内の非常用設備は、半年又は1年に一度、定期的に機能点検が実施される。その中で消火栓装置については、放水圧力を自動調整して規定圧力で放水する機能が問題なく働き、所定の性能を満足しているかどうか確認するため、トンネル内の通行を規制した状態でノズル付きホースを引き出して実際に放水する機能点検を行い、ホースに異常がないか確認すると共に、放水圧力が基準範囲にあるかを確認する機能点検を行い、点検終了時に水抜きをしながらホースを巻き上げて消火栓装置内に収納している。
【0005】
このような機能点検はホースの引き出し及び点検後の収納に多くの手間と時間がかかることから、消火栓装置のホースを接続した給水配管に設けた消火栓弁の2次側にメンテナンス用装置(点検装置接続用継手)を取り付け、機能点検時には、メンテナンス用装置にノズル付きのダミーホースを取り付けて機能点検を行い、ホースの引き出しと収納をしなくともノズル放水状態と水圧の確認ができるように簡略化した機能点検も行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−318972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来のメンテナンス装置を用いた機能点検にあっても、消火栓装置を設置している現場に出向いて点検作業を行う必要があり、消火栓装置は道路に面していることから、点検の際にはトンネル内での交通規制を行う必要があり、交通規制を必要とすることのない更なる簡便化が求められている。
【0008】
本発明は、道路に消火用水を放水することなく消火栓の機能点検を自動的に行って点検作業を簡便化可能な消火栓装置の点検システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(第1発明)
本願の第1発明は、ノズル付きホースを引き出して放水する消火栓装置の機能点検を行う消火栓点検システムに於いて、
消火栓装置に、
ノズル側の放水圧力を所定圧に調整する自動調圧弁と、
自動調圧弁に直列に接続され、レバー操作により開閉される消火栓弁と、
消火栓弁に並列接続され、点検時に開閉制御される点検時用消火栓弁と、
消火栓弁の2次側を接続する流入ポート、ノズル付きホース側配管を接続する流出ポート、排水管を接続する排水ポートを有し、シリンダ室に収納したピストンのストロークによる弁体の移動で、流入ポートに対し流出ポートを連通すると共に排出ポートを閉鎖する通常位置と、流入ポートに対し流出ポートを閉鎖すると共に排出ポートを連通する点検位置に切替える切替弁と、
切替弁のシリンダ室に収納したピストンの片側に給水配管から加圧消火用水を供給して弁体を通常位置に保持する通常位置保持配管と、
点検時に開制御され、シリンダ室から加圧消火用水を排水することによるピストンのストロークで弁体を通常位置から点検位置に切替える点検制御弁と、
前記切替弁の流入ポート側の圧力を放水圧力として検出する放水圧力センサと、
を設け、
更に、点検時に、点検制御弁を開制御して切替弁を通常位置から点検位置に切替えると共に点検用消火栓弁を開制御し、放水圧力センサで検出した放水圧力を測定する機能点検部を設けたことを特徴とする。
【0010】
(第2発明)
本願の第2発明は、ノズル付きホースを引き出して放水する消火栓装置の機能点検を行う消火栓点検システムに於いて、
消火栓装置に、
ノズル側の放水圧力を所定圧に調整する自動調圧弁と、
自動調圧弁に直列に接続され、レバー操作により開閉される消火栓弁と、
消火栓弁に並列接続され、点検時に開閉制御される点検時用消火栓弁と、
消火栓弁の2次側を接続する流入ポート、ノズル付きホース側配管を接続する流出ポート、排水管を接続する排水ポートを有し、シリンダ室に収納したピストンのストロークによる弁体の移動で、流入ポートに対し流出ポートを連通すると共に排出ポートを閉鎖する通常位置と、流入ポートに対し流出ポートを閉鎖すると共に排出ポートを連通する点検位置に切替える切替弁と、
切替弁のシリンダ室に収納したピストンの片側に給水配管から加圧消火用水を供給してピストンをストロークすることにより弁体を通常位置から点検位置に切替える点検制御弁と、
切替弁の流入ポート側の圧力を放水圧力として検出する放水圧力センサと、
を設け、
更に、点検時に、点検制御弁を開制御して切替弁を通常位置から点検位置に切り替えると共に点検用消火栓弁を開放制御し、放水圧力センサで検出した放水圧力を測定する機能点検部を設けたことを特徴とする。
【0011】
ここで第1及び第2発明にあっては、次の特徴を有する。
【0012】
切替弁は、前記弁体を点検位置に切替えたときの排水ポートに流れる流路断面積を、ノズルから放水した時の圧力損失に相当する圧力損失を出すように設定する。
【0013】
切替弁はピストンのストロークによる点検位置への切替えを検出して点検切替信号を出力する切替検出スイッチを設ける。
【0014】
機能点検部は、点検終了時に点検用消火栓弁を閉止し、放水圧力センサで検出している放水圧力を測定して、測定した放水圧力が大気開放圧に低下した時に、遠隔点検弁を閉制御して切替弁を点検位置から通常位置に戻す。
【0015】
機能点検部は、点検中に、消火栓弁の開閉レバーの開操作を検出した時、遠隔点検弁を閉制御して切替弁を点検位置から通常位置に戻す。
【0016】
(第3発明)
本願の第3発明は、ノズル付きホースを引き出して放水する消火栓装置の機能点検を行う消火栓点検システムに於いて、
消火栓装置に、
ノズル側の放水圧力を所定圧に調整する自動調圧弁と、
自動調圧弁に直列に接続され、レバー操作により開閉される消火栓弁と、
消火栓弁に並列接続され、点検時に開閉制御される点検時用消火栓弁と、
消火栓弁の2次側を接続する流入ポート、ノズル付きホース側配管を接続する流出ポート、排水管を接続する排水ポートを有し、シリンダ室に収納したピストンのストロークによる弁体の移動で、流入ポートに対し排水ポートを連通と共に流出ポートを閉鎖する点検位置を兼ねた通常位置と、流入ポートに対し流出ポートを連通すると共に排出ポートを閉鎖する放水位置に切り替える切替弁と、
切替弁のシリンダ室に収納したピストンの片側に給水配管から加圧消火用水を供給してピストンをストロークすることにより弁体を点検位置を兼ねた通常位置から放水位置に切替制御する点検制御弁と、
切替弁の流入ポート側の圧力を放水圧力として検出する放水圧力センサと、
を設け、
更に、通常時に点検制御弁を開制御して切替弁のシリンダ室に加圧消火用水の供給可能状態を確立し、点検時には点検制御弁を閉制御して切替弁を点検位置を兼ねた通常位置に保持すると共に点検用消火栓弁を開放制御し、放水圧力センサで検出した放水圧力を測定する機能点検部を設けたことを特徴とする。
【0017】
ここで、切替弁は、弁体を点検位置を兼ねた通常位置に切替えたときの排水ポートに流れる流路断面積を、ノズルから放水した時の圧力損失に相当する圧力損失を出すように設定する。
【0018】
切替弁はピストンのストロークによる点検位置を兼ねた通常位置への切替えを検出して点検切替信号を出力する切替検出スイッチを設ける。
【0019】
機能点検部は、点検終了時に点検用消火栓弁を閉止する。
【0020】
機能点検部は、点検中に、消火栓弁の開閉レバーの開操作を検出した時、遠隔点検弁を開制御して切替弁を点検位置を兼ねた通常位置から放水位置に戻す。
【0021】
更に第1乃至第3発明の機能点検部は、消火栓装置を監視するセンター装置、及び又は消火栓装置に設ける。
【発明の効果】
【0022】
本願の第1乃至第3発明によれば、消火栓装置に設けた切替弁を点検制御弁により通常位置から点検位置に切替制御するか、点検位置を兼ねた通常位置を保持するように制御した状態で点検用消火栓弁を開制御することにより、自動調圧弁で調圧された加圧消火用水を点検流量を決める切替弁の排水ポートへの流路を介して流し、放水圧力センサで放水圧力を測定するようにしたため、道路に消火用水を放水することを防ぐことができ、機能点検が大幅に簡便化できる。またセンタ装置に居るだけで機能点検を行うことができる構成とすれば、現場作業を不要とすることで、トンネル内の通行規制を行う必要がなく、機能点検に要していた手間と時間を大幅に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による水噴霧自動弁点検システムの実施形態を示した説明図
【図2】図1に設けた消火栓装置の外観と消火栓扉を外して内部構造を示した説明図
【図3】本願第1発明による図1に設けた消火栓装置の放水バルブ系統と点検バルブ系統の実施形態を示した説明図
【図4】図3の切替弁を取り出して示した説明図
【図5】本願第1発明による図1のセンタ装置と消火栓装置に設けた端末ユニットの実施形態を示したブロック図
【図6】本願第1発明による機能点検処理を示したフローチャート
【図7】本願第2発明による図1に設けた消火栓装置の放水バルブ系統と点検バルブ系統の実施形態を示した説明図
【図8】図7の切替弁を取り出して示した説明図
【図9】本願第3発明による図1に設けた消火栓装置の放水バルブ系統と点検バルブ系統の実施形態を示した説明図
【図10】図9の切替弁を取り出して示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明による消火栓装置点検システムの実施形態を示したブロック図である。図1において、消火栓装置10はトンネルの側壁に沿って50メートル間隔で複数台設置され、内部にノズル付きホースと消火器を収納している。消火栓装置10の各々には端末ユニット12が設けられる。
【0025】
消火栓装置10に設けた端末ユニット12は伝送路16を介して監視室などに設置されたセンタ装置14に接続される。センタ装置14は消火栓装置10の点検時に機能点検コマンドを含む電文信号(以下単に「電文」という)を送信し、機能点検動作を行わせる。端末ユニット12側からセンタ装置14へは、各消火栓装置10に設けた起動センサや放水圧センサ等の状態情報を送信する。
【0026】
センタ装置14には防災受信盤20が信号線接続され、防災受信盤20に接続された火災検知器の火災検知信号を受信する。消火栓装置10に設けた発信機等の起動スイッチが操作された場合にはセンタ装置14から防災受信盤20へ移報信号を送信する。
【0027】
またセンタ装置14にはポンプ制御盤18が信号線接続され、消火作業や機能点検時にポンプを起動する起動信号をポンプ制御盤18に送信する。
【0028】
図2は図1に示したトンネルに設置される消火栓装置の説明図であり、図2(A)に正面図を、図2(B)に消火栓扉を外した状態の内部構造を示している。図2(A)において、消火栓装置10は、筐体26の前面に配置した化粧板28の右側の扉開口に、消火栓扉30と保守扉32が設けており、その内部がホース収納空間及びバルブ類収納空間となっている。消火栓扉30は下側の回動軸を中心に前方に開閉する。
【0029】
消火栓扉30の上には、上側の回動軸により上向に開閉する保守扉32が設けられており、点検時に消火栓扉30を開いて内側のロックを外すことで開くことができる。
【0030】
筐体26の左側扉開口の右側には通報装置扉34が設けられ、ここに赤色表示灯36、発信機38、及び応答ランプ40を設けている。赤色表示灯36は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機38を押してスイッチボタンをオンすると、発信信号が監視室のセンタ装置14を経由して防災受信盤20に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号がセンタ装置14から送られて、応答ランプ40を点灯する。
【0031】
通報装置扉34の左側には消火器扉42が設けられ、消火器扉42に対応した筐体22の内部を消火器収納空間とし、図2(B)に示すように2本の消火器45を収納している。消火器扉42は左側を回動軸として前方に開くことができる。また、消火器扉44の下側には覗き窓45が設けられ、外部から消火器の収納状態の有無を確認できるようにしている。
【0032】
図2(B)において、筐体22の左側にはホース収納空間が形成され、右側にバルブ類収納空間を形成している。ホース収納空間には、その周囲を囲んでホース50を押えるホースバケット46が設けられ、ホースバケット46及び筐体内壁で囲まれたホース収納空間にホース50を内巻きして収納している。ホースバケット46は、格子状のフレーム配置により扉開口の左右方向における略中央となる位置にホース取出口48を仕切り形成している。
【0033】
ホースバケット46の右側には、ホース取出口48から引き出したホース50の先端に装着しているノズル52を横向きで着脱自在に保持している。
【0034】
ホース収納空間の右側に配置したバルブ類収納空間には、ポンプ設備からの配管22が接続される消火栓接続口からホース接続口に至る配管系統に、給水弁53、消火栓弁(操作案内板の背面に位置)、自動調圧弁58及びメンテナンス装置65を含む放水バルブ系統と後の説明で明らかにする機能点検バルブ系統を設けている。
【0035】
消火栓弁に対しては消火栓弁開閉レバー66が設けられ、これに対応して設けた銘板の裏側に配置された消火栓弁を開閉する。
【0036】
同時に消火栓弁開閉レバー66の背後に設置している弁開閉検出スイッチがオンし、これによって図1のセンタ装置14を経由してポンプ制御盤18にポンプ起動信号が送られ、ポンプ設備が起動される。放水を停止する際には、消火栓弁開閉レバー66を元の上向き位置に戻すと消火栓弁が閉じ、同時に弁開閉検出スイッチがオフとなってポンプ設備の運転停止が行われる。
【0037】
また給水弁54の手前にはポンプ起動スイッチ106が配置される。給水弁54及びポンプ起動スイッチ106は消防隊が消火時に操作する機器であり、消火栓扉30を開いても保守扉32により隠されており、消火栓装置を操作しようとする一般ユーザに見せないことで、不要な混乱を起させないようにしている。
【0038】
図3は本願の第1発明による消火栓装置の実施形態を示した説明図である。図3において、バルブ類収納空間には給水弁54、自動調圧弁58、遠隔消火栓弁55、消火栓弁56、切替弁70A、点検制御弁100、手動点検弁132、自動排水弁107、安全弁108及びメンテナンス装置65を設けている。
【0039】
自動調圧弁58は給水配管22を接続した給水弁54の1次配管に分岐接続され、ノズル52側の放水圧力を規定圧に調整する。消火栓弁56は自動調圧弁の2次側に接続され、消火栓弁開閉レバー66の操作により開閉される。消火栓弁56と並列には電動弁を用いた遠隔消火栓弁55が接続され、センタ装置14からの制御電文により遠隔的に開閉制御され、通常時は閉止しており、点検時に開放される点検時用消火栓弁である。
【0040】
消火栓弁56の2次側には切替弁70Aが接続される。切替弁70Aは、消火栓弁56の2次側を接続する流入ポート72、ホース50側の配管を接続する放水ポート74、及び排水管80を接続する排水ポート78を有し、シリンダ室88に収納したピストン90のストロークによるロッド86で連結した弁体84の移動で、流入ポート72に対し放水ポート74を連通すると共に排水ポート78を閉鎖する通常位置と、流入ポート72に対し放水ポート74を閉鎖すると共に排水ポート78を連通する点検位置に切り替える。
【0041】
図4は図3の切替弁70Aを取り出して示している。図4(A)において、切替弁70Aは弁ボディ71の上方に流入ポート72を形成し、流入ポート72に対しL型に屈曲した左側に放水ポート74を形成し、下側に排水ポート78を形成している。流入ポート72と放水ポート74を連通するL字型の内部流路のコーナー部の排水ポート78を仕切る隔壁部分には排水連通穴76が形成され、排水連通穴76の1次側に排水側弁座85を配置し、排水側弁座85に相対した放水ポート74側に放水側弁座82を同軸に配置している。
【0042】
放水用弁座82と排水用弁座85の間には、ロッド86に固定された弁体84が軸方向に移動自在に配置され、ロッド86の右側はシリンダ室88に摺動自在に設けたピストン90に連結されている。
【0043】
ピストン90で仕切られたシリンダ室88の左側には制御ポート95が開口され、制御ポート95に対し加圧消火用水を供給することで、バネ92に抗してピストン90を右側にストロークできるようにしている。ピストン90の背後にはロッド94が延在され、ロッド94はシリンダ室88から外部に取り出され、ロッド94の先端にリミットスイッチなどを用いた切替検出スイッチ96を設けている。
【0044】
図4(B)は切替弁70Aにおける排水連通穴76の断面を示している。排水連通穴76の中心にはピストン82に連結したロッド86が貫通しており、排水連通穴76の開口面積からロッド86の断面積を差し引いた断面積を持つ絞り流路75を形成している。
【0045】
絞り流路75は点検時に消火用水を排水側に流す際に、図3に示したホース50を介してノズル52から放水した場合に相当する損失を生成するように絞り流路75の断面積を設定している。このような絞り流路75の形成により、排水側に別途オリフィスなどを設けることなく、切替弁70A自体で点検時に排水側に消火用水を流す際のホースからの放水に相当する損失を作り出すことができる。
【0046】
再び図3を参照するに、切替弁70Aのシリンダ室88に設けた制御ボード95に対しては、給水配管22が接続された1次側から通常位置保持配管98が接続され、シリンダ室88に加圧消火用水を充水し、これによってピストン90を図示のように右側にストロークすることで弁体84を排水側弁座85に当接し、流入ポート72を放水ポート74に連通し、同時に流入ポート72を排水ポート78に対し閉鎖する通常位置の切替状態を保持している。
【0047】
点検制御弁100は例えば電動弁を使用しており、制御ポート95に対する通常位置保持配管98と排水管80の間に接続されている。点検制御弁100は通常時は閉鎖状態にあり、点検時に図1のポンプ制御盤18からの制御電文により開制御され、シリンダ室88の加圧消火用水を排水管80に抜くことで、バネ92によりピストン90を左側に押し戻し、これによって弁体84を図4(A)に示すように放出側弁座82に押し当て、流入ポート72に対し放出ポート74を閉鎖すると共に排出ポート78を連通した点検位置に切替えるようにしている。
【0048】
点検制御弁100と並列には手動点検弁132が接続され、手動点検弁132を現場で開放することで、同様に切替弁70Aを点検位置に切り替えることができる。
【0049】
切替弁70Aの流入ポート72を設けた1次側には、仕切弁102を介して圧力センサ104が設けられ、点検時に排水管80に消火用水が流れる際の図4(B)の絞り流路75で決まる放水圧を測定して、センタ装置14に測定情報を送るようにしている。
【0050】
このように放水圧力センサ104を切替弁70Aの1次側に接続配置することで、消火作業時の放水圧力の監視と機能点検時の放水圧力の点検と、従来通りメンテナンス装置65に点検用ホースを接続して点検を行うときの圧力測定にも使用することができる。
【0051】
切替弁70Aの放水ポート74に接続した配管にはメンテナンス装置65が設けられる。またホース50側への配管と排水管80の間には自動排水弁107と安全弁108が並列に設けられている。
【0052】
自動排水弁107は、消火作業を行っていない通常監視時に開放して、自動調圧弁58からノズル52に至る配管内に存在する消火用水を排水管80に流して排水し、消火時には消火用水の充水により配管内の圧力が所定値を超えたときに閉動作して排水を停止する。安全弁108はホース50側の圧力が所定値を超えたときに開動作して、排水管80に消火用水を流して圧力上昇を抑える。
【0053】
端末ユニット12には制御負荷として遠隔消火栓弁55と点検制御弁100を接続し、また検出部や操作部として消火栓弁開閉検出スイッチ68、切替検出スイッチ96、放水圧力センサ104、更に消防隊が使用するポンプ起動スイッチ106を接続している。
【0054】
次に図3の実施形態による火災時の放水動作を説明する。消火栓装置10の通常監視状態にあっては、点検制御弁100及び手動点検弁132は閉鎖状態にあり、給水配管22からの加圧消火用水が通常位置保持配管98を介してシリンダ室88に供給されて、ピストン90を右側にバネ92に抗して押圧し、これによってロッド86を介して弁体84を排水側弁座85に押し付け、流入ポート72に対し排水ポート80を閉じると共に、放水ポート74に連通した通常位置に切り替えている。
【0055】
通常監視状態では消火栓弁56の2次側には消火用水は存在せず、ノズル52及び自動排水弁107が開放していることから、放水圧力センサ104は大気開放圧となる。
【0056】
火災時には、図2に示した消火栓扉30を開き、消火栓弁開閉レバー66を操作し、消火栓弁56が開放位置に作動され、給水配管22から加圧供給された消火用水を自動調圧弁58で所定圧に調圧した後、開放した消火栓弁56及び通常位置にある切替弁70Aを介してホース50側に供給し、ホース50を消火対象物まで引き伸ばして、ノズル52から放水する。
【0057】
消火栓弁開閉レバー66を操作すると、同時に背後に設置している消火栓弁開閉検出スイッチ68がオンし、端末ユニット12から図1のセンタ装置14に消火栓弁開の電文を送信し、ポンプ制御盤18にポンプ起動信号を出力してポンプ設備を始動する。
【0058】
放水を停止する際には、消火栓弁開閉レバー66を元の位置に戻すと消火栓弁56が閉じ、同時に消火栓弁開閉検出スイッチ68がオフとなり、端末ユニット12から図1のセンタ装置14に消火栓弁閉の電文を送信し、ポンプ制御盤18にポンプ停止信号を出力して、ポンプ設備の運転停止が行われる。
【0059】
次に図3の実施形態による機能点検時の動作を説明する。機能点検を行う際には、図1に示したセンタ装置14で消火栓装置を指定した機能点検開始操作が行われ、これに伴い端末ユニット12に機能点検の電文が送信される。
【0060】
受信電文から機能点検を認識した端末ユニット12は、点検制御弁100に開制御信号を出力し、切替弁70Aのシリンダ室88の加圧消火用水を排水することで、バネ92によりピストン90を左側に押し戻し、ロッド86を介して弁体84を排水側弁座85から離して放水用弁座82に押し当て、流入ポート72を放水ポート74に対し閉鎖し、排水ポート80に連通する点検位置に切り替える。
【0061】
切替弁70Aが点検位置に切り替わると、ロッド94の移動に伴い切替検出スイッチ96が作動して、端末ユニット12から点検検出信号が図1のセンタ装置14に送信され、センタ装置14側で点検位置に切り替わったことが確認できる。
【0062】
続いて端末ユニット12は、遠隔消火栓弁55に制御信号を出力して開制御する。遠隔消火栓弁55が開放されると、給水配管22からの加圧消火用水は自動調圧弁58で調圧された後、開放された遠隔消火栓弁55及び点検位置に切り替わっている切替弁70Aを通って排水管80に流れ、このとき図4(B)に示す絞り流路75を通ることで、ホース50を介してノズル52から放水したと同等の損失を発生し、擬似的な実機能点検状態を作り出す。
【0063】
この機能点検中に放水圧力センサ104で検出された放水圧力の電文が端末ユニット12から図1のセンタ装置14に送られて放水圧力が表示され、適正な放水圧力が得られているかどうかが判断でき、消火栓装置10の設置現場に出向く必要はない。適正な放水圧力が得られているかどうかの判断は、センタ装置が自動的に判断して判断結果を表示するようにしてもよい。
【0064】
また点検中にあっては、切替弁70Aから排水管80に消火用水が流れるだけであり、メンテナンス装置65にダミーホースを接続して実機能点検を行う場合のようにトンネルへの放水が行われることはなく、機能点検の際にトンネル内での車線規制は不要であり、簡単且つ容易に機能点検ができる。
【0065】
点検放水による放水圧力を確認すると、センタ装置14から機能点検終了の電文が送られ、この電文を端末ユニット12で受信して遠隔消火栓弁55に制御信号を出力して閉制御し、同時にセンタ装置14からポンプ停止信号がポンプ制御盤18に出力されてポンプ設備の運転が停止される。
【0066】
遠隔消火栓弁55の閉制御に伴い切替弁70Aの1次側の圧力は低下し、放水圧力センサ104で検出している放水圧力が排水側の大気開放圧に低下したとき、端末ユニット12は点検制御弁100に制御信号を出力して閉制御する。
【0067】
点検制御弁100が閉じるとシリンダ室88から排水管80への排水が停止し、通常位置保持配管98を介して給水配管22からの加圧消火用水がシリンダ室88に供給され、ピストン90がバネ92に抗して右側にストロークすることで、弁体84を点検用弁座82から離して排水用弁座85に押し当て、流入ポート72を放水ポート74に連通し、排出ポート80を閉鎖する通常位置に戻し、機能点検を終了する。
【0068】
点検制御弁100の閉制御による切替弁70Aの点検位置から通常位置への切替えは、配管内に残っている消火用水を完全に排水するため所定の遅延時間後に切り替えることが望ましい。
【0069】
また機能点検中に火災が発生して消火栓弁開閉レバー66の開制御が行われた場合には、センタ装置14は消火栓弁開閉検出スイッチ68の開信号を受けて点検制御弁100を閉制御することで切替弁70Aを強制的に点検位置から通常位置に切り替え、ノズル52からの放水に切り替えることができる。
【0070】
なお図3の実施形態にあっては、メンテナンス装置65を従来通り配管途中に設けているが、本発明は遠隔的に点検を行うことができるから、メンテナンス装置65を取り外すようにしてもよい。もちろん遠隔点検だけでなく設置現場でも機能点検を行いたい場合には、メンテナンス装置65をそのまま設けていてもよい。また自動調圧弁58は消火栓弁56の2次側に配置してもよい。
【0071】
また遠隔的な機能点検の実行タイミングはセンタ装置14における監視員の点検開始操作で行ってもよいし、センタ装置14が定期的に所定のタイミングで自動的に行ってもよい。機能点検は消火栓装置ごとに順に点検を行う。また防災受信盤からの火災信号を受信した場合や、消火栓装置にて消火作業時には遠隔点検を行わないようにする。また機能点検中に火災信号の受信や消火栓による消火作業の開始を受信した場合には点検を終了し、元の通常監視状態に復旧させる。
【0072】
また施工時などの自動調圧弁58を操作して調圧設定を行う場合、あるいは消火栓装置について圧力値を目視で監視するため、放水圧力センサ14と並列に圧力表示部を備えた圧力計を設置してもよい。
【0073】
図5は図1のセンタ装置14と消火栓装置10に設けた端末ユニット12の詳細を示したブロック図である。図5において、消火栓装置の端末ユニット12には端末伝送部110と端末処理部112が設けられ、端末処理部112に対しては制御負荷として遠隔消火栓弁55及び点検制御弁100が設けられ、また操作部及びセンサとして消火栓弁開閉検出スイッチ68、切替検出スイッチ96、ポンプ起動スイッチ70及び放水圧力センサ104が設けられている。
【0074】
一方、センタ装置14にはセンタ伝送部114とセンタ処理部116が設けられ、センタ処理部116に対しては表示部122、操作部124、警報部126、更に記憶部128が接続されている。センタ処理部116にはコンピュータのCPUによるプログラムの実行で実現される機能として、消火栓装置監視部118と機能点検部120が設けられている。
【0075】
センタ処理部116に設けた消火栓装置監視部118は、火災発生により消火栓装置からノズル付きホースを引き出して放水するときの消火栓弁開閉レバーの開位置への操作に伴う消火栓弁検出スイッチ68のオン操作の電文を端末ユニット12から受信した際に、ポンプ制御盤18にポンプ起動信号を送ってポンプ設備を起動する。
【0076】
その後、端末ユニット12から受信した放水圧力センサ104で検出した放水圧力の測定電文に基づき、所定の放水圧力が得られた時に消火栓装置の動作表示を表示部122に行う。また消火栓弁開閉検出スイッチ68のオフ操作の電文を端末ユニット12から受信した際に、ポンプ制御盤18にポンプ停止信号を送ってポンプ設備を停止する。
【0077】
機能点検部120は消火栓装置10の定期点検の際に、担当者の点検指示操作に基づき機能点検コマンドを含む電文を端末ユニット12に送信して図3に示した消火栓装置10の機能点検を行わせる。
【0078】
図6は図5のセンタ装置に設けた機能点検部による本願第1発明の実施形態となる図3の消火栓装置を対象とした機能点検処理を示したフローチャートである。
【0079】
図6において、機能点検を行う際には、センタ装置14の操作部124の操作もしくはスケジュール管理により機能点検の開始操作が行われ、ステップS1で機能点検開始操作を判別するとステップS2に進み、機能点検する消火栓装置を選択する。なお、点検する消火栓装置の順番は予め設定されており、ステップS2では最初に機能点検する消火栓装置が選択される。
【0080】
次にステップS3で点検位置へ切替える制御電文を送信して点検制御弁100を開制御し、切替弁70Aを通常位置から点検位置に切替え、遠隔消火栓弁55の2次側を切替弁70Aを通って排水管80側に連通させる。続いてステップS4で遠隔消火栓弁55を開く制御電文を送信し、遠隔消火栓弁55を開制御し、続いてステップS5でポンプ制御盤18にポンプ起動信号を送ってポンプ設備の運転を開始する。
【0081】
このため、遠隔消火栓弁55が開放されると、給水配管22からの加圧消火用水は自動調圧弁58で調圧された後、開放した遠隔消火栓弁55及び点検位置に切り替わっている切替弁70Aを通って排水管80に流れ、図4(B)に示した絞り流路75で決まるノズル付きホースからの放水に相当する損失を生成した擬似的な放水状態を作り出す。
【0082】
機能点検中にあってはステップS6で放水圧力センサ104で検出された放水圧力の測定電文がセンタ装置14に送信されてくることから、測定電文から取得した放水圧力をセンタ装置14の表示部92に表示し、また所定の閾値と比較判定して適正な放水圧力が得られているかどうか判断し、判断結果を報知する。
【0083】
続いてステップS7で機能点検停止操作の有無を判別しており、機能点検停止操作を判別しない時はステップS8で消火栓弁開閉レバー66の開操作の有無を判別している。もしステップS8で消火栓弁開閉検出スイッチ68による開操作検出の電文を受信した時は、ステップS9に進んで点検制御弁100を閉制御する制御電文を送信し、切替弁70Aを点検位置から通常位置に戻し、強制的に機能点検を中止してノズル付きホース側への送水に切り替える。
【0084】
機能点検中にステップS7で機能点検の停止操作が判別されると、ステップS10に進んで放水停止の制御電文を送信して遠隔消火栓弁55を閉制御し、続いてステップS11でポンプ制御盤18にポンプ停止信号を送信してポンプ設備の運転停止を指示する。
【0085】
続いてステップS12で放水圧力センサ104の検出圧力を測定し、ステップS13で放水圧力が大気開放圧まで低下したか否か監視している。測定している放水圧力が大気開放圧に低下したことをステップS13で判別すると、ステップS14に進み、放水停止の制御電文を送信して遠隔消火栓弁55を閉制御し、切替弁70Aを点検位置から通常位置に切替え、機能点検を終了する。
【0086】
続いてステップS15で予め定めた全ての消火栓装置の点検が終了したか否か判別し、未終了であればステップS16で次の消火栓装置を点検対象として選択し、ステップS3からの処理を繰り返し、終了であれば一連の機能点検処理を終了する。
【0087】
なお、図6の機能点検処理においては、消火栓装置の点検を行う毎にポンプ起動とポンプ停止を繰り返す処理を行うが、これに限らず、機能点検モードに設定した段階で、ポンプ起動を行い、全ての消火栓装置の機能点検が終了したときにポンプ停止を行うようにしても良い。
【0088】
図7は本願第2発明による図1に設けた消火栓装置の放水バルブ系統と点検バルブ系統の実施形態を示した説明図であり、ノズル付ホース側は省略している。
【0089】
図7において、消火栓装置10のバルブ類収納空間には、図3の実施形態と同様、給水弁54、自動調圧弁58、遠隔消火栓弁55、消火栓弁56、本実施形態に固有な構成を持つ切替弁70B、点検制御弁100、手動点検弁132、放水圧力センサ104、自動排水弁107、安全弁108及びメンテナンス装置65を設けている。
【0090】
切替弁70Bは消火栓弁56の2次側を接続する流入ポート72、ノズル50側への配管を接続する放水ポート74、排水管80を接続する排水ポート78を有し、シリンダ室88に収納したピストン90のストロークによるロッド86を介して連結した弁体84の移動で、流入ポート72に対し放水ポート74を連通すると共に排水ポート78を閉鎖する通常位置と、流入ポート72に対し放水ポート74を閉鎖すると共に排水ポート78を連通する点検位置に切り替える。
【0091】
図8は図7の切替弁70Bを取り出して示している。図8において、弁ボディ71の上部には流入ポート72が形成され、流入ポート72からL字型に屈曲した内部通路の左側に放出ポート74を形成し、更に下側に排水ポート78を形成している。
【0092】
流入ポート72から放水ポート74に至るL字型の内部流路のコーナー部には排水連通穴76が形成され、排水連通穴76の1次側に排水側弁座85を形成し、これに相対した放水ポート74側に同軸に放水側弁座82を配置している。放水側弁座82と排水側弁座85の間には弁体84がピストンロッド86による支持で同軸に配置されている。
【0093】
ピストンロッド86はシリンダ室88に摺動自在に設けたピストン90に連結され、ピストン90は左側のバネ92の収納により図示の初期位置に保持されている。ここでピストン90の径は弁体84の径より大きくしており、同圧の加圧消火用水を制御ポート95からシリンダ室88に導入した場合、弁体85を押す力に打ち勝ってピストン90をストロークできるようにしている。
【0094】
ピストン90の右側にはロッド94が装着され、ロッド94はシリンダ室88の外側に取り出され、ここに切替弁70Bの切替えを検出する切替検出スイッチ96を設けている。
【0095】
ピストン90で仕切られたシリンダ室88の右側には上部より制御ポート95が形成され、ここに加圧消火用水を供給することでピストン90を左側にストロークさせるようにしている。また制御ポート95からの加圧消火用水を供給するシリンダ室88の右側部分には、下側に示すように排水ポート97が設けられている。
【0096】
排水ポート97の穴径は制御ポート95の穴径に対して十分小さく、制御ポート95から加圧消火用水を供給した際に排水ポート97から排水側に消火用水が流れるが、この排水ポート97から消火用水が流れ出しても十分な力でピストン90を押して左側にストロークできるようにしている。
【0097】
また排水連通穴76については、図4(B)に示したと同様、ピストンロッド86の断面積により決まる絞り流路75を形成しており、この絞り流路75を通して排水側に加圧消火用水を流すことで、ノズル付ホースから放水したときと同等の圧力損失を発生できるようにしている。
【0098】
再び図7を参照するに、切替弁70Bのシリンダ室88に設けた制御ポート75に対しては自動調圧弁58の1次側からの配管が接続され、この配管の途中に電動弁を用いた点検制御弁100を設け、点検制御弁100と並列に手動点検弁132を接続している。またシリンダ室88の下側の排水ポート97は径の細い排水管130により排水管80に接続されている。それ以外の構成及び機能は図3の実施形態と基本的に同じである。
【0099】
次に図7の実施形態による火災時の放水動作を説明する。消火栓装置10の通常監視状態にあっては、点検制御弁100は閉鎖状態にあり、制御ポート75に対する加圧消火用水の供給はないことから、切替弁70Bのピストン90はバネ92により押されて図示の右側位置にあり、弁体84は排水側弁座85に押し付けられ、流入ポート72を放水ポート74に連通し、排水ポート78に対し閉鎖する通常位置に切り替わっている。
【0100】
火災時には、消火栓弁開閉レバー66の操作で消火栓弁56を開くと、自動調圧弁58で所定圧に調圧された加圧消火用水が、開放した消火栓弁56及び通常位置にある切替弁70Bを通ってノズル50側へ流れ、ノズル50から放水する。
【0101】
消火栓弁開閉レバー66の開操作を行うと、消火栓弁開閉検出スイッチ68がオンし、端末ユニットから図示のセンタ装置14に電文を送信し、ポンプ制御盤18によりポンプ設備を始動する。
【0102】
放水を停止する際には、消火栓弁開閉レバー66を元の閉鎖位置に戻して消火栓弁56を閉じ、同時に消火栓弁開閉検出スイッチ68がオフとなり、端末ユニット12から図1のセンタ装置14に電文を送信し、ポンプ制御盤18にポンプ停止信号を出力してポンプ設備の運転停止が行われる。
【0103】
次に図7の実施形態による機能点検時の動作を説明する。機能点検を行う際には、図1のセンタ装置14で消火栓装置を指定した機能点検開始操作が行われ、これに伴い端末ユニット12に機能点検の電文が送信される。受信電文から機能点検を認識した端末ユニット12は、点検制御弁100に制御信号を出力して開制御し、給水配管22からの加圧消火用水を制御ポート95からシリンダ室88の右側に供給し、バネ92に抗してピストン90を左側にストロークする。
【0104】
これによって弁体84が排水側弁座85から離れて放水側弁座82に当たり、流入ポート72に対し放水ポート74を閉じ、排水ポート78を連通する点検位置への切替えが行われる。
【0105】
続いて端末ユニット12は、遠隔消火栓弁55に制御信号を出力して開制御し、給水配管22からの加圧消火用水を自動調圧弁58で調圧した後、開放した遠隔消火栓弁55及び点検位置に切り替わっている切替弁70Bを通して排水管80に流れ、擬似的な実機能点検状態を作り出す。
【0106】
この機能点検中にあっては、放水圧力センサ104で検出された放水圧力の電文が端末ユニット12から図1のセンタ装置に送られて放水圧力が表示され、これにより適正な放水圧力が得られているかどうか判断でき、消火栓装置10の設置現場に出向くことなく、センタ側で点検結果を判断できる。点検放水による放水圧力を確認したならば、センタ装置14から機能点検終了の電文が送られ、この電文を端末ユニット12で受信して遠隔消火栓弁55に制御信号を出力して閉制御し、同時にセンタ装置14からポンプ停止信号をポンプ制御盤に出力してポンプ設備の運転を停止させる。
【0107】
遠隔消火栓弁55の閉制御に伴い、その2次側の圧力は低下し、放水圧力センサ104で検出している放水圧力が排水側の大気開放圧に低下したとき、端末ユニットは点検制御弁100に制御信号を出力して閉制御し、シリンダ室88に対する加圧消火用水の供給を停止する。このときシリンダ室88は排水管130より排水側に接続されているため、シリンダ室88に充水されていた加圧消火用水は排水管130を通して徐々に抜け出し、バネ92によりピストン90が右側にストロークし、弁体84を放水側弁座82から離して排水側弁座85に当接して排水側への流路を閉じる通常位置に切り替わる。
【0108】
また機能点検中に火災が発生して消火栓弁開閉レバー66の開操作が行われた場合には、点検制御弁100を閉制御して切替弁70Bを点検位置から放水位置に強制的に切り替え、ノズル52からの放水とする
また図7の実施形態の消火栓装置10に設けた端末ユニット12の詳細及びこれに対応したセンタ装置14の構成は、図5の実施形態と基本的に同じになる。また図7の実施形態に対応したセンタ装置14による図6のフローチャートに示した機能点検処理も基本的に同じになる。
【0109】
図9は本願の第3発明による消火栓装置の放水バルブ系統と点検バルブ系統の実施形態を示した説明図である。
【0110】
図9において、バルブ類収納空間には、給水弁54、自動調圧弁58、遠隔消火栓弁55、消火栓弁56、本実施形態に固有な構成を持つ切替弁70C、点検制御弁100、手動点検弁132、放水圧力センサ104、自動排水弁107、安全弁64を設けている。それ以外の構成は図3の実施形態と同じである。
【0111】
切替弁70Cは、消火栓弁55の2次側の配管を接続する流入ポート72、ホース側の配管を接続する放水ポート74、排水管80を接続する排水ポート78を有し、シリンダ室88に収納したピストン90のストロークによるロッド86で支持した弁体84の移動で、流入ポート72に対し排水ポート78を連通すると共に放水ポート74を閉鎖する点検位置を兼ねた通常位置と、流入ポート72に対し放水ポート74を連通すると共に排水ポート78を閉鎖する放水位置に切り替える。
【0112】
図10は図9の切替弁70Cを取り出して示している。図10において、切替弁70Cの弁ボディ71には、上部に流入ポート72を設け、流入ポート72からほぼL字型の内部流路を形成して、その左側に放水ポート74を形成し、更に下側に排水ポート78を形成している。
【0113】
流入ポート72から放水ポート74に至るL字型内部流路のコーナー部分には排水連通穴76が設けられ、排水連通穴76の1次側に排水側弁座85を配置し、これに相対した放水ポート74側に放水側弁座82を配置している。放水側弁座82と排水側弁座85の間には弁体84が配置され、弁体84はロッド86を介してシリンダ室88に摺動自在に設けたピストン90に連結されている。
【0114】
ピストン90の径は弁体84の径より大きくしており、同圧の加圧消火用水を制御ポート95からシリンダ室88に導入した場合、弁体85を押す力に打ち勝ってピストン90をストロークできるようにしている。ピストン90の右側にはバネ92が収納され、またロッド94が外部に取り出され、そこに切替検出スイッチ96を設けている。
【0115】
ピストン90で仕切られたシリンダ室88の左側には制御ポート95が設けられ、制御ポート95に対する加圧消火用水の供給でピストン90をバネ92に抗して右側にストロークし、弁体84を放水側弁座82に押し当てて閉鎖する点検位置を兼ねた通常位置に切替える。
【0116】
またシリンダ室88の左側には細い径の排水ポート97が設けられ、制御ポート95に対する加圧消火用水の供給を停止してピストン90を戻す際に、排水ポート97からの排水でバネ92によりピストン90を左側にストロークできるようにしている。
【0117】
また排水連通穴76については、図4(B)に示したと同様、ピストンロッド86の断面積により決まる絞り流路75を形成しており、この絞り流路75を通して排水側に加圧消火用水を流すことで、ノズル付ホースから放水したときと同等の圧力損失を発生できるようにしている。
【0118】
再び図9を参照するに、切替弁70Cの制御ポート95には1次側からの配管が接続され、この配管の途中に点検制御弁100と手動点検弁132を直列に設けている。
【0119】
次に図9に実施形態による火災時の放水動作を説明する。通常監視状態にあっては、点検制御弁100及び手動点検弁132は開状態にあり、シリンダ室88の制御ポート95に対し加圧消火用水を供給可能な状態を作り出している。
【0120】
火災時には消火栓弁開閉レバー66の操作により消火栓弁56が開位置に操作され、給水配管22から加圧供給された消火用水を自動調圧弁58で所定圧に調圧した後、放水位置に切り替わっている切替弁70Cからホース50側に供給し、ノズルから放水させる。
【0121】
消火栓弁開閉レバー66を操作すると、同時に消火栓弁開閉検出スイッチ68がオンし、端末ユニットから図1のセンタ装置14に電文が送信され、ポンプ制御盤18によりポンプ設備を始動する。
【0122】
放水を停止する際には、消火栓弁開閉レバー66を元の位置に戻すと消火栓弁56が閉じ、同時に消火栓弁開閉検出スイッチ68がオフとなって、端末ユニット12から図1のセンタ装置に電文を送信し、ポンプ制御盤18にポンプ停止信号を出力してポンプ設備の運転を停止する。
【0123】
なお消火栓弁開閉検出スイッチ68で消火栓弁56の開放が検出された場合、端末ユニット12は点検制御弁100によりシリンダ室88に供給する流量を調整して任意の切替時間を設定することができ、これによってノズルからの放水量を徐々に増加させる段階放水を可能とし、ノズルから急激に放水されてノズルを支えきれない状況が発生することを未然に防止できる。
【0124】
次に図9の実施形態による機能点検時の動作を説明する。機能点検を行う際には、図1のセンタ装置14で消火栓装置を指定した機能点検開始操作が行われ、これに伴う電文が端末ユニット12で受信され、まず点検制御弁100を制御信号により閉制御し、シリンダ室88に対し加圧消火用水を供給できないようにし、これによって切替弁70Cを点検位置を兼ねた通常位置に切り替わった切替状態を保持できるようにする。
【0125】
続いて端末ユニット12は、遠隔消火栓弁55に制御信号を出力して開制御し、これによって、自動調圧弁58で所定圧に調圧された加圧消火用水が開放した遠隔消火栓弁55を通って切替弁70Cに流れ、このとき切替弁70Cは、遠隔消火栓弁55の開制御で加圧消火用水が供給されても、点検制御弁100を閉鎖状態に保持することで、シリンダ室88に対する加圧消火用水の供給を停止し、弁体84が放水側弁座82に押し当てられた点検位置を兼ねた通常位置に保持され、排水連通穴76とロッド86で決まる絞り流路により、実際にノズル付ホースから放水した場合と同等の損失を発生させながら排水管80に消火用水を流す。
【0126】
機能点検中にあっては、放水圧力センサ104で検出された放水圧力の電文が端末ユニット12から図1のセンタ装置14に送られて表示され、適正な放水圧力が得られているかどうかが判断できる。点検放水による放水圧力を確認したならば、センタ装置14からの機能点検終了の電文が送られ、この電文を端末ユニット12で受信し、遠隔消火栓弁55に制御信号を出力して閉制御し、同時にセンタ装置14からポンプ制御盤18にポンプ停止信号を出力して運転を停止させる。
【0127】
遠隔消火栓弁55の閉制御に伴い、放水圧力センサ78で検出している放水圧力が排水側の大気開放圧に低下したとき、端末ユニット12は点検制御弁100に制御信号を出力して開制御し、機能点検を終了する。
【0128】
また機能点検中に火災が発生して消火栓弁開閉レバー66の開操作が行われた場合には、点検制御弁100に制御信号を出力して開制御し、1次側の加圧消火用水をシリンダ室88に制御ポート95から供給し、ピストン90を右側にストロークし、弁体84を放水側弁座82に当接した放水位置から、排水側弁座85に押し当てる点検位置を兼ねた通常位置に戻す。
【0129】
ここで図9の端末ユニット12及びこれに対応したセンタ装置14の構成は、図5の実施形態と基本的に同じである。
【0130】
また図9の実施形態を対象とした図5のセンタ装置14に設けた機能点検部120による図6の機能点検処理ものフローチャートと基本的に同じである。相違点は、ステップS3で点検制御弁100の閉状態を維持して点検位置を含む通常位置に切り替える点、及びステップS14で点検終了時に点検制御弁100を開制御して点検位置を含む通常位置に切り替える点だけである。
【0131】
また機能点検中に火災が発生して消火栓弁開閉レバー66の開操作が行われた場合には、点検制御弁100を開制御して加圧消火用水を制御ポート95からシリンダ室88に供給し、ピストン90をバネ92に抗して右側にストロークさせることで、弁体84を放水側弁座82から離して排水側弁座85に閉じ、これによって加圧消火用水をノズル50側へ供給して放水させることができる。
【0132】
なお、上記の実施形態にあっては、センタ装置14に設けた機能点検部90から機能点検の手順に従って制御コマンドを含む電文を送信して消火栓装置10側の遠隔消火栓弁55、点検制御弁100を制御しているが、センタ装置14の機能点検部90から機能点検コマンドの電文のみを消火栓装置10の端末ユニット12に送信し、端末ユニット12側で機能点検の開始から終了までの一連の点検動作を行い、その結果をセンタ装置14に応答送信するようにしても良い。
【0133】
また、機能点検部はセンタ装置側に設けるものに限らず、各消火栓装置側に設けても良い。この場合は、点検員が現場に出向いて現地の点検開始操作部の操作で機能点検を開始し、点検結果を現地にて確認する。この場合は水圧値を目視確認するため測定を表示できる圧力計を備えると良い。消火栓装置が設置される現地にて点検操作が行われたときはセンタ装置にその旨の信号を送り、他の消火栓では機能点検ができないようにしても良い。
【0134】
したがって、他の消火栓にて機能点検や消火作業が行われているときは、点検開始操作部を操作しても点検を行われないことから、消火作業や他の消火栓装置の機能点検に悪影響を及ぼすことがない。この実施形態では点検員が消火栓装置に出向いて機能点検を行う必要があるが、消火用水を道路に放水することがなく、道路規制を行う必要もないため、容易に機能点検を行うことができる。
【0135】
また、機能点検部の機能はセンタ装置と消火栓装置側で分担して備えても良く、センタ装置側からの点検開始指示により、消火栓装置側が切替弁の制御等、放水圧の測定、点検結果判定を行い、判定結果をセンタ装置に返信して、センタ装置は全ての消火栓装置の機能点検結果を集計する構成としても良い。
【0136】
また上記の実施形態においてはメンテナンス装置65を備えて従来から行われている放水点検も行えるようにしているが、点検制御弁100からの遠隔点検及び手動点検弁132を使った現場での点検ができることから、メンテナンス装置65を設けなくても良い。
【0137】
自動調圧弁58の二次側に消火栓弁56が直列に接続されているが、順序が逆であってもよい。
【0138】
通常位置保持配管98は自動調圧弁58の一次側に接続されているが、これに限らず、自動調圧弁58の二次側など、消火栓弁56よりも一次側に接続されていればよい。
【0139】
また上記の実施形態におけるフローチャートの処理は概略例を説明したもので、処理の順番などは、これに限定されない。また各処理や、処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を導入するなど、適宜の形態をとることができる。
【0140】
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0141】
10:消火栓装置
12:端末ユニット
14:センタ装置
55:遠隔消火栓弁
56:消火栓弁
58:自動調圧弁
70A,70B,70C:切替弁
72:流入ポート
74:放水ポート
78:排水ポート
80:排水管
82:放水側弁座
84:弁体
85:排水側弁座
88:シリンダ室
90:ピストン
98:通常位置保持配管
100:点検制御弁
132:手動点検弁
104:圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル付きホースを引き出して放水する消火栓装置の機能点検を行う消火栓点検システムに於いて、
前記消火栓装置に、
加圧消火用水が供給される給水配管側に接続され、ノズル側の放水圧力を所定圧に調整する自動調圧弁と、
前記自動調圧弁に直列に接続され、レバー操作により開閉される消火栓弁と、
前記消火栓弁に並列接続され、点検時に開閉制御される点検時用消火栓弁と、
前記消火栓弁の2次側を接続する流入ポート、前記ノズル付きホース側配管を接続する放水ポート、排水管を接続する排水ポートを有し、シリンダ室に収納したピストンのストロークによる弁体の移動で、前記流入ポートに対し放水ポートを連通と共に排出ポートを閉鎖する通常位置と、流入ポートに対し放水ポートを閉鎖すると共に排出ポートを連通する点検位置に切替える切替弁と、
前記切替弁のシリンダ室に収納したピストンの片側に前記給水配管から加圧消火用水を供給して前記弁体を通常位置に保持する通常位置保持配管と、
点検時に開制御され、前記シリンダ室から加圧消火用水を排水することによるピストンのストロークで前記弁体を通常位置から点検位置に切替える点検制御弁と、
前記切替弁の流入ポート側の圧力を放水圧力として検出する放水圧力センサと、
を設け、
更に、点検時に、前記点検制御弁を開制御して前記切替弁を通常位置から点検位置に切替えると共に点検時用消火栓弁を開制御し、前記放水圧力センサで検出した放水圧力を測定する機能点検部を設けたことを特徴とする消火栓装置点検システム。
【請求項2】
ノズル付きホースを引き出して放水する消火栓装置の機能点検を行う消火栓点検システムに於いて、
前記消火栓装置に、
加圧消火用水が供給される給水配管側に接続され、ノズル側の放水圧力を所定圧に調整する自動調圧弁と、
前記自動調圧弁に直列に接続され、レバー操作により開閉される消火栓弁と、
前記消火栓弁に並列接続され、点検時に開閉制御される点検時用消火栓弁と、
前記消火栓弁の2次側を接続する流入ポート、前記ノズル付きホース側配管を接続する放水ポート、排水管を接続する排水ポートを有し、シリンダ室に収納したピストンのストロークによる弁体の移動で、前記流入ポートに対し放水ポートを連通すると共に排出ポートを閉鎖する通常位置と、流入ポートに対し放水ポートを閉鎖すると共に排出ポートを連通する点検位置に切替える切替弁と、
前記切替弁のシリンダ室に収納したピストンの片側に前記給水配管から加圧消火用水を供給して前記ピストンをストロークすることにより前記弁体を通常位置から点検位置に切替える点検制御弁と、
前記切替弁の流入ポート側の圧力を放水圧力として検出する放水圧力センサと、
を設け、
更に、点検時に、前記点検制御弁を開制御して前記切替弁を通常位置から点検位置に切り替えると共に前記点検時用消火栓弁を開放制御し、前記放水圧力センサで検出した放水圧力を測定する機能点検部を設けたことを特徴とする消火栓装置点検システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の消火栓装置点検システムに於いて、前記切替弁は、前記弁体を点検位置に切替えたときの排水ポートに流れる流路断面積を、前記ノズルから放水した時の圧力損失に相当する圧力損失を出すように設定したことを特徴とする消火栓装置点検システム。
【請求項4】
請求項1又は2記載の消火栓装置点検システムに於いて、前記切替弁は前記ピストンのストロークによる点検位置への切替えを検出して点検切替信号を出力する切替検出スイッチを設けたことを特徴とする消火栓装置点検システム。
【請求項5】
請求項1又は2記載の消火栓装置点検システムに於いて、前記機能点検部は、点検終了時に前記点検時用消火栓弁を閉止し、前記放水圧力センサで検出している放水圧力を測定して、測定した放水圧力が大気開放圧に低下した時に、前記遠隔点検弁を閉制御して前記切替弁を前記点検位置から通常位置に戻すことを特徴とする消火栓装置点検システム。
【請求項6】
請求項1又は2記載の消火栓装置点検システムに於いて、前記機能点検部は、点検中に、前記消火栓弁の開閉レバーの開操作を検出した時、前記遠隔点検弁を閉制御して切替弁を前記点検位置から通常位置に戻すことを特徴とする消火栓装置点検システム。
【請求項7】
ノズル付きホースを引き出して放水する消火栓装置の機能点検を行う消火栓点検システムに於いて、
前記消火栓装置に、
加圧消火用水が供給される給水配管側に接続され、ノズル側の放水圧力を所定圧に調整する自動調圧弁と、
前記自動調圧弁に直列に接続され、レバー操作により開閉される消火栓弁と、
前記消火栓弁に並列接続され、点検時に開閉制御される点検時用消火栓弁と、
前記消火栓弁の2次側を接続する流入ポート、前記ノズル付きホース側配管を接続する放水ポート、排水管を接続する排水ポートを有し、シリンダ室に収納したピストンのストロークによる弁体の移動で、前記流入ポートに対し排水ポートを連通すると共に放水ポートを閉鎖する点検位置を兼ねた通常位置と、流入ポートに対し放水ポートを連通すると共に排出ポートを閉鎖する放水位置に切り替える切替弁と、
前記切替弁のシリンダ室に収納したピストンの片側に前記給水配管から加圧消火用水を供給して前記ピストンをストロークすることにより前記弁体を、点検位置を兼ねた通常位置から放水位置に切替制御する点検制御弁と、
前記切替弁の流入ポート側の圧力を放水圧力として検出する放水圧力センサと、
を設け、
更に、通常時に前記点検制御弁を開制御して前記切替弁のシリンダ室に加圧消火用水の供給可能状態を確立し、点検時には前記点検制御弁を閉制御して前記切替弁を、点検位置を兼ねた通常位置に保持すると共に前記点検時用消火栓弁を開放制御し、前記放水圧力センサで検出した放水圧力を測定する機能点検部を設けたことを特徴とする消火栓装置点検システム。
【請求項8】
請求項7記載の消火栓装置点検システムに於いて、前記切替弁は、前記弁体を、点検位置を兼ねた通常位置に切替えたときの排水ポートに流れる流路断面積として、前記ノズルから放水した時の圧力損失に相当する圧力損失を出すように設定したことを特徴とする消火栓装置点検システム。
【請求項9】
請求項7記載の消火栓装置点検システムに於いて、前記切替弁は前記ピストンのストロークによる点検位置を兼ねた通常位置への切替えを検出して点検切替信号を出力する切替検出スイッチを設けたことを特徴とする消火栓装置点検システム。
【請求項10】
請求項7記載の消火栓装置点検システムに於いて、前記機能点検部は、点検終了時に前記点検時用消火栓弁を閉止することを特徴とする消火栓装置点検システム。
【請求項11】
請求項7記載の消火栓装置点検システムに於いて、前記機能点検部は、点検中に、前記消火栓弁の開閉レバーの開操作を検出した時、前記遠隔点検弁を開制御して切替弁を前記点検位置を兼ねた通常位置から放水位置に戻すことを特徴とする消火栓装置点検システム。
【請求項12】
請求項1、2又は7のいずれかに記載の消火栓装置点検システムに於いて、前記機能点検部は、消火栓装置を監視するセンタ装置、及び又は消火栓装置に設けたことを特徴とする消火栓装置点検システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−29968(P2012−29968A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173401(P2010−173401)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】