説明

消耗品回収装置およびその方法

【課題】 使用済の消耗品を確実に回収することを目的とした。その際、様々な使い方をおこなっているユーザに対して公平に機能制限がかかること
【解決手段】 日時(期限)を用いて消耗品の使用期間を管理するのではなく、ユーザが回収対象の消耗品を交換した際に、機器本体がそれを認識し、任意期間中に消耗品を返却しないときに、機器本体が交換した消耗品の使用量に応じて、返却を促す処理を段階的に切り替える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消耗品のリサイクルに関するものであり、パーツの回収を主な目的としている。
【0002】
例えば、複写機やプリンタなどのトナーカートリッジや感光ドラムや現像器などの消耗品が対象となる。これらが新品のものに交換された際に、使用済のパーツを確実に回収センターに送り返してもらう為の消耗品回収装置およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
電子写真方式のプリンタやファクシミリなどには、トナーが封入されたカートリッジが装着され、トナーがなくなればカートリッジごと交換されるものがある。
【0004】
この方式はトナーの補充が容易であるとともに、カートリッジ内に感光ドラム、現像器、クリーニング部材などの消耗部品を組み込んでおけば、カートリッジの交換に伴い、それらの消耗部品も交換され、機器の保守が容易になる利点がある。また、カートリッジに機器構成の一部を備えさせることで、機器本体の製造原価を引き下げることもできる。
【0005】
図1はカートリッジ製造者、販売者、ユーザ、回収センタ間における流れを示す概要図である。カートリッジは、通常、それが装着される機器の製造者1から販売チャネルを通じてユーザ3に販売される。つまり、ユーザ3は、代金と引き替えに、販売者2からカートリッジを購入し使用する。使用済みのカートリッジは、ユーザ3により販売者2にもち込まれた後、販売者2により回収容器に梱包されて、製造者1などが運営する回収センタ4へ送られる。また、ユーザ3が直接、使用済みカートリッジを回収容器に梱包して回収センタ4へ送る場合もある。
【0006】
図2は回収センタ4における回収作業を説明するためのフローチャートである。回収に当り、販売者2やユーザ3(以下「顧客」と呼ぶ)は、ファクシミリなどの通信装置を利用して回収センタ4などへ回収を依頼し、回収センタ4はそれを受け付ける(S1)。回収依頼を受けた回収センタ4は、顧客に対応する回収伝票を作成し(S2)、その伝票を添付した回収容器(箱)を顧客へ送る(S3)。そして、顧客から送られてきた使用済みのカートリッジをオペレータの目視確認などにより分類し(S4)、キーボードなどを介してコンピュータ入力し、顧客別の回収データを得る(S5)。算出された回収率は、使用済みカートリッジの回収を奨励するために、顧客へ連絡されるとともに、顧客に対するインセンティブ(incentive)を設定する基礎になる。
【0007】
つまり、回収センタ4は、顧客の回収データと受注(販売)記録とを照合して回収率を算出し(S6)、インセンティブを設定して(S7)、それらを顧客へ通知する(S8)。なお顧客への通知は郵送などを利用した通知方法が従来からとられていた。このようなインセンティブを導入した使用済みカートリッジの回収は、回収率を向上するのに極めて有効とされていた。
【0008】
一方、前述した回収センタ4における上記のデータ集計およびインセンティブの設定は、極めて複雑かつ手間がかかる作業であり、オペレータの分類ミス、入力ミスなどの原因により、データ集計を正確に行っていくことは難しいとされていた。さらに、顧客からみれば、データ集計に時間がかかるため、最新の回収協力状況を即座に把握できないもどかしさがあり、回収協力の結果を知るまでに長い時間がかかるという欠点もあった。
【0009】
上記問題を解決する為に、では、コンピュータを利用した回収システムを提案していた。これにより、消耗品の回収に関するデータの集計を容易に、かつ、正確におこなえるような構成を実現した(特許文献1)。
【0010】
これにより、ユーザが回収状況を即座に把握でき、回収協力の結果を即座に反映すること、回収される消耗品を予め把握すること、インセンティブを柔軟に提供すること、さらには、依頼元から回収センタへの、消耗品の回収依頼に対して、より迅速な対応が可能になることなどの効果があった。
【特許文献1】特開2002−56126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前述した構成は、回収率をユーザに示すことに主眼をおいたものであった。つまり、回収率を上げる為に、ユーザに対して、そのユーザの回収率を示す(知らせる)構成であった。その結果、回収率を提示されても気にしないユーザは、消耗品を返却しないばかりか、消耗品を通常のゴミとして捨ててしますことすらあった。このようなユーザに対しては、前述した構成(装置・手法)では全く効力がなかった。
【0012】
また、前述した回収対象はカートリッジに限らず、複写機用のトナー容器、感光ドラム、インクジェットプリンタ用のインク容器、カートリッジおよびプリントヘッド、その他サービスパーツ、並びに、紙やOHPシートなども含まれ、さらには、プリンタ本体、複写機本体、スキャナ本体などの事務機器本体など、様々なものまでもが含まれていた。
【0013】
その為、ユーザにとっては、慣れないパーツもあり、回収対象品かどうかもわからいパーツもあった。そのようなことから、返却法が分からず、不適切な廃棄法をとるユーザも存在していた。
【0014】
なお、以下の説明においては、前述したになる物品を「消耗品」と呼ぶ場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで、本発明は、ユーザが回収対象の消耗品を交換した際には、機器本体がそれを認識し、任意期間中に消耗品を返却しないときに、機器本体が使用済消耗品の返却を促す処理をおこなう構成とした。具体的には、一手段として、以下の構成を備える。
【0016】
ネットワークに接続するための手段と、交換可能な消耗品を使用して動作する手段を有する装置において、前記ネットワークを介して識別信号を受信する識別信号受信手段と、前記交換可能な消耗品を認識する認識手段と、前記認識手段で認識された消耗品を前記装置内で任意期間のみ使用可能にする使用期間制御手段と、前記使用可能な期間中に前記ネットワークを介して使用制限解除信号を前記識別信号受信手段より受信できないときは、前記交換された消耗品の返却を要求する返却要求処理手段を起動することを特徴とする消耗品回収装置である。
【0017】
また、ネットワークに接続されていないオフライン環境においては、一手段として、以下の構成を備えさせた。
【0018】
交換可能な消耗品を使用して動作する装置において、暗号化して前記消耗品に係わる情報を入力する入力手段と、前記入力手段から入力された信号を復号する復号手段と、交換可能な消耗品を認識する認識手段と、前記認識手段で認識された消耗品を前記装置内で任意期間のみ使用可能にする使用期間制御手段と、前記使用可能な期間中に前記復号手段より使用制限解除信号が入力されないときは、前記交換された消耗品の返却を要求する返却要求処理手段を起動することを特徴とする消耗品回収装置である。
【0019】
また、本発明にかかる消耗品回収方法は、
ネットワークに接続するためのステップと、交換可能な消耗品を使用して動作するステップを有する装置において、前記ネットワークを介して識別信号を受信する識別信号受信ステップと、前記交換可能な消耗品を認識する認識ステップと、前記認識ステップで認識された消耗品を前記装置内で任意期間のみ使用可能にする使用期間制御ステップと、前記使用可能な期間中に前記ネットワークを介して使用制限解除信号を前記識別信号受信ステップより受信できないときは、前記交換された消耗品の返却を要求する返却要求ステップを実行することを特徴とする消耗品回収方法、
或いは、
交換可能な消耗品を使用して動作する装置において、暗号化して前記消耗品に係わる情報を入力する入力ステップと、前記入力ステップから入力された信号を復号する復号ステップと、交換可能な消耗品を認識する認識ステップと、前記認識ステップで認識された消耗品を前記装置内で任意期間のみ使用可能にする使用期間制御ステップと、前記使用可能な期間中に前記復号ステップより使用制限解除信号が入力されないときは、前記交換された消耗品を返却する要求おこなう返却要求処理ステップを実行することを特徴とする消耗品回収方法
とした。
【0020】
これらの手段またはステップにより、交換パーツがリサイクル品なのか否かの区別を適切にユーザに知らせることが可能となる。かつ、ユーザに消耗品の返却の必要性を適切に促すことも可能となる。その結果、リサイクルやリユースに必要なパーツの回収率を上げることができるようになることは言うまでもなく、パーツの不法投棄も減らせる効果がある。
【発明の効果】
【0021】
製品のリサイクルを効率よくおこなう為には、ユーザが使用済のパーツを管理センター(仮称)に送り返してくれることが必須となる。その為、期日内に管理センターにパーツをユーザが送り返さないと、製品を使用できなくする管理法が従来からあった。しかし、日時による使用期限の管理法の場合、製品の使用頻度が低いユーザに関しては、ほとんど使用していないにもかかわらず製品全体が使えなくなる問題点があった。そこで、以上説明したような本発明によれば、これら問題点が解決できた。
【0022】
つまり、ユーザが使用済のパーツを管理センター(仮称)に期日内に送り返さないと、消耗品の消費量に応じて、
前期期日以降、表示部にパーツを返却する旨を伝える警告を表示する。
使用制限(交換したパーツにかかわる機能の制限)がかかる設定に自動変更される。
コピーチャージ料が上がる設定に自動変更される。
などの制御により、ユーザの使用頻度に応じた使用制限を公平にかけることが可能となった。
【0023】
さらに、交換パーツがリサイクル品なのか否かの区別を適切にユーザに知らせることも可能となる。かつ、ユーザに消耗品の返却の必要性を適切に促すことも可能となる。その結果、リサイクルやリユースに必要なパーツの回収率を上げることができるようになることは言うまでもなく、パーツの不法投棄も減らせる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例】
【0025】
(実施例1)
以下、本発明にかかる複写機を、図面を参照して詳細に説明する。なお、実施形態では電子写真方式の複写機の消耗品を例にとって説明するが、他のプリンタ、ファクシミリ装置などの機器にも本発明を適用することができる。例えば、プリンタ用のトナー容器、感光ドラム、その他サービスパーツ、インクジェットプリンタ用のインク容器、カートリッジおよびプリントヘッドなどを挙げることができる。
【0026】
<複写機全体構成>
図2は本実施形態で用いた複合機の機械的構成を示す概略断面図である。
【0027】
同図に示したように、機械的構成としてカラースキャナ部Aとプリンタ部Bとからなる。
【0028】
カラースキャナ部Aにおいて、原稿給送装置201Aは、原稿を最終頁から順に1枚ずつプラテンガラス202A上へ給送する。そして、原稿の読み取り動作終了後、プラテンガラス202A上の原稿を排出するものである。原稿がプラテンガラス202A上に搬送されると、ランプ203Aを点灯し、このランプ203Aを搭載したスキャナユニット204Aの移動をおこない原稿を露光走査する。
【0029】
この走査による原稿からの反射光は、ミラー205A,206A,207Aおよびレンズ208AによってCCDカラーイメージセンサ(以下、単に「CCD」という)209Aへ導かれる。そして、CCD209Aに入射した反射光は、R,G,Bの3色に色分解され色毎の輝度信号として読み取られる。さらに、CCD209Aから出力される輝度信号はA−D変換によってデジタル信号の画像データとして画像処理部304(図3参照)に入力し、シェーディング補正、階調補正、2値化などの周知の画像処理が施された後、プリンタ部B(305)へ転送される。
【0030】
プリンタ部Bにおいて、レーザドライバ221Bは、レーザ発光部201Bを駆動するものであり、画像処理部304から出力された色毎の画像データに応じたレーザ光をレーザ発光部201Bによって発光させる。このレーザ光は感光ドラム202Bに照射され、感光ドラム202Bにはレーザ光に応じた潜像が形成される。そして、この感光ドラム202Bの潜像の部分には現像器203Bによって現像剤であるトナーが付着される。なお、図2では、現像器は、図示の簡略化のため、唯一つのみが示されるが、C,M,Y,Kの色毎にトナーが用意され、それに応じて4つの現像器が設けられることは、勿論である。また、以上の構成の代わりに感光ドラムや現像器等を色毎に4組設ける構成であってもよい。
【0031】
上述のレーザ光の照射開始と同期したタイミングで、カセット204Bまたはカセット205Bの選択されたいずれかから記録紙が給紙され、転写部206Bへ搬送される。これにより、感光ドラム202Bに付着した現像剤を記録紙に転写することができる。現像剤が転写された記録紙は、定着部207Bに搬送され、定着部207Bの熱と圧力により現像剤の記録紙への定着が行われる。そして、定着部207Bを通過した記録紙は排出ローラ208Bによって排出され、ソータ220Bはこの排出された記録紙をそれぞれ所定のビンに収納して記録紙の仕分けを行う。
【0032】
なお、ソータ220Bは、仕分けが設定されていない場合は、最上位のビンに記録紙を収納する。また、両面記録が設定されている場合は、排出ローラ208Bのところまで記録紙を搬送した後、排出ローラ208Bの回転方向を逆転させ、フラッパ209Bによって再給紙搬送路へ導く。多重記録が設定されている場合は、記録紙を排出ローラ208Bまで搬送しないようにフラッパ209Bによって再給紙搬送路210Bへ導く。再給紙搬送路へ導かれた記録紙は上述したタイミングで転写部206Bへ給紙される。なお、色毎の潜像および現像の処理や定着は、上述の記録紙搬送機構を用いて、潜像形成等を4回分繰り返すことによって実現することは周知の通りである。
【0033】
ところで、314はネットワークケーブルであり、一般的にイーサネットと呼ばれるシステムである。これは、10BaseTや10Base5などの物理的なケーブルを用いてTCP/IPなどのプロトコルにより、接続される各ユニット相互の情報授受やデータの転送を行うことができる。無論、ネットワークケーブルを用いた有線に限定されたものではなく、無線を用いても同様な環境構築ができることは言うまでもない。
【0034】
近年、このようなネットワークケーブルを介し、メンテナンスをおこなうサービスもある。このようなサービスのことをEメンテなどとよんでいる。
【0035】
本発明では、前述したCCDカラーイメージセンサや現像器や感光ドラムなどが、回収の対象になっている消耗品である。前述では、これら消耗品を明確にする為に別々に示したが、カートリッジ式の場合、感光ドラムや現像器などが一体化された構成になる。これは、図2で説明した構成とは若干ことなるが、基本構成は同一なものであると考えて差し支えない。よって、後述する内容では、カートリッジ式のものを代表例として用いている。
【0036】
ところで、前述した消耗品以外のサービスパーツも本発明の対象になっていることは前述したとおりである。また、個々のパーツ以外に、カラースキャナ部Aやプリンタ部Bなど全体を消耗品として扱うこともあることも言うまでもない。
【0037】
<システム構成ブロック図>
次に図2で説明した複写機の電気的な処理概要を、図3を用いて説明する。
【0038】
画像読み取り部309は、レンズ301、CCDセンサー302、アナログ信号処理部303等により構成され、レンズ301を介してCCDセンサー302に結像された原稿画像300が、CCDセンサー302によりアナログ電気信号に変換される。変換された画像情報は、アナログ信号処理部303に入力され、サンプル&ホールド、ダークレベルの補正等が行われた後にアナログ・デジタル変換(A/D変換)される。このようにして変換されたデジタル信号は、画像処理部304において、シェーディング補正、γ補正等の読み取り系で必要な色補正処理、スムージング処理、エッジ強調、ビデオカウント処理、画像形成処理などがおこなわれた後、プリンタ305へ出力される。レンズ301やCCDセンサー302などが消耗品にあたるが、通常これらは、一体化されており、CCDユニットなどと呼ばれている。
【0039】
プリンタ305は、レーザ等からなる露光制御部(図示せず)、画像形成部(図示せず)、転写紙の搬送制御部(図示せず)等により構成され、入力された画像信号を転写紙上に記録する。
【0040】
また、CPU回路部310は、CPU306、ROM307、RAM308等により構成され、画像読み取り部309、画像処理部304、プリンタ部305、操作部313等を制御し、本装置のシーケンスを統括的に制御する。その他に、本発明のポイントを含む消耗品の使用制限などの管理もこのCPUでおこなっている。その際、ネットワーク信号受信部315の信号によって制御される。使用制限の詳細については後述する。
【0041】
操作部313には、RAM311、ROM312が予め用意されており、UI上に文字を表示したり、ユーザが設定した情報を記憶したり、表示したりすることが可能な構成となっている。
【0042】
以上説明した流れの中で、本発明では、交換された消耗品の消費量に応じて、UI部に消耗品の返却を促すメッセージを表示したり、消耗品の使用制限をかけたりできる構成となっている。詳細な説明を以下に続ける。
【0043】
<トナーカートリッジの交換>
本実施例では、交換された消耗品がトナーカートリッジであった場合を例にとって説明する。
【0044】
図4に示したものは、トナーカートリッジ(以下、単にカートリッジと呼ぶ)である。この中に、トナーや感光ドラムや現像器などが組み込まれている。この組み込み方の詳細については、公知であるため、ここでの説明は省略する。
【0045】
同図における401は、RFIDチップと呼ばれる無線タグICである。RFIDとは、Radio Frequency Identification Systemの略であり、媒体に電波・電磁波を用いたIDシステムのことである。一言で説明すると、必要なデータのやり取りを行う一種の無線通信システムである。このようなチップをカートリッジに搭載させておくことで、機器本体にカートリッジが挿入されたとき、正しいものかどうかを非接触で判断することが可能となる。不図示だが、機器本体に受信部があり、カートリッジと通信する構成になっている。
【0046】
ところで、機器本体は、このRFIDの信号を受信することで、どの消耗品が交換されたかを認識できることを本発明の特徴としている。
【0047】
その認識処理のフローを図6に示した。
601からスタートし、602で消耗品の有無の認識をおこなう。この認識が前述したRFIDによるものである。そして、消耗品が交換されたと認識した場合は、603に示すように前述したRAM308に交換された消耗品の認識番号を記憶する構成となっている。認識番号は、シリアル番号や、消耗品ごとに割り振られた識別番号などであり、消耗品や機器が特定できる番号となっている。
【0048】
もし、602で消耗品の交換がないと判断された場合は、604の処理に移行し通常動作をおこなう。
【0049】
ところで、前述では、RFIDを用いた場合で説明をおこなったが、図5の501のように、カートリッジの形状をかえる(加工する)ことでも、同様なことができることは言うまでもない。
【0050】
また、不図示だが、バーコードのようなものであっても実現可能なことは言うまでもない。
【0051】
次に、本発明のポイントの制御に絡む画像処理部304について説明する。
【0052】
図7は、前述した画像処理部304の一部である。701が画像形成処理部、707がビデオカウンター部である。701では、0〜255までの8bit画像信号をスクリーン処理703により、量子化している。具体的には、0,85,170,255への量子化である。この信号は、8bit信号のままであるが、実質的には離散的な8bit信号、つまり、4種類の値を取り得る2bit信号である。このとき、量子化の前に702のLUT1(ルックアップテーブル=メモリ)で濃度補正をおこなっている。これは、最終出力の階調がリニアになるようにするための補正である。尚、702や703に示した処理は公知な為、ここでの詳細な説明は省略する。
【0053】
次に704だが、これは、本発明の消耗品使用制限に絡む処理である。具体的には、LUT2(ルックアップテーブル=メモリ)である。このLUT2は、入力された2bit(0,85,170,255)の信号値の濃度を制御している。例えば、0,85,170,255を0,64,128,192などに変換している。このように信号値を下げることのより、最終出力の濃度を薄くできる。このテーブルの値は、CPU310によって、任意の値が設定される構成となっている。
【0054】
ところで、本実施例では、704のLUT2を用いて濃度をコントロールしていたが、スクリーン処理703の出力の濃度をダイレクトにコントロール(変更)しても、同様な処理が実現できることは言うまでもない。
【0055】
さらに、プロセス的に現像バイアス(不図示)をコントロールしても、濃度が変えられることは言うまでもない。
【0056】
説明を戻すが、707は前述したとおり、ビデオカウンター処理部である。
これは、0以外の画像信号値の箇所をカウントすることにより、消耗品(ここではトナー)の消費量を算出している。
【0057】
具体的には、705で0以外の画像信号値の積算をおこない、706で任意の係数をかけることで、トナーの消費量を求めている。正確に求めるためには、画像信号とトナー消費量の非線形性を考慮したテーブルを用いる必要があるが、本実施例では、簡素化のために、テーブルを省略し一律に係数をかけて求めている。
【0058】
このビデオカウントの詳細については、公知な技術であるために、ここでの詳細な説明は省略する。
【0059】
それでは、次に本発明のポイントでもある消耗品の使用制限について図8のフローチャートを用いて説明する。
【0060】
801がスタートであり、802が前述したRAM308に記憶された消耗品の「制御信号」と、前述した314から受信した「制御解除信号」とを比較する処理部である。この制御解除信号とは、消耗品回収センター(仮称)がネットワークを介して送信してくる信号である。消耗品回収センターは、ユーザが設置している機器本体とネットワークアドレスとを対応づけて管理しており、ユーザが使用済の消耗品を返却した場合にのみ、そのアドレスに発信する処理をおこなっている。つまり、ユーザが使用済の消耗品を回収センターに返却しないと、半永久的に制御解除信号が発信されないことになる。
【0061】
以下、図8に戻って説明を続ける。
【0062】
前述した802で制御解除信号を受信した場合は、803の処理に移行し通常のコピー(プリント)処理が可能となる。しかし、受信できなかった場合は、804の処理へと移る。804では、前述した出力708の「ビデオカウント値」と、予め設定されている「使用制限1」との比較をおこなう。そして、使用制限1以内のトナー消費量の場合は、803の通常出力の方に移行するが、もし、使用制限1を超えていた場合は、805の処理へと移行する。
【0063】
805の処理は、UIへの警告表示である。具体的には、図9に示したような表示である。
【0064】
905に示した内容が、その警告表示の例である。「どの消耗品が返却されていないのか」と、「その消耗品の送り先」を示していることを特徴としている。つまり、返却すべき消耗品が変われば、送り先も変わることを特徴としている。本実施例では、トナーカートリッジであった為、同図におけるアンダーラインのようになっている。その他の表示部は、本発明のポイントとは関係ないため、簡単に説明する。901が操作部(UI)全体を示しており、902がコピー(プリント)スタートボタン、903が中止ボタン、さらに、904が拡大率や、用紙選択や、コピー枚数などである。
【0065】
以下、図8に戻って説明を続ける。
【0066】
806は、708の「ビデオカウント値」と、予め設定されている「使用制限2」との比較をおこなう。804の「使用制限1」と「使用制限2」の関係は、
「使用制限1」<「使用制限2」
である。つまり、「使用制限2」の方がより、厳しい制限をかけるために用意された閾値となっている。
【0067】
具体的な処理は、806の比較でYesになった場合、つまり、「使用制限2」以下の場合は、前述したUIへの警告表示になるが、Noになった場合は、807の処理がかかる構成となっている。つまり、Noになるということは、ユーザが消耗品の返却を滞らせていることを意味しており、前述した805の処理より、厳しい807の処理をおこなう構成となっている。807の処理とは、前述した704のLUT2を使用した制御である。これを使うことで、出力濃度全体を薄くし、ユーザに使用済のカートリッジの返却を強く意識させることが可能になる。
【0068】
次に808では、さらに厳しい制限の為の「使用制限3」を用いた比較をおこなう。「使用制限1」と「使用制限2」との関係は、
「使用制限1」<「使用制限2」<「使用制限3」
である
これは、前述した807の処理をおこなってもユーザが、使用済の消耗品を返却しない場合に用意された「コピーチャージ料変更」処理809である。「コピーチャージ料変更」とは、通常、コピー機はメンテナンス契約を結び、任意の金額で、機器のメンテナンスをおこなっているが、その契約金額を変更するということである。これにより、否応なしに、ユーザは消耗品の返却をおこなうことになる。
【0069】
本実施例では、「使用制限3」までだが、「使用制限4」を設けて、コピー(プリント)が出来なくなるまでの制限をかけることも可能なことは言うまでもない。また、805や807や809に示した制約事項は、これに限定したものではなく、他のものや、順序を入れ替えたものでもよいことは言うまでもない。逆に、「UIへの警告表示」処理805までで、制約事項を終える構成もあり得ることも言うまでもない。
【0070】
ところで、使用制限がかけられている状態でも、前述した消耗品回収センターから制御解除信号が送信されて、314で受信できた場合は、前述した制限が解除される構成になっている。
【0071】
以上説明した構成により、使用済の消耗品の返却をユーザに強く意識させることが可能となる。前述した構成は、使用期限に基づいた制約ではなく、交換した消耗品の消費量に応じた制約であることも特徴の一つである。これにより、ユーザに対して公平に制約をかけることが可能となる。つまり、期限(期日)で管理した制約では、ほとんど機器を使用していないユーザにとっては、使っていないにもかかわらず、使用制約が働いてしまい理不尽なことになるが、本発明の場合は、交換した消耗品の消費量で制御するため、公平に制約をかけることができる。
【0072】
(実施例2)
第2の実施例における基本的な装置構成で上述した第1の実施例と同様な部分は、同一番号を付けて説明を省略する。本実施例では、CCDユニットを交換した場合を例にとって説明する。
【0073】
<CCDユニットの交換>
まず、CCDユニットが交換された場合は、実施例1と同様にRFIDやバーコードなどを利用して、消耗品が交換されたことを機器本体が認識し、RAM308で識別信号を記憶する。処理フローは、実施例1で示した図6と等価である。そして、図10に示した処理フローにより、使用回数をカウントする構成となっている。つまり、CCDを使用した回数をカウントする処理をおこなっている。
【0074】
同図の1001がスタートで、1002がビデオカウント707に相当するスキャナカウンター処理部である。スキャナが起動するのは、コピーの場合であるため、コピー枚数に相当するカウンター値を1002のスキャンカウンターでカウントしている。無論、コピーの場合だけでなく、スキャナとして原稿を読み取った場合にもカウントされる構成になっている。このようにしてカウントされた値は、1003より、CPU310へ送信される。
【0075】
図11は、前述したスキャンカウント値を用いて使用制限をかける処理フローを示している。802は、実施例1と同様に、RAM308に記憶されている消耗品の制御解除信号が受信されたかどうかの判断をおこなっている。ここでは、CCDユニットを示す制御解除信号が受信されたかどうかをチェックしている。もし、受信されていなかった場合は、1101へと処理が移行する。
【0076】
1101では、前述したスキャンカウント値と使用制限1とを比較し、もし、使用制限1を越えていた場合は、実施例1と同様、UI上に警告表示1104を出力するフローとなっている。ただし、警告内容が実施例1とは異なっている。具体的には、図12のようになる。1201が異なる箇所だが、ポイントにアンダーラインが引かれている。ポイントは、“どの消耗品”を“どこに送り返す”かである。実施例1の図9と比較しも分かるように、交換された消耗品毎に、異なるメッセージを表示することを特徴としている。
【0077】
以下、図11に戻って説明を続ける。1102は、使用制限2とスキャンカウント値とを比較する処理をおこなっている。実施例1同様に、
「使用制限1」<「使用制限2」<「使用制限3」
の関係で、使用制限が厳しくなっている。具体的には、使用制限2の閾値を超えた場合、1105に示したようにカラースキャナであるにも係わらず、
R=G=B
のような設定に変更し、白黒でしかスキャンできない処理に変更してしまうことである。さらに、1103の処理で、使用制限3をスキャナカウント値が超えた場合は、実施例1と同様な809の処理に移行して、コピーチャージ料を変更している。
【0078】
ところで、1105に示したR=G=Bの制約処理は、白黒スキャナでは、無意味なことは言うまでもない。そのような場合、807のようなLUT2の設定による濃度変更で、出力濃度を薄くしても構わない。厳密な意味では、使用中の消耗品と使用制限をかけている消耗品とが異なるが、いずれにせよ、交換した消耗品の使用回数(頻度)に応じて、使用(機能)制限をかけていることには、違いはない。このような白黒スキャナの場合の処理フローを図13に示しておいた。基本的に、これは、図8で説明した処理と、図11で説明した処理とを組み合わせたものである。詳細については、同一番号を付けて、説明を省略する。
【0079】
以上説明した処理により、交換された消耗品がCCDユニットであっても、トナーカートリッジであっても、同様に消耗品の返却を促すことが可能である。
【0080】
これにより、ユーザに対して適切に消耗品の返却を促すことや、返却先を適切に知らせることが可能になる。無論、返却先を示すだけでは、返却しないユーザもいる。その場合は、前述したような処理により、厳しい制約をかける構成で対応した。
【0081】
(実施例3)
第1の実施例、第2の実施例では、ネットワーク314を介して、制御解除信号受信する構成について述べたが、本発明は、これに限定するものではない。つまり、オフラインの機器に対しても適用可能である。具体的な図は示していないが、機器本体の操作部から、暗号化された状態で、制御解除信号を入力する構成である。
【0082】
ただし、この場合であっても、制御解除信号が消耗品回収センター(仮称)から発行されるものであることには、違いはない。
【0083】
本実施例のように、ネットワークに機器が接続されていない場合は、機器管理者へ、電子メールや物理メール(郵送)によって、制御解除パスワードを送ることになる。無論、機器には、暗号化して入力されるので、機器本体内に暗号データを復号する手段があることは言うまでもない。
【0084】
さらに、近年、PCショップなどに設置されている「リサイクルボックス」を利用した場合も対象になるこも言うまでもない。このリサイクルボックスとは、インクを使用したプリンタや家庭用ファクシミリのカートリッジなどを主に対象とした回収箱である。無論、今後将来、それ以外のカートリッジも対象になり得る可能性はある。
【0085】
ところで、リサイクルボックスには、不特定多数のカートリッジが集まるために、どの機器で誰が使用していたかを特定する必要が発生する。しかし、図4で説明したRFIDのような構成を用いれば、使用者やネットワークアドレスや機器番号などを記憶しておくことが可能なため、問題なく、本発明が利用できるようになる。
【0086】
(その他の実施例)
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0087】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどを用いることができる。
【0088】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0089】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0090】
例えば、PC上のドライバでこれらの処理をおこなう場合が、これに相当することは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】消耗品の流れを示す図
【図2】本実施例で用いた複写機全体を示す図
【図3】画像信号の流れを示すブロック図
【図4】実施例1で用いたトナーカートリッジを示す図1
【図5】実施例1で用いたトナーカートリッジを示す図2
【図6】交換された消耗品を認識する処理フロー
【図7】本発明に係わる画像処理ブロック内の一部を示す図
【図8】本発明に係る実施例1の使用制限を表す処理フロー
【図9】本発明に係る実施例1の警告表示を表すUI部
【図10】実施例2におけるスキャナカウンターを示すフロー
【図11】本発明に係る実施例2の使用制限を表す処理フロー(カラースキャナ用)
【図12】本発明に係る実施例2の警告表示を表すUI部
【図13】本発明に係る実施例2の使用制限を表す処理フロー(白黒スキャナ用)
【符号の説明】
【0092】
300 原稿画像
301 レンズ
302 CCDセンサー
303 アナログ信号処理装置
304 画像処理部
305 プリンタ
306 CPU
307 ROM
308 RAM
309 画像読み取り部
310 CPU回路部
311 RAM
312 ROM
313 操作部
315 ネットワーク信号受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続するための手段と、交換可能な消耗品を使用して動作する手段を有する装置において、前記ネットワークを介して識別信号を受信する識別信号受信手段と、前記交換可能な消耗品を認識する認識手段と、前記認識手段で認識された消耗品を前記装置内で任意期間のみ使用可能にする使用期間制御手段と、前記使用可能な期間中に前記ネットワークを介して使用制限解除信号を前記識別信号受信手段より受信できないときは、前記交換された消耗品の返却を要求する返却要求処理手段を起動することを特徴とする消耗品回収装置。
【請求項2】
交換可能な消耗品を使用して動作する装置において、暗号化して前記消耗品に係わる情報を入力する入力手段と、前記入力手段から入力された信号を復号する復号手段と、前記交換可能な消耗品を認識する認識手段と、前記認識手段で認識された消耗品を前記装置内で任意期間のみ使用可能にする使用期間制御手段と、前記使用可能な期間中に前記復号手段より使用制限解除信号が入力されないときは、前記交換された消耗品の返却を要求する返却要求処理手段を起動することを特徴とする消耗品回収装置。
【請求項3】
請求項1に記載の識別信号は、消耗品回収センターが発信するものであり、消耗品回収センターは、消耗品が使用されている装置本体とネットワークアドレスとを管理していることを特徴とし、前記装置で使われていた消耗品が回収センターに届いたときに、前記装置のネットワークアドレスに使用制限を解除する識別信号を発信する手段を有することを特徴とする消耗品回収装置。
【請求項4】
請求項2に記載の消耗品に係わる情報は、消耗品回収センターが発行するものであり、消耗品回収センターは、消耗品が回収センターに届いたときに、使用制限を解除する情報を発行することを特徴とする消耗品回収装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の使用期間制御手段は、認識された消耗品の消耗度合いに応じて使用可能な期間を制御することを特徴とする消耗品回収装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の返却要求処理手段は、請求項1に記載の装置の操作部に、使用済の消耗品を返却する旨を伝える警告表示であること、または、交換された消耗品に使用制限をかけること、或いは、保守料を変更する制限であることを特徴とする消耗品回収装置。
【請求項7】
ネットワークに接続するためのステップと、交換可能な消耗品を使用して動作するステップを有する装置において、前記ネットワークを介して識別信号を受信する識別信号受信ステップと、前記交換可能な消耗品を認識する認識ステップと、前記認識ステップで認識された消耗品を前記装置内で任意期間のみ使用可能にする使用期間制御ステップと、前記使用可能な期間中に前記ネットワークを介して使用制限解除信号を前記識別信号受信ステップより受信できないときは、前記交換された消耗品の返却を要求する返却要求ステップを実行することを特徴とする消耗品回収方法。
【請求項8】
交換可能な消耗品を使用して動作する装置において、暗号化して前記消耗品に係わる情報を入力する入力ステップと、前記入力ステップから入力された信号を復号する復号ステップと、交換可能な消耗品を認識する認識ステップと、前記認識ステップで認識された消耗品を前記装置内で任意期間のみ使用可能にする使用期間制御ステップと、前記使用可能な期間中に前記復号ステップより使用制限解除信号が入力されないときは、前記交換された消耗品を返却する要求おこなう返却要求処理ステップを実行することを特徴とする消耗品回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−166291(P2006−166291A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−357701(P2004−357701)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】