液ダレ防止機能付き流体ディスペンサ
【課題】ポンプ機構から独立して動作しかつ比較的単純な構造を有するサックバック機構を備えた流体ディスペンサが必要とされている。
【解決手段】本発明は、液ダレ防止機能を有する流体を定量吐出するためのディスペンサを提供する。この液ダレ防止機能を達成するために、ディスペンサには、ディスペンサ内のポンプとは別体をなす独立したサックバック機構が設けられている。サックバック機構は、流体を貯留することができる弾性部材を用いる。
【解決手段】本発明は、液ダレ防止機能を有する流体を定量吐出するためのディスペンサを提供する。この液ダレ防止機能を達成するために、ディスペンサには、ディスペンサ内のポンプとは別体をなす独立したサックバック機構が設けられている。サックバック機構は、流体を貯留することができる弾性部材を用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液ダレ防止機能を有する流体ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
当分野において、様々な粘性液体及び泡組成物を定量吐出するための流体ディスペンサが知られている。粘性液体及び泡組成物は、主として、石けん、シャンプー、クリーム、またはローションであり、しばしば公衆トイレやオフィスビルのトイレなどで見受けられる。これらの流体ディスペンサが直面している1つの問題は、定量吐出サイクルの終わりに、ディスペンサから吐出される流体のほんの一部がディスペンシングノズルの出口ポートに残存し得ることである。この吐出流体の一部と使用者に吐出された流体との間で「糸引き」と呼ばれる状態が生じる場合がある。例えば、流体が使用者の手に吐出されたとき、流体の一部が使用者の手にもノズルの出口ポートにも付いたままになっており、その状態で使用者が出口ポートから手を引き離すと、流体は細長い糸のような形状になる。糸引きは、特に泡組成物に関連する問題である。糸引き現象が発生すると、使用者はどうしてよいか分からなくなり、例えば手を洗うことよりも糸引きの糸を切ることに集中してしまう可能性がある。
【0003】
あるいは、流体の一部がノズルの出口ポートにしか残らない場合もある。この流体の一部に重力または他の力が作用すると、流体の一部がノズルの出口ポートからその下にある構造物、例えば、床、調理台、流し台などに滴り落ちる液ダレが発生することがある。あるいは、流体の一部は、ノズルの出口ポートからその下の構造物まで流体の「糸」を形成することがある。これらいずれの状況においても、粘性液体ディスペンサは、流体を無駄遣いしているように見え、かつ/または品質があまりよくないように見える。さらに、ディスペンサのノズルの下の表面上にある流体及び/またはディスペンサの出口ポートから垂れ下がっている流体は、多くの場合に見苦しいものであり、流体がトイレの床に落ちると、トイレが汚れているという認識を生み、かつ/またはトイレの利用者が滑る危険性がある。
【0004】
液ダレ及び糸引き問題に対処するために、サックバック機構を有するポンプが既に開発されている。このサックバック機構は、未吐出流体のほんの一部を出口ポートから引っ込める吸引力を生み出す。先行技術の種々のサックバック機構は、リザーバから流体を吸い込むポンプに直接組み込まれている。これらのサックバック機構は、ポンプの復元/再充填サイクルを用いて、未吐出流体の一部をポンプに向かって引き戻す。この構成に関する1つの問題は、互いに相反する力が同時にポンプに加えられていることであり、その結果、ポンプ及びポンプに組み込まれているサックバック機構が望ましくない方法で動作することがある。すなわち、ポンプは、未吐出流体の一部をディスペンシングノズルの出口ポートから吸い込むのと同時に、リザーバからも流体を吸い込む構造になっている。これらの互いに相反する力のせいで、ポンプが動かなくなったり、リザーバからの流体の吸い込みが非効果的になったりしやすい。結果として、先行技術のサックバック機構は、ポンプの適切な動作を保証するために、複雑な構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,443,569号明細書
【特許文献2】米国特許第6,929,150号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
当技術分野において、ポンプ機構から独立して動作しかつ比較的単純な構造を有するサックバック機構を備えた流体ディスペンサが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概説するならば、本発明は、流体を定量吐出するためのディスペンサを提供する。ディスペンサは、リザーバと、ポンプと、サックバック機構と、ディスペンシング端部とを含む。リザーバは、流体を保持することができ、該流体は、ディスペンサから定量吐出されることになる。ポンプは、リザーバと連通している。ポンプは、入口と、出口と、復元手段とを有する。さらに、ポンプは、待機すなわち静止段階と、1ショット分の量の流体が出口を通ってポンプから放出される吐出段階と、1ショット分の量の流体がリザーバから入口を通ってポンプ内へ吸い込まれる充填段階とを有する。復元手段は、ポンプを、吐出段階から充填段階を経て待機段階へ戻す。サックバック機構は、ポンプとは別体をなしている。サックバック機構は、流体を貯留することができる少なくとも1つの弾性部材と、第1開口部と、第2開口部とを有する。サックバック機構の第1開口部は、ポンプの出口に接続されており、弾性部材は、サックバック機構の第1開口部と第2開口部の間に配置されている。ディスペンサのディスペンシング端部は、流体をディスペンサから定量吐出する出口ポートを有し、かつ、サックバック機構の第2開口部と直接または間接的に連結されている。ポンプの吐出段階の終わりに、ディスペンシング端部とサックバック機構の第2開口部の間に未吐出流体が残留し、未吐出流体の一部は、ポンプの復元手段と無関係に弾性部材内へ吸い込まれる。
【0008】
本発明の一実施形態では、本発明が提供するディスペンサは、弾性部材がエラストマー材料から作製されている。弾性部材は、中空部分を有する中空部材であり、中空部分には、流体を貯留することができる。本発明の弾性部材は、流体を効果的に貯留し、吸入し、かつ放出するように形作ることができる。本発明の1つの特定の実施形態では、弾性部材は、波形形状または円錐台形状を有するものであってよい。
【0009】
本発明のさらなる実施形態では、サックバック機構は、1つの弾性部材であってもよいし、複数の弾性部材であってもよい。1つの特定の実施形態では、サックバック機構に2つの弾性部材が含まれている。
【0010】
本発明の別の実施形態では、ポンプ復元手段は、圧縮性部材であり得る。ポンプ復元手段として動作し得る圧縮性部材の一例は、バネである。
【0011】
本発明の別の実施形態では、サックバック機構は、第1開口部と、第2開口部と、第1開口部と第2開口部の間に形成された主流体経路とを有する本体を含む。この主経路は、第1開口部と第2開口部を互いに接続している。第1端部及び第2端部を有する少なくとも1つの副経路も形成され、ここで、弾性部材は、副経路の第2端部に配置されており、副経路の第1端部は、主流体経路沿いに設けられている。
【0012】
本発明のさらなる実施形態では、ポンプはハウジングをさらに有し、ハウジングは、内壁を含む流体チャンバと、流体チャンバ内に配置され、該流体チャンバ内で伸縮可動できるピストンとを有する。ピストンは、流体チャンバの内壁とともにシールを形成する。ポンプは、ポンプの入口かまたはその付近に位置する入口弁と、ポンプの出口かまたはその付近に位置する出口弁とをさらに有する。本発明のさらに別の実施形態では、ハウジングは、内壁を有する第2チャンバをさらに形成する。ピストンは、第2チャンバ内で伸縮可動でき、第2チャンバの内壁とともにシールを形成する。この第2チャンバは、第2入口及び第2出口を有し、第2出口は、ポンプの出口かまたはその付近に配置され、第2入口は、リザーバ内の流体と接触しないポンプの側にあるようにポンプ内に配置されている。本発明の1つの特定の実施形態では、第2入口は、大気空気をポンプの第2チャンバに流入させるが第2チャンバ内の大気空気を第2入口から逃がさないようにするように適合されている空気吸入口である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のディスペンサを提供することによって、上記したサックバック機構を備えたディスペンサの欠点を最小にするかまたはなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】サックバック機構を有する流体を定量吐出するためのディスペンサの斜視図を示す。
【図2】ディスペンサにおいて使用可能なポンプ及びサックバック機構の切断図である。
【図3】カバーを取り除いたディスペンサの上部部分の斜視図を示す。
【図4】カバー及びポンプアクチュエータを取り除いたディスペンサの上部部分の斜視図を示す。
【図5】本発明において使用可能なサックバック機構の分解図を示す。
【図5A】本発明において使用可能なサックバック機構の分解図を示す。
【図6】カバーを取り除いた、1つの弾性部材を有するディスペンサの上部部分の斜視図を示す。
【図7】波形形状の弾性部材の平面図を示す。
【図8】円錐台形状の弾性部材の平面図を示す。
【図9】カウンターに嵌め込む構成の本発明のディスペンサを示す。
【図10】モータ及び電源を備えた本発明のディスペンサを示す。
【図11A】本発明において使用可能なモータ動力伝達システムの正面図を示す。
【図11B】本発明の或る実施形態のアクチュエータ駆動ホイール及びアクチュエータ案内部材の側面図を示す。
【図11C】本発明の或る実施形態のアクチュエータ案内部材の背面側面図を示す。
【図11D】本発明において使用可能なモータ動力伝達システム実施形態の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
【0016】
本明細書において用いられるとき、「含む」、「含んでいる」なる語及び語根「含む」からの他の派生語は、任意の定められた機能、要素、整数、ステップ、または構成部品の存在を規定する非限定的な用語であるものとし、1若しくは複数の他の機能、要素、整数、ステップ、構成部品、またはそれらの群の存在または追加を排除する意図はないことに留意されたい。
【0017】
本明細書において、「流体」なる語は、室温及び室圧かまたはその付近で流動性を有する多数の物質を意味するものとする。この語は、気体、液体及びそれらの混合物、並びに固体または粒子を含む物質を意味するものとする。「流体前駆物質」なる語は、ディスペンサから放出されるときに流体を形成する物質を意味するものとする。例えば、液体は、ディスペンサから定量吐出される泡前駆物質であり得る。
【0018】
本明細書において、「充填段階」なる語は、流体がリザーバから吸い込まれている(ポンプが泡ポンプであるときには、空気がポンプの空気チャンバ内に吸い込まれている)ポンプの局面を意味するものとする。
【0019】
本明細書において、「吐出段階」なる語は、流体がポンプの出口を通ってポンプから放出されている(ポンプが泡ポンプであるときには、空気がポンプの空気チャンバから押し出されている)ポンプの局面を意味するものとする。
【0020】
本明細書において、「待機段階」すなわち「静止段階」なる語は、ポンプが流体を充填も吐出もしていないポンプの局面を意味するものとする。
【0021】
発明の詳細な説明
【0022】
以下の本発明の詳細な説明において、添付の図面を参照する。添付の図面は、本発明の一部をなし、例として、本発明を実施することができる具体的な実施形態を示している。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することができるように十分詳細に記載されており、当然のことながら、他の実施形態を用いることもできるし、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、機械的変更、手順の変更、または他の変更を行うこともできる。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそのような特許請求の範囲を適用されるに足る等価なものの全ての範囲のみによって画定される。
【0023】
図1、図2及び図3を参照すると、流体を定量吐出するためのディスペンサ10が本発明によって提供されている。一般的に、ディスペンサ10は、リザーバ12と、ポンプ14(図2に図示)と、サックバック機構16と、ディスペンシング端部18とを有する。リザーバ12は流体22(図2に図示)を保持することができ、流体22はディスペンサ10から定量吐出されることになる。ポンプ14がリザーバ12からポンプ内へ流体を吸い込むことができるように、ポンプ14はリザーバ12と連通している。
【0024】
図1及び図3を参照すると、一実施形態では、リザーバ12は、主容器121及び上部部分122を含む。図1は、上部部分122が上に載っている主容器121を示しており、図3は、リザーバの内部の仕組みが見えるように上部部分を取り除いた主容器121を示している。主容器121は、ディスペンサ10から定量吐出されることになる流体または流体前駆物質を保持及び収容する働きをし、図1及び図3には示されていないが、一般的には開口部を有する。主容器はまた、開口部付近にネック部124を有し、主容器のネック部124は、主容器121に開口部を形成する。一般的に、上部部分122は、主容器121のネック部124において主容器121に装着可能である。上部部分122が主容器121に取り外し可能に締着されるような方法で、または上部部分122が主容器122に取り外し不能に締着されるような方法で、上部部分122を主容器121に締着することができる。例えば、超音波溶接、接着手段、または上部部分122を主容器121に取り外し不能に装着することを達成する他の適切な手段を用いて、上部部分122を主容器121にシールすることができる。上部部分122が主容器121から取り外し可能であることが望ましい場合には、ねじ山(図示せず)を上部部分122上に、図3に示されているような相補的なねじ山128を主容器121上にそれぞれ設けるなど、既知の方法を用いて、上部部分122を主容器121と結合させることができる。他の同様な方法を用いて、上部部分122を主容器121に取り外し可能に締着することもできる。
【0025】
図2に示されているように、主容器121内にはポンプ14が含まれている。図2に示されているように、ポンプは、主容器121の開口部123内に配置されており、一般的には、主容器のネック部124に配置されている。ポンプ14を、リザーバ12の上部部分122に配置することも、主容器121の底部に配置することも可能である。本発明の説明にあたり、ポンプに関しては、通常、主容器121のネック部124に配置されているものとして説明する。一般的に言えば、ポンプ14は、入口141と、出口142と、復元手段143とを有する。ほとんどのポンプと同様に、ポンプ14は、待機段階と、吐出段階と、充填段階とを有する。図2に示す待機段階では、ポンプ14の機能は停止しており、流体を能動的に充填することも吐出することもしてない。ポンプの吐出段階は、1ショット分の量の流体がポンプの出口142を通ってポンプ14から放出される段階である。ポンプ14の充填段階では、1ショット分の量の流体22がリザーバ12から入口141を通ってポンプ14内に吸い込まれる。復元手段143により、ポンプ14は、吐出段階の終わりから待機段階に戻ることができる。ポンプ14が吐出段階の終わりから待機段階に戻っているとき、ポンプ14は充填段階にある。本発明において使用可能なポンプ14のさらなる詳細については後述する。
【0026】
サックバック機構16は、ポンプ14とは別体をなす要素である。概説するならば、本発明において使用可能なサックバック機構16が、図5及び図5Aの分解図に示されている。サックバック機構16は、流体を貯留することができる少なくとも1つの弾性部材161と、第1開口部162と、第2開口部163とを有する(図3、図4、図5及び図5Aに図示)。弾性部材161は、サックバック機構16の第1開口部162と第2開口部163の間に配置されている。ディスペンサ10のディスペンシング端部18は、流体をディスペンサ10から定量吐出させることができ、ディスペンシング端部18は、サックバック機構16の第2開口部163に接続されている。ポンプ14の吐出段階の終わりに、ディスペンシング端部18とサックバック機構16の第2開口部163との間に未吐出流体が残留し、未吐出流体の一部は、弾性部材161内に吸い込まれ、そのことが、ディスペンシング端部18からの未吐出流体の一部の滴下を防止し、かつ、未吐出流体と使用者に吐出された流体との間での糸引きの防止に役立つ。
【0027】
サックバック機構16は、ポンプ14とは別々に動作するものであってもよいし、あるいはポンプ14と連動するものであってもよい。ポンプとは別々に動作するときには、サックバック機構はポンプの復元手段143に依存しない。ポンプと連動するときには、ポンプの復元手段143はポンプの充填段階中に弾性部材の復元を補助する。サックバック機構16の第1開口部162は、ポンプ14の出口142に接続されている。
【0028】
図2に示されているように、ディスペンサ10にはポンプ取付要素20を設けることができる。ポンプ取付要素20は、図3及び図4にも示されている。このポンプ取付要素20を用いて、ポンプ14及びサックバック機構16をディスペンサ内に保持しかつ/または締着することができる。ポンプ取付要素20は、図2、図3及び図4に示されている主容器121の開口部123に収まり、開口部内に取り外し不能に取り付けられるかまたは開口部内に取り外し可能に取り付けられることができる。あるいは、ポンプ取付要素20を、ディスペンサの上部部分122と関連付けることができる。すなわち、ポンプ取付要素20を、リザーバの上部部分122に取り外し可能に接続することができる。別の代替構成では、ポンプ取付要素20が上部部分122の底面を形成するように、ポンプ取付要素20をディスペンサの上部部分122と取り外し不能に接続することができる。あるいは、ポンプ装置12を主容器121内に収納することもできる。
【0029】
図2に示されているように、ポンプ装置14は、上記したようにリザーバ12のネック部124にあり、リザーバ12の主容器121から流体または流体前駆物質22を吸い込みかつ流体をディスペンサ10のディスペンシング端部18から外に出す働きをする。製造効率を高めるために、有利には、広く出回っている「標準在庫」構成部品からポンプ装置16を作ることができる。具体的には、ポンプ装置16は、ボトル入りローション、シャンプー、石けんなどとともに広く用いられているタイプのよく使われているローションポンプであることが好ましい。適切なポンプは、例えばレクサム・エアスプレー社(Rexam Airspray, Inc.。オフィス所在地は 3768 Park Central Blvd, North, Pompano Beach, Florida, USA)及びリーケ社(Rieke Corporation。オフィス所在地は 500 W. 7th Street, Auburn Indiana, USA)を含む様々なポンプ製造業者から購入できる。適切な市販のポンプは、レクサム・エアスプレー社から市販されているF2泡ポンプである。他にも多くのモデルの泡ポンプ、ローションポンプも市販されており、ショットサイズなどの変数に応じて利用することができる。後述するように、ディスペンサ10において使用するために市販のポンプ装置を、用途またはディスペンサ10から定量吐出される流体に応じて、幾通りかの方法で改変することができる。
【0030】
本発明において用いられ得る例示的なポンプについてさらに理解するために、再び図2に目を向ける。図のように、ポンプ装置16は泡ポンプであり、外側管状ピストン62と、ポンプシリンダ66の内側に位置する内側管状ピストン64とを含む。図のように、ポンプシリンダ66は、幅広部分66W及び幅狭部分66Nを有する。外側管状ピストン62、ポンプシリンダ66の幅広部分66W及び内側ピストン64の外面は、空気チャンバである第1チャンバ68を形成する。内側ピストン64及びポンプシリンダ66の幅狭部分66Nは、流体チャンバである第2チャンバ69を形成する。ポンプ装置16はキャップ要素70をさらに含み、キャップ要素70は、ポンプシリンダ66に対して軸方向に固定された関係で維持されている。キャップ要素70は、リザーバ12内のポンプ装置16を、より具体的には図のようにポンプ取付要素20に取り付けるために有利に用いられ、ポンプ取付要素20は、主容器121内またはリザーバの上部部分122のいずれかに含まれる。例えば、図の実施形態では、ポンプ取付要素20は、ねじ部76を有する円盤形部材として構成されている。ねじ部76の外部のねじ山は、図2に示されているようなキャップ要素70の内部のねじ山と係合する。他の適切な手段を用いて、リザーバ12内にポンプアセンブリ16を保持することもできる。
【0031】
係合要素24が、ポンプのピストンアセンブリ61と連通している。一般的に、係合要素はピストン61に物理的に接続されることになる。図の実施形態では、係合要素24は、円筒形部分79及び円盤形フランジ80を有するように構成されている。ポンプ14のピストン61に接続されるのは、一般的には円筒形部分79である。一般的に、係合要素24は概ねリザーバの中心軸線付近に位置しており、そのことで後述する利点が得られる。係合要素24の往復運動は、ポンプシリンダ66内でピストンアセンブリ61を動かすことになる。ピストンアセンブリ61は通常、ポンプ復元手段143の力により、図2に示されているように、上昇位置(静止位置)へ付勢される。ポンプ復元手段は、圧縮性部材であってよく、あるいは、電子的構成では、モータを用いてポンプを復元させることができる。適切なポンプ復元手段には、図2に示されているようならせんバネが含まれる。
【0032】
上記したように、図2に示されているポンプアセンブリ14は、泡ポンプである。図の泡ポンプは、主容器121からの液体22をポンプ構造内の空気と混合する。外側ピストン62には空気吸入開口部72が含まれ、空気吸入開口部72により、空気は外側ピストン62を通過して空気チャンバ68に入ることができる。さらに、外側ピストン62には排気通路73が設けられ、排気通路73により、空気チャンバ68内にある空気は空気チャンバ68から抜け出ることができる。空気チャンバ内の空気が空気吸入開口部72から抜け出さないようにするために、空気吸入開口部72の近くに逆止弁74が配置されている。逆止弁74は、ポンプ14の充填段階では開いており、吐出段階では閉じている。この逆止弁74は、空気及び/または流体が充填段階で空気チャンバ68に入り、ポンプの充填段階で排気通路73から抜け出ることも防止する。この逆止弁の動作については特許文献1に詳細に記載されており、特許文献1は引用を以て本明細書の一部となす。
【0033】
ポンプ装置16には、確実に液体がポンプを通過して適切に流れるようにするために、追加の逆止弁84、85及び86がさらに設けられている。逆止弁86は、ポンプシリンダ66の底部付近にあり、内側ピストン64が上昇方向(充填段階)に動くときに、液体22をポンプの入口141から下側液体チャンバ69内に吸い込むことができる。内側ピストン64が下降方向(吐出段階)に動くときには、逆止弁85は、液体22を下側液体チャンバ69から上側液体チャンバ90内へ流入させることができる。さらに、逆止弁84は、流体を上側ポンプチャンバ90から流出させ、混合チャンバ92内に流入させることができる。逆止弁84及び85は、同時に開きかつ同時に閉じる。混合チャンバ92内では、空気チャンバ68からの空気が上側液体チャンバ90からの液体22と混合される。空気と液体の混合により泡流体が生じ、泡流体は多孔質部材93を通って押し出される。泡流体の泡を均一にするために、多孔質部材93は、多孔質ネットまたは篩のような構造をとっている。泡流体は、その後、ポンプ14の出口142を通って押し出される。
【0034】
様々な異なる逆止弁構成が考えられるが、図の実施形態では、一般的なボール弁及びシート弁が用いられている。本発明の範囲から逸脱することなく、これらの要素の他の構成を用いることもできる。ポンプ装置において他の構造及び機能要素、例えば封止部材及びガスケットを用いて、ポンプの泡漏れを防止したりポンプの機能を向上させたりすることができる。さらに、上記したポンプアセンブリ14は泡ポンプであるが、本発明において非泡ポンプを用いることもできることに留意されたい。非泡ポンプは、上記した泡ポンプと大体同じように動作するが、上記した外側ピストン、空気チャンバ、空気吸入口及び混合チャンバはない。液体は、泡ポンプと同じようにポンプを通過するが、ポンプ出口142から流出する前に空気と混合されない。
【0035】
図2、図3及び図4を参照すると、ポンプ14の出口142から流出した流体は、サックバック機構16に運ばれる。一般的に、ポンプ14の出口142は通常、ピストンアセンブリ61とともに動く。この動きに対抗するために、ポンプ14の出口142は、軟質チューブ96でサックバック機構16の第1開口部162に結合されている。軟質チューブ96は、ポンプの出口142に装着される第1端部97と、サックバック機構16の第1開口部162に装着される第2端部98とを有する。ポンプ14の出口142とサックバック機構16とを軟質チューブで接続することによって、サックバック機構16をポンプ取付部材20に動かないように取り付けることができ、そのことが、使用中のサックバック機構16の動作を向上させることになる。図2に示されているように、サックバック機構16は、取付台179上に取り付けられている。
【0036】
図5及び図5Aに目を向けると、それぞれの図は、サックバック機構に用いることができる構成を示している。上記したように、サックバック機構16には第1開口部162が設けられ、第1開口部162は、ポンプ14からサックバック機構16内へポンピングされる流体のための入口として機能する。サックバック機構16は第2開口部163も有しており、第2開口部163は、ポンプ14が吐出段階にあるときに、サックバック機構16からの流体のための出口として機能する。第2開口部163は、ポンプ14が充填段階にあるときに、サックバック機構16とディスペンサのディスペンシング端部18との間にある未吐出流体の一部のための入口としても機能する。サックバック機構16はまた、少なくとも1つの弾性部材161を有しており、サックバック機構16の第2開口部162とディスペンシング端部18との間に残留している未吐出流体の一部を、弾性部材161内に吸い込むことができる。弾性部材の機能は、ポンプ14の復元手段143と無関係であってもよいし、あるいは、ポンプ14の復元手段143に支援されるものあってもよい。
【0037】
一般的に、サックバック機構には1若しくは複数の弾性部材161がある。弾性部材161は、弾性部材の圧縮並びに実質的に同じサイズ及び形状への回復を可能にする材料から作製され、形作られる。弾性部材161の例示的な形状を図7及び図8に示す。図7は波形蛇腹形状を示し、図8は円錐台形状を有する弾性部材を示している。弾性部材は、例えば、天然ゴム、シリコーンゴム、または本質的に弾性的である任意の他の材料を含むエラストマー材料から作製される。あるいは、圧縮状態から回復することができる材料である限り、他の弾性材料を用いてもよい。弾性部材の実サイズは、弾性部材が流体を効果的に吸入できるようにするために必要とされる理想的な吸引力を生み出しかつ/またはサックバック機構内に流体を効果的に吸い込めるようにするために所望のレベルの真空を発生するように、当業者が選択することができる。一般的に、流体の粘性が高ければ、必要とされる弾性部材の中空部分の体積が大きくなる。
【0038】
図5に示す一実施形態では、複数の弾性部材161がサックバック機構16に用いられている。具体的には、2つの弾性部材161が示されている。図のように、サックバック機構16は、下側部材164及び上側部材165を有し、上側部材165は下側部材164に結合される。上側部材165及び下側部材164は、互いに結合されたときに気密シールを形成するのがよい。上側部材165及び下側部材164の組合せが気密であることを確実にするために、追加の封止部材またはシーリング材を用いてもよい。そのような封止部材及びシーリング部材については、当業者であればすぐに分かるであろう。上側部材164は座部168を有しており、座部168は弾性部材161とともにシールを形成するように適合されている。弾性部材161は、リテーナ166、またはサックバック機構において気密シールを維持するための任意の他の適切な手段を用いて、座部168上の定位置に保持されることができる。一般的に、使用中に弾性部材を定位置にしっかりと保持するために、リテーナ166が上側部材165上の所定の位置に嵌め込まれることになる。この場合もやはり、弾性部材161は、上側部材165とともに気密シールを形成するのがよい。サックバック機構16が気密シールを有しない場合、サックバック機構16は適切な方法で動作しないことがある。
【0039】
気密シールの形成に加えて、本発明の一実施形態では、上側部材164及び下側部材165は、互いに結合されたときに流路または通路174を形成するのがよい。この流路または通路174は、主流体通路175を、サックバック機構16を介して弾性部材161及び弾性部材161の中空部分173に接続し、それによって、サックバック機構が、未吐出流体の一部を弾性部材161の中空部分173内に吸い込むことを可能にする。この流路または通路174は、未吐出流体の一部を、弾性部材161の中空部分173内に吸い込み、中空部分173から流出させて主流体通路175内に戻すこともできる。
【0040】
代替構成では、1つの弾性部材161がサックバック機構16に用いられることもある。1つの弾性部材161を用いるとき、図5に示されている構造を用いて弾性部材161を形成することができるが、このとき、2つの弾性部材の一方が取り除かれ、リテーナ166がキャップ(図示せず)を保持するかまたは座部168とともにシールを形成する。あるいは、1つの弾性部材161を用いるとき、サックバック機構16に関して、図5Aに示されている構造と類似の構造を用いてもよい。図5Aに示されているように、サックバック機構16は、入口162及び出口163を有する。入口162と出口163の間に通路171が形成されており、通路には、流体を通路から弾性部材161内へ流入させることができる複数のベント170が設けられている。サックバック機構の適切な動作を確実にするために、弾性部材161は、通路171とともにシールを形成するのがよい。他の同様な構造が、未吐出流体をポンプとディスペンサのディスペンシング端部との間にとどめることができるならば、そのような構造を本発明においてサックバック機構として用いることもできる。図6がリザーバ12上に図5Aのサックバック機構が用いられていることを示している点を除いて、図5は、本明細書で説明した図3と類似している。
【0041】
一般的に、適切な取付手段を用いてサックバック機構16をポンプ取付要素20内に保持することができる。例えば、サックバック機構16には、サックバック機構の上側部材165上に取付構造167が設けられることになる。取付構造は、ポンプ取付構造20上に存在する取付台179上にサックバック機構16を取り付けることができるような穴または突起部であり得る。サックバック機構16は、接着手段を用いて取付台179に接着することができるか、あるいは、ねじなどの機械的取付手段を用いて取付台179に機械的に装着することができる。サックバック機構16がポンプ取付要素20内で動かない限り、任意の他の機械的取付手段を用いることもできる。
【0042】
図2に示されているように、弾性部材161は、開口部172を有する概ね中空構造であり、開口部172に近い部分が座部168またはその付近に配置されることになる。中空構造の中空部分173のおかげで、弾性部材161は流体を貯留することができる。さらに、弾性部材の中空構造は変形可能であり、つぶれることによって、貯留部内の流体を貯留部の外に出す。弾性部材161が元の形状及びサイズに戻ると、中空部分173によって真空が発生し、真空により弾性部材内に流体が再充填される。
【0043】
流体は、第2開口部163においてサックバック機構16から流出し、ディスペンサのディスペンシング端部18を通ってディスペンサ10から流出する。ディスペンシング端部18は、チューブ19の遠位端19Dに設けることができ、チューブ19は、チューブ19の近位端19Pにおいてサックバック機構16の第2開口部163に接続されている。このことは、図1及び図2に示されている。代替実施形態では、ディスペンシング端部18はノズル形態(図示せず)であり得る。一般的に、チューブ19が存在するとき、チューブ19は可撓性材料から作製される。
【0044】
本発明のディスペンサ10内に存在し得る追加要素には、アクチュエータ26及びアクチュエータロッド30が含まれる。アクチュエータ26は、図2に示されているように、ポンプ14の外側ピストン62に機能的に接続されている。アクチュエータは、ポンプ14を作動させ、ポンプを図2に示されている静止段階から吐出段階へ移動させて、液体をリザーバ12からポンプ14及びサックバック機構16を経てディスペンサ10のディスペンシング端部18の外へと移動させる働きをする。図2に示されているように、アクチュエータ26は、上側構造27及び下側構造28を有する。上側構造27は、接続側面構造29により下側構造28に結合されている。一般的に、1つのアクチュエータ26に2つ以上の側面構造29があるので、アクチュエータの上側構造27及び下側構造28は、単一ユニットとして一体となって動作する。本発明において使用可能なアクチュエータの構造は、図3及び図6においても見ることができる。存在し得るさらなる1つの要素は注入ポート23であり、注入ポート23により、リザーバ12に流体を注ぐことができる。
【0045】
図2、図3及び図6に示されているように、上側アクチュエータ構造27の下面31を弾性部材161と接触させることができる。アクチュエータ26を弾性部材161と接触させることによって、アクチュエータが、図2、図3及び図6に示されている静止位置から、図2に示されている下降位置まで動かされると、アクチュエータの上側構造の下面31が、弾性部材161を圧縮し、それによって、中空部分に存在する流体を弾性部材161から流路175内へ押し込み、その後ディスペンサのディスペンシング端部18から外に出す。アクチュエータの上側構造27の下面31は、単に弾性部材161と接触するだけであることもあるし、あるいは弾性部材に物理的に結合されていることもある。下面31を弾性部材161に結合させる適切な方法には、例えば、接着手段、機械的手段または接着手段及び機械的手段の組合せが含まれる。弾性部材161を下面31に結合させることは、ポンプ復元手段143を用いて弾性部材161が開始時の形状及びサイズに戻るのを助け、それにより、真空を発生し、ディスペンシング端部18からサックバック機構16に向かって流体を引き戻すことができるという利点を有する。しかしながら、弾性部材131をアクチュエータ上側構造27の下面31に接続させる必要はない。
【0046】
ディスペンサ10から流体を定量吐出するようにアクチュエータ26を作動させるために、アクチュエータロッド30は、図2に示されているように、アクチュエータの上面32に接触している。あるいは、アクチュエータロッドは、アクチュエータ26の上面32に接続されいてもよい。アクチュエータロッド30は、図1及び図3に示されているようなリザーバアセンブリ12の上部部分122に位置するアクチュエータ開口部130を通過することによって、アクチュエータ26の上面32に接触することができる。アクチュエータ開口部130は、概して、上部部分122の中心線の周囲に配置される。本発明の一実施形態では、ディスペンシング端部18をサックバック機構16の第2開口部163に接続するチューブ19が、図1に示されているように、アクチュエータ開口部130の中心に配置されることになる。アクチュエータロッド30がアクチュエータ26の上面32と接触することができるように、アクチュエータ開口部130は1つの開口部であってよい。
【0047】
アクチュエータロッド30がアクチュエータ26を押し下げると、アクチュエータ26は弾性部材161を押し下げ、ポンプの外側管状ピストン62及び内側管状ピストン64を押し下げて、ポンプ14を静止段階から吐出段階へ移行させる。弾性部材161を押し下げることにより、中空部分173内の流体は、弾性部材161から主流体通路175内へ、そしてディスペンサのディスペンシング端部18に向かって放出される。加えて、ポンプ14からの流体がポンプの出口142を通って軟質チューブ96内へ放出され、軟質チューブ96によってサックバック機構16に運ばれる。この流体は、サックバック機構16の主通路175に入り、弾性部材161から放出される流体と一緒になる。この流体も、ディスペンサ10のディスペンシング端部18から放出される。アクチュエータ26による弾性部材161及びポンプのピストンの押し下げが終わると、ポンプ復元手段143がポンプを吐出段階から充填段階へ移行させる。ポンプ14の充填段階中に、アクチュエータ26は、図2に示されている静止位置に戻り、それにより今度は弾性部材161が圧縮状態から元の形状に戻る。弾性部材161が元の形状に戻るとき、真空を発生し、サックバック機構16とディスペンシング端部18との間に残留している未吐出流体の一部を弾性部材161内へ引き戻す。この真空発生及び弾性部材161内への未吐出流体の一部の吸い込みが、ディスペンサのディスペンシング端部18からの糸引き及び液ダレを防止する。
【0048】
本発明のディスペンサ10を、図9に示すようなアンダーカウンター式ディスペンサとして用いることもできる。アンダーカウンター式ディスペンサとして用いるとき、アクチュエータとは反対側にあるアクチュエータロッド30の端部を作動ボタン222と機能的に接続させるかまたは接触させることによって、使用者がアクチュエータロッド30を手で作動させることができる。使用者が作動ボタン222を押し下げると、アクチュエータロッドがアクチュエータ26を押し下げ、それが今度はポンプ14及びサックバック機構16を作動させることは上記した通りである。一般的に、アクチュエータボタン222はディスペンシングヘッド220上にある。ディスペンシングヘッド220は、搬送噴出口221も有している。ディスペンシングヘッド220をカウンター(図示せず)に保持しているのは固定機構228であり、固定機構228は、カウンターの下に延出している概ね中空の長寸チューブ226の一部と結び付いている。長寸チューブ226の中空部分内に、アクチュエータロッド30がある。ディスペンシングヘッド220とは反対側にある長寸チューブ226の端部には、接続部材230がある。ディスペンサは、ディスペンサ10上に相補的な接続部材40を有し、相補的な接続部材40は、ディスペンサをディスペンシングヘッド220及び/または長寸チューブに接続する働きをする。この構成では、ディスペンシング端部が搬送噴出口の端部221’かまたはその近くにあるように、チューブ19は、接続部材230を通過し、長寸チューブ228を通過して、搬送噴出口221内へ挿入される。図9に示されている構成では、ディスペンサは、使用者によって手動で操作される。
【0049】
本発明の代替実施形態では、ポンプ14及びサックバック機構16は電子作動式である。電子式粘性液体ディスペンシングシステムの例を図10に示す。電子作動式ポンプは、多くの異なる方法で動作し得る。1つの方法は、使用者にディスペンシングヘッド上またはその近くにある作動ボタン222を押させること、あるいは、噴出口20の下に使用者の手があればそれを検出するようなセンサ223を設けることである。ポンプの電子的作動手段として用いられるとき、作動ボタンは、押しボタン、センサ、またはポンプを電子的に作動させるための当業者に既知の任意の他の手段であってよい。
【0050】
図10に示されているように、電子式粘性液体ディスペンシングシステムは、ディスペンシングヘッド220と、長寸チューブ226と、モータハウジング202と、電源函ハウジング204と、接続部材230と、リザーバアセンブリ12とを有する。モータハウジング202が長寸チューブ226と接続部材230の間に配置されていることを除いて、本質的に、構成部品は上記したものと類似かまたは同じである。さらに、電源函ハウジング204には、モータに電気的に接続されている電源が含まれている。ディスペンシングヘッド220は、アクチュエータボタン222を有し、かつ/またはアクチュエータロッド30及びアクチュエータによってポンプ14に係合するモータを作動させるために用いられるセンサ223を有する。アクチュエータボタン222及び/またはセンサ223は、モータに電気的に接続されている。一般的に、アクチュエータボタン222及び/またはセンサ223は、制御回路を有する制御パネル(図示せず)に電気的に接続されている。制御回路は、噴出口224の下付近の使用者の手を検出したり、アクチュエータボタン222への使用者の入力を検出したりするために用いられる。それに加えて、制御回路は、使用者に1回分の粘性液体を与えるように、所与の期間にわたってモータを作動させるために用いられる。センサ及びボタン用の制御回路は、当業者に既知であり、例えば特許文献2に示されている。特許文献2は引用を以て本明細書の一部となす。
【0051】
電子式粘性液体ディスペンシングシステムでは、接続部材230をモータハウジング202及び電源ハウジング204に接続することができる。あるいは、モータハウジング202が接続部材230と一体になっていてもよく、このことはモータハウジング202と接続部材230とが単一ユニットであることを意味している。一般的に、電源204は、必要なときに電源の交換ができるように、モータハウジングから分離することができる。すなわち、電源は、モータハウジングから接続解除可能かつ再接続可能である。確実に電源204からモータハウジングに動力が伝達可能であるように、モータハウジング及び電源の両者に、互いに相補的な位置にある電気的接点を用いることができる。このことは、電源がモータハウジングに取り付けられたときに、電気的接続がなされることを意味している。
【0052】
モータハウジング202の可能な構成についてさらに理解するために、ここで、図11A、図11B、図11C及び図11Dに注目する。モータハウジング202は、モータ210と、モータ210と係合されているギア211、212と、アクチュエータロッド30を駆動する追加ギア213とを収納している。モータ駆動式アクチュエータロッド30は、モータハウジング202内に収納され、モータハウジング202から、接続部材230の下面にある開口部を通って延出している。任意の方法を用いて、モータ駆動式アクチュエータロッド30を駆動することができる。電子式粘性液体ディスペンシングシステムの典型的な動作では、モータ駆動式アクチュエータロッド30がアクチュエータ26に接触し、アクチュエータを下向きに押してポンプ14を1回または複数回作動させて、ディスペンシングヘッド220の噴出口224から1回分の粘性液体を放出する。
【0053】
種々の方法を用いて、作動されたモータからモータ駆動式アクチュエータロッド30へ動力を伝達することができる。例えば、モータは、一連のホイール、ギア、またはその他の、アクチュエータ26まで延在しかつアクチュエータ26に接触しているアクチュエータロッド30へのエネルギー伝達手段を駆動することができる。本発明の一実施形態では、駆動ホイール213は、アクチュエータロッド30を駆動するために用いることができる例示的な手段であるが、図11A及び図11Bに示されているように、周縁部215付近においてギア本体の一領域から延出している棒状体またはシャフト214を有する。モータ210がモータ駆動ホイール211を回転させると、モータ駆動ホイール211は今度は1若しくは複数のホイール212を回転させる。図11Aには、1つのホイール212しか示されていないが、アクチュエータ駆動ホイール213の回転速度を低下させるために、複数のホイールを有することが望ましいであろう。そうすれば、ポンプは、制御された方法で作動させられる。アクチュエータ駆動ホイール213の適切な速度が達成されるように駆動ホイールの比を選択することは、当業者の範囲内である。本明細書において、「ホイール」なる語には、ホイールそれ自体と、他のホイール様機構、例えばギアなどを含む任意のホイール様機構とを含めるものとすることに留意されたい。一般的にはギアが望ましく、その理由は、ギアは使用中に滑りにくいからである。
【0054】
図11Bに示されているように、アクチュエータ駆動ホイール213は、アクチュエータ駆動ホイール213の非中心部から延出するシャフト214を有し、それにより、アクチュエータ駆動ホイール213の回転するとシャフトが方向325に上下する。このシャフト214は、アクチュエータ案内部材320にある水平チャンネル322に収まっている。水平チャンネル322は、概ね水平軸線2の方向に延在する。水平チャンネル322は、アクチュエータ案内部材320の両側面のうちの片面から延出している2つの水平突起部321及び321’によって形成されている。アクチュエータ駆動ホイールが回転すると、シャフト214は、円軌道を描いて移動し、図11Bに示されている垂直軸線1上の垂直方向の動き325と、図11Cに示されている水平軸線2上の水平方向の動き226をなす。シャフト214の垂直方向の動き325は、アクチュエータ案内部材220を垂直軸線1の方向に上下に動し、それが今度はモータ駆動のアクチュエータロッド30を同様に垂直軸線方向に上下に動かす。アクチュエータ案内部材220上にあるチャンネル322の下には、アクチュエータロッド30がある。アクチュエータ案内部材320は、アクチュエータ案内部材が垂直軸線方向に上下に動き、左右または前後には動かないように、適所に保持されている。例えばアクチュエータ案内部材320の横方向側部が水平軸線方向に適所に保持されるように複数の垂直案内溝323を設けることによって、アクチュエータ案内部材320を適所に保持することができる。これらの垂直案内溝323は、図11B、図11C及び図11Dに示されているようにモータハウジング202内に設けることができる。
【0055】
上記したように、シャフト214は、水平軸線2の方向に水平の動き326もなす。この水平の動きは、本質的に望ましくないものである。水平の動きをそぐために、シャフトは、アクチュエータ案内部材のチャンネル322に沿って水平軸線2の方向に水平に動くことができる。従って、チャンネル322は、シャフト214の本質的に望ましくない水平の動き326を制御する。
【0056】
電動粘性液体ディスペンシングシステムは、さらなる機能を有していてもよい。例えば、ディスペンシングヘッド220は、様々なイベント、例えば、使用者認識、バッテリー不足、空のソープリザーバ、または他の状態、例えばモータの故障などを伝えるために、インジケーターライトを有することができる。そのようなライトの例には、LED(発光ダイオード)などの低電力消費のライトが含まれる。
【0057】
本発明の電子式粘性液体ディスペンシングシステムのための電源には、使い捨てDC電池(図示せず)を含むことができる。あるいは、電源は、電源全体を単一ユニットとして交換する必要がある密閉装置であってよい。図示されてはいないが、AC−DCアダプタを利用して、粘性液体ディスペンサへの代替電源を提供してもよい。この実施形態は、粘性液体ディスペンサがACコンセントに極めて接近して取り付けられる場合や、適切な構成及び電力の、中央に位置している変圧器から複数のディスペンサに電力を供給することが望ましいときに、特に有用であり得る。モータに電力を供給するために使用する電池の数は、ディスペンサのために選択されるモータによって決まる。本発明において使用可能な使い捨て電池には、9ボルト電池、1.5ボルト電池(単1電池や単2電池)、または他の同様な電池が含まれる。モータに供給される電力がモータに適合している限り、モータ用に選択される電池の正確な種類は本発明にとって重要ではない。使用頻度が少ない状況下で粘性液体ディスペンサを用いる用途には、充電式電池を用いることができる。ディスペンサを明るい場所で用いるのであれば、電池は再充電可能な太陽電池であってよい。
【0058】
本発明について様々な実施形態を参照して説明してきたが、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形式・詳細ともに変更を加えることができることが分かるであろう。従って、前述の詳細な説明は、限定的なものではなく例証的なものとして扱われるものとし、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらと等価な全てのものによって画定されるものとする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液ダレ防止機能を有する流体ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
当分野において、様々な粘性液体及び泡組成物を定量吐出するための流体ディスペンサが知られている。粘性液体及び泡組成物は、主として、石けん、シャンプー、クリーム、またはローションであり、しばしば公衆トイレやオフィスビルのトイレなどで見受けられる。これらの流体ディスペンサが直面している1つの問題は、定量吐出サイクルの終わりに、ディスペンサから吐出される流体のほんの一部がディスペンシングノズルの出口ポートに残存し得ることである。この吐出流体の一部と使用者に吐出された流体との間で「糸引き」と呼ばれる状態が生じる場合がある。例えば、流体が使用者の手に吐出されたとき、流体の一部が使用者の手にもノズルの出口ポートにも付いたままになっており、その状態で使用者が出口ポートから手を引き離すと、流体は細長い糸のような形状になる。糸引きは、特に泡組成物に関連する問題である。糸引き現象が発生すると、使用者はどうしてよいか分からなくなり、例えば手を洗うことよりも糸引きの糸を切ることに集中してしまう可能性がある。
【0003】
あるいは、流体の一部がノズルの出口ポートにしか残らない場合もある。この流体の一部に重力または他の力が作用すると、流体の一部がノズルの出口ポートからその下にある構造物、例えば、床、調理台、流し台などに滴り落ちる液ダレが発生することがある。あるいは、流体の一部は、ノズルの出口ポートからその下の構造物まで流体の「糸」を形成することがある。これらいずれの状況においても、粘性液体ディスペンサは、流体を無駄遣いしているように見え、かつ/または品質があまりよくないように見える。さらに、ディスペンサのノズルの下の表面上にある流体及び/またはディスペンサの出口ポートから垂れ下がっている流体は、多くの場合に見苦しいものであり、流体がトイレの床に落ちると、トイレが汚れているという認識を生み、かつ/またはトイレの利用者が滑る危険性がある。
【0004】
液ダレ及び糸引き問題に対処するために、サックバック機構を有するポンプが既に開発されている。このサックバック機構は、未吐出流体のほんの一部を出口ポートから引っ込める吸引力を生み出す。先行技術の種々のサックバック機構は、リザーバから流体を吸い込むポンプに直接組み込まれている。これらのサックバック機構は、ポンプの復元/再充填サイクルを用いて、未吐出流体の一部をポンプに向かって引き戻す。この構成に関する1つの問題は、互いに相反する力が同時にポンプに加えられていることであり、その結果、ポンプ及びポンプに組み込まれているサックバック機構が望ましくない方法で動作することがある。すなわち、ポンプは、未吐出流体の一部をディスペンシングノズルの出口ポートから吸い込むのと同時に、リザーバからも流体を吸い込む構造になっている。これらの互いに相反する力のせいで、ポンプが動かなくなったり、リザーバからの流体の吸い込みが非効果的になったりしやすい。結果として、先行技術のサックバック機構は、ポンプの適切な動作を保証するために、複雑な構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,443,569号明細書
【特許文献2】米国特許第6,929,150号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
当技術分野において、ポンプ機構から独立して動作しかつ比較的単純な構造を有するサックバック機構を備えた流体ディスペンサが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概説するならば、本発明は、流体を定量吐出するためのディスペンサを提供する。ディスペンサは、リザーバと、ポンプと、サックバック機構と、ディスペンシング端部とを含む。リザーバは、流体を保持することができ、該流体は、ディスペンサから定量吐出されることになる。ポンプは、リザーバと連通している。ポンプは、入口と、出口と、復元手段とを有する。さらに、ポンプは、待機すなわち静止段階と、1ショット分の量の流体が出口を通ってポンプから放出される吐出段階と、1ショット分の量の流体がリザーバから入口を通ってポンプ内へ吸い込まれる充填段階とを有する。復元手段は、ポンプを、吐出段階から充填段階を経て待機段階へ戻す。サックバック機構は、ポンプとは別体をなしている。サックバック機構は、流体を貯留することができる少なくとも1つの弾性部材と、第1開口部と、第2開口部とを有する。サックバック機構の第1開口部は、ポンプの出口に接続されており、弾性部材は、サックバック機構の第1開口部と第2開口部の間に配置されている。ディスペンサのディスペンシング端部は、流体をディスペンサから定量吐出する出口ポートを有し、かつ、サックバック機構の第2開口部と直接または間接的に連結されている。ポンプの吐出段階の終わりに、ディスペンシング端部とサックバック機構の第2開口部の間に未吐出流体が残留し、未吐出流体の一部は、ポンプの復元手段と無関係に弾性部材内へ吸い込まれる。
【0008】
本発明の一実施形態では、本発明が提供するディスペンサは、弾性部材がエラストマー材料から作製されている。弾性部材は、中空部分を有する中空部材であり、中空部分には、流体を貯留することができる。本発明の弾性部材は、流体を効果的に貯留し、吸入し、かつ放出するように形作ることができる。本発明の1つの特定の実施形態では、弾性部材は、波形形状または円錐台形状を有するものであってよい。
【0009】
本発明のさらなる実施形態では、サックバック機構は、1つの弾性部材であってもよいし、複数の弾性部材であってもよい。1つの特定の実施形態では、サックバック機構に2つの弾性部材が含まれている。
【0010】
本発明の別の実施形態では、ポンプ復元手段は、圧縮性部材であり得る。ポンプ復元手段として動作し得る圧縮性部材の一例は、バネである。
【0011】
本発明の別の実施形態では、サックバック機構は、第1開口部と、第2開口部と、第1開口部と第2開口部の間に形成された主流体経路とを有する本体を含む。この主経路は、第1開口部と第2開口部を互いに接続している。第1端部及び第2端部を有する少なくとも1つの副経路も形成され、ここで、弾性部材は、副経路の第2端部に配置されており、副経路の第1端部は、主流体経路沿いに設けられている。
【0012】
本発明のさらなる実施形態では、ポンプはハウジングをさらに有し、ハウジングは、内壁を含む流体チャンバと、流体チャンバ内に配置され、該流体チャンバ内で伸縮可動できるピストンとを有する。ピストンは、流体チャンバの内壁とともにシールを形成する。ポンプは、ポンプの入口かまたはその付近に位置する入口弁と、ポンプの出口かまたはその付近に位置する出口弁とをさらに有する。本発明のさらに別の実施形態では、ハウジングは、内壁を有する第2チャンバをさらに形成する。ピストンは、第2チャンバ内で伸縮可動でき、第2チャンバの内壁とともにシールを形成する。この第2チャンバは、第2入口及び第2出口を有し、第2出口は、ポンプの出口かまたはその付近に配置され、第2入口は、リザーバ内の流体と接触しないポンプの側にあるようにポンプ内に配置されている。本発明の1つの特定の実施形態では、第2入口は、大気空気をポンプの第2チャンバに流入させるが第2チャンバ内の大気空気を第2入口から逃がさないようにするように適合されている空気吸入口である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のディスペンサを提供することによって、上記したサックバック機構を備えたディスペンサの欠点を最小にするかまたはなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】サックバック機構を有する流体を定量吐出するためのディスペンサの斜視図を示す。
【図2】ディスペンサにおいて使用可能なポンプ及びサックバック機構の切断図である。
【図3】カバーを取り除いたディスペンサの上部部分の斜視図を示す。
【図4】カバー及びポンプアクチュエータを取り除いたディスペンサの上部部分の斜視図を示す。
【図5】本発明において使用可能なサックバック機構の分解図を示す。
【図5A】本発明において使用可能なサックバック機構の分解図を示す。
【図6】カバーを取り除いた、1つの弾性部材を有するディスペンサの上部部分の斜視図を示す。
【図7】波形形状の弾性部材の平面図を示す。
【図8】円錐台形状の弾性部材の平面図を示す。
【図9】カウンターに嵌め込む構成の本発明のディスペンサを示す。
【図10】モータ及び電源を備えた本発明のディスペンサを示す。
【図11A】本発明において使用可能なモータ動力伝達システムの正面図を示す。
【図11B】本発明の或る実施形態のアクチュエータ駆動ホイール及びアクチュエータ案内部材の側面図を示す。
【図11C】本発明の或る実施形態のアクチュエータ案内部材の背面側面図を示す。
【図11D】本発明において使用可能なモータ動力伝達システム実施形態の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
【0016】
本明細書において用いられるとき、「含む」、「含んでいる」なる語及び語根「含む」からの他の派生語は、任意の定められた機能、要素、整数、ステップ、または構成部品の存在を規定する非限定的な用語であるものとし、1若しくは複数の他の機能、要素、整数、ステップ、構成部品、またはそれらの群の存在または追加を排除する意図はないことに留意されたい。
【0017】
本明細書において、「流体」なる語は、室温及び室圧かまたはその付近で流動性を有する多数の物質を意味するものとする。この語は、気体、液体及びそれらの混合物、並びに固体または粒子を含む物質を意味するものとする。「流体前駆物質」なる語は、ディスペンサから放出されるときに流体を形成する物質を意味するものとする。例えば、液体は、ディスペンサから定量吐出される泡前駆物質であり得る。
【0018】
本明細書において、「充填段階」なる語は、流体がリザーバから吸い込まれている(ポンプが泡ポンプであるときには、空気がポンプの空気チャンバ内に吸い込まれている)ポンプの局面を意味するものとする。
【0019】
本明細書において、「吐出段階」なる語は、流体がポンプの出口を通ってポンプから放出されている(ポンプが泡ポンプであるときには、空気がポンプの空気チャンバから押し出されている)ポンプの局面を意味するものとする。
【0020】
本明細書において、「待機段階」すなわち「静止段階」なる語は、ポンプが流体を充填も吐出もしていないポンプの局面を意味するものとする。
【0021】
発明の詳細な説明
【0022】
以下の本発明の詳細な説明において、添付の図面を参照する。添付の図面は、本発明の一部をなし、例として、本発明を実施することができる具体的な実施形態を示している。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することができるように十分詳細に記載されており、当然のことながら、他の実施形態を用いることもできるし、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、機械的変更、手順の変更、または他の変更を行うこともできる。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそのような特許請求の範囲を適用されるに足る等価なものの全ての範囲のみによって画定される。
【0023】
図1、図2及び図3を参照すると、流体を定量吐出するためのディスペンサ10が本発明によって提供されている。一般的に、ディスペンサ10は、リザーバ12と、ポンプ14(図2に図示)と、サックバック機構16と、ディスペンシング端部18とを有する。リザーバ12は流体22(図2に図示)を保持することができ、流体22はディスペンサ10から定量吐出されることになる。ポンプ14がリザーバ12からポンプ内へ流体を吸い込むことができるように、ポンプ14はリザーバ12と連通している。
【0024】
図1及び図3を参照すると、一実施形態では、リザーバ12は、主容器121及び上部部分122を含む。図1は、上部部分122が上に載っている主容器121を示しており、図3は、リザーバの内部の仕組みが見えるように上部部分を取り除いた主容器121を示している。主容器121は、ディスペンサ10から定量吐出されることになる流体または流体前駆物質を保持及び収容する働きをし、図1及び図3には示されていないが、一般的には開口部を有する。主容器はまた、開口部付近にネック部124を有し、主容器のネック部124は、主容器121に開口部を形成する。一般的に、上部部分122は、主容器121のネック部124において主容器121に装着可能である。上部部分122が主容器121に取り外し可能に締着されるような方法で、または上部部分122が主容器122に取り外し不能に締着されるような方法で、上部部分122を主容器121に締着することができる。例えば、超音波溶接、接着手段、または上部部分122を主容器121に取り外し不能に装着することを達成する他の適切な手段を用いて、上部部分122を主容器121にシールすることができる。上部部分122が主容器121から取り外し可能であることが望ましい場合には、ねじ山(図示せず)を上部部分122上に、図3に示されているような相補的なねじ山128を主容器121上にそれぞれ設けるなど、既知の方法を用いて、上部部分122を主容器121と結合させることができる。他の同様な方法を用いて、上部部分122を主容器121に取り外し可能に締着することもできる。
【0025】
図2に示されているように、主容器121内にはポンプ14が含まれている。図2に示されているように、ポンプは、主容器121の開口部123内に配置されており、一般的には、主容器のネック部124に配置されている。ポンプ14を、リザーバ12の上部部分122に配置することも、主容器121の底部に配置することも可能である。本発明の説明にあたり、ポンプに関しては、通常、主容器121のネック部124に配置されているものとして説明する。一般的に言えば、ポンプ14は、入口141と、出口142と、復元手段143とを有する。ほとんどのポンプと同様に、ポンプ14は、待機段階と、吐出段階と、充填段階とを有する。図2に示す待機段階では、ポンプ14の機能は停止しており、流体を能動的に充填することも吐出することもしてない。ポンプの吐出段階は、1ショット分の量の流体がポンプの出口142を通ってポンプ14から放出される段階である。ポンプ14の充填段階では、1ショット分の量の流体22がリザーバ12から入口141を通ってポンプ14内に吸い込まれる。復元手段143により、ポンプ14は、吐出段階の終わりから待機段階に戻ることができる。ポンプ14が吐出段階の終わりから待機段階に戻っているとき、ポンプ14は充填段階にある。本発明において使用可能なポンプ14のさらなる詳細については後述する。
【0026】
サックバック機構16は、ポンプ14とは別体をなす要素である。概説するならば、本発明において使用可能なサックバック機構16が、図5及び図5Aの分解図に示されている。サックバック機構16は、流体を貯留することができる少なくとも1つの弾性部材161と、第1開口部162と、第2開口部163とを有する(図3、図4、図5及び図5Aに図示)。弾性部材161は、サックバック機構16の第1開口部162と第2開口部163の間に配置されている。ディスペンサ10のディスペンシング端部18は、流体をディスペンサ10から定量吐出させることができ、ディスペンシング端部18は、サックバック機構16の第2開口部163に接続されている。ポンプ14の吐出段階の終わりに、ディスペンシング端部18とサックバック機構16の第2開口部163との間に未吐出流体が残留し、未吐出流体の一部は、弾性部材161内に吸い込まれ、そのことが、ディスペンシング端部18からの未吐出流体の一部の滴下を防止し、かつ、未吐出流体と使用者に吐出された流体との間での糸引きの防止に役立つ。
【0027】
サックバック機構16は、ポンプ14とは別々に動作するものであってもよいし、あるいはポンプ14と連動するものであってもよい。ポンプとは別々に動作するときには、サックバック機構はポンプの復元手段143に依存しない。ポンプと連動するときには、ポンプの復元手段143はポンプの充填段階中に弾性部材の復元を補助する。サックバック機構16の第1開口部162は、ポンプ14の出口142に接続されている。
【0028】
図2に示されているように、ディスペンサ10にはポンプ取付要素20を設けることができる。ポンプ取付要素20は、図3及び図4にも示されている。このポンプ取付要素20を用いて、ポンプ14及びサックバック機構16をディスペンサ内に保持しかつ/または締着することができる。ポンプ取付要素20は、図2、図3及び図4に示されている主容器121の開口部123に収まり、開口部内に取り外し不能に取り付けられるかまたは開口部内に取り外し可能に取り付けられることができる。あるいは、ポンプ取付要素20を、ディスペンサの上部部分122と関連付けることができる。すなわち、ポンプ取付要素20を、リザーバの上部部分122に取り外し可能に接続することができる。別の代替構成では、ポンプ取付要素20が上部部分122の底面を形成するように、ポンプ取付要素20をディスペンサの上部部分122と取り外し不能に接続することができる。あるいは、ポンプ装置12を主容器121内に収納することもできる。
【0029】
図2に示されているように、ポンプ装置14は、上記したようにリザーバ12のネック部124にあり、リザーバ12の主容器121から流体または流体前駆物質22を吸い込みかつ流体をディスペンサ10のディスペンシング端部18から外に出す働きをする。製造効率を高めるために、有利には、広く出回っている「標準在庫」構成部品からポンプ装置16を作ることができる。具体的には、ポンプ装置16は、ボトル入りローション、シャンプー、石けんなどとともに広く用いられているタイプのよく使われているローションポンプであることが好ましい。適切なポンプは、例えばレクサム・エアスプレー社(Rexam Airspray, Inc.。オフィス所在地は 3768 Park Central Blvd, North, Pompano Beach, Florida, USA)及びリーケ社(Rieke Corporation。オフィス所在地は 500 W. 7th Street, Auburn Indiana, USA)を含む様々なポンプ製造業者から購入できる。適切な市販のポンプは、レクサム・エアスプレー社から市販されているF2泡ポンプである。他にも多くのモデルの泡ポンプ、ローションポンプも市販されており、ショットサイズなどの変数に応じて利用することができる。後述するように、ディスペンサ10において使用するために市販のポンプ装置を、用途またはディスペンサ10から定量吐出される流体に応じて、幾通りかの方法で改変することができる。
【0030】
本発明において用いられ得る例示的なポンプについてさらに理解するために、再び図2に目を向ける。図のように、ポンプ装置16は泡ポンプであり、外側管状ピストン62と、ポンプシリンダ66の内側に位置する内側管状ピストン64とを含む。図のように、ポンプシリンダ66は、幅広部分66W及び幅狭部分66Nを有する。外側管状ピストン62、ポンプシリンダ66の幅広部分66W及び内側ピストン64の外面は、空気チャンバである第1チャンバ68を形成する。内側ピストン64及びポンプシリンダ66の幅狭部分66Nは、流体チャンバである第2チャンバ69を形成する。ポンプ装置16はキャップ要素70をさらに含み、キャップ要素70は、ポンプシリンダ66に対して軸方向に固定された関係で維持されている。キャップ要素70は、リザーバ12内のポンプ装置16を、より具体的には図のようにポンプ取付要素20に取り付けるために有利に用いられ、ポンプ取付要素20は、主容器121内またはリザーバの上部部分122のいずれかに含まれる。例えば、図の実施形態では、ポンプ取付要素20は、ねじ部76を有する円盤形部材として構成されている。ねじ部76の外部のねじ山は、図2に示されているようなキャップ要素70の内部のねじ山と係合する。他の適切な手段を用いて、リザーバ12内にポンプアセンブリ16を保持することもできる。
【0031】
係合要素24が、ポンプのピストンアセンブリ61と連通している。一般的に、係合要素はピストン61に物理的に接続されることになる。図の実施形態では、係合要素24は、円筒形部分79及び円盤形フランジ80を有するように構成されている。ポンプ14のピストン61に接続されるのは、一般的には円筒形部分79である。一般的に、係合要素24は概ねリザーバの中心軸線付近に位置しており、そのことで後述する利点が得られる。係合要素24の往復運動は、ポンプシリンダ66内でピストンアセンブリ61を動かすことになる。ピストンアセンブリ61は通常、ポンプ復元手段143の力により、図2に示されているように、上昇位置(静止位置)へ付勢される。ポンプ復元手段は、圧縮性部材であってよく、あるいは、電子的構成では、モータを用いてポンプを復元させることができる。適切なポンプ復元手段には、図2に示されているようならせんバネが含まれる。
【0032】
上記したように、図2に示されているポンプアセンブリ14は、泡ポンプである。図の泡ポンプは、主容器121からの液体22をポンプ構造内の空気と混合する。外側ピストン62には空気吸入開口部72が含まれ、空気吸入開口部72により、空気は外側ピストン62を通過して空気チャンバ68に入ることができる。さらに、外側ピストン62には排気通路73が設けられ、排気通路73により、空気チャンバ68内にある空気は空気チャンバ68から抜け出ることができる。空気チャンバ内の空気が空気吸入開口部72から抜け出さないようにするために、空気吸入開口部72の近くに逆止弁74が配置されている。逆止弁74は、ポンプ14の充填段階では開いており、吐出段階では閉じている。この逆止弁74は、空気及び/または流体が充填段階で空気チャンバ68に入り、ポンプの充填段階で排気通路73から抜け出ることも防止する。この逆止弁の動作については特許文献1に詳細に記載されており、特許文献1は引用を以て本明細書の一部となす。
【0033】
ポンプ装置16には、確実に液体がポンプを通過して適切に流れるようにするために、追加の逆止弁84、85及び86がさらに設けられている。逆止弁86は、ポンプシリンダ66の底部付近にあり、内側ピストン64が上昇方向(充填段階)に動くときに、液体22をポンプの入口141から下側液体チャンバ69内に吸い込むことができる。内側ピストン64が下降方向(吐出段階)に動くときには、逆止弁85は、液体22を下側液体チャンバ69から上側液体チャンバ90内へ流入させることができる。さらに、逆止弁84は、流体を上側ポンプチャンバ90から流出させ、混合チャンバ92内に流入させることができる。逆止弁84及び85は、同時に開きかつ同時に閉じる。混合チャンバ92内では、空気チャンバ68からの空気が上側液体チャンバ90からの液体22と混合される。空気と液体の混合により泡流体が生じ、泡流体は多孔質部材93を通って押し出される。泡流体の泡を均一にするために、多孔質部材93は、多孔質ネットまたは篩のような構造をとっている。泡流体は、その後、ポンプ14の出口142を通って押し出される。
【0034】
様々な異なる逆止弁構成が考えられるが、図の実施形態では、一般的なボール弁及びシート弁が用いられている。本発明の範囲から逸脱することなく、これらの要素の他の構成を用いることもできる。ポンプ装置において他の構造及び機能要素、例えば封止部材及びガスケットを用いて、ポンプの泡漏れを防止したりポンプの機能を向上させたりすることができる。さらに、上記したポンプアセンブリ14は泡ポンプであるが、本発明において非泡ポンプを用いることもできることに留意されたい。非泡ポンプは、上記した泡ポンプと大体同じように動作するが、上記した外側ピストン、空気チャンバ、空気吸入口及び混合チャンバはない。液体は、泡ポンプと同じようにポンプを通過するが、ポンプ出口142から流出する前に空気と混合されない。
【0035】
図2、図3及び図4を参照すると、ポンプ14の出口142から流出した流体は、サックバック機構16に運ばれる。一般的に、ポンプ14の出口142は通常、ピストンアセンブリ61とともに動く。この動きに対抗するために、ポンプ14の出口142は、軟質チューブ96でサックバック機構16の第1開口部162に結合されている。軟質チューブ96は、ポンプの出口142に装着される第1端部97と、サックバック機構16の第1開口部162に装着される第2端部98とを有する。ポンプ14の出口142とサックバック機構16とを軟質チューブで接続することによって、サックバック機構16をポンプ取付部材20に動かないように取り付けることができ、そのことが、使用中のサックバック機構16の動作を向上させることになる。図2に示されているように、サックバック機構16は、取付台179上に取り付けられている。
【0036】
図5及び図5Aに目を向けると、それぞれの図は、サックバック機構に用いることができる構成を示している。上記したように、サックバック機構16には第1開口部162が設けられ、第1開口部162は、ポンプ14からサックバック機構16内へポンピングされる流体のための入口として機能する。サックバック機構16は第2開口部163も有しており、第2開口部163は、ポンプ14が吐出段階にあるときに、サックバック機構16からの流体のための出口として機能する。第2開口部163は、ポンプ14が充填段階にあるときに、サックバック機構16とディスペンサのディスペンシング端部18との間にある未吐出流体の一部のための入口としても機能する。サックバック機構16はまた、少なくとも1つの弾性部材161を有しており、サックバック機構16の第2開口部162とディスペンシング端部18との間に残留している未吐出流体の一部を、弾性部材161内に吸い込むことができる。弾性部材の機能は、ポンプ14の復元手段143と無関係であってもよいし、あるいは、ポンプ14の復元手段143に支援されるものあってもよい。
【0037】
一般的に、サックバック機構には1若しくは複数の弾性部材161がある。弾性部材161は、弾性部材の圧縮並びに実質的に同じサイズ及び形状への回復を可能にする材料から作製され、形作られる。弾性部材161の例示的な形状を図7及び図8に示す。図7は波形蛇腹形状を示し、図8は円錐台形状を有する弾性部材を示している。弾性部材は、例えば、天然ゴム、シリコーンゴム、または本質的に弾性的である任意の他の材料を含むエラストマー材料から作製される。あるいは、圧縮状態から回復することができる材料である限り、他の弾性材料を用いてもよい。弾性部材の実サイズは、弾性部材が流体を効果的に吸入できるようにするために必要とされる理想的な吸引力を生み出しかつ/またはサックバック機構内に流体を効果的に吸い込めるようにするために所望のレベルの真空を発生するように、当業者が選択することができる。一般的に、流体の粘性が高ければ、必要とされる弾性部材の中空部分の体積が大きくなる。
【0038】
図5に示す一実施形態では、複数の弾性部材161がサックバック機構16に用いられている。具体的には、2つの弾性部材161が示されている。図のように、サックバック機構16は、下側部材164及び上側部材165を有し、上側部材165は下側部材164に結合される。上側部材165及び下側部材164は、互いに結合されたときに気密シールを形成するのがよい。上側部材165及び下側部材164の組合せが気密であることを確実にするために、追加の封止部材またはシーリング材を用いてもよい。そのような封止部材及びシーリング部材については、当業者であればすぐに分かるであろう。上側部材164は座部168を有しており、座部168は弾性部材161とともにシールを形成するように適合されている。弾性部材161は、リテーナ166、またはサックバック機構において気密シールを維持するための任意の他の適切な手段を用いて、座部168上の定位置に保持されることができる。一般的に、使用中に弾性部材を定位置にしっかりと保持するために、リテーナ166が上側部材165上の所定の位置に嵌め込まれることになる。この場合もやはり、弾性部材161は、上側部材165とともに気密シールを形成するのがよい。サックバック機構16が気密シールを有しない場合、サックバック機構16は適切な方法で動作しないことがある。
【0039】
気密シールの形成に加えて、本発明の一実施形態では、上側部材164及び下側部材165は、互いに結合されたときに流路または通路174を形成するのがよい。この流路または通路174は、主流体通路175を、サックバック機構16を介して弾性部材161及び弾性部材161の中空部分173に接続し、それによって、サックバック機構が、未吐出流体の一部を弾性部材161の中空部分173内に吸い込むことを可能にする。この流路または通路174は、未吐出流体の一部を、弾性部材161の中空部分173内に吸い込み、中空部分173から流出させて主流体通路175内に戻すこともできる。
【0040】
代替構成では、1つの弾性部材161がサックバック機構16に用いられることもある。1つの弾性部材161を用いるとき、図5に示されている構造を用いて弾性部材161を形成することができるが、このとき、2つの弾性部材の一方が取り除かれ、リテーナ166がキャップ(図示せず)を保持するかまたは座部168とともにシールを形成する。あるいは、1つの弾性部材161を用いるとき、サックバック機構16に関して、図5Aに示されている構造と類似の構造を用いてもよい。図5Aに示されているように、サックバック機構16は、入口162及び出口163を有する。入口162と出口163の間に通路171が形成されており、通路には、流体を通路から弾性部材161内へ流入させることができる複数のベント170が設けられている。サックバック機構の適切な動作を確実にするために、弾性部材161は、通路171とともにシールを形成するのがよい。他の同様な構造が、未吐出流体をポンプとディスペンサのディスペンシング端部との間にとどめることができるならば、そのような構造を本発明においてサックバック機構として用いることもできる。図6がリザーバ12上に図5Aのサックバック機構が用いられていることを示している点を除いて、図5は、本明細書で説明した図3と類似している。
【0041】
一般的に、適切な取付手段を用いてサックバック機構16をポンプ取付要素20内に保持することができる。例えば、サックバック機構16には、サックバック機構の上側部材165上に取付構造167が設けられることになる。取付構造は、ポンプ取付構造20上に存在する取付台179上にサックバック機構16を取り付けることができるような穴または突起部であり得る。サックバック機構16は、接着手段を用いて取付台179に接着することができるか、あるいは、ねじなどの機械的取付手段を用いて取付台179に機械的に装着することができる。サックバック機構16がポンプ取付要素20内で動かない限り、任意の他の機械的取付手段を用いることもできる。
【0042】
図2に示されているように、弾性部材161は、開口部172を有する概ね中空構造であり、開口部172に近い部分が座部168またはその付近に配置されることになる。中空構造の中空部分173のおかげで、弾性部材161は流体を貯留することができる。さらに、弾性部材の中空構造は変形可能であり、つぶれることによって、貯留部内の流体を貯留部の外に出す。弾性部材161が元の形状及びサイズに戻ると、中空部分173によって真空が発生し、真空により弾性部材内に流体が再充填される。
【0043】
流体は、第2開口部163においてサックバック機構16から流出し、ディスペンサのディスペンシング端部18を通ってディスペンサ10から流出する。ディスペンシング端部18は、チューブ19の遠位端19Dに設けることができ、チューブ19は、チューブ19の近位端19Pにおいてサックバック機構16の第2開口部163に接続されている。このことは、図1及び図2に示されている。代替実施形態では、ディスペンシング端部18はノズル形態(図示せず)であり得る。一般的に、チューブ19が存在するとき、チューブ19は可撓性材料から作製される。
【0044】
本発明のディスペンサ10内に存在し得る追加要素には、アクチュエータ26及びアクチュエータロッド30が含まれる。アクチュエータ26は、図2に示されているように、ポンプ14の外側ピストン62に機能的に接続されている。アクチュエータは、ポンプ14を作動させ、ポンプを図2に示されている静止段階から吐出段階へ移動させて、液体をリザーバ12からポンプ14及びサックバック機構16を経てディスペンサ10のディスペンシング端部18の外へと移動させる働きをする。図2に示されているように、アクチュエータ26は、上側構造27及び下側構造28を有する。上側構造27は、接続側面構造29により下側構造28に結合されている。一般的に、1つのアクチュエータ26に2つ以上の側面構造29があるので、アクチュエータの上側構造27及び下側構造28は、単一ユニットとして一体となって動作する。本発明において使用可能なアクチュエータの構造は、図3及び図6においても見ることができる。存在し得るさらなる1つの要素は注入ポート23であり、注入ポート23により、リザーバ12に流体を注ぐことができる。
【0045】
図2、図3及び図6に示されているように、上側アクチュエータ構造27の下面31を弾性部材161と接触させることができる。アクチュエータ26を弾性部材161と接触させることによって、アクチュエータが、図2、図3及び図6に示されている静止位置から、図2に示されている下降位置まで動かされると、アクチュエータの上側構造の下面31が、弾性部材161を圧縮し、それによって、中空部分に存在する流体を弾性部材161から流路175内へ押し込み、その後ディスペンサのディスペンシング端部18から外に出す。アクチュエータの上側構造27の下面31は、単に弾性部材161と接触するだけであることもあるし、あるいは弾性部材に物理的に結合されていることもある。下面31を弾性部材161に結合させる適切な方法には、例えば、接着手段、機械的手段または接着手段及び機械的手段の組合せが含まれる。弾性部材161を下面31に結合させることは、ポンプ復元手段143を用いて弾性部材161が開始時の形状及びサイズに戻るのを助け、それにより、真空を発生し、ディスペンシング端部18からサックバック機構16に向かって流体を引き戻すことができるという利点を有する。しかしながら、弾性部材131をアクチュエータ上側構造27の下面31に接続させる必要はない。
【0046】
ディスペンサ10から流体を定量吐出するようにアクチュエータ26を作動させるために、アクチュエータロッド30は、図2に示されているように、アクチュエータの上面32に接触している。あるいは、アクチュエータロッドは、アクチュエータ26の上面32に接続されいてもよい。アクチュエータロッド30は、図1及び図3に示されているようなリザーバアセンブリ12の上部部分122に位置するアクチュエータ開口部130を通過することによって、アクチュエータ26の上面32に接触することができる。アクチュエータ開口部130は、概して、上部部分122の中心線の周囲に配置される。本発明の一実施形態では、ディスペンシング端部18をサックバック機構16の第2開口部163に接続するチューブ19が、図1に示されているように、アクチュエータ開口部130の中心に配置されることになる。アクチュエータロッド30がアクチュエータ26の上面32と接触することができるように、アクチュエータ開口部130は1つの開口部であってよい。
【0047】
アクチュエータロッド30がアクチュエータ26を押し下げると、アクチュエータ26は弾性部材161を押し下げ、ポンプの外側管状ピストン62及び内側管状ピストン64を押し下げて、ポンプ14を静止段階から吐出段階へ移行させる。弾性部材161を押し下げることにより、中空部分173内の流体は、弾性部材161から主流体通路175内へ、そしてディスペンサのディスペンシング端部18に向かって放出される。加えて、ポンプ14からの流体がポンプの出口142を通って軟質チューブ96内へ放出され、軟質チューブ96によってサックバック機構16に運ばれる。この流体は、サックバック機構16の主通路175に入り、弾性部材161から放出される流体と一緒になる。この流体も、ディスペンサ10のディスペンシング端部18から放出される。アクチュエータ26による弾性部材161及びポンプのピストンの押し下げが終わると、ポンプ復元手段143がポンプを吐出段階から充填段階へ移行させる。ポンプ14の充填段階中に、アクチュエータ26は、図2に示されている静止位置に戻り、それにより今度は弾性部材161が圧縮状態から元の形状に戻る。弾性部材161が元の形状に戻るとき、真空を発生し、サックバック機構16とディスペンシング端部18との間に残留している未吐出流体の一部を弾性部材161内へ引き戻す。この真空発生及び弾性部材161内への未吐出流体の一部の吸い込みが、ディスペンサのディスペンシング端部18からの糸引き及び液ダレを防止する。
【0048】
本発明のディスペンサ10を、図9に示すようなアンダーカウンター式ディスペンサとして用いることもできる。アンダーカウンター式ディスペンサとして用いるとき、アクチュエータとは反対側にあるアクチュエータロッド30の端部を作動ボタン222と機能的に接続させるかまたは接触させることによって、使用者がアクチュエータロッド30を手で作動させることができる。使用者が作動ボタン222を押し下げると、アクチュエータロッドがアクチュエータ26を押し下げ、それが今度はポンプ14及びサックバック機構16を作動させることは上記した通りである。一般的に、アクチュエータボタン222はディスペンシングヘッド220上にある。ディスペンシングヘッド220は、搬送噴出口221も有している。ディスペンシングヘッド220をカウンター(図示せず)に保持しているのは固定機構228であり、固定機構228は、カウンターの下に延出している概ね中空の長寸チューブ226の一部と結び付いている。長寸チューブ226の中空部分内に、アクチュエータロッド30がある。ディスペンシングヘッド220とは反対側にある長寸チューブ226の端部には、接続部材230がある。ディスペンサは、ディスペンサ10上に相補的な接続部材40を有し、相補的な接続部材40は、ディスペンサをディスペンシングヘッド220及び/または長寸チューブに接続する働きをする。この構成では、ディスペンシング端部が搬送噴出口の端部221’かまたはその近くにあるように、チューブ19は、接続部材230を通過し、長寸チューブ228を通過して、搬送噴出口221内へ挿入される。図9に示されている構成では、ディスペンサは、使用者によって手動で操作される。
【0049】
本発明の代替実施形態では、ポンプ14及びサックバック機構16は電子作動式である。電子式粘性液体ディスペンシングシステムの例を図10に示す。電子作動式ポンプは、多くの異なる方法で動作し得る。1つの方法は、使用者にディスペンシングヘッド上またはその近くにある作動ボタン222を押させること、あるいは、噴出口20の下に使用者の手があればそれを検出するようなセンサ223を設けることである。ポンプの電子的作動手段として用いられるとき、作動ボタンは、押しボタン、センサ、またはポンプを電子的に作動させるための当業者に既知の任意の他の手段であってよい。
【0050】
図10に示されているように、電子式粘性液体ディスペンシングシステムは、ディスペンシングヘッド220と、長寸チューブ226と、モータハウジング202と、電源函ハウジング204と、接続部材230と、リザーバアセンブリ12とを有する。モータハウジング202が長寸チューブ226と接続部材230の間に配置されていることを除いて、本質的に、構成部品は上記したものと類似かまたは同じである。さらに、電源函ハウジング204には、モータに電気的に接続されている電源が含まれている。ディスペンシングヘッド220は、アクチュエータボタン222を有し、かつ/またはアクチュエータロッド30及びアクチュエータによってポンプ14に係合するモータを作動させるために用いられるセンサ223を有する。アクチュエータボタン222及び/またはセンサ223は、モータに電気的に接続されている。一般的に、アクチュエータボタン222及び/またはセンサ223は、制御回路を有する制御パネル(図示せず)に電気的に接続されている。制御回路は、噴出口224の下付近の使用者の手を検出したり、アクチュエータボタン222への使用者の入力を検出したりするために用いられる。それに加えて、制御回路は、使用者に1回分の粘性液体を与えるように、所与の期間にわたってモータを作動させるために用いられる。センサ及びボタン用の制御回路は、当業者に既知であり、例えば特許文献2に示されている。特許文献2は引用を以て本明細書の一部となす。
【0051】
電子式粘性液体ディスペンシングシステムでは、接続部材230をモータハウジング202及び電源ハウジング204に接続することができる。あるいは、モータハウジング202が接続部材230と一体になっていてもよく、このことはモータハウジング202と接続部材230とが単一ユニットであることを意味している。一般的に、電源204は、必要なときに電源の交換ができるように、モータハウジングから分離することができる。すなわち、電源は、モータハウジングから接続解除可能かつ再接続可能である。確実に電源204からモータハウジングに動力が伝達可能であるように、モータハウジング及び電源の両者に、互いに相補的な位置にある電気的接点を用いることができる。このことは、電源がモータハウジングに取り付けられたときに、電気的接続がなされることを意味している。
【0052】
モータハウジング202の可能な構成についてさらに理解するために、ここで、図11A、図11B、図11C及び図11Dに注目する。モータハウジング202は、モータ210と、モータ210と係合されているギア211、212と、アクチュエータロッド30を駆動する追加ギア213とを収納している。モータ駆動式アクチュエータロッド30は、モータハウジング202内に収納され、モータハウジング202から、接続部材230の下面にある開口部を通って延出している。任意の方法を用いて、モータ駆動式アクチュエータロッド30を駆動することができる。電子式粘性液体ディスペンシングシステムの典型的な動作では、モータ駆動式アクチュエータロッド30がアクチュエータ26に接触し、アクチュエータを下向きに押してポンプ14を1回または複数回作動させて、ディスペンシングヘッド220の噴出口224から1回分の粘性液体を放出する。
【0053】
種々の方法を用いて、作動されたモータからモータ駆動式アクチュエータロッド30へ動力を伝達することができる。例えば、モータは、一連のホイール、ギア、またはその他の、アクチュエータ26まで延在しかつアクチュエータ26に接触しているアクチュエータロッド30へのエネルギー伝達手段を駆動することができる。本発明の一実施形態では、駆動ホイール213は、アクチュエータロッド30を駆動するために用いることができる例示的な手段であるが、図11A及び図11Bに示されているように、周縁部215付近においてギア本体の一領域から延出している棒状体またはシャフト214を有する。モータ210がモータ駆動ホイール211を回転させると、モータ駆動ホイール211は今度は1若しくは複数のホイール212を回転させる。図11Aには、1つのホイール212しか示されていないが、アクチュエータ駆動ホイール213の回転速度を低下させるために、複数のホイールを有することが望ましいであろう。そうすれば、ポンプは、制御された方法で作動させられる。アクチュエータ駆動ホイール213の適切な速度が達成されるように駆動ホイールの比を選択することは、当業者の範囲内である。本明細書において、「ホイール」なる語には、ホイールそれ自体と、他のホイール様機構、例えばギアなどを含む任意のホイール様機構とを含めるものとすることに留意されたい。一般的にはギアが望ましく、その理由は、ギアは使用中に滑りにくいからである。
【0054】
図11Bに示されているように、アクチュエータ駆動ホイール213は、アクチュエータ駆動ホイール213の非中心部から延出するシャフト214を有し、それにより、アクチュエータ駆動ホイール213の回転するとシャフトが方向325に上下する。このシャフト214は、アクチュエータ案内部材320にある水平チャンネル322に収まっている。水平チャンネル322は、概ね水平軸線2の方向に延在する。水平チャンネル322は、アクチュエータ案内部材320の両側面のうちの片面から延出している2つの水平突起部321及び321’によって形成されている。アクチュエータ駆動ホイールが回転すると、シャフト214は、円軌道を描いて移動し、図11Bに示されている垂直軸線1上の垂直方向の動き325と、図11Cに示されている水平軸線2上の水平方向の動き226をなす。シャフト214の垂直方向の動き325は、アクチュエータ案内部材220を垂直軸線1の方向に上下に動し、それが今度はモータ駆動のアクチュエータロッド30を同様に垂直軸線方向に上下に動かす。アクチュエータ案内部材220上にあるチャンネル322の下には、アクチュエータロッド30がある。アクチュエータ案内部材320は、アクチュエータ案内部材が垂直軸線方向に上下に動き、左右または前後には動かないように、適所に保持されている。例えばアクチュエータ案内部材320の横方向側部が水平軸線方向に適所に保持されるように複数の垂直案内溝323を設けることによって、アクチュエータ案内部材320を適所に保持することができる。これらの垂直案内溝323は、図11B、図11C及び図11Dに示されているようにモータハウジング202内に設けることができる。
【0055】
上記したように、シャフト214は、水平軸線2の方向に水平の動き326もなす。この水平の動きは、本質的に望ましくないものである。水平の動きをそぐために、シャフトは、アクチュエータ案内部材のチャンネル322に沿って水平軸線2の方向に水平に動くことができる。従って、チャンネル322は、シャフト214の本質的に望ましくない水平の動き326を制御する。
【0056】
電動粘性液体ディスペンシングシステムは、さらなる機能を有していてもよい。例えば、ディスペンシングヘッド220は、様々なイベント、例えば、使用者認識、バッテリー不足、空のソープリザーバ、または他の状態、例えばモータの故障などを伝えるために、インジケーターライトを有することができる。そのようなライトの例には、LED(発光ダイオード)などの低電力消費のライトが含まれる。
【0057】
本発明の電子式粘性液体ディスペンシングシステムのための電源には、使い捨てDC電池(図示せず)を含むことができる。あるいは、電源は、電源全体を単一ユニットとして交換する必要がある密閉装置であってよい。図示されてはいないが、AC−DCアダプタを利用して、粘性液体ディスペンサへの代替電源を提供してもよい。この実施形態は、粘性液体ディスペンサがACコンセントに極めて接近して取り付けられる場合や、適切な構成及び電力の、中央に位置している変圧器から複数のディスペンサに電力を供給することが望ましいときに、特に有用であり得る。モータに電力を供給するために使用する電池の数は、ディスペンサのために選択されるモータによって決まる。本発明において使用可能な使い捨て電池には、9ボルト電池、1.5ボルト電池(単1電池や単2電池)、または他の同様な電池が含まれる。モータに供給される電力がモータに適合している限り、モータ用に選択される電池の正確な種類は本発明にとって重要ではない。使用頻度が少ない状況下で粘性液体ディスペンサを用いる用途には、充電式電池を用いることができる。ディスペンサを明るい場所で用いるのであれば、電池は再充電可能な太陽電池であってよい。
【0058】
本発明について様々な実施形態を参照して説明してきたが、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形式・詳細ともに変更を加えることができることが分かるであろう。従って、前述の詳細な説明は、限定的なものではなく例証的なものとして扱われるものとし、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらと等価な全てのものによって画定されるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を定量吐出するためのディスペンサであって、
流体を保持するためのリザーバと、
前記リザーバに連通し、入口、出口及び復元手段を含み、かつ、待機段階、1ショット分の量の前記流体が前記出口を通って放出される吐出段階及び、1ショット分の量の前記流体が前記リザーバから前記入口を通って吸い込まれる充填段階を有し、前記復元手段により前記吐出段階から前記充填段階を経て前記待機段階へ戻されるポンプと、
前記ポンプの前記出口に接続されている第1開口部、第2開口部及び、前記第1開口部と前記第2開口部の間に配置されかつ流体を貯留することができる弾性部材を含み、前記ポンプとは別体をなすサックバック機構と、
前記サックバック機構の前記第2開口部と連結されており、前記ディスペンサから前記流体を定量吐出するディスペンシング端部とを含み、
それによって、前記ポンプの前記吐出段階の終わりに、前記ディスペンシング端部と前記サックバック機構の前記第2開口部との間に未吐出流体が残留し、かつ該未吐出流体の一部が前記弾性部材内へ吸い込まれるようにしたことを特徴とするディスペンサ。
【請求項2】
前記ポンプの前記復元手段が、圧縮性部材であることを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記圧縮性部材が、バネを含むことを特徴とする請求項2に記載のディスペンサ。
【請求項4】
前記ポンプの吐出段階で、前記弾性部材に加えられる外力が前記弾性部材を圧縮して該弾性部材内に貯留されている前記未吐出流体の前記一部を前記弾性部材から放出し、それによって、前記サックバック機構の前記第2開口部と前記ディスペンシング端部との間に前記流体を再充填し、さらに、前記ポンプ内に含まれている前記1ショット分の量の前記流体が前記ポンプの前記出口を通って放出されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項5】
前記ポンプの前記充填段階と同時に、前記サックバック機構の前記第2開口部と前記ディスペンシング端部との間に残留する前記未吐出流体の前記一部が前記弾性部材内へ吸い込まれるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項6】
前記ポンプ出口を前記サックバック機構の前記第1開口部に接続するポンプ出口チューブをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項7】
前記弾性部材が、エラストマー材料から作製されることを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項8】
前記弾性部材が、波形形状または円錐台形状を有することを特徴とする請求項7に記載のディスペンサ。
【請求項9】
前記サックバック機構が、複数の弾性部材を含むことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項10】
前記サックバック機構が、2つの弾性部材を含むことを特徴とする請求項9に記載のディスペンサ。
【請求項11】
前記サックバック機構が本体を含み、該本体が、
前記第1開口部と、
前記第2開口部と、
前記第1開口部及び前記第2開口部の間に形成されかつ両開口部を互いに接続する主流体経路と、
主流体経路沿いに設けられた第1端部及び前記弾性部材が配置されている第2端部を有する少なくとも1つの副経路とを含むことを特徴とする請求項9に記載のディスペンサ。
【請求項12】
2つの前記副経路を含み、それぞれの前記第2端部に弾性部材が配置されていることを特徴とする請求項11に記載のディスペンサ。
【請求項13】
前記サックバック機構が、1つの弾性部材を含むことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項14】
前記サックバック機構が本体を含み、該本体が、
前記第1開口部と、
前記第2開口部と、
前記第1開口部と前記第2開口部の間に形成された流体経路とを含み、該流体経路が前記弾性部材を含むことを特徴とする請求項13に記載のディスペンサ。
【請求項15】
前記ポンプがハウジングをさらに含み、該ハウジングが、
内壁を含む流体チャンバと、
前記流体チャンバ内に配置され、該流体チャンバ内で伸縮可動でき、前記流体チャンバの前記内壁とともにシールを形成するピストンと、
前記ポンプの前記入口かまたはその付近に位置する入口弁と、
前記ポンプの前記出口かまたはその付近に位置する出口弁とを含むことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項16】
前記ハウジングが、内壁を有する第2チャンバをさらに形成し、
前記ピストンが、前記第2チャンバ内で伸縮可動でき、前記第2チャンバの前記内壁とともにシールを形成し、
前記第2チャンバが、第2入口及び第2出口を有し、
前記第2出口が前記ポンプの前記出口かまたはその付近に配置され、前記第2入口が、前記リザーバ内の前記流体と接触しない前記ポンプの側にあるように前記ポンプ内に配置されていることを特徴とする請求項15に記載のディスペンサ。
【請求項17】
前記ポンプの前記第2入口が、大気空気を前記ポンプの前記第2チャンバに流入させるが前記第2チャンバ内の大気空気を前記第2入口から逃がさないようにするように適合されている空気吸入口であることを特徴とする請求項16に記載のディスペンサ。
【請求項18】
前記復元手段がバネを含み、
前記ポンプの吐出段階で、前記弾性部材に加えられる外力が前記弾性部材を圧縮して該弾性部材内に貯留されている前記未吐出流体の前記一部を前記弾性部材から放出し、それによって、前記サックバック機構の前記第2開口部と前記ディスペンシング端部との間に前記流体を再充填し、さらに、前記ポンプ内に含まれている前記1ショット分の量の前記流体が前記ポンプの前記出口を通って放出され、
前記ポンプの前記充填段階と同時に、前記サックバック機構の前記第2開口部と前記ディスペンシング端部との間に残留する前記未吐出流体の前記一部が前記弾性部材内へ吸い込まれ、
前記ポンプがハウジングをさらに含み、該ハウジングが、内壁を含む流体チャンバと、該流体チャンバ内に配置され、該流体チャンバ内で伸縮可動でき、前記流体チャンバの前記内壁とともにシールを形成するピストンと、前記ポンプの前記入口かまたはその付近に位置する入口弁と、前記ポンプの前記出口かまたはその付近に位置する出口弁とを有し、
前記サックバック機構が本体を含み、該本体が、前記第1開口部と、前記第2開口部と、前記第1開口部及び前記第2開口部の間に形成されかつ両開口部を互いに接続する主流体経路と、主流体経路沿いに設けられた第1端部及び前記弾性部材が配置されている第2端部を有する少なくとも1つの副経路とを含むことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項19】
2つの前記副経路を含み、それぞれの前記第2端部に弾性部材が配置されていることを特徴とする請求項18に記載のディスペンサ。
【請求項20】
前記弾性部材が、波形形状または円錐台形状を有することを特徴とする請求項19に記載のディスペンサ。
【請求項1】
流体を定量吐出するためのディスペンサであって、
流体を保持するためのリザーバと、
前記リザーバに連通し、入口、出口及び復元手段を含み、かつ、待機段階、1ショット分の量の前記流体が前記出口を通って放出される吐出段階及び、1ショット分の量の前記流体が前記リザーバから前記入口を通って吸い込まれる充填段階を有し、前記復元手段により前記吐出段階から前記充填段階を経て前記待機段階へ戻されるポンプと、
前記ポンプの前記出口に接続されている第1開口部、第2開口部及び、前記第1開口部と前記第2開口部の間に配置されかつ流体を貯留することができる弾性部材を含み、前記ポンプとは別体をなすサックバック機構と、
前記サックバック機構の前記第2開口部と連結されており、前記ディスペンサから前記流体を定量吐出するディスペンシング端部とを含み、
それによって、前記ポンプの前記吐出段階の終わりに、前記ディスペンシング端部と前記サックバック機構の前記第2開口部との間に未吐出流体が残留し、かつ該未吐出流体の一部が前記弾性部材内へ吸い込まれるようにしたことを特徴とするディスペンサ。
【請求項2】
前記ポンプの前記復元手段が、圧縮性部材であることを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記圧縮性部材が、バネを含むことを特徴とする請求項2に記載のディスペンサ。
【請求項4】
前記ポンプの吐出段階で、前記弾性部材に加えられる外力が前記弾性部材を圧縮して該弾性部材内に貯留されている前記未吐出流体の前記一部を前記弾性部材から放出し、それによって、前記サックバック機構の前記第2開口部と前記ディスペンシング端部との間に前記流体を再充填し、さらに、前記ポンプ内に含まれている前記1ショット分の量の前記流体が前記ポンプの前記出口を通って放出されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項5】
前記ポンプの前記充填段階と同時に、前記サックバック機構の前記第2開口部と前記ディスペンシング端部との間に残留する前記未吐出流体の前記一部が前記弾性部材内へ吸い込まれるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項6】
前記ポンプ出口を前記サックバック機構の前記第1開口部に接続するポンプ出口チューブをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項7】
前記弾性部材が、エラストマー材料から作製されることを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項8】
前記弾性部材が、波形形状または円錐台形状を有することを特徴とする請求項7に記載のディスペンサ。
【請求項9】
前記サックバック機構が、複数の弾性部材を含むことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項10】
前記サックバック機構が、2つの弾性部材を含むことを特徴とする請求項9に記載のディスペンサ。
【請求項11】
前記サックバック機構が本体を含み、該本体が、
前記第1開口部と、
前記第2開口部と、
前記第1開口部及び前記第2開口部の間に形成されかつ両開口部を互いに接続する主流体経路と、
主流体経路沿いに設けられた第1端部及び前記弾性部材が配置されている第2端部を有する少なくとも1つの副経路とを含むことを特徴とする請求項9に記載のディスペンサ。
【請求項12】
2つの前記副経路を含み、それぞれの前記第2端部に弾性部材が配置されていることを特徴とする請求項11に記載のディスペンサ。
【請求項13】
前記サックバック機構が、1つの弾性部材を含むことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項14】
前記サックバック機構が本体を含み、該本体が、
前記第1開口部と、
前記第2開口部と、
前記第1開口部と前記第2開口部の間に形成された流体経路とを含み、該流体経路が前記弾性部材を含むことを特徴とする請求項13に記載のディスペンサ。
【請求項15】
前記ポンプがハウジングをさらに含み、該ハウジングが、
内壁を含む流体チャンバと、
前記流体チャンバ内に配置され、該流体チャンバ内で伸縮可動でき、前記流体チャンバの前記内壁とともにシールを形成するピストンと、
前記ポンプの前記入口かまたはその付近に位置する入口弁と、
前記ポンプの前記出口かまたはその付近に位置する出口弁とを含むことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項16】
前記ハウジングが、内壁を有する第2チャンバをさらに形成し、
前記ピストンが、前記第2チャンバ内で伸縮可動でき、前記第2チャンバの前記内壁とともにシールを形成し、
前記第2チャンバが、第2入口及び第2出口を有し、
前記第2出口が前記ポンプの前記出口かまたはその付近に配置され、前記第2入口が、前記リザーバ内の前記流体と接触しない前記ポンプの側にあるように前記ポンプ内に配置されていることを特徴とする請求項15に記載のディスペンサ。
【請求項17】
前記ポンプの前記第2入口が、大気空気を前記ポンプの前記第2チャンバに流入させるが前記第2チャンバ内の大気空気を前記第2入口から逃がさないようにするように適合されている空気吸入口であることを特徴とする請求項16に記載のディスペンサ。
【請求項18】
前記復元手段がバネを含み、
前記ポンプの吐出段階で、前記弾性部材に加えられる外力が前記弾性部材を圧縮して該弾性部材内に貯留されている前記未吐出流体の前記一部を前記弾性部材から放出し、それによって、前記サックバック機構の前記第2開口部と前記ディスペンシング端部との間に前記流体を再充填し、さらに、前記ポンプ内に含まれている前記1ショット分の量の前記流体が前記ポンプの前記出口を通って放出され、
前記ポンプの前記充填段階と同時に、前記サックバック機構の前記第2開口部と前記ディスペンシング端部との間に残留する前記未吐出流体の前記一部が前記弾性部材内へ吸い込まれ、
前記ポンプがハウジングをさらに含み、該ハウジングが、内壁を含む流体チャンバと、該流体チャンバ内に配置され、該流体チャンバ内で伸縮可動でき、前記流体チャンバの前記内壁とともにシールを形成するピストンと、前記ポンプの前記入口かまたはその付近に位置する入口弁と、前記ポンプの前記出口かまたはその付近に位置する出口弁とを有し、
前記サックバック機構が本体を含み、該本体が、前記第1開口部と、前記第2開口部と、前記第1開口部及び前記第2開口部の間に形成されかつ両開口部を互いに接続する主流体経路と、主流体経路沿いに設けられた第1端部及び前記弾性部材が配置されている第2端部を有する少なくとも1つの副経路とを含むことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項19】
2つの前記副経路を含み、それぞれの前記第2端部に弾性部材が配置されていることを特徴とする請求項18に記載のディスペンサ。
【請求項20】
前記弾性部材が、波形形状または円錐台形状を有することを特徴とする請求項19に記載のディスペンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【公表番号】特表2012−510935(P2012−510935A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539126(P2011−539126)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055155
【国際公開番号】WO2010/067226
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055155
【国際公開番号】WO2010/067226
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】
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