説明

液体ポンプ

【課題】灯油等を入れた液体容器から灯油ストーブのタンク等の移送先容器へ灯油等の液体を移送して小分けするために用いる液体ポンプに関し、移送させる液体の流量を増加させることができるため液体の移送時間を短縮でき、また液体を移送し終えて注液ホースの先端部を移送先容器の口部から外した際、液体が注液ホースの先端部より吐出され難いため床を汚す等の問題が生じ難く、さらにホースが嵩張ることなくコンパクトに保管できる液体ポンプを提供することを目的とする。
【解決手段】液体ポンプ1は、電池が内蔵される本体2と、本体2の下部に延設され液体容器の口部から液体容器の内部に挿入される吸液管3と、吸液管3と連通し本体2に延設され吸液管3よりも短い長さに形成された注液ホース6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水,溶液や灯油等の液体容器の口部から挿入し、液体容器内の液体を移送先容器へ移送する液体ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、灯油等を入れた液体容器から灯油ストーブのタンク等の移送先容器へ灯油等の液体を移送して小分けするために、液体ポンプが用いられている。このような液体ポンプとしては、例えば、(特許文献1)や(特許文献2)に開示されたものが知られている。
【特許文献1】実用新案登録第3094676号公報
【特許文献2】実用新案登録第3097757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)や(特許文献2)に開示された液体ポンプは、移送先容器に液体を送る注液ホースの長さが、液体容器の内部に挿入する吸液管の長さと同じか吸液管よりも長いため、液体を移送し終えた際に注液ホース内に液体が残留し易いという課題を有していた。そのため、注液ホースの先端部を移送先容器の口部から外した際に、注液ホース内に残留した液体が注液ホースの先端部より吐出され、床を汚す等の問題が生じていた。
(2)吸液管と注液ホースを合わせた全長が長くなるため、液体を移送する際、液体が液体ポンプ内を通過する時間が長くなり、その結果、液体を移送するのに要する時間が長くなるという課題を有していた。
(3)液体を移送する際、移送先容器に移送された液体に注液ホースの先端部が浸かり、容器の液面より移送先容器の液面が低い場合は、ポンプを停止させても、サイホン現象により容器内の液体が移送先容器に続々と移送されてしまい、移送先容器の口部から液体を溢れさせてしまうことがある。吸油管又は注油ホースに空気を導入すればサイホン現象を防止できるため、液体ポンプの吸液管の上端部に液体戻し溝を設け、吸油管で吸い上げた液体の一定量を液体戻し溝から容器内に戻している。このため、移送先容器に移送される液体の流量は、液体戻し溝から容器内に戻される液体の流量分だけ減少しており、流量損失が生じているという課題を有していた。
(4)注液ホースの長さが液体容器の内部に挿入する吸液管の長さと同じか吸液管よりも長いため、液体ポンプを保管する際には注液ホースが嵩張り、コンパクトに保管できないという課題を有していた。
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、移送させる液体の流量を増加させることができるため液体の移送時間を短縮でき、また液体を移送し終えて注液ホースの先端部を移送先容器の口部から外した際、液体が注液ホースの先端部より吐出されることがなく床を汚す等の問題が生じず、さらにホースが嵩張ることなくコンパクトに保管できる液体ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来の課題を解決するために本発明の液体ポンプは、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の液体ポンプは、電池が内蔵される本体と、前記本体の下部に延設され液体容器の口部から前記液体容器の内部に挿入される吸液管と、前記吸液管と連通し前記本体に延設され前記吸液管よりも短い長さに形成された注液ホースと、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)注液ホースが吸液管よりも短いので、液体を移送し終えた際に注液ホース内の液体をほぼ残らず移送先容器に移送させることができる。また、注液ホースの内表面積を小さくできるため、移送された液体が注液ホースの内面に付着する量も減らすことができる。そのため、注液ホースの先端部を移送先容器の口部から外した際に、注液ホースの先端部より吐出される液体の量が極めて少なく、床を汚す等の問題が生じ難い。
(2)吸液管と注液ホースを合わせた全長を短くできるため、液体を移送する際、液体が液体ポンプ内を通過する時間を短縮でき、その結果、液体を移送するのに要する時間を短縮できる。
(3)注液ホースが吸液管よりも短いので、注液ホースが嵩張ることなく液体ポンプをコンパクトに保管できる。
(4)注液ホースが短いので、注液ホースの原料コストを削減することができるとともに省資源性に優れる。
(5)注液ホースが吸液管よりも短いので、液体を移送する際、移送先容器に移送された液体に注液ホースの先端部が浸かることがないため、吸油管で吸い上げた液体の一定量を液体戻し溝から容器内に戻さなくてもサイホン現象を防止できる。液体戻し溝から液体を容器内に戻すような流量損失がないため、従来の流量損失分を上乗せして流量を増加させることができる。
【0006】
注液ホースと吸液管の内径は適宜選択して設定できるが、注液ホースの内径が吸液管の内径よりも大きいものが好ましい。注液ホースを移送される液体の流量を増やし、液体を移送するのに要する時間を短縮させることができるからである。また、注液ホース先端部に液面センサを設けた場合は、液体ポンプ内(吸液管に内設されたポンプ装置)で形成された気泡が注液ホース先端部付近の液面を覆うと、液面センサの動作が泡に邪魔されて不安定になることがある。最悪の場合は、液面を検知しなくなることもある。しかし、注液ホースの内径を大きくすることにより、注液ホース内の流速が遅くなり、気泡を消すことができるため、液面センサの動作の安定性を高めることができる。
【0007】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液体ポンプであって、前記吸液管と前記注液ホースが一体成形された構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)吸液管と注液ホースが一体成形されているので、吸液管と注液ホースを別々に成形し、本体を介して吸液管と注液ホースが連通するように組み立てるという製造工程が不要なため、生産性に優れる。
(2)吸液管と注液ホースが一体成形されているので、吸液管や注液ホースの接合箇所から液漏れが生じる等の不具合が生じることがなく、また製品得率も高めることができる。
【0008】
ここで、吸液管と注液ホースは、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の種々の合成樹脂を用いて一体成形することができる。
一般的に、注液ホースは可撓性が要求され、吸液管は剛性が要求されるが、注液ホースや吸液管の肉厚を調整したりリブを設けたりすることで、可撓性や剛性を要求通りにすることができる。
【0009】
吸液管の下端部は膨出状に形成することができる。吸液管の下端部にポンプ装置を収納するためである。
また、吸液管の上部には孔部を有する配線引出部を形成する。吸液管の下端部に収納されたポンプ装置と本体とを接続するポンプ用配線を吸液管の外に引き出すためである。配線引出部からポンプ用配線を引き出した後、配線引出部の孔部とポンプ用配線との隙間をパッキンやシーリング材等の封止部材で密閉する。液漏れを防止するためである。また、配線引出部は本体で隠蔽される箇所に形成するのが好ましい。ポンプ用配線を吸液管及び本体に内蔵して、見栄えを良くするとともに断線し難くするためである。
【0010】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項に記載の液体ポンプであって、前記吸液管が引き出される吸液管引出部と、前記注液ホースが引き出される注液ホース引出部と、を備えた本体分割部が、2体組み合わされて前記本体が形成された構成を有している。
この構成により、請求項2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)本体分割部が2体組み合わされて本体が形成されているので、一体成形された吸液管と注液ホースを本体分割部に嵌め込み、本体分割部を接合するだけで製造することができ、生産性に著しく優れる。
【0011】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の液体ポンプであって、前記注液ホースが、屈曲可能に形成され屈曲状態で形状維持できる蛇腹部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)注液ホースが屈曲可能に形成され屈曲状態で形状維持できる蛇腹部を備えているので、液体を移送する際、注液ホースが屈曲した状態を維持させることができるため、注液ホースの先端部を移送先容器の口部に強く押え付けておかなくても、移送用容器の口部に挿入した注液ホースが外れてしまう不具合を防止できる。
(2)液体ポンプを保管する際にも、注液ホースを屈曲させて注液ホースの先端部を上向きの状態に維持させることができるため、注液ホースの内壁面に付着した液体が注液ホースの先端部から滴下するのを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明の液体ポンプによれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)液体を移送し終えた際に注液ホース内の液体をほとんど残らず移送先容器に移送させることができ、内面への付着量も少なくできるため、注液ホースの先端部を移送先容器の口部から外した際に、注液ホースの先端部より吐出される液体の量を極めて少なくでき、床を汚す等の問題が生じ難い液体ポンプを提供できる。
(2)吸液管と注液ホースを合わせた全長を短くできるため、液体を移送する際、液体が液体ポンプ内を通過する時間を短縮でき、その結果、液体を移送するのに要する時間を短縮できる液体ポンプを提供できる。
(3)注液ホースが吸液管よりも短いので、注液ホースが嵩張ることなく液体ポンプをコンパクトに保管できる液体ポンプを提供できる。
(4)注液ホースが短いので、注液ホースの原料コストを削減することができるとともに省資源性に優れた液体ポンプを提供できる。
(5)液体戻し溝を設けなくてもサイホン現象を防止できるため、液体戻し溝による流量損失がないため、従来の流量損失分を上乗せして流量を増加させた高い移送能力を有する液体ポンプを提供できる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)吸液管と注液ホースを別々に成形し、本体を介して吸液管と注液ホースが連通するように組み立てるという製造工程が不要なため生産性に優れた液体ポンプを提供できる。
(2)吸液管や注液ホースの接合箇所から液漏れが生じる等の不具合が生じることがなく、また製品得率も高めることができる液体ポンプを提供できる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加え、
(1)本体分割部が2体組み合わされて本体が形成されているので、一体成形された吸液管と注液ホースを本体分割部に嵌め込み、本体分割部を接合するだけで製造することができ、生産性に著しく優れた液体ポンプを提供できる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1の効果に加え、
(1)液体を移送する際、注液ホースが屈曲した状態を維持させることができるため、注液ホースの先端部を移送先容器の口部に強く押え付けておかなくても、移送用容器の口部に挿入した注液ホースが外れてしまう不具合を防止できる液体ポンプを提供できる。
(2)液体ポンプを保管する際にも、注液ホースを屈曲させて注液ホースの先端部を上向きの状態に維持させることができるため、注液ホースの内壁面に付着した液体が注液ホースの先端部から滴下するのを防止できる液体ポンプを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における液体ポンプの正面図であり、図2は実施の形態1における液体ポンプの分解斜視図である。
図1において、1は実施の形態1における液体ポンプ、2は電池ケースが内設された本体、2aは本体2の上部に配設されたスイッチ、3は本体2の下部に延設された吸液管、4は吸液管3の下端部が膨出して形成されたポンプ装置収納部、5は吸液管3の下端部の開口部に取り付けられたキャップ、6は吸液管3と連通し本体2の側部に延設され吸液管3よりも短い長さに形成された注液ホース、7は注液ホース6の先端部である注液ホース先端部、8は注液ホース6の本体2寄りに屈曲可能に形成され屈曲状態で形状維持できる蛇腹部、9は注液ホース6の注液ホース先端部7寄りに屈曲可能に形成され屈曲状態で形状維持できる蛇腹部である。
【0017】
図2において、10は注液ホース3と一体成形された吸液管3の上部側に鍔状に形成された3本の管側係止部、11は管側係止部10の上部に孔部を設けて形成された配線引出部、12は配線引出部11の上部に屈曲可能に形成された蛇腹部、13は蛇腹部12と蛇腹部8との間に平坦状に形成されたホース側係止部である。下端部にポンプ装置収納部4が形成され上部側に管側係止部10,配線引出部11,蛇腹部12が形成された吸液管3、及び、ホース側係止部13,蛇腹部8,9が形成され先端に注液ホース先端部7が形成された注液ホース6は、ポリエチレン等の合成樹脂により一体成形されている。
2bは2体を合わせることで中空状の本体2が形成される本体分割部、2cは本体分割部2bに内設された電池ケース、2dは電池ケース2cに配設された電極、14は本体分割部2bの下部を半円状に窪ませて形成された吸液管引出部、15は吸液管引出部14の内壁面に溝状に形成され管側係止部10が係合されるストッパ、16は本体分割部2bの側部を半円状に窪ませて形成されホース側係止部13が係合される注液ホース引出部、17はポンプ装置収納部4に収納されたモータを有するポンプ装置、17aはポンプ装置17の下部に配設されるインペラ、18はポンプ装置17に接続され吸液管3に沿って吸液管3の内側に配設され配線引出部11から引き出され電極2dに接続されるポンプ用配線である。ポンプ用配線18が引き出された配線引出部11はパッキン等の封止部材で密閉され液漏れが防止される。
【0018】
以上のように構成された本発明の実施の形態1における液体ポンプについて、図2を参照しながら、以下その製造方法を説明する。
まず、下端部にポンプ装置収納部4が形成され上部側に管側係止部10,配線引出部11,蛇腹部12が形成された吸液管3、及び、ホース側係止部13,蛇腹部8,9が形成され先端に注液ホース先端部7が形成された注液ホース6を一体成形する。
次いで、配線引出部11からポンプ用配線18を吸液管3に挿入し、ポンプ用配線18の端部をポンプ装置収納部4から引き出す。次に、ポンプ装置収納部4から引き出したポンプ用配線18にポンプ装置17を接続し、ポンプ装置収納部4にポンプ装置17を収納した後、キャップ5を取り付ける。配線引出部11からのポンプ用配線18の引き出し長さを調整した後、配線引出部11をパッキン等の封止部材で密閉する。本体分割部2bの電極2dに、配線引出部11から引き出したポンプ用配線18を接続する。
次いで、本体分割部2bの吸液管引出部14のストッパ15を管側係止部10に係合させることで、吸液管引出部14から吸液管3を引き出し、注液ホース引出部16をホース側係止部13に係合させることで、注液ホース引出部16から注液ホース6を引き出す。次に、注液ホース引出部16から本体分割部2bの2体を突合せて接着,溶着等によって接合し、本体2を形成する。これにより、実施の形態1における液体ポンプ1を製造することができる。
【0019】
以上のように構成された本発明の実施の形態1における液体ポンプについて、図面を参照しながら、以下その使用方法を説明する。
図3は本発明の実施の形態1における液体ポンプを用いて液体容器から移送用容器へ液体を移送する状態を示す一部破断正面図であり、図4は本発明の実施の形態1における液体ポンプの保管時の状態を示す正面図である。
図3において、20は灯油等の液体が収容された液体容器、21は液体容器20の口部、22は灯油ストーブのカートリッジタンク等の液体の移送先容器、23は移送先容器22の口部である。
【0020】
液体容器20から移送先容器22へ液体を移送するときには、図3に示すように、液体容器20の口部21から吸液管3を液体容器20内に挿入し、移送先容器22の口部23に注液ホース先端部7を挿入する。液体容器20と移送先容器22の間隔や移送先容器22の口部23の高さに応じ、蛇腹部9の屈曲度や蛇腹部8の伸縮度を調整することで、注液ホース6や注液ホース先端部7を手で押さえなくても、注液ホース6が屈曲した状態を維持させることができる。本体2に形成された図示しないスイッチを操作してポンプ装置17を駆動させると、液体容器20内の液体を移送先容器23に移送させることができる。
【0021】
液体ポンプ1を保管する際には、図4に示すように、注液ホース6の蛇腹部8,9を屈曲させて、注液ホース先端部7を上向きの状態に維持させることができる。これにより、注液ホース6をコンパクトに収めることができるとともに、注液ホース6の内壁面に付着した液体が注液ホース先端部7から滴下するのを防止できる。
【0022】
以上のように、本発明の実施の形態1における液体ポンプは構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)注液ホース6が吸液管3よりも短いので、液体を移送し終えた際に注液ホース6を移送先容器22側へ傾けることで、注液ホース6内の液体を残らず移送先容器22に移送させることができる。また、注液ホース6の内表面積を小さくできるため、液体が注液ホース6の内面に付着する量も減らすことができる。そのため、注液ホース先端部7を移送先容器22の口部23から外した際に、注液ホース先端部7より吐出される液体の量を極めて少なくすることができ、床を汚す等の問題が生じ難い。
(2)吸液管3と注液ホース6を合わせた全長を短くできるため、液体を移送する際、ポンプ装置17の能力が同じであれば、液体が液体ポンプ1内を通過する時間を短縮でき、その結果、液体を移送するのに要する時間を短縮できる。
(3)注液ホース6が吸液管3よりも短いので、注液ホース6が嵩張ることなく液体ポンプ1をコンパクトに保管できる。
(4)注液ホース6が短いので、注液ホース6の原料コストを削減することができるとともに省資源性に優れる。
(5)注液ホース6が吸液管3よりも短いので、液体を移送する際、移送先容器22に移送された液体に注液ホース先端部7が浸かることがないためサイホン現象を防止でき、従来の液体ポンプのように、液体戻し溝から液体を容器内に戻すような流量損失がないため、従来の流量損失分を上乗せして流量を増加させることができる。
(6)吸液管3と注液ホース6が一体成形されているので、従来の液体ポンプのように、吸液管と注液ホースを別々に成形して、本体を介して吸液管と注液ホースが連通するように組み立てるという製造工程が不要なため、生産性に優れる。
(7)吸液管3と注液ホース6が一体成形されているので、吸液管や注液ホースの接合箇所から液漏れが生じる等の不具合が生じることがなく、また製品得率も高めることができる。
(8)本体分割部2bが2体組み合わされて本体2が形成されているので、一体成形された吸液管3と注液ホース6を本体分割部2bの吸液管引出部14や注液ホース引出部16に嵌め込み、2体の本体分割部2bを接合するだけで液体ポンプ1を製造することができるため、生産性に著しく優れる。
(9)注液ホース6が屈曲可能に形成され屈曲状態で形状維持できる蛇腹部8,9を備えているので、液体を移送する際、注液ホース6が屈曲した状態を維持させることができるため、注液ホース先端部7を移送先容器22の口部23に押え付けておかなくても、移送用容器22の口部23に挿入した注液ホース先端部7が外れてしまう不具合を防止できる。
(10)注液ホース6が屈曲可能に形成され屈曲状態で形状維持できる蛇腹部8,9を備えているので、液体ポンプ1を保管する際に、注液ホース6を屈曲させて注液ホース先端部7を上向きの状態に維持させることができるため、注液ホース6の内壁面に付着した液体が注液ホース先端部7から滴下するのを防止できる。
(11)一体成形された吸液管3と注液ホース6が管側係止部10とホース側係止部13とを備えており、管側係止部10とホース側係止部13の間に屈曲可能な蛇腹部13が形成されているので、本体分割部2bの吸液管引出部14を管側係止部10に係合させ、本体分割部2bの注液ホース引出部16をホース側係止部13に係合させることで、本体2の下部に吸液管3を延設させ、本体2の側部に注液ホース6を延設させることができる。
(12)本体引出部11が管側係止部10の上部に形成されているので、配線引出部11を本体2で隠蔽して見栄えを良くすることができるとともに、ポンプ用配線18を吸液管3及び本体2に内蔵できるため、外力が加わり難くポンプ用配線18が断線するのを防止できる。
【0023】
なお、本実施の形態において、吸液管3が貫装された取付けキャップを本体2の下部に設ける場合もある。口部21から吸液管3を液体容器20に挿入し、口部21に取付けキャップを取り付けることで、液体容器20の口部21に本体2を固定することができる。移送先容器23への液体の移送が終わったら、図4に示すように、蛇腹部8,9を屈曲させて注液ホース先端部7を本体2の近くに引き寄せておくことができる。未使用時に、注液ホース先端部7にゴミや埃が付着しないようにするため、本体2に注液ホース先端部7の覆いを設けることもできる。
また、本実施の形態において、注液ホース先端部7に液面センサを設ける場合もある。液面センサを本体2に接続し、移送先容器22に所定量の液体が移送されたらポンプ装置17を停止させるように設定しておくことで、移送先容器22の口部23から液体が溢れてしまうのを防止できる。この場合は、注液ホース6の内径を吸液管3の内径よりも大きくするのが好ましい。吸液管3に内設されたポンプ装置17で形成された気泡が注液ホース先端部付近の液面を覆うと、液面センサの動作が泡に邪魔されて不安定になることがあるが、注液ホース6の内径を大きくすることにより、注液ホース6内の流速が遅くなり、気泡を消すことができるため、液面センサの動作の安定性を高めることができるからである。
また、液体の移送時に、注液ホース先端部7を移送先容器22の口部23に係着又は嵌着して取り付けることができるような取付部を、注液ホース先端部7に設けるのが好ましい。液体の移送時に、移送用容器22の口部23に挿入した注液ホース先端部7が外れてしまう不具合を防止するためである。取付部としては、口部23に嵌着する蓋や膨らみ、口部23に係着するフックや溝等が用いられる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、液体容器の口部から挿入し、液体容器内の液体を移送先容器へ移送する液体ポンプに関し、移送させる液体の流量を増加させることができるため液体の移送時間を短縮でき、また液体を移送し終えて注液ホースの先端部を移送先容器の口部から外した際、液体が注液ホースの先端部より吐出されることがほとんどなく床を汚す等の問題が生じ難く、さらにホースが嵩張ることなくコンパクトに保管できる液体ポンプを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態1における液体ポンプの正面図
【図2】実施の形態1における液体ポンプの分解斜視図
【図3】実施の形態1における液体ポンプを用いて液体容器から移送用容器へ液体を移送する状態を示す一部破断正面図
【図4】実施の形態1における液体ポンプの保管時の状態を示す正面図
【符号の説明】
【0026】
1 液体ポンプ
2 本体
2a スイッチ
2b 本体分割部
2c 電池ケース
2d 電極
3 吸液管
4 ポンプ装置収納部
5 キャップ
6 注液ホース
7 注液ホース先端部
8,9,12 蛇腹部
10 管側係止部
11 配線引出部
13 ホース側係止部
14 吸液管引出部
15 ストッパ
16 注液ホース引出部
17 ポンプ装置
17a インペラ
18 ポンプ用配線
20 液体容器
21,23 口部
22 移送先容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池が内蔵される本体と、前記本体の下部に延設され液体容器の口部から前記液体容器の内部に挿入される吸液管と、前記吸液管と連通し前記本体に延設され前記吸液管よりも短い長さに形成された注液ホースと、を備えていることを特徴とする液体ポンプ。
【請求項2】
前記吸液管と前記注液ホースが一体成形されていることを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項3】
前記吸液管が引き出される吸液管引出部と、前記注液ホースが引き出される注液ホース引出部と、を備えた本体分割部が、2体組み合わされて前記本体が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液体ポンプ。
【請求項4】
前記注液ホースが、屈曲可能に形成され屈曲状態で形状維持できる蛇腹部を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の液体ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−115002(P2009−115002A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−290185(P2007−290185)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(502345658)株式会社徳信洋行 (3)
【Fターム(参考)】