液体供給システム
【課題】複数のユースポイントへの液体の分配供給を可能とする液体供給システムにおいて、構成の煩雑化を回避しつつ、液体圧力を望み通りに適正に制御する。
【解決手段】本システムでは、液体を流通させる主供給ライン12と、その主供給ライン12の途中に設けられたポンプ13と、主供給ライン12から分岐させて設けられた複数の分岐ラインLN1〜LNnとを備えており、開閉弁21により各分岐ラインLN1〜LNnが個別に開閉されて当該各ラインにおける液体の流通が許可又は禁止される。圧力制御部30内のコントローラ35は、各分岐ラインの開閉が要求される場合に、その開閉に伴う分岐ラインの流量変化分に相当する電空レギュレータ32の制御量を算出するとともに、分岐ラインの開閉に同期させて、前記アクチュエータ制御量に基づいて電空レギュレータ32の駆動を制御する。
【解決手段】本システムでは、液体を流通させる主供給ライン12と、その主供給ライン12の途中に設けられたポンプ13と、主供給ライン12から分岐させて設けられた複数の分岐ラインLN1〜LNnとを備えており、開閉弁21により各分岐ラインLN1〜LNnが個別に開閉されて当該各ラインにおける液体の流通が許可又は禁止される。圧力制御部30内のコントローラ35は、各分岐ラインの開閉が要求される場合に、その開閉に伴う分岐ラインの流量変化分に相当する電空レギュレータ32の制御量を算出するとともに、分岐ラインの開閉に同期させて、前記アクチュエータ制御量に基づいて電空レギュレータ32の駆動を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製品や化学薬品等の製造に際し、その製造に使用する薬品等の液体を複数のユースポイントに分配供給するための液体供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製品や化学薬品等の製造工場では、薬品等の液体をタンク等の供給源から汲み上げ、流通ラインを通じて循環させるとともに、複数のユースポイントに分配供給するシステムが用いられている。そのシステムの概要を図12により説明する。
【0003】
図12に示すように、液体タンク71には主供給ライン72が接続されており、液体タンク71内の液体はポンプ73によって汲み上げられた後、主供給ライン72を通じて循環する。主供給ライン72には複数の分岐ライン74が接続され、その分岐ライン74ごとに開閉弁75と可変絞り76とが設けられている。かかる構成において、各分岐ライン74のいずれかの開閉弁75が開放されることにより所定のユースポイントに対して液体が供給される。また、主供給ライン72において各分岐ライン74の下流側には、液体圧力を検出する圧力計77と、液体圧力を開放するためのリリーフ弁78とが設けられている。
【0004】
上記構成のシステムでは、単一の液体圧送系を有する構成で多数のユースポイントへの液体供給が可能となる。またこのとき、分岐ラインの設定数の範囲内において任意の数のユースポイントに同時に液体を分配供給することができる。
【0005】
しかしながら、上記従来のシステムでは、各分岐ライン74が任意に開放されると、その分各分岐ライン74を通じて流出する液体の総流量が変化する。そのため、主供給ライン72を流れる液体圧力が変動し、結果として各分岐ラインにおける液体流量の変動が生じることとなる。これにより、各ユースポイントに給送される液体流量が変動してしまう。
【0006】
その対策として、分岐ライン74ごとに圧力センサや圧力調整弁(レギュレータ)等を設置し、個別に圧力調整を行うことが考えられる。しかしながら、かかる場合には構成の煩雑化を招いてしまい、設置スペースやコスト面で課題が残る。ちなみに、液体の吐出流量をフィードバック制御により安定させるための技術としては、特許文献1等が知られている。
【特許文献1】特開平7−232113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、複数のユースポイントへの液体の分配供給を可能とする液体供給システムにおいて、構成の煩雑化を回避しつつ、液体圧力を望み通りに適正に制御することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施の形態において対応する構成例を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0009】
手段1.液体を流通させる液体通路(主供給ライン12)と、
該液体通路の途中に設けられ前記液体を圧送する圧送手段(ポンプ13)と、
前記液体通路から分岐させて設けられた複数の分岐通路(分岐ラインLN1〜LNn)と、
前記液体通路の途中に設けられ同液体通路内の液体圧力を調整する圧力調整用アクチュエータ(リリーフ弁31、電空レギュレータ32等)と、
を備え、前記複数の分岐通路を個別に開放又は閉鎖し、開放された分岐通路を通じて前記液体通路から液体を流通させる液体供給システムにおいて、
各分岐通路の開放又は閉鎖が要求される場合に、その開放又は閉鎖に伴う前記分岐通路の流量変化分に相当する前記圧力調整アクチュエータの制御量を算出する制御量算出手段(コントローラ35)と、
前記分岐通路の開閉に同期させて、前記制御量算出手段により算出したアクチュエータ制御量に基づいて前記圧力調整用アクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段(コントローラ35)と、
を備えることを特徴とする液体供給システム。
【0010】
手段1の液体供給システムでは、液体通路から分岐する複数の分岐通路が設けられており、この分岐通路によって、複数の液体供給先(ユースポイント)に液体が分配供給されるようになっている。かかる構成では、分岐通路の開放数が変更されることに伴い、開放状態の分岐通路を通じて流れる液体の流量が変化すると、前記液体通路内において圧力変動が生じうると考えられる。この点本発明では、上記のとおり各分岐通路の開放又は閉鎖が要求される場合に、その開放又は閉鎖に伴う分岐通路の流量変化分に相当するアクチュエータ制御量を算出するとともに、分岐通路の開閉に同期させてそのアクチュエータ制御量に基づいて圧力調整用アクチュエータの駆動を制御することにより、分岐通路の開放数が変更されることでその分岐通路の流量変化が生じても、その流量変化が原因で生じる液体通路内の圧力変動を抑制することができる。また本構成では、分岐通路ごとに圧力センサや圧力調整弁(レギュレータ)等を設置する必要がないため、構成の簡素化が実現できる。以上により、構成の煩雑化を回避しつつ、液体圧力を望み通りに適正に制御することができる。これにより、各分岐通路を介して流れる液体の流量が安定する。
【0011】
手段2.同時に開閉される前記分岐通路の数と前記アクチュエータ制御量との関係を規定した制御量データを記憶装置(メモリ35b)に記憶しておき、
前記制御量算出手段は、前記要求に伴う分岐通路の開閉に際し、前記制御量データを参照して前記アクチュエータ制御量を算出することを特徴とする手段1に記載の液体供給システム。
【0012】
要求に伴い同時に開閉される分岐通路の数が相違すれば、その開閉に伴う分岐通路の流量変化量が変わり、さらに液体通路内における圧力変動の状況も変わる。この点、上記のとおり制御量データを規定しておき、同制御量データを参照してアクチュエータ制御量を算出する構成とすることで、同時に開閉される分岐通路の数がいずれであっても、分岐通路の開閉時における液体通路内の圧力変動を好適に抑制することができる。
【0013】
なお、上記のように同時に開閉される分岐通路の数をパラメータとする構成は、複数の分岐通路についてそれらの通路断面積がいずれも同一である場合に有効な手段になると考えられる。
【0014】
手段3.前記複数の分岐通路について開閉に伴う流量変化分に相当する前記アクチュエータ制御量を分岐通路ごとに規定した通路別データを記憶装置(メモリ35b)に記憶しておき、
前記制御量算出手段は、前記要求に伴う分岐通路の開閉に際し、前記通路別データを参照して前記アクチュエータ制御量を算出することを特徴とする手段1に記載の液体供給システム。
【0015】
複数の分岐通路について開閉に伴う流量変化量が通路ごとに相違することも考えられる。この点、上記のとおり通路別データを規定しておき、同通路別データを参照してアクチュエータ制御量を算出する構成とすることで、分岐通路ごとに流量が相違していても、分岐通路の開閉時における液体通路内の圧力変動を好適に抑制することができる。
【0016】
なお、複数の分岐通路が同時に開閉される場合には、同時に開閉される分岐通路ごとの各アクチュエータ制御量を加算することで、最終のアクチュエータ制御量を算出するとよい。例えば第1分岐通路の開閉に伴う流量変化分に相当するアクチュエータ制御量がβ1、第2分岐通路の開閉に伴う流量変化分に相当するアクチュエータ制御量がβ2であり、それら第1,第2分岐通路が同時に開放(又は閉鎖)される場合には、アクチュエータ制御量が「β1+β2」として算出される。
【0017】
手段4.前記液体通路内の液体圧力を検出する圧力検出手段(圧力センサ33)と、
前記圧力検出手段により検出した液体圧力が目標値に一致するよう前記圧力調整用アクチュエータの制御量をフィードバック制御するフィードバック制御手段(コントローラ35)と、
をさらに備えることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の液体供給システム。
【0018】
既述のとおり要求に伴う分岐通路の開閉に際してその開閉に同期させて圧力調整用アクチュエータの駆動を制御することにより、液体通路内の圧力変動が大幅に抑制されると考えられるが、一時的であるにしろ同液体通路内で圧力変動が生じることも想定される。この点、フィードバック制御を組み合わせて実行することにより、仮に一時的に圧力変動が生じてもその圧力変動をいち早く解消できる。
【0019】
手段5.前記複数の分岐通路について少なくともいずれかを開閉させる旨指令する開閉指令手段(コントローラ35)と、
前記開閉指令手段による指令後において前記アクチュエータ制御手段による圧力調整用アクチュエータの制御を停止した状態で前記フィードバック制御手段によるフィードバック制御を実行し、同フィードバック制御によって求められた実制御量(フィードバック制御量)を、都度の分岐通路の開閉指令に対応づけて記憶する制御量記憶手段(コントローラ35)と、を備え、
前記制御量算出手段は、前記制御量記憶手段により記憶した実制御量を用いて都度のアクチュエータ制御量を算出することを特徴とする手段4に記載の液体供給システム。
【0020】
手段5によれば、アクチュエータ制御手段による制御(すなわち、分岐通路の開閉に同期させて行われる圧力調整用アクチュエータの駆動制御)を停止した状態で液体通路内の液体圧力をフィードバック制御することにより、要求に伴う分岐通路の開閉によって実際にどれだけアクチュエータ制御量(実制御量)を要するかを正確に把握できる。つまりこれにより、ティーチング処理を適正に行い、アクチュエータ制御量(実制御量)について良好なティーチングデータを得ることができる。そして、システム稼働時には、そのティーチングデータを用いることにより、圧力調整用アクチュエータを最適なアクチュエータ制御量で制御することができる。この場合、各分岐通路の開閉時の流量変化量が経時変化等に起因して変化したとしても、その変化に合わせた最適な制御が実現できる。
【0021】
なお、ティーチングデータの取得は、システム立ち上げ時に実行される他、システム立ち上げ後において定期又は非定期で繰り返し実行されるとよい。既にティーチングデータが記憶されている場合には、それまでのティーチングデータが新たなティーチングデータによって更新される。
【0022】
手段6.前記開閉指令手段は、前記複数の分岐通路について同時に開閉可能な分岐通路の数分の全パターンを順次指令することを特徴とする手段5に記載の液体供給システム。
【0023】
これにより、同時に開閉可能な分岐通路の数分の全パターンについて実制御量(ティーチングデータ)の取得が可能となる。
【0024】
手段7.前記開閉指令手段は、前記複数の分岐通路について当該分岐通路を1つずつ開放又は閉鎖させる旨を順次指令することを特徴とする手段5に記載の液体供給システム。
【0025】
これにより、要求に伴い開閉される全ての分岐通路について個別に実制御量(ティーチングデータ)を取得できる。この場合、仮に分岐通路ごとに開放時の液体流量が相違していても、又は個体差があったとしても、それに対処させて好適に実制御量(ティーチングデータ)を取得できる。
【0026】
手段8.前記アクチュエータ制御手段によるアクチュエータ駆動後における前記液体通路内の圧力変化を検出する圧力変化検出手段(コントローラ35)と、
該圧力変化検出手段により検出された圧力変化に基づいて、前記アクチュエータ制御手段による前記圧力調整用アクチュエータの駆動タイミングを変更するタイミング制御手段(コントローラ35)と、
をさらに備えることを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の液体供給システム。
【0027】
ここで、上記のごとく分岐通路の開閉に同期させて圧力調整用アクチュエータの駆動を制御すれば、液体通路内の圧力変動を十分に抑制することが可能であるが、その圧力調整用アクチュエータの駆動が早すぎたり遅すぎたりすると、一時的であるが圧力変動が生じると考えられる。これは、圧力調整用アクチュエータの動作遅れ等が原因であると考えられる。この点、手段8によれば、圧力調整用アクチュエータを駆動させるタイミングが適宜変更されるため、分岐通路の開閉直後に一時的な圧力変動が生じても、次回以降のアクチュエータ駆動時において圧力変動を抑制することができる。
【0028】
手段9.前記タイミング制御手段は、前記分岐通路の開放要求時において前記圧力変化検出手段により減少側の圧力変化が検出された場合にはアクチュエータ駆動タイミングを早くし、同じく開放要求時において前記圧力変化検出手段により増加側の圧力変化が検出された場合にはアクチュエータ駆動タイミングを遅くすることを特徴とする手段8に記載の液体供給システム。
【0029】
上記構成によれば、分岐通路の開放要求時において、アクチュエータ駆動タイミングを早くすることで、同アクチュエータによる圧力調整(ここでは液体圧力の低下を抑制する圧力調整)をいち早く効かせることができる。これにより、液体通路内における減少側の圧力変化を抑えることができる。また、同じく開放要求時において、アクチュエータ駆動タイミングを遅くすることで、同アクチュエータによる圧力調整(ここでは液体圧力の上昇を抑制する圧力調整)をいち早く効かせることができる。これにより、液体通路内における増加側の圧力変化を抑えることができる。
【0030】
ちなみに、分岐通路の閉鎖要求に応じて圧力調整用アクチュエータを駆動させる際には、以下の構成が適用される。すなわち、前記分岐通路の閉鎖要求時において前記圧力変化検出手段により増加側の圧力変化が検出された場合にはアクチュエータ駆動タイミングを早くし、同じく閉鎖要求時において前記圧力変化検出手段により減少側の圧力変化が検出された場合にはアクチュエータ駆動タイミングを遅くする。これにより、分岐通路の閉鎖時において、液体通路内における圧力変動をより適正に抑制できる。
【0031】
手段10.前記アクチュエータ制御手段によるアクチュエータ駆動後における前記液体通路内の圧力変化を検出する圧力変化検出手段(コントローラ35)と、
該圧力変化検出手段により検出された圧力変化に基づいて、前記アクチュエータ制御手段による次回以降のアクチュエータ制御量を補正する制御量補正手段(コントローラ35)と、
をさらに備えることを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の液体供給システム。
【0032】
上記のごとく分岐通路の開閉に同期させて圧力調整用アクチュエータの駆動を制御した際に、一時的に圧力変動が生じる場合、その一理由として、アクチュエータ制御量が大きすぎる、又は小さすぎると考えられる。この点、手段10によれば、圧力調整用アクチュエータの制御量が適宜変更されるため、分岐通路の開閉直後に一時的な圧力変動が生じても、次回以降のアクチュエータ駆動時において圧力変動を抑制することができる。
【0033】
手段11.前記圧力調整用アクチュエータとして、前記液体通路において各分岐通路の分岐点よりも下流側に設けられたパイロット作動式のリリーフ弁(リリーフ弁31)と、該リリーフ弁に作用するパイロット圧を調整するパイロット圧調整手段(電空レギュレータ32)とを備え、
前記制御量算出手段は、前記アクチュエータ制御量として、前記分岐通路の開閉に伴う圧力変化を解消するためのパイロット圧に相当する制御量を算出することを特徴とする手段1乃至10のいずれかに記載の液体供給システム。
【0034】
手段11によれば、パイロット圧調整手段によるパイロット圧を制御することでリリーフ弁による圧力開放(圧力リリース)の程度が変更され、それに伴いリリーフ弁の一次側圧力(すなわち、リリーフ弁よりも上流側の液体圧力)を適正に制御することができる。したがって、各分岐通路における液体圧力や流量が安定する。
【0035】
上記のように各分岐通路の分岐点よりも下流側で圧力制御を行う構成では、仮にリリーフ弁でパーティクル(ゴミ等)が発生したとしても、そのパーティクルが各分岐通路に流入することはない。したがって、液体の清浄さを保つ上でも有利であると言える。
【0036】
手段12.前記圧力調整用アクチュエータとして、前記液体通路において各分岐通路の分岐点よりも上流側に設けられたパイロット作動式の圧力調整弁(圧力レギュレータ61)と、該圧力調整弁に作用するパイロット圧を調整するパイロット圧調整手段(電空レギュレータ62)とを備え、
前記制御量算出手段は、前記アクチュエータ制御量として、前記分岐通路の開閉に伴う圧力変化を解消するためのパイロット圧に相当する制御量を算出することを特徴とする手段1乃至10のいずれかに記載の液体供給システム。
【0037】
手段12によれば、パイロット圧調整手段によるパイロット圧を制御することで圧力調整弁による圧力調整の程度が変更され、それに伴い圧力調整弁の二次側圧力(すなわち、圧力調整弁よりも下流側の液体圧力)を適正に制御することができる。したがって、各分岐通路における液体圧力や流量が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。本実施形態における液体供給システムの概要を図1に基づいて説明する。図1の液体供給システムは、一例として、半導体製品や化学薬品等の製造時において複数の洗浄装置(ユースポイント)に洗浄液を分配供給するためのシステムを想定したものである。
【0039】
図1において、液体タンク11には液体として洗浄液が貯留されている。液体タンク11には配管等よりなる主供給ライン12が接続され、その主供給ライン12には、液体タンク11内の液体を汲み上げるとともに所定圧力でライン下流側に吐出(圧送)するポンプ13が設けられている。主供給ライン12は、液体タンク11を液体供給源として液体を循環させるものであり、ライン始端部及びライン終端部が共に液体タンク11に接続されている。本実施形態では、主供給ライン12が「液体通路」に相当し、ポンプ13が「圧送手段」に相当する。
【0040】
また、主供給ライン12には、当該ライン12を流通する液体を複数の洗浄装置等に分配供給するための複数の分岐ラインLN1,LN2,LN3,…,LNnが接続されている(例えばn=10)。分岐ラインLN1〜LNnは、通路開口面積がいずれも同一である複数の配管により構成されており、これが「分岐通路」に相当する。各々の分岐ラインLN1〜LNnには、当該分岐ラインを開閉して液体の通過を許可又は禁止する開閉弁21と、流量調整のための可変絞り22とがそれぞれ設けられている。各分岐ラインLN1〜LNnの開閉弁21は、空気圧力により開閉操作されるエアオペレートバルブにより構成されており、その開閉弁21ごとに設けられる電磁弁23の通電状態に応じて各開閉弁21に作用する空気圧力が調節され、それに伴い開閉弁21が開閉される。各分岐ラインLN1〜LNnのいずれかの開閉弁21が開放されると、その開状態の開閉弁21に対応する分岐ラインを通じて液体が流れる。
【0041】
各開閉弁21の開閉動作は、分岐ライン制御装置25により制御される。すなわち、分岐ライン制御装置25には、都度の作業工程などに基づきどの液体供給先(ユースポイント)に液体を供給するか(すなわち、どの分岐ラインを開放するか)を決定するための制御管理データが保存されており、分岐ライン制御装置25はその管理データに基づいてどの開閉弁21を開閉するか(すなわち、どの分岐ラインにて流体を流通させるか)を判断する。そして、その判断の結果に応じて各電磁弁23に対して開閉駆動信号を出力し、各開閉弁21を選択的に開放又は閉鎖させる。
【0042】
分岐ライン制御装置25によって各開閉弁21が開放又は閉鎖される場合、どの開閉弁21(分岐ライン)が開放又は閉鎖されるかを示す分岐ライン開閉信号が、後述する圧力制御部30のコントローラ35に送信されるようになっている。このとき、分岐ライン制御装置25は、電磁弁23に対して開閉駆動信号を出力するのと同時に、圧力制御部30のコントローラ35に対して分岐ライン開閉信号を出力する。
【0043】
また、主供給ライン12において各分岐ラインLN1〜LNnの分岐点よりも下流側には、本システムにおける液体圧力を制御するための圧力制御部30が設けられている。圧力制御部30は、主供給ライン12上に設けられるリリーフ弁31と、該リリーフ弁31に供給する操作エアの圧力を調整する電空レギュレータ32と、主供給ライン12の液体圧力(リリーフ弁31の一次側圧力)を検出する圧力センサ33と、CPU35aやメモリ35b等を有するマイクロコンピュータよりなるコントローラ35とを具備している。なお、リリーフ弁31及び電空レギュレータ32が圧力調整用アクチュエータに相当する。
【0044】
リリーフ弁31はパイロット作動式の圧力調整弁であり、その構成を図2により簡単に説明する。リリーフ弁31において、液体入口側である一次側通路41と液体出口側である二次側通路42との間には、ダイアフラム部43を一体的に有する弁体44が設けられ、弁体44の変位により一次側通路41及び二次側通路42を介しての液体の流通が阻止又は許容される。このとき、一次側通路41内の液体圧力(一次側圧力)がダイアフラム部43に作用することで弁体44が開側に変位し、一次側通路41内の液体が二次側通路42に流出する。
【0045】
また、リリーフ弁31には、外部から操作エアを導入する操作エア室46が設けられており、弁体44には前記一次側圧力と逆向きに操作エア室46内の圧力(操作エア圧力)が作用するようになっている。この操作エア圧力がパイロット圧に相当する。操作エア室46はエア入出ポート47に連通しており、電空レギュレータ32から供給される操作エアがエア入出ポート47を介して導入されることで操作エア圧力が可変調整される。
【0046】
この場合、操作エア圧力が増加側に変更されると、一次側通路41内の液体圧力(一次側圧力)が一定であっても弁体44の開度が閉じ側に制御される。これにより、リリーフ弁31を通過して流れる液体の流量が減り、当該リリーフ弁31による圧力開放(圧力リリース)の程度が減じられる。言い換えれば、操作エア圧力を増大させることにより、主供給ライン12内の液体圧力を増加側に制御することが可能となる。また、操作エア圧力が減少側に変更されると、一次側通路41内の液体圧力(一次側圧力)が一定であっても弁体44の開度が開き側に制御される。これにより、リリーフ弁31を通過して流れる液体の流量が増え、当該リリーフ弁31による圧力開放(圧力リリース)の程度が増える。言い換えれば、操作エア圧力を減少させることにより、主供給ライン12内の液体圧力を減少側に制御することが可能となる。なお、リリーフ弁31の構成として、電空レギュレータ32を一体化させて設けることも可能である。
【0047】
図1の説明に戻り、圧力制御部30において、圧力センサ33からの圧力検出信号はコントローラ35に逐次入力される。コントローラ35は、前記圧力検出信号から算出した液体圧力(実圧力)に基づいて、電空レギュレータ32から排出される操作エアの圧力を調整する。電空レギュレータ32によって操作エア圧力が調整されることにより、主供給ライン12の液体圧力(リリーフ弁31の一次側圧力)が都度の設定圧力に制御される。なおこのとき、設定圧力は、作業者による外部入力によって設定されるか、或いは都度の最適値となるようにコントローラ35の演算処理によって設定されるとよい。
【0048】
また、コントローラ35は、分岐ライン制御装置25から分岐ライン開閉信号を入力し、その分岐ライン開閉信号に基づいて各分岐ラインの開閉状況を把握する。例えば、分岐ライン開閉信号に基づいて、分岐ライン数を増加又は減少させるためのライン開閉要求の有無を判定する。
【0049】
ところで、上記構成の液体供給システムでは、主供給ライン12内の液体圧力を都度の設定圧力(目標値)に収束させる圧力フィードバック制御が実行される。より具体的には、例えばPID、PI等の制御手法を用い、設定圧力と実圧力(圧力センサ31による計測圧力)との偏差に基づいて電空レギュレータ32に対する制御指令値が算出されるとともに、該制御指令値に基づく信号出力により圧力制御が行われる。上記のフィードバック制御により、任意の分岐ラインLN1〜LNnを通じて液体が流れることによって主供給ライン12の液体圧力が変化しても、その後速やかに元の設定圧力に復帰できるようになっている。
【0050】
ここで、上記システムでは、複数の分岐ラインLN1〜LNnのうちいずれが開放されるかは任意に切り換えられ、分岐ラインの開放数が増加又は減少する場合には、主供給ライン12内の液体圧力に変動が生じる。具体的には、図3(a)に示すように、分岐ラインLNiが新たに開放されることでライン開放数が増える場合、分岐ラインLNiの開放によって同分岐ラインLNiに主供給ライン12から液体が流入するため、主ライン圧力(主供給ライン12内の液体圧力)が低下する。ただしこのとき、主ライン圧力の低下により圧力偏差(図のΔP)が生じるため、その圧力偏差を解消すべく圧力フィードバック制御が実行され、電空レギュレータ32により調整される操作エア圧力が上昇する。これにより、主ライン圧力が次第に設定圧力に復帰する。
【0051】
上記とは逆に、分岐ラインLNiが閉鎖されることで分岐ラインの開放数が減る場合には、図3(b)に示すように、分岐ラインLNiへの液体の流出が停止されることで主ライン圧力が一時的に上昇し、その後圧力フィードバック制御によって操作エア圧力が降下することで次第に設定圧力に復帰する。
【0052】
上記のように分岐ラインの増減に伴い圧力変動が生じる場合、その圧力変動後には圧力フィードバック制御(設定圧力と実圧力との偏差に基づくフィードバック制御)によって圧力偏差が生じている状態が次第に解消されるが、一時的であるにしろ圧力変動が生じ、その改善が望まれる。
【0053】
主ライン圧力変動の対策として本実施形態では、分岐ラインの開放数を増加又は減少する場合に、そのライン数の増加・減少と同時に操作エア圧力の増減調整を実施する。具体的には、図4(a)に示すように、分岐ラインLNiが新たに開放されることでライン開放数が増える場合、そのライン開放と同時に操作エア圧力を所定の設定値Aだけ一気に上昇させる。これにより、ライン開放と同時に操作エア圧力を上昇させることを行わず圧力フィードバック制御のみを実行する場合(図の一点鎖線)に比べて、主ライン圧力の変動量が少なく、かつ設定値への復帰を早めることができる。
【0054】
なお、図示のようにわずかではあるが圧力変動が生じた場合には、都度の圧力偏差(図のΔP)に基づいて圧力フィードバック制御が実行され、それに伴い操作エア圧力が上昇する。
【0055】
また、図4(b)に示すように、分岐ラインLNiが閉鎖されることでライン開放数が減る場合には、そのライン閉鎖と同時に操作エア圧力を所定の設定値Aだけ一気に下降させる。これによりやはり、ライン閉鎖と同時に操作エア圧力を下降させることを行わず圧力フィードバック制御のみを実行する場合(図の一点鎖線)に比べて、主ライン圧力の変動量が少なく、かつ設定値への復帰を早めることができる。
【0056】
ここで、分岐ラインLNiが新たに開放又は閉鎖される際に操作エア圧力をどの値に制御するか、すなわち上述した設定値Aを如何なる値にするかは、分岐ラインの開放数の増減により主ライン圧力がどの程度変動するかを予測して決定されることが望ましい。本実施形態では、分岐ラインの増減数(同時に開閉されるライン数)と操作エア圧力の増減量とをあらかじめ規定した操作エア圧力制御量データを用意しておき、その操作エア圧力制御量データに基づいて都度の設定値Aを決定する。図5(a)には操作エア圧力制御に関するマップデータを示しており、分岐ラインの増減数(±1,±2,・・・±n)ごとに操作エア圧力の増減量(α1,α2,・・・αn)が規定されている。このとき、分岐ラインの増減数が多いほど、操作エア圧力の増減量として大きい値が規定されている。
【0057】
ちなみに、各分岐ラインLN1〜LNnの通路開口面積がいずれも同一である場合には、単純に分岐ラインの増減数ごとに操作エア圧力の増減量を規定することが可能となるが、各分岐ラインLN1〜LNnの通路開口面積が同一でない場合には、分岐ラインごとに、開閉した時の操作エア圧力の増減量を規定しておくことが望ましい。つまり、図5(b)に示すように、分岐ライン番号(LN1,LN2,・・・LNn)ごとに操作エア圧力の増減量(β1,β2,・・・βn)を規定しておく。かかる場合、例えば、分岐ラインLN1,LN2を同時に開放するのであれば、操作エア圧力の増減量を「β1+β2」とする。
【0058】
図5(a),(b)の各データはあらかじめ適合等により求められ、コントローラ35内のメモリ35bに記憶保持されている。
【0059】
図6は、液体圧力制御処理の手順を示すフローチャートであり、本処理は、コントローラ35によって所定の時間周期で繰り返し実行される。
【0060】
図6において、ステップS11では、主供給ライン12内の液体圧力についてPID等によるフィードバック演算により操作エア圧力の基本制御値を算出する。詳しくは、都度の設定圧力と実圧力(圧力センサ31による計測圧力)との偏差を算出するとともに、その偏差に基づいて電空レギュレータ32の操作エア圧力の基本制御値を算出する。
【0061】
その後、ステップS12では、今回、分岐ラインの開閉要求があったか否かを判定する。この判定は、分岐ライン制御装置25から入力した分岐ライン開閉信号に基づいて行われ、分岐ライン数を増加させる要求、又は減少させる要求があった場合に肯定判定がなされる。
【0062】
ライン開閉要求が無ければステップS13に進み、前記算出した操作エア圧力の基本制御値をそのまま電空レギュレータ32の制御指令値として算出する(制御指令値=基本制御値)。
【0063】
また、ライン開閉要求が有ればステップS14に進む。ステップS14では、分岐ライン制御装置25から入力した分岐ライン開閉信号に基づいて今回の開閉要求により増減される分岐ライン数を算出する。このとき、分岐ラインの増減数として「+1」,「−1」といった数値が算出される。
【0064】
その後、ステップS15では、都度の分岐ラインの増減数に基づいて操作エア圧力の増減量を算出するとともに、その増減量に応じた増減補正値を算出する。このとき、図5(a)に示す操作エア圧力制御量データを参照して操作エア圧力の増減量が算出され、その増減量に対応させて増減補正値が算出される。なおこのとき、図5(b)に示す操作エア圧力制御量データを参照して操作エア圧力の増減量が算出され、その増減量に対応させて増減補正値が算出される構成であってもよい。
【0065】
その後、ステップS16では、前記ステップS11で算出した操作エア圧力の基本制御値に前記ステップS15で算出した増減補正値を加算して電空レギュレータ32の制御指令値を算出する(制御指令値=基本制御値+増減補正値)。
【0066】
最後にステップS17では、ステップS13又はS16で算出した制御指令値に相当するレギュレータ駆動信号を電空レギュレータ32に出力する。これにより、電空レギュレータ32の操作エア圧力が適宜調整される。
【0067】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0068】
各分岐ラインの開閉要求に際し、その分岐ラインの開閉に同期させて電空レギュレータ32の駆動を制御する構成としたため、分岐ラインの開放数が変更されることでその分岐ラインの流量変化が生じても、その流量変化が原因で生じる主供給ライン12内の圧力変動を抑制することができる。また本構成では、分岐ラインLN1〜LNnごとに圧力センサやレギュレータ等を設置する必要がないため、構成の簡素化が実現できる。以上により、構成の煩雑化を回避しつつ、液体圧力を望み通りに適正に制御することができる。これにより、各分岐ラインLN1〜LNnを介して流れる液体の流量変動が抑制でき、複数の洗浄装置に対して液体(洗浄液)を安定供給することができる。
【0069】
分岐ライン制御装置25が電磁弁23に対して開閉駆動信号を出力するタイミングと圧力制御部30のコントローラ35に対して分岐ライン開閉信号を出力するタイミングとを同時とするとともに、コントローラ35が分岐ライン開閉信号に基づいて各分岐ラインの開閉要求を判定する構成としたため、分岐ラインの開閉と電空レギュレータ32の駆動制御とを同期させて行わせることが可能となる。なおこのとき、分岐ラインの開閉と電空レギュレータ32の駆動制御とを同時に実行する以外に、それらを、あらかじめ定めた時間だけ前後にずらして実行することも可能である。
【0070】
また、圧力フィードバック制御を組み合わせて実行する構成としたため、分岐ラインの開閉に伴い一時的に圧力変動が生じたとしてもその圧力変動をいち早く解消できる。
【0071】
分岐ラインの増減数(同時に開閉されるライン数)と操作エア圧力の増減量との関係を規定した操作エア圧力制御量データを記憶しておき、その制御量データを参照して電空レギュレータ32の駆動を制御する構成としたため、同時に開閉される分岐ラインの数がいずれであっても、分岐ラインの開閉時における主供給ライン12内の圧力変動を好適に抑制することができる。このとき、操作エア圧力制御量データをメモリ35b内にあらかじめ記憶しておくことで、システムの稼働状況に関する各種パラメータに応じて操作エア圧力の増減量を都度算出する構成に比して、圧力制御を簡易に実施できる。
【0072】
なお、分岐ライン番号ごとに操作エア圧力の増減量を規定しておく構成であれば、開放時における流量が分岐ラインごとに相違していても、同様に分岐ラインの開閉時における主供給ライン12内の圧力変動を好適に抑制することができる。
【0073】
電空レギュレータ32の操作エア圧力(パイロット圧)を制御することでリリーフ弁31の開弁状態が調整され、それに伴いリリーフ弁31の一次側圧力(すなわち、各分岐ラインLN1〜LNnの分岐点よりも下流側の液体圧力)を適正に制御することができる。したがって、各分岐ラインLN1〜LNnにおける液体圧力や流量が安定する。
【0074】
各分岐ラインLN1〜LNnの分岐点よりも下流側に圧力制御部30を設けたため、仮に該圧力制御部30のリリーフ弁31でパーティクル(ゴミ等)が発生したとしても、そのパーティクルが各分岐ラインLN1〜LNnに流入することはない。したがって、液体の清浄さを保つ上でも有利であると言える。
【0075】
上記システムによれば、半導体製品や化学製品等の製造に際し、好適なる洗浄作業等が実現できる。そのため、生産性の向上や品質の安定などの効果も期待できる。また、装置立ち上げ時の分岐ラインの流量の調整等が簡単になるという効果も期待できる。
【0076】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、複数の分岐ラインLN1〜LNiについてそのライン開放又は閉鎖に伴い実際にどれだけのアクチュエータ制御量(操作エア圧力)が必要になるかをティーチング処理により取得し、そのティーチング処理により取得したティーチングデータを用いて電空レギュレータ32の駆動を制御する。
【0077】
ティーチング処理について具体的には、複数の分岐ラインLN1〜LNiのいずれを開閉させるかを指令し、その指令後において圧力フィードバック制御を実行してその時のフィードバック制御量を取得する。このとき、分岐ラインの開閉に同期させて行われる電空レギュレータ32の駆動制御(図6のステップS14〜S16)を停止した状態で圧力フィードバック制御を実行することにより、分岐ラインの開閉によって実際にどれだけフィードバック制御量(実制御量)を要するかを正確に把握できる。これにより、良好なティーチングデータが得られる。そして、同データを都度の分岐ラインの開閉指令に対応づけて記憶する。なお本実施形態では、メモリ35bの少なくとも一部として、EEPROM等、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを用いる構成としており、そのEEPROM等にティーチングデータが記憶される。ティーチングデータが記憶されるメモリとして、外部記憶媒体を用いることも可能である。
【0078】
ティーチングデータの取得は、システム立ち上げ時に実行される他、システム立ち上げ後において定期又は非定期で繰り返し実行される。工場で本システムを稼働させる場合には、例えば日ごとの始業前に実行されてもよい。ティーチングデータが既にメモリ35bに記憶されている場合には、それまでのティーチングデータが新たなティーチングデータによって更新される。
【0079】
図7は、ティーチング処理の手順を示すフローチャートであり、本処理は、コントローラ35によって所定の時間周期で繰り返し実行される。
【0080】
図7において、ステップS21では、複数の分岐ラインLN1〜LNiについて全ての開閉パターンのティーチングが終了したか否かを判定する。ティーチングが全パターン終了していれば、そのまま本処理を終了し、全パターン終了していなければ後続のステップS22に進む。
【0081】
ステップS22では、今回実行するティーチング処理における分岐ラインの開閉パターンを決定する。本実施形態では、複数の分岐ラインLN1〜LNiについて同時に開閉可能なライン数の全パターンを順次指令することとし、具体的には、1ライン開放、2ライン同時開放、・・・nライン同時開放(全ライン開放)の各パターンを用意しておき、それら各パターンを順に選択する。
【0082】
その後、ステップS23では、都度決定される開閉パターンに従い開閉弁21を開放動作させて分岐ラインを開放する旨を分岐ライン制御装置25に指令する。例えば、1ライン開放のパターンであれば、第1ラインLN1のみ開放させ、2ライン同時開放のパターンであれば、第1及び第2ラインLN1,LN2を同時に開放させる。
【0083】
その後、ステップS24では、PID等による圧力フィードバック制御を実行する。このフィードバック制御では、前述のとおり、都度の設定圧力と実圧力(圧力センサ31による計測圧力)との偏差に基づいて電空レギュレータ32の基本制御値を算出するとともに、その基本制御値を制御指令値として電空レギュレータ32の駆動を制御する。このとき、圧力フィードバック制御によってのみ電空レギュレータ32が制御されるため、開閉弁21の開放指令後には主ライン圧力に変動が生じ、その圧力変動を抑えるべくフィードバック制御が実行される(図3(a)参照)。
【0084】
ステップS25では、圧力フィードバック制御において算出されたフィードバック制御量をティーチングデータとして取得する。そして、ステップS26では、そのフィードバック制御量を、都度の分岐ラインの開閉パターン(開閉指令)に対応づけてメモリ35bに記憶する。このとき、メモリ35b内に、同じ開閉ライン数の制御量データが既に存在している場合には、その既存データが今回のティーチングデータにより更新される。なお、更新の許可条件を設定しておいてもよい。例えば、新旧データを比較し、その差が所定値以内である場合にのみ更新を許可する。
【0085】
上記ティーチングは、全ての開閉パターンのライン開放が完了するまで繰り返し実行される。そして、全ての開閉パターンのティーチングデータが揃った後に、そのティーチングデータを用いて前述の液体圧力制御処理(図6参照)が実行される。
【0086】
以上第2の実施形態によれば、システム稼働時において、ティーチング処理により得られたティーチングデータを用いて電空レギュレータ32の駆動制御を実行することができるため、その制御性を向上させることができる。この場合、分岐ライン開閉時の流量変化量が経時変化等に起因して変化したとしても、その変化に合わせた最適な制御が実現できる。
【0087】
(第3の実施形態)
第1の実施形態で説明したように、分岐ラインの開閉(開閉弁21の開閉動作)に同期させて電空レギュレータ32の駆動を制御すれば、理論上は圧力変動を生じさせなくすることが可能になると考えられるが、電空レギュレータ32の駆動が早すぎたり遅すぎたりすると、一時的であるが圧力変動が生じると考えられる。すなわち、開閉弁21が開閉されて分岐ラインの液体流量が変化するタイミングと、電空レギュレータ32が駆動されてその時の操作エア圧力によりリリーフ弁31が作動するタイミングとの関係によっては、増加側(正側)又は減少側(負側)の圧力変動が生じることとなる。その理由として、開閉弁21側又は圧力制御部30側の動作遅れ等が挙げられる。
【0088】
ここで、図8(a)に示すように、開閉弁21の開放と電空レギュレータ32の駆動とを同時に実行した際に、主ライン圧力(主供給ライン12内の液体圧力)が所定量K以上、減少側に変動した場合には、開閉弁21の開閉により分岐ラインの液体流量が変化するタイミングに対して、電空レギュレータ32の操作エア圧力によりリリーフ弁31が作動するタイミングが遅いと考えられる。かかる場合、図中に一点鎖線で示すように、電空レギュレータ32の駆動タイミングを早め、リリーフ弁31が作動するタイミングを早くする。これにより、主ライン圧力の減少側への変動を抑え、同圧力を一定圧力に保持できる。
【0089】
また、図8(b)に示すように、開閉弁21の開放と電空レギュレータ32の駆動とを同時に実行した際に、主ライン圧力(主供給ライン12内の液体圧力)が所定量K以上、増加側に変動した場合には、開閉弁21の開閉により分岐ラインの液体流量が変化するタイミングに対して、電空レギュレータ32の操作エア圧力によりリリーフ弁31が作動するタイミングが早いと考えられる。かかる場合、図中に一点鎖線で示すように、電空レギュレータ32の駆動タイミングを遅らせ、リリーフ弁31が作動するタイミングを遅くする。これにより、主ライン圧力の増加側への変動を抑え、同圧力を一定圧力に保持できる。
【0090】
図9は、電空レギュレータ32の駆動タイミング制御処理を示すフローチャートであり、本処理はコントローラ35によって所定の時間周期で繰り返し実行される。
【0091】
図9において、ステップS31では、分岐ラインの開放要求に伴い開閉弁21の開放と電空レギュレータ32の駆動とが実行された直後の主ライン圧力を読み込み、続くステップS32では、その主ライン圧力が所定量K以上、増加側又は減少側に変動したか否かを判定する。ステップS32が否定された場合にはそのまま本処理を終了し、ステップS32が肯定された場合にはステップS33に進む。
【0092】
ステップS33では、その圧力変動が減少側の変動であるか否かを判定する。そして、圧力変動が減少側であれば、電空レギュレータ32の駆動タイミングを所定時間だけ早くする(ステップS34)。また、圧力変動が増加側であれば、電空レギュレータ32の駆動タイミングを所定時間だけ遅くする(ステップS35)。電空レギュレータ32の駆動タイミングの変更は、次回の分岐ライン開閉から適用される。
【0093】
以上第3の実施形態によれば、電空レギュレータ32の駆動タイミングが適宜変更されるため、開閉弁21や電空レギュレータ32における動作遅れが原因で分岐ラインの開閉直後に一時的な圧力変動が生じても、次回以降のレギュレータ駆動時において圧力変動を抑制することができる。
【0094】
ちなみに、分岐ラインの閉鎖要求に応じて電空レギュレータ32を駆動させる際には、以下の構成が適用されるとよい。すなわち、分岐ラインの閉鎖要求に応じた電空レギュレータ32の駆動直後に増加側の圧力変化が検出された場合には、電空レギュレータ32の駆動タイミングを早くする。また、同じく閉鎖要求に応じた電空レギュレータ32の駆動直後に減少側の圧力変化が検出された場合には、電空レギュレータ32の駆動タイミングを遅くする。これにより、分岐ラインの閉鎖時において、主供給ライン12内における圧力変動をより適正に抑制できる。
【0095】
分岐ラインの開閉(開閉弁21の開閉動作)に同期させて電空レギュレータ32の駆動を制御しても一時的に圧力変動が生じる場合の対策として、以下の構成を採用してもよい。すなわち、レギュレータ駆動後における主ライン圧力の変化を検出し、該検出された圧力変化に基づいてレギュレータ駆動のための次回以降の制御量を補正する。
【0096】
図10は、電空レギュレータ32の制御量補正処理を示すフローチャートであり、本処理はコントローラ35によって所定の時間周期で繰り返し実行される。
【0097】
図10において、ステップS41では、分岐ラインの開放要求に伴い開閉弁21の開放と電空レギュレータ32の駆動とが実行された直後の主ライン圧力を読み込み、続くステップS42では、その主ライン圧力が所定量K以上、増加側又は減少側に変動したか否かを判定する。ステップS42が否定された場合にはそのまま本処理を終了し、ステップS42が肯定された場合にはステップS43に進む。
【0098】
ステップS43では、その圧力変動が減少側の変動であるか否かを判定する。そして、圧力変動が減少側であれば、レギュレータ制御量の補正値を大きくする(ステップS44)。また、圧力変動が増加側であれば、レギュレータ制御量の補正値を小さくする(ステップS45)。なお、補正値の初期値は0であり、ステップS42が肯定される度に、補正値の前回値に対して所定値が加算又は減算されて補正値が更新される。ステップS44,S45で算出した補正値は、次回の分岐ライン開閉から適用される。
【0099】
レギュレータ制御量が小さすぎる場合には、レギュレータ駆動直後に減少側に圧力変動が生じるが、次回以降のレギュレータ駆動時において上記補正値を用いてレギュレータ制御量を補正(増補正)することにより操作エア圧力の変化が大きくなり、その減少側の圧力変動が抑制される。また、レギュレータ制御量が大きすぎる場合には、レギュレータ駆動直後に増加側に圧力変動が生じるが、次回以降のレギュレータ駆動時において上記補正値を用いてレギュレータ制御量を補正(減補正)することにより操作エア圧力の変化が小さくなり、その増加側の圧力変動が抑制される。
【0100】
ちなみに、分岐ラインの閉鎖要求に応じて電空レギュレータ32を駆動させる際には、以下の構成が適用されるとよい。すなわち、分岐ラインの閉鎖要求に応じた電空レギュレータ32の駆動直後に増加側の圧力変化が検出された場合には、レギュレータ制御量の補正値を大きくする(操作エア圧力の変化を大きくする)。また、同じく閉鎖要求に応じた電空レギュレータ32の駆動直後に減少側の圧力変化が検出された場合には、レギュレータ制御量の補正値を小さくする(操作エア圧力の変化を小さくする)。これにより、分岐ラインの閉鎖時において、主供給ライン12内における圧力変動をより適正に抑制できる。
【0101】
(別の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0102】
上記各実施形態では、主供給ライン12において各分岐ラインLN1〜LNnの下流側に圧力制御部30を設けた構成について説明したが、これを図11のように変更する。図11では、主供給ライン12において各分岐ラインLN1〜LNnの分岐点よりも上流側に圧力制御部60を設けている。圧力制御部60は、主供給ライン12上に設けられるパイロット作動式の圧力レギュレータ61と、該レギュレータ61に供給する操作エアの圧力(パイロット圧)を調整する電空レギュレータ62と、主供給ライン12の液体圧力(圧力レギュレータ61の二次側圧力)を検出する圧力センサ63と、CPU65aやメモリ65b等を有するマイクロコンピュータよりなるコントローラ65とを具備している。
【0103】
圧力センサ63からの圧力検出信号はコントローラ65に逐次入力される。コントローラ65は、前記圧力検出信号から算出した液体圧力(実圧力)に基づいて、電空レギュレータ62から排出される操作エアの圧力を調整する。電空レギュレータ62によって操作エア圧力が調整されることにより、主供給ライン12の液体圧力(圧力調整弁61の二次側圧力)が都度の設定圧力に制御される。また、コントローラ65は、各分岐ラインの開閉要求に際し、その分岐ラインの開閉に同期させて電空レギュレータ62の駆動を制御する。ただしその詳細は、上記第1の実施形態におけるコントローラ35の処理内容と同様であるため、ここではその説明を割愛する。
【0104】
上記構成においても、上記第1の実施形態と同様に、構成の煩雑化を回避しつつ、液体圧力を望み通りに適正に制御することができる。これにより、各分岐ラインLN1〜LNnを介して流れる液体の流量変動を抑制できる。
【0105】
上記実施形態では、分岐ライン制御装置25から出力される分岐ライン開閉信号が圧力制御部30のコントローラ35に入力され、コントローラ35が、分岐ライン開閉信号に基づいて各分岐ラインの開閉要求の有無を判定したが、これを変更する。例えば、分岐ライン制御装置25から電磁弁23に対して出力される開閉駆動信号をコントローラ35に対しても同様に出力し、コントローラ35が、その開閉駆動信号に基づいて各分岐ラインの開閉要求の有無を判定する構成であってもよい。また、コントローラ35が、いずれの分岐ラインLN1〜LNnで液体を流通させるかを集中管理するとともに、分岐ラインの開放数を変更する際に自身で開閉要求有りと判定する構成としてもよい。
【0106】
上記実施形態では、液体圧力制御として圧力フィードバック制御を実行する構成としたが、その圧力フィードバック制御を実行しない構成としてもよい。この場合、圧力フィードバック制御を実行しなくても、上記のとおり各分岐ラインの開閉要求時に、その開閉に伴う分岐ラインの流量変化分に相当するアクチュエータ制御量を算出するとともに、分岐ラインの開閉に同期させてアクチュエータ制御量に基づいて電空レギュレータ32の駆動を制御することにより、主供給ライン12内の液体圧力を適正に制御することができる。かかる構成によれば、圧力センサ33が不要となり、コスト低減を図ることができる。
【0107】
上記第2の実施形態では、ティーチング処理において、複数の分岐ラインLN1〜LNiについて同時に開閉可能なライン数の全パターンを順次指令する構成としたが(図7のステップS22)、これを変更し、複数の分岐ラインLN1〜LNnについて当該分岐ラインを1つずつ開放又は閉鎖させる旨を順次指令する構成としてもよい。これにより、要求に伴い開閉される全ての分岐ラインについて個別にティーチングデータの取得が可能となる。この場合、仮に分岐ラインごとに開放時の液体流量が相違していても、又は個体差があったとしても、それに対処させて好適にティーチングデータを取得できる。
【0108】
上記第2の実施形態では、アクチュエータ制御量(操作エア圧力の調整量)のティーチングに際し、圧力制御部30のコントローラ35が、分岐ラインの開閉パターンを決定するとともに、その開閉パターンに従い分岐ライン制御装置25に対して開閉指令を出す構成としたが、これを変更する。例えば、アクチュエータ制御量(操作エア圧力の調整量)のティーチングに際し、分岐ライン制御装置25が、分岐ラインの開閉パターンを決定するとともに、その開閉パターンに従いコントローラ35に対して開閉指令を出す構成としてもよい。
【0109】
各分岐ラインLN1〜LNnにおける開口面積(すなわち、開閉弁21の開度)を可変に調整できる構成とし、各分岐ラインLN1〜LNnが開閉される際に、それら各分岐ラインの開口面積(開閉弁21の開度)に基づいて電空レギュレータ32の制御量を決定する構成としてもよい。例えば、分岐ラインの開口面積が全開時面積より小さい場合には、その分を加味して電空レギュレータ32の制御量を減補正する。
【0110】
主供給ライン12に設けられるポンプ13(圧送手段)として、調量機能を有するポンプを用い、分岐ラインの開放数に応じて当該ポンプによる液体吐出量を調整するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】第1の実施形態における液体供給システムの概略を示す構成図。
【図2】リリーフ弁の構成を示す断面図。
【図3】分岐ラインの開閉時に主ライン圧力の変動が生じることを説明するためのタイムチャート。
【図4】液体圧力制御の概要を具体的に説明するためのタイムチャート。
【図5】操作エア圧力制御に関するマップデータを示す図。
【図6】液体圧力制御処理の手順を示すフローチャート。
【図7】第2の実施形態においてティーチング処理の手順を示すフローチャート。
【図8】第3の実施形態において電空レギュレータの駆動タイミング制御の概要を説明するためのタイムチャート。
【図9】第3の実施形態において電空レギュレータの駆動タイミング制御処理を示すフローチャート。
【図10】第3の実施形態において電空レギュレータの制御量補正処理を示すフローチャート。
【図11】別の実施形態における液体供給システムの概略を示す構成図。
【図12】従来技術における液体供給システムの概略を示す構成図。
【符号の説明】
【0112】
11…液体タンク、12…主供給ライン、13…ポンプ、21…開閉弁、30…圧力制御部、31…リリーフ弁、32…電空レギュレータ、33…圧力センサ、35…コントローラ、35b…メモリ、60…圧力制御部、61…レギュレータ、62…電空レギュレータ、63…圧力センサ、65…コントローラ、65b…メモリ、LN1〜LNn…分岐ライン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製品や化学薬品等の製造に際し、その製造に使用する薬品等の液体を複数のユースポイントに分配供給するための液体供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製品や化学薬品等の製造工場では、薬品等の液体をタンク等の供給源から汲み上げ、流通ラインを通じて循環させるとともに、複数のユースポイントに分配供給するシステムが用いられている。そのシステムの概要を図12により説明する。
【0003】
図12に示すように、液体タンク71には主供給ライン72が接続されており、液体タンク71内の液体はポンプ73によって汲み上げられた後、主供給ライン72を通じて循環する。主供給ライン72には複数の分岐ライン74が接続され、その分岐ライン74ごとに開閉弁75と可変絞り76とが設けられている。かかる構成において、各分岐ライン74のいずれかの開閉弁75が開放されることにより所定のユースポイントに対して液体が供給される。また、主供給ライン72において各分岐ライン74の下流側には、液体圧力を検出する圧力計77と、液体圧力を開放するためのリリーフ弁78とが設けられている。
【0004】
上記構成のシステムでは、単一の液体圧送系を有する構成で多数のユースポイントへの液体供給が可能となる。またこのとき、分岐ラインの設定数の範囲内において任意の数のユースポイントに同時に液体を分配供給することができる。
【0005】
しかしながら、上記従来のシステムでは、各分岐ライン74が任意に開放されると、その分各分岐ライン74を通じて流出する液体の総流量が変化する。そのため、主供給ライン72を流れる液体圧力が変動し、結果として各分岐ラインにおける液体流量の変動が生じることとなる。これにより、各ユースポイントに給送される液体流量が変動してしまう。
【0006】
その対策として、分岐ライン74ごとに圧力センサや圧力調整弁(レギュレータ)等を設置し、個別に圧力調整を行うことが考えられる。しかしながら、かかる場合には構成の煩雑化を招いてしまい、設置スペースやコスト面で課題が残る。ちなみに、液体の吐出流量をフィードバック制御により安定させるための技術としては、特許文献1等が知られている。
【特許文献1】特開平7−232113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、複数のユースポイントへの液体の分配供給を可能とする液体供給システムにおいて、構成の煩雑化を回避しつつ、液体圧力を望み通りに適正に制御することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施の形態において対応する構成例を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0009】
手段1.液体を流通させる液体通路(主供給ライン12)と、
該液体通路の途中に設けられ前記液体を圧送する圧送手段(ポンプ13)と、
前記液体通路から分岐させて設けられた複数の分岐通路(分岐ラインLN1〜LNn)と、
前記液体通路の途中に設けられ同液体通路内の液体圧力を調整する圧力調整用アクチュエータ(リリーフ弁31、電空レギュレータ32等)と、
を備え、前記複数の分岐通路を個別に開放又は閉鎖し、開放された分岐通路を通じて前記液体通路から液体を流通させる液体供給システムにおいて、
各分岐通路の開放又は閉鎖が要求される場合に、その開放又は閉鎖に伴う前記分岐通路の流量変化分に相当する前記圧力調整アクチュエータの制御量を算出する制御量算出手段(コントローラ35)と、
前記分岐通路の開閉に同期させて、前記制御量算出手段により算出したアクチュエータ制御量に基づいて前記圧力調整用アクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段(コントローラ35)と、
を備えることを特徴とする液体供給システム。
【0010】
手段1の液体供給システムでは、液体通路から分岐する複数の分岐通路が設けられており、この分岐通路によって、複数の液体供給先(ユースポイント)に液体が分配供給されるようになっている。かかる構成では、分岐通路の開放数が変更されることに伴い、開放状態の分岐通路を通じて流れる液体の流量が変化すると、前記液体通路内において圧力変動が生じうると考えられる。この点本発明では、上記のとおり各分岐通路の開放又は閉鎖が要求される場合に、その開放又は閉鎖に伴う分岐通路の流量変化分に相当するアクチュエータ制御量を算出するとともに、分岐通路の開閉に同期させてそのアクチュエータ制御量に基づいて圧力調整用アクチュエータの駆動を制御することにより、分岐通路の開放数が変更されることでその分岐通路の流量変化が生じても、その流量変化が原因で生じる液体通路内の圧力変動を抑制することができる。また本構成では、分岐通路ごとに圧力センサや圧力調整弁(レギュレータ)等を設置する必要がないため、構成の簡素化が実現できる。以上により、構成の煩雑化を回避しつつ、液体圧力を望み通りに適正に制御することができる。これにより、各分岐通路を介して流れる液体の流量が安定する。
【0011】
手段2.同時に開閉される前記分岐通路の数と前記アクチュエータ制御量との関係を規定した制御量データを記憶装置(メモリ35b)に記憶しておき、
前記制御量算出手段は、前記要求に伴う分岐通路の開閉に際し、前記制御量データを参照して前記アクチュエータ制御量を算出することを特徴とする手段1に記載の液体供給システム。
【0012】
要求に伴い同時に開閉される分岐通路の数が相違すれば、その開閉に伴う分岐通路の流量変化量が変わり、さらに液体通路内における圧力変動の状況も変わる。この点、上記のとおり制御量データを規定しておき、同制御量データを参照してアクチュエータ制御量を算出する構成とすることで、同時に開閉される分岐通路の数がいずれであっても、分岐通路の開閉時における液体通路内の圧力変動を好適に抑制することができる。
【0013】
なお、上記のように同時に開閉される分岐通路の数をパラメータとする構成は、複数の分岐通路についてそれらの通路断面積がいずれも同一である場合に有効な手段になると考えられる。
【0014】
手段3.前記複数の分岐通路について開閉に伴う流量変化分に相当する前記アクチュエータ制御量を分岐通路ごとに規定した通路別データを記憶装置(メモリ35b)に記憶しておき、
前記制御量算出手段は、前記要求に伴う分岐通路の開閉に際し、前記通路別データを参照して前記アクチュエータ制御量を算出することを特徴とする手段1に記載の液体供給システム。
【0015】
複数の分岐通路について開閉に伴う流量変化量が通路ごとに相違することも考えられる。この点、上記のとおり通路別データを規定しておき、同通路別データを参照してアクチュエータ制御量を算出する構成とすることで、分岐通路ごとに流量が相違していても、分岐通路の開閉時における液体通路内の圧力変動を好適に抑制することができる。
【0016】
なお、複数の分岐通路が同時に開閉される場合には、同時に開閉される分岐通路ごとの各アクチュエータ制御量を加算することで、最終のアクチュエータ制御量を算出するとよい。例えば第1分岐通路の開閉に伴う流量変化分に相当するアクチュエータ制御量がβ1、第2分岐通路の開閉に伴う流量変化分に相当するアクチュエータ制御量がβ2であり、それら第1,第2分岐通路が同時に開放(又は閉鎖)される場合には、アクチュエータ制御量が「β1+β2」として算出される。
【0017】
手段4.前記液体通路内の液体圧力を検出する圧力検出手段(圧力センサ33)と、
前記圧力検出手段により検出した液体圧力が目標値に一致するよう前記圧力調整用アクチュエータの制御量をフィードバック制御するフィードバック制御手段(コントローラ35)と、
をさらに備えることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の液体供給システム。
【0018】
既述のとおり要求に伴う分岐通路の開閉に際してその開閉に同期させて圧力調整用アクチュエータの駆動を制御することにより、液体通路内の圧力変動が大幅に抑制されると考えられるが、一時的であるにしろ同液体通路内で圧力変動が生じることも想定される。この点、フィードバック制御を組み合わせて実行することにより、仮に一時的に圧力変動が生じてもその圧力変動をいち早く解消できる。
【0019】
手段5.前記複数の分岐通路について少なくともいずれかを開閉させる旨指令する開閉指令手段(コントローラ35)と、
前記開閉指令手段による指令後において前記アクチュエータ制御手段による圧力調整用アクチュエータの制御を停止した状態で前記フィードバック制御手段によるフィードバック制御を実行し、同フィードバック制御によって求められた実制御量(フィードバック制御量)を、都度の分岐通路の開閉指令に対応づけて記憶する制御量記憶手段(コントローラ35)と、を備え、
前記制御量算出手段は、前記制御量記憶手段により記憶した実制御量を用いて都度のアクチュエータ制御量を算出することを特徴とする手段4に記載の液体供給システム。
【0020】
手段5によれば、アクチュエータ制御手段による制御(すなわち、分岐通路の開閉に同期させて行われる圧力調整用アクチュエータの駆動制御)を停止した状態で液体通路内の液体圧力をフィードバック制御することにより、要求に伴う分岐通路の開閉によって実際にどれだけアクチュエータ制御量(実制御量)を要するかを正確に把握できる。つまりこれにより、ティーチング処理を適正に行い、アクチュエータ制御量(実制御量)について良好なティーチングデータを得ることができる。そして、システム稼働時には、そのティーチングデータを用いることにより、圧力調整用アクチュエータを最適なアクチュエータ制御量で制御することができる。この場合、各分岐通路の開閉時の流量変化量が経時変化等に起因して変化したとしても、その変化に合わせた最適な制御が実現できる。
【0021】
なお、ティーチングデータの取得は、システム立ち上げ時に実行される他、システム立ち上げ後において定期又は非定期で繰り返し実行されるとよい。既にティーチングデータが記憶されている場合には、それまでのティーチングデータが新たなティーチングデータによって更新される。
【0022】
手段6.前記開閉指令手段は、前記複数の分岐通路について同時に開閉可能な分岐通路の数分の全パターンを順次指令することを特徴とする手段5に記載の液体供給システム。
【0023】
これにより、同時に開閉可能な分岐通路の数分の全パターンについて実制御量(ティーチングデータ)の取得が可能となる。
【0024】
手段7.前記開閉指令手段は、前記複数の分岐通路について当該分岐通路を1つずつ開放又は閉鎖させる旨を順次指令することを特徴とする手段5に記載の液体供給システム。
【0025】
これにより、要求に伴い開閉される全ての分岐通路について個別に実制御量(ティーチングデータ)を取得できる。この場合、仮に分岐通路ごとに開放時の液体流量が相違していても、又は個体差があったとしても、それに対処させて好適に実制御量(ティーチングデータ)を取得できる。
【0026】
手段8.前記アクチュエータ制御手段によるアクチュエータ駆動後における前記液体通路内の圧力変化を検出する圧力変化検出手段(コントローラ35)と、
該圧力変化検出手段により検出された圧力変化に基づいて、前記アクチュエータ制御手段による前記圧力調整用アクチュエータの駆動タイミングを変更するタイミング制御手段(コントローラ35)と、
をさらに備えることを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の液体供給システム。
【0027】
ここで、上記のごとく分岐通路の開閉に同期させて圧力調整用アクチュエータの駆動を制御すれば、液体通路内の圧力変動を十分に抑制することが可能であるが、その圧力調整用アクチュエータの駆動が早すぎたり遅すぎたりすると、一時的であるが圧力変動が生じると考えられる。これは、圧力調整用アクチュエータの動作遅れ等が原因であると考えられる。この点、手段8によれば、圧力調整用アクチュエータを駆動させるタイミングが適宜変更されるため、分岐通路の開閉直後に一時的な圧力変動が生じても、次回以降のアクチュエータ駆動時において圧力変動を抑制することができる。
【0028】
手段9.前記タイミング制御手段は、前記分岐通路の開放要求時において前記圧力変化検出手段により減少側の圧力変化が検出された場合にはアクチュエータ駆動タイミングを早くし、同じく開放要求時において前記圧力変化検出手段により増加側の圧力変化が検出された場合にはアクチュエータ駆動タイミングを遅くすることを特徴とする手段8に記載の液体供給システム。
【0029】
上記構成によれば、分岐通路の開放要求時において、アクチュエータ駆動タイミングを早くすることで、同アクチュエータによる圧力調整(ここでは液体圧力の低下を抑制する圧力調整)をいち早く効かせることができる。これにより、液体通路内における減少側の圧力変化を抑えることができる。また、同じく開放要求時において、アクチュエータ駆動タイミングを遅くすることで、同アクチュエータによる圧力調整(ここでは液体圧力の上昇を抑制する圧力調整)をいち早く効かせることができる。これにより、液体通路内における増加側の圧力変化を抑えることができる。
【0030】
ちなみに、分岐通路の閉鎖要求に応じて圧力調整用アクチュエータを駆動させる際には、以下の構成が適用される。すなわち、前記分岐通路の閉鎖要求時において前記圧力変化検出手段により増加側の圧力変化が検出された場合にはアクチュエータ駆動タイミングを早くし、同じく閉鎖要求時において前記圧力変化検出手段により減少側の圧力変化が検出された場合にはアクチュエータ駆動タイミングを遅くする。これにより、分岐通路の閉鎖時において、液体通路内における圧力変動をより適正に抑制できる。
【0031】
手段10.前記アクチュエータ制御手段によるアクチュエータ駆動後における前記液体通路内の圧力変化を検出する圧力変化検出手段(コントローラ35)と、
該圧力変化検出手段により検出された圧力変化に基づいて、前記アクチュエータ制御手段による次回以降のアクチュエータ制御量を補正する制御量補正手段(コントローラ35)と、
をさらに備えることを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の液体供給システム。
【0032】
上記のごとく分岐通路の開閉に同期させて圧力調整用アクチュエータの駆動を制御した際に、一時的に圧力変動が生じる場合、その一理由として、アクチュエータ制御量が大きすぎる、又は小さすぎると考えられる。この点、手段10によれば、圧力調整用アクチュエータの制御量が適宜変更されるため、分岐通路の開閉直後に一時的な圧力変動が生じても、次回以降のアクチュエータ駆動時において圧力変動を抑制することができる。
【0033】
手段11.前記圧力調整用アクチュエータとして、前記液体通路において各分岐通路の分岐点よりも下流側に設けられたパイロット作動式のリリーフ弁(リリーフ弁31)と、該リリーフ弁に作用するパイロット圧を調整するパイロット圧調整手段(電空レギュレータ32)とを備え、
前記制御量算出手段は、前記アクチュエータ制御量として、前記分岐通路の開閉に伴う圧力変化を解消するためのパイロット圧に相当する制御量を算出することを特徴とする手段1乃至10のいずれかに記載の液体供給システム。
【0034】
手段11によれば、パイロット圧調整手段によるパイロット圧を制御することでリリーフ弁による圧力開放(圧力リリース)の程度が変更され、それに伴いリリーフ弁の一次側圧力(すなわち、リリーフ弁よりも上流側の液体圧力)を適正に制御することができる。したがって、各分岐通路における液体圧力や流量が安定する。
【0035】
上記のように各分岐通路の分岐点よりも下流側で圧力制御を行う構成では、仮にリリーフ弁でパーティクル(ゴミ等)が発生したとしても、そのパーティクルが各分岐通路に流入することはない。したがって、液体の清浄さを保つ上でも有利であると言える。
【0036】
手段12.前記圧力調整用アクチュエータとして、前記液体通路において各分岐通路の分岐点よりも上流側に設けられたパイロット作動式の圧力調整弁(圧力レギュレータ61)と、該圧力調整弁に作用するパイロット圧を調整するパイロット圧調整手段(電空レギュレータ62)とを備え、
前記制御量算出手段は、前記アクチュエータ制御量として、前記分岐通路の開閉に伴う圧力変化を解消するためのパイロット圧に相当する制御量を算出することを特徴とする手段1乃至10のいずれかに記載の液体供給システム。
【0037】
手段12によれば、パイロット圧調整手段によるパイロット圧を制御することで圧力調整弁による圧力調整の程度が変更され、それに伴い圧力調整弁の二次側圧力(すなわち、圧力調整弁よりも下流側の液体圧力)を適正に制御することができる。したがって、各分岐通路における液体圧力や流量が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。本実施形態における液体供給システムの概要を図1に基づいて説明する。図1の液体供給システムは、一例として、半導体製品や化学薬品等の製造時において複数の洗浄装置(ユースポイント)に洗浄液を分配供給するためのシステムを想定したものである。
【0039】
図1において、液体タンク11には液体として洗浄液が貯留されている。液体タンク11には配管等よりなる主供給ライン12が接続され、その主供給ライン12には、液体タンク11内の液体を汲み上げるとともに所定圧力でライン下流側に吐出(圧送)するポンプ13が設けられている。主供給ライン12は、液体タンク11を液体供給源として液体を循環させるものであり、ライン始端部及びライン終端部が共に液体タンク11に接続されている。本実施形態では、主供給ライン12が「液体通路」に相当し、ポンプ13が「圧送手段」に相当する。
【0040】
また、主供給ライン12には、当該ライン12を流通する液体を複数の洗浄装置等に分配供給するための複数の分岐ラインLN1,LN2,LN3,…,LNnが接続されている(例えばn=10)。分岐ラインLN1〜LNnは、通路開口面積がいずれも同一である複数の配管により構成されており、これが「分岐通路」に相当する。各々の分岐ラインLN1〜LNnには、当該分岐ラインを開閉して液体の通過を許可又は禁止する開閉弁21と、流量調整のための可変絞り22とがそれぞれ設けられている。各分岐ラインLN1〜LNnの開閉弁21は、空気圧力により開閉操作されるエアオペレートバルブにより構成されており、その開閉弁21ごとに設けられる電磁弁23の通電状態に応じて各開閉弁21に作用する空気圧力が調節され、それに伴い開閉弁21が開閉される。各分岐ラインLN1〜LNnのいずれかの開閉弁21が開放されると、その開状態の開閉弁21に対応する分岐ラインを通じて液体が流れる。
【0041】
各開閉弁21の開閉動作は、分岐ライン制御装置25により制御される。すなわち、分岐ライン制御装置25には、都度の作業工程などに基づきどの液体供給先(ユースポイント)に液体を供給するか(すなわち、どの分岐ラインを開放するか)を決定するための制御管理データが保存されており、分岐ライン制御装置25はその管理データに基づいてどの開閉弁21を開閉するか(すなわち、どの分岐ラインにて流体を流通させるか)を判断する。そして、その判断の結果に応じて各電磁弁23に対して開閉駆動信号を出力し、各開閉弁21を選択的に開放又は閉鎖させる。
【0042】
分岐ライン制御装置25によって各開閉弁21が開放又は閉鎖される場合、どの開閉弁21(分岐ライン)が開放又は閉鎖されるかを示す分岐ライン開閉信号が、後述する圧力制御部30のコントローラ35に送信されるようになっている。このとき、分岐ライン制御装置25は、電磁弁23に対して開閉駆動信号を出力するのと同時に、圧力制御部30のコントローラ35に対して分岐ライン開閉信号を出力する。
【0043】
また、主供給ライン12において各分岐ラインLN1〜LNnの分岐点よりも下流側には、本システムにおける液体圧力を制御するための圧力制御部30が設けられている。圧力制御部30は、主供給ライン12上に設けられるリリーフ弁31と、該リリーフ弁31に供給する操作エアの圧力を調整する電空レギュレータ32と、主供給ライン12の液体圧力(リリーフ弁31の一次側圧力)を検出する圧力センサ33と、CPU35aやメモリ35b等を有するマイクロコンピュータよりなるコントローラ35とを具備している。なお、リリーフ弁31及び電空レギュレータ32が圧力調整用アクチュエータに相当する。
【0044】
リリーフ弁31はパイロット作動式の圧力調整弁であり、その構成を図2により簡単に説明する。リリーフ弁31において、液体入口側である一次側通路41と液体出口側である二次側通路42との間には、ダイアフラム部43を一体的に有する弁体44が設けられ、弁体44の変位により一次側通路41及び二次側通路42を介しての液体の流通が阻止又は許容される。このとき、一次側通路41内の液体圧力(一次側圧力)がダイアフラム部43に作用することで弁体44が開側に変位し、一次側通路41内の液体が二次側通路42に流出する。
【0045】
また、リリーフ弁31には、外部から操作エアを導入する操作エア室46が設けられており、弁体44には前記一次側圧力と逆向きに操作エア室46内の圧力(操作エア圧力)が作用するようになっている。この操作エア圧力がパイロット圧に相当する。操作エア室46はエア入出ポート47に連通しており、電空レギュレータ32から供給される操作エアがエア入出ポート47を介して導入されることで操作エア圧力が可変調整される。
【0046】
この場合、操作エア圧力が増加側に変更されると、一次側通路41内の液体圧力(一次側圧力)が一定であっても弁体44の開度が閉じ側に制御される。これにより、リリーフ弁31を通過して流れる液体の流量が減り、当該リリーフ弁31による圧力開放(圧力リリース)の程度が減じられる。言い換えれば、操作エア圧力を増大させることにより、主供給ライン12内の液体圧力を増加側に制御することが可能となる。また、操作エア圧力が減少側に変更されると、一次側通路41内の液体圧力(一次側圧力)が一定であっても弁体44の開度が開き側に制御される。これにより、リリーフ弁31を通過して流れる液体の流量が増え、当該リリーフ弁31による圧力開放(圧力リリース)の程度が増える。言い換えれば、操作エア圧力を減少させることにより、主供給ライン12内の液体圧力を減少側に制御することが可能となる。なお、リリーフ弁31の構成として、電空レギュレータ32を一体化させて設けることも可能である。
【0047】
図1の説明に戻り、圧力制御部30において、圧力センサ33からの圧力検出信号はコントローラ35に逐次入力される。コントローラ35は、前記圧力検出信号から算出した液体圧力(実圧力)に基づいて、電空レギュレータ32から排出される操作エアの圧力を調整する。電空レギュレータ32によって操作エア圧力が調整されることにより、主供給ライン12の液体圧力(リリーフ弁31の一次側圧力)が都度の設定圧力に制御される。なおこのとき、設定圧力は、作業者による外部入力によって設定されるか、或いは都度の最適値となるようにコントローラ35の演算処理によって設定されるとよい。
【0048】
また、コントローラ35は、分岐ライン制御装置25から分岐ライン開閉信号を入力し、その分岐ライン開閉信号に基づいて各分岐ラインの開閉状況を把握する。例えば、分岐ライン開閉信号に基づいて、分岐ライン数を増加又は減少させるためのライン開閉要求の有無を判定する。
【0049】
ところで、上記構成の液体供給システムでは、主供給ライン12内の液体圧力を都度の設定圧力(目標値)に収束させる圧力フィードバック制御が実行される。より具体的には、例えばPID、PI等の制御手法を用い、設定圧力と実圧力(圧力センサ31による計測圧力)との偏差に基づいて電空レギュレータ32に対する制御指令値が算出されるとともに、該制御指令値に基づく信号出力により圧力制御が行われる。上記のフィードバック制御により、任意の分岐ラインLN1〜LNnを通じて液体が流れることによって主供給ライン12の液体圧力が変化しても、その後速やかに元の設定圧力に復帰できるようになっている。
【0050】
ここで、上記システムでは、複数の分岐ラインLN1〜LNnのうちいずれが開放されるかは任意に切り換えられ、分岐ラインの開放数が増加又は減少する場合には、主供給ライン12内の液体圧力に変動が生じる。具体的には、図3(a)に示すように、分岐ラインLNiが新たに開放されることでライン開放数が増える場合、分岐ラインLNiの開放によって同分岐ラインLNiに主供給ライン12から液体が流入するため、主ライン圧力(主供給ライン12内の液体圧力)が低下する。ただしこのとき、主ライン圧力の低下により圧力偏差(図のΔP)が生じるため、その圧力偏差を解消すべく圧力フィードバック制御が実行され、電空レギュレータ32により調整される操作エア圧力が上昇する。これにより、主ライン圧力が次第に設定圧力に復帰する。
【0051】
上記とは逆に、分岐ラインLNiが閉鎖されることで分岐ラインの開放数が減る場合には、図3(b)に示すように、分岐ラインLNiへの液体の流出が停止されることで主ライン圧力が一時的に上昇し、その後圧力フィードバック制御によって操作エア圧力が降下することで次第に設定圧力に復帰する。
【0052】
上記のように分岐ラインの増減に伴い圧力変動が生じる場合、その圧力変動後には圧力フィードバック制御(設定圧力と実圧力との偏差に基づくフィードバック制御)によって圧力偏差が生じている状態が次第に解消されるが、一時的であるにしろ圧力変動が生じ、その改善が望まれる。
【0053】
主ライン圧力変動の対策として本実施形態では、分岐ラインの開放数を増加又は減少する場合に、そのライン数の増加・減少と同時に操作エア圧力の増減調整を実施する。具体的には、図4(a)に示すように、分岐ラインLNiが新たに開放されることでライン開放数が増える場合、そのライン開放と同時に操作エア圧力を所定の設定値Aだけ一気に上昇させる。これにより、ライン開放と同時に操作エア圧力を上昇させることを行わず圧力フィードバック制御のみを実行する場合(図の一点鎖線)に比べて、主ライン圧力の変動量が少なく、かつ設定値への復帰を早めることができる。
【0054】
なお、図示のようにわずかではあるが圧力変動が生じた場合には、都度の圧力偏差(図のΔP)に基づいて圧力フィードバック制御が実行され、それに伴い操作エア圧力が上昇する。
【0055】
また、図4(b)に示すように、分岐ラインLNiが閉鎖されることでライン開放数が減る場合には、そのライン閉鎖と同時に操作エア圧力を所定の設定値Aだけ一気に下降させる。これによりやはり、ライン閉鎖と同時に操作エア圧力を下降させることを行わず圧力フィードバック制御のみを実行する場合(図の一点鎖線)に比べて、主ライン圧力の変動量が少なく、かつ設定値への復帰を早めることができる。
【0056】
ここで、分岐ラインLNiが新たに開放又は閉鎖される際に操作エア圧力をどの値に制御するか、すなわち上述した設定値Aを如何なる値にするかは、分岐ラインの開放数の増減により主ライン圧力がどの程度変動するかを予測して決定されることが望ましい。本実施形態では、分岐ラインの増減数(同時に開閉されるライン数)と操作エア圧力の増減量とをあらかじめ規定した操作エア圧力制御量データを用意しておき、その操作エア圧力制御量データに基づいて都度の設定値Aを決定する。図5(a)には操作エア圧力制御に関するマップデータを示しており、分岐ラインの増減数(±1,±2,・・・±n)ごとに操作エア圧力の増減量(α1,α2,・・・αn)が規定されている。このとき、分岐ラインの増減数が多いほど、操作エア圧力の増減量として大きい値が規定されている。
【0057】
ちなみに、各分岐ラインLN1〜LNnの通路開口面積がいずれも同一である場合には、単純に分岐ラインの増減数ごとに操作エア圧力の増減量を規定することが可能となるが、各分岐ラインLN1〜LNnの通路開口面積が同一でない場合には、分岐ラインごとに、開閉した時の操作エア圧力の増減量を規定しておくことが望ましい。つまり、図5(b)に示すように、分岐ライン番号(LN1,LN2,・・・LNn)ごとに操作エア圧力の増減量(β1,β2,・・・βn)を規定しておく。かかる場合、例えば、分岐ラインLN1,LN2を同時に開放するのであれば、操作エア圧力の増減量を「β1+β2」とする。
【0058】
図5(a),(b)の各データはあらかじめ適合等により求められ、コントローラ35内のメモリ35bに記憶保持されている。
【0059】
図6は、液体圧力制御処理の手順を示すフローチャートであり、本処理は、コントローラ35によって所定の時間周期で繰り返し実行される。
【0060】
図6において、ステップS11では、主供給ライン12内の液体圧力についてPID等によるフィードバック演算により操作エア圧力の基本制御値を算出する。詳しくは、都度の設定圧力と実圧力(圧力センサ31による計測圧力)との偏差を算出するとともに、その偏差に基づいて電空レギュレータ32の操作エア圧力の基本制御値を算出する。
【0061】
その後、ステップS12では、今回、分岐ラインの開閉要求があったか否かを判定する。この判定は、分岐ライン制御装置25から入力した分岐ライン開閉信号に基づいて行われ、分岐ライン数を増加させる要求、又は減少させる要求があった場合に肯定判定がなされる。
【0062】
ライン開閉要求が無ければステップS13に進み、前記算出した操作エア圧力の基本制御値をそのまま電空レギュレータ32の制御指令値として算出する(制御指令値=基本制御値)。
【0063】
また、ライン開閉要求が有ればステップS14に進む。ステップS14では、分岐ライン制御装置25から入力した分岐ライン開閉信号に基づいて今回の開閉要求により増減される分岐ライン数を算出する。このとき、分岐ラインの増減数として「+1」,「−1」といった数値が算出される。
【0064】
その後、ステップS15では、都度の分岐ラインの増減数に基づいて操作エア圧力の増減量を算出するとともに、その増減量に応じた増減補正値を算出する。このとき、図5(a)に示す操作エア圧力制御量データを参照して操作エア圧力の増減量が算出され、その増減量に対応させて増減補正値が算出される。なおこのとき、図5(b)に示す操作エア圧力制御量データを参照して操作エア圧力の増減量が算出され、その増減量に対応させて増減補正値が算出される構成であってもよい。
【0065】
その後、ステップS16では、前記ステップS11で算出した操作エア圧力の基本制御値に前記ステップS15で算出した増減補正値を加算して電空レギュレータ32の制御指令値を算出する(制御指令値=基本制御値+増減補正値)。
【0066】
最後にステップS17では、ステップS13又はS16で算出した制御指令値に相当するレギュレータ駆動信号を電空レギュレータ32に出力する。これにより、電空レギュレータ32の操作エア圧力が適宜調整される。
【0067】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0068】
各分岐ラインの開閉要求に際し、その分岐ラインの開閉に同期させて電空レギュレータ32の駆動を制御する構成としたため、分岐ラインの開放数が変更されることでその分岐ラインの流量変化が生じても、その流量変化が原因で生じる主供給ライン12内の圧力変動を抑制することができる。また本構成では、分岐ラインLN1〜LNnごとに圧力センサやレギュレータ等を設置する必要がないため、構成の簡素化が実現できる。以上により、構成の煩雑化を回避しつつ、液体圧力を望み通りに適正に制御することができる。これにより、各分岐ラインLN1〜LNnを介して流れる液体の流量変動が抑制でき、複数の洗浄装置に対して液体(洗浄液)を安定供給することができる。
【0069】
分岐ライン制御装置25が電磁弁23に対して開閉駆動信号を出力するタイミングと圧力制御部30のコントローラ35に対して分岐ライン開閉信号を出力するタイミングとを同時とするとともに、コントローラ35が分岐ライン開閉信号に基づいて各分岐ラインの開閉要求を判定する構成としたため、分岐ラインの開閉と電空レギュレータ32の駆動制御とを同期させて行わせることが可能となる。なおこのとき、分岐ラインの開閉と電空レギュレータ32の駆動制御とを同時に実行する以外に、それらを、あらかじめ定めた時間だけ前後にずらして実行することも可能である。
【0070】
また、圧力フィードバック制御を組み合わせて実行する構成としたため、分岐ラインの開閉に伴い一時的に圧力変動が生じたとしてもその圧力変動をいち早く解消できる。
【0071】
分岐ラインの増減数(同時に開閉されるライン数)と操作エア圧力の増減量との関係を規定した操作エア圧力制御量データを記憶しておき、その制御量データを参照して電空レギュレータ32の駆動を制御する構成としたため、同時に開閉される分岐ラインの数がいずれであっても、分岐ラインの開閉時における主供給ライン12内の圧力変動を好適に抑制することができる。このとき、操作エア圧力制御量データをメモリ35b内にあらかじめ記憶しておくことで、システムの稼働状況に関する各種パラメータに応じて操作エア圧力の増減量を都度算出する構成に比して、圧力制御を簡易に実施できる。
【0072】
なお、分岐ライン番号ごとに操作エア圧力の増減量を規定しておく構成であれば、開放時における流量が分岐ラインごとに相違していても、同様に分岐ラインの開閉時における主供給ライン12内の圧力変動を好適に抑制することができる。
【0073】
電空レギュレータ32の操作エア圧力(パイロット圧)を制御することでリリーフ弁31の開弁状態が調整され、それに伴いリリーフ弁31の一次側圧力(すなわち、各分岐ラインLN1〜LNnの分岐点よりも下流側の液体圧力)を適正に制御することができる。したがって、各分岐ラインLN1〜LNnにおける液体圧力や流量が安定する。
【0074】
各分岐ラインLN1〜LNnの分岐点よりも下流側に圧力制御部30を設けたため、仮に該圧力制御部30のリリーフ弁31でパーティクル(ゴミ等)が発生したとしても、そのパーティクルが各分岐ラインLN1〜LNnに流入することはない。したがって、液体の清浄さを保つ上でも有利であると言える。
【0075】
上記システムによれば、半導体製品や化学製品等の製造に際し、好適なる洗浄作業等が実現できる。そのため、生産性の向上や品質の安定などの効果も期待できる。また、装置立ち上げ時の分岐ラインの流量の調整等が簡単になるという効果も期待できる。
【0076】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、複数の分岐ラインLN1〜LNiについてそのライン開放又は閉鎖に伴い実際にどれだけのアクチュエータ制御量(操作エア圧力)が必要になるかをティーチング処理により取得し、そのティーチング処理により取得したティーチングデータを用いて電空レギュレータ32の駆動を制御する。
【0077】
ティーチング処理について具体的には、複数の分岐ラインLN1〜LNiのいずれを開閉させるかを指令し、その指令後において圧力フィードバック制御を実行してその時のフィードバック制御量を取得する。このとき、分岐ラインの開閉に同期させて行われる電空レギュレータ32の駆動制御(図6のステップS14〜S16)を停止した状態で圧力フィードバック制御を実行することにより、分岐ラインの開閉によって実際にどれだけフィードバック制御量(実制御量)を要するかを正確に把握できる。これにより、良好なティーチングデータが得られる。そして、同データを都度の分岐ラインの開閉指令に対応づけて記憶する。なお本実施形態では、メモリ35bの少なくとも一部として、EEPROM等、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを用いる構成としており、そのEEPROM等にティーチングデータが記憶される。ティーチングデータが記憶されるメモリとして、外部記憶媒体を用いることも可能である。
【0078】
ティーチングデータの取得は、システム立ち上げ時に実行される他、システム立ち上げ後において定期又は非定期で繰り返し実行される。工場で本システムを稼働させる場合には、例えば日ごとの始業前に実行されてもよい。ティーチングデータが既にメモリ35bに記憶されている場合には、それまでのティーチングデータが新たなティーチングデータによって更新される。
【0079】
図7は、ティーチング処理の手順を示すフローチャートであり、本処理は、コントローラ35によって所定の時間周期で繰り返し実行される。
【0080】
図7において、ステップS21では、複数の分岐ラインLN1〜LNiについて全ての開閉パターンのティーチングが終了したか否かを判定する。ティーチングが全パターン終了していれば、そのまま本処理を終了し、全パターン終了していなければ後続のステップS22に進む。
【0081】
ステップS22では、今回実行するティーチング処理における分岐ラインの開閉パターンを決定する。本実施形態では、複数の分岐ラインLN1〜LNiについて同時に開閉可能なライン数の全パターンを順次指令することとし、具体的には、1ライン開放、2ライン同時開放、・・・nライン同時開放(全ライン開放)の各パターンを用意しておき、それら各パターンを順に選択する。
【0082】
その後、ステップS23では、都度決定される開閉パターンに従い開閉弁21を開放動作させて分岐ラインを開放する旨を分岐ライン制御装置25に指令する。例えば、1ライン開放のパターンであれば、第1ラインLN1のみ開放させ、2ライン同時開放のパターンであれば、第1及び第2ラインLN1,LN2を同時に開放させる。
【0083】
その後、ステップS24では、PID等による圧力フィードバック制御を実行する。このフィードバック制御では、前述のとおり、都度の設定圧力と実圧力(圧力センサ31による計測圧力)との偏差に基づいて電空レギュレータ32の基本制御値を算出するとともに、その基本制御値を制御指令値として電空レギュレータ32の駆動を制御する。このとき、圧力フィードバック制御によってのみ電空レギュレータ32が制御されるため、開閉弁21の開放指令後には主ライン圧力に変動が生じ、その圧力変動を抑えるべくフィードバック制御が実行される(図3(a)参照)。
【0084】
ステップS25では、圧力フィードバック制御において算出されたフィードバック制御量をティーチングデータとして取得する。そして、ステップS26では、そのフィードバック制御量を、都度の分岐ラインの開閉パターン(開閉指令)に対応づけてメモリ35bに記憶する。このとき、メモリ35b内に、同じ開閉ライン数の制御量データが既に存在している場合には、その既存データが今回のティーチングデータにより更新される。なお、更新の許可条件を設定しておいてもよい。例えば、新旧データを比較し、その差が所定値以内である場合にのみ更新を許可する。
【0085】
上記ティーチングは、全ての開閉パターンのライン開放が完了するまで繰り返し実行される。そして、全ての開閉パターンのティーチングデータが揃った後に、そのティーチングデータを用いて前述の液体圧力制御処理(図6参照)が実行される。
【0086】
以上第2の実施形態によれば、システム稼働時において、ティーチング処理により得られたティーチングデータを用いて電空レギュレータ32の駆動制御を実行することができるため、その制御性を向上させることができる。この場合、分岐ライン開閉時の流量変化量が経時変化等に起因して変化したとしても、その変化に合わせた最適な制御が実現できる。
【0087】
(第3の実施形態)
第1の実施形態で説明したように、分岐ラインの開閉(開閉弁21の開閉動作)に同期させて電空レギュレータ32の駆動を制御すれば、理論上は圧力変動を生じさせなくすることが可能になると考えられるが、電空レギュレータ32の駆動が早すぎたり遅すぎたりすると、一時的であるが圧力変動が生じると考えられる。すなわち、開閉弁21が開閉されて分岐ラインの液体流量が変化するタイミングと、電空レギュレータ32が駆動されてその時の操作エア圧力によりリリーフ弁31が作動するタイミングとの関係によっては、増加側(正側)又は減少側(負側)の圧力変動が生じることとなる。その理由として、開閉弁21側又は圧力制御部30側の動作遅れ等が挙げられる。
【0088】
ここで、図8(a)に示すように、開閉弁21の開放と電空レギュレータ32の駆動とを同時に実行した際に、主ライン圧力(主供給ライン12内の液体圧力)が所定量K以上、減少側に変動した場合には、開閉弁21の開閉により分岐ラインの液体流量が変化するタイミングに対して、電空レギュレータ32の操作エア圧力によりリリーフ弁31が作動するタイミングが遅いと考えられる。かかる場合、図中に一点鎖線で示すように、電空レギュレータ32の駆動タイミングを早め、リリーフ弁31が作動するタイミングを早くする。これにより、主ライン圧力の減少側への変動を抑え、同圧力を一定圧力に保持できる。
【0089】
また、図8(b)に示すように、開閉弁21の開放と電空レギュレータ32の駆動とを同時に実行した際に、主ライン圧力(主供給ライン12内の液体圧力)が所定量K以上、増加側に変動した場合には、開閉弁21の開閉により分岐ラインの液体流量が変化するタイミングに対して、電空レギュレータ32の操作エア圧力によりリリーフ弁31が作動するタイミングが早いと考えられる。かかる場合、図中に一点鎖線で示すように、電空レギュレータ32の駆動タイミングを遅らせ、リリーフ弁31が作動するタイミングを遅くする。これにより、主ライン圧力の増加側への変動を抑え、同圧力を一定圧力に保持できる。
【0090】
図9は、電空レギュレータ32の駆動タイミング制御処理を示すフローチャートであり、本処理はコントローラ35によって所定の時間周期で繰り返し実行される。
【0091】
図9において、ステップS31では、分岐ラインの開放要求に伴い開閉弁21の開放と電空レギュレータ32の駆動とが実行された直後の主ライン圧力を読み込み、続くステップS32では、その主ライン圧力が所定量K以上、増加側又は減少側に変動したか否かを判定する。ステップS32が否定された場合にはそのまま本処理を終了し、ステップS32が肯定された場合にはステップS33に進む。
【0092】
ステップS33では、その圧力変動が減少側の変動であるか否かを判定する。そして、圧力変動が減少側であれば、電空レギュレータ32の駆動タイミングを所定時間だけ早くする(ステップS34)。また、圧力変動が増加側であれば、電空レギュレータ32の駆動タイミングを所定時間だけ遅くする(ステップS35)。電空レギュレータ32の駆動タイミングの変更は、次回の分岐ライン開閉から適用される。
【0093】
以上第3の実施形態によれば、電空レギュレータ32の駆動タイミングが適宜変更されるため、開閉弁21や電空レギュレータ32における動作遅れが原因で分岐ラインの開閉直後に一時的な圧力変動が生じても、次回以降のレギュレータ駆動時において圧力変動を抑制することができる。
【0094】
ちなみに、分岐ラインの閉鎖要求に応じて電空レギュレータ32を駆動させる際には、以下の構成が適用されるとよい。すなわち、分岐ラインの閉鎖要求に応じた電空レギュレータ32の駆動直後に増加側の圧力変化が検出された場合には、電空レギュレータ32の駆動タイミングを早くする。また、同じく閉鎖要求に応じた電空レギュレータ32の駆動直後に減少側の圧力変化が検出された場合には、電空レギュレータ32の駆動タイミングを遅くする。これにより、分岐ラインの閉鎖時において、主供給ライン12内における圧力変動をより適正に抑制できる。
【0095】
分岐ラインの開閉(開閉弁21の開閉動作)に同期させて電空レギュレータ32の駆動を制御しても一時的に圧力変動が生じる場合の対策として、以下の構成を採用してもよい。すなわち、レギュレータ駆動後における主ライン圧力の変化を検出し、該検出された圧力変化に基づいてレギュレータ駆動のための次回以降の制御量を補正する。
【0096】
図10は、電空レギュレータ32の制御量補正処理を示すフローチャートであり、本処理はコントローラ35によって所定の時間周期で繰り返し実行される。
【0097】
図10において、ステップS41では、分岐ラインの開放要求に伴い開閉弁21の開放と電空レギュレータ32の駆動とが実行された直後の主ライン圧力を読み込み、続くステップS42では、その主ライン圧力が所定量K以上、増加側又は減少側に変動したか否かを判定する。ステップS42が否定された場合にはそのまま本処理を終了し、ステップS42が肯定された場合にはステップS43に進む。
【0098】
ステップS43では、その圧力変動が減少側の変動であるか否かを判定する。そして、圧力変動が減少側であれば、レギュレータ制御量の補正値を大きくする(ステップS44)。また、圧力変動が増加側であれば、レギュレータ制御量の補正値を小さくする(ステップS45)。なお、補正値の初期値は0であり、ステップS42が肯定される度に、補正値の前回値に対して所定値が加算又は減算されて補正値が更新される。ステップS44,S45で算出した補正値は、次回の分岐ライン開閉から適用される。
【0099】
レギュレータ制御量が小さすぎる場合には、レギュレータ駆動直後に減少側に圧力変動が生じるが、次回以降のレギュレータ駆動時において上記補正値を用いてレギュレータ制御量を補正(増補正)することにより操作エア圧力の変化が大きくなり、その減少側の圧力変動が抑制される。また、レギュレータ制御量が大きすぎる場合には、レギュレータ駆動直後に増加側に圧力変動が生じるが、次回以降のレギュレータ駆動時において上記補正値を用いてレギュレータ制御量を補正(減補正)することにより操作エア圧力の変化が小さくなり、その増加側の圧力変動が抑制される。
【0100】
ちなみに、分岐ラインの閉鎖要求に応じて電空レギュレータ32を駆動させる際には、以下の構成が適用されるとよい。すなわち、分岐ラインの閉鎖要求に応じた電空レギュレータ32の駆動直後に増加側の圧力変化が検出された場合には、レギュレータ制御量の補正値を大きくする(操作エア圧力の変化を大きくする)。また、同じく閉鎖要求に応じた電空レギュレータ32の駆動直後に減少側の圧力変化が検出された場合には、レギュレータ制御量の補正値を小さくする(操作エア圧力の変化を小さくする)。これにより、分岐ラインの閉鎖時において、主供給ライン12内における圧力変動をより適正に抑制できる。
【0101】
(別の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0102】
上記各実施形態では、主供給ライン12において各分岐ラインLN1〜LNnの下流側に圧力制御部30を設けた構成について説明したが、これを図11のように変更する。図11では、主供給ライン12において各分岐ラインLN1〜LNnの分岐点よりも上流側に圧力制御部60を設けている。圧力制御部60は、主供給ライン12上に設けられるパイロット作動式の圧力レギュレータ61と、該レギュレータ61に供給する操作エアの圧力(パイロット圧)を調整する電空レギュレータ62と、主供給ライン12の液体圧力(圧力レギュレータ61の二次側圧力)を検出する圧力センサ63と、CPU65aやメモリ65b等を有するマイクロコンピュータよりなるコントローラ65とを具備している。
【0103】
圧力センサ63からの圧力検出信号はコントローラ65に逐次入力される。コントローラ65は、前記圧力検出信号から算出した液体圧力(実圧力)に基づいて、電空レギュレータ62から排出される操作エアの圧力を調整する。電空レギュレータ62によって操作エア圧力が調整されることにより、主供給ライン12の液体圧力(圧力調整弁61の二次側圧力)が都度の設定圧力に制御される。また、コントローラ65は、各分岐ラインの開閉要求に際し、その分岐ラインの開閉に同期させて電空レギュレータ62の駆動を制御する。ただしその詳細は、上記第1の実施形態におけるコントローラ35の処理内容と同様であるため、ここではその説明を割愛する。
【0104】
上記構成においても、上記第1の実施形態と同様に、構成の煩雑化を回避しつつ、液体圧力を望み通りに適正に制御することができる。これにより、各分岐ラインLN1〜LNnを介して流れる液体の流量変動を抑制できる。
【0105】
上記実施形態では、分岐ライン制御装置25から出力される分岐ライン開閉信号が圧力制御部30のコントローラ35に入力され、コントローラ35が、分岐ライン開閉信号に基づいて各分岐ラインの開閉要求の有無を判定したが、これを変更する。例えば、分岐ライン制御装置25から電磁弁23に対して出力される開閉駆動信号をコントローラ35に対しても同様に出力し、コントローラ35が、その開閉駆動信号に基づいて各分岐ラインの開閉要求の有無を判定する構成であってもよい。また、コントローラ35が、いずれの分岐ラインLN1〜LNnで液体を流通させるかを集中管理するとともに、分岐ラインの開放数を変更する際に自身で開閉要求有りと判定する構成としてもよい。
【0106】
上記実施形態では、液体圧力制御として圧力フィードバック制御を実行する構成としたが、その圧力フィードバック制御を実行しない構成としてもよい。この場合、圧力フィードバック制御を実行しなくても、上記のとおり各分岐ラインの開閉要求時に、その開閉に伴う分岐ラインの流量変化分に相当するアクチュエータ制御量を算出するとともに、分岐ラインの開閉に同期させてアクチュエータ制御量に基づいて電空レギュレータ32の駆動を制御することにより、主供給ライン12内の液体圧力を適正に制御することができる。かかる構成によれば、圧力センサ33が不要となり、コスト低減を図ることができる。
【0107】
上記第2の実施形態では、ティーチング処理において、複数の分岐ラインLN1〜LNiについて同時に開閉可能なライン数の全パターンを順次指令する構成としたが(図7のステップS22)、これを変更し、複数の分岐ラインLN1〜LNnについて当該分岐ラインを1つずつ開放又は閉鎖させる旨を順次指令する構成としてもよい。これにより、要求に伴い開閉される全ての分岐ラインについて個別にティーチングデータの取得が可能となる。この場合、仮に分岐ラインごとに開放時の液体流量が相違していても、又は個体差があったとしても、それに対処させて好適にティーチングデータを取得できる。
【0108】
上記第2の実施形態では、アクチュエータ制御量(操作エア圧力の調整量)のティーチングに際し、圧力制御部30のコントローラ35が、分岐ラインの開閉パターンを決定するとともに、その開閉パターンに従い分岐ライン制御装置25に対して開閉指令を出す構成としたが、これを変更する。例えば、アクチュエータ制御量(操作エア圧力の調整量)のティーチングに際し、分岐ライン制御装置25が、分岐ラインの開閉パターンを決定するとともに、その開閉パターンに従いコントローラ35に対して開閉指令を出す構成としてもよい。
【0109】
各分岐ラインLN1〜LNnにおける開口面積(すなわち、開閉弁21の開度)を可変に調整できる構成とし、各分岐ラインLN1〜LNnが開閉される際に、それら各分岐ラインの開口面積(開閉弁21の開度)に基づいて電空レギュレータ32の制御量を決定する構成としてもよい。例えば、分岐ラインの開口面積が全開時面積より小さい場合には、その分を加味して電空レギュレータ32の制御量を減補正する。
【0110】
主供給ライン12に設けられるポンプ13(圧送手段)として、調量機能を有するポンプを用い、分岐ラインの開放数に応じて当該ポンプによる液体吐出量を調整するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】第1の実施形態における液体供給システムの概略を示す構成図。
【図2】リリーフ弁の構成を示す断面図。
【図3】分岐ラインの開閉時に主ライン圧力の変動が生じることを説明するためのタイムチャート。
【図4】液体圧力制御の概要を具体的に説明するためのタイムチャート。
【図5】操作エア圧力制御に関するマップデータを示す図。
【図6】液体圧力制御処理の手順を示すフローチャート。
【図7】第2の実施形態においてティーチング処理の手順を示すフローチャート。
【図8】第3の実施形態において電空レギュレータの駆動タイミング制御の概要を説明するためのタイムチャート。
【図9】第3の実施形態において電空レギュレータの駆動タイミング制御処理を示すフローチャート。
【図10】第3の実施形態において電空レギュレータの制御量補正処理を示すフローチャート。
【図11】別の実施形態における液体供給システムの概略を示す構成図。
【図12】従来技術における液体供給システムの概略を示す構成図。
【符号の説明】
【0112】
11…液体タンク、12…主供給ライン、13…ポンプ、21…開閉弁、30…圧力制御部、31…リリーフ弁、32…電空レギュレータ、33…圧力センサ、35…コントローラ、35b…メモリ、60…圧力制御部、61…レギュレータ、62…電空レギュレータ、63…圧力センサ、65…コントローラ、65b…メモリ、LN1〜LNn…分岐ライン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を流通させる液体通路と、
該液体通路の途中に設けられ前記液体を圧送する圧送手段と、
前記液体通路から分岐させて設けられた複数の分岐通路と、
前記液体通路の途中に設けられ同液体通路内の液体圧力を調整する圧力調整用アクチュエータと、
を備え、前記複数の分岐通路を個別に開放又は閉鎖し、開放された分岐通路を通じて前記液体通路から液体を流通させる液体供給システムにおいて、
各分岐通路の開放又は閉鎖が要求される場合に、その開放又は閉鎖に伴う前記分岐通路の流量変化分に相当する前記圧力調整アクチュエータの制御量を算出する制御量算出手段と、
前記分岐通路の開閉に同期させて、前記制御量算出手段により算出したアクチュエータ制御量に基づいて前記圧力調整用アクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段と、
を備えることを特徴とする液体供給システム。
【請求項2】
同時に開閉される前記分岐通路の数と前記アクチュエータ制御量との関係を規定した制御量データを記憶装置に記憶しておき、
前記制御量算出手段は、前記要求に伴う分岐通路の開閉に際し、前記制御量データを参照して前記アクチュエータ制御量を算出することを特徴とする請求項1に記載の液体供給システム。
【請求項3】
前記複数の分岐通路について開閉に伴う流量変化分に相当する前記アクチュエータ制御量を分岐通路ごとに規定した通路別データを記憶装置に記憶しておき、
前記制御量算出手段は、前記要求に伴う分岐通路の開閉に際し、前記通路別データを参照して前記アクチュエータ制御量を算出することを特徴とする請求項1に記載の液体供給システム。
【請求項4】
前記液体通路内の液体圧力を検出する圧力検出手段と、
前記圧力検出手段により検出した液体圧力が目標値に一致するよう前記圧力調整用アクチュエータの制御量をフィードバック制御するフィードバック制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液体供給システム。
【請求項5】
前記複数の分岐通路について少なくともいずれかを開閉させる旨指令する開閉指令手段と、
前記開閉指令手段による指令後において前記アクチュエータ制御手段による圧力調整用アクチュエータの制御を停止した状態で前記フィードバック制御手段によるフィードバック制御を実行し、同フィードバック制御によって求められた実制御量を、都度の分岐通路の開閉指令に対応づけて記憶する制御量記憶手段と、を備え、
前記制御量算出手段は、前記制御量記憶手段により記憶した実制御量を用いて都度のアクチュエータ制御量を算出することを特徴とする請求項4に記載の液体供給システム。
【請求項6】
前記開閉指令手段は、前記複数の分岐通路について同時に開閉可能な分岐通路の数分の全パターンを順次指令することを特徴とする請求項5に記載の液体供給システム。
【請求項7】
前記開閉指令手段は、前記複数の分岐通路について当該分岐通路を1つずつ開放又は閉鎖させる旨を順次指令することを特徴とする請求項5に記載の液体供給システム。
【請求項8】
前記アクチュエータ制御手段によるアクチュエータ駆動後における前記液体通路内の圧力変化を検出する圧力変化検出手段と、
該圧力変化検出手段により検出された圧力変化に基づいて、前記アクチュエータ制御手段による前記圧力調整用アクチュエータの駆動タイミングを変更するタイミング制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の液体供給システム。
【請求項9】
前記タイミング制御手段は、前記分岐通路の開放要求時において前記圧力変化検出手段により減少側の圧力変化が検出された場合にはアクチュエータ駆動タイミングを早くし、同じく開放要求時において前記圧力変化検出手段により増加側の圧力変化が検出された場合にはアクチュエータ駆動タイミングを遅くすることを特徴とする請求項8に記載の液体供給システム。
【請求項10】
前記アクチュエータ制御手段によるアクチュエータ駆動後における前記液体通路内の圧力変化を検出する圧力変化検出手段と、
該圧力変化検出手段により検出された圧力変化に基づいて、前記アクチュエータ制御手段による次回以降のアクチュエータ制御量を補正する制御量補正手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の液体供給システム。
【請求項11】
前記圧力調整用アクチュエータとして、前記液体通路において各分岐通路の分岐点よりも下流側に設けられたパイロット作動式のリリーフ弁と、該リリーフ弁に作用するパイロット圧を調整するパイロット圧調整手段とを備え、
前記制御量算出手段は、前記アクチュエータ制御量として、前記分岐通路の開閉に伴う圧力変化を解消するためのパイロット圧に相当する制御量を算出することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の液体供給システム。
【請求項12】
前記圧力調整用アクチュエータとして、前記液体通路において各分岐通路の分岐点よりも上流側に設けられたパイロット作動式の圧力調整弁と、該圧力調整弁に作用するパイロット圧を調整するパイロット圧調整手段とを備え、
前記制御量算出手段は、前記アクチュエータ制御量として、前記分岐通路の開閉に伴う圧力変化を解消するためのパイロット圧に相当する制御量を算出することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の液体供給システム。
【請求項1】
液体を流通させる液体通路と、
該液体通路の途中に設けられ前記液体を圧送する圧送手段と、
前記液体通路から分岐させて設けられた複数の分岐通路と、
前記液体通路の途中に設けられ同液体通路内の液体圧力を調整する圧力調整用アクチュエータと、
を備え、前記複数の分岐通路を個別に開放又は閉鎖し、開放された分岐通路を通じて前記液体通路から液体を流通させる液体供給システムにおいて、
各分岐通路の開放又は閉鎖が要求される場合に、その開放又は閉鎖に伴う前記分岐通路の流量変化分に相当する前記圧力調整アクチュエータの制御量を算出する制御量算出手段と、
前記分岐通路の開閉に同期させて、前記制御量算出手段により算出したアクチュエータ制御量に基づいて前記圧力調整用アクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段と、
を備えることを特徴とする液体供給システム。
【請求項2】
同時に開閉される前記分岐通路の数と前記アクチュエータ制御量との関係を規定した制御量データを記憶装置に記憶しておき、
前記制御量算出手段は、前記要求に伴う分岐通路の開閉に際し、前記制御量データを参照して前記アクチュエータ制御量を算出することを特徴とする請求項1に記載の液体供給システム。
【請求項3】
前記複数の分岐通路について開閉に伴う流量変化分に相当する前記アクチュエータ制御量を分岐通路ごとに規定した通路別データを記憶装置に記憶しておき、
前記制御量算出手段は、前記要求に伴う分岐通路の開閉に際し、前記通路別データを参照して前記アクチュエータ制御量を算出することを特徴とする請求項1に記載の液体供給システム。
【請求項4】
前記液体通路内の液体圧力を検出する圧力検出手段と、
前記圧力検出手段により検出した液体圧力が目標値に一致するよう前記圧力調整用アクチュエータの制御量をフィードバック制御するフィードバック制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液体供給システム。
【請求項5】
前記複数の分岐通路について少なくともいずれかを開閉させる旨指令する開閉指令手段と、
前記開閉指令手段による指令後において前記アクチュエータ制御手段による圧力調整用アクチュエータの制御を停止した状態で前記フィードバック制御手段によるフィードバック制御を実行し、同フィードバック制御によって求められた実制御量を、都度の分岐通路の開閉指令に対応づけて記憶する制御量記憶手段と、を備え、
前記制御量算出手段は、前記制御量記憶手段により記憶した実制御量を用いて都度のアクチュエータ制御量を算出することを特徴とする請求項4に記載の液体供給システム。
【請求項6】
前記開閉指令手段は、前記複数の分岐通路について同時に開閉可能な分岐通路の数分の全パターンを順次指令することを特徴とする請求項5に記載の液体供給システム。
【請求項7】
前記開閉指令手段は、前記複数の分岐通路について当該分岐通路を1つずつ開放又は閉鎖させる旨を順次指令することを特徴とする請求項5に記載の液体供給システム。
【請求項8】
前記アクチュエータ制御手段によるアクチュエータ駆動後における前記液体通路内の圧力変化を検出する圧力変化検出手段と、
該圧力変化検出手段により検出された圧力変化に基づいて、前記アクチュエータ制御手段による前記圧力調整用アクチュエータの駆動タイミングを変更するタイミング制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の液体供給システム。
【請求項9】
前記タイミング制御手段は、前記分岐通路の開放要求時において前記圧力変化検出手段により減少側の圧力変化が検出された場合にはアクチュエータ駆動タイミングを早くし、同じく開放要求時において前記圧力変化検出手段により増加側の圧力変化が検出された場合にはアクチュエータ駆動タイミングを遅くすることを特徴とする請求項8に記載の液体供給システム。
【請求項10】
前記アクチュエータ制御手段によるアクチュエータ駆動後における前記液体通路内の圧力変化を検出する圧力変化検出手段と、
該圧力変化検出手段により検出された圧力変化に基づいて、前記アクチュエータ制御手段による次回以降のアクチュエータ制御量を補正する制御量補正手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の液体供給システム。
【請求項11】
前記圧力調整用アクチュエータとして、前記液体通路において各分岐通路の分岐点よりも下流側に設けられたパイロット作動式のリリーフ弁と、該リリーフ弁に作用するパイロット圧を調整するパイロット圧調整手段とを備え、
前記制御量算出手段は、前記アクチュエータ制御量として、前記分岐通路の開閉に伴う圧力変化を解消するためのパイロット圧に相当する制御量を算出することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の液体供給システム。
【請求項12】
前記圧力調整用アクチュエータとして、前記液体通路において各分岐通路の分岐点よりも上流側に設けられたパイロット作動式の圧力調整弁と、該圧力調整弁に作用するパイロット圧を調整するパイロット圧調整手段とを備え、
前記制御量算出手段は、前記アクチュエータ制御量として、前記分岐通路の開閉に伴う圧力変化を解消するためのパイロット圧に相当する制御量を算出することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の液体供給システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−299774(P2008−299774A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147772(P2007−147772)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
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