説明

液体収納容器およびその製造方法

【課題】液体収納容器において、最も内側の層よりも外側の層を形成するために用いられる樹脂が、所定位置以外の位置に流入することが抑えられる液体収納容器を提供すること。
【解決手段】インク容器20と蓋部材10とを有するインクタンク1において、インク容器20は、型成形によって複数の層が重ねられて形成されている。インク容器20を形成する複数の層のうち内層21の側壁25における蓋部材側の端部には、蓋部材側の端部から突出した流入防止部26が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に対し液体を吐出させて記録を行う記録装置において用いられる液体収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、記録ヘッドより記録媒体に対してインク滴を吐出して記録を行うインクジェット記録装置が急速に普及している。このようなインクジェット記録装置は小型化が容易であり、また比較的簡単にカラー記録を行うことができるなどの利点を有している。
【0003】
このようなインクジェット記録装置としては、液体収納容器としてのインクタンクを備え、そのインクタンクから記録ヘッドにインクを供給して記録ヘッドから記録媒体へインクを吐出する形式のものがある。インクジェット記録装置で用いられるインクタンクはインクジェット記録装置が普及したことにより、使用量・生産量は年々増大している。そして、そのようなインクタンクとしては、成形型の内部に樹脂が充填され、射出成形を行うことで樹脂が所定の形状に成形されて製造されるものが多く採用されている。
【0004】
このように、一般に、インクを貯留するインクタンクとしては、樹脂によって製造されることが多い。そして、インクタンクで使用される樹脂については、機械的強度、耐薬品性、ガスバリヤ性が優れていることが求められる。従って、これまでは、インクタンクの製造においては、再生樹脂はあまり使用されず、まだ使用されていないバージン樹脂が多く使用されてきた。
【0005】
しかしながら、現在、世界的にユニバーサルデザインへの取り組みが社会で広く行われている。このようなユニバーサルデザインの考えのもと、工業製品が視認性及び使い易さ等を考慮して製造されている。このような観点から、製品におけるユーザーへの使い易さが考慮されたデザインの重要性が高まっている。このようなユニバーサルデザインの考え方から、インクタンクにおいては、多層に形成されたインクタンクの外層の一部が、収納されているインクの色と同じ色に着色されて形成されたインクタンクが採用されたものがある。このような形式のインクタンクは、バージン樹脂とは別にインクの色と同色に着色された樹脂が用いられて形成されている。このようにインクタンクが形成されることで、インクタンク内部のインクの色の視認性が向上され、ユーザーに対し収納されているインクの色が識別し易くなるようにされている。このように、バージン樹脂によって形成された層と着色された層を含む複数の層によって形成されたインクタンクが多く採用されている。
【0006】
また、最近では社会的に、メーカーによる環境問題への取り組みが注目されている。このことから、こうしたインクタンクの製造において、環境に配慮しつつ製品を製造するために様々な取り組みが進められている。このような環境問題への取り組みの一環として製品の生産→販売→回収→再利用を行うクローズドリサイクルへの取り組みが行われ、これによって材料の再利用が進められている。このように、インクタンクの製造において、一部に再生樹脂が用いられて成形が行われ、インクタンクが製造されることがある。
【0007】
このように環境に配慮されたインクタンクとしては、特許文献1に、リサイクルした再生樹脂を用いたインクタンクの成形法が開示されている。特許文献1に開示されているインクタンクの成形法では、多層射出圧縮成形法が用いられ、成形される部材の少なくとも一層が再生樹脂によって成形される。
【0008】
また、特許文献2では外壁の少なくとも一部に再生樹脂を用いて形成されているインクタンクが開示されている。特許文献2に開示されているインクタンクでは、内部に貯留されるインクと接する部分では、まだ使用されていないバージン樹脂が用いられ、インクに接しない外壁部分では再生樹脂が用いられている。このようにインクタンクを形成することで、インクタンクの耐インク性を保ちながら一部に再生樹脂が用いられたインクタンクが製造される。
【0009】
上記のようなインクタンクの製造工程においては、一般に、インクとインクタンクとが接触して、インクタンクの樹脂成分がインク内に溶出することにより生じるインクの品質への影響について考慮することが求められている。インクが耐インク性を有していない樹脂によって形成されたインクタンク内部に貯留されると、貯留されているインクへ樹脂成分が流入し、これによってインクの成分が変化してしまう虞があるからである。
【0010】
また、インクタンクを形成する樹脂のガスバリヤ性が不十分なことに起因して、インクタンク内部に透過した空気によりインクの成分が変化することも考えられる。このような理由によって、インクの特性が変化してしまうことでインクの品質が損なわれる虞がある。
【0011】
このため、インクタンクにおけるインクを貯留する部位には、耐インク性や空気に対する不透過性を有した材質のものによって形成されることが求められる。従って、新たに使用されるバージン樹脂と、着色した樹脂あるいはリサイクルによって再利用される樹脂とを同時に用いてインクタンクを形成する際には、インクを貯留する部位にはバージン樹脂が用いられることが求められる。また、インクと接触しない部位には、着色された樹脂や再生樹脂が用いられても良い。
【0012】
【特許文献1】特開2006−159897号公報
【特許文献2】特開平8−187871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の特許文献1および特許文献2に開示されているような従来のインクタンクの製造工程の一例について、図19から図22を参照して説明する。図19に示されるように、液体収納容器としてのインクタンク101は、蓋部材111と液体容器としてのインク容器120とを有して形成されており、インク容器は内側の内層121と外側の外層122との二層の樹脂層を有して形成されている。
【0014】
図19には、従来のインクタンクの断面図が示されている。二層に形成されているインク容器120のうち内側の内層121はインクを貯留する部位である。従って、内層121は耐インク性及び空気に対する不透過性を有している材質によって形成されている。そして、内層121の外側には、内層121の外周を覆うように外層122が形成されている。
【0015】
図20(a)には、図19に示されるインクタンク101におけるインク容器120の製造工程のうちの一次成形の工程が示されている。ここで、一次成形は、インク容器120のうちの内層121を型成形によって形成する工程である。一次成形では、インク容器120を型成形するための型として可動型160と第1固定型161とが用いられている。そして、図20(a)に示されるように、可動型160と第1固定型161との間に射出シリンダー163によって第1樹脂21−aを射出する。このとき、可動型160と第1固定型161との間には型締め力が保持された状態であるので、第1樹脂21−aが加圧されながら充填される。そして、その後加圧された際の圧力を保ちながら冷却し、第1樹脂121−aを固化させることで内層121を形成する。
【0016】
図20(b)には、一次成形によって形成されたインク容器120のうちの内層の側壁部分の端部の断面図が示されている。図20(b)に示されるように、内層121の側壁には、蓋部材側の端部における蓋と接する面から略垂直に延びるように側面が形成されている。
【0017】
図21(a)に示される工程は、一次成形と、後述する二次成形との間の工程である。一次成形で成形された内層121が可動型160から離間せずに付着したまま可動型160が第2固定型162に対応した位置に移動することで、第1固定型161が第2固定型162に入れ替わる。このとき、内層121と第2固定型162との間には、後述する外層を形成する樹脂が位置するためのスペースが確保されている。このとき、一次成形の工程から二次成形の工程へ移る間に、内層121が冷却されることで内層121が図21(a)に示される矢印の方向に収縮する。
【0018】
図21(a)では、矢印の大小が収縮量の大小の関係を示している。ここで、樹脂の収縮量は、成形された樹脂の厚さに比例する。従って、この例でのインク容器の形状では、側壁125においては、インク容器120における底面からインク容器の高さ方向には側壁125の厚さ方向に比べて比較的大きく収縮する。このとき、側壁125の高さ方向の収縮については、底面124が可動型160に接していることから収縮による変化量が側壁125の端部に現れてしまう。図21(b)には、このときの内層121の端部が示されている。上述したように、内層121が収縮することから、内層における蓋部材110に接触する面であるインク容器側結合部123と可動型160との間に隙間165が発生している。
【0019】
そして、可動型が第1固定型161に対応した位置から第2固定型162に対応した位置に移動すると、図22(a)に示されるように、内層121と第2固定型162との間のスペースに、外層を形成するための第2樹脂22−aが射出されて二次成形が行われる。
【0020】
このとき、一次成形と二次成形との間で発生した内層と可動型との間に、内層121が固化する際に収縮することに起因して隙間165が存在することにより、この隙間165に樹脂が流れ込む虞がある。隙間165に樹脂が流れ込んで形成されたインク容器の端部について、断面図を図21(b)に示す。一次成形に用いられる樹脂は、インクと接触する部分である内層に用いられることが想定されているので、耐インク性能及びガスバリヤ性が確保されている。また、蓋部材110との間の結合強度が確保されている。しかしながら、二次成形に用いられる樹脂は、外層122を形成するための樹脂なので、結合強度や密閉性については確保されていない虞がある。従って、隙間165に二次成形で充填される樹脂が流れ込むと、蓋部材110とインク容器120との間に二次成形による樹脂が存在することになり、高い結合強度や密閉性が求められる部位に対してこれらが高く保てなくなる虞が生じる。
【0021】
また、図22では、第2樹脂22−aは、可動型160と内層121との間に生じた隙間の奥の端部まで充填されている。しかし、この隙間は比較的狭い領域なので、第2樹脂22−aがこの隙間の内部を流動する際には第2樹脂22−aに比較的大きな流抵抗が生じる。従って、第2樹脂22−aが加圧されながら可動型160と第2固定型162との間に充填されたとしても、第2樹脂22−aが隙間の奥の端部まで到達せずに流れが途中で止まってしまうことが考えられる。この場合、隙間の一部に樹脂が存在しない領域が生じ、インク容器120と蓋部材110とが接触する部分に凹凸が生じる虞がある。これにより、インク容器120と蓋部材110との間における結合面積が不足し、結合部の強度が不十分となる虞がある。また、インク容器120と蓋部材110とが接触する部分の凹凸により、これらの間の密閉性が高く保たれない虞が生じる。
【0022】
このように、従来用いられているインクタンク101では、インクタンク101のインク容器120を形成する部材と蓋部材110との結合部に、結合不良や密閉性が低下する虞がある。さらに、外層122を形成するのに再生樹脂が用いられた場合には、再生樹脂がインク容器120の内層側に流れ込んで回り込むことにより、再生樹脂が貯留されているインクに接触して溶出する虞がある。これにより、インクタンク内部に貯留されているインクの特性が変化してしまう虞がある。この問題については、インクタンク101の構成部品においてインク容器120以外の部品である蓋部材110についても、第2樹脂が内側に回り込んだ場合には同様の問題が生じる虞がある。
【0023】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、液体収納容器において、最も内側の層よりも外側の層を形成するために用いられる樹脂が、所定位置以外の位置に流入することが抑えられる液体収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の液体収納容器によれば、液体容器と蓋部材とを有し、内部に液体を収容する液体収納容器において、前記液体容器は、型成形によって複数の層が重ねられて形成され、前記液体容器を形成する複数の層のうち最も内側に形成された内層の側壁における蓋部材側の端部には、前記蓋部材側の端部から突出した突出部が形成されていることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の液体収納容器の製造方法によれば、液体容器と蓋部材とを有する液体収納容器の製造方法であって、前記液体容器が、型成形によって複数の層が重ねられて形成され、前記液体容器を形成する複数の層のうち最も内側に形成された内層と、前記内層よりも外側の層とを形成するために共通に用いられる共通型を少なくとも一つ用いて前記液体容器を形成する液体収納容器の製造方法において、共通型と、前記内層の側壁における蓋部材側の端部に前記蓋部材側の端部から突出する突出部を形成可能な第1の型との間に第1樹脂が充填されて前記内層が成形される一次成形ステップと、前記共通型と第2の型との間に第2樹脂が充填されて前記内層よりも外側の層が成形される二次成形ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、液体収納容器における液体容器の最も内側の層よりも外側に配置される層を形成するための樹脂が、最も内側の層の位置に入り込むことが抑えられる。また、液体容器と蓋部材との間の結合部の表面が平滑に保たれるので、それらの間の結合面積が確保され、結合強度が高く保たれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための実施形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0028】
(第一実施形態)
図1および図2には、本発明の第一実施形態に係る液体収納容器としてのインクタンク1の斜視図が示されている。本実施形態のインクタンク1は、インクジェット記録装置に搭載されることが可能であり、インクタンク1から、不図示の記録ヘッドに、貯留されている液体としてのインクが供給されて、記録ヘッドから記録媒体に吐出される。図1(a)は図2におけるA−A線に沿う断面図であり、図1(b)は、本実施形態のインクタンクにおけるインク容器の蓋部材側の端部(A部)について拡大した断面図である。また、図1(c)は、本実施形態のインクタンクにおけるインク容器と蓋部材とが結合された際の結合部を拡大した断面図である。また、図2は本実施形態のインクタンクの斜視図である。
【0029】
図1及び図2において、インクタンク1は蓋部材10と液体容器としてのインク容器20とを有しており、これらが結合されることで内部にインクを収容する液体収納室2が画成される。インク容器20は、多層が型成形によって形成され、複数の層が重ねられて形成されている。本実施形態では、特に、内層21と外層22とによって形成されている。二層のインク容器20のうちインクとの接触する内側の面の内層21は、第1樹脂21−aによって形成されている。また、インクと接触しない外側の外層22が、第2樹脂22−aによって形成されている。第1樹脂21−aは、再使用されていないバージン樹脂である。第1樹脂21−aは、インクと接触しても樹脂成分が溶出しないような、耐インク性を有している。第1樹脂21−aに関しては、インク容器20の内層21に用いられることが予めわかっていることから、耐インク性及びガスバリヤ性に関して予め確認されたものを使用することができる。ここで、第1樹脂は、第2樹脂以上の比較的高い透明性を有している。第2樹脂22−aとしては、着色された樹脂や、再利用樹脂等が用いられる。第2樹脂22−aとして再利用樹脂が用いられる場合は、第2樹脂22−aは一度使用されてリサイクルされた材料を含む再利用材が用いられる。インク容器20は底面24を有し、その底面24に対し略垂直に延びている側壁25を有している。また、インク容器20の内層21は、側壁25の端部に、蓋部材10とインク容器20の結合部となるインク容器側結合部23を有している。そして、本実施形態では、側壁25における蓋部材10と接する端部には、側壁25における蓋部材側の端部以外の部分における内層21の最も外側の部位よりもさらに外側に延びた流入防止部26(突出部)が形成されている。流入防止部26は、内層21と同じく第1樹脂21−aによって形成されている。本実施形態のインクタンク1では、インク容器における側壁25の蓋側の端部形状が図1(b)の形状を有している。
【0030】
蓋部材10はインク容器側結合部23と結合する蓋側結合部11を有し、蓋側結合部11がインク容器側結合部23を形成している樹脂と同じ第1樹脂21−aで形成されている。
【0031】
図1、2に示されるインクタンク1の製造方法について、図3〜5を用いて説明する。図3〜5には、第一実施形態におけるインクタンク1の製造工程について、インクタンク1のインク容器20と、これを成形によって製造するための型の断面図が示され、また、そのときのインク容器20の端部について拡大した断面図が示されている。
【0032】
図3(a)には、多層成形によって形成されるインクタンク1のインク容器を構成する複数の層のうち、最も内側の層の内層21を成形によって形成する一次成形の工程を示している。ここで、一次成形とは、インク容器20における内層21を成形によって形成する工程のことをいうものとする。また、図3(b)には、そのときのインク容器20の側壁25における蓋部材側端部を拡大した断面図が示されている。
【0033】
図3(a)に示されるように、可動型60(共通型)と第1固定型61(第1の型)とを有する金型の内部に、内層21を形成するための第1樹脂21−aが充填される。そして可動型60と第1固定型61の間に射出シリンダー63によって第1樹脂21−aが射出されて充填されると、可動型60と第1固定型61の間が加圧された状態で閉じられて成形される。このとき、金型による型締め圧によって加圧された圧力が保持される。ここで、第1固定型61は、内層21の側壁25における蓋部材側端部に流入防止部を形成可能な型である。可動型60と第1固定型61との間に第1樹脂が充填されて、側壁25における蓋部材側端部に流入防止部が形成された内層21が成形される。その後、第1樹脂21−aが充填された金型が冷却されて第1樹脂21−aが固化すると、内層21の成形が終了する。
【0034】
図4(a)は、一次成形が終了した後に、二次成形のために可動型が移動して、二次成形に用いられる固定型に対応する位置に配置された際の金型及び内層21の断面図である。このとき、一次成形で形成された内層21は、図4(a)の矢印に示される方向に収縮する。また、図4(b)には、内層21の側壁25における蓋部材側の端部について拡大した断面図が示されている。
【0035】
インク容器20の製造工程における図4(a)、(b)に示される工程は、一次成形と二次成形の間の工程である。図4(a)には、一次成形で成形され、液体収納室2の底面24及び側壁25を成形する可動型60と外層22を形成するための第2固定型62(第2の型)からなる金型の内部に配置されているインク容器20の内層21が示されている。ここでは、可動型60が、一次成形で使用した第1固定型61に対応した位置から二次成形で使用する第2固定型62に対応した位置に移動する工程を示している。この第1固定型61から第2固定型62へ可動型60が移動する間に、一次成形で成形された内層21が図4(b)に示す矢印の方向に収縮が行われる。
【0036】
そして、その後図5(a)に示されるように二次成形によってインク容器20の外層22が形成される。図5(b)には、二次成形が行われている際の側壁25における蓋部材側の端部について拡大した断面図が示されている。本実施形態では、一次成形が終わった後に、外層22を形成するために、内層21の外側に樹脂の成形を行う工程を二次成形というものとする。二次成形では、一次成形にて形成された内層21と固定型62との間に第2樹脂22−aを射出することで外層22を形成する。
【0037】
ここで、一次成形後に樹脂が冷却され、その後に収縮する樹脂の収縮量は、成形された樹脂の厚さに比例する。図4(a)、(b)に示される矢印は、その長さによって収縮量の大小の関係を示している。インク容器20の底面24から蓋部材に向かう方向への収縮については、この方向における樹脂部分の長さが比較的長いので、収縮量は比較的大きくなる。このとき、内層の底面24が可動型60に接しているので、インク容器の側壁25が収縮すると、その変位は側壁25における蓋側の端部の変位に現れる。従って、インク容器20の側壁25における蓋側の端部が底面側に移動してインク容器側結合部23と可動型60との間に隙間が生じてしまう。そのため、従来のインク容器の製造工程では、内層の蓋側の端部と可動型との間に隙間が生じ、ここに二次成形を行う際に用いられる樹脂が流れ込む虞があった。
【0038】
しかしながら、本実施形態のインクタンク1におけるインク容器20においては、インク容器20の側壁25における蓋部材側の端部の外側に、流入防止部26が形成されている。この流入防止部26は、内層21の側壁における蓋側端部以外の部分での最も外側の位置よりもさらに外側に突出している。流入防止部26は、インクタンク1におけるインク容器20を製造する際に、第2樹脂22−aで内層21よりも外側の層を形成する工程で、第2樹脂22−aの蓋側への回り込みを防止するための部材である。このように、本実施形態では内層21の側壁における蓋側端部から外側に突出する流入防止部26が形成されているので、流入防止部26の外側の側面と固定型62との間の隙間が小さく形成される。従って、流入防止部26の外側の側面と固定型62との間の流路の幅が、内層21における流入防止部26以外の部分と第2固定型62との間の第2樹脂22−aの流路の幅に比べて小さく形成される。図4(b)に、流入防止部26の外側の側面と固定型62との間の流路の幅をdで示し、内層21における流入防止部26以外の部分と第2固定型62との間の第2樹脂22−aの流路の幅をDで示す。
【0039】
図1(b)に、本実施形態におけるインク容器20の側壁25の蓋部材側端部の先端全体がインク容器側結合部23として形成され、流入防止部26が外側に突出して形成されている流入防止部26について拡大した断面図が示されている。図1(b)中の矢印は、一次成形後に収縮する方向が示されている。流入防止部26の外側の側面と固定型62との間の流路の幅が小さいので、二次成形の工程では、内層21の外側に外層が形成される際、流入防止部26が内層21と第2固定型62との間の流路を遮ることになる。従って、流入防止部26の外側の側面と固定型62との間の流路は第2樹脂22−aにとって流抵抗が大きく、二次成形で樹脂22−aが充填される際には、第2樹脂22−aが、流入防止部26を越えて、それ以上奥側に流入することを抑えることができる。二次成形における第2樹脂22−aの隙間65の内部へ流れ込む樹脂の流入量を少なく抑えることができる。従って、インク容器20におけるインクと接触する部分に第2樹脂22−aが位置することを抑えることができ、インク内に第2樹脂から溶出した樹脂成分が流入することを抑えることができる。また、インク容器20におけるガスバリヤ性が高く保たれる。
【0040】
また、内層21とインク容器20における側壁25の蓋部材側の端部との間の隙間65に樹脂22−aが流れ込むことを抑えられるので、第2樹脂22−aが隙間の内部で流れが止まって凹凸を形成することが抑えられる。従って、インク容器20における側壁25の蓋側端部表面に凹凸が生じることが抑えられ、その表面が平滑に保たれるようになる。従って、インク容器における側壁25と蓋部材との間の接合部分で接合面積が確保されるので、それらの間の接合強度が高く保たれる。
【0041】
また、本実施形態では特に、流入防止部26の形状から、インク容器20と蓋部材10とが接合される結合部の領域として、側壁25の蓋部材側端部の先端全体を使用することができる。従って、インク容器20と蓋部材10との間の結合部を広く形成することができる。図1(c)に、蓋部材とインク容器とが結合された際の、結合部を拡大した断面図を示す。従って、より結合部の強度が高く確保され、インクタンクにおける形状の安定化及び品質の向上を図ることができる。
【0042】
(第二実施形態)
次に、本発明を実施するための第二実施形態について説明する。上記の第一実施形態と同様の構成の部分については説明を省略し、異なる部分のみ説明することとする。
【0043】
図6(a)〜(d)には、本発明の第二実施形態に係るインクタンクの断面図が示されている。図6(a)は、図7におけるB−B線に沿う断面図であり、図6(b)は、図6(a)におけるB−B線に沿う断面図である。また、図6(c)は、本実施形態のインクタンク1’におけるインク容器20’の側壁25’の蓋部材側端部について拡大した断面図である。図6(d)は、本実施形態のインクタンク1’のインク容器20’と蓋部材10’とが結合された際の結合部について拡大した断面図である。図7(a)には、そのインクタンク1’の上側から見た平面図が示されており、図7(b)にはインクタンク1’の側面図が示されている。また。図7(c)にはインクタンク1’を下側から見た平面図が示されており、図7(d)にはインクタンク1’の正面図が示されている。
【0044】
本実施形態のインクタンク1’はインクジェット記録装置に搭載可能なインクタンクであり、インクタンク1’における液体収納室2の底面に光学的にインク残量を検知するためのプリズム27や光を導光する導光部31を有している。
【0045】
図6に示されるインクタンク1’には、蓋部材10’とインク容器20’とを有して形成されている。また、インクタンク1’は、蓋部材10’とインク容器20’とが結合することで、内部にインクを収納する液体収納室2及び吸収体を収納する吸収体収納室3を画成している。
【0046】
インク容器20’は、複数の層によって形成されている。本実施形態においても、インクと接触する面を有する内層21’が第1樹脂21−aによって形成されており、内層21’の外側に形成されている外層22’が第2樹脂22−aによって形成されている。また、インク容器20’には、液体収納室2の底面24に、液体収納室2内部のインクの残量を光学的に検知するプリズム27が形成されている。さらに、プリズム27が形成されている内層21’の一部が外部に露出され、外部への入光あるいは外部からの受光を可能にしている。
【0047】
また、インクタンク1’には、自身が内部に貯留しているインクに係る個体情報を記憶した情報記憶媒体52と発光部51を有する基板50が配置されている。インクタンク1’は、発光部51の光をインクタンク1’外部に導光するための導光部31を有しており、本実施形態では、この導光部31は第1樹脂21−aによって形成されている。
【0048】
また、第一実施形態では、インク容器20の側壁25における蓋側端部の外側に突出するように流入防止部26が形成されていた。これに対して本実施形態では、図6(a)に示されるように、インク容器20’の側壁25’における蓋部材側端部の一部分のみがさらに蓋部材側の方向に突出するように流入防止部26’が形成されている。本実施形態では、特に、側壁25’における蓋部材側端部の外側に位置した一部分のみがさらに蓋部材側に突出している。
【0049】
本実施形態における流入防止部26’について拡大した断面図を、収縮方向及び収縮の度合いを示す矢印と共に図6(c)に示す。図6(c)に示されるように、本実施形態における流入防止部26’の形状は、流入防止部26’が側壁25’から蓋部材側に突出して延びている。従って、側壁25’の蓋部材側端部に形成された流入防止部26と側壁25を成形する型の間に生じる隙間が小さく形成されるので、二次成形における第2樹脂22−aの流れ込みの量が少なく抑えられる。また、本実施形態の流入防止部26’の形状においては、外層22が側壁の蓋側端部先端まで内層21’を覆うように形成される。従って、本実施形態では、外層22’がインク容器20’の全体を覆うような構成となるので、デザイン性、再生樹脂の使用率の向上が可能となる。なお、本実施形態の流入防止部26’の形状では、インク容器20’と蓋部材10’とが結合するインク容器側結合部23の領域は、側壁25’の蓋部材側端部の流入防止部26’、外層22’以外の部分となるので小さくなる傾向にある。しかしながら、流入防止部26’及び外層22’を形成する部分の厚みは、実際にはインク容器側結合部23の領域と比較すると小さいため実際の溶着工程では問題はない。
【0050】
第二実施形態におけるインク容器20’の製造工程について、図8(a)〜(d)を用いて説明する。
【0051】
図8(a)に示されるように、まず内層21’を形成するための第1樹脂21−aが可動型60’と第1固定型61’との間に充填されて一次成形が行われる。その後、図8(b)に示されるように、内層21’を保持したまま可動型が第1固定型61’に対応する位置から第2固定型62’に対応する位置に移動する(図8(c))。このとき、一次成形で形成された内層21’が冷却されて収縮する。その後、図8(c)の内層21’と第2固定型62’との間に第2樹脂22−aが充填されて二次成形が行われる。そして、図8(d)に示されるように、本実施形態のインク容器が、金型から取り出される。
【0052】
ここで、一次成形と二次成形との間のときの収縮においては、側壁25’の蓋部材側から底面24に向かう方向に関しては比較的大きく収縮するが、インク容器20’の外側から内側に向かう方向に関しては、収縮量は比較的小さい。従って、二次成形のときには、第2樹脂22−aは、流入防止部26’よりも蓋部材側の部分には回り込むことはできるが、流入防止部26’の内側の側面と可動型61との間を通り抜けて底面側に流れ込むことは難しい。従って、二次成形の際の第2樹脂22−aが、流入防止部26’よりもインク容器20’の内側の部分に流れ込むことが抑えられる。
【0053】
なお、インク容器における側壁の蓋部材側端部の形状については、上記の第一実施形態及び第二実施形態のものに限定されない。インク容器における側壁の蓋部材側端部に、その蓋部材側端部から突出した流入防止部が形成されて、最も内側の内層よりも外側に位置する層を形成する際に樹脂の流路が狭められるような形状であれば、側壁の蓋部材側端部は他の形状であっても良い。例えば、図9(a)、(b)に示されるものであっても良い。
【0054】
図9(a)に示される流入防止部26’’は、インク容器の内層21’’の側壁25’’における蓋部材側の端部のうちの内側の一部からさらに蓋部材側に延びるように形成されている。この形状を有したインク容器の製造工程について図10(a)〜(d)を用いて説明する。
【0055】
図10(a)に示されるように、まず可動型60’’と第1固定型61’’との間に第1樹脂21−aが充填される。その後、図10(b)に示されるように、内層21’’を保持したまま可動型が第1固定型61’’に対応する位置から第2固定型62’’に対応する位置に移動する。このとき、一次成形で形成された内層21’’が冷却されて収縮する。その後、図10(c)に示されるように、内層21’’と第2固定型62’’との間に第2樹脂22−aが充填されて二次成形が行われる。そして、図10(d)に示されるように、本実施形態のインク容器が、金型から取り出される。
【0056】
ここで、一次成形と二次成形との間で、可動型60’’が第1固定型61’’に対応する位置から第2固定型62’’に対応する位置に移動する際に、内層21’’が収縮する。ここで、インク容器の側壁が蓋部材側から底面に向かう方向に収縮するので、流入防止部26’’と可動型60’’との間に隙間が生じる。
【0057】
しかしながら、本実施形態では流入防止部26’’が、内層21’’の蓋部材側端部の内側の一部に、さらに蓋部材側に延びるように形成されている。そして、流入防止部26’’におけるインク容器の内側から外側に向かう方向においては、厚さが比較的小さいので、この方向に対する収縮は比較的小さい。従って、流入防止部26’’における外側の部分と可動型60’’との間の隙間の幅が小さく抑えられる。従って、二次成形の際に第2樹脂22−aが、流入防止部26’’における外側の部分と可動型60’’との間の隙間を越えて、流入防止部26’’における蓋部材側端部と可動型60’’との間の隙間に流れ込むことを抑えることができる。また、本実施形態では、外層22’’がインク容器の全体を覆うような構成となるので、デザイン性、再生樹脂の使用率の向上が可能となる。
【0058】
本実施形態におけるインク容器の側壁における蓋部材側端部と蓋部材とが結合する結合領域について拡大した断面図を図9(b)に示す。
【0059】
また、インク容器の側壁における蓋部材側端部の形状は、図11(a)、(b)に示されるような形状であっても良い。図11(a)には、インク容器の側壁25’’’における蓋部材側端部の外側部分からさらに外側に延び、そこからさらに蓋部材側に延びた流入防止部26’’’が形成されている。この形状を有したインク容器の製造工程について図12(a)〜(d)を用いて説明する。
【0060】
図12(a)に示されるように、まず可動型60’’’と第1固定型61’’’との間に第1樹脂21−aが充填される。その後、図12(b)に示されるように、内層21’’’を保持したまま可動型が第1固定型61’’’に対応する位置から第2固定型62’’’に対応する位置に移動する。このとき、一次成形で形成された内層21’’’が冷却されて収縮する。その後、図12(c)に示されるように、内層21’’’と第2固定型62’’’との間に第2樹脂22−aが充填されて二次成形が行われる。そして、図12(d)に示されるように、本実施形態のインク容器が、金型から取り出される。
【0061】
ここで、一次成形と二次成形との間で、可動型60’’’が第1固定型61’’’に対応する位置から第2固定型62’’’に対応する位置に移動する際に、内層21’’’が収縮する。ここで、インク容器の側壁が蓋部材側から底面に向かう方向に収縮するので、インク容器の側壁における蓋部材側端部と可動型60’’’との間に隙間が生じる。
【0062】
しかしながら、本実施形態では流入防止部26’’’が、内層21’’’の蓋部材側端部の外側部分からさらに外側に延び、そこからさらに蓋部材側に延びるように形成されている。そして、流入防止部26’’’におけるインク容器の内側から外側に向かう方向においては、厚さが比較的小さいので、この方向に対する収縮は比較的小さい。従って、流入防止部26’’’と可動型60’’’との間の流路が狭く形成されるので、流入防止部26’’’の周囲を回り込んで側壁25’’’の蓋部材側端部と可動型60’’’との間の隙間に第2樹脂22−aが到達することが抑えられる。
【0063】
また、本実施形態の流入防止部26’’’の形状が採用された場合、上述の実施形態に比べ、流入防止部26’’’と可動型60’’’との間の狭く形成された流路の長さが長く、また流路が折れ曲がって形成される。従って、流路の抵抗がさらに大きく形成されているので、二次成形における第2樹脂22−aが側壁25’’’の蓋部材側端部と可動型60’’’との間の隙間に到達することをさらに抑えることができる。
【0064】
本実施形態におけるインク容器の側壁における蓋部材側端部と蓋部材とが結合する結合領域について拡大した断面図を図11(b)に示す。
【0065】
なお、インクタンクの構成については、上述の実施形態で述べたもの以外のものであっても良い。
【0066】
例えば、図13及び図14には、インクジェット記録装置に搭載可能な他のインクタンクの構成が示されており、液体収納室2の底面には、光学的にインク残量を検知するためのプリズム27を有するインクタンクの形態が示されている。
【0067】
また、図15及び図16には、インクジェット記録装置に搭載可能なさらに他のインクタンクの構成が示されており、光を導光する導光部31を有する形態を示している。
【0068】
また、図17及び図18には、インクジェット記録装置に搭載可能な別のインクタンクの形態を示しており、図6のインクタンクに取り付けられているプリズム27及び導光部31が配置されていない構成が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第一実施形態に係るインクタンクの断面図であり、(a)はインクタンク全体の断面図、(b)はインクタンクにおけるインク容器の側壁における蓋部材側端部を拡大した断面図、(c)はインク容器と蓋部材との結合部を拡大した断面図である。
【図2】図1のインクタンクの斜視図である。
【図3】図1のインクタンクを製造するための工程のうち、一次成形の工程を説明するための説明図であって、(a)は金型及び内層の全体の断面図であり、(b)は内層の蓋部材側端部を拡大した断面図である。
【図4】図1のインクタンクを製造するための工程のうち、一次成形と二次成形との間を示すための説明図であって、(a)は金型及び内層の全体の断面図であり、(b)は内層の蓋部材側端部を拡大した断面図である。
【図5】図1のインクタンクを製造するための工程のうち、二次成形の工程を説明するための説明図であって、(a)は金型、内層及び外層の全体の断面図であり、(b)は内層及び外層の蓋部材側端部を拡大した断面図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係るインクタンクの断面図であり、(a)はインクタンク全体の断面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図、(c)は側壁における蓋部材側端部を拡大した断面図、(d)はインク容器と蓋部材との結合部を拡大した断面図である。
【図7】図6のインクタンクを示し、(a)は上側から見た平面図、(b)は側面図、(c)は下側から見た平面図、(d)は正面図である。
【図8】(a)〜(d)は、図6のインクタンクにおけるインク容器を製造する工程を説明するための説明図である。
【図9】他の実施形態に係るインクタンクの断面図であり、(a)は側壁における蓋部材側端部を拡大した断面図、(b)はインク容器と蓋部材との結合部を拡大した断面図である。
【図10】(a)〜(d)は、図9のインクタンクにおけるインク容器を製造する工程を説明するための説明図である。
【図11】さらに他の実施形態に係るインクタンクの断面図であり、(a)は側壁における蓋部材側端部を拡大した断面図、(b)はインク容器と蓋部材との結合部を拡大した断面図である。
【図12】(a)〜(d)は、図11のインクタンクにおけるインク容器を製造する工程を説明するための説明図である。
【図13】さらに他の実施形態に係るインクタンクの断面図である。
【図14】図13のインクタンクの上側から見た平面図、側面図、下側から見た平面図、正面図である。
【図15】さらに他の実施形態に係るインクタンクの断面図である。
【図16】図15のインクタンクの上側から見た平面図、側面図、下側から見た平面図、正面図である。
【図17】さらに他の実施形態に係るインクタンクの断面図である。
【図18】図17のインクタンクの上側から見た平面図、側面図、下側から見た平面図、正面図である。
【図19】従来のインクタンクの一例を示す断面図である。
【図20】図19のインクタンクを製造するための工程のうち、一次成形の工程を説明するための説明図であって、(a)は金型及び内層の全体の断面図であり、(b)は内層の蓋部材側端部を拡大した断面図である。
【図21】図19のインクタンクを製造するための工程のうち、一次成形と二次成形との間を示すための説明図であって、(a)は金型及び内層の全体の断面図であり、(b)は内層の蓋部材側端部を拡大した断面図である。
【図22】図19のインクタンクを製造するための工程のうち、二次成形の工程を説明するための説明図であって、(a)は金型、内層及び外層の全体の断面図であり、(b)は内層及び外層の蓋部材側端部を拡大した断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 インクタンク
10、10’、10’’、10’’’ 蓋部材
20、20’、20’’、20’’’ インク容器
21、21’、21’’、21’’’ 内層
22、22’、22’’、22’’’ 外層
25、25’、25’’、25’’’ 側壁
26、26’、26’’、26’’’ 流入防止部
60、60’、60’’、60’’’ 可動型
61、61’、61’’、61’’’ 第1固定型
62、62’、62’’、62’’’ 第2固定型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体容器と蓋部材とを有し、内部に液体を収容する液体収納容器において、
前記液体容器は、型成形によって複数の層が重ねられて形成され、
前記液体容器を形成する複数の層のうち最も内側に形成された内層の側壁における蓋部材側の端部には、前記蓋部材側の端部から突出した突出部が形成されていることを特徴とする液体収納容器。
【請求項2】
前記突出部は、前記内層の側壁における蓋側端部以外の部分での最も外側の位置よりもさらに外側に突出して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器。
【請求項3】
前記突出部は、前記内層の側壁における蓋部材側の端部から、さらに蓋部材側に突出して形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体収納容器。
【請求項4】
前記内層が第1樹脂によって形成され、
前記内層よりも外側の層が第2樹脂によって形成され、
前記第1樹脂が前記第2樹脂以上の透明性を有し、
前記液体容器の内部に収容された液体の残量を検知するためのプリズムが配置され、
前記プリズムが前記第1樹脂によって形成され、
前記プリズムにおける液体と接触する部分に対応する部分が前記液体容器の外部に露出されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体収納容器。
【請求項5】
前記内層が第1樹脂によって形成され、
前記内層よりも外側の層が第2樹脂によって形成され、
前記第1樹脂が前記第2樹脂以上の透明性を有し、
前記液体容器の内部に収容される液体に係る個体情報を記憶した情報記憶媒体と発光部とを有し、
前記発光部の光を前記液体容器の外部に導光する導光部を有する液体収納容器であって、
前記導光部が前記第1樹脂によって形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液体収納容器。
【請求項6】
前記内層が第1樹脂によって形成され、
前記内層よりも外側の層が第2樹脂によって形成され、
前記第2樹脂は、リサイクルされた材料を含む再利用材であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の液体収納容器。
【請求項7】
前記内層が第1樹脂によって形成され、
前記内層よりも外側の層が第2樹脂によって形成され、
前記第1樹脂は、再利用されていないバージン樹脂であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の液体収納容器。
【請求項8】
液体容器と蓋部材とを有する液体収納容器の製造方法であって、
前記液体容器が、型成形によって複数の層が重ねられて形成され、
前記液体容器を形成する複数の層のうち最も内側に形成された内層と、前記内層よりも外側の層とを形成するために共通に用いられる共通型を少なくとも一つ用いて前記液体容器を形成する液体収納容器の製造方法において、
共通型と、前記内層の側壁における蓋部材側の端部に前記蓋部材側の端部から突出する突出部を形成可能な第1の型との間に第1樹脂が充填されて前記内層が成形される一次成形ステップと、
前記共通型と第2の型との間に第2樹脂が充填されて前記内層よりも外側の層が成形される二次成形ステップと
を有することを特徴とする液体収納容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−36367(P2010−36367A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198851(P2008−198851)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】