説明

液体噴射ヘッド、液体吐出方法、メンテナンス方法、およびプリンタ

【課題】所望の体積の液滴を形成することができる液体噴射ヘッドを提供する。
【解決手段】本発明に係る液体噴射ヘッド100は、ノズルプレート10と、ノズルプレート10の上方に形成された圧力室22と、圧力室22の上方に形成された振動板30と、振動板30の上方に形成された第1圧電素子40と、を含み、ノズルプレート10は、 ノズル孔12が設けられた基板11と、基板11の下方に形成され、ノズル孔12と連通している開口部14が設けられた第2圧電素子13と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射ヘッド、液体吐出方法、メンテナンス方法、およびプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット技術は、家庭用のプリンタのみならず、工業用、産業用など様々な分野に用いられている。これらの分野に応じて、インクジェット技術では、様々な組成のインクを吐出する必要がある。そのなかでも、特に高分子ポリマーなどからなる高粘度インクは、ノズル孔から吐出されたインク液柱が切れ難く、所望の体積のインク液滴を形成することが困難である。
【0003】
例えば、特許文献1には、ノズルの内壁に、液体に温度変化を与えるヒータを設け、液柱のくびれ部分と、ノズルの内壁の近傍に位置する部分と、に温度差を生じさせることにより、液柱から液滴を分離する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2007−229960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、ヒータの熱でノズル周辺のインクが乾燥し、ノズル孔が詰まってしまう場合がある。また、高周波数で吐出させる場合、ヒータのON/OFFの切り替えが追従できず、吐出安定性が低下する場合がある。さらに、有機系のインクでは、ヒータの熱により引火する可能性があり、安全面においても問題がある。
【0005】
本発明の目的の1つは、所望の体積の液滴を形成することができる液体噴射ヘッドを提供することにある。また、本発明の目的の1つは、上記液体噴射ヘッドを用いた液体吐出方法、メンテナンス方法、および上記液体噴射ヘッドを有するプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る液体噴射ヘッドは、
ノズルプレートと、
前記ノズルプレートの上方に形成された圧力室と、
前記圧力室の上方に形成された振動板と、
前記振動板の上方に形成された第1圧電素子と、
を含み、
前記ノズルプレートは、
ノズル孔が設けられた基板と、
前記基板の下方に形成され、前記ノズル孔と連通している開口部が設けられた第2圧電素子と、
を有する。
【0007】
本発明に係る液体噴射ヘッドは、所望の体積の液滴を形成することができる。
【0008】
なお、本発明に係る記載では、「上方」という文言を、例えば、「特定のもの(以下「A」という)の「上方」に他の特定のもの(以下「B」という)を形成する」などと用いている。本発明に係る記載では、この例のような場合に、A上に直接Bを形成するような場合と、A上に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとして、「上方」という文言を用いている。同様に、「下方」という文言は、A下に直接Bを形成するような場合と、A下に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとする。
【0009】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記第2圧電素子は、
第1電極と、
前記第1電極の上方に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の上方に形成された第2電極と、
を有することができる。
【0010】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記開口部の開口径の大きさは、前記ノズル孔の開口径の大きさ以上であることができる。
【0011】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記ノズルプレートは、
さらに、前記基板と、前記第2圧電素子と、の間に形成された絶縁層を有することができる。
【0012】
本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
10mPa・s以上の粘度である液体を吐出することができる。
【0013】
本発明に係る液体吐出方法は、
本発明に係る液体噴射ヘッドを準備する工程と、
前記第1圧電素子によって前記圧力室内の液体を加圧する工程と、
加圧された前記液体を、前記ノズル孔から前記開口部に向けて吐出する工程と、
前記第2圧電素子から音波を発生する工程と、
前記音波によって、前記開口部内に吐出された前記液体を切断する工程と、
を含む。
【0014】
本発明に係る液体吐出方法において、
前記開口部内に吐出された前記液体は、液柱形状であり、
前記切断する工程は、液柱形状の前記液体を、液滴形状にすることができる。
【0015】
本発明に係る液体吐出方法において、
前記音波を発生する工程は、前記液体の種類に応じて、異なる周波数の前記音波を発生することができる。
【0016】
本発明に係る液体吐出方法において、
前記液体が油系インクである場合に発生する前記音波の周波数は、前記液体が水系インクである場合に発生する前記音波の周波数より高いことができる。
【0017】
本発明に係るメンテナンス方法は、
本発明に係る液体噴射ヘッドを準備する工程と、
前記第2圧電素子から音波を発生する工程と、
前記音波によって、前記開口部の内壁を洗浄する工程と、
を含む。
【0018】
本発明に係るプリンタは、
本発明に係る液体噴射ヘッドを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
1. 液体噴射ヘッド
まず、本実施形態に係る液体噴射ヘッドについて説明する。図1は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド100の要部を模式的に示す断面図である。図2は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド100の要部を模式的に示す平面図である。図3は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド100の分解斜視図であり、通常使用される状態とは上下を逆に示したものである。なお、図1は、図2に示すA−A線の断面図である。また、図2は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド100を下方側から見たときの平面図である。
【0021】
液体噴射ヘッド100は、図1〜図3に示すように、ノズルプレート10と、圧力室22と、振動板30と、第1圧電素子40と、を有する。さらに、液体噴射ヘッド100は、圧力室基板20と、供給路24と、リザーバ26と、筐体50と、を有することができる。
【0022】
ノズルプレート10は、ノズル孔12が設けられた基板11と、開口部14設けられた第2圧電素子13と、を有する。さらに、ノズルプレート10は、絶縁層18を有することができる。
【0023】
基板11は、例えば、ニッケル、シリコン、ステンレス鋼、ステンレスなどからなる。基板11の厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0024】
ノズル孔12は、基板11に形成されている。ノズル孔12は、複数設けられていることができ、その数は特に限定されない。ノズル孔12は、基板11の厚み方向(−Z方向)に向けて液体(インク)を吐出することができる。ノズル孔12から吐出される液体の粘度は、例えば、25℃において、10mPa・s以上、さらには、20mPa・s以上である。
【0025】
第2圧電素子13は、基板11の下に形成されている。第2圧電素子は、第1電極15と、第1電極15上に形成された圧電体層16と、圧電体層16上に形成された第2電極17と、を有する。第1電極15および第2電極17は、例えば、白金、イリジウムなどからなる。第1電極15および第2電極17の厚さは、例えば、50nm〜500nmである。第1電極15および第2電極17は、図示せぬ外部駆動回路と接続されていることができる。圧電体層16は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O:PZT)からなる。圧電体層16の厚さは、例えば、300nm〜3000nmである。第2圧電素子13は、与えられた電気信号によって圧電体層16が振動し、音波を発生することができる。詳細は後述する。
【0026】
絶縁層18は、基板11と、第2圧電素子13と、の間に形成されている。絶縁層18は、例えば、二酸化シリコン、窒化シリコンなどからなる。絶縁層16の厚さは、例えば、50nm〜500nmである。絶縁層18は、第1電極15および第2電極17と、第1基板11と、を絶縁することができる。
【0027】
開口部14は、第2圧電素子13および絶縁層18に形成されている。開口部14は、ノズル孔12と連通している。開口部14の開口径14Lの大きさは、ノズル孔12の開口径12Lの大きさ以上である。より具体的には、開口部14の開口径14Lは、ノズル孔12の開口径12Lより大きい。すなわち、図2に示すように平面的に見て、ノズル孔12の外周は、開口部14の外周の内側に位置している。なお、図示の例では、開口部14の外周は円形だが、その形状は特に限定されず、例えば四角形でもよい。
【0028】
圧力室基板20は、図1に示すように、ノズルプレート10上(図3では下)に形成されている。圧力室基板20は、例えば、シリコン、ニッケルなどからなる。圧力室基板20は、圧力室22、供給路24およびリザーバ26を区画することができる。
【0029】
圧力室22、供給路24およびリザーバ26は、図1に示すように、ノズルプレート10上(図3では下)に形成されている。圧力室22は、ノズル孔12と連通している。圧力室22は、図3に示すように、供給路24を介してリザーバ26と連通している。リザーバ26は、供給路24を介して圧力室22に液体を供給することができる。リザーバ26には、貫通孔28が形成されており、貫通孔28を通って外部からリザーバ26内に液体が供給される。
【0030】
振動板30は、図1に示すように、圧力室22上および圧力室基板20上(図3では下)に形成されている。振動板50は、例えば、二酸化ジルコニウムや二酸化シリコンなどの絶縁膜、ニッケルなどの金属膜、ポリイミドなどの高分子材料膜からなる。
【0031】
第1圧電素子40は、圧力室22の上方であって、振動板30上に形成されている。第1圧電素子40は、図示はしないが、ダイヤフラムや接着剤などを介して、振動板30上に形成されていてもよい。第1圧電素子40は、与えられる電気信号にしたがって、振動板30を上下方向(Z方向)に振動させることができる。第1圧電素子40は、圧電体層を電極で挟んだ構造を有する。第1圧電素子40の電極の延びる方向は、振動板30の振動方向に対して垂直(縦モード)であってもよいし、平行(横モード)であってもよい。縦モードの場合は、第1圧電素子40の上部は、固定基板(図示せず)に固定されている。第1圧電素子40の電極は、例えばケーブル(図示せず)によって、外部駆動回路と接続されている。第1圧電素子40の圧電体層は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O:PZT)からなる。第1圧電素子40の電極は、例えば、白金、イリジウムからなる。
【0032】
筐体50は、図3に示すように、第1圧電素子40やノズルプレート10などを収納することができる。筐体50は、例えば、各種樹脂材料、各種金属材料からなる。
【0033】
本実施形態に係る液体噴射ヘッド100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0034】
液体噴射ヘッド100では、ノズル孔12と連通している開口部14が設けられた第2圧電素子13を有することができる。第2圧電素子13は、圧電体層16が振動することにより、音波を発生することができる。この音波によって、所望の体積(大きさ)の液滴を形成することができる。詳細は後述する。
【0035】
液体噴射ヘッド100では、開口部14の開口径14Lの大きさは、ノズル孔12の開口径12Lの大きさ以上である。より具体的には、開口部14の開口径14Lは、ノズル孔12の開口径12Lより大きい。そのため、ノズル孔12から吐出された液体は、第2圧電素子13に接触することなく飛翔することができる。すなわち、第2圧電素子13によって液体の飛翔が妨げられることはなく、所望の方向に液体を飛翔させることができる。
【0036】
液体噴射ヘッド100では、絶縁層18は、基板11と、第2圧電素子13と、の間に形成されていることができる。絶縁層18は、第1電極15および第2電極17と、第1基板11と、を絶縁することができる。特に、基板11が導電体からなる場合に、有効である。
【0037】
液体噴射ヘッド100では、例えば、25℃において、10mPa・s以上、さらには、20mPa・s以上の粘度である高粘度の液体を吐出することができる。すなわち、上述のように、第2圧電素子13は音波を発生することができるため、該音波によって、たとえ高粘度の液体であっても切断することができ、所望の体積の液滴を形成することができる。
【0038】
2. 液体噴射ヘッドの製造方法
次に、本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法について、図面を参照しながら説明する。図4〜図7は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド100の要部の製造工程を模式的に示す断面図である。なお、図4および図5は、便宜上、図1と上下を逆に示している。
【0039】
図4に示すように、基板11の上に、絶縁層18、第2電極17、圧電体層16および第1電極15を、この順番で形成する。絶縁層18は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成される。第1電極15および第2電極17は、例えば、スパッタ法、めっき法、真空蒸着法などにより形成される。圧電体層16は、例えば、CVD法、MOD(Metal Organic Deposition)法、スパッタ法などにより形成される。各層は、各層の形成ごとに所望の形状にパターニングされることができる。
【0040】
図5に示すように、第2圧電素子13および絶縁層18をパターニングして、開口部14を形成する。次に、基板11をパターニングしてノズル孔12を形成する。以上により、ノズルプレート10を形成することができる。なお、開口部14の形成と、ノズル孔12の形成とは、その先後を問わない。
【0041】
図6に示すように、圧力室基板20上に振動板30を形成する。振動板30は、例えば、CVD法、スパッタ法、めっき法により形成される。次に、振動板30上に、第1圧電素子40を形成する。第1圧電素子40は、例えば、公知の方法により形成される。
【0042】
図7に示すように、圧力室基板20をパターニングして、開口部20aを形成する。パターニングは、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて行われ、振動板30は、エッチングストッパとして機能することができる。
【0043】
図1に示すように、圧力室基板22の下に、開口部20aとノズル孔12が連通するように、ノズルプレート10を形成する。これにより、圧力室22を形成することができる。同時に、供給路24およびリザーバ26を形成することができる。
【0044】
以上の方法により、液体噴射ヘッド100を製造することができる。なお、液体噴射ヘッド100の製造方法は、上述の製造方法に限定されない。
【0045】
3. 液体吐出方法
次に、本実施形態に係る液体吐出方法について説明する。本実施形態に係る液体吐出方法では、本発明に係る液体噴射ヘッドを準備する。以下、液体噴射ヘッド100を用いた例について説明する。図8〜図11は、本実施形態に係る液体吐出方法を説明するための図である。
【0046】
図8に示すように、第1圧電素子40によって、圧力室22内およびノズル孔12内の液体60を加圧する。より具体的には、第1圧電素子40に電気信号を与えることにより振動板30を振動(変位)させ、振動板30の変位によって圧力室40の容積を変化させて、液体60に圧力を加える。
【0047】
図9に示すように、加圧された液体60を、ノズル孔12から開口部14に向けて吐出する。上述のように、液体60は、例えば、25℃で、10mPa・s以上、さらには、20mPa・s以上と高粘度である。そのため、例えば、ノズル孔12から開口部14内に吐出された液体60は液柱形状であり(液柱60a)、圧力室22内およびノズル孔12内の液体60と連続している。
【0048】
図10に示すように、第2圧電素子13に電気信号を与え、第2圧電素子13から液柱60aに向けて音波70を発生する。第2圧電素子13は、液体の種類に応じて、異なる周波数の音波70を発生することができる。具体的には、第2圧電素子13に与える電気信号を変化させることにより、音波70の周波数を変化させることができる。
【0049】
液体60が水系インクである場合には、第2圧電素子13は、例えば、20kHz〜100kHzの周波数の音波70を発生することができる。水系インクは、例えば、20kHz〜100kHzの周波数の音波によって、キャビテーションが発生し易い。このキャビテーションによって、図11に示すように、開口部14内に吐出された液体60(液柱60a)を切断することができる。切断された液体60は、液滴62となり、−Y方向に飛翔する。なお、水系インクとは、主溶媒として水を用いるインクのことである。
【0050】
液体60が油系インクである場合には、第2圧電素子13は、例えば、1MHz以上の周波数の音波70を発生することができる。油系インクは、例えば、水系インクに比べてキャビテーションが発生し難い。そのため、水系インクの場合より高い周波数の音波70を発生し、油系インク中の分子を振動させる。この振動により、図11に示すように、液柱60aを切断することができる。なお、油系インクとは、主溶媒として有機溶媒を用いるインクのことである。
【0051】
本実施形態に係る液体吐出方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0052】
本実施形態に係る液体吐出方法では、上述のように、第2圧電素子13から発生された音波70によって、開口部14内に吐出された液体60を切断することができる。すなわち、音波70によって、所望の体積の液滴62を形成することができる。
【0053】
本実施形態に係る液体吐出方法では、液体60の種類に応じて、異なる周波数の音波70を発生し、開口部14内に吐出された液体60を切断することができる。より具体的には、液体60が油系インクである場合に発生する音波70の周波数は、液体60が水系インクである場合に発生する音波70の周波数より高い。これにより、本実施形態に係る液体吐出方法は、様々な種類の液体60に対応することができる。
【0054】
4. メンテナンス方法
次に、本実施形態に係るメンテナンス方法について説明する。本実施形態に係るメンテナンス方法では、本発明に係る液体噴射ヘッドを準備する。以下、液体噴射ヘッド100を用いた例について説明する。図12は、本実施形態に係るメンテナンス方法を説明するための図である。
【0055】
図12に示すように、液体噴射ヘッド100の待機時に(例えば、第1圧電素子40に電気信号を与えていないときに)、第2圧電素子13に電気信号を与えて、第2圧電素子13から開口部14の内壁14aに向けて音波70を発生する。開口部14の内壁14aは、開口部14を区画する第2圧電素子13の側面ともいえる。内壁14aには、例えば、液体60を構成する物質が付着している場合がある。このような場合に、音波70を発生して、内壁14aの付着物を除去することができる。すなわち、開口部14の内壁14aを洗浄することができる。このとき発生する音波70の周波数は、例えば、20kHz〜100kHzであることができる。このような周波数の音波70は、指向性が低いため、広範囲の領域を洗浄することができる。
【0056】
本実施形態に係るメンテナンス方法では、上述のように、別途、洗浄装置を準備することなく、容易に開口部14の内壁14aを洗浄することができる。
【0057】
5. プリンタ
次に、本実施形態に係るプリンタについて説明する。本実施形態に係るプリンタは、本発明に係る液体噴射ヘッドを有する。ここでは、本実施形態に係るプリンタ300がインクジェットプリンタである場合について説明する。図13は、本実施形態に係るプリンタ300を模式的に示す斜視図である。
【0058】
プリンタ300は、ヘッドユニット330と、駆動部310と、制御部360と、を含む。また、プリンタ300は、装置本体320と、給紙部350と、記録用紙Pを設置するトレイ321と、記録用紙Pを排出する排出口322と、装置本体320の上面に配置された操作パネル370と、を含むことができる。
【0059】
ヘッドユニット330は、例えば、上述した液体噴射ヘッド100から構成されるインクジェット式記録ヘッド(以下単に「ヘッド」ともいう)を有する。ヘッドユニット330は、さらに、ヘッドにインクを供給するインクカートリッジ331と、ヘッドおよびインクカートリッジ331を搭載した運搬部(キャリッジ)332と、を備える。
【0060】
駆動部310は、ヘッドユニット330を往復動させることができる。駆動部310は、ヘッドユニット330の駆動源となるキャリッジモータ341と、キャリッジモータ341の回転を受けて、ヘッドユニット330を往復動させる往復動機構342と、を有する。
【0061】
往復動機構342は、その両端がフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸344と、キャリッジガイド軸344と平行に延在するタイミングベルト343と、を備える。キャリッジガイド軸344は、キャリッジ332が自在に往復動できるようにしながら、キャリッジ332を支持している。さらに、キャリッジ332は、タイミングベルト343の一部に固定されている。キャリッジモータ341の作動により、タイミングベルト343を走行させると、キャリッジガイド軸344に導かれて、ヘッドユニット330が往復動する。この往復動の際に、ヘッドから適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
【0062】
制御部360は、ヘッドユニット330、駆動部310および給紙部350を制御することができる。
【0063】
給紙部350は、記録用紙Pをトレイ321からヘッドユニット330側へ送り込むことができる。給紙部350は、その駆動源となる給紙モータ351と、給紙モータ351の作動により回転する給紙ローラ352と、を備える。給紙ローラ352は、記録用紙Pの送り経路を挟んで上下に対向する従動ローラ352aおよび駆動ローラ352bを備える。駆動ローラ352bは、給紙モータ351に連結されている。制御部360によって供紙部350が駆動されると、記録用紙Pは、ヘッドユニット330の下方を通過するように送られる。
【0064】
ヘッドユニット330、駆動部310、制御部360および給紙部350は、装置本体320の内部に設けられている。
【0065】
プリンタ300では、本発明に係る液体噴射ヘッドを有することができる。本発明に係る液体噴射ヘッドは、上述のように、所望の体積の液滴を形成することができる。そのため、所望の体積の液滴を形成することができるプリンタ300を得ることができる。
【0066】
なお、上述した例では、プリンタ300がインクジェットプリンタである場合について説明したが、本発明のプリンタは、工業的な液体吐出装置として用いられることもできる。この場合に吐出される液体(液状材料)としては、各種の機能性材料を溶媒や分散媒によって適当な粘度に調整したものなどを用いることができる。
【0067】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施形態に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す断面図。
【図2】本実施形態に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す平面図。
【図3】本実施形態に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す分解斜視図。
【図4】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図5】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図6】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図7】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。
【図8】本実施形態に係る液体吐出方法を説明するための図。
【図9】本実施形態に係る液体吐出方法を説明するための図。
【図10】本実施形態に係る液体吐出方法を説明するための図。
【図11】本実施形態に係る液体吐出方法を説明するための図。
【図12】本実施形態に係るメンテナンス方法を説明するための図。
【図13】本実施形態に係るプリンタを模式的に示す斜視図。
【符号の説明】
【0069】
10 ノズルプレート、11 基板、12 ノズル孔、13 第2圧電素子、
14 開口部、15 第1電極、16 圧電体層、17 第2電極、18 絶縁層、
20 圧力室基板、22 圧力室、24 供給路、26 リザーバ、28 貫通孔、
30 振動板、40 第1圧電素子、50 筐体、60 液体、62 液滴、
70 音波、100 液体噴射ヘッド、300 プリンタ、310 駆動部、
320 装置本体、321 トレイ、322 排出口、330 ヘッドユニット、
331 インクカートリッジ、332 キャリッジ、341 キャリッジモータ、
342 往復動機構、343 タイミングベルト、344 キャリッジガイド軸、
350 給紙部、351 給紙モータ、352 給紙ローラ、360 制御部、
370 操作パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルプレートと、
前記ノズルプレートの上方に形成された圧力室と、
前記圧力室の上方に形成された振動板と、
前記振動板の上方に形成された第1圧電素子と、
を含み、
前記ノズルプレートは、
ノズル孔が設けられた基板と、
前記基板の下方に形成され、前記ノズル孔と連通している開口部が設けられた第2圧電素子と、
を有する、液体噴射ヘッド。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2圧電素子は、
第1電極と、
前記第1電極の上方に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の上方に形成された第2電極と、
を有する、液体噴射ヘッド。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記開口部の開口径の大きさは、前記ノズル孔の開口径の大きさ以上である、液体噴射ヘッド。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記ノズルプレートは、
さらに、前記基板と、前記第2圧電素子と、の間に形成された絶縁層を有する、液体噴射ヘッド。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
10mPa・s以上の粘度である液体を吐出する、液体噴射ヘッド。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の液体噴射ヘッドを準備する工程と、
前記第1圧電素子によって前記圧力室内の液体を加圧する工程と、
加圧された前記液体を、前記ノズル孔から前記開口部に向けて吐出する工程と、
前記第2圧電素子から音波を発生する工程と、
前記音波によって、前記開口部内に吐出された前記液体を切断する工程と、
を含む、液体吐出方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記開口部内に吐出された前記液体は、液柱形状であり、
前記切断する工程は、液柱形状の前記液体を、液滴形状にする、液体吐出方法。
【請求項8】
請求項6または7において、
前記音波を発生する工程は、前記液体の種類に応じて、異なる周波数の前記音波を発生する、液体吐出方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記液体が油系インクである場合に発生する前記音波の周波数は、前記液体が水系インクである場合に発生する前記音波の周波数より高い、液体吐出方法。
【請求項10】
請求項1ないし5のいずれかに記載の液体噴射ヘッドを準備する工程と、
前記第2圧電素子から音波を発生する工程と、
前記音波によって、前記開口部の内壁を洗浄する工程と、
を含む、メンテナンス方法。
【請求項11】
請求項1ないし5のいずれかに記載の液体噴射ヘッドを有する、プリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−105164(P2010−105164A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266171(P2008−266171)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】